JP6424027B2 - 形質との関連解析により開発した、豚の6形質に関連するdnaマーカーとその判別系 - Google Patents

形質との関連解析により開発した、豚の6形質に関連するdnaマーカーとその判別系 Download PDF

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Description

本発明は、ブタゲノム上に存在する多型を利用したブタの産肉形質の評価方法に関する。
ブタは猪を祖先とし、ユーラシア大陸の複数地域で家畜化されたと言われている。19世紀中頃からヨーロッパにおいて、成長・体格などの良いブタを選抜して育種するということが行われるようになり、それらがもとになり現在の商用豚が形成されている。これまでは産肉性を向上させることが大きな目的であったが、最近ではよりよい肉質を求めた育種改良も望まれている。
近年、ブタにおいてもDNAの多型マーカーが開発されている。また家畜の経済形質はそのほとんどが量的形質であるが、その遺伝子座(量的形質遺伝子座)についてもDNAマーカーとの連鎖解析により単離されている。量的形質は複数の遺伝子座に支配され、また環境要因によっても大きく影響を受ける。そのため量的形質遺伝子座の正確なマッピングは難しく、その責任遺伝子を同定すること、また多様性の原因となる多型を同定することは非常に困難である。
一方、ヒトゲノム解析をはじめとする近年のゲノム解析技術の進展により、全ゲノム上に分布する数万から数百万個の1塩基多型(SNP)を同時に解析可能なDNAチップ(SNPアレイ)が利用可能となり、複雑な発生機序を有する疾患の関連遺伝子の探索などにとって有効な手段として注目されている。ブタでは、2009年にイルミナ社より約6万個のSNPを同時に多型解析可能なPorcineSNP60 BeadChip(ブタ60K SNPアレイ)が市販されて一般に使用可能となった(非特許文献1を参照のこと)。このようなSNPアレイを利用するゲノムワイド関連解析(Genome Wide Association Study:GWAS)は、産肉形質のような多因子が関係する形質の関連遺伝子を探索するうえでも信頼性が高い研究手法と考えられる。
Ramos AM et al., Design of a high density SNP genotyping assay in the pig using SNPs identified and characterized by next generation sequencing technology. PLoS One. 2009 Aug 5;4(8):e6524. Duy Ngoc Do et al., Genome-Wide Association Study Reveals Genetic Architecture of Eating Behavior in Pigs and Its Implications for Humans Obesity by Comparative Mapping. PLoS One. 2013 Aug 19;8(8):e71509.
本発明は、ブタの育種選抜に有用なブタの産肉形質の評価方法を提供することを目的とし、特に、ブタゲノム上のSNPとブタの産肉形質との新規の関連を提供することを課題とする。
イルミナ社のブタ60K SNPアレイを用いて、系統造成過程にあるデュロック種の形質、および三元交雑豚の主に枝肉形質とSNP型とのゲノムワイド関連解析(GWAS)を行った。また、検出された形質と関連のある領域内に存在する遺伝子内の多型検索と、該遺伝子内から開発したSNPを用いた再解析を行った。形質との関連が検出されたSNPについては、PCR-RFLP法又はPCR-SSP法で簡便にSNP型を判別する系を構築した。
その結果、以下の7つのSNPを同定した:
(1)背脂肪厚、胸囲、1日平均増体量に関連する、LEPR遺伝子(第6染色体)内のSNP;
(2)筋肉内脂肪割合に関連する、FIT2遺伝子(第17染色体)内のSNP;
(3)1日平均増体量に関連する、BMP2遺伝子(第17染色体)内のSNP;
(4)体長に関連する、ゲノム上の位置未決定のSNP(MARC0092223);
(5)1日平均増体量に関連する、第8染色体上のSNP(ALGA0049421);
(6)1日平均増体量に関連する、CCBE1遺伝子(第1染色体)内のSNP;
(7)90kg検定時体重に関連する、CADM2遺伝子(第13染色体)の上流領域のSNP。
また、これら7つのSNPについて、それぞれのSNP型を簡易に判別する系を構築した。
さらに、LEPR遺伝子(第6染色体)、ならびにFIT2遺伝子およびその近傍の遺伝子(第17染色体)におけるSNPについては、上記(1)又は(2)のSNPと強く連鎖する近傍のSNPについても関連解析を行い、産肉形質との関連性を示す複数のSNPを同定した。
以下に、本発明の基本的な諸特徴および種々の態様を列挙する。
〔1〕被験ブタ由来の生物学的試料において、ブタゲノム上の多型部位であって下記(1)〜(7)のいずれかの多型部位の塩基種を決定することを特徴とする、ブタの産肉形質を評価する方法:
(1)配列番号1に記載の塩基配列の5'側から355番目の塩基に相当する多型部位;
(2)配列番号2に記載の塩基配列の5'側から376番目の塩基に相当する多型部位;
(3)配列番号3に記載の塩基配列の5'側から139番目の塩基に相当する多型部位;
(4)配列番号4に記載の塩基配列の5'側から140番目の塩基に相当する多型部位;
(5)配列番号5に記載の塩基配列の5'側から318番目の塩基に相当する多型部位;
(6)配列番号6に記載の塩基配列の5'側から95番目の塩基に相当する多型部位;又は
(7)配列番号7に記載の塩基配列の5'側から38番目の塩基に相当する多型部位。
〔2〕前記ブタを以下のとおりに判定する、〔1〕の方法:
前記(1)の多型部位の塩基種がGである場合に背脂肪厚増加形質、胸囲増加形質、及び1日平均増体量増加形質を有すると判定する;
前記(2)の多型部位の塩基種がTである場合に筋肉内脂肪割合増加形質を有すると判定する;
前記(3)の多型部位の塩基種がTである場合に1日平均増体量増加形質を有すると判定し、Cである場合に生時体重増加形質を有すると判定する;
前記(4)の多型部位の塩基種がTである場合に体長増加形質を有すると判定する;
前記(5)の多型部位の塩基種がAである場合に1日平均増体量増加形質を有すると判定する;
前記(6)の多型部位の塩基種がAである場合に1日平均増体量増加形質を有すると判定する;又は
前記(7)の多型部位の塩基種がCである場合に90kg検定時体重増加形質を有すると判定する。
〔3〕被験ブタ由来の生物学的試料において、下記(1)〜(2)のいずれかの多型部位のアミノ酸種を決定することを特徴とする、ブタの産肉形質を評価する方法:
(1)LEPR遺伝子によってコードされるアミノ酸配列上の多型部位であって配列番号21若しくは22に記載のアミノ酸配列のN末端側から535番目のアミノ酸に相当する多型部位;又は
(2)CCBE1遺伝子によってコードされるアミノ酸配列上の多型部位であって配列番号23に記載のアミノ酸配列のN末端側から167番目のアミノ酸に相当する多型部位。
〔4〕前記ブタを以下のとおりに判定する、〔3〕の方法:
前記(1)の多型部位のアミノ酸種がグルタミン酸である場合に背脂肪厚増加形質、胸囲増加形質、及び1日平均増体量増加形質を有すると判定する;又は
前記(2)の多型部位のアミノ酸種がグルタミンである場合に1日平均増体量増加形質を有すると判定する。
〔5〕下記(A)又は(B)の物質を有効成分とする、ブタの産肉形質評価用試薬:
(A)下記(1)〜(7)のいずれかの多型部位の塩基種を決定可能な遺伝子増幅産物を与えるように、該部位を挟み込む、それぞれ下記(1)〜(7)に記載の塩基配列を基にした15塩基以上の塩基配列からなる、ブタの産肉形質評価用プライマーセット:
(1)配列番号1に記載の塩基配列の5'側から355番目の塩基に相当する多型部位;
(2)配列番号2に記載の塩基配列の5'側から376番目の塩基に相当する多型部位;
(3)配列番号3に記載の塩基配列の5'側から139番目の塩基に相当する多型部位;
(4)配列番号4に記載の塩基配列の5'側から140番目の塩基に相当する多型部位;
(5)配列番号5に記載の塩基配列の5'側から318番目の塩基に相当する多型部位;
(6)配列番号6に記載の塩基配列の5'側から95番目の塩基に相当する多型部位;若しくは
(7)配列番号7に記載の塩基配列の5'側から38番目の塩基に相当する多型部位、
(B)上記(1)〜(7)のいずれかの部位を含むDNA領域若しくはその相補的領域とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることを特徴とする15塩基以上の塩基配列からなる、ブタの産肉形質評価用プローブ。
〔6〕被験ブタ由来の生物学的試料において、ブタゲノム上のLEPR遺伝子における多型部位であって下記(1)〜(6)のいずれかの多型部位の塩基種を決定することを特徴とする、ブタの産肉形質を評価する方法:
(1)配列番号8に記載の塩基配列の5'側から30番目の塩基に相当する多型部位;
(2)配列番号9に記載の塩基配列の5'側から26番目の塩基に相当する多型部位;
(3)配列番号10に記載の塩基配列の5'側から41番目の塩基に相当する多型部位;
(4)配列番号11に記載の塩基配列の5'側から35番目の塩基に相当する多型部位;
(5)配列番号12に記載の塩基配列の5'側から59番目の塩基に相当する多型部位;又は
(6)配列番号1に記載の塩基配列の5'側から355番目の塩基に相当する多型部位。
〔7〕下記のいずれかに該当する場合に、前記ブタが背脂肪厚増加形質を有すると判定する、〔6〕の方法:
前記(1)の多型部位の塩基種がTである;
前記(2)の多型部位の塩基種がGである;
前記(3)の多型部位の塩基種がGである;
前記(4)の多型部位の塩基種がGである;
前記(5)の多型部位の塩基種がGである;又は
前記(6)の多型部位の塩基種がGである。
〔8〕被験ブタ由来の生物学的試料において、ブタゲノム上のFIT2遺伝子およびその近傍の遺伝子における多型部位であって下記(1)〜(9)のいずれかの多型部位の塩基種を決定することを特徴とする、ブタの産肉形質を評価する方法:
(1)配列番号13に記載の塩基配列の5'側から32番目の塩基に相当する多型部位;
(2)配列番号14に記載の塩基配列の5'側から56番目の塩基に相当する多型部位;
(3)配列番号15に記載の塩基配列の5'側から35番目の塩基に相当する多型部位;
(4)配列番号16に記載の塩基配列の5'側から48番目の塩基に相当する多型部位;
(5)配列番号17に記載の塩基配列の5'側から33番目の塩基に相当する多型部位;
(6)配列番号18に記載の塩基配列の5'側から53番目の塩基に相当する多型部位;
(7)配列番号2に記載の塩基配列の5'側から376番目の塩基に相当する多型部位;
(8)配列番号19に記載の塩基配列の5'側から62番目の塩基に相当する多型部位;又は
