以下、図面に基づいて、本願の開示する人物の動作モニタ方法、動作判定方法、人物の動作モニタプログラム、動作判定プログラムおよび情報処理装置の実施例を詳細に説明する。なお、本実施例により、開示技術が限定されるものではない。また、以下の実施例は、矛盾しない範囲で適宜組みあわせてもよい。
図1は、実施例の動作モニタシステムの構成の一例を示すブロック図である。図1に示す動作モニタシステム1は、例えば、入居施設10の一例である高齢者向けの介護付き入居施設において、入居する高齢者が事故に遭う危険の予兆を検出し、いち早く事故の要因を取り除くための情報を提供する。図1に示す動作モニタシステム1は、カメラ11a〜11eと、管理者端末50と、サーバ装置100とを有する。カメラ11a〜11eは、入居施設10の区画10aの各所に設置される。なお、以下の説明では、カメラ11a〜11eを区別しない場合には、単にカメラ11と称する。
入居施設10は、区画10aと類似する間取りの複数の区画を有し、各区画には、区画10aと同様に複数のカメラ11が各所に設置される。なお、以下の説明では、複数の区画のうち、区画10aを例として説明するが、区画の数は限定されず、動作モニタシステム1は、任意の数の区画に設置されたカメラ11を有してもよい。また、図1には、システムが1つの管理者端末50を有する場合を示したが、管理者端末50の数は限定されず、動作モニタシステム1は、任意の数の管理者端末50を有してもよい。
カメラ11、管理者端末50およびサーバ装置100の間は、ネットワークNを介して相互に通信可能に接続される。かかるネットワークNには、有線または無線を問わず、インターネット(Internet)を始め、LAN(Local Area Network)やVPN(Virtual Private Network)などの任意の種類の通信網を採用できる。
動作モニタシステム1は、高齢者が入居する区画10aの各部屋に設置されたカメラ11で撮像された画像に基づいて、高齢者の動作をモニタし、転倒等の事故には至らないが注意すべき躓きや滑り等の事象を判定する。動作モニタシステム1は、これらの事象を高齢者、つまり人物の所定の動作として、所定の動作が発生した区画10a内の位置と、所定の動作を示した際の人物の移動方向とを特定する。動作モニタシステム1は、所定の動作の発生があったことを示す情報と、特定した移動方向を示す情報とを、特定した位置に対応づけてマップ上に配置し、当該マップを、例えば、管理者端末50に送信して図示しない表示部に表示させる。これにより、動作モニタシステム1は、高齢者が転倒する可能性が高い場所を入居施設10の管理者に提示できるので、管理者は移動方向を考慮した対策ができる。
カメラ11は、例えば、通信機能を有するネットワークカメラであり、ネットワークNに接続されることで、サーバ装置100に撮像した画像を送信する。すなわち、カメラ11は、撮像センサであり、人物の動作をモニタするセンサである。カメラ11は、例えば、撮像素子としてCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサまたはCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等を用いて、画像を撮像する。カメラ11は、撮像素子が受光した光を光電変換しA/D(Analog/Digital)変換を行って画像を生成する。カメラ11は、生成した画像を、ネットワークNを介してサーバ装置100に送信する。なお、カメラ11は、サーバ装置100から撮影方向等の指示を受信して、撮影方向を変化させるようにしてもよい。また、カメラ11は、例えば、区画10aの各居室の天井の中央または隅等に設置される。
管理者端末50は、例えば、入居施設10の管理者が用いるコンピュータである。管理者端末50は、サーバ装置100から受信した入居施設10内の各区画のマップ、躓きや滑り等の事象に関する情報等を表示させて、管理者に提示する。かかる管理者端末50の一例としては、可搬型のパーソナルコンピュータを採用できる。管理者端末50には、上記のパーソナルコンピュータなどの可搬型の端末のみならず、据置型のパーソナルコンピュータを管理者端末50として採用することもできる。また、管理者端末50は、可搬型の端末としては、上記のパーソナルコンピュータの他にも、例えば、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話機やPHS(Personal Handyphone System)などの移動体通信端末等を採用することもできる。
次に、サーバ装置100の構成について説明する。図1に示すように、サーバ装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。なお、サーバ装置100は、図1に示す機能部以外にも既知のコンピュータが有する各種の機能部、例えば各種の入力デバイスや音声出力デバイスなどの機能部を有することとしてもかまわない。
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。通信部110は、ネットワークNを介してカメラ11および管理者端末50と有線または無線で接続され、カメラ11および管理者端末50との間で情報の通信を司る通信インタフェースである。通信部110は、カメラ11から画像を受信し、管理者端末50から制御情報を受信する。通信部110は、受信した画像または制御情報を制御部130に出力する。また、通信部110は、制御部130から入力された間取り選択画面、入居者選択画面、マップ画面等を管理者端末50に送信する。
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、ハードディスクや光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部120は、ログ記憶部121と、カメラ設定テーブル122と、入居者データベース123と、設定テーブル124と、メッセージIDテーブル125と、メッセージデータベース126と、事象データベース127とを有する。なお、以下の説明では、データベースをDBと省略して示す。また、記憶部120は、制御部130での処理に用いる情報を記憶する。
ログ記憶部121は、各カメラ11が撮像した画像に基づいて検出された頭部位置の高さ(以下、頭部高さともいう)と、検出された座標とを対応付けて頭部高さログとして記憶する。図2は、ログ記憶部の一例を示す図である。図2に示すように、ログ記憶部121は、「日時」、カメラ11ごとの「頭部高さ」および「検出座標」、「低下フラグ」といった項目を有する。
