以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る導電性粒子材料は、基材粒子と、該基材粒子の表面上に配置された第1の導電層とを備える導電性粒子を複数含む。本発明に係る導電性粒子材料は、上記導電性粒子の集合体である。上記第1の導電層の融点は450℃以下である。上記導電性粒子材料において、上記導電性粒子の粒子径のCV値は、上記基材粒子の粒子径のCV値よりも大きい。従って、上記導電性粒子材料では、上記基材粒子の粒子径は比較的揃っている。上記導電性粒子材料では、上記導電性粒子の粒子径は比較的ばらついている。
本発明に係る導電性粒子材料における上述した構成の採用によって、上記導電性粒子材料を電極間の接続に用いた場合に、電極間に複数の導電性粒子を効率的に配置することができる。例えば、特定の領域に複数の導電性粒子がまとまって配置され難くなり、広い範囲に渡って複数の導電性粒子が均一に配置されやすくなる。特定の領域に複数の導電性粒子がまとまって配置され難くなる結果、電極がないスペースに配置される導電性粒子の割合を少なくし、第1,第2の電極間に配置される導電性粒子の割合を多くすることができる。さらに、本発明に係る導電性粒子材料の使用により、得られる接続構造体において、第1,第2の電極間の間隔のばらつきが小さくなり、導電性粒子により接続される接続対象部材が湾曲し難くなる。
上記粒子径のCV値(変動係数)は下記式で表される。
CV値(%)=(σn/Dn)×100
基材粒子の場合:
σn:基材粒子の粒子径の標準偏差
Dn:基材粒子の数平均粒子径
導電性粒子の場合:
σn:導電性粒子の粒子径の標準偏差
Dn:導電性粒子の数平均粒子径
本発明に係る導電性粒子材料は、バインダー樹脂中に分散され、導電材料として好適に用いられる。
電極間に複数の導電性粒子を効率的に配置し、広い範囲に渡って複数の導電性粒子を均一に配置する観点からは、上記基材粒子のCV値は好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、更に好ましくは4%以下である。また、上記基材粒子のCV値が上記下限以上及び上記上限以下であると、得られる接続構造体において、第1,第2の電極間の間隔のばらつきがより一層小さくなり、導電性粒子により接続される接続対象部材がより一層湾曲し難くなる。
電極間に複数の導電性粒子を効率的に配置し、広い範囲に渡って複数の導電性粒子を均一に配置する観点からは、上記導電性粒子の粒子径のCV値と上記基材粒子の粒子径のCV値との差の絶対値は、好ましくは1%以上、より好ましくは3%以上、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、更に好ましくは8%以下、特に好ましくは5%以下である。
上記導電性粒子のCV値は、従来公知の方法により、適宜制御することが可能である。また、上記基材粒子のCV値についても、従来公知の方法により、適宜制御することが可能である。但し、本発明では、上記導電性粒子の粒子径のCV値が、上記基材粒子の粒子径のCV値よりも大きいように、導電性粒子と基材粒子とが選択されて用いられる。
上記導電性粒子材料において、導電性粒子のCV値及び基材粒子の粒子径のCV値を制御する方法としては、篩等を用いて所定の粒子径となるように選別(分級など)した導電性粒子を用いる方法、篩等を用いて所定の粒子径となるように選別(分級など)した基材粒子を用いる方法、基材粒子の表面上に形成する第1の導電層の厚みを制御する方法等が挙げられる。上記第1の導電層の厚みを制御する方法としては、シータコンポーザーにより上記第1の導電層の厚みを制御する方法、並びに無機電解めっきにより第1の導電層を形成する際に、めっき段階で複数回にわけて(例えば、めっきの初期段階と中期段階と後期段階)、第1の導電層が形成された導電性粒子を取り出す方法が挙げられる。例えば、上記第1の導電層がはんだ層である場合に、シータコンポーザーに、原料のはんだ粉を入れる際に、初期に粒子径が小さいはんだ粉を入れ、後期に粒子径大きいはんだ粉を入れる方法等が挙げられる。また、別々に第1の導電層を形成した複数の導電性粒子を混合して、導電性粒子材料を得てもよい。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態及び実施例を挙げることにより、本発明を明らかにする。
(導電性粒子材料)
図1に、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子材料に含まれる導電性粒子を断面図で示す。
図1に示す導電性粒子1は、基材粒子2と、基材粒子2の表面上に配置された第1の導電層3とを備える。導電性粒子1は、基材粒子2の表面が第1の導電層3により被覆された被覆粒子である。第1の導電層3の融点は450℃以下である。
基材粒子2は、基材粒子本体6と、基材粒子本体6の表面上に配置された第2の導電層7とを有する。従って、導電性粒子1は、基材粒子本体6と、基材粒子本体6の表面上に配置された第2の導電層7と、第2の導電層7の表面上に配置された第1の導電層3とを有する。第2の導電層7の融点は、第1の導電層3の融点よりも高い。
