JP6421316B2 - シート製造装置、シート製造方法及びこれらに用いる粉体 - Google Patents

シート製造装置、シート製造方法及びこれらに用いる粉体 Download PDF

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Description

本発明は、シート製造装置、シート製造方法及びこれらにより製造されるシート、並びに、これらに用いる粉体及びその収容容器に関する。
繊維状の物質を堆積させ、堆積させた繊維の相互間に結合力を働かせてシート状あるいはフィルム状の成形体を得ることは古くから行われている。その典型例として、水を用いた抄造(抄紙)によって紙を製造することが挙げられる。現在においても紙を製造する方法の一つとして抄造法が広く用いられている。抄造法で製造される紙は、一般に、例えば木材等に由来するセルロースの繊維が互いに絡み合い、バインダー(紙力増強剤(デンプン糊、水溶性樹脂等))によって互いに部分的に結着されている構造を有するものが多い。
抄造法によれば均一性の良好な状態で、繊維を堆積させることができ、また、繊維間の結合に紙力増強剤等を用いる場合には、その紙力増強剤についても紙面内で均一性のよい状態で分散(分布)させることができる。しかし抄造法は湿式であるため、大量の水を使用する必要があり、また、紙が形成された後、脱水・乾燥等の必要が生じ、そのために費やすエネルギーや時間が非常に大きい。また、使用した水は、排水として適切に処理する必要がある。したがって昨今の省エネルギー、環境保護等の要請に応えることは難しくなってきている。また抄造法に用いる装置は、水、電力、排水設備等の大型のユーティリティーやインフラストラクチャーが必要となることが多く、小型化することは難しい。これらの観点から、抄造法に代る紙の製造方法として、乾式法と称する水を全く又はほとんど用いない方法が期待されている。
特許文献1には、基材層が天然セルロース繊維及び/または合成繊維と熱融着性物質とで構成されたインク吸収体が開示されている。熱融着性物質は、天然セルロース繊維や合成繊維同士を結着するために用いられ、熱融着性繊維や熱融着性粉体が開示されている。熱融着性繊維としては、芯材としてPPを使用し、周りをPEで被覆した複合繊維を用いることが提案されている。
特開2000−135797号公報
しかし、熱融着性繊維は通常絡み合った状態で存在しているため、天然セルロース繊維等に供給する際、定量的に供給するのが難しいという問題がある。また、熱融着性粉体は、粉体化する際にせん断熱で溶融しないような工夫が必要であり、コストがかかり、市販されている樹脂粉体は比較的高価で価格競争力に問題がある。
本発明の幾つかの態様に係る目的の1つは、従来の熱融着性繊維よりも定量的に供給ができかつ従来の熱融着性粉体を製造するよりも低コストで製造できる粉体を用いたシート製造装置、シート製造方法及びこれらにより製造されるシート、並びに、これらに用いる粉体及びその収容容器を提供することにある。
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するために為されたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
(1)本発明に係るシート製造装置の一態様は、
第一の繊維と、少なくとも天然繊維と樹脂とを一体に有する粉体と、を混合する混合部と、
前記第一の繊維と前記粉体とを結着する結着部と、
を備えることを特徴とする。
このようなシート製造装置によれば、天然繊維と樹脂とを一体に有する粉体を用いることで、従来の熱融着性繊維よりも定量的に供給がしやすくなる。また、このようなシート製造装置によれば、天然繊維と樹脂とを一体にして粉体にすることで樹脂だけを粉体にするよりも低コストで粉体にでき、その結果、シートを製造するコストを低減することができる。
(2)本発明に係るシート製造装置において、
前記粉体は、前記天然繊維を50重量%以上含有してもよい。
このようなシート製造装置によれば、粉体に占める割合が樹脂よりも天然繊維の方が大きいため、粉体に加工しやすくなる。そのため、粉体を低コストで製造することができ、その結果、シートを製造するコストを低減することができる。
(3)本発明に係るシート製造装置において、
前記粉体は、さらに相溶化剤を含んでもよい。
このようなシート製造装置によれば、粉体に相溶化剤を含むことで天然繊維と樹脂との界面における馴染みやすさを改善することができる。また、このようなシート製造装置によれば、相溶化剤が第一の繊維と樹脂との界面における馴染み易さも改善することができるため、少量の樹脂であっても第一の繊維と樹脂との結着力及び天然繊維と樹脂との結着力を高め、機械的強度に優れたシートを製造することができる。
(4)本発明に係るシート製造方法の一態様は、
第一の繊維と、少なくとも天然繊維と樹脂とを一体に有する粉体と、を混ぜ合せる工程と、
前記第一の繊維と、前記粉体と、を結着させる工程と、
を含むことを特徴とする。
このようなシート製造方法によれば、天然繊維と樹脂とを一体に有する粉体を用いることで、従来の熱融着性繊維よりも定量的に供給がしやすくなる。また、このようなシート製造方法によれば、天然繊維と樹脂とを一体にして粉体にすることで樹脂だけを粉体にするよりも低コストで粉体にでき、その結果、シートを製造するコストを低減することができる。
(5)本発明に係るシートの一態様は、
第一の繊維と、少なくとも天然繊維と樹脂とを一体に有する粉体と、を原料に含み、
前記第一の繊維と、前記粉体とが、結着されていることを特徴とする。
このようなシートによれば、粉体内において樹脂と結着している天然繊維が存在しているので、第一の繊維と天然繊維とを樹脂を介して効率よく結着することができる。
(6)本発明に係る収容容器の一態様は、
第一の繊維と混ぜて用いられ、少なくとも天然繊維と樹脂とを一体に有する粉体を収容することを特徴とする。
このような収容容器は、粉体を容易に運搬、保管することができる。
(7)本発明に係る粉体の一態様は、
少なくとも天然繊維と樹脂とを一体に有し、第一の繊維と混ぜて用いられることを特徴とする。
このような粉体は、第一の繊維と混ぜられる際に、従来の熱融着性繊維よりも定量的に供給がしやすくなる。また、このような粉体によれば、天然繊維と樹脂とを一体にして粉体にすることで樹脂だけを粉体にするよりも低コストで製造できる。
(8)本発明に係る粉体の一態様は、
シート製造装置に用いられ、少なくとも天然繊維と樹脂とを一体に有することを特徴とする。
このような粉体は、第一の繊維と混ぜられる際に、従来の熱融着性繊維よりも定量的に供給がしやすくなる。また、このような粉体によれば、天然繊維と樹脂とを一体にして粉体にすることで樹脂だけを粉体にするよりも低コストで製造でき、その結果、シート製造装置におけるシートを製造するコストを低減することができる。
実施形態に係るシート製造装置の要部の模式図。 実施形態に係るシート製造装置の模式図。 シート製造装置の構成の一例を示す図。 実施形態に係る粉体の断面の幾つかの例を示す模式図。 廃インク吸収体Fのインク浸透性の評価方法を示す模式図。 廃インク吸収体Fのインク保持性の評価方法を示す模式図。
以下に本発明の幾つかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
1.シート製造装置
本実施形態に係るシート製造装置1000は、第一の繊維と、天然繊維と樹脂とを一体に有する粉体と、を混合する混合部100と、前記第一の繊維と前記粉体とを結着する結着部200とを備える。図1は、本実施形態のシート製造装置1000の要部を示す模式図である。図2は、本実施形態のシート製造装置1000の模式図である。図3は、本実施形態のシート製造装置1000の構成の一例を示す図である。シート製造装置1000は、少なくとも、混合部100と、結着部200と、を備える。
1.1.混合部
本実施形態のシート製造装置1000に備えられる混合部100は、第一の繊維(第一の繊維材)と、樹脂と天然繊維とを一体に有する粉体と、を混ぜ合せる機能を有する。混合部100では、少なくとも第一の繊維及び粉体が混ぜ合される。混合部100において
