ところで、上記空調システムでは、蒸発器に空気中の水分が付着して着霜し、冷却能力が著しく低下する虞がある。そのため、冷却能力が著しく低下する前に、蒸発器を加熱して蒸発器に付着した霜を除去するデフロスト動作を行う必要がある。
しかしながら、デフロスト動作では、蒸発器の周辺空気も加熱されるため、試験室への空気の供給を止めた状態でデフロスト動作を行う必要がある。一方、試験室に冷却空気が供給されなくなると、試験室の温度が上昇してしまう。つまり、デフロスト動作中には、試験室の室内空気温度を所望の温度(低温)に維持できない。そのため、上記空調システムでは、デフロスト動作を行う際には、試験を中止しなければならなかった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、恒温室の室内空気温度を制御する空調システムであって、デフロスト動作中でも室内空気温度を所望の温度に制御可能な空調システムを提供することにある。
第1の発明は、恒温室(1)の室内空気温度を所望の温度に制御する空調システムであって、上記恒温室(1)に接続されたケーシング(30,50)と該ケーシング(30,50)内に設けられて冷媒回路(91〜96)に接続された複数の熱交換器(21〜26,41〜46)とをそれぞれ有し、該複数の熱交換器(21〜26,41〜46)を蒸発器として機能させて冷却した空気を上記恒温室(1)に供給する冷却モードと、上記複数の熱交換器(21〜26,41〜46)を加熱して除霜するデフロスト動作を含み、上記恒温室(1)に空気を供給しない待機モードとが切換可能に構成された2つの冷却ユニット(20,40)と、上記各冷却ユニット(20,40)が上記冷却モードと上記待機モードとに交互に切り換わると共に、上記2つの冷却ユニット(20,40)の一方が上記冷却モードの際に他方が上記待機モードとなるように、上記2つの冷却ユニット(20,40)の運転モードを制御する制御部(60)とを備え、上記各冷却ユニット(20,40)において、上記複数の熱交換器(21〜26,41〜46)は、上記ケーシング(30,50)内に形成される空気流れに対して互いに並列に配置され、上記冷媒回路(91〜96)は、上記各冷却ユニット(20,40)が有する上記熱交換器(21〜26,41〜46)と同数設けられ、上記2つの冷却ユニット(20,40)の上記複数の熱交換器(21〜26,41〜46)は、それぞれ1つずつ対にして対応する上記冷媒回路(91〜96)に互いに並列に接続されている。
第1の発明では、2つの冷却ユニット(20,40)の一方において、複数の熱交換器(21〜26,41〜46)を加熱して除霜するデフロスト動作を含む恒温室(1)に空気を供給しない待機モードとなるときには、他方が、複数の熱交換器(21〜26,41〜46)を蒸発器として機能させて冷却した空気を恒温室(1)に供給する冷却モードとなるように構成されている。また、各冷却ユニット(20,40)において、冷却モードと待機モードとが交互に切り換わるように構成されている。つまり、2つの冷却ユニット(20,40)のいずれかが、必ず、複数の熱交換器(21〜26,41〜46)を蒸発器として機能させて冷却した空気を恒温室(1)に供給する冷却モードとなる。
また、第1の発明では、2つの冷却ユニット(20,40)の複数の熱交換器(21〜26,41〜46)が、それぞれ1つずつ対にして対応する冷媒回路(91〜96)に互いに並列に接続されているため、各冷媒回路(91〜96)において冷媒の流通経路を変更するだけで、2つの冷却ユニット(20,40)の対応する2つの熱交換器において蒸発器として機能する熱交換器が変更される。
第2の発明は、恒温室(1)の室内空気温度を所望の温度に制御する空調システムであって、上記恒温室(1)に接続されたケーシング(30,50)と該ケーシング(30,50)内に設けられて冷媒回路(91〜96)に接続された複数の熱交換器(21〜26,41〜46)とをそれぞれ有し、該複数の熱交換器(21〜26,41〜46)を蒸発器として機能させて冷却した空気を上記恒温室(1)に供給する冷却モードと、上記複数の熱交換器(21〜26,41〜46)を加熱して除霜するデフロスト動作を含み、上記恒温室(1)に空気を供給しない待機モードとが切換可能に構成された2つの冷却ユニット(20,40)と、上記各冷却ユニット(20,40)が上記冷却モードと上記待機モードとに交互に切り換わると共に、上記2つの冷却ユニット(20,40)の一方が上記冷却モードの際に他方が上記待機モードとなるように、上記2つの冷却ユニット(20,40)の運転モードを制御する制御部(60)とを備え、上記冷媒回路(91〜96)は、上記各冷却ユニット(20,40)が有する上記熱交換器(21〜26,41〜46)と同数設けられ、上記2つの冷却ユニット(20,40)の上記複数の熱交換器(21〜26,41〜46)は、それぞれ1つずつ対にして対応する上記冷媒回路(91〜96)に互いに並列に接続され、上記各冷却ユニット(20,40)は、上記ケーシング(30,50)内に設けられ、該ケーシング(30,50)の空気の流入部(30b,50b)から流出部(30c,50c)へ上記複数の熱交換器(21〜26,41〜46)を通過する空気流れを形成する送風ファン(29,49)と、上記ケーシング(30,50)の上記流出部(30c,50c)と上記恒温室(1)とを接続する供給通路(31,51)と、上記ケーシング(30,50)の上記流出部(30c,50c)と上記流入部(30b,50b)とを接続するバイパス通路(33,53)と、上記供給通路(31,51)に設けられた開度調節可能な給気ダンパ(34,54)と、上記バイパス通路(33,53)に設けられた開度調節可能なバイパスダンパ(35,55)とをそれぞれ有し、上記制御部(60)は、上記各冷却ユニット(20,40)において、上記冷却モード中には、上記給気ダンパ(34,54)を最大開度に制御すると共に上記バイパスダンパ(35,55)を最小開度に制御し、上記デフロスト動作中には、上記給気ダンパ(34,54)を最小開度に制御すると共に上記バイパスダンパ(35,55)を最大開度に制御するように構成されている。
第3の発明は、第1の発明において、上記各冷却ユニット(20,40)は、上記ケーシング(30,50)内に設けられ、該ケーシング(30,50)の空気の流入部(30b,50b)から流出部(30c,50c)へ上記複数の熱交換器(21〜26,41〜46)を通過する空気流れを形成する送風ファン(29,49)と、上記ケーシング(30,50)の上記流出部(30c,50c)と上記恒温室(1)とを接続する供給通路(31,51)と、上記ケーシング(30,50)の上記流出部(30c,50c)と上記流入部(30b,50b)とを接続するバイパス通路(33,53)と、上記供給通路(31,51)に設けられた開度調節可能な給気ダンパ(34,54)と、上記バイパス通路(33,53)に設けられた開度調節可能なバイパスダンパ(35,55)とをそれぞれ有し、上記制御部(60)は、上記各冷却ユニット(20,40)において、上記冷却モード中には、上記給気ダンパ(34,54)を最大開度に制御すると共に上記バイパスダンパ(35,55)を最小開度に制御し、上記デフロスト動作中には、上記給気ダンパ(34,54)を最小開度に制御すると共に上記バイパスダンパ(35,55)を最大開度に制御するように構成されている。
第2及び第3の発明では、冷却モード中の冷却ユニット(20,40)では、供給通路(31,51)に設けられた給気ダンパ(34,54)が最大開度に制御されると共に、バイパス通路(33,53)に設けられたバイパスダンパが最小開度に制御される。これにより、冷却モード中の冷却ユニット(20,40)では、冷却空気が供給通路(31,51)を介して恒温室(1)に供給される。一方、デフロスト動作中の冷却ユニット(20,40)では、給気ダンパ(34,54)が最小開度に制御されると共にバイパスダンパ(35,55)が最大開度に制御される。これにより、デフロスト動作中の冷却ユニット(20,40)では、複数の熱交換器(21〜26,41〜46)を加熱した比較的高温の空気が、供給通路(31,51)を介して恒温室(1)に供給されることなく、バイパス通路(33,53)を介して流出部(30c,50c)から流入部(30b,50b)に返送されて、ケーシング(30,50)内を循環することとなる。
