JP6421395B2 - Sar図からの立体地形図形成方法 - Google Patents
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Description
地球温暖化や大規模自然災害のような地球規模の問題に対処するために、リモートセンシング技術を用いた地球観測が行われている。人口衛星や航空機を用いたリモートセンシングでは、カメラのような受動型センサ、あるいは、レーダのような能動型センサが用いられる。光学センサであるカメラは、簡便に観測を行うことができるが、受動型センサであるため夜間に使用することができない大きな欠点がある。一方で、レーダは、能動型センサであるため昼夜問わずに観測することができたり、マイクロ波の透過特性から雲、霧、雨などの天候の影響を受けることなく観測できたりする利点がある。光学センサに比べて解像度が低い問題があるが、合成開口レーダ(SAR)を用いることで、光学センサと同等以上の解像度で計測できる。本発明では、その有用性から最も重要なセンサとして利用されているSARに着目する。
A.センサ/対象物間の関係式と画像マッチングを組み合わせた手法
SARセンサと対象物間の距離と方向等から導出されるセンサ/対象物間の関係式を、画像マッチング手法から見出した複数画像上での対象物対応点に適用し、高度値を得る手法である(非特許文献1、2等)。SARセンサの観測中の時々刻々の位置や速度等の情報を必要とする。また、高度値の精度向上の為に予め調査されたGCP(Ground Control Point)がしばしば用いられる。
B.ダイレクト立体レーダ測量法(Direct Stereo Radargrammetric)
これは、例えば非特許文献3で公開されたもので、SAR画像の高精度な位置情報と予め生成された粗い精度のDEMを必要とする。マスター画像のピクセル値に粗い精度のDEMから与えられる高度に幅を持たせ、スレーブ画像上の対応点位置を逐次算出し、算出対応点近傍でのピクセル値に対する相関係数の大きさから最適な高度値を計算する手法である。
C.ディジタルカメラ画像等からのマッチング技術を用いた3次元復元の従来技術
これは、カメラの撮影位置と対象物体形状に依存するカメラ画像間の投影位置の違いから、対象物体の3次元形状を計算するコンピュータビジョンに関するもので、非特許文献4、5等の例がある。この手法を適用するためには、カメラパラメータと呼ばれるカメラの焦点距離や撮像素子の大きさ、撮影位置・姿勢等を含む情報を必要とする。これらの情報は、既知パターンを用いたカメラ校正や、複数画像間の対応関係からのパラメータ推定により取得する。カメラパラメータ推定では、高精度化のためにバンドル調整がしばしば用いられる。また、複数画像間の対応関係を求めるために、カメラ画像間のマッチングを行う必要がある。
<2.SAR画像の生成と特徴>
SARを用いて地表面を計測した信号から画像を生成するための原理とSAR画像の特徴について述べる。なお、本発明では、図1に示すように、SAR観測でよく用いられる基本的な用語を用いる。レーダを搭載する人口衛星や航空機をプラットフォーム、プラットフォームの進行方向をアジマス方向、進行方向と直角でマイクロ波を照射する方向をレンジ方向と呼ぶ。さらに、レンジ方向は、マイクロ波が照射される方向に対するスラントレンジ方向と、地表面を基準としたグランドレンジ方向に区別される。また、マイクロ波が照射される領域で、アンテナに近い側をニアレンジ、遠い側をファーレンジと呼ぶ。
<2.1 SAR画像の生成>
次に、SARの強度信号から画像を生成する原理について図1に沿って説明する。プラットフォームからレンジ方向にマイクロ波パルスを送信し、地表面で後方散乱された反射波を受信する。この一連の動作を、アジマス方向に移動しながら繰り返すことによって2次元平面を走査する。図2に受信信号の例を示す。この様な1次元時間関数として表される受信信号を、それぞれの送信信号からの遅れに関する時間関数として並べ替えることにより2次元画像を生成する。図3に、生成した2次元画像の例を示す。各画素の輝度値が受信信号の振幅(強度)であるため、生成された画像は、レーダ強度画像と呼ばれる。実際は、分解能を高めるために、アジマス方向、レンジ方向のそれぞれについてSAR圧縮処理を行う必要があるが、この圧縮処理の詳細については、例えば非特許文献6に記載がある。
