本発明の発明者の知見によれば、サーボコントローラが使用するパラメータが、当該サーボコントローラのメモリのどのアドレスに格納されているかは、サーボコントローラの機種により異なる場合がある。また、サーボコントローラが使用するパラメータの種類自体も、サーボコントローラの機種に依存して異なる場合がある。そのため、サーボコントローラのパラメータ調整装置(以下、単に「パラメータ調整装置」という。)は、サーボコントローラがどのようなパラメータをどのアドレスに保持しているか、個々のパラメータの情報量はいくらか、といった、対象となるサーボコントローラ内の情報にアクセスするために必要となる情報をあらかじめ保持していなければならない。かかる情報を接続情報と呼ぶこととすると、パラメータ調整装置には、調整対象となる機種の接続情報があらかじめ与えられているのが通常である。本出願時点において、パラメータ調整装置は、汎用のPCにおいて実行されるアプリケーションソフトウェアとして提供されることが一般的であり、必要となる接続情報は、アプリケーションソフトウェアにあらかじめ含まれている。
一方で、サーボコントローラは、技術の進展や、需要の変遷に伴い、継続的に新しい機種が開発され、上市される。パラメータ調整装置は、このように新しく登場するサーボコントローラに対しても、パラメータの調整をすることが求められるため、サーボコントローラの新機種の上市に合わせて、ソフトウェア自体をアップグレードし、その際にパラメータ調整装置が持つ接続情報を更新するようにしていた。
しかしながら、本発明の発明者は、上記の対応は、例えば、次にあげるように必ずしもパラメータ調整装置の接続情報の追加に適していないことを認識した。
(1)ソフトウェアのアップグレードのタイミングは、新機種のリリースに対応したものとなるので、ユーザがその新機種の使用を予定していない場合にも、元来不要なソフトウェアのアップグレードを要求してしまい、ユーザの利便性を損なう。また、使用予定が無い機種の接続情報がパラメータ調整装置に追加されることとなり、無駄に記憶容量を占有してしまう。
(2)近年のユーザの要求の多様化に伴い、サーボコントローラの機種が増加する傾向にあり、細かな仕様の違いなどを含めた全ての機種それぞれについての接続情報をパラメータ調整装置に追加することとすると、大きな記憶容量を必要としてしまい、無駄が多い。
(3)あまり頻繁なソフトウェアのアップグレードを要求すると、ユーザの利便性を大きく損なうため、ソフトウェアのアップグレードは、ある程度、例えば、数カ月から半年程度の間隔をあけて行うことが望ましいが、そのようにすると、サーボコントローラの機種自体のリリースのタイミングをソフトウェアのアップグレードに合わせなければならず、ユーザの需要に即応するタイミングでの新機種のリリースが困難となり、時宜を逃す恐れがある。
そこで、本発明の発明者は、これら事情に鑑み、パラメータ調整装置に接続情報を追加するにあたり、不要な機種についての接続情報の追加が必要なく、追加に要する情報量が少なくて済むようにするとともに、接続情報の追加・更新の自由度を高めることについて鋭意研究開発を行い、新規かつ独創的なパラメータ調整装置等を発明するにいたった。以下、その好適な実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の実施形態に係るパラメータ調整装置1の物理的な構成例を示すブロック図である。パラメータ調整装置1としては一般的なコンピュータを用いてよく、本実施形態においても、CPU(Central Processing Unit)1a、RAM(Random Access Memory)1b、外部記憶装置1c、GC(Graphics Controller)1d、入力デバイス1e及びI/O(Inpur/Output)1fがデータバス1gにより相互に電気信号のやり取りができるよう接続されている一般的なコンピュータを用いている。ここで、外部記憶装置1cはHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の静的に情報を記録できる装置である。またGC1dからの信号はCRT(Cathode Ray Tube)やいわゆるフラットパネルディスプレイ等の、使用者が視覚的に画像を認識するモニタ1hに出力され、画像として表示される。入力デバイス1eはキーボードやマウス、タッチパネル等の、ユーザが情報を入力するための機器であり、I/O1fはパラメータ調整装置1が外部の機器と情報をやり取りするためのインタフェースである。コンピュータをパラメータ調整装置1として機能させるためのアプリケーションプログラムは外部記憶装置1cにインストールされ、必要に応じてRAM1bに読みだされてCPU1aにより実行される。また、かかるプログラムは、適宜の光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等の適宜のコンピュータ可読情報記録媒体に記録されて提供されても、インターネット等の情報通信回線を介して提供されてもよく、さらに、I/O1fを介して外部のネットワークに接続されたサーバによりパラメータ調整装置1としての機能が提供される、いわゆるクラウドコンピューティングにより提供されてもよい。
