以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。本発明の実施例は、研究開発に付随するデータおよび情報の収集、これらの関連付けおよび解析等の効果的な情報の運用により、研究開発の効率向上を図る研究開発支援システムおよびアプリケーションソフトウエアに関する。
研究開発業務では、毎日同じような実験を繰り返す場合もあるが、日によって使用する装置や実験室も変化する場合が多い。このため人の動きをセンシングしても、製造部門のような定型作業とは異なるため、センシングでの作業データ取得および解析による研究開発の効率向上はあまり期待できない。
毎日異なる作業が発生する可能性が高い研究開発部門では、人が何の装置をどのように使っているかのデータを取得して解析したほうが、研究開発の効率化につながると考えられるが、現状はそのような状況にはなっていない。特定の装置について、いつ誰がどのような内容で使用したかという利用情報を紙のノートに記録することがよくみられるが、この記録が電子化、データベース化されて活用されていない。
スケジューリング機能のあるソフトウェアで実験装置の使用予約を行う場合も見られるが、その予約データは、実際の装置使用データと合わせてデータベース化されてはいない。このため研究開発部門では、実験装置の管理者はわかるものの、実際に装置を使っている人の名前、使用時間、当該装置で行った実験の内容などの記録が電子化、データベース化されて、検索などで活用される状況になっていない。
複数の実験データの関連付けによって、実験データの整理や解釈という観点では効率向上が期待できる一方、実験そのものが研究計画に従って効率的に行われているかという観点では効率向上の検証ができにくい。企業の研究開発部門が所有する様々なデータベースも、特定の業務のアプリケーションソフトウエア専用として設計され、別の用途のアプリケーションソフトウエアおよびデータベースとは連携できない場合が多い。このため、一連の実験からどのような研究成果(特許出願や学会発表、製品化など)が得られたかを検証する場合、必要な情報にたどり着くためには複数の社内データベースを一つずつ検索することになり、作業効率が良いとは言い難い。
企業の製造部門では装置の使用条件はほぼ一定であるのに対し、研究開発部門では実験装置の使用条件を様々に変化させて実験データを取得している。このため、実験装置の使用におけるノウハウや過去の使用実績のデータを参考にすることは、研究開発を効率的に進めるために重要となる。
例えば、若手研究者はベテランよりも知識や経験が不足しているため、使用経験のない装置を取り扱う際、しばしばベテランの第三者の知見が必要になる場合がある。このとき研究者の専門分野、研究成果、使用実績のある装置、装置の使用上のノウハウ等のデータが相互に関連づけられていなければ、複数の社内データベースを個別に検索することになって適任者の発見に時間がかかり、研究開発が遅延する一因となる。
また、近接する研究分野や、一見関係が浅く思える研究分野の研究者が用いた実験装置および研究成果から、自分の課題を解決するヒントが得られる場合があるが、異なる複数のデータベースに格納されたデータや情報に関連付けがないと、新しい発想や課題解決のヒントが得られにくい。
研究開発は、研究の立案から始まり、研究計画作成、実験、データ整理と解析、社内の成果報告書作成、特許出願、論文投稿や学会発表、次の研究の立案という一連の作業で構成される。更には研究開発に付随する部品や消耗品の購買や、メンテナンスに代表される実験装置の管理も必要である。現状では、研究開発に付随する情報(実験データを含む)は、特定の用途に特化された複数の専用データベースに分散されており、相互の関連付けがなされていない。
計画的な実験の実施だけでなく、研究開発資産の有効活用および新規なアイデアの創出を含む全体的な研究開発の効率向上のためには、局所的な最適化や効率向上だけでは不十分であり、研究開発業務の全体を俯瞰して必要なデータや情報を関連付けて提示できる仕組みが必要となる。具体的には、関係性の高い事項が自動的に紐付けられて検索できる仕組みや、検索する人または検索される項目の特性や動向に沿って、検索関連事項を推薦(レコメンド)する仕組みなどが必要となる。
以下において、実験装置の使用状況を含む研究開発に付随するデータおよび情報を効果的に収集し、これらの関連付けと解析等の効果的な情報の運用により、研究開発の効率向上を図る研究開発支援システムを説明する。以下に開示する研究開発支援システムは、検索によって研究開発に伴う情報を関連付けて研究開発を支援する情報を生成し、提示することが可能であり、研究開発を効率化させることができる。
以下に開示するシステムにおいて、研究開発を行う研究者は、当該研究者を他の人達から区別することが可能な固有の研究者識別子(研究者ID)を所有している。研究者識別子の例は、研究者ID番号であり、例えば、企業における従業員番号と共通でもよい。当該研究者が他人から区別可能な他の識別子を使うことも可能である。
研究者が実験で利用する装置も、当該装置を他の装置から区別することが可能な固有の装置識別子(装置ID)を持つ。この装置識別子として、例えば企業が所有する資産を管理する際に用いる資産管理番号が利用可能であるし、当該装置が他の装置から区別可能な他の識別子を使うことも可能である。
装置利用記録は、研究者が装置を利用した際の利用記録であり、研究者ID、装置ID、人が装置を利用開始した時間(対向開始時間)、および人が装置を利用終了した時間(対向終了時間)を含む一式のデータを指す。当該装置利用記録は、後述する適切な方法によって取得および回収され、装置利用データベースに蓄積される。
図1は、本実施例の研究開発支援システムの全体構成図である。装置を利用する研究者101は、センサ端末として研究者ID番号発生装置102を身に着けている。一方、研究者が利用する装置103にも、センサ端末として装置ID番号の発生装置104が備え付けられている。
研究者と装置が対向して実験を開始した時、対向開始時間704が記録される。実験が終了して研究者が装置から離れた時には、対向終了時間705が記録される。1件の装置利用記録105は、図7に示すように、研究者ID番号402、装置ID番号501、対向開始時間704、および対向終了時間705を含む一式のデータであり、装置利用データベース125に蓄積されている。
装置利用データベース125は、研究開発支援システム106の構成要素の一部であり、管理サーバ126に接続されている。当該システムにはその他に、研究関係のデータベース群107として、研究者の情報を格納する研究者情報データベース127、研究テーマデータベース108、社内特許データベース109、研究報告書データベース110、社外発表データベース111を含み、管理サーバ126に接続されている。なお、データベースの種類及び数はシステム設計により変化し得、1以上のデータベースが格納する情報のデータ構造も設計により変化し得る。
研究開発支援システム106は、さらに、実験関係のデータベース群112として実験情報データベース113および、材料分野の研究開発の場合はマテリアルズインフォマティクスシステム(MIシステム)114を含み、それらは管理サーバ126に接続されている。また、資産および経理関係のデータベース群115として、資産データベース116および発注データベース117を含み、それらは管理サーバ126に接続されている。研究開発支援システム106は、さらに、経営関係のデータベース群118として、売上データベース119を含み、それらは管理サーバ126に接続されている。
上記以外のデータベースも研究開発支援システム106に含めることが可能である。例えば、物質科学や材料工学に関する研究開発においては、安全衛生関係のデータベース等も含めることが可能である。なお、これらのデータベース群は、研究開発支援システム以外のシステムに従来含まれていたものを流用することが可能である。例えば、資産データベース116は、組織内で実験装置等の研究開発資産を管理する従来の資産管理システムに含まれる資産データベースを流用することが可能である。発注データベース117は、従来から社外物品の購買に用いている発注管理システムに含まれる発注データベースを流用することが可能である。
上記の研究開発支援システムを構成するデータベース群は、組織内(例えば会社内)に所属するデータベース群である。これらに加えて、インターネット接続により、組織外のデータベース群として、例えば研究開発関係の論文誌のデータベース120、国内外の特許のデータベース121、材料分野の研究開発の場合は物質情報に関するデータベース122、関係のある他の組織のホームページへのリンク123等を研究開発支援システム106に接続することも可能である。
研究開発支援システム106は、入力および出力手段として、パーソナルコンピュータ(PC)やタブレット端末等のクライアント端末124を含むことができる。クライアント端末124は、管理サーバ126ネットワークを介して通信可能である。
クライアント端末124は、プロセッサ、当該プロセッサが実行するプログラム及びそれらのデータを格納する記憶装置、並びにネットワークに接続するインタフェースを含む。なお、プログラムおよび記憶装置は、クライアント端末124の内部に限らず、ネットワークを介して別の場所に設けることも可能である。クライアント端末124は、例えば、入力デバイスとしてマウス、キーボード、および/またはタッチパネルを含むことができ、出力デバイスとして表示デバイスおよび/またはプリンタを含むことができる。
