JP6424027B2 - 形質との関連解析により開発した、豚の6形質に関連するdnaマーカーとその判別系 - Google Patents
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Description
(1)背脂肪厚、胸囲、1日平均増体量に関連する、LEPR遺伝子(第6染色体)内のSNP;
(2)筋肉内脂肪割合に関連する、FIT2遺伝子(第17染色体)内のSNP;
(3)1日平均増体量に関連する、BMP2遺伝子(第17染色体)内のSNP;
(4)体長に関連する、ゲノム上の位置未決定のSNP(MARC0092223);
(5)1日平均増体量に関連する、第8染色体上のSNP(ALGA0049421);
(6)1日平均増体量に関連する、CCBE1遺伝子(第1染色体)内のSNP;
(7)90kg検定時体重に関連する、CADM2遺伝子(第13染色体)の上流領域のSNP。
また、これら7つのSNPについて、それぞれのSNP型を簡易に判別する系を構築した。
〔1〕被験ブタ由来の生物学的試料において、ブタゲノム上の多型部位であって下記(1)〜(7)のいずれかの多型部位の塩基種を決定することを特徴とする、ブタの産肉形質を評価する方法:
(1)配列番号1に記載の塩基配列の5'側から355番目の塩基に相当する多型部位;
(2)配列番号2に記載の塩基配列の5'側から376番目の塩基に相当する多型部位;
(3)配列番号3に記載の塩基配列の5'側から139番目の塩基に相当する多型部位;
(4)配列番号4に記載の塩基配列の5'側から140番目の塩基に相当する多型部位;
(5)配列番号5に記載の塩基配列の5'側から318番目の塩基に相当する多型部位;
(6)配列番号6に記載の塩基配列の5'側から95番目の塩基に相当する多型部位;又は
(7)配列番号7に記載の塩基配列の5'側から38番目の塩基に相当する多型部位。
〔2〕前記ブタを以下のとおりに判定する、〔1〕の方法:
前記(1)の多型部位の塩基種がGである場合に背脂肪厚増加形質、胸囲増加形質、及び1日平均増体量増加形質を有すると判定する;
前記(2)の多型部位の塩基種がTである場合に筋肉内脂肪割合増加形質を有すると判定する;
前記(3)の多型部位の塩基種がTである場合に1日平均増体量増加形質を有すると判定し、Cである場合に生時体重増加形質を有すると判定する;
前記(4)の多型部位の塩基種がTである場合に体長増加形質を有すると判定する;
前記(5)の多型部位の塩基種がAである場合に1日平均増体量増加形質を有すると判定する;
前記(6)の多型部位の塩基種がAである場合に1日平均増体量増加形質を有すると判定する;又は
前記(7)の多型部位の塩基種がCである場合に90kg検定時体重増加形質を有すると判定する。
〔3〕被験ブタ由来の生物学的試料において、下記(1)〜(2)のいずれかの多型部位のアミノ酸種を決定することを特徴とする、ブタの産肉形質を評価する方法:
(1)LEPR遺伝子によってコードされるアミノ酸配列上の多型部位であって配列番号21若しくは22に記載のアミノ酸配列のN末端側から535番目のアミノ酸に相当する多型部位;又は
(2)CCBE1遺伝子によってコードされるアミノ酸配列上の多型部位であって配列番号23に記載のアミノ酸配列のN末端側から167番目のアミノ酸に相当する多型部位。
〔4〕前記ブタを以下のとおりに判定する、〔3〕の方法:
前記(1)の多型部位のアミノ酸種がグルタミン酸である場合に背脂肪厚増加形質、胸囲増加形質、及び1日平均増体量増加形質を有すると判定する;又は
前記(2)の多型部位のアミノ酸種がグルタミンである場合に1日平均増体量増加形質を有すると判定する。
〔5〕下記(A)又は(B)の物質を有効成分とする、ブタの産肉形質評価用試薬:
(A)下記(1)〜(7)のいずれかの多型部位の塩基種を決定可能な遺伝子増幅産物を与えるように、該部位を挟み込む、それぞれ下記(1)〜(7)に記載の塩基配列を基にした15塩基以上の塩基配列からなる、ブタの産肉形質評価用プライマーセット:
(1)配列番号1に記載の塩基配列の5'側から355番目の塩基に相当する多型部位;
(2)配列番号2に記載の塩基配列の5'側から376番目の塩基に相当する多型部位;
(3)配列番号3に記載の塩基配列の5'側から139番目の塩基に相当する多型部位;
(4)配列番号4に記載の塩基配列の5'側から140番目の塩基に相当する多型部位;
(5)配列番号5に記載の塩基配列の5'側から318番目の塩基に相当する多型部位;
(6)配列番号6に記載の塩基配列の5'側から95番目の塩基に相当する多型部位;若しくは
(7)配列番号7に記載の塩基配列の5'側から38番目の塩基に相当する多型部位、
(B)上記(1)〜(7)のいずれかの部位を含むDNA領域若しくはその相補的領域とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることを特徴とする15塩基以上の塩基配列からなる、ブタの産肉形質評価用プローブ。
〔6〕被験ブタ由来の生物学的試料において、ブタゲノム上のLEPR遺伝子における多型部位であって下記(1)〜(6)のいずれかの多型部位の塩基種を決定することを特徴とする、ブタの産肉形質を評価する方法:
(1)配列番号8に記載の塩基配列の5'側から30番目の塩基に相当する多型部位;
(2)配列番号9に記載の塩基配列の5'側から26番目の塩基に相当する多型部位;
(3)配列番号10に記載の塩基配列の5'側から41番目の塩基に相当する多型部位;
(4)配列番号11に記載の塩基配列の5'側から35番目の塩基に相当する多型部位;
(5)配列番号12に記載の塩基配列の5'側から59番目の塩基に相当する多型部位;又は
(6)配列番号1に記載の塩基配列の5'側から355番目の塩基に相当する多型部位。
〔7〕下記のいずれかに該当する場合に、前記ブタが背脂肪厚増加形質を有すると判定する、〔6〕の方法:
前記(1)の多型部位の塩基種がTである;
前記(2)の多型部位の塩基種がGである;
前記(3)の多型部位の塩基種がGである;
前記(4)の多型部位の塩基種がGである;
前記(5)の多型部位の塩基種がGである;又は
前記(6)の多型部位の塩基種がGである。
〔8〕被験ブタ由来の生物学的試料において、ブタゲノム上のFIT2遺伝子およびその近傍の遺伝子における多型部位であって下記(1)〜(9)のいずれかの多型部位の塩基種を決定することを特徴とする、ブタの産肉形質を評価する方法:
(1)配列番号13に記載の塩基配列の5'側から32番目の塩基に相当する多型部位;
(2)配列番号14に記載の塩基配列の5'側から56番目の塩基に相当する多型部位;
(3)配列番号15に記載の塩基配列の5'側から35番目の塩基に相当する多型部位;
(4)配列番号16に記載の塩基配列の5'側から48番目の塩基に相当する多型部位;
(5)配列番号17に記載の塩基配列の5'側から33番目の塩基に相当する多型部位;
