JP6420086B2 - 報告書作成システム - Google Patents

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Description

本発明は、報告書を作成するためのシステムに関する。
高架橋等、列車の運行に供される構造物は、鉄道会社に代わり、鉄道会社から発注を受けた工事会社が構築することが多い。そのような場合、鉄道会社は、構造物の構築に一切関与しなくなるわけではなく、発注から引き渡しを受けるまでの間、工事会社が適正な施工を行っているかどうかを監督することにより、施工に関与することになる。具体的には、工事会社が、所定状態となるまで施工を終えた段階で施工状況の検査を行い、その結果を鉄道会社に報告し、次いで、鉄道会社が、報告された検査結果の内容を精査することにより、施工に問題が無かったかどうかを確認し、問題が無いと判断した場合に次工程へ進む承認を工事会社に与える、という形で関与する。
なお、構造物の構築工程は複数に分かれていることが多く、例えば、鉄筋コンクリート構造物の場合は、鉄筋組み、コンクリート打設等の工程を経て構築される。このため、工事会社から鉄道会社への検査報告は、各工程を終える度に行われることになる。
従来、工事会社から鉄道会社への検査結果の報告は、現場で測定した各種数値(鉄筋の組み立て状況等)や、施工状況を記録した写真等を、紙の報告書にまとめる形で行っているが、近年では、施工現場の各所に取り付けられ、それぞれに識別情報が記憶された複数のICタグと、各識別情報に対応する検査指示データが格納されたサーバと、ICタグの識別情報を読み取り可能かつサーバと通信可能なカメラ付き携帯電話からなる施工管理システムを用い、工事会社がサーバから受信した検査指示データに基づいて撮影した写真を、検査報告データとして検査機関に送信するといったことも行われている(特許文献1参照)。
特開2007−183813号公報
施工が確実に行われているか否かの判断は、構造物の出来栄えや施工の精度を確認することにより行う必要がある。しかしながら、上述した施工管理システムが検査報告データとして送信するのは、写真、撮影に関する情報(日時や場所)、およびコメントである。つまり、測定した各種数値等の、承認を与えるか否かの判断を決定づける重要なデータの報告は、依然として紙の報告書によって行われており、上述した施工管理システムは、報告書の内容を確認する際に補助的に用いることしかできない。
また、工事会社が施工する構造物は、大型で数多くの部材により構成されるのが一般的である。報告書は基本的に部材毎に作成する必要があるため、たとえ1つの構造物であっても、報告書の量は膨大なものとなってしまう。このため、工事会社にとっては、報告書の作成作業や鉄道会社への届出作業が大変な手間となっていた。また、そのような手間のかかる作業を多数回に亘って行わなければならなかった。一方、報告書の確認は、膨大な量の報告書を1ページずつめくりながら、時には別台帳を参照しながら多くの時間をかけて行わなければならないため、鉄道会社にとっては、報告書を処理して承認するまでの事務作業が大変な手間となっていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、構造物を構築する或いは物品を製造する際、施工者または製造者による検査から管理者による承認までの過程を簡素化することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、複数の数値入力欄を有する入力画面を表示可能な表示手段と、所定の入力操作に基づいて前記数値入力欄に数値を入力する入力手段と、入力された数値を外部に送信する送信手段と、を有する携帯端末と、前記携帯端末と通信可能な通信手段を有し、前記複数の数値入力欄にそれぞれ対応する複数の数値記載欄と押印欄を有する報告書のひな形および所定の印影が格納されたデータベースと、それぞれ異なる識別情報が記憶されるとともに、異なる箇所にそれぞれ付設される複数の第一情報記憶媒体と、前記複数の第一情報記憶媒体のうちの少なくとも一部の第一情報記憶媒体が記憶する識別情報と1対1で対応する識別情報が記憶されるとともに、前記少なくとも一部の第一情報記憶媒体と対応する箇所に付設される一つ以上の第二情報記憶媒体と、を備え、前記携帯端末は、前記複数の第一情報記憶媒体の何れか又は前記第二情報記憶媒体と通信することにより、前記第一情報記憶媒体又は前記第二情報記憶媒体に記憶されている識別情報を読み込むことが可能に構成され、前記表示手段は、前記携帯端末が前記識別情報を読み込んだことに基づいて、当該識別情報に対応する前記入力画面を表示するよう構成され、前記データベースは、前記送信手段から送信された前記数値を、前記データベースに格納されている前記ひな形の、当該数値が入力された前記数値入力欄に対応された数値記載欄に書き込む書き込み手段と、所定の承認操作が行われたことに基づき、前記ひな形の押印欄に印影を表示する押印手段と、を備えることを特徴とする。
このようにすれば、携帯端末の入力画面の所定の数値入力欄に数値が入力されると、データベースに格納されている雛形の対応する数値記入欄に同じ数値が自動的に記入される。もし、携帯端末で入力した数値が誤りであった場合、正しい数値を入力し直せば(単なる記入ミスであれば、数値を訂正することにより、施工ミスが原因であれば、施工をやり直し、再測定した数値を入力し直すことにより)雛形の対応する数値記入欄の数値も変更される。このため、携帯端末での数値の入力とそのチェックを終えた段階で、管理者へ提出することのできる報告書が出来上がることとなるので、報告書を手書きする作業が不要となり、管理者への報告の手間が大幅に軽減される。また、管理者は、データベースの内容を閲覧可能な機器を用いて、一つの画面上で報告書の全てのページに目を通すことができるので、膨大な量の報告書を容易に確認することができ、承認に要する時間を短縮することができる。
なお、上記発明において、前記データベースは、各識別情報にそれぞれ対応する複数の前記ひな形を格納しており、前記書き込み手段は、前記入力手段によって何れかの識別情報と対応する数値入力画面の何れかの数値入力欄に数値が入力されると、当該識別情報と対応するひな形の、当該数値入力欄に対応する数値記載欄に、入力された数値を書き込むものとしてもよい。
このようにすれば、複数の部材で構成される大型の構造物を構築する場合などに、情報記憶媒体を各部材に取り付けておくことで、部材毎の報告書の作成を容易に行うことができる。
また、上記発明において、前記データベースには、所定の基準値が格納されており、入力された数値の前記基準値との差が所定範囲内であるか否かを判定する判定手段を有し、前記携帯端末は、前記判定手段が、前記数値の前記基準値との差が前記所定範囲を超えると判定した場合にその旨を報知する報知手段を備えるものとしてもよい。
このようにすれば、数値を入力する際に、同時に数値が正しいか否かの確認もできるので、報告書作成の手間がより一層軽減される。
本発明によれば、構造物を構築する或いは物品を製造する際、施工者または製造者による検査から管理者による承認までの過程を簡素化することができる。
本発明の実施形態に係る品質管理ツールの構成図である。 図1の品質管理ツールを構成するタブレット端末の表示画面の一例である。 図1の品質管理ツールで作成される検査記録簿の一例である。 図1の品質管理ツールを用いた品質管理の流れの一部を示すワークフローである。 第1(n)識別情報から第2(n+1)識別情報への引継ぎについて説明する図である。
<第1実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態について詳細に説明する。
〔品質管理ツールの構成〕
まず、構造物または複数の物品の品質管理に用いる品質管理ツールの具体的構成について説明する。図1は、本実施形態の品質管理ツール10の構成図である。本実施形態の品質管理ツール10は、図1に示したように、前付けICタグ(第1ICタグ)1、後付けICタグ(第2ICタグ)2、IDカード3、タグリーダ4、デジタルカメラ(撮像手段)5、タブレット端末(携帯端末)6、クラウドサーバ(記憶装置)7、パソコン8等で構成されている。