第4の発明は、第2又は第3の発明において、上記制御部(60)は、上記各冷却ユニット(20,40)において運転モードを切り換える際に、上記待機モードから上記冷却モードに切り換える冷却切換中の冷却ユニット(20,40)には、蒸発器として機能する上記熱交換器(21〜26,41〜46)の台数を段階的に増加させ、上記給気ダンパ(34,54)の開度を徐々に増加させると共に上記バイパスダンパ(35,55)の開度を徐々に減少させる冷却切換動作を行わせ、上記冷却モードから上記待機モードに切り換える待機切換中の冷却ユニット(20,40)には、蒸発器として機能する上記熱交換器(21〜26,41〜46)の台数を上記冷却切換中の冷却ユニット(20,40)で増加させた分だけ減少させ、上記給気ダンパ(34,54)の開度を徐々に減少させると共に上記バイパスダンパ(35,55)の開度を徐々に増加させる待機切換動作を行わせるように構成されている。
第4の発明では、各冷却ユニット(20,40)において運転モードの切換時に、待機モードから冷却モードに切り換える冷却切換中の冷却ユニット(20,40)では、蒸発器として機能する熱交換器(21〜26,41〜46)の台数を段階的に増加させる一方、冷却モードから待機モードに切り換える待機切換中の冷却ユニット(20,40)では、蒸発器として機能する熱交換器(21〜26,41〜46)の台数を冷却切換中の冷却ユニット(20,40)で増加させた分だけ減少させるように構成されている。これにより、冷却切換中の冷却ユニット(20,40)では、空気を冷却する冷却能力が段階的に増える一方、待機切換中の冷却ユニット(20,40)では、空気を冷却する冷却能力が、冷却切換中の冷却ユニット(20,40)で増えた分だけ、減少する。
また、第4の発明では、冷却切換中の冷却ユニット(20,40)では、給気ダンパ(34,54)の開度を徐々に増加させると共にバイパスダンパ(35,55)の開度を徐々に減少させる一方、待機切換中の冷却ユニット(20,40)では、給気ダンパ(34,54)の開度を徐々に減少させると共にバイパスダンパ(35,55)の開度を徐々に増加させるように構成されている。これにより、2つの冷却ユニット(20,40)の冷却能力の増減に伴い、冷却能力が段階的に増える冷却切換中の冷却ユニット(20,40)では恒温室(1)に供給される冷却空気の風量が徐々に(比例的に)増え、冷却能力が段階的に減る待機切換中の冷却ユニット(20,40)では恒温室(1)に供給される冷却空気の風量が徐々に(比例的に)減っていく。
このように、第4の発明では、2つの冷却ユニット(20,40)において運転モードの切換時に、一息に切り換えるのではなく、冷却能力と給気量を、一方の冷却ユニット(20,40)では徐々に増加させ、他方の冷却ユニット(40,20)では、一方の冷却ユニット(20,40)で増加させた分だけ低減することにより、切換動作が緩やかに行われることとなる。よって、切換動作によって、恒温室(1)に供給される冷却空気の温度及び給気量が大きく変動しない。
第5の発明は、第4の発明において、上記制御部(60)は、上記各冷却ユニット(20,40)において運転モードを切り換える際に、上記冷却切換中の冷却ユニット(20,40)において蒸発器として機能する上記熱交換器(21〜26,41〜46)の台数を増やす動作を、上記待機切換中の冷却ユニット(20,40)において蒸発器として機能する上記熱交換器(21〜26,41〜46)の台数を減らす動作よりも先に行わせるように構成されている。
第5の発明では、各冷却ユニット(20,40)において運転モードの切換時に、冷却切換中の冷却ユニット(20,40)において蒸発器として機能する熱交換器(21〜26,41〜46)の台数を増やす動作を、待機切換中の冷却ユニット(20,40)において蒸発器として機能する熱交換器(21〜26,41〜46)の台数を減らす動作よりも先に行わせるように構成されている。これにより、2つの冷却ユニット(20,40)の複数の熱交換器(21〜26,41〜46)がそれぞれ1つずつ対にして互いに並列に接続された各冷媒回路(91〜96)において、蒸発器として機能する熱交換器(21〜26,41〜46)を変更する際に、冷媒が流れていなかった一方の冷却ユニット(20,40)の熱交換器に先に冷媒を流通させてから、冷媒が流れていた他方の冷却ユニット(40,20)の熱交換器への冷媒の流通を阻止することとなる。
第6の発明は、第2乃至第5のいずれか1つの発明において、上記各冷却ユニット(20,40)は、上記ケーシング(30,50)内に設けられて空気を冷却する冷却器(27,47)を有し、上記制御部(60)は、上記各冷却ユニット(20,40)の上記待機モードにおいて、上記デフロスト動作の終了後に、上記ケーシング(30,50)内の空気を上記冷却器(27,47)で冷却するプレクール動作を行わせるように構成されている。
ところで、各冷却ユニット(20,40)は、複数の熱交換器(21〜26,41〜46)を有し、これらの熱交換器(21〜26,41〜46)は送風ファン(29,49)と共にケーシング(30,50)内に収容されている。そして、デフロスト動作中、複数の熱交換器(21〜26,41〜46)を加熱した比較的高温の空気は、ケーシング(30,50)内において循環するように構成されている。そのため、デフロスト動作の終了後に、すぐに冷却モードに切り換えると、ケーシング(30,50)内の空気はすぐには冷却されないため、ケーシング(30,50)内の比較的高温の空気が恒温室(1)に供給され、恒温室(1)の温度を上昇させてしまう虞がある。
そこで、第6の発明では、各冷却ユニット(20,40)の待機モードにおいて、デフロスト動作の終了後に、ケーシング(30,50)内の空気を冷却器(27,47)で冷却するプレクール動作を行うこととしている。このプレクール動作により、デフロスト動作中に加熱されて昇温したケーシング(30,50)内の空気が冷却器(27,47)によって冷却される。そして、プレクール動作の終了後に、待機モードから冷却モードに切り換えることとしたため、ケーシング(30,50)内の空気が十分に冷却した後に、ケーシング(30,50)内の空気の恒温室(1)への供給(給気)が開始されることとなる。
第7の発明は、第6の発明において、上記制御部(60)は、上記待機モードから上記冷却モードに切り換える冷却切換中の冷却ユニット(20,40)において、上記ケーシング(30,50)内の空気を上記冷却器(27,47)で冷却する補助冷却動作を行わせるように構成されている。
ところで、待機モードから冷却モードへ切り換える冷却切換中の冷却ユニット(20,40)では、複数の熱交換器(21〜26,41〜46)の一部の熱交換器(21〜26,41〜46)が蒸発器として機能して空気を冷却しており、空気を冷却する熱交換器(21〜26,41〜46)の台数は、時間の経過と共に増加するため、空気を冷却する能力も時間の経過と共に増加する。しかしながら、冷媒が流れ始めたばかりの熱交換器(21〜26,41〜46)では冷却能力が低いため、冷却切換中の冷却ユニット(20,40)の冷却能力は、待機切換前の冷却モードを実行していた冷却ユニット(20,40)の冷却能力に比して低くなる。
そこで、第7の発明では、冷却切換中の冷却ユニット(20,40)において、複数の熱交換器(21〜26,41〜46)の一部の熱交換器(21〜26,41〜46)で空気を冷却する他、プレクール動作で用いた冷却器(27,47)を用いて空気を冷却する補助冷却動作を行わせることとした。これにより、冷却切換中の冷却ユニット(20,40)の冷却能力が、待機切換前の冷却モードを実行していた冷却ユニット(20,40)の冷却能力に比して低下することがない。
第1の発明によれば、複数の熱交換器(21〜26,41〜46)を蒸発器として機能させて冷却した空気を恒温室(1)に供給する冷却モードを実行可能な冷却ユニットを2つ設け、一方がデフロスト動作を含む恒温室(1)に空気を供給しない待機モードとなるときには、他方が冷却モードとなるように構成した。このような構成によれば、2つの冷却ユニット(20,40)のいずれかが、必ず、複数の熱交換器(21〜26,41〜46)を蒸発器として機能させて冷却した空気を恒温室(1)に供給する冷却モードとなるため、一方の冷却ユニット(20,40)がデフロスト動作中であっても、他方の冷却ユニット(40,20)によって、恒温室(1)の室内空気温度を所望の温度に制御することができる。
