以下に、本発明に係る検査装置及び照度監視装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
[実施形態]
本発明に係る検査装置及び照度監視装置の実施形態の1つを図1から図14に基づいて説明する。
図1の符号1は、本実施形態の検査装置を示す。本実施形態の検査装置1は、検査対象物100について検査項目に応じた検査を行うものである。本実施形態では、この検査装置1に照度監視装置が組み込まれているものとして説明する。
検査対象物100とは、検査の対象になる単品の部品や、複数の構成部品からなる組み立て部品等のことである。
単品の部品としては、例えば、コネクタやリレー等の電子部品、電気接続箱などが挙げられる。単品の部品としての検査対象物100は、その外観において、単色又は複数の色で構成されている。この検査対象物100は、単色で構成されている場合、無彩色又は有彩色で構成されている。一方、この検査対象物100は、複数の色で構成されている場合、複数種類の無彩色で構成されるものもあれば、複数種類の有彩色で構成されるものもあれば、無彩色と有彩色が混在しているものもある。
また、組み立て部品としては、ワイヤハーネスなどが挙げられる。図2には、組み立て部品としてのワイヤハーネスを検査対象物100の一例として示している。この図2の検査対象物100は、例えば、複数本の電線101、各電線101を覆い包む外装部材(テープ102、プロテクタ103)、各電線101に取り付けられたコネクタ104、及び、各電線101を配索経路上に固定するクランプ105等を構成部品として備えている。それぞれの構成部品の外観の色は、上記の単品の部品における外観の色と同じように構成されている。
この検査対象物100は、治具板110に保持した状態で検査される。治具板110とは、板部材の一方の平面を検査対象物100の保持面111とし、この保持面111上に検査対象物100の保持用の治具を設けたものである。その治具は、検査対象物100が保持面111上の所定の位置に所定の配置で保持されるように設けている。このため、例えば、検査対象物100が単品の部品の場合には、その部品が保持面111上の所定の位置に所定の外観形状を表した状態で配置される。また、検査対象物100が組み立て部品の場合には、各構成部品が保持面111上のそれぞれの所定の位置に所定の外観形状を表した状態で配置される。
ここで、その保持面111は、検査対象物100とは異なる単一の色で構成する。但し、検査対象物100と保持面111とが同系色になってしまう場合には、検査装置1が保持面111上の検査対象物100を認識できるように、例えば検査対象物100とは異なるコントラストで保持面111を形成することが望ましい。この例示では、保持面111を白色にしている。
尚、検査対象物100が組み立て部品の場合、治具板110は、検査の前工程で行われる検査対象物100の組み付け工程においての組み付け作業台として利用してもよい。
以下においては、本実施形態の検査装置1の構成について説明する。
この検査装置1は、撮像画像を用いて検査対象物100の検査を行い、その検査結果を作業者等に知らしめるものである。このため、この検査装置1は、撮像装置10と演算処理装置20と表示装置30と報知装置40とを備えている。
撮像装置10は、検査対象物100を治具板110の保持面111と共に撮像するものである。この撮像装置10は、保持面111の全体を一度に撮像して、これを撮像領域とするものであってもよく、保持面111の全体を複数の区画に分けて区画毎に撮像し、その各々を撮像領域とするものであってもよい。また、この撮像装置10は、保持面111上の所定の領域を撮像できるように構成してもよい。その所定の領域とは、例えば、検査対象物100の或る部分(形状が特徴的な部分等)が存在している領域、検査対象物100を成す構成部品が存在している領域等の撮像領域のことである。
撮像装置10は、対象物の撮像に伴って画素毎の撮像情報を生成する。この撮像装置10は、その画素毎の撮像情報に基づいて撮像画像の情報(以下、「撮像画像情報」という。)を画素毎に生成し、その撮像画像情報を演算処理装置20に有線又は無線で送信するものであってもよく、その画素毎の撮像情報を演算処理装置20に有線又は無線で送信するものであってもよい。演算処理装置20には、画素毎の撮像情報を受信した場合、この撮像情報に基づいて画素毎の撮像画像情報を算出させる。
その撮像画像情報とは、撮像画像に関わる画素毎の情報のことである。例えば、撮像画像情報には、色相を表す色相値情報、彩度を表す彩度値情報、明度を表す明度値情報、階調を表す階調値情報、RGB値を表すRGB値情報、輝度を表す輝度値情報等が存在する。ここで、撮像画像情報の中には、他の撮像画像情報に基づいて算出されるものもある。例えば、後述するように、色相値情報等は、RGB値情報から求めることができる。このため、演算処理装置20は、例えば、RGB値情報を受信したが色相値情報を受信していない場合、受信したRGB値情報に基づいて色相値情報を算出してもよい。
具体的に、この撮像装置10には、CCD(電荷結合素子)イメージセンサを撮像素子として備えたもの、CMOS(相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサを撮像素子として備えたもの等の利用が可能である。
演算処理装置20は、この撮像装置10の撮像画像を表示装置30に表示させる。その表示装置30は、情報を単に表示させるモニタであってもよく、情報と共に検査のための操作釦等も表示させる所謂タッチパネル式のモニタであってもよい。
演算処理装置20は、撮像装置10の撮像情報から得られた画素毎の撮像画像情報に基づいて、検査項目に応じた検査対象物100の検査を行う。例えば、この演算処理装置20は、その撮像画像情報と比較基準情報とを比較して検査を実施する。
その比較基準情報とは、検査時における撮像画像情報との比較のための基準情報のことである。具体的に、この比較基準情報とは、例えば、保持面111上の設計通りの正規の部品(単品の部品や組み立て部品)を正常な位置及び配置で撮像した際の撮像画像情報、又は、その撮像画像情報に相当する推定情報等のことである。この比較基準情報は、記憶装置21に正規の部品毎の情報として予め記憶させておく。つまり、その記憶装置21には、その保持面111上の正規の部品の撮像画像に関わる画素毎の色相値情報等の情報が用意されている。
検査対象物100を検査する際には、この検査対象物100が正規の部品であると仮定して、その正規の部品に関わる比較基準情報を演算処理装置20が記憶装置21から読み込む。そして、その演算処理装置20は、その比較基準情報と撮像装置10の撮像情報から得られた検査対象物100の撮像画像情報とを画素毎に比較する。その比較に際しては、その比較基準情報と撮像画像情報との間で同じ種類の情報同士を比較する。また、その比較に際しては、例えば、検査対象物100の撮像画像上における検査対象の画素の撮像画像情報を当該画素と同一のものと推定される推定画素の比較基準情報と比較し、更に、その推定画素の周囲の所定領域における画素の比較基準情報についても検査対象の画素の撮像画像情報と比較する。演算処理装置20は、撮像画像上における検査対象の画素を順次切り替えて、新たな検査対象の画素の撮像画像情報と比較基準情報との比較を行う。演算処理装置20は、このようにして検査項目に応じた検査を実施する。
演算処理装置20は、その検査結果を報知装置40に出力させる。報知装置40は、演算処理装置20の指令に基づいて情報の報知を行うものである。この報知装置40としては、聴覚を刺激するものや視覚を刺激するもの等が挙げられる。聴覚を刺激する報知装置40とは、例えば、検査結果の内容を音声情報や音情報(ビープ音等)によって作業者等に伝えるものである。視覚を刺激する報知装置40とは、例えば、検査結果の内容を文字情報によって作業者等に伝えるものである。また、この視覚を刺激する報知装置40は、異常を点灯や点滅によって伝えるランプ等であってもよい。尚、その視覚を刺激する検査結果の情報は、報知装置40に替えて、表示装置30に出力させてもよい。
この検査装置1は、検査項目として、例えば、部品の有無の検査、部品の正誤の検査、部品の組み付け状態の検査等を実施する。以下に、これらの各種検査の検査方法の一例を示す。
部品の有無の検査とは、検査対象物100又は検査対象物100の各構成部品が設計通りの正規の部品であるのか否かに拘わらず、その正規の部品が存在すべき保持面111上の設計通りの所定の位置に何かしらの部品(検査対象物100又は検査対象物100の構成部品)が存在しているのか否かを一先ず調べる検査のことである。
この部品の有無の検査においては、正規の部品、検査対象物100や検査対象物100の各構成部品が無彩色であるのか有彩色であるのかに拘わらず検査結果を得るために、撮像画像情報における明度値情報を用いる。例えば、演算処理装置20は、撮像画像における画素毎の明度値情報に基づいて、この撮像画像を明度で表した明度画像を生成する。その明度画像上には、同一又は類似の明度値の集合している画素の領域(以下、「明度値領域」という。)が生成されている。類似とは、誤差の範囲内等のような同一の明度値として考えられる程にそれぞれの明度値の差が小さいもの同士の関係のことをいう。保持面111上に何かしらの部品が存在している場合、その明度画像上には、保持面111を示す明度値領域の他に、その部品に関わる明度値領域も表れる。