研究開発支援システム106には、上記データベース群を管理するための管理サーバ126が備わっている。図2に管理サーバ126のシステム構成図を示す。管理サーバ126は、演算と制御を行うプロセッサ202、記憶装置203、ネットワークインタフェース(I/F)204を備え、これらはバスを介して通信可能である。これら構成要素の数は限定されない。更にこの管理サーバ126には、レコメンデーションを実施する際に用いる検索結果専用データベース205を備えることも可能である。
記憶装置203は、プロセッサ202が実行するプログラム及びそれらが使用するデータを格納する記憶媒体を含む。プログラムは、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを含む。プロセッサ202は、記憶装置203に格納されているプログラムに従って、様々な処理を実行する。プロセッサ202がプログラムに従って動作することで、様々な機能部が実現される。
管理サーバ126は、I/F204を介して、ネットワークに接続する。管理サーバ126は、さらに、入出力インタフェースおよび入出力デバイスを含むことができる。管理サーバ126は実現する機能は、複数の計算機によって分散処理されてもよい。
図3は、研究開発支援システム106のデータベース群において、それぞれのデータベース108~111、113、116、117、119、125および127に格納されているデータおよび情報の内容を示す図である。なお、当該データベース群には図3に記載された以外の情報を格納することも可能である。
図4は、研究者側のセンサ端末である研究者ID番号発生装置102を示す図である。図に示すように、研究者は、センサ端末として、研究者ID番号発生装置102を身に着ける。身に着ける方法として、服に縫い付けられたネームタグ、取り外しが可能な胸章、首からぶら下げるIDカードなどが可能である。さらに、研究者ID番号発生装置102は、メガネ型またはリストバンド型であってもよい。市販品の腕時計や携帯電話、スマートフォンが、本実施例の実施に必要なセンサや機能を備えていればセンサ端末として使うことも可能である。
研究者ID番号発生装置102は、時刻を記録するときに時間を確認するための時計401、研究者個人を識別する研究者ID番号402が記憶されたROM403を含む。研究者ID番号発生装置102は、さらに、他の装置とデータの送受信をする際に用いる送受信装置404、I/O制御装置405、複数回の装置利用記録406が記録されたメモリ407、バッテリ408を備える。研究者ID番号発生装置102が後述の非接触式のセンサ端末の場合は、研究者ID番号発生装置102は、送受信装置404に加えて赤外線センサまたは赤外線ビーコンを備えることが望ましい。赤外線以外の周波数帯域を用いることも可能である。
なお、利用記録データを記録するのに用いるメモリは、研究者ID番号発生装置102ではなく、後述する装置ID番号発生装置104に備えることも可能である。二種類のID番号発生装置(センサ端末)のどちらか一方または両方に、装置利用記録データが書き込まれたメモリが存在すればよい。時計も、二種類のID番号発生装置どちらか一方または両方に備えることが可能であるが、メモリを備えるID番号発生装置には時計を備えることが望ましい。
図5は、装置側のセンサ端末である装置ID番号発生装置104を示す図である。装置ID番号発生装置104は、研究者が実験に使用する装置に固定されている。装置ID番号発生装置104は、装置ID番号501が記憶されたROM502、他の装置とデータの送受信をする際に用いる送受信装置503、I/O制御装置504、バッテリ505を備える。装置ID番号発生装置104が後述の非接触式のセンサ端末の場合は、装置ID番号発生装置104は、送受信装置503に加えて赤外線センサまたは赤外線ビーコンを備えることが望ましい。赤外線以外の周波数帯域を用いることも可能である。
装置利用記録の作成および取得方法として、接触方式と非接触方式が可能である。接触方式は、研究者側および装置側の二つのセンサ端末を接触させることによって利用記録を構成するデータを生成および取得する。非接触方式は、二つのセンサ端末を接触させることなく、赤外線通信や赤外線以外の周波数を用いる無線通信等の手段で利用記録を構成するデータを生成および取得する。
接触方式の場合、二つのセンサ端末が接触しやすいように、装置ID番号発生装置104は、実験に使用する装置の前面、側面または上面に露出して配置することが望ましい。非接触方式の場合も、二つのセンサ端末が、赤外線通信または無線通信等によるデータの送受信を行いやすいように、装置ID番号発生装置104を実験装置の前面、側面または上面に露出して配置することが望ましいが、通信の妨げにならなければ装置背面に配置することも可能である。
接触方式の場合、正確な装置利用記録を発生および取得するためには、研究者は実験の開始時点および終了時点のそれぞれにおいて、携帯しているセンサ端末102を装置側のセンサ端末104に接触させる必要がある。このため、研究者が実験中に実験装置の前から一時的に離れる場合、正確を期すならば、離席のたびにセンサ端末同士102、104を接触させる必要がある。また研究者が実験開始前や実験終了時にセンサ端末102、104を接触させることを忘れる場合も想定される。
このため接触方式では、研究者がセンサ端末102、104の接触を忘れないように、必要に応じてセンサ端末102、104の接触を促す音声を流したり、センサ端末102、104の接触がないと実験装置の電源のON/OFFができないような仕組みを併用することが望ましい。これら以外の、センサ端末102、104の接触忘れを防止する仕組みも可能である。
非接触方式の場合は、接触方式のように、研究者側および装置側のセンサ端末102および104の接触を忘れることに由来する利用記録作成エラーが発生しにくい。図6に非接触方式における装置利用記録の作成に関する情報処理フローを示す。実験装置側の固定センサ端末104は、一定の時間間隔で赤外線ビーコンを発信する。この赤外線ビーコンには装置ID番号501に関する情報も含まれている。研究者側のセンサ端末102は赤外線センサを用いて当該ビーコンを受信する。
研究者側のセンサ端末102は、研究者が実験を行う装置に対して、所定の距離未満に近づき(602)、かつ所定の時間以上その状態が持続しているか(603)、判定を繰り返す。研究者側のセンサ端末102は、装置側のセンサ端末104から受信したビーコンの強度により、実験装置からの距離を判定する。ビーコン強度が閾値より大きい場合、研究者は実験装置に対して所定の距離未満にいると判定する。
研究者側のセンサ端末102が実験装置に対して、所定の距離未満に近づき(602:YES)、かつ所定の時間以上その状態が持続している場合(603:YES)、研究者側のセンサ端末102は、装置側のセンサ端末104の装置ID番号をメモリ407に記録する(604)。研究者側のセンサ端末102は、このとき、端末内のROM403にある研究者ID番号402もあわせて記録する(605)。また、研究者側のセンサ端末102は、装置ID番号501を記録した時刻をもって対向開始時間704とし、これをセンサ端末内のメモリ407に記録する(606)。
研究者が装置に対して、所定の距離以上になり(607:YES)、かつ所定の時間以上その状態が持続していると判定すると(608:YES)、研究者側のセンサ端末102は、所定の距離以上になった時間をもって対向終了時間705とし、これをセンサ端末内のメモリ407に記録する(609)。
図7は、一回分の装置利用記録105を示す。一回分の装置利用記録105は、研究者ID番号402、装置ID番号501、対向開始時間704、対向終了時間705を含む一式のデータ701である。なお、非接触方式における装置ID番号の取得、対向開始および終了時間の取得方式として、上記以外の方法も可能である。
上記の非接触方式によって、研究者側のセンサ端末102のメモリ407には、複数回の装置利用記録のデータが書き込まれる。図8は研究者側のセンサ端末102のメモリ407に記録された複数回分の装置利用記録800の例を示すテーブルである。装置利用記録800において、各一回分の装置利用記録にはレコード番号801が付けられる。
次に、研究者側のセンサ端末102のメモリ407に格納されている複数回分の装置利用記録を回収する方法を説明する。図9に回収方法の一例を示す。研究者側のセンサ端末102を定期的に専用クレードル901等に接触させることによって、装置利用記録406を、当該センサ端末102にあるメモリ407からクライアント端末124および社内ネットワーク接続902を経由して装置利用データベース125へ転送する。
研究者側のセンサ端末102を専用クレードルに接触させる頻度は、一日に1回程度が望ましい。例えば一日の仕事が終了して研究者が職場から去る時に、研究者側のセンサ端末102から装置利用記録を回収することが可能である。それ以外の頻度、例えば週1回程度も可能であるが、その後のデータ利用を考慮すると、あまり長期間、装置利用記録を回収しないことは望ましくない。