<パラメータ調整装置の基本的な構成>
図2は、本発明の実施形態に係るパラメータ調整装置1の基本的な構成を示す機能ブロック図である。ここで、本図を含め、本出願の図面にて示す各機能ブロックは、上述のパラメータ調整装置1等の物理的構成を用いて、例えば、CPU1aにより所定のプログラムを実行したり、RAM1bや外部記憶装置1cに所定の情報を記憶する領域を割り当てたりすることにより仮想的に実現されており、パラメータ調整装置1等が有する機能に着目して個別に示したものである。従って、本図に示す機能ブロックは必ずしもパラメータ調整装置1の物理的構成や、パラメータ調整装置1が実行するプログラム自体が機能ブロック毎に区分されることを意味しない。
そして、後述するように、パラメータ調整装置1は、種々の態様にて接続情報を追加できる構成を有しており、それら種々の構成全てが必ずしも必要ではない。そこで、説明をわかりやすくするため、まず、パラメータ調整装置1の種々の態様について共通する基本的な構成を説明し、その後、より具体的な種々の態様を説明することとする。もちろん、本図を含め、本出願の図面にて示す機能ブロック図には、パラメータ調整装置1が有する全ての機能が示されているわけではなく、本発明の主題と技術的関連の低い部分は省略されている。
パラメータ調整装置1の基本的な構成では、サーボコントローラの機種に対応する接続情報を選択的に取得する接続情報取得部10、取得された接続情報を個別にデータベース12に追加する接続情報追加部11、データベース12を記憶するデータベース記憶部13、ユーザからの入力を受け詰める入力部14、モニタ1hに表示したGUIによりユーザからの入力に基いてパラメータを編集するパラメータ編集部15及び、パラメータ調整装置1に接続されたサーボコントローラ2からパラメータを読み込み、又は編集済みのパラメータを書き出すパラメータ読込/書出部16が含まれる。
パラメータ調整装置1が接続されたサーボコントローラ2のパラメータを調整する基本的な動作は次の通りである。
パラメータ調整装置1に調整対象となるサーボコントローラ2を接続し、サーボコントローラ2内のパラメータをパラメータ読込/書出部16により読み込む。このとき、パラメータ読込/書出部16は、データベース記憶部13内のデータベース12に含まれる、サーボコントローラ2の機種に対応する接続情報を参照する。これにより、サーボコントローラ2から読み込まれる情報をパラメータとして解釈することができる。サーボコントローラ2の機種の判別は、パラメータ調整装置1が情報通信により自動で行ってもよいし、ユーザが入力部14を用いて機種を指定することにより行ってもよい。また、データベース12は、サーボコントローラの複数の機種にそれぞれ対応する複数の接続情報を少なくとも含んでいる。
なお、ここで、サーボコントローラの機種とは、サーボコントローラの構成や仕様の差異に基いて定まるサーボコントローラの種類を指している。一般的には、機種にはそれぞれ固有の型番が付され、型番により機種を判別することができるが、ファームウェアの差異や、カスタマイズ品におけるカスタマイズ項目等の細かな仕様の差異は、型番に反映されない場合もある。また、接続情報とは、前述したように、対象となるサーボコントローラ内の情報にアクセスするために必要となる情報である。同一構成・仕様のサーボコントローラに用いる接続情報は同一であるから、接続情報は機種毎に共通である。接続情報には、各パラメータのアドレスや情報量等の、サーボコントローラ内の情報を解釈するための情報が含まれるほか、その他の情報、例えば、後述する言語情報等が含まれてよい。一の接続情報は、単一の又は複数の機種に対応付けられていてよい。
続いて、パラメータ編集部15は、現在のパラメータや適宜のGUIをモニタ1hに表示し、入力部14によるユーザからの入力を受け付け、パラメータの編集を行う。このパラメータの編集は、ユーザから直接数値等の入力を受けることにより行ってもよいし、ユーザからの指示に基いて、自動でパラメータ設定をすることにより行ってもよい。自動のパラメータ設定の方法としては、例えば、あらかじめ用意されたアルゴリズムに基いて、サーボコントローラ2に接続されたサーボモータを駆動して負荷を測定し、ゲインや時定数等を設定する、いわゆるオートキャリブレーション等が例示される。
