初めに、図1を用いて一実施形態の概要について説明する。尚、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、この概要の記載はなんらの限定を意図するものではない。
上述の通り、通信環境に応じて、適切に通信制御することに貢献する通信制御装置が望まれる。
そこで、一例として、図1に示す通信制御装置1000を提供する。通信制御装置1000は、通信品質取得部1001と、影響係数算出部1002と、無線パラメータ制御部1003と、を含んで構成される。
通信品質取得部1001は、第1の無線セルとは異なる、1又は2以上の第2の無線セルとのうち、少なくとも一の無線セルの通信品質を取得する。ここで、第2の無線セルは、第1の無線セルの通信品質に影響を与える無線セルである。例えば、第2の無線セルは、第1の無線セルに対して隣接セルであっても良い。
影響係数算出部1002は、第1の無線セルと、第2の無線セルとのうち、所定の無線セルの通信品質が、当該無線セルに隣接する1又は2以上の第3の無線セルに与える影響度合いを示す、影響係数を算出する。
無線パラメータ制御部1003は、影響係数算出部1002が取得する影響係数が高い無線セルほど、当該無線セルに対応する、通信品質取得部1001が取得する通信品質を重視して、少なくとも第1の無線セルの無線パラメータを制御する。ここで、上述の通り、無線パラメータとは、無線端末の無線品質に影響を与えるパラメータを意味する。無線パラメータは、「送信電力、アンテナチルト角、アンテナ方位角、アンテナパタンおよびアンテナ高」等を含む。また、無線パラメータは、「ハンドオーバトリガの閾値、CIO(Cell Individual Offset)値およびEvent A3 Offset値」等を含んでも良い。
上述の通り、各無線セルの通信品質は互いに独立ではなく、互いに影響を及ぼす関係にある。また、所定の無線セルが、隣接する無線セルの通信品質に与える影響は、周囲に存在する無線端末の数等、通信環境に依存する。そこで、隣接する無線セルに対する影響が高い無線セルほど、当該無線セルの通信品質を重視して、通信制御装置1000が、無線パラメータを設定することで、通信環境に応じた無線パラメータを設定できる。従って、通信制御装置1000は、通信環境に応じて、適切に通信制御することに貢献する。
[第1の実施形態]
次に、第1の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明では、上記の通信制御装置を、無線パラメータ制御装置と呼ぶ。
図2は、第1の実施形態に係る無線通信システム10の構成の例を示すブロック図である。無線通信システム10は、外部網100、コア網101、無線アクセス網102、無線パラメータ制御装置103、無線基地局120〜122、無線端末130および131を含んで構成される。
外部網100は、無線端末と通信を行う、サーバ等と接続するネットワークである。コア網101は、外部網100と無線アクセス網102とを中継するネットワークであり、コネクションの管理やパケットデータ等の中継処理を行う。外部網100とコア網101とは、互いに有線リンク110を介して接続される。コア網101と無線アクセス網102とは、互いに有線リンク111を介して接続される。
無線パラメータ制御装置103は、コア網101、及び/又は無線アクセス網102と有線リンク113、及び/又は有線リンク112を介して接続され、無線セルの無線パラメータを制御する。
無線基地局120、121および122は、それぞれ無線セル140、141および142を管理する。
無線端末130は、無線セル140に接続し、無線基地局120と無線リンクを介して無線通信を行う。また、無線端末131は、無線セル142に接続し、無線基地局122と無線リンクを介して無線通信を行う。無線端末130及び131は、所定の時間間隔もしくは任意のトリガに応じて無線品質の測定を行う。
なお、本書においては、無線アクセス網102の構成として、無線基地局120、121及び122と、無線端末130及び131を有する構成を用いて説明する。しかし、これは、本実施形態に係る無線通信システム10は、図2に示す構成に限定する趣旨ではない。また、上記の説明においては、有線リンクの一部を無線リンクに置き換えても良い。
図3は、図2に示す無線パラメータ制御装置103の構成の一例を示すブロック図である。
無線パラメータ制御装置103は、通信品質取得部200と、影響係数算出部201と、無線パラメータ制御部202とを含んで構成される。
通信品質取得部200は、所定の時間間隔または任意のトリガに応じて、無線基地局120、121及び122から、無線セル毎の通信品質を取得する。ここで、通信品質とは、スループット、無線端末における無線品質、無線リソースの使用率、物理リソースの使用率、呼の異常切断率及びハンドオーバ失敗率の少なくとも一つを含む。スループットとは、平均ユーザスループット、セルエッジユーザスループット、セルスループット等を含む。なお、それぞれの通信品質は、所定期間における平均値を用いても良いし、代表値、例えば、累積分布関数(Cumulative Distribution Function:CDF)の任意値(例えば、下位5%値)や中央値等を用いても良い。
影響係数算出部201は、無線セルのセルサイズ、無線セルの隣接セル数、無線セルのハンドオーバ情報、及び無線セルの周辺に存在する無線端末数の少なくともいずれか一つに基づき、影響係数を算出する。ここで、影響係数とは、各無線セルの通信品質が隣接する無線セルの通信品質に与える影響度合いを示す値を意味する。なお、無線セルのセルサイズ、無線セルの隣接セル数、無線セルのハンドオーバ情報、及び無線セルの周辺に存在する無線端末数は、事前に登録された情報であっても良いし、所定の時間間隔または任意のトリガに応じて取得または算出しても良い。
影響係数算出部201は、無線セルのセルサイズに基づき影響係数を算出する場合、セルサイズが大きいほど、影響係数の値を大きく算出する。
また、影響係数算出部201は、標準規定されるセルタイプ情報に基づき、セルサイズを判定しても良い。例えば、3GPP(Third Generation Partnership Project)のLTE(Long Term Evolution)システムにおいては、セルタイプ情報は、very small, small, medium, large等のセルサイズを示す情報を含んでも良い。
なお、影響係数算出部201は、セルタイプ情報に替えて、以下の方法によって無線セルのセルサイズを判定しても良い。また、影響係数算出部201は、以下の方法に限定されず、既知のセルサイズの判定手法を用いて、セルサイズを判定しても良い。
(セルサイズ判定方法1)
