JP6414819B2 - ワーク加工方法、及びワーク加工システム - Google Patents

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本発明は、ワーク加工方法、及びワーク加工システムに関する。
ステンレス鋼等から形成される難削材がワークとしてエンドミルで加工される場合、びびり振動が発生し易く、切削されたワークの表面性状が悪化することが知られている。また、切削中にびびり振動が発生すると、エンドミルの工具寿命が低下することも知られている。例えば非特許文献1は、ワークをエンドミルで加工する場合にびびり振動を抑制するワーク加工方法として、SUS304から形成されるワークを、不等リードエンドミルで切削する加工方法を開示する。
高木優次、木村良彦「びびり振動抑制のための不等リードエンドミルの検討」2008年度精密工学会秋季大会学術講演会講演論文集
例えば焼入れ処理等の硬化処理がなされた高硬度のワークを、上記ワーク加工方法で加工すると、高硬度材の比切削抵抗によって、びびり振動が発生する可能性がある。この場合、エンドミルによって切削された高硬度のワークの表面性状は悪化する。従って、高硬度のワークが例えばカムのような高精度の摺動部品となるように、エンドミルで仕上げ加工を施すことが困難となる可能性がある。
本発明の目的は、高硬度のワークをエンドミルで加工する場合に、びびり振動を抑制できるワーク加工方法、及びワーク加工システムを提供することである。
本発明の第1態様に係るワーク加工方法は、工作機械の回転する主軸に装着されたエンドミルと、高硬度のワークとを相対的に移動させることによって、前記ワークを切削するワーク加工方法であって、前記エンドミルは、前記エンドミルの軸方向に対して捩れ且つ前記エンドミルの周方向に並ぶ複数の切れ刃を備え、前記複数の切れ刃には、捩れ角が互いに異なる2枚の切れ刃が含まれる不等リードエンドミルであって、以下で示される式(1)の値が0.165以上となる条件で、
lim/Δa・・・式(1)
(alim比切削抵抗とワーク加工システムでの伝達関数の実部との積の値と、デューティ比の値との双方が前記不等リードエンドミルと同じになる等ピッチエンドミルが前記ワークを切削する場合における、前記等ピッチエンドミルの軸方向の安定限界切込[mm]、Δa:前記不等リードエンドミルの再生効果相殺線図にある隣接する再生効果相殺線の、前記軸方向における間隔[mm])前記ワークを切削することを特徴とする。第1態様によれば、式(1)の値が0.165以上となる条件でワークが切削されることで、びびり振動の抑制効果は高まる。よって、ワーク加工方法は、高硬度のワークをエンドミルで切削する場合に、びびり振動を抑制できる。
上記ワーク加工方法は、前記式(1)の値が0.354以上となる条件で、前記ワークを切削してもよい。この場合、びびり振動の抑制効果は更に高まる。よって、ワーク加工方は、更にびびり振動を抑制できる。
本発明の第2態様に係るワーク加工システムは、主軸を有する工作機械と、前記主軸に装着可能なエンドミルとを備え、高硬度のワークと、回転する前記主軸に装着された前記エンドミルとを相対的に移動させることによって、前記ワークを切削するワーク加工システムであって、前記エンドミルは、前記エンドミルの軸方向に対して捩れ且つ前記エンドミルの周方向に並ぶ複数の切れ刃を備え、前記複数の切れ刃には、捩れ角が互いに異なる2枚の切れ刃が含まれる不等リードエンドミルであって、前記工作機械は、前記ワークと、回転する前記主軸に装着された前記不等リードエンドミルとを相対的に移動させ、且つ、以下で示される式(1)の値が0.165以上となる条件で、
lim/Δa・・・式(1)
(alim:等ピッチエンドミルが前記ワークを切削する場合における、前記等ピッチエンドミルの軸方向の安定限界切込[mm]、Δa:前記不等リードエンドミルの再生効果相殺線図にある互いに隣接する再生効果相殺線の、前記軸方向における間隔[mm])前記ワークを切削することを特徴とする。第2態様によれば、第1態様のワーク加工方法と同様の効果を奏することができる。
本発明の第3の態様に係るワーク加工方法は、工作機械の回転する主軸に装着されたエンドミルと、高硬度のワークとを相対的に移動させることによって、前記ワークを切削するワーク加工方法であって、前記エンドミルは、前記エンドミルの軸方向に対して捩れ且つ前記エンドミルの周方向に並ぶ複数の切れ刃を備え、前記複数の切れ刃には、捩れ角が互いに異なる2枚の切れ刃が含まれる不等リードエンドミルであって、前記不等リードエンドミルの半径方向における切込角度範囲Qが0.095[rad]以内となる条件、且つ、以下で示される式(2)の値が9.401×10−3以上となる条件で、
(ω:前記不等リードエンドミルの固有角振動数[rad/s]、E:前記不等リードエンドミルを形成する材料のヤング率[GPa]、β,β:前記2枚の切れ刃の前記捩れ角[deg]、n:前記不等リードエンドミルの回転数[min−1]、H:前記ワークの硬度[HV]、N:前記複数の切れ刃の枚数、D:前記不等リードエンドミルの工具径[mm]、l:前記不等リードエンドミルの突出し長さ[mm])前記ワークを切削することを特徴とする。第3態様によれば、不等リードエンドミルの半径方向における切込角度範囲Qが0.095[rad]以内であり、式(2)の値が9.401×10−3以上となる条件でワークは切削される。ワークが切削される場合において、びびり振動の抑制効果は高まる。よって、ワーク加工方法は、高硬度のワークをエンドミルで切削する場合に、びびり振動を抑制できる。
上記ワーク加工方法は、前記式(2)の値が20.205×10−3以上となる条件で、前記ワークを切削してもよい。この場合、ワーク加工方法は、びびり振動の抑制効果を更に高めることができる。
上記ワーク加工方法において、前記2枚の切れ刃の前記捩れ角は、互いに2°以上異なってもよい。この場合、式(2)におけるtanβ−tanβの値が増大する。従って、n、H、N、及びQが増大しても、式(2)の値は9.401×10−3以上になり易い。よって、ワーク加工方法は、n、H、N、及びQが増大した条件においても、びびり振動を抑制してワークを切削できる。
本発明の第4の態様に係るワーク加工システムは、主軸を有する工作機械と、前記主軸に装着可能なエンドミルとを備え、高硬度のワークと、回転する前記主軸に装着された前記エンドミルとを相対的に移動させることによって、前記ワークを切削するワーク加工システムであって、前記エンドミルは、前記エンドミルの軸方向に対して捩れ且つ前記エンドミルの周方向に並ぶ複数の切れ刃を備え、前記複数の切れ刃には、捩れ角が互いに異なる2枚の切れ刃が含まれる不等リードエンドミルであって、前記工作機械は、前記ワークと、回転する前記主軸に装着された前記不等リードエンドミルとを相対的に移動させ、前記不等リードエンドミルの半径方向における切込角度範囲Qが0.095[rad]以内となる条件、且つ、以下で示される式(2)の値が9.401×10−3以上となる条件で、
(ω:前記不等リードエンドミルの固有角振動数[rad/s]、E:前記不等リードエンドミルを形成する材料のヤング率[GPa]、β,β:前記2枚の切れ刃の前記捩れ角[deg]、n:前記不等リードエンドミルの回転数[min−1]、H:前記ワークの硬度[HV]、N:前記複数の切れ刃の枚数、D:前記不等リードエンドミルの工具径[mm]、l:前記不等リードエンドミルの突出し長さ[mm])前記ワークを切削することを特徴とする。第4態様によれば、第3態様のワーク加工方法と同様の効果を奏することができる。
ワーク加工システム10の斜視図である。 エンドミル30の全体図である。 エンドミル30がワーク40を切削する場合に存在する振動モードの説明図である。 図3(b)のエンドミル30及びワーク40の概念図である。 エンドミル5の再生効果相殺線図である。 エンドミル5と工作物50の位置関係を示す図である。 再生効果が相殺されるメカニズムを示す説明図である。 図5の点Aから点Cまでの軸方向位置と、エンドミル5の切れ刃の位相遅れの差を示す図である。 エンドミル1〜6の仕様を示す図である。 エンドミル5,6の夫々の先端におけるピッチ角及び捩れ角を示す図である。 工作物50A,50Bの三面図である。 工作物50A,50Bの夫々に対応する寸法W1,W2を示す図である。 切削加工実験の条件を示す図である。 切削加工実験に用いられた加工機100を示す説明図である。 エンドミル1,2を用いた切削加工におけるびびり振動の有無を示す図である。 エンドミル3,4を用いた切削加工におけるびびり振動の有無を示す図である。 エンドミル5,6を用いた切削加工におけるびびり振動の有無を示す図である。 切削加工が施された工作物50Bの加工面55を示す図である。 比切削抵抗の測定に用いられた加工機200及び動力計256を示す説明図である。
<1.ワーク加工システム10の概要>
