JP6408120B2 - リニアモータ - Google Patents

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Description

本発明は、リニアモータに関する。
リニアモータは、多くの種々の用途に利用されるが、その一例として、複数の永久磁石を固着した左右平行な固定子と、左右のティースを有する電機子コアに電機子巻線を巻装した可動子を備えたリニアモータが特許文献1に記載されている。
この特許文献1に記載のリニアモータは、電機子コアの左右のティースのうち、片側のティースの数をN(3の倍数とする奇数)、ティース数Nに対面した永久磁石の磁極数をP(2以上の偶数)とし、左右の固定子に設けた永久磁石の移動方向位置は互いに電気角で、δ=((−P)×1/2+N)×P/N×180度ずらされ、また、電機子巻線の移動方向位置もM=(−P)×1/2+N スロット分ずらされており、これにより、左右の電機子巻線を並列結線した場合でも、電機子巻線内での循環電流による銅損および粘性制動力を無くすことができると記載されている。
特開2003−134790号公報
上述した特許文献1では、固定子に固着した左右の永久磁石の位置に対応して、予め左右の各相電機子巻線の配置を決定する必要がある。しかし、例えば電機子と電機子の間に可動子の支持を設ける場合や、複数の位相が異なる可動子を有する場合には、可動子や電機子の間隔が機器毎に違うため、並列結線した場合に電機子巻線内の循環電流が発生するという課題がある。
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、電機子コアや永久磁石で構成される磁極がどのような位相の関係を有している場合であっても、並列結線時に各巻線の位相差に起因する循環電流を抑制し、複数台連結時に銅損および粘性制動力を低減した高効率なリニアモータを提供することにある。
上記課題を解決するための本発明の特徴は、例えば以下の通りである。
駆動方向へ極を交互に並べた永久磁石を有する可動子と、電機子を所定間隔を以って駆動方向に複数個配置した電機子ユニットと、からなるリニアモータであって、電機子は、永久磁石の両面と磁気的空隙を挟んで対向する面に配置された第1の磁極歯及び第2の磁極歯と第1の磁極歯及び第2の磁極歯をつなぐ電機子鉄心と第1の磁極歯及び第2の磁極歯にそれぞれ巻装された電機子巻線と、を有し、リニアモータを駆動する電流の相数をR(1以上の整数)、電機子ユニットに含まれる電機子の個数をS個(1以上の整数)、電力変換器から供給される電力で駆動するリニアモータの連結台数をN(2以上の整数)、同相の全ての電機子の個数をH=N*S/Rとしたときに、同相のH個の電機子の第1の磁極歯に巻装された電機子巻線を直列に接続した第1の直列結線と、同相のH個の電機子の第2の磁極歯に巻装された電機子巻線を直列に接続した第2の直列結線と、が形成され、第1の直列結線と第2の直列結線とがそれぞれ同相で並列接続されているリニアモータ。
本発明によれば、並列結線時に各巻線に鎖交する磁束の位相差に起因する循環電流を抑制し、複数台連結時に銅損および粘性制動力を低減した高効率なリニアモータを提供することにある。上記した以外の課題、構成及び効果は以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明のリニアモータの実施例1を示す斜視図である。 図1をY−Z平面で断面した状態を示す断面図である。 図1をX−Y平面で断面した状態を示す断面図である。 実施例1の巻線の結線方法を示した図である。 誘導起電力波形の位相差を説明する図である。 本発明のリニアモータの実施例2を示す斜視図である。 図6をY−Z平面で断面した状態を示す断面図である。
以下、図面等を用いて、本発明の実施形態について説明する。以下の説明は本発明の内容の具体例を示すものであり、本発明がこれらの説明に限定されるものではなく、本明細書に開示される技術的思想の範囲内において当業者による様々な変更および修正が可能である。また、本発明を説明するための全図において、同一の機能を有するものは、同一の符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
図1乃至図3に、本発明のリニアモータの実施例1を示す。図1は、本発明のリニアモータの一実施例を示す斜視図であり,配置がわかるようにハッチングをつけたY-Z平面で一部を切り取って示している。図2は、図1をY−Z平面で断面した状態を示す断面図である。図3は、図1をX−Y平面で断面した状態を示す断面図である。
