JP6413554B2 - 転写装置および画像形成装置 - Google Patents
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Description
トナー像を保持する像保持体と、
回転可能且つ前記像保持体と対向する中間転写体と、
前記像保持体上の像が前記中間転写体の表面に転写される第1転写部と、
前記第1転写部よりも前記中間転写体の回転方向の下流側で、媒体に前記中間転写体上のトナー像が転写される第2転写部と、
前記中間転写体の回転方向に対して前記第2転写部の上流側に配置されて、前記中間転写体に対向する対向部材と、
極性が切り替わる交番電圧を印加し、前記中間転写体と前記対向部材との間に交番電界を形成する電圧印加手段であって、表面の凹凸が大きい媒体として予め設定された媒体、または、電気抵抗のバラツキが大きい媒体として予め設定された媒体、に対してトナー像を転写する場合には、交番電圧を印加し、表面の凹凸が小さく且つ電気抵抗のバラツキが小さい媒体として予め設定された媒体、に対してトナー像を転写する場合には、交番電圧を印加しない前記電圧印加手段と、
を備えたことを特徴とする。
前記第2転写部で、前記中間転写体の表面に対向して配置される第2転写部材と、
直流電圧のみを前記第2転写部材に印加する第2電圧印加手段と、
を備えたことを特徴とする。
前記中間転写体の回転方向に対して前記第1転写部よりも下流側に配置された前記対向部材、
を備えたことを特徴とする。
前記中間転写体の表面に対して隙間を空けて離間する前記対向部材と、
20[μm]以上且つ200[μm]以下に設定された前記隙間と、
を備えたことを特徴とする。
前記中間転写体の回転方向に沿って並んで配置される複数の前記像保持体と、
前記第1転写部で、前記中間転写体を挟んで複数の前記像保持体のそれぞれに対向して配置される複数の第1転写部材と、
前記中間転写体の回転方向に対して最下流の前記第1転写部材よりも上流側に配置される第1転写部材に、直流電圧のみを印加する第1電圧印加手段と、
前記中間転写体の回転方向に対して最下流の前記第1転写部材により構成された前記対向部材と、
前記極性の切り替わる交番電圧に直流電圧を重畳して前記対向部材に印加可能な前記電圧印加手段と、
を備えたことを特徴とする。
トナー像を保持して回転する像保持体に対向して配置され、媒体に前記像保持体上のトナー像を転写させる転写部材と、
前記像保持体と前記転写部材が対向する位置よりも前記像保持体の回転方向の上流側に配置され且つ前記像保持体に対向する対向部材と、
極性が切り替わる交番電圧を印加し、前記像保持体と前記対向部材との間に交番電界を形成する電圧印加手段であって、表面の凹凸が大きい媒体として予め設定された媒体、または、電気抵抗のバラツキが大きい媒体として予め設定された媒体、に対してトナー像を転写する場合には、交番電圧を印加し、表面の凹凸が小さく且つ電気抵抗のバラツキが小さい媒体として予め設定された媒体、に対してトナー像を転写する場合には、交番電圧を印加しない前記電圧印加手段と、
を備えたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、交番電圧を重畳する場合に比べて、放電ディフェクトを軽減することができる。
請求項3に記載の発明によれば、トナー像を転写する電圧を考慮せずに、交番電圧を設定することができる。
請求項4に記載の発明によれば、隙間を、20[μm]未満、または、200[μm]よりも大きくする場合に比べて、現像剤を振動させ易くすることができる。
請求項5に記載の発明によれば、対向部材と最下流の第1転写部材とを別々に構成する場合に比べて、部材を少なくすることができる。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
図1において、実施例1の画像形成装置の一例としての複写機Uは、画像形成装置の本体の一例であって、画像記録装置の一例としてのプリンタ部U1を有する。プリンタ部U1の上部には、読取部の一例であって、画像読取装置の一例としてのスキャナ部U2が支持されている。スキャナ部U2の上部には、原稿の搬送装置の一例としてのオートフィーダU3が支持されている。実施例1のスキャナ部U2には、入力部の一例としてのユーザインタフェースU0が支持されている。前記ユーザインタフェースU0は、操作者が入力をして、複写機Uの操作が可能である。
また、プリンタ部U1の右部には、後処理装置U4が配置されている。
