以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量、状態量又は部材等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量、状態量又は部材等の名称を省略又は略記することがある。また、後述の任意のフローチャートにおいて、任意の複数のステップにおける複数の処理は、処理内容に矛盾が生じない範囲で、任意に実行順序を変更できる又は並列に実行できる。
<<第1実施形態>>
本発明の第1実施形態を説明する。図1(a)及び(b)は、第1実施形態に係る給電機器1及び電子機器2の概略外観図である。但し、図1(a)は、給電機器1及び電子機器2が離間状態にあるときのそれらの外観図であり、図1(b)は、給電機器1及び電子機器2が基準配置状態にあるときのそれらの外観図である。離間状態及び基準配置状態の意義については後に詳説する。給電機器1及び電子機器2によって非接触給電システムが形成される。給電機器1は、商用交流電力を受けるための電源プラグ11と、給電台12と、を備える。
図2(a)に、給電機器1と電子機器2の概略内部構成図を示す。給電機器1は、電源プラグ11を介して入力された商用交流電圧から所定の電圧値を有する直流電圧を生成して出力するAC/DC変換部13と、AC/DC変換部13の出力電圧を用いて駆動する集積回路である送電側IC100(以下、IC100とも言う)と、IC100に接続された送電側共振回路TT(以下、共振回路TTとも言う)と、を備える。AC/DC変換部13、送電側IC100及び共振回路TTを、給電台12内に配置しておくことができる。AC/DC変換部13の出力電圧を用いて駆動する回路が、IC100以外にも、給電機器1に設けられうる。
電子機器2は、集積回路である受電側IC200(以下、IC200とも言う)と、IC200に接続された受電側共振回路RR(以下、共振回路RRとも言う)と、二次電池であるバッテリ21と、バッテリ21の出力電圧に基づき駆動する機能回路22と、を備える。詳細は後述するが、IC200はバッテリ21に対して充電電力を供給することができる。IC200は、バッテリ21の出力電圧にて駆動しても良いし、バッテリ21以外の電圧源からの電圧に基づき駆動しても良い。或いは、給電機器1から受信したNFC通信(詳細は後述)のための信号を整流することで得た直流電圧が、IC200の駆動電圧となっても良い。この場合、バッテリ21の残容量が無くなってもIC200は駆動可能となる。
電子機器2は、任意の電子機器であって良く、例えば、携帯電話機(スマートホンに分類される携帯電話機を含む)、携帯情報端末、タブレット型パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、MP3プレイヤー、歩数計、又は、Bluetooth(登録商標)ヘッドセットである。機能回路22は、電子機器2が実現すべき任意の機能を実現する。従って例えば、電子機器2がスマートホンであれば、機能回路22は、相手側機器との間の通話を実現するための通話処理部、及び、ネットワーク網を介して他機器と情報を送受信するための通信処理部などを含む。或いは例えば、電子機器2がデジタルカメラであれば、機能回路22は、撮像素子を駆動する駆動回路、撮像素子の出力信号から画像データを生成する画像処理回路などを含む。機能回路22は、電子機器2の外部装置に設けられる回路であると考えても良い。
図2(b)に示す如く、共振回路TTは、送電側コイルであるコイルTLと送電側コンデンサであるコンデンサTCとを有し、共振回路RRは、受電側コイルであるコイルRLと受電側コンデンサであるコンデンサRCとを有する。以下では、説明の具体化のため、特に記述無き限り、送電側コイルTL及び送電側コンデンサTCが互いに並列接続されることで共振回路TTが並列共振回路として形成され、且つ、受電側コイルRL及び受電側コンデンサRCが互いに並列接続されることで共振回路RRが並列共振回路として形成されているものとする。但し、送電側コイルTL及び送電側コンデンサTCが互いに直列接続されることで共振回路TTが直列共振回路として形成されていても良いし、受電側コイルRL及び受電側コンデンサRCが互いに直列接続されることで共振回路RRが直列共振回路として形成されていても良い。
図1(b)に示す如く、電子機器2を給電台12上の所定範囲内に載置したとき、磁界共鳴方式にて(即ち、磁界共鳴を利用して)、機器1及び2間における通信、送電及び受電が可能となる。磁界共鳴は、磁界共振などとも呼ばれる。
機器1及び2間における通信は、NFC(Near field communication)による無線通信(以下、NFC通信と呼ぶ)であり、通信の搬送波の周波数は13.56MHz(メガヘルツ)である。以下では、13.56MHzを基準周波数と呼ぶ。機器1及び2間におけるNFC通信は、共振回路TT及びRRを利用した磁界共鳴方式で行われるため、共振回路TT及びRRの共振周波数は、共に、基準周波数に設定されている。但し、後述されるように、共振回路RRの共振周波数は、一時的に基準周波数から変更され得る。
機器1及び2間における送電及び受電は、給電機器1から電子機器2に対するNFCによる送電と、電子機器2におけるNFCによる受電である。この送電と受電をまとめて電力伝送とも呼ぶ。磁界共鳴方式によりコイルTLからコイルRLに対して電力を伝達することで、電力伝送が非接触で実現される。
磁界共鳴を利用した電力伝送では、送電側コイルTLに交流電流を流すことで送電側コイルTLに基準周波数の交番磁界を発生させる。すると、この交番磁界が、基準周波数で共鳴(換言すれば共振)する共振回路RRに伝わって受電側コイルRLに交流電流が流れる。つまり、送電側コイルTLを含む共振回路TTから受電側コイルRLを含む共振回路RRへ電力が伝達される。尚、以下では、記述が省略されることがあるが、NFC通信又は電力伝送においてコイルTL又はコイルRLにより発生する磁界は、特に記述無き限り、基準周波数で振動する交番磁界である。
電子機器2が給電台12上の所定範囲内に載置され、上述のNFC通信及び電力伝送が実現できる状態を、基準配置状態と呼ぶ(図1(b)参照)。磁気共鳴を利用した場合、相手側距離との距離が比較的大きくても通信及び電力伝送が可能であるが、電子機器2が給電台12から相当距離離れれば、NFC通信及び電力伝送は実現できなくなる。電子機器2が給電台12から十分に離れていて、上述のNFC通信及び電力伝送を実現できない状態を、離間状態と呼ぶ(図1(a)参照)。
尚、図1(a)に示す給電台12では、表面が平らになっているが、載置されるべき電子機器2の形状に合わせた窪み等が給電台12に形成されていても構わない。即ち、例えば、給電台12は、図3に示すような給電クレードル12aであっても構わない。
図4に、IC100の内部ブロック図を含む、給電機器1の一部の構成図を示す。IC100には、端子101及び102に加え、符号110、120、130、140、150及び160によって参照される各部位が設けられる。図5に、IC200の内部ブロック図を含む、電子機器2の一部の構成図を示す。IC200には、端子201及び202に加え、符号210、220、230、240及び250によって参照される各部位が設けられる。また、IC200に対し、IC200の駆動電圧を出力するコンデンサ23を接続しておくと良い。コンデンサ23は、給電機器1から受信したNFC通信のための信号を整流することで得た直流電圧を出力可能である。
端子101には、コンデンサTC及びコイルTLの各一端が接続され、端子102には、コンデンサTC及びコイルTLの各他端が接続される。切り替え回路110は、共振回路TT並びに端子101及び102と、NFC通信回路120及びNFC送電回路130との間に直列に介在するスイッチから成り、回路120及び130の一方を択一的に端子101及び102に接続させることで、回路120及び130の一方を択一的に共振回路TTに接続させる。
端子201には、コンデンサRC及びコイルRLの各一端が接続され、端子202には、コンデンサRC及びコイルRLの各他端が接続される。切り替え回路210は、共振回路RR並びに端子201及び202と、NFC通信回路220及びNFC受電回路230との間に直列に介在するスイッチから成り、回路220及び230の一方を択一的に端子201及び202に接続させることで、回路220及び230の一方を択一的に共振回路RRに接続させる。
共振回路TT並びに端子101及び102が切り替え回路110を介してNFC通信回路120に接続され、且つ、共振回路RR並びに端子201及び202が切り替え回路210を介してNFC通信回路220に接続されている状態を、通信用接続状態と呼ぶ。
通信用接続状態においてIC100が送信側であるとき、NFC通信回路120は、基準周波数の交流信号(交流電流)を端子101及び102を介して共振回路TTに供給することができ、その交流信号に任意の情報信号を重畳させることで、当該情報信号を磁気共鳴方式で共振回路RR(電子機器2)に伝達できる。給電機器1から伝達された情報信号はNFC通信回路220にて抽出される。
通信用接続状態においてIC200が送信側であるとき、NFC通信回路220は、基準周波数の交流信号(交流電流)を端子201及び202を介して共振回路RRに供給することができ、その交流信号に任意の情報信号を重畳させることで、当該情報信号を磁気共鳴方式で共振回路TT(給電機器1)に伝達できる。電子機器2から伝達された情報信号はNFC通信回路120にて抽出される。
共振回路TT並びに端子101及び102が切り替え回路110を介してNFC送電回路130に接続され、且つ、共振回路RR並びに端子201及び202が切り替え回路210を介してNFC受電回路230に接続されている状態を、給電用接続状態と呼ぶ。
給電用接続状態において、NFC送電回路130は送電動作を行うことができ、NFC受電回路230は受電動作を行うことができる。送電動作と受電動作にて電力伝送が実現される。送電動作において、送電回路130は、共振回路TTに基準周波数の交流信号(交流電流)を供給することで送電側コイルTLに基準周波数の送電用交番磁界を発生させ、これによって、共振回路TT(送電側コイルTL)から共振回路RRに対し磁界共鳴方式で電力を送電する。送電動作に基づき受電側コイルRLにて受電された電力は受電回路230に送られ、受電動作において、受電回路230は、受電した電力から任意の直流電力を生成して出力する。受電回路230の出力電力にてバッテリ21を充電することができる。
