JP6407039B2 - 和太鼓 - Google Patents

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本発明は、胴の両端の革が紐締めされている和太鼓に関する。
太鼓の胴の両端の革が紐締めされている和太鼓として、桶胴太鼓や締太鼓が知られている。太鼓は胴の両端に張設された革面を桴で打ち、その打音の振動が胴を伝わって反対側の革を響かせると共に、太鼓の内部を共鳴箱として大きな音を発している。そして、革面の振動が止まるまで余韻が持続する。
このような和太鼓は胴の両端に張設された革の張りを調整することによって、音程を調節することができる。革の張りを調整して音程を調節する和太鼓として、特開2002−149154号公報に記載の和太鼓がある。
特開2002−149154号公報に記載の和太鼓は、一木づくりで中央部がくびれた鼓形に胴を形成し、胴の両面に当てた革を、この革を張設するリング枠に交互に引掛け、胴に沿って渡すと共に、胴の中央部で円周に沿って巻き締めた紐で当着したことを特徴とする。胴の中央部で円周に沿って巻き締めた紐の締め具合を調整することで、胴の両端に張設された革の張りを調整することができるようになっている。
特開2002−149154号公報
上記特開2002−149154号公報の和太鼓では、両端の革の張りを独立して調整することができないという問題があった。
また、上記特開2002−149154号公報の和太鼓では、胴の中央部で紐を円周に沿って巻き締めた後、再度音程の調整が必要となった場合に、その紐を取り外して再び巻き締める必要がある。したがって、革の張りの調整に時間がかかるという問題もあった。
上記点より本発明は、両端の革の張りを独立して調整することができ、その革の張りの調整を容易かつ短時間で行うことができる和太鼓を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の和太鼓は胴に沿って渡される紐によって、前記胴の両端の革の張りを調節する和太鼓において、前記胴の前記端からそれぞれ延出してきた紐を再び当該端に向かって折り返す折り返し手段が前記胴の外周面から突出しており、両端の革の張りを独立して調整できる
請求項1の和太鼓によれば、前記胴の前記端からそれぞれ延出してきた紐を再び当該端に向かって折り返す折り返し手段が前記胴の外周面から突出しているので、共通の一本の紐ではなく、独立した二本の各紐で、胴の両端の革をそれぞれ締めることができる。したがって、両端の革の張りを独立して調整することができる。
請求項2の和太鼓は、請求項1の和太鼓において、前記折り返し手段は、前記折り返し手段が設けられている位置から前記胴の一方の端までの距離が、前記折り返し手段が設けられている位置から胴の他方の端までの距離より短くなっている。
請求項2の和太鼓によれば、請求項1の和太鼓と同様に作用する上に、和太鼓にストラップを付けて演奏者の肩から和太鼓を吊って和太鼓の胴の中央に使用者の体が位置する場合において、折り返し手段が使用者の体に食い込むことを防止できる。
請求項3の和太鼓は、請求項1又は請求項2の和太鼓において、前記折り返し手段は、U字状の棒体からなり、この棒体は、U字の両端が前記胴の外周面に固定されている
請求項3の和太鼓によれば、請求項1又は請求項2の和太鼓と同様に作用する上に、U字状の棒体からなっていることによって、折り返し手段に使用者の体が当たっても怪我すること防止できる。さらに、U字の離れた2つの直線部で、それぞれ一方の端からの紐と他方の端からの紐を折り返すことができるので、両方の紐が接触干渉することなく折り返すことができる。
請求項4の和太鼓は、請求項1から請求項3のいずれかの和太鼓において、胴に沿って渡される紐によって、前記胴の両端の革の張りを調節する和太鼓において、略ハの字状に張り渡された隣り合う紐が通されており、任意の位置でその隣り合う紐の間隔を短くできるように案内するために、前記隣り合う紐に沿って前記胴の端に対して接近及び離反可能となっている張力調節手段を有する。