図2に、本発明の第2の実施形態に係る導電性粒子材料に含まれている導電性粒子を断面図で示す。
図2に示す導電性粒子11は、基材粒子12と、基材粒子12の表面上に配置された第1の導電層13とを備える。導電性粒子11は、基材粒子12の表面が第1の導電層13により被覆された被覆粒子である。第1の導電層13の融点は450℃以下である。
上記基材粒子は、導電層を有さない基材粒子であるか、又は基材粒子本体と該基材粒子本体の表面上に配置された第2の導電層とを有する基材粒子であることが好ましい。上記基材粒子は、導電層を有さない基材粒子であってもよく、基材粒子本体と該基材粒子本体の表面上に配置された第2の導電層とを有する基材粒子であってもよい。
上記導電層を有さない基材粒子及び上記基材粒子本体としては、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子及び金属粒子等が挙げられる。上記導電層を有さない基材粒子及び上記基材粒子本体は、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であってもよく、金属粒子であってもよい。上記導電層を有さない基材粒子及び上記基材粒子本体はそれぞれ、金属粒子を除く基材粒子であることが好ましく、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。
上記導電層を有さない基材粒子及び上記基材粒子本体は、樹脂により形成された樹脂粒子であることが好ましい。導電性粒子を用いて電極間を接続する際には、導電性粒子を電極間に配置した後、圧着することにより導電性粒子を圧縮させる。上記導電層を有さない基材粒子及び上記基材粒子本体が樹脂粒子であると、上記圧着の際に導電性粒子が変形しやすく、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなる。このため、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
上記樹脂粒子を形成するための樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリアルキレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ジビニルベンゼン重合体、並びにジビニルベンゼン系共重合体等が挙げられる。上記ジビニルベンゼン系共重合体等としては、ジビニルベンゼン−スチレン共重合体及びジビニルベンゼン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記樹脂粒子の硬度を好適な範囲に容易に制御できるので、上記樹脂粒子を形成するための樹脂は、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。
上記樹脂粒子を、エチレン性不飽和基を有する単量体を重合させて得る場合には、該エチレン性不飽和基を有する単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
上記非架橋性の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等の不飽和炭化水素;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、塩化ビニル、フッ化ビニル、クロルスチレン等のハロゲン含有単量体等が挙げられる。
上記架橋性の単量体としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレンジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、ビニルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体等が挙げられる。
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を、公知の方法により重合させることで、上記樹脂粒子を得ることができる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、並びに非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
上記基材粒子が金属を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である場合には、基材粒子を形成するための無機物としては、シリカ及びカーボンブラック等が挙げられる。上記シリカにより形成された粒子としては特に限定されないが、例えば、加水分解性のアルコキシシル基を2つ以上有するケイ素化合物を加水分解して架橋重合体粒子を形成した後に、必要に応じて焼成を行うことにより得られる粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
上記基材粒子が金属粒子である場合に、該金属粒子を形成するための金属としては、銀、銅、ニッケル、ケイ素、金及びチタン等が挙げられる。上記基材粒子が金属粒子である場合に、該金属粒子は銅粒子であることが好ましい。但し、上記基材粒子は金属粒子ではないことが好ましい。
