以下、本発明による介助ロボットの一実施形態について説明する。図1はこの介助ロボット20が配置されている介護センタ10の概要を示す概要図である。この介護センタ10は、ステーション11、トレーニング室12、各個室13a〜13dが設けられている。介護センタ10は、人が居住する居住区域である。介護センタ10内に存在する人は、介助を必要とする被介助者M1や被介助者M1を介助する介助者M2である。
図1に示すように、ステーション11は、介助者M2の詰め所であり、介助ロボット20が待機したり、充電されたりする基地である。介助ロボット20は、人が居住する居住区域内の移動が許可されかつ居住区域内を駆動源である左右駆動輪用モータ21g,21hによる駆動によって移動するものである。トレーニング室12は、被介助者M1がトレーニングやリハビリテーションを行う部屋である。各個室13a〜13dは、被介助者M1が居住する部屋である。
ステーション11、トレーニング室12、および各個室13a〜13dは、入出口11a,12a,13a1〜13d1がそれぞれ設けられており、入出口11a,12a,13a1〜13d1は通路14を介して接続されている。なお、図1において、介助ロボット20の近傍の矢印は、介助ロボット20の進行方向を示している。
介助ロボット20は、被介助者M1の体の一部(例えば、上半身特に胸部)を支えて起立および着座を補助するための介助ロボットである。この介助ロボット20は、図2および図3に示すように、基台21、ロボットアーム部22、保持部23、ハンドル24、操作装置25、および制御装置26を含んで構成されている。
基台21は、左右基部21a,21bと左右脚部21c,21dを備えている。左右基部21a,21bは、左右方向に所定距離を置いて配設されており、左右基部21a,21bには、左右駆動輪21e、21fがそれぞれ設けられるとともに、左右駆動輪21e、21fをそれぞれ駆動する左右駆動輪用モータ21g,21h(駆動源)が内蔵されている。介助ロボット20は、左右駆動輪用モータ21g,21h(駆動源)によりそれぞれ駆動する左右駆動輪21e、21fによって走行する。
なお、基台21に設けた前記駆動源を省略して構成して、使用者により押されて移動するようにしてもよい。
左右脚部21c,21dは、左右基部21a,21bから前方方向(図2,3において左方向)に水平に延設されている。左右脚部21c,21dの先端部には、左右従動輪21i,21jがそれぞれ設けられている。また、左右脚部21c,21dの先端には、一対の衝突防止センサ21k、21lがそれぞれ設けられている。衝突防止センサ21k、21lは、障害物を検知するセンサであり、その検出信号は制御装置26に送信されるようになっている。
ロボットアーム部22は、基台21にその基部が取り付けられており、主として図4a、図5aに示すように、第1および第2回転用モータ22a1c,22b3およびスライド用モータ22a2bを含んで構成される駆動部によって互いに相対移動が可能である複数のアーム22a,22b,22cを備えている。なお、ロボットアーム部22は、複数の軸から構成するようにしてもよい。この場合の軸は回転軸およびスライド軸の少なくともいずれかを含めばよい。
図4a,4bおよび図5a〜5cに示すように、第1アーム22aは、その基部が基台21に取りつけられている。第1アーム22aは、スライド基部22a1、第1スライド部22a2および第2スライド部22a3を備えている。
スライド基部22a1は、図2,3に示すように、ほぼ直方体状に形成されている。スライド基部22a1は、その基端部が基台21に第1回転軸22a1a回りに回転可能に取り付けられているフレーム22a1bを備えている。このフレーム22a1bは、ほぼ断面U字状に形成されており、曲げて形成された左右板状部材22a1b1、22a1b2と左右板状部材22a1b1、22a1b2の上部後端に左右両端が接続された後板状部材22a1b3とから構成されている。
第1回転用モータ22a1cは、基台21に設けられている。第1駆動ベルト22a1dは、この第1回転用モータ22a1cのプーリと第1回転軸22a1aのプーリとの間に装架されている。第1回転用モータ22a1cが駆動すると、フレーム22a1bすなわちスライド基部22a1が第1回転軸22a1a回りに前方向または後方向に回転する。
図5bに示すように、フレーム22a1bの内側(左右板状部材22a1b1、22a1b2の内側)には、後述する第1スライド部22a2のフレーム22a2aの後板状部材22a2a2の左右端に摺動可能に係合する左右ガイド溝22a1eが形成されている。フレーム22a1bの左板状部材22a1b1の上部には、後述するスライド用ベルト22a2eに取り付けられて固定される固定部22a1fが設けられている(図4b、図5c参照)。
第1スライド部22a2は、図2、3に示すように、ほぼ直方体状に形成されており、スライド基部22a1より小さく構成されている。第1スライド部22a2は、スライド基部22a1に対して長手方向(軸動方向)にスライドするものであり、収縮した際にはスライド基部22a1内にほぼ収容されるように構成されている。
