本実施形態の診療支援装置について、添付図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の診療支援装置の適用場面の一例を示す概略図である。
図1は、医療機関の一室に設けられる、第1実施形態の診療支援装置1と、医師(説明者)Dと、患者(被診療者)Pとを示す。診療支援装置1は、映像取得部17及び音声取得部(マイクロフォン)18を含む。なお、映像取得部17及び音声取得部18が一体のものとして診療支援装置1の本体上に載置される場合を図示しているが、その場合に限定されるものではなく、映像取得部17及び音声取得部18はそれぞれ単体で別々に配置されてもよいし、診療支援装置1の本体から離れた場所に配置されていてもよい。
図2は、第1実施形態の診療支援装置の構成を示す概略図である。
図2は、診療支援装置1のハードウェア構成を示し、その診療支援装置1は、大きくは、制御装置としてのCPU(central processing unit)11、メモリ12、HDD(hard disc drive)13、IF(interface)14、入力部15、及び表示部16等の基本的なハードウェアと、映像取得部17、音声取得部18、画像・音声記憶部19、評価項目記憶部20、診療行為記憶部21、基準値記憶部22、奨励・禁止語記憶部23、及び患者情報記憶部24から構成される。CPU11は、共通信号伝送路としてのバスBを介して、診療支援装置1をそれぞれ構成する各ハードウェア構成要素に相互接続されている。
CPU11は、半導体で構成された電子回路が複数の端子を持つパッケージに封入されている集積回路(LSI)の構成をもつ制御装置である。CPU11は、メモリ12に記憶しているプログラムを実行する。又は、CPU11は、HDD13に記憶しているプログラム、ネットワークNから転送されIF14で受信されてHDD13にインストールされたプログラム等を、メモリ12にロードして実行する機能を有する。
メモリ12は、ROM(read only memory)及びRAM(random access memory)等を含む記憶装置である。メモリ12は、IPL(initial program loading)、BIOS(basic input/output system)及びデータを記憶したり、CPU11のワークメモリやデータの一時的な記憶に用いたりする機能を有する。
HDD13は、磁性体を塗布又は蒸着した金属のディスクが読み取り装置(図示しない)に着脱不能で内蔵されている構成をもつ記憶装置である。HDD13は、診療支援装置1にインストールされたプログラム(アプリケーションプログラムの他、OS(operating system)等も含まれる)や各種データを記憶する機能を有する。
IF14は、パラレル接続仕様やシリアル接続仕様に合わせたコネクタによって構成される。IF14は、各規格に応じた通信制御を行ない、ネットワークNに接続することができる機能を有しており、これにより、診療支援装置1をネットワークN網に接続させる。
入力部15としては、医師D等の操作者によって操作が可能なキーボード及びマウス等によって構成される。入力部15の操作に従った入力信号はバスBを介してCPU11に送られる。
表示部16としては、図示しないD/A(digital to analog)変換回路及びモニタ等によって構成される。
映像取得部17は、人物(医師D及び患者P)の動き(モーション)を検知して、モーション画像及びカラー画像を含む画像データを生成する機器である。
音声取得部18は、音を電気信号に変換して音声データを発する機器である。音声取得部18は、医者D及び患者Pの衣服等に装着される個別マイクや、指向性マイク等が挙げられる。
なお、映像取得部17及び音声取得部18として、キネクト(kinect(登録商標))を採用することができる。キネクトは、RGB(red green blue)カメラ、深度(距離)カメラ、及び専用ソフトウェアを動作させるプロセッサを内蔵したセンサやメモリを含む。奥行き方向の距離情報を有する深度画像が深度カメラによって生成され、深度画像とRGBカメラによって生成されたカラー画像とに基づいて人物領域のみが抽出されたモーション画像が生成される。そのモーション画像に基づいて人物の頭、手、肩、胴、及び脚等の関節の位置情報(ボーン、スケルトン)が座標値として得られる。
画像・音声記憶部19は、HDD等の記憶装置によって構成される。画像・音声記憶部19は、映像取得部17によって取得された画像データと、音声取得部18によって取得された音声データとを同期させて記憶する。
評価項目記憶部20は、HDD等の記憶装置によって構成される。評価項目記憶部20は、診療における医師Dと患者Pとの対話評価を行なうための複数の評価項目を記憶する。
図3は、評価項目の一例とその意義を表として示す図である。
評価項目記憶部20(図2に図示)には、図3に示す複数の評価項目が予め登録される。また、複数の評価項目は、時間の推移と共に値が変動する(上昇及び下降する)変動系の評価項目と、時間の推移と共に値が上昇する累積系の評価項目とに分けられる。
図1及び図2の説明に戻って、診療行為記憶部21は、HDD等の記憶装置によって構成される。診療行為記憶部21は、診療に含まれる可能性のある複数の診療行為を記憶する。
図4は、診療行為の一例を示す図である。
診療行為記憶部21(図2に図示)には、図4に示す複数の診療行為「身体診察」、「カルテ入力」、「同意書記入」、「問診・説明・質疑応答」等が予め登録される。「問診」、「説明」、「質疑応答」は、図4に示すように1つの診療行為とされてもよいし、図15に示すようにそれぞれ独立した診療行為とされてもよい。また、各診療行為の決定基準は、図4の右側に示すとおりである。
図4に示す身体診察の決定基準「医師が機器を持っている」かの判断は、種々の機器に取り付けたセンサ(図示しない)か、又はカメラ(図示しない)による医師及び機器を含む映像の画像処理によって行なわれる。身体診察の決定基準「人物間の位置が近い」かの判断は、医師及び患者に取り付けたセンサ(図示しない)か、又はカメラ(図示しない)による医師及び患者を含む映像の画像処理によって行なわれる。身体診察の決定基準「口を開けて下さい」や「大きく息を吸って下さい」の言葉が発言されたかの判断は、音声データの音声認識技術によって行なわれる。なお、診療行為の決定は医師が操作することで、手動で切り替えることも考えられる。
図1及び図2の説明に戻って、基準値記憶部22は、HDD等の記憶装置によって構成される。基準値記憶部22は、評価項目記憶部20によって登録された各評価項目について、診療行為記憶部21に記憶された診療行為毎に設定される第1基準値(補正前の基準値)を記憶する。
図5は、各評価項目における診療行為毎の第1基準値を示す図である。
図5に示すように、基準値記憶部22(図2に図示)には、評価項目「対話時間」について、診療行為「身体診察」の第1基準値A1と、診療行為「カルテ入力」の第1基準値A2と、診療行為「同意書記入」の第1基準値A3と、診療行為「問診・説明・質疑応答」の第1基準値A4とが予め登録される。つまり、評価項目「対話時間」について、診療行為毎に第1基準値が設定される。