影響係数算出部201は、無線基地局の種別情報(以下、基地局種別とも呼ぶ)を用いて、セルサイズを判定する。ここで、無線パラメータ制御装置103、無線基地局120〜無線基地局122、またはO&M(Operation and Maintenance)装置(非図示)等は、無線基地局の種別情報を保持するものとする。具体的には、無線基地局の種別情報は、マクロ基地局、マイクロ基地局、ピコ基地局、フェムト基地局等であるとする。その場合、影響係数算出部201は、「マクロ基地局のセルサイズ>マイクロ基地局のセルサイズ>ピコ基地局のセルサイズ>フェムト基地局のセルサイズ」となるように、セルサイズを判定する。なお、無線パラメータ制御装置103が管理していない無線基地局や、O&M(Operation and Maintenance)装置等から種別情報が入手できない無線基地局については、影響係数算出部201は、無線基地局の種別情報として、一律に所定の基地局種別(例えば、マクロ基地局)を仮定しても良い。
(セルサイズ判定方法2)
影響係数算出部201は、電波測定車両によるドライブテスト等の実測情報に基づき、無線セルのカバレッジの空間的な大きさに応じてセルサイズを判定する。
(セルサイズ判定方法3)
影響係数算出部201は、電波伝搬推定に基づく推定情報に基づき、無線セルのカバレッジの空間的な大きさに応じてセルサイズを判定する。
(セルサイズ判定方法4)
影響係数算出部201は、測位機能を備えた無線端末から報告された位置情報つきのMeasurement情報に基づき、より遠くの無線端末と通信する無線セルほど、セルサイズが大きくなるように、セルサイズを判定する。ここで、測位機能は、例えば、GPS(Global Positioning System)測位、OTDOA(Observed Time Difference of Arrival)測位、E−OTD(Enhanced Observed Time Difference)測位、WiFi(Wireless Fidelity)測位等があるが、その詳細は問わない。
(セルサイズ判定方法5)
影響係数算出部201は、無線端末からの上り信号の伝搬遅延時間に基づき、より伝搬遅延時間が大きい無線端末と通信する無線セルほど、セルサイズが大きくなるように、セルサイズを判定する。影響係数算出部201は、例えば、RACHプリアンブル信号の受信タイミングの理論値と実測値の差を、無線端末からの上り信号の伝搬遅延時間としても良い。
(セルサイズ判定方法6)
影響係数算出部201は、無線端末のハンドオーバ履歴から算出されるセル滞在時間に基づき、よりセル滞在時間が長い無線端末と通信する無線セルほど、セルサイズが大きくなるように、セルサイズを判定する。
(セルサイズ判定方法7)
影響係数算出部201は、無線基地局の位置情報から算出される無線セル間の距離に基づき、周辺の無線セルとの距離が大きい無線セルほど、セルサイズが大きくなるように、セルサイズを判定する。
(セルサイズ判定方法8)
影響係数算出部201は、セル配下のUE(User Equipmemt)数、最大送信電力、アンテナ高等に基づき、各値が大きい無線セルほど、セルサイズが大きくなるように、セルサイズを判定する。
また、影響係数算出部201は、無線セルの隣接セル数を用いる場合、隣接セル数が多いほど、隣接する無線セルの通信品質に大きな影響を与えるものとして、影響係数を算出しても良い。例えば、影響係数算出部201は、無線セルからのハンドオーバ先の無線セル数、または無線セルの隣接セルリストに登録される無線セル数に基づき、当該無線セル数が多いほど、隣接セル数が多いと判定しても良い。また、影響係数算出部201は、無線セルとの間のハンドオーバ試行数、またはハンドオーバ成功回数が所定回数を超える無線セルを、隣接セルとしても良い。さらに、影響係数算出部201は、無線端末のMeasurement情報、無線基地局の位置情報等を用いて、隣接セルを判定しても良い。具体的には、影響係数算出部201は、以下の方法によって隣接セルを判定する。また、以下の方法に限定されず、既知の隣接セルの判定手法を用いても良い。
(隣接セル判定方法1)
影響係数算出部201は、無線端末のMeasurement情報に含まれる2以上の無線セルのRSRP値を用い、当該Measurement情報についてのサービングセルと、サービングセル以外の無線セルと、を判定する。そして、影響係数算出部201は、サービングセル以外の無線セル全てあるいは一部を、サービングセルに対する隣接セルとする。例えば、影響係数算出部201は、当該Measurement情報に含まれる無線セルのうち、RSRP値が最も高い無線セルを、サービングセルとして判定する。ここで、影響係数算出部201は、サービングセル以外の無線セルのうち、最もRSRP値が高い無線セルを、サービングセルに対する隣接セルとしても良い。また、影響係数算出部201は、サービングセル以外の無線セルのうち、サービングセルのRSRP値との差が所定値より小さくなる無線セルを、サービングセルに対する隣接セルとしても良い。
(隣接セル判定方法2)
影響係数算出部201は、無線基地局の位置情報に基づき、隣接セルを判定する。具体的には、影響係数算出部201は、第1の無線セルを管理する第1の無線基地局に対して、所定値を下回る距離に存在する、第2の無線基地局が管理する第2の無線セルを、第1の無線セルに対する隣接セルとする。
また、影響係数算出部201は、無線セルのハンドオーバ情報を用いる場合、ハンドオーバ試行数、及び/又はハンドオーバ成功数が多いほど、隣接する無線セルの通信品質に大きな影響を与えるものとして、影響係数を算出しても良い。影響係数算出部201は、影響係数を算出する対象の無線セルについて、当該無線セルからのハンドオーバ試行数、及び/又はハンドオーバ成功数を用いて、当該無線セルの影響係数を算出しても良い。また、影響係数算出部201は、当該無線セルへのハンドオーバ試行数、及び/又はハンドオーバ成功数を用いて、当該無線セルの影響係数を算出しても良い。
また、影響係数算出部201は、無線セルの周辺に存在する無線端末数を用いる場合、無線セルの周辺に存在する無線端末数が多いほど、隣接する無線セルの通信品質に大きな影響を与えるものとして、影響係数を算出しても良い。例えば、影響係数算出部201は、無線端末のMeasurement情報に含まれる、2以上の無線セルのRSRP値を用い、影響係数を算出する対象である、無線セルのRSRP値(P1[dBm])と、その他の無線セルのRSRP値(P2[dBm])との差を算出する。そして、影響係数算出部201は、算出したRSRP値の差が所定範囲(例えば、0≦P2−P1≦3)となる、Measurement情報の数をカウントする。そして、影響係数算出部201は、当該カウント数が多いほど、係数値が大きくなるように、影響係数を算出する。
無線パラメータ制御部202は、通信品質取得部200が取得した、無線セル毎の通信品質情報と、影響係数算出部201が算出した、無線セル毎の影響係数とに基づき、無線セルの無線パラメータを制御する。無線パラメータ制御部202の動作は後述する。