(6)配列番号18に記載の塩基配列の5'側から53番目の塩基に相当する多型部位;
(7)配列番号2に記載の塩基配列の5'側から376番目の塩基に相当する多型部位;
(8)配列番号19に記載の塩基配列の5'側から62番目の塩基に相当する多型部位;又は
(9)配列番号20に記載の塩基配列の5'側から46番目の塩基に相当する多型部位。
〔9〕下記のいずれかに該当する場合に、前記ブタが筋肉内脂肪割合増加形質を有すると判定する、〔8〕の方法:
前記(1)の多型部位の塩基種がTである;
前記(2)の多型部位の塩基種がTである;
前記(3)の多型部位の塩基種がTである;
前記(4)の多型部位の塩基種がCである;
前記(5)の多型部位の塩基種がCである;
前記(6)の多型部位の塩基種がCである;
前記(7)の多型部位の塩基種がTである;
前記(8)の多型部位の塩基種がCである;又は
前記(9)の多型部位の塩基種がGである。
本発明は、ブタの産肉形質を評価する方法(以下、単に「本発明の方法」と記載する場合あり)を提供する。本発明の方法の好ましい態様としては、ブタゲノム上の特定の多型部位(以下、単に「本発明の多型部位」と記載する場合あり)を含む領域の塩基配列を解析し、得られる解析結果とブタの産肉形質との関係を評価することを特徴とする方法である。本発明におけるブタゲノム上の「多型」は、ブタゲノム配列における1又は複数の塩基の置換、欠失、挿入、及び/又は付加であってもよく、同義多型(アミノ酸配列に変化のない多型)であっても非同義多型であってもよい。
(1)配列番号1に記載の塩基配列の5'側から355番目の塩基に相当する多型部位(LEPR遺伝子内のSNP);
(2)配列番号2に記載の塩基配列の5'側から376番目の塩基に相当する多型部位(FIT2遺伝子内のSNP);
(3)配列番号3に記載の塩基配列の5'側から139番目の塩基に相当する多型部位(BMP2遺伝子内のSNP);
(4)配列番号4に記載の塩基配列の5'側から140番目の塩基に相当する多型部位(SNP_ID:MARC0092223);
(5)配列番号5に記載の塩基配列の5'側から318番目の塩基に相当する多型部位(SNP_ID;ALGA0049421);
(6)配列番号6に記載の塩基配列の5'側から95番目の塩基に相当する多型部位(CCBE1遺伝子内のSNP);又は
(7)配列番号7に記載の塩基配列の5'側から38番目の塩基に相当する多型部位(CADM2遺伝子の5'フランキング領域内のSNP)。
前記(1)の多型部位の塩基種がAと比べてGである場合に背脂肪厚増加形質、胸囲増加形質、及び1日平均増体量増加形質を有すると判定する;
前記(2)の多型部位の塩基種がCと比べてTである場合に筋肉内脂肪割合増加形質を有すると判定する;
前記(3)の多型部位の塩基種がCと比べてTである場合に1日平均増体量増加形質を有すると判定し、Tと比べてCである場合に生時体重増加形質を有すると判定する;
前記(4)の多型部位の塩基種がGと比べてTである場合に体長増加形質を有すると判定する;
前記(5)の多型部位の塩基種がGと比べてAである場合に1日平均増体量増加形質を有すると判定する;
前記(6)の多型部位の塩基種がGと比べてAである場合に1日平均増体量増加形質を有すると判定する;又は
前記(7)の多型部位の塩基種がAと比べてCである場合に90kg検定時体重増加形質を有すると判定する。
なお、本明細書において、例えば「前記(1)の多型部位の塩基種」すなわち「配列番号1に記載の塩基配列の5'側から355番目の塩基に相当する多型部位の塩基種」は、「配列番号1に記載の塩基配列の355位の塩基種」と表現することもできる。
前記(1)の多型部位の場合に制限酵素AcuIを用いるPCR-RFLP法;
前記(2)の多型部位の場合に制限酵素BssSIを用いるPCR-RFLP法;
前記(3)の多型部位の場合に制限酵素Tsp45Iを用いるPCR-RFLP法;
前記(4)の多型部位の場合に制限酵素XspI又はMaeIを用いるPCR-RFLP法;
前記(5)の多型部位の場合に制限酵素HhaIを用いるPCR-RFLP法;
前記(6)の多型部位の場合に制限酵素BstNIを用いるPCR-RFLP法;
前記(7)の多型部位の場合にPCR-SSP法。
(1)配列番号8に記載の塩基配列の5'側から30番目の塩基に相当する多型部位(g.37323T>C);
(2)配列番号9に記載の塩基配列の5'側から26番目の塩基に相当する多型部位(g.49389G>A);
(3)配列番号10に記載の塩基配列の5'側から41番目の塩基に相当する多型部位(g.49404G>A);
(4)配列番号11に記載の塩基配列の5'側から35番目の塩基に相当する多型部位(g.49450G>A);
(5)配列番号12に記載の塩基配列の5'側から59番目の塩基に相当する多型部位(g.49527G>A);及び
(6)配列番号1に記載の塩基配列の5'側から355番目の塩基に相当する多型部位(g.64507A>G)。
前記(1)の多型部位の塩基種がCと比べてTである;
前記(2)の多型部位の塩基種がAと比べてGである;
前記(3)の多型部位の塩基種がAと比べてGである;
前記(4)の多型部位の塩基種がAと比べてGである;
前記(5)の多型部位の塩基種がAと比べてGである;又は
前記(6)の多型部位の塩基種がAと比べてGである。
(1)配列番号13に記載の塩基配列の5'側から32番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52182199C>T);
(2)配列番号14に記載の塩基配列の5'側から56番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52191131_52191132insT);
(3)配列番号15に記載の塩基配列の5'側から35番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52191232T>C);
(4)配列番号16に記載の塩基配列の5'側から48番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52191304T>C);
(5)配列番号17に記載の塩基配列の5'側から33番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52191435T>C);
(6)配列番号18に記載の塩基配列の5'側から53番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52191455T>C);
(7)配列番号2に記載の塩基配列の5'側から376番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52191487C>T);
(8)配列番号19に記載の塩基配列の5'側から62番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52194895T>C);及び