演算処理装置20は、その明度画像と記憶装置21の比較基準情報における明度値情報(以下、「基準明度値情報」という。)又は当該基準明度値情報に基づいた明度画像(以下、「基準明度画像」という。)とを比較する。例えば、演算処理装置20は、基準明度値情報に基づいて生成される正規の部品に関わる明度値領域(以下、「基準明度値領域」という。)又は基準明度画像上の正規の部品に関わる基準明度値領域に相当する明度値領域が明度画像上に存在しているのか否かを判定する。
演算処理装置20は、その基準明度値領域に相当する明度値領域が明度画像上に存在している場合、正規の部品が存在すべき保持面111上の所定の位置に何かしらの部品(検査対象物100又は検査対象物100の構成部品)が存在していると判定することができる。演算処理装置20は、その判定結果を検査結果として報知装置40に出力させる。
また、その基準明度値領域に相当する明度値領域が明度画像上に存在していない場合には、保持面111上の所定の位置に検査対象物100又は検査対象物100の構成部品が存在していないことが判る。このため、この場合、演算処理装置20は、その所定の位置に正規の部品が存在していないと判定することができる。演算処理装置20は、その判定結果を検査結果として報知装置40に出力させる。これにより、その検査結果が伝えられた作業者等は、例えば、検査装置1を一旦停止させ、欠落している部品の取り付け作業を行ったり、この検査対象物100を生産ラインから取り除いたりすることができる。
尚、この部品の有無の検査は、明度値情報に替えて他の撮像画像情報(例えば階調値情報やRGB値情報等)を用いて実施してもよい。また、有彩色の部品の有無を検査する場合には、色相値情報を利用してもよい。
部品の正誤の検査とは、部品の有無の検査において見つかった部品(検査対象物100又は検査対象物100の構成部品)が正規の部品であるのか否かを調べる検査のことである。また、部品の組み付け状態の検査とは、組み立て部品を検査対象とする場合に実施される検査であり、構成部品が設計通りに正しく組み付けられているのか否かを調べる検査のことである。
例えば、検査対象の正規の部品が無彩色の場合、演算処理装置20は、見つかった部品に関わる画素の撮像画像情報が色相値情報を有しているのか否かを判定する。この演算処理装置20は、その画素が色相値情報を有している場合、見つかった部品が有彩色であり、正規の部品ではなく異品であるとの判定を行う。演算処理装置20は、その異品との判定結果を検査結果として報知装置40に出力させる。
この演算処理装置20は、その画素が色相値情報を有していない場合、この画素の明度値と基準明度値とを比較する。演算処理装置20は、その明度値と基準明度値とが同一又は類似ではない場合、見つかった部品が無彩色ではあるが、正規の部品ではなく異品であるとの判定を行う。演算処理装置20は、その異品との判定結果を検査結果として報知装置40に出力させる。
演算処理装置20は、その明度値と基準明度値とが同一又は類似の場合、例えば、見つかった部品に関わる明度値領域の輪郭の明度値と、この輪郭を成す画素及び当該画素の周辺の画素における基準明度値と、を比較し、その明度値領域の輪郭と同一又は同等の形状の輪郭が基準明度画像に存在しているのか否かを判定する。
この演算処理装置20は、そのような輪郭が基準明度画像に存在している場合、見つかった部品が正規の部品であるとの判定を行い、正規の部品であるとの判定結果を検査結果として報知装置40に出力させる。更に、その正規の部品が組み立て部品の構成部品である場合には、正規の部品であるとの判定と共に、設計通りに正しく組み付けられているとの判定を行い、これらの判定結果を検査結果として報知装置40に出力させることができる。
一方、この演算処理装置20は、明度値領域の輪郭と同一又は同等の形状の輪郭が基準明度画像に存在していない場合、見つかった部品が正規の部品ではなく異品であるとの判定を行い、その判定結果を検査結果として報知装置40に出力させる。但し、演算処理装置20は、見つかった部品が正規の部品であるにも拘わらず、設計通りに正しく組み付けられていない場合にも、明度値領域の輪郭と同一又は同等の形状の輪郭が基準明度画像に存在していないと判定する可能性がある。このため、演算処理装置20には、そのような輪郭が基準明度画像に存在していない場合、例えば、異品の可能性と設計通りに正しく組み付けられていない可能性の双方の情報を検査結果として報知装置40に出力させてもよい。
また、検査対象の正規の部品が有彩色の場合、演算処理装置20は、見つかった部品に関わる画素の撮像画像情報が色相値情報を有しているのか否かを判定する。この演算処理装置20は、その画素が色相値情報を有していない場合、見つかった部品が無彩色であり、正規の部品ではなく異品であるとの判定を行う。演算処理装置20は、その異品との判定結果を検査結果として報知装置40に出力させる。
この演算処理装置20は、その画素が色相値情報を有している場合、この画素の比較基準情報における色相値情報(以下、「基準色相値情報」という。)を記憶装置21から読み込み、この画素の色相値と基準色相値とを比較する。演算処理装置20は、その色相値と基準色相値とが同一又は類似ではない場合、見つかった部品が正規の部品ではなく異品であるとの判定を行う。演算処理装置20は、その異品との判定結果を検査結果として報知装置40に出力させる。類似とは、誤差の範囲内等のような同一の色相値として考えられる程にそれぞれの色相値の差が小さいもの同士の関係のことをいう。
その色相値と基準色相値とが同一又は類似の場合には、見つかった部品に関わる各画素の集合している領域又は当該各画素の集合領域とその周辺の領域の中に、同一又は類似の色相値の集合している領域(以下、「色相値領域」という。)が存在している。このため、この場合、演算処理装置20は、例えば、その色相値領域の輪郭の色相値と、この輪郭を成す画素及び当該画素の周辺の画素における基準色相値と、を比較し、その色相値領域の輪郭と同一又は同等の形状の輪郭が基準色相画像に存在しているのか否かを判定する。色相画像とは、撮像画像における画素毎の色相値情報に基づいて、この撮像画像を色相で表したものである。そして、基準色相画像とは、その色相画像の各画素を基準色相値に置き換えて表したものである。演算処理装置20は、例えば、そのような輪郭が基準色相画像に存在しているのか否かに応じて無彩色のときと同じようにして判定を行い、その判定結果を検査結果として報知装置40に出力させる。
尚、この部品の正誤の検査は、色相値情報に替えて他の撮像画像情報(例えば階調値情報やRGB値情報等)を用いて実施してもよい。
異品との検査結果が伝えられた作業者等は、例えば、検査装置1を一旦停止させ、異品を正規の部品に取り替えたり、この検査対象物100を生産ラインから取り除いたりすることができる。
また、異品の可能性と設計通りに正しく組み付けられていない可能性の双方の検査結果が伝えられた作業者等は、例えば、検査装置1を一旦停止させ、異品であるのか、それとも組み付け状態が悪いだけなのかを確認したり、この検査対象物100を生産ラインから取り除いたりすることができる。そして、その作業者等は、異品を正規の部品に取り替えたり、組み付け状態を正しい状態に直したりすることができる。
このように、この検査装置1においては、撮像装置10の撮像情報から得られた撮像画像情報を用いて、検査対象物100に対する検査を実施する。
ところで、その撮像画像情報とは、前述したように、色相値情報、彩度値情報、明度値情報、階調値情報、RGB値情報、輝度値情報等の色彩に関わる色情報のことである。これらの撮像画像情報は、検査対象物100の周囲の照度に応じて値が変化する。例えば、RGB値は、RGB表色系における色成分の指標値(以下、「色成分値」という。)であり、このRGB値は、R成分とG成分とB成分のそれぞれの指標値を含んだものであり、検査対象物100の周囲の照度に応じて変わる。R成分の指標値(以下、「R値」という。)とG成分の指標値(以下、「G値」という。)とB成分の指標値(以下、「B値」という。)は、その照度が高くなるほど大きくなる一方、その照度が低くなるほど小さくなる。そして、色相値と彩度値と明度値は、それぞれにRGB値(R値、G値、B値)に応じて変わることが知られている。この明度値は、検査対象物100の周囲の照度が高くなるほど大きくなる一方、その照度が低くなるほど小さくなる。また、輝度値は、光源の明るさの指標値のことであり、検査対象物100の周囲の照度が高くなるほど大きくなる一方、その照度が低くなるほど小さくなる。そして、この輝度値は、階調値と互いに関連するものである。階調値は、R値とG値とB値のそれぞれにおいての階調を表すものである。この階調値は、検査対象物100の周囲の照度が高くなるほど大きくなる一方、その照度が低くなるほど小さくなる。
そこで、この撮像画像情報との比較の対象となる比較基準情報には、検査対象物100の周囲の照度が所定の照度(以下、「規定照度」という。)のときに得られる撮像画像情報又は当該撮像画像情報に相当する推定情報等を用いる。その規定照度は、検査の実施が可能な検査対象物100の周囲の照度として予め定められたものである。
その規定照度は、例えば、或る無彩色の検査対象物100の撮像画像情報から当該検査対象物100を当該無彩色として認識することのできる当該検査対象物100の周囲の照度に基づいて設定する。また、この規定照度は、或る有彩色の検査対象物100の撮像画像情報から当該検査対象物100を当該有彩色として認識することのできる当該検査対象物100の周囲の照度に基づいて設定する。