(9)配列番号20に記載の塩基配列の5'側から46番目の塩基に相当する多型部位。
〔9〕下記のいずれかに該当する場合に、前記ブタが筋肉内脂肪割合増加形質を有すると判定する、〔8〕の方法:
前記(1)の多型部位の塩基種がTである;
前記(2)の多型部位の塩基種がTである;
前記(3)の多型部位の塩基種がTである;
前記(4)の多型部位の塩基種がCである;
前記(5)の多型部位の塩基種がCである;
前記(6)の多型部位の塩基種がCである;
前記(7)の多型部位の塩基種がTである;
前記(8)の多型部位の塩基種がCである;又は
前記(9)の多型部位の塩基種がGである。
これまで、豚の系統造成の際には、育種改良を目的とする形質の改良目標を立て、選抜指数式から総合育種価を算出し、その値に基づき肢蹄や体型も考慮しつつ、計量育種的手法により個体を選抜する方法が一般的であった。本発明では、最新のゲノム解析技術を取り入れ、ゲノム全体の多型性から、各形質に統計的に有意に関与するSNPを検出し、また、形質と有意に関連するゲノム領域内遺伝子のSNPを用いることで育種マーカーを構築した。つまり、ゲノム解析技術の進歩により、ゲノムワイドな解析から形質と関連のある極めて狭いゲノム領域にマーカーを作出することに成功した。これらの育種マーカーを用い、育種素材個体の遺伝子型から各形質への影響を推定し、系統造成等の育種を加速化させることが期待される。
PorcineSNP60 BeadChipに搭載されているSNPから作製した簡易判別系の電気泳動像を示す写真である。 遺伝子内SNPから作製した簡易判別系の電気泳動像を示す写真である。
〔ブタの産肉形質を評価する方法〕
本発明は、ブタの産肉形質を評価する方法(以下、単に「本発明の方法」と記載する場合あり)を提供する。本発明の方法の好ましい態様としては、ブタゲノム上の特定の多型部位(以下、単に「本発明の多型部位」と記載する場合あり)を含む領域の塩基配列を解析し、得られる解析結果とブタの産肉形質との関係を評価することを特徴とする方法である。本発明におけるブタゲノム上の「多型」は、ブタゲノム配列における1又は複数の塩基の置換、欠失、挿入、及び/又は付加であってもよく、同義多型(アミノ酸配列に変化のない多型)であっても非同義多型であってもよい。
本発明の方法において、被験ブタ由来の生物学的試料として、例えば被験ブタの臓器、または組織、あるいは細胞や血液、口腔粘膜、皮膚、毛等を用いることができ、当技術分野において公知の方法によって、これらの試料からDNA試料を調製して多型部位の塩基種の決定に用いることができ、また、これらの試料を多型部位のアミノ酸種の決定に用いることができる。
本発明の方法において、公知の種々の方法(手段)により、多型部位の塩基種又はアミノ酸種を決定することが可能である。即ち、多型部位の塩基種又はアミノ酸種を決定可能な方法であれば、任意の方法を本発明の方法において用いることができる。多型部位の塩基種を決定する場合、例えば、本発明の多型部位を含むDNA領域(標的DNA領域)を特異的に増幅可能なプライマーセットを用いて、被験ブタ由来の染色体DNAを鋳型としたPCR等によって標的DNA領域を増幅し、増幅したDNA領域の塩基配列を当業者に公知の方法で決定することができる。また、増幅したDNA領域を所定の制限酵素で処理し、当該制限酵素による切断の有無を指標として多型部位の塩基種を決定することもできる。
このような方法としては、例えば、制限酵素断片長多型(Restriction Fragment Length Polymorphism/RFLP)を利用した方法やPCR-RFLP法等が挙げられる。具体的には、制限酵素の認識部位に多型が存在する場合、制限酵素処理後に生じるDNA断片の大きさが多型部位の塩基種によって異なる。この多型部位を含む部分をPCR等によって増幅し、それぞれの制限酵素で処理することによって、これらの多型部位の塩基種を電気泳動後のバンドの移動度の差として決定することができる。あるいは、染色体DNAをこれらの制限酵素によって処理し、電気泳動した後、本発明のプローブDNAを用いてサザンブロッティングを行うことにより、多型部位の塩基種を決定することができる。用いられる制限酵素は各多型に応じて適宜選択することができる。さらに、ゲノムDNAを蛍光ラベルしたプライマーを用いてPCR増幅し、制限酵素切断の後、シークエンサー等のディテクターで多型部位の塩基種を決定することも可能である。
本発明の方法は、好ましくは、被験ブタ由来の生物学的試料において、ブタゲノム上の多型部位であって下記(1)〜(7)のいずれか(1又は複数)の多型部位の塩基種を決定することを特徴とする、ブタの産肉形質を評価する方法である:
(1)配列番号1に記載の塩基配列の5'側から355番目の塩基に相当する多型部位(LEPR遺伝子内のSNP);
(2)配列番号2に記載の塩基配列の5'側から376番目の塩基に相当する多型部位(FIT2遺伝子内のSNP);
(3)配列番号3に記載の塩基配列の5'側から139番目の塩基に相当する多型部位(BMP2遺伝子内のSNP);
(4)配列番号4に記載の塩基配列の5'側から140番目の塩基に相当する多型部位(SNP_ID:MARC0092223);
(5)配列番号5に記載の塩基配列の5'側から318番目の塩基に相当する多型部位(SNP_ID;ALGA0049421);
(6)配列番号6に記載の塩基配列の5'側から95番目の塩基に相当する多型部位(CCBE1遺伝子内のSNP);又は
(7)配列番号7に記載の塩基配列の5'側から38番目の塩基に相当する多型部位(CADM2遺伝子の5'フランキング領域内のSNP)。
当該方法は、具体的には、ブタの産肉形質を以下のように評価することを特徴とする:
前記(1)の多型部位の塩基種がAと比べてGである場合に背脂肪厚増加形質、胸囲増加形質、及び1日平均増体量増加形質を有すると判定する;
前記(2)の多型部位の塩基種がCと比べてTである場合に筋肉内脂肪割合増加形質を有すると判定する;
前記(3)の多型部位の塩基種がCと比べてTである場合に1日平均増体量増加形質を有すると判定し、Tと比べてCである場合に生時体重増加形質を有すると判定する;
前記(4)の多型部位の塩基種がGと比べてTである場合に体長増加形質を有すると判定する;
前記(5)の多型部位の塩基種がGと比べてAである場合に1日平均増体量増加形質を有すると判定する;
前記(6)の多型部位の塩基種がGと比べてAである場合に1日平均増体量増加形質を有すると判定する;又は
前記(7)の多型部位の塩基種がAと比べてCである場合に90kg検定時体重増加形質を有すると判定する。
なお、本明細書において、例えば「前記(1)の多型部位の塩基種」すなわち「配列番号1に記載の塩基配列の5'側から355番目の塩基に相当する多型部位の塩基種」は、「配列番号1に記載の塩基配列の355位の塩基種」と表現することもできる。
上記方法において、前記(1)〜(7)の多型部位の塩基種は、DNAシークエンサーやマトリックス支援-飛行時間型質量分析計(MALDI-TOF MS)を利用する方法の他、以下の方法(簡易判別系)により決定することもできる:
前記(1)の多型部位の場合に制限酵素AcuIを用いるPCR-RFLP法;
前記(2)の多型部位の場合に制限酵素BssSIを用いるPCR-RFLP法;
前記(3)の多型部位の場合に制限酵素Tsp45Iを用いるPCR-RFLP法;
前記(4)の多型部位の場合に制限酵素XspI又はMaeIを用いるPCR-RFLP法;
前記(5)の多型部位の場合に制限酵素HhaIを用いるPCR-RFLP法;
前記(6)の多型部位の場合に制限酵素BstNIを用いるPCR-RFLP法;
前記(7)の多型部位の場合にPCR-SSP法。
本発明において塩基種を決定する多型部位(本発明の多型部位)は、好ましくは、ブタゲノム上の上記(1)〜(7)のいずれかの多型部位であるが、必ずしもこれらの部位に限定されない。例えば、ブタゲノム上のLEPR遺伝子における上記(1)の多型部位(ChrUScaf4201, g.64507A>G)と強く連鎖する近傍の多型部位からなるマーカークラスターに含まれる下記(1)〜(6)の多型部位も本発明の多型部位である:
(1)配列番号8に記載の塩基配列の5'側から30番目の塩基に相当する多型部位(g.37323T>C);
(2)配列番号9に記載の塩基配列の5'側から26番目の塩基に相当する多型部位(g.49389G>A);
(3)配列番号10に記載の塩基配列の5'側から41番目の塩基に相当する多型部位(g.49404G>A);
(4)配列番号11に記載の塩基配列の5'側から35番目の塩基に相当する多型部位(g.49450G>A);
(5)配列番号12に記載の塩基配列の5'側から59番目の塩基に相当する多型部位(g.49527G>A);及び
(6)配列番号1に記載の塩基配列の5'側から355番目の塩基に相当する多型部位(g.64507A>G)。
本態様は、具体的には、下記のいずれか1つ又は複数に該当する場合に、前記ブタが背脂肪厚増加形質を有すると判定することを特徴とする:
前記(1)の多型部位の塩基種がCと比べてTである;
前記(2)の多型部位の塩基種がAと比べてGである;
前記(3)の多型部位の塩基種がAと比べてGである;
前記(4)の多型部位の塩基種がAと比べてGである;
前記(5)の多型部位の塩基種がAと比べてGである;又は
前記(6)の多型部位の塩基種がAと比べてGである。
同様に、例えば、ブタゲノム上のFIT2遺伝子およびその近傍の遺伝子における上記(2)の多型部位(g.52191487C>T)と強く連鎖する近傍の多型部位からなるマーカークラスターに含まれる下記(1)〜(9)の多型部位も本発明の多型部位である:
(1)配列番号13に記載の塩基配列の5'側から32番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52182199C>T);
(2)配列番号14に記載の塩基配列の5'側から56番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52191131_52191132insT);
(3)配列番号15に記載の塩基配列の5'側から35番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52191232T>C);
(4)配列番号16に記載の塩基配列の5'側から48番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52191304T>C);
(5)配列番号17に記載の塩基配列の5'側から33番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52191435T>C);
(6)配列番号18に記載の塩基配列の5'側から53番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52191455T>C);
(7)配列番号2に記載の塩基配列の5'側から376番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52191487C>T);
