以下に、図面を参照して、本発明にかかる証憑確認制御プログラム、証憑確認制御方法、および証憑確認制御装置の実施の形態を詳細に説明する。
税務調査においては、税務調査における監査対象になる企業を選択し、税務調査における監査対象になる企業の帳簿情報と、領収書や請求書などの証憑とについて照合作業を行って、税務調査における監査対象になる企業の申告内容の正当性を確認する。
例えば、税務調査における監査対象になるA社の税務調査において、A社の帳簿情報と、A社が管理するB社発行の領収書とについて照合を行うことがある。また、税務調査における監査対象になるA社の税務調査において、さらに、A社の帳簿情報と、A社が管理するB社発行の領収書とに加えて、B社の帳簿情報と、B社が管理するA社向けの請求書とについて照合作業を行うこともある。以下の説明では、税務調査における監査対象になる企業を、「対象企業」と表記する場合がある。
しかしながら、対象企業の税務調査において、税務調査の作業者は、対象企業を訪問して、対象企業が管理する証憑を提出させ、または対象企業が管理する証憑を税務署に留置きして、対象企業の帳簿情報と、対象企業が管理する証憑とについて照合作業を行うことになる。また、作業者は、対象企業が管理する証憑が、架空の企業との取引に関する証憑ではなく、実在する企業との取引に関する証憑であるかを確認する確認作業を行うことにもなる。このため、証憑の数が膨大になるほど、作業者にかかる負担が増大してしまう。
また、実際には企業の申告内容に不備や不正がない場合であっても、当該企業を税務調査の対象企業として選択してしまう場合がある。この場合に、対象企業の申告内容に不備や不正がないにも関わらず、対象企業を訪問して、対象企業の会計帳簿、領収書や請求書などの証憑について照合作業を行うことになってしまう。このため、税務調査を行わなくてもよい企業に対しても会計帳簿、明細書や請求書などの証憑についての照合作業を行ってしまうことがあり、作業者にかかる負担が増大してしまう。
さらに、食料品といった生活必需品に対する軽減税率の実施により複数税率が適用されると、膨大な領収書や請求書の品目ごとに、当該品目にかかる税率を考慮して照合作業を行うことになり、作業者にかかる負担が増大してしまう。そこで、本実施の形態では、帳簿情報と、明細書や請求書などの証憑とについての照合作業にかかる負荷を低減することができる証憑確認制御方法について説明する。
(証憑確認制御方法の一例)
図1は、証憑確認制御方法の一例を示す説明図である。図1において、証憑確認制御装置100は、実施の形態にかかる証憑確認制御プログラムを実行し、証憑確認制御方法を実現するコンピュータである。以下の説明では、証憑確認制御装置100を「制御装置100」と表記する場合がある。
(1)制御装置100は、仕訳日記帳DB(Data Base)110を有する。仕訳日記帳DB110は、複数の企業のそれぞれの企業の帳簿情報を記憶する。企業とは、私企業や公企業である。帳簿情報とは、企業の取引情報を含む情報である。取引情報とは、企業が管理する証憑に記載された取引内容を含む情報である。証憑とは、企業や官公庁が発行した領収書や請求書などである。取引内容とは、例えば、取引が行われた商品の品目、取引が行われた商品の金額、取引が行われた日付などである。取引とは、企業間での売買である。
制御装置100は、例えば、複数の企業のそれぞれの企業から、当該企業の帳簿情報や当該企業が管理する証憑のイメージデータなどを受信して、仕訳日記帳DB110を作成し記憶する。また、税務調査の作業者となる、制御装置100のユーザは、複数の企業のそれぞれの企業から証憑の原本を収集して、仕訳日記帳DB110を作成して、制御装置100に入力してもよい。また、税務調査の作業者とは異なる、制御装置100の管理者が、複数の企業のそれぞれの企業から証憑の原本を収集して、仕訳日記帳DB110を作成して、制御装置100に入力しておいてもよい。仕訳日記帳DB110のデータ構造の一例は、図4に後述する。
(2)制御装置100は、帳簿情報に含まれる取引情報が示す取引内容の整合性の確認を行う調査対象の企業として特定の企業を選択する。制御装置100は、自動で特定の企業を選択してもよいし、ユーザからの操作入力に基づいて特定の企業を選択してもよい。
制御装置100は、仕訳日記帳DB110に基づいて、特定の企業が管理する特定の証憑に記載された取引内容を取得する。特定の企業が管理する特定の証憑とは、特定の企業が他の企業と取引を行った際に、他の企業が発行し、特定の企業が受領し、特定の企業が管理する領収書である。特定の企業が管理する特定の証憑とは、特定の企業が他の企業と取引を行った際に、特定の企業が発行し、特定の企業が管理する請求書であってもよい。
(3)制御装置100は、仕訳日記帳DB110に基づいて、特定の企業が管理する特定の証憑に記載された取引内容を示す取引情報に基づいて、特定の企業にとっての取引相手の企業を特定する。取引相手の企業とは、特定の企業と取引を行った企業である。取引相手の企業とは、特定の企業と取引を行った企業であって、特定の企業と取引を行った際に、特定の企業が受領し特定の企業が管理する特定の領収書を発行した他の企業である。取引相手の企業とは、特定の企業と取引を行った企業であって、特定の企業と取引を行った際に、特定の企業が発行し特定の企業が管理する請求書に対応する領収書を受領した企業である。
(4)制御装置100は、仕訳日記帳DB110に基づいて、取引相手の企業の帳簿情報のいずれかの取引情報が示す、いずれかの証憑に記載された取引内容と、特定の証憑に記載された取引内容とが一致するか否かを判定する。制御装置100は、特定の証憑に対応付けて、一致するか否かの判定結果を記憶する。制御装置100は、一致しないと判定した場合には、特定の証憑についての確認指示を出力する。また、制御装置100は、一致しないと判定した場合には、特定の証憑が示す取引内容と比較された取引内容が記載された、取引相手の企業が管理するいずれかの証憑について確認指示を出力してもよい。また、制御装置100は、特定の証憑と、特定の証憑が示す取引内容と比較された取引内容が記載された、取引相手の企業が管理するいずれかの証憑との組み合わせについて確認指示を出力してもよい。
これにより、制御装置100は、ある企業が管理する特定の証憑と、ある企業の取引相手の企業が管理する他の証憑とのそれぞれに記載された取引内容に矛盾があるか否かを判定することができる。制御装置100は、例えば、ある企業が管理する特定の領収書と、取引相手の企業が管理する請求書とのそれぞれに記載された取引内容に矛盾があるか否かを判定することができる。また、制御装置100は、ある企業が管理する特定の請求書と、取引相手の企業が管理する特定の領収書とのそれぞれに記載された取引内容に矛盾があるか否かを判定してもよい。
また、制御装置100は、ある企業が管理する特定の領収書と、取引相手の企業が管理する特定の領収書の複製とのそれぞれに記載された取引内容に矛盾があるか否かを判定してもよい。また、制御装置100は、ある企業が管理する特定の請求書と、取引相手の企業が管理する特定の請求書の複製とのそれぞれに記載された取引内容に矛盾があるか否かを判定してもよい。そして、制御装置100は、矛盾がある場合に、特定の証憑についての確認指示をユーザに通知することができる。したがって、ユーザは、特定の証憑についての確認指示を通知された場合には、特定の証憑を管理する企業を申告内容に不備や不正がある企業の候補であると把握することができる。
このため、ユーザは、複数の企業の中から、監査対象の企業を選択しやすくなり、申告内容に不備や不正がある可能性が低い企業を監査対象の企業として選択しないようにすることができる。また、ユーザは、監査対象の企業を選択した後、監査対象の企業が管理する膨大な数の証憑について照合作業を行わなくてもよく、確認指示が通知された特定の証憑について照合作業を行うことにより、監査対象の企業の申告内容の正当性を確認することができる。
したがって、ユーザは、監査対象の企業を効率よく選択することができ、選択した監査対象の企業の申告内容の正当性を効率よく確認することができる。そして、ユーザは、申告内容に不備や不正がある企業を効率よく発見することができる。
図1の例では、制御装置100が、特定の証憑に記載された取引内容と、取引相手の企業の帳簿情報のいずれかの取引情報が示す取引内容とが一致するか否かに基づいて、ユーザの照合作業にかかる負荷を低減する場合について説明したが、これに限らない。
例えば、制御装置100は、一致しないと判定した後に、調査対象の企業の売上金額と、調査対象の企業の推定売上金額とを比較することにより、ユーザによる監査対象の企業の選択を支援し、ユーザの照合作業にかかる負荷を低減してもよい。
(システム200の一例)
次に、図2を用いて、図1に示した制御装置100を適用した、システム200の一例について説明する。
図2は、システム200の一例を示す説明図である。図2において、システム200は、情報処理装置201と、情報蓄積装置202と、クライアント装置203−1〜203−nと、を含む(nは、2以上の自然数)。以下の説明では、クライアント装置203−1〜203−nを、「クライアント装置203」と表記する場合がある。