例えば、規定照度の下又は当該規定照度を中心とする所定の範囲(以下、「規定照度範囲」という。)では、灰色の検査対象物100の撮像画像情報から同等の灰色を検出することができる。しかしながら、検査対象物100の周囲の照度が規定照度範囲よりも高い場合、灰色の検査対象物100の撮像画像情報からは、その灰色よりも白みがかった色が検出されてしまう可能性がある。また、検査対象物100の周囲の照度が規定照度範囲よりも低い場合、灰色の検査対象物100の撮像画像情報からは、その灰色よりも黒みがかった色が検出されてしまう可能性がある。この照度の高低によるずれは、有彩色においても同様の事象として表れる。このため、この検査装置1においては、検査の実施条件として規定された照度の範囲(規定照度範囲)を予め定めておくことが望ましい。
その規定照度範囲と規定照度は、検査対象物100を実際のものとして特定し得る撮像画像情報の取得が可能な照度に基づいて決めればよい。換言するならば、その規定照度範囲は、撮像画像上での検査対象物100の存在している領域を撮像画像情報に基づいて特定でき、かつ、その検査対象物100が正規の部品であることを撮像画像情報に基づいて特定できる照度に基づいて設定すればよい。
この検査装置1は、そのような一定の基準となる照度の条件下で検査を実施することになるので、検査結果のばらつき等の発生を抑えることができる。しかしながら、この検査装置1は、検査中における検査対象物100の周囲の照度が規定照度範囲から外れてしまった場合、その検査対象物100の各画素の撮像画像情報が当該各画素における比較基準情報(規定照度のときの撮像画像情報)に対して大きくずれてしまい、正しい検査結果が得られない可能性がある。例えば、その照度が規定照度範囲から外れてしまった場合には、規定照度範囲の場合と比較して、検査対象物100の各画素におけるRGB値のずれにより当該各画素の明度値や色相値等も大きくずれてしまう。このため、この場合には、その検査対象物100が正規の部品であるにも拘わらず、異品であるとの検査結果を出してしまう可能性がある。従って、この検査装置1においては、検査の開始前や検査中等の所定の監視タイミングで検査対象物100の周囲の照度を監視し、その照度が検査に適した規定照度範囲内にあるのか否かを判定する。例えば、この照度の監視は、検査中に所定の間隔で実施してもよく、検査中に随時実施してもよい。そして、この検査装置1では、検査対象物100の周囲の照度が規定照度範囲から外れている場合、その旨の情報が作業者等に伝わるよう構成する。つまり、この検査装置1には、検査対象物100の周囲の照度を監視すると共に、その照度が規定照度範囲から外れたときにその旨を作業者等に報知する照度監視装置を設けている。
演算処理装置20は、その照度の監視に当たって、撮像装置10を制御し、検査対象物100と治具板110の保持面111とを撮像させる。そして、演算処理装置20は、その撮像画像に関わる各画素の撮像画像情報を記憶装置21に記憶させる。記憶装置21には、その撮像画像情報が撮像画像のフレーム毎に格納されている。演算処理装置20は、その撮像画像情報を利用して、検査対象物100の周囲の照度を監視する。尚、その撮像画像情報は、照度の監視のために撮像装置10に撮像させて得たものを用いてもよく、検査の過程において得られたものを用いてもよい。尚、以下においては、単に撮像画像と記した場合、或る1つのフレームにおける撮像画像のことをいう。
演算処理装置20は、撮像画像に関わる各画素の撮像画像情報に基づいて、この撮像画像上の無彩色領域と有彩色領域を特定する。例えば、この演算処理装置20は、記憶装置21から撮像画像のそれぞれの画素におけるRGB値情報を読み込み、無彩色領域と有彩色領域とを演算する。これにより、演算処理装置20は、その演算結果に基づいて、撮像画像上の無彩色領域と有彩色領域とを特定することができる。更に、演算処理装置20は、その撮像画像上において、白色の無彩色領域と黒色の無彩色領域と灰色の無彩色領域とを識別することができる。また、演算処理装置20は、その撮像画像上において、色毎に有彩色領域を識別することができる。
演算処理装置20は、撮像画像上に各画素の色成分値の同じ領域(以下、「色成分領域」という。)が少なくとも2つ存在している場合、第1色成分領域Aの画素(監視対象の画素)の第1色成分値(第1RGB値)に基づいて第1色情報値を演算すると共に、第2色成分領域Bの画素(監視対象の画素)の第2色成分値(第2RGB値)に基づいて第2色情報値を演算し、その第1色情報値と第2色情報値との差(以下、「色情報差」という。)を演算する。図3は、その色成分領域についての概念図であり、撮像画像上で第2色成分領域Bとして表された保持面111の上に第1色成分領域Aとして表された検査対象物100が保持されている状態を示す。本図では、第1色成分領域Aの周囲を囲う形で第2色成分領域Bが存在している。
ここで、記憶装置21には、撮像画像の各画素に対応付けられた比較基準情報として基準色成分値(基準RGB値)が記憶されている。以下においては、第1色成分領域Aにおける第1色情報値の演算対象となった画素の基準色成分値のことを第1基準色成分値といい、その画素のRGB値のことを第1基準RGB値という。また、第2色成分領域Bにおいては、その第2色情報値の演算対象となった画素の基準色成分値のことを第2基準色成分値といい、その画素のRGB値のことを第2基準RGB値という。演算処理装置20は、記憶装置21から第1基準色成分値(第1基準RGB値)と第2基準色成分値(第2基準RGB値)とを読み込み、第1基準色成分値(第1基準RGB値)に基づいて第1基準色情報値を演算し、かつ、第2基準色成分値(第2基準RGB値)に基づいて第2基準色情報値を演算する。そして、この演算処理装置20は、その第1基準色情報値と第2基準色情報値との差(以下、「基準色情報差」という。)を演算する。
この演算処理装置20は、その基準色情報差に対する色情報差の変化を観察することによって、検査対象物100の周囲の照度を監視する。この演算処理装置20は、その変化に基づいて検査対象物100の周囲の照度の異常を検出した場合、その照度に異常が発生しているとの報知情報を報知装置40から出力させる。
このように、本実施形態の検査装置1(照度監視装置)は、撮像画像上に各画素の色成分値の同じ色成分領域が少なくとも2つ存在している場合、第1色成分領域Aの監視対象の画素の第1色成分値(第1RGB値)に基づいて得られる第1色情報値と、第2色成分領域Bの監視対象の画素の第2色成分値(第2RGB値)に基づいて得られる第2色情報値と、の差(色情報差)を求める。更に、この検査装置1(照度監視装置)は、第1色成分領域Aの監視対象の画素の第1基準色成分値(第1基準RGB値)に基づいて得られる第1基準色情報値と、第2色成分領域Bの監視対象の画素の第2基準色成分値(第2基準RGB値)に基づいて得られる第2基準色情報値と、の差(基準色情報差)を求める。そして、この検査装置1(照度監視装置)は、その基準色情報差に対する色情報差の変化を観察し、その変化が表れたときに、検査対象物100の周囲の照度に異常が発生しているとの報知情報を報知装置40から出力させる。従って、この検査装置1(照度監視装置)は、その照度の異常を作業者等に伝えることができる。よって、この検査装置1(照度監視装置)は、その報知情報を得た作業者等に対して照明の点検や交換等を促して、検査対象物100の周囲の照度を規定照度範囲内に戻させることができる。
先ず、第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとが各々明度値の異なる無彩色領域になっている場合の照度監視について説明する。
演算処理装置20は、第1色成分領域Aの画素の第1色成分値(第1RGB値)に基づいて、その画素の第1色情報値としての第1明度値を演算する。そして、この演算処理装置20は、その画素の第1基準色情報値としての第1基準明度値についても演算する。ここでは、その第1基準明度値を記憶装置21から読み込んで取得する。また、演算処理装置20は、第2色成分領域Bの画素の第2色成分値(第2RGB値)に基づいて、その画素の第2色情報値としての第2明度値を演算する。そして、この演算処理装置20は、その画素の第2基準色情報値としての第2基準明度値についても演算する。ここでは、その第2基準明度値を記憶装置21から読み込んで取得する。尚、演算処理装置20は、その第1明度値と第2明度値が記憶装置21に記憶させられている場合、その記憶装置21から第1明度値と第2明度値を読み込んで取得してもよい。
演算処理装置20は、その第1色成分領域Aにおける第1明度値と第2色成分領域Bにおける第2明度値との間の差(以下、「明度差」という。)を色情報差として演算し、かつ、その第1色成分領域Aにおける第1基準明度値と第2色成分領域Bにおける第2基準明度値との間の差(以下、「基準明度差」という。)を基準色情報差として演算する。そして、演算処理装置20は、その明度差と基準明度差とを比較することによって、検査対象物100の周囲の照度を監視する。この演算処理装置20は、後述するように、その明度差が基準明度差よりも小さい場合、その照度が規定照度範囲から外れており、この照度に異常が発生しているとの判定を行い、その判定結果に応じた報知情報を報知装置40から出力させる。
この照度の監視に関わる演算処理について、図4のフローチャートを用いて具体的に説明する。