(9)配列番号20に記載の塩基配列の5'側から46番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52215637A>G)。
前記(1)の多型部位の塩基種がCと比べてTである;
前記(2)の多型部位に塩基種Tが挿入されている(挿入欠失多型);
前記(3)の多型部位の塩基種がCと比べてTである;
前記(4)の多型部位の塩基種がTと比べてCである;
前記(5)の多型部位の塩基種がTと比べてCである;
前記(6)の多型部位の塩基種がTと比べてCである;
前記(7)の多型部位の塩基種がCと比べてTである;
前記(8)の多型部位の塩基種がTと比べてCである;又は
前記(9)の多型部位の塩基種がAと比べてGである。
(1)LEPR遺伝子によってコードされるアミノ酸配列上の多型部位であって配列番号21若しくは22に記載のアミノ酸配列のN末端側から535番目のアミノ酸に相当する多型部位;又は
(2)CCBE1遺伝子によってコードされるアミノ酸配列上の多型部位であって配列番号23に記載のアミノ酸配列のN末端側から167番目のアミノ酸に相当する多型部位。
前記(1)の多型部位のアミノ酸種がバリンである場合と比べてグルタミン酸である場合に背脂肪厚増加形質、胸囲増加形質、及び1日平均増体量増加形質を有すると判定する;又は
前記(2)の多型部位のアミノ酸種がアルギニンである場合と比べてグルタミンである場合に1日平均増体量増加形質を有すると判定する。
なお、前記(1)の多型部位のアミノ酸種がグルタミン酸である場合には、該多型部位およびそれよりC末端側の35アミノ酸からなる部位のアミノ酸配列はEKFSSETAASIQCESRNYCKNWITENILGEASLPRE(配列番号24)である。
さらに、本発明は、ブタゲノム上の1若しくは複数の多型を指標とする、ブタの産肉形質を評価するための検査薬(産肉形質評価用試薬)を提供する。本発明のそのような試薬は、好ましくは、本発明のブタの産肉形質評価方法において使用するための検査薬である。一態様において、本発明のそのような試薬は、下記(A)又は(B)の物質を有効成分とする:
(A)下記(1)〜(7)のいずれかの多型部位の塩基種を決定可能な遺伝子増幅産物を与えるように、該部位を挟み込む、それぞれ下記(1)〜(7)に記載の塩基配列を基にした15塩基以上の塩基配列からなる、ブタの産肉形質評価用プライマーセット:
(1)配列番号1に記載の塩基配列の5'側から355番目の塩基に相当する多型部位(LEPR遺伝子内のSNP);
(2)配列番号2に記載の塩基配列の5'側から376番目の塩基に相当する多型部位(FIT2遺伝子内のSNP);
(3)配列番号3に記載の塩基配列の5'側から139番目の塩基に相当する多型部位(BMP2遺伝子内のSNP);
(4)配列番号4に記載の塩基配列の5'側から140番目の塩基に相当する多型部位(SNP_ID:MARC0092223);
(5)配列番号5に記載の塩基配列の5'側から318番目の塩基に相当する多型部位(SNP_ID:ALGA0049421);
(6)配列番号6に記載の塩基配列の5'側から95番目の塩基に相当する多型部位(CCBE1遺伝子内のSNP);若しくは
(7)配列番号7に記載の塩基配列の5'側から38番目の塩基に相当する多型部位(CADM2遺伝子の5'フランキング領域内のSNP)、
(B)上記(1)〜(7)のいずれかの部位を含むDNA領域若しくはその相補的領域とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることを特徴とする15塩基以上の塩基配列からなる、ブタの産肉形質評価用プローブ。
(A)下記(1)〜(6)のいずれかの多型部位の塩基種を決定可能な遺伝子増幅産物を与えるように、該部位を挟み込む、それぞれ下記(1)〜(6)に記載の塩基配列を基にした15塩基以上の塩基配列からなる、ブタの産肉形質評価用プライマーセット:
(1)配列番号8に記載の塩基配列の5'側から30番目の塩基に相当する多型部位(g.37323T>C);
(2)配列番号9に記載の塩基配列の5'側から26番目の塩基に相当する多型部位(g.49389G>A);
(3)配列番号10に記載の塩基配列の5'側から41番目の塩基に相当する多型部位(g.49404G>A);
(4)配列番号11に記載の塩基配列の5'側から35番目の塩基に相当する多型部位(g.49450G>A);
(5)配列番号12に記載の塩基配列の5'側から59番目の塩基に相当する多型部位(g.49527G>A);若しくは
(6)配列番号1に記載の塩基配列の5'側から355番目の塩基に相当する多型部位(g.64507A>G)、
(B)上記(1)〜(6)のいずれかの部位を含むDNA領域若しくはその相補的領域とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることを特徴とする15塩基以上の塩基配列からなる、ブタの産肉形質評価用プローブ。
(A)下記(1)〜(9)のいずれかの多型部位の塩基種を決定可能な遺伝子増幅産物を与えるように、該部位を挟み込む、それぞれ下記(1)〜(9)に記載の塩基配列を基にした15塩基以上の塩基配列からなる、ブタの産肉形質評価用プライマーセット:
(1)配列番号13に記載の塩基配列の5'側から32番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52182199C>T);
(2)配列番号14に記載の塩基配列の5'側から56番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52191131_52191132insT);
(3)配列番号15に記載の塩基配列の5'側から35番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52191232T>C);
(4)配列番号16に記載の塩基配列の5'側から48番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52191304T>C);
(5)配列番号17に記載の塩基配列の5'側から33番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52191435T>C);
(6)配列番号18に記載の塩基配列の5'側から53番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52191455T>C);
(7)配列番号2に記載の塩基配列の5'側から376番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52191487C>T);
(8)配列番号19に記載の塩基配列の5'側から62番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52194895T>C);若しくは