システム200において、情報処理装置201と、情報蓄積装置202と、クライアント装置203とは、有線または無線のネットワーク210を介して接続される。ネットワーク210は、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネットなどである。
情報処理装置201は、図1に示した制御装置100として動作するコンピュータである。情報処理装置201は、例えば、図4に後述する仕訳日記帳DB400、図5に後述する原価率テーブル500などの各種テーブルを有する。情報処理装置201は、例えば、サーバ、PC(Personal Computer)などである。
情報蓄積装置202は、企業の名称や住所に、当該企業の識別番号を対応付けた企業情報を、情報処理装置201に送信するコンピュータである。情報蓄積装置202は、例えば、サーバ、PC、ノートPC、タブレット型PC、スマートフォンなどである。情報蓄積装置200は、具体的には、国税庁などの監督機関が所有するサーバである。
クライアント装置203は、情報処理装置201に処理依頼を送信し、情報処理装置201から処理結果を受信するコンピュータである。クライアント装置203は、例えば、PC、ノートPC、タブレット型PC、スマートフォンなどである。クライアント装置203は、具体的には、国税庁などの監督機関が所有するPCである。クライアント装置203は、税理士事務所が所有するPCであってもよい。クライアント装置203は、納税者が所有するPCであってもよい。
(システム200の具体例)
システム200は、具体的には、情報処理装置201と、情報蓄積装置202と、納税者が所有するクライアント装置203と、国税庁などの監督機関が所有するクライアント装置203とを含む。この場合、情報処理装置201は、具体的には、納税者が所有するクライアント装置203から、納税者の企業の帳簿情報、および証憑のイメージデータを取得し、図4に後述する仕訳日記帳DB400を更新することができる。
また、情報処理装置201は、具体的には、情報蓄積装置202と通信して企業情報を取得し、証憑のイメージデータに基づいて当該証憑が実在する企業との取引に関する証憑であるか否かを判定することができる。また、情報処理装置201は、具体的には、国税庁などの監督機関が所有するクライアント装置203から各種処理の実行要求を受け付け、国税庁などの監督機関が所有するクライアント装置203に各種処理の実行結果を出力することができる。
そして、情報処理装置201は、図4に後述する仕訳日記帳DB400に基づいて、特定の企業が管理する特定の証憑に記載された取引内容と、他の企業が管理する他の証憑に記載された取引内容とを比較することができる。これにより、情報処理装置201は、特定の証憑についての確認指示をユーザに通知することができる。
(情報処理装置201のハードウェア)
次に、図3を用いて、図2に示した情報処理装置201のハードウェアの一例について説明する。
図3は、情報処理装置201のハードウェアの一例を示すブロック図である。図3において、情報処理装置201は、CPU(Central Processing Unit)301と、ROM(Read Only Memory)302と、RAM(Random Access Memory)303と、を有する。
また、情報処理装置201は、さらに、ディスクドライブ304と、ディスク305と、インターフェース(I/F:Interface)306と、入力装置307と、出力装置308とを有する。また、各構成部はバス300によってそれぞれ接続されている。
ここで、CPU301は、情報処理装置201の全体の制御を司る。ROM302は、ブートプログラム、実施の形態にかかる証憑確認制御プログラムなどの各種プログラムを記憶する。RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される。また、RAM303は、各種プログラムの実行により得られたデータなどの各種データを記憶する。
ディスクドライブ304は、CPU301の制御にしたがってディスク305に対するデータのリード/ライトを制御する。ディスク305は、ディスクドライブ304の制御で書き込まれたデータを記憶する。ディスク305は、例えば、磁気ディスク、または光ディスクなどである。ROM302と、RAM303と、ディスク305とのいずれかは、図4に後述する仕訳日記帳DB400と、図5に後述する原価率テーブル500とを記憶する。
I/F306は、通信回線を通じてネットワーク210に接続され、ネットワーク210を介して他の装置に接続される。そして、I/F306は、ネットワーク210と内部のインターフェースを司り、外部装置からのデータの入出力を制御する。I/F306には、例えば、モデムやLANアダプタなどを採用することができる。
入力装置307は、キーボード、タッチパネルなどユーザの操作により、各種データの入力を行うインターフェースである。入力装置307は、マウス、スキャナなどであってもよい。出力装置308は、CPU301の指示により、データを出力するインターフェースである。出力装置308は、例えば、カーソル、アイコンあるいはツールボックスをはじめ、文書、画像、機能情報などのデータを表示するディスプレイである。出力装置308は、プリンタであってもよい。
(情報蓄積装置202のハードウェア)
次に、図2に示した情報蓄積装置202のハードウェアの一例について説明する。情報蓄積装置202のハードウェアの一例は、図3に示した情報処理装置201のハードウェアの一例と同様のため、説明を省略する。
(クライアント装置203のハードウェア)
次に、図2に示したクライアント装置203のハードウェアの一例について説明する。クライアント装置203のハードウェアの一例は、図3に示した情報処理装置201のハードウェアの一例と同様のため、説明を省略する。
(仕訳日記帳DB400の記憶内容)
次に、図4を用いて、仕訳日記帳DB400の記憶内容の一例について説明する。仕訳日記帳DB400は、例えば、図3に示したROM302、RAM303、ディスク305などの記憶領域によって実現される。
図4は、仕訳日記帳DB400の記憶内容の一例を示す説明図である。図4に示すように、仕訳日記帳DB400は、企業名項目に対応付けて、日付項目と、伝票番号項目と、借方科目名項目と、借方金額項目と、貸方科目名項目と、貸方金額項目と、摘要項目と、取引相手項目と、保管場所項目と、格納場所項目とを有する。仕訳日記帳DB400は、証憑ごとに各項目に情報が設定されることにより、レコードを記憶する。
企業名項目には、企業の識別情報が記憶される。日付項目には、取引を行った日付が記憶される。伝票番号項目には、日付項目に設定された日付に行われた取引の取引内容が記載された証憑の識別情報が記憶される。証憑の識別情報は、例えば、証憑に割り振られた伝票番号である。
借方科目名項目には、日付項目に設定された日付に行われた取引の取引内容として、借方科目の名称が記憶される。借方科目名は、資産の増加、負債の減少、資本の減少、費用の発生などの内容を示す名称である。借方科目名は、例えば、現金、材料費、雑費、消耗品費、福利厚生費、旅費交通費などである。借方金額項目には、日付項目に設定された日付に行われた取引の取引内容として、借方科目に応じた金額が記憶される。
貸方科目名項目には、日付項目に設定された日付に行われた取引の取引内容として、貸方科目の名称が記憶される。貸方科目名は、資産の減少、負債の増加、資本の増加、収益の発生などの内容を示す名称である。貸方科目名は、現金、商品などである。貸方金額項目には、日付項目に設定された日付に行われた取引の取引内容として、貸方科目に応じた金額が記憶される。摘要項目には、日付項目に設定された日付に行われた取引の取引内容として、取引の摘要が記憶される。
取引相手項目には、日付項目に設定された日付に行われた取引における取引相手の企業の識別情報が記憶される。取引相手の企業の識別情報は、例えば、取引相手の企業の名称である。取引相手の企業の識別情報は、例えば、取引相手の企業に割り振られた法人番号であってもよい。保管場所項目には、日付項目に設定された日付に行われた取引の取引内容が記載された証憑の原本が保管された場所が記憶される。格納場所項目には、日付項目に設定された日付に行われた取引の取引内容が記載された証憑のイメージデータが格納された記憶領域のアドレスが記憶される。
(原価率テーブル500の記憶内容)
次に、図5を用いて、原価率テーブル500の記憶内容の一例について説明する。原価率テーブル500は、例えば、図3に示したROM302、RAM303、ディスク305などの記憶領域によって実現される。
図5は、原価率テーブル500の記憶内容の一例を示す説明図である。図5に示すように、原価率テーブル500は、業種項目に対応付けて、原価率項目を有し、業種ごとに各項目に情報が設定されることにより、レコードを記憶する。業種項目には、業種の識別情報が記憶される。業種の識別情報は、例えば、業種の名称である。原価率項目には、業種項目に設定された業種における原価率の平均値が記憶される。
(制御装置100の機能的構成例)