なお、無線基地局や無線端末の構成は、当業者にとってよく知られており、また本発明とは直接関係しない。そのため、無線基地局や無線端末の構成について、その詳細な説明は省略する。
次に、図4を参照して、無線パラメータ制御装置103の動作について詳細に説明する。
影響係数算出部201は、無線セル140〜142の影響係数を算出する(ステップS101)。影響係数算出部201は、以下の第1−1〜1−4の少なくともいずれかのタイミングで、無線セル毎の影響係数を算出しても良い。
第1−1のタイミング:無線基地局120〜122から通信品質を取得したタイミング
第1−2のタイミング:任意のトリガを満たしたタイミング
第1−3のタイミング:無線パラメータ制御部202がいずれかの無線セルの無線パラメータを変更した後、所定時間経過したタイミング
第1−4のタイミング:所定の時間間隔のタイミング
上述の通り、影響係数算出部201は、無線セルのセルサイズ、無線セルの隣接セル数、無線セルのハンドオーバ情報、及び無線セルの周辺に存在する無線端末数の少なくともいずれか一つに基づき、無線セルの影響係数を算出しても良い。例えば、影響係数算出部201は、無線セルのセルサイズを用いる場合、マクロ基地局によって管理されるマクロセルの影響係数を1.2等と設定する。また、例えば、影響係数算出部201は、無線セルのセルサイズを用いる場合、ピコ基地局によって管理されるピコセルの影響係数を、1.0等と設定する。
次に、通信品質取得部200は、無線基地局120〜122から無線セル140〜142の通信品質を取得する(ステップS102)。通信品質取得部200は、以下の第2−1〜第2−4の少なくともいずれかのタイミングで、無線セル毎の通信品質を取得しても良い。
第2−1のタイミング:影響係数算出部201が無線セル140〜142の影響係数を算出したタイミング
第2−2のタイミング:任意のトリガを満たしたタイミング
第2−3のタイミング:無線パラメータ制御部202がいずれかの無線セルの無線パラメータを変更した後、所定時間経過したタイミング
第2−4のタイミング:所定の時間間隔のタイミング
上述の通り、無線セル毎の通信品質には、スループット、無線端末における無線品質、無線リソースの使用率、物理リソースの使用率、呼の異常切断率及びハンドオーバ失敗率の少なくとも一つを含む。スループットとは、平均ユーザスループット、セルエッジユーザスループット、セルスループット等を含む。
次に、無線パラメータ制御部202は、無線パラメータを制御する無線セルを選択する(ステップS103)。無線パラメータ制御部202は、以下の第3−1〜3−4の少なくともいずれかのタイミングに、無線パラメータ制御装置103が管理する無線セル140〜142の中から、無線パラメータを制御する無線セルを選択する。
第3−1のタイミング:通信品質取得部200が無線基地局120〜122から通信品質を取得したタイミング
第3−2のタイミング:影響係数算出部201が無線セル140〜142の影響係数を算出したタイミング
第3−3のタイミング:任意のトリガを満たしたタイミング
第3−4のタイミング:所定の時間間隔のタイミング
無線セルの選択方法の例としては、所定の順番、またはランダムな順番等が挙げられる。例えば、無線パラメータ制御部202は、無線セルの通信品質の降順(又は昇順)に、無線セルを選択しても良い。または、無線パラメータ制御部202は、無線セルの影響係数の大きさの降順(又は昇順)に、無線セルを選択しても良い。または、無線パラメータ制御部202は、無線セルの管理番号の降順(又は昇順)に、無線セルを選択しても良い。なお、上記の無線セルの選択順序は、一例であり、無線セルの選択順序を、これらの順序に限定する趣旨ではない。また、無線パラメータ制御部202は、通信品質が所定の閾値より低い無線セルを選択対象としても良い。
次に、無線パラメータ制御部202は、ステップS103で選択された無線セル(以下、選択セルと呼称する。)に隣接する無線セル(以下、隣接セルと呼称する。)を選択する(ステップS104)。ここで、隣接セルは、以下の無線セルA〜Eのすくなくともいずれかに該当する、無線セルである。
無線セルA:選択セルに接続する、無線端末のMeasurement情報に含まれる、1又は2以上の無線セルのうち、当該第1の無線セルと異なる無線セルであるとともに、所定の条件を満たす受信電力を示す無線セル
無線セルB:選択セルに接続する、無線端末のMeasurement情報に含まれる、1又は2以上の無線セルのうち、当該第1の無線セルと異なる無線セルであるとともに、当該無線端末における当該選択セルからの受信電力と、当該無線端末における当該無線セルからの受信電力と、の差が、所定値以下である、無線セル
無線セルC:選択セルとの間のハンドオーバ試行数またはハンドオーバ成功数が所定回数以上となる無線セル
無線セルD:選択セルとの間の距離が所定範囲内となる無線セル
無線セルE:選択セルの隣接セルリストに含まれる無線セル
隣接セルの選択方法の例としては、所定の順番、またはランダムな順番等が挙げられる。例えば、無線パラメータ制御部202は、選択セルとの間のハンドオーバ試行数の降順(又は昇順)に、隣接セルを選択しても良い。または、無線パラメータ制御部202は、選択セルとの間のハンドオーバ成功数の降順(又は昇順)に、隣接セルを選択しても良い。または、無線パラメータ制御部202は、無線セルの影響係数の大きさの昇順(又は降順)に、隣接セルを選択しても良い。無線パラメータ制御部202は、無線セルの管理番号の降順(又は昇順)に、隣接セルを選択しても良い。また、無線パラメータ制御部202は、隣接セルを一つ選択しても良い。または、無線パラメータ制御部202は、隣接セルを二つ以上選択しても良い。
最後に、無線パラメータ制御部202は、選択セルの通信品質と影響係数と、選択セルの隣接セルの通信品質と影響係数の少なくともいずれか一つに基づき、選択セルの無線パラメータを制御する(ステップS105)。例えば、無線パラメータ制御部202は、選択セルの通信品質と、隣接セルの通信品質とのうち、少なくとも一の通信品質と、選択セルの影響係数と、隣接セルの影響係数とのうち、少なくとも一の影響係数とに基づいて、選択セルの無線パラメータの変更要否を判断しても良い。そして、無線パラメータ制御部202は、変更要否を否と判定した場合には、選択セルの無線パラメータの変更を抑制する。
例えば、隣接セルの影響係数が所定値より大きく、かつ、隣接セルの通信品質が所定値より低い場合には、選択セルの無線パラメータの変更が必要である、と無線パラメータ制御部202は判断しても良い。ここで、隣接セルの通信品質が所定値より低い場合とは、例えば、トラヒック負荷が所定値より高い場合を含む。または、隣接セルの通信品質が所定値より低い場合とは、平均ユーザスループットが所定値より低い場合を含む。