本発明の一実施形態であるワーク加工システム10の概要について説明する。ワーク加工システム10は、びびり振動を抑制してワーク40を切削するワーク加工システムである。びびり振動の一例として、自励びびり振動がある。自励びびり振動は、公知の文献(例えば、社本英二「切削加工におけるびびり振動の発生機構と抑制」電気製鋼/大同特殊鋼技法第82巻第2号)によって開示される。自励びびり振動は、振動をフィードバックして拡大する閉ループが切削加工中に存在する場合に生じる振動である。自励びびり振動には、モードカップリング型の自励びびり振動と再生型の自励びびり振動がある。モードカップリング型の自励びびり振動は、2方向(例えば、工具の半径方向のうち互いに直交する2方向)の振動モードが互いに近い共振周波数を有する場合において、夫々の振動が連成して生じる。再生型の自励びびり振動では、工具が1回転前(多刃工具であるときは1刃前)に切削した場合に生じていた振動がワークの加工面の起伏として残り、起伏として残った振動が現在の切削において切り取り厚さの変動として再生する。このため、工具の切削力が変動して振動が再び発生する閉ループが構成される。ループゲインが大きくなると、何らかのきっかけで生じた振動が成長し、再生型の自励びびり振動が発生する。
<2.ワーク加工システム10の構成>
図1〜図3を参照し、ワーク加工システム10の構成について説明する。以下の説明では、図1の上方、下方、右斜め下方、左斜め上方、左斜め下方、及び右斜め上方を、夫々、ワーク加工システム10の上方、下方、右方、左方、前方、及び後方とする。ワーク加工システム10の左右方向、前後方向、及び上下方向は、夫々、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向である。
ワーク加工システム10は、工作機械20及びエンドミル30を備える。工作機械20は、主軸26に装着されたエンドミル30を高速回転し、作業台21上に取り付けられるワーク40を移動させ、切削加工をワーク40に施す機械である。
図1を参照し、工作機械20の構造を説明する。工作機械20は、基台22、コラム25、主軸ヘッド27、主軸26、作業台21、及び制御箱24を備える。基台22は金属製の略直方体状の土台である。コラム25は基台22から上方に延びる角柱である。主軸ヘッド27は、コラム25前面に沿ってZ軸方向に移動可能に設けられる。主軸ヘッド27は、Z軸モータ(図示略)が駆動することによって移動する。主軸ヘッド27は内部に主軸26を回転可能に支持する。主軸26は下端部に装着穴を備える。装着穴にはツールホルダを介してエンドミル30が装着される。主軸ヘッド27には主軸モータ(図示略)が設けられる。主軸26は、主軸モータの駆動によって回転する。作業台21は基台22上部中央に設けられる。作業台21は、X軸モータ(図示略)、Y軸モータ(図示略)、及びガイド機構(図示略)によって、X軸方向とY軸方向に移動可能である。
制御箱24は数値制御装置(図示略)を格納する。数値制御装置は、NCプログラムに基づき、X軸モータ、Y軸モータ、及びZ軸モータを夫々制御し、作業台21上に保持されるワーク40と、主軸26に装着されたエンドミル30とを相対的に移動させる。
図2を参照し、エンドミル30について説明する。本実施形態のエンドミル30は、4枚の切れ刃33を備える不等リードエンドミルであり、主軸26からの突出し長さを36mmとする。本実施形態のエンドミル30は、例えば、工具径(直径)を8mmとし、長さを70mmとする。4枚の切れ刃33は、エンドミル30の先端から少なくとも15mmの範囲内に形成される。4枚の切れ刃33は、エンドミル30の軸方向に対して捩れ、且つエンドミル30の周方向に並んで設けられる。
4枚の切れ刃33には、捩れ角(リード角)が互いに異なる2枚の切れ刃33が含まれる。本実施形態のエンドミル30においては、例えば、4枚の切れ刃33のうち2枚の切れ刃33の捩れ角は40°であり、他の2枚の切れ刃33の捩れ角は45°である。本実施形態における4枚の切れ刃33は、例えば、エンドミル30の周方向に沿って、捩れ角が40°の切れ刃33と、捩れ角が45°の切れ刃33とが交互に並ぶ。
以下、エンドミル30が備える切れ刃33のうち、捩れ角が互いに異なる2枚の切れ刃33の捩れ角の角度差を、単に「捩れ角の角度差」という。本実施形態におけるエンドミル30の捩れ角の角度差は、5°である。エンドミル30の捩れ角の角度差は、2°以上であればよく、好ましくは5°以上である。捩れ角の角度差が2°以上であることで、ワーク加工システム10は、ワーク40を切削する場合において、びびり振動の抑制効果を発揮できる。
エンドミル30が備える切れ刃33の枚数は、2枚以上であればよい。例えば、切れ刃33の枚数が4枚刃である場合、各切れ刃33は、他の1枚の切れ刃33と、エンドミル30の軸線を挟んで互いに対向する。従って、主軸26と共に回転するエンドミル30の回転は安定化し易い。また、切れ刃33の枚数が4枚であることで、切れ刃の枚数が2枚又は3枚である場合と比べて、エンドミル30が1回転する間において、ワーク40が切れ刃33によって切削される回数が増える。これにより、エンドミル30は、短時間で効率的にワーク40を切削できる。さらに、切れ刃33の枚数が4枚であることで、5枚以上の場合と比べて、捩れ角の角度差が2°以上となるエンドミル30が製造され易い。
図1を参照し、ワーク加工システム10が切削対象とするワーク40について説明する。ワーク40は、高硬度のワークである。高硬度のワークは、硬度が210HV以上1000HV以下となるワークである。210HV以上1000HV以下の硬度を有するワークの一例として、焼入れ鋼がある。焼入れ鋼の材質は、例えば、SK105、S45C、又はSUJ3等である。本実施形態のワーク40は、材質がSK105となる焼入れ鋼である。ワーク40の硬度は、例えば、697HV(60HRC)である。
<3.ワーク加工システム10における加工方法>
図1を参照し、ワーク加工システム10におけるワーク40の加工方法について説明する。エンドミル30がツールホルダを介して主軸26の装着穴(図示略)に装着され、ワーク40が取付冶具(図示略)を介して作業台21に取り付けられる。工作機械20は、Z軸モータ(図示略)を駆動し、エンドミル30の高さを調整する。工作機械20は、主軸モータ(図示略)を駆動し、主軸26を回転する。エンドミル30は主軸26と共に回転する。本実施形態のエンドミル30の回転数は、一例として、6000[min−1]である。
工作機械20はX軸モータ及びY軸モータ(図示略)を駆動し、ワーク40の位置を調整した後、X軸モータ(図示略)を駆動し、ワーク40をX軸方向に沿って移動する。ワーク40は、回転するエンドミル30に対して相対的に移動する。工作機械20は、ワーク40を、回転する4枚の切れ刃33によって切削する。エンドミル30の軸方向におけるワーク40の切込量d[mm]は限定されないが、望ましくは6mm以下である。言い換えると、エンドミル30の工具径をD[mm]とした場合、d/Dが0.75(=6/8)以下となる条件で、ワーク40は切削されることが好ましい。本実施形態では、工作機械20は、エンドミル30の軸方向における切込量を6mmとしてワーク40を切削する。
同時に工作機械20は、エンドミル30の半径方向において、低切込量でワーク40を切削する。低切込量の切削は、エンドミル30の半径方向の切込量δ[mm](図3(b)参照)が極めて小さい切削であり、例えば仕上げ加工である。より詳細には、低切込量の切削は、半径方向の切込量δ[mm](以下、単に切込量δという場合がある)が0.018mm以下となる切削であり、好ましくは切込量δが0.012mm以下となる切削である。
ワーク40は、エンドミル30の半径方向において、低切込量で切削されながら、X軸方向に移動する。これにより、工作機械20は、ワーク40に対して切削加工を施す。
図3(b)及び図4を参照し、切込量δ[mm]と、エンドミル30の半径方向における切込角度範囲Q[rad](以下、単に切込角度範囲Qという場合がある)との関係について説明する。尚、図3は、エンドミル30の軸線方向に沿って見た場合の、エンドミル30及びワーク40の模式的な図である。図4は、図3(b)のエンドミル30及びワーク40を更に簡略化した図である。図4においては、エンドミル30の4枚の切れ刃33の図示を省略する。
切込角度範囲Qは、各切れ刃33(図3参照)がエンドミル30の半径方向において最もワーク40を切り込む位置(図4で示す点M)の回転角度を0°とした場合に、切れ刃33がワーク40の表面を削るエンゲージ角度である。切込角度範囲Qは、式(3)によって求められる。
Q=cos−1((D−2δ)/D) ・・・・式(3)