通信用接続状態にてNFC通信を行う場合も、コイルTL又はRLにて磁界が発生するが、NFC通信における磁界強度は、所定の範囲内に収まる。その範囲の下限値及び上限値は、NFCの規格で定められ、夫々、1.5A/m、7.5A/mである。これに対し、電力伝送(即ち送電動作)において送電側コイルTLにて発生する磁界の強度は、上記の上限値より大きく、例えば45〜60A/m程度である。機器1及び2を含む非接触給電システムにおいて、NFC通信及び電力伝送(NFC電力伝送)を交互に行うことができ、その時の磁界強度の様子を図6に示す。
負荷検出回路140は、送電における負荷の大きさ、即ち、送電回路130から送電側コイルTLに交流信号(交流電流)が供給されるときにおける送電側コイルTLにとっての負荷の大きさを検出する。図7に、給電用接続状態における送電回路130と負荷検出回路140と共振回路TTとの関係を示す。尚、図7では、切り替え回路110の図示が省略されている。
送電回路130は、基準周波数の正弦波信号を生成する信号生成器131と、信号生成器131にて生成された正弦波信号を増幅し、増幅した正弦波信号を、ライン134の電位を基準としてライン134及び135間に出力する増幅器(パワーアンプ)132と、コンデンサ133とを備える。一方、負荷検出回路140は、センス抵抗141、増幅器142、包絡線検波器143及びA/D変換器144を備える。信号生成器131が生成する正弦波信号の信号強度は一定値に固定されているが、増幅器132の増幅率は制御回路160により可変設定される。
コンデンサ133の一端はライン135に接続される。給電用接続状態において、コンデンサ133の他端はコンデンサTC及びコイルTLの各一端に共通接続され、且つ、コイルTLの他端はセンス抵抗141を介してライン134及びコンデンサTCの他端に共通接続される。
送電動作は、増幅器132からコンデンサ133を介し共振回路TTに交流信号を供給することで実現される。給電用接続状態において、増幅器132からの交流信号が共振回路TTに供給されるとコイルTLに基準周波数の交流電流が流れ、結果、センス抵抗141に交流の電圧降下が発生する。図8の実線波形は、センス抵抗141における電圧降下の電圧波形である。送電側コイルTLの発生磁界強度が一定の下、電子機器2を給電台12に近づけると、送電側コイルTLの発生磁界に基づく電流が受電側コイルRLに流れる一方で、受電側コイルRLに流れた電流に基づく逆起電力が送電側コイルTLに発生し、その逆起電力は送電側コイルTLに流れる電流を低減するように作用する。このため、図8に示す如く、基準配置状態におけるセンス抵抗141の電圧降下の振幅は、離間状態におけるそれよりも小さい。
増幅器142は、センス抵抗141における電圧降下の信号を増幅する。包絡線検波器143は、増幅器142にて増幅された信号の包絡線を検波することで、図8の電圧vに比例するアナログの電圧信号を出力する。A/D変換器144は、包絡線検波器143の出力電圧信号をデジタル信号に変換することでデジタルの電圧値VDを出力する。上述の説明から理解されるように、電圧値VDは、センス抵抗141に流れる電流の振幅(従って、送電側コイルTLに流れる電流の振幅)に比例する値を持つ。
磁界を発生させる送電側コイルTLにとって、受電側コイルRLのような、送電側コイルTLと磁気結合するコイルは、負荷であると考えることができ、その負荷の大きさに依存して、負荷検出回路140の検出値である電圧値VDが変化する。このため、負荷検出回路140は電圧値VDの出力によって負荷の大きさを検出している、と考えることができる。ここにおける負荷の大きさ(送電における負荷の大きさ)とは、送電の際における送電側コイルTLにとっての負荷の大きさとも言えるし、送電の際における給電装置1から見た電子機器2の負荷としての大きさとも言える。
尚、図7のように負荷検出回路140を形成する場合、図9に示す如く、センス抵抗141をIC100の内部に設けておくことができる。図9の構成の場合、IC100に更に端子103を設けておいて、端子102及び103間にセンス抵抗141を接続する一方で、コンデンサTC及びコイルTLの各一端を端子101に共通接続し、且つ、コンデンサTC及びコイルTLの他端をそれぞれ端子102及び103に接続すれば良い。但し、センス抵抗141をIC100の外側に設けることも可能である。
また、公知の技術であるため詳細は割愛するが、通信用接続状態においてIC200が送信側であるとき、NFC通信回路220は、自身が電波を送信するのではなく、共振回路TTにとっての負荷を変化させることで、任意の情報信号を磁気共鳴方式で共振回路TT(給電機器1)に伝達するようにしても良い。即ち、通信用接続状態においてIC200が送信側であるとき、IC100は基準周波数の無変調波を共振回路TTにて発生させ、このとき、IC200は、IC100に伝達したい情報信号に応じて、共振回路TTから見たIC200の負荷として重さ(例えば、IC200全体の消費電力)を変化させる。そして、IC100内の通信回路120に負荷検出回路140と同等の第2負荷検出回路を設けておき、第2負荷検出回路にて上記負荷の重さを検出することで通信回路120にて上記情報信号を抽出すれば良い。
図4の説明に戻る。メモリ150は、不揮発性メモリから成り、任意の情報を不揮発的に記憶する。制御回路160は、IC100内の各部位の動作を統括的に制御する。制御回路160が行う制御には、例えば、切り替え回路110の切り替え動作の制御、通信回路120及び送電回路130による通信動作及び送電動作の内容制御及び実行有無制御、負荷検出回路140の動作制御、メモリ150の記憶制御及び読み出し制御が含まれる。制御回路160は、タイマ(不図示)を内蔵しており任意のタイミング間の時間長さを計測できる。
電子機器2における共振状態変更回路240(図5参照)は、共振回路RRの共振周波数を基準周波数から他の所定周波数fMに変更する共振周波数変更回路、又は、共振回路RRにおける受電側コイルRLを短絡するコイル短絡回路である。
図10の共振周波数変更回路240Aは、共振状態変更回路240としての共振周波数変更回路の例である。共振周波数変更回路240Aは、コンデンサ241とスイッチ242の直列回路から成り、該直列回路の一端はコンデンサRC及びコイルRLの各一端に共通接続される一方、該直列回路の他端はコンデンサRC及びコイルRLの各他端に共通接続される。スイッチ242は、電界効果トランジスタ等の半導体スイッチング素子から成り、制御回路250の制御の下、オン又はオフとなる。
スイッチ242がオフのとき、コンデンサ241はコンデンサRC及びコイルRLから切り離されるため、共振回路RRは、寄生インダクタンス及び寄生容量を無視すれば、コイルRL及びコンデンサRCのみで形成されて、共振回路RRの共振周波数は基準周波数と一致する。即ち、スイッチ242がオフのとき、共振回路RRの共振周波数を決定する受電側容量は、コンデンサRCそのものである。スイッチ242がオンのとき、コンデンサRCにコンデンサ241が並列接続されることになるため、共振回路RRはコイルRLとコンデンサRC及び241の合成容量とで形成され、結果、共振回路RRの共振周波数は基準周波数よりも低い周波数fMとなる。即ち、スイッチ242がオンのとき、共振回路RRの共振周波数を決定する受電側容量は、上記の合成容量である。ここでは、スイッチ242がオンのとき共振回路RRが送電側コイルTLの負荷として機能しない程度に(即ち、共振回路TT及びRR間で磁気共鳴が十分に発生しない程度に)、周波数fMが基準周波数から離れているものとする。例えば、スイッチ242のオンのときにおける共振回路RRの共振周波数(即ち周波数fM)は、数100kHz〜1MHzとされる。
共振回路RRの共振周波数を周波数fMに変更できる限り、変更回路240としての共振周波数変更回路は共振周波数変更回路240Aに限定されず、周波数fMは基準周波数より高くても良い。つまり、受電側共振回路RRが直列共振回路でありうることをも考慮すれば、以下のことが言える。受電側共振回路RRは受電側コイル(RL)と受電側容量の並列回路又は直列回路を有し、受電側容量が所定の基準容量と一致しているとき、受電側共振回路RRの共振周波数fO、即ち、受電側コイル(RL)と受電側容量の並列回路又は直列回路の共振周波数fOは基準周波数と一致する。共振周波数変更回路は、必要なタイミングにおいて、受電側容量を基準容量から増加又は減少させる。これにより、受電側共振回路RRにおいて、受電側コイル(RL)と、基準容量より大きい又は小さい受電側容量とで、並列回路又は直列回路が形成され、結果、受電側共振回路RRの共振周波数fOが基準周波数から変更される。
図11のコイル短絡回路240Bは、共振状態変更回路240としてのコイル短絡回路の例である。コイル短絡回路240Bは、共振回路RRにおけるコンデンサRCの一端及びコイルRLの一端が共通接続されるノードと、共振回路RRにおけるコンデンサRCの他端及びコイルRLの他端が共通接続されるノードとの間に接続(挿入)されたスイッチ243から成る。スイッチ243は、電界効果トランジスタ等の半導体スイッチング素子から成り、制御回路250の制御の下、オン又はオフとなる。スイッチ243がオンとなると共振回路RRにおけるコイルRLが短絡される(より詳細にはコイルRLの両端が短絡される)。
受電側コイルRLが短絡された状態では受電側共振回路RRが存在しなくなる(受電側共振回路RRが存在しない状態と等価な状態となる)。従って、受電側コイルRLの短絡中では、送電側コイルTLにとっての負荷が十分に軽くなる(即ち、あたかも、給電台12上に電子機器2が存在しないかのような状態となる)。受電側コイルRLを短絡できる限り、変更回路240としてのコイル短絡回路はコイル短絡回路240Bに限定されない。
以下では、受電側共振回路RRの共振周波数fOを基準周波数から所定周波数fMに変更する動作を、共振周波数変更動作と呼び、コイル短絡回路を用いて受電側コイルRLを短絡する動作を、コイル短絡動作と呼ぶ。また、記述の簡略化上、共振周波数変更動作又はコイル短絡動作をfO変更/短絡動作と表記することがある。
制御回路250は、IC200内の各部位の動作を統括的に制御する。制御回路250が行う制御には、例えば、切り替え回路210の切り替え動作の制御、通信回路220及び受電回路230による通信動作及び受電動作の内容制御及び実行有無制御、変更回路240の動作制御が含まれる。制御回路250は、タイマ(不図示)を内蔵しており任意のタイミング間の時間長さを計測できる。