前付けICタグ1は、構造物または複数の物品に対し、少なくとも構造物を構成する部材(柱、梁、桁、フーチング、杭等)の数Nまたは物品の数N以上の個数Mだけ用いられる。各前付けICタグ1には、各部材または各物品と1対1で対応づけられた第1識別情報(以下第1ID)1−1〜1−Mがそれぞれ記憶されている。なお、取り付けようとする対象物が金属でできている場合には、金属に接していても通信が可能なものを用いる。
後付けICタグ2は、前付けICタグ1の使用個数M以下の個数mだけ用いられる。各後付けICタグ2には、第1ID1−1〜1−Mとは異なるが、第1ID1−1〜1−M(構造物の各部材または個々の物品)の全てまたは一部と1対1で対応づけられた第2識別情報(以下第2ID)2−1〜2−mがそれぞれ記憶されている。なお、取り付けようとする箇所が金属でできている場合には、金属に接していても通信が可能なものを用いる。
以下、前付けICタグ1と後付けICタグ2を区別しない場合は、ICタグ1,2と表記する。
IDカード3は、管理対象の構造物または物品の品質管理に関与する人員に1枚ずつ交付される。各IDカード3には、品質管理に関与する人員を識別するための個人IDがそれぞれ記憶されている。
タグリーダ4は、近距離無線通信(例えばNFC通信)方式を用いて、ICタグ1,2に記憶された第1,第2IDや、IDカード3に記憶された個人IDを読み取る読取手段と、読取手段により読み取った情報をタブレット端末6に送信する送信手段を有している。
デジタルカメラ5は、近距離無線通信(例えばNFC通信)により、タブレット端末6と通信する通信手段を有している。また、デジタルカメラ5は、タブレット端末6から撮影を指示する信号が入力されると、シャッターを切るように構成されており、撮影した写真のデータは、タブレット端末6に送信するようになっている。
タブレット端末6は、タッチパネル式の表示部6aと、タグリーダ4やデジタルカメラ5との通信を行う通信手段を有している。また、タブレット端末6には、構造物または物品の品質に関する各種情報(施工中または製造中に得られた作業内容や、構造物または物品の状態に関する情報(施工・製造情報)、施工後または製造後に得られた構造物または物品の状態や、構造物または物品に対して行った処置に関する維持管理情報、施工・製造中または施工・製造後に撮影した写真のデータ等)を入力したり、閲覧したりするためのアプリケーションがインストールされている。アプリケーションは、タグリーダ4から個人IDが入力される(ログインする)と利用可能となる。また、タブレット端末6は、ログインしている状態では、IDに応じた検査記録簿の承認操作(検査記録簿の承認印押印欄に、承認印を表示させること)を受け付け可能となる。
図2は、タブレット端末6の表示部6aに表示されるアプリケーションの入力画面の一例である。本実施形態の品質管理ツール10を、例えば、鉄筋コンクリート構造物(以下RC構造物)の品質管理に用いる場合には、図2に示したような入力画面を表示できるようにタブレット端末6の設定を行う。具体的には、図2(a)に示すように、工事に関する基本情報(対象の部材に割り振られた第1ID(現場タグID)、構造図面(設計図)番号、工事件名、工事種類名、検測項目名、検測者名、検測年月日等)の表示欄61や、設計値の表示欄62、検測値の入力欄63および確認値の入力欄64等が設けられた検測値入力画面や、図2(b)に示すように、工事に関する基本情報の表示欄61の他、複数の写真表示欄65が設けられた写真取り込み画面等を表示できるようにする。