また、「対話時間」以外の評価項目についても、評価項目「対話時間」と同様に、診療行為毎に第1基準値が設定される。
図1及び図2の説明に戻って、奨励・禁止語記憶部23は、HDD等の記憶装置によって構成される。奨励・禁止語記憶部23は、医師Dが患者Pに対して診療を行なう際に用いることが奨励される奨励語と、医師Dが患者Pに対して診療を行なう際に用いることが禁止される禁止語とを記憶する。
図6は、奨励語及び禁止語の一例を示す図である。
図6に示すように、奨励・禁止語記憶部23(図2に図示)には、奨励語「副作用」、「成功率」、「他の治療法」等が予め登録される。また、奨励・禁止語記憶部23(図2に図示)には、禁止語「膠原病」、「ポリープ」、「予後」等が予め登録される。
図1及び図2の説明に戻って、患者情報記憶部24は、HDD等の記憶装置によって構成される。患者情報記憶部24は、IF14を介してネットワークNから送信された患者Pの個人情報(患者氏名、患者ID、診療回数、年齢、性別、疾病名、病期、年齢等)や、後述する過去の対話評価結果を記憶する。
図7は、第1実施形態の診療支援装置1の機能を示すブロック図である。
診療支援装置1のCPU11がプログラムを実行することによって、診療支援装置1は、図7に示すように、評価値算出手段11a、診療行為決定手段11b、第1基準値設定手段11c、第2基準値算出手段11d、比較手段11e、及び結果提示手段11fとして機能する。なお、手段11a乃至11fは、ソフトウェア的に機能する場合を例に挙げて説明するが、それら手段11a乃至11fの一部又は全部は、診療支援装置1にハードウェア的にそれぞれ設けられるものであってもよい。
評価値算出手段11aは、評価項目記憶部20から評価項目を取得する(読み出す)機能を有する。また、評価値算出手段11aは、映像取得部17によって取得され画像・音声記憶部19に記憶された画像データと、音声取得部18によって取得され画像・音声記憶部19に記憶された音声データとのうち少なくとも一方に基づいて、説明者の被診療者への説明内容を解析し、複数の評価項目にそれぞれ対応する複数の評価値を算出する機能を有する。
なお、評価値算出手段11aは、図3に示す評価項目「医師奨励語発言回数」、「医師禁止語発言回数」を評価する場合、音声取得部18によって取得された音声データに基づいて、奨励・禁止語記憶部23に記憶された医師の奨励語又は禁止語の発言回数を評価する。
ここで、図3に示す評価項目の評価方法について、図8〜図14を用いて説明する。
図8は、図3に示す評価項目のうち、対話時間、無音声時間、及び無音声率の評価方法を説明するための図である。
図8は、所定の患者の診療内に行なわれる複数の診療行為のうち所定の診療行為の部分の音声データを示す。所定の診療行為の対話時間は、無音声状態が閾値時間以上続く無音声時間と、無音声状態が閾値未満の音声時間とが時系列で繰り返されるように構成される。ここで、対話時間と無音声時間とが評価項目として登録されると(図3に図示)、所定の診療行為の対話時間[sec.]と、その対話時間[sec.]中の無音声時間(積算)[sec.]とが評価される。
また、所定の診療行為の対話時間は、前の診療行為から所定の診療行為への切り替え時刻から、所定の診療行為から後の診療行為への切り替え時刻までの時間である。切り替え時刻は、手動操作によって切り替えられるものであってもよいし、無音声状態の時間の長さから自動的に切り替えられるものであってもよいし、医師が所定の位置にいるかどうかをカメラ等の撮像デバイスを用いて自動的に切り替えられるものであってもよい。
また、無音声率が評価項目として登録されると(図3に図示)、次の式(1)から所定の診療行為の対話時間[sec.]における無音声時間[sec.]の割合としての無音声率[%]が評価される。
[数1]
無音声率[%]
=無音声時間/対話時間×100 …(1)
図9は、図3に示す評価項目のうち、発言重なり回数、医師の声の高さ、医師音量、及び医師発言率の評価方法を説明するための図である。
図9は、所定の患者の診療内に行なわれる複数の診療行為のうち所定の診療行為の対話時間の音声データを、発言者(医師又は患者)毎に分けたものを示す。発言者の特定は、音声取得部18(図2に図示)として個別マイクを用いることによるものでもよいし、音声取得部18(図2に図示)として指向性マイクを用いて音源位置から特定されるものでもよいし、映像取得部17(図2に図示)からの画像データから特定されるものであってもよい。図9に示すように、医師の発言時間と患者の発言時間とが時系列で繰り返されることで、医師の発言時間と患者の発言時間とが重なる重なり時間Tが発生する。ここで、発言重なり回数が評価項目として登録されると(図3に図示)、所定の診療行為の対話時間[sec.]における重なり時間Tの発生回数である発言重なり回数[回]が評価される。
また、医師の声の高さが評価項目として登録されると(図3に図示)、所定の診療行為の対話時間[sec.]における医師の発言時間部分の周波数[Hz]に基づいて医師の声の高さ(所定の診療行為における平均値、最大値、及び最小値等)が評価される。
加えて、医師音量が評価項目として登録されると(図3に図示)、所定の診療行為の対話時間[sec.]における医師の発言時間部分の振幅に基づいて医師音量(所定の診療行為における平均値、最大値、及び最小値等)が評価される。
さらに、医師発言率が評価項目として登録されると(図3に図示)、次の式(2)から所定の診療行為の対話時間[sec.]における医師の発言時間[sec.]の割合としての医師発言率[%]が評価される。
[数2]
医師発言率[%]
=医師の発言時間/(医師の発言時間+患者の発言時間)×100 …(2)
図10は、図3に示す評価項目のうち、医師推奨語発言回数及び医師禁止語発言回数と、患者発言スピードとの評価方法を説明するための図である。
図10の上段は、所定の患者の診療内に行なわれる複数の診療行為のうち所定の診療行為の対話時間の音声データを、発言者(医師又は患者)毎に分けたものを示し、図10の下段は、上段に示す音声データを音声認識して得られた内容(文字データ)を示す。図10の上段に示すように、医師の発言時間と患者の発言時間とが時系列で繰り返される。ここで、医師奨励語発言回数が評価項目として登録されると(図3に図示)、図10の下段に示すように、医師の発言時間SA,SCの中から、予め登録された医師の奨励語「副作用」の発言(発言時間SA中)の回数である医師奨励語発言回数[回]が評価される。また、医師禁止語発言回数が評価項目として登録されると(図3に図示)、図10の下段に示すように、医師の発言時間SA,SCの中から、予め登録された医師の禁止語「頓服薬」の発言(発言時間SC中)の回数である医師禁止語発言回数[回]が評価される。
また、患者発言スピードが評価項目として登録されると(図3に図示)、図10の下段に示すように、患者の発言時間SDの「わかりました」について、発音数(wa ka ri ma shi ta)[mora]がカウントされ、次の式(3)から患者発言スピード[mora/sec.]が評価される。
[数3]
患者発言スピード[mora/sec.]