次に、図6を用いて、制御装置100の機能的構成例について説明する。ここでは、情報処理装置201が、制御装置100として動作する場合について説明する。
図6は、制御装置100の機能的構成例を示すブロック図である。制御装置100は、制御部となる機能として、記憶部601と、特定部602と、判定部603と、抽出部604と、出力部605と、を含む。
記憶部601は、企業が管理する証憑に記載された取引内容を含む帳簿情報を記憶する。企業とは、私企業や公企業である。企業とは、納税者になる法人に限らず、納税者になる者であってもよい。企業とは、例えば、個人企業を経営する個人事業主であってもよい。記憶部601は、例えば、企業が管理する領収書に記載された取引内容を含む帳簿情報を記憶する。記憶部601は、例えば、企業が管理する請求書に記載された取引内容を含む帳簿情報を記憶する。
記憶部601は、具体的には、仕訳日記帳DB400を記憶する。記憶部601は、より具体的には、制御装置100が、納税者が所有するクライアント装置203から受信した帳簿情報や証憑のイメージデータに基づいて作成した仕訳日記帳DB400を記憶する。また、記憶部601は、制御装置100が、ユーザの操作入力に基づいて作成した仕訳日記帳DB400を記憶する。ユーザは、制御装置100を直接操作する者であってもよいし、制御装置100とオンラインで接続した他の装置を介して間接的に制御装置100を操作する者であってもよい。これにより、記憶部601は、納税者の企業の帳簿情報を蓄積することができる。
記憶部601は、実在する企業の識別情報に、当該企業の名称、または当該企業の住所を対応付けて記憶する。記憶部601は、例えば、制御装置100が情報蓄積装置202から受信した企業情報を記憶する。これにより、記憶部601は、企業の実在性を判定するための情報を蓄積することができる。
特定部602は、特定の企業が管理する特定の証憑に取引内容が記載された取引に関する他の証憑を管理する企業を特定する。特定の企業とは、調査対象の企業である。また、特定部602は、特定の企業が管理する複数の証憑のそれぞれについて、当該証憑に取引内容が記載された取引に関する他の証憑を管理する企業を特定してもよい。
特定部602は、例えば、特定の証憑を検出し、検出した特定の証憑に取引内容が記載された取引に関する他の証憑を管理する企業を特定する。特定部602は、具体的には、特定の企業が管理する証憑のうち、所定の条件を満たす特定の証憑を検出し、検出した特定の証憑に取引内容が記載された取引に関する他の証憑を管理する企業を特定する。所定の条件は、例えば、借方科目が「福利厚生費」であって、定常的に発行されている領収書であるという条件である。また、特定部602は、ユーザからの操作入力に基づいて、特定の証憑を検出し、検出した特定の証憑に取引内容が記載された取引に関する他の証憑を管理する企業を特定してもよい。
特定部602は、具体的には、特定の領収書が検出されると、特定の領収書に取引内容が記載された取引に関する請求書を管理する企業を特定する。特定部602は、具体的には、特定の請求書が検出されると、特定の請求書に取引内容が記載された取引に関する領収書を管理する企業を特定する。
特定部602は、具体的には、特定の領収書の複製が検出されると、特定の領収書の複製に取引内容が記載された取引に関する領収書を管理する企業を特定する。特定部602は、具体的には、特定の請求書が検出されると、特定の請求書に取引内容が記載された取引に関する請求書の複製を管理する企業を特定する。
特定部602は、より具体的には、仕訳日記帳DB400に含まれる特定の企業の帳簿情報から、借方科目が「福利厚生費」であって、定常的に発行されている特定の領収書についての取引情報を検出する。次に、特定部602は、特定の領収書についての取引情報に基づいて、特定の領収書を発行した、特定の企業にとっての取引相手の企業を特定する。これにより、特定部602は、特定の証憑と比較する他の証憑を管理する企業を特定することができる。
特定されたデータは、例えば、RAM303、ディスク305などの記憶領域に記憶される。特定部602は、例えば、図3に示したROM302、RAM303、ディスク305などの記憶装置に記憶されたプログラムをCPU301に実行させることにより、または、I/F306により、その機能を実現する。
判定部603は、記憶部601を参照して、特定した前記企業が実在する企業であるか否かを判定する。判定部603は、例えば、特定の領収書に記載された取引相手の名称、住所などが、情報蓄積装置202から受信した企業情報に含まれるか否かを判定する。
判定部603は、記憶部601を参照して、特定した企業の帳簿情報に含まれる取引内容と、特定の証憑に記載された取引内容とが一致するか否かを判定する。判定部603は、記憶部601を参照して、複数の証憑のそれぞれについて特定した企業の帳簿情報に含まれる取引内容と、複数の証憑のそれぞれに記載された取引内容とが一致するか否かを判定してもよい。
判定部603は、例えば、仕訳日記帳DB400から、特定部602が特定した取引相手の企業の帳簿情報を取得する。次に、判定部603は、特定の証憑に記載された取引内容と一致するものが、取得した取引相手の企業の帳簿情報に含まれる複数の取引情報が示す複数の取引内容に含まれるか否かを判定する。取引内容は、例えば、取引を行った日付と、取引を行った商品の種別および金額とを含む。
判定部603は、具体的には、特定部602が特定した取引相手の企業の帳簿情報を取得する。次に、判定部603は、取得した取引情報が示す特定の領収書に記載された取引内容との間で、日付と商品の種別および金額とが一致するものが、取得した取引相手の企業の帳簿情報に含まれる複数の取引情報が示す複数の取引内容に含まれるか否かを判定する。これにより、判定部603は、特定の証憑について整合性を確認することができる。
また、判定部603は、一致すると判定した場合には特定の証憑について確認することができたと判断して、特定の証憑に対応付けて判断結果を記憶する。これにより、判定部603は、特定の証憑について一致するか否かの判定結果を記憶することができ、ユーザに判定結果を通知することによりユーザに特定の証憑についての判定結果を把握させることができる。
判定結果は、例えば、RAM303、ディスク305などの記憶領域に記憶される。判定部603は、例えば、図3に示したROM302、RAM303、ディスク305などの記憶装置に記憶されたプログラムをCPU301に実行させることにより、または、I/F306により、その機能を実現する。
抽出部604は、記憶部601に、特定した企業の帳簿情報が記憶されていない場合には、特定した企業を帳簿情報の確認取得対象の企業として抽出する。確認取得対象は、特定の証憑について確認するために帳簿情報を取得すべき対象である。抽出部604は、例えば、仕訳日記帳DB400に、特定部602が特定した取引相手の企業の帳簿情報が含まれていない場合には、取引相手の企業を帳簿情報の確認取得対象の企業として抽出する。
また、抽出部604は、ある企業が管理する複数の証憑のうち、一致しないと判定した証憑の数が所定数以上である場合に、当該企業を監査対象の企業として抽出する。所定数は、1であってもよいし、2以上であってもよい。抽出部604は、例えば、特定の企業が管理する複数の証憑のうち、一致しないと判定した証憑の数が所定数以上である場合に、特定の企業を監査対象の企業として抽出する。抽出部604は、具体的には、特定の企業が管理する複数の領収書のうち、他の企業の請求書と比べて取引内容が一致しないと判定した領収書の数が所定数以上である場合に、特定の企業を監査対象の企業として抽出する。
抽出部604は、複数の証憑のうち、一致しないと判定した証憑に取引内容が記載された取引に関する他の証憑を管理する企業の数が所定数以上である場合に、特定の企業を監査対象の企業として抽出してもよい。抽出部604は、例えば、特定の企業が管理する複数の領収書のそれぞれと比べて取引内容が一致しないと判定した請求書を管理する企業の数が所定数以上である場合に、特定の企業を監査対象の企業として抽出する。
また、抽出部604は、特定の企業の売上金額を取得する。次に、抽出部604は、特定の企業の帳簿情報に含まれる、仕入れ取引に関する証憑に記載された取引内容と、特定の企業に対応する原価率とに基づいて、特定の企業の推定売上金額を算出する。そして、抽出部604は、取得した売上金額と、算出した推定売上金額とに基づいて、特定の企業を監査対象の企業として抽出する。
抽出部604は、例えば、複数の証憑のうち、一致しないと判定した証憑の数が所定数以上である場合に、特定の企業の帳簿情報に含まれる売上金額を取得する。次に、抽出部604は、特定の企業の帳簿情報に含まれる、貸方科目が「材料費」である複数の取引情報を抽出し、抽出した複数の取引情報のそれぞれの取引情報の貸方金額を合計して、合計材料費を算出する。そして、抽出部604は、合計材料費と原価率とに基づいて、推定売上金額を算出する。次に、抽出部604は、取得した売上金額と、算出した推定売上金額との誤差率が閾値未満でなければ、売上金額に不備や不正がある企業の候補であるため、監査対象の企業として抽出する。