「日時」は、カメラ11から画像を受信した日時、または、カメラ11が画像を撮像した日時を示し、例えば、1秒間に10枚撮像される場合には、1/10秒ごとに1つのレコードとする。「頭部高さ」は、カメラ11から受信した画像に基づいて算出された人物の頭部位置の高さを示す。「検出座標」は、カメラ11から受信した画像に基づいて算出された人物の座標を示す。ここで、座標は、例えば、カメラ11が設置された区画10a内の部屋の座標を示し、予めカメラ11と設置される部屋との対応を決定する。すなわち、検出座標は、カメラ11ごとに基準点を設けて設定される。なお、座標は、区画10a内を1つの座標系としてもよい。「低下フラグ」は、人物の頭部高さが低下した場合を識別する。低下フラグは、例えば、直前の日時の頭部高さと、現在の日時の頭部高さとを比較して、現在の日時の頭部高さが低い場合に「1」とし、それ以外の場合に「0」とする。なお、図2の例では、1から5行目は、カメラ11cが頭部高さを検出し、6から12行目では、カメラ11aが頭部高さを検出し、人物、つまり入居者が廊下からリビングに移動したことを示す。
カメラ設定テーブル122は、入居施設10の区画ごとに、設置されるカメラ11の設置数と、各カメラ11のIDおよび設置場所とを対応付けて記憶する。図3は、カメラ設定テーブルの一例を示す図である。図3に示すように、カメラ設定テーブル122は、「部屋番号」、「カメラ設置数」、カメラ11ごとの「ID」および「設置場所」といった項目を有する。
「部屋番号」は、入居施設10の各区画を識別する。「カメラ設置数」は、部屋番号で識別される各区画に設置されるカメラ11の数を示す。「ID」は、各区画に設置されるカメラ11を識別する。「設置場所」は、各カメラ11が設置される区画内の部屋等を示す。図3の1行目の例では、部屋番号「601」号の区画にカメラ11が4台設置され、1台目のカメラ11はリビングに設置され、2台目のカメラ11はキッチンに設置され、3台目のカメラ11は寝室に設置され、4台目のカメラ11は浴室に設置されることを示す。なお、カメラ設定テーブル122は、各カメラ11の設置場所とともに、カメラ11の画角、および、カメラ11の居室における床面からの高さを記憶してもよい。
入居者DB123は、各区画に入居する入居者を、入居者の身長、管理者等と対応付けて記憶する。図4は、入居者データベースの一例を示す図である。図4に示すように、入居者DB123は、「監視対象部屋ID」、「間取りパターン」、「監視対象者名」、「身長」、「管理者名」、「管理者連絡先」といった項目を有する。入居者DB123の各項目は、予め管理者端末50等を用いて登録される。
「監視対象部屋ID」は、入居施設10の各区画を識別する。「間取りパターン」は、各区画の間取りを示す。「監視対象者名」は、入居施設10の各区画に入居する入居者、すなわち、監視される対象者を示す。「身長」は、入居者の身長を示す。「管理者名」は、入居者を監視する人物、例えば、入居者の親族、入居施設10の管理者等を示す。「管理者連絡先」は、管理者の連絡先として、例えば、メールアドレス等を示す。なお、入居者DB123は、他にも入居者の頭部の大きさ等の情報を合わせて記憶するようにしてもよい。
設定テーブル124は、頭部位置の変動を検出するための設定値を記憶する。図5は、設定テーブルの一例を示す図である。図5に示すように、設定テーブル124は、「設定内容」、「設定値」といった項目を有する。「設定内容」は、例えば、頭部下がり、躓き、滑りといった事象を示す。「設定値」は、設定内容について変動を検出するための設定値を示す。
メッセージIDテーブル125は、躓きや滑りといった事象が発生する直前の居室と、発生した直後の居室と、事象と、メッセージIDとを対応付けて記憶する。図6は、メッセージIDテーブルの一例を示す図である。図6に示すように、メッセージIDテーブル125は、「居室1、居室2」、「事象」、「メッセージID」といった項目を有する。
「居室1」は、躓きや滑りといった事象が発生する直前の居室を示し、「居室2」は躓きや滑りといった事象が発生した直後の居室を示す。「事象」は、躓きか滑りのいずれの事象であるかを示す。「メッセージID」は、躓きや滑りといった事象が発生する直前と発生した直後の居室と、事象とに応じてマップ画面に表示するメッセージを識別する。
メッセージDB126は、メッセージIDに応じてマップ画面に表示するメッセージを記憶する。図7は、メッセージデータベースの一例を示す図である。図7に示すように、メッセージDB126は、「メッセージID」、「メッセージ内容」といった項目を有する。「メッセージID」は、マップ画面に表示するメッセージを識別する。「メッセージ内容」は、マップ画面に表示するメッセージの内容を示す。
事象データベース127は、躓きや滑りといった事象が発生した場合の、日時、事象、場所情報等を、部屋番号および入居者と対応付けて記憶する。図8は、事象データベースの一例を示す図である。図8に示すように、事象データベース127は、「部屋番号」、「入居者」、「日時」、「事象」、場所情報として「居室1情報」および「居室2情報」といった項目を有する。また、「居室1情報」および「居室2情報」は、それぞれ「居室」、「座標」といった項目を有する。
「部屋番号」は、入居施設10の各区画を識別する。「入居者」は、入居施設10の各区画に入居する入居者の氏名を示す。「日時」は、事象が発生した日時を示す。「事象」は、躓きか滑りのいずれの事象であるかを示す。「居室1情報」は、躓きや滑りといった事象が発生する直前に入居者がいた「居室」および当該居室内の「座標」を示す。「居室2情報」は、躓きや滑りといった事象が発生した直後に入居者がいた「居室」および当該居室内の「座標」を示す。
図1の説明に戻って、制御部130は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、内部の記憶装置に記憶されているプログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されるようにしてもよい。制御部130は、特定部131と、表示制御部134とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。また、特定部131は、検出部132と、判定部133とを有する。なお、制御部130の内部構成は、図1に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
特定部131は、カメラ11から通信部110を介して画像が入力される。特定部131は、入力された画像から人物の頭部位置の変動を検出するために、当該画像を検出部132に出力する。特定部131は、検出部132および判定部133の処理の結果として、人物の位置と、事象を検出した際の人物の移動方向を特定する。
検出部132は、特定部131から画像が入力されると、まず入居者の頭部を検出する。検出部132は、例えば、記憶部120に記憶されている頭部のテンプレート画像とのマッチングを取ることにより、入力された画像上における入居者の頭部の位置および大きさを検出する。また、検出部132は、例えば、カメラ設定テーブル122に設置場所とともに記憶されたカメラ11の画角、および、カメラ11の居室における床面からの高さと、例えば、入居者DB123に記憶された入居者の頭部の大きさ、身長等の情報を取得する。検出部132は、取得したカメラ11の情報と、入居者の情報とに基づいて、入居者の頭部位置の高さ、つまり頭部高さを検出する。
