以下、実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
[第1の実施形態]
はじめに、第1の実施形態における見守りシステムについて説明する。図1は、見守りシステムの一例を示す図である。
見守りシステム100は、撮像部110と、見守り装置の一例である解析装置120と、ユーザインタフェース装置130とを有しており、撮像部110と解析装置120とは、ネットワーク140を介して接続される。撮像部110は、例えば、病院の各病室や介護施設の各居室等において、寝具(ベット)の傍らに設置される。また、ユーザインタフェース装置130は、例えば、病院のナースステーションや介護施設の介護者用の執務室等に設置される。
撮像部110は、近赤外線カメラであり、病院の各病室や介護施設の各居室の寝具上に横臥した患者や被介護者等(「見守り対象者」と称す)の動作を撮影する。撮像部110により撮影された撮影画像は、ネットワーク140を介して解析装置120に送信される。
解析装置120は、撮像部110により撮影された撮影画像を処理し、撮影画像データベース121(以下、データベースをDBと略す)に格納されている撮影画像情報に撮影画像を登録する。また、解析装置120は、撮影画像をユーザインタフェース装置130を表示するための制御を行う。更に、解析装置120は、ユーザインタフェース装置130に撮影画像を表示した場合の、看護師や介護士等(「補助者」と称す)による見守り対象者に対する補助の有無を判定し、判定結果に応じて撮影画像DB121に格納された撮影画像情報を更新する。なお、解析装置120には、解析プログラム122がインストールされており、解析装置120におけるこれらの処理は、解析装置120が解析プログラム122を実行することで実現する。
ユーザインタフェース装置130は、撮影画像を表示するとともに、補助者による見守り対象者に対する補助の有無の入力を受け付ける。ユーザインタフェース装置130は、入力された補助者による補助の有無を、補助者の行動結果に関する情報として、解析装置120に送信する。
図2は、解析装置のハードウェア構成を示す図である。図2に示すように、解析装置120は、CPU201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203を備える。また、解析装置120は、記憶部204、接続部205、通信部206を備える。なお、解析装置120の各部は、バス207を介して相互に接続されている。
CPU201は、記憶部204に格納された各種プログラムを実行するコンピュータである。
ROM202は不揮発性メモリである。ROM202は、記憶部204に格納された各種プログラムをCPU201が実行するために必要な各種プログラム、データ等を格納する。具体的には、BIOS(Basic Input/Output System)やEFI(Extensible Firmware Interface)等のブートプログラムなどを格納する。
RAM203は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)等の主記憶装置である。RAM203は、記憶部204に各種プログラムがCPU201によって実行される際に展開される、作業領域として機能する。
記憶部204は、解析装置120にインストールされた各種プログラムや、プログラムを実行することで生成されるデータ等を格納する。接続部205は、ユーザインタフェース装置130と接続され、ユーザインタフェース装置130との間で、データの送受信を行う。通信部206は、ネットワーク140を介して撮像部110との間で通信を行う。
次に、解析装置120の撮影画像DB121に格納される撮影画像情報について説明する。図3は、撮影画像DBに格納される撮影画像情報の一例を示した図である。なお、撮影画像DB121には、見守り対象者ごとに撮影画像情報が格納されており、図3は、そのうちの"患者ID"="AAAA"の見守り対象者の撮影画像情報の一例を示す図である。
図3に示すように、撮影画像情報300は情報の項目として、"画像ID"、"画像ファイル"、"特徴量"、"重みパラメータ"、"カウンタ値"を含む。"画像ID"には、撮影画像情報300に登録される撮影画像を識別するための識別子が格納される。
"画像ファイル"には、撮影画像ファイルが格納される。なお、ここでいう撮影画像ファイルは、後述する体動時間の間に撮影された複数フレームの撮影画像群を含むファイルである。例えば、フレーム周期を30枚/秒とし、体動時間を5秒とすると、撮影画像ファイルには、150フレーム分の撮影画像が含まれることとなる。
"特徴量"には、"画像ファイル"に格納された各撮影画像ファイルより抽出される特徴量が格納される。なお、撮影画像情報300には、特徴量として、体動の大きさ、体動領域、体動時間が含まれる。各特徴量についての詳細な説明は後述する。