具体的には、第1スライド部22a2は、フレーム22a2aを備えている。このフレーム22a2aは、図5bに示すように、断面H字状かつ側面視H字状に形成されており、前後板状部材22a2a1、22a2a2と前後板状部材22a2a1、22a2a2の上下方向中央部に前後両端が接続された接続板状部材22a2a3とから構成されている。後板状部材22a2a2の左右両端は、フレーム22a1bの左右ガイド溝22a1eに摺動可能に係合されている。主として図4aに示すように、後板状部材22a2a2の上部には、スライド用モータ22a2bが設けられている。後板状部材22a2a2の下部には、プーリ22a2cが回転可能に設けられている。このスライド用モータ22a2bのプーリ22a2dとプーリ22a2cとの間には、スライド用ベルト22a2eが装架されている。
フレーム22a2aの前板状部材22a2a1の左右両端部には、ガイドレール22a2fが設けられている。ガイドレール22a2fは、後述する第2スライド部22a3のフレーム22a3aの左右板状部材の内側の左右ガイド受け部22a3bに摺動可能に係合する。
第2スライド部22a3は、図2、3に示すように、ほぼ直方体状に形成されており、第1スライド部22a2より小さく構成されている。第2スライド部22a3は、第1スライド部22a2に対して長手方向(軸動方向)にスライドするものであり、収縮した際には第1スライド部22a2内にほぼ収容されるように構成されている。
具体的には、第2スライド部22a3は、フレーム22a3aを備えている。このフレーム22a3aは、図5bに示すように、ほぼ断面U字状に形成されており、左右板状部材22a3a1、22a3a2と左右板状部材22a3a1、22a3a2の前端部に左右両端が接続された前板状部材22a3a3とから構成されている。フレーム22a3aの内側(左右板状部材22a3a1、22a3a2の内壁面)には、フレーム22a2aのガイドレール22a2fに摺動可能に係合する左右ガイド受け部22a3bが設けられている。フレーム22a3aの右板状部材22a3a2の下部には、スライド用ベルト22a2eに取り付けられて固定される固定部22a3cが設けられている(図4b、図5c参照)。
スライド用モータ22a2bが駆動すると、第1スライド部22a2のフレーム22a2aは、スライド基部22a1のフレーム22a1aに対して軸動方向に沿って伸張する(図4aおよび4bに示す伸張状態)。これと同時に、第2スライド部22a3のフレーム22a3aは第1スライド部22a2のフレーム22a2aに対して伸張する(図4および4bに示す伸張状態)。
一方、スライド用モータ22a2bが逆方向に駆動すると、第1スライド部22a2のフレーム22a2aは、スライド基部22a1のフレーム22a1aに対して軸動方向に沿って収縮する(図5aおよび図5cに示す収縮状態)。これと同時に、第2スライド部22a3のフレーム22a3aは第1スライド部22a2のフレーム22a2aに対して収縮する(図5aおよび図5cに示す収縮状態)。
第2アーム22bは、図2、3に示すように、ほぼ直方体状に形成されており、第2スライド部22a3の先端部に、長手方向に対して直交する方向(前方向)に延ばして形成されている。具体的には、主として図4aに示すように、第2アーム22bは、左右板状部材22b1a、22b1bから構成されているフレーム22b1を備えている。フレーム22b1の左右板状部材22b1a、22b1bの後端部が、フレーム22a3aの左右板状部材22a3a1、22a3a2の上端部にそれぞれ接続固定されている。
フレーム22b1の左右板状部材22b1a、22b1bの先端部には、第2回転軸22b2が回動可能に介装されている。左右板状部材22b1a、22b1bの中央部には、第2回転用モータ22b3が設けられている。第2回動ベルト22b4は、第2回転用モータ22b3のプーリと第2回転軸22b2のプーリとの間に装架されている。
第3アーム22cは、ほぼ直方体状に形成されており、その基端部が第2アーム22bの先端部に第2回転軸22b2回りに回転可能に取り付けられている。具体的には、第3アーム22cは、フレーム22c2を備えている。フレーム22c2の後端部は、第2回転軸22b2と一体回転するように固定されている。フレーム22c2の前端部は、保持部23の後端に固定されている。
第2回転用モータ22b3が駆動すると、フレーム22c2すなわち第3アーム22cが第2回転軸22b2回りに上方向または下方向に回転する。
保持部23は、第3アーム22cの先端に固定されている。この保持部23は、被介助者M1の体の一部(例えば、上半身特に胸部)を支えて起立および着座を補助するものである。保持部23は、例えば、被介助者M1の起立動作及び着座動作において被介助者M1に対して対向したときに、その両腕(両脇)を下側から支える部材であり、前方向に向けて開放する平面視略U字形状に形成されている。保持部23は、例えば、被介助者M1に接することを前提とした比較的柔らかい材質で形成されている。