また、第1の発明によれば、2つの冷却ユニット(20,40)の複数の熱交換器(21〜26,41〜46)が、それぞれ1つずつ対にして対応する冷媒回路(91〜96)に互いに並列に接続されているため、各冷媒回路(91〜96)において冷媒の流通経路を変更するだけで、2つの冷却ユニット(20,40)の対応する2つの熱交換器において蒸発器として機能する熱交換器を変更することができる。従って、2つの冷却ユニット(20,40)の運転モードの変更が容易に行うことができる。また、2つの冷却ユニット(20,40)において、冷媒回路(91〜96)を共有することにより、空調システム(10)における装置点数を低減することができるため、製造コストの削減とシステムの小型化を図ることができる。
また、第2及び第3の発明によれば、各冷却ユニット(20,40)において、給気ダンパ(34,54)及びバイパスダンパ(35,55)の開度を調節することにより、容易に冷却ユニット(20,40)から恒温室(1)に冷却空気を供給する冷却モードと、冷却ユニット(20,40)から恒温室(1)に空気を供給せずに、冷却ユニット(20,40)のケーシング(30,50)内において比較的高温に加熱された空気を循環させるデフロスト動作とを容易に切り換えることができる。
また、第2及び第3の発明によれば、デフロスト動作中の冷却ユニット(20,40)において、複数の熱交換器(21〜26,41〜46)を加熱した比較的高温の空気が、供給通路(31,51)を介して恒温室(1)に供給されることなく、バイパス通路(33,53)を介して流出部(30c,50c)から流入部(30b,50b)に返送されてケーシング(30,50)内を循環するように構成されている。このような構成によれば、比較的高温の空気を再び複数の熱交換器(21〜26,41〜46)の除霜に利用することができる。従って、デフロスト動作中に消費するエネルギーを低減することができる。
また、第4の発明よれば、各冷却ユニット(20,40)において運転モードの切換時に、待機モードから冷却モードに切り換える冷却切換中の冷却ユニット(20,40)では、空気を冷却する冷却能力が段階的に増える一方、待機切換中の冷却ユニット(20,40)では、空気を冷却する冷却能力が、冷却切換中の冷却ユニット(20,40)で増えた分だけ、減少するように構成している。また、この2つの冷却ユニット(20,40)の冷却能力の増減に伴い、冷却能力が段階的に増える冷却切換中の冷却ユニット(20,40)では恒温室(1)に供給される冷却空気の風量が徐々に(比例的に)増え、冷却能力が段階的に減る待機切換中の冷却ユニット(20,40)では恒温室(1)に供給される冷却空気の風量が徐々に(比例的に)減るように構成している。このように、2つの冷却ユニット(20,40)において運転モードの切換時に、一息に切り換えるのではなく、冷却能力と給気量を、一方の冷却ユニット(20,40)では徐々に増加させ、他方の冷却ユニット(40,20)では、一方の冷却ユニット(20,40)で増加させた分だけ低減することにより、切換動作が徐々に行われることとなる。これにより、切換動作によって、恒温室(1)に供給される冷却空気の温度及び給気量が大きく変動しない。従って、運転モードを切り換える際においても、恒温室(1)の室内空気温度を所望の温度に安定させることができる。
また、第5の発明によれば、各冷却ユニット(20,40)において運転モードの切換時に、冷却切換中の冷却ユニット(20,40)において蒸発器として機能する熱交換器(21〜26,41〜46)の台数を増やす動作を、待機切換中の冷却ユニット(20,40)において蒸発器として機能する熱交換器(21〜26,41〜46)の台数を減らす動作よりも先に行わせるように構成することとした。つまり、2つの冷却ユニット(20,40)の複数の熱交換器(21〜26,41〜46)がそれぞれ1つずつ対にして互いに並列に接続された各冷媒回路(91〜96)において、蒸発器として機能する熱交換器(21〜26,41〜46)を変更する際に、冷媒が流れていなかった一方の冷却ユニット(20,40)の熱交換器に先に冷媒を流通させてから、冷媒が流れていた他方の冷却ユニット(40,20)の熱交換器への冷媒の流通を阻止することとした。これにより、各冷媒回路(91〜96)における冷媒の循環を止めることなく、円滑に蒸発器として機能する熱交換器(21〜26,41〜46)を変更することができる。
また、第6の発明によれば、各冷却ユニット(20,40)の待機モードにおいて、デフロスト動作の終了後に、ケーシング(30,50)内の空気を冷却器(27,47)で冷却するプレクール動作を行うこととしている。このプレクール動作により、デフロスト動作中に加熱されて昇温したケーシング(30,50)内の空気が冷却器(27,47)によって冷却される。そして、プレクール動作の終了後に、待機モードから冷却モードに切り換えることとしたため、ケーシング(30,50)内の空気が十分に冷却した後に、ケーシング(30,50)内の空気の恒温室(1)への供給(給気)が開始されることとなる。従って、冷却切換動作中又は冷却モードの実行時に、ケーシング(30,50)内に比較的高温の空気が残留して、この高温の空気が恒温室(1)に供給されて恒温室(1)の空気温度を上昇させることがなく、恒温室(1)の室内温度を所望の温度に安定的に制御することができる。
また、第7の発明によれば、冷却切換中の冷却ユニット(20,40)において、複数の熱交換器(21〜26,41〜46)の一部の熱交換器(21〜26,41〜46)で空気を冷却する他、プレクール動作で用いた冷却器(27,47)を用いて空気を冷却する補助冷却動作を行わせることとした。これにより、待機切換前の冷却モードを実行していた冷却ユニット(20,40)に比して冷却能力が低下しがちな冷却切換中の冷却ユニット(20,40)において、冷却器(27,47)で補助的に空気を冷却することにより、切換動作による冷却能力の低下を回避することができる。
以下、本発明の実施形態に係る空調システムについて図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《発明の実施形態1》
図1に示すように、空調システム(10)は、所定の環境条件下での製品(100)の耐久性や性能を試験するための環境試験室からなる恒温室(1)に設けられ、恒温室(1)の室内空間(S1)に冷却した冷却空気を供給することによって該恒温室(1)の室内空間(S1)の空気温度を所定温度に制御するように構成されている。なお、本実施形態1では、恒温室(1)の室内空間(S1)には、製品(100)として空気調和装置の室外機が設置されている。また、本実施形態1では、恒温室(1)の室内空間(S1)を低外気高湿度の環境にして空気調和装置の耐久性及び性能を試験するため、室内空間(S1)に加湿器(6)が設けられている。
恒温室(1)の側壁には、第1及び第2給気口(4a,4b)と第1及び第2還気口(5a,5b)とが形成されている。第1及び第2給気口(4a,4b)は、側壁の上下方向の中程に形成され、第1及び第2還気口(5a,5b)は、側壁の上部に形成されている。なお、図1では、第1給気口(4a)と第2給気口(4b)とは、高さが異なるように図示されているが、実際には同じ高さ位置に形成されている。また、第1還気口(5a)と第2還気口(5b)も、図1では、高さが異なるように図示されているが、実際には同じ高さ位置に形成されている。
また、恒温室(1)の室内空間(S1)の第1及び第2給気口(4a,4b)を含む一部は、区画壁(2)によって覆われ、空気の流入空間(S10)に構成されている。流入空間(S10)は、第1及び第2還気口(5a,5b)の下方に設けられた天井板によって上端が閉塞されている。区画壁(2)には、下部に、流入空間(S10)の空気を室内空間(S1)に空気を導く吹出口(2a)が形成されている。また、流入空間(S10)には仕切壁(3)が設けられ、該流入空間(S10)は、該仕切壁(3)によって、第1及び第2給気口(4a,4b)側の導入空間(S11)と吹出口(2a)側の混合空間(S12)とに仕切られている。仕切壁(3)には、導入空間(S11)と混合空間(S12)とを連通させる連通口(3a)が形成されている。
