実施形態に係るスリットランプ顕微鏡について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施形態において、この明細書に記載された文献の記載内容を適宜援用することが可能である。
まず方向を定義しておく。装置光学系において最も被検者側に位置するレンズ(対物レンズ)から被検者に向かう方向を前方向とし、その逆方向を後方向とする。また、前方向に直交する水平方向を左右方向とする。更に、前後方向と左右方向の双方に直交する方向を上下方向とする。
〈第1の実施形態〉
[外観構成]
この実施形態に係るスリットランプ顕微鏡の外観構成について、図1を参照しながら説明する。スリットランプ顕微鏡1には、コンピュータ100および電源ユニットが接続されている。
コンピュータ100は、各種の制御処理や演算処理を行う。顕微鏡本体(光学系等を格納する筐体)とは別にコンピュータ100を設ける代わりに、顕微鏡本体に同様のコンピュータを搭載した構成を適用することも可能である。
電源ユニット200は、外部電源(商用電源、自家発電装置、バッテリなど)から入力される電力を、スリットランプ顕微鏡1の各部に供給する。電源ユニット200は、顕微鏡本体とは別に設けられるか、或いは顕微鏡本体に格納される。
スリットランプ顕微鏡1はテーブル2上に載置される。コンピュータ100は、他のテーブル上またはその他の場所に設置されてもよい。電源ユニット200は、テーブル2の下や他の場所に設置されてもよい。基台4は、移動機構部3を介して水平方向に移動可能に構成されている。基台4は、操作ハンドル5を傾倒操作することにより移動される。
基台4の上面には、観察系6および照明系8を支持する支持部15が設けられている。支持部15には、観察系6を支持する支持アーム16が左右方向に回動可能に取り付けられている。支持アーム16の上部には、照明系8および背景照明系20を支持する支持アーム17が左右方向に回動可能に取り付けられている。支持アーム16、17は、それぞれ独立に同軸で回動可能とされている。
観察系6は、支持アーム16を手動で回動させることで移動される。照明系8および背景照明系20は、支持アーム17を手動で回動させることで移動される。なお、各支持アーム16、17は、電気的な機構によって回動されるように構成されてもよい。その場合、各支持アーム16、17を回動させるための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構とが設けられる。アクチュエータは、たとえばステッピングモータ(パルスモータ)により構成される。伝達機構は、たとえば歯車の組み合わせやラック・アンド・ピニオンなどによって構成される。
照明系8は、被検眼Eに照明光を照射する。前述のように、回動軸を中心に照明系8を左右方向に振ることができる。それにより被検眼Eに対する照明光の照射方向が変更される。照明系8を上下方向にも振れるように構成されてもよい。つまり、照明光の仰角や俯角を変更できるように構成されてもよい。なお、詳細については後述するが、符号51Aは、光源が装着される装着部を示している。
照明光の強度の変更は、基台4上に設けられた照明強度操作部18を用いて行われる。照明強度操作部18は、任意の形態であってよい。照明強度操作部18の構成例として、回転つまみ、1つ以上のハードウェアキー(ボタン等)、1つ以上のソフトウェアキー(GUI)がある。
背景照明系20から照射される背景照明光の強度の変更についても、照明強度操作部18を用いて行えるように構成してよい。また、照明光や背景照明光の強度の変更を、他の操作手段により行えるように構成することも可能である。他の操作手段としては、スリットランプ顕微鏡1の筐体に設けられた操作手段や、コンピュータ100に設けられた操作手段がある。
観察系6は、照明光(および背景照明光)の被検眼Eからの戻り光を案内する左右一対の光学系を有する。この光学系は鏡筒本体9内に収納されている。鏡筒本体9の終端は接眼部9aである。検者は接眼部9aをのぞき込むことで被検眼Eを肉眼で観察する。前述のように、支持アーム16を回動させることにより鏡筒本体9を左右方向に回動させることができる。それにより被検眼Eに対する観察系6の向きを変更することができる。観察系6による観察倍率は、鏡筒本体9の側面に設けられた観察倍率操作ノブ11を用いて変更される。なお、照明光の戻り光には、正反射光や散乱光など、被検眼Eを経由した各種の光が含まれる。
鏡筒本体9に対峙する位置には顎受け台10が配置されている。顎受け台10には、被検者の顔を安定配置させるための顎受部10aと額当て10bが設けられている。
鏡筒本体9には、被検眼Eを撮影するための撮像装置13が接続されている。撮像装置13は撮像素子を含む。撮像素子は、光を検出して電気信号(画像信号)を出力する光電変換素子を含む。撮像素子から出力された画像信号はコンピュータ100に入力される。撮像素子としては、たとえばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサや、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが用いられる。照明系8の下方位置には、照明系8から出力される照明光束を被検眼Eに向けて反射するミラー12が配置されている。また、ミラー12は、背景照明系20から出力される背景照明光を被検眼Eに向けて反射する。
[光学系の構成]
スリットランプ顕微鏡1の光学系の構成について、図2を参照しながら説明する。スリットランプ顕微鏡1は、観察系6と、照明系8と、背景照明系20とを有する。
〔観察系〕
観察系6は左右一対の光学系を備えている。左右の光学系は、ほぼ同様の構成を有する。検者は、この左右の光学系により被検眼Eを双眼で観察することができる。なお、図2には、観察系6の左右の光学系の一方のみが示されている。符号O1は観察系6の光軸(観察光軸)である。
観察系6の左右の光学系のそれぞれは、対物レンズ31、変倍光学系32、絞り33、リレーレンズ35、プリズム36および接眼レンズ37を有する。ビームスプリッタ34は、左右の光学系の一方にまたは双方に設けられる。接眼レンズ37は接眼部9a内に設けられている。符号Pは、接眼レンズ37に導かれる光の結像位置を示している。符号Ecは被検眼Eの角膜を、符号Epは虹彩を、符号Efは眼底をそれぞれ示している。符号Eoは検者眼を示している。
変倍光学系32は、複数(たとえば2枚)の変倍レンズ32a、32bを含んで構成される。変倍光学系32の構成例として、観察系6の光路に対して選択的に挿入可能な複数の変倍レンズ群を設けることができる。これら変倍レンズ群は、それぞれ異なる倍率を付与するように構成されている。観察系6の光路に配置された変倍レンズ群が変倍光学系32として用いられる。それにより、被検眼Eの肉眼観察像や撮影画像の倍率(画角)が任意に変更される。倍率の変更、つまり観察系6の光路に配置される変倍レンズ群の切り替えは、観察倍率操作ノブ11を操作することにより行われる。また、図示しないスイッチ等を用いて電動で倍率を変更するように構成してもよい。
変倍光学系32の他の構成例として、変倍光学系32に含まれる複数の変倍レンズの間の距離を変更させる構成がある。この場合、複数の変倍レンズのうち少なくとも1つを移動させるための機構が設けられる。この機構は、観察倍率操作ノブ11や図示しないスイッチを用いた操作を受けて動作する。
ビームスプリッタ34は、観察光軸O1に沿って進む戻り光を二分割する。戻り光のうちビームスプリッタ34を透過した成分は、リレーレンズ35、プリズム36および接眼レンズ37を介して検者眼Eoに導かれる。プリズム36は、2つの光学素子36a、36bを含み、光の進行方向を上方に平行移動させる。
他方、戻り光のうちビームスプリッタ34により反射された成分は、リレーレンズ41およびミラー42を介して、撮像装置13の撮像素子43に導かれる。撮像素子43は、この戻り光を検出して画像信号を生成する。
〔照明系〕
照明系8は、光源51、リレーレンズ52、照明絞り53、集光レンズ54、スリット形成部55および集光レンズ56を有する。符号O2は、照明系8の光軸(照明光軸)を示す。
光源51は照明光を出力する。この実施形態では、光源51として複数種別の光源が設けられる。複数種別の光源には、定常光を出力する観察光源(ハロゲンランプ、LED等)と、フラッシュ光を出力する撮影光源(キセノンランプ、LED等)が含まれていてよい。また、この実施形態では、複数種別の観察光源が設けられる。複数種別の観察光源には、ハロゲンランプとLEDが含まれるものとする。出力波長(色温度など)が異なる複数のLEDを設けることが可能である。その場合、これらLEDの種別は異なるものと考える。また、角膜観察用の光源と眼底観察用の光源とを別々に設けてよい。