は、第一の繊維及び粉体以外の成分が混ぜ合されてもよい。
本明細書では、「第一の繊維」というときには、第一の繊維1本のことを指す場合と、複数の第一の繊維の集合体(例えば綿のような状態)のことを指す場合とがあり、また、「第一の繊維材」というときには、複数の第一の繊維が含まれる材料のことを指し、第一の繊維の集合という意味及びシートの原料となる材料(粉体又は綿状の物体)という意味を含むものとする。
また、本明細書では、粉体というときには、樹脂を主成分として他のものと一体に形成された粒子をいう。他のものとは、天然繊維や凝集抑制剤などをいうが、主成分となる樹脂と異なる形状や大きさや材質や機能を有するものも含まれる。
また、本明細書で天然繊維というときには、綿、大麻、ケナフ、亜麻、ラミー、黄麻、マニラ麻、サイザル麻、針葉樹、広葉樹等からなるセルロース繊維や絹、羊毛などの動物繊維が挙げられ、これらを単独で用いてもよいし、適宜混合して用いてもよいし、精製などを行った再生繊維として用いてもよい。さらに天然繊維というときには第一の繊維と同じでなくてもよい。
また、本明細書において「第一の繊維と粉体とを混ぜ合せる」とは、一定容積の空間(系)内で、第一の繊維と第一の繊維との間に粉体を位置させることと定義する。
混合部100は、第一の繊維(第一の繊維材)と粉体とを混ぜ合せることができれば、その構成、構造及び機構等は特に限定されない。また、混合部100における混ぜ合せの処理の態様は、回分処理(バッチ処理)であっても、逐次処理、連続処理のいずれであってもよい。また、混合部100は、手動で動作されても自動で動作されてもよい。さらに、混合部100は、少なくとも第一の繊維材及び粉体を混ぜ合せるが、その他の成分を混ぜ合せてもよい。
混合部100における混ぜ合せの処理としては、機械的な混合、流体力学的な混合を例示することができる。機械的な混合としては、第一の繊維(第一の繊維材)及び粉体を、例えば、ヘンシェルミキサー等に導入して撹拌する方法や、袋に第一の繊維(第一の繊維材)及び粉体を封入して該袋を振とうする方法などが挙げられる。また、流体力学的な混ぜ合せの処理としては、例えば、大気等の気流中に第一の繊維(第一の繊維材)及び粉体を導入して気流中で相互に拡散させる方法が挙げられる。係る大気等の気流中に第一の繊維(第一の繊維材)及び粉体を導入する方法では、第一の繊維材の第一の繊維が気流によって流動(移送)されている管等に粉体を投入してもよいし、粉体の粒子が気流によって流動(移送)されている管等に第一の繊維(第一の繊維材)を投入してもよい。なお、係る方法の場合には、管等の中の気流は、乱流であるほうが混ぜ合せの効率がよくなることがあるためより好ましい。
混合部100は、シート製造装置1000における原料(の一部)の流れ方向において、後述する結着部200の上流側に設けられる。混合部100と結着部200との間には、他の構成が含まれてもよい。そのような他の構成としては、例えば、混合された第一の繊維(第一の繊維材)及び粉体の混合物をウェブ状に成形する成形部などが挙げられる。なお、混合部100によって混ぜ合された混合物(以下これを「混合材」ということがある。)は、シート成形部等、他の構成によってさらに混ぜ合されてもよい。
図1に示すように、混合部100として、第一の繊維の移送のために上述のような管86を採用する場合、大気等の気流により第一の繊維を流動させた状態で粉体を導入する方法がある。混合部100に管86を採用する場合における気流の発生手段としては、図示
せぬブロワーなどが挙げられ、上記の機能が得られる限り、適宜に使用することができる。
混合部100に管86を採用する場合における粉体の導入は、弁の開閉操作や作業者の手で行うこともできるが、図1、2に示す粉体供給部150としてのスクリューフィーダーや図示せぬディスクフィーダーなどを用いて行うことができる。これらのフィーダーを用いることにより、気流の流れ方向における粉体の含有量(添加量)の変動を小さくすることができるためより好ましい。また、粉体を気流によって移送して、当該気流に第一の繊維材を導入する場合でも同様である。
また混合部100の上流側には、互いに結着した第一の繊維の結着を解く機能を有する解繊部20を設けることができ、混合部100に対して解繊された第一の繊維を供給できるようにしてもよい。
混合部100は、シート製造装置1000の筐体内に配置されてもよいし、シート製造装置1000の筐体の外部(外付け)に配置されてもよい。混合部100がシート製造装置1000の筐体内に配置される場合には、シート製造装置1000の省スペース化等の要請を考慮して適宜配置されることができる。またこのような場合においては、上記例示した原料の移送のための管86を混合部100とすることにより、さらに空間占有効率のよい配置を行うことができる。
本実施形態のシート製造装置1000では、混合部100は、乾式の態様のものを選択することが好ましい。ここで、混合における「乾式」とは、水中ではなく空気中で混合させる状態をいう。すなわち、混合部100は、乾燥状態で機能してもよいし、不純物として存在する液体又は意図的に添加される液体が存在する状態で機能してもよい。液体を意図的に添加する場合には、後の工程において、係る液体を加熱等により除去するためのエネルギーや時間が大きくなりすぎない程度に添加することが好ましい。
混合部100の処理能力は、第一の繊維(第一の繊維材)及び粉体を混ぜ合せることができる限り、特に限定されず、シート製造装置1000の製造能力(スループット)に応じて適宜設計、調節することができる。混合部100の処理能力の調節は、バッチ処理の態様であれば、その処理容器の大きさや仕込み量などを変化させて行うことができ、また、管86を用いる場合には、管86内の第一の繊維及び粉体を移送するための気体の流量や、材料の導入量、移送量等を変化させることにより行うことができる。
1.2.結着部
本実施形態のシート製造装置1000は、結着部200を備える。結着部200は、少なくとも上述の混合部100よりも、原材料の流れにおける下流側に設置される。
結着部200は、上述の混合部100において混ぜ合された第一の繊維(第一の繊維材)及び粉体、すなわち混合材を、所定の形状に成形する機能を有する。結着部200において成形された第一の繊維及び粉体の成形体(シート)においては、第一の繊維と粉体とが結着された状態となる。
本明細書において、「第一の繊維と粉体とを結着する」とは、第一の繊維と粉体とが離れにくい状態や、第一の繊維と第一の繊維との間に粉体の樹脂が配置され、第一の繊維と第一の繊維とが粉体を介して離れ難くなっている状態をいう。また、結着とは、接着を含む概念であって2種以上の物体が接触して離れにくくなった状態を含む。また、第一の繊維と第一の繊維とが粉体を介して結着した際に、第一の繊維と第一の繊維とが平行に又は交差してもよいし、1本の第一の繊維に複数の第一の繊維が結着してもよい。さらに、粉
体には天然繊維が含まれているので、天然繊維(天然繊維に付着している樹脂)を介して第一の繊維を結着している状態をも含む。
結着部200では、混合部100において混ぜ合された第一の繊維及び粉体に、熱を加えることにより、複数の第一の繊維を粉体を介して結着する。粉体の構成成分の1つである樹脂が、熱可塑性樹脂である場合には、そのガラス転移温度又は融点付近以上の温度に加熱すると、樹脂が軟化したり溶けたりし、温度が低下して固化する。樹脂が軟化して第一の繊維に絡み合うように接触し、樹脂が固化することで第一の繊維と粉体とを互いに結着することができる。また、固化する際に他の第一の繊維が結着することで、第一の繊維と第一の繊維を結着する。粉体の樹脂が、熱硬化性樹脂である場合には、軟化点以上の温度に加熱してもよいし、硬化温度(硬化反応を生じる温度)以上に加熱しても第一の繊維と樹脂とを結着することができる。なお、樹脂のガラス転移温度、融点、硬化温度等は、第一の繊維の融点、分解温度、炭化温度よりも低いことが好ましく、そのような関係となるように両者の種類を組み合わせて選択することが好ましい。