"重みパラメータ"には、各特徴量により表される見守り対象者の動作が、補助者による補助が必要な動作である度合いを示す値が格納される。なお、補助者による補助が必要な動作とは、通常は起こりにくい動作や普段とは異なる動作を指す。また、通常は起こりにくい動作や普段とは異なる動作とは、例えば、夜間時間帯において、就床→睡眠→起床といった一般的な生活リズムの中で、見守り対象者が暴れている、起きているといった動作を指す。反対に通常起こり得る動作や普段の動作とは、見守り対象者が寝返りをするといった動作を指す。これらの動作は、体動の大きさ、体動領域、体動時間の組み合わせにより表現することができる。
"カウンタ値"には、撮影画像情報300に格納された各撮影画像ファイルが利用された頻度を示す値が格納される。
次に、撮影画像より抽出される第1及び第2の特徴量である、体動の大きさ及び体動領域について説明する。図4は、撮影画像より抽出される第1及び第2の特徴量を説明するための図であり、体動の大きさと体動領域とを具体的に示した図である。
図4(a)は、各時刻において撮影された見守り対象者の撮影画像を示している。図4(a)の例では、時刻=t−1において両腕を八の字に開いていた見守り対象者が、時刻=tにおいては、右腕を体の前まで動かしている。更に、時刻=t+1においては、右腕を左腕の近くまで動かし、時刻=t+2においては、右腕を元の位置に戻している。
図4(b)は、連続する2つの時刻において撮影された見守り対象者の撮影画像内の各画素の輝度差を算出し、輝度差が所定の閾値以上の画素を1、輝度差が所定の閾値未満の画素を0として二値化した二値画像を示している。なお、二値化した部位をわかりやすくするために、図4(b)の例では、見守り対象者を点線で表している。
図4(b)において黒塗りされた領域A(t−1)は、時刻=t−1において撮影された撮影画像と、時刻=tにおいて撮影された撮影画像との輝度差が所定の閾値以上の領域である。また、領域A(t)は、時刻=tにおいて撮影された撮影画像と、時刻=t+1において撮影された撮影画像との輝度差が所定の閾値以上の領域である。更に、領域A(t+1)は、時刻=t+1において撮影された撮影画像と、時刻=t+2において撮影された撮影画像との輝度差が所定の閾値以上の領域である。
なお、撮影画像内の各画素(x,y)の輝度値をf(x,y)とし、所定の閾値をTHとすると、二値画像は下式に基づいて求めることができる。
このうち、領域A(t−1)は、f'1(x,y)=1の領域であり、領域A(t)は、f'2(x,y)=1の領域であり、領域A(t+1)は、f'3(x,y)=1の領域である。
図4(c)は、2つの連続する二値画像のいずれにおいても、輝度値が1となる画素の領域を示している。図4(c)において黒塗りされた領域B(t)は、領域A(t−1)と領域A(t)との間の重複領域を示している。また、黒塗りされた領域B(t+1)は、領域A(t)と領域A(t+1)との間の重複領域を示している。
つまり、領域B(t)、領域B(t+1)は下式により表すことができる。
本実施形態では、領域B(t)を、時刻=tにおける「体動領域」と称し、領域B(t+1)を、時刻=t+1における「体動領域」と称す。
また、本実施形態では、領域B(t)の重心位置と、領域B(t+1)の重心位置との間の距離L(t)を、時刻=tから時刻=t+1までの間の「体動の大きさ」と称す。
次に、撮影画像より抽出される第3の特徴量である、体動時間について説明する。図5は、撮影画像より抽出される第3の特徴量を説明するための図であり、体動時間を具体的に示した図である。
図5において、横軸は時刻を縦軸は各時刻における体動の大きさを示している。なお、図5では、一例として、時刻=tから時刻=t+1までの間の体動の大きさ(L(t))を点線で明示している。
図5に示すように、体動時間は、体動の大きさが所定の閾値より大きくなった時点を開始点とし、開始点以降に、体動の大きさが最初に所定の閾値になった時点を終了点とした場合の、開始点と終了点との間の時間である。
なお、本実施形態において、撮影画像ファイルに含まれる各フレームの撮影画像に基づいて抽出され、撮影画像情報300に格納される特徴量のうち、「体動の大きさ」は、体動時間における平均の体動の大きさである。また、「体動領域」は、体動時間における平均の体動領域である。つまり、特徴量Vは、1体動単位で求めるものとする。
次に、解析装置120の機能構成について説明する。図6は、解析装置120の機能構成を示す図である。解析装置120は、CPU201が解析プログラム122を実行することで、後述する各部の機能を実現する。なお、本実施形態において、解析装置120の撮影画像DB121は、例えば記憶部204に設けられる。
図6に示すように、解析装置120は、撮影画像取得部601、特徴量算出部602、登録部603、初期重み管理部604、表示制御部605、行動結果取得部606、重み管理部607を有する。
撮影画像取得部601は、撮像部110において見守り対象者を撮影することで得られた撮影画像を撮像部110より取得する。
特徴量算出部602は、撮影画像取得部601において取得された撮影画像より、見守り対象者の動作を示す特徴量を1体動単位で算出する。