(9)配列番号20に記載の塩基配列の5'側から46番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52215637A>G)、
(B)上記(1)〜(9)のいずれかの部位を含むDNA領域若しくはその相補的領域とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることを特徴とする15塩基以上の塩基配列からなる、ブタの産肉形質評価用プローブ。
(1−1)LEPR遺伝子によってコードされるアミノ酸配列上の多型部位であって配列番号21に記載のアミノ酸配列のN末端側から535番目のアミノ酸に相当する多型部位(アミノ酸種がグルタミン酸)を含む領域に特異的に結合する抗原結合ポリペプチド;若しくは
(1−2)LEPR遺伝子によってコードされるアミノ酸配列上の多型部位であって配列番号22に記載のアミノ酸配列のN末端側から535番目のアミノ酸に相当する多型部位(アミノ酸種がバリン)を含む領域に特異的に結合する抗原結合ポリペプチド;又は
(2−1)CCBE1遺伝子によってコードされるアミノ酸配列上の多型部位であって配列番号23に記載のアミノ酸配列のN末端側から167番目のアミノ酸に相当する多型部位を含む領域に特異的に結合する抗原結合ポリペプチド、ただし、該多型部位のアミノ酸種がグルタミンであることを条件とする;若しくは
(2−2)CCBE1遺伝子によってコードされるアミノ酸配列上の多型部位であって配列番号23に記載のアミノ酸配列のN末端側から167番目のアミノ酸に相当する多型部位を含む領域に特異的に結合する抗原結合ポリペプチド、ただし、該多型部位のアミノ酸種がアルギニンであることを条件とする。
本発明において、抗原結合ポリペプチドは必要に応じて標識されていてもよく、抗原結合ポリペプチドは好ましくは抗体である。
また、遺伝子内における産肉形質と関連のあるSNPとして、LEPR c.1604-14A>G (背脂肪厚、胸囲、1日平均増体量と関連、Sscrofa10.2における、マッピングされていないChrUScaf4201ゲノム配列における位置g.64507A>G)、FIT2 c.*91A>G(筋肉内脂肪割合と関連、17: g.52,191,487C>T)、CCBE1 c.500A>G(1日平均増体量と関連、1:g.179102350A>G)、CADM2遺伝子の5'フランキング領域におけるSNP(90kg検定時体重と関連、13:g.180931565A>Cと13:g.180951183A>Cの2箇所にマッピング)、及びBMP2 c.770T>C (1日平均増体量(離乳時〜出荷時)と関連、17:g.17062535T>Cとg.17412295C>Tの2箇所にマッピング)を新規に見出した。産肉形質との関連を新規に見出した遺伝子内SNPの存在するこれらの遺伝子について、以下に説明する。
レプチン受容体(Leptin receptor、別名OB-R;OBは肥満遺伝子という意味)は、クラスIサイトカイン受容体スーパーファミリーに属する膜1回貫通型の受容体であり、ヒトでは6種類のアイソフォームが知られているが、視床下部に発現する細胞内部分が最も長い分子種(OB-Rb)に、脂肪組織で合成・分泌されたレプチン(LEP)が結合して食欲を抑制し、エネルギー代謝を促進する。なお、レプチンは1994年にマウスでobese gene(肥満遺伝子)としてクローニングされた(文献LEPR-1)。また、レプチン受容体は、レプチンに強い親和性のある分子として同定された(文献LEPR-2)。
LEPRは摂食やエネルギー代謝に強く関係する遺伝子であるため、ブタにおいても研究がなされ、多くの論文が出ている。ブタ第6染色体へのマッピングは1997年に発表され(文献LEPR-3,4)、背脂肪厚との関連も複数の文献で報告されている(文献LEPR-5,6,7,8,9,10、他)。しかし、本研究で同定した、イントロン内のアクセプターサイト獲得によりスプライスバリアント(配列番号22のアミノ酸配列に対して配列番号21のアミノ酸配列)が生じるSNP(LEPR c.1604-14A>G)と背脂肪厚、胸囲、1日平均増体量との関係は報告されていない。当該多型部位の塩基種がAである場合、配列番号22に記載のアミノ酸配列をコードするcDNA配列(アクセッション番号NM_001024587としてGenBankに登録されている)が転写産物となり、当該多型部位の塩基種がGである場合、イントロン内でアクセプターサイトが獲得される結果としてフレームシフトが起こり、配列番号21に記載のアミノ酸配列をコードするcDNA配列が転写産物となる。
[LEPR-1] Zhang, Y., Proenca, R., Maffei, M., Barone, M., Leopold, L., Friedman, J. M. Positional cloning of the mouse obese gene and its human homologue. Nature 372: 425-432, 1994.
[LEPR-2] Tartaglia, L. A., Dembski, M., Weng, X., Deng, N., Culpepper, J., Devos, R., Richards, G. J., Campfield, L. A., Clark, F. T., Deeds, J., Muir, C., Sanker, S., Moriarty, A., Moore, K. J., Smutko, J. S., Mays, G. G., Woolf, E. A., Monroe, C. A., Tepper, R. I. Identification and expression cloning of a leptin receptor, OB-R. Cell 83: 1263-1271, 1995.
[LEPR-3] Ernst CW, Kapke PA, Yerle M, Rothschild MF. The leptin receptor gene (LEPR) maps to porcine chromosome 6. Mamm Genome 8(3):226, 1997.
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[LEPR-5] OVilo C, Oliver A, Noguera JL, Clop A, Barragan C, Varona L, Rodriguez C, Toro M, Sanchez A, Perez-Enciso M, Silio L. Test for positional candidate genes for body composition on pig chromosome 6. Genet Sel Evol. 34(4):465-79. 2002.