つまり、影響係数が高い無線セルにおいて、通信品質が劣化する場合に、無線パラメータ制御部202は、無線パラメータの変更が必要であると判定する。ここで、影響係数が高い無線セルとは、隣接するセルの通信品質に対する影響の大きさが、所定の閾値を越える無線セルを意味する。また、無線パラメータの変更を抑制する方法としては、無線パラメータ制御部202は、無線パラメータを変更の変更幅を小さくしても良い。または、無線パラメータ制御部202は、変更頻度を少なくすることのうち、少なくともいずれかの処理を行い、無線パラメータの変更を抑制しても良い。
なお、上記の動作において、影響係数算出部201が無線セル毎の影響係数を算出する処理(ステップS101)を、通信品質取得部200が無線セル毎の通信品質を取得する処理(ステップS102)の前に示したが、必ずしもこれに限定されない。当然ながら、影響係数算出部201が無線セル毎の影響係数を算出する処理(ステップS101)を、通信品質取得部200が無線セル毎の通信品質を取得する処理(ステップS102)の後に入れても良い。また、これに限定されず、目的を脱しない範囲で、各処理を任意に入れ替えても良い。
次に、図5を参照して、無線パラメータ制御部202の具体的な動作例について説明する。
まず、無線パラメータ制御部202は、無線パラメータを制御する無線セルを一つ選択する(ステップS201)。いずれの無線セルも選択しない場合には処理を終了し、無線セルを選択した場合にはステップS202へと進む。
次に、無線パラメータ制御部202は、選択セルの隣接セルを選択する(ステップS202)。次に、通信品質取得部200は、ステップS202で選択した隣接セル毎に、無線リソースの使用率を取得する(ステップS203)。なお、通信品質取得部200は、無線リソースの使用率に替えて、スループット、無線端末における無線品質、物理リソースの使用率、呼の異常切断率、ハンドオーバ失敗率のいずれかを用いても良い。
次に、影響係数算出部201は、ステップS202で選択した隣接セル毎に、影響係数を算出する(ステップS204)。影響係数算出部201は、次に、算出した隣接セルの影響係数を所定値Aと比較する(ステップS205)。ここで、影響係数算出部201は、所定値Aとの比較においては、ステップS202で選択した隣接セルの影響係数を隣接セル毎に、個別に比較する。
いずれかの隣接セルの影響係数が所定値A以上である場合(ステップS205:Yes)、無線パラメータ制御部202は、当該隣接セルの無線リソースの使用率を、所定値Bと比較する(ステップS206)。隣接セルの無線リソースの使用率が所定値B以上である場合(ステップS206:Yes)、無線パラメータ制御部202は、選択セルにおける無線パラメータの変更要否を要とする(ステップS207)。
一方、ステップS202で選択した全ての隣接セルの影響係数が、所定値Aより小さい場合(ステップS205:No)、選択セルにおける無線パラメータの変更要否は否となる。また、ステップS205の条件を満たした全ての隣接セルの無線リソースの使用率が、所定値Bより小さい場合(ステップS206:No)においても、選択セルにおける無線パラメータの変更要否は否となる。選択セルにおける無線パラメータの変更要否は否となった場合、無線パラメータ制御部202は、選択セルの無線パラメータの制御を抑制する。
すなわち、無線パラメータ制御部202は、影響係数が低い無線セルの無線リソースの使用率が高い(通信品質が悪い)ときには、選択セルの無線パラメータを変更しない。一方、無線パラメータ制御部202は、影響係数が高い無線セルの無線リソースの使用率が高い(通信品質が悪い)ときには、選択セルのカバレッジを縮小する方向に無線パラメータを変更する。例えば、無線パラメータ制御部202は、選択セルの送信電力の減少、選択セルのアンテナチルト角のダウンチルト、選択セルから隣接セルへのCIO値の増加、選択セルのEvent A3 Offset値の減少等を行う。これにより、無線パラメータ制御部202は、無線セルの影響係数が高いほど、当該無線セルの通信品質を重視して、無線パラメータを制御できる。
なお、上記の動作例では、ステップS205及びステップS206の説明において、無線パラメータ制御部202が、隣接セル毎の影響係数、及び無線リソースの使用率を、隣接セル毎に所定値A及び所定値Bと比較することについて説明した。しかし、本実施形態の動作はこれに限定されない。例えば、無線パラメータ制御部202は、ステップS202で選択した隣接セル全体で集約した値を用いて、隣接セル全体の影響係数、及び無線リソースの使用率を、所定値A及び所定値Bと比較しても良い。
具体的には、ステップS205の処理において、無線パラメータ制御部202は、ステップS202で選択した全ての隣接セルについて単純平均した値を、隣接セル毎の影響係数に替えて用いても良い。または、ステップS205の処理において、無線パラメータ制御部202は、各隣接セルと選択セルとの隣接度合いに応じて加重平均した値を、隣接セル毎の影響係数に替えて用いても良い。
また、ステップS206の処理において、無線パラメータ制御部202は、ステップS202で選択した全ての隣接セルについて単純平均した値を、隣接セル毎の無線リソースの使用率に替えて用いても良い。または、ステップS206の処理において、無線パラメータ制御部202は、各隣接セルと選択セルとの隣接度合いに応じて加重平均した値を、隣接セル毎の無線リソースの使用率に替えて用いても良い。
ここで、隣接度合いは以下の方法で判定できる。また、以下の方法に限定されず、既知の隣接度合いの判定手法を用いても良い。
(隣接度合いの判定手法1)
無線パラメータ制御部202は、選択セルで収集した無線端末のMeasurement情報を用い、Measurement情報毎に、選択セルを除いた中で最も大きいRSRPを示した無線セルをカウントする。そして、無線パラメータ制御部202は、当該カウント数が大きいほど、隣接度合いが大きくなるように、隣接度合いを判定する。
(隣接度合いの判定手法2)
無線パラメータ制御部202は、無線セル毎に、選択セルとの間のハンドオーバ試行数、またはハンドオーバ成功数をカウントする。無線パラメータ制御部202は、当該カウント数が大きいほど、隣接度合いが大きくなるように、隣接度合いを判定する。
以上のように、本実施形態に係る無線パラメータ制御装置103は、隣接する無線セルの通信品質に与える影響度合いを考慮して、各無線セルの通信品質を評価する。それにより、本実施形態に係る無線パラメータ制御装置103は、隣接する無線セルの通信品質に対して影響度合いが高い、無線セルの通信品質ほど重視した状態となるように、無線パラメータを制御することに貢献する。従って、本実施形態に係る無線パラメータ制御装置103は。通信環境に応じて、適切に通信制御することに貢献する。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について詳細に説明する。