式(3)により、切込量δが0.018mmである場合に切込角度範囲Qは0.09490[rad]となり、切込量δが0.012mmである場合に切込角度範囲Qは0.07748[rad]となる。従って、低切込量の切削は、切込角度範囲Qが0.095[rad]以下となる切削であり、好ましくは切込角度範囲Qが0.078[rad]以下となる切削に相当する。
図3を参照し、工作機械20がエンドミル30の半径方向において低切込量でワーク40を切削することによる効果について説明する。切削加工中に主軸26(図1参照)と上述した取付治具(図示略)とが干渉しないように、エンドミル30が、主軸26から長く突き出した状態で、工作機械20に装着される場合がある。主軸26から長く突き出したエンドミル30は、ワーク40に比べて低剛性となり易い。従って、半径方向における切込量δが大きいと、エンドミル30の2つの半径方向には互いに近い共振周波数を有する振動モードが存在する(図3(a)参照)ことにより、モードカップリング型の自励びびり振動が生じ易くなる。しかし、図3(b)に示すように、エンドミル30の半径方向における切込み量が極めて小さいので、エンドミル30による切削プロセスは、概ね一方向の切削プロセスに近似される。従って、モードカップリング型の自励びびり振動は成長しにくい。よって、ワーク加工システム10は、モードカップリング型の自励びびり振動を抑制して、ワーク40を切削できる。
工作機械20が、捩れ角の角度差が5°のエンドミル30によってワーク40を切削することによる効果について説明する。ワーク40の硬度が高いために比切削抵抗が大きい場合、又は、エンドミル30の軸方向切込みが大きい場合には、エンドミル30の半径方向の切込み量が極めて小さくても再生型の自励びびり振動が問題となる。しかし、捩れ角の角度差が5°であるエンドミル30は、後述の実施例1及び実施例2の評価によって検証されたように、再生型の自励びびり振動を抑制する高い効果を有する。よって、ワーク加工システム10は、再生型の自励びびり振動を抑制して、ワーク40を切削できる。
ワーク加工システム10は、以下で示される式(1)の値が0.354以上となる条件で、エンドミル30によってワーク40を切削する。
lim/Δa・・・式(1)
ここで、alimは、エンドミル30に代えて等ピッチエンドミル(図示略)がワーク40を切削する場合における、等ピッチエンドミルの軸方向の安定限界切込[mm]である。安定限界切込は、一般的なエンドミルを用いた切削加工において、切削加工するエンドミルが回転数に関わらずびびり振動を抑制できる場合の軸方向の切込量である。安定限界切込alimは、所謂、無条件安定限界である。Δaは、後述する再生効果相殺線図上の互いに隣接する再生効果相殺線が、エンドミルの軸方向(即ち、再生効果相殺線図の縦軸方向)において互いに離間する間隔[mm]である。つまり、Δaは相殺線間隔である。
本実施形態において、alimは、1.415[mm]であり、Δaは、3.997[mm]である。後述するように、式(1)は、本発明に関連する新たな数式であって、びびり振動が抑制できるか判断される場合に用いられる数式である。ワーク加工システム10は、式(1)の値が0.354以上となる条件でワーク40を切削することで、びびり振動を抑制できる。
後述するように、式(1)は式(2)に置き換えることができる。式(2)は、式(1)と同様、本発明に関連する新たな数式であって、びびり振動が抑制できるか判断される場合に用いられる数式である。
ここで、ωはエンドミル30の固有角振動数[rad/s]である。Eはエンドミル30を形成する材料のヤング率をE[GPa]である。β,β[deg]はエンドミル30の切れ刃の捩れ角である。n[min−1]はエンドミル30の回転数である。H[HV]はワーク40の硬度である。Nはエンドミル30の切れ刃の枚数である。Q[rad]はエンドミル30の半径方向における切込角度範囲である。D[mm]はエンドミル30の工具径である。l[mm]はエンドミル30の突出し長さである。
本実施形態において、ωはエンドミル30の最大負実部周波数である3908Hzに2πを乗じた7816π[rad/s]である。Eは604[GPa]である。β,βは、夫々、45°,40°である。nは6000min−1である。Hは697HVである。Nは4枚である。Qは0.07748[rad]である。Dは8mmである。lは36mmである。従って、式(2)の値は、20.205×10−3となる。ワーク加工システム10は、式(2)の値が20.205×10−3となる条件でワーク40を切削加工することで、びびり振動を抑制できる。
<4.各種評価>
以下、再生型の自励びびり振動を抑制する加工条件を特定するために行われた評価について説明する。実施例1では、再生型の自励びびり振動を抑制し得るエンドミルの条件が特定されるよう、再生効果相殺線図が作成された。実施例2では、実施例1にて特定されたエンドミルを含む複数のエンドミルを用いて、切削加工実験が行われた。実施例3では、再生型の自励びびり振動を抑制する切込角度範囲Qを特定するために、標準エンドミルを用いて切削加工実験が行われた。実施例2,3で行われた切削加工実験では、びびり振動が抑制されるかどうかが評価された。
(実施例1)
図5〜図9を参照し、再生効果相殺線図を用いた評価について説明する。再生効果相殺線は、エンドミルの回転数とエンドミルの軸方向切込み量の関係を示すグラフ上において、再生型の自励びびり振動が抑制される回転数を示す直線である。再生効果相殺線図が作成されることで、再生型の自励びびり振動を抑制するメカニズムが定性的に理解され、再生型のびびり振動が抑制されるエンドミルの条件が特定される。
再生効果相殺線図について説明する。不等ピッチエンドミルによって再生型の自励びびり振動が抑制される条件は、びびり振動の周波数、不等ピッチ角度差、及び工具回転数によって式(4)のように表される。
n[min−1]は工具回転数であり、θ及びθ[rad]は各ピッチ角であり、f[Hz]はびびり振動周波数であり、mは任意の整数である。
本評価では、簡便のため、びびり振動周波数の代わりに、最大負実部周波数が使用される。最大負実部周波数は、エンドミルの先端がインパルス加振された場合に同定される。例えば、6枚刃エンドミルの最大負実部周波数は、3741Hzであり、4枚刃エンドミルの最大負実部周波数は、3908Hzである。ただし、実際の再生型の自励びびり振動の周波数は、常に最大負実部周波数に一致するとは限らず、最大負実部周波数の付近となることが知られている。エンドミルのピッチ角を周方向に沿って、θ,θ,θ,・・・とすると、4枚刃エンドミルでは、θ=θ、θ=θ、θ+θ=π[rad]とされ、6枚刃エンドミルでは、θ=θ=θ、θ=θ=θ、θ+θ=2π/3[rad]とされる。
本評価では、図9に示すエンドミル1〜6のうち、エンドミル3〜6の再生効果相殺線について検討した。エンドミル1,2は等ピッチエンドミルであり、エンドミル3,4は不等ピッチエンドミルであり、エンドミル5,6は不等リードエンドミルである。
6枚刃不等ピッチエンドミルであるエンドミル3のピッチ角度差は3°である。エンドミル3に関しては、式(4)に基づき、再生型の自励びびり振動が抑制される回転数として、m=0の場合に3741min−1が得られる。エンドミル3に関する再生効果相殺線は、図16(a)にて矢印によって示される。
4枚刃不等ピッチエンドミルであるエンドミル4のピッチ角度差は4.6°である。エンドミル4に関しては、式(4)に基づき、再生型の自励びびり振動が抑制される回転数として、m=1の場合に1997min−1が得られ、m=0の場合に5992min−1が得られる。エンドミル4に関する再生効果相殺線は、図16(b)にて矢印によって示される。
再生効果の抑制条件を不等リードエンドミルの場合へ拡張することを考える。再生効果は、一刃前の振動痕に起因する、びびり振動周波数fでの切取り厚さ変動である。図5では、4枚刃不等リードエンドミルであるエンドミル5(図9参照)の一例を図示する。エンドミル5の捩れ角の角度差は1°(45°/44°)である。エンドミル5の先端から7.7mmの位置にある切れ刃は、等ピッチになる。以下、図6に示すように、エンドミル5の先端が、後述の工作物50よりも1mm下方に位置する状態で、エンドミル5が工作物50を切削する場合を考える。また、エンドミルの軸方向における切込量d(図6参照)を軸方向位置dという。まず、エンドミルの軸方向位置dにおける切れ刃のピッチ角度がθ,θに代入され、4枚刃エンドミルの場合の最大負実部である3908Hzがびびり振動周波数fに代入されると、式(4)に基づき、再生効果を抑制し得る工具回転数nが求められる。図5では、軸方向位置dと工具回転数nについて、式(4)に基づき求められた関係が破線によって示される。