ハンドル24は、第3アーム22cの上面に固定されている。このハンドル24は、左右一対の棒状取っ手で構成されており、被介助者M1の左右の手でそれぞれ握られるようになっている。ハンドル24には、握っていることを検知する接触センサ24a,24bが設けられている。ハンドル24には、介助ロボット20を左旋回させるための左旋回スイッチ24cと介助ロボット20を右旋回させるための右旋回スイッチ24dが設けられている。さらにハンドル24には、介助ロボット20を停止させるための停止スイッチ24eが設けられている。
また、第3アーム22cには、被介助者M1が保持部23により支持されている状態で歩行する場合や被介助者M1がハンドル24を握った状態で歩行する場合に、被介助者M1から受ける力を検知する荷重センサ22c1が設けられている。荷重センサ22c1は、荷重の変化によって変化する起歪体の歪み量を電圧変化として検出するものや、シリコンチップに圧力が加わると、そのたわみに応じ、ゲージ抵抗が変化し電気信号に変換される半導体式圧力センサなどである。
操作装置25は、画像を表示する表示部25aと、使用者(介助者M2や被介助者M1)からの入力操作を受け付ける操作部25bとを備えている。この操作装置25は、被介助者M1の複数の移動姿勢にそれぞれ応じた複数の形態種(後述する)のうち一の形態種を選択する選択操作部である。
表示部25aは、液晶ディスプレイで構成されており、介助ロボット20の作動モードの選択画面などを表示する。作動モードとしては、使用者の起立動作を補助する起立動作補助モードや、使用者の着座動作を補助する着座動作補助モードなどが設定されている。また、起立動作補助モードには、使用者がトレーニングしたい身体部位に対応した各モードが設定されている。例えば、これらモードとしては、上半身特に背筋をトレーニングしたい上半身モードや、下半身特に下肢をトレーニングしたい下半身モードがある。
操作部25bは、カーソルを上下左右に移動させるカーソルキー、入力をキャンセルするキャンセルキー,選択内容を決定する決定キーなどを備えており、使用者の指示をキー入力できるように構成されている。なお、操作装置25は、表示部25aの表示機能と操作部25bの入力機能とを備えており、画面上の表示を押すことで機器を操作するタッチパネルで構成するようにしてもよい。
記憶装置27(記憶部)は、保持部23に支えられて着座している被介助者M1(図8参照)を起立させる場合において、被介助者M1の移動制御部位である例えば肩位置Psが通過する起立軌跡を示す起立軌跡用基準データと、保持部23に支えられて起立している被介助者M1(図9参照)を着座させる場合において、起立軌跡と異なる軌跡であって被介助者M1の肩位置Psが通過する着座軌跡を示す着座軌跡用基準データと、を記憶している。
起立軌跡Tas1は、図10に示すように、被介助者M1を起立させる動作である起立動作の開始時点以降の早い時点から起立動作の終了時点までの間において被介助者M1の重心位置Gが被介助者M1の両足の裏の範囲A内に存在するように設定されている。なお、重心位置Gの軌跡はTg1で表す。
着座軌跡Tbs1は、図10に示すように、被介助者M1を着座させる動作である着座動作の開始時点以降の早い時点から被介助者M1の重心位置Gが被介助者M1の両足の裏の範囲A内から外れ被介助者M1の着座予定位置側に移動するように設定されている。着座軌跡Tbs1は、起立軌跡Tas1の上方に位置するように設定されている。なお、重心位置Gの軌跡はTg2で表す。
起立軌跡Tas1および着座軌跡Tbs1は、実際に健常者の起立動作を撮影し、その肩位置Psの二次元座標(例えばxy座標)に基づいて作成すればよい。起立軌跡を図11に示す。起立動作を左上(着座状態)から右下(起立状態)へ向かって段階的に示す。2番目(上段の真ん中)の状態では、起立動作の開始時点以降の早い時点を示しており、着座している被介助者M1が前傾し被介助者M1の腰が浮き上がる時点である。2番目から起立動作の終了時点(6番目)までにおいては、被介助者M1の重心位置Gが被介助者M1の両足の裏の範囲A内に存在している。
着座軌跡を図12に示す。着座動作を左上(起立状態)から右下(着座状態)へ向かって段階的に示す。2番目(上段の真ん中)の状態では、着座動作の開始時点以降の早い時点を示しており、起立している被介助者M1が腰を下ろし被介助者M1の重心位置Gが被介助者M1の両足の裏の範囲A内から外れた時点である。2番目から着座動作の終了時点(5番目)までにおいては、被介助者M1の重心位置Gが被介助者M1の両足の裏の範囲A内から外れ被介助者M1の着座予定位置側(図示椅子側)に移動する。
なお、前述した起立軌跡および着座軌跡は、シミュレーションで作成するようにしてもよい。
各軌跡用基準データは、二次元座標で形成されている。起立軌跡用基準データは、例えばxy座標にて、(Xa1、Ya1)、・・・、(Xan、Yan)で表わされ、n個からなる。着座軌跡用基準データは、例えばxy座標にて、(Xb1、Yb1)、・・・、(Xbn、Ybn)で表わされ、n個からなる。原点は、介助ロボット20の基準点としてもよいし、第1回転軸22a1aの座標としてもよいし、着座状態の座標としてもよく、また、被介助者M1の着座面の任意の点としてもよい。