登録部603は、特徴量算出部602において抽出された特徴量に基づいて、撮影画像DB121に格納された撮影画像情報300への撮影画像の登録可否を判定し、登録可能と判定した場合に、撮影画像を撮影画像情報300に登録する。
初期重み管理部604は、登録部603により新たに登録された撮影画像の特徴量と、既に登録されている撮影画像の特徴量との類似度を算出する。また算出した類似度に応じた重みパラメータを導出し、導出した重みパラメータを、新たに登録された撮影画像の重みパラメータとして撮影画像情報300に格納する。
表示制御部605は、ユーザインタフェース装置130に撮影画像を表示するための制御を行う。具体的には、初期重み管理部604において導出された重みパラメータに基づいて、撮影画像をユーザインタフェース装置130に表示するか否かを判定し、表示すると判定した場合に、撮影画像をユーザインタフェース装置130に表示する。
行動結果取得部606は、ユーザインタフェース装置130に撮影画像が表示されたことに対して入力された、補助者の行動結果に関する情報を取得する。具体的には、ユーザインタフェース装置130に表示された撮影画像を見ることで、補助者が、見守り対象者を補助する必要があると判断する。そして、判断結果をユーザインタフェース装置130に入力した場合に、判断結果を補助者の行動結果に関する情報として取得し、重み管理部607に通知する。
重み管理部607は、行動結果取得部606より補助者の行動結果に関する情報が通知された場合に、撮影画像DB121の撮影画像情報300に格納されている撮影画像の重みパラメータを変更する。また、重み管理部607は、撮影画像の重みパラメータを変更したことに伴って、撮影画像情報300に格納されている撮影画像のカウント値を変更する。
次に、解析装置120により実行される撮影画像解析処理の流れについて説明する。はじめに、解析装置120により実行される撮影画像解析処理の概要について説明する。図7は、解析装置120により実行される撮影画像解析処理の概要を説明するための図である。
図7に示すように、撮影画像取得部601が、1体動分の撮影画像700("撮影画像ファイル"="Imag_n")を取得すると、特徴量算出部602が、撮影画像700より特徴量Vn=(fn1,fn2,fn3)を算出する。
算出された特徴量Vn=(fn1,fn2,fn3)に基づいて、登録部603では、撮影画像700の撮影画像情報300への登録可否を判定する。算出された特徴量Vnに含まれるfn1,fn2,fn3がいずれも所定の閾値以上であると判定した場合には、撮影画像700の撮影画像情報300への登録が可能であると判定する。
ここで、所定の閾値は、見守り対象者の睡眠時や覚醒時に関係なく発生する微小な動作(一時的に手足を動かす動作や、呼吸に伴う動作)を排除する値であるとし、3つの閾値が設定されているものとする。
撮影画像700の撮影画像情報300への登録が可能であると判定すると、登録部603は、"画像ID"="000n"として、"撮影画像ファイル"="Imag_n"の撮影画像700を撮影画像情報300に登録する。また、登録部603は、算出された特徴量Vnを、撮影画像ファイルと対応付けて格納する。
更に、初期重み管理部604は、撮影画像700の特徴量Vnと、既に撮影画像情報300に登録されている各撮影画像の特徴量との類似度を算出する。例えば、撮影画像700("撮影画像ファイル"="Imag_n")の特徴量Vnと、"撮影画像ファイル"="Imag_1"の撮影画像の特徴量V1との類似度S(Vn,V1)は、下式に基づいて算出する。
初期重み管理部604では、同様に、特徴量Vnと特徴量V2との類似度S(Vn,V2)、特徴量Vnと特徴量V3との類似度S(Vn,V3)、・・・を算出する。初期重み管理部604では、更に、算出した類似度の中から所定の閾値以上の類似度を抽出し、抽出した類似度が算出された際の撮影画像に対応付けて格納されている重みパラメータのうち、最も大きい重みパラメータを選択する。
更に、初期重み管理部604では、選択した重みパラメータを撮影画像700の重みパラメータWnとして撮影画像情報300に格納する。なお、初期重み管理部604では、算出した類似度の中に所定の閾値以上の類似度がなかった場合には、撮影画像700の重みパラメータとして1を撮影画像情報300に格納する。
初期重み管理部604により、撮影画像情報300に撮影画像700の重みパラメータが格納されると、表示制御部605では、格納された重みパラメータに基づいて、撮影画像700をユーザインタフェース装置130に表示するか否かを判定する。
具体的には、初期重み管理部604により格納された重みパラメータが1であった場合、または、初期重み管理部604により格納された重みパラメータが所定の閾値以上であった場合、撮影画像700をユーザインタフェース装置130に表示すると判定する。
換言すると、重みパラメータが1より大きく所定の閾値未満であった場合、表示制御部605では、撮影画像700をユーザインタフェース装置130に表示しないと判定する。なお、重みパラメータが1の場合に撮影画像700を表示するのは、過去に発生していない新たな動作であるため、補助が必要な動作であるか否かを補助者に判断してもらうためである。
