JP6417981B2 - 測距装置 - Google Patents

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Description

本発明は、物標により反射される反射光に基づいて物標までの距離を検出する技術に関する。
従来、物標により反射される反射光に基づいて物標までの距離を検出する測距装置が知られている。特許文献1では、高感度、中感度、低感度のように、それぞれ異なる感度を有する複数の受光素子を備え、低感度から高感度までの広範囲のダイナミックレンジを有する受光素子を利用した場合と同様に、検出可能な光量の範囲を拡大する技術が提案されている(特許文献1参照)。
特開2012−122951号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、個々の受光素子にて受光可能な光量は、受光素子の数に応じて減少する。すなわち、高感度、中感度、低感度のように、それぞれ異なる感度を有する3つの受光素子を備える場合、各受光素子にて受光可能な光量は、受光素子を1つ用いる場合に受光可能な光量の1/3に減少する。このため、物標からの反射光の強度が小さい場合、該反射光がノイズに埋もれ、物標の検出精度が低下するおそれがあった。
かといって、受光素子にて受光可能な光量を増加させるために1つの受光素子を用いるようにすると、その受光素子が比較的強い反射光を検出可能な低感度の素子である場合、比較的弱い反射光がノイズに埋もれて検出されず、物標の検出精度が低下するおそれがあった。また、その受光素子が比較的強い反射光を検出可能な高感度の素子である場合、比較的強い反射光に対して出力が飽和し、物標の検出精度が低下するおそれがあった。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、物標までの距離の検出精度の低下を抑制する技術を提供することを目的としている。
本発明の一側面は、車両に搭載されて車両の進行方向及び側方を含む予め定められた探索範囲に存在する物標との距離を測定する測距装置であって、発光素子と、受光素子と、距離検出部と、出力調整部と、を備える。発光素子は光を発生し、受光素子は発光素子にて発生した光が探索範囲に存在する物標にて反射された反射光を検出する。距離検出部は受光素子の出力に基づいて物標までの距離を検出する。出力調整部は、進行方向を含む予め定められた進行方向範囲からの反射光及び側方を含む予め定められた側方範囲からの反射光の両方が距離検出部にて検出可能となるように、進行方向範囲及び側方範囲のうち少なくとも一方からの反射光に対する受光素子の出力を調整する。
ここで、測距装置では、例えば、車両の進行方向においては、車両から比較的遠距離に存在する車両や人等の物標からの比較的弱い反射光に基づいて該物標までの距離を検出する必要が有り得る。一方、例えば、車両の側方においては、車両から比較的近距離に存在する隣接車線の車両やガードレールに設置された反射板等の物標からの比較的強い反射光に基づいて該物標までの距離と検出する必要が有り得る。前述の構成によれば、進行方向範囲からの反射光及び側方範囲からの反射光の両方が距離検出部にて検出されるように調整されるため、物標までの距離の検出精度の低下を抑制することができる。
なお、特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
レーダ装置の構成を示すブロック図。 レーダ装置の探索範囲を示す図。 (a)はレーダ装置の筐体を示す模式図であり、(b)は筐体が有する窓部と探索範囲との対応を説明する図。 窓部の各部における透過率の分布を示す図。 窓部の製造工程において、誘電体多層膜の蒸着を行う一例を説明する図。 窓部の製造工程において、誘電体多層膜の蒸着により実現される透過率の一例を説明する図。 発光指令が出力されるタイミングを説明する図。 照射処理のフローチャートの一例を示す図。 発光設定がテーブルとして記録されていることを説明する図。 強度制御指令により実現される、レーザ出力の特性の一例を示す図。 増幅率制御指令により実現される、増幅率の特性の一例を示す図。 右側方範囲窓部の透過率を前方範囲窓部よりも小さくすることによって、右側方範囲からの受光信号を飽和させること無く検出することができた実験結果の一例を示す図。 右側方範囲へ照射される光量を前方範囲へ照射される光量よりも小さくすることによって、右側方範囲からの受光信号を飽和させること無く検出することができた実験結果の一例を示す図。 前方範囲について検出可能な光量の範囲と右側方範囲について検出可能な光量の範囲との差の一例を示す図。 右側方範囲からの反射光に対する受光信号の増幅率を前方範囲からの反射光に対する受光信号の増幅率よりも小さくすることによって、右側方範囲からの受光信号を飽和させること無く検出することができた実験結果の一例を示す図。