軌跡用基準データは、このxy座標に、各座標における保持部23の角度αを加えて構成されることが望ましい。各座標における保持部23の角度αは、起立軌跡Tas1および着座軌跡Tbs1の各点における保持部23の角度である(図11参照)。この角度αは、被介助者M1の上半身(保持部23の被介助者M1との保持するために接触する内壁面)と水平面とのなす角度である。例えば、図11に示すように、着座状態や起立状態であるときには、角度αは90度である。軌跡用基準データは、例えば(Xa1、Ya1、α1)、・・・、(Xan、Yan、αn)で表される。
なお、二次元座標でなく、ロボット座標で形成するようにしてもよい。この場合、起立軌跡用基準データは、例えば、図13に示すように、第1回転用モータ22a1cの回転角度である第1角度(θa)、スライド用モータ22a2bのアーム長さ(L:スライド量:このアーム長さに相当する回転角度)、および第2回転用モータ22b3の回転角度である第2角度(θb)を含んで構成されている。XY座標に角度αを加えた座標(Xa1,Ya1,α1)は、ロボット座標(θa1,L1,θb1)で表される。
XY座標に角度αを加えた座標(Xa1,Ya1,α1)からロボット座標(θa1,L1,θb1)を算出する方法について、簡単に説明する。図14は、ロボットアーム部22の長さ、角度を模式的に示す側面図である。図14に示すように、第1アーム22aの長さをLa(可変)、第2アーム22bの長さをLb(固定)、第2回転軸22b1から肩位置Psまでの第3アーム22cの延設方向に沿った長さをLc(固定)およびその延設方向と鉛直する方向に沿った長さをLd(固定)とする。また、第1アーム22aと水平線とのなす角を第1角度θa、第1アーム22aと第2アーム22bとのなす角を90度、および第2アーム22bと第3アーム22cとのなす角を第2角度θbとする。
第1アーム22aと第2アーム22bが直交する点P1のXY座標は、(La×(cosθa),La×(sinθa))である。第2回転軸22b1である点P2のXY座標は、点P1に対して(Lb×(sinθa),Lb×(cosθa))を加算したものである。肩位置Psから第3アーム22cに下ろした垂線の足である点P3のXY座標は、点P2に対して(Lc×(cos(π/2−θa−θb),Lc×(sin(π/2−θa−θb))を加算したものである。肩位置Psすなわち点P4のXY座標(Xa1,Ya1)は、点P3に対して(Ld×(cos(θa+θb),Ld×(sin(θa+θb))を加算したものである。なお、各座標における保持部23の角度αは、π−(π/2+(π/2−θa−θb))で表されるので、α=θa+θbとなる。以上のことから、XY座標に角度αを加えた座標(Xa1,Ya1,α1)からロボット座標(θa1,L1,θb1)を算出する。
なお、ロボット座標において、図13に示すように、第1回転用モータ22a1cの回転角度である第1角度(θa)の角速度である第1角速度(ωa)、スライド用モータ22a2bのスライド速度(V:このスライド速度に相当する回転角速度)、および第2回転用モータ22b3の回転角度である第2角度(θb)の角速度である第2角速度(ωb)を含んで構成してもよい。
このとき、これらの速度を適当に設定することにより、保持部23に支えられて着座している被介助者M1を起立させる場合における保持部23の速度と、保持部23に支えられて起立している被介助者M1を着座させる場合における保持部23の速度と、が異なるようにすることができる。
また、これらの速度を適当に設定することにより、保持部23に支えられて着座している被介助者M1を起立させる場合、図15に示すように、起立軌跡(例えば基準起立軌跡)の複数の区間のうち被介助者M1がトレーニングしたい身体部位に応じた区間において、保持部23の速度が、被介助者M1にかかる負担に応じた速度となるようにすることができる。第1区間B1および第3区間B1においては、上半身特に背筋にかかる負担が増大し、第2区間B2においては、下半身特に大腿筋にかかる負担が増大する。第1区間B1は、前傾する区間であるためであり、第2区間B2は、立ち上がり開始する区間であるためであり、第3区間B3は、ある程度立ち上がった後の区間であり上半身を使用するためである。各区間の通過速度が遅い場合は、早い場合と比較して、その姿勢を長く維持する必要があるため、被介助者M1の負荷が増大する。
記憶装置27は、起立軌跡用基準データの他に複数の起立軌跡用データをさらに記憶している。これら起立軌跡用データは、起立軌跡用基準データに相当する起立軌跡(基準起立軌跡)と異なる軌跡を示す複数のデータであって被介助者M1の異なる複数の身体部位をそれぞれトレーニングするためのものである。これら起立軌跡用データによる各軌跡を図16に示す。起立軌跡用基準データによる基準起立軌跡を実線で示し、上半身特に背筋をトレーニングしたい上半身用起立軌跡用データによる上半身用起立軌跡を一点破線で示し、下半身特に下肢をトレーニングしたい下半身用起立軌跡用データによる下半身用起立軌跡を破線で示す。
上半身用起立軌跡に沿って補助されると、基準起立軌跡と比較して被介助者M1の前傾量が増大するため、下肢に比べて背筋の使用量(負荷)が増大する。これにより、上半身特に背筋の負荷を増大させることができる。また、下半身用起立軌跡に沿って補助されると、基準起立軌跡と比較して被介助者M1の前傾量が減少するため、背筋に比べて下肢の筋肉の使用量(負荷)が増大する。これにより、下半身特に下肢の負荷を増大させることができる。