検出部132は、検出した頭部高さと、頭部の位置に対応する座標とを、画像を送信したカメラ11と対応付けて、頭部高さログとしてログ記憶部121に記録する。また、検出部132は、今回の頭部高さが直前の頭部高さよりも低いか否かを判定する。検出部132は、今回の頭部高さが直前の頭部高さよりも低くない場合には、頭部高さログ、つまりログ記憶部121の低下フラグに「0」を記録する。検出部132は、今回の頭部高さが直前の頭部高さよりも低い場合には、ログ記憶部121の低下フラグに「1」を記録する。検出部132は、低下フラグに「1」を記録すると、ログ記憶部121の頭部高さログから、直近の低下フラグが「0」のレコードの頭部高さを取得する。また、検出部132は、設定テーブル124から頭部下がりの設定値を取得する。
検出部132は、低下フラグが「1」のデータ数、つまりログ記憶部121のレコード数が所定値以下、かつ、今回の頭部高さの変動が頭部下がりの設定値以上か否かを判定する。ここで、低下フラグが「1」のデータ数の所定値は、例えば、1秒から3秒に相当する数値とすることができる。例えば、ログ記憶部121に頭部高さログが1/10秒ごとに記憶される場合には、当該所定値は、10から30となる。検出部132は、低下フラグが「1」のデータ数が所定値以下、かつ、今回の頭部高さの変動が頭部下がりの設定値以上でない場合には、例えば、入居者が下を向いた状態や、立った状態から座る等の動作を行ったと判定する。検出部132は、低下フラグが「1」のデータ数が所定値以下、かつ、今回の頭部高さの変動が頭部下がりの設定値以上である場合には、躓きまたは滑りの事象が発生したと判定する。検出部132は、躓きまたは滑りの事象が発生したと判定した場合には、ログ記憶部121の頭部高さログから低下フラグが「0」の直近の座標を含む複数の座標を取得する。
また、検出部132は、設定テーブル124から躓きおよび滑りの設定値を取得する。検出部132は、今回の座標と、継続して取得した低下フラグが「0」の直近の座標を含む複数の座標とに基づいて、進行ベクトルを算出する。検出部132は、直前の座標と今回の座標との位置関係が進行ベクトルに沿うもので、躓きの設定値以上であるか否かを判定する。検出部132は、直前の座標と今回の座標との位置関係が進行ベクトルに沿うもので、躓きの設定値以上である場合には、頭部位置の変動方向が入居者の移動方向側である旨の検出結果を判定部133に出力する。
検出部132は、直前の座標と今回の座標との位置関係が進行ベクトルに沿うもので、躓きの設定値以上でない場合には、直前の座標と今回の座標との位置関係が進行ベクトルと逆行するもので、滑りの設定値以上であるか否かを判定する。検出部132は、直前の座標と今回の座標との位置関係が進行ベクトルと逆行するもので、滑りの設定値以上である場合には、頭部位置の変動方向が入居者の移動方向とは逆側である旨の検出結果を判定部133に出力する。検出部132は、直前の座標と今回の座標との位置関係が進行ベクトルと逆行するもので、滑りの設定値以上でない場合には、躓きまたは滑りの事象が設定値未満であるとして、頭部高さログの記録に戻る。すなわち、検出部132は、入居者の頭部高さを検出し、頭部位置の高さ方向の低下、または、基準を超える変動を検出する。
判定部133は、検出部132から検出結果が入力されると、検出結果に応じて躓きか滑りかを判定する。判定部133は、頭部位置の変動方向が入居者の移動方向側である旨の検出結果が入力されると躓きと判定し、躓きの判定結果を事象として、事象DB127に居室1情報および居室2情報等と対応付けて記録する。判定部133は、頭部位置の変動方向が入居者の移動方向とは逆側である旨の検出結果が入力されると滑りと判定し、滑りの判定結果を事象として、事象DB127に居室1情報および居室2情報等と対応付けて記録する。すなわち、検出部132および判定部133は、人物の動作が所定の動作(事象)を示した際の人物の位置と、所定の動作を示した際の人物の移動方向を特定する。
ここで、頭部位置の高さの変化および変動方向について、図9〜図11を用いて説明する。図9は、頭部位置の高さの変化の一例を示すグラフである。図9に示すように、時刻T1において、入居者が躓いたり、滑ったりした場合には、頭部位置の高さが急に下がる。図9の例では、頭部高さが約160cmから約120cmまで急激に低下している。検出部132は、このような頭部位置の高さ方向の低下が、設定テーブル124に予め設定された頭部下がりの設定値、例えば、10cm以上となった場合に、ログ記憶部121の頭部高さログの低下フラグを「1」と設定する。また、検出部132は、頭部位置の高さ方向の低下として、上述の所定量以上の低下だけでなく、所定の速度を超える低下が発生した場合に、低下フラグを「1」としてもよい。これにより、検出部132は、通常の動作、例えば、座る、しゃがむ等よりも頭部高さが低下する速度が速い場合を検出できる。なお、頭部位置の低下の速度は、低下量と時間とに基づいて算出できる。
図10は、頭部位置が移動方向側に変動する場合の一例を示すグラフである。図10は、時間の経過に対する頭部位置の単位時間毎の変動量を図示したものであり、このグラフに示すように、時刻T1において、入居者が躓いた場合に、頭部位置が移動方向側に変動する。図10の例では、頭部位置が移動方向側に15cm以上急激に変動している。検出部132は、このような頭部位置の移動方向側への変動が、設定テーブル124に予め設定された躓きの設定値、例えば、15cm以上となった場合に、躓きの事象が発生したとする。検出部132は、躓きの事象が発生すると、事象DB127に、部屋番号、入居者、日時、事象として躓き、および、場所情報として居室と座標を有する居室1情報および居室2情報を記憶する。
図8に示す事象DB127の4行目の例では、部屋番号405号に入居する山田四郎さんが、2013年10月2日8時12分17秒に、リビングの座標(X60,Y60)から、寝室の座標(X62,Y62)に移動した際に、躓いたことを表す。すなわち、当該例では、山田四郎さんがリビングから寝室に移動中に、例えば、躓いたという事象が発生したことを示す。この情報により、リビングと寝室の間の敷居等に段差があることが推測できる。
図11は、頭部位置が移動方向とは逆側に変動する場合の一例を示すグラフである。図11は、時間の経過に対する頭部位置の単位時間毎の変動量を図示したものであり、このグラフに示すように、時刻T1において、入居者が滑った場合に、頭部位置が移動方向とは逆側に変動する。図11の例では、頭部位置が移動方向とは逆側に10cm以上急激に変動している。検出部132は、このような頭部位置の移動方向とは逆側への変動が、設定テーブル124に予め設定された滑りの設定値、例えば、マイナス10cm以上となった場合に、滑りの事象が発生したとする。検出部132は、滑りの事象が発生すると、事象DB127に、部屋番号、入居者、日時、事象として滑り、および、場所情報として居室と座標を有する居室1情報および居室2情報を記憶する。なお、図10と図11のグラフを比較すると、事象が発生した時刻T1の直後の頭部位置の変動速度、つまり、グラフの傾きが異なることがわかる。従って、検出部132は、グラフの傾きに基づいて、躓きか滑りかを判定するようにしてもよい。