また、抽出部604は、記憶部601に記憶された、特定の企業と取引を行った他の企業の帳簿情報に含まれる、仕入れ取引に関する証憑に記載された取引内容に基づいて、特定の企業の第2推定売上金額を算出する。抽出部604は、監査対象の企業を抽出する処理は、取得した売上金額と、第2推定売上金額とに基づいて、特定の企業を監査対象の企業として抽出する。
抽出部604は、例えば、特定の企業の取引相手の企業を、反面調査対象の企業として選択する。反面調査は、特定の企業の帳簿情報に不備や不正がないか確認するために、特定の企業の取引相手の企業の帳簿情報を調査することである。次に、抽出部604は、反面調査対象の企業の帳簿情報に含まれる、取引相手が特定の企業であって貸方科目が「商品」である複数の取引情報を抽出し、抽出した複数の取引情報のそれぞれの取引情報の貸方金額を合計して、合計材料費を算出する。
そして、抽出部604は、合計材料費と原価率とに基づいて、第2推定売上金額を算出する。次に、抽出部604は、取得した売上金額と、算出した第2推定売上金額との誤差率が閾値未満でなければ、売上金額に不備や不正がある企業の候補であるため、監査対象の企業として抽出する。
また、抽出部604は、複数の証憑のうち、一致しないと判定した証憑の数と、取得した売上金額と、算出した推定売上金額と、算出した第2推定売上金額とに基づいて、特定の企業を監査対象の企業として抽出してもよい。これにより、抽出部604は、申告内容に不備や不正がある企業の候補を、監査対象の企業として抽出することができる。
抽出結果は、例えば、RAM303、ディスク305などの記憶領域に記憶される。抽出部604は、例えば、図3に示したROM302、RAM303、ディスク305などの記憶装置に記憶されたプログラムをCPU301に実行させることにより、または、I/F306により、その機能を実現する。
出力部605は、実在する企業ではないと判定した場合には特定の証憑についての確認指示を出力する。出力部605は、例えば、特定の証憑についての確認指示を、ディスプレイへ表示し、プリンタへ印刷出力し、I/F306により外部装置へ送信し、または、RAM303、ディスク305などの記憶領域に記憶する。これにより、出力部605は、特定の証憑が、架空の取引相手との取引内容を記載した証憑である可能性が高いとして、ユーザに通知することができる。
出力部605は、帳簿情報の確認取得対象の企業として抽出した企業の情報を出力する。出力部605は、例えば、帳簿情報の確認取得対象の企業として抽出した企業の情報を、ディスプレイへ表示し、プリンタへ印刷出力し、I/F306により外部装置へ送信し、または、RAM303、ディスク305などの記憶領域に記憶する。これにより、出力部605は、帳簿情報を取得すべき企業を、ユーザに通知することができる。
出力部605は、一致しないと判定した場合には特定の証憑についての確認指示を出力する。出力部605は、例えば、特定の証憑についての確認指示を、ディスプレイへ表示し、プリンタへ印刷出力し、I/F306により外部装置へ送信し、または、RAM303、ディスク305などの記憶領域に記憶する。これにより、出力部605は、照合作業を行うべき特定の証憑を、ユーザに通知することができる。
出力部605は、監査対象の企業として抽出した企業の情報を出力する。出力部605は、例えば、監査対象の企業として抽出した企業の情報を、ディスプレイへ表示し、プリンタへ印刷出力し、I/F306により外部装置へ送信し、または、RAM303、ディスク305などの記憶領域に記憶する。これにより、出力部605は、申告内容に不備や不正がある企業の候補を、監査対象の企業として、ユーザに通知することができる。
次に、図7を用いて、証憑の記載内容の一例について説明し、制御装置100が証憑に記載された取引内容を仕訳日記帳DB400に記憶する一例について説明する。
(証憑700の記載内容の一例)
図7は、証憑700の記載内容の一例を示す説明図である。図7に示すように、証憑700は、ある企業が管理する証憑である。証憑700は、ある企業が管理する領収書、請求書、領収書の複製、請求書の複製、領収書兼請求書などである。証憑700は、証憑700を発行した企業の名称701を含む。証憑700は、例えば、企業の名称「企業XYZ」を含む。
また、証憑700は、商品ごとに、商品の名称702と、当該商品の金額703と、当該商品の個数704と、当該商品に課される税率705と、当該商品の税込み金額706とを含む。証憑700は、例えば、商品の名称「標準米 5kg」と、当該商品の金額「1,500円」と、当該商品の個数「1」と、当該商品に課される税率「5%」と、当該商品の税込み金額「1,575円」とを含む。
また、証憑700は、合計金額707と、税率ごとの消費税分の金額708,709と、消費税分の合計金額710とを含む。証憑700は、例えば、合計金額「2,675円」と、5%の税率に対応する消費税分の金額「75円」と、10%の税率に対応する消費税分の金額「100円」と、消費税分の合計金額「175円」とを含む。
また、証憑700は、取引が行われた日付711を含む。証憑700は、例えば、取引が行われた日付「2015年10月1日(木)12:06」を含む。また、証憑700は、法人番号712と、課税番号713とを含む。証憑700は、例えば、法人番号「1234567890123」と、課税番号「12345678123」とを含む。
制御装置100は、証憑700に記載された取引内容を示す取引情報を作成し、仕訳日記帳DB400に追加する。制御装置100は、例えば、証憑700のイメージデータを受け付け、当該証憑700のイメージデータを記憶装置に格納する。
次に、制御装置100は、証憑700に伝票番号を割り当てる。そして、制御装置100は、証憑700のイメージデータに対して文字認識を行い、証憑700に記載された、日付と、取引相手と、借方科目名と、借方金額と、貸方科目名と、貸方金額と、摘要とを取得する。
制御装置100は、例えば、企業情報と証憑700に記載された企業の名称701に基づいて、情報蓄積装置202と通信して取引相手の企業情報を取得する。制御装置100は、取引相手の企業情報が存在しない場合には、取引相手が実在しない証憑700であると判定して、証憑700についての確認指示を出力してもよい。
また、制御装置100は、証憑700のイメージデータを表示することにより、ユーザからの証憑700についての取引内容の入力を受け付けて、日付と、取引相手と、借方科目名と、借方金額と、貸方科目名と、貸方金額と、摘要とを取得してもよい。
次に、制御装置100は、取引情報として、証憑700を管理する企業と、日付と、伝票番号と、借方科目名と、借方金額と、貸方科目名と、貸方金額と、摘要と、取引相手と、保管場所と、格納場所とを対応付けたレコードを作成する。このとき、制御装置100は、商品の品目ごとに、レコードを作成する。
また、制御装置100は、ユーザの操作入力を受け付けて、作成したレコードを修正してもよい。そして、制御装置100は、作成したレコードを仕訳日記帳DB400に追加する。これにより、制御装置100は、仕訳日記帳DB400を作成することができる。また、制御装置100は、商品の品目ごとにレコードを作成するため、軽減税率が実施されても適用することができる。
次に、図8〜図12を用いて、仕訳日記帳DB400に記憶された帳簿情報の一例について説明し、制御装置100が仕訳日記帳DB400に記憶された帳簿情報に基づいて監査対象の企業を抽出する一例について説明する。
(仕訳日記帳DB400に記憶された帳簿情報の一例)
図8および図9は、仕訳日記帳DB400に記憶された帳簿情報の一例を示す説明図である。図8に示すように、「H珈琲店」の帳簿情報は、取引情報801や取引情報802などを含む。取引情報801は、日付「2006/01/13」と、借方科目名「材料費」と、借方金額「30000」と、貸方科目名「現金」と、貸方金額「30000」と、摘要「珈琲豆」と、取引先名「A珈琲業者」および取引先の法人番号「1237894560105」とを対応付けた情報である。
取引情報802は、日付「2006/01/14」と、借方科目名「福利厚生費」と、借方金額「30000」と、貸方科目名「現金」と、貸方金額「30000」と、摘要「珈琲豆」と、取引先名「A珈琲業者」および取引先の法人番号「1237894560105」とを対応付けた情報である。
図9に示すように、「A珈琲業者」の帳簿情報は、取引情報901などを含む。取引情報901は、日付「2006/01/14」と、借方科目名「現金」と、借方金額「60000」と、貸方科目名「商品」と、貸方金額「60000」と、摘要「キリマンジャロ、ブルーマウンテン」と、取引先名「H珈琲店」とを対応付けた情報である。
このように、「H珈琲店」の帳簿情報に含まれる取引情報が示す取引内容に対応するものが、「A珈琲業者」の帳簿情報に含まれる取引情報が示す取引内容の中に含まれない場合がある。この場合を例に挙げて、制御装置100が監査対象の企業を抽出する一例について説明する。
(帳簿情報の比較処理の一例)
図10〜図12は、帳簿情報の比較処理の一例を示す説明図である。図10において、制御装置100は、調査対象の企業「H珈琲店」を特定する。(11)制御装置100は、「H珈琲店」の帳簿情報から、取引相手「A珈琲業者」を含む複数の取引情報を抽出する。