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[LEPR-7] Mackowski M, Szymoniak K, Szydlowski M, Kamyczek M, Eckert R, Rozycki M, Switonski M. Missense mutations in exon 4 of the porcine LEPR gene encoding extracellular domain and their association with fatness traits. Anim Genet. 36(2):135-7. 2005.
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FIT1とFIT2は、Kadereitらによって2008年にクローニングされた(文献FIT2-1)。ウェスタンブロットで各組織での広範囲な発現が確認されるが、特に白色と褐色脂肪細胞に高いレベルの発現が確認された。また、HEK293細胞やマウス肝臓細胞で発現させた場合、脂肪滴が蓄積され、マウス脂肪細胞でshRNAを用いたFIT2のサイレンシングを行うと、脂肪滴の蓄積が阻害された。Grossらは、糖鎖マッピングにより小胞体での膜貫通構造を解析し、生物種間でよく保存されている疎水性領域の3アミノ酸を変化させる変異(FLL(157-9)AAA)をHEK293細胞へ導入することで、細胞内の脂肪滴が大きくなり数が減ることを明らかにした(文献FIT2-2)。更に、別の文献(文献FIT2-3)でGrossらは、バキュロウィルスで合成したFIT2とトリチウムラベルのトリオレイン(オレイン酸によるトリアシルグリセロール)との強い親和性を検出した。また、HEK293細胞でFIT1、FIT2およびFIT2変異体(FLL(157-9)AAA)を発現させた場合、FIT2およびFIT2変異体での脂肪滴の巨大化を観察するとともに、FIT1に比べFIT2およびFIT2変異体(FLL(157-9)AAA)の方がトリアシルグリセロール、ジアシルグリセロールに対してaffinityが強いことを示した。
現在、ブタではFIT2と筋肉内脂肪割合との関連は報告されていない。
[FIT2-1] Kadereit, B., Kumar, P., Wang, W.-J., Miranda, D., Snapp, E. L., Severina, N., Torregroza, I., Evans, T., Silver, D. L. Evolutionarily conserved gene family important for fat storage. Proc. Nat. Acad. Sci. 105: 94-99, 2008.
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[FIT2-3] Direct binding of triglyceride to fat storage-inducing transmembrane proteins 1 and 2 is important for lipid droplet formation.Gross DA, Zhan C, Silver DL. Proc Natl Acad Sci U S A. 108(49):19581-6, 2011.
CCBE1は、ヘネカム型リンパ管拡張リンパ浮腫(水腫)症候群の原因遺伝子としてヒトでマッピングされた(文献CCBE1-1)。Bosらは、Ccbe1ノックアウトマウスを作製し、E14.5のCcbe1-/-マウスにおいて浮腫があり、リンパ管が形成されないことを確認した。また、インビトロ実験により、リンパ管内皮細胞に血管内皮細胞増殖因子と短い(truncated)CCBE1(コラーゲンリピートドメインを欠いたCCBE1)を加えることで、脈管形成の劇的な亢進を示した(文献CCBE1-2)。Boltonらは、デブスナネズミ(Psammomys obesus)を、NGT(痩せた通常のグルコース耐性)、IGT(体重の重い、グルコース耐性の減少)、T2D(肥満で2型糖尿病) の3グループに分け、各グループを生後18週目で通常食(fed)と24時間の絶食状態(fasted)の群に分けた。それらの群について、赤色腓腹筋における分泌タンパク質のマイクロアレイによる解析後、発現比較のためリアルタイムPCR法により、4遺伝子を解析した。その結果、T2Dの絶食群において、通常群と比べCcbe1発現量が有意に増加し、体重(body weight)と血漿インスリン濃度との有意な相関を検出した。
本発明において、ALGA0006655(SSC1; g.179002367T>C,1日平均増体量p=1.125E-4)近傍の遺伝子としてCCBE1の配列を決定し、遺伝子内に開発したSNPを用いて再度関連解析を行った。
現在、ブタではCCBE1と1日平均増体量との関連は報告されていない。本発明において新規に見出したCCBE1遺伝子内のSNP(g.179102350A>G、CCBE1 c.500A>G)は非同義多型であり、当該SNPの塩基種がAである場合に、当該SNPを含むコドンによりコードされるアミノ酸種はグルタミンであり、当該SNPの塩基種がGである場合に、当該SNPを含むコドンによりコードされるアミノ酸種はアルギニンである。
[CCBE1-1] Alders, M., Hogan, B. M., Gjini, E., Salehi, F., Al-Gazali, L., Hennekam, E. A., Holmberg, E. E., Mannens, M. M. A. M., Mulder, M. F., Offerhaus, G. J. A., Prescott, T. E., Schroor, E. J., Verheij, J. B. G. M., Witte, M., Zwijnenburg, P. J., Vikkula, M., Schulte-Merker, S., Hennekam, R. C. Mutations in CCBE1 cause generalized lymph vessel dysplasia in humans. Nature Genet. 41: 1272-1274, 2009.
[CCBE1-2] Bos FL, Caunt M, Peterson-Maduro J, Planas-Paz L, Kowalski J, Karpanen T, van Impel A, Tong R, Ernst JA, Korving J, van Es JH, Lammert E, Duckers HJ, Schulte-Merker S. CCBE1 is essential for mammalian lymphatic vascular development and enhances the lymphangiogenic effect of vascular endothelial growth factor-C in vivo. Circ Res. 109(5):486-91, 2011.
[CCBE1-3] Bolton K, Segal D, McMillan J, Sanigorski A, Collier G, Walder K. Identification of secreted proteins associated with obesity and type 2 diabetes in Psammomys obesus. Int J Obes (Lond). 33(10):1153-65, 2009.