また結着部200においては、混合材に熱を与えることの他に、圧力を加えてもよく、その場合には、結着部200は、混合材を所定の形状に成形する機能を有することになる。加えられる圧力の大きさは、成形されるシートの種類により適宜調節されるが、3kPa以上1MPa以下とすることができる。加えられる圧力が小さければ、空隙率の大きいシートが得られ、大きければ空隙率の小さい(密度の高い)シートが得られることになる。
結着部200の具体的な構成としては、図1、2に示すようなヒーターローラー76や、テンションローラー77の他に、カレンダーローラー、熱プレス成形機、ホットプレート、温風ブロワー、赤外線加熱器、フラッシュ定着器などが挙げられる。
1.3.その他の構成
本実施形態のシート製造装置1000は、上述の混合部100、結着部200の他に、前処理のための構成、中間処理のための構成、後処理のための構成等を適宜有してもよい。図2は、シート製造装置1000の一例を模式的に示し、図3は、シート製造装置1000の構成の一例を示している。
前処理のための構成としては、混合部100に導かれる第一の繊維(第一の繊維材)又は粉体の処理を行う構成であり、原料としてのパルプシートや古紙などを空気中で裁断する粗砕部10(シュレッダー等)、原料を空気中で第一の繊維状に解きほぐす解繊部20、解繊された解繊物から不純物(トナーや紙力増強剤)や解繊によって短くなった第一の繊維(短繊維)を空気中で分級する分級部30、解繊物から長い第一の繊維(長繊維)や十分に解繊されなかった未解繊片を空気中で選別する選別部40等が挙げられる。中間処理のための構成としては、混合部100によって混合された粉体及び第一の繊維(混合材)を結着部200に導くまでの間に適宜な処理を行う構成であり、混合材を空気中で分散させながら降らせる分散部60、分散部60から降ってきた混合材を空気中で堆積してウェブの形状等に成形するシート成形部70等が挙げられる。また、結着部200は、シート成形部70の一部であってもよい。後処理のための構成としては、結着部200によって形成されたシートSに対して処理を行う構成であって、必要に応じてシートSを乾燥させる乾燥部80(図3)、形成されたシートをロール状に巻取る巻取部90、形成されたシートを規格の大きさに裁断する裁断部92(図3)、巻取られ又は裁断されたシートをフィルムや包装紙等によって包装する包装部94(図3)などが挙げられる。
本実施形態のシート製造装置1000は、上記例示した構成以外の構成を有することもでき、上記例示した構成を含めて目的に応じて複数の構成を適宜有することができる。各
構成の順序は特に限定されず、目的に応じて適宜に設計することができる。
以下、各構成について概要を説明する。
粗砕部10は、第一の繊維材としてのパルプシートや投入されたシート(例えばA4サイズの古紙)などの原料を、空気中で裁断して細片にする。細片の形状や大きさは、特に限定されないが、例えば、数cm角の細片である。図示の例では、粗砕部10は、粗砕刃11を有し、粗砕刃11によって、投入された原料を裁断することができる。粗砕部10には、原料を連続的に投入するための自動投入部(図示せず)が設けられていてもよい。
粗砕部10によって裁断された細片は、ホッパー15で受けてから第1搬送部81を介して、解繊部20へ搬送される。第1搬送部81は、解繊部20の導入口21と連通している。第1搬送部81及び後述する第2〜第6搬送部82〜86の形状は、例えば管状である。なお、図示の例では、第6搬送部86は、混合部100の一部を構成しており、上述の管86と同様であるため符号を共通としている。
解繊部20は、細片(被解繊物)を解繊処理する。解繊部20は、細片を解繊処理することにより、繊維状に解きほぐされた第一の繊維を生成する。
ここで、「解繊処理」とは、複数の第一の繊維が結着されてなる細片を、繊維1本1本に解きほぐすことをいう。解繊部20を通過したものを「解繊物」という。「解繊物」には、解きほぐされた第一の繊維の他に、第一の繊維を解きほぐす際に第一の繊維から分離した樹脂(複数の第一の繊維同士を結着させるための樹脂)粒や、インク、トナーなどの色剤、にじみ防止材等の添加剤を含んでいる場合もある。この後の記載において、「解繊物」は解繊部20を通過したものの少なくとも一部であり、解繊部20を通過した後に添加されたものが混ざっていてもよい。
解繊部20は、細片に付着した樹脂粒やインク、トナー、にじみ防止材等を第一の繊維から分離させる。樹脂粒、色剤及び添加剤は、解繊物とともに、排出口22から排出される。解繊部20は、回転刃によって、導入口21から導入された細片を、解繊処理する。解繊部20は、空気中において乾式で解繊を行う。
解繊部20の構成は限定されず、回転子が回転することによって、気流を発生させ、当該気流によって被解繊物を解繊するものを例示できる。解繊部20は、気流を発生させる機構を有していてもよい。この場合、解繊部20は、自ら発生する気流によって、導入口21から、細片を気流と共に吸引し、解繊処理して、排出口22へと搬送することができる。
排出口22から排出された解繊物は、図2に示すように、第2搬送部82を介して、分級部30に導入される。なお、気流発生機構を有していない解繊部20を用いる場合には、細片を導入口21に導く気流を発生する機構を、外付けで設けてもよい。
分級部30は、解繊物から、樹脂粒、色剤や添加物を分離して除去する。分級部30としては、気流式分級機を用いる。気流式分級機は、旋回気流を発生させ、遠心力と分級されるもののサイズや密度によって分離するものであり、気流の速度及び遠心力の調整によって、分級点を調整することができる。具体的には、分級部30としては、サイクロン、エルボージェット、エディクラシファイヤーなどを用いる。特にサイクロンは、構造が簡便であるため、分級部30として好適に用いることができる。以下では、分級部30として、サイクロンを用いた場合について説明する。
分級部30は、少なくとも導入口31と、下部に設けられている下部排出口34と、上部に設けられている上部排出口35と、を有している。分級部30において、導入口31から導入された解繊物をのせた気流は、円周運動せられ、これにより、導入された解繊物には、遠心力がかかって、第1分級物(解きほぐされた第一の繊維)と、第1分級物より小さく密度の低い第2分級物(樹脂粒、色剤や添加物)と、に分離される。第1分級物は、下部排出口34から排出され、第3搬送部83を通って選別部40の導入口46に導入される。一方、第2分級物は、上部排出口35から第4搬送部84を通って分級部30の外部に排出される。このように、樹脂粒等は、分級部30によって外部に排出されるため、後述する粉体供給部150によって樹脂が供給されても、解繊物に対して樹脂が過剰になることを防ぐことができる。
なお、分級部30により第1分級物と第2分級物に分離すると記載したが、正確に分離できる訳ではない。第1分級物のうち比較的小さいものや密度の低いものは第2分級物とともに外部に排出される場合がある。第2分級物のうち比較的密度の高いものや第1分級物に絡まってしまったものは第1分級物とともに選別部40へ導入される場合もある。また、原料が古紙でなくパルプシートのような場合は第2分級物に相当するものが含まれていないため、シート製造装置1000として分級部30が無くてもよい。
選別部40は、解繊処理された解繊物を、選別部40を通過する「通過物」と、通過しない「残留物」とに空気中で選別する。以下、選別部40について、より具体的に説明する。
選別部40としては、篩(ふるい)を用いる。選別部40は、図2に示すように、導入口46と、排出口47と、を有している。選別部40は、回転式の篩であって、篩を通過可能な大きさのものは通過し、第1開口を通過できない大きさのものは通過しない。選別部40は、篩によって、解繊処理された解繊物から一定の長さより短い第一の繊維(通過物)を選別することができる。
選別部40の篩を通過しなかった残留物は、図1に示すように、排出口47から排出されて、戻り流路としての第5搬送部85を介してホッパー15に搬送され、再び解繊部20に戻される。
選別部40の篩を通過した通過物は、ホッパー16で受けてから第6搬送部86(管86)を介して、分散部60の導入口66に搬送される。第6搬送部86には、第一の繊維同士を(解繊物同士を)結着させる粉体(後述する)が供給されるための供給口151が設けられている。