ところで、給電機器1の制御回路160は、給電台12上における異物の存否を判断し、異物が無い場合にのみ送電動作を行うよう送電回路130を制御できる。ここで、異物の意義について説明する。図12(a)に異物3の概略外形図を示し、図12(b)に異物3の概略内部構成図を示す。異物3は、コイルJL及びコンデンサJCの並列回路から成る共振回路JJと、共振回路JJに接続された異物内回路300と、を備える。共振回路JJの共振周波数は基準周波数に設定されている。異物3は、電子機器2とは異なり、給電機器1に対応しない機器である。例えば、異物3は、NFC通信に応答しない13.56MHzのアンテナコイル(コイルJL)を持つ無線ICタグを有した物体(カード等)である。また例えば、異物3は、NFC通信機能自体は有しているものの、その機能がスイッチにより無効とされている電子機器である。例えば、NFC通信機能を有するスマートホンではあるが、ソフトウェア設定で当該機能をオフにされているスマートホンは、異物3となりうる。また、NFC通信機能が有効となっているスマートホンでも、受電機能を持たないスマートホンも異物3に分類される。
このような異物3が給電台12上に配置されている状態において、仮に、給電機器1が送電動作を行うと、送電側コイルTLが発生した強磁界(例えば、12A/m以上の磁界強度を持つ磁界)にて異物3が破壊されることがある。例えば、送電動作時における強磁界は、給電台12上の異物3のコイルJLの端子電圧を100V〜200Vまで増大させることもあり、そのような高電圧に耐えられるように異物3が形成されていなければ、異物3が破壊される。
[初期設定処理]
異物の存否判断を可能とするべく、初期設定処理において予め異物検出用基準値がメモリ150に格納される。初期設定処理は、以下の初期設定環境の下でIC100により実行される。初期設定環境では、送電側コイルTLに対する負荷が全く無く又は無視できる程度に小さく、送電側コイルTLに磁気結合するコイルが存在しない。これを担保するべく、電子機器2及び異物3を含む、コイルを含有するような機器が、給電台12から十分に離れるようにしておく。図1(a)の離間状態は、初期設定環境を満たすと考えても良い。初期設定環境の確保を担保すべく、例えば、給電機器1の製造時又は出荷時などにおいて初期設定処理を行うようにしても良い。但し、初期設定環境が確保できるのであれば、任意のタイミングで初期設定処理を行うことができる。
図13は、初期設定処理の動作フローチャートである。初期設定処理の実行時には、制御回路160が切り替え回路110を制御することで送電回路130を共振回路TTに接続する。そして、ステップS11にて送電側コイルTLによる磁界強度Hを所定のテスト強度に設定する。続くステップS12では、その設定状態でA/D変換器144から取得される電圧値VDを電圧値VDOとして得る。その後のステップS13において、電圧値VDOに基づく異物検出用基準値VREFをメモリ150に記憶させる。
磁界強度Hは、送電側コイルTLの発生磁界強度であって、より詳しくは、送電側コイルTLが発生した基準周波数で振動する交番磁界の磁界強度を指す。磁界強度Hをテスト強度に設定するとは、テスト強度を有し且つ基準周波数で振動する交番磁界を送電側コイルTLに発生させることを指す。例えば、“VREF=VDO−ΔV”、又は、“VREF=VDO×k”とすると良い。ΔVは、所定の正の微小値である(但し、ΔV=0とすることも可能)。kは、1未満の正の所定値を有する係数である。制御回路160は、増幅器132(図7参照)の増幅率を制御することで磁界強度Hを可変設定することができる。テスト強度は、電力伝送(即ち送電動作)における送電側コイルTLの発生磁界強度(例えば、45〜60A/m)より小さく、通信用磁界強度の下限値“1.5A/m”から上限値“7.5A/m”までの範囲内に収まる。
尚、初期設定環境下において磁界強度Hを所定のテスト強度に設定したときに得られるであろう電圧値VDを、設計段階で見積もることができる。この見積によって導出された値を、初期設定処理を行うことなく、異物検出用基準値VREFとしてメモリ150に記憶させるようにしても良い。テスト強度は複数あっても構わない。この場合、上述のステップS11〜S13の処理を複数回繰り返すことで、複数のテスト強度に対する複数の異物検出用基準値VREFをメモリ150に記憶させておくことができる。
[異物検出処理(電力伝送前の異物検出処理)]
給電台12上の異物3の存否を検出するための異物検出処理(電力伝送前の異物検出処理)を説明する。図14(a)〜図14(d)に示す第1〜第4ケースを考える。第1ケースでは、給電台12上に電子機器2のみが存在している。第2ケースでは、給電台12上に電子機器2及び異物3が存在している。第3ケースでは、給電台12上に異物3のみが存在している。第4ケースでは、給電台12上に電子機器2も異物3も存在していない。
異物検出処理の実行時には送電回路130が共振回路TTに接続される。異物検出処理において、送電回路130は、テスト強度を有し且つ基準周波数で振動するテスト磁界(テスト交番磁界)を送電側コイルTLに発生させ、制御回路160は、負荷検出回路140を用いて、テスト磁界を発生させているときの電圧値VDを電圧値VDTESTとして取得する。また、テスト磁界が送電側コイルTLにて発生される期間中には、電子機器2においてfO変更/短絡動作(共振周波数変更動作又はコイル短絡動作)が実行されている。
このため、第1ケースでは、送電側コイルTLにとっての負荷が十分に軽くなり(即ち、あたかも、給電台12上に電子機器2が存在しないかのような状態となり)、電圧値VDTESTが大きくなって、判定不等式“VDTEST≧VREF”が成立する。
一方、第2ケースでは、共振回路RRの共振周波数が上記周波数fMへと変更されるものの又は受電側コイルRLが短絡されるものの、異物3は送電側コイルTLの負荷として存在し続けるため(異物3の共振回路JJの共振周波数は基準周波数のままであるため)、電圧値VDTESTが小さくなって、判定不等式“VDTEST≧VREF”が成立しない。
異物検出処理において、上記判定不等式が成立する場合、制御回路160は、異物3が給電台12上に存在していないと判断する。この判断を異物無判定という。一方、異物検出処理において、上記判定不等式が成立しない場合、制御回路160は、異物3が給電台12上に存在していると判断する。この判断を異物有判定という。制御回路160は、異物無判定を成した場合、送電回路130による送電動作の実行を許可するが、異物有判定を成した場合、送電回路130による送電動作の実行を禁止する。テスト磁界の磁界強度(即ちテスト強度)は、送電動作にて送電側コイルTLに発生する磁界の強度よりも相当に小さく、通信用磁界強度の上限値(7.5A/m)以下とされるため、テスト磁界によって異物3が破損等するおそれは無い又は少ない。
第3及び第4ケースでは、NFC通信に応答する電子機器2が給電台12上に存在しないため、そもそも送電動作は不要であり、従って異物検出処理自体が実行されない。給電機器1は、NFC通信により、電力伝送に対応可能な電子機器2が給電台12上に存在しているか否かを判断できる。
尚、異物3が給電台12上に存在する状態は、異物3が給電台12に直接接触している状態に限定されない。例えば、図15に示す如く、給電台12上に電子機器2が直接接触する形で存在し且つ電子機器2の上に異物3が存在しているような状態も、上記判定不等式が成立しないのであれば、異物3が給電台12上に存在する状態に属する。
複数のテスト強度に対する複数の異物検出用基準値VREFがメモリ150に記憶されている場合、異物検出処理において、複数のテスト強度を有する複数のテスト磁界を順次発生させ、テスト磁界ごとの判定不等式の成否に基づき異物無判定又は異物有判定を成すこともできる。
[電力伝送までの信号のやりとり:図16]
図16を参照して、電力伝送が行われるまでの機器1及び2間の信号のやりとりを説明する。以下では、特に記述無き限り、電子機器2が基準配置状態(図1(b))にて給電台12上に存在していることを想定する。
機器1及び2間のNFC通信は半二重方式で実行される。まず、給電機器1が送信側且つ電子機器2が受信側となり、給電機器1(IC100)が、NFC通信によって、問い合わせ信号510を給電台2上の機器(以下、給電対象機器とも言う)に送信する。給電対象機器は、電子機器2を含み、異物3を含みうる。問い合わせ信号510は、例えば、給電対象機器の固有識別情報を問い合わせる信号、給電対象機器がNFC通信を実行可能な状態にあるかを問い合わせる信号、及び、給電対象機器が電力を受け取れるか又は電力の送電を求めているかを問い合わせる信号を含む。
問い合わせ信号510を受信した電子機器2(IC200)は、問い合わせ信号510の問い合わせ内容に答える応答信号520を、NFC通信によって給電機器1に送信する。応答信号520を受信した給電機器1(IC100)は、応答信号520を解析し、給電対象機器がNFC通信を可能であって且つ電力を受け取れる又は電力の送電を求めている場合に、テスト用要求信号530をNFC通信によって給電対象機器に送信する。テスト用要求信号530を受信した給電対象機器としての電子機器2(IC200)は、テスト用要求信号530に対する応答信号540をNFC通信によって給電機器1に送信してから、速やかに、fO変更/短絡動作(共振周波数変更動作又はコイル短絡動作)を実行する。テスト用要求信号530は、例えば、fO変更/短絡動作の実行を要求、指示又は示唆する信号であり、電子機器2の制御回路250は、テスト用要求信号530の受信を契機としてfO変更/短絡動作を共振状態変更回路240に実行させる。テスト用要求信号530の受信前においてfO変更/短絡動作は非実行とされている。fO変更/短絡動作の実行の契機となるならばテスト用要求信号530はどのような信号でも良く、問い合わせ信号510に内包されるものであっても良い。
応答信号540を受信した給電機器1(IC100)は、共振回路TTの接続先を通信回路120から送電回路130に切り替えて上述の異物検出処理を実行する。異物検出処理の実行期間中、電子機器2(IC200)は、fO変更/短絡動作の実行を継続する。具体的には、電子機器2(IC200)は、内蔵タイマを用いて、異物検出処理の実行期間の長さに応じた時間だけfO変更/短絡動作の実行を維持してからfO変更/短絡動作を停止する。
異物検出処理において、給電台12上に異物3が無いと判断すると、給電機器1(IC100)は、共振回路TTの接続先を送電回路130から通信回路120に切り替えて、認証信号550をNFC通信により給電対象機器に送信する。認証信号550は、例えば、これから送電を行うことを給電対象機器に通知する信号を含む。認証信号550を受信した電子機器2(IC200)は、認証信号550に対応する応答信号560を、NFC通信によって給電機器1に送信する。応答信号560は、例えば、認証信号550が示す内容を認識したことを通知する信号又は認証信号550が示す内容に許可を与える信号を含む。応答信号560を受信した給電機器1(IC100)は、共振回路TTの接続先を再び通信回路120から送電回路130に切り替えて送電動作を実行し、これにより、電力伝送570が実現される。