このような構成により、第1及び第2給気口(4a,4b)を介して流入空間(S10)の導入空間(S11)に供給された冷却空気は、該導入空間(S11)から仕切壁(3)に形成された1つの連通口(3a)を通過して混合空間(S12)に流入することにより、混合空間(S12)で混ざり合う。そして、吹出口(2a)を介して室内空間(S1)の試験用の装置(100)が設置された付近に向かって吹き出される。なお、上記加湿器(6)は、混合空間(S12)に設置されている。
−空調システムの全体構成−
空調システム(10)は、第1及び第2冷却ユニット(20,40)と、第1〜第7熱源ユニット(81〜87)と、制御部(60)とを備えている。詳細については後述するが、第1及び第2冷却ユニット(20,40)は、それぞれ7つの熱交換器(21〜27,41〜47)を有し、各冷却ユニット(20,40)の7つの熱交換器(21〜27,41〜47)は、それぞれ1つずつ対にして対応する熱源ユニット(81〜87)の熱源回路に接続されて蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う第1〜第7冷媒回路(91〜97)を構成している。つまり、空調システム(10)は、第1及び第2冷却ユニット(20,40)の7つの熱交換器(21〜27,41〜47)と各熱源ユニット(81〜87)が接続された第1〜第7冷媒回路(91〜97)を備えている。
〈冷却ユニット〉
第1及び第2冷却ユニット(20,40)は、同様に構成されている。第1及び第2冷却ユニット(20,40)は、ケーシング(30,50)と、第1〜第7熱交換器(21〜27,41〜47)と、加熱器(28,48)と、送風ファン(29,49)と、給気ダクト(31,51)と、還気ダクト(32,52)と、バイパスダクト(33,53)と、給気ダンパ(34,54)と、バイパスダンパ(35,55)とをそれぞれ備えている。
ケーシング(30,50)は、本体部(30a,50a)と、流入部(30b,50b)と、流出部(30c,50c)とを備えている。本体部(30a,50a)と流入部(30b,50b)と流出部(30c,50c)とは、いずれも箱状に形成され、本体部(30a,50a)の長手方向の一方側(図1では左側)に流入部(30b,50b)が形成され、本体部(30a,50a)の長手方向の他方側(図1では右側)に流出部(30c,50c)が形成されている。
本体部(30a,50a)は、横長に形成されている。本体部(30a,50a)は、長手方向の一端部に、流入部(30b,50b)から空気が流入するように、流入部(30b,50b)が接続されている。また、本体部(30a,50a)は、長手方向の他端部に、流出部(30c,50c)へ空気が流出するように、流出部(30c,50c)が接続されている。本体部(30a,50a)の内部には、第1〜第7熱交換器(21〜27,41〜47)と加熱器(28,48)と送風ファン(29,49)とが収容され、長手方向の一方側から他方側に向かって上述の順序で設けられている。
流入部(30b,50b)は、縦長に形成され、上面に還気ダクト(32,52)が接続される還気ポートが形成され、上部側面にバイパスダクト(33,53)が接続されるバイパスポートが形成されている。流入部(30b,50b)は、下部において本体部(30a,50a)の長手方向の一端部(図1では左端部)と連通している。
流出部(30c,50c)は、一端部(図1では左端部)が本体部(30a,50a)の長手方向の他端部(図1では右端部)と連通するように設けられている。また、流出部(30c,50c)は、側面に給気ダクト(31,51)が接続される給気ポートが形成され、上面にバイパスダクト(33,53)が接続されるバイパスポートが形成されている。
このような構成により、ケーシング(30,50)では、流入部(30b,50b)の上部に導入された空気が下方に向かって流れ、流入部(30b,50b)の下部において本体部(30a,50a)に流入し、本体部(30a,50a)の長手方向の一方側から他方側へ流れて流出部(30c,50c)を介して流出する。
第1〜第7熱交換器(21〜27,41〜47)は、本体部(30a,50a)の幅方向(図1では上下方向)に一列に並べられ、流入部(30b,50b)から本体部(30a,50a)に流入した空気が各熱交換器(21〜27,41〜47)に分かれて流入するように設けられている。第1〜第7熱交換器(21〜27,41〜47)は、それぞれ対応する第1〜第7冷媒回路(91〜97)に接続されている。第1〜第7冷媒回路(91〜97)の詳細については後述する。各熱交換器(21〜27,41〜47)は、フィンアンドチューブ型の熱交換器によって構成され、チューブ内部を流れる冷媒と外部を通過する空気とを熱交換させる。なお、本実施形態1では、各冷却ユニット(20,40)において、第1〜第6熱交換器(21〜26,41〜46)は、後述する冷却モードにおいて空気を冷却する冷却モード用の熱交換器を構成し、第7熱交換器(27,47)は、後述する待機モードにおいて各ケーシング(30,50)内の空気を冷却するプレクール動作用の冷却器を構成する。
加熱器(28,48)は、本実施形態1では、電気ヒータによって構成され、通電時に、通過する空気を加熱する。
送風ファン(29,49)は、本体部(30a,50a)において、流入部(30b,50b)から空気を吸込み、流出部(30c,50c)へ空気を吹き出し、ケーシング(30,50)の内部において、流入部(30b,50b)から本体部(30a,50a)を経由して流出部(30c,50c)へ流れる空気流れを形成する。
給気ダクト(31,51)は、一端が、ケーシング(30,50)の流出部(30c,50c)に形成された給気ポートに接続され、他端が、恒温室(1)の側壁に形成された第1及び第2給気口(4a,4b)に接続されている。具体的には、第1冷却ユニット(20)の給気ダクト(31)は、ケーシング(30)の流出部(30c)の給気ポートと恒温室(1)の第1給気口(4a)とを接続し、第2冷却ユニット(40)の給気ダクト(51)は、ケーシング(50)の流出部(50c)の給気ポートと恒温室(1)の第2給気口(4b)とを接続している。
還気ダクト(32,52)は、一端が、恒温室(1)の側壁に形成された第1及び第2還気口(5a,5b)に接続され、他端が、ケーシング(30,50)の流入部(30b,50b)に形成された還気ポートに接続されている。具体的には、第1冷却ユニット(20)の還気ダクト(32)は、恒温室(1)の第1還気口(5a)とケーシング(30)の流入部(30b)の還気ポートとを接続し、第2冷却ユニット(40)の還気ダクト(52)は、恒温室(1)の第2還気口(5b)とケーシング(50)の流入部(50b)の還気ポートとを接続している。
バイパスダクト(33,53)は、一端が、ケーシング(30,50)の流出部(30c,50c)に形成されたバイパスポートに接続され、他端が、ケーシング(30,50)の流入部(30b,50b)に形成されたバイパスポートに接続されている。つまり、バイパスダクト(33,53)は、ケーシング(30,50)の流出部(30c,50c)と流入部(30b,50b)とを接続している。
給気ダンパ(34,54)は、開度調節可能なダンパである。給気ダンパ(34,54)は、給気ダクト(31,51)に設けられて該給気ダクト(31,51)の開度を調節することにより、給気ダクト(31,51)を介して恒温室(1)に供給される冷却空気の供給量(給気風量)を調節する。
バイパスダンパ(35,55)は、開度調節可能なダンパである。バイパスダンパ(35,55)は、バイパスダクト(33,53)に設けられて該バイパスダクト(33,53)の開度を調節することにより、バイパスダクト(33,53)を介してケーシング(30,50)の流出部(30c,50c)から流入部(30b,50b)へ戻される空気の返送量(返送風量)を調節する。バイパスダンパ(35,55)を開くと、ケーシング(30,50)を流れる空気の少なくとも一部が流出部(30c,50c)から流入部(30b,50b)へ戻され、ケーシング(30,50)の流入部(30b,50b)と流出部(30c,50c)との間において空気が循環することとなる。
第1及び第2冷却ユニット(20,40)の加熱器(28,48)の加熱能力、送風ファン(29,49)の運転と、給気ダンパ(34,54)及びバイパスダンパ(35,55)の開度調節は、制御部(60)によって制御される。
〈熱源ユニット〉
