JP6414876B2 - 実験系支援システム - Google Patents

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Description

本願の発明は、対象物について関連した複数の実験を行う際に使用される実験系支援システム関するものである。
企業や大学、各種団体等の研究機関では、種々の実験や分析(以下、実験という場合にはこれらを総称した意味である)が行われている。これら実験は、対象物について一つの実験機器のみを使う場合もあるが、複数の実験機器を順に使用して何からの結果を得る場合も多い。
例えば、バイオ系の実験では、試料から目的物質を抽出したり分離したりした上で分析することが多く、対象物質を増幅させた後に測定したり、目的物質と特異的に結合する他の材料で標識したりした後に測定が行われることも多い。さらには、酵素反応や免疫反応といった特定の反応を生じさせた後に測定を行われることも多い。最終的に目的物質の同定や定量を行う際には、放射性検出、化学発光検出、蛍光検出、発色検出等の手法が用いられる。この他、対象物質の電気的性質を利用して分離、検出する電気泳動の手法が用いられることも多い。
このように幾つかのステップを踏む実験の手順(プロトコル)では、各ステップにおいて所望の結果が得られているかを確認するための検出や測定が行われることが多い。バイオ系の実験を例にすると、目的とする物質が例えばDNAやDNAの断片であるとき、これを抽出し、PCR法で増幅した後、特定の発光酵素と特異的に反応させて化学発光検出をする。この場合、抽出や増幅が正しく行われているかを確認するため、途中で電気泳動による検出を行う。抽出や増幅が正しく行われていることを電気泳動で確認した後、発光酵素と反応させて化学発光強度を検出し、検量線を適用して目的物質の定量を行う。
上記のように、ある種の科学実験では、実験プロトコルにおいて幾つかの検出や測定が行われることがあり、したがって最終的な結果を得るまでに関連した複数の実験が行われることになる。それぞれの実験は、異なる実験機器を使用して行う場合が多く、研究施設にはそのような各種の実験機器が設置されている。
特開2008−83806号公報
上述したような各種科学実験においては、研究の高度化や分析技術の進歩等を背景として、実験機器の高性能化、大型化が進んでいる。これに伴い、各種実験機器は非常に高価なものが多くなってきており、この傾向は最先端の研究分野で顕著である。高価な実験機器を一つの研究室、研究テーマの専用とすることは難しく、一つの実験機器を複数の研究室、研究テーマで共用することが一般的である。また、一つの研究室や一つの研究テーマにおいても、科学実験に携わる研究者は複数であることが多く、複数の研究者が一つの実験機器を共用することも一般的である。
実験機器を共用した場合の問題の一つは、他の研究室、他の研究テーマ又は他の研究者において機器を使用している場合には終了するまで待たなければならず(順番待ち)、実験が迅速に進まない点である。上記のようにプロトコルの途中の段階で検出や測定を行う複雑な実験系の場合、実験機器が共用であると、順番待ちのために実験が止まってしまうことになり、効率良く迅速にプロトコルを進めていくことができない。
また、大型であったり又は共用であったりする実験機器は、試料の調製等を行う実験室とは別の部屋に置かれていることが多い。この場合、検出や測定のたびに実験室と実験機器のある部屋とを往復することになり、この点も実験を非効率的なものにしている。複数の検出や測定を順次行う複雑な実験系はこの問題は顕著であり、一つの実験系に特化した形に適宜構成できるいわばパーソナルな(ユニバーサルではない)システムが望まれている。
この出願の発明は、各種実験を行う科学技術研究の場における上記のような課題を考慮して為されたものであり、一つの対象物に対して異なる複数の実験を行うような複雑な実験系の場合であっても効率良く迅速に検出や測定を行うことができるようにする実験系支援システムの提供を目的としている。
上記課題を解決するため、本願の請求項1記載の発明は、関連した複数の異なる実験よりなる実験系の実施を支援する実験系支援システムであって、
サーバと、実験用携帯端末と、機器用ソフトウェアと、実験系実施プログラムとを備えており、
実験用携帯端末は、サーバに加え、実験室に設置されている複数の実験機器との間で情報の送受信が可能であって、複数の実験機器は、前記複数の異なる実験を行う際に使用されるものであり、
機器用ソフトウェアは、測定値に対して適用されることで対象物についての定量又は同定を可能にするためのデータである検量線データを少なくとも含むものであって、使用される前記複数の実験機器の各々について設けられており、且つサーバの記憶部に記憶されていて実験用携帯端末にダウンロードされることが可能なものであり、
実験系実施プログラムは、実験用携帯端末にインストールされていて実行可能であるか、又はサーバ上に実装されていて実験用携帯端末からの要求によって実行可能とされているプログラムであり、
実験系実施プログラムは、各実験機器での測定値に対して機器用ソフトウェアに含まれる検量線データを適用して各実験の結果を得るものであって、目的とする実験系に応じて定められた順序で機器用ソフトウェアを選択して使用するプログラムであるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項2記載の発明は、前記請求項1の構成において、前記サーバの記憶部には、前記実験系実施プログラムが実行されたことを示す実験ログファイルが記憶されており、
前記実験系実施プログラムは、プログラムが実行された旨及び各実験において取得されたデータを実験ログファイルに記録するものであり、
前記サーバは、前記実験用携帯端末以外の端末からアクセスがあった際に当該端末に実験ファイルの内容を閲覧させるものであるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項3記載の発明は、前記請求項1又は2の構成において、前記実験系実施プログラムは、前記検量線データの適用結果から当該実験が正しく行われたか否かを評価する評価モジュールを有しているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項4記載の発明は、前記請求項3の構成において、前記実験系実施プログラムは、前記評価モジュールにより当該実験が正しく行われたと評価された場合に限りに実験系の次のステップに進むプログラムであるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項5記載の発明は、前記請求項3又は4の構成において、前記サーバの記憶部には、前記実験系実施プログラムが実行されたことを示す実験ログファイルが記憶されており、
前記実験系実施プログラムは、前記評価モジュールによる当該実験の評価結果を実験ログファイルに記録するものであり、
前記サーバは、前記実験用携帯端末以外の端末からアクセスがあった際に当該端末に実験ファイルの内容を閲覧させるものであるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項6記載の発明は、前記請求項1乃至5いずれかの構成において、前記実験用携帯端末は、各実験機器との間で無線通信を行うことにより情報の送受信を行うものであるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項7記載の発明は、前記請求項1乃至6いずれかの構成において、各実験機器を使用しながら行った実験の結果を記録したラボノートファイルを作成してサーバの記録部に保存するラボノート作成プログラムが設けられており、
ラボノート作成プログラムは、実験系実施プログラムにおいて呼び出されて実行されるサブプログラムであって、実験系実施プログラムで取得されて保持されたデータを組み込んでラボノートファイルを作成するプログラムであるという構成を有する。
以下に説明する通り、本願の請求項1記載の発明によれば、一つの実験系の実施で使用される複数の実験機器の各々について機器用ソフトウェアがサーバから実験用携帯端末にダウンロードされ、実験用携帯端末において実験系実施プログラムが実行可能となっているので、各実験機器及び実験用携帯端末を一つの実験系のシステムとして適宜構成できる。検量線データの適用による測定結果の出力といった情報処理は、実験用携帯端末で行われるので、各実験機器は検出部及び実験用携帯端末との通信部を含む最低限のハードウェアを備えていれば足り、小型で安価な機器とすることができる。小型で安価な機器は、一つの研究室ですべて購入することが容易であって、一つの実験ベンチの上に並べて配置することができる。このため、研究員は、各実験のたびに共用の実験機器が配置された別の部屋まで行く必要がなく、効率良く各実験を行うことができる。
また、請求項2記載の発明によれば、サーバの記憶部には実験ログファイルが設けられており、実験系実施プログラムの実行結果が実験ログファイルに記録され、実験ログファイルの内容は他の端末において閲覧できるので、実験系の進捗状況を実験系実施プログラムの実行状況という形で第三者がモニタすることができるようになる。