図14(a)の第1ケースでは、上記の流れで電力伝送570が実行されるが、図14(b)の第2ケースの場合においては、応答信号540の送受信まで処理が進行するものの、異物検出処理において上記判定不等式が成立せずに給電台12上に異物があると判断されるため、電力伝送570が実行されない。
1回分の電力伝送570は所定時間だけ行われるものであっても良く、問い合わせ信号510の送信から電力伝送570までの一連の処理を、繰り返し実行するようにしても良い。実際には、図17に示す如く、NFC通信と異物検出処理と電力伝送(NFC電力伝送)とを順番に且つ繰り返し実行することができる。つまり、非接触給電システムでは、NFC通信を行う動作と異物検出処理を行う動作と電力伝送を行う動作とを、時分割で順番に且つ繰り返し行うことができる。
[動作フローチャート]
次に、給電機器1の動作の流れを説明する。図18は、給電機器1の動作フローチャートである。ステップS101から始まる処理は初期設定処理後に実行される(後述の図21についても同様)。通信回路120及び送電回路130の動作は、制御回路160の制御の下で実行される。
給電機器1が起動すると、まずステップS101において、制御回路160は、切り替え回路110の制御を通じて通信回路120を共振回路TTに接続する。続くステップS102において、制御回路160は、通信回路120を用いたNFC通信により問い合わせ信号510を給電対象機器に送信し、その後、ステップS103において、応答信号520の受信を待機する。通信回路120にて応答信号520が受信されると、制御回路160は、応答信号520を解析し、給電対象機器がNFC通信を可能であって且つ電力を受け取れる又は電力の送電を求めている場合に送電対象があると判断して(ステップS104のY)ステップS105に進み、そうでない場合(ステップS104のN)、ステップS102に戻る。
ステップS105において、制御回路160は、通信回路120を用いたNFC通信によりテスト用要求信号530を給電対象機器に送信し、その後、ステップS106において、応答信号540の受信を待機する。通信回路120にて応答信号540が受信されると、ステップS107において、制御回路160は、切り替え回路110の制御を通じて送電回路130を共振回路TTに接続し、続くステップS108にて上述の異物検出処理を行う。
異物検出処理の後、ステップS109にて、制御回路160は、切り替え回路110の制御を通じて通信回路120を共振回路TTに接続し、ステップS110に進む。ステップS108の異物検出処理にて、異物有判定が成されている場合には、ステップS110からステップS102に戻るが、異物無判定が成されている場合にはステップS110からステップS111に進む。
ステップS111において、制御回路160は、通信回路120を用いたNFC通信により認証信号550を給電対象機器に送信し、その後、ステップS112において、応答信号560の受信を待機する。通信回路120にて応答信号560が受信されると、ステップS113において、制御回路160は、切り替え回路110の制御を通じて送電回路130を共振回路TTに接続し、ステップS114に進む。制御回路160は、ステップS114にて送電回路130による送電動作を開始した後、ステップS115に進む。
制御回路160は、送電動作の開始時点からの経過時間を計測し、ステップS115において、その経過時間を所定の時間tAと比較する。その経過時間が時間tAに達するまでステップS115の比較処理が繰り返され、その経過時間が時間tAに達した時点で(ステップS115のY)、ステップS116に進む。ステップS116にて、制御回路160は、送電回路130による送電動作を停止させてステップS101に戻り、上述の処理を繰り返す。但し、第1ケースにおいても、電子機器2のバッテリが満充電状態になると、応答信号520の解析結果に基づきステップS105への移行が発生しなくなる。
次に、電子機器2の動作の流れを説明する。図19は、電子機器2の動作フローチャートであり、ステップS201から始まる処理は、初期設定処理を経た給電機器1の動作に連動して実行される。通信回路220及び受電回路230の動作は、制御回路250の制御の下で実行される。
電子機器2が起動すると、まずステップS201において、制御回路250は、切り替え回路210の制御を通じて通信回路220を共振回路RRに接続する。電子機器2の起動時においてfO変更/短絡動作は非実行とされている。続くステップS202において、制御回路250は、通信回路220を用い、問い合わせ信号510の受信を待機する。通信回路220にて問い合わせ信号510が受信されると、ステップS203において、制御回路250は、問い合わせ信号510を解析して応答信号520を生成し、通信回路220を用いたNFC通信により応答信号520を給電機器1に送信する。このとき、制御回路250は、バッテリ21の状態を確認し、バッテリ21が満充電状態でなく且つバッテリ21に異常が認められなければ、電力を受け取れる又は電力の送電を求める信号を応答信号520に含める。一方、バッテリ21が満充電状態あれば又はバッテリ21に異常が認められれば、電力を受け取れない旨の信号を応答信号520に含める。
その後のステップS204においてテスト用要求信号530が通信回路220にて受信されると、ステップS205に進む。ステップS205において、制御回路250は、通信回路220を用いたNFC通信により応答信号540を給電機器1に送信し、続くステップS206にて共振状態変更回路240を用いてfO変更/短絡動作を実行する。即ち、共振周波数fOを基準周波数から周波数fMに変更する又は受電側コイルRLを短絡する。制御回路250は、fO変更/短絡動作の実行を開始してからの経過時間を計測し(ステップS207)、その経過時間が所定時間tMに達するとfO変更/短絡動作を停止する(ステップS208)。即ち、共振周波数fOを基準周波数に戻す又は受電側コイルRLの短絡を解消する。その後、ステップS209に進む。給電機器1にてテスト磁界が発生されている期間中、fO変更/短絡動作の実行が維持され、その期間が終了すると速やかにfO変更/短絡動作が停止されるように時間tMが予め設定されている。テスト用要求信号530の中で時間tMが指定されていても良い。
ステップS209において、制御回路250は、通信回路220を用い、認証信号550の受信を待機する。通信回路220にて認証信号550が受信されると、ステップS210において、制御回路250は、認証信号550に対する応答信号560を通信回路220を用いたNFC通信により給電機器1へ送信する。尚、異物3が給電台12上に存在する場合には、認証信号550が給電機器1から送信されないので(図18のステップS110参照)、ステップS209にて認証信号550が一定時間受信されない場合にはステップS201に戻ると良い。
応答信号560の送信後、ステップS211において、制御回路250は、切り替え回路210の制御を通じて受電回路230を共振回路RRに接続し、続くステップS212にて受電回路230を用いた受電動作を開始させる。制御回路250は、受電動作の開始時点からの経過時間を計測し、その経過時間と所定の時間tBとを比較する(ステップS213)。そして、その経過時間が時間tBに達すると(ステップS213のY)、ステップS214にて、制御回路250は、受電動作を停止させてステップS201に戻る。
受電動作の行われる期間が給電機器1にて送電動作が行われている期間と実質的に一致するように、時間tBは、予め定められている又は認証信号550の中で指定されている。受電動作の開始後、制御回路250は、バッテリ21への充電電流を監視し、充電電流値が所定値以下になった時点で送電動作が終了したと判断して、受電動作の停止及びステップS201への移行を行うようにしても良い。
本実施形態によれば、誤って異物3が給電台12上に置かれた場合に、異物検出処理を通じて送電動作が不実行とされるため、送電動作の実行による異物3の破損等を回避することができる。
<<第2実施形態>>
本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態及び後述の第3〜第6実施形態は第1実施形態を基礎とする実施形態であり、第2〜第6実施形態において特に述べない事項に関しては、矛盾の無い限り、第1実施形態の記載が第2〜第6実施形態にも適用される。矛盾の無い限り、第1〜第6実施形態の内、任意の複数の実施形態を組み合わせても良い。
第1実施形態で述べた技術により、電力伝送前において異物3の存否を検出することができるが、電力伝送中に電子機器2に加えて異物3が給電台12上に置かれることもある。また、電力伝送の開始後、電子機器2が給電台12上から取りはらわれることもある。或いは、稀ではあるが、電力伝送中に、送電側コイルTLにとっての負荷の大きさを大きく変動させるような異常が電子機器2に発生することもありえる。それらの場合、異物3の保護、無駄な電力消費の抑制、電子機器2の保護の観点から、実行中の送電動作を停止すべきである又は停止した方が好ましい。
そこで、給電装置1の制御回路160は、送電動作の実行中において負荷状態監視動作を継続実行している。図20は、負荷状態監視動作のフローチャートである。負荷状態監視動作において、制御回路160は、まずステップS31にて負荷検出回路140より最新の電圧値VDを電圧値VDAとして取得し、続くステップS32において電圧値VDAが所定の正常範囲に属しているか否かを判断する。電圧値VDAが正常範囲に属している場合、ステップS31に戻ってステップS31及びS32の処理が繰り返されるが、そうでない場合、即ち電圧値VDAが正常範囲を逸脱している場合、ステップS33にて送電許可フラグにOFFを設定する。送電許可フラグは、制御回路160にて管理されるフラグであってON又はOFFに設定される。送電許可フラグがONのとき制御回路160は送電動作の実行を許可し、送電許可フラグがOFFのとき制御回路160は送電動作の実行を禁止する又は送電動作を停止する。
上記の正常範囲は、所定の下限値VTHL以上且つ所定の上限値VTHH以下の範囲である(0<VTHL<VTHH)。実験等を介して予め適切に決定された下限値VTHL及び上限値VTHHをメモリ150に記憶させておくと良い。例えば、電力伝送中に電子機器2に加えて異物3が給電台12上に置かれたとき、送電側コイルTLにとっての負荷が過剰に重くなって電圧値VDが第1電圧値にまで低下するのであれば、第1電圧値より若干大きい値を下限値VTHLに設定し、電力伝送中に給電台12上に電子機器2も異物3も存在しないときに、送電側コイルTLにとっての負荷が過剰に軽くなって電圧値VDが第2電圧値にまで増大するのであれば、第2電圧値より若干小さい値を上限値VTHHに設定すれば良い。