上記導電性粒子は、単層の導電層(第1の導電層)を有していてもよい。上記導電性粒子は、複数の層の導電層(第1,第2の導電層)を有していてもよい。すなわち、上記導電性粒子では、導電層を2層以上積層してもよい。また、第1の導電層の融点よりも高い融点を有する第2の導電層は複数の層であってもよい。
上記第1の導電層は、融点が450℃以下である低融点金属層である。上記低融点金属層は、低融点金属を含む層である。該低融点金属とは、融点が450℃以下の金属を示す。低融点金属の融点は好ましくは300℃以下、より好ましくは160℃以下である。また、上記低融点金属層は錫を含むことが好ましい。低融点金属層に含まれる金属100重量%中、錫の含有量は好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、更に好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。上記低融点金属層における錫の含有量が上記下限以上であると、低融点金属層と電極との接続信頼性がより一層高くなる。なお、上記錫の含有量は、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置(堀場製作所社製「ICP−AES」)、又は蛍光X線分析装置(島津製作所社製「EDX−800HS」)等を用いて測定可能である。
上記低融点金属層がある場合には、低融点金属層が溶融して電極に接合し、低融点金属層が電極間を導通させる。例えば、低融点金属層と電極とが点接触ではなく面接触しやすいため、接続抵抗が低くなる。また、低融点金属層を有する導電性粒子の使用により、低融点金属層と電極との接合強度が高くなる結果、低融点金属層と電極との剥離がより一層生じ難くなり、導通信頼性が効果的に高くなる。
上記低融点金属層を構成する低融点金属は特に限定されない。該低融点金属は、錫、又は錫を含む合金であることが好ましい。該合金は、錫−銀合金、錫−銅合金、錫−銀−銅合金、錫−ビスマス合金、錫−亜鉛合金、錫−インジウム合金等が挙げられる。なかでも、電極に対する濡れ性に優れることから、上記低融点金属は、錫、錫−銀合金、錫−銀−銅合金、錫−ビスマス合金、錫−インジウム合金であることが好ましい。錫−ビスマス合金、錫−インジウム合金であることがより好ましい。
また、上記低融点金属層(上記第1の導電層)は、はんだ層であることが好ましい。上記はんだ層を構成する材料は特に限定されないが、JIS Z3001:溶接用語に基づき、液相線が450℃以下である溶加材であることが好ましい。上記はんだ層の組成としては、例えば亜鉛、金、鉛、銅、錫、ビスマス、インジウムなどを含む金属組成が挙げられる。なかでも低融点で鉛フリーである錫−インジウム系(117℃共晶)、又は錫−ビスマス系(139℃共晶)が好ましい。すなわち、はんだ層は、鉛を含まないことが好ましく、錫とインジウムとを含むはんだ層、又は錫とビスマスとを含むはんだ層であることが好ましい。
上記低融点金属層と電極との接合強度をより一層高めるために、上記低融点金属層は、ニッケル、銅、アンチモン、アルミニウム、亜鉛、鉄、金、チタン、リン、ゲルマニウム、テルル、コバルト、ビスマス、マンガン、クロム、モリブデン、パラジウム等の金属を含んでいてもよい。低融点金属層と電極との接合強度をさらに一層高める観点からは、上記低融点金属は、ニッケル、銅、アンチモン、アルミニウム又は亜鉛を含むことが好ましい。低融点金属層と電極との接合強度をより一層高める観点からは、接合強度を高めるためのこれらの金属の含有量は、低融点金属層100重量%中、好ましくは0.0001重量%以上、好ましくは1重量%以下である。
上記第2の導電層の融点は、上記第1の導電層の融点よりも高い。上記第2の導電層の融点は好ましくは160℃を超え、より一層好ましくは300℃を超え、更に好ましくは400℃を超え、更に一層好ましくは450℃を超え、特に好ましくは500℃を超え、最も好ましくは600℃を超える。上記第1の導電層は、融点が低いために導電接続時に溶融する。上記第2の導電層は導電接続時に溶融しないことが好ましい。上記導電性粒子は、上記第1の導電層を溶融させて用いられることが好ましく、上記第1の導電層を溶融させてかつ上記第2の導電層を溶融させずに用いられることが好ましい。上記第2の導電層の融点が上記第1の導電層の融点をよりも高いことによって、導電接続時に、上記第2の導電層を溶融させずに、上記第1の導電層のみを溶融させることができる。
上記第1の導電層の融点と上記第2の導電層との融点との差の絶対値は、0℃を超え、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上、更に好ましくは30℃以上、特に好ましくは50℃以上、最も好ましくは100℃以上である。