さらに、記憶装置27は、被介助者M1が着座する椅子やベッドなどの着座部の高さに応じた補正量(第1の補正量)を記憶している。この第1の補正量は、上述した各データを補正するための値である。上述した各データは、着座部の高さが所定値(例えば40cmである。)であるときのデータである。
例えば、着座部の高さが+Δh1であるときには、第1角度θaについては第1の補正量は−Δψa1であり、アーム長さLについては第1の補正量は+ΔLb1であり、第2角度θbについては第1の補正量は+Δψb1である。また、身長が−Δh1であるときには、第1角度θaについては第1の補正量は+Δψa1であり、アーム長さLについては第1の補正量は−ΔLb1であり、第2角度θbについては第1の補正量は+Δψb1である。所定値との差が所定両毎に第1の補正量が記憶されている。
これらの補正量は、着座部の高さに応じて適切な形態となるように実機を使用した実験などで得たデータに基づいて予め設定されている。
また、記憶装置27は、被介助者M1の身長に応じた補正量(第2の補正量)を記憶している。この第2の補正量は、上述した各データを補正するための値である。上述した各データは、被介助者M1の身長が所定値(例えば平均身長などであり、具体的には170cmである。)であるときのデータである。
例えば、身長が+ΔH1であるときには、第1角度θaについては第2の補正量は−Δφa1であり、アーム長さLについては第2の補正量は+ΔLb1であり、第2角度θbについては第2の補正量は+Δφb1である。また、身長が−ΔH1であるときには、第1角度θaについては第2の補正量は+Δφa1であり、アーム長さLについては第2の補正量は−ΔLb1であり、第2角度θbについては第2の補正量は+Δφb1である。所定値との差が所定両毎に第2の補正量が記憶されている。
これらの補正量は、各形態種において身長に応じて適切な形態となるように実機を使用した実験などで得たデータに基づいて予め設定されている。
なお、上述した各補正量は、マップとして記憶されているが、演算式として記憶されていてもよい。
制御装置26は、介助ロボット20の走行や姿勢変形に関する制御を行う。制御装置26は、図6に示すように、上述した衝突防止センサ21k,21l、膝センサ22a1d、荷重センサ22c1、接触センサ24a,24b、左旋回スイッチ24c、右旋回スイッチ24d、停止スイッチ24e、左右駆動輪用モータ21g,21h、第1回転用モータ22a1c、スライド用モータ22a2b、第2回転用モータ22b3、操作装置25、記憶装置27、撮像装置28および案内装置29が接続されている。また、制御装置26はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続された入出力インターフェース、CPU、RAMおよびROM(いずれも図示省略)を備えている。
制御装置26は、図7に示すように、基準データ取得部26a、身長、椅子高さ取得部26b、補正部26cおよび駆動制御部26dを備えている。基準データ取得部26aは、操作装置25によって選択された起立動作補助モード(通常モード、上半身モード、下半身モードのいずれか)を取得して、その取得したモードに応じたデータを記憶装置27から取得する。上半身モードのときは、上半身用起立軌跡用データを取得し、下半身モードのときは、下半身用起立軌跡用データを取得し、上半身モードでも下半身モードでもない通常の通常モードのときは、起立軌跡用基準データを取得する。また、基準データ取得部26aは、操作装置25によって選択された着座動作補助モードも取得する。
身長、椅子高さ取得部26bは、操作装置25によって選択された被介助者M1の身長や、被介助者M1が着座する椅子やベッドなどの着座部の高さを取得する。補正部26cは、基準データ取得部26aによって取得したデータを、身長、椅子高さ取得部26bによって取得した身長、着座部の高さによって補正する。具体的には、補正部26cは、取得した身長に応じた第2の補正量や、着座部の高さに応じた第1の補正量を記憶装置27から取得する。補正部26cは、この取得した各補正量によって基準データ取得部26aによって取得したデータを補正する。
駆動制御部26dは、第1および第2回転用モータ22a1c,22b3およびスライド用モータ22a2bを含んで構成される駆動部を駆動させて、ロボットアーム部22を起立軌跡用基準データ(または上半身用起立軌跡用データあるいは下半身用起立軌跡用データ)に基づいて起立動作の駆動をする。また、駆動制御部26dは、前記駆動部を駆動させて、ロボットアーム部22を着座軌跡用基準データに基づいて着座動作の駆動をする。具体的には、駆動制御部26dは、基準データ取得部26aによって取得されたデータを、記憶装置27から読み込む。そして、駆動制御部26dは、その読み込んだデータとなるように、前記駆動部を駆動させる。
また、制御装置26(駆動制御部26d)は、上記各データにおいて起立軌跡および着座軌跡の各点における保持部23の角度αも合わせて記憶している場合には、前記駆動部を駆動させて、各点における保持部の角度を、各起立軌跡用基準データおよび各着座軌跡用基準データに記憶されている角度となるように制御する。