Biedererは、SynCAM 1 (synaptic cell adhesion molecule 1, alternatively named Tslc1 and nectin-like protein 3)に類似した配列として、CADM2をデータベース上から検索した。CADM2は、V-set,C1-set,I-setの3個の免疫グロブリン様ループ、膜貫通ドメイン、4.1タンパク質と結合する細胞内C端のモチーフとタイプII PDZ結合モチーフが存在する(文献CADM2-1)。
ヒトBMI(ボディマス指数)のゲノムワイド関連解析から、成人(older adults)に比べて思春期(adolescence)と青年期(younger adulthood)におけるBMIとの強い関連が指摘されている(文献CADM2-2)。また、Dorajooらによる3つのエスニックグループの解析により、BMIとの関連が検出されている(文献CADM2-3)。
現在、ブタではCADM2と90kg検定時体重との関連は報告されていない。
[CADM2-1] Biederer, T. Bioinformatic characterization of the SynCAM family of immunoglobulin-like domain-containing adhesion molecules. Genomics 87: 139-150, 2006.
[CADM2-2] Graff M, Ngwa JS, Workalemahu T, Homuth G, Schipf S, Teumer A, Volzke H, Wallaschofski H, Abecasis GR, Edward L, Francesco C, Sanna S, Scheet P, Schlessinger D, Sidore C, Xiao X, Wang Z, Chanock SJ, Jacobs KB, Hayes RB, Hu F, Van Dam RM; GIANT Consortium, Crout RJ, Marazita ML, Shaffer JR, Atwood LD, Fox CS, Heard-Costa NL, White C, Choh AC, Czerwinski SA, Demerath EW, Dyer TD, Towne B, Amin N, Oostra BA, Van Duijn CM, Zillikens MC, Esko T, Nelis M, Nikopensius T, Metspalu A, Strachan DP, Monda K, Qi L, North KE, Cupples LA, Gordon-Larsen P, Berndt SI.Genome-wide analysis of BMI in adolescents and young adults reveals additional insight into the effects of genetic loci over the life course.Hum Mol Genet. 2013 Sep 1;22(17):3597-607.
[CADM2-3] Dorajoo R, Blakemore AI, Sim X, Ong RT, Ng DP, Seielstad M, Wong TY, Saw SM, Froguel P, Liu J, Tai ES. Replication of 13 obesity loci among Singaporean Chinese, Malay and Asian-Indian populations. Int J Obes (Lond). 36(1):159-63, 2012.
BMP(bone morphogenetic protein)は、牛骨の脱灰骨基質(脱灰後の不溶性物質)をラットやウサギの皮下や筋肉中に埋入することによって、異所性の骨形成を誘導する因子が存在することで報告された(Uristら、文献BMP2-1)。BMP2は、Wozneyらにより(文献BMP2-2)1988年にクローニングされ、TGF-β (transforming growth factor-β) スーパーファミリーに属することが明らかとなった。また、BMPは骨形成誘導以外に、個体発生中の器官形成、組織への分化、背腹のパターン形成等、多岐に関与することが明らかとなっている(ZakinとDe Robertisによるreview:文献BMP2-3)。
ブタでは、ゲノムワイド関連解析から、MARC0070553、INRA0052808 近傍の遺伝子としてBMP2が挙げられており、ロース芯面積、ボディサイズ、他いくつかの脚形質(foot and leg)との関連が指摘されている(文献BMP2-4)。
[BMP2-1] Urist MR. Bone: formation by autoinduction.Science. 150(3698):893-9, 1965.
[BMP2-2] Wozney JM, Rosen V, Celeste AJ, Mitsock LM, Whitters MJ, Kriz RW, Hewick RM, Wang EA. Novel regulators of bone formation: molecular clones and activities. Science. 242(4885):1528-34, 1988.
[BMP2-3] Zakin L, De Robertis EM. Extracellular regulation of BMP signaling. Curr Biol. 20(3):R89-92, 2010.
[BMP2-4] Fan B, Onteru SK, Du ZQ, Garrick DJ, Stalder KJ, Rothschild MF. Genome-wide association study identifies Loci for body composition and structural soundness traits in pigs. PLoS One. 2011 Feb 24;6(2):e14726.
イルミナ社より市販されているブタ60K SNPアレイ(PorcineSNP60 BeadChip)を用いて、これまでの解析手法では検出困難であった比較的効果の小さい量的形質遺伝子座を含めて、産肉形質と関連するゲノム領域の網羅的な検出を試みた。まず、JA全農飼料畜産中央研究所上士幌種豚育種研究室において系統造成されたデュロック種(全農デュロック系造成豚)のG0世代を除く3,450頭のDNAを抽出した。そのうち1,059頭をSNPアレイでのジェノタイピングに用いた。フィルタリングの結果、43,631個のSNPによる1,030個体を用いた関連解析を行った。世代別の頭数は、G1:65頭、G2:256頭、G3:336頭、G4:147頭、G5:169頭、G6以降維持豚:57頭である。なお、30日齢体重では963個体、筋肉内脂肪割合では767個体を解析に用いた。
i. GWASで形質との関連が検出されたゲノム領域内に存在する遺伝子内多型の検索
全農デュロック系造成豚の651頭のGWAS解析を終えた段階で、産肉形質と関連のある複数のSNPが検出されたゲノム領域について、その領域内にある遺伝子について多型検出(再解析)を行った。