読取り用の光学系Aの右方には、撮像部材の一例としての撮像素子CCDが配置されている。撮像素子CCDには、画像処理部GSが電気的に接続されている。
画像処理部GSは、プリンタ部U1の制御部Cや書込回路Dに電気的に接続されている。書込回路Dは、Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:黒の露光装置ROSy,ROSm,ROSc,ROSkに電気的に接続されている。
K色用の感光体ドラムPkの周囲には、感光体ドラムPkの回転方向に沿って、帯電器CRk、現像装置GK、1次転写器の一例としての1次転写ロールT1k、像保持体の清掃器の一例としてのドラムクリーナCLkが配置されている。
帯電器CRkには、電源回路Eから、感光体ドラムPkを帯電させるための帯電電圧が印加される。現像装置GKは、現像剤の保持体の一例としての現像ロールR0を有する。現像ロールR0には、電源回路Eから、現像電圧が印加される。1次転写ロールT1kには、電源回路Eから、現像剤の帯電極性とは逆極性の1次転写電圧が印加される。
Y,M,Cの各色についても、K色と同様に構成された像保持体ユニットUY,UM,UCが設けられている。したがって、各像保持体ユニットUY,UM,UCも、感光体ドラムPy,Pm,Pc、帯電器CRy,CRm,CRc、ドラムクリーナCLy,CLm,CLcを有する。
また、実施例1では、現像装置GY〜GKも、ユニット化されており、プリンタ部U1に対して着脱可能に支持されている。
前記各像保持体ユニットUY,UM,UC,UKと現像装置GY,GM,GC,GKとにより、トナー像の形成部材UY+GY,UM+GM,UC+GC,UK+GKが構成されている。
中間転写ベルトBは前記ベルト支持ロールRd,Rt,Rw,Rf,T2aにより矢印Ya方向に回転移動可能に支持されている。
前記1次転写ロールT1y〜T1k、中間転写ベルトB、2次転写器T2、ベルトクリーナCLB等により、感光体ドラムPy〜Pk表面の画像をシートSに転写する転写装置T1+B+T2+CLBが構成されている。
各給紙トレイTR1〜TR3の左上方には、媒体の取出部材の一例としてのピックアップロールRpが配置されている。ピックアップロールRpの左方には、捌き部材の一例としての捌きロールRsが配置されている。
各給紙トレイTR1〜TR3の左方には、上方に延びる媒体の搬送路SH1が形成されている。搬送路SH1には、媒体の搬送部材の一例としての搬送ロールRaが複数配置されている。
搬送路SH1には、シートSの搬送方向の下流部であり且つ2次転写領域Q4の上流側に、送出部材の一例としてのレジロールRrが配置されている。
シートSの搬送方向に対して、2次転写領域Q4の下流側には、媒体の案内部材の一例としての転写後のシートガイドSG2が配置されている。シートSの搬送方向に対して、転写後のシートガイドSG2の下流側には、媒体の搬送部材の一例としての搬送ベルトBHが配置されている。
シートSの搬送方向に対して、搬送ベルトBHの下流側には、定着装置Fが配置されている。前記定着装置Fは、加熱定着部材の一例としての加熱ロールFhと、加圧定着部材の一例としての加圧ロールFpとを有する。加熱ロールFhと加圧ロールFpとが接触する領域により定着領域Q5が形成されている。
排出路SH3の下流端には、媒体の搬送路の一例としての反転路SH4の上流端が接続されている。実施例1の反転路SH4は、2次転写ユニットUtの下方且つ最上段の給紙トレイTR1の上方の間を通じて、レジロールRrの上流側で搬送路SH1に合流する。排出路SH3と反転路SH4との分岐部には、搬送路の切替部材の一例としての第1のゲートGT1が配置されている。
シートSの搬送方向に対して、デカーラU4aの下流側には、排出部材の一例としての排出ロールRhが配置されている。シートSの搬送方向に対して、排出ロールRhの下流側には、排出部の一例としての排出トレイTH1が配置されている。実施例1の排出トレイTH1は、シートSの積載量に応じて、上下方向に移動可能に支持されている。
前記符号SH1〜SH5が付された要素により、実施例1の媒体の搬送路SHが構成されている。また、前記符号SH,Ra,Rr,Rh,SGr,SG1,SG2,BH,GT1等が付された要素により、媒体の搬送系SUが構成されている。
図1において、実施例1の複写機Uでは、ユーザインタフェースU0においてコピースタートキーが入力されると、スキャナ部U2は、原稿を読取る。