上記第2の導電層は、金属を含むことが好ましい。該第2の導電層を構成する金属は、特に限定されない。該金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、亜鉛、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム及びカドミウム、並びにこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属として、錫ドープ酸化インジウム(ITO)を用いてもよい。上記金属は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記第2の導電層は、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は金層であることが好ましく、ニッケル層又は金層であることがより好ましく、銅層であることが更に好ましい。導電性粒子は、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は金層を有することが好ましく、ニッケル層又は金層を有することがより好ましく、銅層を有することが更に好ましい。これらの好ましい導電層を有する導電性粒子を電極間の接続に用いることにより、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。また、これらの好ましい導電層の表面には、低融点金属層をより一層容易に形成できる。
上記導電性粒子材料において、上記導電性粒子の平均粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、好ましくは100μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは15μm以下、特に好ましくは10μm以下である。熱履歴を受けた場合の接続構造体の接続信頼性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子の平均粒子径は、1μm以上、10μm以下であることが特に好ましく、1μm以上、4μm以下であることが最も好ましい。
上記導電性粒子の「平均粒子径」は、数平均粒子径を示す。導電性粒子の平均粒子径は、任意の導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
上記第1の導電層の平均厚みは、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.5μm以上、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。上記第1の導電層の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、圧着時に上記第1の導電層が電極へ充分に濡れ拡がるので、充分な導電性が得られる。上記第1の導電層の平均厚みは、導電性粒子材料に含まれる複数の導電性粒子における第1の導電層の厚みの平均である。
上記第2の導電層の平均厚みは、好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下、更に好ましくは0.3μm以下である。上記第2の導電層の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。また、上記第2の導電層の平均厚みは、導電性粒子材料に含まれる複数の導電性粒子における第2の導電層の厚みの平均である。
(導電材料)
本発明に係る導電材料は、上述した導電性粒子材料と、バインダー樹脂とを含む。従って、本発明に係る導電材料は、複数の導電性粒子を含む。上記導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。
上記バインダー樹脂は特に限定されない。上記バインダー樹脂としては、一般的には絶縁性の樹脂が用いられる。上記バインダー樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記バインダー樹脂は熱硬化性成分を含むことが好ましく、熱硬化性化合物と熱硬化剤とを含むことがより好ましい。上記バインダー樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ビニル樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂又は湿気硬化型樹脂であってもよい。上記硬化性樹脂は、硬化剤と併用されてもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル−スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
上記導電材料は、上記絶縁性粒子付き導電性粒子及び上記バインダー樹脂の他に、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる方法は、従来公知の分散方法を用いることができ特に限定されない。上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる方法としては、例えば、上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を添加した後、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、上記導電性粒子を水又は有機溶剤中にホモジナイザー等を用いて均一に分散させた後、上記バインダー樹脂中に添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、並びに上記バインダー樹脂を水又は有機溶剤等で希釈した後、上記導電性粒子を添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法等が挙げられる。