=患者の発言時間における発音数/患者の発言時間×100 …(3)
なお、医師推奨語発言回数及び医師禁止語発言回数の評価について、疾病や病期に関係なく奨励・禁止語記憶部23(図7に図示)に予め登録された統一の奨励語及び禁止語の発言回数を評価してもよいし、予め登録された統一の奨励語及び禁止語に対して、患者情報記憶部24に記憶された疾病や病期に従って追加・削除した語の発言回数を評価してもよい。後者の場合について、図11(A),(B)を用いて説明する。
図11(A),(B)は、医師推奨語発言回数及び医師禁止語発言回数の評価方法の変形例を示す図である。
図11(A)は、奨励・禁止語記憶部23(図7に図示)に予め登録された奨励語に、肺がんの疾病の場合に奨励語として追加される追加奨励語と、奨励・禁止語記憶部23(図7に図示)に予め登録された禁止語から除外される除外禁止語とを示す。さらに、肺がんの病期がI期・II期、III期に分けられ、それぞれについて追加奨励語及び除外禁止語が設定される。
図11(B)は、奨励・禁止語記憶部23(図7に図示)に予め登録された禁止語から、糖尿病の疾病の場合に除外される除外禁止語を示す。
図12は、図3に示す評価項目のうち、医師動作量及び医師視線率の評価方法を説明するための図である。
所定の患者の診療内に行なわれる複数の診療行為のうち所定の診療行為(図12では「説明」)の対話時間の音声データが、発言者(医師D又は患者P)毎に分けられると(図9に図示)、医師の発言時間の画像データが抽出される。ここで、医師動作量が評価項目として登録されると(図3に図示)、抽出された画像データに基づく所定の診療行為中の医師の動き(モーション)から医師動作量が評価される。また、医師視線率が評価項目として登録されると(図3に図示)、抽出された画像データに基づいて、所定の診療行為中に医師Dの視線Vが患者Pに向いている割合を示す医師視線率が評価される。
図13は、図3に示す評価項目のうち、患者笑顔時間の評価方法を説明するための図である。
所定の患者の診療内に行なわれる複数の診療行為のうち所定の診療行為の対話時間の音声データが、発言者(医師又は患者)毎に分けられると(図9に図示)、医師の発言時間の画像データが抽出される。ここで、患者笑顔時間が評価項目として登録されると(図3に図示)、抽出された画像データに基づいて、患者の顔の、予め登録される笑顔テンプレートとの一致度が算出され、その一致度に基づく患者笑顔時間[sec.]が評価される。
図14は、図3に示す評価項目のうち、患者頷き回数及び患者首傾げ回数の評価方法を説明するための図である。
所定の患者の診療内に行なわれる複数の診療行為のうち所定の診療行為の対話時間の音声データが、発言者(医師又は患者)毎に分けられると(図9に図示)、医師の発言時間の画像データが抽出される。ここで、患者頷き回数が評価項目として登録されると(図3に図示)、抽出された画像データに基づいて、患者頷き回数[回]が評価される。また、患者首傾げ回数が評価項目として登録されると(図3に図示)、抽出された画像データに基づいて、患者首傾げ回数[回]が評価される。
図7の説明に戻って、診療行為決定手段11bは、音声取得部18によって生成され画像・音声記憶部19に記憶された音声データ(又は、音声取得部18からの音声データ)に基づいて、所定の患者の診療内に行なわれる、診療行為記憶部21に記憶された診療行為を決定する機能を有する。
図15は、患者の診療内に行なわれる複数の診療行為の構成例を示す図である。
図15に示すように、所定の患者の診療内において、複数の診療行為が行なわれる。ここで、図15では、「問診」、「説明」が、それぞれ独立した診療行為とされている。「問診」、「説明」の決定基準は、所定の患者の診療開始からの経過時間や、順序や、直前の診療行為に応じて決定することができる。
図7の説明に戻って、第1基準値設定手段11cは、評価項目記憶部20に記憶された各評価項目について、診療行為記憶部21に記憶された診療行為毎に第1基準値(図5に図示)を設定する機能と、各評価項目について診療行為毎の第1基準値を基準値記憶部22に記憶させる機能とを有する。
第2基準値算出手段11dは、基準値記憶部22に記憶された、各評価項目における診療行為毎の第1基準値を、患者情報記憶部24に記憶された患者の個人情報や、過去の対話評価結果に基づいて補正して、各評価項目について診療行為毎の第2基準値(最適値)を算出する機能を有する。
図16(A),(B)〜図20は、各評価項目における診療行為毎の第2基準値の算出方法を説明するための図である。
図16(A)は、評価項目「医師発言率」における診療行為毎の第1基準値を示す。図16(A)に示す診療行為「問診」の第1基準値「60%」は、図5に示す第1基準値G4に相当する。図16(A)に示す診療行為「身体診察」の第1基準値「20%」は、図5に示す第1基準値G1に相当する。図16(A)に示す診療行為「カルテ入力」の第1基準値「30%」は、図5に示す第1基準値G2に相当する。図16(A)に示す診療行為「説明」の第1基準値「60%」は、図5に示す第1基準値G4に相当する。そして、第1基準値G4「60%」、G1「20%」、G2「30%」、G4「60%」は、患者情報記憶部24に記憶された、所定の患者の診療回数、かつ、前回の医師発言率に基づいて補正される。なお、第1基準値G4「60%」、G1「20%」、G2「30%」、G4「60%」が、所定の患者の診療回数、又は、前回の医師発言率に基づいて補正されてもよい。
所定の患者の診療回数が1、すなわち、初診である場合、評価項目「医師発言率」における第1基準値G4「60%」、G1「20%」、G2「30%」、G4「60%」にそれぞれ補正係数「1.1」が乗算される。一方、所定の患者の診療回数が2以上、すなわち、再診である場合、第1基準値G4「60%」、G1「20%」、G2「30%」、G4「60%」にそれぞれ補正係数「1.0」が乗算される。