パラメータの編集後は、パラメータ読込/書出部16により、編集されたパラメータがサーボコントローラ2に書き出され、これによりパラメータの調整がなされる。この時もまた、サーボコントローラ2の機種に対応する接続情報が参照され使用される。
以上の通り、サーボコントローラ2のパラメータを調整するにあたっては、サーボコントローラ2の機種に対応する接続情報が必要である。そのため、前述した通り、新しい機種のパラメータを調整するためには、当該機種に対応する接続情報を新たに追加する必要がある。そして、本実施形態に係るパラメータ調整装置1は、ソフトウェアのアップグレードにより、データベース12自体、すなわち、データベース12全体の更新をすることなく、必要な接続情報を追加するための構成を有している。
接続情報取得部10は、外部機器3と通信することにより、外部機器3に格納された接続情報を選択的に取得する。ここで、「選択的に取得する」とは、個々の接続情報について、取得の有無を判断し、その判断結果に基いて取得するとの意味である。例えば、外部機器3に複数の接続情報が格納されており、必要性に基いてそのうちの一部を取得するのは、選択的な取得に該当する。あるいは、外部機器3に単一の接続情報が格納されている場合であっても、かかる接続情報が必要であるか否かを判断して、必要と判断して所得するのは、選択的な取得である。
接続情報を取得するにあたっての取得の有無の判断は、後述する種々の態様が考えられる。例えば、パラメータ調整装置1に接続されたサーボコントローラ2の機種から、対応する接続情報の取得の有無を判断するのは一つの態様である。ユーザが、入力部14から、接続情報を必要とする機種を入力し、かかる機種に対応する接続情報の取得が必要であると判断するのもまた一つの態様でありうる。
接続情報追加部11は、取得された接続情報を、データベース記憶部13に記憶されたデータベース12に個別に追加する。ここで、「個別に追加する」とは、個々の接続情報を独立にデータベース12に追加するとの意味であり、データベース12が有するべき複数の接続情報をまとめて更新することにより接続情報の追加を行う態様とは区別される。
なお、ここでのデータベース12は、データベース記憶部13において、一単位の電子データとして取り扱われるものに限定されず、一群として管理される電子データを含む。例えば、データベース記憶部13が外部記憶装置1c等のファイルシステムにより管理されるものである場合に、データベース12は一の電子ファイルに統合されたものだけでなく、一群として管理される複数の電子ファイルであってもよい。
このように、本実施形態に係るパラメータ調整装置1では、接続情報取得部10が選択的に接続情報を取得し、取得された接続情報を接続情報追加部11がデータベース12に個別に追加することにより、必要とされる機種の接続情報のみをデータベース12に追加することができるから、不要な機種についての接続情報をデータベース12に追加する必要が無い。このため、接続情報の追加に要する情報量が少なく、接続情報の追加に要する時間が短くて済むほか、データベース12の情報量が不必要に増大しないから、データベース記憶部13が必要とする記憶容量を小さく抑えることができる。また、接続情報の追加を、例えばパラメータ調整装置1のソフトウェアのバージョンアップのように、一斉に行う必要が無いため、各機種の上市のタイミングに合わせての提供ができ、接続情報の追加・更新の自由度が高い。
<接続情報追加の種々の態様>
続いて、本実施形態に係るパラメータ調整装置1における、接続情報の追加の種々の態様を説明する。
図3は、本実施形態に係るパラメータ調整装置1を含むサーボシステム4の例を示す概略図である。サーボシステム4では、パラメータ調整装置1が、一対一の直接接続、又はインターネットなどの電気通信回線によるネットワークNを介した間接接続により、種々の外部機器3(図2参照)と接続されている様子を示している。ここでは、外部機器3に該当するのは、サーボコントローラ2、接続情報サーバ5である。製造時識別情報サーバ6については後述する。サーボコントローラ2には、リニアスライダなどのサーボモータを用いたサーボ機構7が接続されている。
図4は、図3に示したサーボシステム4の機能ブロック図である。同図では、図2に示したパラメータ調整装置1の基本的な構成に加え、ここで示したサーボシステム4の例に沿ったより詳細な構成が示されている。また、図2に示した外部機器3には、サーボコントローラ2と接続情報サーバ5が該当している。