図6は、本実施形態に係る無線パラメータ制御装置103の構成例を示す図である。本実施形態における無線パラメータ制御装置103は、評価指標算出部203を備える点、及び無線パラメータ制御部202が評価指標算出部203によって算出された評価指標を用いて無線パラメータを制御する点で、第1の実施形態と異なる。
評価指標算出部203は、通信品質取得部200が取得した無線セル毎の通信品質と、影響係数算出部201が算出した無線セル毎の影響係数と、に基づき、無線パラメータの制御に用いる評価指標を算出する。評価指標算出部203は、大きな影響係数の無線セルの通信品質ほど重視して、評価指標を算出する。ここで、評価指標算出部203は、スループット、無線端末における無線品質、無線リソースの使用率、物理リソースの使用率、呼の異常切断率及びハンドオーバ失敗率の少なくともいずれかを、通信品質として利用して、評価指標を算出する。なお、スループットとは、平均ユーザスループット、セルエッジユーザスループット、セルスループット等を含むものする。
無線パラメータ制御部202は、評価指標算出部203によって算出される評価指標が、改善するように、無線セルの無線パラメータを制御する。無線パラメータを制御する具体的な方法については後述する。
続いて、第2の実施形態に係る無線パラメータ制御装置103による、無線パラメータ制御処理の具体例について、図7のフローチャートを参照して説明する。図4に示した第1の実施形態における無線パラメータ制御処理との差異は、評価指標算出部203が、選択セルの無線パラメータの候補値毎に評価指標を算出する処理(ステップS305からステップS308)、及び選択セルの無線パラメータの値を決定する処理(ステップS309)が含まれる点である。図4に示した第1の実施形態に係る無線パラメータ制御処理の動作例と同一の処理については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
ステップS305からステップS308の処理においては、評価指標算出部203は、選択セルの無線パラメータの候補値毎に処理を繰り返す。ここで、評価指標算出部203は、選択セルにおいて設定可能な無線パラメータの値を全て候補値としても良い。また、評価指標算出部203は、設定可能な無線パラメータの値の一部を候補値としても良い。例えば、選択セルのトラヒック負荷が、隣接セルのトラヒック負荷より大きい場合には、選択セルのカバレッジを縮小する方向の無線パラメータの値を、評価指標算出部203は候補値として選択する。具体的には、選択セルの送信電力の減少、選択セルのアンテナチルト角のダウンチルト、選択セルから隣接セルへのCIO値の増加、選択セルのEvent A3 Offset値の減少等に該当する設定値を、評価指標算出部203は候補値として選択する。
一方、選択セルのトラヒック負荷が隣接セルのトラヒック負荷より小さい場合には、選択セルのカバレッジを拡大する無線パラメータの値を、評価指標算出部203は候補値として選択する。具体的には、選択セルの送信電力の増加、選択セルのアンテナチルト角のアップチルト、選択セルから隣接セルへのCIO値の減少、選択セルのEvent A3 Offset値の増加等に該当する設定値を、評価指標算出部203は候補値として選択する。
ステップS306において、無線パラメータ制御部202は、選択セルの無線パラメータを、候補値の一つに変更する。
ステップS307において、評価指標算出部203は、選択セルの無線パラメータを変更した場合の評価指標を算出する。評価指標算出部203は、大きな影響係数の無線セルの通信品質ほど評価指標が大きくなるように、評価指標を算出する。例えば、評価指標算出部203は、各無線セルの通信品質に対して、当該無線セルの影響係数を乗算する。そして、評価指標算出部203は、影響係数を乗算された通信品質を用いて、選択セルの無線パラメータを制御するための評価指標を算出する。評価指標算出部203は、無線セルの無線パラメータを制御する際に用いられる一般的な評価指標を用いて、評価指標を算出しても良い。
例えば、負荷分散を目的として選択セルの無線パラメータを制御する場合には、評価指標算出部203は、セル間のトラヒック負荷の差を、評価指標として用いても良い。すなわち、評価指標算出部203は、影響係数が乗算された無線セル毎のトラヒック負荷を用いて、無線セル間のトラヒック負荷の差を算出する。また、他の例として、スループットの均衡化を目的として選択セルの無線パラメータを制御する場合には、評価指標算出部203は、セル間のスループットの差を、評価指標として用いても良い。すなわち、評価指標算出部203は、影響係数が乗算された無線セル毎のスループット代表値(例えば、平均ユーザスループット)を用いて、無線セル間のスループット代表値の差を算出する。
ステップS309において、無線パラメータ制御部202は、無線パラメータの候補値毎に算出された評価指標を比較することで、評価指標が改善される無線パラメータを決定する。例えば、無線パラメータ制御部202は、評価指標が最も改善される無線パラメータの候補値を選択しても良い。
なお、上記の説明においては、無線パラメータの候補値を全て評価した後に、選択セルの最終的な無線パラメータを決定する例について説明した。しかし、これは、本実施形態に係る無線パラメータ制御装置103の動作を、これに限定されない。例えば、本実施形態に係る無線パラメータ制御装置103は、無線パラメータの現在の設定値の近傍の候補値を最初に評価し、評価値が改善する方向に探索を進める山登り法(最急降下法)を用いても良い。また、本実施形態に係る無線パラメータ制御装置103は、黄金分割法等を用いても良い。
次に、図8のフローチャートを参照して、無線パラメータ制御部202の動作の具体例について詳細に説明する。図5に示した第1の実施形態における無線パラメータ制御部202と同一の処理については、図5と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
無線パラメータ制御部202が選択セルの隣接セルを選択(ステップS202)した後、影響係数算出部201は、選択セル及び隣接セルについて、無線セル毎の影響係数を算出する(ステップS403)。例えば、影響係数算出部201は、マクロ基地局によって管理されるマクロセルの影響係数を、1.2と設定しても良い。また、影響係数算出部201は、ピコ基地局によって管理されるピコセルの影響係数を、1.0と設定しても良い。
ステップS404からステップS408においては、選択セルの無線パラメータの候補値毎に、処理を繰り返す。