また、タブレット端末6は、アプリケーションの各種入力画面から入力された数値(検測値)を、クラウドサーバ7から送られてきた所定の基準値(設計値)と比較し、当該基準値との差が所定の許容範囲内であるか否かを判定する判定手段と、入力された数値の基準値との差が所定範囲を超えると判定手段が判定した場合に、その旨を報知する報知手段を備えている。本実施形態においては、差が所定範囲を超えると判定された検測値が入力された入力欄の色を異ならせることで報知するようにしている。また、タブレット端末6は、操作者が、写真取り込み画面に設けられた撮影ボタン65aをタッチすると、タブレット端末6がデジタルカメラ5へ撮影を指示する信号を送信するようになっている。また、タブレット端末6は、インターネット回線(例えばWAN)を用いて、入力された各種情報のデータをクラウドサーバ7へ送信することや、クラウドサーバ7に蓄積されている各種情報のデータを受信し、表示部6aに表示することが可能となっている。
クラウドサーバ7には、図1に示したように、データベースDが構築されている。データベースDには、構造物や物品の設計情報(設計図等の各種図面データ、タブレット端末6に入力された数値と比較するための各種基準値および許容範囲等)や、施工・製造中、施工・製造後に行った各種検査の記録(検査記録,施工情報、維持管理情報)、タブレット端末6から送られてきた写真データ等を、各部材または各物品のIDに対応付けて格納できるようになっており、タブレット端末6から送られてきた各種情報をID毎に蓄積していくことが可能である。また、データベースDには、検査記録簿のテンプレート(雛形)および承認印の印影データが格納されており、タブレット端末6に表示された入力画面の所定の数値入力欄に数値が入力されると、表示されている入力画面に対応する検査記録簿の対応する数値記入欄にも数値が自動的に書き込まれるようになっている。また、クラウドサーバ7に蓄積された各種情報は、タブレット端末6に送信することも可能となっている。また、クラウドサーバ7に蓄積された各種情報は、インターネット回線を通じてパソコン8へと送信することも可能となっている。
パソコン8は、例えば、工事現場の事務所内に設置され、クラウドサーバ7に格納するための検査記録簿のテンプレートを作成したり、クラウドサーバ7に格納されている、数値が記入された検査記録簿を閲覧したりすることができる。また、パソコン8は、ログインしている状態では、IDに応じた検査記録簿の承認操作を受け付け可能となる。
図3は、パソコン8で閲覧、承認される検査記録簿の表示画面の一例である。本実施形態の品質管理ツール10を、例えば、構造物を構築する際の報告書のやり取りに用いる場合には、図3に示したような検査記録簿を表示できるようにテンプレートの作成を行う。具体的には、工事に関する基本情報(工事件名、工事種別、箇所、測定年月日、検測者名、確認者名、承認者名等)の記入欄81や、施工情報(鉄筋の径、本数、ピッチ、長さ、継手長さ等)の記入欄82、承認印の押印欄(表示欄)83等が設けられたものを作成する。
このように、本実施形態の品質管理ツール10は、構造物または物品の設計時から施工後に至るまでのあらゆる情報を第1ID1−1〜1−M(第2ID2−1〜2−m)毎に一括管理するようになっている。そして、タグリーダ4を部材に取り付けたICタグに翳す(タブレット端末6に第1ID(第2ID)を入力する)だけで、当該ICタグに記憶されたIDに対応するそれまでの間に蓄積された各種情報が即座に閲覧可能となる。このため、いつ、どこでも、対象の部材がどのように設計、施工されたのか、どのように維持管理されているのかをその場で容易に把握することができる。
〔品質管理方法(品質関連情報の蓄積方法)〕
次に、上記品質管理ツールを用いた構造物または物品の品質管理方法(品質関連情報の蓄積方法)について、RC構造物を対象とした場合を例にして説明する。図4は、構造物を施工する際、或いは物品を製造する際の作業の一部を示したワークフローである。
RC構造物の構築においては、工事会社の事務所担当者、現場担当者、現場代理人、発注会社の社員、箇所長等が、品質管理に関与する人員となり、現場担当者または現場代理人が検測者、発注会社の社員が確認者、箇所長が承認者にそれぞれ相当する。