また、制御装置26(駆動制御部26d)は、保持部23に支えられて着座している被介助者M1を起立させる場合において、基準データ取得部26aによって取得された、被介助者M1がトレーニングしたい身体部位に応じたデータに基づいてロボットアーム部22を駆動する。
また、制御装置26(駆動制御部26d)は、保持部23に支えられて着座している被介助者M1を起立させる場合における保持部23の速度と、保持部23に支えられて起立している被介助者M1を着座させる場合における保持部23の速度と、が異なるように制御する。
また、制御装置26(駆動制御部26d)は、保持部23に支えられて着座している被介助者M1を起立させる場合、起立軌跡の複数の区間のうち被介助者M1がトレーニングしたい身体部位に応じた区間において、保持部23の速度が、被介助者M1にかかる負担に応じた速度となるように前記駆動部の速度を制御する。
また、制御装置26(駆動制御部26d)は、被介助者M1の身長や着座部の高さに合わせてロボットアーム部22の起立軌跡および着座軌跡をそれぞれ調整する。
次に、上述したように構成された介助ロボット20の作動を説明する。最初に、介助ロボット20の移動について説明する。介助ロボット20が、ステーション11から各個室13a〜13dまで(または各個室13a〜13dからステーション11まで)単独で移動する場合について説明する。ステーション11から各個室13a〜13dまでの通路14を移動する場合には、介助ロボット20は、ステーション11の入出口11aから各個室13a〜13dの各入出口13a1〜13d1までの経路であって予め記憶装置27に記憶されている経路に沿って移動する。
また、介助ロボット20は、通路14に設けられている案内用マーク14aを撮像装置28を介して読み取り、その情報から残りの道程を算出しその結果に基づいて移動する。案内用マーク14aは、例えば二次元バーコードである。二次元バーコードには、現在地点(例えば、通路14の交差点)、現在地点から目的地までの距離と方向(例えば、介助ロボット20がステーション11から第1個室13aに移動する場合には、通路14の交差点に差し掛かった際に交差点から第1個室13aまでの距離と方向(左折))などの情報が記載されている。案内用マーク14aは、ステーション11の入出口11a、各個室13a〜13dの各入出口13a1〜13d1の角や、通路14の所定箇所(例えば、交差点の角や天井面)に設けられている。
次に、介助ロボット20が着座している被介助者M1に接近している場合について説明する。このとき、介助ロボット20は、第1個室13aの入出口13a1から第1個室13aに入室し、その後、ベッド脇に着座している被介助者M1に向けて接近する。介助ロボット20は、介助ロボット20の前面を進行方向に向けて前進する。介助ロボット20は、被介助者M1の近傍に設けられている案内用マーク14bを前面の撮像装置28を介して読み取り、その情報に基づいて被介助者M1に接近する。
さらに、介助ロボット20の起立動作と着座動作について図8−図10を参照して説明する。介助ロボット20は、膝センサ22a1dの検出結果(介助ロボット20と被介助者M1の膝との距離)を使用して、着座している被介助者M1との距離が所定距離となる所定の位置まで移動する。この所定の位置は、被介助者M1を起立させるために最適な位置(起立最適位置)である。
そして、介助ロボット20は、被介助者M1に対して「ハンドルを握ってください」という案内を行う。被介助者M1が両手でハンドル24を握ると、接触センサ24a,24bによってハンドル24を握ったことを検知するため、介助ロボット20は、被介助者M1を起立させるための起立動作を行う。
起立動作が開始されると、介助ロボット20は、着座している被介助者M1の上半身を保持部23によって保持する(図8参照)。そして、介助ロボット20は、上半身を保持した状態で、被介助者M1を起立状態にする(図9参照)。より具体的には、図10に示すように、基準起立軌跡に沿って起立動作が行われる。
介助ロボット20は、被介助者M1を起立状態で補助している。被介助者M1は、その脇の下を保持部23により保持された状態で歩行して移動する。このように被介助者M1の歩行を補助している介助ロボット20が、第1個室13aからトレーニング室12まで移動する場合には、上述した介助ロボット20が単独で移動する場合と同様に、予め記憶されている経路に沿って移動し、または案内用マーク14aを撮像装置28により読み取って移動する。
介助ロボット20は、第1個室13aの入出口13a1で右折して通路14に出て、通路14の交差点で右折し、トレーニング室12の入出口12aで左折してトレーニング室12に入室する。介助ロボット20は、介助ロボット20の背面を進行方向に向けて前進する。
また、介助ロボット20は、被介助者M1を着座させるための着座動作が開始されると、起立状態にある被介助者M1(図9参照)を、被介助者M1の上半身を保持部23によって保持した状態で着座状態にする(図8参照)。より具体的には、図10に示すように、着座軌跡に沿って着座動作が行われる。