表示画面710は、ユーザインタフェース装置130に撮影画像700を表示した様子を示している。表示画面710には、表示制御部605により表示可能と判定された撮影画像700に加え、補助者の行動結果を入力するためのボタンが配されている。
"対応する"ボタン711は、表示画面710に表示された撮影画像700を見ることで、見守り対象者が特定の動作(補助者による補助が必要な動作)を行ったと判断した場合に、見守り対象者により押圧されるボタンである。
一方、"様子見"ボタン712は、表示画面710に表示された撮影画像700を見ることで、見守り対象者が特定の動作を行っていない(補助者による補助が不必要な動作である)と判断した場合に、見守り対象者により押圧されるボタンである。
行動結果取得部606では、表示画面710に撮影画像700が表示されたことに対して、補助者がボタン711とボタン712のいずれを押圧したかを判定する。行動結果取得部606により、ボタン712が押圧されたと判定された場合には、撮影画像情報300は変更されない。
一方、行動結果取得部606により、ボタン711が押圧されたと判定された場合には、重み管理部607が、撮影画像情報300に格納された重みパラメータを変更する。具体的には、撮影画像700に対応付けられた重みパラメータWnをインクリメントする。これにより、撮影画像700に対応付けられた重みパラメータは、Wn+1となる。
重み管理部607では、撮影画像700の特徴量Vnと、既に撮影画像情報300に登録されている各撮影画像の特徴量との類似度を算出する(なお、撮影画像700を登録する際に算出した類似度を保持している場合には、ここでの再計算は不要である)。そして、算出した類似度のうち、所定の閾値以上の類似度が算出された撮影画像と対応付けられている重みパラメータをインクリメントする。
図7の例では、"撮影画像ファイル"="Imag_2"の重みパラメータと、"撮影画像ファイル"="Imag_5"の重みパラメータをインクリメントする。
なお、重み管理部607では、重みパラメータを更新した場合、対応するカウンタ値を初期値に戻す。また、重み管理部607では、更新されなかった重みパラメータに対応するカウンタ値を、1デクリメントする。重み管理部607では、カウンタ値がゼロになった場合に、対応する撮影画像を撮影画像情報300が削除する。
次に、解析装置120により実行される撮影画像解析処理の詳細な流れについて説明する。図8は、解析装置120により実行される撮影画像解析処理のフローチャートである。
ステップS801において、撮影画像取得部601は撮影画像700を取得する。ステップS802において、特徴量算出部602は、取得した撮影画像700より特徴量を算出する。
ステップS803において、登録部603は、取得した撮影画像700を撮影画像情報300に登録する登録処理を行う。また、初期重み管理部604は、抽出した特徴量に基づいて、撮影画像700を登録する際に、撮影画像700と対応付けて撮影画像情報300に格納する重みパラメータを導出する。また、初期重み管理部604は、導出した重みパラメータを、撮影画像700に対応付けて格納する。
ステップS804において、表示制御部605は、ステップS803において登録された撮影画像の重みパラメータに応じて、撮影画像700をユーザインタフェース装置130に表示する表示処理を行う。
ステップS805において、行動結果取得部606は、ユーザインタフェース装置130に撮影画像が表示されたことに対して入力された、補助者の行動結果に関する情報を取得する行動結果取得処理を行う。
ステップS806において、重み管理部607は、ステップS805において取得された補助者の行動結果に関する情報に応じて、撮影画像情報300に登録された撮影画像700の重みパラメータを変更する変更処理を行う。
ステップS807において、撮影画像取得部601は、撮影終了指示が入力されたか否かを判定し、撮影終了指示が入力されていないと判定した場合には、ステップS801に戻る。一方、撮影終了指示が入力されたと判定した場合には、撮影画像解析処理を終了する。
次に、登録処理(ステップS803)の詳細について説明する。図9は、解析装置120により実行される登録処理のフローチャートである。
ステップS901において、登録部603は、処理対象である撮影画像700より抽出された特徴量fn1、fn2、fn3がいずれも、所定の閾値以上であるか否かを判定する。ステップS901において、特徴量fn1、fn2、fn3のいずれかが、所定の閾値未満であると判定した場合には、ステップS908に進む。ステップS908において、登録部603は、撮影画像700を撮影画像情報300に登録しないと判断する。
一方、ステップS901において、特徴量fn1、fn2、fn3のいずれも所定の閾値以上であると判定した場合には、ステップS902に進む。
ステップS902において、初期重み管理部604は、撮影画像700の重みパラメータに、デフォルト値である1を代入する。