前記オートフィーダU3を使用して自動的に原稿を搬送して複写を行う場合は、読取り用の光学系Aは初期位置に停止した状態で、プラテンガラスPG上の読み取り位置を順次通過する各原稿Giを露光する。したがって、原稿トレイTG1に収容された複数の原稿Giは、プラテンガラスPG上の原稿の読み取り位置を順次通過して、原稿の排紙トレイTG2に排出される。
原稿Giを作業者が手でプラテンガラスPG上に置いて複写を行う場合、読取り用の光学系Aが左右方向に移動して、プラテンガラスPG上の原稿が、露光されながら走査される。
画像処理部GSは、撮像素子CCDから入力された読取信号を、デジタルの画像信号に変換して、プリンタ部U1の書込回路Dに出力する。書込回路Dは、画像処理部GSから入力されたY:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:黒の画像情報に応じたレーザ駆動信号を、予め設定された時期に、書込装置の一例としての各色の露光装置ROSy,ROSm,ROSc,ROSkに出力する。
なお、制御部Cは、書込回路Dが信号を出力する時期や電源回路E等を制御する信号を出力する。
表面が帯電された感光体ドラムPy〜Pkは、露光装置ROSy〜ROSkの出力する書込光の一例としてのレーザビームLy,Lm,Lc,Lkにより、静電潜像が形成される。感光体ドラムPy〜Pkの表面の静電潜像は、現像装置GY〜GKにより、Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:黒の色の可視像の一例としてのトナー像に現像される。
1次転写がされた後、感光体ドラムPy〜Pkの表面に残留したトナーは、ドラムクリーナCLy〜CLkによりクリーニングされる。
中間転写ベルトBに転写されたトナー像は、2次転写領域Q4に搬送される。
中間転写ベルトB上のトナー像は、2次転写領域Q4を通過する際に、2次転写器T2により、シートSに転写される。なお、カラー画像の場合は、中間転写ベルトBの表面に重ねて1次転写されたトナー像が、一括してシートSに2次転写される。
2次転写領域Q4を通過した後の中間転写ベルトBは、ベルトクリーナCLBにより、残留したトナーが清掃される。
シートSが排出トレイTH1に排出される場合、排出路SH3を搬送されたシートSは、後処理装置U4の処理路SH5に搬入される。切替ゲートh3は、処理路SH5に搬送されたシートSの湾曲、いわゆるカールの方向に応じて、第1のカール補正部材h1または第2のカール補正部材h2に搬送先を切り替える。各カール補正部材h1,h2は、通過するシートSのカールを補正する。カールが補正されたシートSは、排出ロールRhにより排出トレイTH1に排出される。
図2は実施例1の転写装置の説明図である。
図1,2において、実施例1のベルトモジュールBMは、電界の発生部材の一例であり、中間転写体の支持部材の一例としての支持ロール1を有する。支持ロール1はベルトモジュールBMの図示しない枠体に回転可能に支持されている。支持ロール1は、中間転写ベルトBの回転方向に対して、最下流の1次転写ロールT1kの下流側且つ2次転写器T2のバックアップロールT2aの上流側に配置される。実施例1では、最下流の1次転写ロールT1kよりも下流側に配置されたアイドラロールRfと、バックアップロールT2aよりも上流側に配置されたテンションロールRtとの間に配置されている。支持ロール1は中間転写ベルトBの内表面に接触している。実施例1では、支持ロール1は、第1転写部材の一例としての1次転写ロールT1y〜T1kと同様に構成されている。
前記対向ロール2と、支持ロール1とにより、実施例1の電界の発生部材3が構成される。なお、各感光体ドラムPy〜Pkと中間転写ベルトBが対向する領域により、各1次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kが構成される。また、各1次転写領域Q3y〜Q3kの全体により、実施例1の第1転写部Q3が構成されている。よって、実施例1の支持ロール1と対向ロール2とは、中間転写ベルトBの回転方向に対して、第1転写部Q3よりも下流側且つ、第2転写部の一例としての2次転写領域Q4よりも上流側に配置されている。
図3において、実施例1では、1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kに対して、1次転写用の電源回路Ecy,Ecm,Ecc,Eckが接続されている。第1電圧印加手段の一例としての1次転写用の電源回路Ecy〜Eckは、予め設定された直流電圧V1y,V1m,V1c,V1kのみを1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kに印加する。すなわち、1次転写用の電源回路Ecy〜Eckは、周期的に極性が切り替わる交番電圧を印加しない。