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.構成]
図1に示すレーダ装置1は、車両に搭載され、歩行者や他車両を含む障害物等の物標に向けてレーザ光を照射し、この反射光を受光するタイミングに基づいて物標までの距離、相対速度等を測定する装置である。本実施形態では一例として、図2に示すように、レーダ装置1は、車両の前方右側面に設置され、車両の前進方向及び前進方向に対して直交する右方向を含む所定角度範囲を探査範囲ALとする。以下では、探査範囲ALのうち、前進方向を含む所定角度範囲を前方範囲ALfといい、右方向を含む所定角度範囲を右側方範囲ALrといい、前方範囲ALfと右側方範囲ALrとの間の角度範囲を遷移範囲ALtという。
はじめに、レーダ装置1の筐体について説明する。図3(a)に示すように、レーダ装置1は筐体70に収容されており、筐体70には、レーザ光を透過可能な材料で形成された窓部80が設けられている。図3(b)に示すように、レーザ光は、この窓部80を介して探査範囲ALに対して出射及び入射される。
ここで、窓部80において、右側方範囲ALrについてのレーザ光が透過する部分を右側方範囲窓部81といい、遷移範囲ALtについてのレーザ光が透過する部分を遷移範囲窓部82といい、前方範囲ALfについてのレーザ光が透過する部分を前方範囲窓部83というものとする。一例として図4に示すように、窓部80においては、右側方範囲窓部81に対するレーザ光の透過率は、前方範囲窓部83に対するレーザ光の透過率よりも小さくなるように、具体的には1/4倍となるように、形成されている。
窓部80の形成手順について説明する。図5の(a)に示すように、窓部80における右側方範囲窓部81を除く残りの部分がマスクされ、一例として図6の(a)に示すような所定の波長のレーザ光に対する透過率が実現されるように右側方範囲窓部81に誘電体多層膜が蒸着される。同様に、遷移範囲窓部82については図5の(b)及び図6の(b)に示すように、前方範囲窓部83については図5の(c)及び図6の(d)に示すように、それぞれ誘電体多層膜が蒸着される。このようにして、透過率について図4に示す特性を有する窓部80が形成される。なお、窓部80の形成においては、右側方範囲窓部81と遷移範囲窓部82との境界付近、及び遷移範囲窓部82と前方範囲窓部83との境界付近における透過率を、一例として図4の点線部に示すように、緩やかに変化させることが望ましい。
次に、図1に戻り、レーダ装置1を構成する各部について説明する。
レーダ装置1は、発光部10と、受光部20と、スキャナ駆動部30と、スキャナ機構部40と、照射制御部50と、距離測定部60と、を備える。なお、レーダ装置1は、CPU、ROM、RAM等を有する周知のマイクロコンピュータ(マイコン)を備えており、照射制御部50及び距離測定部60は、このマイコンが実行する処理によって実現される。但し、照射制御部50及び距離測定部60をソフトウェアによって実現することはあくまでも一例であり、その全体及び一部を例えばロジック回路等のハードウェアによって実現してもよい。
発光部10は、発光素子11とLD駆動部12とを備える。発光素子11は、レーザ光を発生させるレーザダイオード(LD)である。LD駆動部12は、発光指令CLに従って、強度制御指令CPに基づく大きさの制御電圧を発光素子11へ出力し、制御電圧に応じた光量のレーザ光を発光素子11に出力させる。
スキャナ機構部40は、反射ミラー41と、ポリゴンミラー42と、受光レンズ43と、回転位置センサ44とを備える。ここで、発光素子11から出力されたレーザ光は、ポリゴンミラー42で反射され探査範囲ALに向けて出射される。ポリゴンミラー42は図示しないモータによって回転可能に構成され、スキャナ駆動部30は、スキャン制御指令CSに従ってポリゴンミラー42の回転角度を変化させることにより、探査範囲AL内でのレーザ光によるビームスキャンを実現する。一方、発光素子11から照射され物標で反射されたレーザ光(反射光)は、ポリゴンミラー42で反射され反射ミラー41によって受光レンズ43へ導かれる。受光レンズ43は、反射光を集光し受光部20へ出力する。回転位置センサ44は、ポリゴンミラー42の回転位置を検出し、回転位置を表す回転位置信号POを照射制御部50へ出力する。
受光部20は、フォトダイオード(PD)21と、PD増幅器22とAD変換器23とを備える。PD21は、受光レンズ43により集光された反射光を受光し、その強度(光量)に応じた電圧値を有する受光信号を出力する。本実施形態では、アバランシェフォトダイオード(APD)がPD21として用いられる。PD増幅器22は、増幅率制御指令CGに従って、受光信号を増幅してAD変換器23へ出力する。AD変換器23は、PD増幅器22から入力された信号をAD変換して距離測定部60へ出力する。