本発明に係る導電材料は、導電ペースト及び導電フィルム等として使用され得る。本発明に係る導電材料が導電フィルムである場合には、導電性粒子材料を含む該導電フィルムに、導電性粒子材料を含まないフィルムが積層されていてもよい。上記導電ペーストは、異方性導電ペーストであることが好ましい。上記導電フィルムは、異方性導電フィルムであることが好ましい。
導電材料100重量%中、上記バインダー樹脂の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上、好ましくは99.99重量%以下、より好ましくは99.9重量%以下である。上記バインダー樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間に導電性粒子がより一層効率的に配置され、導電材料により接続された接続対象部材の接続信頼性がより一層高くなる。
導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量(すなわち上記導電性粒子材料の含有量)は好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、更に好ましくは1重量%以上、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下、更に好ましくは20重量%以下、特に好ましくは15重量%以下である。導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は、1重量%以上、20重量%以下であることが特に好ましい。上記導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、接続されるべき上下の電極間に導電性粒子を容易に配置できる。さらに、接続されてはならない隣接する電極間が複数の導電性粒子を介して電気的に接続され難くなる。すなわち、隣り合う電極間の短絡をより一層防止できる。
(接続構造体)
上述した導電性粒子材料とバインダー樹脂とを含む導電材料(異方性導電材料など)を用いて、接続対象部材を接続することにより、接続構造体を得ることができる。
上記接続構造体は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備え、該接続部が上述した導電性粒子材料とバインダー樹脂とを含む導電材料により形成されている接続構造体であることが好ましい。
図3は、図1に示す導電性粒子1を用いた接続構造体を模式的に示す正面断面図である。
図3に示す接続構造体51は、第1の接続対象部材52と、第2の接続対象部材53と、第1の接続対象部材52と第2の接続対象部材53とを接続している接続部54とを備える。接続部54は、複数の導電性粒子1を含有する導電性粒子材料とバインダー樹脂とを含む導電材料により形成されている。導電性粒子1にかえて、導電性粒子11などの他の導電性粒子を用いてもよい。
第1の接続対象部材52は表面(上面)に、複数の第1の電極52aを有する。第2の接続対象部材53は表面(下面)に、複数の第2の電極53aを有する。第1の電極52aと第2の電極53aとが、1つ又は複数の導電性粒子1により電気的に接続されている。従って、第1,第2の接続対象部材52,53が導電性粒子1により電気的に接続されている。なお、第1,第2の電極52a,53aはそれぞれ長さ方向と幅方向とを有し、図3では、第1,第2の電極52a,53aの長さ方向における断面が示されている。
図3に示す接続構造体51は、例えば、図4(a)〜(c)に示す各工程を経て、以下のようにして得ることができる。
先ず、複数の第1の電極52aを表面に有する第1の接続対象部材52を用意する。次に、図4(a)に示すように、第1の接続対象部材52の表面上に、上記導電材料(異方性導電材料など)を配置し、第1の接続対象部材52の表面上に導電材料層54A(異方性導電材料層など)を形成する。このとき、第1の電極52a上の一部の領域である第1の領域R1に導電材料を配置して、導電材料層54Aを形成する。導電材料層54Aを初期に配置した領域が第1の領域R1である。
次に、複数の第2の電極53aを表面に有する第2の接続対象部材53を用意する。図4(b)に示すように、導電材料層54Aの第1の接続対象部材52側とは反対の表面上に、第2の接続対象部材53を積層する。第1の電極52aと第2の電極53aとが対向するように、第2の接続対象部材53を積層する。第2の接続対象部材53の積層時に、第1の領域R1の周囲の第2の領域R2に導電材料層54Aを矢印Y1,Y2で示す方向に濡れ拡がらせる。すなわち、導電材料層54Aを、第1の領域の周囲の第2の領域R2に流動させる。このとき、第1の領域R1又は第1の領域R1近傍において、比較的大きな導電性粒子1が、第1の電極52aと第2の電極53aとの間に挟み込まれやすい。