工事会社の事務所担当者は、まず、設計図を参照して、RC構造物を構成する各部材(柱、梁、桁等)に対し、それぞれを区別できるようにするための第1ID1−1〜1−Mを割り振る。そして、図3に示したような電子データ形式の検査記録簿を第1ID毎に作成する。作成された検査記録簿は、クラウドサーバ7内の対応するデータベースDに格納される。また、工事会社の現場担当者は、複数の前付けICタグ1に第1ID1−1〜1−Mをそれぞれ記憶させる。前付けICタグ1は、一の部材に対し一つないし複数用意する。なお、対象が本実施形態のようにRC構造物である場合には、金属に取り付けても通信が可能なものを用意する。また、クラウドサーバ7内には、予め第1ID毎に各種情報を格納可能なデータベースDも構築し、データベースDに、第1IDに対応する部材の図面、仕様書、マニュアル等をそれぞれ保存しておく。そして、工事会社の現場担当者は、第1IDの記憶された各前付けICタグ1を、対応する部材となる、組み上がった鉄筋に取り付けていく。また、必要に応じて前付けICタグ1の設置個所をデジタルカメラ5で撮影する。撮影した写真のデータは、参考図面として自動的にタブレット端末の写真取り込み画面に表示されるとともに、クラウドサーバ7内の対応するデータベースDに格納される。
前付けICタグ1を全ての部材に取り付け終えた後は、組み上がった鉄筋の検測を行う。まず、現場担当者は、タグリーダ4をICタグ1に翳し、タブレット端末6の表示部6aに、前付けICタグ1に記憶されていた第1IDに対応する鉄筋情報の入力画面(図2(a)参照)を表示させる。そして、鉄筋の径、本数、ピッチ、長さ、重ね継手長等を測定し、その測定値を検測値(第1施工情報)として入力画面の検測値入力欄63に入力する。入力された検測値のデータは、自動的にクラウドサーバ7内の対応するデータベースDに格納される。そして、検測値入力欄63の色が変化していないかどうか確認することにより、設計と異なる鉄筋が用いられていないか、或いは異なる組み方がなされていないかどうかをチェックする。必要に応じて、クラウドサーバ7から対応する図面、仕様書、マニュアル等をタブレット端末6の画面上に表示させ、これらを参照しながらチェックしてもよい。
鉄筋の検測を終えた後は、検測した鉄筋の写真登録を行う。まず、タブレット端末6の表示部6aに、検測の際に読み込んだ第1IDに対応する写真取り込み画面(図2(b)参照)を表示させる。そして、デジタルカメラ5を撮影対象の鉄筋に向けた状態にして、タブレット端末6の取り込み画面の撮影ボタン65aをタッチする。すると、デジタルカメラ5のシャッターが切られ、撮影した鉄筋の写真が取り込み画面の写真表示欄65に表示されるとともに、その写真のデータ(撮像データ)がクラウドサーバ7内の対応するデータベースDに格納される。
本実施形態の品質管理ツール10は、上述したように、タブレット端末6の入力画面に数値が入力されると、データベースDに格納されている検査記録簿の対応箇所に同じ数値を自動的に入力するように構成されている。つまり、検測時に行う数値入力作業が、同時に発注会社へ提出する検査記録簿(報告書)の作成作業にもなり、手間が軽減される。検測値の入力が終了した後は、タブレット端末6を用いて所定の承認操作を行うことにより、検査記録簿の所定の押印欄83に検測が終了したことを示す承認印を表示させ、電子メール等で、検測結果の承認を工事会社の現場代理人に要請する。
現場担当者から承認の要請を受けたら、現場代理人は、現場または事務所でタブレット端末6のアプリケーションにログインし、クラウドサーバ7に格納された検査記録簿や写真を確認する。検測結果に問題が無いと判断したら、タブレット端末6を用いて所定の承認操作を行うことにより、検査記録簿の所定の押印欄83に現場担当者による検測の結果を承認することを示す承認印を表示させ、発注会社に承認した旨をメール等で通知する。
現場代理人から承認の通知を受けたら、発注会社の社員は、施工現場へ赴き、タブレット端末6のアプリケーションにログインし、確認対象の鉄筋の前付けICタグ1にタグリーダ4を翳すことにより、タブレット端末6の表示部6aに、読み込んだ第1IDに対応する検測値入力画面を表示させる。そして、工事会社の現場担当者が行ったのと同様の手順で、鉄筋の径、本数、ピッチ、長さ、重ね継手長等を測定し、測定値を確認値として入力画面の確認値入力欄64に入力する。そして、全ての検測値の基準値との差が許容範囲内にあり、かつ全ての確認値の基準値との差も許容範囲内にあるか否かを確認し、全て許容範囲内であれば、タブレット端末6を用いて所定の承認操作を行うことにより、検査記録簿の所定の押印欄83に工事会社による検測の結果を承認することを示す電子印を押印し、箇所長に承認した旨をメール等で通知する。