そして、介助ロボット20は、着座動作が終了すると、被介助者M1に対して「ハンドルから手を放してください」という案内を行う。被介助者M1がハンドル24から手を放すと、接触センサ24a,24bによってハンドル24から手を放したことを検知するため、介助ロボット20は、被介助者M1から離れる。
本実施形態によれば、介助ロボット20は、被介助者M1の体の一部を支えて起立および着座を補助する保持部23を備えた介助ロボットであって、保持部23に支えられて着座している被介助者M1を起立させる場合において、被介助者M1の移動制御部位(例えば肩位置Ps)が通過する起立軌跡は、被介助者M1を起立させる動作である起立動作の開始時点以降の早い時点から起立動作の終了時点までの間において被介助者M1の重心位置Gが被介助者M1の両足の裏の範囲A内に存在するように設定され、保持部23に支えられて起立している被介助者M1を着座させる場合において、起立軌跡と異なる軌跡であって被介助者M1の移動制御部位が通過する着座軌跡は、被介助者M1を着座させる動作である着座動作の開始時点以降の早い時点から被介助者の重心位置Gが被介助者M1の両足の裏の範囲A内から外れ被介助者M1の着座予定位置側に移動するように設定されている。
これにより、被介助者M1の移動制御部位(例えば肩位置Ps)が起立軌跡に沿うように被介助者M1を起立させる場合、健常者が起立する場合と同様に、重心位置Gが、起立動作開始の早い時点から両足の裏の範囲A内に入り、それ以降から起立動作の終了時点まではその範囲A内に入っている。したがって、被介助者M1は介助なしで起立するときと同様な感覚(フィーリング)で起立を補助される。よって、被介助者M1に違和感を与えることなく、起立させることができる。
一方、被介助者M1の移動制御部位が着座軌跡に沿うように被介助者M1を着座させるとき、健常者が着座する場合と同様に、重心位置Gが、着座動作開始の早い時点から両足の裏の範囲A内から外れその後被介助者の着座予定位置(例えば着座部)側に移動する。したがって、被介助者M1は介助なしで着座するときと同様な感覚(フィーリング)で着座を補助される。よって、被介助者M1に違和感を与えることなく、着座させることができる。
また、上述した起立軌跡における起立動作の開始時点以降の早い時点は、着座している被介助者M1が前傾し被介助者M1の腰が浮き上がる時点である(図11上段中央参照)。これにより、着座している被介助者M1が前傾し被介助者M1の腰が浮き上がる時点から起立動作の終了時点までの間において、より確実に被介助者M1に違和感を与えることなく、起立させることができる。
また、介助ロボット20は、被介助者M1の体の一部(胸部)を支えて起立および着座を補助する保持部23を備えた介助ロボットであって、基台21と、基台21に設けられ駆動部によって互いに相対移動が可能である複数のアーム22a,22b,22cを備えたロボットアーム部22と、ロボットアーム部22の先端部に設けられ被介助者を支える保持部23と、保持部23に支えられて着座している被介助者M1を起立させる場合において、被介助者M1の移動制御部位が通過する起立軌跡を示す起立軌跡用基準データと、保持部23に支えられて起立している被介助者M1を着座させる場合において、起立軌跡と異なる軌跡であって被介助者M1の移動制御部位が通過する着座軌跡を示す着座軌跡用基準データと、を記憶した記憶装置27(記憶部)と、駆動部を駆動させて、ロボットアーム部22を起立軌跡用基準データおよび着座軌跡用基準データに基づいて駆動する駆動制御部26dと、を備えている。
これによれば、起立軌跡用基準データを健常者の起立軌跡に相当するデータに設定することが容易となるため、被介助者M1の移動制御部位(例えば肩位置)が起立軌跡に沿うように被介助者M1を起立させる場合、健常者の起立軌跡に相当する起立軌跡用基準データに基づいてロボットアーム部22を駆動させることが可能となる。したがって、被介助者M1は介助なしで起立するときと同様な感覚(フィーリング)で起立を補助される。よって、被介助者M1に違和感を与えることなく、起立させることができる。
一方、一般的に健常者の着座軌跡は起立軌跡と異なっているが、健常者の着座軌跡に相当するデータとなるように着座軌跡用基準データを設定することが容易となるため、被介助者M1の移動制御部位が着座軌跡に沿うように被介助者M1を起立させる場合、健常者の着座軌跡に相当する着座軌跡用基準データに基づいてロボットアーム部22を駆動させることが可能となる。したがって、被介助者M1は介助なしで着座するときと同様な感覚(フィーリング)で着座を補助される。よって、被介助者M1に違和感を与えることなく、着座させることができる。
また、被介助者M1の身長および被介助者M1が着座する着座部の高さの少なくともいずれかに応じて起立軌跡用基準データおよび着座軌跡用基準データを補正する補正部26cをさらに備え、駆動制御部26dは、駆動部を駆動させて、ロボットアーム部22を、補正部26cによって補正された起立軌跡用基準データおよび着座軌跡用基準データに基づいて駆動する。これにより、被介助者M1の身長および着座部の高さが異なってもそれらに応じて適切な起立軌跡および着座軌跡に沿って、被介助者M1を起立させたり着座させたりすることができる。