演算処理装置20は、撮像画像の各画素における色成分値情報(RGB値情報)に基づいて、撮像画像上で互いに隣接する色成分値(RGB値)の異なる2つの色成分領域を特定する(ステップST1)。ここでは、撮像画像上の互いに隣接している第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとを特定する。演算処理装置20は、そのような第1色成分領域Aと第2色成分領域Bの組み合わせが複数存在している場合、その全ての組み合わせを特定してもよい。
演算処理装置20は、その第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとが互いに明度値の異なる無彩色領域であるのか否かを判定する(ステップST2)。演算処理装置20は、第1色成分領域Aと第2色成分領域Bの組み合わせが複数存在している場合、その組み合わせ毎に判定を行う。
演算処理装置20は、第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとが互いに明度値の異なる無彩色領域ではない場合、この演算処理を一旦終わらせる。尚、その後、この演算処理装置20は、例えば、次のフレームの撮像画像に対して同じ演算処理を実行してもよい。
演算処理装置20は、第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとが互いに明度値の異なる無彩色領域の場合、この第1色成分領域Aと第2色成分領域Bの内、一方が白色の無彩色領域(以下、「白色領域」ともいう。)であり、他方が灰色の無彩色領域(以下、「灰色領域」ともいう。)であるのか否かを判定する(ステップST3)。つまり、ここでは、第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとが互いに明度値の異なる無彩色領域の場合、この第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとが白色領域と灰色領域の組み合わせになっているのか否かを判定する。このステップST3では、第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとが互いに明度値の異なる無彩色領域であり、このような組み合わせが複数存在している場合、その組み合わせ毎に判定を行ってもよい。
演算処理装置20は、第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとが白色領域と灰色領域の組み合わせである場合、その第1色成分領域Aにおける第1明度値及び第1基準明度値、並びに、その第2色成分領域Bにおける第2明度値及び第2基準明度値を利用して、検査対象物100の周囲の照度を判定する(ステップST4)。演算処理装置20は、その白色領域と灰色領域の組み合わせが複数存在している場合、その全てを照度監視用として選択してもよく、その内の1つの組み合わせを照度監視用として選択してもよい。
これに対して、演算処理装置20は、第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとが白色領域と灰色領域の組み合わせではない場合、この第1色成分領域Aと第2色成分領域Bの内、一方が灰色領域であり、他方が黒色の無彩色領域(以下、「黒色領域」ともいう。)であるのか否かを判定する(ステップST5)。つまり、ここでは、第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとが灰色領域と黒色領域の組み合わせになっているのか否かを判定する。このステップST5では、第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとが互いに明度値の異なる無彩色領域であり、このような組み合わせが複数存在している場合、その組み合わせ毎に判定を行ってもよい。
演算処理装置20は、第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとが灰色領域と黒色領域の組み合わせである場合、ステップST4に進み、その第1色成分領域Aにおける第1明度値及び第1基準明度値、並びに、その第2色成分領域Bにおける第2明度値及び第2基準明度値を利用して、検査対象物100の周囲の照度を判定する。演算処理装置20は、その灰色領域と黒色領域の組み合わせが複数存在している場合、その全てを照度監視用として選択してもよく、その内の1つの組み合わせを照度監視用として選択してもよい。
ここで、ステップST5で第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとが灰色領域と黒色領域の組み合わせではないと判定された場合には、第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとが白色領域と黒色領域の組み合わせになっていることもあり得る。このため、この場合の演算処理装置20は、第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとが白色領域と黒色領域の組み合わせになっているのか否かを判定する(ステップST6)。
演算処理装置20は、第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとが白色領域と黒色領域の組み合わせである場合、ステップST4に進み、その第1色成分領域Aにおける第1明度値及び第1基準明度値、並びに、その第2色成分領域Bにおける第2明度値及び第2基準明度値を利用して、検査対象物100の周囲の照度を判定する。演算処理装置20は、その白色領域と黒色領域の組み合わせが複数存在している場合、その全てを照度監視用として選択してもよく、その内の1つの組み合わせを照度監視用として選択してもよい。
これに対して、演算処理装置20は、第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとが白色領域と黒色領域の組み合わせではない場合、つまり撮像画像上の全ての色成分領域が明度値の異なる同系色の無彩色領域の場合、この演算処理を一旦終わらせる。尚、その後、この演算処理装置20は、例えば、次のフレームの撮像画像に対して同じ演算処理を実行してもよい。
演算処理装置20は、ステップST4で照度の判定を行った後、その判定結果に応じた報知情報を作業者等に対して報知装置40を介して報知する(ステップST7)。その報知情報としては、前述した検査結果の報知情報と同じように、音声情報や音情報(ビープ音等)などの聴覚を刺激する情報、文字情報やランプの点灯又は点滅などの視覚を刺激する情報が生成される。その視覚を刺激する情報については、前述した検査結果の報知情報と同じように、表示装置30に出力させてもよい。
尚、この例示では白色領域と灰色領域の組み合わせであるのか否かを最初に判定しているが、演算処理装置20は、ステップST3の判定(白色領域と灰色領域の組み合わせか否かの判定)とステップST5の判定(灰色領域と黒色領域の組み合わせか否かの判定)とステップST6の判定(白色領域と黒色領域の組み合わせか否かの判定)をどの順番で実行してもよい。
以下に、ステップST4における照度の判定について具体的に説明する。
先ずは、第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとが白色領域と灰色領域の組み合わせになっている場合について図5のフローチャートに基づき説明する。この例示では、第1色成分領域Aが白色領域になっており、第2色成分領域Bが灰色領域になっている。
演算処理装置20は、第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとが白色領域と灰色領域の組み合わせの場合、その白色領域における明度値情報及び基準明度値情報と、その灰色領域における明度値情報及び基準明度値情報と、を記憶装置21から読み込んで取得する(ステップST11)。
その白色領域の明度値情報と基準明度値情報は、白色領域における監視対象の画素(例えば白色領域の中央部分に存在している画素等)に対応付けられたものを取得する。また、これと同じように、灰色領域の明度値情報と基準明度値情報は、灰色領域における監視対象の画素(例えば灰色領域の中央部分に存在している画素等)に対応付けられたものを取得する。ここで、保持面111の大きさ、光源の出力や配置等にも依るが、保持面111上での各部における照度は、その全てにおいて必ずしも均等になっているとは限らない。このため、第1色成分領域A(白色領域)と第2色成分領域B(灰色領域)のそれぞれの監視対象の画素としては、保持面111上での照度の高さが同等になっていると考えられる近接位置同士のものを用いることが望ましい。例えば、第1色成分領域Aの輪郭やその周辺の第1色成分領域Aにおける画素を第1色成分領域Aにおける監視対象の画素として定めた場合には、その輪郭の周辺の第2色成分領域Bの画素を当該第2色成分領域Bにおける監視対象の画素として定めることが望ましい。
演算処理装置20は、その白色領域と灰色領域におけるそれぞれの監視対象の画素の明度値情報に基づいて、白色領域の第1明度値と灰色領域の第2明度値とを減算し、白色領域と灰色領域の明度差Dbを演算する(ステップST12)。ここでは、その明度差Dbの絶対値を演算する。また、この演算処理装置20は、その白色領域と灰色領域におけるそれぞれの監視対象の画素の基準明度値情報に基づいて、白色領域の第1基準明度値と灰色領域の第2基準明度値とを減算し、白色領域と灰色領域の基準明度差Dbbを演算する(ステップST13)。ここでは、その基準明度差Dbbの絶対値を演算する。