次に、不等リードによってピッチ角度が徐々に変化する影響について考える。特定の回転数において、図5の破線上の軸方向位置ではピッチ角度差が式(4)を満たす最適値であり、再生効果が相殺される。破線よりも少し上と下の軸方向位置では、再生効果は完全には相殺されず、若干の再生効果が発生する。しかし、破線の上側で発生する再生効果と破線の下側で発生する再生効果は位相が逆である。従って、破線から上下に均等な高さ範囲では、二つの再生効果が互いに相殺する。よって再生効果は消滅する。例えば、図5の点Bにおいては、各刃での再生効果が相殺する。点Bから点Aの範囲で残存する再生効果は、点Bから点Cの範囲で生じる逆位相の再生効果によって相殺される。従って、点Aによって示される軸方向切込みでは工具全体として再生効果が抑制される。
図7を参照し、再生効果の相殺について具体的に説明する。図7(a),(b),(c)の左図は、図5に示す回転数6000min−1の点A,B,Cの各軸方向位置において、複数の切れ刃が、位相がずれた振動を伴って加工する様子を模式的に示す。図7では、説明を簡易にするため、2枚刃のエンドミルの模式図を示す。図7の右図には、各切削において、前の刃の振動が再生する成分であるWave removingと現在の刃の振動成分であるWave cuttingを夫々示し、Wave cuttingの位相を同じにして各切削を描き直してある。Wave cuttingは位相遅れを伴わないため基本的に加工システムを不安定にしない。一方、Wave removingは位相遅れを伴うため、不安定な再生型の自励びびり振動の原因となる。図のm=−1の直線上にある点Bの刃のピッチ角度差Δθ(=θB2−θB1)は、式(4)にf=3908[Hz]、n=6000[min−1]、及びm=−1が代入されることで、求められる。即ち、Δθ=(1+2m)π×n/(60f)=−π×6000/(60×3908)=−0.08039[rad]となる。点Bの軸方向位置dについては、d=7.7−1−(−Δθ)×2/(1−tan44°)=2.014[mm]である。1枚目の刃に対する2枚目の刃のピッチ角θB1と2枚目の刃に対する1枚目のピッチ角θB2については、θB2+θB1=2π[rad]より、θB2=(2π+Δθ)/2=3.101[rad]と、θB1=θB2+Δθ=3.182[rad]となる。
1枚目の刃に対する2枚目の刃の位相遅れφB1と2枚目の刃に対する1枚目の刃の位相遅れφB2について検討する。図6(b)の左図に示すように、φB1=θB1×60/n×f=3.182×60/6000×3908−2π×19=4.964[rad]となり、φB2=θB2×60/n×f=3.101×60/6000×3908−2π×19=1.822[rad]となる。通常の等ピッチエンドミルでは、これらの位相遅れが等しいために再生効果が強め合うことになるが、本検討においては、φB1とφB2の位相遅れの差がΔφ=φB1−φB2=π[rad]であるため、1枚目の刃のWave removingと2枚目の刃のWave removingが打ち消し合い再生効果が消去される。
次に、点Aと点Cにおける軸方向位置dとd、及び、ピッチ角度差ΔθとΔθについて検討する。d、d、Δθ、及びΔθは、点Aと点Cにおける位相遅れの計算に必要な値である。点Aと点Cの軸方向位置(図5参照)は、点Bからの距離が等しい。従って、d=d×2=2.014×2=4.028[mm]であり、d=0[mm]である。点Aと点Cのピッチ角度差については、Δθ=(d−6.7)×(1−tan44°)/2=−0.04583[rad]となり、Δθ=(d−6.7)×(1−tan44°)/2=−0.1149[rad]となる。
点Bと同様に、点Aのピッチ角度差Δθによる振動の位相遅れの差Δφを計算する。Δθ=−0.04583[rad]より、点Aの各ピッチ角は、θA2=(2π+Δθ)/2=3.119[rad]となり、θA1=θA2−Δθ=3.165[rad]となる。1枚目の刃に対する2枚目の刃の位相遅れφA1と2枚目の刃に対する1枚目の刃の位相遅れφA2については、図7(a)に示すように、φA1=θA1×60/n×f=3.119×60/6000×3908−2π×19=4.289[rad]となり、φA2=θA2×60/n×f=3.165×60/6000×3908−2π×19=2.497[rad]となる。φA1とφA2の位相遅れの差は、Δφ=φA1−φA2=1.791=π−1.350[rad]となる。
最後に、点Cにおける刃のピッチ角度差Δθによるびびり振動の位相遅れの差Δφを計算する。Δθ=−0.1149[rad]より、点Cの各ピッチ角については、θC2=(2π+Δθ)/2=3.084[rad]となり、θC1=θC2+Δθ=3.199[rad]となる。1枚目の刃に対する2枚目の刃の位相遅れφC1と2枚目の刃に対する1枚目の刃の位相遅れφC2については、図7(c)に示すように、φC1=θC1×60/n×f=3.199×60/6000×3908−2π×19=5.639[rad]となり、φC2=θC2×60/n×f=3.084×60/6000×3908−2π×19=1.147[rad]である。φC1とφC2の位相遅れの差については、Δφ=φC1−φC2=4.492=π+1.350[rad]となる。
以上の計算結果より、点Aにおける1枚目の刃のWave removingと2枚目の刃のWave removingの位相遅れの差については、Δφ=π−1.350[rad]である。一方、点Cにおける1枚目の刃のWave removingと2枚目の刃のWave removingの位相遅れの差については、Δφ=π+1.350[rad]である。点Aと点Cは、π[rad]をはさんで正負逆の同じ値となり、点Aと点Cでの再生効果は打ち消し合って消去されていることが理解される。点Aから点Cまでの軸方向位置と、1枚目の刃のWave removing及び2枚目の刃のWave removingの位相遅れの差Δφとの関係を図8に示す。図8に示すように、点Aから点Bの範囲における位相遅れの差Δφと、点Cから点Bの範囲における位相遅れの差Δφについても、点Bをはさんで同じ距離となる位置同士で、再生効果が相殺されて消えることが理解される。従って、図5においてm=−1の点線で示される軸方向切込みを2倍とした実線(点Aと点Jを通る実線)は、点Bを通る点線の下側と上側で再生効果がお互い相殺される再生効果相殺線となる。同様に、m=−2の点線で示される軸方向切込みを2倍とした実線(点Dと点Iを通る実線)は、点線の上側と下側で再生効果が相殺される再生効果相殺線となる。さらに、図5の点Gについて考えると、m=−1の点線に対して上下対称な、点Gから点Hと点Iから点Hとの再生効果が互いに相殺される。さらに点Iは、再生効果相殺線上にあるので、点Iより下側の再生効果は相殺される。従って、点Gと点Jを通る実線は、再生効果相殺線である。
不等ピッチエンドミルは、特定の回転数付近において、再生型の自励びびり振動を抑制する効果を有する。一方、不等リードエンドミルは、再生効果相殺線(特定の回転数と軸方向切込みの関係)付近の条件において、再生型の自励びびり振動を抑制する効果を有する。不等リードエンドミルでは、たとえ再生効果相殺線上にない軸方向位置であっても、最も近い相殺線からの距離に対応する再生効果しか残らない。従って、不等リードエンドミルが広い加工条件において再生型の自励びびり振動の抑制に有効であると予想される。さらに捩れ角の角度差が大きくなることで再生効果相殺線が密集すれば、より高い抑制効果が期待される。本評価により、びびり振動を抑制する高い効果を発揮し得るのはエンドミル6であると特定できる。
(実施例2)
図9〜図18を参照し、びびり振動評価について説明する。本評価では、エンドミル1〜6を用いた切削加工実験が行われ、びびり振動が発生するかどうかの評価がなされた。これにより、実際の切削加工において、エンドミル6がびびり振動を抑制できるかどうかが検証される。
図9及び図10を参照し、切削加工実験に使用されるエンドミル1〜6について説明する。エンドミル1〜6は、超硬合金製エンドミルである。エンドミル1〜6の外形寸法は、エンドミル30(図2参照)と同じである。エンドミル1〜6は、底刃を有さないことと、図9に示す仕様を除いて、市販のエンドミルと同じである。
エンドミル1,2は、切れ刃の捩れ角が何れも45°となる標準エンドミルである。エンドミル1は、ピッチ角が60°となるように切れ刃を6枚備える。エンドミル2は、ピッチ角が90°となるように切れ刃を4枚備える。エンドミル3,4は、切れ刃の捩れ角が45°となる不等ピッチエンドミルである。エンドミル3は、周方向に沿ってピッチ角が交互に58.5°及び61.5°となるように、切れ刃を6枚備える。エンドミル4は、周方向に沿ってピッチ角が交互に87.7°及び92.3°となるように、切れ刃を4枚備える。エンドミル5は、従来の4枚刃不等リードエンドミルである。エンドミル5は、捩れ角が45°となる切れ刃と捩れ角が44°となる切れ刃とを、周方向に沿って交互に備える(図10(a)参照)。エンドミル5の4枚の切れ刃は、先端から7.7mmの位置において、等ピッチとなるように配置される。エンドミル5の先端におけるピッチ角は、周方向に沿って交互に86.2°及び93.8°となる(図10(a)参照)。エンドミル6は、捩れ角の角度差が極端に大きい4枚刃不等リードエンドミルである。エンドミル6は、捩れ角が40°となる切れ刃と捩れ角が45°となる切れ刃とを、周方向に沿って交互に備える(図10(b)参照)。エンドミル6の4枚の切れ刃は、先端から7.7mmの位置において、等ピッチとなるように配置される。エンドミル6の先端におけるピッチ角は、周方向に沿って交互に72.3°及び107.8°となる(図10(b)参照)。