(12)制御装置100は、抽出した複数の取引情報のそれぞれの取引情報の借方科目に基づいて、常習性のある取引情報を特定する。制御装置100は、例えば、常習的に福利厚生費として発行された複数の証憑のそれぞれの証憑について取引情報のいずれかの取引情報を特定する。
(13)制御装置100は、「A珈琲業者」の取引相手「H珈琲店」を含む複数の取引情報を抽出する。
(14)制御装置100は、抽出した取引情報が示す取引内容の中に、特定した取引情報が示す取引内容と一致するものが含まれるか否かを判定する。ここで、制御装置100は、一致するものが含まれないため、特定した取引情報が記載された証憑700を、確認対象の証憑700として決定する。
これにより、ユーザは、正当性を確認すべき証憑700を把握することができる。また、制御装置100は、商品の品目ごとにレコードを有するため、通常税率の品目に加え軽減税率が適用されている取引内容についても比較することができる。また、取引先のレコードには法人番号も有するため、取引先名称が部分的に異なっていても取引先を特定することができる。次に、図11の説明に移行する。
図11において、(15)制御装置100は、「H珈琲店」の帳簿情報から、貸方科目が「売上」である複数の取引情報を抽出する。制御装置100は、抽出した複数の取引情報のそれぞれの取引情報の貸方金額を合計して、「H珈琲店」の売上金額「5,080,000円」を算出する。
(16)制御装置100は、「H珈琲店」の帳簿情報から、借方科目が「材料費」である複数の取引情報を抽出する。材料費は、珈琲豆、おしぼり、シュガー、フレッシュなどの費用である。制御装置100は、抽出した複数の取引情報のそれぞれの取引情報の借方金額を合計して、「H珈琲店」の合計材料費「528,000円」を算出する。
制御装置100は、原価率テーブル500に記憶された「H珈琲店」の業種の原価率「10%」と、算出した合計材料費「528,000円」とに基づいて、「H珈琲店」の推定売上金額「528,000×100/10=5,280,000」を算出する。
(17)制御装置100は、算出した「H珈琲店」の売上金額「5,080,000円」と、算出した「H珈琲店」の推定売上金額「5,280,000円」との誤差率「100−(5,080,000/5,280,000×100)=4」を算出する。制御装置100は、誤差率が閾値「35」未満であるか否かを判定する。
ここで、制御装置100は、誤差率が閾値以上であれば、売上金額に不備や不正がある企業の候補であるため、「H珈琲店」を監査対象として決定する。制御装置100は、誤差率が閾値未満であれば、売上金額に不備や不正がないとして、「H珈琲店」を監査対象としない。
図11の例では、制御装置100は、誤差率「4」が閾値「35」未満であるため、「H珈琲店」を監査対象としない。しかしながら、「H珈琲店」の帳簿情報が、売上金額「5,080,000円」と、推定売上金額「5,280,000円」との誤差率が閾値未満になるように、細工されている場合がある。そこで、図12の説明に移行する。
図12において、(18)制御装置100は、「H珈琲店」の取引相手の「A珈琲業者」を、反面調査対象の企業として選択する。反面調査は、調査対象の企業の帳簿情報や証憑に不備や不正がないか確認するために、調査対象の企業の取引相手の企業の帳簿情報や証憑を調査することである。
制御装置100は、帳簿情報から、貸方科目が商品である複数の取引情報を抽出する。制御装置100は、抽出した複数の取引情報のそれぞれの取引情報の貸方金額を合計して、「A珈琲業者」から「H珈琲店」に納入された材料「珈琲豆」の材料費「720,000円」を算出する。制御装置100は、材料「珈琲豆」以外の材料の材料費については、「H珈琲店」の帳簿情報の、借方科目が材料費である複数の取引情報に基づいて算出する。制御装置100は、例えば、材料「珈琲豆」以外の材料の材料費「168,000」を算出する。
制御装置100は、材料「珈琲豆」の材料費と、材料「珈琲豆」以外の材料の材料費とを加算して、「H珈琲店」の合計材料費「888,000円」を算出する。制御装置100は、原価率テーブル500に記憶された「H珈琲店」の業種の原価率「10%」と、算出した合計材料費「888,000円」とに基づいて、「H珈琲店」の推定売上金額「8,880,000円」を算出する。
(19)制御装置100は、算出した「H珈琲店」の売上金額「5,080,000円」と、算出した「H珈琲店」の推定売上金額「8,880,000円」との誤差率「57」を算出する。制御装置100は、誤差率が閾値「35」未満であるか否かを判定する。
制御装置100は、「A珈琲業者」以外の「H珈琲店」の取引相手を反面調査対象の企業として選択して、図12と同様の処理を行ってもよい。これにより、制御装置100は、「H珈琲店」の帳簿情報が細工されている場合であっても、反面調査対象の企業の帳簿情報に基づいて「H珈琲店」を監査対象として決定することができる。
また、制御装置100は、証憑に記載された取引内容を示す取引データを蓄積しているため、監査対象の企業の候補を順位付けて出力することもできる。制御装置100は、例えば、複数の企業のそれぞれの企業が管理する証憑の数に対する、一致するものが含まれないと判定された証憑の数の割合が大きい順に、監査対象の企業の候補として高い順位を付けて出力する。これにより、ユーザは、監査対象の企業を選択しやすくなる。
図10〜図12の例では、制御装置100が、自動で、調査対象の企業を選択し、反面調査対象の企業を選択し、調査対象の企業の帳簿情報に不備や不正がないか確認する場合について説明したが、これに限らない。例えば、制御装置100は、ユーザからの操作入力によって、調査対象の企業の選択を受け付けて、調査対象の企業と取引関係がある企業を反面調査対象の企業として抽出してもよい。また、制御装置100は、ユーザからの操作入力によって、反面調査対象の企業の選択を受け付けてもよい。次に、図13〜図15を用いて、制御装置100が、ユーザからの操作入力を受け、画面の表示内容を遷移させつつ、監査対象の企業を抽出する場合について説明する。
(画面の表示内容の遷移の一例)
図13〜図15は、画面の表示内容の遷移の一例を示す説明図である。図13において、制御装置100は、第1のボックス1310と、第2のボックス1320と、第3のボックス1330とを含む調査対象表示画面を、表示する。第1のボックス1310は、調査対象の企業についての取引関係図を表示するためのボックスである。
第1のボックス1310は、例えば、調査対象の企業についての取引関係図として、例えば、調査対象の企業の名称を中心に表示し、反面調査対象の企業になる、調査対象の企業と取引関係にある他の企業の名称を周辺に表示するボックスである。第1のボックス1310は、さらに、表示された調査対象の企業の名称と、調査対象の企業と取引関係がある、表示された他の企業の名称とを、線で結んで表示するボックスである。
第2のボックス1320は、各種条件を設定するためのボックスである。第2のボックス1320は、例えば、取引関係図の表示対象になる、調査対象の企業を選択して設定するための選択欄を含むボックスである。また、第2のボックス1320は、取引関係図の表示対象になる企業と、表示対象になる企業の借方か貸方のいずれの取引に関する取引関係がある他の企業を、周囲に表示するかを選択して設定するための選択欄を含むボックスである。また、第2のボックス1320は、借方か貸方のいずれかについて、どの種別の取引に関する取引関係がある他の企業を、周囲に表示するかを選択して設定するための選択欄を含むボックスである。
また、第2のボックス1320は、調査対象の企業の名称と、調査対象の企業と取引関係がある他の企業の名称とを結ぶ線を、調査対象の企業と他の企業との取引関係の強さに応じた太さの線にするか否かを設定するための選択欄を含むボックスである。また、第2のボックス1320は、調査対象の企業の名称と、調査対象の企業と取引関係がある他の企業の名称とを結ぶ線を、太い線で表示するか否かを判定する、取引関係の強さの閾値を設定するための選択欄を含むボックスである。
また、第2のボックス1320は、どの期間の取引内容に基づいて取引関係図を出力するかを設定するための選択欄を含むボックスである。第3のボックス1330は、調査対象の企業の帳簿情報を表示するためのボックスである。
図13の例では、制御装置100は、取引関係図の表示対象としての調査対象の企業「H珈琲店」の設定などの各種条件の設定を受け付ける。次に、制御装置100は、各種条件に基づいて、「H珈琲店」についての反面調査対象の企業になる他の企業を抽出する。そして、制御装置100は、「H珈琲店」についての取引関係図を第1のボックス1310に表示し、「H珈琲店」の帳簿情報を第3のボックス1330に表示する。
ここで、制御装置100は、反面調査対象の企業になる、調査対象の企業と取引関係がある他の企業を抽出することができたか否かを判定する。制御装置100は、例えば、ユーザから、反面調査対象の企業を抽出することができたか否かを示す操作入力を受け付けてもよい。