<2.2 SAR画像の特徴>
次に、SAR画像には、画像の生成プロセスに起因するいくつかの特徴として、(i)アジマス方向とレンジ方向で分解能が大きく異なる場合があること、(ii)レーダ観測特有の画像変調が生じていることが挙げられる。
<フォアショートニング、レイオーバー>
SARは、マイクロ波を斜め下方向に照射し、地表面に散乱されて戻ってきた順に反射波を記録する。そのため、プラットフォームまでの距離が短い地点ほど、プラットフォーム側の画像上に投影される。同じ水平位置でも標高が高いほどプラットフォームまでの距離が短くなるため、高さがある物体は、本来の位置よりプラットフォーム側に投影される。この現象をフォアショートニングと呼ぶ。フォアショートニングがさらに大きくなると、図4に示すように、散乱体AとBとが本来の位置関係と逆転して画像上に投影されてしまう。この現象をレイオーバーと呼ぶ。フォアショートニング、レイオーバーは、対象物の高さや、レーダの入射角の大きさに依存する。
<陰影効果>
図4のように、充分な高さがある物体(例えば山)によって、アンテナからのマイクロ波が遮られると、その物体の点Bより後ろ側の領域には、マイクロ波が照射されない。そのため、この領域からの受信信号は0となり、SAR画像上に影のように映ってしまう。この現象は陰影効果と呼ばれ、地表法線に対するレーダ波の入射角が大きくなるにつれて、この陰影効果の影響を受ける領域が増加する。しかしこの場合、フォアショートニングが小さくなる。そのため、SAR画像の利用目的に合わせ、適切なレーダ波の入射角を選択して観測を行う必要がある。
(1) 少なくとも2枚の上記SAR図を、同一方角に向き同一縮尺のグランドレンジ面上のSAR図に変換するステップと、
(2) グランドレンジ面上の上記SAR図から共通の領域を選択するステップと、
(3) 共通の上記SAR図の一方における上記所定地点付近の局所図を動かして、上記SAR図の他方との最大一致を示す点を見いだすことで、上記所定地点の異なる上記SAR図上での対応点を見いだすステップと、
(4) 見いだした各対応点の座標をスラントレンジ面上の座標に変換して、スラントレンジ面上の該対応点の座標の位置から上記所定地点の標高値を見いだすステップと、
を含む。
(1)上記SAR図の各々にグランドレンジ変換を行って各々のグランドレンジ図を得るステップと、
(2)上記各々のグランドレンジ図について、それらを重ね合わせるために必要な図間の回転角と並行移動量を推定するステップと、
(3)所定の地点に対応する上記各々のグランドレンジ図上の地点の座標を要素とする対応点群を求めるステップと、
(4)上記対応点の各々の要素について、上記グランドレンジ変換の逆変換を行ってスラントレンジ図上の対応点群に座標変換するステップと、
(5)スラントレンジ図上の上記対応点群について、プラットフォーム高度、スラントレンジ方向のビーム入射角、スラントレンジ方向、およびアジマス方向の分解能の逆数を含む上記SAR図の内部パラメータと、回転角と並行移動量とを含む外部パラメータと、を用いて上記対応点群の各々の要素の高度を推定するステップと、
(6)上記内部パラメータまたは/および外部パラメータについて、バンドル調整に基づく再投影誤差の最小化を実施し、該再投影誤差が最小となる最適内部パラメータまたは/および最適外部パラメータを求めるステップと、
(7)上記最適内部パラメータまたは/および最適外部パラメータを用いて、高度推定値を得るステップと、
を含む。
<手順1> グランドレンジ変換(画像マッチングの下準備)
手順2における一連の画像処理の下準備として、マスター画像、スレーブ画像の両スラントレンジ画像(図6(a))について地上投影変換を実施する。この変換は、グランドレンジ変換と呼ばれる一般的な変換である。このグランドレンジ変換により得られる画像は、グランドレンジ画像と呼ばれており、画像全体での分解能が揃っているため、異なるSAR画像同士での画像マッチングが容易となる(図6(b))。なお、このグランドレンジ変換の際に必要となる各ピクセルの高度ZAについてはこの段階では任意で良い。また、グランドレンジ変換画像が既に手元にある場合は、この手順はスキップしても良い。
<手順2> 外部パラメータの推定と画像マッチング