図11及び図12を参照し、切削加工実験に使用されるワークである工作物50A,50Bについて説明する。工作物50A,50Bは、図11に示す寸法W1と寸法W2を除いて、互いに同じ仕様である。図12では、工作物50A,50Bの夫々の寸法W1,W2を示す。以下、工作物50A,50Bを総称する場合、工作物50(図6参照)という場合がある。工作物50は、材質がSK105となる焼入れ鋼である。工作物50の硬度は、60HRC(697HV)である。
切削加工実験の方法について説明する。エンドミル1〜6は、設定された所定の回転数で回転し、工作物50A,50Bの夫々の加工面55に対して切削加工を施す。エンドミル1〜6は、先端が工作物50よりも1.0mm下方に位置する状態で、工作物50に対して切削加工を施す(図6参照)。図11に示すように、工作物50A,50Bの夫々の加工面55は、紙面右側の端から紙面左側の端まで(矢印A方向)切削加工される。エンドミル1〜6の軸方向の切込量が、0.5〜6.5mmと6.5〜12.5mmの範囲で変化するため、びびり振動安定限界が簡便に評価される。エンドミル1〜6の回転数は、種々のパターンに設定される。工作物50A,50Bは、設定される回転数ごとに使用される。
図13を参照し、切削加工実験の条件について説明する。切削加工実験にて対象とされる加工は、焼入れ鋼に対する側面仕上げ加工である。エンドミル1〜6の半径方向の切込量δは0.012mmである。エンドミル1〜6の最大切りくず厚みは0.002mmである。半径方向の切込量δと最大切りくず厚みが極小なため、切りくず量が極めて少ない。このため、エンドミル1〜6のフルートが浅く、チップポケットが小さくても、切削加工に支障は生じない。エンドミル6においては、溝底径(片方のフルートの底と相対するもう一方のフルートの底との距離)が工具径に対して85%となる(図10(b)参照)。これにより、捩れ角の角度差が5度と大きく、ピッチ角が極小となる箇所を有する不等リードエンドミルの製造が可能となり、エンドミル6の工具剛性も向上する。尚、通常の不等リードエンドミルの溝底径は、工具径に対して70%程度である。また、エンドミル1〜6の半径方向の切込量δが0.012mmであるので、エンドミル1〜6の半径方向における切込角度範囲Qは0.07748[rad]である。
図14に示すように、切削加工実験に使用された加工機100は、主軸101が上下方向に延びる立形マシニングセンタである。切削加工中では、光センサ51によって回転周期信号が測定され、渦電流式変位センサ52,53によって、エンドミル1〜6の半径方向と送り方向の2方向のびびり振動が計測される。動力計56によって切削抵抗が計測される。尚、光センサ51は、(株)キーエンス製のデジタルファイバセンサFS−V31M型である。渦電流式変位センサ52,53は、(株)電子応用製の高分解能ギャップセンサAEC−5706PS型である。動力計56は、Kistler Instrument Corp.製の3成分動力計9257Bである。尚、図14では、エンドミル1〜6のうち一例としてエンドミル6を図示する。
エンドミル1〜6は、加工機100の主軸101に、ツールホルダ103を介して装着される。エンドミル1〜6の突出し長さは、36mmであり、一定である。切削加工の前後でインパルス試験がなされ、共振周波数が確認される。インパルス試験では、インパルスハンマー(図示略)と光変位計(図示略)が夫々使用される。インパルスハンマーは、PCB Piezotronics Inc.製の086D80,Sensor Signal Conditioner Model 480E09である。光変位計は、岩通通信機(株)製のST−3711である。
びびり振動の有無の評価方法について説明する。切削加工中及び主軸101の空転中において、エンドミル1〜6のシャフト部の振動変位が渦電流式変位センサ52,53によって計測され、以下のように解析されることで、びびり振動の有無について判定がなされる。まず、光センサ51によって検出されるトリガー信号が利用され、渦電流式変位センサ52,53によって検出される切削加工中の変位データから、同じ回転位置における主軸101の空転時の変位データが差し引かれる。これにより、渦電流式変位センサ52,53によって検出される切削加工中の変位データから、シャフト部の振れ回り及び形状誤差成分が除去される。次に、シャフト部の振れ回り及び形状誤差成分が除去された変位データは、FFTにより周波数領域に変換される。FFTにより周波数領域に変換された変位データに、エンドミル1〜6のシャフト部に対する先端部の変位倍率が乗じられることで、エンドミル1〜6の各先端部の変位量が推定される。エンドミル1〜6の先端部の変位倍率は、切削加工前のインパルス試験によって得られた振動モードの変位分布から求められる。エンドミル1〜6の各先端部の変位の周波数成分のうち、主軸回転周波数の整数倍に一致しないものの最大値に基づき、びびり振動の有無が評価される。本評価では、エンドミル1〜6の夫々において、先端部の振動変位成分が2μm以上である場合に、びびり振動が発生したと判定され、1μm未満である場合にびびり振動が発生しなかったと判定される。
図15〜図17を参照し、びびり振動の判定結果について説明する。図15〜図17の夫々において、「×」はエンドミル1〜6の何れかの先端部における振動変位成分の最大値が2μm以上であったことを示し、「△」は1μm以上2μm未満であったことを示し、「○」は1μm未満であったことを示し、「−」は測定データがないことを示す。図15(a),(b)は、夫々、エンドミル1,2を用いた切削加工実験のびびり振動の評価結果である。図16(a),(b)は、夫々、エンドミル3,4を用いた切削加工実験のびびり振動の評価結果である。図17(a),(b)は、夫々、エンドミル5,6を用いた切削加工実験のびびり振動の評価結果である。尚、図16にて矢印によって示される実線と、図17のグラフ上で示される実線は、何れも再生効果相殺線である。
図15(a)に示すように、エンドミル1の切削加工では、軸方向切込み量が1mmとなる条件を含むほとんどの条件にて、びびり振動が発生した。一方、図15(b)に示すように、エンドミル2の切削加工では、エンドミル1に比べて低速・低軸方向切込み領域においてびびり振動の発生が少なかった。一方、高速・高軸方向切込み側の広い領域においてびびり振動が発生した。
図16(a),(b)に示すように、エンドミル3,4の切削加工では、再生効果相殺線が示す特定の回転数付近において、びびり振動の発生がなかったが、びびり振動が発生する領域が存在した。
図17(a)に示すように、エンドミル5の切削加工では、特定の回転数と軸方向切込みの条件において、びびり振動が発生した。一方、図17(b)に示すように、エンドミル6の切削加工では、切削加工がなされた全条件において、びびり振動の発生が全くなかった。即ち、エンドミル6では、びびり振動を抑制する効果が大きいことが検証された。エンドミル6がびびり振動を抑制する高い効果を有していたのは、再生効果相殺線が密に存在することが理由だと考えられる。更に、エンドミル6の軸方向の切込量dが6mm以下となる領域では、振動成分が1μm以上2μm未満となる領域もなかった。即ち、エンドミル6では、d/Dが0.75以下となる領域において、びびり振動が更に抑制されることが確認された。
尚、エンドミル3の切削加工(図16(a)参照)では、回転数3800min−1における切削加工中に実測されたびびり振動周波数が4495Hzであった。インパルス試験により特定された最大負実部周波数が3741Hzであるので、エンドミル3の実際の再生効果相殺条件は、3741min−1から回転数4495min−1付近にシフトしていると考えられる。エンドミル4の切削加工(図16(b)参照)では、回転数6000min−1における切削加工中に実測されたびびり振動周波数が4375Hzであった。インパルス試験により特定された最大負実部周波数が3908Hzであることから、エンドミル4の実際の再生効果相殺条件は、1997min−1及び5992min−1から2236min−1及び6708min−1付近にシフトしていると考えられる。