制御装置100は、ユーザから、反面調査対象の企業を抽出することができていないことを示す操作入力を受け付けた場合には、各種条件の設定を受け付け直して反面調査対象の企業になる他の企業を抽出し直す。次に、ユーザから、反面調査対象の企業を抽出することができたことを示す操作入力を受け付けたとして、図14の説明に移行する。
図14において、制御装置100は、第1のボックス1410と、第2のボックス1420と、第3のボックス1430とを含む反面調査対象表示画面を、表示する。第1のボックス1410は、反面調査対象の企業についての取引関係図を表示するためのボックスである。
第1のボックス1410は、例えば、反面調査対象の企業についての取引関係図として、例えば、反面調査対象の企業の名称を中心に表示し、反面調査対象の企業と取引関係にある他の企業の名称を周辺に表示するボックスである。第1のボックス1410は、さらに、表示された反面調査対象の企業の名称と、反面調査対象の企業と取引関係がある、表示された他の企業の名称とを、線で結んで表示するボックスである。
第2のボックス1420は、各種条件を設定するためのボックスである。第2のボックス1420は、例えば、取引関係図の表示対象になる、反面調査対象の企業を選択して設定するための選択欄を含むボックスである。また、第2のボックス1420は、取引関係図の表示対象になる企業と、表示対象になる企業の借方か貸方のいずれの取引に関する取引関係がある他の企業を、周囲に表示するかを選択して設定するための選択欄を含むボックスである。また、第2のボックス1420は、借方か貸方のいずれかについて、どの種別の取引に関する取引関係がある他の企業を、周囲に表示するかを選択して設定するための選択欄を含むボックスである。
また、第2のボックス1420は、反面調査対象の企業の名称と、当該企業と取引関係がある他の企業の名称とを結ぶ線を、反面調査対象の企業と他の企業との取引関係の強さに応じた太さの線にするか否かを設定するための選択欄を含むボックスである。また、第2のボックス1420は、反面調査対象の企業の名称と、反面調査対象の企業と取引関係がある他の企業の名称とを結ぶ線を、太い線で表示するか否かを判定する、取引関係の強さの閾値を設定するための選択欄を含むボックスである。
また、第2のボックス1420は、調査対象の企業と反面調査対象の企業との取引内容のうち、どの項目について比較するかを設定するための選択欄を含むボックスである。また、第2のボックス1420は、どの期間の取引内容に基づいて取引関係図を出力するかを設定するための選択欄を含むボックスである。第3のボックス1430は、反面調査対象の企業の帳簿情報を表示するためのボックスである。
図14の例では、制御装置100は、反面調査対象の企業として「A珈琲業者」の設定などの各種条件の設定を受け付ける。次に、制御装置100は、各種条件に基づいて、「A珈琲業者」についての取引関係図を第1のボックス1410に表示し、「A珈琲業者」の帳簿情報を第3のボックス1430に表示する。
そして、制御装置100は、「H珈琲店」の帳簿情報に含まれる、取引相手が「A珈琲業者」のいずれかの取引情報が示す取引内容と一致するものが、「A珈琲業者」の帳簿情報に含まれる複数の取引情報が示す取引内容に含まれるか否かを判定する。制御装置100は、例えば、取引内容として、日付、貸方科目、貸方金額、借方科目、借方金額を比較する。制御装置100は、具体的には、一方の取引情報が示す借方科目が「材料費」である場合には、他方の取引情報が示す貸方科目が「商品」であれば、商品の品目が一致すると判定する。また、制御装置100は、一方の取引情報が示す借方金額と、他方の取引情報が示す貸方金額とが一致すれば、商品の金額が一致すると判定する。
ここで、制御装置100は、一致するものが含まれない場合、表示された「H珈琲店」の名称の表示形態を変更する。制御装置100は、例えば、表示された「H珈琲店」の名称の背景色を変更する。制御装置100は、例えば、表示された「H珈琲店」の名称の文字色を変更してもよいし、フォントを変更してもよいし、下線を引いてもよい。
次に、制御装置100は、一致するものが含まれるか否かの判定を終了するか否かを判定する。制御装置100は、例えば、ユーザから、判定を終了するか否かを示す操作入力を受け付けてもよい。制御装置100は、ユーザから、判定を終了しないことを示す操作入力を受け付けた場合には、各種条件の設定を受け付け直す。次に、ユーザから、判定を終了することを示す操作入力を受け付けたとして、図15の説明に移行する。
図15の例では、制御装置100は、図14の処理結果を反映させて、調査対象表示画面を表示し直す。制御装置100は、図13で受け付けた各種条件に基づいて、「H珈琲店」についての取引関係図を第1のボックス1310に表示し直し、「H珈琲店」の帳簿情報を第3のボックス1330に表示し直す。
このとき、制御装置100は、一致するものが含まれないと判定された、表示された「H珈琲店」の名称の表示形態を変更し、表示された「A珈琲業者」の名称の表示形態を変更する。制御装置100は、例えば、表示された「H珈琲店」や「A珈琲業者」の名称の背景色を変更する。制御装置100は、例えば、表示された「H珈琲店」や「A珈琲業者」の名称の文字色を変更してもよいし、フォントを変更してもよいし、下線を引いてもよい。
また、制御装置100は、帳簿情報のうち、一致するものが含まれないと判定された取引情報が示す取引内容のうち、一致しない項目の表示形態を変更する。制御装置100は、例えば、取引情報が示す取引内容のうち、日付が一致しない場合は、日付の表示形態を変更する。制御装置100は、例えば、日付の背景色を変更してもよいし、文字色を変更してもよいし、フォントを変更してもよいし、下線を引いてもよい。
次に、制御装置100は、反面調査対象の企業の選択を終了するか否かを判定する。制御装置100は、例えば、ユーザから、反面調査対象の企業の選択を終了するか否かを示す操作入力を受け付けてもよい。制御装置100は、ユーザから、反面調査対象の企業の選択を終了しないことを示す操作入力を受け付けた場合には、図14に戻る。
これにより、制御装置100は、調査対象の企業の帳簿情報と、反面調査対象の企業の帳簿情報とのそれぞれに含まれる取引情報が示す取引内容に矛盾があるか否かを判定することができる。このため、ユーザは、調査対象の企業が、どの取引相手の企業との間で、取引内容に矛盾があるのかを把握することができる。そして、ユーザは、申告内容に不備や不正がある企業の候補である、監査対象とすべき企業を把握することができると共に、照合すべき証憑700を特定することができ、申告内容に不備や不正がある企業を効率よく発見することができるようになる。また、ユーザは、日ごとに変化する取引関係を把握することができる。
ユーザは、特に、複数の取引相手の企業のそれぞれの企業との間で、取引内容に矛盾がある企業を発見することができ、申告内容に不備や不正がある可能性が高い企業の候補である、監査対象とすべき企業を把握することができる。このとき、ユーザは、各種条件を調整しながら、制御装置100に反面調査対象の企業を抽出させ、効率よく反面調査対象の企業を選択することができる。
(一致判定処理手順の一例)
次に、図16および図17を用いて、一致判定処理手順の一例について説明する。
図16および図17は、一致判定処理手順の一例を示すフローチャートである。図16において、制御装置100は、仕訳日記帳DB400に基づいて、調査対象の企業の帳簿情報を取得する(ステップS1601)。
次に、制御装置100は、調査対象の企業の帳簿情報のうちの反面調査対象の企業に対する取引内容を示す取引情報を抽出する(ステップS1602)。ここで、制御装置100は、抽出した取引情報に基づいて、常習性がある取引内容を示す取引情報があるか否かを判定する(ステップS1603)。ここで、常習性がある取引内容を示す取引情報がない場合(ステップS1603:No)、制御装置100は、一致判定処理を終了する。
一方で、常習性がある取引内容を示す取引情報がある場合(ステップS1603:Yes)、制御装置100は、仕訳日記帳DB400に基づいて、反面調査対象の企業の帳簿情報を取得する(ステップS1604)。次に、制御装置100は、反面調査対象の企業の帳簿情報のうちの調査対象の企業に対する取引内容を示す取引情報を抽出する(ステップS1605)。
そして、制御装置100は、常習性がある取引内容を示す取引情報が示す取引内容と、ステップS1605において抽出した取引情報のうちのいずれかの取引情報が示す取引内容とが一致するか否かを判定する(ステップS1606)。ここで、一致する場合(ステップS1606:Yes)、制御装置100は、一致判定処理を終了する。
一方で、一致しない場合(ステップS1606:No)、制御装置100は、仕訳日記帳DB400に基づいて、調査対象の企業の売上金額を算出する(ステップS1607)。次に、制御装置100は、図17のステップS1701の処理に移行する。
図17において、制御装置100は、原価率テーブル500から、調査対象の企業の原価率を取得する(ステップS1701)。次に、制御装置100は、仕訳日記帳DB400の調査対象の企業の帳簿情報に基づいて、調査対象の企業の推定売上金額を算出する(ステップS1702)。