ステップS405において、無線パラメータ制御部202は、選択セルの無線パラメータを、候補値の中のいずれかに変更する。ここでの無線パラメータとは、例えば「送信電力、アンテナチルト角、アンテナ方位角、アンテナパタン及びアンテナ高」等の無線端末の無線品質に影響を与える無線パラメータである。また、無線パラメータは「ハンドオーバトリガの閾値、CIO(Cell Individual Offset)値及びEvent A3 Offset値」等の無線端末において、セル選択に影響を与える無線パラメータであっても良い。
次に、通信品質取得部200は、無線セル毎の通信品質として、無線セル毎の無線リソースの使用率を取得する(ステップS406)。ここで、各無線基地局が選択セルの無線パラメータを変更後に測定した値を、通信品質取得部200は、無線セル毎の無線リソースの使用率として取得することが好ましい。
次に、選択セルの無線パラメータを当該候補値に変更した場合の評価指標γを、評価指標算出部203は算出する(ステップS407)。例えば、以下の式1を用いて、評価指標算出部203は評価指標γを算出しても良い。式1において、L
sは選択セルの無線リソースの使用率、ω
sは選択セルの影響係数、L
nは隣接セルの無線リソースの使用率、ω
nは隣接セルの影響係数を示す。
[式1]
式1では評価指標γが小さいほど、選択セルと隣接セルの間で、影響係数を考慮した無線リソースの使用率が釣り合っていることを示す。例えば、影響係数算出部201が、マクロ基地局によって管理されるマクロセルの影響係数を1.2と設定し、ピコ基地局によって管理されるピコセルの影響係数を1.0と設定した場合を考える。そして、選択セルがピコセル、隣接セルがマクロセルである場合を考える。さらに、ここでは、選択セルの無線リソースの使用率が0.6(60%)、隣接セルの無線リソースの使用率が0.5(50%)である場合を考える。この場合、Lsは0.6、ωsは1.0、Lnは0.5、ωnは1.2となるため、式1を用いると、評価指標γは0(=|1.0*0.6−1.2*0.5|)となる。すなわち、影響係数の大きいマクロセルより影響係数の小さいピコセルの無線リソースの使用率が高くなった場合に、評価指標算出部203は、マクロセルとピコセル間の無線リソースの使用率が釣り合っているとみなす。結果として、影響係数が小さい無線セルほど、多くのトラフィック負荷を収容することになる。
なお、ステップS202で選択した隣接セルが複数ある場合には、無線パラメータ制御部202は、影響係数を乗算した無線リソースの使用率ωn・Lnを隣接セル毎に算出しても良い。そして、無線パラメータ制御部202は、それらをステップS202で選択した全ての隣接セルについて単純平均した値を、式1におけるωn・Lnの代わりに用いても良い。また、無線パラメータ制御部202は、影響係数を乗算した無線リソースの使用率ωn・Lnを隣接セル毎に算出しても良い。そして、無線パラメータ制御部202は、それらを選択セルと隣接セルとの隣接度合いに応じて加重平均した値を、式1におけるωn・Lnの代わりに用いても良い。ここで、隣接度合い算出する方法には、第1の実施形態で示した方法と同様の方法を用いても良い。
また、評価指標γを算出する方法として式1を用いるのは単なる一例であって、これに限定されない。例えば、評価指標算出部203は、式2を用いて、評価指標γを算出しても良い。
[式2]
無線パラメータの全ての候補値に対する処理が完了したら(ステップS408)、無線パラメータ制御部202は、候補値毎に算出した評価指標を比較し、評価指標が最も改善される無線パラメータの最適値を、決定する(ステップS409)。例えば、無線パラメータ制御部202は、評価指標として式1を用いる場合には、評価指標が最も小さくなる無線パラメータの候補値を、最適値として選択すれば良い。
なお、影響係数算出部201が無線セル毎の影響係数を算出するタイミングは、上記に限定されない。選択セルの無線パラメータを候補値の一つに変更するたびに、影響係数算出部201は、無線セル毎の影響係数を更新するようにしても良い。
以上のように、本実施形態に係る無線パラメータ制御装置103は、隣接する無線セルの通信品質に与える影響が大きい無線セルほど、多くのトラヒック負荷を収容する。さらに、本実施形態に係る無線パラメータ制御装置103は、評価指標を用いて無線パラメータを制御する。その結果として、本実施形態に係る無線通信システム10は、より一層、通信環境に応じて、適切に通信制御することに貢献する。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について詳細に説明する。
図9は、本実施形態に係る無線パラメータ制御装置103の構成例を示す図である。本実施形態における無線パラメータ制御装置103は、通信品質予測部204を備える点及び評価指標算出部203が通信品質予測部204によって予測された通信品質を用いて評価指標を算出する点で、第1及び第2の実施形態と異なる。
通信品質予測部204は、無線セルの無線パラメータを変更したと仮定した場合の無線セル毎の通信品質を予測する。なお、「無線パラメータを変更したと仮定する」とは、無線セルの無線パラメータを実際には変更せずに、解析処理、あるいは、コンピュータプログラム処理において、仮想的に無線パラメータを変更することを意味するものとする。
評価指標算出部203は、通信品質予測部204によって予測された、通信品質を用いて、無線パラメータを評価するための評価指標を算出する。
続いて、第3の実施形態に係る無線パラメータ制御装置103による無線パラメータ制御処理の具体例について、図10のフローチャートを参照して説明する。図7に示した第2の実施形態における無線パラメータ制御処理においては、通信品質取得部200が、選択セルの無線パラメータを候補値の一つに変更した後に、無線セル毎の通信品質を取得し、評価指標算出部203が評価指標を算出する(ステップS306及びステップS307)。
一方、第3の実施形態における無線パラメータ制御処理においては、これらの処理(ステップS306及びステップS307)の代わりに、選択セルの無線パラメータを変更したと仮定した場合における、無線セル毎の通信品質を予測する処理(ステップS506)、及び予測した通信品質を用いて、選択セルの無線パラメータを変更したと仮定した場合における、評価指標を算出する処理(ステップS507)が含まれる。この点において、本実施形態に係る無線パラメータの制御処理は、図7に示した第2の実施形態における無線パラメータ制御処理とは異なる。図7に示した第2の実施形態における無線パラメータ制御処理と同一の処理については、図7と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
ステップS506において、通信品質予測部204は、選択セルの無線パラメータを候補値に変更したと仮定した場合における、無線セル毎の通信品質を予測する。通信品質の予測方法については後述する。