本実施形態では、パラメータ調整装置1は、接続情報をサーボコントローラより取得する態様と、接続情報を接続情報サーバより取得する態様の2つの態様により接続情報を取得する。また、接続情報を接続情報サーバより取得する態様には、さらに、機種情報が直接得られる態様と、製造時識別情報が得られる態様の2つが含まれる。これらの態様によって、パラメータ調整装置1の動作と、必要となる構成が若干異なる。パラメータ調整装置1は、必ずしも、以下説明する全ての態様により接続情報を取得できる必要はなく、用いられない態様にのみ使用される構成は備えていなくともよい。図4は、以下説明する接続情報の取得の態様において使用される構成を一覧できるよう示したものにすぎず、パラメータ調整装置1が同図に示された構成を全て備えることを要求するものではない。
以下、各々の態様毎にパラメータ調整装置1の機能とその動作を説明する。
<接続情報をサーボコントローラより取得する態様>
この態様では、サーボコントローラ2は、その内部メモリにパラメータ調整装置1が必要とする接続情報を保持している。そして、パラメータ調整装置1は、パラメータ調整装置1自身に接続されたサーボコントローラ2から、選択的に接続情報を取得してデータベース12に追加する。
そのため、パラメータ調整装置1は、機種特定部17を有している。機種特定部17は、パラメータ調整装置1に接続されたサーボコントローラ2の機種を特定する。ここでは、機種特定部17は、サーボコントローラ2が保持する自分自身についての機種情報、例えば、型番を接続回線を通じて読み出すことによりその機種を特定する。なお、機種情報とは、機種を特定するに足る情報を指すものとする。機種の特定は、パラメータ調整装置1の起動時や、サーボコントローラ2がパラメータ調整装置1に接続されたときに自動で行ってよい。あるいは、ユーザが入力部14よりサーボコントローラ2の機種を直接指定したり、選択したりすることにより機種を特定してもよい。
そして、接続情報取得部10には、取得判断部18が設けられている。取得判断部18は、特定された機種に対応する接続情報の取得の有無を判断する。ここでは、データベース記憶部13に記憶されたデータベース12に、特定された機種に対応する接続情報が含まれていない場合に取得有りと判断する。データベース12に当該接続情報が含まれている場合には、通常は取得無しと判断するが、接続情報のバージョンを比較して、データベース12に含まれている接続情報より新しい接続情報が取得できる場合には、取得有りと判断してもよい。なお、図4ではデータベース12として予約データベース12aと通信時データベース12bの2つが示されているが、この詳細については後述する。
接続情報取得部10は、取得判断部18が取得有りと判断した場合、サーボコントローラ2から接続情報を接続回線を通じて取得する。取得された接続情報は、接続情報追加部11によりデータベース12に追加される。追加された接続情報は、パラメータ読込/書出部16によるパラメータの読み込み及び書出しの際に使用される。
図5は、以上説明した態様におけるパラメータ調整装置1の動作のフロー図である。まず、ステップST101にて機種特定部17がサーボコントローラ2から機種情報を読み出し、その機種を特定する。そして、ステップST102にて、取得判断部18は、特定された機種に対応する接続情報が、既にデータベース12に含まれるか否かを判断する。なお、この時、ステップST102にて、肯定の判断であれば、サーボコントローラ2の機種情報を取得する必要は通常ないので、パラメータ調整装置1は、接続情報の取得を終了する。なお、より新しいバージョンの接続情報がある等の場合には、接続情報を取得するようにしてもよい点は、前述した通りである。
ステップST102にて否定の判断であれば、続くステップST103にて、接続情報取得部10は、サーボコントローラ2から接続回線を通じて接続情報を取得する。さらにステップST104にて、接続情報追加部11が取得された接続情報をデータベース12に追加し、接続情報の取得を終了する。すなわち、パラメータ調整装置1は、図5に示したフローの方法によって、接続情報の追加をする。
この態様によれば、パラメータ調整装置1を外部の電気通信回線に接続したり、接続情報を記録した記録メディアを用意し読み込ませる等の追加の手間を必要とすることなく、パラメータ調整装置1にパラメータを調整しようとするサーボコントローラ2を接続することにより接続情報の追加ができ、簡便かつ迅速に必要な接続情報をパラメータ調整装置1に追加することができる。また、機種の判別を機種特定部17が自動で行う場合には、ユーザがサーボコントローラ2の機種を調べて入力する手間を軽減できるとともに、ヒューマンエラーも防止できる。