その後、図4(c)に示すように、第1の接続対象部材52と導電材料層54Aと第2の接続対象部材53とが積層された積層体において、導電材料層54Aを加熱して硬化させる。導電材料層54Aを加熱する際に、第1の導電層3を溶融させる。導電材料層54Aを加熱する際に、加圧することが好ましい。第1の電極52aと第2の電極53aとが挟み込まれている比較的大きな導電性粒子1の第1の導電層3が溶融することで、第1,第2の電極52a,53a間の間隔が狭くなる。例えば、第1の導電層3の厚み分だけ、第1,第2の電極52a,53a間の間隔が狭くなる。また、第1,第2の電極52a,53a間の間隔が狭くなるほど、導電材料層54Aが矢印Y1,Y2で示す方向に移動する。すなわち、導電材料層54Aが、第1の領域R1の周囲の第2の領域R2に流動する。導電性粒子1の粒径が大きいほど、第1の領域R1又は第1の領域R1近傍で、導電性粒子1が第1,第2の電極52a,53a間に挟まれやすい。導電性粒子1の粒径が小さいほど、第2の領域R2で、導電性粒子1が第1,第2の電極52a,53a間に挟まれやすい。
また、基材粒子2の粒子径が均一であるほど、第1,第2の電極52a,53aに複数の基材粒子2が接触しやすくなり、電極間の接続抵抗がより一層低くなり、更に電極間の間隔が均一になる。一方で、基材粒子の粒子径が不均一であるほど、第1,第2の電極に接触しない基材粒子が多くなり、電極間の接続抵抗が高くなり、更に電極間の間隔が不均一になる。
また、第2の導電層7を有する導電性粒子を用いることで、第1,第2の電極52a,53aに複数の基材粒子2における第2の導電層7が接触しやすくなる。一方で、第1の導電層の融点が高く、第1の導電層が溶融しない場合には、比較的大きな導電性粒子によって第1,第2の電極間の間隔が規制されて、比較的小さな導電性粒子が電極に接触しなかったり、比較的大きな導電性粒子によって第1,第2の電極間が接続された部分と、比較的小さな導電性粒子によって第1,第2の電極間が接続された部分とで電極間の間隔が異なって、接続対象部材が湾曲したりすることがある。
上記のようにして、導電材料を用いた導電材料層54Aを加熱して硬化させることで、接続部54を形成する。接続部54により、第1の接続対象部材52と第2の接続対象部材53とを接続する。また、第1の電極52aと第2の電極53aとを導電性粒子1により電気的に接続する。このようにして接続構造体51を得ることができる。
また、図3に示すように、接続構造体51では、上記積層体を加熱及び加圧することにより、導電性粒子1における第1の導電層3が溶融した後、溶融した第1の導電層部分が第1,第2の電極52a,53aと十分に接触する。すなわち、融点が低い第1の導電層3を備える導電性粒子1を用いることにより、第1の導電層3を溶融させて第1,第2の電極52a,53aの表面を濡れ拡がらせることができ、第1の導電層3と第1,第2の電極52a,53aとの接触面積を大きくすることができる。また、導電性粒子1を用いた場合には、第2の導電層7を第1の電極52aと第2の電極53aとに接触させることができる。第2の導電層7の導電性が第1の導電層3の導電性よりも高い場合に、接続抵抗をより一層低くすることができる。第2の導電層を備える導電性粒子を用いる場合に、接続構造体では、第2の導電層が第1の電極と第2の電極とに接触していることが好ましい。
加熱により導電材料層54Aを硬化させる際の加熱温度は、好ましくは140℃以上、好ましくは450℃以下、より好ましくは250℃以下、更に好ましくは200℃以下である。なお、加熱により導電材料層54Aを本硬化させる前に、導電材料層54Aが完全に硬化しないように、導電材料層54Aの硬化を進行させてもよい。例えば、導電材料層54AをBステージ状態にしてもよい。
加熱により導電材料層54Aを硬化(本硬化)させる際の加熱温度は、第1の導電層3が溶融する温度であることが好ましい。加熱により導電材料層54Aを硬化させる際の加熱温度は、基材粒子、基材粒子本体及び第2の導電層がそれぞれ溶融しない温度であることが好ましい。
図3に示す接続構造体51は、第1の電極52a上の一部の領域である第1の領域R1に導電材料を配置して導電材料層54Aを形成した後、第1の領域R1の周囲の第2の領域R2に導電材料層54Aを濡れ拡がらせて接続部54を形成することで得られている。第1の領域R1に位置する導電性粒子1における第1の導電層3の量が、第2の領域R2に位置する導電性粒子1における第1の導電層3の量よりも多い。言い換えれば、接続構造体51では、導電材料層を初期に配置した領域における導電性粒子1における第1の導電層3の量が、導電材料層を初期に配置した領域から濡れ拡がった領域における導電性粒子1における第1の導電層3の量よりも多い。
また、第1の電極52a上の一部の領域である第1の領域R1に、複数の導電性粒子1を含む導電材料を配置して導電材料層54Aを形成した後(例えば、図5(a)に示す状態)、第1の領域R1の周囲の第2の領域R2に導電材料層54Aを濡れ拡がらせて接続部54を形成することで、第1の領域R1における単位面積当たりの導電性粒子1の存在個数と、第2の領域R2における単位面積当たりの導電性粒子1の存在個数とを揃えることができる(例えば、図5(b)に示す状態)。