(8)配列番号19に記載の塩基配列の5'側から62番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52194895T>C);及び
(9)配列番号20に記載の塩基配列の5'側から46番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52215637A>G)。
本態様は、具体的には、下記のいずれか1つ又は複数に該当する場合に、前記ブタが筋肉内脂肪割合増加形質を有すると判定することを特徴とする:
前記(1)の多型部位の塩基種がCと比べてTである;
前記(2)の多型部位に塩基種Tが挿入されている(挿入欠失多型);
前記(3)の多型部位の塩基種がCと比べてTである;
前記(4)の多型部位の塩基種がTと比べてCである;
前記(5)の多型部位の塩基種がTと比べてCである;
前記(6)の多型部位の塩基種がTと比べてCである;
前記(7)の多型部位の塩基種がCと比べてTである;
前記(8)の多型部位の塩基種がTと比べてCである;又は
前記(9)の多型部位の塩基種がAと比べてGである。
本発明の多型部位の塩基種の決定は、当業者においては種々の方法によって行うことができる。最も確実に多型部位の塩基種を決定する手法は、当該多型部位を含むDNAの塩基配列を直接決定する方法である。この方法においては、まず、ブタからDNA試料を調製する。DNA試料の調製は、例えば、ブタ各種組織、血液、精液サンプルより行うことができるが、これらに特に限定されない。これらのサンプルは市販のものを用いてもよいし、自ら抽出して得てもよい。ブタからのDNAの抽出は、当業者においては一般的に公知の方法、例えば、フェノール・クロロホルム法また市販のゲノムDNA抽出キットを用いて行うことができる。
本方法においては、次いで、本発明の多型部位を含むDNAを単離する。該DNAの単離は、例えば、本発明の多型部位を含むDNA領域にハイブリダイズするプライマーを用いて、DNA試料を鋳型としたPCRを実施することにより行うことが可能である。PCRは、当業者においては、その反応条件等について実験または経験によって最適な条件を適宜選択して実施することが可能である。通常、PCRは、反応液および耐熱性ポリメラーゼを含む市販の試薬キット、および市販のPCR装置等を利用して、簡便に実施することができる。
本方法においては、次いで、単離したDNAの塩基配列を決定する。単離したDNAの塩基配列の決定は、当業者においては、DNAシークエンサーやMALDI-TOF MS等を用いて容易に実施することができる。
本発明の多型部位の塩基種の決定においては、アレル特異的オリゴヌクレオチド(Allele Specific Oligonucleotide/ASO)ハイブリダイゼーション法も利用できる。アレル特異的オリゴヌクレオチド(ASO)は、塩基種を決定すべきSNPが存在する領域に特異的にハイブリダイズする塩基配列で構成される。ASOを試料DNAにハイブリダイズさせるとき、多型によってSNP部位にミスマッチが生じるとハイブリッド形成の効率が低下する。ミスマッチは、サザンブロット法や、特殊な蛍光試薬がハイブリッドのギャップにインターカレーションすることにより消光する性質を利用した方法等によって検出することができる。また、リボヌクレアーゼAミスマッチ切断法によって、ミスマッチを検出することもできる。
その他、ブタゲノム上の本発明の多型部位の塩基種を決定する方法としてはLAMP(Loop-mediated isothermal amplification)法、プライマー伸長法、インベーダー法、OLA(Oligo ligation Assay)法が挙げられる。
本発明の多型部位の実際のゲノム上の位置および前後の配列等については、当業者においては、通常、本明細書において多型部位に付記したSNP位置情報、例えばSscrofa build 10.2 assemblyに登録されたSNP_IDやSNPデータベースにおけるrs番号によって容易に知ることができる。これによって、知ることができない場合であっても、当業者においては、配列番号:1〜20で示される塩基配列および多型部位等に関する情報から、適宜、該多型部位に相当する実際のゲノム上の位置を知ることは容易である。例えば、公開されているゲノムデータベース等と照会することにより、本発明の多型部位のゲノム上の位置を知ることができる。即ち、配列表に記載の塩基配列とゲノム上の実際の塩基配列との間に若干の塩基配列の相違がみられた場合であっても、配列表に記載の塩基配列を基にゲノム配列と相同性検索等を行うことにより、本発明の多型部位について、実際のゲノム上の位置を正確に知ることが可能である。また、ゲノム上の位置が特定できない場合でも、本明細書に記載の配列表および多型部位の情報から本発明に記載する検査を行うことは容易である。
また、ゲノムDNAは、通常、互いに相補的な二本鎖DNA構造を有している。従って、本明細書においては、便宜的に一方の鎖におけるDNA配列を示した場合であっても、当然の如く、当該配列(塩基)に相補的な配列も開示したものと解釈される。当業者にとって、一方のDNA配列(塩基)が判れば、該配列(塩基)に相補的な配列(塩基)は自明である。
また、本発明は、被験ブタ由来の生物学的試料において、下記(1)〜(2)のいずれかの多型部位のアミノ酸種を決定することを特徴とする、ブタの産肉形質を評価する方法にも関する:
(1)LEPR遺伝子によってコードされるアミノ酸配列上の多型部位であって配列番号21若しくは22に記載のアミノ酸配列のN末端側から535番目のアミノ酸に相当する多型部位;又は
(2)CCBE1遺伝子によってコードされるアミノ酸配列上の多型部位であって配列番号23に記載のアミノ酸配列のN末端側から167番目のアミノ酸に相当する多型部位。
当該方法は、具体的には、ブタの産肉形質を以下のように評価することを特徴とする:
前記(1)の多型部位のアミノ酸種がバリンである場合と比べてグルタミン酸である場合に背脂肪厚増加形質、胸囲増加形質、及び1日平均増体量増加形質を有すると判定する;又は
前記(2)の多型部位のアミノ酸種がアルギニンである場合と比べてグルタミンである場合に1日平均増体量増加形質を有すると判定する。
なお、前記(1)の多型部位のアミノ酸種がグルタミン酸である場合には、該多型部位およびそれよりC末端側の35アミノ酸からなる部位のアミノ酸配列はEKFSSETAASIQCESRNYCKNWITENILGEASLPRE(配列番号24)である。
上記方法においては、例えば、SDSポリアクリルアミド電気泳動法、及びLEPRタンパク質やCCBE1タンパク質における上記多型部位を含む領域を特異的に認識する抗原結合ポリペプチド(例えば抗体)を用いたウェスタンブロッティング法、ドットブロッティング法、免疫沈降法、酵素結合免疫測定法(ELISA)、免疫蛍光法、飛行時間型質量分析法(MALDI-TOF MS、ESI-TOF MS等)等の公知の方法を適宜利用することができる。
これらの方法によりアミノ酸種を決定する多型部位を含む(ポリ)ペプチド領域としては、本発明の多型部位を含む領域であれば特に制限されることはなく、例えば、配列番号:21〜23のいずれかに記載のアミノ酸配列における上記多型部位を含む領域であることが好ましいが、配列番号:21〜23のいずれかに記載のアミノ酸配列からなる領域と少なくとも70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上(例えば、98〜99%)の配列の同一性を示す領域(ただし、上記多型部位については配列番号:21〜23に記載の各アミノ酸配列のとおりであることを条件とする)であってもよい。
〔ブタの産肉形質評価用試薬〕
さらに、本発明は、ブタゲノム上の1若しくは複数の多型を指標とする、ブタの産肉形質を評価するための検査薬(産肉形質評価用試薬)を提供する。本発明のそのような試薬は、好ましくは、本発明のブタの産肉形質評価方法において使用するための検査薬である。一態様において、本発明のそのような試薬は、下記(A)又は(B)の物質を有効成分とする:
(A)下記(1)〜(7)のいずれかの多型部位の塩基種を決定可能な遺伝子増幅産物を与えるように、該部位を挟み込む、それぞれ下記(1)〜(7)に記載の塩基配列を基にした15塩基以上の塩基配列からなる、ブタの産肉形質評価用プライマーセット:
(1)配列番号1に記載の塩基配列の5'側から355番目の塩基に相当する多型部位(LEPR遺伝子内のSNP);
(2)配列番号2に記載の塩基配列の5'側から376番目の塩基に相当する多型部位(FIT2遺伝子内のSNP);
(3)配列番号3に記載の塩基配列の5'側から139番目の塩基に相当する多型部位(BMP2遺伝子内のSNP);
(4)配列番号4に記載の塩基配列の5'側から140番目の塩基に相当する多型部位(SNP_ID:MARC0092223);
(5)配列番号5に記載の塩基配列の5'側から318番目の塩基に相当する多型部位(SNP_ID:ALGA0049421);
(6)配列番号6に記載の塩基配列の5'側から95番目の塩基に相当する多型部位(CCBE1遺伝子内のSNP);若しくは
(7)配列番号7に記載の塩基配列の5'側から38番目の塩基に相当する多型部位(CADM2遺伝子の5'フランキング領域内のSNP)、
(B)上記(1)〜(7)のいずれかの部位を含むDNA領域若しくはその相補的領域とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることを特徴とする15塩基以上の塩基配列からなる、ブタの産肉形質評価用プローブ。
別の態様において、本発明のブタの産肉形質評価用試薬は、下記(A)又は(B)の物質を有効成分とする:
(A)下記(1)〜(6)のいずれかの多型部位の塩基種を決定可能な遺伝子増幅産物を与えるように、該部位を挟み込む、それぞれ下記(1)〜(6)に記載の塩基配列を基にした15塩基以上の塩基配列からなる、ブタの産肉形質評価用プライマーセット:
(1)配列番号8に記載の塩基配列の5'側から30番目の塩基に相当する多型部位(g.37323T>C);
(2)配列番号9に記載の塩基配列の5'側から26番目の塩基に相当する多型部位(g.49389G>A);
(3)配列番号10に記載の塩基配列の5'側から41番目の塩基に相当する多型部位(g.49404G>A);
(4)配列番号11に記載の塩基配列の5'側から35番目の塩基に相当する多型部位(g.49450G>A);
(5)配列番号12に記載の塩基配列の5'側から59番目の塩基に相当する多型部位(g.49527G>A);若しくは
(6)配列番号1に記載の塩基配列の5'側から355番目の塩基に相当する多型部位(g.64507A>G)、
(B)上記(1)〜(6)のいずれかの部位を含むDNA領域若しくはその相補的領域とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることを特徴とする15塩基以上の塩基配列からなる、ブタの産肉形質評価用プローブ。
また別の態様において、本発明のブタの産肉形質評価用試薬は、下記(A)又は(B)の物質を有効成分とする:
(A)下記(1)〜(9)のいずれかの多型部位の塩基種を決定可能な遺伝子増幅産物を与えるように、該部位を挟み込む、それぞれ下記(1)〜(9)に記載の塩基配列を基にした15塩基以上の塩基配列からなる、ブタの産肉形質評価用プライマーセット:
(1)配列番号13に記載の塩基配列の5'側から32番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52182199C>T);
(2)配列番号14に記載の塩基配列の5'側から56番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52191131_52191132insT);
(3)配列番号15に記載の塩基配列の5'側から35番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52191232T>C);
(4)配列番号16に記載の塩基配列の5'側から48番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52191304T>C);
(5)配列番号17に記載の塩基配列の5'側から33番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52191435T>C);
(6)配列番号18に記載の塩基配列の5'側から53番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52191455T>C);
(7)配列番号2に記載の塩基配列の5'側から376番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52191487C>T);
(8)配列番号19に記載の塩基配列の5'側から62番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52194895T>C);若しくは
(9)配列番号20に記載の塩基配列の5'側から46番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52215637A>G)、
(B)上記(1)〜(9)のいずれかの部位を含むDNA領域若しくはその相補的領域とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることを特徴とする15塩基以上の塩基配列からなる、ブタの産肉形質評価用プローブ。
本発明において、多型部位を含む領域を増幅するためのプライマーとは、多型部位を含むDNAを鋳型として、多型部位に向かって相補鎖合成を開始することができるプライマーをいう。本発明のプライマーは、多型部位を含むDNAにおける、多型部位の3'側に複製開始点を与えるためのプライマーと表現することもできる。プライマーがハイブリダイズする領域と多型部位との間隔は任意である。両者の間隔は、多型部位の塩基の解析手法に応じて、好適な塩基数を選択することができる。本発明のプライマーは、修飾することができる。たとえば、蛍光物質や、ビオチンまたはジゴキシンのような結合親和性物質で標識したプライマーも本発明に含まれる。
本発明において使用される多型部位を含む領域を増幅し得るプライマーオリゴヌクレオチドの配列は、当業者においては、鋳型となるDNAの配列情報に基づいて、適宜、設計することが可能である。好ましくは、配列番号:1〜20のいずれかに記載の塩基配列からなるDNAまたはその相補鎖であるDNAに相補的な連続する15塩基以上のオリゴヌクレオチドである。PCRにおいて、上記多型部位を含むDNA領域を増幅する場合には、通常、上記多型部位を挟み込むように設定されたプライマーのセットが用いられる。下記実施例において具体的に開示するプライマーセットは、最も好ましい本発明のプライマーセットの例である。
本発明のプライマーは、上記多型部位を含むDNA領域を増幅しうる限り、該DNA領域に完全に相補的である必要はない。例えば、5'末端側に数塩基程度の他の塩基への置換変異を有する、もしくは5'末端側に任意の塩基が付加されたプライマーであっても、本発明のプライマーとして利用することが可能であるものと考えられる。
一方、本発明において、多型部位を含む領域にハイブリダイズするプローブとは、多型部位を含む領域の塩基配列を有するポリヌクレオチドとハイブリダイズすることができるプローブを言う。より具体的には、プローブの塩基配列中に多型部位を含むプローブは本発明のプローブとして好ましい。あるいは、多型部位における塩基の解析方法によっては、プローブの末端が多型部位に隣接する塩基に対応するようにデザインされる場合もある。したがって、プローブ自身の塩基配列には多型部位が含まれないが、多型部位に隣接する領域に相補的な塩基配列を含むプローブも、本発明における望ましいプローブとして示すことができる。
本発明において「ストリンジェントな条件」とは、0.1〜1μMのPCRプライマーを、50mM KCl, 10mM Tris-HCl(pH8.3), 1.5mM MgCl2, 0.001% gelatinの反応液中において55℃でハイブリダイズさせる条件、またはこれと同等のストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件を指す。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響する要素としては温度や塩濃度など複数の要素が考えられるが、当業者であればこれら要素を適宜選択することで最適なストリンジェンシーを実現することが可能である。なお、このような条件下で標的配列とハイブリダイズできることを、該配列と特異的にハイブリダイズすると表現することもできる。
本発明のプライマーまたはプローブは、それを構成する塩基配列をもとに、任意の方法によって合成することができる。本発明のプライマーまたはプローブの、DNAに相補的な塩基配列の長さは、通常15〜100、一般に15〜50、好ましくは15〜30である。与えられた塩基配列に基づいて、当該塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを合成する手法は公知である。更に、オリゴヌクレオチドの合成において、蛍光色素やビオチンなどで修飾されたヌクレオチド誘導体を利用して、オリゴヌクレオチドに任意の修飾を導入することもできる。あるいは、合成されたオリゴヌクレオチドに蛍光色素などを結合する方法も公知である。
さらに別の態様において、本発明のブタの産肉形質評価用試薬は、以下の物質を有効成分とする:
(1−1)LEPR遺伝子によってコードされるアミノ酸配列上の多型部位であって配列番号21に記載のアミノ酸配列のN末端側から535番目のアミノ酸に相当する多型部位(アミノ酸種がグルタミン酸)を含む領域に特異的に結合する抗原結合ポリペプチド;若しくは
(1−2)LEPR遺伝子によってコードされるアミノ酸配列上の多型部位であって配列番号22に記載のアミノ酸配列のN末端側から535番目のアミノ酸に相当する多型部位(アミノ酸種がバリン)を含む領域に特異的に結合する抗原結合ポリペプチド;又は
(2−1)CCBE1遺伝子によってコードされるアミノ酸配列上の多型部位であって配列番号23に記載のアミノ酸配列のN末端側から167番目のアミノ酸に相当する多型部位を含む領域に特異的に結合する抗原結合ポリペプチド、ただし、該多型部位のアミノ酸種がグルタミンであることを条件とする;若しくは
(2−2)CCBE1遺伝子によってコードされるアミノ酸配列上の多型部位であって配列番号23に記載のアミノ酸配列のN末端側から167番目のアミノ酸に相当する多型部位を含む領域に特異的に結合する抗原結合ポリペプチド、ただし、該多型部位のアミノ酸種がアルギニンであることを条件とする。
本発明において、抗原結合ポリペプチドは必要に応じて標識されていてもよく、抗原結合ポリペプチドは好ましくは抗体である。
下記実施例において詳細に述べているように、本研究では、イルミナ社より市販されているPorcineSNP60 BeadChipを用いてゲノムワイド関連解析を行い、複数のSNPについて、ブタの産肉形質との関連を新規に見出すことに成功した。ここで、RamosらPLoS ONE e6524 (2009)(非特許文献1)における記載を基に、当該BeadChip(SNPアレイ)について要約する。配列レベルでのSNP検出は主に次世代シーケンサーを用いている。試料はデュロック34、ピエトレン23、ランドレース29、大ヨークシャー36、イノシシ36(西洋イノシシ31、日本イノシシ5)のDNAを、それぞれの品種で等量ずつ混ぜたものを使用している。各品種の集積DNAを制限酵素AluI,HaeIII,MspIにて消化し、200bp前後の分画にてRRLs(reduced representation libraries)をそれぞれ作製し(AluIでは、longとshortの2つを作製)、イルミナ社のGAIIにてシーケンシングを行っている。また、ロッシュ社の454FLXにてAluI消化の2つのRRLsのシーケンシングも行っている。配列はgenome build 7に当て、約7割の位置が判明している。ブタゲノム配列と当たらないAluI消化配列については、それぞれでpseudo chromosomeが作成された。SNP検出にはMAQ (Mapping and Assembly with Qualities)というソフトウェアを使用している。また、120リード以下でSNPが3リード以上のものを検出している。全体で549,282 SNPsをアレイ作製のために計算に用いている。段階的な基準(例えば第一基準はdesign_score≧0.8、MAF≧0.25)、およびSNP間の距離が250kbを超えないようにSNPを選抜し、最終的に64,232 SNPsのアレイを作製している。バリデーションは、最初に用いた個体を個別に288 SNPsでジェノタイピングするとともに、SNPアレイを用いてジェノタイピングを行った結果 (Genotype-derived frequency) と、最初にシーケンシングを行って、SNPを直接数えることで仮に遺伝子頻度を算出したもの(Sequence-derived frequency)とを比較している。これらの相関係数は0.8であった。64,232 SNPsのうち、97.5%の62,121 SNPsが検出可能であり、MAF>5%で57,109 SNPs、平均MAF=0.274、マーカー間の平均距離はgenome build 7において、約30〜40kbであった。
本発明では、上記PorcineSNP60 BeadChipに搭載されているSNPから、産肉形質と関連のあるブタゲノム上のSNPとして、体長と関連のあるSNP(ブタゲノムSscrofa10.2にマッピングされていないSNP_ID:MARC0092223)、および1日平均増体量と関連のあるSNP(SSC8上のSNP_ID:ALGA0049421)を新規に見出した。