図8に示す事象DB127の1行目の例では、部屋番号601号に入居する佐藤花子さんが、2013年10月1日9時1分23秒に、リビングの座標(X20,Y20)から、リビングの座標(X23,Y23)に移動した際に、滑ったことを表す。すなわち、当該例では、佐藤花子さんがリビング内で移動中に、例えば、床に置きっぱなしになった新聞紙やマット等に足を取られて滑った等の事象が発生したことを示す。また、検出部132は、頭部位置の変動が、頭部位置の直近の変動速度を超える速度の変動、または、所定の変動速度を超える速度の変動である場合に、躓きまたは滑りの事象が発生したと判定するようにしてもよい。これにより、検出部132は、通常の移動による頭部位置の変動速度を超える変動速度が検出された場合に、躓きまたは滑りの事象が発生したと判定できる。なお、頭部位置の変動速度は、変動量と時間とに基づいて算出できる。
図1の説明に戻って、表示制御部134は、管理者端末50から躓きおよび滑りを表すマップ画面を表示させる制御情報を受信すると、間取り選択画面を管理者端末50に送信する。表示制御部134は、管理者端末50から間取りパターンを選択する制御情報を受信すると、受信した間取りパターンに該当する区画に入居する入居者を選択する入居者選択画面を管理者端末50に送信する。表示制御部134は、入居者選択画面に表示された入居者のうち、全員が選択されたか否かを判定する。表示制御部134は、全員が選択された場合には、事象DB127から、選択された間取りパターンに対応するデータを取得し、事象に対応する記号等をマップ画面に配置してマップ画面を生成する生成処理を実行する。表示制御部134は、同様に入居者全員について、選択された間取りパターンに対応するデータを取得して生成処理を実行する。
マップ画面を生成する生成処理について説明する。表示制御部134は、間取りパターンに対応する間取り図を、記憶部120から読み出して取得する。表示制御部134は、事象DB127を参照して、「躓き」または「滑り」に対応する記号を間取り図に配置する。また、表示制御部134は、事象DB127を参照して、居室1情報および居室2情報の各座標を取得し、各座標をつなぐ線として矢印を間取り図に配置する。なお、矢印は、入居者の進行方向、すなわち進行ベクトルの方向を示す。
表示制御部134は、事象DB127を参照して、居室1情報、居室2情報および事象に基づいて、メッセージIDテーブル125からメッセージIDを取得し、図示しない記憶部に、メッセージIDと対応づけて件数1として記録する。表示制御部134は、既に取得済のメッセージIDの場合には、図示しない記録部での、当該メッセージIDに対応する件数をインクリメントさせる。表示制御部134は、例えば、事象DB127に、リビングから寝室への移動時に躓きが発生したレコードが2つ見つかれば、対応するメッセージIDの件数を1つ増加、つまりインクリメントさせる。表示制御部134は、メッセージIDに対応するメッセージをメッセージDB126から取得して間取り図に配置してマップ画面を生成し、生成処理を終了する。このとき、表示制御部134は、居室1情報と居室2情報とに基づいて、メッセージ内容に居室名を挿入する。
表示制御部134は、全員が選択されない場合には、入居者の誰かが選択されたか否かを判定する。表示制御部134は、入居者の誰かが選択された場合には、事象DB127から選択された入居者に対応するデータを取得して、上述の生成処理を実行する。表示制御部134は、生成処理が終了すると、生成されたマップ画面を通信部110を介して管理者端末50に送信し、管理者端末50の図示しない表示部にマップ画面を表示させる。
ここで、マップ画面について、図12および図13を用いて説明する。図12は、マップ画面の一例を示す図である。図12に示すように、マップ画面61は、例えば、部屋番号601号の佐藤さんの躓きおよび滑りの発生状況を示すマップ画面である。図12の例では、マップ画面61には、間取り図62と、躓き情報63と、滑り情報64とが配置される。また、間取り図62には、躓き情報63に対応する矢印および記号63aと、滑り情報64に対応する矢印および記号64a、64bとが配置される。なお、間取り図62中の矢印および記号は、例えば、矢印が進行方向を示し、黒丸の記号が滑りを示し、黒三角の記号が躓きを示す。また、図12および図13の間取り図62、66中の浴室は、洗面所を含むものとする。
例えば、矢印および記号63aは、躓き情報63の「廊下からリビングへの移動中に躓いた可能性があります。段差を確認してください。(リビングの入り口が高くなっている可能性があります。)」に対応し、躓きが発生した位置と移動方向とを示す。また、例えば、矢印および記号64aは、滑り情報64の「リビングに滑りやすい物が置かれている可能性があります。」に対応し、滑りが発生した位置と移動方向とを示す。同様に、例えば、矢印および記号64bは、滑り情報64の「洗面所の床が濡れている可能性があります。」に対応し、滑りが発生した位置と移動方向とを示す。
図13は、マップ画面の他の一例を示す図である。図13に示すように、マップ画面65は、例えば、間取りパターンが「1LDK−1」である入居者全員の躓きおよび滑りの発生状況を示すマップ画面である。図13の例では、マップ画面65には、間取り図66と、躓き情報67と、滑り情報68とが配置される。また、間取り図66には、躓き情報67に対応する矢印および記号67a、67bと、滑り情報68に対応する矢印および記号68a、68bとが配置される。なお、間取り図66中の矢印および記号は、図12と同様に、例えば、矢印が進行方向を示し、黒丸の記号が滑りを示し、黒三角の記号が躓きを示す。なお、矢印および記号は、同じ場所で複数を纏めて表示してもよい。このとき、例えば、所定の範囲内で発生した事象の回数に応じて、矢印または記号の色等を変化させてもよい。
例えば、矢印および記号67aは、躓き情報67の「廊下からリビングへの移動中に躓いた可能性があります。段差を確認してください。(リビングの入り口が高くなっている可能性があります。)(5件)」に対応し、躓きが発生した位置と移動方向と件数とを示す。同様に、例えば、矢印および記号67bは、躓き情報67の「リビングから寝室への移動中に躓いた可能性があります。段差を確認してください。(寝室の入り口が高くなっている可能性があります。)(2件)」に対応し、躓きが発生した位置と移動方向と件数とを示す。なお、メッセージの直後に記載された件数は、図示しない記録部に記録された、メッセージID毎の件数を取得することで表示可能となる。
また、例えば、矢印および記号68aは、滑り情報68の「リビングに滑りやすい物が置かれている可能性があります。(2件)」に対応し、滑りが発生した位置と移動方向と件数とを示す。同様に、例えば、矢印および記号68bは、滑り情報68の「洗面所の床が濡れている可能性があります。(3件)」に対応し、滑りが発生した位置と移動方向と件数とを示す。