該図に示す如く、本実施例のリニアモータユニット500は2台のリニアモータから構成した例であり、隣接して配置された第1のリニアモータ100と第2のリニアモータ200から構成される。換言すれば、第1のリニアモータ100と第2のリニアモータ200が隣接して並設されている。
本実施例の第1のリニアモータ100及び第2のリニアモータ200は、可動子11および電機子ユニット10で構成される。電機子ユニット10は電機子7と同じ構成の電機子が同軸上にS個(電機子ユニット10に含まれる電機子7の個数)隣接して配置されて構成されている。換言すれば、電機子ユニット10は、電機子を所定間隔を以って駆動方向に複数個配置されて構成されている。本実施例ではS=3としている。
可動子11は、駆動方向20へ極を交互に並べて配置された複数の永久磁石1と永久磁石1を保持するプレート2とで構成される。
電機子7は、可動子11の永久磁石1に対向するように並設された第1の磁極歯5及び第2の磁極歯6と、第1の磁極歯5と第2の磁極歯6とをつなぎ、磁束の経路を形成する磁性体である電機子鉄心4と、第1の磁極歯5、第2の磁極歯6にそれぞれ巻回配置された電機子巻線3とで構成される。換言すれば、第1の磁極歯5及び第2の磁極歯6は、永久磁石1の両面と磁気的空隙を挟んで対向する面に配置されており、電機子巻線3は、第1の磁極歯5及び第2の磁極歯6にそれぞれ巻装されている。
本実施例の第1のリニアモータ100及び第2のリニアモータ200は、3相のモータを構成した例であり、電機子ユニット10及び可動子11が相対的に直線運動するものであり、この第1のリニアモータ100及び第2のリニアモータ200の駆動方向はZ方向である。第1のリニアモータ100及び第2のリニアモータ200の可動子11は互いに位相差Dの間隔で永久磁石の駆動方向位置がずれており、互いに連動して駆動された際に永久磁石1と電機子7の間に発生する磁気的吸引力に起因した推力の脈動成分を相殺することができる。第1のリニアモータ100及び第2のリニアモータ200の電機子ユニット10は図に示す通りY方向に重ねられており、XY面で一部共通の磁束の経路を有する。換言すれば、第1のリニアモータ100及び第2のリニアモータ200において、電機子7が共通の磁束の経路を有している。これにより、磁路の共通部分は磁束が相殺しあうため、断面を狭くできる。よって,Y方向寸法を短くすることでモータを小型化出来る。
本実施例では、電機子ユニット10を構成する3個の電機子7の第1の磁極歯5、第2の磁極歯6を電気角で位相が各120度ずれるように配置して、3相の第1のリニアモータ100及び第2のリニアモータ200を構成している。同様にリニアモータを駆動する電流の相数をR(1以上の整数)とした場合、各電流の位相を360°/Rずらすことにより、R相駆動のリニアモータを構成できる。また、1台以上の電力変換器から供給される電力で駆動するリニアモータの連結台数をN(2以上の整数)とし、同相の全ての電機子の個数をH=N*S/Rとする。本実施例では、R=3、S=3、N=2であり、H=2となる。
リニアモータユニット500は、同相のH個の電機子7の第1の磁極歯5に巻装された電機子巻線3を直列に接続した第1の直列結線と、同相のH個の前記電機子の第2の磁極歯6に巻装された電機子巻線3を直列に接続した第2の直列結線とを有し、直列結線をそれぞれ同相で並列接続する。図4に本実施例の結線図を示す。各相は電気回路で2つの直列結線を並列接続している。換言すれば、同相のH個の電機子の第1の磁極歯に巻装された電機子巻線を直列に接続した第1の直列結線と、同相のH個の電機子の前記第2の磁極歯に巻装された電機子巻線を直列に接続した第2の直列結線と、が形成され、第1の直列結線と第2の直列結線とがそれぞれ同相で並列接続されている
以上の構成のリニアモータユニット500において、各第1のリニアモータ100、第2のリニアモータ200の可動子11を駆動方向(Z方向)へ移動すると、各電機子巻線3には、永久磁石1から鎖交磁束が周期的に流入し、鎖交磁束量の変化に応じた誘導起電力が発生する。
可動子11同士に位相差Dがある場合、各第1のリニアモータ100、第2のリニアモータ200の電機子7と永久磁石1の位置関係に応じて各電機子7に発生する誘導起電力が異なる。このため、リニアモータ毎に電機子巻線を接続する結線方法では、第1のリニアモータ100と第2のリニアモータ200の直列結線間に図5に示す電位差が発生し、並列接続部に循環電流が流れる。