さらに、所定の患者の前回の医師発言率が多い場合、評価項目「医師発言率」における第1基準値G4「60%」、G1「20%」、G2「30%」、G4「60%」に患者の診療回数に基づく補正係数を乗算した値にそれぞれ補正係数「0.8」が乗算されて第2基準値がそれぞれ算出される。所定の患者の前回の医師発言率が普通の場合、第1基準値G4「60%」、G1「20%」、G2「30%」、G4「60%」に患者の診療回数に基づく補正係数を乗算した値にそれぞれ補正係数「1.0」が乗算されて第2基準値がそれぞれ算出される。また、所定の患者の前回の医師発言率が少ない場合、第1基準値G4「60%」、G1「20%」、G2「30%」、G4「60%」に患者の診療回数に基づく補正係数を乗算した値にそれぞれ補正係数「1.2」が乗算されて第2基準値がそれぞれ算出される。
図16(B)は、図16(A)によって診療行為毎に算出された、評価項目「医師発言率」における第2基準値を、時系列のグラフとして示すものである。このグラフは、所定の患者が初診で、前回の医師発言率が多い場合の診療行為毎の第2基準値gを示す。
図17(A)は、評価項目「医師視線率」における診療行為毎の第1基準値を示す。図17(A)に示す診療行為「問診」の第1基準値「80%」は、図5に示す第1基準値L4に相当する。図17(A)に示す診療行為「身体診察」の第1基準値「30%」は、図5に示す第1基準値L1に相当する。図17(A)に示す診療行為「カルテ入力」の第1基準値「10%」は、図5に示す第1基準値L2に相当する。図17(A)に示す診療行為「説明」の第1基準値「80%」は、図5に示す第1基準値L4に相当する。そして、第1基準値L4「80%」、L1「30%」、L2「10%」、L4「80%」は、患者情報記憶部24に記憶された、所定の患者の年齢に基づいて補正される。
所定の患者が子供である場合、評価項目「医師視線率」における第1基準値L4「80%」、L1「30%」、L2「10%」、L4「80%」にそれぞれ補正係数「1.3」が乗算されて第2基準値がそれぞれ算出される。一方、所定の患者が大人(高齢者除く)である場合、第1基準値L4「80%」、L1「30%」、L2「10%」、L4「80%」にそれぞれ補正係数「1.0」が乗算されて第2基準値がそれぞれ算出される。さらに、所定の患者が高齢者である場合、第1基準値L4「80%」、L1「30%」、L2「10%」、L4「80%」にそれぞれ補正係数「1.1」が乗算されて第2基準値がそれぞれ算出される。
図17(B)は、図17(A)によって診療行為毎に算出された、評価項目「医師視線率」における第2基準値を、時系列のグラフとして示すものである。このグラフは、所定の患者が子供の場合の診療行為毎の第2基準値lを示す。
図18(A)は、評価項目「無音声時間」における診療行為毎の第1基準値を示す。図18(A)に示す診療行為「問診」の第1基準値「高評価:〜5秒」/「中評価:5〜10秒/「低評価:10秒〜」は、図5に示す第1基準値B4に相当する。図18(A)に示す診療行為「身体診察」の第1基準値「〜10秒」/「10〜15秒」/「15秒〜」は、図5に示す第1基準値B1に相当する。図18(A)に示す診療行為「カルテ入力」の第1基準値「〜7秒」/「7〜12秒」/「12秒〜」は、図5に示す第1基準値B2に相当する。図18(A)に示す診療行為「説明」の第1基準値「〜5秒」/「5〜10秒/「10秒〜」は、図5に示す第1基準値B4に相当する。そして、第1基準値B4「〜5秒」/「5〜10秒/「10秒〜」、B1「〜10秒」/「10〜15秒」/「15秒〜」、B2「〜7秒」/「7〜12秒」/「12秒〜」、B4「〜5秒」/「5〜10秒/「10秒〜」は、患者情報記憶部24に記憶された、所定の患者の診療回数に基づいて補正される。
所定の患者の診療回数が1、すなわち、初診である場合、評価項目「医師発言率」における第1基準値B4「〜5秒」/「5〜10秒/「10秒〜」、B1「〜10秒」/「10〜15秒」/「15秒〜」、B2「〜7秒」/「7〜12秒」/「12秒〜」、B4「〜5秒」/「5〜10秒/「10秒〜」にそれぞれ補正係数「0.8」が乗算されて第2基準値がそれぞれ算出される。一方、所定の患者の診療回数が2以上、すなわち、再診である場合、第1基準値B4「〜5秒」/「5〜10秒/「10秒〜」、B1「〜10秒」/「10〜15秒」/「15秒〜」、B2「〜7秒」/「7〜12秒」/「12秒〜」、B4「〜5秒」/「5〜10秒/「10秒〜」にそれぞれ補正係数「1.0」が乗算されて第2基準値がそれぞれ算出される。
図18(B)は、図18(A)によって診療行為毎に算出された、評価項目「無音声時間」における第2基準値を、時系列のグラフとして示すものである。このグラフは、所定の患者が初診の場合の診療行為毎の第2基準値の段階b1,b2,b3を示す。図18(B)に示すグラフの無音声時間は、第2基準値の段階b1は高評価を示し、第2基準値の段階b2は中評価を示し、第2基準値の段階b3は低評価を示す。
図19は、評価項目「医師奨励語発言回数」における診療行為毎の第1基準値を示す。図19に示す診療行為「問診」の第1基準値「3語〜」は、図5に示す第1基準値H4に相当する。図19に示す診療行為「身体診察」の第1基準値「2語〜」は、図5に示す第1基準値H1に相当する。図19に示す診療行為「カルテ入力」の第1基準値「3語〜」は、図5に示す第1基準値H2に相当する。図19に示す診療行為「説明」の第1基準値「3語〜」は、図5に示す第1基準値H4に相当する。そして、第1基準値H4「3語〜」、H1「2語〜」、H2「3語〜」、H4「3語〜」は、患者情報記憶部24に記憶された、所定の患者の診療回数に基づいて補正される。
所定の患者の診療回数が1、すなわち、初診である場合、評価項目「医師奨励語発言回数」における第1基準値H4「3語〜」、H1「2語〜」、H2「3語〜」、H4「3語〜」にそれぞれ補正係数「1.0」が乗算されて第2基準値「3語〜」、「2語〜」、「3語〜」、「3語〜」がそれぞれ算出される。一方、所定の患者の診療回数が2以上、すなわち、再診である場合、第1基準値H4「3語〜」、H1「2語〜」、H2「3語〜」、H4「3語〜」にそれぞれ補正係数「0.5」が乗算されて第2基準値「2語〜」、「1語〜」、「2語〜」、「2語〜」がそれぞれ算出される。なお、第2基準値が少数になる場合、小数点以下を切り捨てるか、四捨五入すればよい。