手順1にて変換や生成されたグランドレンジ画像ペアについて、非特許文献8により公知である回転不変POCを適用し、画像間回転角φを推定する。その後、スレーブ画像のグランドレンジ画像について回転角φだけ回転させ、非特許文献7により公知であるPOCを用いて並行移動量(tx、ty)を推定する。推定した回転角φと並行移動量(tx、ty)を用いて変換したスレーブ画像とマスター画像について非特許文献9により公知であるPOCに基づく対応点検索を実施し、グランドレンジ画像間の対応点を求める(図6(c))。
<手順3>対応点のスラントレンジ変換
手順2で求められたグランドレンジ画像上の対応点のピクセル座標値について手順1と逆の手順でスラントレンジ画像上のピクセル座標値に変換する。これにより手順2で求めた対応点がスラントレンジ画像上に配される(図6(d))。
<手順4>内部および外部パラメータを利用した対応点の初期高度計測
手順3までで得られたスラントレンジ画像上の対応点について、SAR画像とともに提供される内部パラメータ(プラットフォーム高度Z0、スラントレンジ方向のビーム入射角θ、スラントレンジ方向、アジマス方向の分解能の逆数αu、αv)、及び手順2で推定した外部パラメータ(回転角φと並行移動量(tx、ty))を用いて、数7を計算する事で対応点における高度推定を実施する(図6(e))。
<手順5> 内部または/および外部パラメータの最適化
手順2で推定した外部パラメータは手順1で画像全体に渡り任意高度ZAを持つとしてグランドレンジ変換を実施しているため、真値では無い。また、SAR画像とともに提供されるパラメータについても誤差を含む可能性がある。これらの内部または/および外部パラメータについて非特許文献4の記載に沿ってバンドル調整に基づく再投影誤差の最小化を実施し、その再投影誤差が最小となる内部または/および外部パラメータを求める。
<手順6> 最適化された内部および外部パラメータに基づく高度計測
手順5で求められた内部および外部パラメータを用いて、最終的な高度推定値を得る(図6(f))。
<3.SARの3次元幾何の定式化>
ここでは、コンピュータビジョンの原理に基づいて3次元計測を行うために、コンピュータビジョンの分野における解法に合わせてSARの3次元幾何を定式化する。
<3.1 レーダ画像投影モデルとSARの内部パラメータ>
レーダ画像投影モデルを定義するために3次元空間と2次元空間のそれぞれの位置を表す座標系(図5)を導入する。2次元空間の座標系には、原点を画像左上とし、アジマス方向を水平軸u、レンジ方向を垂直軸vとするディジタル画像座標系を用いる。3次元空間の座標系には、コンピュータビジョンの分野で用いられるカメラ座標系にならって、レーダ座標系と呼ぶ新たな座標系を導入する。レーダ座標系では、ディジタル画像座標系の原点に対応する3次元空間位置の標高0mの点を原点とし、アジマス方向をYR軸、レンジ方向をXR軸、高さをZR軸とする。このとき、2節で述べたSARによる画像生成プロセスを考慮すると、レーダ座標系で表される3次元空間上の点(XR、YR、ZR)とその投影点(u、v)との間に次式で表される投影モデルが定義できる。
<3.2座標系間の変換式とSARの外部パラメータ>
異なる2つの航路1と航路2で同一の領域を観測した場合を考える。この時、それぞれの航路で定義されるレーダ座標系における3次元座標(XR1,YR1,ZR1)と(XR2,YR2,ZR2)との間で次式が成り立つ。
導出した投影モデル(数1)が、ある世界座標系の3次元座標(X,Y,Z)の、異なる2つの画像上のディジタル画像座標(u,v)と(u´,v´)とでそれぞれ成り立つことから、異なるレーダ座標系間の変換式(数4)を用いて、これらのディジタル画像座標(u,v)と(u´,v´)との間に,以下の式が成り立つ。
<4.レーダ強度画像からの地表面の3次元計測>
レーダ強度画像間の対応関係とSARの3次元幾何に基づいて3次元計測を行う手法を詳しく説明する。その手法は、(1)地上投影変換、(2)外部パラメータの推定と画像マッチング、(3)内部または/および外部パラメータの最適化、(4)3次元計測の4つの処理で構成される。図6に、スラントレンジ画像間の対応点を取得するまでのフローを示す。以下では、それぞれの処理について具体的に説明する。
<4.1 地上投影変換>