ここで、無彩色(白色、黒色、灰色)の明度値は、照度が高くなるにつれて大きくなる一方で、照度が低くなるにつれて小さくなる。また、無彩色の明度値は、照度が一定の場合、白色、灰色、黒色の順に小さくなっている。白色領域と灰色領域(第1色成分領域Aと第2色成分領域B)の明度差Dbは、検査対象物100の周囲の照度が規定照度範囲内にある場合、略一定値を保つ。しかしながら、白色の明度値は、照度の上昇と共に大きくなり、例えばCCDイメージセンサ等の撮像装置10の性能如何で、やがて上限値で飽和する。このため、白色の明度値が上限値に達した後は、照度の上昇と共に、その上限値に灰色の明度値が近づいていく。その際、白色領域と灰色領域の明度差Dbの絶対値は、その白色領域と灰色領域の基準明度差Dbbの絶対値よりも小さくなる(図6)。図6は、検査対象物100の周囲の照度が規定照度範囲内にあるとき(照度正常時)の白色と灰色との間の明度差Dbの絶対値(基準明度差Dbbの絶対値)と、その照度が規定照度範囲よりも高いとき(照度異常時)の白色と灰色との間の明度差Dbの絶対値と、を示したものである。
そのような白色の明度値が上限値に達するまで照度が高くなってしまうと、撮像画像上では、明度値や色相値等を用いた領域の特定が難しくなる。そして、検査装置1においては、そのまま検査を続けたとしても、良好な検査結果が得られにくくなってしまう可能性がある。そこで、演算処理装置20は、白色領域と灰色領域の明度差Dbの絶対値が白色領域と灰色領域の基準明度差Dbbの絶対値に一致しているのか否かを判定する(ステップST14)。
その明度差Dbの絶対値と基準明度差Dbbの絶対値とが一致している場合には、検査対象物100の周囲の照度が規定照度範囲内にあることが判る。このため、この場合、演算処理装置20は、検査対象物100の周囲の照度が規定照度範囲内にあるとの判定を行う(ステップST15)。その後、演算処理装置20は、ステップST7に進み、照度に異常なし(照度正常)との報知情報を作業者等に伝える。
これに対して、演算処理装置20は、その明度差Dbの絶対値と基準明度差Dbbの絶対値とが一致していない場合、その明度差Dbの絶対値が基準明度差Dbbの絶対値よりも小さくなっているのか否かを判定する(ステップST16)。
その明度差Dbの絶対値が基準明度差Dbbの絶対値よりも小さい場合には、検査対象物100の周囲の照度が規定照度範囲よりも高くなっていると考えられる。従って、この場合、演算処理装置20は、検査対象物100の周囲の照度が規定照度範囲よりも高く、この照度に異常が発生していると判定する(ステップST17)。その後、演算処理装置20は、ステップST7に進み、その判定結果に応じた照度異常の報知情報を作業者等に伝える。
一方、その明度差Dbの絶対値が基準明度差Dbbの絶対値よりも小さくなっていない場合(つまり大きい場合)には、例えば、白色領域における検査対象物100や灰色領域における検査対象物100が異品である場合等、何かしらの異常が発生している可能性がある。このため、この場合の演算処理装置20は、何かしらの異常発生の虞ありとの判定を行う(ステップST18)。この場合、演算処理装置20は、ステップST7に進み、何かしらの異常発生の虞ありとの報知情報を作業者等に伝える。
次に、第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとが灰色領域と黒色領域の組み合わせになっている場合について図7のフローチャートに基づき説明する。この例示では、第1色成分領域Aが灰色領域になっており、第2色成分領域Bが黒色領域になっている。
演算処理装置20は、第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとが灰色領域と黒色領域の組み合わせの場合、その灰色領域における明度値情報及び基準明度値情報と、その黒色領域における明度値情報及び基準明度値情報と、を記憶装置21から読み込んで取得する(ステップST21)。
その灰色領域の明度値情報と基準明度値情報は、灰色領域における監視対象の画素(例えば灰色領域の中央部分に存在している画素等)に対応付けられたものを取得する。また、これと同じように、黒色領域の明度値情報と基準明度値情報は、黒色領域における監視対象の画素(例えば黒色領域の中央部分に存在している画素等)に対応付けられたものを取得する。但し、前述したように、保持面111上での各部における照度は、その全てにおいて必ずしも均等になっているとは限らない。このため、第1色成分領域A(灰色領域)と第2色成分領域B(黒色領域)のそれぞれの監視対象の画素としては、先に例示した如く、保持面111上での照度の高さが同等になっていると考えられる近接位置同士のものを用いることが望ましい。
演算処理装置20は、その灰色領域と黒色領域におけるそれぞれの監視対象の画素の明度値情報に基づいて、灰色領域の第1明度値と黒色領域の第2明度値とを減算し、灰色領域と黒色領域の明度差Dbを演算する(ステップST22)。ここでは、その明度差Dbの絶対値を演算する。また、この演算処理装置20は、その灰色領域と黒色領域におけるそれぞれの監視対象の画素の基準明度値情報に基づいて、灰色領域の第1基準明度値と黒色領域の第2基準明度値とを減算し、灰色領域と黒色領域の基準明度差Dbbを演算する(ステップST23)。ここでは、その基準明度差Dbbの絶対値を演算する。
灰色領域と黒色領域の明度差Dbは、白色領域と灰色領域の明度差Dbと同じように、検査対象物100の周囲の照度が規定照度範囲内にある場合、略一定値を保っている。しかしながら、黒色の明度値は、照度の低下と共に小さくなり、例えばCCDイメージセンサ等の撮像装置10の性能如何で、やがて下限値で飽和する。このため、黒色の明度値が下限値に達した後は、照度の低下と共に、その下限値に灰色の明度値が近づいていく。その際、灰色領域と黒色領域の明度差Dbの絶対値は、灰色領域と黒色領域の基準明度差Dbbの絶対値よりも小さくなる(図8)。図8は、検査対象物100の周囲の照度が規定照度範囲内にあるとき(照度正常時)の灰色と黒色との間の明度差Dbの絶対値(基準明度差Dbbの絶対値)と、その照度が規定照度範囲よりも低いとき(照度異常時)の灰色と黒色との間の明度差Dbの絶対値と、を示したものである。
そのような黒色の明度値が下限値に達するまで照度が低くなってしまうと、撮像画像上では、明度値や色相値等を用いた領域の特定が難しくなる。そして、検査装置1においては、そのまま検査を続けたとしても、良好な検査結果が得られにくくなってしまう可能性がある。そこで、演算処理装置20は、灰色領域と黒色領域の明度差Dbの絶対値が灰色領域と黒色領域の基準明度差Dbbの絶対値に一致しているのか否かを判定する(ステップST24)。
その明度差Dbの絶対値と基準明度差Dbbの絶対値とが一致している場合には、検査対象物100の周囲の照度が規定照度範囲内にあることが判る。このため、この場合、演算処理装置20は、検査対象物100の周囲の照度が規定照度範囲内にあるとの判定を行う(ステップST25)。その後、演算処理装置20は、ステップST7に進み、照度に異常なし(照度正常)との報知情報を作業者等に伝える。
これに対して、演算処理装置20は、その明度差Dbの絶対値と基準明度差Dbbの絶対値とが一致していない場合、その明度差Dbの絶対値が基準明度差Dbbの絶対値よりも小さくなっているのか否かを判定する(ステップST26)。
その明度差Dbの絶対値が基準明度差Dbbの絶対値よりも小さい場合には、検査対象物100の周囲の照度が規定照度範囲よりも低くなっていると考えられる。従って、この場合、演算処理装置20は、検査対象物100の周囲の照度が規定照度範囲よりも低く、この照度に異常が発生していると判定する(ステップST27)。その後、演算処理装置20は、ステップST7に進み、その判定結果に応じた照度異常の報知情報を作業者等に伝える。
一方、その明度差Dbの絶対値が基準明度差Dbbの絶対値よりも小さくなっていない場合(つまり大きい場合)には、例えば、灰色領域における検査対象物100や黒色領域における検査対象物100が異品である場合等、何かしらの異常が発生している可能性がある。このため、この場合の演算処理装置20は、何かしらの異常発生の虞ありとの判定を行う(ステップST28)。この場合、演算処理装置20は、ステップST7に進み、何かしらの異常発生の虞ありとの報知情報を作業者等に伝える。
次に、第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとが白色領域と黒色領域の組み合わせになっている場合について図9のフローチャートに基づき説明する。この例示では、第1色成分領域Aが白色領域になっており、第2色成分領域Bが黒色領域になっている。
演算処理装置20は、第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとが白色領域と黒色領域の組み合わせの場合、その白色領域における明度値情報及び基準明度値情報と、その黒色領域における明度値情報及び基準明度値情報と、を記憶装置21から読み込んで取得する(ステップST31)。