ステップS903において、初期重み管理部604は、撮影画像700の特徴量Vnと、撮影画像情報300に既に登録されている各撮影画像の特徴量V1、V2、V3、・・・との類似度を算出する。
ステップS904において、初期重み管理部604は、ステップS903において算出された類似度S(Vn,V1)、S(Vn,V2)、S(Vn,V3)、・・・のうち、最大の類似度が所定の閾値未満であるか否かを判定する。
ステップS904において、最大の類似度が所定の閾値未満であると判定した場合には、ステップS907に進む。一方、ステップS904において、最大の類似度が所定の閾値以上であると判定した場合には、ステップS905に進む。
ステップS905において、初期重み管理部604は、類似度が所定の閾値以上となる撮影画像のうち、最大の重みパラメータを撮影画像情報300より取得する。ステップS906において、初期重み管理部604は、ステップS905において取得した重みパラメータを、撮影画像700の重みパラメータに代入する。
ステップS907において、登録部603は、撮影画像700を、ステップS902にまたはステップS906において代入された重みパラメータ並びにステップS802において算出した特徴量とともに、撮影画像情報300に格納する。なお、このとき登録部603では、カウンタ値に初期値を格納する。
次に、表示処理(ステップS804)の詳細について説明する。図10は、解析装置120により実行される表示処理のフローチャートである。
ステップS1001において、表示制御部605は、撮影画像700の重みパラメータが1であるか否かを判定する。ステップS1001において、撮影画像700の重みパラメータが1であると判定した場合には、ステップS1003に進む。
一方、ステップS1001において、撮影画像700の重みパラメータが1ではないと判定した場合には、ステップS1002に進む。ステップS1002において、表示制御部605は、撮影画像700の重みパラメータが所定の閾値以上であるか否かを判定する。
ステップS1002において、撮影画像700の重みパラメータが所定の閾値以上であると判定した場合には、ステップS1003に進む。
ステップS1003において、表示制御部605は、撮影画像700をユーザインタフェース装置130に表示するよう制御する。
一方、ステップS1002において、撮影画像700の重みパラメータが所定の閾値未満であると判定した場合には、ステップS1004に進む。ステップS1004において、表示制御部605は、撮影画像700をユーザインタフェース装置130に表示しないと判断する。
このように、表示制御部605では、重みパラメータがデフォルト値(=1)であった場合、または、所定の閾値以上であった場合に、撮影画像700をユーザインタフェース装置130に表示する。一方、それ以外の場合には、ユーザインタフェース装置130には表示しない。
次に、行動結果取得処理(ステップS805)の詳細について説明する。図11は、解析装置120により実行される行動結果取得処理のフローチャートである。
ステップS1101において、行動結果取得部606は、撮影画像700がユーザインタフェース装置130に表示されてから、所定時間が経過したか否かを判定する。ステップS1101において、所定時間が経過していないと判定した場合には、ステップS1102に進む。
ステップS1102において、行動結果取得部606は、表示画面710のボタン711またはボタン712が押圧されたか否かを判定する。ステップS1102において、いずれのボタンも押圧されていないと判定された場合には、ステップS1101に戻る。
ステップS1101において、所定時間内にいずれのボタンも押圧されなかったと判定された場合には、ステップS1106に進む。ステップS1106において、行動結果取得部606は、撮影画像700により示される見守り対象者の動作が、補助者による補助が必要な動作ではなかったと判定する。
一方、ステップS1102において、表示画面710のボタン711またはボタン712のいずれかが押圧されたと判定された場合には、ステップS1103に進む。
ステップS1103において、行動結果取得部606は、表示画面710のいずれのボタンが押圧されたかを識別する。識別した結果、押圧されたボタンがボタン711であった場合には、ステップS1104からステップS1105へと進む。ステップS1105において、行動結果取得部606は、撮影画像700により示される見守り対象者の動作が、補助者による補助が必要な動作であると判定する。
一方、識別した結果、押圧されたボタンがボタン712であった場合には、ステップS1104からステップS1106へと進む。ステップS1106において、行動結果取得部606は、撮影画像700により示される見守り対象者の動作が、補助者による補助が必要な動作ではないと判定する。
次に、重み変更処理(ステップS806)の詳細について説明する。図12は、解析装置120による重み変更処理のフローチャートである。