次に、実施例の動作モニタシステム1の動作について説明する。まず、躓きおよび滑り等の事象を記録する記録処理について説明する。図14は、記録処理の一例を示すフローチャートである。記録処理は、例えば、図1に示す区画10a内の各居室に設置されたカメラ11a〜11eから送信される画像を、ネットワークNを介してサーバ装置100が受信して記録するものとして説明する。
なお、カメラ11aは区画10a内の居室「リビング」に設置され、カメラ11bは居室「キッチン」に設置され、カメラ11cは居室「廊下(2)」に設置され、カメラ11dは居室「浴室」に設置され、カメラ11eは居室「寝室」に設置される。なお、図1では、便宜上、カメラ11cに他のカメラが接続され、カメラ11cがネットワークNと接続されているが、これに限定されず、任意のカメラ11がネットワークNと接続されてもよい。また、各カメラ11を図示しない端末装置に接続し、端末装置がネットワークNと接続されるようにしてもよい。
サーバ装置100は、例えば、管理者端末50から記録処理を開始する制御情報を受信すると、検出部132は、入居者DB123から監視対象者、つまり入居者の身長データを取得する(ステップS1)。検出部132は、画像が入力されると、まず入居者の頭部を検出する。検出部132は、カメラ設定テーブル122からカメラ11の情報を取得し、入居者DB123から入居者の情報を取得する。検出部132は、入力された画像と、取得したカメラ11の情報と、入居者の情報とに基づいて、入居者の頭部位置の高さ、つまり頭部高さを検出し、頭部高さおよび頭部座標を取得する(ステップS2)。検出部132は、検出した頭部高さと、頭部の位置に対応する座標とを、画像を送信したカメラ11と対応付けて、頭部高さログとしてログ記憶部121に記録する(ステップS3)。
検出部132は、今回の頭部高さが直前の頭部高さよりも低いか否かを判定する(ステップS4)。検出部132は、今回の頭部高さが直前の頭部高さよりも低くない場合(あるいは、直前のデータがない場合)には(ステップS4:否定)、頭部高さログ、つまりログ記憶部121の低下フラグに「0」を記録し(ステップS5)、ステップS2に戻る。検出部132は、今回の頭部高さが直前の頭部高さよりも低い場合には(ステップS4:肯定)、ログ記憶部121の低下フラグに「1」を記録する(ステップS6)。検出部132は、低下フラグに「1」を記録すると、ログ記憶部121の頭部高さログから、直近の低下フラグが「0」のレコードの頭部高さを取得する(ステップS7)。また、検出部132は、設定テーブル124から頭部下がりの設定値を取得する(ステップS8)。
検出部132は、低下フラグが「1」のデータ数が所定値以下、かつ、今回の頭部高さの変動が頭下がりの設定値以上か否かを判定する(ステップS9)。検出部132は、低下フラグが「1」のデータ数が所定値以下、かつ、今回の頭部高さの変動が頭下がりの設定値以上でない場合には(ステップS9:否定)、ステップS2に戻る。検出部132は、低下フラグが「1」のデータ数が所定値以下、かつ、今回の頭部高さの変動が頭下がりの設定値以上である場合には(ステップS9:肯定)、躓きまたは滑りの事象が発生したと判定する。検出部132は、躓きまたは滑りの事象が発生したと判定すると、ログ記憶部121の頭部高さログから低下フラグが「0」の直近の座標を含む複数の座標を取得する(ステップS10)。
また、検出部132は、設定テーブル124から躓きおよび滑りの設定値を取得する(ステップS11)。検出部132は、今回の座標と、継続して取得した低下フラグが「0」の直近の座標を含む複数の座標とに基づいて、進行ベクトルを算出する(ステップS12)。検出部132は、直前の座標と今回の座標との位置関係が進行ベクトルに沿うもので、躓きの設定値以上であるか否かを判定する(ステップS13)。検出部132は、直前の座標と今回の座標との位置関係が進行ベクトルに沿うもので、躓きの設定値以上である場合には(ステップS13:肯定)、頭部位置の変動方向が入居者の移動方向側である旨の検出結果を判定部133に出力する。
判定部133は、頭部位置の変動方向が入居者の移動方向側である旨の検出結果が入力されると躓きと判定し、躓きの判定結果を事象として、事象DB127に居室1情報および居室2情報等と対応付けて記録し(ステップS14)、ステップS2に戻る。なお、居室1情報とは、直近の低下フラグが「0」のレコードに対応して記録されているカメラの位置(居室)を示し、居室2情報とは、今回のレコードに対応して記録されているカメラの位置(居室)を示す。
検出部132は、直前の座標と今回の座標との位置関係が進行ベクトルに沿うもので、躓きの設定値以上でない場合には(ステップS13:否定)、当該位置関係が進行ベクトルと逆行するもので、滑りの設定値以上であるか否かを判定する(ステップS15)。検出部132は、直前の座標と今回の座標との位置関係が進行ベクトルと逆行するもので、滑りの設定値以上である場合には(ステップS15:肯定)、頭部位置の変動方向が入居者の移動方向とは逆側である旨の検出結果を判定部133に出力する。
判定部133は、頭部位置の変動方向が入居者の移動方向とは逆側である旨の検出結果が入力されると滑りと判定し、滑りの判定結果を事象として、事象DB127に居室1情報および居室2情報等と対応付けて記録し(ステップS16)、ステップS2に戻る。検出部132は、直前の座標と今回の座標との位置関係が進行ベクトルと逆行するもので、滑りの設定値以上でない場合には(ステップS15:否定)、躓きまたは滑りの事象が設定値未満であるとして、ステップS2に戻る。これにより、各カメラ11から送信される画像に基づいて、入居者の躓きまたは滑りの発生を、位置と移動方向と対応付けて記録することができる。
次に、管理者端末50にマップ画面を表示させる表示処理について説明する。図15は、表示処理の一例を示すフローチャートである。サーバ装置100の表示制御部134は、管理者端末50からマップ画面を表示させる制御情報を受信すると、間取り選択画面を管理者端末50に送信する。管理者端末50は、図示しない表示部に間取り選択画面を表示し(ステップS51)、例えば、管理者による間取りパターンの選択を促す。管理者端末50は、例えば、管理者によって間取りパターンが選択されたか否かを判定する(ステップS52)。管理者端末50は、間取りパターンが選択されていない場合には(ステップS52:否定)、間取りパターンが選択されるまでステップS52を繰返して待機する。管理者端末50は、間取りパターンが選択された場合には(ステップS52:肯定)、選択された間取りパターンを示す制御情報をサーバ装置100に送信する。
サーバ装置100の表示制御部134は、管理者端末50から選択された間取りパターンを示す制御情報を受信すると、受信した間取りパターンに該当する区画に入居する入居者を選択する入居者選択画面を管理者端末50に送信する。管理者端末50は、入居者選択画面を受信すると、入居者選択画面を図示しない表示部に表示し(ステップS53)、例えば、管理者による入居者の選択を促す。管理者端末50は、管理者によって選択された入居者をサーバ装置100に送信する。