<接続情報を接続情報サーバより取得する態様1>
この態様では、パラメータ調整装置1は、ネットワークNを介して接続情報サーバ5と通信可能に接続されている。接続情報サーバ5は、複数の接続情報を記憶しており、パラメータ調整装置1からの要求に応じて、各々の接続情報を個別に送信することができる。そして、パラメータ調整装置1は、接続情報サーバ5から、必要な接続情報を選択的に取得してデータベースに追加する。
そのため、パラメータ調整装置1は、先の態様と同様に、機種特定部17により、パラメータ調整装置1に接続されたサーボコントローラ2の機種を特定する。ここでも、機種特定部17は、サーボコントローラ2が保持する自分自身の機種を示す機種情報によりその機種を特定するが、ユーザが入力部14よりサーボコントローラ2の機種を直接指定したり、選択したりすることにより機種を特定してもよい点についても同様である。
接続情報取得部10に設けられた取得判断部18についても同様であり、取得判断部18は、特定された機種に対応する接続情報の取得の有無を判断する。
接続情報取得部10は、取得判断部18が取得有りと判断した場合、接続情報サーバ5に対し、特定された機種に対応する接続情報を要求し、接続情報サーバ5は、要求された接続情報をパラメータ調整装置1に送信する。これにより接続情報取得部10は、接続情報を選択的に取得する。
後は先の態様と同様であり、取得された接続情報は、接続情報追加部11によりデータベース12に追加され、かかる接続情報は、パラメータ読込/書出部16によるパラメータの読み込み及び書出しの際に使用される。
図6は、以上説明した態様におけるパラメータ調整装置1の動作のフロー図である。ステップST201、ST202は先の態様とおおむね同様であり、まず、ステップST201にて機種特定部17がサーボコントローラ2から機種情報を読み出し、その機種を特定する。そして、ステップST202にて、取得判断部18は、特定された機種に対応する接続情報が、既にデータベース12に含まれるか否かを判断し、肯定の判断であれば、接続情報の取得を終了する。
ステップST202にて否定の判断であれば、続くステップST203にて、接続情報取得部10は、接続情報サーバ5に必要な接続情報を要求し、要求に応じて送信される接続情報を受信して取得する。そしてステップST204にて、接続情報追加部11が取得された接続情報をデータベース12に追加し、接続情報の取得を終了する。すなわち、パラメータ調整装置1は、図6に示したフローの方法によって、接続情報の追加をする。
この態様によれば、接続情報を記録した記録メディアを別途用意し読み込ませる等の追加の手間をユーザに要求することが無く、また、パラメータ調整装置1への接続情報の更新や追加は、サーボコントローラ2の製造者が接続情報サーバ5上の接続情報を個別に更新したり追加することによっておこなわれるため、接続情報の更新や追加のタイミングは接続情報毎に任意である。
<接続情報を接続情報サーバより取得する態様2>
この態様では、パラメータ調整装置1は、ネットワークNを介して複数の接続情報を記憶する接続情報サーバ5と通信可能に接続され、かかる接続情報サーバ5から、必要な接続情報を選択的に取得してデータベースに追加する点は先の態様と同じであるが、パラメータ調整装置1は、さらに、ネットワークNを介して製造時識別情報サーバ6と通信可能に接続される。そして、パラメータ調整装置1は、サーボコントローラ2の製造時識別情報を製造時識別情報サーバ6に問合せて機種情報を得て、サーボコントローラ2の機種の特定をする。
ここで、製造時識別情報とは、サーボコントローラ2の製造時の条件を特定するための識別情報である。そして、製造時識別情報サーバ6は、製造時識別情報に紐付けて、機種情報を含む製造時の条件を記憶している。
製造時識別情報の代表的な例として、BTO(受注生産)における要求仕様を識別するIDが挙げられる。これを便宜的にBTO番号と呼ぶこととし、その使用の態様を図3を参照して説明する。
まず、ユーザは、購入しようとするサーボコントローラ2の構成や、工場出荷時に設定されているパラメータ等の要求仕様を所望のものに構成し、ネットワークN等を通じて、製造時識別情報サーバ6に登録する。このとき、個々の要求仕様を区別できるように、製造時識別情報サーバ6は、登録された要求仕様毎に製造時識別情報、すなわち、BTO番号を発行し付与する。すなわち、BTO番号は、登録された要求仕様毎に一意の識別情報となる。