ステップS1201において、重み管理部607は、行動結果取得部606により、撮影画像700により示される見守り対象者の動作が、補助者による補助が必要な動作であると判定されたか、不要な動作であると判定されたかを判定する。
ステップS1201において、不要な動作であると判定されたと判定した場合には、図8のステップS807に戻る。一方、ステップS1201において、必要な動作であると判定されたと判定した場合には、ステップS1202に進む。
ステップS1202において、重み管理部607は、撮影画像情報300に格納された撮影画像700の重みパラメータをインクリメントする。
ステップS1203において、重み管理部607は、撮影画像700の特徴量Vnと、撮影画像情報300に既に登録されている各撮影画像の特徴量V1、V2、V3、・・・との類似度を算出する。
ステップS1204において、重み管理部607は、ステップS1203において算出した類似度のうち、所定の閾値以上の類似度が算出された撮影画像と対応付けられているカウンタ値を初期値に戻す。
ステップS1205において、重み管理部607は、ステップS1203において算出した類似度のうち、所定の閾値以上の類似度が算出された撮影画像と対応付けられている重みパラメータをインクリメントする。
更に、ステップS1206において、重み管理部607は、ステップS1203において算出した類似度のうち、所定の閾値未満の類似度が算出された撮影画像と対応付けられているカウンタ値をデクリメントする。
ステップS1207において、重み管理部607は、撮影画像情報300内において、カウンタ値が1未満の撮影画像があるか否かを判定する。ステップS1207において、カウンタ値が1未満の撮影画像があると判定した場合には、カウンタ値が1未満の撮影画像を、撮影画像情報300から削除したうえで、図8のステップS807に戻る。
一方、ステップS1207において、カウンタ値が1未満の撮影画像がないと判定した場合には、図8のステップS807に戻る。
以上の説明から明らかなように、解析装置120では、見守り対象者を撮影することで得られた撮影画像から、見守り対象者の動作を表す特徴量を抽出し、抽出した特徴量に応じて導出した重みパラメータを、撮影画像と対応付けて見守り対象者ごとに管理する。また、解析装置120では、導出した重みパラメータに基づいて、撮影画像を補助者に表示するか否かを判定し、表示すると判定した場合に、補助者に表示する。
このように、補助が必要な動作であると過去に補助者が判定した判定結果を反映した重みパラメータに基づいて、新たに取得した撮影画像を補助者に表示するか否かを判定するため、補助者による補助が必要な動作を精度よく検知し表示することができる。つまり、見守り対象者ごとの日常生活動作の違いに応じた表示を行うことができる。
更に、解析装置120では、表示した撮影画像に応じて、補助者が見守り対象者を補助する必要があるか否かについて判定した結果をフィードバックし、撮影画像の重みパラメータに反映する。
これにより、見守り対象者の日常生活動作が変化した場合であっても、補助者による補助が必要な動作を精度よく検知することができる。つまり、補助者が感覚的に捉えていた判定基準を動的に反映させることができる。
この結果、見守りシステムにおいて誤検知を抑えることが可能となり、補助者の負担を低減させることができる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態において、解析装置120は、取得した撮影画像に含まれる複数フレームの撮影画像から、所定の条件を満たす撮影画像を、ダイジェスト画像としてユーザインタフェース装置130に表示する。
図13は、第2の実施形態における表示処理のフローチャートである。なお、図13に示すフローチャートの各工程のうち、図10に示すフローチャートの各工程と同じ工程については、同じ参照番号を付すこととし、ここでは説明を省略する。
ステップS1301において、表示制御部605は、撮影画像700に含まれる全てのフレームを取得する。
ステップS1302において、表示制御部605は、ステップS1301において取得された全フレームについて、連続する2つの時刻において撮影された2つのフレームの撮影画像内の各画素の輝度値の差分値(輝度差)を算出し、輝度差の合計値を算出する。
ステップS1303において、表示制御部605は、輝度差の合計値が大きいフレームを、所定数抽出する。
ステップS1304において、表示制御部605は、体動開始時のフレームと、ステップS1303において抽出された所定数のフレームとを、ダイジェスト画像としてユーザインタフェース装置130に表示する。
図14は、ダイジェスト画像の抽出方法及び表示方法を説明するための図である。図14(a)において、横軸は時刻を示しており、縦軸は撮影画像700に含まれる全フレームについて連続する2つの時刻において撮影された2つのフレームの撮影画像内の各画素の輝度差の合計値を算出した結果を示している。輝度差が大きいということは、連続する2つの時刻間において、見守り対象者が大きく動作したことを示している。