また、請求項3記載の発明によれば、上記効果に加え、実験系実施プログラムが評価モジュールを備えているので、実験系の途中の段階で逐次結果をチェックすることができる。このため、ある実験が正しく行われていないのにもかかわらず次の実験を進んでしまい、結果として最終的な実験結果が不適切なものになってしまう(実験を無駄に行ってしまう)ことが無くなる。また、評価モジュールにおける基準を予め正しく定めておくことで、常に一定の正しい基準で評価でき、より適切な実験系の実施結果を得るのに役立つ。
また、請求項4記載の発明によれば、上記効果に加え、実験の結果を評価モジュールが適切であると評価した場合に次のステップに進むので、ある実験が正しく行われていないのにもかかわらず次の実験を進んでしまうことがプログラムにより自動的に防止される。
また、請求項5記載の発明によれば、評価モジュールによる評価結果が実験ログファイルに記録されて他の端末から閲覧が可能なので、実験系が正しく進捗していることを第三者が確認できるようになる。
また、請求項6記載の発明によれば、上記効果に加え、実験用携帯端末は各実験機器との間で無線通信を行うことにより情報の送受信を行うので、実験室内の配線が不要で、この点でも簡便となる。
また、請求項7記載の発明によれば、上記効果に加え、実験系支援プログラムを利用した実験系の実施結果が引き継がれてラボノートファイルが作成される。このため、実験者は、各実験の結果について個別に記録に残す等してラボノートをまとめる必要がなく、極めて簡便である。
第一の実施形態の実験系支援システムの概略図である。 サーバに実装されている各プログラムの関係を示した概略図である。 実験系選択プログラムによって実験用携帯端末上に表示された実験系選択画面の一例の概略図である。 実験ログファイルの構造の一例を示した概略図である。 ある例の実験系実施プログラムの概略構成を示したフローチャートである。 初期実験画面の一例を示した概略図である。 実験系情報DBFの構造の一例を示した概略図である。 実験実施モジュールの概略図を示したフローチャートである。 2番目の実験を実施するための画面が表示された状態を例示的に示した概略図である。 3番目の実験を実施するための画面が表示された状態を例示的に示した概略図である。 終了確認画面の概略図である。 ラボノート作成プログラム74の記録モジュールの概略を示したフローチャートである。 ラボノート作成プログラムの記録モジュールにより実験用携帯端末上に表示されるコメント入力画面の一例を示した概略図である。 ノート管理用DBFの構造の一例を示した概略図である。 メンバ情報DBFの構造の一例を示した図である。 ラボノート選択画面の一例を示した概略図である。 ラボノート閲覧プログラムの概略を示したフローチャートである。 リスト表示モジュールにより表示されるラボノートリスト画面の一例を示した概略図である。 ラボノート表示モジュールに表示されたラボノートの一例の概略図である。 第二の実施形態の実験系支援システムの概略図である。 第二の実施形態のおけるラボノート作成プログラム74の概略を示したフローチャートである。
次に、本願発明を実施するための形態(以下、実施形態)について説明する。
図1は、第一の実施形態の実験系支援システムの概略図である。「実験系」とは、一つの目的とする結果を得るのに複数の異なる実験を行う系という意味である。典型的には、前述したように一連の実験プロトコルの各段階において検出又は測定等を行う場合が該当する。この実施形態では、実験系は、複数の異なる実験機器を使用することを前提としている。
実施形態の実験系支援システムでは、従来と大きく異なり、試料の調製を行う実験室1には、図示を省略した1つの実験ベンチ上に各実験機器11,12,13が設置されている。各実験機器11,12,13は、試料の性質に応じた物理量を検出する検出部とその付属部分のみから成る小型のものとなっている。付属部分とは、検出部に必要な電源を供給する回路や、検出部での測定値を出力する出力回路等である。この実施形態の実験系支援システムは、一例ではあるが、バイオ分野の実験系を支援するものとなっており、従って、実験機器11,12,13は、吸光度計、蛍光光度計、化学発光測定器、比色計等である。多くの実験機器は、光を検出することで間接的に又は直接的に試料の性質を測定するものであり、検出部の主要部は光センサである場合が多いが、実施形態の実験系支援システムは、このような実験機器を使用する場合に限定されるものではない。尚、実験機器11,12,13は、分光光度計のように分光特性を測定する機器である場合もある。
図1に示すように、実施形態の実験系支援システムは、サーバ2と、複数のクライアント端末3,4とを備えている。各クライアント端末3,4は、ネットワーク5を介してサーバ2にアクセスが可能である。ネットワーク5は、システムが設置された環境にもよるが、研究施設が有する内部ネットワークの場合もあり、インターネットのような外部ネットワークの場合もある。
この実施形態では、複数のクライアント端末のうちの少なくとも一つ3は、携帯型の端末であり、実験室1内に持ち込まれることを想定している。以下、この端末3を実験用携帯端末と呼ぶ。実験用携帯端末3としては、タブレットPCが想定されている。
また、複数のクライアント端末のうちの少なくとも一つ4は、実験結果や実験の進捗状況を閲覧するための端末である。以下、この端末4を閲覧用端末と呼ぶ。閲覧用端末4は、携帯型である必要はなく、デスクトップPCであっても良い。図1では、実験室1は一つのみ示されているが、実験系支援システムは複数の研究グループにおける実験系の実施を支援するものとなっており、実験室1は複数である。従って、実験用携帯端末3も複数であり、閲覧用端末4も複数である。
また、1つの研究グループであっても研究員が複数であって、各研究員がそれぞれ個人ユースの実験ベンチ上にて実験を行う場合、各研究員は専用の実験用携帯端末3を使用することになり、結果として実験用形態端末3は複数となる。この場合、閲覧用端末4は、各研究員が使用する各実験用形態端末3に支援されて得た実験結果や実験の進捗状況を閲覧するので、単数であってもよい。
サーバ2は、大きく分けて二つの機能を果たすものとなっている。第一は、実験プロトコルを進めるに当たって必要な各実験機器11,12,13との間の情報の送受信機能である。第二は、実験を記録したラボノートの管理機能である。二つの機能は密接に関連しており、全体として研究室における実験系の実施を効率化し、実験データの管理や実験の進捗状況のチェック等を容易にしている。
具体的に説明すると、サーバ2は、プロセッサ20と、ハードディスクのような記憶部21とを備えている。記憶部21には、各実験機器11,12,13のためのソフトウェアである機器用ソフトウェア61が記憶されている。機器用ソフトウェア61は、種々のものを含み得る。典型的には、機器用ソフトウェア61は、実験機器における測定値に対して適用される検量線データであり得る。また、機器用ソフトウェア61は、実験機器を制御する制御プログラムであり得るし、実験機器に対して送られる動作用のデータ(例えば信号検出範囲を指定するデータ)であり得る。
このような機器用ソフトウェア61は、各実験機器11,12,13について記憶部21に記憶されている。記憶部21には、実験機器11,12,13毎にディレクトリが設けられており、実験機器11,12,13毎に分けて記憶されている。尚、同じ実験機器でも、目的物質が異なる場合には検量線データも異なる。従って、機器用ソフトウェアは、実験機器11,12,13が同じ場合であっても目的物質が異なる場合には別のディレクトリに記憶される。
また、サーバ2の記憶部21には、実験室1で行われ得る各種実験について説明したファイル(以下、説明ファイル)62が設けられている。説明ファイル62は、一つの実験系全体のプロトコルを説明したファイルであったり、実験系を構成する各実験を説明したファイルであったり、各実験で使用される実験機器の説明であったりする。これら説明ファイル62は、HTML、PDF、各種文書ファイルの形式であり得る。
実験用携帯端末3は、サーバ2につながるネットワーク5に接続された状態となっている。実験用携帯端末3は、サーバ2に対するアクセス権限が与えられており、サーバ2上のプログラムを実施したり、サーバ2の記憶部21にある各種ファイルをダウンロードしたりすることができるようになっている。
一方、実験用携帯端末3は、各実験機器11,12,13との間でも情報のやり取りをするようになっている。この実施形態では、実験用携帯端末3は、各実験機器11,12,13との間で赤外線通信やBluetooth(登録商標)のような近距離無線通信を行うようになっている。タブレットPCである実験用携帯端末3は、この種の無線通信ユニットを標準で備えている。各実験機器11,12,13は、無線通信ユニットを備えている場合もあるが、備えていない場合もある。備えていない場合には、後付けで装着される。即ち、実験機器11,12,13は、USBのような汎用インタフェースを最低限備えており、外部の間で情報のやり取りが可能となっている。無線通信ユニットを標準で備えていない場合、外付け用の無線通信ユニットをUSBのような汎用ケーブルで接続し、無線通信可能とされる。