研究者側ではなく装置側のセンサ端末104のメモリ(不図示)に装置利用記録が存在する場合も、同様の方法によって、当該メモリ内のデータを装置利用データベース125に転送することが可能である。また別の方法として、装置側のセンサ端末104を社内ネットワークに接続し、当該センサ端末104が、そのメモリに蓄積された装置利用記録を、専用クレードルを介さずに装置利用データベース125に転送することも可能である。
以上より、本実施例により、実際に仕事をしている研究者の負担を増やすことなく、また実験の妨げにならずに、研究開発の効率向上を可能とする装置の稼動状況のデータ(利用記録)を取得することができる。
本実施例では、研究開発支援システム106において、実施例1で取得した装置利用記録800を格納した装置利用データベース125、研究者情報データベース127、資産データベース116および研究テーマデータベース108を基に、研究開発に携わる人(研究者)または管理者が自分の所属する組織に存在する装置を検索する例を示す。
図10は装置検索画面の一例1000を示す図である。管理サーバ126は、このような装置検索画面1000のデータを生成し、研究開発支援システム106に接続されている研究者や管理者のパーソナルコンピュータやタブレット端末といったクライアント端末124に送信する。クライアント端末124は、装置検索画面1000を表示する。当該画面は研究者や管理者が装置を検索する時のユーザインタフェースとなる。なお、図10に示す装置検索画面1000の表示情報の一部は省略されてよい。
装置検索画面1000は、検索ワードを入力する窓1001、検索開始ボタン1002、検索の結果として抽出された装置の名称から成るリスト1003等を含む。また、検索結果から特定の装置が指定されると、装置検索画面1000は、当該装置を使用している複数の研究者(ユーザ群)を表示欄1004内に図示することが可能である。更に、装置検索画面1000は、当該装置の仕様に関する情報および設置場所1005を表示することも可能である。
装置検索画面1000は、資産データベース116および発注データベース117へのリンク1010を含んでもよい。詳細な情報が必要な場合、検索者は、リンク1010から資産データベース116および発注データベース117へアクセスして、追加情報を抽出することも可能である。
表示欄1004内で当該装置のユーザ群の中から特定の研究者が指定されると、装置検索画面1000は、当該研究者の所属、肩書き、専門、現在の研究テーマ等の、当該研究者のプロパティ1006を表示することができる。当該研究者に関する詳細な情報が必要な場合、検索者は、該当するデータベースへのリンク1011を介して、それらのデータベースで追加情報を抽出することも可能である。
また、装置検索画面1000は、当該装置の借用に関する情報1007や当該装置のメンテナンスに関する情報1008といった、検索ワードには含まれていないが検索を行った人が参考にすることができる付随情報を表示することも可能である。また、レコメンド技術によって得られた付随情報1009を併せて表示することも可能である。
次に、装置検索画面1000に表示された情報を取得する際に用いられるデータベース群および、当該データベースに格納された情報について説明する。図11Aは、研究開発支援システム106において、装置利用データベース125に格納されている装置利用情報1100の一例を示す図である。図11Bは、装置利用データベース125に格納されている装置予約状況に関する情報1110の一例を示す図である。
図11Aは、研究者が装置を利用することによって発生した装置利用記録に関する情報1100の一例を示す図である。図8に示すように、センサ端末には、レコード番号801、研究者ID番号402、装置ID番号501、対向開始時間704および対向終了時間705を含む装置利用記録800が蓄積されている。装置利用データベース125には、装置利用記録のデータが、様々な研究者または装置のセンサ端末から転送され、集積されている。このような加工前の生データをそのまま利用することも可能であるが、図11Aに示した例では、利便性のために、転送された装置利用記録の生データを積算処理している。
図11Aの例では、装置利用情報1100は、登録番号1101、装置ID番号501、研究者ID番号402、月毎の利用時間1102およびそれらを積算した合計利用時間1103を含む。なお登録番号1101は、データを送信したデータ端末の識別番号および当該データ端末に格納された装置利用記録のレコード番号801を反映することが可能である。装置利用データベース125には、センサ端末から受信した装置利用記録の生データ800と、図11Aに示すような積算処理を施した装置利用情報1100の両方が存在し、互いに参照可能な状態にあるのが望ましい。装置利用情報1100は、装置名称および/または研究者名(利用者名)を含んでもよい。
図11Bは、装置利用データベース125に格納されている、装置の使用予約に関する情報1110の一例を示す図である。装置予約情報1110は、装置ID番号501、装置名称1111、装置管理者名1112および研究者ID番号402、当該装置管理者のメールアドレスといった連絡先1113、装置を予約した日時1114、予約者名1115および研究者ID番号402、当該予約が承認されたか否かを示すステータス1116、特記事項1117を含む。実際の装置の予約は市販のスケジューラ・ソフトウェアを使用し、この内容を当該装置予約情報1110に反映させることも可能である。
図12Aは、研究開発支援システム106において、資産データベース116に格納されている装置の資産情報1200の一例を示す図である。資産情報1200は、装置に固有となる資産番号1201、資産名称1202、資産管理者名1203および研究者ID番号402、設置場所1204、購入年月日1205、特定の日付における帳簿上の価格(簿価)1206、当該装置の製造メーカ名称1207、装置仕様1208、および付属品情報、装置改造情報、棚卸情報といった付帯情報1209で構成されている。なお各装置に固有である資産番号1201および資産名称1202は、前述の装置ID番号501および装置名称1111として使用することが可能である。
図12Bは、研究開発支援システム106において、研究者情報データベース127に格納されている研究者情報1250の一例を示す図である。研究者情報1250は、研究者に固有となる研究者ID番号402、研究者の氏名1251、研究者の所属1252、研究者の肩書1253、および研究者の専門1254、を含む。
図13Aは、研究開発支援システム106において、研究テーマデータベース108に格納されている組織内の研究開発テーマに関する情報1300の一例を示す図である。研究開発テーマに関する情報1300は、研究開発を依頼したまたは関係のある事業を示す依頼元番号1301、研究開発テーマに固有の研究番号1302、研究開発テーマ名1303、当該研究開発テーマの研究期間1304、研究予算1305、当該研究開発テーマに従事する研究者名1306および研究者ID番号402を含む。これらの情報に、特定の日時時点における研究開発の進捗状況に関する情報1307を加えることも可能である。
図13Bは、研究開発支援システム106において、研究テーマデータベース108に格納されている、任意の研究開発テーマについて、当該テーマの研究計画に関する情報の一例1310を示した図である。研究計画に関する情報1310は、当該研究開発テーマに固有の研究番号1302、研究開発テーマ名1303、研究期間1304に加えて、当該研究開発テーマにおける達成目標1315、具体的な研究計画として実施項目1316、マイルストン1317などを含む。当該研究開発を実施中に作成した週間報告書(週報)1318や、会議資料1319などへのリンク情報を付加することも可能である。これらの週報や会議資料は、研究開発テーマに関係する情報として、研究テーマデータベース108に格納することが可能である。
図14、図15、図16は、それぞれ当該システムにおいて、社内特許データベース109、研究報告書データベース110、社外発表データベース111に格納されている情報の一例を示す図である。
図14は社内特許に関する情報1400のテーブルであり、特許出願案件に関する社内整理番号1401、特許名称1402、発明者となる研究者名1403および研究者ID番号402、その発明のもとになった研究開発テーマ名1303および研究番号1302、特許明細書の社内提出日1404、出願番号1405および出願日1406を含む。これらに加えて、当該出願案件の公開番号および公開日、特許成立に関するその後の経緯(審査請求の有無、特許番号等)も追加することが可能である。
図15は、研究報告書に関する情報1500のテーブルであり、研究報告書の番号1501、報告書名称1502、報告者である研究者名1503および研究者ID番号402、その報告書のもとになった研究開発テーマ名1303および研究番号1302、報告日1504、検索のために報告書の内容を連想させるキーワード1505を含む。これら以外の情報を追加することも可能である。