また、起立軌跡用基準データおよび着座軌跡用基準データは、起立軌跡および着座軌跡の各点における保持部23の角度αも合わせて記憶しており、駆動制御部26d(26)は、駆動部を駆動させて、各点における保持部23の角度αを、各起立軌跡用基準データおよび各着座軌跡用基準データに記憶されている角度となるように制御する。これにより、起立軌跡および着座軌跡の各位置にて、保持部23と連動する被介助者M1の移動制御部位(肩位置)の角度を最適に設定することができるので、より快適に(自然な感覚で)被介助者M1を起立させたり着座させたりすることができる。
また、記憶装置27(記憶部)は、起立軌跡用基準データに相当する起立軌跡と異なる軌跡を示す複数のデータであって被介助者M1の異なる複数の身体部位をそれぞれトレーニングするための複数の起立軌跡用データをさらに記憶し、複数の起立軌跡用データのうちから被介助者M1がトレーニングしたい身体部位に応じたデータを取得する取得部26aをさらに備え、駆動制御部26dは、保持部23に支えられて着座している被介助者M1を起立させる場合において、取得部26aによって取得されたデータに基づいてロボットアーム部22を駆動する。これにより、被介助者M1がトレーニングしたい身体部位に対応する起立軌跡を選択することで、起立する際に、単に起立するだけでなく、所望の身体部位もトレーニングすることができる。
また、駆動制御部26d(26)は、保持部23に支えられて着座している被介助者M1を起立させる場合における保持部23の速度と、保持部23に支えられて起立している被介助者M1を着座させる場合における保持部23の速度と、が異なるように制御する。これにより、一般的に、健常者が介助なしで起立するときの速度は着座するときの速度より遅いが、これと同様に、保持部23によって支えられている被介助者M1の起立するときの速度を着座するときの速度より遅くすることができる。よって、健常者が起立したり着座したりするときと同様な感覚(フィーリング)で起立および着座を補助される。よって、被介助者M1に違和感を与えることなく、起立および着座させることができる。
また、駆動制御部26d(26)は、保持部23に支えられて着座している被介助者M1を起立させる場合、起立軌跡の複数の区間のうち被介助者M1がトレーニングしたい身体部位に応じた区間において、保持部23の速度が、被介助者M1にかかる負担に応じた速度となるように駆動部の速度を制御する。これにより、被介助者M1が起立する場合に、所望の身体部位もトレーニングする際に、そのトレーニングしたい身体部位にかかる負荷を容易に調整することができる。
また、保持部23は、基台21に設けられ駆動部によって互いに相対移動が可能である複数のアーム22a,22b,22cを備えたロボットアーム部22の先端部に設けられ被介助者を支える。記憶装置27(記憶部)は、保持部23に支えられて着座している被介助者M1を起立させる場合において、被介助者M1の移動制御部位が通過する起立軌跡を示す起立軌跡用基準データと、保持部23に支えられて起立している被介助者M1を着座させる場合において、起立軌跡と異なる軌跡であって被介助者M1の移動制御部位が通過する着座軌跡を示す着座軌跡用基準データと、を記憶している。駆動制御部26dは、駆動部を駆動させて、ロボットアーム部22を起立軌跡用基準データおよび着座軌跡用基準データに基づいて駆動する。起立軌跡は、被介助者M1を起立させる動作である起立動作の開始時点以降の早い時点から起立動作の終了時点までの間において被介助者M1の重心位置Gが被介助者M1の両足の裏の範囲A内に存在するように設定されている。着座軌跡は、被介助者M1を着座させる動作である着座動作の開始時点以降の早い時点から被介助者M1の重心位置Gが被介助者M1の両足の裏の範囲A内から外れ被介助者M1の着座予定位置(着座部)側に移動するように設定されている。
これにより、被介助者M1の移動制御部位が起立軌跡に沿うように被介助者M1を起立させる場合、健常者が起立する場合と同様に、重心位置Gが、起立動作開始の早い時点から両足の裏の範囲A内に入り、それ以降から起立動作の終了時点まではその範囲A内に入っている。したがって、被介助者M1は介助なしで起立するときと同様な感覚(フィーリング)で起立を補助される。よって、被介助者M1に違和感を与えることなく、起立させることができる。
一方、被介助者M1の移動制御部位が着座軌跡に沿うように被介助者M1を着座させるとき、健常者が着座する場合と同様に、重心位置Gが、着座動作開始の早い時点から両足の裏の範囲A内から外れその後被介助者M1の着座予定位置側に移動する。したがって、被介助者M1は介助なしで着座するときと同様な感覚(フィーリング)で着座を補助される。よって、被介助者M1に違和感を与えることなく、着座させることができる。
なお、上述した着座軌跡は、図10に示すものに限られない。例えば、図17に示すように、図10に示すものに比べて前傾して着座する着座軌跡もある。この場合も図10に示す場合と同様に、起立軌跡より下方に位置するとともに、被介助者M1を着座させる動作である着座動作の開始時点以降の早い時点から被介助者M1の重心位置が被介助者M1の両足の裏の範囲A内から外れる。