一方で、従来の導電性粒子を用いた場合には、図6(a)に示すように、第1の領域に導電性粒子が多く配置されたり、図6(b)に示すように、第2の領域に導電性粒子が多く配置されたりする。図6(a)及び図6(b)は、導電性粒子1にかえて従来の導電性粒子を用いて接続構造体を得た後の平面図であり、図5(b)に対応した図である。
上記第1の領域R1における0.1mm2の大きさの領域に存在する導電性粒子の平均個数Aの、上記第2の領域R2における0.2mm2の大きさの領域に存在する導電性粒子の平均個数Bに対する比(平均個数A/平均個数B)は、好ましくは0.25以上、より好ましくは0.3以上、好ましくは0.65以下、より好ましくは0.6以下である。
上記第1の接続対象部材は、複数の第1の電極を表面に有することが好ましい。上記第2の接続対象部材は、複数の第2の電極を表面に有することが好ましい。複数の上記第1の電極と複数の上記第2の電極とが、上記導電性粒子により電気的に接続されていることが好ましい。
上記第1の電極は、長さ方向と幅方向とを有することが好ましい。上記第2の電極は長さ方向と幅方向とを有することが好ましい。上記第1の電極及び上記第2の電極のアスペクト比は、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、好ましくは100以下、より好ましくは50以下である。上記第1の電極と上記第2の電極とは、長さ方向の向きが揃うように、上記導電性粒子材料に含まれている上記導電性粒子により電気的に接続されていることが好ましい。なお、上記アスペクト比に関しては、「アスペクト比=長さ方向の寸法/幅方向の寸法」である。
上記第1,第2の接続対象部材は、特に限定されない。上記第1,第2の接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板及びガラス基板等の回路基板などの電子部品等が挙げられる。上記導電材料は、電子部品の接続に用いられる導電材料であることが好ましい。上記導電材料は、液状であって、かつ液状の状態で接続対象部材の上面に塗工される導電材料であることが好ましい。上記接続対象部材は電子部品であることが好ましい。
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
(実施例1)
ジビニルベンゼン樹脂粒子(積水化学工業社製「ミクロパールSP−210」、平均粒子径10μm、軟化点330℃)を無電解ニッケルめっきし、樹脂粒子の表面上に厚さ0.1μmの下地ニッケルめっき層を形成した。次いで、下地ニッケルめっき層が形成された樹脂粒子を電解銅めっきし、平均厚さ2μmの銅層を形成して、基材粒子を得た。基材粒子は、樹脂粒子と銅層とを有する。得られた基材粒子の平均粒子径は14μm、CV値は5%であった。
次に、錫及びビスマスを含有する電解めっき液を用いて、電解めっきし、また、電気めっきの初期段階、中期段階及び後期段階の複数回にわけて、得られる導電性粒子を取り出すことにより、平均厚さ2μmのはんだ層を形成した。このようにして、樹脂粒子の表面上に銅層が形成されており、該銅層の表面上にはんだ層(錫:ビスマス=43重量%:57重量%、融点:139℃)が形成されている導電性粒子(樹脂コアはんだ被覆粒子)を含む導電性粒子材料を作製した。得られた導電性粒子の平均粒子径は20μm、CV値は12%であった。
得られた導電性粒子は、基材粒子本体として樹脂粒子を有し、第2の導電層として銅層を有し、第1の導電層としてはんだ層を有する。
(実施例2〜4及び比較例1)
基材粒子(樹脂粒子と銅層とを有する)の平均粒子径及びCV値、並びに導電性粒子の平均粒子径及びCV値を下記の表1に示すように設定したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子材料を得た。
基材粒子のCV値は、樹脂粒子のCV値を変えて調整した。導電性粒子のCV値は所定の大きさの導電性粒子を選別することで調整した。
(比較例2)
基材粒子(樹脂粒子と銅層とを備える)の平均粒子径及びCV値、並びに導電性粒子のCV値を下記の表1に示すように設定したこと、並びに導電性粒子におけるはんだ層をニッケル層(融点:1455℃)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子材料を得た。
(実施例5)
実施例1で得られた基材粒子として、平均粒子径が14μm、CV値が5%である基材粒子を用意した。
次に、錫及びビスマスを含有する電解めっき液を用いて、電解めっきし、はんだ層の平均厚さが2μmである導電性粒子と、はんだ層の厚さが3μmである導電性粒子と、はんだ層の厚さが4μmである導電性粒子とをそれぞれ作製し、混合した。このようにして、樹脂粒子の表面上に銅層が形成されており、該銅層の表面上にはんだ層(錫:ビスマス=43重量%:57重量%、融点:139℃)が形成されている導電性粒子(樹脂コアはんだ被覆粒子)を含む導電性粒子材料を作製した。得られた導電性粒子の平均粒子径は20μm、CV値は12%であった。
(実施例6)
実施例1で得られた基材粒子として、平均粒子径が14μm、CV値が5%である基材粒子を用意した。