粉体供給部150は、供給口151から第6搬送部86(管86)に空気中で粉体を供給する。すなわち、粉体供給部150は、選別部40の通過物が選別部40から分散部60に向かう経路に(選別部40と分散部60との間に)、粉体を供給する。粉体供給部150としては、第6搬送部86(管86)に粉体を供給することができれば特に限定されないが、スクリューフィーダー、サークルフィーダーなどを用いる。粉体供給部150から供給される粉体については後述する。
第6搬送部86(管86)を選別部40の通過物及び粉体が通過する結果、混合材が分散部60に至るまでの間で形成される。したがって本実施形態のシート製造装置1000では、混合部100は、粉体供給部150及び第6搬送部86(管86)を含んで構成されている。なお、混合材は分散部60においてさらに混ぜ合されてもよい。そのため分散部60を混合部100としてもよい。
分散部60は、絡み合った通過物をほぐす。また、分散部60は、後述する堆積部72に、通過物や粉体を均一に堆積する。
分散部60としては、篩を用いる。分散部60は、モーター(図示せず)によって回転することができる回転式の篩である。
分散部60は、導入口66を有している。分散部60と選別部40との構成上の違いは、排出口(選別部40の排出口47に相当する部分)を有していないことである。
分散部60の篩の目開きの大きさは、選別部40の第1開口の大きさと同じか第1開口の大きさより大きい。分散部60の目開きの大きさの上限は10mmである。目開きの大きさを10mm以下とすることで、第一の繊維同士が絡み合ったダマを通過させず、ほぐして通過させることができる。第6搬送部86内において混ぜ合される際に絡み合った第一の繊維や粉体があったとしても、分散部60を通過する際にほぐされる。そのため、第一の繊維、粉体は均一な厚み、密度で後述する堆積部72に堆積する。
なお、「絡み合った第一の繊維をほぐす」とは、絡み合った第一の繊維を完全にほぐす場合(全ての第一の繊維がほぐれた状態にする場合)と、絡み合った第一の繊維が篩を通過できる程度に絡み合った第一の繊維の一部をほぐす場合と、を含む。「絡み合った粉体をほぐす」という意味についても同様である。
なお、「均一に堆積」とは、堆積された堆積物が同じ厚み、同じ密度で堆積されている状態を言う。ただし、堆積物全てがシートとして製造される訳ではないため、シートになる部分が均一であればよい。
分散部60を通過した解繊物及び粉体は、シート成形部70の堆積部72に堆積される。シート成形部70は、図1、2に示すように、堆積部72と、張架ローラー74と、ヒーターローラー76と、テンションローラー77と、巻き取りローラー78と、を有している。シート成形部70は、分散部60を通過した解繊物及び粉体を用いて、シートを成形する。図示の例では、シート成形部70のヒーターローラー76及びテンションローラー77が、上述の結着部200を構成している。
シート成形部70の堆積部72は、分散部60を通過した解繊物及び粉体を受けて堆積させる。堆積部72は、分散部60の下方に位置している。堆積部72は、解繊物及び粉体を受けるもので、例えば、メッシュベルトである。メッシュベルトには、張架ローラー74によって張架されるメッシュが形成されている。堆積部72は、張架ローラー74が自転することによって移動する。堆積部72が連続的に移動しながら、分散部60から解繊物及び粉体が連続的に降り積もることにより、堆積部72上に厚さの均一なウェブが形成される。
シート成形部70の堆積部72上に堆積された解繊物及び粉体は、堆積部72の移動にともない、ヒーターローラー76を通過することによって加熱及び加圧される。加熱により、樹脂は、結着剤として機能して第一の繊維同士を結着させ、加圧により薄くし、シートSが形成される。さらに図示しないカレンダーローラーを通過させて表面を平滑化してもよい。図示の例では、シートSは、巻き取りローラー78において巻き取られる。以上により、シートSを製造することができる。
2.第一の繊維
本実施形態のシート製造装置において、原料の一部として使用される第一の繊維(第一の繊維材)としては、特に限定されず、広範な繊維材料を用いることができる。そのよう
な繊維としては、動物繊維、植物繊維、鉱物繊維などの天然繊維、有機繊維、無機繊維、有機無機複合繊維などの化学繊維などを挙げることができる。更に詳しくは、綿、大麻、ケナフ、亜麻、ラミー、黄麻、マニラ麻、サイザル麻、針葉樹、広葉樹等のセルロース繊維や絹、羊毛などの動物繊維、レーヨン、リヨセル、キュプラ、ビニロン、アクリル、ナイロン、アラミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリイミド、炭素、ガラス、金属などの化学繊維が挙げられ、これらを単独で用いてもよいし、適宜混合して用いてもよいし、精製などを行った再生繊維として用いてもよい。原料としては、これらの第一の繊維の少なくとも1種を含んでいればよい。また、第一の繊維は、乾燥されていてもよいし、水、有機溶剤等の液体が含有又は含浸されていてもよい。また、各種の表面処理がされていてもよい。また、第一の繊維の材質は、純物質であってもよいし、不純物、添加物及びその他の成分など、複数の成分を含む材質であってもよい。
本実施形態のシート製造装置で使用される第一の繊維は、基本的な形状として、ひも(string)状、平ひも(ribbon)状のものであり、独立した1本の繊維でもよく、また複数本が互いに絡み合って全体としてひも状又は平ひも状となっているものでもよい。また、第一の繊維材としては、綿状の形態を形成しているものであってもよく、さらに、複数本の第一の繊維が互いに部分的に物理的、化学的に結合している形態のものであってもよい。また、第一の繊維の構造としては、1種の材質からなるいわゆる単繊維であってもよいし、中心部から外周部に向って、材質が連続的又は段階的に変化するようなものであってもよい。第一の繊維の中心部から外周部に向って、材質が段階的に変化するものとしては、いわゆる芯鞘構造の繊維が挙げられる。さらに第一の繊維は、全体として直線状の形状であっても、曲線状の形状であってもよく、さらに、縮れた形状であってもよい。また、第一の繊維の断面の形状についても特に限定されず、円形、楕円形、多角形、又はこれらを組み合わせた形状であってもよい。また、フィブリル化された繊維であってもよい。
本実施形態で使用される第一の繊維は、独立した1本の繊維としたときに、その平均的な直径(断面が円でない場合には長手方向に垂直な方向の長さのうち、最大のもの、又は、断面の面積と等しい面積を有する円を仮定したときの当該円の直径(円相当径))が、1μm以上1000μm以下、好ましくは、2μm以上500μm以下、より好ましくは3μm以上200μm以下である。
本実施形態のシート製造装置で使用する第一の繊維の長さは、特に限定されないが、独立した1本の第一の繊維で、その第一の繊維の長手方向に沿った長さは、1μm以上5mm以下、好ましくは、2μm以上3mm以下、より好ましくは3μm以上2mm以下である。第一の繊維の長さが短い場合は、シートの強度が不足する場合があるが、上記範囲であれば十分な強度のシートを得ることができる。第一の繊維の長手方向に沿った長さとは、独立した1本の第一の繊維の両端を必要に応じて破断しないように引張り、その状態でほぼ直線状の状態に置いたときの両端間の距離(第一の繊維の長さ)であってもよい。また、第一の繊維の平均の長さは、長さ−長さ加重平均第一の繊維長として、20μm以上3600μm以下、好ましくは200μm以上2700μm以下、より好ましくは300μm以上2300μm以下である。さらに、第一の繊維の長さは、ばらつき(分布)を有してもよく、独立した1本の第一の繊維の長さについて、100以上のn数で得られる分布において、正規分布を仮定した場合に、σが1μm以上1100μm以下、好ましくは1μm以上900μm以下、より好ましくは1μm以上600μm以下であってもよい。