この実施形態では、複数種別の光源(光源ユニット)が選択的に光源51の位置に装着される。照明系8における光源51の位置には装着部51Aが設けられている。複数種別の光源は、たとえば実質的に同一の外観形状を有する別々の光源ユニットとして構成されている。装着部51Aは、各光源ユニットを装着可能な構成を有する。具体例として、装着部51Aは、各光源ユニットが挿入される差込口(スロット)として構成される。光源ユニットの装着は、装置製造者、ユーザ、メンテナンス担当者(サービスマン)などによって行われる。
装着部51Aには電気接点が設けられている。装着部51Aに光源ユニットを装着させると、光源ユニットの電気接点と装着部51Aの電気接点とが接触する(つまり電気的に接続される)ようになっている。この電気的接続を介して電源ユニット200から光源ユニットに電力が供給される。このようにして装着部51Aに装着された光源ユニットが光源51として用いられる。
照明絞り53は、その開口(または透光部)のサイズを変更可能に構成されている。光源51から出力された光の一部または全部が開口(または透光部)を通過する。照明絞り53には、角膜Ecや水晶体による照明光の反射を低減させたり、照明光の明るさを調整したりといった用途がある。照明絞り53は、たとえば眼底観察において有効に用いられる。
スリット形成部55は、光源51から出力された光からスリット光を生成するために用いられる。スリット形成部55は、一対のスリット刃を有する。これらスリット刃の間隔(スリット幅)を変更することによりスリット光の幅が変更される。
〔背景照明系〕
背景照明系20は、被検眼Eに背景照明光を照射する。背景照明光は、照明系8による被検眼Eに対する照明光の照射領域の周囲の領域に照射される。なお、背景照明光の照射領域は、少なくともこの周囲領域を含むものであればよい。たとえば、背景照明光の照射領域は、照明系8による照射領域の少なくとも一部と重複していてもよい。
背景照明系20は、光源(背景光源)を含む。背景光源は、可視光を出力する可視光源を少なくとも含む。この可視光は、たとえば肉眼観察や撮影に用いられる。背景光源は、赤外光を出力する赤外光源を含んでいてもよい。この赤外光は、たとえばマイボーム腺の観察や撮影に用いられる。背景照明系20が可視光源と背景光源の双方を含む場合、これら光源はたとえば択一的に使用される。背景照明系20は、背景光源から出力された光を集束させる1つ以上のレンズを含んでいてもよい。符号O3は、背景照明系20の光軸(背景照明光軸)を示す。
背景光源から出力された光は、(上記レンズによって集光された後、)ミラー12により反射されて被検眼Eに照射される。この背景照明光の照射領域は、照明系8による被検眼Eの照射領域の周囲の領域を含む。
[情報処理系の構成]
スリットランプ顕微鏡1の情報処理系について、図3を参照しながら説明する。スリットランプ顕微鏡1の情報処理系は、演算制御部110を中心に構成されている。情報処理系の構成の少なくとも一部がコンピュータ100に含まれていてもよい。
〔演算制御部〕
演算制御部110は、各種の演算処理と、スリットランプ顕微鏡1の各部の制御とを実行する。演算制御部110は、観察系6の制御、照明系8の制御、および背景照明系20の制御を行う。観察系6の制御としては、変倍光学系32の制御、絞り33の制御、撮像素子43の電荷蓄積時間、感度、フレームレート等の制御などがある。照明系8の制御としては、光源51の制御、照明絞り53の制御、スリット形成部55の制御などがある。背景照明系20の制御としては、背景光源の制御などがある。光源種別特定部111については、検出部151と併せて説明する。
演算制御部110は、電源ユニット200の制御を行うことにより光源51を制御することができる。たとえばハロゲンランプのように印加電圧の変化に応じて出力光の強度(照度)が変化するタイプの光源51が用いられる場合、演算制御部110は、光源51に対して電源ユニット200が印加する電圧を制御する。また、たとえばLEDのように印加電流の変化に応じて出力光の強度(照度)が変化するタイプの光源51が用いられる場合、演算制御部110は、光源51に対して電源ユニット200が印加する電流を制御する。
操作部130(照明強度操作部18など)を用いて照明光の強度を調整するための操作が行われると、その操作内容を示す信号(操作信号)が操作部130から演算制御部110に入力される。演算制御部110は、この操作信号が示す操作内容に応じた信号(制御信号)を生成して電源ユニット200に送る。
この制御信号には、電源ユニット200から光源51に供給される電力の変更量または目標値が含まれる。電力の変更量は、光源51に印加される電圧および/または電流の増加量または減少量を示す(つまり、現在の値からの増分または減分を示す)。また、電力の目標値は、光源51に印加される電圧および/または電流の変更後の値を示す。なお、電源ユニット200の制御において、変更量による制御と目標値による制御とは同等である。電源ユニット200は、演算制御部110から入力される制御信号に基づいて、光源51に対する印加電圧や印加電流を変更する。
演算制御部110は、光源51を直接に制御してもよい。たとえば前述した光源ユニットからなる光源51が用いられる場合において、演算制御部110は、この光源ユニットに含まれる回路を制御することができる。このような光源ユニットの制御が照明光の強度の制御に含まれる場合、制御対象となる回路を電源ユニット200の一部とみなすことができる。
演算制御部110は、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ等を含んで構成される。ROM、ハードディスクドライブ等の記憶装置には、制御プログラムがあらかじめ記憶されている。演算制御部110の動作は、この制御プログラムとハードウェアとが協働することによって実現される。演算制御部110は、スリットランプ顕微鏡1の装置本体(たとえば基台4内)および/またはコンピュータ100に配置される。
〔表示部〕
表示部120は、演算制御部110の制御を受けて各種の情報を表示する。表示部120は、フラットパネルディスプレイ(LCD等)などの表示デバイスを含んで構成される。表示部120は、スリットランプ顕微鏡1の装置本体に設けられていてもよいし、コンピュータ100に設けられていてもよい。
〔操作部〕
操作部130は、操作デバイスや入力デバイスを含んで構成される。操作部130には、スリットランプ顕微鏡1に設けられたボタンやスイッチ(たとえば操作ハンドル5、照明強度操作部18等)、コンピュータ100に設けられた操作デバイス(マウス、キーボード等)が含まれる。また、操作部130は、トラックボール、操作パネル、スイッチ、ボタン、ダイアルなど、任意の操作デバイスや入力デバイスを含んでいてよい。
図3では、表示部120と操作部130とを別々に表しているが、これらの少なくとも一部を一体的に構成することも可能である。その具体例として、タッチスクリーンを用いることができる。また、操作部130またはタッチ操作により指示を入力可能なGUIを、表示部120に表示させることができる。
〔記憶部〕
記憶部140は、各種の情報を記憶する。記憶される情報としては、情報処理に用いられるデータやプログラム、スリットランプ顕微鏡1により取得された画像、他の装置から入力された画像、電子カルテなどがある。
記憶部140には、関係情報141があらかじめ記憶されている。関係情報141は、操作部130による操作内容と、電源ユニット200から光源51に供給される電力(電圧・電流)との関係を示す。関係情報141は、操作に応じた照明光の強度の制御に用いられる。つまり、関係情報141は、操作部130から入力される操作信号に基づいて電源ユニット200に送信される制御信号を生成するために用いられる。
関係情報141は、たとえば光源特性に基づいて作成される。光源特性とは、光源51の電力/光出力特性であり、光源51に供給される電力と、光源51から出力される光の強度との間の関係を示す。前述したように、光源は、その種別に応じた光源特性を有する。関係情報141には、光源の種別毎の関係情報が含まれる。以下、例示として、LEDについての関係情報およびハロゲンランプについての関係情報を説明する。