ステップS507において、評価指標算出部203は、ステップS506によって予測された無線セル毎の通信品質を用いて、選択セルの無線パラメータを候補値に変更したと仮定した場合における、評価指標を算出する。評価指標を算出する方法としては、第2の実施形態と同様の方法を用いても良い。
ここで、通信品質予測部204は、無線セルの無線パラメータを変更したと仮定した場合における、無線セル毎の通信品質の予測には、既知の予測手法を用いれば良い。例えば、通信品質予測部204は、通信品質として無線リソースブロックの使用率を予測する場合には、以下のようにして無線セルの無線パラメータを変更したと仮定した場合における、無線リソースブロックの使用率を予測できる。なお、以下の説明においては、変更したと仮定する無線パラメータは送信電力であるものとする。
また、以下では、現在の無線パラメータの設定値における、無線セルkの無線リソースブロックの使用率をLkと示し、無線セルkと接続する無線端末数をNkと示すものとする。また、以下では、通信品質予測部204が予測する、無線パラメータを変更したと仮定した場合における、無線セルkの無線リソースブロックの使用率をLk’と示し、無線セルkと接続する無線端末数をNk’と示すものとする。
このとき、通信品質予測部204は、制御セルの無線パラメータを変更したと仮定した場合における、無線セルkの無線リソースブロックの使用率Lk’を、Lk’=Lk×(Nk’/Nk)として予測できる。すなわち、無線セルkに接続する無線端末数と無線セルkの無線リソースブロックの使用率とが比例するという仮定のもとで、通信品質予測部204は、無線端末数の変化率から無線リソースブロックの使用率を予測できる。
ここで、通信品質予測部204は、制御セルの無線パラメータを変更したと仮定した場合における、無線セルkと接続する無線端末数Nk’を、各無線端末が測定した無線セル毎の受信電力をあらかじめ取得しておくことで予測できる。以下では、無線端末Tによって測定された無線セル毎の受信電力を(P0、P1、P2、・・・、Pn)(Pi:無線セルiの受信電力[dBm])と示すものとする。
例えば、通信品質予測部204は、無線セルOの送信電力を46dBmから40dBmに変更したと仮定した場合には、無線端末Tの受信電力は(P0+(40−46)、P1、P2、・・・、Pn)になると予測する。すなわち、「無線セルの送信電力の変更量(dB)」と「無線端末における当該無線セルの受信電力の変化量(dB)」とが等しくなるという特性を用いて、通信品質予測部204は、無線セルの送信電力を変更したと仮定した場合における、受信電力を予測する。そして、通信品質予測部204は、予測した無線セル毎の受信電力の中から、受信電力が最大となる無線セルを、無線端末Tにとっての新たなサービングセルとして予測する。このようにして、通信品質予測部204は、制御セルの無線パラメータを変更したと仮定した場合における、無線セルkと接続する無線端末数Nk’を予測できる。
なお、無線リソースブロックの使用率を予測するために無線端末数を用いるのは単なる一例であって、これに限定されない。変形例として、通信品質予測部204は、無線リソースブロックの使用率を予測するために、無線端末数の代わりに、例えば、レイトレーシング(Ray Tracing)法等を利用した電波伝搬シミュレータを用いても良い。通信品質予測部204は、例えば、現在の無線セルkの面積(Sk)と、選択セルの無線パラメータを変更したと仮定した場合の無線セルkの面積(Sk’)を電波伝搬シミュレータによって推定する。そして、通信品質予測部204は、選択セルの無線パラメータを変更したと仮定した場合の無線セルkの無線リソースブロックの使用率Lk’を、Lk’=Lk×(Sk’/Sk)として予測する。
なお、変更したと仮定する無線パラメータが、無線セルのアンテナチルト角やアンテナ方位角である場合でも、通信品質予測部204は、同様に、無線パラメータ変更したと仮定した場合における、無線セルの無線リソースブロックの使用率を予測できる。
次に、図11のフローチャートを参照して無線パラメータ制御部202の動作の具体例について詳細に説明する。図8に示した第2の実施形態における無線パラメータ制御部202と同一の処理については、図8と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
ステップS605において、無線パラメータ制御部202が、選択セルの無線パラメータを候補値の中のいずれかに変更した、と通信品質予測部204は仮定する。ここでの無線パラメータとは、例えば「送信電力、アンテナチルト角、アンテナ方位角、アンテナパタン及びアンテナ高」等の無線端末の無線品質に影響を与える無線パラメータである。また、無線パラメータは「ハンドオーバトリガの閾値、CIO(Cell Individual Offset)値及びEvent A3 Offset値」等の無線端末におけるセル選択に影響を与える無線パラメータであっても良い。
ステップS606において、上述した方法を用いて、通信品質予測部204は選択セルの無線パラメータを当該候補値に変更したと仮定した場合における、無線セル毎の通信品質、例えば、無線リソースの使用率を予測する。なお、通信品質予測部204は、当該候補値が選択セルで実際に設定される無線パラメータである場合には、無線セル毎の通信品質として、実測した値を用いても良い。
ステップS607において、評価指標算出部203は、無線セル毎の影響係数と、当該候補値に変更した場合における、無線セル毎の無線リソースの使用率の予測値とに基づき、第2の実施形態と同様の方法により、評価指標γを算出する。
以上のように、本実施形態に係る無線パラメータ制御装置103は、隣接する無線セルの通信品質に与える影響が小さい無線セルほど、多くのトラヒック負荷を収容する。さらに、本実施形態に係る無線パラメータ制御装置103は、無線セルの無線パラメータを変更したと仮定した場合における、無線セル毎の通信品質を予測する。従って、本実施形態に係る無線パラメータ制御装置103は、より一層、通信環境に応じて、適切に通信制御することに貢献する。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について詳細に説明する。
第4の実施形態に係る無線基地局120〜122は、第1から第3の実施形態に係る無線パラメータ制御装置103と同等の機能を提供する、無線パラメータ制御モジュール301を含んで構成される。