図16は、社外発表に関する情報1600のテーブルである。ここで言う社外発表とは、口頭またはポスター形式による学会発表、論文誌へ投稿した論文、専門誌への記事解説、社外へのニュースリリース等の研究開発の成果を何らかの形で社外に出したものを指す。当該情報テーブルは、社内整理番号1601、発表等のタイトル1602、発表した学会名または雑誌名などの発表媒体名1603、発表日1604、発表した研究者名1605および研究者ID番号402、社外発表のもとになった研究開発テーマ名1303および研究番号1302、検索のために社外発表の内容に関連したキーワード1606を含む。これら以外の情報を追加することも可能である。
次に、装置検索画面1000に表示された情報の取得方法について、図17の情報処理フローを用いて説明する。最初に、検索者は、クライアント端末124において、図10の検索窓1001に検索用キーワードを入力する。当該キーワードは複数個を入力することが可能だが、キーワードとして装置に関する名称を含む。装置に関する名称は、装置の名称の一部または全部を指す。これに加えて、検索用キーワードとして、装置が存在する場所や、装置の仕様における特徴などを入力することができる。キーワードとして入力された装置に関する名称および追加のキーワードは、検索条件を構成する。
研究開発支援システムの管理サーバ126は、クライアント端末124から検索条件を受信し、検索条件から単数または複数から成るキーワードを取得する(1702)。
次のステップで、管理サーバ126は、キーワードに合致または近似する装置の名称1202を資産番号1201(または501)とともに、資産データベース116で検索する(1703)。該当する案件が存在する場合(1703:YES)、管理サーバ126は、該当する装置の名称1202及び資産番号1201を抽出し、優先順位の高い順にリストアップする(1705)。このとき、管理サーバ126は、装置の名称とともに、資産データベース116に格納されている資産番号1201(装置ID番号)、管理者名1203、設置場所1204等の情報も抽出しておく。
なお、検索の結果、該当する案件がない場合は(1703:NO)、管理サーバ126は、その旨を装置検索画面1000に表示し、別の検索ワードの入力を促すことも可能である(1704)。管理サーバ126は、リストアップされた装置群を優先順位の高い順に、所定の案件数を検索画面1000に表示する(1706)。
検索者は、クライアント端末124において、ステップ1706で検索結果として表示された装置群から、特定の装置を指定して、当該装置の利用に関する詳細を更に表示させることが可能である。特定の装置が指定された場合(1707:YES)、管理サーバ126は、クライアント端末124から受信した要求から指定された装置のID番号501を読み取る(1708)。
管理サーバ126は、装置利用データベース125において該当する装置IDを検索する。該当する装置IDの利用記録があれば(1709:YES)、管理サーバ126は、装置利用データベース125から、当該装置を利用している研究者のID番号402、利用者ごとの当該装置利用時間に関する情報1103を抽出し(1711)、当該装置の利用頻度が高い順にリストアップして出力する(1712)。利用頻度は、例えば、過去の所定数の月の合計利用時間により決定される。さらに、管理サーバ126は、研究者情報データベース127から、当該研究者のID番号402の情報である研究者名1251、所属1252、肩書1253、専門1254に関する情報を抽出する。このとき、図10の表示欄1004に示すように、当該装置と利用者の関係をわかりやすい図で表示することが可能である。当該装置IDの利用記録がなければ(1709:NO)、管理サーバ126は、その旨を表示する(1710)。
検索者は、検索結果として表示された装置群から、特定の装置について製造メーカ名、仕様、設置場所、管理者氏名などの資産に関する詳細情報を更に表示させることが可能である。特定の装置の資産情報が必要な場合(1721:YES)、つまり、クライアント端末124から特定の装置の資産情報の要求を受けた場合、管理サーバ126は、要求から指定された装置の装置ID番号を読み取り(1722)、資産データベース116から装置の詳細情報を抽出し(1723)、当該情報を出力する(1724)。
検索者は、検索結果として表示された複数の研究者から、特定の研究者を指定して、当該研究者に関する情報を更に表示させることも可能である。特定の研究者が指定された場合(1713:YES)、つまり、クライアント端末124から特定の研究者の情報の要求を受けた場合、管理サーバ126は、要求から当該研究者のID番号402を読み取る(1714)。管理サーバ126は、研究開発支援システム106にある研究テーマデータベース108、社内特許データベース109、研究報告書データベース110、社外発表データベース111および研究者情報データベース127を含む研究関係データベース群107から、当該研究者の研究テーマ等の研究に関する情報を抽出し(1715)、抽出された項目と所属、肩書き、専門等の抽出済みの項目をひとまとめにして出力する(1716)ことが可能である。
特定の装置が指定された際、当該装置の利用または資産情報に関して付随する情報が、装置利用データベース125または資産データベース116に存在する場合(1717:YES)は、管理サーバ126は、当該装置ID番号501をもとにして装置利用データベース125、資産データベース116から付随情報を抽出し(1718)、出力する(1719)ことが可能である。付随情報の例として、装置の借用に関する特記事項1007、当該装置のメンテナンスに関する情報1008が挙げられる。
管理サーバ126は、検索に用いられたキーワードや検索結果を検索結果専用データベース205に蓄積することが可能である。この検索結果専用データベースと当該システムに既に接続されているデータベース群とを組み合わせてレコメンドに用いるデータベースと成すことが可能である。管理サーバ126は、任意のアルゴリズムや方式を用いてレコメンド用のモデルを作成しておき、検索のキーワードが入力された際に、当該キーワードまたは検索結果に関連付けられる新たなデータや情報を、レコメンドとして表示することも可能である(1717~1719)。
図10に示す装置検索画面1000は、レコメンド情報1009として、特定の装置を利用している研究者達が使っている装置の名称を表示している。レコメンドを含む付随情報がより具体的な内容を備えるようになると、検索者は、装置に関するより具体的な情報を得ることが可能になる。その結果、当該装置の借用や実際の運用において、従来存在した様々な手続き等を簡略化することが可能になり、研究開発の効率化を図ることができる。
以上より、研究開発支援システム106を用いることにより、研究開発を進める上で必要な装置に関する情報入手が容易となるため、研究開発効率向上を図ることが可能となる。
本実施例では、研究開発支援システム106において、実施例1で取得した装置利用記録800を格納した装置利用データベース125、当該システム106の資産データベース116、研究者情報データベース127および発注データベース117を用いて、研究開発に携わる人(研究者)または管理者が特定の装置の利用状況について検索する場合の例を示す。
図18は装置利用状況を検索する画面1800の一例を示す図であり、検索者にとってのユーザインタフェース画面である。実施例2の場合と同様、管理サーバ126は、このような画面のデータを生成して、研究開発支援システム106に接続されているクライアント端末124に送信し、クライアント端末124は受信したデータの画面を表示することができる。なお、図18に示す装置利用状況画面1800の表示情報の一部は省略されてよい。
この装置利用状況画面1800には、特定の条件に合致または近似する装置のリスト1803が表示される。このリストとして、実施例2に示した装置検索で得られた結果を流用することが可能である。または、検索者が、新規に装置に関する検索用キーワードを、当該画面1800にある検索窓1801に入力して、装置利用状況画面1800に、検索条件に合致また近似する装置のリストを表示させることも可能である。装置利用状況画面1800は、研究開発支援システム106の利用者が管理している装置群のリストを表示することも可能である。
リストにある装置から特定の装置(図18の例において装置B)が指定されると、装置利用状況画面1800は、当該装置に関する利用状況1804を、装置名称、当該装置の資産番号、当該装置の管理者名とともに表示することができる。装置利用状況の内容は、当該装置を利用している研究者の氏名1805および研究者ID番号402、利用者毎の週、月、半年といった時間単位での当該装置の利用予定時間1806および利用実績時間1807を表示することが可能である。
また、装置利用状況画面1800は、メンテナンスに要した時間1808および内容1809も併せて表示することが可能である。当該装置の発注または資産に関する詳細な情報が必要な場合は、検索者は、該当するデータベースにリンク1810を介して、それらのデータベースから追加情報を抽出することも可能である。検索者が参考にすることができる付随情報として、装置利用状況画面1800は、レコメンド技術によって得られた情報1811を併せて表示することも可能である。図18では例として、未来のメンテナンス時期のレコメンド情報を記載している。