照射制御部50は、予め設定された動作タイミングに従って、発光部10への発光指令CL及びスキャナ駆動部30へのスキャン制御指令CSを生成すると共に、発光指令CLを生成したタイミングを表す照射タイミングTSを距離測定部60に出力する照射処理を実行する。図7は、動作タイミングの一例を説明する図である。照射制御部50は、図7に示すように、予め定められた測定周期Tc毎に、予め定められたN個のパルス信号を発生させ、このパルス信号のそれぞれを発光指令CLとして出力する。パルス信号は、当該装置1の最大検知距離をレーザ光が往復するに要する最大計測期間より十分に長い時間間隔Twで出力される。測定周期Tc、N、時間間隔Twは、Tc>N×Twを満たすように設定されていればよい。また、照射制御部50は、照射処理において、発光指令CLが出力されるタイミングに従って、出射されるレーザ出力の強度を調整する強度制御指令CPと、受光信号の強度を調整する増幅率制御指令CGとを出力する。照射処理の詳細については後述する。
距離測定部60は、AD変換された受光信号(反射光)から、該受光信号(反射光)の波形のピークを受光タイミングTRとして抽出する。そして、距離測定部60は、照射制御部50から供給される照射タイミングTSから受光タイミングTRまでの時間、即ち、レーザ光を反射した物標との間をレーザ光が往復するのに要する時間を求める。更に、距離測定部60は、その求めた往復時間から、レーザ光を反射した物標までの距離を算出し、算出した距離を物標情報として例えば他の車載装置等へ出力する。
なお、レーダ装置1では、距離を測定する際に装置内部での遅延の影響を受ける。例えば、照射制御部50が発光指令CLを出力してから実際にレーザ光が照射されるまでの遅延、PD21に反射光が入射されてから受光タイミングTRが出力されるまでの遅延、等である。距離測定部60は、これらの遅延を加味して、レーザ光を反射した物標までの距離を算出する。距離測定部60が実行するこれらの処理は周知であるため、その詳細についての説明は省略する。
[2.処理]
次に、照射制御部50として機能するマイコンが実行する照射処理について、図8フローチャートを用いて説明する。本処理は、レーダ装置1に電源が供給されている間、測定周期Tc毎に、繰り返し実行される。なお、以下の説明において主語が省略されている文については、照射制御部50を主語とする。
本処理が起動すると、S110では、カウンタCの初期設定を行う。具体的には、0をカウンタCの値として入力する。
次にS115では、ポリゴンミラー42の回転位置(位相)が開始方位Sとなるように、スキャナ駆動部30へスキャン制御指令CSを出力する。本実施形態では、探査範囲AL内の右側方範囲ALrと探査範囲ALの外側との境界線によって示される方位を開始方位S(図3(b)参照)とする。
続くS120では、回転位置信号POを取得する。
次にS125では、S120にて取得した回転位置信号POが表す回転位置に対応する発光設定を取得する。発光設定は、照射制御部50として機能するマイコンが備えるROMに記録されている。一例として図9に示すテーブルのようにして、ポリゴンミラー42の位相に応じた強度制御指令CPの値と増幅率制御指令CGの値とが発光設定として記録されている。ここで、強度制御指令CPの値は、一例として図10に示すような特性のレーザ出力を実現するように設定される。すなわち、強度制御指令CPの値は、右側方範囲ALrへのレーザ出力が前方範囲ALfへのレーザ出力よりも小さくなるように、具体的には1/2倍となるように、設定される。遷移範囲ALtへのレーザ出力は、右側方範囲ALrへのレーザ出力から前方範囲ALfへのレーザ出力となるまで、段階的に変化するように設定される。一方、増幅率制御指令CGの値は、一例として図11に示す特性の増幅率を実現するように設定される。すなわち、増幅率制御指令CGの値は、前方範囲ALfについての受光信号に対する増幅率が右側方範囲ALrについての受光信号に対する増幅率よりも大きくなるように、具体的には15倍となるように、設定される。遷移範囲に対する受光信号の増幅率は、右側方範囲に対する受光信号の増幅率から前方範囲に対する受光信号の増幅率となるまで、段階的に変化するように設定される。
図8に戻り、説明を続ける。続くS130では、S125にて取得した発光設定に従って、強度制御指令CPを出力する。
次にS135では、S125にて取得した発光設定に従って、増幅率制御指令CGを出力する。
続くS140では、発光指令CLを出力する。
次にS145では、照射タイミングTSを出力する。
続くS150では、カウンタCの値を1つ増加させる。
次にS155では、レーザ光によるスキャンを継続するか否か判断する。ここでは、カウンタCの値が、前述のパルス信号の発生数であるN未満である場合、つまり発光指令CLを出力した回数がN未満である場合、スキャンを継続すると判断する。スキャンを継続しない場合、つまり発光指令CLをN回出力した場合は本照射処理を終了し、スキャンを継続する場合は処理をS160へ移行させる。