また、エンドミル5の結果を示す図17(a)も同様である。再生効果相殺線上であっても、例えば回転数4000min−1においてびびり振動が発生した。再生効果相殺線は予めインパルス加振によって同定された最大負実部周波数3908Hzに基づいて作成されているのに対し、回転数4000min−1において切削加工中に実測されたびびり振動周波数は4625Hzであった。従って、実際の再生効果相殺条件は図17に描かれた再生効果相殺線よりも右上方向(高速回転・高切込み方向)にシフトしていると考えられる。
図18は、切削加工が施された工作物50Bの加工面55の一例を示す。図18(a)は、回転数7000min−1、且つ軸方向切込量6.5mm〜12.5mmの条件下において、エンドミル2によって切削された加工面55を示す。図18(b)は、回転数6750min−1、且つ軸方向切込量6.5mm〜12.5mmの条件下において、エンドミル6によって切削された加工面55を示す。標準エンドミルであるエンドミル2によって切削加工された加工面55では、エンドミル2の軸方向に亘ってびびり振動が発生している。一方、エンドミル6によって切削加工された加工面55では、びびり振動が全く発生していない。この結果は、図15(b)と図17(b)にて示されるびびり振動の評価結果と一致している。
上記評価より、エンドミル6は、本評価で設定された全ての軸方向切込量において、再生型の自励びびり振動を抑制することが明らかとなった。また、エンドミル6の軸方向の切込量が6mm以下(d/Dが0.75以下)となる場合、1μm以上2μm未満となる振動も全く発生しなかったので、エンドミル6は、再生型の自励びびり振動を更に抑制できることが明らかとなった。エンドミル6が広い範囲で再生型の自励びびり振動を抑制するのは、再生効果相殺線が密に存在することによって理解される。尚、エンドミル6の捩れ角の角度差が5°よりも大きい場合、再生効果相殺線が更に密に存在するので、再生型の自励びびり振動は抑制されると考えられる。一方、エンドミル6の回転数が大きくなる程、再生効果相殺線の間隔が広くなる。従って、本評価で設定された回転数の最大値を超えた条件においては、エンドミル6によって切削加工がなされると、びびり振動が発生すると考えられる。
また、本評価で設定された条件において、極めて小さな半径方向切込み量であっても、通常のエンドミルであるエンドミル1,2では、本評価で設定された多くの条件においてびびり振動が発生することが明らかとなった。また、不等ピッチエンドミルであるエンドミル3,4では、特定の回転数付近においてびびり振動抑制効果があることが明らかとなった。また、従来の不等リードエンドミルであるエンドミル5では、特定の回転数と軸方向切込みの関係を満たす条件付近において、びびり振動を抑制する効果があることが明らかとなった。
(実施例3)
次に、エンドミル2を用いたびびり振動の評価について説明する。本評価では、工作物(図示略)がエンドミル2によって切削加工される場合において、びびり振動が発生するかが判断された。本評価の切削加工実験の条件について説明する。切削加工実験では、加工面が略矩形状の工作物(図示略)が使用された。工作物の材質及び硬度は実施例2の工作物50A,50Bと同じである。エンドミル2の回転数は、6000[min-1]である。エンドミル2の軸方向の切込量dは8[mm]である。エンドミル2の半径方向の切込量δは、0.020[mm]である。即ち、エンドミル2の半径方向の切込角度範囲Qは、0.1000[rad]である。切削加工実験の他の条件は、実施例2と同様である。
切削加工実験の結果について説明する。エンドミル2が工作物を切削加工した場合に、びびり振動が発生した。これにより、エンドミル2に代えて不等リードエンドミルを用いて上記切削加工がなされる場合においても、半径方向の切込量δが0.020mmとなる条件では、びびり振動が発生すると考えられる。上述した実施例2では、エンドミル6の半径方向の切込量δが0.012mmとなる条件で、びびり振動は発生しなかった。従って、不等リードエンドミルの半径方向の切込量δが0.018mm以下になると、びびり振動は発生しにくくなり、切込量δが0.012mm以下になると、びびり振動は更に発生しにくくなると考えられる。半径方向の切込量δが0.018mmである場合、切込角度範囲Qは0.09490[rad]であり、切込量δが0.012mmである場合、切込角度範囲Qは0.07748[rad]である。従って、不等リードエンドミルを用いた切削加工においては、切込角度範囲Qが0.095[rad]以下である場合に、びびり振動は発生しにくくなり、切込角度範囲Qが0.078[rad]以下となる場合に、びびり振動は更に発生しにくくなると考えられる。
上記評価により、不等リードエンドミルがびびり振動を抑制して高硬度のワークを切削加工できる条件は、切込角度範囲Qが0.095[rad]以下となる条件であることが明らかとなった。また、切込角度範囲Qが0.078[rad]以下となる条件では、びびり振動は更に発生しにくくなることが明らかとなった。
<5.びびり振動が抑制される加工条件の一般化についての検討>
(実施例2)によって確認されたように、エンドミル6が用いられる切削加工では、エンドミル6の軸方向切込量に関わらず、びびり振動は抑制される。また、エンドミル5では、特定の回転数と軸方向切込み付近において、びびり振動が抑制される。そこで、エンドミル5,6が用いられる切削加工の加工条件に基づいて、びびり振動が抑制される加工条件を一般化することを検討した。加工条件の一般化は、上述した式(1)及び式(2)の何れか1つの式が用いられることで実現される。
<5−1.式(1)を用いた加工条件の一般化>
まず、一般的な不等リードエンドミル(以下、単に不等リードエンドミルという)の再生効果相殺線図における、相殺線間隔Δa[mm]について説明する。不等リードエンドミルが備える複数の切れ刃には、互いに捩れ角が異なる2枚の切れ刃が含まれる。2枚の切れ刃の捩れ角を夫々、β,β[deg]とする。不等リードエンドミルが備える複数の切れ刃が互いに等ピッチとなる等ピッチ位置から、不等リードエンドミルの軸線方向に沿ってa[mm]離間した位置におけるピッチ角度差Δθ[rad](以下、単にピッチ角度差Δθという)は、式(5)によって求められる。
Δθ=2a(tanβ−tanβ)/D ・・・・式(5)
以下、等ピッチ位置から、不等リードエンドミルの軸線方向に沿ってa[mm]離間した位置に至る距離を、軸方向距離a[mm]という。
式(4)に式(5)が代入されることで、式(6)が得られる。
120f(tanβ−tanβ)a/(nD)=(1+2m)π ・・・・式(6)
式(6)を変形すると、式(7)が得られる。
よって、相殺線間隔Δa[mm]は、式(8)によって求められる。
(実施例2)のエンドミル6を用いた切削加工において、回転数が6000min−1となる条件における相殺線間隔Δa[mm]は、式(9)によって求められる。
図17(b)により、回転数が6000min−1となる条件でエンドミル6が切削加工を行う場合の相殺線間隔Δaと、式(9)によって求まる値とが互いに近似することが確認できる。また、式(9)によって求まる値に近似する間隔で、びびり振動が発生しないことも確認できる。
(実施例2)のエンドミル5を用いた切削加工において、回転数が2750min−1となる条件における相殺線間隔Δaは、式(10)によって求められる。
図17(a)により、回転数が2750min−1となる条件でエンドミル5が切削加工を行う場合の相殺線間隔Δaと、式(10)によって求まる値とが互いに近似することが確認できる。また、式(10)によって求まる値に近似する間隔で、びびり振動が発生していることが確認できる。しかし、回転数が2750min−1となるエンドミル5の切削加工においては、びびり振動の発生を示す「×」が1箇所しかないことから、相殺線間隔Δaが式(10)によって求まる値よりも僅かに小さい値であれば、びびり振動は発生しないと考えられる。従って、回転数を2750min−1としてエンドミル5が切削加工を行う加工条件は、びびり振動が発生する加工条件から、びびり振動が抑制される加工条件に切り替わる臨界的な加工条件であるとみなすことができる。
次に、等ピッチエンドミルが使用される切削加工の、等ピッチエンドミルの安定限界切込alimについて検討する。等ピッチエンドミルの安定限界切込alimは、式(11)によって求められる。
lim=−1/(2KG(ω)) ・・・・式(11)
式(11)において、K[N/mm]は比切削抵抗であり、G[mm/N]は等ピッチエンドミルが装着されたワーク加工システムの伝達関数の実部であり、ω[rad/s]は、エンドミルの固有角振動数である。
(実施例2)において用いられた4枚刃の等ピッチエンドミルであるエンドミル2のalimは、式(11)にK=2350N/mmとG=−2.948×10−3mm/Nとが代入され、さらにデューティ比として5.1%が加味されることで、式(12)のように求められる。