第一の繊維の太さ、長さは、各種の光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡、ファイバーテスター等により測定することができる。また顕微鏡観察の場合には、必要に応じて観察試料の前処理を適宜施すことにより、断面観察、独立した1本の第一の繊維の両端を必要に応じて破断しないように引張った状態での観察を行うことが可
能である。
なお、本明細書において、「綿状」とは、1本の長い第一の繊維又は複数の第一の繊維が、互いに絡み合い又は部分的に互いに接触することにより、三次元の嵩高い外形を有する状態のことを指す。すなわち、綿状とは、第一の繊維の絡み合いや部分的な接触によって形成される立体的な形状であって、当該形状の中に気体を包含した状態を指す。さらに、綿状との文言は、複数の第一の繊維間が結着されているかいないかに関わらず用いられる。
3.粉体
本実施形態の粉体は、シート製造装置に用いられ、天然繊維と樹脂とを一体に有することを特徴とする。
また、本実施形態の粉体は、天然繊維と樹脂とを一体に有し、第一の繊維と混ぜて用いられることを特徴とする。
このような粉体は、第一の繊維と混ぜられる際に、従来の熱融着性繊維よりも定量的に供給がしやすくなる。また、このような粉体によれば、天然繊維と樹脂とを一体にして複合化してから粉砕して粉体にすることで、樹脂だけを粉体にするよりも低コストで製造できる。
3.1.粉体の構造
粉体が樹脂及び天然繊維を一体に有する状態とは、粉体から樹脂又は天然繊維が、シート製造装置内において、及び/又は、製造されるシートにおいて、バラバラになり難い(脱落し難い)状態のことをいう。すなわち、粉体が樹脂及び天然繊維を一体に有する状態とは、樹脂と天然繊維が複合体を形成していて、樹脂に天然繊維が構造的(機械的)に固定されている状態、樹脂と天然繊維とが静電気力、ファンデルワールス力等により凝集している状態、及び樹脂と天然繊維とが化学結合されている状態にあることを指す。また、粉体が樹脂及び天然繊維を一体に有する状態とは、天然繊維が樹脂に内包されている状態でも天然繊維が樹脂に付着している状態でもよく、その2つの状態が同時に存在する状態を含む。
図4は、樹脂1及び天然繊維2を一体に有した粉体3の断面について、2つの態様を模式的に示している。樹脂1及び天然繊維2を一体に有した粉体3の具体的な態様の一例としては、図4(a)に示すような、樹脂1の内部に単数又は複数の天然繊維2を分散して内包した構造を有する粉体3や、図4(b)に示すように樹脂1の表面から単数又は複数の天然繊維2の一部が突出したような粉体3が挙げられる。本実施形態のシート製造装置では、粉体として、このような粉体3の集合(粉体)を使用することができる。
図4(a)は、粉体3を構成する樹脂1の中に、複数の天然繊維2が分散された構造を有する粉体3の一例を示している。このような粉体3は、樹脂1をマトリックスとして、天然繊維2が単分散した構造となっている。図4(a)では、複数の天然繊維が存在する場合を示したが、単独の天然繊維2が存在している粉体3であっても良い。このような粉体3によれば、第一の繊維と混ぜる際に、従来の熱融着性繊維よりも定量的に供給がしやすくなる。また、このような粉体3によれば、天然繊維2と樹脂1とを一体に複合化して粉体3にすることで樹脂2だけを粉体3にするよりも低コストで製造できる。
図4(b)は、樹脂1の表面から単数又は複数の天然繊維2の一部が突出したような態様の粉体3である。このように粉体3から天然繊維2の一部が突出した状態で存在していてもよい。このような粉体3によれば、図4(a)の効果に加えて、粉体3の表面から突
出した天然繊維2の一部が他の繊維、例えば、第一の繊維に対して結着できる可能性が高くなり、第一の繊維と相まってシートの構造材として作用することが可能となる。
樹脂1及び天然繊維2を一体に有した粉体3の2つの態様を例示したが、これらの態様に限定されない。
3.2.天然繊維
天然繊維は、後述するように粉体に加工しやすくする機能を有する。また、天然繊維は、第一の繊維と共にシートの構造材としての機能を有することもできる。
天然繊維としては、上記「2.第一の繊維」で説明した天然繊維であることができ、詳細な説明は省略する。天然繊維は、第一の繊維の種類や製造するシートに要求される機能に応じて適宜選択することができる。例えば、第一の繊維がセルロース繊維である場合には、天然繊維として同じセルロース繊維を用いることができ、製造するシートがインクジェットプリンタに用いる場合にはインク中の水性成分の吸収、拡散に効果のあるセルロース繊維を用いることができる。
3.3.樹脂
粉体の成分である樹脂の種類としては、天然樹脂、合成樹脂のいずれでもよい。本実施形態のシート製造装置においては、粉体を構成する樹脂は、常温で固体である方が好ましく、結着部における熱によって第一の繊維を結着することに鑑みれば熱可塑性樹脂が好ましい。
天然樹脂としては、ロジン、ダンマル、マスチック、コーパル、琥珀、シェラック、麒麟血、サンダラック、コロホニウムなどが挙げられ、これらを単独又は適宜混合したものが挙げられ、また、これらは適宜変性されていてもよい。
合成樹脂のうち熱可塑性樹脂としては、AS樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、などが挙げられる。これらの樹脂は、単独又は適宜混合して用いてもよい。また、共重合体化や変性を行ってもよく、このような樹脂の系統としては、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂等が挙げられる。
3.4.相溶化剤
粉体は、さらに相溶化剤を含んでもよい。粉体が相溶化剤を含むことによって、天然繊維と樹脂との界面における馴染みやすさを改善することができる。また、このような粉体によれば、製造後のシートにおいて相溶化剤が第一の繊維と樹脂との界面における馴染み易さも改善することができるため、少量の樹脂であっても第一の繊維と樹脂との結着力及び天然繊維と樹脂との結着力を高め、機械的強度に優れたシートを製造することができる。
相溶化剤としては、天然繊維の樹脂の中での分散性を向上させるものであれば特に制限はないが、天然繊維と親和性の高い反応性基や極性基を有するものが有利であって、骨格が粉体に用いる樹脂と相溶する成分を有するものが有利である。例えば、天然繊維としてセルロース繊維を用いる場合には、セルロール繊維のOH基に対して高い反応性基や極性
基を有する、不飽和カルボン酸或いはその誘導体で変性されたポリオレフィン樹脂やワックス、シリコーンオイル、又はそれらの共重合体、高級脂肪酸エステル、エチレン−酢酸ビニル重合体、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。特に、マレイン酸変性ポリオレフィン、オレフィン−マレイン酸共重合体、マレイン酸変性ワックス及びマレイン酸エステル変性ワックスなどが好ましい。
相溶化剤は、その骨格が粉体に用いる樹脂と相溶する成分を有するものが好ましく、樹脂としてポリエチレンを用いた場合にはポリエチレンを、樹脂としてポリプロピレンを用いた場合にはポリプロピレンを骨格成分とすることが好ましい。
3.5.着色剤及び凝集抑制剤
粉体には、天然繊維と共に着色剤及び/又は凝集抑制剤が配合されてもよい。
着色材は、本実施形態のシート製造装置によって製造されるシートの色を所定のものとする機能を有する。着色材としては、染料又は顔料を用いることができ、複合体において樹脂と一体とした場合に、より良好な隠ぺい力や発色性が得られる観点からは顔料を用いることが好ましい。
凝集抑制剤は、粉体に配合された場合、配合されない場合に比較して、樹脂及び天然繊維を一体に有する粉体を、互いに凝集させにくくする機能を有する。凝集抑制剤としては、各種使用しうるが、本実施形態のシート製造装置では、水を使用しない又はほとんど使用しないため、粉体の表面に配置される(コーティング(被覆)等でもよい。)種のものを使用することが好ましい。
このような凝集抑制剤としては、無機物からなる微粒子が挙げられ、これを粉体の表面に配置することで、非常に優れた凝集抑制効果を得ることができる。凝集抑制剤の材質の具体例としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、炭酸カルシウムを挙げることができる。