その結果、背脂肪厚との関連についてゲノムワイド有意水準5%で有意となったSNPが、Sscrofa10.2では第6染色体の135.117Mb(SNP_ID: ALGA0037123)から136.192Mb(SNP_ID: ALGA0006225)の約1.08Mbの範囲にあった。この領域には、NCBIのMap Viewer (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/projects/mapview/)のSscrofa10.2において、仮想タンパク質を除き9つの遺伝子がマッピングされていた。
筋肉内脂肪割合(IMF)との関連については、形質との弱い関連(p値<0.0001以下)のある第17染色体の領域には、NCBIのMap ViewerのSscrofa10.2において7個の遺伝子がマッピングされていた。
第17染色体(SSC17)における筋肉内脂肪割合と弱い関連のある領域では、hypothetical protein (LOC)を含めて7つの遺伝子配列を決定し、5'フランキング領域の計5,070bpから36箇所の多型を検出した。また、RT-PCR産物では、計5,884bpから41箇所の多型を検出した。
このクラスターに含まれる複数のSNPのうち、LEPR c.1604-14A>G(ChrUScaf4201, g.64507A>G)は、該SNPの塩基種がGの場合のみ制限酵素AcuIで認識されるため、PCR-RFLP法による判別系を構築可能であった。また、該SNPは複数の産肉形質と関連があり、GEMMA法による768個体の全農デュロック造成豚の解析では、背脂肪厚に関してp値=7.61E-13、胸囲に関してp値=2.17E-07、1日平均増体量に関してp値=5.57E-05であった。該SNPの全農768個体でのアリル頻度はG:A=0.561:0.439であり、G対立遺伝子を有する場合に背脂肪厚が厚く、胸囲が大きく、且つ1日平均増体量が大きかった。
このクラスターに含まれる複数のSNPのうち、FIT2 c.*91G>A(Sscrofa build 10.2 assembly上での表記は17:g.52191487C>T)は、該SNPの塩基種がTの場合のみ制限酵素BssSIで認識されるため、PCR-RFLP法による判別系を構築可能であった。また、該SNPと筋肉内脂肪割合との関連性は、GEMMA法による580個体(ジェノタイピングした768個体の内、筋肉内脂肪割合の形質値のある個体数は580)の全農デュロック造成豚の解析ではp値=3.50E-05であった。該SNPの全農580個体でのアリル頻度はT:C=0.628:0.372であり、T対立遺伝子を有する場合に筋肉内脂肪割合が大きかった。
(1)配列番号8に記載の塩基配列の5'側から30番目の塩基に相当する多型部位(g.37323T>C)の塩基種がTである;
(2)配列番号9に記載の塩基配列の5'側から26番目の塩基に相当する多型部位(g.49389G>A)の塩基種がGである;
(3)配列番号10に記載の塩基配列の5'側から41番目の塩基に相当する多型部位(g.49404G>A)の塩基種がGである;
(4)配列番号11に記載の塩基配列の5'側から35番目の塩基に相当する多型部位(g.49450G>A)の塩基種がGである;
(5)配列番号12に記載の塩基配列の5'側から59番目の塩基に相当する多型部位(g.49527G>A)の塩基種がGである;又は
(6)配列番号1に記載の塩基配列の5'側から355番目の塩基に相当する多型部位(g.64507A>G)の塩基種がGである。
(1)配列番号13に記載の塩基配列の5'側から32番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52182199C>T)の塩基種がTである;
(2)配列番号14に記載の塩基配列の5'側から56番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52191131_52191132insT:塩基種Tの挿入欠失(indel)多型)の塩基種がTである;
(3)配列番号15に記載の塩基配列の5'側から35番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52191232T>C)の塩基種がTである;
(4)配列番号16に記載の塩基配列の5'側から48番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52191304T>C)の塩基種がCである;
(5)配列番号17に記載の塩基配列の5'側から33番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52191435T>C)の塩基種がCである;
(6)配列番号18に記載の塩基配列の5'側から53番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52191455T>C)の塩基種がCである;
(7)配列番号2に記載の塩基配列の5'側から376番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52191487C>T)の塩基種がTである;
(8)配列番号19に記載の塩基配列の5'側から62番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52194895T>C)の塩基種がCである;又は
(9)配列番号20に記載の塩基配列の5'側から46番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52215637A>G)の塩基種がGである。
これまでに筋肉量の増加や成長との関連が報告されている遺伝子、ヒトのGWASの結果から肥満指数(BMI)との関連が示唆された遺伝子、更に、60Kアレイによる本研究のGWASの結果から成長関連形質等に弱い関連(概ねp値<0.0005)が検出されたSNPの近傍にある遺伝子について、発現遺伝子および発現遺伝子の5'フランキング領域の多型を検索後、768個体の全農デュロック系造成豚のジェノタイピングを行い、線形混合モデル(GEMMA)で解析した。全農デュロック系造成豚8頭および日本国内の系統豚2頭、米国デュロック系豚2頭の計12頭を用いたゲノムDNAのPCR、およびcDNAのPCR増幅により、計55遺伝子から約61.2kbpを決定し、配列のアラインメントによりSNPを検出した。計41個のSNPについて、60K SNPアレイのデータを取得している768個体の全農デュロック系造成豚のジェノタイピングを行い、GEMMAにて尤度比検定を行った。その結果、ボンフェローニ補正後のp値(有意水準0.05として、0.05/41=0.0012)で、1日平均増体量との関連で有意となったSNP(CCBE1遺伝子、第1染色体, Sscrofa10.2, 1:g.179102350A>G; CCBE1 c.500A>G、p値=8.53E-4)、および90kg検定時体重との関連で有意となったSNP(CADM2遺伝子の5'フランキング領域、第13染色体, Sscrofa10.2, 13:g.180931565A>Cと13:g.180951183A>Cの2箇所にマッピング、p値=5.90E-4)が検出された。全農768個体において、前者のSNPについては、アリル頻度がA:G=0.63:0.37であり、A対立遺伝子を有する場合に1日平均増体量が大きく、後者のSNPについては、アリル頻度がC:A=0.181:0.819であり、C対立遺伝子を有する場合に90kg検定時体重が大きかった。