次に、装置利用状況画面1800に表示された情報を取得する際に用いるデータベース群および、当該データベースに格納された情報について説明する。装置利用データベース125、資産データベース116および研究者情報データベース127に関しては、図11、図12Aおよび図12Bで既に説明した。図19は、発注データベース117に格納されている発注に関する情報1900の一例を示す図である。
発注情報1900は、各発注案件に固有の発注番号1901、発注名称1902、発注内容の分類1903、発注者名1904および研究者ID番号402、発注に要した金額を負担する部署または研究開発テーマを識別する予算番号1905、当該発注案件の発注日1906および納品日1907、発注先名称1908、発注価格1909を含む。これら以外の発注に関する情報を特記事項1910付加することも可能であり、例えば発注名称に装置名称が含まれる場合は、当該装置の資産番号を補足事項として入力しておくことも可能である。
次に、装置利用状況画面1800に表示された情報の取得方法について、図20の情報処理フローを用いて説明する。装置利用状況の検索において、特定の条件に合致する装置の利用記録を取得するまでのステップは、実施例2に記載した手順と同様の手順を辿る。
具体的には、検索者はクライアント端末124において、図18の検索窓1801に装置名称を含むキーワードを入力する。研究開発支援システムの管理サーバ126が当該キーワードを含む検索条件をクライアント端末124から取得し(2002)、当該キーワードに合致または近似する装置の名称を資産データベース116で検索し、抽出する(2003)。
管理サーバ126は、検索結果を優先順位の高い順にリストアップして(2005)、当該リストを画面に表示する(2006)。管理サーバ126は、このとき、当該装置の名称とともに装置ID番号501も抽出しておく。検索の結果、該当する案件がない場合は(2003:NO)、管理サーバ126は、その旨を装置検索画面に表示し、別の検索ワードの入力を促す(2004)ことも可能である。
検索者は、前記ステップで検索結果として表示された装置群から、特定の装置を指定して、当該装置に関する利用状況を表示させることが可能である。クライアント端末124から特定の装置が指定された場合(2007:YES)、管理サーバ126は当該装置のID番号501を読み取り(2008)、当該装置の利用記録を装置利用データベース125で検索する。当該装置の利用記録が存在した場合(2009:YES)、管理サーバ126は、当該装置の利用記録(1100および1110)を抽出し(2011)、画面に表示する(2012)。必要により、研究者情報データベース127が参照される。当該記録が存在しない場合は(2009:NO)、管理サーバ126はその旨を表示する(2010)。
このとき図18に示すように、管理サーバ126は、利用状況欄1804において、当該装置を利用している研究者毎に、週、月、半年といった時間単位での当該装置の利用予定時間および利用実績時間を表示することが可能である。更に、当該装置において、定期的な修理や臨時に発生した修理等によって実験に供されなかったメンテナンス時間1808が存在する場合は、管理サーバ126は、これらに関するメンテナンス記録を、装置利用データベース125から併せて抽出し、画面1800に表示することが可能である。
前記ステップで指定した当該装置に関して、修理、定期メンテナンス、改修工事、備品の注文等に関する発注情報(発注記録)1900があれば、管理サーバ126は、これらの記録に関する情報も併せて表示することが可能である。このとき、管理サーバ126は、当該装置のID番号501または装置名称(1111または1202)をもとにして、当該システム106にある発注データベース117から、当該装置に関する発注記録を抽出し(2014)、画面に表示する(2015)。発注記録の内容の例として(1809)、実施項目、発注番号、発注先、費用などが挙げられるが、これら以外の情報も表示することが可能である。
管理サーバ126は、検索に用いられたキーワードや検索結果を検索結果専用データベース205に蓄積することが可能である。この検索結果専用データベース205と管理サーバ126に既に接続されているデータベース群とを組み合わせてレコメンドに用いるデータベースとすることが可能である。これらは付随情報のもととなる。
管理サーバ126は、任意のアルゴリズムや方式を用いてレコメンド用のモデルを作成しておく。検索のキーワードが入力された際に、当該キーワードまたは検索結果に関連付けられる新たなデータや情報が付随情報として存在する場合は(2016:YES)、管理サーバ126は、それらを抽出し(2017)、レコメンドとして表示する(2018)ことも可能である。
図18には、レコメンド情報1811として、特定の装置における将来の修理に関する情報を示した。レコメンドを含む付随情報がより具体的な内容を備えるようになると、検索を行った人は装置に関するより具体的な情報を得ることが可能になる。その結果、当該装置の借用や実際の運用において、従来存在した様々な手続き等を簡略化することが可能になり、研究開発の効率化を図ることができる。
以上より、研究開発支援システム106を用いることにより、研究開発を進める上で必要な装置の利用状況に関する情報入手が従来よりも容易となるため、研究開発効率向上を図ることが可能となる。
本実施例では、研究開発支援システム106において、実施例1で取得した装置利用記録800を格納した装置利用データベース125、当該システム106の資産データベース116および研究テーマデータベース108を用いて、研究開発に携わる人(研究者)および研究開発の管理者が特定の研究開発テーマの進捗状況について検索する場合の例を示す。
図21は研究開発の進捗状況を検索する画面2100の一例を示す図であり、検索者にとってのユーザインタフェース画面である。実施例2および3の場合と同様、管理サーバ126は、このような画面のデータを生成して、研究開発支援システム106に接続されているクライアント端末124に送信し、クライアント端末124は受信したデータの画面を表示することができる。なお、図21に示す進捗状況画面2100の表示情報の一部は省略されてよい。
この研究開発の進捗状況画面2100には、特定の条件に合致または近似するものとして、1件または複数件の研究開発テーマ2103がリストアップされる。1件の研究開発テーマの指定に応答して、進捗状況画面2100は、研究開発テーマの名称2104、研究番号2105、研究計画2106および当該研究テーマに従事している研究者のリスト2107を表示することができる。これらの内容は研究テーマデータベース108から取得されたものである。
研究者リストから特定の研究者の指定に応答して、進捗状況画面2100は、当該研究者が当該研究開発テーマにおいて利用した装置の種類および使用時間を、装置利用状況2108として表示することが可能である。研究開発テーマの研究開発計画を作成した時点で、当該装置の使用予定の情報が作成されていれば、進捗状況画面2100は、当該情報も装置利用実績と共に表示することができる。これらの装置利用時間に関する情報は、装置毎に、週単位、月単位等の任意の時間単位でまとめて表示することが可能である。
進捗状況画面2100は、当該研究開発テーマの実施によって得られた実験データおよび当該データを解析するための専用システムであるデータ解析システムへのリンク2109を含んでよい。検索者は、リンク2109を介して、適切なデータベースから追加情報を抽出することも可能である。更に、検索者は、選択した研究開発テーマの実施によって発生した資料等へのリンク2109を介して、適切なデータベースから追加情報を抽出することも可能である。
これらの資料とは、週報、進捗会議資料、研究報告書、特許明細書、学会発表、論文、ニュースリリース等の社外発表資料、社外にある研究関係のデータベース(物性データベース論文データベースなど)などが挙げられる。これら以外の成果物へのリンクも可能である。
このように、研究開発支援システム106の研究開発の進捗状況画面2100において、現在進行している特定の研究開発テーマの進捗および成果物の状況を一括で確認することが可能になり、研究開発管理者の負担を軽減することが可能となる。さらに画面2100には、研究開発の進捗に関する付随情報をレコメンド2110として表示することが可能である。
次に、前記の研究開発進捗状況の検索画面に表示された情報の取得方法について、図22の情報処理フローを用いて説明する。なお使用するデータベースは研究テーマデータベース108、装置利用データベース125および資産データベース116であり、これらは既に図13、図11および図12Aで説明した。最初に、検索者はクライアント端末124において、図21の検索窓2101に検索用キーワードを入力する。
当該キーワードは複数個を入力することが可能だが、研究開発テーマの名称の全部または一部となるキーワードを必ず含む。これに加えて、依頼元番号、研究番号、研究期間、研究者氏名またはID番号を入力することも可能である。入力されたキーワードは検索条件を構成し、管理サーバ126は、クライアント端末124から、それらを取得する(2202)。