シータコンポーザーで、製造の初期に、はんだ層を形成するために、粒子径が1μmであるはんだ粒子を添加し、製造後期に、はんだ層を形成するために、粒子径が3μmであるはんだ粒子を添加することで、はんだ層を厚みが不均一になるように形成し、平均厚さ2μmのはんだ層を形成した。このようにして、樹脂粒子の表面上に銅層が形成されており、該銅層の表面上にはんだ層(錫:ビスマス=43重量%:57重量%、融点:139℃)が形成されている導電性粒子(樹脂コアはんだ被覆粒子)を含む導電性粒子材料を作製した。得られた導電性粒子の平均粒子径は21μm、CV値は15%であった。
(実施例7)
粒子径が3.0μmであるジビニルベンゼン共重合体樹脂粒子(積水化学工業社製「ミクロパールSP−203」)の表面を、ゾルゲル反応による縮合反応を用いて無機シェル(厚み250nm)により被覆したコアシェル型の有機無機ハイブリッド粒子(基材粒子)を用意した。得られた有機無機ハイブリッド粒子の平均粒子径は14μm、CV値は5%であった。
樹脂粒子を、上記有機無機ハイブリッド粒子に変更したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂粒子の表面上に銅層が形成されており、該銅層の表面上にはんだ層(錫:ビスマス=43重量%:57重量%、融点:139℃)が形成されている導電性粒子(樹脂コアはんだ被覆粒子)を含む導電性粒子材料を作製した。得られた導電性粒子の平均粒子径は20μm、CV値は12%であった。
(評価)
(1)異方性導電材料の調製
エポキシ化合物(三菱化学社製「YL980」)30重量部と、熱硬化剤であるイミダゾール化合物(四国化成工業社製「2P−4MZ」)10重量部と、光硬化性化合物であるエポキシアクリレート(ダイセル・サイテック社製「EBECRYL3702」)15重量部と、光重合開始剤であるアシルホスフィンオキサイド系化合物(チバ・ジャパン社製「DAROCUR TPO」)0.3重量部と、接着付与剤であるシランカップリング剤(信越化学工業社製「KBE−403」1重量部と、フィラーである平均粒子径0.25μmのシリカ20重量部と、フラックスであるグルタル酸2重量部とを配合し、得られた導電性粒子を得られる異方性導電ペースト100重量%中での含有量が30重量%となるように添加した後、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌することにより、異方性導電ペーストを得た。
(2)接続構造体の作製
複数の第1の電極(L/Sが100μm/100μm、1つの電極におけるアスペクト比20、厚み20μm、金めっきされたCu電極)を表面に有すガラスエポキシ基板(第1の接続対象部材)を用意した。
また、複数の第2の電極(L/Sが100μm/100μm、1つの電極におけるアスペクト比20、厚み20μm、金めっきされたCu電極)を表面に有するフレキシブルプリント基板(第2の接続対象部材)を用意した。
上記第1の電極の長さ方向(1つの電極における長さ方向)の中央部分において、上記第1の電極の長さ方向と直行する方向に、直線状にディスペンサーを移動させながら、上記ガラスエポキシ基板上に、得られた異方性導電ペーストを塗布し、異方性導電材料層を形成した。すなわち、電極パターンの一方の縁部から他方の縁部にむけて、ディスペンサーを移動させて、複数の第1の電極上に、異方性導電材料層を形成した。
次に異方性導電材料層に紫外線照射ランプを用いて、420nmの紫外線を光照射エネルギーが70mJ/cm2となるように照射した。
次に、第1の電極と第2の電極とを対向させて、上記異方性導電材料層の上記ガラスエポキシ基板側とは反対の表面上に上記フレキシブルプリント基板を積層した。その後、異方性導電材料層の温度が185℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、上記ガラス基板の表面に加圧加熱ヘッドを載せ、1MPaの圧力をかけて異方性導電材料層を185℃で硬化させ、接続構造体を得た。
(3)導電接続の状態の評価
異方性導電材料層を初期に配置した領域を、第1の電極上の一部の領域である第1の領域とし、該第1の領域の周囲の異方性導電材料層が濡れ拡がった領域を、第2の領域とする。
接続構造体のフレキシブルプリント基板を引きはがし、ガラスエポキシ基板上方側から観察して、上記第1の領域における0.1mm2の大きさの領域に存在する導電性粒子の平均個数Aと、上記第2の領域における0.2mm2の大きさの領域に存在する導電性粒子の平均個数Bとを計測した。導電接続の状態を下記の基準で判定した。
[導電接続の状態の判定基準]
○:平均個数Aの平均個数Bに対する比が0.3以上、0.6以下
△:平均個数Aの平均個数Bに対する比が0.2以上、0.3未満又は0.6を超え、0.65以下
×:平均個数Aの平均個数Bに対する比が0.2未満又は0.65を超える
結果を下記の表1に示す。
なお、実施例及び比較例の上記(3)導電接続の状態の評価において、異方性導電材料層を光硬化させた後に、熱硬化させた場合の評価結果を示したが、異方性導電材料を一段階で硬化させた場合でも、導電接続の状態の評価結果は同様の傾向を示した。