この実施形態では、照明光の強度を変更するための操作は、照明強度操作部18を用いて行われるものとする。また、照明強度操作部18は回転つまみであり、その操作内容は回転つまみの回転位置であるとする。照明強度操作部18は、その回転位置を検出して電気信号を出力するエンコーダを含む。このエンコーダは、照明強度操作部18の回転位置を1200段階で検出するものとする。エンコーダが生成する電気信号は、操作信号として演算制御部110に入力される。演算制御部110は、この操作信号に基づいて制御信号を生成して電源ユニット200に送る。照明光の強度(明るさ)は照度(単位ルクス:lx)で表される。
また、デフォルトの制御状態において、操作内容と供給電力との関係は、比例関係であるとする。つまり、デフォルトの制御状態において、電源ユニット200から光源51に印加される電圧または電流の値が、照明強度操作部18(回転つまみ)の回転位置(0〜1200)に比例するように、演算制御部110は電源ユニット200を制御するものとする。
LEDに関する関係情報について図4を参照して説明する。上記のように、デフォルトの制御状態において、演算制御部110は、照明強度操作部18の回転位置に比例する電流を光源51(LED)に印加するように電源ユニット200を制御する。また、前述したように、LEDにおいては、印加電流の変化に応じて出力光の強度がほぼ線形に変化する。つまり、印加電流の値と出力光の強度とがほぼ比例する。したがって、デフォルトの制御状態において、図4に示すように、照明強度操作部18の回転位置と、出力光の強度とがほぼ比例する。よって、LEDについての関係情報として、たとえば、照明強度操作部18の回転位置とLEDに対する印加電流とが実質的に線形に関係付けた情報(グラフ、テーブルなど)を用いることができる。なお、この関係情報と、LEDの光源特性とを組み合わせると、図4に示すグラフが実質的に得られる。LEDの光源特性と組み合わせた場合に図4のグラフが実質的に得られるように、LEDの関係情報を設定することもできる。なお、この関係情報はデフォルトの制御状態と実質的に同一であるから、LEDについての関係情報を設けなくてもよい。
ハロゲンランプに関する関係情報について図5Aおよび図5Bを参照して説明する。前述したように、ハロゲンランプにおいては、印加電圧と出力光の強度との間に、LEDのような線形関係はない。図5Aに破線で示すグラフは、ハロゲンランプにおける、照明強度操作部18の回転位置と、照明光の強度との関係の例を示す。この破線グラフに示す特性は、前述したデフォルトの制御状態(操作内容と供給電力との関係)と、ハロゲンランプの光源特性(印加電圧と出力光の強度との関係)とを組み合わせて得られる情報であり、操作内容(照明強度操作部18の回転位置)とハロゲンランプからの出力光の強度との関係を示す。
図5Bは、この破線グラフに示す特性を、図5Aに実線で示すグラフに変換するための関係情報の例を示す。この関係情報の導出方法として、このハロゲンランプまたはこれと同種のハロゲンランプに対する印加電圧と出力光の強度とを実際に測定する方法や、シミュレーションによる方法などがある。ハロゲンランプに関する関係情報としては、図5Bに示すグラフまたはこれと同等の情報(テーブル情報など)を適用することが可能である。光源51としてハロゲンランプが用いられる場合、演算制御部110は、照明強度操作部18からの操作信号と、ハロゲンランプに関する関係情報とに基づいて、制御信号を生成する。
〔検出部〕
検出部151は、電源ユニット200から電力の供給を受けている光源51に印加されている電圧値または電流値を検出する。検出部151は第1検出部の例である。検出部151は、たとえば、光源51の端子電圧を求める電圧計として機能する回路と、光源51に入力される電流を求める電流計として機能する回路とを含む。検出部151は、電圧や電流の検出結果を示す電気信号(検出信号)を光源種別特定部111に送る。
光源種別特定部111は、検出部151による検出結果と、操作部130の状態と、関係情報141とに基づいて、光源51の種別を特定する。検出部151による検出結果は検出信号に相当する。操作部130の状態は、操作部130の現在の状態(検出部151による検出時における状態)であり、たとえば照明強度操作部18の現在の回転位置である。関係情報141は、たとえば、LEDに関する関係情報と、ハロゲンランプに関する関係情報とを含む(つまり、光源51として適用可能な光源種別のそれぞれの関係情報が含まれる)。
光源種別特定部111は、検出信号から電圧値または電流値を求め、操作信号から回転位置を求める。さらに、光源種別特定部111は、求められた電圧値または電流値および回転位置に基づいて、光源51として現に適用されている光源種別を特定する。この光源種別特定処理は、たとえば、電圧値(または電流値)と回転位置とのペア(2次元空間における座標)を求め、この2次元座標が最も合致する関係情報を特定し、その関係情報に対応する光源種別を求める処理を含む。ここで、2次元座標と関係情報との照合処理は、たとえば、関係情報141に含まれる1以上の関係情報が示すグラフ(2次元空間に定義されたグラフである)上の座標のうち、上記ペアからなる2次元座標との誤差が最も小さな座標を特定し、特定された座標が含まれるグラフに対応する関係情報を求める処理を含む。
検出部151が電圧値および電流値の一方のみ検出可能である場合、その検出結果に基づいて上記処理が実行される。他方、検出部151が電圧値および電流値の双方を検出可能である場合、次の2つのケースがある:(1)双方の検出結果が光源種別特定部111に入力される場合;(2)光源51の種別に応じた検出(電圧検出または電流検出)の結果のみが光源種別特定部111に入力される場合。ケース(1)の場合、光源種別特定部111は、たとえば、電圧値および電流値の検出結果それぞれについて、上記処理を実行する。ケース(2)の場合、光源種別特定部111は、電圧値または電流値の検出結果に基づいて上記処理を実行する。
前述したLEDの場合のように、デフォルトの制御状態が適用される場合において、その光源種別に対応する関係情報が設けられないことがある。その場合、電圧値(または電流値)と回転位置とのペアからなる2次元座標が、関係情報141に含まれるいずれの光源種別の関係情報にも合致しないことがありうる。この場合、光源種別特定部111は、デフォルトの制御状態に対応する光源種別を当該光源ユニットの光源種別と推定することができる。
この場合における処理の具体例を説明する。演算制御部110は、光源種別特定部111による当該推定結果に基づき、光源種別を確認するためのメッセージと、確認結果を入力するためのソフトウェアキーとを、表示部120に表示させることができる。ユーザは、操作部130を用いて応答する。上記推定結果を追認する旨の応答が入力された場合、演算制御部110は、推定された光源種別が当該光源ユニットの光源種別であるとして以降の処理を実行する。他方、上記推定結果を否認する旨の応答が入力された場合には、演算制御部110は、たとえば、複数の光源種別を選択可能に列挙したプルダウンメニューを表示部120に表示させる。ユーザが操作部130を用いて光源種別を選択すると、演算制御部110は、選択された光源種別が当該光源ユニットの光源種別であるとして以降の処理を実行する。
この実施形態のように、装着部51Aに装着されている光源の種別を特定する場合、次のような構成を用いることが可能である。光源種別毎に外形が異なる光源ユニットを適用する。また、このような外形の相異を検出可能なセンサ(マイクロスイッチなど)を装着部51Aに設ける。光源ユニットが装着部51Aに装着されると、この光源ユニットの外形をセンサが検出する。センサは、その検出結果を示す信号(検出信号)を光源種別特定部111へ送る。光源種別特定部111は、この検出信号に基づいて当該光源ユニットの光源種別を特定する。
さらに他の構成として、光源種別に応じた信号を出力可能な回路を各光源ユニットに設ける。光源ユニットが装着部51Aに装着され、電源ユニット200からの電力供給が開始されたことに対応し、この光源ユニット内の回路から光源種別特定部111に所定の信号が送られる。光源種別特定部111は、この信号に基づいて当該光源ユニットの光源種別を特定する。なお、装着部51Aに装着されている光源の種別を特定する方法はこれらに限定されるものではない。
[動作]
スリットランプ顕微鏡1の動作について説明する。スリットランプ顕微鏡1の動作例を図6に示す。