そして、ユーザは、サーボコントローラ2の製造者に、BTO番号を指定することによって、要求仕様通りのサーボコントローラ2を発注する。製造者の工場8は、指定されたBTO番号を用いて、製造時識別情報サーバ6より要求仕様を取得する(図中破線矢印)。工場8は、取得した要求仕様に従ってサーボコントローラ2を製造し、ユーザに納品する(図中一点鎖線矢印)。このように、製造時識別情報サーバ6を設け、製造時識別情報(BTO番号)と要求仕様とを紐付けて管理することにより、ユーザは、一度所望の要求仕様を製造時識別情報サーバ6に登録すると、後は製造時識別情報(BTO番号)を指定するのみで、要求仕様通りのサーボコントローラ2を発注することができる。
このとき、製造時識別情報を用いて発注・製造されたサーボコントローラ2の仕様は、要求仕様毎に細かな差異が生じるため、この仕様全ての詳細を型番のような簡便な表示法により表示することは現実的でない。このため、製造時識別情報を用いて発注・製造された場合には、型番のように、サーボコントローラ2に付された情報のみからではその詳細な仕様が明らかでなく、機種を特定できない場合が考えられる。
そこで、本態様に用いられるパラメータ調整装置1は、図4に示すように、機種特定部17は製造時識別情報サーバ6と通信可能に構成されており、さらに、製造時識別情報取得部19が設けられている。
製造時識別情報取得部19は、サーボコントローラ2の機種を特定するにあたって、まず、サーボコントローラ2が保持する自分自身の製造時に用いられた製造時識別情報を接続回線を通じて取得する。あるいは、ユーザが入力部14よりサーボコントローラ2の製造時識別情報を直接指定してもよいが、サーボコントローラ2より製造時識別情報を取得できる構成とすると、ユーザに製造時識別情報を入力させる手間を省略でき、又ヒューマンエラーも防止できる。
機種特定部17は、取得された製造時識別情報を製造時識別情報サーバ6に照会する。ここで、製造時識別情報サーバ6は、照会に係る製造時識別情報に紐づけられた要求仕様のうち、少なくとも機種情報を送信する。これにより、機種特定部17によるサーボコントローラ2の機種の特定がなされる。
以降は先の態様と同じであり、取得判断部18による接続情報の取得の有無の後、取得有りと判断の場合に、接続情報取得部10が、接続情報サーバ5から必要な接続情報を選択的に取得する。取得された接続情報は、接続情報追加部11によりデータベース12に追加され、かかる接続情報は、パラメータ読込/書出部16によるパラメータの読み込み及び書出しの際に使用される。
図7は、以上説明した態様におけるパラメータ調整装置1の動作のフロー図である。まずステップST301において、製造時識別情報取得部19が、サーボコントローラ2が製造時識別情報を持つかどうかを判別する。この判別は、サーボコントローラ2が製造時識別情報を用いて発注・製造されたサーボコントローラ2である場合、サーボコントローラ2がもつ型番が、自身の仕様を詳細に反映したものでない可能性があるため、優先的に製造時識別情報を用いて機種の特定をするためになされる。
ステップST301において肯定の場合、すなわち、サーボコントローラ2が製造時識別番号を持つ場合には、ステップST302にて、製造時識別情報取得部19がサーボコントローラ2から製造時識別情報を読み出し、続くステップST303にて、機種特定部17が製造時識別情報サーバ6に製造時識別情報を照会し、機種情報を所得して、サーボコントローラ2の機種を特定する。
一方、ステップST301において否定の場合、すなわち、サーボコントローラ2が製造時識別情報を持たない場合には、ステップST304にて、先の態様と同様に、機種特定部17により、パラメータ調整装置1に接続されたサーボコントローラ2の機種を特定する。ここでも、機種特定部17は、サーボコントローラ2が保持する自分自身の機種を示す機種情報によりその機種を特定するが、ユーザが入力部14よりサーボコントローラ2の機種を直接指定したり、選択したりすることにより機種を特定してもよい点についても同様である。
サーボコントローラ2の機種が特定された後は、先の態様と同様に、ステップST305にて、取得判断部18は、特定された機種に対応する接続情報が、既にデータベース12に含まれるか否かを判断し、肯定の判断であれば、接続情報の取得を終了する。
ステップST305にて否定の判断であれば、続くステップST306にて、接続情報取得部10は、接続情報サーバ5に必要な接続情報を要求し、要求に応じて送信される接続情報を受信して取得する。そしてステップST307にて、接続情報追加部11が取得された接続情報をデータベース12に追加し、接続情報の取得を終了する。すなわち、パラメータ調整装置1は、図7に示したフローの方法によって、接続情報の追加をする。