粉体に凝集抑制剤が配合されると、粉体の凝集を非常に生じにくくすることができるため、混合部100において粉体と第一の繊維材とをさらに容易に混ぜ合せることができる。すなわち、粉体に凝集抑制剤が配合されると、粉体が速やかに空間に拡散し、非常に均一な混合材を形成することができる。
粉体は、その他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、例えば、有機溶剤、界面活性剤、防黴剤・防腐剤、難燃剤、酸化防止剤・紫外線吸収剤、酸素吸収剤等が挙げられる。
3.6.粉体の製造方法
粉体に樹脂及び天然繊維を一体に有せしめる方法は、樹脂を軟化点以上の温度に加熱して天然繊維と混練を行う溶融混練法や、樹脂を水や溶剤で溶解又は膨潤させて天然繊維と混合する方法が挙げられる。これらの方法で使用可能な装置としては、ニーダー、バンバリーミキサー、単軸押出機、多軸押出機、二本ロール、三本ロール、連続式ニーダー、連続式二本ロールなどが挙げられる。溶融混練前の状態で天然繊維が所定の成形体例えばシート状である場合には、シュレッダーなどで裁断しておくことで樹脂への混合が容易となる。さらに、裁断した裁断片をミキサーやミルなどの粉砕機で解繊、粉砕し、繊維状または粉状にしておくことでより樹脂との混合が容易になる。なお、裁断、粉砕については、上記「1.シート製造装置」で説明した粗砕部、解繊部を利用してもよい。
そして上記混練後、適宜の方法でペレタイズし、その天然繊維を含む樹脂ペレットを粉砕により粉体を得ることができる。粉砕は、公知の粉砕方法を用いて行うことができる。用いられる粉砕機としては、ハンマーミル、ピンミル、カッターミル、パルベライザー、ターボミル、ディスクミル、スクリーンミル、ジェットミルなどが挙げられ、これらを適宜組み合わせて粉体を得ることができる。また、粉砕の工程は、まずおよその粒子径が1mm程度となるように粗く粉砕した後、目的の粒径となるように細かく粉砕するなど、段階的に行われてもよい。このような場合でも各段階において、適宜例示した装置を利用することができる。更に粉体の粉砕の効率を高めるため凍結粉砕法を用いることもできる。このようにして得られた粉体は様々な大きさのものが含まれている場合もあり、目的とする大きさの粉体とするため、公知の分級装置を用いて分級してもよい。以上のような方法を採用すれば、図4の(a)、(b)に示すような構造の粉体を得ることができる。
この粉砕において、天然繊維を含むことによって、樹脂単体を粉体に加工するよりも低コストで簡便に加工することができる。樹脂単体を粉体に加工する場合には、粉砕の途中でせん断による樹脂の発熱により、樹脂が溶融してしまうため、凍結粉砕法などの特殊な態様を用いなければならず、加工コストが高い。これに対し、天然繊維を含む樹脂ペレットを粉砕する際には、脆性的に粉砕することができ、粉砕の工程中に樹脂が溶融する温度まで上昇することなく所望の大きさの粉体に粉砕することができる。
3.7.粉体の外形
また、図4の例では、粉体の外形形状は、いずれも模式的に球形に近いものを示したが、粉体の外形形状は特に限定されず、円盤状、不定形等の形状であってもよい。しかし、粉体の形状は、できるだけ球形に近いほうが定量供給しやすく、しかも混合部100において第一の繊維と第一の繊維との間に配置されやすいためより好ましい。
粉砕された樹脂粒子の体積平均粒子径dは、形成されるシートの強度(引張強度、引裂強度等)を高めること、及び、形成されるシートにおける均質性を向上すること、等のバランスにより適宜設定され、これに併せて粉砕、分級操作を行う。すなわち、シートに配合される粉体の量を一定とした場合に、粉体の体積平均粒子径dが大きいと、粉体が存在する部分における第一の繊維間の結着力が高まる反面、粉体の個数が少なくなるため、シート面内における粉体の分散(分布)が粗になり、シート面内で強度の弱い部分が発生する可能性がある。他方、シートに配合される粉体の量を一定とした場合に、粉体の体積平均粒子径dが小さいと、第一の繊維間の固着力が弱まり、シートの強度は小さくなる反面、シート面内における粉体の分散(分布)が密となり、シート面全体の均質性が向上する。このように、シートに配合される粉体の量を一定とした場合には、シートの強度及び均質性という性質は、粉体の体積平均粒子径dに関して互いにトレードオフの関係にあり、2つの性質を両立(又は妥協)するためには、好適な体積平均粒子径dが存在すると考えられる。
このような好適な体積平均粒子径dは、シートにおける粉体の配合量にも依存するが、配合量が5質量%以上70質量%以下である場合には、体積平均粒子径dは1μm以上100μm以下が好ましく、より好ましくは3μm以上50μm以下である。
また、粉体の大きさ(体積平均粒子径d)は、第一の繊維材を構成する第一の繊維の太さ(平均径D)に応じて調整することもできる。粉体の大きさ(体積平均粒子径d)は、混合部100における第一の繊維と粉体とをより均一に混合するという観点からは、粉体の体積平均粒子径dは第一の繊維材を構成する第一の繊維の太さ(平均径D)に比較して小さい方が好ましい。このような観点からは、粉体の体積平均粒子径dの絶対値は特に限定されないが体積平均粒子径dとして0.1μm以上1000μm以下である。
さらに、粉体の粒子径は、ばらつき(分布)を有してもよい。粒子径分布を調整する方法としては、上述の分級と同様の方法を挙げることができ、粒子径分布を狭くすることにより、第一の繊維材とのより均一な混合を行うことができる場合がある。また、粒子径分布を広くすることにより、シートの強度及び均質性という性質の両立を図ることができる場合がある。さらに、粒子径分布は、いわゆるバイモーダル(二山分布)やマルチモーダルとすることもでき、これにより、シートの強度及び均質性という性質の両立を図ることができる場合がある。
3.8.天然繊維の含有量
粉体における天然繊維の含有量は、50質量%以上であることが好ましい。この粉体における天然繊維の含有量は、質量部(外添加:樹脂に対する天然繊維の添加量)で表現すると、樹脂100質量部に対して100質量部以上である。このような天然繊維の含有量とすることによって、粉体に占める割合が樹脂よりも天然繊維の方が大きいため粉体に加工しやすい。そのため、粉体を低コストで製造することができ、その結果、シートを製造するコストを低減することができる。また、粉体における、天然繊維の含有量は、ペレットから粉体への加工性向上という観点、製造されるシートの十分な強度、均質性を得るという観点、粉体の形状及び大きさの安定性といった観点から、50質量%以上が好ましく、さらに、50質量%以上80質量%以下、50質量%以上70質量%以下とすることがより好ましい。
混合部において、上述の第一の繊維(第一の繊維材)と粉体とが混ぜ合されるが、それらの混合比率は、製造されるシートの強度、用途等により適宜調節されることができる。製造されるシートがコピー用紙等の事務用途であれば、第一の繊維に対する粉体の割合は、5質量%以上70質量%以下であり、混合部において良好な混合を得る観点、及び混合物をシート状に成形した場合に、重力による影響を受けにくくする観点からは、5質量%以上50質量%以下が好ましい。
4.作用効果
本実施形態のシート製造装置によれば、天然繊維と樹脂とを一体に有する粉体を用いることで、従来の熱融着性繊維よりも定量的に供給がしやすくなる。また、このようなシート製造装置によれば、天然繊維と樹脂とを一体にして粉体にすることで樹脂だけを粉体にするよりも低コストで粉体にでき、その結果、シートを製造するコストを低減することができる。
さらに、このようなシート製造装置によれば、液体の少ない状態(乾式)であっても、混合部において、第一の繊維と粉体との混合を良好に行うことができる。
また、本実施形態のシート製造装置によれば、水をほとんど又は全く使用しない方法でシートを製造することが可能であり、製造設備の給排水設備等が不要である。また、このような乾式のシート製造装置によれば、特に水使用部分が不要となるため小型化が容易である。そのため、設置場所の自由度を高めることができる。さらに、本実施形態のシート製造装置によれば、脱水乾燥の為の電力等のエネルギーが不要であり、低コスト化を達成しながら、抄造法では為し得なかった短期間でのシートの製造も可能である。