各実験機器11,12,13は、実験用携帯端末3の周辺装置という位置付けとされる場合が多い。この場合、実験用携帯端末3には、各実験機器用デバイスドライバが予めインストールされており、実験用携帯端末3から制御信号を送って各実験機器11,12,13の動作を制御したり、実験用携帯端末3に対して各実験機器11,12,13より測定データを送信したりすることが可能となっている。実験機器用デバイスドライバは、各実験機器11,12,13のメーカーから提供される場合もあるが、自作される場合もある。例外的に、実験機器がネットワーク5対応のものである場合、ネットワーク5上の一つの機器として(IPアドレスが付与されて)実験用携帯端末3との間で情報のやりとりをする場合もある。
一方、サーバ2には、認証プログラム70、メインプログラム71、実験系選択プログラム72、実験系実施プログラム73、ラボノート作成プログラム74、ラボノート閲覧プログラム75等が実装されている。これらのプログラムは、実験用携帯端末3から呼び出されて実施されるようになっている。以下、各プログラムについて説明する。
図2は、サーバ2に実装されている各プログラム70〜75の関係を示した概略図である。これらプログラム70〜75は、実験用携帯端末3によりサーバ2から実験用携帯端末3にダウンロードされて実行されるプログラムであり、全体として実験系支援のアプリケーションソフトウェア(以下、実験系支援アプリ)を構成している。
認証プログラム70は、サーバ2にアクセスしていずれかのプログラムの実行する際に必要な認証を行うプログラムである。この実施形態では、誰が実験を行ったのか、また誰がラボノートの閲覧をしたか等を特定できるようにするため、認証プログラム70をサーバ2に実装している。
認証用のユーザーIDとパスワードは、実施形態の実験系支援システムが使用される研究室の研究員や指導監督を行う者(上司や指導教授等、以下、指導者と総称する)に対して予め発行されている。各ユーザーIDと対応するパスワードは、研究員や指導者等の氏名とともにデータベース化された認証用DBF63に記録されており、認証用DBF63は、サーバ2の記憶部21に記憶されている。尚、認証用DBF63には、ユーザーの氏名を記録したフィールドを含んでおり、またユーザーIDが指導者のものであるか、研究員のものであるかを識別するフィールドを含んでいる。
メインプログラム71は、実験系選択画面を含む上記アプリケーションソフトウェア(実験系支援アプリ)が起動している際に常に実行されているプログラムであり、各種情報を実験用携帯端末3から入力させたり、サーバ2から取得した情報を実験用携帯端末3に表示したりするためのウインドウ(以下、メインウインドウ)の表示等を行うプログラムである。
実験系選択プログラム72は、どの実験系を実施するのかを選択させるプログラムである。このプログラムには、実験系を選択させる画面を実験用携帯端末3に表示する実験系選択画面表示モジュールや、選択された実験系についての実験系実施プログラム73を起動する各実施支援プログラム起動モジュール等が含まれている。
また、実験系実施プログラム73は、実験機器を使用して検出や測定を行う実験実施モジュール、サーバ2の記憶部21に記憶されている機器用ソフトウェア61をサーバ2からダウンロードするための機器用ソフトDLモジュール、各実験で得られた結果を評価して次のステップに進んで良いかどうかを判断する評価モジュール、ラボノート作成プログラム起動モジュール等を含んでいる。尚、実験系実施プログラム73は、実験系毎に設けられており、実験系選択プログラム72内の選択された起動モジュールで起動されるものである。
また、ラボノート作成プログラム74は、ラボノートテンプレートファイルに各情報を記録する記録モジュールや、作成されたラボノートファイルをサーバ2の記憶部21に保存する保存モジュール等を有している。尚、ラボノート作成プログラム74は、実験系実施プログラム73から呼び出されて実施されるものであり、実験結果をラボノートとしてまとめ、保存するためのプログラムである。
また、ラボノート閲覧プログラム75は、指導者がラボノートの内容を閲覧するためのプログラムである。
尚、サーバ2の記憶部21には、ラボノートの管理のためのデータベースファイル(以下、ノート管理用DBF)64が記憶されている。
図3は、実験系選択プログラム72によって実験用携帯端末3上に表示された実験系選択画面の一例の概略図である。実験系選択画面を含むアプリケーションソフトウェアである実験系支援アプリは、予め実験用携帯端末3にインストールされている。実験系支援アプリは、専用のアイコンを含んでおり、インストール時にアイコンが実験用携帯端末3におけるOS上のホーム画面やアプリケーション画面に表示されるようになっている。
上記アイコンをタップすると、実験用携帯端末3上にログイン画面が表示され、ユーザーID及びパスワードを入力する画面が表示される。ユーザーID及びパスワードが正しく入力されて認証プログラム70により認証が行われると、メインプログラム71が起動し、実験用携帯端末3において実験系アプリの初期画面がメインウインドウ内に表示される。初期画面については図示を省略するが、実験系の実施を選択するメニューのコマンドボタンと、ラボノートの閲覧を行うメニューのコマンドボタンとが表示されるようになっている。ここで実験系の実施を選択すると、図3に示す実験系選択画面701がメインウインドウに表示されるようになっている。尚、ログインの際に入力されたユーザーIDは、実験系支援アプリが終了するまで(ログインが遮断されるまで)、セッション情報としてメモリ変数に保持される。
図3に示すように、実験系選択画面701では、実験系支援システムを使用して行える実験系の名前が幾つか表示されている。名前を表示した部分は、実験系IDが埋め込まれたコマンドボタン700となっている。いずれかのコマンドボタン700をタップすると、埋め込まれた実験系IDを引数にして実験系実施プログラム73が起動される。
また、サーバ2の記憶部21には、実験ログファイルが記憶されている。実験ログファイルは、データベース形式のファイルであり、実験系実施プログラム73が実行された旨が記録されている。実験系実施プログラム73の実行ログが記録されているということは、実験系の実施状況が記録されていることを意味する。
図4は、実験ログファイルの構造の一例を示した概略図である。図4に示すように、実験ログファイルは、「実行日時」、「実験者ID」、「実験者氏名」、「実験系ID」、「実験系名称」、「実験1名称」、「実験1日時」、「実験1データ」、「実験1評価」、「実験2名称」、「実験2日時」、「実験2データ」、「実験2評価」、「実験3名称」、「実験3日時」、「実験3データ」、「実験3評価」等のフィールドから成るレコードが多数記録されたファイルである。
「実行日時」には、実験系実施プログラム73が起動された日時が記録される。「実験者ID」は、ログインの際に保持されたユーザーIDが記録される。「実験者氏名」は、実験系実施プログラム73の実行者(ひいては実験系の実施者)の氏名であり、ユーザーIDにより認証用DBFを検索し、該当レコードから読み取って記録される。
「実験系ID」は、タップされたコマンドボタン700に埋め込まれたものが記録され、「実験系名称」は、上記実験系情報DBFを実験系IDで検索して該当レコードから読み出して記録される。「実験1名称」、「実験2名称」、「実験3名称」も同様である。「実験1日時」、「実験2日時」、「実験3日時」は、各実験実施モジュールの実行日時が記録されるフィールドである。
「実験1データ」は、実験1で得られた実験データを記録するフィールド、「実験1評価」は、実験1の評価結果を記録したフィールドである。「実験2データ」、「実験2評価」、「実験3データ」、「実験3評価」も同様である。
図5は、ある例の実験系実施プログラム73の概略構成を示したフローチャートである。図5に示すように、実験系実施プログラム73は、起動すると、まず、図4に示す実験ログの記録を開始する。実験ログファイルは、データベース形式のファイルであり、実験系実施プログラム73は、実験ログファイルを開いて新しいレコードを追加する。そして、「実行日時」、「実験者ID」、「実験者氏名」、「実験系ID」及び「実験系名称」の各フィールドの値を記録する。
実験系実施プログラム73は、実験ログファイルを開いたままとし、追加した新レコードをアクティブなままとした状態で、初期実験画面を実験用携帯端末3においてメインウインドウ内に表示する。図6は、初期実験画面の一例を示した概略図である。初期実験画面702は、選択された実験系を実施する際に最初に表示される画面であり、最初に行う実験のための画面である。