(S1:光源ユニットを装着する)
装着部51Aに光源ユニットが装着される。光源ユニットの装着は、装置製造者、ユーザ、メンテナンス担当者などによって行われる。装着された光源ユニットが光源51として用いられる。
(S2:電源を投入する)
所定のトリガ動作がなされると、演算制御部110は、電源ユニット200を制御してスリットランプ顕微鏡1に電源を投入する。光源51にも電力が供給される。
(S3:電圧値/電流値を検出する)
検出部151は、光源51に印加されている電圧値および/または電流値を検出する。その検出結果は、光源種別特定部111に送られる。
(S4:光源の種別を特定する)
光源種別特定部111は、検出部151から入力された検出信号と、操作部130の現在の状態と、関係情報141とに基づいて、光源51の種別を特定する。
(S5:対応する関係情報を特定する)
演算制御部110は、光源種別特定部111により特定された光源種別に対応する関係情報を、関係情報141のうちから特定する。
(S6:関係情報を用いて光源の制御を行う)
演算制御部110は、照明強度操作部18を用いた操作を受けて、ステップ5で特定された関係情報を参照しつつ光源51の制御を行う。
[作用・効果]
実施形態に係るスリットランプ顕微鏡1の作用および効果について説明する。
スリットランプ顕微鏡1は、照明系8と、観察系6と、操作部130と、記憶部140と、演算制御部110とを有する。照明系8は、光源51から出力された光に基づくスリット光を被検眼Eに照射する。観察系6は、スリット光の被検眼Eからの戻り光を接眼レンズ37および撮像素子43に導く。操作部130は、光源51から出力される光の強度を変更するための照明強度操作部18を含む。記憶部140には関係情報141があらかじめ記憶されている。関係情報141は、操作部130(照明強度操作部18)による操作内容と、電源ユニット200から光源51に供給される電力との関係を示す。演算制御部110は、制御部の一例として機能し、操作部130(照明強度操作部18)による操作内容と関係情報141とに基づいて、電源ユニット200から光源51に供給される電力を制御する。
このようなスリットランプ顕微鏡1によれば、光源51に関する操作内容と供給電力との関係を示す関係情報141を参照して光源51の制御を行うことができるので、種別が異なる光源に対する電力供給を単一の電源ユニットで行うことが可能である。
実施形態において、光源51に供給される電力と光源51から出力される光の強度との間の関係を示す光源特性に基づいて、関係情報141を作成することができる。
それにより、適用される光源51の固有の特性に応じた制御が可能である。なお、従来の技術では、個々の光源の特性にかかわらず、上記したデフォルトの制御状態で光源の制御を行なっていたので、この実施形態のような個々の光源特性に応じた制御を行うことはできない。
実施形態において、光源51の種別を特定する特定部を設けることができる。その場合、記憶部140の関係情報141には、光源51の1以上の種別に対応する1以上の関係情報が含まれていてよい。さらに、演算制御部110は、特定部により特定された種別に対応する関係情報と、操作部130による操作内容とに基づいて、光源51に供給される電力の制御を行うことができる。
このような構成によれば、スリットランプ顕微鏡1に適用されている光源51の種別を自動で特定し、特定された光源種別に応じた電力供給制御を行うことができるので、操作性や利便性において有利である。
特定部を含む実施形態において、光源特性が異なる複数の光源を選択的に照明系8に装着するための装着部51Aを設けることができる。その場合、特定部は、装着部51Aに装着された光源の種別を特定することができる。
このような構成によれば、複数の光源ユニットを選択的に装着する構成のスリットランプ顕微鏡1において、光源種別の自動特定と、光源種別に応じた電力供給制御とを実現することが可能となる。
特定部は、電源ユニット200から電力の供給を受けている光源51に印加されている電圧値および/または電流値を検出可能な第1検出部(検出部151)を含んでいてよい。その場合、特定部は、第1検出部(検出部151)による検出結果と、操作部130(照明強度操作部18)の状態と、関係情報141に含まれる1以上の関係情報とに基づいて、光源51の種別の特定を行うことができる。
実施形態において、操作部130(照明強度操作部18)による操作量と、光源51から出力される光の強度とが実質的に線形関係になるように、関係情報141を作成することができる。換言すると、関係情報における操作内容および供給電力の関係と、光源51の光源特性における供給電力および出力光の強度の関係とを組み合わせたときに、操作内容と出力光の強度とが実質的に線形関係を有するように、関係情報141を作成することができる。
操作内容と出力光の強度とが実質的に線形関係を有するようにすれば、操作部130による操作内容(照明強度操作部18の回転量)に対して実質的に比例するように。出力光の強度が変化する。よって、直感的に自然な照明光の強度の調整が可能となる。なお、上記実施形態におけるデフォルトの制御状態は、これに相当する。関係情報141を本例のように作成することにより、任意の光源種別が適用されている場合において、デフォルトの制御状態と同様の直感的に自然な操作が可能となる。
[特定部の変形例]
特定部の変形例を説明する。変形例の構成を図7に示す。この変形例では、図3に示す検出部151の代わりに光検出部152が設けられている。
光検出部152は第2検出部として機能し、光源51から出力された光の強度を反映する値(光強度値と呼ぶ)を取得する。光強度値は、光源51から出力された光の強度の変化に応じて変動する値を示す。光強度値の例として、光源51から出力された光の強度、光源51から出力されて1以上の光学素子を経由した光の強度、被検眼Eからの戻り光の強度、被検眼Eから出射して1以上の光学素子を経由した光の強度などがある。
光検出部152は、操作部130(照明強度操作部18)による操作に対応する光源51からの出力光の強度変化を取得するための検出を行う。たとえば、光検出部152は、操作に応じた光源51の制御が行われる前と、当該制御が行われた後とにそれぞれ検出を行うことができる。また、光検出部152は、操作に応じた光源51の制御が行われているときに、2回以上検出を行うことができる。
なお、光検出部152が実行する検出のタイミングを演算制御部110が制御するように構成することができる。また、所定の時間間隔で検出を繰り返す光検出部152を適用し、且つ、光源種別特定部111が、所定の時間間隔で取得される検出結果のうちから必要なタイミングに相当する検出結果を選択するようにしてもよい。
光源種別特定部111は、操作部130(照明強度操作部18)による操作が行われたときに光検出部152により取得された2以上の光強度値と、当該操作の操作内容と、関係情報141とに基づいて、光源51の種別の特定を行うことができる。
この処理の例を説明する。まず、光源種別特定部111は、光強度値と、操作部130の操作内容(照明強度操作部18の回転位置)とのペアからなる2次元座標を求める。次に、光源種別特定部111は、この2次元座標が、当該操作によってどれだけ変化したかを求める。続いて、光源種別特定部111は、この変化量(たとえば2次元座標系における傾き)と最も合致する傾きを有するグラフ(関係情報)を特定する。そして、光源種別特定部111は、特定された関係情報に対応する光源種別を、光源51の種別として採用する。なお、光強度値の検出において、光源51から出力される光の強度以外の条件は常に同じであるとし、光源51から出力される光の強度と、光強度値との関係は既知であるとする。
〈第2の実施形態〉
第1の実施形態では、光源特性が異なる複数の光源(光源ユニット)を選択的に装着する場合が説明されている。これに対し、第2の実施形態では、複数の光源があらかじめ設けられている照明系を有するスリットランプ顕微鏡について説明する。なお、照明系に設けられる光源の個数は任意であるが、以下の例では2つの光源が設けられている場合を説明する。第1の実施形態と同様の構成要素については同じ符号で参照する。
[構成]
第2の実施形態に係るスリットランプ顕微鏡の構成例を図8に示す。このスリットランプ顕微鏡には、光源特性(光源種別)が異なる2つの光源51aおよび51bが設けられている。第1光源51aはたとえばLEDであり、第2光源51bはたとえばハロゲンランプである。