S160では、ポリゴンミラー42の位相(回転角度)を所定の角度θだけ変化させるスキャン制御指令CSを、スキャナ駆動部30へ出力し、処理をS120へ移行させる。角度θは、探査範囲ALの方位角度をNで割った値に設定される。
つまり、本処理では、回転位置センサ44が出力する回転位置信号POに基づくポリゴンミラー42の回転角度に応じて、発光素子11からのレーザ出力及びPD増幅器22の増幅率の制御が行われる。
[3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
[3A]車両に搭載された測距装置では、車両の進行方向においては、概ね、車両から比較的遠距離に存在する車両や人等の物標からの比較的弱い反射光に基づいて該物標までの距離を検出する。一方、車両の側方においては、概ね、車両から比較的近距離に存在する隣接車線の車両やガードレールに設置された反射板等の物標からの比較的強い反射光に基づいて該物標までの距離を検出する。本実施形態のレーダ装置1によれば、窓部80、LD駆動部12、PD増幅器22及び照射制御部50によって、前方範囲ALfからの比較的弱い反射光及び右側方範囲ALrからの比較的強い反射光の両方が距離測定部60にて検出されるように調整されるため、距離測定部60による物標までの距離の検出精度の低下を抑制することができる。
[3B]具体的には、窓部80は、右側方範囲窓部81に対するレーザ光の透過率が、前方範囲窓部83に対するレーザ光の透過率よりも小さくなるように形成される。すなわち、このように透過率に差を設けた窓部80を備えない比較例としてのレーダ装置と比べると、本実施形態では右側方範囲ALrからの反射光に対する受光信号が飽和しないように調整される。したがって、右側方範囲ALrに存在する物標に対する測距精度の低下を抑制することができる。このように透過率に差を設けた窓部80を備えることにより、右側方範囲ALrからの反射光に対する受光信号を飽和させること無く検出できた実験結果の一例を、図12に示す。
[3C]具体的には、照射制御部50は、増幅率制御指令CGを出力することによって、PD増幅器22における前方範囲ALfからの反射光に対する増幅率が右側方範囲ALrからの反射光に対する増幅率よりも大きくなるように、PD増幅器22を作動させる。このように作動するPD増幅器22を備えない比較例としてのレーダ装置と比べると、本実施形態では前方範囲ALfからの反射光に対する受光信号がノイズに埋もれないように調整される。したがって、前方範囲ALfに存在する物標に対する測距精度の低下を抑制することができる。
[3D]具体的には、照射制御部50は、強度制御指令CPを出力することによって、LD駆動部12に、右側方範囲ALrへ照射される光量が前方範囲ALfへ照射される光量よりも小さくなるように光量の制御を行わせる。このように作動するLD駆動部12を備えない比較例としてのレーダ装置と比べると、本実施形態では右側方範囲ALrからの反射光に対する受光信号が飽和しないように調整される。したがって、右側方範囲ALrに存在する物標に対する測距精度の低下を抑制することができる。このようにレーザ出力に差が生じるように作動するLD駆動部12を備えることにより、右側方範囲ALrからの反射光に対する受光信号を飽和させること無く検出できた実験結果の一例を、図13に示す。
このように一例として説明した上記実施形態では、図14に示すように、距離測定部60において、前方範囲ALfに対して検出可能な光量の範囲を、右側方範囲ALrよりも拡大(480倍)することができた。換言すれば、右側方範囲ALrに対して検出可能な光量の範囲を前方範囲ALfよりも抑制(1/480倍)することができた。
なお、上記実施形態では、レーダ装置1が測距装置としての一例に相当し、PD21が受光素子としての一例に相当し、窓部80、LD駆動部12、PD増幅器22及び照射制御部50が出力調整部としての一例に相当し、距離測定部60が距離検出部としての一例に相当する。また、窓部80が照射窓部及び受光窓部としての一例に相当し、LD駆動部12及び照射制御部50が照射増幅部としての一例に相当し、PD増幅器22及び照射制御部50が受光増幅部としての一例に相当する。また、S130が照射増幅部としての処理の一例に相当し、S135が受光増幅部としての処理の一例に相当する。また、前方範囲ALfが進行方向範囲の一例に相当し、右側方範囲ALrが側方範囲の一例に相当する。
[4.他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