請求項4の和太鼓によれば、請求項1から請求項3のいずれかの和太鼓と同様に作用する上に、張力調節手段を端に近づけたり遠ざけたりすることによって、略ハの字状に張り渡された隣り合う紐の張りを容易に調整することができる。したがって、紐の張りを調整するために、その紐を取り外して再び巻き締める必要がないので、革の張りの調整を容易かつ短時間で行うことができる。
請求項1から3のいずれかの発明によれば、両端の革の張りを独立して調整することができる。また、請求項4の発明によれば、その革の張りの調整を容易かつ短時間で行うことができる。
本発明の一実施形態の和太鼓の斜視図である。 図1の和太鼓の折り返し手段付近の拡大斜視図である。 張力調節手段による紐の張力調節を示す側面概略図である。
本発明の一実施形態である和太鼓1について、以下説明する。
和太鼓1は、図1に示すように、胴2と、この胴2の両端にそれぞれ当着されている革部31,32と、革部31,32をそれぞれ胴2の端に向かって押し付けるために胴2に沿って渡されている紐41,42とから構成される。
和太鼓1は、桶胴太鼓であり、紐41,42によって、革部31,32の革の張りを調節できるようになっている。
胴2は、縦に割られた板を寄せて円筒状にしたものである。胴2は、円筒の軸線方向の中央部が膨らんだ形状となっている。
革部31,32は、円盤状となっており、革がリング枠に張設されたものである。革部31,32の直径は、胴2の両端の外径より大きくなっている。
革部31,32は、リング枠に革を張り置き、リング枠に沿って革の周囲を折り返し、折り返し端部と表面とを縫着して形成する。縫着はリング枠の内径に沿った円形の位置と、その内側であって胴2の外径に沿った円形の位置になされる。
革部31,32は、それぞれリング枠の内径に沿って適宜間隔で紐の挿通孔61,62が設けられている。
胴2の外周面からは折り返し手段4が突出している。胴2の両端からそれぞれ延出してきた二本の紐41,42を再び胴2の両端に向かって折り返すことができるようになっている。
具体的には、紐41は、胴2の端の革部31の挿通孔61を通り、折り返し手段4に向かって延出し、折り返し手段4によって折り返され、胴2の端の革部31に向かって延出し、すでに通った挿通孔61の隣の挿通孔61を通ること繰り返す。同様に、紐42は、革部32の挿通孔62を通り、折り返し手段4に向かって延出し、折り返し手段4によって折り返され、胴2の端の革部32に向かって延出し、すでに通った挿通孔62の隣の挿通孔62を通ること繰り返す。その結果、紐41及び紐42は、折り返しを挟んで隣り合う紐が略ハの字状となっている。
折り返し手段4は、折り返し手段4が設けられている位置から胴2の一方の端である革部31側の端までの距離が、折り返し手段4が設けられている位置から胴2の他方の端である革部32側の端までの距離より短くなっている。
折り返し手段4は、胴2の外周から突出するU字状の棒体からなる。棒体は横断面が円形となっている。折り返し手段4で折り返される紐41,42との摩擦抵抗及び摩耗を抑制するためである。この棒体は、U字の両端が胴2の外周面に固定されている。図2に示すように、折り返し手段4のU字の離れた2つの直線部で、それぞれ一方の端からの紐41と他方の端からの紐42を折り返すことができるので、両方の紐41、42が接触干渉することなく折り返すことができる。
図1に示すように、張力調節手段7は、略ハの字状に張り渡された隣り合う紐42が通されている。張力調節手段は、任意の位置で、その略ハの字状の隣り合う紐42の間隔を短くできるように紐42を案内するために、胴2の端に対して隣り合う紐42に沿って接近及び離反可能となっている。
張力調節手段7は、両側に開口部を有するスリーブである。図3(A)に示すように、そのスリーブに通された隣り合う紐42の間隔が短い側である42b及び42d側の開口部が記隣り合う紐42の間隔が長い側である42a及び42b側の開口部より小さくなっている。
図3の(A)は、張力調節手段7が、胴2の革部32側の端から離れた位置にある場合を示す。図3の(B)は、張力調節手段7が、胴2の革部32側の端に近い位置にある場合を示す。