鉄筋の検測確認を終えた後は、図5に示すように、クラウドサーバ7のデータベースDに第2ID2−1〜2−mを登録する。対象のRC構造物を構成する全ての部材が現場打ちコンクリートで構築される場合(全ての部材で情報蓄積環境の変化が生じる場合)は、初めの第1ID1−1に第2ID2−1が、次の第1ID1−2に第2ID2−2が、・・最後の第1ID1−Mに第2ID2−m(m=M)がそれぞれ対応付けられるように第2IDを追加する。一方、一部の部材が金属等でできているような場合(一部の部材に情報蓄積環境の変化が生じない場合)は、その部材についてはそのまま第1IDを使用し続ければよいので、第1ID1−1〜1−m(m<M)にそれぞれ対応する第2ID2−1〜2−m(m<M)を追加する。そして、工事会社の現場担当者は、複数の後付けICタグ2に第2ID2−1〜2−mをそれぞれ記憶させる。こうして、各部材を識別する役割が第1IDから第2IDへと引き継がれ、第2IDに引き継いだ第1IDは各部材との対応関係を失うこととなる。
後付けICタグ2を用意した後は、コンクリートを打設する。型枠内にコンクリートが満たされ、鉄筋に取り付けられていた第1ICタグ1がコンクリートに埋没(情報蓄積環境が変化)すると、前付けICタグ1とタグリーダ4との通信はできなくなる。コンクリートの打設を終えた後は、コンクリートの表面に対象の部材の第2IDの記憶された後付けICタグ2を取り付ける。その後、工事会社の現場担当者は、コンクリートの打設状態を検査し、第2施工情報としてタブレット端末6に入力する。そして、現場代理人の確認、発注会社社員の確認を経て、問題が無ければ、箇所長に承認した旨をメール等で通知する。
発注会社の社員から承認の通知を受けたら、箇所長は、パソコン8にログインし、検査記録簿の内容を確認する。本実施形態の品質管理ツール10は、タブレット端末6の入力画面に確認値が入力された場合も、データベースDに格納されている検査記録簿の対応箇所に同じ数値を自動的に入力するように構成されているので、発注会社の社員が確認値を入力し終えた時点で検査記録簿(報告書)の作成が終了していることになる。検査記録簿の内容に問題が無ければ、パソコン8を用いて所定の承認操作を行うことにより、検査記録簿の所定の押印欄83に検査記録簿の内容を最終承認することを示す承認印を表示させる。こうして、RC構造物が工事会社から発注会社へ引き渡し可能な状態となる。箇所長から最終承認を受けた後、工事会社の事務所担当者は、承認された検査記録簿を、電子帳票として発注会社に納品する。このように、本実施形態の品質管理ツール10は、報告書作成ツールとしても利用できるものとなっている。
施工後、RC構造物のメンテナンスを行う場合、まず、担当者は、タブレット端末6のアプリケーションにログインし、確認対象の部材のICタグ1,2にタグリーダ4を翳すことにより、タブレット端末6の表示部6aに、読み込んだ第1,第2IDに対応するメンテナンス情報入力画面を表示させる。そして、対象の部材の状態を確認し、その内容を維持管理情報として入力する。その後、部材にメンテナンスを施し、行った処置の内容も維持管理情報として入力する。入力されたメンテナンス情報のデータは、自動的にクラウドサーバ7内の対応するデータベースDに格納される。こうして、メンテナンス情報が蓄積されていく。