図20(A)は、評価項目「医師禁止語発言回数」における診療行為毎の第1基準値を示す。図20(A)に示す診療行為「問診」の第1基準値「〜30語」は、図5に示す第1基準値I4に相当する。図20(A)に示す診療行為「身体診察」の第1基準値「〜20語」は、図5に示す第1基準値I1に相当する。図20(A)に示す診療行為「カルテ入力」の第1基準値「〜30語」は、図5に示す第1基準値I2に相当する。図20(A)に示す診療行為「説明」の第1基準値「〜30語」は、図5に示す第1基準値I4に相当する。そして、第1基準値I4「〜30語」、I1「〜20語」、I2「〜30語」、I4「〜30語」は、患者情報記憶部24に記憶された、所定の患者の診療回数に基づいて補正される。
所定の患者の診療回数が1、すなわち、初診である場合、評価項目「医師禁止語発言回数」における第1基準値I4「〜30語」、I1「〜20語」、I2「〜30語」、I4「〜30語」にそれぞれ補正係数「1.0」が乗算されて第2基準値「〜30語」、「〜20語」、「〜30語」、「〜30語」がそれぞれ算出される。一方、所定の患者の診療回数が2以上、すなわち、再診である場合、第1基準値I4「〜30語」、I1「〜20語」、I2「〜30語」、I4「〜30語」にそれぞれ補正係数「0.5」が乗算されて第2基準値「〜15語」、「〜10語」、「〜15語」、「〜15語」がそれぞれ算出される。
図20(B)は、図20(A)によって診療行為毎に算出された、評価項目「医師禁止語発言回数」における第2基準値を、時系列のグラフとして示すものである。このグラフは、初診の場合の診療行為毎の第2基準値iを示す。
図7の説明に戻って、比較手段11eは、評価値算出手段11aによって算出された、各評価項目における診療行為毎の評価値と、第2基準値算出手段11dによって算出された、各評価項目における診療行為毎の第2基準値(又は第1基準値)とを比較する機能を有する。比較手段11eは、各評価項目の対話評価又は診療全体の対話評価を行なう。
結果提示手段11fは、比較手段11eによる対話評価結果を医師に提示する機能と、比較手段11eによる対話評価結果を患者情報記憶部24に記憶させる機能とを有する。結果提示手段11fは、診療終了後に医師に対話評価結果を提示する際、改善箇所や改善方法として提示する。
図21は、対話評価結果の第1提示例を示す図である。
図21は、図16(B)に示す第2基準値gに対応する変動系の評価項目「医師発言率」の対話評価結果であり、診療終了後に表示部16(図7に図示)に表示される画面である。図21に示すように、図16(B)に示す評価項目「医師発言率」の第2基準値gに、時間tに従って変動する評価項目「医師発言率」の評価値g´[t]が重ねられて表示される。
また、診療終了後に対話評価結果を医師に提示する場合、第2基準値gからの評価値g´[t]のずれ量(第2基準値g−評価値g´[t])xがそれぞれ求められる。そして、ずれ量xに基づいて代表値(複数のずれ量xの加算値、重みづけ加算値、又は平均値等)が求められ、評価項目「医師発言率」の対話評価結果として提示される。代表値が大きい(プラスの)場合、複数の診療行為にわたって評価項目「医師発言率」の評価値g´[t]が小さかったということであるから、評価項目「医師発言率」については、医師の発言が基準より少なかったということになる。一方で、代表値が小さい(マイナスの)場合、複数の診療行為にわたって評価項目「医師発言率」の評価値g´[t]が大きかったということであるから、評価項目「医師発言率」については、医師の発言が基準より多かったということになる。
図22は、対話評価結果の第2提示例を示す図である。
図22は、図18(B)に示す第2基準値の段階b1,b2,b3に対応する累積系の評価項目「無音声時間」の対話評価結果であり、診療終了後に表示部16(図7に図示)に表示される画面である。図22に示すように、図18(B)に示す評価項目「無音声時間」の第2基準値の段階b1,b2,b3に、時間tに従って上昇する評価項目「無音声時間」の評価値b´[t]が重ねられて表示される。
また、診療終了後に対話評価結果を医師に提示する場合、第2基準値の段階b1,b2,b3に対する評価値b´[t]の割合がそれぞれ求められる。そして、その割合が最も大きい段階(高評価、中評価、又は低評価)が、評価項目「無音声時間」の対話評価結果として提示される。
図23は、対話評価結果の第3提示例を示す図である。
図23は、図20(B)に示す第2基準値iに対応する累積系の評価項目「医師発言回数」の対話評価結果であり、診療終了後に表示部16(図7に図示)に表示される画面である。図23に示すように、図20(B)に示す評価項目「医師禁止語発言回数」の第2基準値iに、時間tに従って累積する評価項目「医師禁止語発言回数」の評価値i´[t]が重ねられて表示される。
また、診療終了後に対話評価結果を医師に提示する場合、診療行為毎に、第2基準値iからの最大評価値i´MAXのずれ量(第2基準値i−評価値i´MAX)xがそれぞれ求められる。そして、ずれ量xに基づいて代表値(複数のずれ量xの加算値、重みづけ加算値、又は平均値等)が求められ、評価項目「医師禁止語発言回数」の対話評価結果として提示される。
図24は、対話評価結果の第4提示例を示す図である。
図24は、評価項目及び診療全体の対話評価結果であり、診療終了後に表示部16(図7に図示)に表示される画面である。図24に示すように、評価項目「対話時間」、「医師禁止語発言回数」、「医師発言率」、「患者発言スピード」、「医師視線率」の対話評価結果がそれぞれ視認容易なように表示される。
例えば、評価項目「対話時間」について、第2基準値からの評価値のずれ量(第2基準値−評価値)が求められ、それらの代表値が算出される。そして、その代表値(記号▲)が、代表値「0」を中心として絶対値が大きくなる程に濃い色となるグラデーションバー(カラーバー)に対応づけられることで、評価項目「対話時間」の対話評価結果として提示される。