第1〜第7熱源ユニット(81〜87)は、同様に構成されている。第1〜第7熱源ユニット(81〜87)は、圧縮機(71)と熱源側熱交換器(72)とが接続された熱源回路をそれぞれ有している(図2を参照)。なお、上述のように、第1〜第7熱源ユニット(81〜87)は、同様に構成されているため、図2では、第1熱源ユニット(81)のみを図示している。第1〜第7熱源ユニット(81〜87)の熱源回路は、それぞれ対応する第1〜第7冷媒回路(91〜97)に接続されている。第1熱源ユニット(81)は第1冷媒回路(91)に接続され、第2熱源ユニット(82)は第2冷媒回路(92)に接続され、第3熱源ユニット(83)は第3冷媒回路(93)に接続され、第4熱源ユニット(84)は第4冷媒回路(94)に接続され、第5熱源ユニット(85)は第5冷媒回路(95)に接続され、第6熱源ユニット(86)は第6冷媒回路(96)に接続され、第7熱源ユニット(87)は第7冷媒回路(97)に接続されている。
〈冷媒回路〉
第1〜第7熱源ユニット(81〜87)の熱源回路と、対応する第1及び第2冷却ユニット(20,40)の第1〜第7熱交換器(21〜27,41〜47)とが、それぞれ液配管(76)とガス配管(77)とによって接続されて7つの冷媒回路、第1〜第7冷媒回路(91〜97)が構成されている。なお、第1〜第7冷媒回路(91〜97)は、同様に構成されているため、図2では、第1冷媒回路(91)のみを図示している。
第1〜第7冷媒回路(91〜97)には、第1〜第7熱源ユニット(81〜87)の熱源回路が1つずつ接続され、また、第1及び第2冷却ユニット(20,40)の第1〜第7熱交換器(21〜27,41〜47)が、それぞれ1つずつ対にして並列に接続されている。
具体的には、第1冷媒回路(91)には、第1及び第2冷却ユニット(20,40)の第1熱交換器(21,41)が並列に接続され、第2冷媒回路(92)には、第1及び第2冷却ユニット(20,40)の第2熱交換器(22,42)が並列に接続され、第3冷媒回路(93)には、第1及び第2冷却ユニット(20,40)の第3熱交換器(23,43)が並列に接続され、第4冷媒回路(94)には、第1及び第2冷却ユニット(20,40)の第4熱交換器(24,44)が並列に接続され、第5冷媒回路(95)には、第1及び第2冷却ユニット(20,40)の第5熱交換器(25,45)が並列に接続され、第6冷媒回路(96)には、第1及び第2冷却ユニット(20,40)の第6熱交換器(26,46)が並列に接続され、第7冷媒回路(97)には、第1及び第2冷却ユニット(20,40)の第7熱交換器(27,47)が並列に接続されている。
各液配管(76)と各ガス配管(77)は、第1及び第2冷却ユニット(20,40)側が2つに分岐し、一方の分岐管(76a,77a)は、第1冷却ユニット(20)の対応する熱交換器(21〜27)に接続され、他方の分岐管(76b,77b)は、第2冷却ユニット(40)の対応する熱交換器(41〜47)に接続されている。また、各液配管(76)には、分岐部よりも熱源回路側に、膨張弁(73)がそれぞれ設けられている。また、各液配管(76)の第1冷却ユニット(20)側の分岐管(76a)には、電磁弁からなる第1開閉弁(74)が接続され、各液配管(76)の第2冷却ユニット(40)側の分岐管(76b)には、電磁弁からなる第2開閉弁(75)が接続されている。
以上のように、第1〜第7冷媒回路(91〜97)には、第1〜第7熱源ユニット(81〜87)の熱源回路が1つずつ接続され、また、第1及び第2冷却ユニット(20,40)の第1〜第7熱交換器(21〜27,41〜47)が、それぞれ1つずつ対にして並列に接続されている。つまり、第1及び第2冷却ユニット(20,40)の第1〜第7熱交換器(21〜27,41〜47)は、それぞれ1つずつ対にして対応する第1〜第7冷媒回路(91〜97)に接続されている。
第1〜第7冷媒回路(91〜97)の圧縮機(71)の運転と膨張弁(73)の開度調節と第1及び第2開閉弁(74,75)の開度調節とは、制御部(60)によって制御される。
〈制御部〉
制御部(60)は、第1及び第2冷却ユニット(20,40)において、冷却モードと待機モードとを交互に切り換えると共に、第1及び第2冷却ユニット(20,40)の一方が冷却モードの際には他方が待機モードになるように、第1及び第2冷却ユニット(20,40)の運転モードを制御するように構成されている。具体的には、制御部(60)は、空調システム(10)の各種制御機器、即ち、第1及び第2冷却ユニット(20,40)の加熱器(28,48)と送風ファン(29,49)と給気ダンパ(34,54)及びバイパスダンパ(35,55)、第1〜第7冷媒回路(91〜97)の圧縮機(71)と膨張弁(73)と第1及び第2開閉弁(74,75)の各動作を制御することにより、第1及び第2冷却ユニット(20,40)の運転モードを制御するように構成されている。具体的な制御動作については後述する。
本実施形態では、制御部(60)は、空調システム(10)の各種制御機器を本願で開示するように制御するマイクロコンピュータと、実施可能な制御プログラムが記憶されたメモリやハードディスク等とを含んでいる。なお、上記制御部(60)は、空調システム(10)の制御部の一例であり、制御部(60)の詳細な構造やアルゴリズムは、本発明に係る機能を実行するどのようなハードウェアとソフトウェアとの組み合わせであってもよい。
−運転動作−
制御部(60)は、空調システム(10)の各種制御機器の動作を制御して、各冷却ユニット(20,40)の運転モードを制御する。具体的には、制御部(60)は、各冷却ユニット(20,40)において、第1〜第6熱交換器(21〜26,41〜46)を蒸発器として機能させて冷却した空気を恒温室(1)に供給する冷却モードと、第1〜第6熱交換器(21〜26,41〜46)を加熱して除霜するデフロスト動作を含み、恒温室(1)に空気を供給しない待機モードとを交互に切り換える。また、制御部(60)は、第1及び第2冷却ユニット(20,40)の一方が冷却モードの際には、他方が待機モードとなるように、第1及び第2冷却ユニット(20,40)の運転モードを制御する。
なお、制御部(60)は、各冷却ユニット(20,40)における冷却モードにおいて、恒温室(1)の室内空気の設定温度X(例えば、−15℃)の冷却空気を生成し、該冷却空気を恒温室(1)に交互に供給するように各種制御機器の動作を制御する。
このように制御部(60)によって、第1及び第2冷却ユニット(20,40)において、交互に冷却モードが実行されることにより、恒温室(1)の室内空気の温度が設定温度X(例えば、−15℃)に維持される。
また、制御部(60)は、第1及び第2冷却ユニット(20,40)において運転モードを切り換える際に、冷却モードを行う冷却ユニット(20,40)が切り換えられることによって、恒温室(1)の室内空気温度が変動しないように、第1及び第2冷却ユニット(20,40)において所定の切換動作を行わせる。
以下、冷却モード、待機モード、運転モードを切り換える際の切換動作について図1,3〜5に基づいて詳細に説明する。なお、図1,4,5は、いずれも空調システム(10)の概略構成図であり、図1では、第1冷却ユニット(20)が冷却モード中、第2冷却ユニット(40)が待機モード中の空気の流れを矢印で示し、図4では、第1冷却ユニット(20)が待機モード中、第2冷却ユニット(40)が冷却モード中の空気の流れを矢印で示し、図5では、第1及び第2冷却ユニット(20,40)が共に切換動作を行っている際の空気の流れを矢印で示している。
〈冷却モード〉
制御部(60)は、第1冷却ユニット(20)において冷却モードを実行する際には、第1〜第6熱交換器(21〜26,41〜46)が接続された第1〜第6冷媒回路(91〜96)の第1開閉弁(74)を開状態に制御する一方、第2開閉弁(75)を閉状態に制御する。これにより、第1〜第6冷媒回路(91〜96)では、冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われ、第1〜第6熱交換器(21〜26)が蒸発器として機能する。一方、制御部(60)は、第2冷却ユニット(40)において冷却モードを実行する際には、上記第1〜第6冷媒回路(91〜96)の第1開閉弁(74)を閉状態に制御する一方、第2開閉弁(75)を開状態に制御する。これにより、第1〜第6冷媒回路(91〜96)では、冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われ、第1〜第6熱交換器(41〜46)が蒸発器として機能する。