SAR画像は、上記の2.(SAR画像の生成と特徴)〜2.2(SAR画像の特徴)の欄で述べたように、画像全体で分解能が変化しており、実際の地表面の見え方と異なる。航路によって被写体の映り方の違いが大きくなるため、そのままでは画像マッチングを行うことが困難である。そこで、地上投影変換により画像全体の分解能を揃えて俯瞰画像に変換することで、画像間の大きな変形を解消する。(u、v)を地上投影変換前のスラントレンジ画像上の点とし、(XR、YR)を地上投影変換後のグランドレンジ画像上の点とする。この時、地上投影変換式は、2節で定義したレーダ画像投影モデルである数1で表すことができる。ただし、ZRは任意の定数であるとする。本実施例ではZR=0とした。
<4.2 外部パラメータの推定と画像マッチング>
グランドレンジ画像から外部パラメータの推定と画像マッチングを行う。まず、画像間の回転および平行移動を補正する。外部パラメータである回転行列Rと並進ベクトルtは、Z方向の回転と並進が0である。これを利用することで、2次元のグランドレンジ画像間の回転量と平行移動量から外部パラメータを求めることができる。本発明では、画像間の回転量推定に回転不変位相限定相関法(RIPOC:Rotation-invariant Phase-Only Correlation)を、並行移動量の推定にPOCを用いる(非特許文献7)。POCは、並行移動のみの画像変形を仮定している手法であるため、はじめにRIPOCを用いて画像間の回転角度を求める。また、航路2の画像を回転補正してからPOCを用いて画像間の並行移動量を求める。次に、航路1のグランドレンジ画像と、回転補正した航路2のグランドレンジ画像との間で画像マッチングを行う。航路1のグランドレンジ画像上に基準点を配置し、回転補正した航路2のグランドレンジ画像上の対応点をPOCに基づく対応点探索(非特許文献9)を用いて求める。得られた対応点を回転補正前の座標系に戻すことで、航路1と航路2のグランドレンジ画像上での対応点を得ることができる。最後に、グランドレンジ画像間の対応点ペアに、地上投影変換と逆の変換を行うことで、各航路のスラントレンジ画像上の対応点を求める。
<4.3 パラメータの最適化と3次元計測>
グランドレンジ画像間の回転角度と平行移動量から求めた外部パラメータは、厳密に正しい値ではない。地上投影変換でZR=0を仮定しているので、画像間の平行移動量に、航路の違いによる平行移動量とジオメトリック画像変調による平行移動量が含まれてしまい、両者の区別がつかないことが原因である。また、内部パラメータには、計測による誤差が含まれていると考えられる。そこで、バンドル調整に基づく再投影誤差の最小化により、内部または/および外部パラメータの最適化を行う。
本発明で提案する2枚のSAR画像から3次元計測を行う手法の計測精度を国土地理院より公開されている数値標高モデルと比較することで評価する。
<5.1データセット>
本実験で用いるSAR画像は、情報通信研究機構が開発した航空機SARであるPi−SAR2により取得されたものである。観測場所は茨城県東茨城郡城里町であり、観測領域はおよそ5km×5kmである。本実験で使用したSAR画像を図7に示す。SAR画像の大きさは、図7(a)が20,000×10,713ピクセル、図7(b)が20,000×10,338ピクセルである。これらのSAR画像を取得したときのPi−SAR2の撮影諸元を表1に示す。
まず、本発明を用いて2枚のSAR画像から地表面の3次元計測を行う。そして、復元した3次元点群と、真値であるDEMの3次元メッシュモデルをICP(Iterative Closest Point)により位置合わせをし、標高の残差で評価する。国土地理院によって公開されているDEMは、航空レーザー測量によって計測したデータから、建物および橋などの人工構造物や樹木などの植生をフィルタリング処理によって除去し、5m間隔に標高を内挿補間して求めた数値標高モデルデータである。本発明によって求められる3次元点群が1m間隔であるのに対し、DEMは5m間隔の点群である。そのため、3次元点群であるDEMをドロネー三角形分割により3次元メッシュに変換して精度評価を行う。
<5.3実験結果>