図6に示すように、初期実験画面702が表示された際には、選択された実験系の簡単な説明をしているテキストに続き、最初に行う実験の実験名を表示した欄があり、その欄の横に、「詳細説明」と表記されたコマンドボタン711と、「実験1開始」と表記されたコマンドボタン712とが設けられている。「詳細説明」と表記されたコマンドボタン711には、当該実験の目的、使用する実験機器とその使用方法、実験を行う際の準備として必要なこと、実験が正しく行われたと評価されるに必要なこと等の情報を内容とする説明ファイルがリンクしており、このボタンがタップされると、追加のウインドウが開かれて表示されるようになっている。
また、「実験1開始」と表記されたコマンドボタン712には、選択された実験系のプロトコルにおける最初の実験についての実験実施モジュール(以下、実験1に対応する実験実施モジュールともいう)の起動コマンドが埋め込まれており、コマンドボタン712のタップによりこの実験1に対応する実験実施モジュールが実行される。
サーバ2の記憶部21には、各実験系において使用される実験機器等の情報を登録したデータベースファイル(以下、実験系情報DBF)65が設けられている。図7は、実験系情報DBFの構造の一例を示した概略図である。
図7に示すように、実験系情報DBFは、「実験系ID」、「実験系名称」、「実験数」、「実験1名称」、「実験1機器名」、「実験1DR」、「実験2名称」、「実験2機器名」、「実験2DR」、「実験3名称」、「実験3機器名」、「実験3DR」・・・の各フィールドから成るレコードを多数記録したデータベースファイルである。「実験1名称」は、当該実験系において最初に実施される実験の名称、「実験1機器名」は、最初に実施される実験に使用される機器の名称、「実験1DR」は、実験1に使用される機器についての機器用ソフトウェア61を記憶したディレクトリをそれぞれ記録したフィールドである。「実験2名称」、「実験2機器名」、「実験2DR」も同様であり、次に行う実験の名称、使用される機器名、使用される機器用ソフトウェア61のディレクトリがそれぞれ記録されている。「実験3名称」、「実験3機器名」、「実験3DR」も同様である。尚、この例の最初のレコードは、実験数が3であるため、・・・「実験3DR」まで値が記録されているが、例えば最大で5個の実験を行えるように実験系情報DBFは構成される。この場合は、・・・「実験5DR」までフィールドが設定されており、実験数に応じて値が記録される。実験数が5未満の場合には、Null値のフィールドがあることになる。
図8は、実験実施モジュールの概略図を示したフローチャートである。同図では、実験1に対応する実験実施モジュールを例に取る。図4に示す「実験1開始」のコマンドボタン712には、当該実験系の実験系IDが埋め込まれており、実験系IDを引数にして実験実施モジュールが実行される。
図8に示すように、実験1に対応する実験実施モジュールは、実験系IDにより実験系情報DBF65を検索し、「実験1DR」の値を渡して機器用ソフトDLモジュールを実行する。機器用ソフトDLモジュールは、「実験1DR」のディレクトリから機器用ソフトウェア61をダウンロードする。ダウンロードされる機器用ソフトウェア61は、実験機器によって異なるが、一例として、制御プログラム及び検量線データとする。機器用ソフトDLモジュールは、ダウンロードした機器用ソフトウェア61を一時ファイル(一時的にメモリに記憶するファイル)として実験用携帯端末3内の記憶部に記憶する。
次に、実験実施モジュールは、最初の実験機器(選択された実験系のプロトコルにおける最初の実験である実験1で使用する実験機器)11に対する試料のセット等の実験準備が済んでいるかの確認をさせる別のウインドウを追加で表示し、「試料のセットは正しくされていますか? されているようでしたら、OKボタンをタップして下さい。」というようなメッセージを表示する。
OKボタンがタップされると、実験1に対応する実験実施モジュールは、実験用携帯端末3が最初の実験機器11を認識していることを確認した後、一時ファイルから制御プログラムを読み込み、制御プログラムに従って実験機器11に制御信号を送る(この例では機器用ソフトウェアは制御プログラムを含む)。これにより実験機器11が動作し、セットされている試料について検出や測定を行い、その結果(実験データ)を実験用携帯端末3に送信する。
実験1に対応する実験実施モジュールは、実験データが返信されると、実験1が実施されたことになるので、その時点の日時を、実験ログファイルのアクティブなレコードの「実験1日時」のフィールドに記録する。また、併せて、実験系情報DBFに従い、「実験1名称」のフィールドも記録する。そして、返信されたデータを「実験1データ」のフィールドに記録する。
実験1に対応する実験実施モジュールは、返信された実験データについて、検量線データを適宜適用し、実験1についての実験結果を得る。そして、実験結果(数値データである場合が多い)を一時的にメモリ変数に格納した後、評価モジュールを実行する。評価モジュールは、ある実験機器を使用して実験を行った場合、その際に得られた実験結果を評価し、次のステップに進んで良いかどうかを判断するモジュールである。例えば通常はあり得ない測定データが実験結果として得られた場合、実験そのものが正しく行われなかった場合が多い。正しく行われなかったとは、試料の調製に誤りがあったとか、試料のセットのような実験機器の使用方法が誤っていたとかいった場合が考えられる。複数の実験系を順次行うプロトコルでは、ある実験が正しく行われていない場合、次のステップに進むべきではない場合が多い。この点を考慮し、実施形態の実験系支援システムは評価モジュールを設けている。
評価モジュールは、実験実施モジュールにおいて得られた実験結果に対して予め定められている評価基準を適用し、OKかNGかを判断するモジュールである。OKは、実験が正しく行われたと評価できる場合、NGが評価できない場合である。予め定められている基準とは、実験データの値がある範囲内に入っているかというような数値的な基準の場合が多いが、実験機器からデータ自体が取得できたかどうかというような非数値的な基準の場合もある。
評価モジュールは、このような判断基準の情報を定数(プログラミングにおける定数)として含んでおり、実験データに対してそれを適用することでOKかNGかを判断する。判断結果を実験実施モジュールに戻り値として戻すと、評価モジュールは終了である。実験実施モジュールは、評価モジュールから戻り値があると、その値を実験ログファイルのアクティブなレコードの「実験1評価」に記録する。そして、評価モジュールの戻り値をさらに実験系実施プログラム73に戻し、実験実施モジュールは終了する。
そして、図5に示すように、実験系実施プログラム73は、実験実施モジュールからの戻り値に応じた処理をする。即ち、戻り値(実験1の評価)がNGの場合には、次の実験を実施するための画面は表示せず、評価がNGであるので次に進めない旨の表示をメインウインドウ内で行うとともに、実験系の実施を中止する旨を選択させるコマンドボタン(中止ボタン)と、前の段階に戻るコマンドボタン(戻るボタン)とを併せてメインウインドウ内に表示するようプログラミングされている。そして、中止ボタンがタップされると、実験系実施プログラム73が中止され、実験系選択画面701の画面に戻る。また、戻るボタンがタップされると、初期実験画面702が最初に表示された状態に戻り、最初から実験をやり直すことが可能な状態とされる。
一方、戻り値がOKの場合、実験系実施プログラム73は、次の実験(2番目の実験)を実施させるための画面をメインウインドウに表示するようプログラミングされている。図9は、この2番目の実験を実施するための画面(以下、2番目実験画面と略称する)703が表示された状態を例示的に示した概略図である。
図9に示すように、2番目実験画面703は、初期実験画面702に対してアイテムが追加された状態の画面である。追加されたアイテムは、次の実験の実験名と、次の実験についての簡単な説明をしたテキストと、「詳細説明」のコマンドボタン713と、「実験開始」のコマンドボタンである。初期実験画面で表示されていた「詳細説明711」、「実験開始」の各コマンドボタン712は、2番目実験画面では表示されてはいるものの、実行不可の状態とされる。
「詳細説明」のコマンドボタン713や「実験2開始」のコマンドボタン714は、最初の実験についてのものと基本的に同様である。「詳細説明」のボタン713をタップすると、次の実験についての説明ファイルが呼び出されて表示され、「実験2開始」のボタン714がタップされると、実験系実施プログラム73は、次の実験(選択された実験系のプロトコルにおける2番目の実験)についての実験実施モジュールを呼び出して起動する。
実験2に対応する実験実施モジュールの内容も、図8に示すものと基本的に同様である。機器用ソフトウェアDLモジュールを実行した後、実験準備が整ったことを確認するための画面を表示し、OKボタンがタップされたら、2番目の実験で使用する実験機器12に情報を送信して実験を行わせる。そして、取得された実験データを受信すると、実験が行われたことになるので、実験実施モジュールは、受信の日時を実験ログファイルのアクティブなレコードの「実験2日時」に記録するとともに、「実験2名称」を記録する。そして、実験実施モジュールは、検量線データを適宜適用して実験結果とし、その上で評価モジュールを呼び出して実行する。