サーバ装置100の表示制御部134は、管理者端末50から受信した入居者について、入居者選択画面に表示された入居者のうち、全員が選択されたか否かを判定する(ステップS54)。表示制御部134は、全員が選択された場合には(ステップS54:肯定)、事象DB127から、選択された間取りパターンに対応するデータを取得する(ステップS55)。表示制御部134は、選択された間取りパターンに対応するデータを取得すると、マップ画面を生成する生成処理を実行する(ステップS56)。
ここで、図16を用いて生成処理について説明する。図16は、生成処理の一例を示すフローチャートである。表示制御部134は、間取りパターンに対応する間取り図を、記憶部120から読み出して取得する(ステップS561)。表示制御部134は、事象DB127を参照して、「躓き」または「滑り」に対応する記号を間取り図に配置する(ステップS562)。また、表示制御部134は、事象DB127を参照して、居室1情報および居室2情報の各座標を取得し、各座標をつなぐ線として矢印を間取り図に配置する(ステップS563)。なお、矢印を拡大表示させて見やすくしてもよい。
表示制御部134は、事象DB127を参照して、居室1情報、居室2情報および事象に基づいて、メッセージIDテーブル125からメッセージIDを取得する(ステップS564)。それとともに、メッセージIDに対応する件数(このメッセージIDを取得した件数)を図示しない記録部に記録する。表示制御部134は、既に取得済のメッセージIDの場合には、図示しない記録部に記録されている当該メッセージIDの件数をインクリメントさせる(ステップS565)。表示制御部134は、メッセージIDに対応するメッセージをメッセージDB126から取得して間取り図に配置し(ステップS566)、マップ画面を生成すると元の処理に戻る。これにより、マップ画面に、躓きまたは滑りに対応する記号、および、移動方向を表示することができる。
図15の説明に戻って、表示制御部134は、次に処理するデータがあるか否かを判定する(ステップS57)。表示制御部134は、次に処理するデータがある場合には(ステップS57:肯定)、ステップS55に戻り、同様に入居者全員について、選択された間取りパターンに対応するデータを取得して生成処理を実行する。表示制御部134は、次に処理するデータがない場合には(ステップS57:否定)、ステップS61に進む。
ステップS54の説明に戻って、表示制御部134は、全員が選択されない場合には(ステップS54:否定)、入居者の誰かが選択されたか否かを判定する(ステップS58)。表示制御部134は、入居者の誰かが選択されない場合には(ステップS58:否定)、ステップS54に戻り、入居者が選択される制御情報を管理者端末50から受信するのを待機する。表示制御部134は、入居者の誰かが選択された場合には(ステップS58:肯定)、事象DB127から選択された入居者に対応するデータを取得する(ステップS59)。表示制御部134は、選択された入居者に対応するデータを取得すると、生成処理を実行する(ステップS60)。なお、ステップS60の生成処理は、ステップS56の生成処理と同様の処理であるので、その説明を省略する。
表示制御部134は、生成処理で生成されたマップ画面を、通信部110を介して管理者端末50に送信し、管理者端末50の図示しない表示部にマップ画面を表示させる(ステップS61)。これにより、管理者端末50に躓きおよび滑りの発生状況を示すマップ画面を表示させることができる。
このように、動作モニタシステム1は、人物の動作をモニタする1または複数のセンサからの出力に基づいて、人物の動作が所定の動作を示した際の人物の位置と、所定の動作を示した際の人物の移動方向とを特定する。また、動作モニタシステム1は、所定の動作の発生があったことを示す情報と、特定した移動方向を示す情報とを、特定した位置に対応づけて、マップ上に表示させる。その結果、所定の動作および移動方向を表示できる。
また、動作モニタシステム1は、人物の動作をモニタするセンサからの出力に基づいて、人物の頭部位置の高さ方向の低下または基準を超える変動を検出する。また、動作モニタシステム1は、検出を行った際の頭部位置の変動方向が、人物の移動方向側であるか、人物の移動方向とは逆側であるかに応じて、異なる判定結果を出力する。その結果、人物の移動方向に応じて動作を判定できる。
また、動作モニタシステム1は、頭部位置の変動方向が人物の移動方向側である場合に、人物について躓き動作があったこと、頭部位置の変動方向が人物の移動方向とは逆側である場合に、人物について滑る動作があったこと、を検出する。その結果、人物が躓いたのか滑ったのかを判定できる。
また、動作モニタシステム1は、判定結果を、低下または基準を超える変動を検出した位置に対応づけて記憶する。その結果、判定した動作の位置を記録できる。
また、動作モニタシステム1は、判定結果を、低下または基準を超える変動を検出した位置に対応するマップ上に判定結果を示す情報として表示する。その結果、入居施設10の管理者等に、判定した動作の位置を提示することができる。
また、動作モニタシステム1は、少なくとも、低下または基準を超える変動を検出した位置における人物の移動方向もマップ上に表示する。その結果、人物がどちらから移動した場合に、躓きまたは滑りの動作が発生したかを提示することができる。
また、動作モニタシステム1は、人物の頭部位置の高さ方向の低下は、頭部位置の高さ方向における所定量以上の低下、または、頭部位置の高さ方向における所定の速度を超える低下、である。その結果、通常の動作の範囲に含まれる頭部位置の変動を検出することを抑制できる。
また、動作モニタシステム1は、基準を超える変動は、頭部位置の直近の変動速度を超える速度の変動、または、所定の変動速度を超える速度の変動である。その結果、通常の動作の範囲に含まれる頭部位置の変動を検出することを抑制できる。
また、動作モニタシステム1は、センサは撮像センサであり、撮像センサが撮像した画像に基づいて、人物の頭部位置の高さ方向の低下または基準を超える変動を検出する。その結果、安価なネットワークカメラやWebカメラ等を用いることができ、コストを抑制することができる。
なお、上記実施例では、人物の動作をモニタするセンサとして、カメラ11を用いたが、これに限定されない。例えば、距離を測距する距離センサを用いてもよい。距離センサは、例えば、ライダー(LIDAR:Light Detection and Ranging、または、Laser Imaging Detection and Ranging,もしくは、LADAR:Laser Detection and Ranging)を用いることができる。距離センサは、例えば、カメラ11に代えて居室の天井等に設置され、室内にいる入居者の頭部の高さを測距する。距離センサは、例えば、同じ高さが一定の面積をもつ場合や、所定の形状である場合に頭部と判定し、その頭部の高さを測距する。なお、距離センサは、前記所定の形状に加えて、当該形状をもつ物体の位置が所定時間内に動いた事を頭部と判定する条件に追加してもよい。動作モニタシステム1は、入居施設10の区画ごとに、例えば、端末装置を設け、端末装置が距離センサで測距された頭部の高さと方角とに基づいて頭部の座標を算出する。端末装置は、例えば、サーバ装置100の検出部132の処理の一部である低下フラグの記録までの処理を行い、頭部高さログを生成してサーバ装置100に送信する。