制御部(60)は、第1及び第2冷却ユニット(20,40)において冷却モードを実行する際に、給気ダンパ(34,54)を最大開度に制御する一方、バイパスダンパ(35,55)を最小開度に制御して、送風ファン(29,49)を所定風量で運転させる。これにより、ケーシング(30,50)内では、流入部(30b,50b)から本体部(30a,50a)を通過して流出部(30c,50c)へ向かう空気流れが形成されると共に、還気ダクト(32,52)を介して流入部(30b,50b)に恒温室(1)の室内空間(S1)の空気が取り込まれる。
流入部(30b,50b)に取り込まれた空気は、流入部(30b,50b)の下部から本体部(30a,50a)に流入し、蒸発器として機能する第1〜第6熱交換器(21〜26,41〜46)を通過する際に、冷媒によって冷却される。第1〜第6熱交換器(21〜26,41〜46)で冷却された冷却空気は、電気ヒータからなる加熱器(28,48)を通過する際に温度調節された後、送風ファン(29,49)に吸い込まれて流出部(30c,50c)に吹き出される。
なお、電気ヒータからなる加熱器(28,48)は、制御部(60)によって、設定温度が、恒温室(1)の室内空気の設定温度X(例えば、−15℃)と同じ温度に設定され、給気温度が設定温度になるように、加熱能力(供給電力)が制御される。具体的には、制御部(60)は、流出部(30c,50c)に設けられた空気温度センサ(61,62)の検出温度が、恒温室(1)の室内空気の設定温度X(例えば、−15℃)になるように、加熱器(28,48)に供給される電力を制御する。
送風ファン(29,49)によって流出部(30c,50c)に吹き出された冷却空気は、給気通路(31,51)を介して恒温室(1)の室内空間(S1)の流入空間(S10)に供給される。具体的には、冷却空気は、給気通路(31,51)が接続された導入空間(S11)に流入し、仕切壁(3)の連通口(3a)を通過して混合空間(S12)に流入し、必要に応じて加湿器(6)によって加湿された後、吹出口(2a)から室内空間(S1)の試験用の装置(100)が設置された付近に向かって吹き出される。
〈待機モード〉
制御部(60)は、給気ダンパ(34,54)を最小開度に制御する一方、バイパスダンパ(35,55)を最大開度に制御することにより、給気通路(31,51)による各冷却ユニット(20,40)と恒温室(1)との連通を遮断する一方、各冷却ユニット(20,40)において、ケーシング(30,50)の流出部(30c,50c)と流入部(30a,50a)を連通させ、恒温室(1)に空気を供給しない待機モードを実行させる。待機モードでは、制御部(60)は、後述するデフロスト動作における水切動作(d)を除いて送風ファン(29,49)を、常時、所定風量で運転させる。これにより、待機モードでは、送風ファン(29,49)によって流出部(30c,50c)に吹き出された空気がバイパスダクト(33,53)を介して流入部(30b,50b)へ戻り、ケーシング(30,50)の流入部(30b,50b)と流出部(30c,50c)との間において空気が循環することとなる。
なお、第1冷却ユニット(20)が待機モードの際には、第2冷却ユニット(40)が冷却モードであり、制御部(60)によって、第1〜第6冷媒回路(91〜96)の第1開閉弁(74)が閉状態に制御され、第2開閉弁(75)が開状態に制御される。逆に、第2冷却ユニット(40)が待機モードの際には、第1冷却ユニット(20)が冷却モードであり、制御部(60)によって、第1〜第6冷媒回路(91〜96)の第1開閉弁(74)が開状態に制御され、第2開閉弁(75)が閉状態に制御される。
図3(A)及び(B)に示すように、制御部(60)は、待機モードにおいて、待機動作(a)と、デフロスト動作(b〜d)と、プレクール動作(e)とを実行する。
待機動作(a)は、待機切換動作の終了後、デフロスト動作(b〜d)を行う前に、制御部(60)によって、各種制御機器が、所定時間の間、待機切換動作の終了時の動作状態で維持される。待機動作(a)中の冷却ユニット(20,40)では、ケーシング(30,50)内において空気が加熱も冷却もされることなく、流入部(30b,50b)と流出部(30c,50c)との間を循環することとなる。
デフロスト動作(b〜d)は、加熱動作(b)と、送風動作(c)と、水切動作(d)とからなり、第1〜第6熱交換器(21〜26,41〜46)を加熱することにより、冷却モード中に第1〜第6熱交換器(21〜26,41〜46)に付着した霜を除去する動作である。デフロスト動作(b〜d)では、制御部(60)は、加熱動作(b)、送風動作(c)、水切動作(d)の順に動作を行う。
加熱動作(b)では、制御部(60)によって、加熱器(28,48)の設定温度が、恒温室(1)の室内空気の設定温度X(例えば、−15℃)から高温度Y(例えば、15℃)に設定が変更され、ケーシング(30)内において第1〜第6熱交換器(21〜26,41〜46)を通過する空気の温度が設定温度Yになるように、加熱器(28,48)の加熱能力(供給電力)が制御される。具体的には、制御部(60)は、流出部(30c,50c)に設けられた空気温度センサ(61,62)の検出温度が、設定温度Y(例えば、15℃)になるように、加熱器(28,48)に供給される電力を制御する。このように、加熱動作(b)では、高温度Y(例えば、15℃)の空気がケーシング(30)内を循環して第1〜第6熱交換器(21〜26,41〜46)を通過することにより、第1〜第6熱交換器(21〜26,41〜46)が通過空気によって加熱され、第1〜第6熱交換器(21〜26,41〜46)に付着した霜が融ける。
送風動作(c)では、制御部(60)によって、加熱器(28,48)の運転が停止される。これにより、ケーシング(30,50)の流入部(30b,50b)と流出部(30c,50c)との間において循環する空気が、加熱器(28,48)によって加熱されなくなる。しかしながら、加熱動作(b)の終了後しばらくの間、ケーシング(30,50)の流入部(30b,50b)と流出部(30c,50c)との間において循環する空気の温度は比較的高温度であるため、第1〜第6熱交換器(21〜26,41〜46)は、通過空気によって加熱され、第1〜第6熱交換器(21〜26,41〜46)に付着した霜が融けることとなる。
水切動作(d)では、制御部(60)によって、加熱器(28,48)の運転が停止されたまま、送風ファン(29,49)の運転も停止される。この水切動作(d)中は、ケーシング(30,50)内において空気が流れないようにすることで、加熱動作(b)及び送風動作(c)によって第1〜第6熱交換器(21〜26,41〜46)に付着した霜が融けてなる水を、第1〜第6熱交換器(21〜26,41〜46)の下方に設けられた図示しないドレンパンまで自重によって落下させ、ケーシング(30,50)内においてまき散らされないようにする。
プレクール動作(e)は、デフロスト動作(b〜d)によって高温度に加熱されたケーシング(30,50)内の空気を、プレクール動作用の冷却器を構成する第7熱交換器(27,47)で冷却する動作である。
具体的には、第1冷却ユニット(20)においてプレクール動作(e)を行う際には、制御部(60)によって、第7熱交換器(27,47)が接続された第7冷媒回路(97)の第1開閉弁(74)を開状態、第2開閉弁(75)を閉状態に制御した状態で、圧縮機(71)が起動され、該第7冷媒回路(97)において冷媒を循環させて第7熱交換器(27)を蒸発器として機能させる。これにより、ケーシング(30)の流入部(30b)と流出部(30c)との間において循環する空気が、第7熱交換器(27)を通過する際に冷却される。
一方、第2冷却ユニット(40)においてプレクール動作(e)を行う際には、制御部(60)によって、第7熱交換器(27,47)に接続された第7冷媒回路(97)の第1開閉弁(74)が閉状態、第2開閉弁(75)が開状態に制御された状態で、圧縮機(71)が起動され、該第7冷媒回路(97)において冷媒を循環させて第7熱交換器(47)を蒸発器として機能させる。これにより、ケーシング(50)の流入部(50b)と流出部(50c)との間において循環する空気が、第7熱交換器(47)を通過する際に冷却される。