この態様によれば、個別に受注生産されたサーボコントローラ2に最適な接続情報が取得でき、ユーザに受注生産品に合わせて接続情報を手動で設定させる手間を要求することがなく、また、設定ミスなどのヒューマンエラーも防止できる。また、要求仕様に適した接続情報が用意されていない場合には、要求仕様が製造時識別情報サーバ6に登録された時点で、適した接続情報を接続情報サーバに追加すればよいので、可能性のあるあらゆる要求仕様に対応する接続情報をあらかじめ用意しておく必要が無く、様々な要求仕様に柔軟に応えることができる。
<パラメータ調整装置のその他の態様>
また、本実施形態に係るパラメータ調整装置1は、接続情報を追加する態様だけでなく、接続情報に関して種々の特徴を有していてよく、以下、それら特徴に係る態様を説明する。
図4に示されるように、パラメータ調整装置1のデータベース記憶部13に記憶されるデータベース12は、予約データベース12aと、通信時データベース12bの2種のデータベースを含んでいてよい。これら予約データベース12aと、通信時データベース12bは、それぞれ、接続情報を含んでいる。
通信時データベース12bは、パラメータ読込/書出部16が参照し使用するものであり、パラメータ調整装置1がサーボコントローラ2と通信する際には、通信時データベース12bに含まれる接続情報が使用される。一方、予約データベース12aは、通信時データベース12bとしての使用が予約されるものである。すなわち、予約データベース12aは、直接パラメータ読込/書出部16により参照されることはないが、データベース更新部19により通信時データベース12bとして、既存の通信時データベース12bを上書きし更新することにより、将来的に通信時データベース12bとして使用される。予約データベース12a及び通信時データベース12bの物理的な所在は特に限定はされないが、例えば、予約データベース12aは、外部記憶装置1c等のファイルシステム上の電子ファイルとして記憶・管理され、通信時データベース12bは、メモリ上に展開されて、必要に応じて高速にアクセスされる等してよい。
データベース更新部19は、適宜のタイミング、例えば、パラメータ調整装置1の起動時に、予約データベース12aにより通信時データベース12bを上書きし更新する。また、接続情報追加部11による接続情報の追加は、予約データベース12aに対し行われる。
以上の構成によれば、パラメータ調整装置1による接続情報の取得及びデータベース12への追加や更新がなされると、その追加や更新は、まず予約データベース12aに反映されるが、直ちに通信時データベース12bに反映されることはなく、パラメータ読込/書出部16による使用はされない。この例ではパラメータ調整装置1を一旦再起動し、その起動時にデータベース更新部19により、通信時データベース12bが予約データベース12aにより更新された後、パラメータ読込/書出部16による使用がされ、サーボコントローラ2内の情報にアクセスすることができるようになる。
この構成では、パラメータ調整装置1による通信に影響を及ぼすことなく予約データベース12aの更新ができるため、例えば、ユーザや、サーボコントローラ2の製造者が派遣したサービスマンが、予約データベース12a中の不要な接続情報を削除したり、何らかの理由により、最新のものでない接続情報を使用したい場合に、予約データベース12a中の接続情報を特定のものに差し替えたりする等、通信時に使用される通信時データベース12bに含まれる接続情報の構成を、実行中の通信に影響することなく、柔軟に再構成することができる。
また、パラメータ調整装置1のパラメータ編集部15には、言語指定部21が設けられて良い。言語指定部21は、入力部14からのユーザによる入力を受け付け、サーボコントローラ2の機種毎に言語情報の言語を指定する。ここで、言語情報とは、接続情報に含まれ、特定の言語に依存する情報を指す。ここで言う言語はいわゆる自然言語であって、日本語、英語等の一般的に用いられる言語である。そして、接続情報には、前述した、サーボコントローラ2内の情報にアクセスするために必要となる情報以外の情報として、ここでいう言語情報が含まれていてよい。
言語情報の具体的な例としては、各国語による、サーボコントローラ2が使用する各パラメータの名称や説明が挙げられる。すなわち、ユーザがパラメータの調整を行う際には、各パラメータが保持されているアドレスや情報量といった、アクセスに必要な情報のみによっては、それぞれのパラメータが何を意味しているのかを把握することは難しい。そのため、パラメータ編集部15がモニタ1hにGUIを表示する際には、ユーザが直ちに必要なパラメータにアクセスできるよう、自然言語による説明が必要となる。かかる説明は、サーボコントローラ2の機種毎に異なることから、サーボコントローラ2の機種に対応する接続情報が言語情報として保持していることが望ましい。ここで、言語情報は、ユーザが使用する自然言語ごとに用意される必要があるから、接続情報は、言語の異なる複数の言語情報を含む場合がある。