本発明の一実施形態では同一の電機子において、同一の永久磁石を挟む第1の磁極歯と第2の磁極歯に流入する鎖交磁束が同等の量であることを利用し、図4に示した結線を施すことで、誘導起電力の電位を各相で平均化し、電位差をなくしている。
このため、原理的に並列接続部に循環電流が流れず、循環電流に起因する銅損がなくなることでモータ効率が改善する。また、循環電流は、駆動方向と逆向きの推力を発生し、速度に比例する粘性制動力の原因となるため、本発明によれば、粘性制動力を低減することによるモータ応答性の改善が見込まれる。
図6乃至図7に、本発明のリニアモータの実施例2を示す。図6は、本発明のリニアモータの一実施例を示す斜視図である。図7は、図6をY−Z平面で断面した状態を示す断面図である。
該図に示す本実施例のリニアモータユニット600は第1のリニアモータ100及び第2のリニアモータ200で構成される。第1のリニアモータ100及び第2のリニアモータ200は、その構成は実施例1と略同様なので、ここでの詳細説明は省略する。
該図に示す本実施例では、実施例1に記載したR=3、S=3、N=2の構成と同数の電機子を有するが、可動子11は第1のリニアモータ100及び第2のリニアモータ200で共通している。また、第1のリニアモータ100及び第2のリニアモータ200において、電機子7が共通の磁束の経路を有している。また、第1のリニアモータ100及び第2のリニアモータ200の電機子7は駆動方向の間隔Eで並設され、それぞれ電機子ユニット10を構成しているが、第1のリニアモータ100及び第2のリニアモータ200の電機子ユニット10は互いに間隔Gで離れている。換言すれば、第1のリニアモータ100及び第2のリニアモータ200が駆動方向に任意の間隔をもって並設されている。
このような本実施例によれば、実施例1と同様な効果が得られることは勿論、位相差Gの空間に可動子11の支持部材を挟むことで駆動時に発生する可動子のX方向及びY方向の振動を抑えることができる。また、位相差Gを調整することで第1のリニアモータ100及び第2のリニアモータ200にそれぞれ発生する推力脈動を相殺して抑えることができる。
1 永久磁石
2 可動子プレート
3 電機子巻線
4 電機子鉄心
5 第1の磁極歯
6 第2の磁極歯
7 電機子
10 電機子ユニット
20 駆動方向
100 第1のリニアモータ
200 第2のリニアモータ
500 リニアモータユニット
600 リニアモータユニット

Claims (4)

  1. 駆動方向へ極を交互に並べた永久磁石を有する可動子と、
    電機子を所定間隔を以って駆動方向に複数個配置した電機子ユニットと、からなるリニアモータであって、
    前記電機子は、
    前記永久磁石の両面と磁気的空隙を挟んで対向する面に配置された第1の磁極歯及び第2の磁極歯と、
    前記第1の磁極歯及び前記第2の磁極歯をつなぐ電機子鉄心と、
    前記第1の磁極歯及び前記第2の磁極歯にそれぞれ巻装された電機子巻線と、を有し、
    前記リニアモータを駆動する電流の相数をR(1以上の整数)、
    前記電機子ユニットに含まれる前記電機子の個数をS個(1以上の整数)、
    電力変換器から供給される電力で駆動する前記リニアモータの連結台数をN(2以上の整数)、
    同相の全ての前記電機子の個数をH=N*S/Rとしたときに、
    同相のH個の前記電機子の前記第1の磁極歯に巻装された電機子巻線を直列に接続した第1の直列結線と、同相のH個の前記電機子の前記第2の磁極歯に巻装された電機子巻線を直列に接続した第2の直列結線と、が形成され、
    前記第1の直列結線と前記第2の直列結線とがそれぞれ同相で並列接続されているリニアモータ。
  2. 請求項1に記載のリニアモータが複数台隣接して並設されて構成されたリニアモータユニットであって、
    前記複数台のリニアモータにおいて、前記電機子が共通の磁束の経路を有するリニアモータユニット。
  3. 請求項1に記載のリニアモータが駆動方向に任意の間隔をもって複数台並設されて構成されたリニアモータユニットであって、
    前記複数台のリニアモータにおいて、前記可動子が共通しているリニアモータユニット。
  4. 請求項1に記載のリニアモータが複数台隣接して、駆動方向に任意の間隔をもって並設されて構成されたリニアモータユニットであって、
    前記複数台のリニアモータにおいて、前記電機子が共通の磁束の経路を有し、
    前記複数台のリニアモータにおいて、前記可動子が共通しているリニアモータユニット。
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