図21は、第2実施形態に係る給電機器1の動作フローチャートである。第1実施形態(図18)で述べた給電機器1の動作フローチャートを基準として、第2実施形態ではステップS114、S115及びS116がステップS114a、S115a及びS116aに置換され、その置換を除き、給電機器1の動作フローチャートは第1及び第2実施形態間で共通である。共通部分の説明を省略する。
制御回路160は、ステップS114aにて、送電許可フラグにONを設定すると共に、送電回路130を用いた送電動作及び負荷検出回路140を用いた負荷状態監視動作を開始し、その後、ステップS115aに進む。制御回路160は、送電動作の開始時点からの経過時間を計測し、ステップS115aにおいて、その経過時間を所定の時間tA(例えば10分)と比較すると共に送電許可フラグの状態をチェックする。その経過時間が所定の時間tAに達すると、又は、負荷状態監視動作によって送電許可フラグにOFFが設定されると、ステップS116aに進む。ステップS116aにおいて、制御回路160は、送電許可フラグをONからOFFに切り替える又は送電許可フラグをOFFに維持すると共に、送電動作及び負荷状態監視動作を停止させ、その後ステップS101に戻る。
上述の如く、負荷状態監視動作は有益に機能するものではあるが、以下のようなことも懸念される(但し、以下の懸念事項の説明は、後述の電力安定化回路270(図22等参照)が電子機器2に設けられていないと仮定した場合の説明である)。
第1の懸念として、例えば電力伝送による受電電力でバッテリ21を充電することを考えた場合、バッテリ21が満充電に近くなると充電電流が減少する。機能回路22(図2(a)等参照)の存在を無視した場合、充電電流の減少は、バッテリ21を含む負荷回路の消費電力の減少に相当する。負荷回路の消費電力の減少は、負荷回路に対する受電回路230の出力電力の減少を意味する。負荷回路に対する受電回路230の出力電力は、電力伝送における電子機器1の受電電力に相当するため、充電電流の減少に起因して受電回路230の出力電力(即ち受電電力)が減少すれば、送電側コイルRLにとっての負荷の大きさが小さくなり、結果、場合によっては、負荷状態監視動作における電圧値VDAが下限値VTHLを下回って送電許可フラグがOFFになることもありえる。
第2の懸念として、例えば電子機器2の負荷回路がバッテリ21及び機能回路22を含むと考えた場合、機能回路22の動作状態によって負荷回路の消費電力は増減し、その増減を通じて送電側コイルRLにとっての負荷の大きさが増減する。結果、場合によっては、負荷状態監視動作における電圧値VDAが正常範囲を逸脱して送電許可フラグがOFFになることもありえる。
そこで、図22に示す如く、第2実施形態では、受電回路(NFC受電回路)230と負荷回路280との間に電力安定化回路270を挿入する(後述の他の実施形態でも同様であって良い)。受電回路230、電力安定化回路270及び負荷回路280は電子機器2内に搭載される。
受電回路230は、電力伝送において受電側コイルRLにて受電した交流電力を整流し且つ平滑化することで直流電力を生成する整流/平滑回路を含んでおり、得られた直流電力を受電回路230の出力電力として電力安定化回路270に供給する。受電回路230から電力安定化回路270への出力電圧を記号VAにて表す。
受電回路230の出力電力は、電力安定化回路270を通じて負荷回路280に供給されることになるが、電力安定化回路270は、負荷回路280の消費電力の変化に基づく受電回路230の出力電力の変化を抑制するように動作する。理想的には例えば、電力安定化回路270は、負荷回路280の消費電力が変化しても受電回路230の出力電力が一定に保たれるように動作する。
負荷回路280は、電力安定化回路270を通じて受電回路230から供給された電力を消費して任意の電気的動作を行う。負荷回路280は、図23(a)に示す如く、バッテリ21とバッテリ21を充電するための充電回路BCを含む、或いは、図23(b)に示す如く、バッテリ21、充電回路BC及び機能回路22を含む。充電回路BCは、電力安定化回路270を通じて受電回路230から供給された電力(換言すれば、電力安定化回路270の出力電力)に所定の電力変換処理を施すことで充電電力を生成し、該充電電力をバッテリ21に供給することでバッテリ21を充電する。電力安定化回路270はIC200(図5参照)に搭載されていて良い。電力安定化回路270に加えて充電回路BCも、IC200に搭載されていて良い。
図24に、電力安定化回路270の回路図の例を示す。図24の電力安定化回路270は、符号401〜405、410及び421〜427によって参照される各部位を備える。受電回路230の出力電圧VAは、端子402を低電位側にして端子401及び402間に加わる。端子401とノード405との間に定抵抗回路410が設けられる。電圧VAに基づき端子401及び402を介して流れる電流を記号IAにて表す。端子404を低電位側とした端子403及び404間の電圧VLOADが、電力安定化回路270の出力電圧として負荷回路280(具体的には充電回路BC)に印加され、端子403及び404を介して負荷回路280への供給電流ILOADが流れる。端子402及び404は互いに接続されている。
ノード405は抵抗421の一端に接続される。抵抗421の他端は、増幅器425の非反転入力端子に接続されると共に抵抗422を介して端子402及び404に接続される。定電圧源424は、端子402の電位を基準とする一定の直流電圧を増幅器425の反転入力端子に供給する。増幅器425の反転入力端子は抵抗423を介してノード405に接続される。増幅器425の出力端子は、NPN型バイポーラトランジスタとして形成されたトランジスタ426のベースに接続される。トランジスタ426において、コレクタはノード405に接続され、エミッタは端子402及び404に接続される。また、端子403及び404間にコンデンサ427が接続される。端子403はノード405に接続される。
図25に、定抵抗回路410の回路図の例を示す。図25の定抵抗回路410は、PNP型バイポーラトランジスタとして形成されたトランジスタ411及び412と、抵抗413と、コンデンサ414と、を備える。トランジスタ411及び412のエミッタは端子401に共通接続される。トランジスタ411及び412のベースはトランジスタ411のコレクタに共通接続される。トランジスタ411のコレクタは抵抗413を介して端子402に接続される。トランジスタ412のコレクタは、上述のノード405に接続されると共にコンデンサ414を介して端子402に接続される。
電圧VAはトランジスタ411に電流を流せる程度に十分に大きく(例えば数V〜数10V)、且つ、トランジスタ411及び412はカレントミラー回路を形成しているため、トランジスタ411のコレクタ電流に比例する電流IBがトランジスタ412のコレクタに流れる。そして、抵抗413の抵抗値は、その温度変化等を無視すれば固定されているため、電圧VAが定まれば定抵抗回路410からノード405に向けて流れる電流IBの値は一定となる(但し、トランジスタ411及び412のベース−エミッタ間電圧の変化を無視)。つまり、定抵抗回路410は、電力安定化回路270に対する電圧VAの入力を受けて電圧VAに概ね比例した電流IBを出力する定抵抗のような動作を実現する。但し、その定抵抗の抵抗値を示すべき値“VA/IB”は、実際には、電圧VAに依存して多少変化する。
負荷回路280の消費電力WLOADは、“WLOAD=VLOAD×ILOAD”にて表される。例えば電力伝送による受電電力でバッテリ21を充電することを考えた場合、バッテリ21が満充電に近くなると充電電流が減少し、結果、消費電力WLOADが減少することになるが、その減少分は、増幅器425の働きによりトランジスタ426にて熱として消費される。
このように、電力安定化回路270は、負荷回路280の消費電力WLOADが変化しても受電回路230の出力電力(VA×IA)が全く又は殆ど変化しないように動作する。このため、本来は送電動作を停止すべきでないのに負荷回路280の消費電力変化に応答して送電動作を停止する、といったことが抑制される。
尚、fO変更/短絡動作を行っていない電子機器2のみが給電台12上に存在するときに観測される電圧値VDが上記正常範囲に属するように、上記正常範囲は設定されているものとする。
<<第3実施形態>>
本発明の第3実施形態を説明する。尚、第3実施形態と上述の第2実施形態を組み合わせることもできるし、第3実施形態を上述の第2実施形態と組み合わせずに実施することもできる。上述の異物検出処理や負荷状態監視動作に関し、送電側コイルTLの電流振幅における過渡的な短時間揺らぎにも応答して送電制御を行ったならば、ノイズや給電台12上の電子機器2の軽度な振動などによっても、送電禁止の制御が行われることある。また、第2実施形態の電力安定化回路270が電子機器2に搭載されていない場合には、負荷回路280の消費電力変動の高周波成分に応答して、送電禁止の制御が行われることもありえる。これを回避すべく、包絡線検波器143の出力信号に高域低減処理(換言すれば平均化処理又は低域通過フィルタリング)を施して得られる振幅情報を用いて送電制御を行うと良い。これの実現方法として、以下に第1及び第2高域低減方法を例示する。
図26を参照し、第1高域低減方法を説明する。第1高域低減方法では、負荷検出回路140として負荷検出回路140Aを用いる。負荷検出回路140Aは、第1実施形態で説明した負荷検出回路140に対して高域低減回路145が追加されている。低域通過回路とも言うべき高域低減回路145は、包絡線検波器143とA/D変換器144との間に挿入される。
負荷検出回路140Aにおいて、増幅器142はセンス抵抗141における電圧降下の信号を増幅し、包絡線検波器143は増幅器142にて増幅された信号の包絡線を検波することで図8の電圧vに比例するアナログの電圧信号を出力する。高域低減回路145は、包絡線検波器143の出力信号に対して高域低減処理を施し、高域低減処理後の信号をA/D変換器144に出力する。ここにおける高域低減処理は、包絡線検波器143の出力信号における比較的低い周波数の信号成分を通過させる一方で比較的高い周波数の信号成分を低減(減衰)させる処理である。A/D変換器144は、高域低減回路145の出力電圧信号をデジタル信号に変換することでデジタルの電圧値VD1を出力する。電圧値VD1は、送電側コイルTLに流れる電流の振幅値に対して高域低減処理を施して得られる情報(検出結果情報)である。第1高域低減方法に係る負荷検出回路140Aを用いる場合、この電圧値VD1を、異物検出処理及び負荷状態監視動作を含む各種処理及び動作における電圧値VDとして用いる。