このようなプレクール動作(e)により、デフロスト動作(b〜d)の終了後、冷却モードへの切換前に、ケーシング(30,50)内の空気を冷却する。
〈切換動作〉
図3及び図5に示すように、制御部(60)は、各冷却ユニット(20,40)において運転モードを切り換える際に、切換動作を実行する。具体的には、待機モードから冷却モードに切り換える冷却切換中の冷却ユニット(20,40)では、冷却モード用の第1〜第6熱交換器(21〜26,41〜46)のうち、蒸発器として機能する熱交換器の台数を段階的に増加させ、給気ダンパ(34,54)の開度を徐々に増加させる一方、バイパスダンパ(35,55)の開度を徐々に減少させる(図3の冷却切換動作)。一方、待機モードから冷却モードに切り換える待機切換中の冷却ユニット(20,40)では、冷却モード用の6つの熱交換器(21〜26,41〜46)のうち、蒸発器として機能する熱交換器の台数を、冷却切換中の冷却ユニット(20,40)で増加させた分だけ減少させ、給気ダンパ(54,34)の開度を徐々に減少させると共にバイパスダンパ(55,35)の開度を徐々に増加させる(図3の待機切換動作)。
例えば、第1冷却ユニット(20)の運転モードを冷却モードから待機モードに切り換え、第2冷却ユニット(40)の運転モードを待機モードから冷却モードに切り換える際には、制御部(60)は、第1〜第6熱交換器(21〜26,41〜46)が接続された第1〜第6冷媒回路(91〜96)の全てにおいて閉状態に制御されていた第2開閉弁(75)を、T分毎(例えば、1分毎)に1つずつ開いていき、また、第1〜第6冷媒回路(91〜96)の全てにおいて開状態に制御されていた第1開閉弁(74)を、T分毎(例えば、1分毎)に1つずつ閉じていく(図3(A)の待機切換動作、図3(B)の冷却切換動作を参照)。なお、制御部(60)は、各冷媒回路(91〜96)において、第2開閉弁(75)を開く制御を、第1開閉弁(74)を閉じる制御よりもt秒(例えば、5秒)だけ先に行う。
具体的には、制御部(60)は、切換動作において、まず、第1熱交換器(21,41)が接続された第1冷媒回路(91)の第2開閉弁(75)を開き、そのt秒後に該第1冷媒回路(91)の第1開閉弁(74)を閉じる。そして、第2熱交換器(22,42)が接続された第2冷媒回路(92)の第2開閉弁(75)を、第1冷媒回路(91)の第2開閉弁(75)を開いたT分後に開き、そのt秒後に該第2冷媒回路(92)の第1開閉弁(74)を閉じる。その後、同様に、第3冷媒回路(93)、第4冷媒回路(94)、第5冷媒回路(95)、第6冷媒回路(96)について、この順で、T分毎に、第2開閉弁(75)を開いたt秒後に第1開閉弁(74)を閉じる動作を行っていく。
これにより、切換動作前には、第1〜第6冷媒回路(91〜96)において第1冷却ユニット(20)の第1〜第6熱交換器(21〜26)の全てが蒸発器として機能し、第2冷却ユニット(40)の第1〜第6熱交換器(41〜46)の全てに冷媒が流れていなかったところ、この切換動作によって、蒸発器として機能する熱交換器の台数が、第2冷却ユニット(40)において1台ずつ増加し、その分、第1冷却ユニット(20)において1台ずつ減少していくこととなる。その結果、切換動作前には、第1冷却ユニット(20)でしか空気が冷却されていなかったところ(図1を参照)、この切換動作によって、第1冷却ユニット(20)及び第2冷却ユニット(40)の両方で空気が冷却されるようになり、その冷却能力が、第1冷却ユニット(20)では段階的に減り、第2冷却ユニット(40)では段階的に増えていく(図5を参照)。そして、切換動作の終了時には、第2冷却ユニット(40)のみで空気が冷却される状態となる(図4を参照)。
また、制御部(60)は、上記切換動作において、蒸発器として機能する熱交換器の台数を段階的に増やす第2冷却ユニット(40)では、給気ダンパ(54)の開度を徐々に(比例的に)増加させる一方、バイパスダンパ(55)の開度を徐々に(比例的に)減少させる(図3(B)の冷却切換動作を参照)。逆に、蒸発器として機能する熱交換器の台数を段階的に減らす第1冷却ユニット(20)では、給気ダンパ(34)の開度を徐々に(比例的に)減少させる一方、バイパスダンパ(35)の開度を徐々に(比例的に)増加させる(図3(A)の待機切換動作を参照)。
これにより、切換動作によって、第1冷却ユニット(20)及び第2冷却ユニット(40)の冷却能力の増減に伴い、各冷却ユニット(20,40)から恒温室(1)に供給される冷却空気の風量が増減する。具体的には、冷却能力が段階的に減る第1冷却ユニット(20)では恒温室(1)に供給される冷却空気の風量が徐々に(比例的に)減ってバイパス通路(33)を介して流出部(30c)から流入部(30b)に返送される空気の風量が増えていく。一方、冷却能力が段階的に増える第2冷却ユニット(40)では恒温室(1)に供給される冷却空気の風量が徐々に(比例的に)増えてバイパス通路(53)を介して流出部(50c)から流入部(50b)に返送される空気の風量が減っていく。そして、切換動作の終了時には、第2冷却ユニット(40)のみで空気が冷却され、第2冷却ユニット(40)で冷却された冷却空気のみが恒温室(1)に供給される状態となる。
また、第1冷却ユニット(20)の運転モードを待機モードから冷却モードに切り換え、第2冷却ユニット(40)の運転モードを冷却モードから待機モードに切り換える際には、第1冷却ユニット(20)で冷却切換動作を行い、第2冷却ユニット(40)で待機切換動作が行われる。
具体的には、第1〜第6冷媒回路(91〜96)の第1開閉弁(74)をT分毎(例えば、1分毎)に1つずつ開いていき、第2開閉弁(75)をT分毎(例えば、1分毎)に1つずつ閉じていく(図3(A)の冷却切換動作、図3(B)の待機切換動作を参照)。また、制御部(60)は、各冷媒回路(91〜96)において、第1開閉弁(74)を開く制御を、第2開閉弁(75)を閉じる制御よりもt秒(例えば、5秒)だけ先に行う。そして、制御部(60)は、第1冷却ユニット(20)では、給気ダンパ(34)の開度を徐々に(比例的に)増加させる一方、バイパスダンパ(35)の開度を徐々に(比例的に)減少させる(図3(A)の冷却切換動作を参照)。逆に、第2冷却ユニット(40)では、給気ダンパ(54)の開度を徐々に(比例的に)減少させる一方、バイパスダンパ(55)の開度を徐々に(比例的に)増加させる(図3(B)の待機切換動作を参照)。
これにより、冷却能力が段階的に増える第1冷却ユニット(20)では恒温室(1)に供給される冷却空気の風量が徐々に(比例的に)増えてバイパス通路(33)を介して流出部(30c)から流入部(30b)に返送される空気の風量が減っていく。一方、冷却能力が段階的に減る第2冷却ユニット(40)では恒温室(1)に供給される冷却空気の風量が徐々に(比例的に)減ってバイパス通路(53)を介して流出部(50c)から流入部(50b)に返送される空気の風量が増えていく。そして、切換動作の終了時には、第1冷却ユニット(20)のみで空気が冷却され、第1冷却ユニット(20)で冷却された冷却空気のみが恒温室(1)に供給される状態となる。
なお、図5に示すように、いずれの切換動作中にも、第1冷却ユニット(20)及び第2冷却ユニット(40)の両方において、供給通路(31,51)を介して恒温室(1)に冷却空気が供給されることとなる。このとき、第1冷却ユニット(20)及び第2冷却ユニット(40)で冷却された冷却空気は、各給気通路(31,51)から第1及び第2給気口(4a,4b)を介して流入空間(S10)の導入空間(S11)に供給され、該導入空間(S11)から仕切壁(3)に形成された1つの連通口(3a)を通過して混合空間(S12)に流入することにより、混合空間(S12)で混ざり合う。そして、混合空間(S12)において、必要に応じて加湿器(6)によって加湿された後、吹出口(2a)から室内空間(S1)の試験用の装置(100)が設置された付近に向かって吹き出される。
〈補助冷却動作〉
制御部(60)は、切換動作前の待機モードにおいて蒸発器として機能させてプレクール動作を行わせていた第7熱交換器(27,47)を、待機モードから冷却モードに切り換える冷却切換動作中にも蒸発器として機能させ、補助的に空気を冷却する補助冷却動作を行わせる。