また、遺伝子内における産肉形質と関連のあるSNPとして、LEPR c.1604-14A>G (背脂肪厚、胸囲、1日平均増体量と関連、Sscrofa10.2における、マッピングされていないChrUScaf4201ゲノム配列における位置g.64507A>G)、FIT2 c.*91A>G(筋肉内脂肪割合と関連、17: g.52,191,487C>T)、CCBE1 c.500A>G(1日平均増体量と関連、1:g.179102350A>G)、CADM2遺伝子の5'フランキング領域におけるSNP(90kg検定時体重と関連、13:g.180931565A>Cと13:g.180951183A>Cの2箇所にマッピング)、及びBMP2 c.770T>C (1日平均増体量(離乳時〜出荷時)と関連、17:g.17062535T>Cとg.17412295C>Tの2箇所にマッピング)を新規に見出した。産肉形質との関連を新規に見出した遺伝子内SNPの存在するこれらの遺伝子について、以下に説明する。
LEPR:Leptin receptor
レプチン受容体(Leptin receptor、別名OB-R;OBは肥満遺伝子という意味)は、クラスIサイトカイン受容体スーパーファミリーに属する膜1回貫通型の受容体であり、ヒトでは6種類のアイソフォームが知られているが、視床下部に発現する細胞内部分が最も長い分子種(OB-Rb)に、脂肪組織で合成・分泌されたレプチン(LEP)が結合して食欲を抑制し、エネルギー代謝を促進する。なお、レプチンは1994年にマウスでobese gene(肥満遺伝子)としてクローニングされた(文献LEPR-1)。また、レプチン受容体は、レプチンに強い親和性のある分子として同定された(文献LEPR-2)。
LEPRは摂食やエネルギー代謝に強く関係する遺伝子であるため、ブタにおいても研究がなされ、多くの論文が出ている。ブタ第6染色体へのマッピングは1997年に発表され(文献LEPR-3,4)、背脂肪厚との関連も複数の文献で報告されている(文献LEPR-5,6,7,8,9,10、他)。しかし、本研究で同定した、イントロン内のアクセプターサイト獲得によりスプライスバリアント(配列番号22のアミノ酸配列に対して配列番号21のアミノ酸配列)が生じるSNP(LEPR c.1604-14A>G)と背脂肪厚、胸囲、1日平均増体量との関係は報告されていない。当該多型部位の塩基種がAである場合、配列番号22に記載のアミノ酸配列をコードするcDNA配列(アクセッション番号NM_001024587としてGenBankに登録されている)が転写産物となり、当該多型部位の塩基種がGである場合、イントロン内でアクセプターサイトが獲得される結果としてフレームシフトが起こり、配列番号21に記載のアミノ酸配列をコードするcDNA配列が転写産物となる。
LEPRに関する公知文献を以下に列挙する。
[LEPR-1] Zhang, Y., Proenca, R., Maffei, M., Barone, M., Leopold, L., Friedman, J. M. Positional cloning of the mouse obese gene and its human homologue. Nature 372: 425-432, 1994.
[LEPR-2] Tartaglia, L. A., Dembski, M., Weng, X., Deng, N., Culpepper, J., Devos, R., Richards, G. J., Campfield, L. A., Clark, F. T., Deeds, J., Muir, C., Sanker, S., Moriarty, A., Moore, K. J., Smutko, J. S., Mays, G. G., Woolf, E. A., Monroe, C. A., Tepper, R. I. Identification and expression cloning of a leptin receptor, OB-R. Cell 83: 1263-1271, 1995.
[LEPR-3] Ernst CW, Kapke PA, Yerle M, Rothschild MF. The leptin receptor gene (LEPR) maps to porcine chromosome 6. Mamm Genome 8(3):226, 1997.
[LEPR-4] Vincent AL, Wang L, Rothschild MF. Rapid communication: a restriction fragment length polymorphism in the porcine leptin receptor (LEPR) gene. J Anim Sci. 75(8):2287, 1997.
[LEPR-5] OVilo C, Oliver A, Noguera JL, Clop A, Barragan C, Varona L, Rodriguez C, Toro M, Sanchez A, Perez-Enciso M, Silio L. Test for positional candidate genes for body composition on pig chromosome 6. Genet Sel Evol. 34(4):465-79. 2002.
[LEPR-6] Chen CC, Chang T, Su HY. Characterization of porcine leptin receptor polymorphisms and their association with reproduction and production traits. Anim Biotechnol. 15(1):89-102. 2004.
[LEPR-7] Mackowski M, Szymoniak K, Szydlowski M, Kamyczek M, Eckert R, Rozycki M, Switonski M. Missense mutations in exon 4 of the porcine LEPR gene encoding extracellular domain and their association with fatness traits. Anim Genet. 36(2):135-7. 2005.
[LEPR-8] Munoz G, Ovilo C, Silio L, Tomas A, Noguera JL, Rodriguez MC. Single- and joint-population analyses of two experimental pig crosses to confirm quantitative trait loci on Sus scrofa chromosome 6 and leptin receptor effects on fatness and growth traits. J Anim Sci. 87(2):459-68. 2009.
[LEPR-9] Perez-Montarelo D, Fernandez A, Folch JM, Pena RN, Ovilo C, Rodriguez C, Silio L, Fernandez AI. Joint effects of porcine leptin and leptin receptor polymorphisms on productivity and quality traits. Anim Genet. 43(6):805-9. 2012.
[LEPR-10] Uemoto Y, Kikuchi T, Nakano H, Sato S, Shibata T, Kadowaki H, Katoh K, Kobayashi E, Suzuki K. Effects of porcine leptin receptor gene polymorphisms on backfat thickness, fat area ratios by image analysis, and serum leptin concentrations in a Duroc purebred population. Anim Sci J. 83(5):375-85. 2012.
FIT2:Fat-Inducing Transcript 2
FIT1とFIT2は、Kadereitらによって2008年にクローニングされた(文献FIT2-1)。ウェスタンブロットで各組織での広範囲な発現が確認されるが、特に白色と褐色脂肪細胞に高いレベルの発現が確認された。また、HEK293細胞やマウス肝臓細胞で発現させた場合、脂肪滴が蓄積され、マウス脂肪細胞でshRNAを用いたFIT2のサイレンシングを行うと、脂肪滴の蓄積が阻害された。Grossらは、糖鎖マッピングにより小胞体での膜貫通構造を解析し、生物種間でよく保存されている疎水性領域の3アミノ酸を変化させる変異(FLL(157-9)AAA)をHEK293細胞へ導入することで、細胞内の脂肪滴が大きくなり数が減ることを明らかにした(文献FIT2-2)。更に、別の文献(文献FIT2-3)でGrossらは、バキュロウィルスで合成したFIT2とトリチウムラベルのトリオレイン(オレイン酸によるトリアシルグリセロール)との強い親和性を検出した。また、HEK293細胞でFIT1、FIT2およびFIT2変異体(FLL(157-9)AAA)を発現させた場合、FIT2およびFIT2変異体での脂肪滴の巨大化を観察するとともに、FIT1に比べFIT2およびFIT2変異体(FLL(157-9)AAA)の方がトリアシルグリセロール、ジアシルグリセロールに対してaffinityが強いことを示した。
現在、ブタではFIT2と筋肉内脂肪割合との関連は報告されていない。
FIT2に関する公知文献を以下に列挙する。
[FIT2-1] Kadereit, B., Kumar, P., Wang, W.-J., Miranda, D., Snapp, E. L., Severina, N., Torregroza, I., Evans, T., Silver, D. L. Evolutionarily conserved gene family important for fat storage. Proc. Nat. Acad. Sci. 105: 94-99, 2008.
[FIT2-2] Structural insights into triglyceride storage mediated by fat storage-inducing transmembrane (FIT) protein 2. Gross DA, Snapp EL, Silver DL. PLoS One. 5(5):e10796, 2010.
[FIT2-3] Direct binding of triglyceride to fat storage-inducing transmembrane proteins 1 and 2 is important for lipid droplet formation.Gross DA, Zhan C, Silver DL. Proc Natl Acad Sci U S A. 108(49):19581-6, 2011.