図27に、高域低減回路145の回路図の例を示す。図27の高域低減回路145は、符号171〜175によって参照される各部位を備える。包絡線検波器143の出力信号は抵抗171の一端に加わり、抵抗171の他端は増幅器173の反転入力端子に接続されると共にコンデンサ172及び抵抗175の並列回路を介して増幅器173の出力端子に接続される。増幅器173の非反転入力端子には基準電圧源174が発生した一定の直流電圧が印加される。増幅器173の出力端子からは包絡線検波器143の出力信号に高域低減処理を施した信号が出力されることになり、増幅器173の出力信号が高域低減回路145の出力電圧信号として図26のA/D変換器144に入力される。
図28を参照し、第2高域低減方法を説明する。第2高域低減方法では、第1実施形態で述べた負荷検出回路140をそのまま用いるが、負荷検出回路140のA/D変換器144の出力信号による電圧値VDに対し演算による高域低減処理を施して高域低減処理後の電圧値VDを電圧値VD2として求める。そして、この電圧値VD2を、異物検出処理及び負荷状態監視動作を含む各種処理及び動作における電圧値VDとして用いる。電圧値VD2は、送電側コイルTLに流れる電流の振幅値に対して演算による高域低減処理を施して得られる情報(検出結果情報)である。演算による高域低減処理は、制御回路160内の高域低減演算部にて実行することができる。演算による高域低減処理は、負荷検出回路140のA/D変換器144の出力信号における比較的低い周波数の信号成分を通過させる一方で比較的高い周波数の信号成分を低減(減衰)させる処理であれば何でも良い。
第1又は第2高域低減方法において、送電側コイルTLに流れる電流の振幅を示す信号が時定数tLPFの低域通過フィルタに入力され、その低域通過フィルタから電圧値VD1又はVD2を示す信号が得られていると考えることができる。
ここで、時定数tLPFは、“tLMAX<tLPF<tFMIN”を満たすように設定されると良い。時間tFMINは、異物3が給電台12上に存在する場合にそれを制御回路160が検知すべき時間の最小値を表す、或いは、送電中に電子機器2が給電台12からとりさられたときにそれを制御回路160が検知すべき時間の最小値を表す。時間tFMINは例えば1秒である。時間tLMAXは、包絡線検波器143の出力信号における変動が、ノイズ等によるものであるとして、無視されるべき時間の最大値である。時間tFMINは例えば0.1秒である。
<<第4実施形態>>
本発明の第4実施形態を説明する。第4実施形態は第2実施形態と組み合わせて実施される。即ち、電子機器2に、図22の電力安定化回路270が搭載されていることを前提とする。第2実施形態では、例えば非接触給電システムにて規定された最大電力で常に受電が行われ、受電電力の内、負荷回路280で消費されない不要な電力は熱として捨てられることになる。第4実施形態では、このような電力の無駄を低減する方法を説明する。
図29に示す如く、第4実施形態に係る電子機器2には電流検出回路CDが設けられる。電流検出回路CDは、図22の負荷回路280内の所定配線を流れる電流ICDの値を検出し、電流ICDの検出値を示す信号を制御回路250に出力する。負荷回路280の消費電力は電流ICDに依存し、電流ICDの増減に伴って負荷回路280の消費電力も増減する。電流ICDは、電力安定化回路270から負荷回路280への入力電流(即ち、電流ILOAD;図24参照)であっても良いが、ここでは(図23(a)及び(b)参照)、電流ICDは充電回路BCからバッテリ21への充電電流であると考える(後述の第5及び第6実施形態でも同様)。この場合、通常、電流検出回路CDは充電回路BCに内蔵されている。
図30は、バッテリ21の充電時におけるバッテリ21の充電電流の時間変化を表している。例えば、バッテリ21はリチウムイオン電池であり、充電回路BCは、バッテリ21のSOC(state of charge)が所定値(例えば0.8)未満であるときにはバッテリ21に対して定電流充電(即ちバッテリ21の充電電流を一定値に保った充電)を行い、バッテリ21のSOCが所定値以上であるときにはバッテリ21に対して定電圧充電(即ちバッテリ21の端子電圧を一定値に保った充電)を行う。SOCはバッテリ21の満充電容量に対するバッテリ21の残容量の比を表す。定電圧充電が行われるときのバッテリ21の充電電流は定電流充電が行われるときのバッテリ21の充電電流以下であり、バッテリ21のSOCが所定値以上となった後の定電圧充電において、バッテリ21の充電電流は、時間の経過と共にゼロに向かって減少してゆく。I0は定電流充電におけるバッテリ21の充電電流の値を表し、I1、I2及びI3は定電圧充電におけるバッテリ21の充電電流の値を表す。ここで、“I0>I1>I2>I3>0”である。
図31は、第4実施形態に係る非接触給電システムの動作フローチャートである。まず、ステップS51にて給電機器1及び電子機器2間でNFC通信が行われる。ステップS51の処理は、図16の信号510〜540の送受信、異物検出処理並びに信号550及び560の送受信を含んでいて良い。尚、図31のフローチャートでは、給電台12上に異物3が存在していないと仮定している。
ステップS51の後、ステップS52にて、給電機器1の制御回路160は、後述のステップS53にて開始される送電動作における送電側コイルTLの発生磁界強度を設定する。その後、給電機器1及び電子機器2の状態が通信用接続状態から給電用接続状態に切り替えられてから、ステップS53において、設定された磁界強度による送電動作及び受電動作から成る電力伝送が開始される。初回のステップS52において、送電側コイルTLの発生磁界強度は予め定められた所定強度に設定されて良い。送電側コイルTLの発生磁界強度の増減に伴って送電側コイルTLから受電側コイルRLに対する送電電力が増減する。制御回路160は、送電回路130の増幅器132(図7参照)の増幅率を調整することで送電側コイルTLの発生磁界強度を調整することができる。給電機器1及び電子機器2の状態は、ステップS53からステップS55までは給電用接続状態となっており、それ以外では通信用接続状態であって良い。
ステップS53にて電力伝送が開始された後、所定時間(例えば数分)が経過すると(ステップS54のY)、ステップS55にて電力伝送が停止される。電力伝送の停止後、給電機器1及び電子機器2の状態が給電用接続状態から通信用接続状態に切り替えられ、ステップS56にてNFC通信が行われる。ステップS56では、図16の信号510〜540の送受信、異物検出処理並びに信号550及び560の送受信が行われる。ステップS56において、電子機器2の制御回路250は、応答信号520又は560の中に、最新の電流ICDの検出値に基づく受電側情報を含める。給電機器1の制御回路160は通信回路120を介して受電側情報を受信する。
受電側情報は、電流ICDの検出値に応じた情報であれば任意である。例えば、受電側情報は、電流ICDの検出値そのものを表す情報であっても良いし、電流ICDの検出値の比例値を表す情報であっても良いし、電流ICDの検出値に応じた符号であっても良い。ここでは、説明の具体化のため、受電側情報が電流ICDの検出値(以下単に電流値ICDとも言う)そのものであるとする。
ステップS56に続くステップS57において、制御回路160は、受電側情報の表す電流値ICDが所定値以下である場合、バッテリ21が満充電状態になったと判断して(即ち、更なる送電は不要と判断して)図31の動作を終える。一方、受電側情報の表す電流値ICDが所定値以下でない場合にはステップS52に戻ってステップS52以降の処理を繰り返す。
但し、ステップS56を経由して実行されるステップS52では、受電側情報に基づいて送電側コイルTLの発生磁界強度が調整及び設定される。このとき、制御回路160は、受電側情報の表す電流値ICDが小さいほど送電側コイルTLの発生磁界強度が小さくなるように(即ち送電電力が小さくなるように)、且つ、受電側情報の表す電流値ICDが大きいほど送電側コイルTLの発生磁界強度が大きくなるように(即ち送電電力が大きくなるように)、送電側コイルTLの発生磁界強度を調整及び設定する。但し、図30の充電特性から分かるように、時間の経過に伴う電流値ICDの変化方向は、通常、低減方向である。尚、送電側コイルTLの発生磁界強度の増大は所定の上限強度までにとどめられる。
受電側情報の表す電流値ICDでのバッテリ21の充電が可能となる範囲で(即ち、当該電流値ICDの充電電流をバッテリ21に供給可能な範囲で)送電側コイルTLの発生磁界強度がなるだけ小さくなるように、ステップS52の設定を行うと良い。電流値ICDに応じて送電側コイルTLの発生磁界強度をどのように設定すべきかを定めたテーブルデータ等を予めメモリ150に搭載しておいても良い。
ステップS52〜S57の処理の繰り返しの中で、電流値ICDの低下に伴って送電側コイルTLの発生磁界強度が減少せしめられると、送電側コイルTLから受電側コイルRLへの送電電力(従って受電側コイルRLの受電電力)が減少し、結果、電圧VA(図22及び図24参照)の低下を伴って電力安定化回路270に対する受電回路230の出力電力が減少する。
しかし、バッテリ21に必要な電流(即ち充電電流)が少なくなっているので、受電回路230の出力電力が減少しても問題は無く、逆に、第2実施形態では熱として捨てることになっていた電力が無くなるため、効率が良い。
尚、図31の動作の流れでは、一定の周期でNFC通信により受電側情報が給電機器1にて受信され、受信の度に、以降の電力伝送における送電側コイルTLの発生磁界強度が調整及び設定されているが、前回受信した受電側情報による電流値ICDと今回受信した受電側情報による電流値ICDとの差が所定値以下である場合などにおいては、送電側コイルTLの発生磁界強度の変更は行われない。
また、第4実施形態における電子機器2の動作フローチャートは図19と同様であって良い。但し、ステップS203の応答信号520又はステップS210の応答信号560の中に受電側情報を含めるようにする。第4実施形態における給電機器1の動作フローチャートは図21と同様であって良い。但し、応答信号520又は560に含まれる受電側情報に基づき、ステップS114aから開始される送電動作における送電側コイルTLの発生磁界強度を、送電動作の開始前に調整及び設定すると良い。
<<第5実施形態>>
本発明の第5実施形態を説明する。第4実施形態と同様、第5実施形態も第2実施形態と組み合わせて実施される。即ち、電子機器2に、図22の電力安定化回路270が搭載されていることを前提とする。また、第4実施形態と同様、第5実施形態に係る電子機器2にも上述の電流検出回路CDが設けられているものとする。
図32は、第5実施形態に係る非接触給電システムの動作フローチャートである。まず、ステップS71にて給電機器1及び電子機器2間でNFC通信が行われる。ステップS71の処理は、図16の信号510〜540の送受信、異物検出処理並びに信号550及び560の送受信を含んでいて良い。尚、図32のフローチャートでは、給電台12上に異物3が存在していないと仮定している。