図14(a)において、丸印1401は体動開始時の時刻を示している。丸印1402〜1404は、撮影画像700と同じ体動時間内において撮影されたフレームであって、見守り対象者が大きく動作した時刻を示している。
表示制御部605では、体動開始時のフレームに加え、丸印1402〜1404により特定される時刻に撮影されたフレームをダイジェスト画像として表示画面に表示する。図14(b)は、ダイジェスト画像を表示した表示画面の一例を示している。図14(b)において、領域1411には体動開始時のフレームが表示される。また、領域1412〜1414には、丸印1402〜1404により特定される時刻に撮影されたフレームが表示される。
また、領域1420には、撮影画像取得部601が取得した撮影画像がリアルタイムで表示される。
なお、ダイジェスト画像を表示する際に、体動開始時のフレームを含めたのは、体動が開始したときの見守り対象者の状態を把握することができるためである。例えば、寝具から足がでている状態から見守り対象者が大きな動作を行った場合、体動開始時のフレームが含まれていないと、補助者は、動作によって足が寝具から出たのかどうかを判断することができない。このため、室温が高いなどの周辺環境が原因で動作をしたのか、別のことが原因で動作をしたのかを判断することができない。
これに対して、体動開始時のフレームをダイジェスト画像に含めれることで、補助者は、動作の経緯等を、直感的に把握することができる。
以上の説明から明らかなように、解析装置120では、導出した重みパラメータに基づいて表示すると判定した場合に、判定した撮影画像に含まれる全てのクレームではなく、判定した撮影画像から抽出したフレームを表示する。
これにより、補助が必要な動作か否かを補助者が判断するのに有効な撮影画像を表示することが可能となる。この結果、補助者は、見守り対象者の動作の全体像を、短時間で把握することができる。
なお、上記説明では、同一の体動時間内に含まれる複数のフレームの中から、所定の条件を満たすフレームを抽出してダイジェスト画像として表示することとしたが、例えば、過去の撮影画像のダイジェスト画像を合わせて表示するようにしてもよい。
図15は、解析装置120により実行される表示処理の他のフローチャートである。なお、図15に示すフローチャートの各工程のうち、図13に示すフローチャートの各工程と同じ工程については、同じ参照番号を付すこととし、ここでは説明を省略する。
図15に示すように、ステップS1501において、表示制御部605は、補助が必要な動作であると過去に補助者が判断した複数の撮影画像それぞれに対して、現在時刻との時間差に応じた重みづけを行う。更に、表示制御部605は、現在時刻の撮影画像との類似度を算出し、最も類似度が高い過去の撮影画像を抽出する。
ステップS1502〜ステップS1504において、表示制御部605は、ステップS1302〜ステップS1304と同様の処理により、抽出した過去の撮影画像より、ダイジェスト画像のフレームを抽出する。そして、現在時刻の撮影画像のダイジェスト画像のフレームと並列して表示する。これにより、補助者は、見守り対象者の動作を、より的確に判断することができる。
[第3の実施形態]
第3の実施形態において、解析装置120は、見守り対象者に対して補助者による補助が行われたか否かを、撮影画像に基づいて判定する。
図16は、第3の実施形態における行動結果取得処理のフローチャートである。なお、図16に示すフローチャートの各工程のうち、図11に示すフローチャートの各工程と同じ工程については、同じ参照番号を付すこととし、ここでは説明を省略する。
ステップS1602において、行動結果取得部606は、撮影画像700が表示画面710に表示されてから所定時間、撮影画像取得部601において取得した撮影画像を行動結果取得部606が取得する。
ステップS1603において、行動結果取得部606は、ステップS1602において取得した撮影画像に基づいて、体動領域を算出する。
ステップS1604において、行動結果取得部606は、体動領域に変化があるか否かを判定し、変化がないと判定した場合には、ステップS1101に戻る。一方、体動領域に変化があると判定した場合には、ステップS1105に進み、行動結果取得部606は、補助者が補助を行ったと判断し補助が必要な動作であったと判定する。
このように、補助者が補助を行ったか否かを、撮影画像に基づいて判断することで、撮影画像が表示されるたびに補助者がボタン711または712を押圧する手間を省くことができる。
[第4の実施形態]
上記第1の実施形態では、カウンタ値に応じて、撮影画像を撮影画像情報300から削除したが、重みパラメータに応じて、撮影画像を撮影画像情報300から削除するようにしてもよい。具体的には、一定時間重みパラメータが更新されなかった場合に、重みパラメータをデクリメントしていき、重みパラメータが1未満になった場合に、撮影画像を撮影画像情報300から削除するようにしてもよい。