また、実施例1では、2次転写器T2のコンタクトロールT2cに対して、2次転写用の電源回路Edが接続されている。
前記1次転写ロールT1y〜T1k、中間転写ベルトB、2次転写器T2、ベルトクリ
ーナCLB、電界の発生部材3、対向クリーナ11、電源回路Ecy〜Eck,Ed,Ef等により、感光体ドラムPy〜Pk表面の画像をシートSに転写する実施例1の転写装置T1+B+T2+CLBが構成されている。
図3において、複写機Uの制御部Cは、外部との信号の入出力等を行う入出力インター
フェースI/Oを有する。また、制御部Cは、必要な処理を行うためのプログラムおよび
情報等が記憶されたROM:リードオンリーメモリを有する。また、制御部Cは、必要な
データを一時的に記憶するためのRAM:ランダムアクセスメモリを有する。また、制御
部Cは、ROM等に記憶されたプログラムに応じた処理を行うCPU:中央演算処理装置
を有する。したがって、実施例1の制御部Cは、小型の情報処理装置、いわゆるマイクロ
コンピュータにより構成されている。よって、制御部Cは、ROM等に記憶されたプログ
ラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
第1電源制御手段の一例としての1次転写電圧の制御手段C1は、1次転写用の電源回路Ecy〜Eckを制御して、1次転写ロールT1y〜T1kに印加する1次転写電圧V1y〜V1kを制御する。
第2電源制御手段の一例としての2次転写電圧の制御手段C2は、2次転写用の電源回路Edを制御して、2次転写器T2に印加する2次転写電圧V2を制御する。
前記構成を備えた実施例1の複写機Uでは、コピースタートキーが入力されると、セットされた原稿Giから画像が読み取られる。そして、読み取った画像に応じて、トナー像の形成部材UY+GY〜UK+GKはそれぞれの色のトナー像を形成する。ここで、1次転写ロールT1y〜T1kには直流電圧V1y〜V1kが印加されており、感光体ドラムPy〜Pkと中間転写ベルトBが対向する1次転写領域Q3y〜Q3kには、直流電圧V1y〜V1kに応じた電界が形成される。よって、感光体ドラムPy〜Pk上のトナー像は前記電界の作用を受けて、中間転写ベルトB上に1次転写される。中間転写ベルトB上に転写されたトナー像は、中間転写ベルトBの回転に伴って、下流側の隙間領域Q11に搬送される。実施例1の隙間領域Q11には、トナー像が転写されるシートSの種類に応じて、交流電界が形成される。
隙間領域Q11を通過したトナー像は2次転写領域Q2に搬送される。ここで、2次転写器T2には、直流電圧V2が印加される。すなわち、2次転写領域Q4には、直流電圧V2に応じた電界が生じる。すなわち、中間転写ベルトB上のトナー像に合わせて、シートSが2次転写領域Q4に到達すると、中間転写ベルトB上のトナー像には静電気力が作用して、シートS上にトナー像が2次転写される。
なお、トナー像が転写されたシートSは定着装置Fなどを通過して、排出トレイTH1に排出される。
その上、2次転写領域Q4で重畳される交流電圧は、直流電圧に応じて設定する必要がある。例えば、特許文献2では、交流電圧の最大値と最小値の差、いわゆる、ピークトゥピーク電圧Vppは、直流電圧の4倍以上に設定される。また、特許文献1では、ピークトゥピーク電圧Vppは、直流電圧の6倍以上に設定される。よって、近年の高電圧化を考慮しつつ、特許文献2の設定を満たそうとすると、ピークトゥピーク電圧Vppは、10[kV]程度になってしまう場合もある。すなわち、直流電圧の設定値が大きくなることに伴い、交流電圧のピークトゥピーク電圧Vppは更に大きくなり易い。そして、このように高い電圧が印加される構成では、シートSにトナー像を転写する際に放電が発生し易い。そして、転写時に放電が生じると、画像の一部が欠ける画質欠陥、いわゆる、白点が生じる恐れがある。また、中間転写ベルトBなどの転写装置T1+B+T2+CLBの部材の劣化を促進させ、部材の寿命を低下させる恐れもある。
したがって、実施例1では、2次転写領域Q4でトナーの付着力を低減させる交流電圧を印加する場合に比べて、放電の発生が低減され、転写装置T1+B+T2+CLBの部材の劣化を抑制し易くなっている。また、画像に白点が生じることも抑制されている。よって、実施例1では、画像に白点が生じたり、転写装置T1+B+T2+CLBの部材の劣化するなどの放電ディフェクトが生じ難くなっている。また、実施例1では、転写不良が抑制され易くなっている。