図12は、第4の実施形態に係る無線基地局の構成例を示す図である。図12において、無線パラメータ制御装置103と同等の機能を提供する、無線パラメータ制御モジュール301が、無線基地局120、121及び122の一部として、それぞれ配置される。無線基地局120、121及び122は、無線リンクまたは有線リンクで互いに接続される。なお、無線基地局120、121及び122は、無線リンクまたは有線リンクによって必ずしも直接的に接続される必要はない。例えば、無線基地局120、121及び122は、コア網101やO&M装置(非図示)等を介して間接的に接続されていても良い。無線基地局120、121及び122は、それぞれが管理する、無線セルの通信品質の一部あるいは全て、及びそれぞれが管理する無線セルの影響係数の一部あるいは全てを互いに交換することができる。さらに、無線基地局120、121及び122は、無線パラメータの変更要否や設定値を他の無線基地局に通知したり、他の無線基地局に対して無線パラメータの変更を指示しても良い。
無線パラメータ制御モジュール301の構成や動作は、第1から第3の実施形態と同じであるため説明を省略する。
以上のように、本実施形態に係る無線パラメータ制御装置103は、無線パラメータ制御モジュールとして無線基地局の一部として機能する。これにより、本実施形態に係る無線通信システム10においては、複数の無線基地局の無線パラメータを集中的に制御する装置が不要となる。また、本実施形態に係る無線通信システム10においては、無線基地局が無線セルの無線パラメータを自律分散的に制御できる。
上述の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
(付記1)上記第1の視点に係る通信制御装置の通りである。
(付記2)前記無線パラメータ制御部は、前記第1の無線セルの前記通信品質と、前記第2の無線セルの前記通信品質とのうち、少なくとも一の前記通信品質と、前記第1の無線セルの前記影響係数と、前記第2の無線セルの前記影響係数とのうち、少なくとも一の前記影響係数とに基づいて、前記第1の無線セルの前記無線パラメータの変更要否を判断し、前記無線パラメータの変更を不要と判断した場合、当該無線パラメータの制御を抑制する、付記1に記載の通信制御装置。
(付記3)前記第1の無線セルの前記通信品質と、前記第2の無線セルの前記通信品質とのうち、少なくとも一の前記通信品質と、前記第1の無線セルの前記影響係数と、前記第2の無線セルの前記影響係数とのうち、少なくとも一の前記影響係数とに基づいて、前記第1の無線セルの前記無線パラメータに対応する、評価指標を算出する、評価指標算出部と、前記無線パラメータ制御部は、前記評価指標に基づいて、前記第1の無線セルの前記無線パラメータを制御する、付記2に記載の通信制御装置。
(付記4)前記無線パラメータ制御部は、前記第1の無線セルの前記無線パラメータの変更を必要と判断した場合、前記評価指標が高くなるように、当該無線パラメータを変更する、付記3に記載の通信制御装置。
(付記5)前記無線パラメータ制御部は、前記第1の無線セルの前記無線パラメータを変更したと仮定した場合の前記評価指標を予測し、当該予測する前記評価指標が高くなるように、前記第1の無線セルの前記無線パラメータを変更する、付記3又は4に記載の通信制御装置。
(付記6)前記無線パラメータ制御部は、前記第2の無線セルの前記通信品質が第1の所定値以下であり、かつ、当該第2の無線セルの前記影響係数が第2の所定値を越える場合、前記第1の無線セルの前記無線パラメータを変更する、付記1乃至5のいずれか一に記載の通信制御装置。
(付記7)前記無線パラメータ制御部は、前記第1の無線セルの前記通信品質が第3の所定値以下であり、かつ、当該第1の無線セルの前記影響係数が第4の所定値を越える場合当該第1の無線セルの前記無線パラメータを変更する、付記1乃至6のいずれか一に記載の通信制御装置。
(付記8)前記影響係数算出部は、無線セルのセルサイズ、無線セルの隣接セル数、無線セルのハンドオーバ情報、無線セルから所定の範囲内の距離に存在する無線端末数の少なくともいずれか一に基づいて、前記影響係数を算出する、付記1乃至7のいずれか一に記載の通信制御装置。
(付記9)前記第2の無線セルは、前記第1の無線セルに接続する、無線端末が接続する、1又は2以上の無線セルのうち、当該第1の無線セルと異なる無線セルであるとともに、所定の条件を満たす受信電力を示す無線セルである、付記1乃至8のいずれか一に記載の通信制御装置。
(付記10)前記第2の無線セルは、前記第1の無線セルに接続する、無線端末が接続する、1又は2以上の第2の無線セル候補のうち、当該無線端末における当該第1の無線セルからの受信電力と、当該無線端末における第2の無線セル候補からの受信電力と、の差が、所定値以下である、前記第2の無線セル候補である、付記1乃至9のいずれか一に記載の通信制御装置。
(付記11)前記第2の無線セルは、前記第1の無線セルとの間のハンドオーバ試行数、又はハンドオーバ成功数が、所定回数以上である無線セルである、付記1乃至10のいずれか一に記載の通信制御装置。
(付記12)前記第2の無線セルは、前記第1の無線セルとの間の距離が、所定範囲内である無線セルである、付記1乃至11のいずれか一に記載の通信制御装置。
(付記13)前記第2の無線セルは、前記第1の無線セルの隣接セルリストに含まれる無線セルである、付記1乃至12のいずれか一に記載の通信制御装置。
(付記14)前記無線パラメータは、送信電力、アンテナチルト角、アンテナ方位角、アンテナパタン、アンテナ高、ハンドオーバトリガの閾値またはオフセット値、の少なくともいずれか一を含む、付記1乃至13のいずれか一に記載の通信制御装置。
(付記15)前記通信品質は、スループット、無線端末における無線品質、無線リソースの使用率、物理リソースの使用率、呼の異常切断率、ハンドオーバ失敗率、の少なくともいずれか一を含む、付記1乃至14のいずれか一に記載の通信制御装置。
(付記16)上記第2の視点に係る無線基地局の通りである。
(付記17)上記第3の視点に係る通信制御方法の通りである。
(付記18)上記第4の視点に係るプログラムの通りである。
(付記19)1又は2以上の無線セルと、前記無線セルと通信する、1又は2以上の無線基地局と、を含む通信システムであって、前記各無線セルは、第1の前記無線セルと、前記第1の無線セルとは異なる、1又は2以上の第2の前記無線セルとのうち、少なくとも一の無線セルの通信品質を、当該無線セルと通信する前記基地局から取得する、通信品質取得部と、前記第1の無線セルと、前記第2の無線セルとのうち、所定の無線セルの前記通信品質が、当該無線セルに隣接する、1又は2以上の第3の無線セルに与える影響度合いを示す、影響係数を算出する、影響係数算出部と、前記通信品質取得部が取得する前記影響係数が高い無線セルほど、当該無線セルに対応する、前記影響係数算出部が算出する前記通信品質を重視して、少なくとも前記第1の無線セルの無線パラメータを制御する、無線パラメータ制御部と、を備える通信システムが提供される。
尚、上記の特許文献の開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし、選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されるものと解釈されるべきである。