評価モジュールの実行後もほぼ同様であり、実験系実施プログラム73は、実験実施モジュールで取得された実験データと、評価モジュールの戻り値とを、実験ログファイルのアクティブなレコードの「実験2データ」、「実験2評価」に記録する。そして、実験系実施プログラム73は、評価がOKであればさらに次の実験(選択された実験系のプロトコルにおける3番目の実験)を行うための画面に遷移させ、NGであれば、NGの旨の表示とともに、前述した中止ボタン及び戻るボタンを表示する。
図10は、3番目の実験を実施するための画面(以下、3番目実験画面と略称する)が表示された状態を例示的に示した概略図である。図10に示すように、3番面実験画面704も、2番目実験画面703にアイテムが追加された画面となっている。追加されたアイテムは、同様に、3番目の実験の実験名、実験の簡単な説明のテキスト、「詳細説明」のコマンドボタン715、「実験開始」のコマンドボタン716である。各コマンドボタン715,716の構成も、図9に示す2番目実験画面と同様である。
3番目実験画面において「実験開始」のボタンがタップ716されると、実験系実施プログラム73は、3番目の実験で使用される実験機器13についての機器用ソフトウェア61をダウンロードさせる。そして、準備完了の確認をOKボタンがタップされると、実験系実施プログラム73は、実験実施モジュールを起動し、3番目の実験機器13による実験が実施される。そして、実験データが返信されると、実験ログファイルへの実験実行の記録の後、検量線データを適宜適用して実験結果とした上で同様に評価モジュールが実行され、実験系実施プログラム73は、実験データと評価結果とを実験ログファイルに記録し、評価がOKであれば、次のステップを実施するための画面に遷移させる。
この例の実験系では、実施する実験は三つであるので、次のステップを実施するための画面は、プログラム終了と電子ラボノート作成の確認をさせる画面となっている(以下、この画面を終了確認画面と呼ぶ)。
図11は、終了確認画面の概略図である。図11に示すように、終了確認画面705は、選択された実験系が正しく完了した旨のメッセージ、実験系の実施結果をラボノートに記録、保存する旨のメッセージ、OKボタン717等が表示される画面である。ここでのOKボタンは、ラボノート作成プログラム74の起動ボタンとなっており、ラボノート作成プログラム74の起動コマンドが埋め込まれている。OKボタン717がタップされると、以下に説明するラボノート作成プログラム74が実行され、実施した実験系の結果が電子ラボノートとしてサーバ2の記憶部21に記憶されるようになっている。以下、ラボノート作成プログラム74について説明する。図12は、ラボノート作成プログラム74の記録モジュールの概略を示したフローチャートである。
ラボノート作成プログラム74の記録モジュールは、サーバ2の記憶部21からラボノートテンプレートファイル(以下、LNTファイルと略称する)66を読み出して開き、各データをファイル66内の所定の位置に組み込んでラボノートファイル67を作成するプログラムである。LNTファイル66は、サーバ2の記憶部21に記憶されている。
実験系実施プログラム73は、各実験実施モジュールを実行した際、評価モジュールにおいてOKの評価がされた場合に、各実験データをメモリ変数に格納しておく。ラボノート作成プログラム74は、ログインの際に入力されたユーザーID引数にして実行され、各実験データがメモリ変数から読み出されて渡される。
図12に示すように、ラボノート作成プログラム74の記録モジュールは、まず、LNTファイル66をサーバ2の記憶部21から読み出して開く。そして、各実験データをLNTファイル内の所定の位置に組み込む。また、記録モジュールは、ユーザーIDによって認証用DBF63を検索し、対応する氏名(ここでは実験系を行った研究員の氏名)を取得し、LNTファイル内の所定の位置に組み込む。その上で、内容の確認とともに実験者のコメントの入力させるための画面(以下、コメント入力画面)をメインウインドウに表示するようプログラミングされている。
図13は、ラボノート作成プログラム74の記録モジュールにより実験用携帯端末3上に表示されるコメント入力画面の一例を示した概略図である。図13に示すように、コメント入力画面706では、実験者の名前、実験日、選択された実験系の名前に続き、各実験データが表示されるようになっている。そして、その次の欄に、コメント入力欄718が表示されるようになっている。コメント入力欄718は、テキストボックスであり、各実験についての所見を実験者が実験用携帯端末3上で入力するものである。
図13に示すように、コメント入力画面706には、OKボタン719が設けられている。OKボタン719には、作成されたラボノートをサーバ2の記憶部21に保存する保存モジュールの起動コマンドが埋め込まれている。保存モジュールは、コメントも含めてラボノート全体をもう一度確認のためにOKボタンとともにメインウインドウ内に表示し、OKボタンがタップされた場合にLNTファイル66について新しいファイル名を付与してサーバ2の記憶部21に記憶するようプログラミングされている。新しいファイル名は、ラボノート作成プログラム74において自動生成される。
その後、ラボノート作成プログラム74は、ノート管理用DBF64に新しいレコードを追加し、各フィールドの値を記録してファイルを更新する。この際、ラボノート作成プログラム74は、PDFのようなDTP形式のファイルとするとともにファイルを変更不可の形式とした上でサーバ2の記憶部21の所定のディレクトリに保存する。これにより、ラボノート作成プログラム74は終了である。
図14は、ノート管理用DBF64の構造の一例を示した概略図である。図14に示すように、ノート管理用DBF64は、「実験ID」、「ノートファイル名」、「実験者ID」、「実験日時」、「実験系名称」などのフィールドから成るレコードが登録されるデータベースファイルである。
「実験ID」は、実験実施モジュールにおいて自動生成されるIDである。例えば、実験系について通し番号で識別しておき、選択された実験系とセッション日時とを組み合わせたIDとされる。実験IDは、最後の(上の例では3番目の)実験が実施されて評価モジュールがOKと評価した場合に自動生成されるようプログラミングされる。「実験ID」の値も、ラボノート作成プログラム74が起動させる際に引数として渡される。
また、「ノートファイル名」は、上記のようにラボノート作成プログラム74が自動生成するファイル名である。例えば、実験IDをそのまま使い、実験ID+ファイル識別子のファイル名とすることができる。
「実験者ID」は、ログインの際に保持されたユーザーIDである。「実験日時」は、実験を行った日時であるが、同様に最後の実験が実施されて評価モジュールによりOKと判断された日時がシステム時刻から呼び出されて記録される。
「実験系名称」は、実験系選択画面で実験系が選択された際に保持された実験系IDで実験系情報DBFを検索し、該当するレコードの「実験系名称」のフィールドから値を取得する。
このようなフィールドから成るレコードが、ラボノートファイル67の保存を行うたびに追加されて記録される。
次に、ラボノート閲覧プログラム75について説明する。ラボノート閲覧プログラム75は、サーバ2に保存されたラボノートの内容を研究員や指導者に閲覧させるためのプログラムである。特に指導者については、ラボノートを閲覧することで、研究の進捗状況を確認したり、必要に応じて研究員に対して助言や指導を行ったりすることができる。以下、指導者がラボノートを閲覧する状況を例にして説明する。
図1に示す閲覧用端末4は、指導者が操作する端末となっている。閲覧用端末4にも、実験用携帯端末3と同様に実験系支援アプリがインストールされている。また、指導者についてもIDとパスワードが発行されており、サーバ2に対するアクセス権が与えられている。
ラボノート閲覧プログラム75は、認証プログラム70にリンクしている。前述したように、実験系支援アプリのアイコンをタップすると、ログイン画面が表示され、ユーザーIDとパスワードが正しく入力されて認証がされると、ユーザーIDが保持され、初期画面が閲覧用端末4に表示される。初期画面には、ラボノートの閲覧を行うメニューのコマンドボタンが含まれており、このコマンドボタンがラボノート閲覧プログラム75の起動ボタンとなっている。
実施形態の実験系支援システムでは、ラボノートの閲覧については、指導者が閲覧する場合と、研究員が閲覧する場合とでは、異なった動作をするようになっている。即ち、指導者については自身が指導監督する各研究員が作成したラボノートを閲覧できるようになっている。また、研究員については、自身が作成したラボノートのみを閲覧できるようになっている。