ここで、実施例1では、2次転写領域Q4の上流側の隙間領域Q11において、トナーの付着力が低減される。よって、トナー像は、トナーの付着力が低減した状態で、2次転写領域Q4に到達する。したがって、転写電界にムラが生じても、中間転写ベルトB上のトナー像がシートSに転写され易くなっている。すなわち、2次転写領域Q4に到達する前にトナーの付着力が低減されていない場合に比べて、実施例1では、抵抗のバラツキが大きい「和紙」に対しても、トナー像にムラのない状態で転写させ易くなっている。
また、実施例1の対向ロール2には、対向クリーナ11が配置されている。ここで、隙間領域Q11でトナーが振動すると、対向ロール2の表面にはトナーが付着する恐れがある。そして、対向ロール2にトナーが付着すると、後続のトナー像が隙間領域Q11を通過する際に、対向ロール2に付着していたトナーが混入して、後続のトナー像の画質を悪化させる恐れがある。これに対して、実施例1では、ジョブ時に対向ロール2が回転する。よって、対向ロール2にトナーが付着しても、対向ロール2が回転して対向クリーナ11の位置まで回転して表面が清掃ブレード13で清掃される。したがって、実施例1では、後続のトナー像の画質を悪化させることが抑制されている。
次に、実施例1の効果を確かめる実験を行った。
実験では、富士ゼロックス社製の700 Digital Color Pressの画像形成装置Uを使用し、転写装置T1+B+T2+CLBを実験用に改造して使用した。
より詳細には下記の構成とした。
中間転写ベルトBは、2層構造とした。また、各層とも、ポリイミド樹脂にカーボンブラックを分散して作製した。外周面側の層は67[μm]とし、内周面側の層は33[μm]とした。また、中間転写ベルトBの体積抵抗率は12.5[lоgΩ・cm]であった。そして、内周面側の表面抵抗率は10.3[lоgΩ/□]であった。ここで、体積抵抗率及び表面抵抗率の測定は、R8340Aデジタル超高抵抗/微小電流計(株式会社アドバンテスト製)及びURプローブMCP−HTP12(ダイヤインスツルメンツ株式会社製)を用いて行った。体積抵抗率を測定する際に、中間転写ベルトBには、19.6[N]の荷重をかけた状態で、500[V]を10[s]印加させて行った。体積抵抗率及び表面抵抗率の測定環境は、室温22[℃]、湿度55[%]であった。
電界の発生部材3において、支持ロール1は、直径20[mm]とした。また、支持ロール1について、体積抵抗値は6.5[lоg・Ω]で、硬度は65度(アスカーC)であった。そして、対向ロール3は、直径24[mm]とした。また、対向ロール3について、体積抵抗値は7.0[lоg・Ω]で、硬度は75度(アスカーC)であった。なお、実験例の対向ロール2は、中間転写ベルトBに接近離間可能に支持させて、隙間H1を調整可能とした。
尚、この実験は、室温22[℃]、湿度55[%]で行った。
実験例1−1では、電界の発生部材3に印加する電圧について、直流電圧V3bは、0.6[kV]とした。また、交流電圧V3bは、Vpp=3.6[kV]とした。なお、Vppは、交流電圧のピークトゥピーク電圧である。また、電界の発生部材3における隙間H1は200[μm]とした。
また、2次転写器T2に印加する電圧について、交流電圧はVpp=0[kV]とした。すなわち、交流電圧は非印加とした。また、直流電圧はVdc=−4[kV]とした。なお、Vdcは、直流電圧の値である。
上記のように設定した電圧の下で、シートSの搬送速度を440[mm/s]として、エンボス紙(レザック66 250gsm)にベタ画像のトナー像を転写して行った。そして、エンボス紙に対する転写性の官能評価であるエンボスG:グレードの評価と、白点の発生の程度について評価を行った。なお、エンボスGは、G0が最良の転写性を示す。そして、Gの数が増加するほど悪化していることを示す。G2が許容レベルである。
さらに、A4の普通紙を10000枚印刷した後に、中間転写ベルトBの抵抗低下量を測定した。なお、中間転写ベルトBの抵抗が低下するほど劣化していることを示す。
実験例1−2では、電界の発生部材3における隙間H1を20[μm]とした。その他の条件、測定方法は実験例1−1と同様に行った。
(実験例1−3)
実験例1−3では、電界の発生部材3における隙間H1を10[μm]とした。なお、隙間H1の10[μm]は、隙間の特に望ましい数値範囲から外れている。その他の条件、測定方法は実験例1−1と同様に行った。