照明系8は、第1光源51aおよび第2光源51bから出力された光をそれぞれ被検眼Eに導く2つの光路を形成している。2つの光路のうち第1の光路は、第1光源51aから被検眼Eに至る光路であり、第2の光路は、第2光源51bから被検眼Eに至る光路である。第1の光路と第2の光路とはビームスプリッタにて合流され、共通の光学系を介して被検眼Eに至る。このビームスプリッタは、たとえば、リレーレンズ52の前段に配置される。また、照明絞り53の前段にビームスプリッタを配置し、且つ、光源51aおよび51bのそれぞれとビームスプリッタとの間にリレーレンズを設けることができる。なお、複数の光源に対応する複数の光路の構成はこれらに限定されるものではない。
電源ユニット200は、第1光源51aおよび第2光源51bのそれぞれに電力を供給することが可能である。演算制御部110は、電源ユニット200を制御することにより、第1光源51aおよび第2光源51bに対して択一的に電力を供給させる。
スリットランプ顕微鏡は、第1光源51aおよび第2光源51bのうち電源ユニット200から電力の供給を受けている光源の種別を特定する機能を有する。この機能(特定部)は、たとえば検出部151と光源種別特定部111により実現される。検出部151は、第1の実施形態と同様に、電源ユニット200から電力の供給を受けている光源に印加されている電圧値および/または電流値を検出することができる。検出部151は、第1検出部の例である。光源種別特定部111は、第1の実施形態と同様に、検出部151による検出結果と、操作部130(照明強度操作部18)の状態と、関係情報141とに基づいて、第1光源51aおよび第2光源51bのうち電源ユニット200から電力の供給を受けている光源の種別を特定する。
なお、第1の実施形態において変形例として説明したように、次の構成を適用することが可能である。まず、光強度値を取得する光検出部152(第2検出部)を設ける。さらに、光源種別特定部111は、操作部130(照明強度操作部18)による操作が行われたときに光検出部152により取得された2以上の光強度値と、当該操作の操作内容と、関係情報141とに基づいて、第1光源51aおよび第2光源51bのうち電源ユニット200から電力の供給を受けている光源の種別を特定する。
第2の実施形態における関係情報141は、第1の実施形態と同様であってよい。たとえば、関係情報における操作内容および供給電力の関係と、光源特性における供給電力および出力光の強度の関係とを組み合わせたときに、操作内容と出力光の強度とが実質的に線形関係を有するように、関係情報141を作成することができる。この場合において、デフォルトの制御状態が第1の実施形態と同様に線形関係に基づく場合、LEDについては特に関係情報を設ける必要はなく、ハロゲンランプについては図5Bに示す関係情報が用いられる。
[動作]
第2の実施形態に係るスリットランプ顕微鏡の動作について説明する。このスリットランプ顕微鏡の動作例を図9に示す。
(S11:光源を指定する)
ユーザまたは演算制御部110は、使用される光源を指定する。ユーザによる指定は、操作部130を用いて行われる。演算制御部110による指定は、たとえば、あらかじめ指定された動作モードに応じて行われる。
(S12:指定された光源に電力を供給する)
演算制御部110は、ステップ1で指定された光源(第1光源51aまたは第2光源51b)に電力を供給するように電源ユニット200を制御する。
(S13:電圧値/電流値を検出する)
検出部151は、ステップ12で電力供給が開始された光源に印加されている電圧値および/または電流値を検出する。その検出結果は、光源種別特定部111に送られる。
(S14:光源の種別を特定する)
光源種別特定部111は、検出部151から入力された検出信号と、操作部130の現在の状態と、関係情報141とに基づいて、ステップ11で指定された光源の種別を特定する。
(S15:対応する関係情報を特定する)
演算制御部110は、光源種別特定部111により特定された光源種別に対応する関係情報を、関係情報141のうちから特定する。
(S16:関係情報を用いて光源の制御を行う)
演算制御部110は、照明強度操作部18を用いた操作を受けて、ステップ15で特定された関係情報を参照しつつ、ステップ11で指定された光源の制御を行う。
[作用・効果]
第2の実施形態に係るスリットランプ顕微鏡の作用および効果について説明する。
スリットランプ顕微鏡は、第1の実施形態と同様に、照明系8と、観察系6と、操作部130と、記憶部140と、演算制御部110とを有するので、光源に関する操作内容と供給電力との関係を示す関係情報141を参照して光源の制御を行うことができ、種別が異なる光源に対する電力供給を単一の電源ユニットで行うことが可能である。
第2の実施形態において、第1の実施形態と同様に、光源に供給される電力と光源から出力される光の強度との間の関係を示す光源特性に基づいて、関係情報141を作成することができる。それにより、適用される光源の固有の特性に応じた制御が可能である。
第2の実施形態において、第1の実施形態と同様に、光源の種別を特定する特定部を設けることができる。その場合、記憶部140の関係情報141には、光源の1以上の種別に対応する1以上の関係情報が含まれていてよい。さらに、演算制御部110は、特定部により特定された種別に対応する関係情報と、操作部130による操作内容とに基づいて、光源に供給される電力の制御を行うことができる。このような構成によれば、スリットランプ顕微鏡に適用されている光源の種別を自動で特定し、特定された光源種別に応じた電力供給制御を行うことができるので、操作性や利便性において有利である。
特定部を含む実施形態において、光源特性が異なる複数の光源(第1光源51aおよび第2光源51b)から出力された光をそれぞれ被検眼Eに導く複数の光路を形成する照明系8を適用することができる。その場合、特定部は、複数の光源(第1光源51aおよび第2光源51b)のうち電源ユニット200から電力の供給を受けている光源の種別を特定することができる。
このような構成によれば、複数の光源が設けられた照明系8を有するスリットランプ顕微鏡において、光源種別の自動特定と、光源種別に応じた電力供給制御とを実現することが可能となる。
特定部は、電源ユニット200から電力の供給を受けている光源に印加されている電圧値および/または電流値を検出可能な第1検出部(検出部151)を含んでいてよい。その場合、特定部は、第1検出部(検出部151)による検出結果と、操作部130(照明強度操作部18)の状態と、関係情報141に含まれる1以上の関係情報とに基づいて、光源の種別の特定を行うことができる。
特定部は、光源から出力された光の強度を反映する値を取得する第2検出部(光検出部152)を含んでいてよい。その場合、特定部は、操作部130による操作が行われたときに第2検出部により取得された2以上の値と、当該操作の操作内容と、関係情報141とに基づいて、光源の種別の特定を行うことができる。
第2の実施形態において、関係情報における操作内容および供給電力の関係と、光源51の光源特性における供給電力および出力光の強度の関係とを組み合わせたときに、操作内容と出力光の強度とが実質的に線形関係を有するように、関係情報141を作成することができる。それにより、直感的に自然な照明光の強度の調整が可能となる。
〈第3の実施形態〉
第2の実施形態では、ユーザまたはスリットランプ顕微鏡が指定した光源の動作状態(端子電圧、端子電流、出力光の強度など)を検出することにより光源種別を特定している。これに対し、第3の実施形態では、光源種別をユーザが指定する場合について説明する。第1の実施形態または第2の実施形態と同様の構成要素については同じ符号で参照する。
第3の実施形態に係るスリットランプ顕微鏡の構成例を図10に示す。記憶部140に記憶されている関係情報141には、第1の実施形態で説明したケースと同様に、光源51の1以上の種別に対応する1以上の関係情報が含まれている。
操作部130は、光源51の種別を指定するために用いられる。この指定操作は、たとえば、演算制御部110が表示部120に表示させるGUIと、操作部130とを用いて行われる。
演算制御部110は、操作部130を用いて指定された光源種別に対応する関係情報と、操作部130(照明強度操作部18)による操作内容とに基づいて、光源51に対する供給電力を制御する。