5.シート製造方法
本実施形態のシート製造方法は、第一の繊維と、天然繊維と樹脂とを一体に有する粉体と、を混ぜ合せる工程と、第一の繊維と、粉体と、を結着させること、を含む。第一の繊維、樹脂、天然繊維、粉体、及び結着は、上述のシート製造装置の項で述べたと同様であるため、詳細な説明を省略する。
このようなシート製造方法によれば、天然繊維と樹脂とを一体に有する粉体を用いることで、従来の熱融着性繊維よりも定量的に供給がしやすくなる。また、このようなシート製造方法によれば、天然繊維と樹脂とを一体にして粉体にすることで樹脂だけを粉体にするよりも低コストで粉体にでき、その結果、シートを製造するコストを低減することができる。
本実施形態のシート製造方法は、原料としてのパルプシートや古紙などを空気中で切断する工程、原料を空気中で繊維状に解きほぐす解繊工程、解繊された解繊物から不純物(トナーや紙力増強剤)や解繊によって短くなった第一の繊維(短繊維)を空気中で分級する分級工程、解繊物から長い第一の繊維(長繊維)や十分に解繊されなかった未解繊片を空気中で選別する選別工程、混合材を空気中で分散させながら降らせる分散工程、降ってきた混合材を空気中で堆積してウェブの形状等に成形する成形工程、必要に応じてシートを乾燥させる乾燥工程、形成されたシートをロール状に巻取る巻取工程、形成されたシートを裁断する裁断工程、及び製造されたシートを包装する包装工程からなる群より選択される少なくとも1つの工程を含んでもよい。これらの工程の詳細は上述のシート製造装置の項で述べたと同様であるため、詳細な説明を省略する。
6.シート
本実施形態のシート製造装置、又はシート製造方法によって製造されるシートは、少なくとも上述の第一の繊維を原料とし、シート状にしたものを主に指す。シートは、第一の繊維と、天然繊維と樹脂とを一体に有する粉体と、を原料に含み、前記第一の繊維と、前記粉体とが、結着されている。
このようなシートによれば、元々粉体内に樹脂と結着している天然繊維が存在しているため、樹脂量だけを増やすことなく、効率よく第一の繊維および天然繊維と樹脂を結着することが出来る。
シートは、シート状ものに限定されず、ボード状、ウェブ状、又は凹凸を有する形状であってもよい。本明細書におけるシートとは、紙と不織布に分類できる。紙は、例えば、パルプや古紙を原料としシート状に成形した態様などを含み、筆記や印刷を目的とした記録紙や、壁紙、包装紙、色紙、画用紙、ケント紙などを含む。不織布は、紙より厚いものや低強度のものであり、一般的な不織布、繊維ボード、ティッシュペーパー、キッチンペーパー、クリーナー、フィルター、液体吸収材、吸音体、緩衝材、マットなどを含む。特に、液体吸収材、吸音体、緩衝材に好適である。
7.収容容器
本実施形態の収容容器は、天然繊維と樹脂とを一体に有する、上述の粉体を収容する。
このような収容容器は、粉体を容易に運搬、保管することができる。
本実施形態の粉体は、フィーダーや弁の開閉により、上記「1.シート製造装置」で説明した混合部に供給される。本実施形態の粉体は、外観として粉体の状態で供給される。そのため、例えば、粉体が製造された後、直接混合部に管等を通じて供給されるように装置を構成することもできる。しかし、装置の設置場所によっては、粉体は商品として流通経路に乗ることが考えられ、粉体を製造した後に移送や保存が行われる場合がある。
本実施形態の収容容器は、粉体を収容する収容室を有しており、該収容室内に粉体を収容することができる。すなわち、本実施形態の収容容器は、粉体のカートリッジということができ、粉体を容易に運搬、保管することができる。
収容容器の形状は、特に限定されず、シート製造装置に適合するカートリッジの形状とすることができる。収容容器は、例えば、一般的な高分子材料によって形成することができる。また、収容容器は、箱状の堅牢な形態であっても、フィルム(袋)状のフレキシブルな形態であってもよい。収容容器を構成する材質は、収容される粉体の材質に比較して、ガラス転移温度や融点の低い材料で構成されることが好ましい。
粉体を収容する収容室は、粉体を収容して保持することができれば、特に限定されない。収容室は、フィルム、成形体等により形成されることができる。収容室がフィルムで形成される場合には、収容容器は、収容室を形成するフィルムを収容するような成形体(筐体)を含んで形成されてもよい。また、収容室は、比較的堅牢な成形体によって形成されてもよい。
収容室を形成するフィルムや成形体は、高分子、金属の蒸着膜等で構成され、多層構造であってもよい。収容容器がフィルムや成形体などの複数の部材で形成される場合には、溶着部分や接着部分が形成されてもよい。また、収容される粉体(粉体)が大気との接触により変質等の影響を受ける場合には、フィルムや成形体は、気体透過率の小さい材質で形成されることが好ましい。収容室を形成するフィルムや成形体の材質のうち、収容される粉体に接する部分の材質は、粉体に対して安定であることが好ましい。
収容室の形状及び容積は、特に限定されない。収容室には、粉体が収容されるが、粉体とともに、これに対して不活性な固体や気体が収容されてもよい。収容室に収容される粉体の体積も特に限定されない。
収容室は、収容室内部と収容容器の外部とを連通し、粉体を収容容器の外部に取出すことのできる流通口を有してもよい。また、収容室は、流通口以外の他の流通路が形成されてもよい。このような他の流通路としては、例えば、開放弁等により構成されてもよい。収容室に開放弁を設ける場合には、開放弁の配置される位置は特に限定されないが、移送、運搬、使用の際の通常の姿勢において重力の作用する方向に対して反対側に配置されると、収容室内に圧力等が生じた場合に当該圧力を大気に開放する際に粉体を排出しにくいため好ましい場合がある。
8.変形及びその他の事項
本実施形態のシート製造装置、シート製造方法は、上述の通り、水を全く又はわずかにしか使用しないものであるが、必要に応じて、噴霧等により、調湿等を目的として適宜水を添加してシートを製造することもできる。
このような場合の水としては、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水などの純水又は超純水を用いることが好ましい。特にこれらの水を紫外線照射又は過酸化水素添加などにより滅菌処理した水は、長期間に亘りカビやバクテリアの発生を抑制することができるので好ましい。
本明細書において、「均一」との文言は、均一な分散や混合という場合には、2種以上又は2相以上の成分を定義できる物体において、1つの成分の他の成分に対する相対的な存在位置が、系全体において一様、又は系の各部分において互いに同一若しくは実質的に等しいことを指す。
本明細書において、「均一」「同じ」「等間隔」など、密度、距離、寸法などが等しいことを意味する言葉を用いている。これらは、等しいことが望ましいが、完全に等しくすることは難しいため、誤差やばらつきなどの累積で値が等しくならずにずれるのも含むものとする。
9.実施例
以下に実施例を示し、本発明をさらに説明するが、本発明は以下の例によってなんら限定されるものではない。
(1−1)第一の繊維の作成
裁断機を用いて数cmに裁断された印刷古紙或いはパルプシートをターボミル(ターボ工業社製)で綿状に解繊し、第一の繊維(解繊したセルロース繊維)を回収した。
(1−2)粉体の作成
印刷古紙を裁断し、その裁断片を薬研式ミルで粉砕し、天然繊維としての紙粉(解繊したセルロース繊維)を回収した。
次に、この天然繊維50質量部と、相溶化剤としてのマレイン酸変性ポリプロピレン(ユーメックス1010、三洋化成)15質量部と、樹脂(結着剤)としてのポリプロピレン樹脂(ノーブレン、住友化学)35質量部と、を二軸混練機(テクノベル社製)に投入し、溶融混練して、ペレット化した。
さらに、このペレットを衝撃式粉砕機(ACMパルベライザー、ホソカワミクロン社製)で微粉化して、粉体を得た。
こうして得られた粉体の体積換算分布は、d90(90%粒子径)=150μmであった。
(1−3)廃インク吸収体の作成