ステップS71の後、ステップS72にて、給電機器1の制御回路160は、後述のステップS73にて開始される送電動作における送電側コイルTLの発生磁界強度を設定する。その後、給電機器1及び電子機器2の状態が通信用接続状態から給電用接続状態に切り替えられてから、ステップS73において、設定された磁界強度による送電動作及び受電動作から成る電力伝送が開始される。初回のステップS72において、送電側コイルTLの発生磁界強度は予め定められた所定強度に設定されて良い。給電機器1及び電子機器2の状態は、ステップS73からステップS78までは給電用接続状態となっており、それ以外では通信用接続状態であって良い。
ステップS73にて電力伝送が開始されると、ステップS74にて、電子機器2の制御回路250により閾値ITHが設定される。閾値ITHの設定は、ステップS73の前に行われても良い。最初は閾値ITHに電流値I1が設定される(図30参照)。その後、ステップS75において、電子機器2の電流検出回路CDにより電流ICDの値が検出され、続くステップS76にて検出された電流値ICDが制御回路250により閾値ITHと比較される。“ICD<ITH”が不成立であればステップS75に戻ってステップS75及びS76の処理が繰り返されるが、“ICD<ITH”が成立するとステップS77に進む。
ステップS77において、電子機器2の制御回路250は、共振状態変更回路240を用いてfO変更/短絡動作を実行する。そうすると、続くステップS78では、給電機器1において、負荷検出回路140の検出結果に基づき、制御回路160により負荷状態監視動作(図20参照)を通じて送電許可フラグがOFFとされ、結果、送電動作が停止せしめられる。尚、基準配置状態(図1(b)参照)においてfO変更/短絡動作が行われているときの電圧値VDが上記正常範囲(図20のステップ32)の下限値VTHLを下回るように、下限値VTHLが定められている。
電子機器2では、ステップS77にてfO変更/短絡動作を一定時間行った後、通信回路220が共振回路RRに接続され一方、給電機器1では、ステップS78にて送電動作を停止した後、通信回路120が共振回路TTに接続される。このため、ステップS78の後、ステップS79に至る過程において、給電機器1及び電子機器2の状態が給電用接続状態から通信用接続状態に切り替えられる。
ステップS79において、電子機器2の制御回路250は、最新の電流ICDの検出値に基づく受電側情報をNFC通信により給電機器1に送信する。給電機器1において、制御回路160は通信回路120を介して受電側情報を受信する。受電側情報の意義は第4実施形態で述べた通りである。
ステップS79に続くステップS80において、制御回路160は、受電側情報の表す電流値ICDが所定値以下である場合、バッテリ21が満充電状態になったと判断して(即ち、更なる送電は不要と判断して)図32の動作を終える。一方、受電側情報の表す電流値ICDが所定値以下でない場合にはステップS72に戻ってステップS72以降の処理を繰り返す。
但し、ステップS79を経由して実行されるステップS72では、受電側情報に基づいて送電側コイルTLの発生磁界強度が調整及び設定される。このとき、制御回路160は、受電側情報の表す電流値ICDが小さいほど送電側コイルTLの発生磁界強度が小さくなるように(即ち送電電力が小さくなるように)、且つ、受電側情報の表す電流値ICDが大きいほど送電側コイルTLの発生磁界強度が大きくなるように(即ち送電電力が大きくなるように)、送電側コイルTLの発生磁界強度を調整及び設定する。但し、図30の充電特性から分かるように、時間の経過に伴う電流値ICDの変化方向は、通常、低減方向である。尚、送電側コイルTLの発生磁界強度の増大は所定の上限強度までにとどめられる。
受電側情報の表す電流値ICDでのバッテリ21の充電が可能となる範囲で(即ち、当該電流値ICDの充電電流をバッテリ21に供給可能な範囲で)送電側コイルTLの発生磁界強度がなるだけ小さくなるように、ステップS72の設定を行うと良い。電流値ICDに応じて送電側コイルTLの発生磁界強度をどのように設定すべきかを定めたテーブルデータ等を予めメモリ150に搭載しておいても良い。
また、ステップS78を経由して実行されるステップS74では、閾値ITHが減少せしめられる。具体的には例えば、1回目のステップS74では閾値ITHに電流値I1が設定されるが、2回目、3回目のステップS74では閾値ITHに夫々電流値I2、I3が設定される。“ITH=I3”であるときに“ICD<ITH”が成立すると、ステップS77〜S80の処理を通じて図32の動作を終える。即ち、ステップS80において、制御回路160は、受電側情報が表す電流値ICDが所定値I3以下である場合、バッテリ21が満充電状態になったと判断して(即ち、更なる送電は不要と判断して)図32の動作を終える。上述の説明では、閾値ITHが3段階に設定されるが、閾値ITHの設定段階数は任意である。
第5実施形態においても第4実施形態と同様の効果が得られる。
また、第5実施形態における電子機器2の動作フローチャートは図19と同様であって良い。但し、ステップS203の応答信号520又はステップS210の応答信号560の中に受電側情報を含めるようにすると共に図32のステップS74の設定処理を図19のステップS212の処理に含め、且つ、受電動作の開始後、“ICD<ITH”が成立したときもステップS214に進むという動作を追加すると良い。“ICD<ITH”の成立に基づきステップS214に進む際、fO変更/短絡動作を一定時間行うものとする。第5実施形態における給電機器1の動作フローチャートは図21と同様であって良い。但し、応答信号520又は560に含まれる受電側情報に基づき、ステップS114aから開始される送電動作における送電側コイルTLの発生磁界強度を、送電動作の開始前に調整及び設定すると良い。
<<第6実施形態>>
本発明の第6実施形態を説明する。第4実施形態と同様、第6実施形態も第2実施形態と組み合わせて実施される。即ち、電子機器2に、図22の電力安定化回路270が搭載されていることを前提とする。また、第4実施形態と同様、第6実施形態に係る電子機器2にも上述の電流検出回路CDが設けられているものとする。
図33に示す如く、受電回路230の出力電圧は一対のラインLN21及びLN22を介して電力安定化回路270に供給される。即ち、電力伝送による受電電力は、受電回路230から一対のラインLN21及びLN22を介して電力安定化回路270に供給される。ラインLN21及びLN22の内、ラインLN21に対して高電位が加わる。即ち、図24の電力安定化回路270を用いる場合、ラインLN21が端子401に接続され、ラインLN22が端子402に接続される。尚、図33では、負荷回路280の外に電流検出回路CDを示しているが、上述したように、電流検出回路CDは負荷回路280(例えば充電回路BC)に内蔵されているものであっても良い。
第6実施形態における電子機器2では、受電回路230と電力安定化回路270との間に負荷変更回路290を設けている。負荷変更回路290をIC200に設けておくことができる。負荷変更回路290は、送電における負荷の大きさ(即ち、送電側コイルTLにとっての負荷の大きさ)を変更する機能を有する。負荷変更回路290の動作を制御するための制御信号CNTを、制御回路250又は電流検出回路CDが出力することができるが、以下では、制御回路250が負荷変更回路290に制御信号CNTを与えることで負荷変更回路290の動作を制御するものとする。負荷変更回路290の具体例については後述する。
図34は、第6実施形態に係る非接触給電システムの動作フローチャートである。第5実施形態(図32)で述べた動作フローチャートを基準として、第6実施形態ではステップS77がステップS77aに置換され、その置換を除き、非接触給電システムの動作フローチャートは第5及び第6実施形態間で共通である。共通部分の説明を省略する。
第6実施形態では、ステップS75にて電流検出回路CDにより検出された電流値ICDが、ステップS76にて制御回路250により閾値ITHと比較される。“ICD<ITH”が不成立であればステップS75に戻ってステップS75及びS76の処理が繰り返されるが、“ICD<ITH”が成立するとステップS77aに進む。
ステップS77aにおいて、制御回路250は、負荷変更回路290を用いて、送電における負荷の大きさを変更するための負荷変更動作(詳細は後述)を実行する。そうすると、続くステップS78では、給電機器1において、負荷検出回路140の検出結果に基づき、制御回路160により負荷状態監視動作(図20参照)を通じて送電許可フラグがOFFとされ、結果、送電動作が停止せしめられる。尚、基準配置状態(図1(b)参照)において負荷変更動作が行われているときの電圧値VDが上記正常範囲(図20のステップ32)を逸脱するように上記正常範囲が予め定められている。
電子機器2では、ステップS77aにて負荷変更動作を一定時間行った後、通信回路220が共振回路RRに接続され一方、給電機器1では、ステップS78にて送電動作を停止した後、通信回路120が共振回路TTに接続される。このため、ステップS78の後、ステップS79に至る過程において、給電機器1及び電子機器2の状態が給電用接続状態から通信用接続状態に切り替えられる。ステップS79以降の処理、及び、ステップS79を経由して実行される2回目以降のステップS72及びS74の処理内容については、第5実施形態と同様である。
尚、第6実施形態における電子機器2の動作フローチャートは図19と同様であって良い。但し、ステップS203の応答信号520又はステップS210の応答信号560の中に受電側情報を含めるようにすると共に図34のステップS74の設定処理を図19のステップS212の処理に含め、且つ、受電動作の開始後、“ICD<ITH”が成立したときもステップS214に進むという動作を追加すると良い。“ICD<ITH”の成立に基づきステップS214に進む際、負荷変更動作を一定時間行うものとする。第6実施形態における給電機器1の動作フローチャートは図21と同様であって良い。但し、応答信号520又は560に含まれる受電側情報に基づき、ステップS114aから開始される送電動作における送電側コイルTLの発生磁界強度を、送電動作の開始前に調整及び設定すると良い。
制御回路250は、ハイレベル又はローレベルの制御信号CNTを選択的に負荷変更回路290に供給する。ハイレベルの制御信号CNTが負荷変更回路290に与えられたとき、負荷変更回路290による負荷変更動作が実行され、ローレベルの制御信号CNTが負荷変更回路290に与えられたとき、負荷変更回路290による負荷変更動作が停止される。図34のフローチャートでは、原則として負荷変更動作は停止されており、上述のステップS77aにおいて一定時間だけ負荷変更動作が実行されることになる。負荷変更回路290の具体的回路を例示しつつ負荷変更動作を説明する。