そして、制御装置100は、売上金額と推定売上金額との誤差率が閾値未満であるか否かを判定する(ステップS1703)。ここで、閾値以上である場合(ステップS1703:No)、制御装置100は、調査対象の企業を、監査対象の企業として抽出して、一致判定処理を終了する。
一方で、閾値未満である場合(ステップS1703:Yes)、制御装置100は、仕訳日記帳DB400の反面調査対象の企業の帳簿情報に基づいて、調査対象の企業の推定売上金額を算出する(ステップS1704)。
次に、制御装置100は、売上金額と推定売上金額との誤差率が閾値未満であるか否かを判定する(ステップS1705)。ここで、閾値以上である場合(ステップS1705:No)、制御装置100は、調査対象の企業を、監査対象の企業として抽出して、一致判定処理を終了する。
一方で、閾値未満である場合(ステップS1705:Yes)、制御装置100は、全ての反面調査対象の企業を選択したか否かを判定する(ステップS1706)。ここで、全ての反面調査対象の企業を選択していない場合(ステップS1706:No)、制御装置100は、ステップS1704の処理に戻る。
一方で、全ての反面調査対象の企業を選択した場合(ステップS1706:Yes)、制御装置100は、一致判定処理を終了する。これにより、ユーザは、監査対象の企業を発見しやすくなり、監査対象の企業について照合作業を行う際に確認すべき証憑を把握することができる。
(表示制御処理手順の一例)
次に、図18を用いて、表示制御処理手順の一例について説明する。
図18は、表示制御処理手順の一例を示すフローチャートである。図18において、制御装置100は、各種条件に基づいて、調査対象の企業の取引関係図を出力する(ステップS1801)。次に、反面調査対象の企業が抽出されたか否かを判定する(ステップS1802)。ここで、抽出されていない場合(ステップS1802:No)、制御装置100は、ステップS1801の処理に戻る。
一方で、抽出された場合(ステップS1802:Yes)、制御装置100は、調査対象の企業と、いずれかの反面調査対象の企業とについて、取引情報が一致するか否かを判定する(ステップS1803)。次に、制御装置100は、一致しないと判定された取引情報があるか否かを判定する(ステップS1804)。ここで、取引情報がない場合(ステップS1804:No)、制御装置100は、ステップS1803の処理に戻る。
一方で、取引情報がある場合(ステップS1804:Yes)、制御装置100は、各種条件に基づいて、調査対象の企業の取引関係図を出力する(ステップS1805)。次に、制御装置100は、全ての反面調査対象の企業を選択したか否かを判定する(ステップS1806)。ここで、全ての反面調査対象の企業を選択していない場合(ステップS1806:No)、制御装置100は、ステップS1803の処理に戻る。
一方で、全ての反面調査対象の企業を選択した場合(ステップS1806:Yes)、制御装置100は、表示制御処理を終了する。これにより、ユーザは、調査対象の企業の帳簿情報や取引関係図、反面調査対象の企業の帳簿情報や取引関係図を確認しながら、監査対象の企業を選択することができる。
以上説明したように、制御装置100によれば、特定の証憑700に取引内容が記載された取引に関する他の証憑700を管理する企業の帳簿情報に含まれる取引内容と、特定の証憑700に記載された取引内容とが一致するか否かを判定することができる。これにより、制御装置100は、ある企業が管理する特定の証憑と、ある企業の取引相手の企業が管理する他の証憑とのそれぞれに記載された取引内容に矛盾がある場合に、特定の証憑についての確認指示をユーザに通知することができる。したがって、ユーザは、特定の証憑を管理する企業を、申告内容に不備や不正がある企業の候補であると把握して、監査対象の企業として選択することができる。このため、ユーザは、監査対象の企業が管理する膨大な数の証憑について照合作業を行わなくてもよく、特定の証憑について照合作業を行うことにより、監査対象の企業の申告内容の正当性を確認することができる。このため、ユーザは、監査対象の企業の申告内容の正当性を効率よく確認し、申告内容に不備や不正がある企業を効率よく発見することができる。
また、制御装置100によれば、記憶部601に、特定した企業の帳簿情報が記憶されていない場合には、企業を帳簿情報の確認取得対象の企業として抽出することができる。これにより、制御装置100は、帳簿情報の確認取得対象の企業をユーザに通知したり、帳簿情報の確認取得対象の企業が所有するクライアント装置203に帳簿情報の取得要求を送信することができる。結果として、制御装置100は、帳簿情報を取得することができる。
また、制御装置100によれば、特定の企業が管理する証憑700のうち、一致しないと判定した証憑700の数が所定数以上である場合に、特定の企業を監査対象の企業として抽出することができる。これにより、制御装置100は、申告内容に不備や不正がある可能性が高い企業を、ユーザに通知することができる。結果として、ユーザは、監査対象の企業を選択しやすくなり、監査対象の企業について効率よく税務調査を行うことができる。
また、制御装置100によれば、特定の企業が管理する証憑700のうち、一致しないと判定した証憑700の数が所定数以上である場合に、特定の企業の売上金額を取得することができる。次に、制御装置100によれば、特定の企業の帳簿情報に含まれる、仕入れ取引に関する証憑700に記載された取引内容と、特定の企業に対応する原価率とに基づいて、特定の企業の推定売上金額を算出することができる。そして、制御装置100によれば、監査対象の企業を抽出する処理は、取得した売上金額と、推定売上金額とに基づいて、特定の企業を監査対象の企業として抽出することができる。これにより、制御装置100は、売上金額に不備や不正の疑いのある企業をユーザに通知することができる。結果として、ユーザは、監査対象の企業を選択しやすくなり、監査対象の企業について効率よく税務調査を行うことができる。
また、制御装置100によれば、特定の企業が管理する証憑700のうち、一致しないと判定した証憑700の数と、取得した売上金額と、算出した推定売上金額とに基づいて、特定の企業を監査対象の企業として抽出することができる。これにより、制御装置100は、申告内容に不備や不正がある可能性が高い企業を抽出する精度を向上することができる。制御装置100は、例えば、売上金額と推定売上金額とに基づいて、企業が意図的に、売上金額を改ざんした上で、証憑700に記載された取引内容をも改ざんして、売上金額と証憑700に記載された取引内容を整合させたのか否かを判定することができる。
また、制御装置100によれば、記憶部601に記憶された、特定の企業と取引を行った他の企業の帳簿情報に含まれる、仕入れ取引に関する証憑700に記載された取引内容に基づいて、特定の企業の第2推定売上金額を算出することができる。そして、制御装置100によれば、取得した売上金額と、第2推定売上金額とに基づいて、特定の企業を監査対象の企業として抽出することができる。これにより、制御装置100は、売上金額に不備や不正の疑いのある企業をユーザに通知することができる。結果として、ユーザは、監査対象の企業を選択しやすくなり、監査対象の企業について効率よく税務調査を行うことができる。
また、制御装置100によれば、特定の企業が管理する証憑700のうち、一致しないと判定した証憑700の数と、取得した売上金額と、算出した第2推定売上金額とに基づいて、特定の企業を監査対象の企業として抽出することができる。これにより、制御装置100は、申告内容に不備や不正がある可能性が高い企業を抽出する精度を向上することができる。制御装置100は、例えば、売上金額と推定売上金額とに基づいて、企業が意図的に、売上金額を改ざんした上で、証憑700に記載された取引内容をも改ざんして、売上金額と証憑700に記載された取引内容を整合させたのか否かを判定することができる。
また、制御装置100によれば、特定の企業が管理する証憑700のうち、一致しないと判定した証憑700の数と、取得した売上金額と、算出した推定売上金額と、算出した第2推定売上金額とに基づいて、特定の企業を監査対象の企業として抽出することができる。これにより、制御装置100は、申告内容に不備や不正がある可能性が高い企業を抽出する精度を向上することができる。制御装置100は、例えば、売上金額と推定売上金額と第2推定売上金額とに基づいて、企業が意図的に、売上金額と証憑700に記載された取引内容を整合させたのか否かを判定することができる。
また、制御装置100によれば、特定の企業が管理する証憑700のうち、一致しないと判定した証憑700に取引内容が記載された取引に関する他の証憑700を管理する企業の数が所定数以上であるか否かを判定することができる。そして、制御装置100によれば、所定数以上である場合に、特定の企業を監査対象の企業として抽出することができる。これにより、制御装置100は、複数の企業のそれぞれと行った取引についての取引内容の記載に矛盾がある、申告内容に不備や不正がある可能性が高い企業を抽出することができ、監査対象の企業としてユーザに通知することができる。結果として、ユーザは、監査対象の企業を選択しやすくなり、監査対象の企業について効率よく税務調査を行うことができる。