(実験例1−4)
実験例1−4では、電界の発生部材3における隙間H1を250[μm]とした。なお、隙間H1の250[μm]は、隙間の特に望ましい数値範囲から外れている。その他の条件、測定方法は実験例1−1と同様に行った。
比較例1では、電界の発生部材3に印加する電圧について、直流電圧V3bは、0[kV]とした。また、交流電圧V3bは、Vpp=0[kV]とした。すなわち、比較例1では、電界の発生部材3に電圧をオフとした。また、隙間H1を0[μm]とした。つまり、隙間をなくしている。よって、比較例1では、2次転写領域Q4の上流側では、トナーを振動させない構成とした。
また、2次転写器T2に印加する電圧について、交流電圧はVpp=0[kV]とした。また、直流電圧はVdc=−4[kV]とした。
すなわち、比較例1では、トナーを振動させずに、トナー像を直流電圧のみでシートSに転写する設定とした。
その他の条件、測定方法は実験例1−1と同様に行った。
比較例2では、2次転写器T2に印加する電圧について、直流電圧はVdc=−1.6[kV]とした。また、交流電圧はVpp=9.6[kV]とした。よって、2次転写器T2に印加される電圧の絶対値の最大値は、6.4[kV]となる。なお、2次転写電圧として、交流電圧を直流電圧に重畳する構成では、直流電圧のみでトナー像を転写する場合に比べて、直流電圧の大きさは40%程度に設定することが可能である。その他の条件、測定方法は比較例1と同様に行った。
(比較例3)
比較例3では、2次転写器T2に印加する電圧について、直流電圧はVdc=−1.6[kV]とした。また、交流電圧はVpp=6.0[kV]とした。よって、2次転写器T2に印加される電圧の絶対値の最大値は、4.6[kV]となる。その他の条件、測定方法は比較例1と同様に行った。
図4は実験例1−1ないし1−4と比較例1ないし3の説明図であり、図4Aは条件と実験結果の説明図、図4BはエンボスGの評価基準の説明図である。
図4において、2次転写領域Q4で直流電圧のみが印加された実験例1−1〜1−4および比較例1では、白点が認められなかった。また、中間転写ベルトBの抵抗低下も認められなかった。これに対して、2次転写時に、直流電圧に交流電圧を重畳する比較例2、3では、白点の発生が認められた。また、中間転写ベルトBの抵抗低下量も認められた。よって、2次転写領域Q4において、交流電圧を重畳する構成では、放電に伴う問題が生じていることが確認された。
よって、隙間H1を、20[μm]以上且つ200[μm]以下に設定することが特に望ましいことも確認された。
なお、比較例2では、エンボスGの評価はG2である。よって、2次転写領域Q4で交流電界を重畳する構成でも、許容レベルの評価は得られる。しかしながら、比較例2では交流電圧のピークトゥピーク電圧が大きくなり易い。よって、比較例2では、エンボスGの評価が同じG2の実験例1−1に対して、白点が発生したり、中間転写ベルトBの抵抗低下量が大きくなるという問題が生じる。さらに、和紙の転写性も得られていない。
実験例2では、実験用の画像形成装置Uの構成を基に、2次転写領域Q4において、中間転写ベルトB上のトナーにかかる力の大きさをシミュレーションした。実験例2では、「普通紙」と、「和紙」と、「エンボス紙」とのそれぞれについて、2次転写電圧V2を印加して、中間転写ベルトB上のトナーに生じる静電気力をシミュレーションした。また、実験例2では、比較例1の構成のトナーの付着力と、実験例1−2の構成のトナーの付着力とを測定した。すなわち、交流電界を作用させない場合と作用させた場合の付着力を測定した。
図5は実験例2の実験結果の説明図であり、図5Aは2次転写領域にシートを挟んだ場合の2次転写電圧と静電気力の関係の説明図、図5Bは交流電界の作用の有無とトナーの付着力の説明図、図5Cは図5Aと図5Bとをまとめた説明図である。なお、図5において横軸に印加する2次転写電圧[kV]をとった。また、縦軸に中間転写ベルトB上に作用する力[nN]をとった。
図5Aにおいて、普通紙S1を2次転写領域Q4に配置した場合、中間転写ベルトBと2次転写ロールT2bとの間隔は5[μm]となった。ここで、約3[kV]の2次転写電圧V2を印加した場合、中間転写ベルトB上のトナーには約30[nN]の静電気力が生じることが分かった。そして、印加する2次転写電圧V2を増加させると、静電気力が増加する傾向が認められた。しかし、約5[kV]の2次転写電圧V2を印加すると、約53[nN]の静電気力を示し、その後は、二次転写電圧V2を増加させても、約53[nN]よりも低下した約50[nN]の静電気力となることが分かった。