このような動作を可能にするため、サーバ2の記憶部21には、指導者と研究員との関係を登録したデータベースファイル(以下、メンバ情報DBF)68が記憶されている。図15は、メンバ情報DBFの構造の一例を示した図である。
図15に示すように、メンバ情報DBFは、「ユーザーID」、「氏名」、「ユーザー種別」、「グループID」、「グループ名」等のフィールドから成るレコードを多数記録したデータベースファイルである。「ユーザーID」は、認証用DBF63にリンクしたフィールドである。「ユーザー種別」は、指導者か研究員かを識別する値が記録されるフィールドである。「グループID」は、研究員が所属するグループの識別情報である。一つのグループには、少なくとも一人の指導者が所属する。従って、指導者の場合には、自身が指導するグループのIDということになる。「グループ名」は、グループIDで識別される研究グループの名前である。
ラボノート閲覧プログラム75は、閲覧するラボノートを選択する画面(以下、ラボノート選択画面)を表示するモジュールを含んでおり、ラボノート閲覧プログラム75が起動すると、まずラボノート選択画面を閲覧用端末4のメインウインドウ内に表示する。図16は、ラボノート選択画面の一例を示した概略図である。ラボノート閲覧プログラム75は、ラボノート選択画面707を表示する際、ログインの際に保持されたユーザーIDにより指導者であるか研究員であるかを判断し、指導員であるか研究員であるかにより異なる内容でラボノート選択画面707を表示するようになっている。図16に示す例は、ユーザーIDが指導員のものであった場合の例である。
図17は、ラボノート閲覧プログラム75の概略を示したフローチャートである。ラボノート閲覧プログラム75は、ログインの際に保持したユーザーIDを引数にして起動される。図17に示すように、ラボノート閲覧プログラム75は、ユーザーIDでメンバ情報DBFを検索し、そのユーザーIDが指導者であるか研究員であるか判断する。指導者のユーザーIDである場合、「グループID」を読み取り、そのグループIDで登録されているレコードであって「種別」が研究員となっているすべてのレコードの「ユーザーID」の値と「氏名」の値をそれぞれ読み取り、それぞれメモリ変数に格納する。そして、ラボノート閲覧プログラム75は、読み取った「氏名」の値をタイトルになるようにして各コマンドボタンを生成してラボノート選択画面707に表示するようプログラミングされている。
ラボノート選択画面707を表示すると、ラボノート閲覧プログラム75は、OKボタン720のクリック又はタップ(以下、クリック等という)待ちの状態となる。図16に示す各コマンドボタン(氏名を表示したボタン)には、各氏名についてのユーザーIDが埋め込まれている。OKボタン720には、ノートリスト表示モジュールの起動コマンドが埋め込まれており、OKボタン720がクリック等されると、その行のユーザーIDが渡されてノートリスト表示モジュールが起動される。
図18は、リスト表示モジュールにより表示されるラボノートリスト画面の一例を示した概略図である。図16に示すように、ノートリスト表示モジュールは、選択されたユーザーIDのユーザー(研究員)が作成したラボノートの「実験ID」、「実験日」、「実験系名称」をノート管理用DBF64の該当レコードから読み出して表示するようプログラミングされている。
図18において、リスト722はいずれかの行を選択できるようになっており、選択された行を背景色の変更等で識別できるようにしている。また、ラボノートリスト画面708には、OKボタン721が設けられており、このOKボタン721には、ラボノート表示モジュールの起動コマンドが埋め込まれている。この起動コマンドは、選択された行の実験IDを引数にしてラボノート表示モジュールを起動するコマンドである。
図19は、ラボノート表示モジュールによって閲覧用端末4に表示されたラボノートの一例の概略図である。ラボノート表示モジュールは、実験IDによってノート管理用DBF64を検索し、該当するレコードの「ラボノートファイル67名」を読み取り、これに従って該当するラボノートファイル67を開く。そして、閲覧用端末4のメインウインドウ内に表示するようプログラミングされている。
図19に示すように、閲覧用端末4に表示されるラボノートは、実験日、実験者名、実験系名称等の情報に続き、各実験において使用された実験機器と、各実験における実験データが表示されるようになっている。そして、最後の実験についての実験データを表示した箇所の次に、コメント欄が設けられている。コメント欄は、実験者(研究員)がテキスト入力した所見を表示した欄である。
また、実験ログファイルの内容も端末において閲覧可能となっている。図3に示すように、メインウインドウ内には、「実験ログ閲覧」と標記されたコマンドボタン(以下、ログ閲覧ボタン)723が設けられている。一方、サーバ2には、実験ログ閲覧プログラムが実装されており、ログ閲覧ボタン723はその起動ボタンとなっている。
図示は省略するが、ログ閲覧ボタン723は、図4に示す実験ログファイルの内容を一覧表にして表示するプログラムとなっている。この際、ラボノート閲覧プログラムと同様に、メンバ情報DBFを参照し、ログインの際に保持されたユーザーIDに応じて表示する実験ログの内容が制限されるようになっている。即ち、実験ログ閲覧プログラムは、「ユーザー種別」が指導者である場合、同じグループに所属する研究者のユーザーIDが「実験者ID」となっているレコード(実験ログ)のみが表示されるようプログラミングされている。また、実験ログ閲覧プログラムは、「ユーザー種別」が研究者である場合、自分のユーザーIDが「実験者ID」となっているレコードのみが表示されるようプログラミングされている。
上記実施形態の実験系支援システムによれば、一つの実験系の実施に使用される複数の実験機器11,12,13の各々について機器用ソフトウェア61がサーバ2から実験用携帯端末3にダウンロードされ、実験用携帯端末3において実験系実施プログラム73が実行可能とされた構成であるので、各実験機器11,12,13及び実験用携帯端末3を一つの実験系用のシステムとして適宜構成される。検量線データの適用による測定結果の出力といった情報処理は、実験用携帯端末3で行われるので、各実験機器11,12,13は最低限のハードウェアを備えていれば足り、小型で安価な機器とすることができる。小型で安価な機器は、一つの研究室ですべて購入することが容易であって、一つの実験ベンチの上に並べて配置することができる。このため、研究員は、各実験のたびに共用の実験機器が配置された別の部屋まで行く必要がなく、効率良く各実験を行うことができる。
そして、各ソフトウェアをサーバ2から各実験機器11,12,13に提供する際、一つの実験用携帯端末3を経由するのみであるので、実験者(研究員)はそれぞれの実験機器11,12,13用に別々の端末を操作する必要がなく、この点でも簡便となっている。また、実験用携帯端末3は、無線通信で各実験機器11,12,13と情報のやりとりをするので、実験室11内の配線が不要で、この点でも簡便となっている。
また、実施形態の実験系支援システムは、各実験結果の評価を行う評価モジュールを含んでおり、評価モジュールによりOKと判断された場合にのみ次のステップに進むので、ある実験が正しく行われていないのにも関わらず次の実験を進んでしまい、結果として最終的な実験結果が不適切なものになってしまう(実験を無駄に行ってしまう)ことが無くなる。この点でも、より効率的に実験系が実施できる。尚、実験者自身が実験を評価する場合には誤った基準で評価してしまう場合もあり得るが、実施形態の実験系支援システムでは、評価モジュールにおける基準を予め正しく定めておくことで、常に一定の正しい基準で評価できる。この点でも、より適切な実験系の実施結果を得るのに役立つ。
また、サーバ2には実験ログファイルが設けられており、実験ログファイルの内容は他の端末において閲覧可能なので、他の端末において実験系の実施状況をモニタすることができる。そして、実験ログファイルには、各実験データや各評価モジュールによる評価結果が含まれているので、実験系が正しく進捗していることを第三者が確認できるようになる。このため、上司や指導教授といった監督者が実験系の実施状況を監視するのに極めて好適なものとなる。
さらに、実施形態の実験系支援システムでは、各実験の実施からラボノートの作成まで一連のプログラムの流れで行われる。即ち、実験系支援プログラムを利用した実験系の実施結果(各実験データ)がそのまま引き継がれてラボノートファイル67が作成される。このため、実験者は、各実験の結果について個別に記録に残す等してラボノートをまとめる必要がなく、極めて簡便である。従来、各実験機器11,12,13は、実験データを小さな紙に出力する小型のプリンタを備えている場合が多く、実験者は、実験データを印字した紙をラボノートに貼り付けることで実験結果の記録していた。実施形態の実験系支援システムでは、このような面倒はなく、プログラム上で実験データはラボノートファイル67に自動的に貼り付けされる。