また、例えば、評価項目「医師禁止語発言回数」について、第2基準値からの評価値のずれ量(第2基準値−評価値)が求められ、それらの代表値が算出される。そして、その代表値(記号▲)が、代表値「0」を中心として小さく(マイナス側に大きく)なる程に濃い色となるグラデーションバー(カラーバー)に対応づけられることで、評価項目「医師禁止語発言回数」の対話評価結果として提示される。なお、評価項目「医師禁止語発言回数」では、代表値(記号▲)は、大きいほど禁止語の使用回数が少ないので望ましい。
また、図24に示す「総合スコア」について、図25を用いて説明する。
図25は、総合スコアを算出するためのテーブルを示す図である。
評価項目毎に第2基準値からの評価値のずれ量(第2基準値−評価値)の代表値が算出されると、複数の評価項目に対応する複数の代表値の総合値(複数のずれ量xの加算値、重みづけ加算値、又は平均値等)が算出される。そして、総合値の幅と総合スコアとが予め対応付けされた図25に示すテーブルを参照して、複数の診療行為に基づく診療全体の総合スコアが取得される。
例えば、算出された総合値がQ1未満である場合、総合スコアは100[点]となり、算出された総合値がQ1以上でQ2未満である場合、総合スコアは90[点]となる。そして、総合スコアが、診療全体の対話評価結果として図24に示すように提示される。
なお、図18(A),(B)を用いて説明したように、第2基準値が3個の幅をもつ第2基準値b1,b2,b3である場合、第2基準値b1,b2,b3に対応する評価項目が総合スコアの導出から除外されてもよいし、第2基準値b1(又は第2基準値b2又はb3)の上限値からの評価値のずれ量に基づく代表値から総合スコアが算出されてもよい。
図26は、対話評価結果の第5提示例を示す図である。
図26は、診療全体の対話評価結果であり、診療終了後に表示部16(図7に図示)に表示される画面である。評価項目「患者頷き回数」、「患者首傾げ回数」、「医師禁止語発言回数」の代表値が大きい場合、図26に示すように、評価項目「患者頷き回数」、「患者首傾げ回数」、「医師禁止語発言回数」に対応するコメント(要改善コメント)が提示される。また、評価項目「医師禁止語発言回数」に対応するコメントとして、禁止語の発言回数「10回」を提示したり、発言された禁止語「頓服」を提示したりすることもできる。
また、評価項目「医師視線率」、「患者笑顔時間」の代表値が小さい場合、図26に示すように、評価項目「医師視線率」、「患者笑顔時間」に対応するコメント(要継続コメント)が提示される。
図27及び図28は、第1実施形態の診療支援装置1において診療終了後に対話評価を行なう場合の動作を示すフローチャートである。図2、図27、及び図28を用いて、第1実施形態の診療支援装置1における診療終了後の動作を説明する。
診療支援装置1は、診療を開始すると(ステップST1)、映像取得部17及び音声取得部18を用いて診療中の画像データ及び音声データを取得して記憶させる(ステップST2)。続いて、診療支援装置1は、診療を終了する(ステップST3)。
医師によって入力部15から診療終了後の対話評価の動作の開始指示があると、診療支援装置1は、診療終了後の対話評価を開始する(ステップST4)。診療支援装置1は、医師によって入力部15から所定の診療が選択されると、所定の診療を対話評価の対象の診療として設定する(ステップST5)。ステップST5において、診療支援装置1は、医師に所定の患者ID及び医師ID等の条件を選択させることで、所定の診療を設定することができる。そして、診療支援装置1は、評価項目記憶部20から所定の評価項目を取得する(ステップST6)。
診療支援装置1は、ステップST2によって記憶された画像データ及び音声データに基づいて、ステップST5によって選択された所定の診療内に行なわれる所定の診療行為を決定する(ステップST7)。続いて、診療支援装置1は、ステップST2によって記憶された画像データ及び音声データに基づいて、ステップST6によって取得された所定の評価項目の評価値を算出する(ステップST8)。
診療支援装置1は、基準値記憶部22から、ステップST6によって取得された所定の評価項目における、ステップST7によって決定された所定の診療行為の第1基準値を取得し、その第1基準値を患者情報記憶部24によって記憶された患者情報に基づいて補正して第2基準値を算出する(ステップST9)。診療支援装置1は、ステップST8によって算出された評価値と、ステップST9によって算出された第2基準値とを比較して所定の診療行為における第2基準値からの評価値のずれ量を求め、ずれ量に基づいて、ステップST7によって決定された所定の診療行為の代表値を算出する(ステップST10)。ステップST10において、診療支援装置1は、ステップST6によって取得された所定の評価項目が変動系の評価項目である場合、第2基準値からの複数の評価値のずれ量をそれぞれ求め、それらから代表値を算出する。一方、ステップST10において、診療支援装置1は、ステップST6によって取得された所定の評価項目が累積系の評価項目である場合、第2基準値からの所定の診療行為で最大の評価値のずれ量を求め、それらから代表値を算出する。
診療支援装置1は、ステップST5によって設定された所定の診療の中に他の診療行為が存在しないか否かを判断する(ステップST11)。ステップST11にてNO、すなわち、所定の診療の中に他の診療行為が存在すると判断される場合、診療支援装置1は、ステップST7に戻り、他の診療行為を設定する。
一方、ステップST11にてYES、すなわち、所定の診療の中に他の診療行為が存在しないと判断される場合、診療支援装置1は、ステップST10によって算出された代表値を、所定の評価項目の対話評価結果(図21〜図23に図示)として提示する(ステップST12)。
診療支援装置1は、他の評価項目について対話評価を行なわないか否かを判断する(ステップST13)。ステップST13の判断にてNO、すなわち、他の評価項目について対話評価を行なうと判断される場合、診療支援装置1は、ステップST6に戻り、他の評価項目を取得する。