[4A]上記実施形態では、PD増幅器22及び照射制御部50は、前方範囲ALfからの反射光に対する受光信号がノイズに埋もれないように調整するものであったが、これに限るものではない。照射制御部50は、増幅率制御指令CGを出力することによって、PD増幅器における右側方範囲ALrからの反射光に対する増幅率が前方範囲ALfからの反射光に対する増幅率よりも小さくなるように、該PD増幅器を作動させるものであってもよい。このように作動するPD増幅器を備えない比較例としてのレーダ装置と比べると、右側方範囲ALrからの反射光に対する受光信号が飽和しないように調整される。したがって、右側方範囲ALrに存在する物標に対する測距精度の低下を抑制することができる。このように増幅率に差を設けたPD増幅器を備えることにより、右側方範囲ALrからの反射光に対する受光信号を飽和させること無く検出できた実験結果の一例を、図15に示す。
[4B]上記実施形態では、窓部80はレーザ光が照射される照射窓部と、入射される受光窓部とを兼ねるように構成されていたが、窓部は、照射窓部と受光窓部とが別に構成されたものであってもよい。
[4C]上記実施形態では、車両の前方右側面にレーダ装置1が設置されていたが、レーダ装置の設置位置はこれに限るものではない。例えば、レーダ装置は、車両の前方左側面に設置され、車両の前進方向及び前進方向に対して直交する左方向を含む所定角度範囲を探索範囲とする、レーダ装置1とは異なる他のレーダ装置であってもよい。また、該他のレーダ装置とレーダ装置1との両方が車両に備えられていてもよい。また例えば、レーダ装置は、車両の後方左側面に設置され、車両の後進方向及び後進方向に対して直交する左方向を含む所定角度範囲を探索範囲とする、レーダ装置1とは異なる他のレーダ装置であってもよい。また、該他のレーダ装置とレーダ装置1との両方が車両に備えられていてもよい。
[4D]上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を、課題を解決できる限りにおいて省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。
[4E]本発明は、前述したレーダ装置1の他、当該レーダ装置1を構成要素とするシステム、当該レーダ装置1を機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した媒体、距離測定方法など、種々の形態で実現することができる。
1…レーダ装置 11…発光素子 12…LD駆動部 21…PD 22…PD増幅器 50…照射制御部 60…距離測定部 80…窓部。

Claims (4)

  1. 車両に搭載され、前記車両の進行方向及び側方を含む予め定められた探索範囲に存在する物標との距離を測定する測距装置(1)であって、
    光を発生する発光素子(11)と、
    前記発光素子にて発生した光が前記探索範囲に存在する物標にて反射された反射光を検出する受光素子(21)と、
    前記受光素子の出力に基づいて前記物標までの距離を検出する距離検出部(60)と、
    前記進行方向を含む予め定められた進行方向範囲からの前記反射光及び前記側方を含む予め定められた側方範囲からの前記反射光の両方が前記距離検出部にて検出可能となるように、前記進行方向範囲及び前記側方範囲のうち少なくとも一方からの前記反射光に対する前記受光素子の出力を調整する出力調整部(12、22、50、80)と、
    を備え
    前記出力調整部は、
    光を透過させる材料で形成され、前記側方範囲へ光の透過する部分に誘電体多層膜を蒸着することによって該側方範囲へ光の透過する部分の透過率が前記進行方向範囲へ光の透過する部分の透過率よりも小さくなるように形成された照射窓部(80)、
    を備え、
    前記発光素子にて発生した光は、前記照射窓部を介して前記探索範囲に照射される
    ことを特徴とする測距装置。
  2. 請求項1に記載の測距装置であって、
    前記出力調整部は、
    光を透過させる材料で形成され、前記側方範囲からの光の透過する部分の透過率が前記進行方向範囲からの光の透過する部分の透過率よりも小さくなるように形成された受光窓部(80)
    を備え、
    前記反射光は前記受光窓部を介して前記受光素子に入力される
    ことを特徴とする測距装置。
  3. 請求項1または請求項に記載の測距装置であって、
    前記出力調整部は、
    前記受光素子の出力を増幅する受光増幅部(22、50)
    を備え、
    前記受光増幅部における前記進行方向範囲からの前記反射光に対する増幅率は、前記側方範囲からの前記反射光に対する増幅率よりも大きい
    ことを特徴とする測距装置。
  4. 請求項1から請求項のいずれか一項に記載の測距装置であって、
    前記出力調整部は、
    前記発光素子にて発生させる光量の制御を行う照射増幅部(12、50)
    を備え、
    前記照射増幅部は、前記進行方向範囲へ照射される光量が前記側方範囲へ照射される光量よりも大きくなるように光量の制御を行う
    ことを特徴とする測距装置。
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