全農デュロック系豚を止雄とした枝肉サンプルを用い、14形質についてベイズB法により関連解析を行った。その結果、背腰長Iで効果の検出されたSNP:ALGA0105626(第17染色体, Sscrofa10.2, 17:g.18894036G>A, マーカー効果として8.59mm影響)と背腰長IIで効果の検出されたSNP:ALGA0093437(第17染色体, Sscrofa10.2, 17:g.16767555A>G、マーカー効果として1.31mm影響)の近傍にはBMP2(bone morphogenesis protein 2)遺伝子が存在した。そこで、BMP2遺伝子のコード領域を含む1,291bpをRT-PCRにより増幅し、2箇所のSNPを検出した。これらのSNPのうちBMP2 c.770T>C(Sscrofa10.2上では17:g.17,062,535T>Cとg.17412295C>Tの2箇所にマッピング)は、塩基種の違いを制限酵素Tsp45Iによる認識の有無で判別可能であった。このSNPマーカーを用いて枝肉サンプルをGEMMA法で解析した場合、離乳時から出荷日にかけての1日平均増体量についてp値=4.47E-04、全農デュロック造成豚768頭のGEMMA法での解析で、生時体重についてp値=3.30E-02と算出された。しかし、枝肉サンプルのGEMMA法での解析では、背腰長で有意差は検出されなかった。このSNPの全農768個体でのアリル頻度はC:T=0.766:0.234であり、T対立遺伝子を有する場合に1日平均増体量が大きく、C対立遺伝子を有する場合に生時体重が大きかった。
実施例1および2において産肉形質との関連が同定された7つの多型について、PCR-RFLP法またはPCR-SSP法で簡便にSNP型を判別する系を構築した。具体的には、まず実施例1または2で得た被験ブタ由来のDNA試料のうち、各多型につきジェノタイピングによってSNP型が異なると判明した各3検体ずつ計9検体を用い、表6に記載のプライマーセットを用いるPCR反応により、多型部位を含むDNA領域を増幅した。PCR反応は以下の条件をベースとして、表6に記載のアニーリング温度およびサイクル数nにて行った。
FIT2 c.*91G>A(Sscrofa10.2, 17:g.52191487C>T)については、当該SNPを含む配列が、該SNPの塩基種がT(ゲノムのフォワード配列の場合)またはA(FIT2 mRNAの場合)の場合のみ制限酵素BssSIで認識されることを利用するPCR-RFLP法による判別系とした。
BMP2 c.770T>C(Sscrofa10.2, 17:g.17,062,535T>Cとg.17412295C>Tの2箇所にマッピング)については、当該SNPを含む配列が、該SNPの塩基種がCの場合のみ制限酵素Tsp45Iで認識されることを利用するPCR-RFLP法による判別系とした。
SNP_ID:MARC0092223については、当該SNPを含む配列が、該SNPの塩基種がTの場合のみ制限酵素XspI及びMaeIで認識されることを利用するPCR-RFLP法による判別系とした。
SNP_ID:ALGA0049421については、当該SNPを含む配列が、該SNPの塩基種がGの場合のみ制限酵素HhaIで認識されることを利用するPCR-RFLP法による判別系とした。
CCBE1 c.500A>G(Sscrofa10.2, 1:g.179102350A>G)については、当該SNPを含む配列が、該SNPの塩基種がAの場合のみ制限酵素BstNIで認識されるため、PCR-RFLP法による判別系とした。
CADM2遺伝子の5'フランキング領域に存在するSNP(Sscrofa10.2, 13:g.180931565A>Cと13:g.180951183A>Cの2箇所にマッピング)については、当該SNPを含む配列が制限酵素で認識されないため、PCR-SSP法による判別系とした。
Claims (3)
- 被験ブタ由来の生物学的試料において、ブタゲノム上の多型部位であって下記(1)〜(6)のいずれかの多型部位の塩基種を決定することを特徴とする、ブタの産肉形質を評価する方法:
(1)配列番号1に記載の塩基配列の5'側から355番目の塩基に相当する多型部位;
(2)配列番号2に記載の塩基配列の5'側から376番目の塩基に相当する多型部位;
(3)配列番号3に記載の塩基配列の5'側から139番目の塩基に相当する多型部位;
(4)配列番号4に記載の塩基配列の5'側から140番目の塩基に相当する多型部位;
(5)配列番号5に記載の塩基配列の5'側から318番目の塩基に相当する多型部位;又は
(6)配列番号6に記載の塩基配列の5'側から95番目の塩基に相当する多型部位;
ここで、
前記(1)の多型部位の塩基種がGである場合に背脂肪厚増加形質、胸囲増加形質、及び1日平均増体量増加形質を有すると判定する;
前記(2)の多型部位の塩基種がTである場合に筋肉内脂肪割合増加形質を有すると判定する;
前記(3)の多型部位の塩基種がTである場合に1日平均増体量増加形質を有すると判定し、Cである場合に生時体重増加形質を有すると判定する;
前記(4)の多型部位の塩基種がTである場合に体長増加形質を有すると判定する;
前記(5)の多型部位の塩基種がAである場合に1日平均増体量増加形質を有すると判定する;又は
前記(6)の多型部位の塩基種がAである場合に1日平均増体量増加形質を有すると判定する。 - 被験ブタ由来の生物学的試料において、下記(1)〜(2)のいずれかの多型部位のアミノ酸種を決定することを特徴とする、ブタの産肉形質を評価する方法:
(1)LEPR遺伝子によってコードされるアミノ酸配列上の多型部位であって配列番号21若しくは22に記載のアミノ酸配列のN末端側から535番目のアミノ酸に相当する多型部位;又は
(2)CCBE1遺伝子によってコードされるアミノ酸配列上の多型部位であって配列番号23に記載のアミノ酸配列のN末端側から167番目のアミノ酸に相当する多型部位;
ここで、
前記(1)の多型部位のアミノ酸種がグルタミン酸である場合に背脂肪厚増加形質、胸囲増加形質、及び1日平均増体量増加形質を有すると判定する;又は
前記(2)の多型部位のアミノ酸種がグルタミンである場合に1日平均増体量増加形質を有すると判定する。 - 下記(A)又は(B)の物質を有効成分とする、ブタの産肉形質評価用試薬:
(A)下記(1)〜(6)のいずれかの多型部位の塩基種を決定可能な遺伝子増幅産物を与えるように、該部位を挟み込む、それぞれ下記(1)〜(6)に記載の塩基配列を基にした15塩基以上の塩基配列からなる、ブタの産肉形質評価用プライマーセット:
(1)配列番号1に記載の塩基配列の5'側から355番目の塩基に相当する多型部位;
(2)配列番号2に記載の塩基配列の5'側から376番目の塩基に相当する多型部位;
(3)配列番号3に記載の塩基配列の5'側から139番目の塩基に相当する多型部位;
(4)配列番号4に記載の塩基配列の5'側から140番目の塩基に相当する多型部位;
(5)配列番号5に記載の塩基配列の5'側から318番目の塩基に相当する多型部位;若しくは
(6)配列番号6に記載の塩基配列の5'側から95番目の塩基に相当する多型部位;
(B)上記(1)〜(6)のいずれかの部位を含むDNA領域若しくはその相補的領域とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、該DNA領域若しくはその相補的領域と100%相同性を有する15塩基以上の塩基配列からなる、ブタの産肉形質評価用プローブ。
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