次のステップで、管理サーバ126は、キーワードに合致または近似する研究開発テーマの名1303を研究テーマデータベース108において検索し(2203)、抽出する(2205)。管理サーバ126は、検索結果を優先順位の高い順にリストアップする。このとき、当該研究開発テーマ名1303と共に、研究番号1302、研究内容やマイルストンが記載された研究計画に関する情報1310、従事している研究者名1306および研究者ID番号402も併せて抽出する。
なお、検索の結果、該当する案件がない場合(2203:NO)は、管理サーバ126は、その旨を進捗状況画面2100に表示し、別の検索ワードの入力を促すことも可能である(2204)。管理サーバ126は、リストアップされた研究開発テーマ群を優先順位の高い順に、所定の案件数を検索画面に表示する(2206)。
検索者は、前記ステップで表示された研究開発テーマ群から、特定の研究開発テーマをクライアント端末124から指定して(2207)、管理サーバ126に当該研究開発テーマに関する計画および従事している研究者氏名を表示させる(2208)ことが可能である。
さらに検索者は、当該研究開発テーマに従事する研究者の中から特定の研究者をクライアント端末124から指定して、管理サーバ126に当該研究者の進捗状況を表示させることができる。特定の研究者が指定された場合(2209:YES)、管理サーバ126は、当該研究者の研究者ID番号402を読み取り(2210)、研究開発支援システム106にある装置利用データベース125および資産データベース116から、当該研究者が利用している装置の名称1202、利用時間1103および1102を装置毎に抽出する(2213)。
研究開発テーマの研究開発計画を作成した時点で、当該装置の使用予定の情報が作成されていれば、管理サーバ126は、該研究者の研究者ID番号402をもとに、装置利用データベース125から、装置毎に当該使用予定情報を抽出し、装置利用実績と共に表示する。次に、管理サーバ126は、装置使用時間、使用予定時間を研究計画と合わせて出力する(2214)。このとき研究計画が月単位で記載されていれば、前述の研究者の装置毎の使用時間、使用予定時間を同じ時間単位で記載することが望ましいが、これ以外の表示方法も可能である。
実施例2および3の場合と同様に、検索に用いられたキーワードや検索結果を蓄積した検索結果専用データベース205と当該システムの他のデータベース群を合わせてレコメンドに用いるデータベースとすることができる。管理サーバ126は、レコメンドモデルを使って、入力された検索キーワードまたは検索結果に関連づけられる新たな情報を、前記データベース群から抽出し(2216)、レコメンドとして表示する(2217)ことも可能である。
図21には、レコメンド情報2110の例として、特定の研究計画に従事している研究者の担当している部分の進捗に関する情報を示す。レコメンドを含む付随情報がより具体的な内容を備えるようになると、検索者は、従来の週報や会議資料に加えて、研究開発の進捗状況を装置の利用状況からも把握することが可能になる。その結果、余分な時間を追加することが無く研究開発の進捗を確認することが可能となり、研究開発の効率化を図ることができる。
図23は、研究開発支援システム106におけるポータル画面2300の一例である。実施例2から実施例4記載の各種検索において、このようなポータル画面から検索画面に進むことが可能である。なお、図23に示すポータル画面2300の表示情報の一部は省略されてよい。
当該ポータル画面2300は、各種検索へのリンク2301、各種データベースへのリンク2302のほかに、実験の安全性に関するポータルへのリンク2303、実験室における装置配置図を示す実験室マップ等へのリンク2304を含む。また、管理サーバ126は、市販のスケジューリング・ソフトウエアと連動して、ユーザ個人のスケジュール2305およびタスク2306を表示することができる。このスケジュールおよびタスクの内容として、研究テーマデータベース108や装置利用データベース125に存在する当該ユーザに関係のあるスケジュールを併せて表示することも可能である。
更に、ユーザが管理または常用している装置の稼働状況が一目でわかるような表示欄2307を設けることも可能である。これらの装置稼働状況は、本発明の研究開発支援システムを拡張し、該当する装置群に稼働状況がわかるようなセンサを取り付け、当該センサからの情報を集約および整理して表示することが望ましい。また、管理サーバ126は、レコメンド機能を活用して、ユーザの研究開発に関係する他社の製品情報や特許出願情報など(2308)を併せて表示することも可能である。
本実施例のシステムの延長として、人工知能(AI)を利用した研究開発チャットボットを管理サーバ126に接続することも可能である(2309)。チャットボットは、パーソナル研究アシスタントとして、ユーザが入力する様々な質問に対し、管理サーバ126に備わるレコメンド機能を用いて自動的に最適な回答を返す。なお、チャットボットとユーザとのやりとりの内容についても、専用データベース205に格納され、レコメンド機能を向上させるデータとして活用することができる。
以上より、研究開発支援システム106を用いることにより、研究開発を進める上で必要な研究開発の進捗状況に関する情報入手が従来よりも容易となるため、研究開発効率向上を図ることが可能となる。
本実施例では、研究開発支援システム106において、当該システムの研究テーマデータベース108、装置利用データベース125および実験情報データベース113を用いて、研究開発に携わる人、特に実験を行う研究者が、実験データを含む実験に伴う周辺情報を管理および検索する場合の例を示す。
図24は、研究者が実験情報の管理および検索をする際の実験情報管理画面2400の一例を示す図であり、検索者にとってのユーザインタフェース画面である。管理サーバ126は、このような画面のデータを生成して、研究開発支援システム106に接続されているクライアント端末124に送信し、クライアント端末124は受信したデータの画面を表示することができる。なお、図24に示す実験情報管理画面2400の表示情報の一部は省略されてよい。
この画面2400には、特定の条件に合致または近似する研究開発テーマのリスト2403が表示される。リストから特定の研究開発テーマが選択されると、実験情報管理画面2400は、当該テーマについて研究内容およびマイルストンを備えた研究計画2404を表示することが可能である。実験情報管理画面2400は、当該研究開発テーマにおける当該研究者の装置利用状況2416を表示することも可能である。
また、実験情報管理画面2400は、検索者が参考にすることが可能な付随情報として、レコメンド技術によって得られた情報2405、2415を併せて表示することが可能である。図24では例として研究開発の進捗状況に関するレコメンド情報2415と、当該研究者の研究開発テーマの参考になる情報2405を示す。
図24に示した実験情報管理画面2400において、指定された研究開発テーマを実施することによって発生した情報を、実験情報データベース113で管理することができる。当該情報は、電子実験ノートの内容2406、手書きの実験ノートをPDF等の形式で電子化したもの2407、研究のアイデアのメモ書き2408、実験結果等の考察のメモ2409、実験装置から得られた実験データ2410、およびそれらを整理した図表2411などの情報が挙げられる。これらの情報は、研究者の研究の結果を適切に示す。
これらはいずれもコンピュータに入力できるよう電子化されたデータになっている。実験情報管理画面2400では、利用者の利便性を高めるために、各情報を実験情報データベース113にアップロードおよびダウンロードするためのボタン2412、2413が付けられている。また関連する研究関係データベース群107および装置利用データベース125へのリンク2414も備えることが可能である。
上述した情報以外にも、実験等の研究開発に付随する情報を、実験情報データベース113に格納することが可能である。実験に付随する情報として、例えば実験室の温度、湿度といった環境データをセンサで自動的に取得し、当該データベースに格納することも可能である。更には、実験者の個性に関係するようなデータ、例えば複数ある原料の配合手順や、詳細な実験プロセス、実験装置の取り扱いノウハウ等についても、静止画や動画を取得し、これらを実験情報データベース113に格納することも可能である。
次に、図24の画面に表示された情報を取得する際に用いるデータベース群および、当該データベースに格納された情報について説明する。研究テーマデータベース108および装置利用データベース125については既に図13および図11で説明した。図25は、実験情報データベース113に格納されている実験情報2500の一例を示す図である。
実験情報2500のテーブルは、各情報を他と区別するための社内整理番号2501、当該情報を作成した研究者名2502および研究者ID番号402、当該実験情報を生成するもとになった研究開発テーマ名1303および研究番号1302、実験情報の種類2503、ファイル形式2504、登録日2505を含む。
これら以外に、必要であれば管理者の承認の有無および承認日付等の情報を付け加えることも可能である。実験情報の種類としては、電子化されたまたは手書きの実験ノート、実験データ、実験データ等を整理して得られるグラフまたは図、実験結果等の考察に関するメモ、研究開発に関するアイデアを記載したメモ等が挙げられる。これら以外にも、実験に付随する情報として、実験室の温度、湿度等の環境データ、実験のノウハウを撮影した動画等も、実験情報データベース113に登録することができる。