また、サーバ2に保存されるラボノートファイル67は、変更不可の形式であるので、ラボノートの内容が改ざんされる心配はない。ラボノートの改ざんは、ラボノートファイル67の変更の他、ラボノートファイル67の差し替え(上書き)といった手法でもあり得るので、ラボノートファイル67が記憶されているサーバ2の記憶部21のディレクトリについては、厳格なアクセス権を設定することが好ましい。例えば、ラボノート作成プログラム74がラボノートファイル67を逐次保存する以外は完全にディレクトリ内の変更が一切できないようにすることが考えられる。
その一方、ラボノートの内容は閲覧用端末4によって閲覧することができるので、指導者は各研究員における研究の進捗状況を逐次確認することができ、適宜の時期に必要に応じて指導を行うことができる。尚、実施形態の実験系支援システムでは、研究員は自身が作成したラボノートを閲覧できるのみであったが、これは同じ研究グループといえども他人のラボノートの内容が閲覧できるのは妥当ではない場合もあるとの配慮からである。グループ内であれば他の研究員に対しても公開して良いとのポリシーであれば、そのようにされる場合もある。この場合は、研究員のユーザーIDでログインした場合でも、指導者の場合と同じように、所属するすべての研究員の名前がラボノート選択画面707に表示されるようプログラミングされる。
具体的な実験系の一例を示すと、例えばある種の遺伝子の抽出と保存を行う場合、試料からDNAを抽出した後、このDNAをTris/EDTA溶液(TEバッファー液)により稀釈した上で、まずDNA濃度を測定する(実験1)。DNA濃度の測定には、吸光度計が用いられ、測定された吸光度が基準値を下回ると、評価はNG(抽出失敗)となる。この場合は、DNA抽出をやり直す。
DNA濃度が基準値以上であれば、DNA抽出が正しくされたと評価されたことになる。この場合、実験2として、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法によりDNAの増幅が行われる。そして、正しく増幅が行われたかどうかをチェックするため、蛍光測定が行われる。蛍光測定には、例えばレーザー励起蛍光測定器が使用される。
蛍光強度が基準値未満の場合、評価はNG(増幅が不十分)となり、PCR増幅をもう一度行う。蛍光強度が基準値以上であれば、正しく増幅できたことになるので、実験3として、分離、保存を行う。
増幅させたDNAの分離、保存には、例えば電気泳動法が使用される。増幅させたDNAを電気泳動装置でDNAの大きさに応じて分離し、想定した大きさの増幅断片が得られているかどうか確認する。この際、バンドの目視により評価を行う場合もあるが、電気泳動装置としてバンドの濃淡を数値化して出力できるものを使用し、出力された数値データに対して基準値を適用することで実験結果を評価する場合もある。このような評価により、実験3が正しく行われたと評価された場合、分離したDNA断片を染色してバンドとして可視化した後、バンドを切り離して保存する。これで、この例の実験系が終了する。
尚、上記実施形態において、実験者は1名であり、1名に対して一つのユーザーIDが発行されたが、実験者が2名以上いる場合がある。この場合には、ラボノートの作成者も2名以上ということになり、それらの者がすべて表記されるべきである。これをプログラムにおいて達成するには、幾つかの方法があるが、例えば2名の実験者の場合、その2名の実験者の名前の組に対して一つのユーザーIDを発行することが考えられる。一つのユーザーIDでログインし、実験系を実施すると、ラボノートファイル67の実験者の欄には、ユーザーIDに対応した2名の実験者の名前が記録されるようプログラミングされる。
次に、第二の実施形態の実験系支援システムについて説明する。図20は、第二の実施形態の実験系支援システムの概略図である。
第二の実施形態の実験系支援システムは、ラボノートファイル67の改ざん防止の機能をより高めた構成となっている。即ち、第二の実施形態の実験系支援システムにおけるラボノート作成プログラム74は、作成したラボノートファイル67に対してタイムスタンプを付与した後、サーバ2の記憶部21に記憶するプログラムとなっている。
具体的に説明すると、図20に示すように、第二の実施形態の実験系支援システムもサーバ2を備えており、ネットワーク5を介して各端末3,4とつながっている。一方、このサーバ2は、インターネット50を介してタイムスタンプサーバ8とつながっている。実験系支援システムの運営主体は、タイムスタンプ局(TSA)との間でタイムスタンプサービスの利用契約を結んでいる。実験系支援システムの運営主体は、各研究グループが所属する研究機関である場合が多いが、研究機関とは別の事業者が運営主体となることもあり得る。
一方、サーバ2には、第一の実施形態と同様の実験系選択プログラム72及び実験系実施プログラム73が実装されている。ラボノート作成プログラム74は、ラボノートファイル67を作成するところまでは第一の実施形態と同じであるが、その後の処理が第一の実施形態と異なっている。
図21は、第二の実施形態のおけるラボノート作成プログラム74の概略を示したフローチャートである。図21に示すように、第二の実施形態におけるラボノート作成プログラム74は、ラボノートファイル67をPDFのようなDTP形式で作成した後、第一の実施形態と同様にサーバ2の記憶部21の所定のディレクトリに保存する。次に、ラボノートファイル67にハッシュ関数を適用してハッシュ値80を生成する。そしてハッシュ値80をタイムスタンプサーバ8に送信してタイムスタンプ要求する。タイムスタンプサーバ8は、送信されたハッシュ値80に時刻情報を付与するとともに秘密鍵で暗号化してデジタル署名をする。タイムスタンプサーバ8は、デジタル署名が施されたハッシュ値+時刻情報、即ちタイムスタンプトークン81を実験系支援システムのサーバ2に返信する。
サーバ2上のラボノート作成プログラム74は、返信されたタイムスタンプトークン81を同様にサーバ2の記憶部21の所定のディレクトリに記憶する。その後、同様にノート管理用DBF64に新しいレコードを追加し、各フィールドの値を記録してノート管理用DBF64を更新すると、プログラムは終了である。尚、第二の実施形態では、ノート管理用DBF64には、タイムスタンプトークン81を記憶したディレクトリの情報を記録したフィールドが含まれている。
第二の実施形態においても、サーバ2にはラボノート閲覧プログラム75が実装されており、閲覧用端末4から実行することができるようになっている。ラボノート閲覧プログラム75は、第一の実施形態におけるものと同様であるが、ラボノートファイル67の改ざん有無の確認や日時証明確認の機能が追加されている。
実験系支援システムに対しては、TSAの秘密鍵に対応した公開鍵が付与されている。ラボノート閲覧プログラム75は、検証モジュールを有している。検証モジュールは、実験系IDを特定して実行されるモジュールであり、ラボノートファイル67を開いてラボノートを閲覧する際に実行されるモジュールである。
図示は省略するが、例えばラボノート閲覧画面において、ラボノートファイル67の内容を表示するとともに、「検証」と表記されたコマンドボタンが設けられる。このボタンには検証モジュールの起動コマンドが埋め込まれている。このコマンドは、閲覧しているラボノートファイル67の実験系IDを引数にして検証モジュールを実行するものとする。
検証モジュールは、実験系IDによって特定されるラボノートファイル67(閲覧しているラボノートファイル67)に対してハッシュ関数を適用してハッシュ値を得る。このハッシュ関数は、タイムスタンプを要求した際のものと同じ関数である。一方、サーバ2の記憶部21に記憶されている当該実験系IDのタイムスタンプトークン81を、付与されている公開鍵によって復号し、時刻情報とハッシュ値とを取り出す。そして、閲覧しているラボノートファイル67のハッシュ値と比較し、両者が一致するようであれば、正しく検証された旨をラボノート閲覧画面において表示するとともに、時刻情報も併せて表示する。これにより、閲覧しているラボノートファイル67が改ざんされていないことが証明され、且つ時刻情報が示す時刻に存在していたこと(その時刻にラボノートが作成されたこと)が証明されたことになる。
第二の実施形態の実験系支援システムによれば、各実験系を実施した際に作成されるラボノートファイル67について、タイムスタンプが付与されてタイムスタンプトークン81が生成され、タイムスタンプトークン81がサーバ2の記憶部21に記憶されるので、各ラボノートファイル67についての非改ざん性とラボノートファイル67の実験日における存在性とが高い信頼性で立証されることになる。このため、研究データの改ざん防止の効果がより高くなり、万が一改ざんがあった場合でもその証明が容易となる。
尚、上記実施形態においてタイムスタンプは電子署名方式であったが、アーカイビング方式やリンクトークン方式であっても良い。