このような実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、光源に関する操作内容と供給電力との関係を示す関係情報141を参照して光源の制御を行うことができるので、種別が異なる光源に対する電力供給を単一の電源ユニットで行うことが可能である。
第3の実施形態において、第1の実施形態と同様に、光源に供給される電力と光源から出力される光の強度との間の関係を示す光源特性に基づいて、関係情報141を作成することができる。それにより、適用される光源の固有の特性に応じた制御が可能である。
また、第3の実施形態によれば、ユーザが指定した光源種別に対応する関係情報を用いて光源51の制御を行うことができる。したがって、比較的簡易な構成で、種別に応じた光源51の制御を実現することが可能である。
第3の実施形態において、関係情報における操作内容および供給電力の関係と、光源51の光源特性における供給電力および出力光の強度の関係とを組み合わせたときに、操作内容と出力光の強度とが実質的に線形関係を有するように、関係情報141を作成することができる。それにより、直感的に自然な照明光の強度の調整が可能となる。
〈第4の実施形態〉
第4の実施形態では、所定の属性情報に基づいて関係情報を選択的に使用する場合について説明する。第1の実施形態〜第3の実施形態のいずれかと同様の構成要素については同じ符号で参照する。
[構成]
第4の実施形態に係るスリットランプ顕微鏡は、たとえば第3の実施形態と同様の構成を有する(図10を参照)。また、第4の実施形態に係る関係情報141の例を図11に示す。第1の実施形態と同様に、関係情報141には、1以上の光源種別に対応する関係情報141a〜141cが含まれている。さらに、第4の実施形態においては、関係情報141a〜141cに対して、それぞれ属性情報142a〜142cが関連付けられている。
属性情報142a〜142cは、あらかじめ設定された1つ以上の属性項目に関する。属性項目は、たとえば、ユーザの識別情報、被検者の識別情報、被検眼の識別情報、検査種別および傷病名のうち少なくとも1つを含む。ユーザの識別情報は、スリットランプ顕微鏡を使用する医師の識別情報であり、たとえば医療機関にて割り当てられた医師ID、氏名などである。被検者の識別情報は、患者の識別情報であり、たとえば医療機関にて割り当てられた患者ID、氏名、保険証番号などである。被検眼の識別情報は、たとえば、被検眼が左眼であるか右眼であるかを示す情報である。検査種別は、スリットランプ顕微鏡を用いて実施される検査の種別であり、たとえば前眼部観察、前眼部撮影、眼底観察、眼底撮影などがある。傷病名は、たとえば、既に診断がなされた傷病の名称、疑いのある傷病の名称、スクリーニング対象となる傷病の名称である。属性情報142a〜142cには、上記のような属性項目の少なくとも1つに関する情報が含まれている。
関係情報141a〜141cと属性情報142a〜142cとの関連付けの例を説明する。関係情報141aはLEDに対応し、関係情報141bはハロゲンランプに対応しているとする。その場合、関係情報141aに関連付けられた属性情報142aには、たとえば、属性項目「検査種別」として、眼の混濁を観察するための「前眼部観察」が含まれる。また、関係情報141bに関連付けられた属性情報142bには、たとえば、属性項目「検査種別」として、演色性が重視される「眼底観察」が含まれる。
演算制御部110は、属性情報の入力を受ける。属性情報の入力は、たとえばユーザが操作部130を用いることにより行われる。また、あらかじめ設定された動作モードに基づき自動で属性情報を入力することができる。また、スリットランプ顕微鏡に通信インターフェイスが設けられている場合、演算制御部110は、他の装置から属性情報を取得することができる。また、スリットランプ顕微鏡にドライブ装置が設けられている場合、演算制御部110は、記録媒体に記録されている属性情報を読み出すことができる。
[動作]
第4の実施形態に係るスリットランプ顕微鏡の動作について説明する。このスリットランプ顕微鏡の動作例を図12に示す。なお、このスリットランプ顕微鏡は、第2の実施形態と同様に、複数の光源を有しているとする(たとえばLEDとハロゲンランプとを有する)。
(S21:属性情報が入力される)
演算制御部110は、属性情報の入力を受ける。
(S22:関係情報を特定する)
演算制御部110は、ステップ21で入力された属性情報に関連付けられた関係情報を、関係情報141に含まれる1以上の関係情報のうちから特定する。特定された関係情報が2つ以上ある場合、演算制御部110は、これら関係情報(光源種別)を選択可能に表示部120に提示し、ユーザが選択したものを採用する。また、他の属性情報を参照して関係情報の候補をさらに絞ることもできる。
(S23:対応する光源に電力を供給する)
演算制御部110は、ステップ22で特定された関係情報に対応する光源に電力を供給するように電源ユニット200を制御する。
(S24:関係情報を用いて光源の制御を行う)
演算制御部110は、照明強度操作部18を用いた操作を受けて、ステップ22で特定された関係情報を参照しつつ光源の制御を行う。
[作用・効果]
第4の実施形態に係るスリットランプ顕微鏡の作用および効果について説明する。
第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、光源に関する操作内容と供給電力との関係を示す関係情報141を参照して光源の制御を行うことができるので、種別が異なる光源に対する電力供給を単一の電源ユニットで行うことが可能である。
第4の実施形態において、第1の実施形態と同様に、光源に供給される電力と光源から出力される光の強度との間の関係を示す光源特性に基づいて、関係情報141を作成することができる。それにより、適用される光源の固有の特性に応じた制御が可能である。
第4の実施形態の記憶部140には、光源51の1以上の種別に対応する1以上の関係情報と、これら関係情報に関連付けられた属性情報とがあらかじめ記憶されている。演算制御部110は、属性情報の入力を受けて、この属性情報が関連付けられた関係情報と、操作部130(照明強度操作部18)による操作内容とに基づいて、光源51に対する供給電力を制御する。なお、属性情報は、ユーザの識別情報、被検者の識別情報、被検眼の識別情報、検査種別および傷病名のうち少なくとも1つを含んでいてよい。
このような構成によれば、入力される属性情報に応じて関係情報を自動で選択し、それを用いて光源51の制御を行うことが可能である。よって、操作性や利便性において優れている。
第4の実施形態において、関係情報における操作内容および供給電力の関係と、光源51の光源特性における供給電力および出力光の強度の関係とを組み合わせたときに、操作内容と出力光の強度とが実質的に線形関係を有するように、関係情報141を作成することができる。それにより、直感的に自然な照明光の強度の調整が可能となる。
〈第5の実施形態〉
光源特性は、スリットランプ顕微鏡が設置されている環境条件に応じて変動する。たとえば、光源特性は、温度などの環境条件に応じて変動する。また、スリットランプ顕微鏡が設置されている環境の明るさに応じて、必要とされる照明光の強度が変わることがある。たとえば、明るい環境においては比較的明るい照明光が必要であり、暗い環境においては比較的暗い照明光で十分なことがある。第5の実施形態では、このような環境条件に応じて関係情報を補正する機能について説明する。第5の実施形態は、第1〜第4の実施形態およびその変形例に適用することができる。
[構成例1]
第5の実施形態に係るスリットランプ顕微鏡の構成例を図13に示す。この構成例は、第1の実施形態に関係情報変更部112および環境条件入力部160を付加したものである。なお、その他の実施形態や変形例に、関係情報変更部112および環境条件入力部160を付加した構成を適用することも可能である。
環境条件入力部160は、スリットランプ顕微鏡の設置環境における環境条件を示す情報を演算制御部110に入力する。環境条件の項目は、たとえば、温度および明るさ(照度)のうち少なくとも1つを含む。環境条件が温度を含む場合、環境条件入力部160は、たとえば温度センサを含んで構成される。また、環境条件が照度を含む場合、環境条件入力部160は、たとえば照度センサを含んで構成される。このようなセンサが含まれる場合、環境条件入力部160は、センサにより取得された検出結果を示す電気信号を関係情報変更部112に入力する。