CCBE1:Collagen and Calcium-binding EGF Domain-containing Protein 1
CCBE1は、ヘネカム型リンパ管拡張リンパ浮腫(水腫)症候群の原因遺伝子としてヒトでマッピングされた(文献CCBE1-1)。Bosらは、Ccbe1ノックアウトマウスを作製し、E14.5のCcbe1-/-マウスにおいて浮腫があり、リンパ管が形成されないことを確認した。また、インビトロ実験により、リンパ管内皮細胞に血管内皮細胞増殖因子と短い(truncated)CCBE1(コラーゲンリピートドメインを欠いたCCBE1)を加えることで、脈管形成の劇的な亢進を示した(文献CCBE1-2)。Boltonらは、デブスナネズミ(Psammomys obesus)を、NGT(痩せた通常のグルコース耐性)、IGT(体重の重い、グルコース耐性の減少)、T2D(肥満で2型糖尿病) の3グループに分け、各グループを生後18週目で通常食(fed)と24時間の絶食状態(fasted)の群に分けた。それらの群について、赤色腓腹筋における分泌タンパク質のマイクロアレイによる解析後、発現比較のためリアルタイムPCR法により、4遺伝子を解析した。その結果、T2Dの絶食群において、通常群と比べCcbe1発現量が有意に増加し、体重(body weight)と血漿インスリン濃度との有意な相関を検出した。
本発明において、ALGA0006655(SSC1; g.179002367T>C,1日平均増体量p=1.125E-4)近傍の遺伝子としてCCBE1の配列を決定し、遺伝子内に開発したSNPを用いて再度関連解析を行った。
現在、ブタではCCBE1と1日平均増体量との関連は報告されていない。本発明において新規に見出したCCBE1遺伝子内のSNP(g.179102350A>G、CCBE1 c.500A>G)は非同義多型であり、当該SNPの塩基種がAである場合に、当該SNPを含むコドンによりコードされるアミノ酸種はグルタミンであり、当該SNPの塩基種がGである場合に、当該SNPを含むコドンによりコードされるアミノ酸種はアルギニンである。
CCBE1に関する公知文献を以下に列挙する。
[CCBE1-1] Alders, M., Hogan, B. M., Gjini, E., Salehi, F., Al-Gazali, L., Hennekam, E. A., Holmberg, E. E., Mannens, M. M. A. M., Mulder, M. F., Offerhaus, G. J. A., Prescott, T. E., Schroor, E. J., Verheij, J. B. G. M., Witte, M., Zwijnenburg, P. J., Vikkula, M., Schulte-Merker, S., Hennekam, R. C. Mutations in CCBE1 cause generalized lymph vessel dysplasia in humans. Nature Genet. 41: 1272-1274, 2009.
[CCBE1-2] Bos FL, Caunt M, Peterson-Maduro J, Planas-Paz L, Kowalski J, Karpanen T, van Impel A, Tong R, Ernst JA, Korving J, van Es JH, Lammert E, Duckers HJ, Schulte-Merker S. CCBE1 is essential for mammalian lymphatic vascular development and enhances the lymphangiogenic effect of vascular endothelial growth factor-C in vivo. Circ Res. 109(5):486-91, 2011.
[CCBE1-3] Bolton K, Segal D, McMillan J, Sanigorski A, Collier G, Walder K. Identification of secreted proteins associated with obesity and type 2 diabetes in Psammomys obesus. Int J Obes (Lond). 33(10):1153-65, 2009.
CADM2:Cell Adhesion Molecule 2
Biedererは、SynCAM 1 (synaptic cell adhesion molecule 1, alternatively named Tslc1 and nectin-like protein 3)に類似した配列として、CADM2をデータベース上から検索した。CADM2は、V-set,C1-set,I-setの3個の免疫グロブリン様ループ、膜貫通ドメイン、4.1タンパク質と結合する細胞内C端のモチーフとタイプII PDZ結合モチーフが存在する(文献CADM2-1)。
ヒトBMI(ボディマス指数)のゲノムワイド関連解析から、成人(older adults)に比べて思春期(adolescence)と青年期(younger adulthood)におけるBMIとの強い関連が指摘されている(文献CADM2-2)。また、Dorajooらによる3つのエスニックグループの解析により、BMIとの関連が検出されている(文献CADM2-3)。
現在、ブタではCADM2と90kg検定時体重との関連は報告されていない。
CADM2に関する公知文献を以下に列挙する。
[CADM2-1] Biederer, T. Bioinformatic characterization of the SynCAM family of immunoglobulin-like domain-containing adhesion molecules. Genomics 87: 139-150, 2006.
[CADM2-2] Graff M, Ngwa JS, Workalemahu T, Homuth G, Schipf S, Teumer A, Volzke H, Wallaschofski H, Abecasis GR, Edward L, Francesco C, Sanna S, Scheet P, Schlessinger D, Sidore C, Xiao X, Wang Z, Chanock SJ, Jacobs KB, Hayes RB, Hu F, Van Dam RM; GIANT Consortium, Crout RJ, Marazita ML, Shaffer JR, Atwood LD, Fox CS, Heard-Costa NL, White C, Choh AC, Czerwinski SA, Demerath EW, Dyer TD, Towne B, Amin N, Oostra BA, Van Duijn CM, Zillikens MC, Esko T, Nelis M, Nikopensius T, Metspalu A, Strachan DP, Monda K, Qi L, North KE, Cupples LA, Gordon-Larsen P, Berndt SI.Genome-wide analysis of BMI in adolescents and young adults reveals additional insight into the effects of genetic loci over the life course.Hum Mol Genet. 2013 Sep 1;22(17):3597-607.
[CADM2-3] Dorajoo R, Blakemore AI, Sim X, Ong RT, Ng DP, Seielstad M, Wong TY, Saw SM, Froguel P, Liu J, Tai ES. Replication of 13 obesity loci among Singaporean Chinese, Malay and Asian-Indian populations. Int J Obes (Lond). 36(1):159-63, 2012.
BMP2:bone morphogenetic protein 2
BMP(bone morphogenetic protein)は、牛骨の脱灰骨基質(脱灰後の不溶性物質)をラットやウサギの皮下や筋肉中に埋入することによって、異所性の骨形成を誘導する因子が存在することで報告された(Uristら、文献BMP2-1)。BMP2は、Wozneyらにより(文献BMP2-2)1988年にクローニングされ、TGF-β (transforming growth factor-β) スーパーファミリーに属することが明らかとなった。また、BMPは骨形成誘導以外に、個体発生中の器官形成、組織への分化、背腹のパターン形成等、多岐に関与することが明らかとなっている(ZakinとDe Robertisによるreview:文献BMP2-3)。
ブタでは、ゲノムワイド関連解析から、MARC0070553、INRA0052808 近傍の遺伝子としてBMP2が挙げられており、ロース芯面積、ボディサイズ、他いくつかの脚形質(foot and leg)との関連が指摘されている(文献BMP2-4)。
BMP2に関する公知文献を以下に列挙する。
[BMP2-1] Urist MR. Bone: formation by autoinduction.Science. 150(3698):893-9, 1965.
[BMP2-2] Wozney JM, Rosen V, Celeste AJ, Mitsock LM, Whitters MJ, Kriz RW, Hewick RM, Wang EA. Novel regulators of bone formation: molecular clones and activities. Science. 242(4885):1528-34, 1988.
[BMP2-3] Zakin L, De Robertis EM. Extracellular regulation of BMP signaling. Curr Biol. 20(3):R89-92, 2010.
[BMP2-4] Fan B, Onteru SK, Du ZQ, Garrick DJ, Stalder KJ, Rothschild MF. Genome-wide association study identifies Loci for body composition and structural soundness traits in pigs. PLoS One. 2011 Feb 24;6(2):e14726.