(=2350[N/mm])の測定方法については後述する。G(=−2.948×10−3[mm/N])は、インパルス試験によって求まる。デューティ比は、エンドミル2の1回転分の回転角度(即ち、360°)に対する、エンドミル2がワークである工作物50を4枚の切れ刃で切削している間に回転する回転角度の比率である。
式(11)の左辺を相殺線間隔Δaで除した数式である式(1)について検討する。式(11)の左辺が相殺線間隔Δaで除され、さらにω=2πfが代入されることにより、式(13)が得られる。
式(13)が用いられることで、回転数がnmax[min−1]以下となる条件において、不等リードエンドミルの軸方向切込み及び回転数に関わらずびびり振動が抑制される加工条件が、特定される。
(実施例2)における、エンドミル6を回転数6000min−1で切削加工する条件を、式(13)に当てはめることを検討する。この場合、式(9)及び式(12)によって、式(14)が求められる。
lim/Δa=1.415/3.997=0.354・・・式(14)
次に、(実施例2)において、エンドミル5を回転数2750min−1で切削加工する条件を、式(13)に当てはめることを検討する。この場合、式(10)及び式(12)によって、式(15)が求められる。
lim/Δa=1.415/8.591=0.165・・・式(15)
上述したように、エンドミル6を回転数6000min−1で切削加工する加工条件では、びびり振動の発生が抑制される。エンドミル5を回転数2750min−1で切削加工する条件は、びびり振動が抑制される境界的な加工条件とみなされる。よって、式(13)(即ち、式(1))の値が、0.165以上になると、びびり振動は抑制され、式(13)の値が0.354以上になると、びびり振動は更に抑制されると考えられる。
ここで、0.165または0.354という数値について考察する。まず、相殺線上の軸方向切込みでは再生効果が完全に相殺されてびびり振動は発生しない。最も発生し易いのは、相殺線と相殺線の中点にあたる軸方向切込みの場合である。その時、相殺線までの軸方向切込み範囲では再生効果が完全に相殺されているが、それより上側の軸方向切込み範囲において再生効果が生じ、その軸方向の範囲はΔaの0.5倍となる。ただし、この範囲でもある程度再生効果が相殺される。一方、alimは再生効果が全く相殺されない場合の安定限界を示している。以上から、alimがΔaの0.5倍よりも小さい0.165〜0.354倍において、いかなる軸方向切込みにおいても安定な条件が得られるのである。理論的には中間点で再生効果が半分相殺されるため0.25倍と考えられ、実験結果はこれに良く一致していると言える。理論的な考察と評価結果とが良く一致していることから、更なる評価が実施されるまでもなく、びびり振動を抑制できるか否かが判断されるための数式として、式(1)が有用であることが理解される。
図19を参照し、式(12)に代入される比切削抵抗Kの測定方法について説明する。以下、図19の紙面前後方向、左右方向、及び上下方向を、夫々、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向とする。比切削抵抗Kの測定には、加工機200、工作物250、及びエンドミル260が用いられる。加工機200は、主軸201が上下方向に延びる立形マシニングセンタである。主軸201には、工作物250が固定される。工作物250は、中空の円板状である。工作物250の材質及び硬度は、ワーク40(図1参照)と同じである。
加工機200の作業台210には、動力計256が設置される。動力計に256には万力230を介してエンドミル260が固定される。エンドミル260は、切れ刃の捩れ角が全て等しいエンドミル、即ち標準エンドミルである。エンドミル260の軸線方向は、Z軸方向と一致する。
加工機200は、エンドミル260及び工作物250の、X軸方向及びZ軸方向における位置決めを実行する。加工機200は、作業台210を移動させることでエンドミル260をY軸方向に移動させ、主軸201によって回転させられる工作物250に対して切削加工を施す。切削速度は約150[m/min]であり、Y軸方向における送り速度は、0.0004[mm/rev]から0.0062[mm/rev]である。切削加工が実行される場合に使用される潤滑油は、(実施例2)と同様である(図13参照)。比切削抵抗Kfは、動力計256によって測定される。
<5−2.式(2)を用いた一般化>
次に式(2)を用いた一般化について検討する。加工機100に装着される不等リードエンドミルは、一端が完全に固定される心棒とみなすことができる。一端が完全に固定される心棒の共振周波数f[Hz]を求めるための算出式は、公知の文献(例えば、理工学社出版 新機械工学便覧編集委員会 編さん「新機械工学便覧」の「2編 機械設計」の「6章 軸・キーおよび軸継手」)によって開示される。不等リードエンドミルの共振周波数fは式(16)によって求められる。
式(16)において、λは不等リードエンドミルの支持条件によって決まる無次元の定数であり、E[kg/mm]は不等リードエンドミルを形成する材料の縦弾性係数(ヤング率)であり、ρ[kg/mm]は不等リードエンドミルの密度、A[mm]は不等リードエンドミルの断面積であり、I[mm]は不等リードエンドミルの断面二次モーメントである。心棒とみなされる不等リードエンドミルの断面二次モーメントIは、式(17)によって求められる。
I=πD/64 ・・・・式(17)
不等リードエンドミルの先端に、不等リードエンドミルの軸線と直交する方向を向く荷重Wが作用した場合、不等リードエンドミルの最大たわみymax[mm]は、式(18)によって求められる。
max=Wl/(3EI) ・・・・式(18)
不等リードエンドミルの動剛性の逆数であるコンプライアンスymax/Wは、式(19)によって求められる。
そして、不等リードエンドミルの各切れ刃の安定限界切込blim[mm]は、式(20)によって求められる。
ここで、切れ刃の枚数N、切込角度範囲Q[rad]を考慮すると、不等リードエンドミルが1回転する間において、切れ刃数の回数の切削力が不等リードエンドミルに付与され、切れ刃が切込角度範囲Qを切削する間において、切削力が不等リードエンドミルに付与され続ける。このことから、安定限界切込みにNとQは反比例の関係にある。よって、式(21)で安定限界切込みは表される。
式(8)、ω=2πfによって、alim/Δaは、式(22)によって示される。
式(22)の定数を省略することで、式(23)が得られる。
さらに、ワークの硬度H[HV]はkに比例関係にあることより、式(23)は式(24)に書き換えられる。
即ち、式(2)は式(1)に対応する式であり、びびり振動が抑制されるための加工条件を特定するために適した数式であることが判る。ここで、ヤング率Eは「応力σ/歪ε」の値であり、単位はN/mm(1×10−9GPa)である。一方、ビッカース硬度H[HV]は「試験荷重F/圧子によるへこみの表面積S」の値で、単位はHVと一般に表示されるが、kgf/mm(9.8N/mm)のことである。また、切込角度範囲Qの単位は[rad]で、式(23)の単位は無次元化される。
式(2)に、(実施例2)におけるエンドミル6を回転数6000min−1で切削加工する条件が当てはめられると、式(25)が得られる。
また、式(2)に、(実施例2)におけるエンドミル5を回転数2750min−1で切削加工する条件が当てはめられると、式(26)が得られる。
上述したように、式(25)の条件下ではびびり振動が抑制される。また、式(26)の条件は、びびり振動が発生する条件から、びびり振動が抑制される条件に切り替わる境界的な条件とみなすことができる。よって、式(2)の値が9.401×10−3以上になると、びびり振動は抑制され、式(2)の値が20.205×10−3以上になると、びびり振動は更に抑制されると考えられる。
尚、式(2)は、エンドミルの一端が完全に固定され、且つ先端にのみ荷重が加えられることを前提として、導出された数式である。従って、式(1)は、式(2)よりも、びびり振動を抑制できるか否かを精度良く判断できる数式となる。
<6.本実施形態の主たる作用・効果>
以上説明したように、ワーク加工システム10は、式(1)の値が0.165以上となる条件で、ワーク40をエンドミル30によって切削する。これにより、びびり振動の抑制効果は高まる。よって、ワーク加工システム10は、ワーク40をエンドミル30で切削する場合に、びびり振動を抑制できる。エンドミル30の軸方向における切込量を大きくしてもびびり振動が抑制されるので、ワーク加工システム10は、ワーク40の加工面を良好な面粗さにする仕上げ加工を短時間で効率良く実行できる。
ワーク加工システム10は、式(1)の値が0.354以上となる条件で、ワーク40をエンドミル30によって切削する。これにより、振動抑制効果は更に高まるので、ワーク加工システム10は、びびり振動を更に抑制できる。