上記(1−1)で得られた第一の繊維100質量部に対して、上記(1−2)で得られた粉体30質量部と、難燃剤(水酸化アルミニウムB53(日本軽金属社製))10質量部と、を気中混合した。
気中混合した混合物を目開き3000μmの篩を通してメッシュベルト上に堆積させた。その際、メッシュベルトを移動させながら連続して堆積させた。なお、サクション装置で吸引させながら堆積させてもよい。
そして、堆積した堆積物を200℃で加圧加熱処理した。その後、150mm×50mm×12mmに切り出して図5に示す廃インク吸収体Fを形成した。
(1−4)定量供給の評価
廃インク吸収体の作成において気中混合した際に、粉体を安定して定量供給することができた。
比較例1
(2−1)
実施例1の粉体の代わりに芯鞘構造を有する繊維状樹脂を用いて、他の条件を同じにして廃インク吸収体Fを形成した。
繊維状樹脂は、鞘部分が100℃以上で溶融するポリエチレンであり、芯部分がポリエステルから成る1.7dtexの繊維体(テトロン、帝人社製)であった。
(2−2)定量供給の評価
廃インク吸収体の作成において気中混合した際に、繊維状樹脂の供給量にバラつきが見られた。
(3−1)第一の繊維の作成
実施例1と同様に第一の繊維を得た。
(3−2)粉体の作成
実施例1と同様に天然繊維としての紙粉(解繊したセルロース繊維)を回収した。
次に、この天然繊維60質量部と、相溶化剤としてのマレイン酸変性HDPE(日本ポリエチレン)15質量部と、樹脂(結着剤)としてのポリエチレン樹脂(ノバテック、日本ポリエチレン)30質量部と、を二軸混練機(テクノベル社製)に投入し、混練して、ペレット化した。
さらに、このペレットを衝撃式粉砕機(ACMパルベライザー、ホソカワミクロン社製)で微粉化して、粉体を得た。
こうして得られた粉体の堆積換算分布は、d90(90%粒子径)=180μmであった。
(3−3)廃インク吸収体の作成
上記(3−1)で得られた第一の繊維100質量部に対して、上記(3−2)で得られた粉体30質量部と、難燃剤(水酸化アルミニウムB53(日本軽金属社製))10質量部と、を気中混合し、実施例1と同様にして、図5に示す廃インク吸収体Fを形成した。
(3−4)定量供給の評価
廃インク吸収体の作成において気中混合した際に、粉体を安定して定量供給することができた。
(4)評価試験
次いで、上記の実施例1及び比較例2において、インク浸透性、インク保持性及びインク堆積性の評価試験を行った。
(4−1)インク浸透性及びインク保持性の評価試験
まず、図5及び図6を用いてインク浸透性及びインク保持性の評価方法について説明する。図5は、廃インク吸収体Fのインク浸透性の評価方法を示す模式図である。また、図6は、廃インク吸収体Fのインク保持性の評価方法を示す模式図である。
図6に示すように、150mm(L)×50mm(W)×12mm(H)の廃インク吸収体Fを平坦面に載置し、上面の第1ポイントP1からインク80mlをゆっくりと注入した。廃インク吸収体Fに染み込まない場合は5分放置し、その後注入を続けた。評価結果は、表1に示した。表1のインク浸透性の評価において、「NG」は5分放置しても染み込まないサンプルであり、「GOOD」は全てのインクを注入することができたサンプルである。
次に、全てのインクを注入することができたサンプルは、5分間放置し、図6に示すように、第2ポイントP2からストラップST等を用いてインクを注入した第1ポイントP1が下方となるように吊るした。このように吊るされた状態では、浸透したインクが廃インク吸収体Fの一端部に集まり、廃インク吸収体内に保持されにくくなる。評価結果は、
表1に示した。表1のインク保持性の評価において、「NG」は廃インク吸収体Fからインクが垂れたサンプルであり、「GOOD」はインクが垂れないサンプルである。なお、インク浸透性の判定がNGの場合、所望の量を吸収させることができないため、インク保持性の評価は行わなかった。
このインク保持性の評価により、インクジェットプリンタの液滴吐出装置や廃インクタンクが斜めになったとしてもインクが漏れ出すことがないと予想できた。
(4−2)インク堆積性の評価試験
150mm(L)×50mm(W)×12mm(H)の廃インク吸収体Fを平坦面に載置し、40℃20%RHの環境下において、載置された廃インク吸収体Fの上面の中央部にインクを1時間に1回0.4gずつ滴下した。
そして、240時間後、インク堆積性を評価した。評価結果は、表1に示した。廃インク吸収体Fの表面に残された固形分の堆積物の厚みが1mm未満であれば、インク堆積性の評価はGOODとした。一方、堆積物の厚みが1mm以上であれば、インク堆積性の評価はNGとした。
(4−3)考察
比較例1では、繊維状樹脂の供給量がばらつくために、廃インク吸収体Fの密度がばらつき、インクの浸透性、保持性試験において「NG」が時々発生した。そのため、これらの評価結果はNGとし、インク堆積性は評価しなかった。
これに対し、実施例1、2は、粉体が定量供給できるために、廃インク吸収体Fの密度がばらつかず、インクの浸透性、保持性試験及びインク堆積性の評価はいずれも「GOOD」であった。
(5−1)シートの作成
実施例1で作成した粉体と、新たに印刷された古紙をターボミルで解繊し、サイクロンによる分級、さらに篩により選別して得られた綿状繊維と、を20:80(wt%)で気中混合し、目開き600μmの篩からなる分散部を通して堆積させた。堆積させた混合材は加圧して圧縮し、その後、ヒーターローラーで熱成形し、シート(紙)を得た。
(5−2)引張強度測定
上記の方法により得られたシート(紙)からJIS K7162の1BAの試験片(全長75mm)に切り出した後、引張試験を実施した。同試験はJIS K7161に準拠し、室温23℃、相対湿度50%の環境で行った。実施例3のシートは、坪量80g/m、100μm厚さ換算で破断点の強度(MPa)値が20MPaであった。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能であ
る。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1…樹脂、2…天然繊維、3…粉体、10…粗砕部、11…粗砕刃、15,16…ホッパー、20…解繊部、21…導入口、22…排出口、30…分級部、31…導入口、34…下部排出口、35…上部排出口、40…選別部、46…導入口、47…排出口、60…分散部、66…導入口、70…シート成形部、72…堆積部、74…張架ローラー、76…ヒーターローラー、77…テンションローラー、78…巻き取りローラー、80…乾燥部、81…第1搬送部、82…第2搬送部、83…第3搬送部、84…第4搬送部、85…第5搬送部、86…第6搬送部(管)、90…巻取り部、92…裁断部、94…包装部、100…混合部、150…粉体供給部、151…供給口、200…結着部、1000…シート製造装置、S…シート、F…廃インク吸収体、P1…第1ポイント、P2…第2ポイント、ST…ストラップ

Claims (5)

  1. 第一の繊維と、少なくとも天然繊維と樹脂とを一体に有する粉体と、を混合する混合部と、
    前記第一の繊維と前記粉体とを結着する結着部と、
    を備え、
    前記粉体は、体積平均粒子径が3μm以上50μm以下であることを特徴とする、シート製造装置。
  2. 前記粉体は、前記天然繊維を50重量%以上含有することを特徴とする、請求項1に記載のシート製造装置。
  3. 前記粉体は、さらに相溶化剤を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のシート製造装置。
  4. 第一の繊維と、少なくとも天然繊維と樹脂とを一体に有する粉体と、を混ぜ合せる工程と、
    前記第一の繊維と、前記粉体と、を結着させる工程と、
    を含み、
    前記粉体は、体積平均粒子径が3μm以上50μm以下であることを特徴とする、シート製造方法。
  5. シート製造装置に用いられ、
    少なくとも天然繊維と樹脂とを一体に有し、
    体積平均粒子径が3μm以上50μm以下であることを特徴とする、粉体。
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