環境条件入力部160の他の例として、環境条件を示す情報を他の装置から取得することができる。この他の装置は、たとえばコンピュータや医療装置である。その場合、環境条件入力部160は、他の装置との間で情報通信を行うための通信インターフェイスを含む。
関係情報変更部112は、関係情報141における操作内容と供給電力との関係を変更するものであり、変更部の一例として機能する。本例においては、関係情報変更部112は、環境条件入力部160から入力される電気信号を受け、この電気信号が示す環境条件の情報に基づいて操作内容と供給電力との関係を変更する。
この処理を行うために、スリットランプ顕微鏡には、環境条件と、関係情報141の変更内容とを対応付けた情報(関係変更情報)があらかじめ記憶されている。関係変更情報は、たとえば、記憶部140、演算制御部110または関係情報変更部112に記憶されている。
関係変更情報は、たとえば、環境条件の変化に対する光源特性の変化を実際に測定することによって作成される。また、環境条件の変化に対する光源特性の変化をシミュレーションすることによって関係変更情報を作成してもよい。また、光源の製造者が提供する情報に基づいて関係変更情報を作成してもよい。このような作成方法は、環境条件が温度である場合などに用いられる。
一方、環境条件が照度である場合には、ユーザの好みに応じて関係変更情報を作成したり、修正したりすることができる。また、多数の医師の意見や、熟練した医師の意見を考慮して関係変更情報を作成することもできる。
構成例1に係るスリットランプ顕微鏡の動作について説明する。このスリットランプ顕微鏡の動作例を図14に示す。
(S31:光源ユニットを装着する)
装着部51Aに光源ユニットが装着される。
(S32:電源を投入する)
所定のトリガ動作がなされると、演算制御部110は、電源ユニット200を制御してスリットランプ顕微鏡1に電源を投入する。光源51にも電力が供給される。
(S33:電圧値/電流値を検出する)
検出部151は、光源51に印加されている電圧値および/または電流値を検出する。その検出結果は、光源種別特定部111に送られる。
(S34:光源の種別を特定する)
光源種別特定部111は、検出部151から入力された検出信号と、操作部130の現在の状態と、関係情報141とに基づいて、光源51の種別を特定する。
(S35:対応する関係情報を特定する)
演算制御部110は、光源種別特定部111により特定された光源種別に対応する関係情報を、関係情報141のうちから特定する。
(S36:環境条件が入力される)
環境条件入力部160は、環境条件を示す情報を関係情報変更部112に入力する。なお、環境条件を示す情報の入力は、このステップまでの任意のタイミングで行われる。
(S37:関係情報を補正する)
関係情報変更部112は、ステップ36で入力された環境条件を示す情報に基づいて、ステップ35で特定された関係情報を補正する。補正とは、関係情報における操作内容と供給電力との関係を変更することである。
(S38:関係情報を用いて光源の制御を行う)
演算制御部110は、照明強度操作部18を用いた操作を受けて、ステップ37で補正された関係情報を参照しつつ光源51の制御を行う。
構成例1に係るスリットランプ顕微鏡の作用および効果を説明する。
構成例1に係るスリットランプ顕微鏡は、第1〜第4の実施形態のいずれかまたはその変形例と同様の作用および効果を奏する。
また、構成例1に係るスリットランプ顕微鏡において、演算制御部110は、関係情報変更部112(変更部)を有する。関係情報変更部112は、関係情報141における、操作部130(照明強度操作部18)による操作内容と、光源51への供給電力との関係を変更する。さらに、演算制御部110は、関係情報変更部112により変更された関係情報と、操作部130(照明強度操作部18)による操作内容とに基づいて、光源51に対する供給電力を制御する。
関係情報変更部112は、スリットランプ顕微鏡の設置環境における環境条件を示す情報の入力を受けて、この情報に基づいて関係情報を補正することができる。
このような構成によれば、環境条件に応じた光源特性の変動に合わせて関係情報を補正し、補正された関係情報を用いて光源51の制御を行うことができる。したがって、光源51の制御をより高い確度で行うことが可能である。
[構成例2]
第5の実施形態に係るスリットランプ顕微鏡の他の構成例を図15に示す。この構成例は、第1の実施形態に関係情報変更部112を付加したものである。なお、その他の実施形態や変形例に、関係情報変更部112を付加した構成を適用することも可能である。
この構成例に係るスリットランプ顕微鏡は、光源51に対する電力の供給状態に応じて関係情報を補正する。
検出部151は、電源ユニット200から電力の供給を受けている光源51に印加されている電圧値および/または電流値を検出可能である。検出部151は、第3検出部の一例として機能する。検出部151は、光源種別特定部111と関係情報変更部112に検出信号を送ることができる。検出部151の構成は第1の実施形態と同様であってよい。
操作部130(照明強度操作部18)による操作が行われると、演算制御部110は、現在適用されている関係情報に基づいて、電源ユニット200から光源51に供給される電力を調整する。よって、操作部130(照明強度操作部18)による操作が行われると、検出部151による検出結果が変化する。関係情報変更部112は、操作部130による操作に伴う検出結果(端子電圧、端子電流など)の変化に基づいて、関係情報における操作内容と供給電力との関係を変更する。
関係情報を変更する処理の例を説明する。前述したように、関係情報は、操作部130による操作内容と、電源ユニット200から光源51に供給される電力との関係を示す。しかし、環境条件や装置の状態(経年劣化など)により、操作内容が同一であっても供給電力が変動することがある。関係情報変更部112は、この変動をキャンセルするように関係情報を補正する。
そのために、関係情報変更部112は、検出部151による検出結果、つまり端子電圧や端子電流などの供給電力を示す値(実測値)を受け付ける。次に、関係情報変更部112は、この実測値と、関係情報において現在の操作内容に対応する供給電力を示す値(目標値)との差分を算出する。続いて、関係情報変更部112は、この差分をキャンセルするように関係情報を補正する。すなわち、関係情報変更部112は、現在の操作内容に対応する検出部151による検出結果が目標値となるように関係情報を補正する。このときの補正量は、あらかじめ取得されたシミュレーション結果や実測結果に基づいて算出される。或いは、検出と補正とを繰り返すことにより、実測値を目標値に追い込むように構成することも可能である。
構成例2に係るスリットランプ顕微鏡の動作について説明する。このスリットランプ顕微鏡の動作例を図16に示す。
(S41:光源ユニットを装着する)
装着部51Aに光源ユニットが装着される。
(S42:電源を投入する)
所定のトリガ動作がなされると、演算制御部110は、電源ユニット200を制御してスリットランプ顕微鏡1に電源を投入する。光源51にも電力が供給される。
(S43:電圧値/電流値を検出する)
検出部151は、光源51に印加されている電圧値および/または電流値を検出する。その検出結果は、光源種別特定部111に送られる。
(S44:光源の種別を特定する)
光源種別特定部111は、検出部151から入力された検出信号と、操作部130の現在の状態と、関係情報141とに基づいて、光源51の種別を特定する。
(S45:対応する関係情報を特定する)
演算制御部110は、光源種別特定部111により特定された光源種別に対応する関係情報を、関係情報141のうちから特定する。
(S46:電圧値/電流値を検出する)
検出部151は、光源51に印加されている電圧値および/または電流値を検出する。その検出結果は、関係情報変更部112に送られる。なお、現段階までの間に照明強度操作部18による操作が行われなかった場合には、ステップ43で得られた検出結果を関係情報変更部112に送るようにしてもよい。
(S47:関係情報を補正する)
関係情報変更部112は、ステップ46で取得された検出結果と関係情報141とに基づいて、ステップ45で特定された関係情報を補正する。
(S48:関係情報を用いて光源の制御を行う)
演算制御部110は、照明強度操作部18を用いた操作を受けて、ステップ47で補正された関係情報を参照しつつ光源51の制御を行う。
構成例2に係るスリットランプ顕微鏡の作用および効果を説明する。