エンドミル30は、半径方向において低切込量でワーク40を切削する。即ち、ワーク加工システム10は、切込角度範囲Qが0.095[rad]以内となる条件でワーク40を切削する。これにより、エンドミル30による切削プロセスは、概ね一方向の切削プロセスに近似され、モードカップリング型の自励びびり振動は成長しにくい。また、ワーク加工システム10は、式(2)の値が9.401×10−3以上となる条件でワーク40を切削する。ワーク40が切削される場合において、再生型の自励びびり振動の抑制効果は高まる。よって、ワーク加工システム10は、ワーク40をエンドミル30で切削する場合に、びびり振動を抑制できる。
また、式(2)の値が20.205×10−3以上となる条件でワーク加工システム10がワーク40を切削することで、再生型の自励びびり振動の抑制効果は更に高まる。よって、ワーク加工システム10は、ワーク40をエンドミル30で切削する場合に、びびり振動を更に抑制できる。
また、エンドミル30は、捩れ角の角度差が5°となる不等リードエンドミルである。エンドミル30の捩れ角の角度差が2°以上であるので、式(2)におけるtanβ−tanβの値が増大する。従って、n、H、N、及びQが増大しても、式(2)の値は9.401×10−3以上になり易い。よって、ワーク加工システム10は、n、H、N、及びQが増大した条件においても、びびり振動を抑制してワーク40を切削できる。ワーク加工システム10は、捩れ角の角度差が2°未満である場合に比べて、より広範囲な加工条件に適用されることができる。
また、ワーク加工システム10は、d/Dが0.75以下となる条件で、ワーク40を切削する。これにより、ワーク40が切削される場合に、エンドミル30の軸方向に亘ってびびり振動が更に抑制される。
尚、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。工作機械20は、ワーク40が取り付けられた作業台21をX軸方向に移動させる代わりに、エンドミル30をX軸方向に移動させてもよい。
また、エンドミル30の捩れ角の角度差が5°である代わりに、例えば、4枚の切れ刃33のうち、2枚の切れ刃33の捩れ角の角度差が7°であり、残る2枚の切れ刃33の捩れ角の角度差が10°であってもよい。
また、4枚の切れ刃33の捩れ角は、全て互いに異なってもよいし、1枚の切れ刃33の捩れ角のみが、他の3枚の切れ刃33の捩れ角と異なってもよい。切れ刃33の捩れ角が3種以上存在する場合、再生効果を相殺する切れ刃33の組合せが複数存在する。この場合、式(2)の│tanβ―tanβ│は、エンドミル30の周方向に沿って互いに隣り合う2枚の切れ刃33を一組として、│tanβi−tanβ(i−1)│に置き換えればよい。│tanβi−tanβ(i−1)│は、複数の切れ刃33の各組み合わせによって規定される値であり、切れ刃33のピッチ差に比例する値である。各組における│tanβi−tanβ(i−1)│が等しい場合、高い相殺効果が得られる。尚、各組み合わせにおける│tanβi−tanβ(i−1)│は、完全に等しくなくても、ある程度の相殺効果が得られる。
また、エンドミル30の周方向に沿って、捩れ角が40°の切れ刃33と、捩れ角が45°の切れ刃33とが交互に並ぶ代わりに、捩れ角が40°の2枚の切れ刃33がエンドミル30の周方向に沿って隣り合ってもよい。この場合、捩れ角が45°の2枚の切れ刃33も、エンドミル30の周方向に沿って隣り合う。
10 ワーク加工システム
20 工作機械
26 主軸
30 エンドミル
40 ワーク
33 切れ刃

Claims (7)

  1. 工作機械の回転する主軸に装着されたエンドミルと、高硬度のワークとを相対的に移動させることによって、前記ワークを切削するワーク加工方法であって、
    前記エンドミルは、前記エンドミルの軸方向に対して捩れ且つ前記エンドミルの周方向に並ぶ複数の切れ刃を備え、前記複数の切れ刃には、捩れ角が互いに異なる2枚の切れ刃が含まれる不等リードエンドミルであって、
    以下で示される式(1)の値が0.165以上となる条件で、
    lim/Δa・・・式(1)
    (alim比切削抵抗とワーク加工システムでの伝達関数の実部との積の値と、デューティ比の値との双方が前記不等リードエンドミルと同じになる等ピッチエンドミルが前記ワークを切削する場合における、前記等ピッチエンドミルの軸方向の安定限界切込[mm]
    Δa:前記不等リードエンドミルの再生効果相殺線図にある互いに隣接する再生効果相殺線の、前記軸方向における間隔[mm])
    前記ワークを切削することを特徴とするワーク加工方法。
  2. 前記式(1)の値が0.354以上となる条件で、前記ワークを切削することを特徴とする請求項1に記載のワーク加工方法。
  3. 主軸を有する工作機械と、前記主軸に装着可能なエンドミルとを備え、高硬度のワークと、回転する前記主軸に装着された前記エンドミルとを相対的に移動させることによって、前記ワークを切削するワーク加工システムであって、
    前記エンドミルは、前記エンドミルの軸方向に対して捩れ且つ前記エンドミルの周方向に並ぶ複数の切れ刃を備え、前記複数の切れ刃には、捩れ角が互いに異なる2枚の切れ刃が含まれる不等リードエンドミルであって、
    前記工作機械は、前記ワークと、回転する前記主軸に装着された前記不等リードエンドミルとを相対的に移動させ、且つ、以下で示される式(1)の値が0.165以上となる条件で、
    lim/Δa・・・式(1)
    (alim:等ピッチエンドミルが前記ワークを切削する場合における、前記等ピッチエンドミルの軸方向の安定限界切込[mm]
    Δa:前記不等リードエンドミルの再生効果相殺線図にある互いに隣接する再生効果相殺線の、前記軸方向における間隔[mm])
    前記ワークを切削することを特徴とするワーク加工システム。
  4. 工作機械の回転する主軸に装着されたエンドミルと、高硬度のワークとを相対的に移動させることによって、前記ワークを切削するワーク加工方法であって、
    前記エンドミルは、前記エンドミルの軸方向に対して捩れ且つ前記エンドミルの周方向に並ぶ複数の切れ刃を備え、前記複数の切れ刃には、捩れ角が互いに異なる2枚の切れ刃が含まれる不等リードエンドミルであって、
    前記不等リードエンドミルの半径方向における切込角度範囲Qが0.095[rad]以内となる条件、且つ、以下で示される式(2)の値が9.401×10−3以上となる条件で、
    (ω:前記不等リードエンドミルの固有角振動数[rad/s]
    E:前記不等リードエンドミルを形成する材料のヤング率[GPa]
    β,β:前記2枚の切れ刃の前記捩れ角[deg]
    n:前記不等リードエンドミルの回転数[min−1
    H:前記ワークの硬度[HV]
    N:前記複数の切れ刃の枚数
    D:前記不等リードエンドミルの工具径[mm]
    l:前記不等リードエンドミルの突出し長さ[mm])
    前記ワークを切削することを特徴とするワーク加工方法。
  5. 前記式(2)の値が20.205×10−3以上となる条件で、前記ワークを切削することを特徴とする請求項4に記載のワーク加工方法。
  6. 前記2枚の切れ刃の前記捩れ角は、互いに2°以上異なることを特徴とする請求項4又は5に記載のワーク加工方法。
  7. 主軸を有する工作機械と、前記主軸に装着可能なエンドミルとを備え、高硬度のワークと、回転する前記主軸に装着された前記エンドミルとを相対的に移動させることによって、前記ワークを切削するワーク加工システムであって、
    前記エンドミルは、前記エンドミルの軸方向に対して捩れ且つ前記エンドミルの周方向に並ぶ複数の切れ刃を備え、前記複数の切れ刃には、捩れ角が互いに異なる2枚の切れ刃が含まれる不等リードエンドミルであって、
    前記工作機械は、前記ワークと、回転する前記主軸に装着された前記不等リードエンドミルとを相対的に移動させ、前記不等リードエンドミルの半径方向における切込角度範囲Qが0.095[rad]以内となる条件、且つ、以下で示される式(2)の値が9.401×10−3以上となる条件で、
    (ω:前記不等リードエンドミルの固有角振動数[rad/s]
    E:前記不等リードエンドミルを形成する材料のヤング率[GPa]
    β,β:前記2枚の切れ刃の前記捩れ角[deg]
    n:前記不等リードエンドミルの回転数[min−1
    H:前記ワークの硬度[HV]
    N:前記複数の切れ刃の枚数
    D:前記不等リードエンドミルの工具径[mm]
    l:前記不等リードエンドミルの突出し長さ[mm])
    前記ワークを切削することを特徴とするワーク加工システム。
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