一方、ステップST13の判断にてYES、すなわち、他の評価項目について対話評価を行なわないと判断される場合、診療支援装置1は、ステップST10によって算出された、所定の診療に含まれる全ての診療行為における代表値の総合値を算出し、所定の診療の対話評価結果(図24及び図26に図示)として提示する(ステップST14)。診療支援装置1は、他の診療の対話評価を行なわないか否かを判断する(ステップST15)。ステップST15の判断にてNO、すなわち、他の診療の対話評価を行なうと判断される場合、ステップST5に戻り、他の診療を設定する。
一方、ステップST15の判断にてYES、すなわち、他の診療の対話評価を行なわないと判断される場合、診療支援装置1は、対話評価の動作を終了する。
第1実施形態の診療支援装置1によると、評価項目と診療行為との組み合わせに適した基準値が設定され、その基準値に基づいて評価値が評価されるので、診療を適切に評価することができる。特に、第1実施形態の診療支援装置1によると、診療終了後に複数の評価項目における対話評価に基づいて診療全体における対話を総合的に評価することができる。
(第2実施形態)
第1実施形態の診療支援装置1は、診療終了後に対話評価を行なうものであるが、第2実施形態の診療支援装置1Aは、診療中に対話評価を行なうものである。なお、図1〜図20を用いた第1実施形態の診療支援装置1の説明は、第2実施形態の診療支援装置1Aについても同様であるので、説明を省略する。
第2実施形態の診療支援装置1Aの第1実施形態の診療支援装置1からの変更点は、累積系の評価項目が、所定の診療行為の対話開始時刻から現在時刻までの評価値として算出される点である。また、対話時間[sec.]を含む評価項目(対話時間、無音声率等)については、対話時間[sec.]が、所定の診療行為の開始時刻から現在時刻までの時間とされる。
図7を説明すると、評価値算出手段11aは、映像取得部17から略リアルタイムで送られてくる画像データと、音声取得部18から略リアルタイムで送られてくる音声データとに基づいて、取得した評価項目の評価値を算出する機能を有する。
結果提示手段11fは、診療中にリアルタイムで医師に対話評価結果を提示する際、評価が低い場合に、医師が所持するモバイル機器を介して警告を出すこともできる(図29,図30を用いて説明する)。
図29は、対話評価結果の第6提示例を示す図である。
図29は、図16(B)に示す第2基準値gに対応する変動系の評価項目「医師発言率」の対話評価結果であり、診療中にリアルタイムで、IF14(図7に図示)を介して医師が所持するモバイル機器に表示される画面である。図29に示すように、図16(B)に示す評価項目「医師発言率」の第2基準値gに、時間tに従って変動する評価項目「医師発言率」の評価値g´[t]がリアルタイムで重ねられてゆき、現在時刻t1における評価値g´[t1]を示す画面が最新表示される。
また、診療中にリアルタイムで対話評価結果を医師に提示する場合、現在時刻t1における診療行為「カルテ入力」の第2基準値g´[t1]からの、現在時刻t1における評価値g´のずれ量xが、評価項目「医師発言率」における現在時刻t1の対話評価結果として算出される。現在時刻t1における評価値g´[t1]のずれ量xが閾値を超える(医師発言率が低い)場合、診療中にリアルタイムで、IF14(図7に図示)を介して医師が所持するモバイル機器から警告が出される。
図30は、対話評価結果の第7提示例を示す図である。
図30は、図18(B)に示す第2基準値の段階b1,b2,b3に対応する累積系の評価項目「無音声時間」の対話評価結果であり、診療中にリアルタイムで、IF14(図7に図示)を介して医師が所持するモバイル機器に表示される画面である。図30に示すように、図18(B)に示す評価項目「無音声時間」の第2基準値の段階b1,b2,b3に、時間tに従って上昇する評価項目「無音声時間」の評価値b´[t]がリアルタイムで重ねられてゆき、現在時刻t2における評価値b´[t2]が最新表示される。
また、診療中にリアルタイムで評価結果を医師に提示する場合、現在時刻t2における診療行為「身体診察」の第2基準値の段階b1,b2,b3に基づく、現在時刻t2における評価値b´[t2]の段階(高評価、中評価、又は低評価)が、評価項目「無音声時間」における現在時刻t2の評価結果として算出される。現在時刻t2における評価値b´[t2]が低評価であったり、閾値時間より連続低評価時間が長くなったりする場合、診療中にリアルタイムで、IF14(図7に図示)を介して医師が所持するモバイル機器から警告が出される。
図31は、対話評価結果の第8提示例を示す図である。
図31は、図20(B)に示す第2基準値iに対応する累積系の評価項目「医師禁止語発言回数」の対話評価結果であり、診療中にリアルタイムで、IF14(図7に図示)を介して医師が所持するモバイル機器に表示される画面である。図31に示すように、図20(B)に示す評価項目「医師禁止語発言回数」の第2基準値iに、時間tに従って累積する評価項目「医師禁止語発言回数」の評価値i´[t]がリアルタイムで重ねられてゆき、現在時刻t3における評価値i´[t3]を示す画面が最新表示される。
また、診療中にリアルタイムで対話評価結果を医師に提示する場合、現在時刻t3における診療行為「説明」の第2基準値iからの、現在時刻t3における評価値i´[t3]のずれ量xが、評価項目「医師禁止語発言回数」における現在時刻t3の対話評価結果として算出される。現在時刻t3における評価値i´[t3]のずれ量xがマイナスとなり閾値を下回る(医師禁止語発言回数が多い)場合、診療中にリアルタイムで、IF14(図7に図示)を介して医師が所持するモバイル機器から警告が出される。
図32は、対話評価結果の第9提示例を示す図である。
図32は、評価項目及び診療全体の対話評価結果であり、診療中にリアルタイムで対話評価結果を医師に提示するための表示例である。図32に示すように、評価項目「対話時間」、「医師禁止語発言回数」、「医師発言率」、「患者発言スピード」、「医師視線率」の対話評価結果がそれぞれ視認容易なように表示される。