構成例2に係るスリットランプ顕微鏡は、第1〜第4の実施形態のいずれかまたはその変形例と同様の作用および効果を奏する。
また、構成例2に係るスリットランプ顕微鏡において、演算制御部110は、関係情報変更部112(変更部)を有する。関係情報変更部112は、関係情報141における、操作部130(照明強度操作部18)による操作内容と、光源51への供給電力との関係を変更する。さらに、演算制御部110は、関係情報変更部112により変更された関係情報と、操作部130(照明強度操作部18)による操作内容とに基づいて、光源51に対する供給電力を制御する。
この構成例の関係情報変更部112は、検出部151(第3検出部)を含む。検出部151は、電源ユニット200から電力の供給を受けている光源51に印加されている電圧値および/または電流値を検出可能である。さらに、関係情報変更部112は、操作部130(照明強度操作部18)による操作に伴う検出部151により取得される検出結果の変化に基づいて関係情報を補正する。
このような構成によれば、光源51に実際に供給されている電力の状態を監視しつつ関係情報を補正し、補正された関係情報を用いて光源51の制御を行うことができる。したがって、光源51の制御をより高い確度で行うことが可能である。
[構成例3]
第5の実施形態に係るスリットランプ顕微鏡の他の構成例を説明する。この構成例に係るスリットランプ顕微鏡は、所定の属性情報に基づいて関係情報141を補正する。属性情報は、第4の実施形態と同様の情報である。
この構成例は、図17に示すような関係情報141が用いられる。この構成例の関係情報141は、第4の実施形態の関係情報141(図11を参照)に関係変更情報143a〜143cを付加したものである。関係変更情報143a〜143cは、それぞれ属性情報142a〜142cに関連付けられている。なお、第4の実施形態以外の実施形態や変形例に、図17のような関係情報141を付加した構成を適用することも可能である。
関係変更情報143a〜143cは、対応する関係情報141a〜141cを補正するために用いられる。関係変更情報143a〜143cには、対応する関係情報141a〜143cの変更内容が含まれている。この変更内容は、属性情報の内容に基づいて任意に設定される。なお、属性情報142a〜142cは、たとえば、ユーザの識別情報、被検者の識別情報、被検眼の識別情報、検査種別および傷病名のうち少なくとも1つを含む。関係情報変更部112は、関係変更情報143a(143b〜143c)に基づいて関係情報141a(141b〜141c)を補正する。
構成例3に係るスリットランプ顕微鏡の動作について説明する。このスリットランプ顕微鏡の動作例を図18に示す。
(S51:光源ユニットを装着する)
装着部51Aに光源ユニットが装着される。
(S52:電源を投入する)
所定のトリガ動作がなされると、演算制御部110は、電源ユニット200を制御してスリットランプ顕微鏡1に電源を投入する。光源51にも電力が供給される。
(S53:電圧値/電流値を検出する)
検出部151は、光源51に印加されている電圧値および/または電流値を検出する。その検出結果は、光源種別特定部111に送られる。
(S54:光源の種別を特定する)
光源種別特定部111は、検出部151から入力された検出信号と、操作部130の現在の状態と、関係情報141とに基づいて、光源51の種別を特定する。
(S55:対応する関係情報を特定する)
演算制御部110は、光源種別特定部111により特定された光源種別に対応する関係情報を、関係情報141のうちから特定する。
(S56:属性情報が入力される)
演算制御部110は、属性情報の入力を受ける。
(S57:補正内容を特定する)
演算制御部110は、ステップ56で入力された属性情報に関連付けられた関係変更情報に基づいて、関係情報の補正内容を特定する。補正内容とは、関係情報における操作内応と供給電力との関係の変更内容である。
(S58:関係情報を補正する)
関係情報変更部112は、ステップ57で特定された補正内容に基づいて、ステップ55で特定された関係情報を補正する。
(S59:関係情報を用いて光源の制御を行う)
演算制御部110は、照明強度操作部18を用いた操作を受けて、ステップ58で補正された関係情報を参照しつつ光源51の制御を行う。
構成例3に係るスリットランプ顕微鏡の作用および効果を説明する。
構成例3に係るスリットランプ顕微鏡は、第1〜第4の実施形態のいずれかまたはその変形例と同様の作用および効果を奏する。
また、構成例3に係るスリットランプ顕微鏡において、記憶部140には、関係情報の変更内容が属性情報に関連付けられてあらかじめ記憶されている。関係情報変更部112(変更部)は、属性情報の入力を受けて、この属性情報が関連付けられた変更内容に基づいて関係情報を補正する。
このような構成によれば、入力された属性情報に応じて関係情報を補正し、補正された関係情報を用いて光源51の制御を行うことができる。したがって、光源51の制御をより高い確度で行うことが可能である。
〈第6の実施形態〉
第6の実施形態では、光源種別を示す情報を外部装置に送信する場合について説明する。外部装置は、当該スリットランプ顕微鏡以外の装置である。外部装置の例として、コンピュータや医療装置がある。
第6の実施形態に係るスリットランプ顕微鏡の構成例を図19に示す。この構成例は、第1の実施形態に係るスリットランプ顕微鏡に通信部170を付加したものである。通信部170は、演算制御部110の制御の下に外部装置300との間で情報通信を行う。通信部170は、通信インターフェイスを含む。スリットランプ顕微鏡と外部装置300との間の通信回線は、たとえばLAN、WAN、直接接続線である。また、この通信回線は有線でも無線でもよい。演算制御部110は、光源種別を示す情報を外部装置300に送信させるように通信部170を制御する。光源種別を特定する方法は、第1〜第5の実施形態およびその変形例のいずれかにおいて説明した方法であってよい。
外部装置300は、表示装置を含むコンピュータであってよい。その場合、演算制御部110は、通信部170を制御することにより、光源51の種別を示す情報を表示装置に表示させるための制御情報と、光源51の種別を示す情報とを、コンピュータに送信させる。通信部170から送信された情報を受信したコンピュータは、制御情報に含まれるコマンドに基づいて、光源51の種別を示す情報を表示装置に表示させる。この処理において、光源51を用いて取得された画像データや、被検者・被検眼・医師に関する付帯情報も送信するようにしてよい。さらに、コンピュータは、光源種別を示す情報に加えて、画像や付帯情報を表示装置に表示させることができる。
外部装置300は、記憶装置を含むコンピュータであってよい。このコンピュータは、たとえば、電子カルテを管理するサーバ、画像データを管理するサーバである。その場合、演算制御部110は、通信部170を制御することにより、光源51の種別を示す情報を記憶装置に記憶させるための制御情報と、光源51の種別を示す情報とを、コンピュータに送信させる。通信部170から送信された情報を受信したコンピュータは、制御情報に含まれるコマンドに基づいて、光源51の種別を示す情報を記憶装置に記憶させる。
外部装置300が記憶装置を含むコンピュータである場合において、次の構成をさらに付加することが可能である。その場合、観察系6は、撮像素子43を含むものとする(接眼レンズ37は含まれなくてもよい)。演算制御部110は、次の情報群をコンピュータに送信させるように通信部170を制御することができる:(1)光源51の種別を示す情報;(2)撮像素子43による戻り光の検出結果に基づく画像データ;(3)この画像データと光源51の種別を示す情報とを関連付けて記憶させるための制御情報。これら情報を受信したコンピュータは、制御情報に含まれるコマンドに基づいて、光源51の種別を示す情報と画像データとを関連付けて、記憶装置に記憶させる。また、この処理において、被検者・被検眼・医師に関する付帯情報を送信し、この付帯情報を記憶装置に記憶させることができる。
第6の実施形態によれば、光源51の種別を示す情報を外部装置300に提供することができる。また、この情報に加えて、画像データや付帯情報を外部装置300に提供することも可能となる。
上記において実施形態および変形例として説明した構成は、この発明を実施するための一例に過ぎない。この発明を実施しようとする者は、この発明の要旨の範囲内における任意の変形(付加、省略、置換等)を行うことが可能である。