上述した各実施形態において、実験系実施プログラム73は、評価モジュールがNGの評価をした場合、プログラムを終了するか、又は当該実験をやり直させるものであったが、この場合、NGであった結果を含めてラボノートファイル67に記録してラボノートを保存するようにしても良い。この場合には、二つのやり方がある。一つは、評価モジュールでNGとされた旨のメッセージを表示しつつ次に進むかどうか入力させる画面を表示し、実験者が次に進む旨の入力をした場合、OKと評価された場合と同じように次のステップを行うようプログラミングすることである。もう一つは、NGとされた場合にはその実験で実験系の実施は終了し、その時点までの実験データ(NGとされた実験データを含む)をLNTファイルに記録してラボノートファイル67を作成するようプログラミングすることである。
このように評価モジュールがNGとした場合の実験データもラボノートに記録して保存しておくことは、幾つかの意味がある。一つには、意図しない結果が出た実験から意義ある大きな発見がされることも多々あるということである。試料の調製や実験機器のセット等において特にミスがないにも関わらず、意図しない結果となった場合には、未発見の現象が生じていることもあり得る。このため、評価モジュールがNGと評価した場合でも、後からの考察、分析、再実験を可能にするため、ラボノートに記憶しておくと好適である。
別の意味として、上手くいかなった実験の結果も残しておくことは、研究全体の成果の信頼性を高めるになるという意味もある。あるまとまった研究成果が論文で発表された場合、その成果を裏付ける実験データの記録として、上手くいった際の実験データしか残っていない場合、本当にそれが上手くいったのか、また上手くいかなかった実験データを改ざんしたのではないか、というような疑念も生じ得る。上手くいかなかった実験データをきちんと残しておき、その原因が特定されて、改善したやり方での結果としてうまくいった実験データが記録されている場合、その信頼性がより高まる。このような観点から、評価モジュールがNGとした実験データもラボノートに記録しておくことに意味がある。尚、上手くいかなかった実験データを記録したラボノートも含めて全てのラボノートは後から変更不可とされることは言うまでもない。
また、上記各実施形態において、一つの実験系を構成する複数の実験は順次行われるものであったが、複数の実験が同時進行する場合もあり得る。例えば二つの試料を対象物とした実験系の場合、一方の試料についての実験Aと他方の試料についての実験Bとを同時進行で行って各々実験結果を得た後、双方の試料を反応させ、その後、反応後の試料について実験Cを行うような場合もあり得る。
尚、ラボノート閲覧プログラム75については、指導者がラボノートの閲覧を行った記録をラボノート上に残すようにしても良い。即ち、ラボノート閲覧プログラム75は、指導者のユーザーIDでラボノートの閲覧がされた際、指導者がラボノートをチェックした旨の記録を残すかどうかの選択をさせる画面を表示し、ここで記録を残す旨の選択がされた場合、指導者の印影又はサインのイメージをラボノートファイル67に貼り付けた上で保存するようプログラミングされる。
また、ラボノートファイル67については、デジタル署名を付与した上でサーバ2の記憶部21に記憶するようにしても良い。デジタル署名は、ラボノートを作成した実験者のデジタル署名の場合もあるし、ラボノートをチェックした指導者のデジタル署名の場合もあるし、双方の場合もある。
尚、上記各実施形態において、ラボノートファイル67の作成と保存は、各実験の実施完了のたびに行われる場合もあり得る。この場合、ラボノート作成プログラムは、実験系実施プログラム73の一モジュールとされ、各実験実施モジュールの実行後に、評価モジュールによる評価結果とともに実験結果をLNTファイルに記録し、ラボノートファイルとして保存される。このようなラボノートも閲覧用端末4において指導者が閲覧できるので、実験系の進捗状況を途中でチェックしたり、実験のやり方について途中で助言したりすることができるようになる。
また、上記説明では、ラボノートファイルは変更不可の形式であるとしたが、ラボノートの内容自体は、誤記訂正等があり得るので、変更可能としてもよい。この場合、元のファイルは変更不可であり、内容を変更したものを別のファイルとして新しく作成する。このような訂正用のプログラムがサーバ2に実装される。
尚、上記説明では、主としてバイオ系の実験が例として説明されたが、実施形態の実験系支援システムは、他の分野の実験系についても利用できることは言うまでもない。
また、上記各実施形態では、実験系を構成する各実験の結果は数値データであるとして説明したが、実験結果は単に目的物質の存在が確認されたかどうかというような定性的な結果の場合もある。
さらに、各実施形態では、ラボノート作成プログラム74はサーバ2に実装されていて実験用携帯端末3が呼び出して実行したが、実験用携帯端末3に予めインストールされていても良い。
1 実験室
11 実験機器
12 実験機器
13 実験機器
2 サーバ
3 実験用携帯端末
4 閲覧用端末
5 ネットワーク
61 機器用ソフトウェア
62 説明ファイル
63 認証用DBF
64 ノート管理用DBF
65 実験系情報DBF
66 ラボノートテンプレートファイル
67 ラボノートファイル
68 メンバ情報DBF
70 メインウインドウ
701 実験系選択画面
702 初期実験画面
703 2番目実験画面
704 3番目実験画面
705 終了確認画面
706 コメント入力画面
707 ラボノート選択画面
8 タイムスタンプサーバ
80 ハッシュ値
81 タイムスタンプトークン

Claims (7)

  1. 関連した複数の異なる実験よりなる実験系の実施を支援する実験系支援システムであって、
    サーバと、実験用携帯端末と、機器用ソフトウェアと、実験系実施プログラムとを備えており、
    実験用携帯端末は、サーバに加え、実験室に設置されている複数の実験機器との間で情報の送受信が可能であって、複数の実験機器は、前記複数の異なる実験を行う際に使用されるものであり、
    機器用ソフトウェアは、測定値に対して適用されることで対象物についての定量又は同定を可能にするためのデータである検量線データを少なくとも含むものであって、使用される複数の実験機器の各々について設けられており、且つサーバの記憶部に記憶されていて実験用携帯端末にダウンロードされることが可能なものであり、
    実験系実施プログラムは、実験用携帯端末にインストールされていて実行可能であるか、又はサーバ上に実装されていて実験用携帯端末からの要求によって実行可能とされているプログラムであり、
    実験系実施プログラムは、各実験機器での測定値に対して機器用ソフトウェアに含まれる検量線データを適用して各実験の結果を得るものであって、目的とする実験系に応じて定められた順序で機器用ソフトウェアを選択して使用するプログラムであることを特徴とする実験系支援システム。
  2. 前記サーバの記憶部には、前記実験系実施プログラムが実行されたことを示す実験ログファイルが記憶されており、
    前記実験系実施プログラムは、プログラムが実行された旨及び各実験において取得されたデータを実験ログファイルに記録するものであり、
    前記サーバは、前記実験用携帯端末以外の端末からアクセスがあった際に当該端末に実験ファイルの内容を閲覧させるものであることを特徴とする請求項1記載の実験系支援システム。
  3. 前記実験系実施プログラムは、前記検量線データの適用結果から当該実験が正しく行われたか否かを評価する評価モジュールを有していることを特徴とする請求項1又は2記載の実験系支援システム。
  4. 前記実験系実施プログラムは、前記評価モジュールにより当該実験が正しく行われたと評価された場合に限りに実験系の次のステップに進むプログラムであることを特徴とする請求項3記載の実験系支援プログラム
  5. 前記サーバの記憶部には、前記実験系実施プログラムが実行されたことを示す実験ログファイルが記憶されており、
    前記実験系実施プログラムは、前記評価モジュールによる当該実験の評価結果を実験ログファイルに記録するものであり、
    前記サーバは、前記実験用携帯端末以外の端末からアクセスがあった際に当該端末に実験ファイルの内容を閲覧させるものであることを特徴とする請求項3又は4に記載の実験系支援システム。
  6. 前記実験用携帯端末は、各実験機器との間で無線通信を行うことにより情報の送受信を行うものであることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の実験系支援システム。
  7. 各実験機器を使用しながら行った実験の結果を記録したラボノートファイルを作成してサーバの記録部に保存するラボノート作成プログラムが設けられており、
    ラボノート作成プログラムは、実験系実施プログラムにおいて呼び出されて実行されるサブプログラムであって、実験系実施プログラムで取得されて保持されたデータを組み込んでラボノートファイルを作成するプログラムであることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の実験系支援システム。
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