具体的には、第1冷却ユニット(20)においてプレクール動作(e)が行われている場合、その動作終了後、制御部(60)は、第7冷媒回路(97)の第1開閉弁(74)を開状態、第2開閉弁(75)を閉状態に維持した状態で、圧縮機(71)を停止させずに運転を継続する。これにより、冷却切換動作中の第1冷却ユニット(20)において、蒸発器として機能する冷却モード用の熱交換器に加え、蒸発器として機能する第7熱交換器(27)によって補助的に空気が冷却される。
一方、第2冷却ユニット(40)においてプレクール動作(e)が行われている場合、その動作終了後、制御部(60)は、第7冷媒回路(97)の第1開閉弁(74)を閉状態、第2開閉弁(75)を開状態に維持した状態で、圧縮機(71)を停止させずに運転を継続する。これにより、冷却切換動作中の第2冷却ユニット(40)において、蒸発器として機能する冷却モード用の熱交換器に加え、蒸発器として機能する第7熱交換器(47)によって補助的に空気が冷却される。
−実施形態1の効果−
以上のように、本空調システム(10)によれば、複数の熱交換器(21〜26,41〜46)を蒸発器として機能させて冷却した空気を恒温室(1)に供給する冷却モードを実行可能な冷却ユニットを2つ設け、一方がデフロスト動作を含む恒温室(1)に空気を供給しない待機モードとなるときには、他方が冷却モードとなるように構成した。このような構成によれば、2つの冷却ユニット(20,40)のいずれかが、必ず、複数の熱交換器(21〜26,41〜46)を蒸発器として機能させて冷却した空気を恒温室(1)に供給する冷却モードとなるため、一方の冷却ユニット(20,40)がデフロスト動作中であっても、他方の冷却ユニット(40,20)によって、恒温室(1)の室内空気温度を所望の温度に制御することができる。
また、本空調システム(10)によれば、2つの冷却ユニット(20,40)の複数の熱交換器(21〜26,41〜46)が、それぞれ1つずつ対にして対応する冷媒回路(91〜96)に互いに並列に接続されているため、各冷媒回路(91〜96)において冷媒の流通経路を変更するだけで、2つの冷却ユニット(20,40)の対応する2つの熱交換器において蒸発器として機能する熱交換器を変更することができる。従って、2つの冷却ユニット(20,40)の運転モードの変更が容易に行うことができる。また、2つの冷却ユニット(20,40)において、冷媒回路(91〜96)を共有することにより、空調システム(10)における装置点数を低減することができるため、製造コストの削減とシステムの小型化を図ることができる。
また、本空調システム(10)によれば、各冷却ユニット(20,40)において、給気ダンパ(34,54)及びバイパスダンパ(35,55)の開度を調節することにより、容易に冷却ユニット(20,40)から恒温室(1)に冷却空気を供給する冷却モードと、冷却ユニット(20,40)から恒温室(1)に空気を供給せずに、冷却ユニット(20,40)のケーシング(30,50)内において比較的高温に加熱された空気を循環させるデフロスト動作とを容易に切り換えることができる。
また、本空調システム(10)によれば、デフロスト動作中の冷却ユニット(20,40)において、複数の熱交換器(21〜26,41〜46)を加熱した比較的高温の空気が、供給通路(31,51)を介して恒温室(1)に供給されることなく、バイパス通路(33,53)を介して流出部(30c,50c)から流入部(30b,50b)に返送されてケーシング(30,50)内を循環するように構成されている。このような構成によれば、比較的高温の空気を再び複数の熱交換器(21〜26,41〜46)の除霜に利用することができる。従って、デフロスト動作中に消費するエネルギーを低減することができる。
また、本空調システム(10)よれば、各冷却ユニット(20,40)において運転モードの切換時に、待機モードから冷却モードに切り換える冷却切換中の冷却ユニット(20,40)では、空気を冷却する冷却能力が段階的に増える一方、待機切換中の冷却ユニット(20,40)では、空気を冷却する冷却能力が、冷却切換中の冷却ユニット(20,40)で増えた分だけ、減少するように構成している。また、この2つの冷却ユニット(20,40)の冷却能力の増減に伴い、冷却能力が段階的に増える冷却切換中の冷却ユニット(20,40)では恒温室(1)に供給される冷却空気の風量が徐々に(比例的に)増え、冷却能力が段階的に減る待機切換中の冷却ユニット(20,40)では恒温室(1)に供給される冷却空気の風量が徐々に(比例的に)減るように構成している。このように、2つの冷却ユニット(20,40)において運転モードの切換時に、一息に切り換えるのではなく、冷却能力と給気量を、一方の冷却ユニット(20,40)では徐々に増加させ、他方の冷却ユニット(40,20)では、一方の冷却ユニット(20,40)で増加させた分だけ低減することにより、切換動作が徐々に行われることとなる。これにより、切換動作によって、恒温室(1)に供給される冷却空気の温度及び給気量が大きく変動しない。従って、運転モードを切り換える際においても、恒温室(1)の室内空気温度を所望の温度に安定させることができる。
また、本空調システム(10)によれば、各冷却ユニット(20,40)において運転モードの切換時に、冷却切換中の冷却ユニット(20,40)において蒸発器として機能する熱交換器(21〜26,41〜46)の台数を増やす動作を、待機切換中の冷却ユニット(20,40)において蒸発器として機能する熱交換器(21〜26,41〜46)の台数を減らす動作よりも先に行わせるように構成することとした。つまり、2つの冷却ユニット(20,40)の複数の熱交換器(21〜26,41〜46)がそれぞれ1つずつ対にして互いに並列に接続された各冷媒回路(91〜96)において、蒸発器として機能する熱交換器(21〜26,41〜46)を変更する際に、冷媒が流れていなかった一方の冷却ユニット(20,40)の熱交換器に先に冷媒を流通させてから、冷媒が流れていた他方の冷却ユニット(40,20)の熱交換器への冷媒の流通を阻止することとした。これにより、各冷媒回路(91〜96)における冷媒の循環を止めることなく、円滑に蒸発器として機能する熱交換器(21〜26,41〜46)を変更することができる。
また、本空調システム(10)によれば、各冷却ユニット(20,40)の待機モードにおいて、デフロスト動作の終了後に、ケーシング(30,50)内の空気を冷却器(27,47)で冷却するプレクール動作を行うこととしている。このプレクール動作により、デフロスト動作中に加熱されて昇温したケーシング(30,50)内の空気が冷却器(27,47)によって冷却される。そして、プレクール動作の終了後に、待機モードから冷却モードに切り換えることとしたため、ケーシング(30,50)内の空気が十分に冷却した後に、ケーシング(30,50)内の空気の恒温室(1)への供給(給気)が開始されることとなる。従って、冷却切換動作中又は冷却モードの実行時に、ケーシング(30,50)内に比較的高温の空気が残留して、この高温の空気が恒温室(1)に供給されて恒温室(1)の空気温度を上昇させることがなく、恒温室(1)の室内温度を所望の温度に安定的に制御することができる。
また、本空調システム(10)によれば、冷却切換中の冷却ユニット(20,40)において、複数の熱交換器(21〜26,41〜46)の一部の熱交換器(21〜26,41〜46)で空気を冷却する他、プレクール動作で用いた冷却器(27,47)を用いて空気を冷却する補助冷却動作を行わせることとした。これにより、待機切換前の冷却モードを実行していた冷却ユニット(20,40)に比して冷却能力が低下しがちな冷却切換中の冷却ユニット(20,40)において、冷却器(27,47)で補助的に空気を冷却することにより、切換動作による冷却能力の低下を回避することができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態では、第1及び第2冷却ユニット(20,40)がそれぞれ7つの熱交換器(21〜27,41〜47)を有し、そのうち、第1〜第6熱交換器(21〜26,41〜46)が冷却モード用の熱交換器、第7熱交換器(27,47)がプレクール動作用の冷却器に構成されていたが、各冷却ユニット(20,40)が備える熱交換器の数、及び、冷却モード用の熱交換器とプレクール動作用の冷却器との構成比率は、上記実施形態のものに限定されない。
また、上記実施形態では、プレクール動作用の冷却器を用いて補助冷却動作を行うように構成されていたが、補助冷却動作は行わなくてもよい。