その白色領域の明度値情報と基準明度値情報は、白色領域における監視対象の画素(例えば白色領域の中央部分に存在している画素等)に対応付けられたものを取得する。また、これと同じように、黒色領域の明度値情報と基準明度値情報は、黒色領域における監視対象の画素(例えば黒色領域の中央部分に存在している画素等)に対応付けられたものを取得する。但し、前述したように、保持面111上での各部における照度は、その全てにおいて必ずしも均等になっているとは限らない。このため、第1色成分領域A(白色領域)と第2色成分領域B(黒色領域)のそれぞれの監視対象の画素としては、先に例示した如く、保持面111上での照度の高さが同等になっていると考えられる近接位置同士のものを用いることが望ましい。
演算処理装置20は、その白色領域と黒色領域におけるそれぞれの監視対象の画素の明度値情報に基づいて、白色領域の第1明度値と黒色領域の第2明度値とを減算し、白色領域と黒色領域の明度差Dbを演算する(ステップST32)。ここでは、その明度差Dbの絶対値を演算する。また、この演算処理装置20は、その白色領域と黒色領域におけるそれぞれの監視対象の画素の基準明度値情報に基づいて、白色領域の第1基準明度値と黒色領域の第2基準明度値とを減算し、白色領域と黒色領域の基準明度差Dbbを演算する(ステップST33)。ここでは、その基準明度差Dbbの絶対値を演算する。
白色領域と黒色領域の明度差Dbは、検査対象物100の周囲の照度が規定照度範囲内にある場合、略一定値を保っている。しかしながら、その照度が規定照度範囲を超える程に高くなっている場合には、白色の明度値が上限値で飽和して、白色領域と黒色領域の明度差Dbの絶対値が白色領域と黒色領域の基準明度差Dbbの絶対値よりも小さくなる(図10)。また、その照度が規定照度範囲を超える程に低くなっている場合には、黒色の明度値が下限値で飽和して、白色領域と黒色領域の明度差Dbの絶対値が白色領域と黒色領域の基準明度差Dbbの絶対値よりも小さくなる(図10)。図10は、検査対象物100の周囲の照度が規定照度範囲内にあるとき(照度正常時)の白色と黒色との間の明度差Dbの絶対値(基準明度差Dbbの絶対値)と、その照度が規定照度範囲よりも高いとき(照度異常時)の白色と黒色との間の明度差Dbの絶対値と、その照度が規定照度範囲よりも低いとき(照度異常時)の白色と黒色との間の明度差Dbの絶対値と、を示したものである。
そこで、演算処理装置20は、白色領域と黒色領域の明度差Dbの絶対値が白色領域と黒色領域の基準明度差Dbbの絶対値に一致しているのか否かを判定する(ステップST34)。
その明度差Dbの絶対値と基準明度差Dbbの絶対値とが一致している場合には、検査対象物100の周囲の照度が規定照度範囲内にあることが判る。このため、この場合、演算処理装置20は、検査対象物100の周囲の照度が規定照度範囲内にあるとの判定を行う(ステップST35)。その後、演算処理装置20は、ステップST7に進み、照度に異常なし(照度正常)との報知情報を作業者等に伝える。
これに対して、演算処理装置20は、その明度差Dbの絶対値と基準明度差Dbbの絶対値とが一致していない場合、その明度差Dbの絶対値が基準明度差Dbbの絶対値よりも小さくなっているのか否かを判定する(ステップST36)。
その明度差Dbの絶対値が基準明度差Dbbの絶対値よりも小さい場合には、検査対象物100の周囲の照度が規定照度範囲から高低何れかに外れていると考えられる。従って、この場合、演算処理装置20は、例えば、白色領域の明度値Vwが上限値Vw(max)に達しているのか否かを判定する(ステップST37)。
演算処理装置20は、白色領域の明度値Vwが上限値Vw(max)に達している場合、検査対象物100の周囲の照度が規定照度範囲よりも高く、この照度に異常が発生していると判定する(ステップST38)。この場合、演算処理装置20は、ステップST7に進み、その判定結果に応じた照度異常の報知情報を作業者等に伝える。
これに対して、演算処理装置20には、白色領域の明度値Vwが上限値Vw(max)に達していない場合、検査対象物100の周囲の照度が規定照度範囲よりも低いと判定させてもよい。但し、この例示では、白色領域の明度値Vwが上限値Vw(max)に達していない場合、黒色領域の明度値Vbが下限値Vb(min)に達しているのか否かを判定する(ステップST39)。
演算処理装置20は、黒色領域の明度値Vbが下限値Vb(min)に達している場合、検査対象物100の周囲の照度が規定照度範囲よりも低く、この照度に異常が発生していると判定する(ステップST40)。この場合、演算処理装置20は、ステップST7に進み、その判定結果に応じた照度異常の報知情報を作業者等に伝える。
一方、黒色領域の明度値Vbが下限値Vb(min)に達していない場合には、例えば、白色領域における検査対象物100や黒色領域における検査対象物100が異品である場合等、何かしらの異常が発生している可能性がある。また、そのような異常は、白色領域と黒色領域の明度差Dbの絶対値が白色領域と黒色領域の基準明度差Dbbの絶対値よりも小さくなっていない場合(つまり大きい場合)にも起こり得る。このため、これらの場合の演算処理装置20は、何かしらの異常発生の虞ありとの判定を行う(ステップST41)。この場合、演算処理装置20は、ステップST7に進み、何かしらの異常発生の虞ありとの報知情報を作業者等に伝える。
ところで、この例示では、撮像画像上の全ての色成分領域が明度値の異なる同系色の無彩色領域の場合、演算処理を一旦終わらせるものとして説明した。しかしながら、上述した具体的な説明で示した観点に立てば、この検査装置1は、撮像画像上に明度値の異なる白色領域しか存在していない場合や明度値の異なる黒色領域しか存在していない場合にも、検査対象物100の周囲の照度が規定照度範囲に対して如何様になっているのかを判定することができる。
このため、演算処理装置20には、第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとが明度値の異なる白色領域の組み合わせの場合、第1白色領域の第1明度値と第2白色領域の第2明度値との間の明度差Dbの絶対値を演算させ、かつ、その第1白色領域の第1基準明度値と第2白色領域の第2基準明度値との間の基準明度差Dbbの絶対値を演算させる。そして、この演算処理装置20には、その明度差Dbが基準明度差Dbbよりも小さい場合、検査対象物100の周囲の照度が規定照度範囲よりも高く、この照度に異常が発生しているとの報知情報を報知装置40から出力させてもよい。また、演算処理装置20には、第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとが明度値の異なる黒色領域の組み合わせの場合、第1黒色領域の第1明度値と第2黒色領域の第2明度値との間の明度差Dbの絶対値を演算させ、かつ、その第1黒色領域の第1基準明度値と第2黒色領域の第2基準明度値との間の基準明度差Dbbの絶対値を演算させる。そして、この演算処理装置20には、その明度差Dbが基準明度差Dbbよりも小さい場合、検査対象物100の周囲の照度が規定照度範囲よりも低く、この照度に異常が発生しているとの報知情報を報知装置40から出力させてもよい。
以上示したように、本実施形態の検査装置1(照度監視装置)は、撮像画像上の隣接する第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとが互いに明度値の異なる無彩色領域であり、第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとの間の明度差の絶対値が当該第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとの間の基準明度差の絶対値よりも小さい場合、検査対象物100の周囲の照度に異常が発生しているとの報知情報を報知装置40から出力させる。このため、この検査装置1(照度監視装置)は、その報知情報を得た作業者等に対して照明の点検や交換等を促して、検査対象物100の周囲の照度を規定照度範囲内に戻させることができる。従って、この検査装置1は、正しい検査結果が得られるようになるので、検査精度の向上が図られる。また、この照度監視装置は、検査装置1に正しい検査結果を出力させ、検査精度を向上させることができる。
次に、第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとが各々有彩色領域になっている場合の照度監視について説明する。
記憶装置21に記憶させた撮像画像の各画素の撮像画像情報には、色成分値としてのRGB値(R値、G値、B値)が含まれている。また、その記憶装置21には、撮像画像の各画素に対応付けた基準色成分値としての基準RGB値(基準R値、基準G値、基準B値)が予め記憶させられている。
ここで、RGB値(R値、G値、B値)は、検査対象物100の周囲の照度の変化に伴い変わる。このため、演算処理装置20は、第1色成分領域Aにおける監視対象の画素の第1色成分値(第1RGB値)の最大値と最小値との差(以下、「第1最大色成分差」という。)を第1色情報値として演算し、かつ、その監視対象の画素の第1基準色成分値(第1基準RGB値)の最大値と最小値との差(以下、「第1基準最大色成分差」という。)を第1基準色情報値として演算する。また、この演算処理装置20は、第2色成分領域Bにおける監視対象の画素の第2色成分値(第2RGB値)の最大値と最小値との差(以下、「第2最大色成分差」という。)を第2色情報値として演算し、かつ、その監視対象の画素の第2基準色成分値(第2基準RGB値)の最大値と最小値との差(以下、「第2基準最大色成分差」という。)を第2基準色情報値として演算する。