また、制御装置100によれば、特定の企業が管理する証憑700のうち、所定の条件を満たす特定の証憑700を検出することができる。これにより、制御装置100は、他の企業の帳簿情報と比較すべき証憑700を特定することができる。また、制御装置100によれば、特定の企業が管理する証憑700に記載された取引内容における特定の企業にとっての取引相手の企業が、実在する企業か否かを判定することができる。これにより、制御装置100は、架空の企業との取引内容を記載した証憑700を検出することができ、ユーザに通知することができる。
ここで、従来、税務調査において、税務調査の作業者は、監査対象の企業の1ヶ月当たりの営業日数や客一人当たりの平均単価などの情報を収集して、当該企業の推定売上金額を算出する。しかしながら、この場合、作業者の負荷が増大してしまう。また、作業者は、監査対象の企業の1ヶ月当たりの営業日数や客一人当たりの平均単価などの情報が改ざんされていると、正しく推定売上金額を算出することができない。一方で、本実施の形態にかかる制御装置100は、取引相手の企業が監査対象の企業の納入した材料の費用と、監査対象の企業の原価率となどに基づいて、推定売上金額を算出することができる。これにより、税務調査の作業者となる、制御装置100のユーザは、効率よく監査対象の企業の推定売上金額を把握することができる。
また、従来、税務調査において、税務調査の作業者は、対象企業を訪問して、対象企業が管理する証憑を提出させ、または対象企業が管理する証憑を税務署に留置きして、対象企業の帳簿情報と、対象企業が管理する証憑とについて照合作業を行うことになる。しかしながら、この場合、証憑の数が膨大になるほど、作業者にかかる負担が増大してしまう。一方で、本実施の形態にかかる制御装置100は、監査対象の企業を抽出し、ユーザに通知することができる。これにより、税務調査の作業者となる、制御装置100のユーザは、対象企業を訪問しなくても、制御装置100を操作し、または制御装置100とオンラインで接続した他の装置を操作して、申告内容に不備や不正がある企業を効率よく発見することができる。
なお、本実施の形態で説明した証憑確認制御方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。本証憑確認制御プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また本証憑確認制御プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布してもよい。
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)コンピュータに、
特定の証憑に取引内容が記載された取引に関する他の証憑を管理する企業を特定し、
企業が管理する証憑に記載された取引内容を含む帳簿情報を記憶する記憶部を参照して、特定した前記企業の帳簿情報に含まれる取引内容と、前記特定の証憑に記載された取引内容とが一致するか否かを判定し、
一致すると判定した場合には前記特定の証憑について確認することができたと判定する制御を行い、一致しないと判定した場合には前記特定の証憑についての確認指示を出力する制御を行う、
処理を実行させることを特徴とする証憑確認制御プログラム。
(付記2)前記コンピュータに、
前記記憶部に、特定した前記企業の帳簿情報が記憶されていない場合には、前記企業を帳簿情報の確認取得対象の企業として抽出する、
処理を実行させることを特徴とする付記1に記載の証憑確認制御プログラム。
(付記3)前記特定する処理は、特定の企業が管理する複数の証憑のそれぞれについて、当該証憑に取引内容が記載された取引に関する他の証憑を管理する企業を特定し、
前記判定する処理は、前記記憶部を参照して、前記複数の証憑のそれぞれについて特定した前記企業の帳簿情報に含まれる取引内容と、前記複数の証憑のそれぞれに記載された取引内容とが一致するか否かを判定し、
前記コンピュータに、
前記複数の証憑のうち、一致しないと判定した証憑の数が所定数以上である場合に、前記特定の企業を監査対象の企業として抽出する、
処理を実行させることを特徴とする付記1または2に記載の証憑確認制御プログラム。
(付記4)前記コンピュータに、
前記複数の証憑のうち、一致しないと判定した証憑の数が所定数以上である場合に、前記特定の企業の売上金額を取得し、
前記特定の企業の帳簿情報に含まれる、前記特定の企業の仕入れ取引に関する証憑に記載された取引内容と、前記特定の企業に対応する原価率とに基づいて、前記特定の企業の推定売上金額を算出する処理を実行させ、
前記監査対象の企業を抽出する処理は、取得した前記売上金額と、算出した前記推定売上金額とに基づいて、前記特定の企業を監査対象の企業として抽出する、ことを特徴とする付記3に記載の証憑確認制御プログラム。
(付記5)前記コンピュータに、
前記複数の証憑のうち、一致しないと判定した証憑の数が所定数以上である場合に、前記特定の企業の売上金額を取得し、
前記記憶部に記憶された、前記特定の企業と取引を行った他の企業の帳簿情報に含まれる、前記特定の企業の仕入れ取引に関する証憑に記載された取引内容に基づいて、前記特定の企業の第2推定売上金額を算出する処理を実行させ、
前記監査対象の企業を抽出する処理は、取得した前記売上金額と、算出した前記第2推定売上金額とに基づいて、前記特定の企業を監査対象の企業として抽出する、ことを特徴とする付記3または4に記載の証憑確認制御プログラム。
(付記6)前記監査対象の企業を抽出する処理は、前記複数の証憑のうち、一致しないと判定した証憑に取引内容が記載された取引に関する他の証憑を管理する企業の数が所定数以上である場合に、前記特定の企業を監査対象の企業として抽出する、ことを特徴とする付記3に記載の証憑確認制御プログラム。
(付記7)前記コンピュータに、
特定の企業が管理する証憑のうち、所定の条件を満たす特定の証憑を検出する処理を実行させ、
前記特定する処理は、
検出した前記特定の証憑と同一の取引に関する他の証憑を管理する企業を特定する、ことを特徴とする付記1〜6のいずれか一つに記載の証憑確認制御プログラム。
(付記8)前記取引内容は、取引相手の企業名と、取引を行った日付と、取引を行った商品の種別および金額とを含むことを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の証憑確認制御プログラム。
(付記9)前記記憶部は、企業が管理する請求書に記載された取引内容を含む帳簿情報を記憶し、
前記特定する処理は、特定の領収書と同一の取引に関する請求書を管理する企業を特定する、ことを特徴とする付記1〜8のいずれか一つに記載の証憑確認制御プログラム。
(付記10)前記記憶部は、企業が管理する領収書に記載された取引内容を含む帳簿情報を記憶し、
前記特定する処理は、特定の請求書と同一の取引に関する領収書を管理する企業を特定する、ことを特徴とする付記1〜8のいずれか一つに記載の証憑確認制御プログラム。
(付記11)前記記憶部は、企業が管理する領収書に記載された取引内容を含む帳簿情報を記憶し、
前記特定する処理は、特定の領収書の複製と同一の取引に関する領収書を管理する企業を特定する、ことを特徴とする付記1〜8のいずれか一つに記載の証憑確認制御プログラム。
(付記12)前記記憶部は、企業が管理する請求書に記載された取引内容を含む帳簿情報を記憶し、
前記特定する処理は、特定の請求書と同一の取引に関する請求書の複製を管理する企業を特定する、ことを特徴とする付記1〜8のいずれか一つに記載の証憑確認制御プログラム。
(付記13)前記コンピュータに、
実在する企業の識別情報に、当該企業の名称、または当該企業の住所を対応付けて記憶する記憶部を参照して、特定した前記企業が実在する企業であるか否かを判定する、処理を実行させ、
前記制御を行う処理は、実在する企業ではないと判定した場合には前記特定の証憑についての確認指示を出力する制御を行うことを特徴とする付記1〜12のいずれか一つに記載の証憑確認制御プログラム。
(付記14)コンピュータが、
特定の証憑に取引内容が記載された取引に関する他の証憑を管理する企業を特定し、
企業が管理する証憑に記載された取引内容を含む帳簿情報を記憶する記憶部を参照して、特定した前記企業の帳簿情報に含まれる取引内容と、前記特定の証憑に記載された取引内容とが一致するか否かを判定し、
一致すると判定した場合には前記特定の証憑について確認することができたと判定する制御を行い、一致しないと判定した場合には前記特定の証憑についての確認指示を出力する制御を行う、
処理を実行することを特徴とする証憑確認制御方法。
(付記15)特定の証憑に取引内容が記載された取引に関する他の証憑を管理する企業を特定し、
企業が管理する証憑に記載された取引内容を含む帳簿情報を記憶する記憶部を参照して、特定した前記企業の帳簿情報に含まれる取引内容と、前記特定の証憑に記載された取引内容とが一致するか否かを判定し、
一致すると判定した場合には前記特定の証憑について確認することができたと判定する制御を行い、一致しないと判定した場合には前記特定の証憑についての確認指示を出力する制御を行う、
制御部を有することを特徴とする証憑確認制御装置。