このように、動作モニタシステム1は、センサは距離センサであり、距離センサが測距した距離に基づいて、人物の頭部位置の高さ方向の低下または基準を超える変動を検出する。その結果、頭部高さ、頭部の座標および移動方向の精度を向上させることができる。
また、上記実施例では、人物の動作をモニタするセンサとして、カメラ11またはライダーを用いたが、これに限定されない。例えば、ステレオカメラを用いてもよい。例えば、カメラ11に代えてステレオカメラを用いることで、カメラ11を用いる場合より頭部高さ、頭部の座標および移動方向の精度を向上させ、ライダーを用いる場合よりコストを抑制することができる。なお、人物の動作をモニタするセンサとして、カメラ11またはステレオカメラを用いる場合でも、ライダーを用いる場合と同様に、各区画に図示しない端末装置を設けてもよい。端末装置は、検出部132の処理の一部である低下フラグの記録までの処理を行い、頭部高さログを生成してサーバ装置100に送信するようにしてもよい。
また、図示した各部の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、検出部132の頭部高さログを記録する処理をカメラ11側で行うようにしてもよい。
さらに、各装置で行われる各種処理機能は、CPU(またはMPU、MCU(Micro Controller Unit)等のマイクロ・コンピュータ)上で、その全部または任意の一部を実行するようにしてもよい。また、各種処理機能は、CPU(またはMPU、MCU等のマイクロ・コンピュータ)で解析実行されるプログラム上、またはワイヤードロジックによるハードウェア上で、その全部または任意の一部を実行するようにしてもよいことは言うまでもない。
ところで、上記の実施例で説明した各種の処理は、予め用意されたプログラムをコンピュータで実行することで実現できる。そこで、以下では、上記の実施例と同様の機能を有するプログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。図17は、人物の動作モニタプログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。
図17が示すように、コンピュータ200は、各種演算処理を実行するCPU201と、データ入力を受け付ける入力装置202と、モニタ203とを有する。また、コンピュータ200は、記憶媒体からプログラム等を読み取る媒体読取装置204と、各種装置と接続するためのインタフェース装置205と、他の情報処理装置等と有線または無線により接続するための通信装置206とを有する。また、コンピュータ200は、各種情報を一時記憶するRAM207と、ハードディスク装置208とを有する。また、各装置201〜208は、バス209に接続される。
ハードディスク装置208には、図1に示した特定部131、検出部132、判定部133および表示制御部134の各処理部と同様の機能を有する人物の動作モニタプログラムが記憶される。また、ハードディスク装置208には、ログ記憶部121、カメラ設定テーブル122、入居者DB123、設定テーブル124、および、メッセージIDテーブル125が記憶される。また、ハードディスク装置208には、メッセージDB126、事象DB127、および、人物の動作モニタプログラムを実現するための各種データが記憶される。入力装置202は、例えば、コンピュータ200の管理者から管理情報等の各種情報の入力を受け付ける。モニタ203は、例えば、コンピュータ200の管理者に対して管理情報の画面や各種画面を表示する。インタフェース装置205は、例えば印刷装置等が接続される。通信装置206は、例えば、図1に示した通信部110と同様の機能を有しネットワークNと接続され、管理者端末50、カメラ11や他の装置と各種情報をやりとりする。
CPU201は、ハードディスク装置208に記憶された各プログラムを読み出して、RAM207に展開して実行することで、各種の処理を行う。また、これらのプログラムは、コンピュータ200を図1に示した特定部131、検出部132、判定部133および表示制御部134として機能させることができる。
なお、上記の人物の動作モニタプログラムは、必ずしもハードディスク装置208に記憶されている必要はない。例えば、コンピュータ200が読み取り可能な記憶媒体に記憶されたプログラムを、コンピュータ200が読み出して実行するようにしてもよい。コンピュータ200が読み取り可能な記憶媒体は、例えば、CD−ROMやDVDディスク、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の可搬型記録媒体、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、ハードディスクドライブ等が対応する。また、公衆回線、インターネット、LAN等に接続された装置にこの人物の動作モニタプログラムを記憶させておき、コンピュータ200がこれらから人物の動作モニタプログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
以上、本実施例を含む実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)人物の動作をモニタする1または複数のセンサからの出力に基づいて、前記人物の動作が所定の動作を示した際の前記人物の位置と、前記所定の動作を示した際の前記人物の移動方向とを特定し、
前記所定の動作の発生があったことを示す情報と、特定した前記移動方向を示す情報とを、特定した前記位置に対応づけて、マップ上に表示させる、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする、人物の動作モニタ方法。
(付記2)人物の動作をモニタするセンサからの出力に基づいて、前記人物の頭部位置の高さ方向の低下または基準を超える変動を検出し、
検出を行った際の前記頭部位置の変動方向が、前記人物の移動方向側であるか、前記人物の移動方向とは逆側であるかに応じて、異なる判定結果を出力する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする動作判定方法。
(付記3)前記頭部位置の変動方向が前記人物の移動方向側である場合に、前記人物について躓き動作があったこと、前記頭部位置の変動方向が前記人物の移動方向とは逆側である場合に、前記人物について滑る動作があったこと、を検出する、