よって、2次転写電圧V2が同じでも、低抵抗部と高抵抗部とでは静電気力にムラが生じ易いことが確認された。
ここで、トナーをシートSに転写させる場合、トナーの付着力よりも大きい静電気力をトナーに作用させる必要がある。すなわち、図5Cにおいて、トナーに交流電界を作用させない場合の付着力F1では、普通紙S1や、和紙S2の場合しか、トナーの付着力を上回らない。しかも、和紙S2では、高抵抗部S2aで上回ると低抵抗部S2bで下回り、高抵抗部S2aで下回ると低抵抗部S2bが上回る傾向にある。よって、和紙S2では転写ムラが生じ易いこともわかる。また、エンボス紙S3では、静電気力がトナーの付着力を下回っており、転写が不能である。
この実施例は下記の点で、前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
図6は実施例2の転写装置の説明図であり、実施例1の図2に対応する説明図である。
図6において、実施例2のベルトモジュールBM′では、実施例1の支持ロール1や、対向ロール2、対向クリーナ11が省略されている。実施例2では、中間転写ベルトBの回転方向の最下流の感光体ドラムPkに対して、中間転写ベルトBを挟んで対向する位置には、電界の発生部材の一例であり、対向部材の一例としてのK色の1次転写ロールT1k′が配置されている。すなわち、最下流の1次転写ロールT1k′により、実施例2の対向部材が構成されている。
最下流の感光体ドラムPkと、最下流の1次転写ロールT1k′と、により、実施例2の電界の発生部材3′が構成される。
図7において、実施例2では、中間転写ベルトBの回転方向に沿って、非最下流の1次転写ロールT1y,T1m,T1cに対して、実施例1と同様の1次転写用の電源回路Ecy,Ecm,Eccが接続されている。一方で、最下流の1次転写ロールT1k′に対しては、実施例2の第2電圧印加手段の一例としての対向用の電源回路Ef′が接続されている。対向用の電源回路Ef′は、交流電圧の電源回路Efa′と、実施例1のK色の1次転写用の電源回路Eckに対応する1次転写用の直流電圧の電源回路Eck′とを有する。そして、対向用の電源回路Ef′は、交流電圧V3a′を、直流電圧V1k′に重畳して印加する。特に、実施例2の対向用の電源回路Ef′は、切り替え素子の一例としてのSW1を有している。スイッチSW1は、直流電圧の電源回路Eck′を、交流電圧の電源回路Efa′、または、アースに切り替え可能に構成されている。
図7において、実施例2の制御部C′は、実施例1の1次転写電圧の制御手段C1に替えて、非最下流の1次転写電圧の制御手段C1′を有する。また、実施例2の制御部C′は、実施例1の対向電圧の制御手段C3に替えて、実施例2の対向電圧の制御手段C3′を有する。
実施例2の第1電源制御手段の一例としての非最下流の1次転写電圧の制御手段C1′は、非最下流の1次転写用の電源回路Ecy〜Eccを制御して、非最下流の1次転写ロールT1y〜T1cに印加する1次転写電圧V1y〜V1cを制御する。
前記構成を備えた実施例2の複写機Uでは、コピースタートキーが入力されると、トナー像の形成部材UY+GY〜UK+GKがそれぞれの色のトナー像を形成する。ここで、非最下流の1次転写領域Q3y〜Q3cでは、直流電圧V1y〜V1cに応じた電界が作用する。よって、感光体ドラムPy〜Pcから中間転写ベルトB上に上のトナー像が順次、1次転写される。YMCの順に重ねられたトナー像が、K色の1次転写領域Q3kに搬送されると、K色のトナー像が直流電圧V1k′に応じた電界で中間転写ベルトB上に転写される。
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H06)を下記に例示する。
(H01)前記各実施例において、画像形成装置の一例として複写機Uを例示したが、これに限定されず、プリンタ、FAX、あるいはこれら複数の機能を備えた複合機等に適用可能である。また、多色現像の画像形成装置に限定されず、単色、いわゆるモノクロの画像形成装置により構成することも可能である。
(H02)前記実施例1において、隙間H1を設ける構成が望ましいが、対向ロール2と中間転写ベルトBとを接触させて配置し、接触領域の下流側に生じる対向ロール2と中間転写ベルトBとの間のくさび状の隙間を利用して、トナーに交番電界を作用させる構成も可能である。
(H04)前記実施例1において、対向ロール2は円柱状の構成を例示したが、角柱状や板状の構成や、ワイヤー状の構成なども可能である。