演算処理装置20は、その第1最大色成分差と第2最大色成分差との差を色情報差Dc(max)として演算し、かつ、その第1基準最大色成分差と第2基準最大色成分差との差を基準色情報差Dcb(max)として演算する。そして、この演算処理装置20は、その基準色情報差Dcb(max)に対する色情報差Dc(max)の変化を監視することによって、検査対象物100の周囲の照度を監視し、その結果を報知装置40から出力させる。ここでは、色情報差Dc(max)が基準色情報差Dcb(max)に対して変化している場合、検査対象物100の周囲の照度に異常が発生しているとの報知情報を出力させる。
この照度の監視に関わる演算処理について、図11のフローチャートを用いて具体的に説明する。
演算処理装置20は、前述したステップST1と同じように、撮像画像の各画素における色成分値情報(RGB値情報)に基づいて、撮像画像上で互いに隣接する色成分値(RGB値)の異なる2つの色成分領域(第1色成分領域Aと第2色成分領域B)を特定する(ステップST51)。演算処理装置20は、そのような第1色成分領域Aと第2色成分領域Bの組み合わせが複数存在している場合、その全ての組み合わせを特定してもよい。
演算処理装置20は、その第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとが互いに色成分値(RGB値)の異なる有彩色領域であるのか否かを判定する(ステップST52)。演算処理装置20は、第1色成分領域Aと第2色成分領域Bの組み合わせが複数存在している場合、その組み合わせ毎に判定を行う。
演算処理装置20は、第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとが各々有彩色領域ではない場合、この演算処理を一旦終わらせる。尚、その後、この演算処理装置20は、例えば、次のフレームの撮像画像に対して同じ演算処理を実行してもよい。
演算処理装置20は、第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとが各々有彩色領域の場合、その第1色成分領域Aにおける監視対象の画素の第1色成分値情報(第1RGB値情報)と基準色成分値情報(基準RGB値情報)とを記憶装置21から読み込んで、この第1色成分領域Aの第1最大色成分差と第1基準最大色成分差を演算する(ステップST53)。ここでは、第1色成分値(第1RGB値)における最大値から最小値が減算されたものを第1最大色成分差とし、第1基準色成分値(第1基準RGB値)における最大値から最小値が減算されたものを第1基準最大色成分差とする。
また、演算処理装置20は、第2色成分領域Bにおける監視対象の画素の第2色成分値情報(第2RGB値情報)と基準色成分値情報(基準RGB値情報)とを記憶装置21から読み込んで、この第2色成分領域Bの第2最大色成分差と第2基準最大色成分差を演算する(ステップST54)。ここでは、第2色成分値(第2RGB値)における最大値から最小値が減算されたものを第2最大色成分差とし、第2基準色成分値(第2基準RGB値)における最大値から最小値が減算されたものを第2基準最大色成分差とする。
第1色成分領域Aにおける監視対象の画素としては、例えば、第1色成分領域Aの中央部分に存在している画素等を選択すればよい。また、第2色成分領域Bにおける監視対象の画素としては、例えば、第2色成分領域Bの中央部分に存在している画素等を選択すればよい。但し、前述したように、保持面111上での各部における照度は、その全てにおいて必ずしも均等になっているとは限らない。このため、第1色成分領域Aと第2色成分領域Bのそれぞれの監視対象の画素としては、先に例示した如く、保持面111上での照度の高さが同等になっていると考えられる近接位置同士のものを用いることが望ましい。
演算処理装置20は、その第1最大色成分差と第2最大色成分差とを減算して色情報差Dc(max)を求めると共に、その第1基準最大色成分差と第2基準最大色成分差とを減算して基準色情報差Dcb(max)を求める(ステップST55)。ここでは、色情報差Dc(max)の絶対値と基準色情報差Dcb(max)の絶対値とを演算する。
演算処理装置20は、その色情報差Dc(max)の絶対値と基準色情報差Dcb(max)の絶対値とが一致しているのか否かを判定する(ステップST56)。
演算処理装置20は、図12に示すように、色情報差Dc(max)の絶対値と基準色情報差Dcb(max)の絶対値とが一致している場合、検査対象物100の周囲の照度が規定照度になっており、この照度が正常であるとの判定を行う(ステップST57)。ここで、規定照度範囲内で撮像画像上の各画素のRGB値が変化しない場合、演算処理装置20は、色情報差Dc(max)の絶対値と基準色情報差Dcb(max)の絶対値とが一致していれば、検査対象物100の周囲の照度が規定照度範囲内にあると判定してもよい。図12は、検査対象物100の周囲の照度が規定照度又は規定照度範囲内のとき(照度正常時)の色情報差Dc(max){=Dcb(max)}の絶対値と、その照度に異常が発生しているときの色情報差Dcの絶対値と、を示したものである。尚、この図12では、第1最大色成分差の方が第2最大色成分差よりも大きくなっているものとして示している。但し、これは例示であり、第2最大色成分差の方が第1最大色成分差よりも大きくなっている場合も有り得る。
演算処理装置20は、その判定結果に応じた「照度に異常なし(照度正常)」との報知情報を作業者等に対して報知装置40を介して報知する(ステップST58)。その報知情報としては、例えば、前述したステップST7で挙げたもの等が生成される。また、視覚を刺激する情報については、表示装置30に出力させてもよい。
一方、演算処理装置20は、図12に示すように、色情報差Dc(max)の絶対値が基準色情報差Dcb(max)の絶対値よりも小さくなっていたり、色情報差Dc(max)の絶対値が基準色情報差Dcb(max)の絶対値よりも大きくなっていたりして、色情報差Dc(max)の絶対値と基準色情報差Dcb(max)の絶対値とが一致していない場合、検査対象物100の周囲の照度が規定照度又は規定照度範囲から外れており、この照度に異常が発生していると判定する(ステップST59)。この場合、演算処理装置20は、ステップST58に進み、その判定結果に応じた照度異常の報知情報を作業者等に伝える。
以上示したように、本実施形態の検査装置1(照度監視装置)は、撮像画像上の隣接する第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとが各々有彩色領域であり、その領域間における色情報差Dc(max)の絶対値と基準色情報差Dcb(max)の絶対値とが一致していない場合、検査対象物100の周囲の照度に異常が発生しているとの報知情報を報知装置40から出力させる。このため、この検査装置1(照度監視装置)は、前述した第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとが無彩色領域同士の場合と同等の効果を得ることができる。
次に、第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとが無彩色領域と有彩色領域の組み合わせになっている場合の照度監視について、図13のフローチャートを用いて説明する。
演算処理装置20は、前述したステップST1等と同じように、撮像画像の各画素における色成分値情報(RGB値情報)に基づいて、撮像画像上で互いに隣接する色成分値(RGB値)の異なる2つの色成分領域(第1色成分領域Aと第2色成分領域B)を特定する(ステップST61)。演算処理装置20は、そのような第1色成分領域Aと第2色成分領域Bの組み合わせが複数存在している場合、その全ての組み合わせを特定してもよい。
演算処理装置20は、その第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとが無彩色領域と有彩色領域の組み合わせになっているのか否かを判定する(ステップST62)。演算処理装置20は、そのような第1色成分領域Aと第2色成分領域Bの組み合わせが複数存在している場合、その組み合わせ毎に判定を行う。
演算処理装置20は、第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとが無彩色領域と有彩色領域の組み合わせになっていない場合、この演算処理を一旦終わらせる。尚、その後、この演算処理装置20は、例えば、次のフレームの撮像画像に対して同じ演算処理を実行してもよい。
演算処理装置20は、第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとが無彩色領域と有彩色領域の組み合わせになっている場合、その第1色成分領域Aにおける監視対象の画素の第1色成分値情報(第1RGB値情報)と基準色成分値情報(基準RGB値情報)とを記憶装置21から読み込んで取得し、かつ、その第2色成分領域Bにおける監視対象の画素の第2色成分値情報(第2RGB値情報)と基準色成分値情報(基準RGB値情報)とを記憶装置21から読み込んで取得する(ステップST63)。
第1色成分領域Aにおける監視対象の画素としては、例えば、第1色成分領域Aの中央部分に存在している画素等を選択すればよい。また、第2色成分領域Bにおける監視対象の画素としては、例えば、第2色成分領域Bの中央部分に存在している画素等を選択すればよい。但し、前述したように、保持面111上での各部における照度は、その全てにおいて必ずしも均等になっているとは限らない。このため、第1色成分領域Aと第2色成分領域Bのそれぞれの監視対象の画素としては、先に例示した如く、保持面111上での照度の高さが同等になっていると考えられる近接位置同士のものを用いることが望ましい。