ことを特徴とする付記2に記載の動作判定方法。
(付記4)前記判定結果を、前記低下または前記基準を超える変動を検出した位置に対応づけて記憶することを特徴とする付記2に記載の動作判定方法。
(付記5)前記判定結果を、前記低下または前記基準を超える変動を検出した位置に対応するマップ上に前記判定結果を示す情報として表示する、ことを特徴とする付記2に記載の動作判定方法。
(付記6)少なくとも、前記低下または前記基準を超える変動を検出した位置における前記人物の移動方向も前記マップ上に表示する、ことを特徴とする付記5に記載の動作判定方法。
(付記7)前記人物の頭部位置の高さ方向の低下は、前記頭部位置の高さ方向における所定量以上の低下、または、前記頭部位置の高さ方向における所定の速度を超える低下、であることを特徴とする付記2に記載の動作判定方法。
(付記8)前記基準を超える変動は、前記頭部位置の直近の変動速度を超える速度の変動、または、所定の変動速度を超える速度の変動である、ことを特徴とする付記2に記載の動作判定方法。
(付記9)前記センサは撮像センサであり、前記撮像センサが撮像した画像に基づいて、前記人物の頭部位置の高さ方向の低下または基準を超える変動を検出することを特徴とする付記2〜8のいずれか1つに記載の動作判定方法。
(付記10)前記センサは距離センサであり、前記距離センサが測距した距離に基づいて、前記人物の頭部位置の高さ方向の低下または基準を超える変動を検出することを特徴とする付記2〜8のいずれか1つに記載の動作判定方法。
(付記11)人物の動作をモニタする1または複数のセンサからの出力に基づいて、前記人物の動作が所定の動作を示した際の前記人物の位置と、前記所定の動作を示した際の前記人物の移動方向とを特定し、
前記所定の動作の発生があったことを示す情報と、特定した前記移動方向を示す情報とを、特定した前記位置に対応づけて、マップ上に表示させる、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする、人物の動作モニタプログラム。
(付記12)人物の動作をモニタするセンサからの出力に基づいて、前記人物の頭部位置の高さ方向の低下または基準を超える変動を検出し、
検出を行った際の前記頭部位置の変動方向が、前記人物の移動方向側であるか、前記人物の移動方向とは逆側であるかに応じて、異なる判定結果を出力する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする動作判定プログラム。
(付記13)前記頭部位置の変動方向が前記人物の移動方向側である場合に、前記人物について躓き動作があったこと、前記頭部位置の変動方向が前記人物の移動方向とは逆側である場合に、前記人物について滑る動作があったこと、を検出する、
ことを特徴とする付記12に記載の動作判定プログラム。
(付記14)前記判定結果を、前記低下または前記基準を超える変動を検出した位置に対応づけて記憶することを特徴とする付記12に記載の動作判定プログラム。
(付記15)前記判定結果を、前記低下または前記基準を超える変動を検出した位置に対応するマップ上に前記判定結果を示す情報として表示する、ことを特徴とする付記12に記載の動作判定プログラム。
(付記16)少なくとも、前記低下または前記基準を超える変動を検出した位置における前記人物の移動方向も前記マップ上に表示する、ことを特徴とする付記15に記載の動作判定プログラム。
(付記17)前記人物の頭部位置の高さ方向の低下は、前記頭部位置の高さ方向における所定量以上の低下、または、前記頭部位置の高さ方向における所定の速度を超える低下、であることを特徴とする付記12に記載の動作判定プログラム。
(付記18)前記基準を超える変動は、前記頭部位置の直近の変動速度を超える速度の変動、または、所定の変動速度を超える速度の変動である、ことを特徴とする付記12に記載の動作判定プログラム。
(付記19)前記センサは撮像センサであり、前記撮像センサが撮像した画像に基づいて、前記人物の頭部位置の高さ方向の低下または基準を超える変動を検出することを特徴とする付記12〜18のいずれか1つに記載の動作判定プログラム。
(付記20)前記センサは距離センサであり、前記距離センサが測距した距離に基づいて、前記人物の頭部位置の高さ方向の低下または基準を超える変動を検出することを特徴とする付記12〜18のいずれか1つに記載の動作判定プログラム。
(付記21)人物の動作をモニタする1または複数のセンサからの出力に基づいて、前記人物の動作が所定の動作を示した際の前記人物の位置と、前記所定の動作を示した際の前記人物の移動方向とを特定する特定部と、
前記所定の動作の発生があったことを示す情報と、特定した前記移動方向を示す情報とを、特定した前記位置に対応づけて、マップ上に表示させる表示制御部と
を有することを特徴とする情報処理装置。
(付記22)人物の動作をモニタするセンサからの出力に基づいて、前記人物の頭部位置の高さ方向の低下または基準を超える変動を検出する検出部と、
検出を行った際の前記頭部位置の変動方向が、前記人物の移動方向側であるか、前記人物の移動方向とは逆側であるかに応じて、異なる判定結果を出力する判定部と
を有することを特徴とする情報処理装置。
(付記23)前記頭部位置の変動方向が前記人物の移動方向側である場合に、前記人物について躓き動作があったこと、前記頭部位置の変動方向が前記人物の移動方向とは逆側である場合に、前記人物について滑る動作があったこと、を検出する、
ことを特徴とする付記22に記載の情報処理装置。
(付記24)前記判定結果を、前記低下または前記基準を超える変動を検出した位置に対応づけて記憶することを特徴とする付記22に記載の情報処理装置。
(付記25)前記判定結果を、前記低下または前記基準を超える変動を検出した位置に対応するマップ上に前記判定結果を示す情報として表示する、ことを特徴とする付記22に記載の情報処理装置。
(付記26)少なくとも、前記低下または前記基準を超える変動を検出した位置における前記人物の移動方向も前記マップ上に表示する、ことを特徴とする付記25に記載の情報処理装置。
(付記27)前記人物の頭部位置の高さ方向の低下は、前記頭部位置の高さ方向における所定量以上の低下、または、前記頭部位置の高さ方向における所定の速度を超える低下、であることを特徴とする付記22に記載の情報処理装置。
(付記28)前記基準を超える変動は、前記頭部位置の直近の変動速度を超える速度の変動、または、所定の変動速度を超える速度の変動である、ことを特徴とする付記22に記載の情報処理装置。
(付記29)前記センサは撮像センサであり、前記撮像センサが撮像した画像に基づいて、前記人物の頭部位置の高さ方向の低下または基準を超える変動を検出することを特徴とする付記22〜28のいずれか1つに記載の情報処理装置。
(付記30)前記センサは距離センサであり、前記距離センサが測距した距離に基づいて、前記人物の頭部位置の高さ方向の低下または基準を超える変動を検出することを特徴とする付記22〜28のいずれか1つに記載の情報処理装置。