(H05)前記各実施例において、普通紙などにトナー像を転写する場合には、交流電圧V3a,V3a′を非印加とする構成が望ましいが、これに限定されず、普通紙などの場合にも交流電圧V3a,V3a′を印加してトナーに交番電界を作用させる構成が可能である。
B…中間転写体、
Ecy,Ecm,Ecc,Eck…第1電圧印加手段、
Ed…第2電圧印加手段、
Ef,Ef′…電圧印加手段、
Py,Pm,Pc,Pk…像保持体、
Q3…第1転写部、
Q4…第2転写部、
S…媒体、
T1+B+T2+CLB…転写装置、
T1y,T1m,T1c…第1転写部材、最下流よりも上流側の第1転写部材、
T1k…第1転写部材、
T1k′…対向部材、最下流の第1転写部材、
T2…第2転写部材、転写部材、
U…画像形成装置、
V1y,V1m,V1c,V1k…第1電圧印加手段が印加する直流電圧、
V2…第2電圧印加手段が印加する直流電圧、
V1k′…電圧印加手段が印加する直流電圧、
V3a,V3a′…交番電圧。
Claims (6)
- トナー像を保持する像保持体と、
回転可能且つ前記像保持体と対向する中間転写体と、
前記像保持体上の像が前記中間転写体の表面に転写される第1転写部と、
前記第1転写部よりも前記中間転写体の回転方向の下流側で、媒体に前記中間転写体上のトナー像が転写される第2転写部と、
前記中間転写体の回転方向に対して前記第2転写部の上流側に配置されて、前記中間転写体に対向する対向部材と、
極性が切り替わる交番電圧を印加し、前記中間転写体と前記対向部材との間に交番電界を形成する電圧印加手段であって、表面の凹凸が大きい媒体として予め設定された媒体、または、電気抵抗のバラツキが大きい媒体として予め設定された媒体、に対してトナー像を転写する場合には、交番電圧を印加し、表面の凹凸が小さく且つ電気抵抗のバラツキが小さい媒体として予め設定された媒体、に対してトナー像を転写する場合には、交番電圧を印加しない前記電圧印加手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。 - 前記第2転写部で、前記中間転写体の表面に対向して配置される第2転写部材と、
直流電圧のみを前記第2転写部材に印加する第2電圧印加手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記中間転写体の回転方向に対して前記第1転写部よりも下流側に配置された前記対向部材、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。 - 前記中間転写体の表面に対して隙間を空けて離間する前記対向部材と、
20[μm]以上且つ200[μm]以下に設定された前記隙間と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。 - 前記中間転写体の回転方向に沿って並んで配置される複数の前記像保持体と、
前記第1転写部で、前記中間転写体を挟んで複数の前記像保持体のそれぞれに対向して配置される複数の第1転写部材と、
前記中間転写体の回転方向に対して最下流の前記第1転写部材よりも上流側に配置される第1転写部材に、直流電圧のみを印加する第1電圧印加手段と、
前記中間転写体の回転方向に対して最下流の前記第1転写部材により構成された前記対向部材と、
前記極性の切り替わる交番電圧に直流電圧を重畳して前記対向部材に印加可能な前記電圧印加手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。 - トナー像を保持して回転する像保持体に対向して配置され、媒体に前記像保持体上のトナー像を転写させる転写部材と、
前記像保持体と前記転写部材が対向する位置よりも前記像保持体の回転方向の上流側に配置され且つ前記像保持体に対向する対向部材と、
極性が切り替わる交番電圧を印加し、前記像保持体と前記対向部材との間に交番電界を形成する電圧印加手段であって、表面の凹凸が大きい媒体として予め設定された媒体、または、電気抵抗のバラツキが大きい媒体として予め設定された媒体、に対してトナー像を転写する場合には、交番電圧を印加し、表面の凹凸が小さく且つ電気抵抗のバラツキが小さい媒体として予め設定された媒体、に対してトナー像を転写する場合には、交番電圧を印加しない前記電圧印加手段と、
を備えたことを特徴とする転写装置。
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