次に、実験情報管理画面2400に表示された情報の取得方法について、図26の情報処理フローを用いて説明する。なお使用するデータベースは研究テーマデータベース108、装置利用データベース125および実験情報データベース113であり、これらは既に図13、図11および図25で説明した。
研究者(検索者)は、図24に示す実験情報管理画面2400の検索窓2401に、研究者の氏名2502または研究者ID番号402を入力する。管理サーバ126は、クライアント端末124から、入力された研究者ID番号402を取得し(2602)、研究テーマデータベース108において当該研究者が従事する研究テーマを検索する(2603)。該当する案件が存在すれば(2603:YES)、管理サーバ126は当該研究者ID番号402を持つ研究者が従事している研究開発テーマの名1303および番号1302を研究テーマデータベース108から抽出し(2605)、優先順位の高い順にリストアップして、当該リストを画面に表示する(2606)。該当案件がなければ(2603:NO)、管理サーバ126は、その旨を画面に表示する(2604)。
検索者は、前記ステップで表示された研究開発テーマ群から、特定の研究開発テーマ名1303を指定して(2607)、管理サーバ126に当該研究開発テーマに関する計画1310を表示させることが可能である(2608)。また、当該研究者が当該研究開発テーマにおける装置利用記録があれば(2617:YES)、管理サーバ126は、それらを装置利用データベース125から抽出して画面に表示する(2618、2619)。なお、装置の名称については、装置利用データベース125に加えて、資産データベース116から抽出することも可能である。
さらに検索者は、必要に応じて、当該研究開発テーマ名1303に関して得られた実験情報を、クライアント端末124から実験情報データベース113にアップロードすることができる(2609、2610)。このときアップロード可能な実験情報として、電子化されたまたは手書きの実験ノート、実験データ、実験データ等を整理して得られるグラフまたは図、実験結果等の考察に関するメモ、研究開発に関するアイデアを記載したメモ等が挙げられる。これら以外にも、将来的には実験に付随する情報として、実験室の温度や湿度等の環境データ、実験のノウハウを撮影した動画等も、当該データベースに登録することができる。なお、アップロードする件数は1件に限らず、複数件可能である。
さらに検索者は、必要に応じて、クライアント端末124から実験情報データベース113にアクセスし、当該研究開発テーマ名1303に関して得られた実験情報のなかで、特定の実験情報を実験情報データベース113からダウンロードすることが可能である(2611、2612)。この時ダウンロードする情報は1件に限らず、複数件でも可能である。
実施例2から実施例4の場合と同様に、検索に用いられたキーワードや検索結果を蓄積した検索結果専用データベース205と当該システムの他のデータベース群を合わせてレコメンドに用いるデータベースとすることが可能である。管理サーバ126は、レコメンドモデルを使って、入力された検索キーワードまたは検索結果に関連づけられる新たな情報を、レコメンドとして表示することが可能である(2613~2615)。
図24では、レコメンド情報として、検索者の研究開発テーマに関係する他社の製品情報、他社の特許出願情報および参考となる論文2405、および進捗状況2415を例示する。レコメンドを含む付随情報がより具体的な内容を備えるようになると、検索者は、他社や学会の動向を確認しながら研究開発を進めることが可能になる。その結果、他社動向の確認のために余分な時間を追加することが無く、担当する研究開発テーマを円滑に進めることが可能となり、研究開発の効率化を図ることができる。
以上より、研究開発支援システム106を用いることにより、研究開発を進める上で必要な実験情報の管理が従来よりも容易となるため、研究開発効率向上を図ることが可能となる。
本実施例では、研究開発支援システム106において、特に材料分野の研究開発に関する情報を、当該システムの研究テーマデータベース108を含む研究関係データベース群107、および装置利用データベース125を用いて効率的に検索する場合の例を示す。
図27は、研究者が所属組織における材料分野の研究情報を一括して検索する際の支援となる材料研究アシスタント画面2700の一例を示す図であり、検索者にとってのユーザインタフェース画面である。管理サーバ126は、このような画面のデータを生成して、研究開発支援システム106に接続されているクライアント端末124に送信し、クライアント端末124は受信したデータの画面を表示することができる。なお、図27に示す材料研究アシスタント画面2700の表示情報の一部は省略されてよい。
検索ワードとして、検索者は物質名または材料名を入力する。追加の検索ワードとして、研究開発テーマ名1303、研究報告書名称(タイトル)1502、特許または社外発表の情報、研究者名、装置名(1111または1202)などを併せて入力することも可能である。検索ワードから構成された検索条件を用いて、材料研究アシスタント画面2700には、特定の条件に合致または近似する物質または材料の名称のリスト2703が表示される。リストから特定の物質または材料が選択されると、材料研究アシスタント画面2700は、当該物質または材料について関連のある研究開発テーマ、研究報告書、特許、社外発表、研究者、実験装置等のデータ2704を、併せて表示することが可能である。
さらに、詳細な情報が必要な場合は、材料研究アシスタント画面2700は、該当する案件について詳細情報2705を表示することができる。また、検索者が参考にすることが可能な付随情報として、材料研究アシスタント画面2700は、レコメンド技術によって得られた情報2706を併せて表示することが可能である。図27では例として、検索した物質に関して知見のある研究者名、当該物質の研究開発で使用すべき実験装置名、当該物質を検索した他の人が検索した物質または材料の名称、当該物質に関する論文等の学術情報に関するレコメンド情報を示す。
図27の画面に表示された情報を取得する際に用いるデータベース群は、研究テーマデータベース108、社内特許データベース109、研究報告書データベース110、社外発表データベース111、研究者情報データベース127等の研究関係データベース群107および、装置利用データベース125、資産データベース116である。これらのデータベースに格納されたデータテーブルについては、前述の実施例で述べているので省略する。
次に、材料分野の研究情報の検索画面に表示された情報の取得方法について、図28の情報処理フローを用いて説明する。最初に、検索者は、図27の材料研究アシスタント画面2700の検索窓2701に、検索用キーワードを入力する。当該キーワードは複数個を入力することが可能であり、物質または材料の名称の全部または一部となるキーワードを必ず含む。これに加えて、研究開発テーマ名、研究報告書のタイトル、特許または社外発表の情報、研究者名、装置名をキーワードとして入力することが可能である。
入力されたキーワードは検索条件を構成し、クライアント端末124から管理サーバ126に送信され、取得される(2802)。次のステップで、管理サーバ126は、キーワード中の物質または材料に関するキーワードについて、該当する案件を研究テーマデータベース108において検索する(2803)。物質または材料に関する情報は、各研究開発テーマの研究計画に関する情報1310、例えば、研究開発テーマ名1303、達成目標1315、実施項目1316、マイルストン1317など、に含まれている。該当する案件が存在する場合(2803:YES)、管理サーバ126は、当該キーワードに関連する研究開発テーマの名1303および研究番号1302を、研究テーマデータベース108から抽出し(2805)、優先順位の高い順にリストアップする。
このとき、管理サーバ126は、同時に当該研究開発テーマに従事している研究者名1306、研究者ID番号402、研究期間1304も抽出しておく。本リストアップは、検索結果で複数の物質または材料が得られた場合、各物質または材料ごとに、関連する研究開発テーマの抽出およびリストアップを実施する。なお、検索の結果、該当する案件がない場合は(2803:NO)、管理サーバ126は、その旨を検索画面に表示し、別の検索ワードの入力を促すことも可能である(2804)。検索の結果得られた物質または材料の名称は、優先順位の高い順に所定の案件数が検索画面に表示される(2806)。
検索者は、上記ステップで表示された物質または材料群から、特定の物質または材料を指定し、当該物質または材料に関連する研究開発テーマ名称を管理サーバ126に表示させることが可能である(2807、2808)。指定した物質または材料において複数の研究開発テーマが存在する場合は、検索者は、さらに特定の研究開発テーマを指定することが可能である(2809)。