図3の(A)における42a+42b+42c+42d+張力調節手段7に通っている部分の長さが、図3の(B)における42e+42f+42g+42h+張力調節手段7に通っている部分の長さより短くなっている。したがって、紐42はAよりBの方が伸ばされているので、紐42の張力はAよりBの方が強い。
張力調節手段7を胴2の革部32側の端に対して隣り合う紐42に沿って接近及び離反させることによって、紐42の張力を調節できる。したがって、紐42の張りを調整するために、紐42を取り外して再び巻き締める必要がなく、革部32の革の張りを容易かつ短時間で行うことができる。
上記実施形態では、桶胴太鼓の場合について説明したが、これに限定されることなく、胴に沿って渡される紐によって、前記胴の両端の革の張り具合を調節する締太鼓等の和太鼓や鼓であってもよい。
上記実施形態では、胴2が縦に割られた板を寄せて円筒状にしたものである場合について説明したが、これに限定されることなく、輪切りにした一本の木をくり抜いたものであってもよいし、木以外の材料からなる円筒であってもよい。
上記実施形態では、胴2が円筒の軸線方向の中央部が膨らんだ形状となっている場合について説明したが、これに限定されることなく、胴は円筒の軸線方向の中央部がくびれた鼓状のものでもよいし、胴は円筒の軸線を法線とする横断面形状が一定であってもよい。
上記実施形態では、革部31,32がリング枠と革からなる場合について説明したがこれに限定されることなく、革に挿通孔が直接設けられていてもよい。
上記実施形態では、折り返し手段4は、胴2の一方の端である革部31側の端までの距離が、胴2の他方の端である革部32側の端までの距離より短くなっている場合について説明したが、これに限定されることなく、例えば太鼓を置いて使う場合には、胴の一方の端である革部側の端までの距離が、胴の他方の端である革部側の端までの距離が等しくてもよい。
上記実施形態では、折り返し手段4は、胴2の外周から突出するU字状の棒体からなる場合について説明したが、これに限定されることなく、折り返し手段4の形状は、紐41,42が接触干渉することがなく折り返せる形状であればよい。
折り返し手段4は、胴2に対して着脱可能であってもよい。
上記実施形態では、張力調節手段7がスリーブである場合について説明したが、これに限定されることなく、隣り合う紐それぞれが貫通する2つの貫通孔が設けられているものであってもよい。
1 和太鼓
2 胴
4 折り返し手段
7 張力調節手段
31,32 革部
41,42、42a〜42h 紐
61,62 挿通孔

Claims (4)

  1. 胴に沿って渡される紐によって、前記胴の両端の革の張りを調節する和太鼓において、
    前記胴の前記端からそれぞれ延出してきた紐を再び当該端に向かって折り返す折り返し手段が前記胴の外周面から突出しており、
    両端の革の張りを独立して調整できることを特徴とする和太鼓。
  2. 前記折り返し手段は、前記折り返し手段が設けられている位置から前記胴の一方の端までの距離が、前記折り返し手段が設けられている位置から胴の他方の端までの距離より短くなっていることを特徴とする請求項1に記載の和太鼓。
  3. 前記折り返し手段は、U字状の棒体からなり、
    この棒体は、U字の両端が前記胴の外周面に固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の和太鼓。
  4. 胴に沿って渡される紐によって、前記胴の両端の革の張りを調節する和太鼓において、
    略ハの字状に張り渡された隣り合う紐が通されており、任意の位置でその隣り合う紐の間隔を短くできるように案内するために、前記隣り合う紐に沿って前記胴の端に対して接近及び離反可能となっている張力調節手段を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の和太鼓。
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