鉄筋コンクリート製に限らず、構造物は、施工から50年以上は使用されるのが一般的である。このため、RC構造物の使用中に、部材の表面に取り付けられたICタグ1,2が経年劣化して使用不能となる場合がある。このような場合は、図5に示すように、クラウドサーバ7のデータベースDに第1,第2ID2−1〜2−mと1対1で対応する第3ID3−1〜3−m(m≦M)を登録する。そして、工事会社の現場担当者は、新たに用意した交換用ICタグ3に、使用不能となった後付けICタグ2に記憶されていた第2IDに対応する第3IDを記憶させる。そして、使用不能となった後付けICタグ2を取り外し、後付けICタグ2が取り付けてあった箇所またはその近傍に交換用ICタグ(図示省略)を取り付ける。こうして部材を特定する役割が第2IDから第3IDへと引き継がれることとなる。この要領で第nIDn―1〜n―mから第(n+1)ID(n+1)−1〜(n+1)−mへの引継ぎを繰り返せば、長期間に亘る構造物の品質管理にも対応することができる。
このように、本実施形態のRC構造物の品質管理では、第1IDが記憶された前付けICタグ1を組み上がった鉄筋に取り付けておいて、コンクリート打設前の各種情報(設計情報や、鉄筋の施工状況(第1施工情報))を第1ID毎に蓄積し、コンクリート打設後(情報蓄積環境の変更後)は、各第1IDと1対1で対応する第2IDが記憶された後付けICタグ2を部材に取り付け、各部材を特定する役割を第1IDから第2IDへ引き継ぐことで、その後の各種情報(コンクリートの打設状況(第2施工情報)や維持管理情報)を蓄積するようにしている。これにより、前付けICタグ1を取り外して付け直すという大変手間のかかる作業を行わなくても、コンクリート打設前後にそれぞれ蓄積した情報を間違えて対応付けてしまうことなく、一連の情報としてデータベースDに格納しておくことができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、ここでは、第1実施形態との相違点のみ説明することとし、同様の点については説明を省略する。
本実施家形態は、対象とする構造物または物品、および品質管理方法が第1実施形態と異なる。
〔品質関連情報の蓄積方法〕
まず、本実施形態における構造物または物品の品質関連情報の蓄積方法の、第1実施形態との相違点について、構造物の杭(構造物の地下に埋設される部位)を対象とした場合を例にして説明する。
本実施形態の場合、杭の構築または打ち込みの開始から、杭の上に構造物の地上部分を構築するまでの間は、杭の上部に前付けICタグ1を取り付けておくことで、第1ID1−1〜1−Mによる各杭の識別が可能となるが、杭の上に構造物の地上部分を構築した後は、杭が構造物の地上部分によって遮蔽され(情報蓄積環境が変化し)、前付けICタグ1の取り付け箇所が特定できなくなるとともに、前付けICタグ1との通信ができなくなる。このため、本実施形態では、杭の近傍に設けられる構造物の他の部材(例えば柱)に、後付けICタグ2を取り付け、IDの引継ぎを行うようにする。なお、他の部材には、当該他の部材のIDが記憶されたICタグ1,2も取り付けられることになるので、このICタグ1,2とは区別できるように(例えば、色を変える、どの部材のICタグであるかを文字で記載しておく等)して取り付ける。
(変形例)
なお、上記実施形態では、構造物の杭に前付けICタグ1を取り付けた後、杭の上に構造物の地上部分が構築されることで、取り付けておいた前付けICタグ1の取り付け位置が特定できなくなる場合について説明したが、施工後も前付けICタグ1の取り付け位置は特定できるものの、前付けICタグ1と通信可能な距離に容易に近づくことができなくなってしまうといった場合にも対応できる。具体的には、橋桁の底面等、施工中は足場により前付けICタグ1に近づくことが可能であるが、施工後はその足場が撤去され(情報蓄積環境が変化し)てしまう場合等である。このような場合には、対象の橋桁の近傍に設けられた橋脚等に、橋桁の第2IDが記憶された後付けICタグ2を、この橋脚等の第2IDが記憶された後付けICタグ2と区別できる状態で取り付けることにより、地上において、橋桁の品質に関連する各種情報の蓄積、閲覧が可能となる。
以上、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記実施形態ではRC構造物や杭を対象としたが、無筋構造物、木製構造物、鋼製構造物、覆工版、プラスチック製品等、あらゆる構造物や物品の品質管理に適用することができる。