例えば、評価項目「対話時間」について、現在時刻の診療行為における第2基準値からの評価値のずれ量(第2基準値−評価値)が算出される。そして、そのずれ量が、累計値の絶対値が大きくなる程に濃い色となるグラデーションバー(カラーバー)に対応づけられることで、評価項目「対話時間」の対話評価結果として提示される。
図33及び図34は、第2実施形態の診療支援装置1Aにおいて診療中にリアルタイムで対話評価を行なう場合の動作を示すフローチャートである。図2、図33、及び図34を用いて、第2実施形態の診療支援装置1Aにおける診療中の動作を説明する。
診療支援装置1Aは、診療を開始する(ステップST1)。医師によって入力部15から診療中の対話評価の動作の開始指示があると、診療支援装置1Aは、診療中の対話評価を開始して(ステップST22)、映像取得部17及び音声取得部18を用いて診療中の画像データ及び音声データの取得を開始する(ステップST23)。評価項目記憶部20に記憶された評価項目から、医師によって入力部15から所定の評価項目が選択されると、診療支援装置1Aは、評価項目記憶部20から所定の評価項目を取得する(ステップST24)。
診療支援装置1Aは、ステップST23によって略リアルタイムで取得された画像データ及び音声データに基づいて、診療内に行なわれる現在時刻の診療行為を決定する(ステップST25)。続いて、診療支援装置1Aは、ステップST23によって略リアルタイムで取得された画像データ及び音声データに基づいて、ステップST24によって取得された評価項目の評価値を算出する(ステップST26)。
診療支援装置1Aは、基準値記憶部22から、ステップST24によって取得された所定の評価項目における、ステップST25によって決定された現在時刻の診療行為の第1基準値を取得し、その第1基準値を患者情報記憶部24によって記憶された患者情報に基づいて補正して第2基準値を算出する(ステップST27)。診療支援装置1Aは、ステップST26によって算出された評価値と、ステップST27によって算出された第2基準値とを比較して現在時刻の診療行為における第2基準値からの評価値のずれ量が算出される(ステップST28)。
診療支援装置1Aは、ステップST28によって算出されたずれ量x(図29に図示)を、ステップST24によって取得された所定の評価項目の対話評価結果(図29〜図31に図示)として提示する(ステップST29)。診療支援装置1Aは、他の評価項目について対話評価を行なわないか否かを判断する(ステップST30)。ステップST30の判断にてNO、すなわち、他の評価項目について対話評価を行なうと判断される場合、診療支援装置1Aは、ステップST24に戻り、他の評価項目を取得する。
一方、ステップST30の判断にてYES、すなわち、他の評価項目について対話評価を行なわないと判断される場合、診療支援装置1Aは、診療中の対話評価を終了するか否かを判断する(ステップST31)。ステップST31の判断にてNO、すなわち、診療中の対話評価を終了しないと判断される場合、ステップST25に戻り、次の時刻の診療行為を決定する。
一方、ステップST31の判断にてYES、すなわち、診療中の対話評価を終了すると判断される場合、診療支援装置1Aは、ステップST23によって開始された診療中の画像データ及び音声データの取得を終了させ(ステップST32)、診療を終了する(ステップST3)。
つまり、第2実施形態の診療支援装置1Aは、図27に示す第1実施形態の診療支援装置1のステップST1〜ST3の間に、対話評価を行なうものである。
第2実施形態の診療支援装置1Aによると、評価項目と診療行為との組み合わせに適した基準値が設定され、その基準値に基づいて評価値が評価されるので、診療を適切に評価することができる。特に、第2実施形態の診療支援装置1Aによると、診療中に対話評価結果を対象者に提示することができる。
(第1変形例)
図7に示す第2実施形態の診療支援装置1Aにおいて、第2基準値算出手段11dは、第1基準値又は第2基準値に、診療の予約情報(診療待ち患者の数/時間)を加味することで第3基準値を算出してもよい。
図35は、各評価項目における診療行為毎の第3基準値の算出方法を説明するための図である。
図35は、基準値記憶部22に記憶された第1基準値や、第2基準値算出手段11d(図7に図示)によって算出された第2基準値に乗算される補正係数と診療の予約情報との関係を示す。例えば、残り診療時間が1時間で診療待ち患者数が13人である場合、診療の予約情報が13[人/時]となるので、第1基準値又は第2基準値に補正係数「0.8」が乗算される。このように、第1基準値又は第2基準値は、診療の予約情報によって補正されることができる。
第2実施形態の診療支援装置1Aの第1変形例によると、診療中に、診療の予約情報を考慮した基準値補正が可能となり、診療の効率性が向上する。
(第2変形例)
図7に示す第1及び第2実施形態の診療支援装置1,1Aにおいて、評価値算出手段11aは、被診療者の候補が複数居る場合、例えば患者及び付き添い者が居る場合に、患者及び付き添い者のいずれか又は両方を対象として評価値を算出するのかについて、患者情報記憶部24に記憶された患者の年齢や疾患に応じて自動的に切り替える。例えば、評価値算出手段11aは、患者が小学生以下(患者の年齢による)の場合には付き添い者のみを対象とし、付き添い者が看護師(年齢及び疾病に基づく)である場合には、患者のみを対象とし、患者が認知症等の特定の疾患(疾病に基づく)の場合には、付き添い者のみを対象とし、それら以外の場合には、一般的なケースとして両者を対象とすることができる。
第1及び第2実施形態の診療支援装置1,1Aの第2変形例によると、被診療者の候補が複数居る場合に、評価値の算出対象を自動的に切り替えることができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。