地上投影変換後のグランドレンジ画像と標高マップを図8に示す。図8(a)および(b)は、それぞれ航路1および航路2の地上投影変換後のグランドレンジ画像である。図8(c)は、画像マッチングの際に基準点を配置した領域をグランドレンジ画像から抽出したものである。図8(d)は、バンドル調整前のパラメータを用いて計算した標高マップである。図8(e)は、バンドル調整で最適化されたパラメータを用いて計算した標高マップである。図8(f)は、国土地理院の基盤地図情報(数値標高モデル)データ5mメッシュ(標高)を使用した標高マップである。また、本発明の手法によって計算された3次元点群とDEMとの残差と3次元復元点数を表2に示す。
Claims (7)
- 同一地域のデータを含む少なくとも2枚の互いに異なる航路で取得されたSAR図を用いて、上記同一地域の所定地点の標高を含む座標を決定する方法であって、
上記所定地点において、地表の対象点の位置のスラントレンジ面への射影における歪みを測定して上記標高を含む座標を決定するものであり、
(1) 少なくとも2枚の上記SAR図を、同一方角に向き同一縮尺のグランドレンジ面上のSAR図に変換するステップと、
(2) グランドレンジ面上の上記SAR図から共通の領域を選択するステップと、
(3) 共通の上記SAR図の一方における上記所定地点付近の局所図を動かして、上記SAR図の他方との最大一致を示す点を見いだすことで、上記所定地点の異なる上記SAR図上での対応点を見いだすステップと、
(4) 見いだした各対応点の座標をスラントレンジ面上の座標に変換して、スラントレンジ面上の該対応点の座標の位置から上記所定地点の標高値を見いだすステップと、
を含むことを特徴とする、SAR図からの立体地形図形成方法。 - 上記所定地点のグランドレンジ面上のSAR図における位置は、上記グランドレンジ面上の上記局所図の重心位置とするものであることを特徴とする請求項1に記載のSAR図からの立体地形図形成方法。
- 上記所定地点は、上記同一地域を構成する複数の各点であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のSAR図からの立体地形図形成方法。
- 同一地域のデータを含む少なくとも2枚の互いに異なる航路で取得されたSAR図を用いて、上記同一地域の所定地点の標高を含む座標を推定することを含むSAR図からの立体地形図形成方法であって、
(1)上記SAR図の各々にグランドレンジ変換を行って各々のグランドレンジ図を得るステップと、
(2)上記各々のグランドレンジ図について、それらを重ね合わせるために必要な図間の回転角と並行移動量を推定するステップと、
(3)所定の地点に対応する上記各々のグランドレンジ図上の地点の座標を要素とする対応点群を求めるステップと、
(4)上記対応点の各々の要素について、上記グランドレンジ変換の逆変換を行ってスラントレンジ図上の対応点群に座標変換するステップと、
(5)スラントレンジ図上の上記対応点群について、プラットフォーム高度、スラントレンジ方向のビーム入射角、スラントレンジ方向、およびアジマス方向の分解能の逆数を含む上記SAR図の内部パラメータと、回転角と並行移動量とを含む外部パラメータと、を用いて上記対応点群の各々の要素の高度を推定するステップと、
(6)上記内部パラメータまたは/および外部パラメータについて、バンドル調整に基づく再投影誤差の最小化を実施し、該再投影誤差が最小となる最適内部パラメータまたは/および最適外部パラメータを求めるステップと、
(7)上記最適内部パラメータまたは/および最適外部パラメータを用いて、高度推定値を得るステップと、
を含むことを特徴とするSAR図からの立体地形図形成方法。 - 請求項4の(2)のステップと(3)のステップは、位相限定相関法を用いたステップであることを特徴とするSAR図からの立体地形図形成方法。
- 上記SAR図は、単偏波スラントレンジ振幅強度図であることを特徴とする、請求項4あるいは5に記載のSAR図からの立体地形図形成方法。
- 上記バンドル調整における評価関数は、少なくとも2枚の上記SAR図のスラントレンジ面上の対応点群の各要素の座標と上記SARの内部パラメータまたは/および外部パラメータを用いて対応点群の各要素の3次元座標を算出し、再度2次元スラントレンジ面に投影した際の対応点群の各要素の座標との差の2乗和であることを特徴とする請求項4から6のいずれか1つに記載のSAR図からの立体地形図形成方法。
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