演算処理装置20は、第1色成分値情報(第1RGB値情報)に基づいて第1色成分値(第1RGB値)の合計値(以下、「第1色成分合計値(第1RGB合計値)」という。)を第1色情報値として演算し、かつ、第2色成分値情報(第2RGB値情報)に基づいて第2色成分値(第2RGB値)の合計値(以下、「第2色成分合計値(第2RGB合計値)」という。)を第2色情報値として演算する(ステップST64)。第1色成分合計値(第1RGB合計値)とは、第1色成分値(第1RGB値)における各指標値(R値とG値とB値)の合計値のことである。第2色成分合計値(第2RGB合計値)とは、第2色成分値(第2RGB値)における各指標値(R値とG値とB値)の合計値のことである。そして、この演算処理装置20は、その第1色成分合計値(第1RGB合計値)と第2色成分合計値(第2RGB合計値)との差を色情報差Dcとして演算する(ステップST65)。ここでは、色情報差Dcの絶対値を演算する。
また、演算処理装置20は、第1色成分領域Aにおける基準色成分値情報(基準RGB値情報)の合計値(以下、「第1基準色成分合計値(第1基準RGB合計値)」という。)を第1基準色情報値として演算し、かつ、第2色成分領域Bにおける基準色成分値情報(基準RGB値情報)の合計値(以下、「第2基準色成分合計値(第2基準RGB合計値)」という。)を第2基準色情報値として演算する(ステップST66)。第1基準色成分合計値(第1基準RGB合計値)とは、第1基準色成分値(第1基準RGB値)における各指標値(基準R値と基準G値と基準B値)の合計値のことである。第2基準色成分合計値(第2基準RGB合計値)とは、第2基準色成分値(第2基準RGB値)における各指標値(基準R値と基準G値と基準B値)の合計値のことである。そして、この演算処理装置20は、その第1基準色成分合計値(第1基準RGB合計値)と第2基準色成分合計値(第2基準RGB合計値)との差を基準色情報差Dcbとして演算する(ステップST67)。ここでは、基準色情報差Dcbの絶対値を演算する。
ここで、検査対象物100の周囲の照度が規定照度の場合には、その色情報差Dcと基準色情報差Dcbとが一致する。また、その色情報差Dcと基準色情報差Dcbは、規定照度範囲内で撮像画像上の各画素のRGB値が変化しない場合にも一致する。
これに対して、その照度が規定照度又は規定照度範囲よりも高くなっている場合には、例えばCCDイメージセンサ等の撮像装置10の性能如何で、照度の上昇と共に、第1色成分領域Aと第2色成分領域Bの内のRGB合計値が大きい方のRGB値(R値、G値、B値)の合計値が上限値で飽和又は緩やかに増加する一方、RGB合計値が小さい方のRGB値(R値、G値、B値)の合計値が大きくなっていく。このため、この場合には、一方のRGB値の合計値が上限値で飽和又は緩やかに増加した後で、色情報差Dcが基準色情報差Dcbよりも小さくなる(図14)。図14は、検査対象物100の周囲の照度が規定照度又は規定照度範囲内のとき(照度正常時)の色情報差Dc(=Dcb)の絶対値と、その照度が規定照度又は規定照度範囲よりも高いとき(照度異常時)の色情報差Dcの絶対値と、その照度が規定照度又は規定照度範囲よりも低いとき(照度異常時)の色情報差Dcの絶対値と、を示したものである。尚、本図では、第1RGB合計値の方が第2RGB合計値よりも大きく、かつ、第1基準RGB合計値の方が第2基準RGB合計値よりも大きい場合を例として挙げている。
また、その照度が規定照度よりも低くなっている場合には、例えばCCDイメージセンサ等の撮像装置10の性能如何で、照度の低下と共に、第1色成分領域Aと第2色成分領域Bの内のRGB合計値が小さい方のRGB値(R値、G値、B値)の合計値が下限値で飽和又は緩やかに減少する一方、RGB合計値が大きい方のRGB値(R値、G値、B値)の合計値が小さくなっていく。このため、この場合には、一方のRGB値の合計値が下限値で飽和又は緩やかに減少した後で、色情報差Dcが基準色情報差Dcbよりも小さくなる(図14)。
そこで、演算処理装置20は、色情報差Dcの絶対値と基準色情報差Dcbの絶対値とが一致しているのか否かを判定する(ステップST68)。
その色情報差Dcの絶対値と基準色情報差Dcbの絶対値とが一致している場合には、検査対象物100の周囲の照度が規定照度になっている又は規定照度範囲内にあることが判る。このため、演算処理装置20は、色情報差Dcの絶対値と基準色情報差Dcbの絶対値とが一致している場合、検査対象物100の周囲の照度が規定照度になっており、この照度が正常であるとの判定を行う(ステップST69)。
演算処理装置20は、その判定結果に応じた「照度に異常なし(照度正常)」との報知情報を作業者等に対して報知装置40を介して報知する(ステップST70)。その報知情報としては、例えば、前述したステップST7等で挙げたものなどが生成される。また、視覚を刺激する情報については、表示装置30に出力させてもよい。
一方、演算処理装置20は、色情報差Dcの絶対値と基準色情報差Dcbの絶対値とが一致していない場合、その色情報差Dcの絶対値が基準色情報差Dcbの絶対値よりも小さくなっているのか否かを判定する(ステップST71)。
その色情報差Dcの絶対値が基準色情報差Dcbの絶対値よりも小さい場合には、検査対象物100の周囲の照度が規定照度範囲から高低何れかに外れていると考えられる。従って、この場合、演算処理装置20は、第1色成分領域Aと第2色成分領域Bの内のRGB合計値が大きい方の監視対象の画素におけるRGB値(R値、G値、B値)の最大値Cmaxと、その画素における基準RGB値(基準R値、基準G値、基準B値)の最大値Cbmaxと、を読み込み、その最大値Cmaxが最大値Cbmaxよりも大きくなっているのか否かを判定する(ステップST72)。
演算処理装置20は、その最大値Cmaxが最大値Cbmaxよりも大きくなっている場合、検査対象物100の周囲の照度が規定照度範囲よりも高く、この照度に異常が発生していると判定する(ステップST73)。この場合、演算処理装置20は、ステップST70に進み、その判定結果に応じた照度異常の報知情報を作業者等に伝える。
これに対して、演算処理装置20は、その最大値Cmaxが最大値Cbmaxよりも小さくなっている場合、検査対象物100の周囲の照度が規定照度範囲よりも低く、この照度に異常が発生していると判定する(ステップST74)。この場合、演算処理装置20は、ステップST70に進み、その判定結果に応じた照度異常の報知情報を作業者等に伝える。
ここで、色情報差Dcの絶対値が基準色情報差Dcbの絶対値よりも大きくなっている場合には、例えば、検査対象物100が異品である場合等、何かしらの異常が発生している可能性がある。このため、この場合の演算処理装置20は、何かしらの異常発生の虞ありとの判定を行う(ステップST75)。この場合、演算処理装置20は、ステップST70に進み、何かしらの異常発生の虞ありとの報知情報を作業者等に伝える。
以上示したように、本実施形態の検査装置1(照度監視装置)は、撮像画像上の隣接する第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとが無彩色領域と有彩色領域の組み合わせであり、その領域間における色情報差Dcの絶対値が基準色情報差Dcbの絶対値よりも小さい場合、検査対象物100の周囲の照度に異常が発生しているとの報知情報を報知装置40から出力させる。このため、この検査装置1(照度監視装置)は、前述した第1色成分領域Aと第2色成分領域Bとが無彩色領域同士の場合や有彩色領域同士の場合と同等の効果を得ることができる。
[変形例]
ここで、以上示した本実施形態では、照度監視装置を検査装置1に組み込んでいる。しかしながら、その照度監視装置は、これ単体でも、つまり検査装置1から検査機能を取り除いたものとしても構成することができる。図1に括弧書きで示している符号2は、本変形例の照度監視装置を表している。
この照度監視装置2とは、撮像対象物100を撮像する撮像装置10と、この撮像装置10の撮像情報から得られた画素毎の撮像画像情報に基づいて撮像対象物100の周囲の照度を監視する演算処理装置20と、この演算処理装置20の指令に基づいて情報の報知を行う報知装置40と、を備えたものである。
撮像対象物100は、例えば、先に説明した検査装置1の検査対象物100と同等のものである。本変形例の演算処理装置20は、先に説明した検査装置1の演算処理装置20から検査に関わる演算処理機能を除いたものに相当する。報知装置40は、先に説明した検査装置1の報知装置40と同等のものである。このため、この照度監視装置2における構成や演算処理動作等は、先の検査装置1における照度の監視に関わる構成や演算処理動作等の説明において、主に検査対象物100を撮像対象物100と読み替えればよい。
尚、規定照度又は規定照度範囲については、この照度監視装置2の監視結果を実施形態のように検査対象物100の検査に利用するのであれば、先に検査装置1で説明したものに定めればよい。一方、その監視結果を検査装置1とは異なる機器等の装置で利用する場合には、その装置における照度の設定に合わせて、規定照度又は規定照度範囲を定めればよい。
本変形例の照度監視装置2は、このように構成することによって、実施形態で説明したものと同様の効果を得ることができる。