そこで、ユーザが、所望の言語を選択すると、言語指定部21が当該言語を指定し、パラメータ編集部15は、モニタ1hに指定された言語による説明を表示する。これにより、パラメータ調整装置1を多言語対応とすることができる。
さらに、サーボコントローラ2は、その機種によって、販売地域等に差異が生じる場合があり、例えば、日本及び米国では販売されるが、中国や欧州等では販売されないといったケースがあり得る。
このような場合に、パラメータ調整装置1が使用する言語をパラメータ調整装置1自体について指定するようにすると、多言語対応の際に、機種によっては、サーボコントローラ2の販売が無い地域において使用される言語にまで言語情報を用意しなければならず、無駄が生じてしまうが、接続情報が言語情報を含むようにし、サーボコントローラ2の機種毎に言語情報の言語を指定するようにすることで、不要な言語情報を用意する必要が無く、また、パラメータ調整装置1自体を地域に依存しないものとすることができるから、パラメータ調整装置1及び、接続情報の開発コストが低減される。
また、パラメータ調整装置1の接続情報取得部は、複数の機種に共通の基礎接続情報と付加接続情報を別々に取得し、それらを合成して接続情報を得るものであってよい。
ここで、基礎接続情報とは、複数の機種に共通の接続情報の一部をいい、付加接続情報とは、接続情報から基礎接続情報を除いた残りの部分であって、基礎接続情報と合成することによって、特定の機種に対応する接続情報が得られるものを指している。
既に上述した通り、細かな仕様の差異を含めると、サーボコントローラの機種は増加する傾向にある。しかしながら、基本となる構造を同じくして、細かな差異のみを有する、いわゆるバリエーションとなるサーボコントローラでは、接続情報についてもその大半の部分は違いが無く、バリエーションとして異なる部分のみが接続情報の差異となる。このような場合に、バリエーションの関係にあるそれぞれの機種について、それぞれ独立に接続情報を用意するのは重複する部分が多く、無駄が多い。あるいは、全てのバリエーションに共通の接続情報を用意すると、機種によっては使用しない部分についての接続情報が大量に含まれることとなり、情報の通信量や、記憶容量に無駄を生じる。
そこで、接続情報をあえて、バリエーションの関係にあるサーボコントローラについて、共通となる部分を基礎接続情報として、また、バリエーションに該当する部分を付加接続情報として分割することにより、情報量の無駄を排除できる。また、市場要求等に応じて、サーボコントローラの新たなバリエーションを上市するにあたっても、接続情報として付加情報のみを用意すればよいので、開発コストを低減することができると考えられる。
図8は、基礎接続情報と付加接続情報を別々に取得し、それらを合成して接続情報を得るパラメータ調整装置1の接続情報取得部10と、外部機器3との関係を示す機能ブロック図である。外部機器3には、接続情報として、基礎接続情報と、かかる基礎接続情報と合成されるべき複数の付加接続情報が記憶されている。そして、接続情報取得部10には、基礎接続情報取得部22と、付加接続情報取得部23及び、接続情報合成部24が設けられている。
そして、接続情報取得部10は、機種特定部17(図4参照)により特定されたサーボコントローラの機種について、取得判断部18(図4参照)により接続情報を取得すると判断されると、まず、当該機種についての基礎接続情報を、基礎接続情報取得部22により、外部機器3から取得する。ここでの基礎接続情報は、特定された機種を含む複数の機種に共通のものである。また、当該機種についての付加接続情報を、付加接続情報取得部23により取得する。取得された基礎接続情報と、付加接続情報は、接続情報合成部24により合成され、接続情報として接続情報追加部11によりデータベース12に追加又は更新される(図2参照)。
この構成により、接続情報を複数の機種に共通の基礎接続情報と付加接続情報に分割して取得することができるから、全てのバリエーションについて共通となる、過大な接続情報が必要なく、情報の通信量及び、記憶容量を節減できる。
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、この実施形態に示した具体的な構成は一例として示したものであり、本発明の技術的範囲をこれに限定することは意図されていない。当業者は、これら開示された実施形態を適宜変形してもよく、本明細書にて開示される発明の技術的範囲は、そのようになされた変形をも含むものと理解すべきである。