このとき、管理サーバ126は、当該研究開発テーマの研究番号1302および研究期間1304をもとに、当該研究開発テーマに関する研究報告書、特許、社外発表、使用した装置の名称1111と装置ID番号501の情報を、それぞれ本発明の研究開発支援システムにある研究報告書データベース110、社内特許データベース109、社外発表データベース111、装置利用データベース125から抽出し(2810)、材料研究アシスタント画面2700に表示する(2811)。管理サーバ126は、当該テーマに従事した研究者名1306として、ステップ(2805)において、研究テーマデータベース108で抽出したものを表示することができる。抽出された項目が複数ある場合は、管理サーバ126は、項目ごとに抽出結果を併記して表示する。
検索者は、上記ステップで表示された研究開発テーマに付随する研究報告書、特許、社外発表、装置、研究者の項目のうち、特定の項目の詳細を管理サーバ126に表示させることが可能である(2812~2814)。特定の項目が指定された場合、管理サーバ126は、各項目に付随している識別番号をもとに、詳細情報を研究開発支援システム内の該当するデータベースから抽出して表示する。
例えば図27に例示するように、特定の研究報告書が選択された場合、管理サーバ126は、この報告書の識別番号1501をもとに、研究報告書データベース110から詳細情報を抽出し、表示することができる。特定の研究者の名称が指定された場合は、管理サーバ126は、当該研究者のID番号402をもとに、当該研究者の組織上の所属、研究開発における専門分野、現在従事している研究テーマ等の情報を、当該システムにある複数のデータベース群、例えば研究テーマデータベース108および研究者情報データベース127から抽出して表示することが可能である。特定の装置が選択された場合は、管理サーバ126は、当該装置のID番号501(または1201)をもとに資産データベース116および装置利用データベース125から当該装置の詳細情報を抽出して表示する。
前述の実施例の場合と同様に、検索に用いられたキーワードや検索結果を蓄積した検索結果専用データベース205と当該システムの他のデータベース群を合わせてレコメンドに用いるデータベースとすることが可能である。管理サーバ126は、レコメンドモデルを使って、入力された検索キーワードまたは検索結果に関連づけられる新たな情報を、レコメンドとして表示することも可能である(2815~2817)。図27には、レコメンド情報2706の例として、選択した物質に関して知見のある研究者名、当該物質の研究開発で使用すべき実験装置名、当該物質を検索した他の人が検索した物質または材料の名称、当該物質に関する論文等の学術情報を挙げている。
レコメンドを含む付随情報がより具体的な内容を備えるようになると、検索者は、研究開発成果から得られる情報に加えて、物質または材料に関する周辺情報も把握することが可能になる。その結果、余分な時間を追加することが無く、物質または材料に関する具体的かつ有効な情報を取得することが可能となり、研究開発の効率化を図ることができる。
以上より、研究開発支援システム106を用いることにより、材料分野の研究開発を進める上で必要な材料に関する情報の取得が、従来よりも容易となるため、研究開発効率向上を図ることが可能となる。
本実施例では、研究開発支援システム106において、当該システムの研究テーマデータベース108および売上データベース119を用いて、研究管理者または経営者が研究開発に対する投資効果(費用対効果)を検索する場合の例を示す。
図29Aは、研究管理者または経営者が、特定の研究開発テーマと関連する事業の売上を検索する際のユーザインタフェース画面である、投資効果検索画面2900である。管理サーバ126は、このような画面のデータを生成して、研究開発支援システム106に接続されているクライアント端末124に送信し、クライアント端末124は受信したデータの画面を表示することができる。なお、図29Aに示す投資効果検索画面2900の表示情報の一部は省略されてよい。
この画面2900には、特定の条件に合致または近似する研究開発テーマのリスト2903が表示される。リストから特定の研究開発テーマを選択されると、投資効果検索画面2900は、当該テーマの研究予算の合計額2904と、当該テーマに関連する事業の売上2905が表示される。逆方向の検索も可能である。
図29Bは、主として経営者や事業部門の人が、特定の事業と関連する研究開発テーマへの研究開発投資額を検索する際のユーザインタフェース画面である、投資額検索画面2910である。投資額検索画面2910は、特定の検索条件に合致または近似する事業のリスト2913を表示し、リストから指定された特定の事業に関連する研究開発テーマについて、研究資金2914と研究成果2915の概要を表示することができる。なお、図29Bに示す投資額検索画面2910の表示情報の一部は省略されてよい。
上記の検索で使用するデータベースのうち、研究テーマデータベース108に格納されているデータについては図13で説明した。図30に売上データベース119に格納されたデータテーブルを示す。売上関連情報3000の構成は、事業名または製品名3002、当該事業を他と識別するための依頼元番号3001、年度毎の売上金額3003、関連する研究開発テーマ名1303と研究番号1302、当該研究開発の実施時期3004、実施期間3005を含む。これ以外の項目を付加することも可能である。
次に、図29Aの投資効果検索画面2900に表示された情報の取得方法について、図31の情報処理フローを用いて説明する。検索者は、クライアント端末124において、図29Aの検索窓2901に検索用キーワードを入力する。当該キーワードは複数個を入力することが可能だが、研究開発テーマの名称の全部または一部となるキーワードを必ず含む。これに加えて、依頼元番号、研究番号、研究期間、研究者氏名またはID番号を入力することも可能である。
入力されたキーワードは検索条件を構成し、クライアント端末124から管理サーバ126に送信され、取得される。(3102)。次のステップで、管理サーバ126は、前記キーワードに合致または近似する研究開発テーマの名1303および研究番号1302を、研究テーマデータベース108で検索する(3103)。
キーワードに合致または近似する研究開発テーマが存在する場合(3103:YES)、管理サーバ126は、それらの研究開発テーマの名1303および研究番号1302を抽出し(3105)、優先順位の高い順にリストアップして検索画面に表示する(3106)。該当する案件がない場合(3103:NO)は、その旨を検索画面に表示し、別の検索ワードの入力を促すことも可能である(3104)。
次のステップで、検索者は、前記ステップで表示された研究開発テーマ群から、特定の研究開発テーマを指定する(3107)ことが可能である。指定があった場合、つまり、クライアント端末124から研究開発テーマの指定を受けた場合、管理サーバ126は、当該テーマの研究番号1302をその指定から読み取り(3108)、この番号と関連する製品または事業の売上金額3003を、売上データベース119において検索する(3109)。該当する案件がある場合(3109:YES)、管理サーバ126は、上記番号と関連する製品または事業の売上金額3003を売上データベース119から抽出し(3111)、検索画面に出力する(3112)。
該当する案件が存在しない場合(3109:NO)は、管理サーバ126は、その旨を表示することができる(3110)。売上記録(売上高)の出力形態は、表、グラフまたはそれ以外の形態も可能である。売上記録と併せて、研究テーマデータベース108から得られた当該研究開発テーマの予算の合計額も表示することが可能である。
研究開発テーマ、当該テーマの従事研究者および当該テーマで使用された装置に関する情報は、研究開発支援システム106において、研究テーマデータベース108、装置利用データベース125および資産データベース116を活用することによって、それぞれのデータベースに格納された情報を有機的に結合して表示することが可能である。
このため、特定の装置に着目したとき、当該装置を実験に使用した研究開発テーマが容易に検索可能であり、さらに当該研究開発テーマが関連づけられた事業名および当該事業の売上も容易に検索可能となる。従って当該装置の事業または売上貢献度が推定可能となり、研究開発における装置等に対する投資の費用対効果を明確にすることが可能である。
図29Bに示すように、事業からそれに関連する研究開発テーマに投資した金額を検索する場合は、図31の情報処理フローにおいて、研究開発テーマ名1303を事業名または製品名3002、研究番号1302を依頼元番号3001、売上関連情報3000を研究開発テーマに関する情報1300にそれぞれ読み替えて、情報処理を行えば良い。
以上より、研究開発支援システム106を用いることにより、研究開発に対する投資と売上の関係を示す情報の取得が、従来よりも容易となるため、研究開発効率向上を図ることが可能となる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、上記の各構成・機能・処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード等の記録媒体に置くことができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆どすべての構成が相互に接続されていると考えてもよい。