また、上記実施形態では、タグリーダ4を用いてICタグ1,2やIDカード3の情報を読み込み、タブレット端末6やデジタルカメラ5に送信するようにしたが、タグリーダの機能を持ったタブレット端末やデジタルカメラを使用してもよい。また、デジタルカメラ5の代わりに、カメラの搭載された携帯電話やタブレット端末を用いてもよい。
また、上記実施形態では、検測値の判定をタブレット端末6で行うようにしたが、クラウドサーバ7の側で行うようにしてもよい。
また、上記実施形態では、箇所長による確認および承認をパソコン8を用いて行ったが、タブレット端末6を用いるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、第2IDの登録を、鉄筋の検測確認後に行うこととしたが、予め登録しておいてもよい。
また、上記実施形態では、経年劣化の場合、使用不能となったICタグ1,2のみ交換するようにしたが、まだ使用可能であるが使用不能となる時期が迫っている他のICタグ1,2をまとめて交換するようにしてもよい。
10 品質管理ツール(報告書作成ツール)
1 前付けICタグ(第1ICタグ)
2 後付けICタグ(第2ICタグ)
3 IDカード
4 タグリーダ
5 デジタルカメラ(撮像手段)
6 タブレット端末(携帯端末、表示手段、入力手段、送信手段、報知手段)
7 クラウドサーバ
8 パソコン
D データベース(通信手段、書き込み手段、押印手段)

Claims (3)

  1. 複数の数値入力欄を有する入力画面を表示可能な表示手段と、所定の入力操作に基づいて前記数値入力欄に数値を入力する入力手段と、入力された数値を外部に送信する送信手段と、を有する携帯端末と、
    前記携帯端末と通信可能な通信手段を有し、前記複数の数値入力欄にそれぞれ対応する複数の数値記載欄と押印欄を有する報告書のひな形および所定の印影が格納されたデータベースと、
    それぞれ異なる識別情報が記憶されるとともに、異なる箇所にそれぞれ付設される複数の第一情報記憶媒体と、
    前記複数の第一情報記憶媒体のうちの少なくとも一部の第一情報記憶媒体が記憶する識別情報と1対1で対応する識別情報が記憶されるとともに、前記少なくとも一部の第一情報記憶媒体と対応する箇所に付設される一つ以上の第二情報記憶媒体と、を備え、
    前記携帯端末は、前記複数の第一情報記憶媒体の何れか又は前記第二情報記憶媒体と通信することにより、前記第一情報記憶媒体又は前記第二情報記憶媒体に記憶されている識別情報を読み込むことが可能に構成され、
    前記表示手段は、前記携帯端末が前記識別情報を読み込んだことに基づいて、当該識別情報に対応する前記入力画面を表示するよう構成され、
    前記データベースは、前記送信手段から送信された前記数値を、前記データベースに格納されている前記ひな形の、当該数値が入力された前記数値入力欄に対応された数値記載欄に書き込む書き込み手段と、所定の承認操作が行われたことに基づき、前記ひな形の押印欄に印影を表示する押印手段と、を備えることを特徴とする報告書作成システム。
  2. 記データベースは、各識別情報にそれぞれ対応する複数の前記ひな形を格納しており、
    前記書き込み手段は、前記入力手段によって何れかの識別情報と対応する数値入力画面の何れかの数値入力欄に数値が入力されると、当該識別情報と対応するひな形の、当該数値入力欄に対応する数値記載欄に、入力された数値を書き込むことを特徴とする請求項1に記載の報告書作成システム。
  3. 前記データベースには、所定の基準値が格納されており、
    入力された数値の前記基準値との差が所定範囲内であるか否かを判定する判定手段を有し、
    前記携帯端末は、前記判定手段が、前記数値の前記基準値との差が前記所定範囲を超えると判定した場合にその旨を報知する報知手段を備えることを有する請求項1または2に記載の報告書作成システム。
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