また、上記第1の実施形態では、表示された撮影画像に対して、補助者は補助が必要な動作か否かを判断しボタン711または712のいずれかを押圧しなければならなかったが、判断の保留を示すボタンを設置してもよい。これにより、補助者は、見守り対象者の様子をしばらく見てから、判断することができるようになる。
また、上記第1の実施形態では、撮影画像情報300の情報の項目として、"画像ID"、"画像ファイル"、"特徴量"、"重みパラメータ"、"カウンタ値"を含むものとしたが、更に、体動領域を示す座標または部位を含めてもよい。
なお、開示の技術では、以下に記載する付記のような形態が考えられる。
(付記1)
対象者を撮影することで得られた撮影画像から、該対象者の動作を示す特徴量を算出する算出部と、
前記算出部により算出された特徴量を、前記対象者について既に登録されている他の撮影画像から算出された特徴量との類似度に応じたパラメータと対応付けて、前記対象者ごとにデータベースに登録する登録部と、
前記パラメータに基づいて前記撮影画像を表示するか否かを判定し、表示すると判定した場合に、前記撮影画像を表示させる表示制御部と
を有することを特徴とする見守り装置。
(付記2)
前記特徴量は、
前記対象者の各領域のうち、体動した領域の大きさを示す体動領域と、
前記対象者の体動の大きさと、
前記対象者の体動の開始から終了までを示す体動時間と
を含むことを特徴とする付記1に記載の見守り装置。
(付記3)
前記パラメータに基づく表示するか否かの判定に応じて前記撮影画像を表示した場合の、前記対象者を補助する補助者による補助の有無を判定し、判定結果に応じて前記パラメータを変更する変更部を更に有することを特徴とする付記1または2に記載の見守り装置。
(付記4)
前記登録部は、前記類似度が所定の閾値以上であった場合、前記類似度が算出された前記他の撮影画像に対応付けられているパラメータを、前記算出部により算出された特徴量に対応付けて登録することを特徴とする付記1乃至付記3のいずれかの付記に記載の見守り装置。
(付記5)
前記登録部は、前記類似度が所定の閾値未満であった場合、予め定められた値をパラメータとして、前記算出部により算出された特徴量に対応付けて登録することを特徴とする付記1乃至4のいずれかの付記に記載の見守り装置。
(付記6)
前記表示制御部は、
既に登録されている他の撮影画像から、前記パラメータに基づいて表示すると判定された前記撮影画像と類似する撮影画像を抽出し、該抽出した撮影画像に含まれる複数フレームの撮影画像から抽出したフレームを、更に表示させることを特徴とする付記1に記載の見守り装置。
(付記7)
前記表示制御部は、
前記パラメータに基づいて表示すると判定された前記撮影画像に含まれる複数フレームの撮影画像から抽出したフレームを表示させることを特徴とする付記1乃至6のいずれかの付記に記載の見守り装置。
(付記8)
前記変更部は、前記撮影画像を表示することで前記補助者が前記対象者を補助した場合、該撮影画像のパラメータを変更することを特徴とする付記3に記載の見守り装置。
(付記9)
前記変更部は、前記類似度が所定の閾値以上であった場合、該所定の閾値以上の類似度が算出された前記他の撮影画像に対応付けられているパラメータを変更することを特徴とする付記3に記載の見守り装置。
(付記10)
前記登録部は、前記変更部による前記パラメータの変更に応じて、該パラメータと関連付けられたカウンタ値を変動させることを特徴とする付記3に記載の見守り装置。
(付記11)
前記登録部は、前記カウンタ値の変動に応じて、該カウンタ値に関連付けられた撮影画像、特徴量及びパラメータを、削除することを特徴とする付記10に記載の見守り装置。
(付記12)
前記登録部は、前記変更部による前記パラメータの変更が一定時間行われなかった場合に、前記パラメータを変動させ、前記パラメータの変動に応じて、前記パラメータに関連付けられた撮影画像、特徴量及びパラメータを削除することを特徴とする付記3に記載の見守り装置。
(付記13)
対象者を撮影することで得られた撮影画像から、該対象者の動作を示す特徴量を算出し、
算出された前記特徴量を、前記対象者について既に登録されている他の撮影画像から算出された特徴量との類似度に応じたパラメータと対応付けて、前記対象者ごとにデータベースに登録し、
前記パラメータに基づいて前記撮影画像を表示するか否かを判定し、表示すると判定した場合に、前記撮影画像を表示させる、
処理を、コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
(付記14)
コンピュータによる表示方法であって、該コンピュータが、
対象者を撮影することで得られた撮影画像から、該対象者の動作を示す特徴量を算出し、
算出された前記特徴量を、前記対象者について既に登録されている他の撮影画像から算出された特徴量との類似度に応じたパラメータと対応付けて、前記対象者ごとにデータベースに登録し、
前記パラメータに基づいて前記撮影画像を表示するか否かを判定し、表示すると判定した場合に、前記撮影画像を表示させる、
ことを特徴とする表示方法。
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。