なお本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕PorcineSNP60 BeadChipに搭載されているSNPの育種マーカー化
イルミナ社より市販されているブタ60K SNPアレイ(PorcineSNP60 BeadChip)を用いて、これまでの解析手法では検出困難であった比較的効果の小さい量的形質遺伝子座を含めて、産肉形質と関連するゲノム領域の網羅的な検出を試みた。まず、JA全農飼料畜産中央研究所上士幌種豚育種研究室において系統造成されたデュロック種(全農デュロック系造成豚)のG0世代を除く3,450頭のDNAを抽出した。そのうち1,059頭をSNPアレイでのジェノタイピングに用いた。フィルタリングの結果、43,631個のSNPによる1,030個体を用いた関連解析を行った。世代別の頭数は、G1:65頭、G2:256頭、G3:336頭、G4:147頭、G5:169頭、G6以降維持豚:57頭である。なお、30日齢体重では963個体、筋肉内脂肪割合では767個体を解析に用いた。
ソフトウェアGEMMA(Genome-wide Efficient Mixed Model Association: Xiang Zhou and Matthew Stephens.2012)を用いた線形混合モデルによる解析を13種の形質(生時体重、30日齢体重、30kg検定時体重、90kg検定時体重、1日平均増体量、体長、体高、胸囲、管囲、ロース芯断面積、背脂肪厚、筋肉内脂肪割合、乳頭数)について行った結果、ゲノムワイド有意水準5%(1.15E-6)で体長と有意に関連のあるSNP(塩基種がTである場合に体長が長い)として、染色体上にマッピングされていないSNP(SNP_ID:MARC0092223、p値=5.68E-07)を新規に同定した。また、1日平均増体量と比較的強い関連のあるSNP(塩基種がAである場合に1日平均増体量が大きい)として、第8染色体上のSNP(SNP_ID:ALGA0049421、Sscrofa10.2, 8:g.129335905A>G、p値=1.71E-05)を新規に同定した。同定したこれらのDNAマーカーの特性を表1に示す。ここで寄与率(変分ベイズ法)とは、全相加的遺伝分散に占める、SNP効果の分散の割合とする。
(表1)ゲノムワイド関連解析で形質との関連が検出されたSNPの特性
Figure 0006424027
〔実施例2〕遺伝子内SNPの育種マーカー化
i. GWASで形質との関連が検出されたゲノム領域内に存在する遺伝子内多型の検索
全農デュロック系造成豚の651頭のGWAS解析を終えた段階で、産肉形質と関連のある複数のSNPが検出されたゲノム領域について、その領域内にある遺伝子について多型検出(再解析)を行った。
その結果、背脂肪厚との関連についてゲノムワイド有意水準5%で有意となったSNPが、Sscrofa10.2では第6染色体の135.117Mb(SNP_ID: ALGA0037123)から136.192Mb(SNP_ID: ALGA0006225)の約1.08Mbの範囲にあった。この領域には、NCBIのMap Viewer (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/projects/mapview/)のSscrofa10.2において、仮想タンパク質を除き9つの遺伝子がマッピングされていた。
筋肉内脂肪割合(IMF)との関連については、形質との弱い関連(p値<0.0001以下)のある第17染色体の領域には、NCBIのMap ViewerのSscrofa10.2において7個の遺伝子がマッピングされていた。
これらの形質との関連が検出された領域内にある遺伝子について、遺伝子コード領域の5'フランキング領域について、ゲノムDNAを用いたPCRと、UTRおよびコード領域のcDNAを用いたPCR(RT-PCR)を行い、ダイレクトシークエンシングと配列のアラインメントによりSNPを抽出した。全農デュロック系造成豚のG5以降の8個体と4品種(ランドレース、大ヨークシャー、バークシャー、梅山豚)の各1頭ずつの計12頭に由来する試料を用い、mRNAは腎臓試料から抽出した。
第6染色体(SSC6)における背脂肪厚と強い関連のある領域では、hypothetical protein (LOC)を含めて11個の遺伝子の配列を決定し、上記12個体より5'フランキング領域の計10,257bpから78箇所の多型(SNPsとindels)を検出した。また、RT-PCR産物では、計21,792bpから109箇所の多型を検出した。
第17染色体(SSC17)における筋肉内脂肪割合と弱い関連のある領域では、hypothetical protein (LOC)を含めて7つの遺伝子配列を決定し、5'フランキング領域の計5,070bpから36箇所の多型を検出した。また、RT-PCR産物では、計5,884bpから41箇所の多型を検出した。
これらの検出した多型に対して、マトリックス支援-飛行時間型質量分析計(MALDI-TOF MS)で検出可能なプライマーを設計し、全農デュロック系造成豚768個体のジェノタイピングを行った。ジェノタイピング結果から、連鎖不平衡係数(r)を基にAPCluster(http://www.bioinf.jku.at/software/apcluster/)を用いて強く連鎖している多型座によるマーカークラスターを作成した。その後、生成した各マーカークラスターのハプロタイプを用いて、Qxpack(http://www.icrea.cat/Web/OtherSection Viewer.aspx?key=485)により関連解析を行った。
その結果、第6染色体(SSC6)における背脂肪厚と強い関連のある領域では、23個のマーカークラスターが作成された。これらのクラスターの中では、下記表2に示す、LEPR(レプチン受容体)遺伝子内に検出された多型のクラスターのp値(p=4.33E-14)が最小であった。このクラスターに含まれる複数のSNP及びMALDI-TOF MSでのジェノタイピングに用いたプライマーを表2に示す。
このクラスターに含まれる複数のSNPのうち、LEPR c.1604-14A>G(ChrUScaf4201, g.64507A>G)は、該SNPの塩基種がGの場合のみ制限酵素AcuIで認識されるため、PCR-RFLP法による判別系を構築可能であった。また、該SNPは複数の産肉形質と関連があり、GEMMA法による768個体の全農デュロック造成豚の解析では、背脂肪厚に関してp値=7.61E-13、胸囲に関してp値=2.17E-07、1日平均増体量に関してp値=5.57E-05であった。該SNPの全農768個体でのアリル頻度はG:A=0.561:0.439であり、G対立遺伝子を有する場合に背脂肪厚が厚く、胸囲が大きく、且つ1日平均増体量が大きかった。
また、第17染色体(SSC17)における筋肉内脂肪割合と弱い関連のある領域では、7個のマーカークラスターが作成された。これらのクラスターの中では、下記表3に示す、FIT2遺伝子およびその近傍の遺伝子におけるSNPを含むクラスターのp値(p=3.30E-2)が最小であった。このクラスターに含まれる複数のSNP及びMALDI-TOF MSでのジェノタイピングに用いたプライマーを表3に示す。
このクラスターに含まれる複数のSNPのうち、FIT2 c.*91G>A(Sscrofa build 10.2 assembly上での表記は17:g.52191487C>T)は、該SNPの塩基種がTの場合のみ制限酵素BssSIで認識されるため、PCR-RFLP法による判別系を構築可能であった。また、該SNPと筋肉内脂肪割合との関連性は、GEMMA法による580個体(ジェノタイピングした768個体の内、筋肉内脂肪割合の形質値のある個体数は580)の全農デュロック造成豚の解析ではp値=3.50E-05であった。該SNPの全農580個体でのアリル頻度はT:C=0.628:0.372であり、T対立遺伝子を有する場合に筋肉内脂肪割合が大きかった。
背脂肪厚増加形質との関連が検出された上記マーカークラスターでのLEPR遺伝子上の多型を表2に示す。また、筋肉内脂肪割合増加形質との関連が検出された上記マーカークラスターでのFIT2遺伝子およびその近傍の遺伝子上の多型を表3に示す。
(表2)LEPR遺伝子上の多型及びMALDI-TOF MSでのジェノタイピングに用いたプライマー
Figure 0006424027
表2に記載のマーカークラスターにおける各SNPについて、下記に該当する場合に、被験ブタの背脂肪厚が厚い傾向にあった:
(1)配列番号8に記載の塩基配列の5'側から30番目の塩基に相当する多型部位(g.37323T>C)の塩基種がTである;
(2)配列番号9に記載の塩基配列の5'側から26番目の塩基に相当する多型部位(g.49389G>A)の塩基種がGである;
(3)配列番号10に記載の塩基配列の5'側から41番目の塩基に相当する多型部位(g.49404G>A)の塩基種がGである;
(4)配列番号11に記載の塩基配列の5'側から35番目の塩基に相当する多型部位(g.49450G>A)の塩基種がGである;
(5)配列番号12に記載の塩基配列の5'側から59番目の塩基に相当する多型部位(g.49527G>A)の塩基種がGである;又は
(6)配列番号1に記載の塩基配列の5'側から355番目の塩基に相当する多型部位(g.64507A>G)の塩基種がGである。
(表3)FIT2遺伝子およびその近傍の遺伝子上の多型及びMALDI-TOF MSでのジェノタイピングに用いたプライマー
Figure 0006424027
表3に記載のマーカークラスターにおける各SNPについて、下記に該当する場合に、被験ブタの筋肉内脂肪割合が大きい傾向にあった:
(1)配列番号13に記載の塩基配列の5'側から32番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52182199C>T)の塩基種がTである;
(2)配列番号14に記載の塩基配列の5'側から56番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52191131_52191132insT:塩基種Tの挿入欠失(indel)多型)の塩基種がTである;
(3)配列番号15に記載の塩基配列の5'側から35番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52191232T>C)の塩基種がTである;
(4)配列番号16に記載の塩基配列の5'側から48番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52191304T>C)の塩基種がCである;
(5)配列番号17に記載の塩基配列の5'側から33番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52191435T>C)の塩基種がCである;
(6)配列番号18に記載の塩基配列の5'側から53番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52191455T>C)の塩基種がCである;
(7)配列番号2に記載の塩基配列の5'側から376番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52191487C>T)の塩基種がTである;
(8)配列番号19に記載の塩基配列の5'側から62番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52194895T>C)の塩基種がCである;又は
(9)配列番号20に記載の塩基配列の5'側から46番目の塩基に相当する多型部位(17: g.52215637A>G)の塩基種がGである。
ii. 成長、肥満指数、筋肉量関連遺伝子の多型検索と関連解析
これまでに筋肉量の増加や成長との関連が報告されている遺伝子、ヒトのGWASの結果から肥満指数(BMI)との関連が示唆された遺伝子、更に、60Kアレイによる本研究のGWASの結果から成長関連形質等に弱い関連(概ねp値<0.0005)が検出されたSNPの近傍にある遺伝子について、発現遺伝子および発現遺伝子の5'フランキング領域の多型を検索後、768個体の全農デュロック系造成豚のジェノタイピングを行い、線形混合モデル(GEMMA)で解析した。全農デュロック系造成豚8頭および日本国内の系統豚2頭、米国デュロック系豚2頭の計12頭を用いたゲノムDNAのPCR、およびcDNAのPCR増幅により、計55遺伝子から約61.2kbpを決定し、配列のアラインメントによりSNPを検出した。計41個のSNPについて、60K SNPアレイのデータを取得している768個体の全農デュロック系造成豚のジェノタイピングを行い、GEMMAにて尤度比検定を行った。その結果、ボンフェローニ補正後のp値(有意水準0.05として、0.05/41=0.0012)で、1日平均増体量との関連で有意となったSNP(CCBE1遺伝子、第1染色体, Sscrofa10.2, 1:g.179102350A>G; CCBE1 c.500A>G、p値=8.53E-4)、および90kg検定時体重との関連で有意となったSNP(CADM2遺伝子の5'フランキング領域、第13染色体, Sscrofa10.2, 13:g.180931565A>Cと13:g.180951183A>Cの2箇所にマッピング、p値=5.90E-4)が検出された。全農768個体において、前者のSNPについては、アリル頻度がA:G=0.63:0.37であり、A対立遺伝子を有する場合に1日平均増体量が大きく、後者のSNPについては、アリル頻度がC:A=0.181:0.819であり、C対立遺伝子を有する場合に90kg検定時体重が大きかった。
iii. 60K SNPアレイによる枝肉サンプル形質との関連解析と、背腰長に関連するSNP近傍のBMP2遺伝子内多型の検索
全農デュロック系豚を止雄とした枝肉サンプルを用い、14形質についてベイズB法により関連解析を行った。その結果、背腰長Iで効果の検出されたSNP:ALGA0105626(第17染色体, Sscrofa10.2, 17:g.18894036G>A, マーカー効果として8.59mm影響)と背腰長IIで効果の検出されたSNP:ALGA0093437(第17染色体, Sscrofa10.2, 17:g.16767555A>G、マーカー効果として1.31mm影響)の近傍にはBMP2(bone morphogenesis protein 2)遺伝子が存在した。そこで、BMP2遺伝子のコード領域を含む1,291bpをRT-PCRにより増幅し、2箇所のSNPを検出した。これらのSNPのうちBMP2 c.770T>C(Sscrofa10.2上では17:g.17,062,535T>Cとg.17412295C>Tの2箇所にマッピング)は、塩基種の違いを制限酵素Tsp45Iによる認識の有無で判別可能であった。このSNPマーカーを用いて枝肉サンプルをGEMMA法で解析した場合、離乳時から出荷日にかけての1日平均増体量についてp値=4.47E-04、全農デュロック造成豚768頭のGEMMA法での解析で、生時体重についてp値=3.30E-02と算出された。しかし、枝肉サンプルのGEMMA法での解析では、背腰長で有意差は検出されなかった。このSNPの全農768個体でのアリル頻度はC:T=0.766:0.234であり、T対立遺伝子を有する場合に1日平均増体量が大きく、C対立遺伝子を有する場合に生時体重が大きかった。
本実施例において同定した、簡易判別系を構築可能な5種の遺伝子内SNPについての、MALDI-TOF MSでのジェノタイピングに用いたプライマーを表4に示す。
(表4)MALDI-TOF MSでのジェノタイピングに用いたプライマー
Figure 0006424027
実施例1および2で同定した多型と産肉形質との関連を表5にまとめた。
(表5)本発明の多型と産肉形質との関連
Figure 0006424027
〔実施例3〕多型部位の塩基種の簡易判別系の開発
実施例1および2において産肉形質との関連が同定された7つの多型について、PCR-RFLP法またはPCR-SSP法で簡便にSNP型を判別する系を構築した。具体的には、まず実施例1または2で得た被験ブタ由来のDNA試料のうち、各多型につきジェノタイピングによってSNP型が異なると判明した各3検体ずつ計9検体を用い、表6に記載のプライマーセットを用いるPCR反応により、多型部位を含むDNA領域を増幅した。PCR反応は以下の条件をベースとして、表6に記載のアニーリング温度およびサイクル数nにて行った。
Figure 0006424027
次に、増幅されたDNA領域を、表6に記載の制限酵素で処理し、生じたDNA断片を常法通り電気泳動にてサイズ分離した。制限酵素処理後のDNA断片長を表6に、DNA断片長を確認した電気泳動写真を図1および2に示す。
(表6)多型部位の塩基種の簡易判別系

Figure 0006424027
LEPR c.1604-14A>G(ChrUScaf4201, g.64507A>G)については、当該SNPを含む配列が、該SNPの塩基種がGの場合のみ制限酵素AcuIで認識されることを利用するPCR-RFLP法による判別系とした。
FIT2 c.*91G>A(Sscrofa10.2, 17:g.52191487C>T)については、当該SNPを含む配列が、該SNPの塩基種がT(ゲノムのフォワード配列の場合)またはA(FIT2 mRNAの場合)の場合のみ制限酵素BssSIで認識されることを利用するPCR-RFLP法による判別系とした。
BMP2 c.770T>C(Sscrofa10.2, 17:g.17,062,535T>Cとg.17412295C>Tの2箇所にマッピング)については、当該SNPを含む配列が、該SNPの塩基種がCの場合のみ制限酵素Tsp45Iで認識されることを利用するPCR-RFLP法による判別系とした。
SNP_ID:MARC0092223については、当該SNPを含む配列が、該SNPの塩基種がTの場合のみ制限酵素XspI及びMaeIで認識されることを利用するPCR-RFLP法による判別系とした。
SNP_ID:ALGA0049421については、当該SNPを含む配列が、該SNPの塩基種がGの場合のみ制限酵素HhaIで認識されることを利用するPCR-RFLP法による判別系とした。
CCBE1 c.500A>G(Sscrofa10.2, 1:g.179102350A>G)については、当該SNPを含む配列が、該SNPの塩基種がAの場合のみ制限酵素BstNIで認識されるため、PCR-RFLP法による判別系とした。
CADM2遺伝子の5'フランキング領域に存在するSNP(Sscrofa10.2, 13:g.180931565A>Cと13:g.180951183A>Cの2箇所にマッピング)については、当該SNPを含む配列が制限酵素で認識されないため、PCR-SSP法による判別系とした。
系統造成などにおいて、本研究で作製された育種マーカーの遺伝子型情報を用いて基礎豚を収集することで、比較的短い世代数で改良目標を達成できる可能性がある。例えば、本発明で用いたデュロック造成豚では、背脂肪厚を厚く、また1日平均増体量を増加させる選抜が行われているが、LEPR遺伝子上のSNP「LEPR c.1604-14A>G」では、G1世代から維持豚にかけて、G対立遺伝子の頻度が一貫して上昇している。従って、基礎豚について、前記多型部位においてG対立遺伝子を持つ個体の割合を増やすことによって、改良期間を大幅に短縮することが期待される。また、三元豚等の肉豚生産の現場では、成長性(1日平均増体量)や肉質(筋肉内脂肪割合)に関連のある育種マーカーによって選抜された親豚を用いることで、成長が早く肉質の良い肉豚が生産できる。

Claims (3)

  1. 被験ブタ由来の生物学的試料において、ブタゲノム上の多型部位であって下記(1)〜()のいずれかの多型部位の塩基種を決定することを特徴とする、ブタの産肉形質を評価する方法:
    (1)配列番号1に記載の塩基配列の5'側から355番目の塩基に相当する多型部位;
    (2)配列番号2に記載の塩基配列の5'側から376番目の塩基に相当する多型部位;
    (3)配列番号3に記載の塩基配列の5'側から139番目の塩基に相当する多型部位;
    (4)配列番号4に記載の塩基配列の5'側から140番目の塩基に相当する多型部位;
    (5)配列番号5に記載の塩基配列の5'側から318番目の塩基に相当する多型部位;又は
    (6)配列番号6に記載の塩基配列の5'側から95番目の塩基に相当する多型部位;
    ここで、
    前記(1)の多型部位の塩基種がGである場合に背脂肪厚増加形質、胸囲増加形質、及び1日平均増体量増加形質を有すると判定する;
    前記(2)の多型部位の塩基種がTである場合に筋肉内脂肪割合増加形質を有すると判定する;
    前記(3)の多型部位の塩基種がTである場合に1日平均増体量増加形質を有すると判定し、Cである場合に生時体重増加形質を有すると判定する;
    前記(4)の多型部位の塩基種がTである場合に体長増加形質を有すると判定する;
    前記(5)の多型部位の塩基種がAである場合に1日平均増体量増加形質を有すると判定する;又は
    前記(6)の多型部位の塩基種がAである場合に1日平均増体量増加形質を有すると判定する
  2. 被験ブタ由来の生物学的試料において、下記(1)〜(2)のいずれかの多型部位のアミノ酸種を決定することを特徴とする、ブタの産肉形質を評価する方法:
    (1)LEPR遺伝子によってコードされるアミノ酸配列上の多型部位であって配列番号21若しくは22に記載のアミノ酸配列のN末端側から535番目のアミノ酸に相当する多型部位;又は
    (2)CCBE1遺伝子によってコードされるアミノ酸配列上の多型部位であって配列番号23に記載のアミノ酸配列のN末端側から167番目のアミノ酸に相当する多型部位
    ここで、
    前記(1)の多型部位のアミノ酸種がグルタミン酸である場合に背脂肪厚増加形質、胸囲増加形質、及び1日平均増体量増加形質を有すると判定する;又は
    前記(2)の多型部位のアミノ酸種がグルタミンである場合に1日平均増体量増加形質を有すると判定する
  3. 下記(A)又は(B)の物質を有効成分とする、ブタの産肉形質評価用試薬:
    (A)下記(1)〜()のいずれかの多型部位の塩基種を決定可能な遺伝子増幅産物を与えるように、該部位を挟み込む、それぞれ下記(1)〜()に記載の塩基配列を基にした15塩基以上の塩基配列からなる、ブタの産肉形質評価用プライマーセット:
    (1)配列番号1に記載の塩基配列の5'側から355番目の塩基に相当する多型部位;
    (2)配列番号2に記載の塩基配列の5'側から376番目の塩基に相当する多型部位;
    (3)配列番号3に記載の塩基配列の5'側から139番目の塩基に相当する多型部位;
    (4)配列番号4に記載の塩基配列の5'側から140番目の塩基に相当する多型部位;
    (5)配列番号5に記載の塩基配列の5'側から318番目の塩基に相当する多型部位;若しくは
    (6)配列番号6に記載の塩基配列の5'側から95番目の塩基に相当する多型部位;
    (B)上記(1)〜()のいずれかの部位を含むDNA領域若しくはその相補的領域とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、該DNA領域若しくはその相補的領域と100%相同性を有する15塩基以上の塩基配列からなる、ブタの産肉形質評価用プローブ。
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