―――具体例EX6_1―――
具体例EX6_1では、負荷変更回路290の一例として図35の回路290aを用いる。回路290aは、スイッチ2911と抵抗2912の直列回路から成り、当該直列回路はラインLN21及びLN22間に配置される。スイッチ2911は、電界効果トランジスタ等の半導体スイッチング素子から成り、制御信号CNTに応じてオン又はオフする。ハイレベルの制御信号CNTがスイッチ2911に入力されたとき、スイッチ2911はオンし、ラインLN21及びLN22間は抵抗2912を介して接続されることになる。ローレベルの制御信号CNTがスイッチ2911に入力されたときスイッチ2911はオフする。
スイッチ2911がオンのときに負荷変更動作が実行され、スイッチ2912がオフのときに負荷変更動作が停止されることになる。スイッチ2911がオンのとき、スイッチ2911がオフのときと比べ、回路290aは、受電回路230から見た一対の電力ライン(LN21、LN22)間のインピーダンスを減少させることになる。送電における負荷の大きさ(即ち、送電側コイルTLにとっての負荷の大きさ)は、一対の電力ライン(LN21、LN22)間のインピーダンスが減少すれば増大する。
電力伝送時において、送電における負荷の大きさが増大すれば送電側コイルTLに流れる電流の振幅が減少し、それを給電機器1の負荷検出回路140にて検知することができる。基準配置状態(図1(b)参照)において負荷変更動作が行われているときの電圧値VDが上記正常範囲(図20のステップ32)を逸脱するように、また、基準配置状態において負荷変更動作が行われていないときの電圧値VDが上記正常範囲内に収まるように、上記正常範囲を予め定めておくと共に抵抗2912の抵抗値を設定しておけば良い。
図36の回路290Xは、回路290aの具体的構成例を示す図である。回路290Xは、Nチャンネル型のMOSFETとして形成されたトランジスタ2921と、抵抗2922及び2923を備える。トランジスタ2921及び抵抗2922を図35のスイッチ2911及び抵抗2912として機能させることができ、この場合、トランジスタ2921のドレインを抵抗2922を介してラインLN21に接続し、トランジスタ2921のソースをラインLN22に接続し、トランジスタ2921のゲートに制御信号CNTを入力すれば良い。抵抗2923にはトランジスタ2921のゲート電圧が加わる。
―――具体例EX6_2―――
具体例EX6_2では、負荷変更回路290の一例として図37の回路290bを用いる。回路290bは、ラインLN22上に直列に挿入されたスイッチ2941から成る。ラインLN22の内、電力安定化回路270の端子402とスイッチ2941との間のラインをラインLN22aと呼び、受電回路230とスイッチ2941との間のラインをラインLN22bと呼ぶ。スイッチ2941は、電界効果トランジスタ等の半導体スイッチング素子から成り、制御信号CNTに応じてオン又はオフする。ハイレベルの制御信号CNTがスイッチ2941に入力されたとき、スイッチ2941はオフし、受電回路230及び電力安定化回路270間が遮断される。ローレベルの制御信号CNTがスイッチ2941に入力されたとき、スイッチ2941はオンし、一対の電力ライン(LN21、LN22)を介して受電回路230及び電力安定化回路270間が接続される。
スイッチ2941がオフのときに負荷変更動作が実行され、スイッチ2941がオンのときに負荷変更動作が停止されることになる。スイッチ2941がオフのとき、スイッチ2941がオンのときと比べ、回路290bは、受電回路230から見た一対の電力ライン(LN21、LN22)間のインピーダンスを増加させることになる。送電における負荷の大きさ(即ち、送電側コイルTLにとっての負荷の大きさ)は、一対の電力ライン(LN21、LN22)間のインピーダンスが増大すれば減少する。
電力伝送時において、送電における負荷の大きさが減少すれば送電側コイルTLに流れる電流の振幅が増大し、それを給電機器1の負荷検出回路140にて検知することができる。基準配置状態(図1(b)参照)において負荷変更動作が行われているときの電圧値VDが上記正常範囲(図20のステップ32)を逸脱するように、また、基準配置状態において負荷変更動作が行われていないときの電圧値VDが上記正常範囲内に収まるように、上記正常範囲を予め定めておけば良い。
図38の回路290Yは、回路290bの具体的構成例を示す図である。回路290Yは、Nチャンネル型のMOSFETとして形成されたトランジスタ2951と、インバータ2952と抵抗2953を備える。トランジスタ2951を図37のスイッチ2941として機能させることができ、この場合、トランジスタ2951のドレインをラインLN22aに接続し、トランジスタ2951のソースをラインLN22bに接続し、トランジスタ2951のゲートに制御信号CNTの反転信号(制御信号CNTの論理を反転させた信号)を入力すれば良い。インバータ2952は制御信号CNTの反転信号をトランジスタ2951のゲートに供給する。抵抗2953にはトランジスタ2951のゲート電圧が加わる。
第6実施形態においても第4実施形態と同様の効果が得られる。尚、上述のfO変更/短絡動作も、送電における負荷の大きさ(即ち、送電側コイルTLにとっての負荷の大きさ)を変更するための負荷変更動作の一種であると考えても良い。
<<本発明の考察>>
上述の第1〜第6実施形態にて具体化された本発明について考察する。
本発明の一側面に係る非接触給電システム(例えば第2実施形態参照)は、送電側共振回路(TT)を備えた送電装置(1)から受電側共振回路(RR)を備えた受電装置(2)に対し磁界共鳴方式で電力を送電可能な非接触給電システムであって、前記送電装置は、前記送電における負荷の大きさを検出する負荷検出回路(140)と、前記負荷検出回路の検出結果に基づいて送電制御を行う制御回路(160)と、を備え、前記受電装置は、負荷回路(280)と、前記受電側共振回路による受電電力に基づく電力を前記負荷回路に向けて出力する受電回路(230)と、前記受電回路と前記負荷回路との間に介在し、前記負荷回路の消費電力の変化に基づく前記受電回路の出力電力の変化を抑制する抑制回路(270)と、を備えることを特徴とする。
負荷検出回路の検出結果に基づいて送電制御を行う制御回路を送電装置に設けておくことで、例えば、送電における負荷の大きさが正常範囲を逸脱するような場合、送電を停止して受電装置以外の異物の保護や無駄な電力消費の抑制等を図る、といったことが可能となる。
但し、受電側共振回路の受電電力に基づく電力が受電回路から負荷回路に向けて出力されるため、仮に抑制回路が無い場合、負荷回路の消費電力が増減すれば、受電回路の出力電力の増減を通じて送電における負荷の大きさが増減する。そうすると、制御回路が、負荷回路の消費電力の変化に過度に反応し、誤動作(本来行うべきではない送電制御)を行うこともありえる。例えば、負荷回路の消費電力が相当に小さくなったとき、受電装置が存在しないと誤判断して送電を停止することも考えられる。これを考慮し上記抑制回路を設ける。これにより、負荷回路の消費電力が変化しても、それに基づく受電回路の出力電力の変化が抑制されるため、負荷検出回路の検出結果が負荷回路の消費電力の変化の影響を受けにくくなり、誤動作の発生を抑制することができる。
本発明の他の側面に係る非接触給電システム(例えば第3実施形態参照)は、送電側共振回路(TT)を備えた送電装置(1)から受電側共振回路(RR)を備えた受電装置(2)に対し磁界共鳴方式で電力を送電可能な非接触給電システムであって、前記受電装置は、負荷回路(280)と、前記受電側共振回路による受電電力に基づく電力を前記負荷回路に向けて出力する受電回路(230)と、を備え、前記送電装置は、前記送電における負荷の大きさを検出する負荷検出回路(140)と、前記負荷の大きさの検出結果に対して高域低減処理を施して得られる情報に基づき送電制御を行う制御回路(160)と、を備えることを特徴とする。
負荷検出回路の検出結果に基づいて送電制御を行う制御回路を送電装置に設けておくことで、例えば、送電における負荷の大きさが正常範囲を逸脱するような場合、送電を停止して受電装置以外の異物の保護や無駄な電力消費の抑制等を図る、といったことが可能となる。
但し、負荷の大きさの検出結果における過渡的な短時間揺らぎにも応答して送電制御を行ったならば、ノイズや過渡的な負荷変動の影響を受けて、誤動作(本来行うべきではない送電制御)を行うこともありえる。これを考慮し、上記高域低減処理を施して得られる情報に基づき送電制御を行うようにする。これにより、ノイズや過渡的な負荷変動の影響による誤動作の発生を抑制することができる。
尚、上述の各実施形態における給電機器1そのものが本発明に係る送電装置として機能しても良いし、上述の各実施形態における給電機器1の一部が本発明に係る送電装置として機能しても良い。同様に、上述の各実施形態における電子機器2そのものが本発明に係る受電装置として機能しても良いし、上述の各実施形態における電子機器2の一部が本発明に係る受電装置として機能しても良い。
<<変形等>>
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。上述の実施形態に適用可能な注釈事項として、以下に、注釈1〜注釈4を記す。各注釈に記載した内容は、矛盾なき限り、任意に組み合わせることが可能である。
[注釈1]
上述の実施形態では、各種の信号の周波数や共振周波数を、基準周波数としての13.56MHzに設定することを述べたが、13.56MHzは設定の目標値であって、実際の機器における、それらの周波数には誤差が含まれる。
[注釈2]
本発明をNFCの規格に沿って具現化したものを実施形態中に示したため、基準周波数が13.56MHzであると述べたが、基準周波数は13.56MHz以外でも構わない。これに関連するが、本発明が適用される給電機器及び電子機器間の通信及び電力伝送は、NFC以外の規格に沿った通信及び電力伝送であっても良い。
[注釈3]
上述の各トランジスタは、任意の種類のトランジスタであって良い。従って例えば、上述の各回路におけるバイポーラトランジスタを、MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)などの電界効果トランジスタに置き換えても良いし、その逆も可能である。NPN型バイポーラトランジスタとして形成されたトランジスタがPNP型バイポーラトランジスタとして形成されるように上述の各回路を変形しても良いし、その逆も可能である。Nチャンネル型のMOSFETとして形成されたトランジスタがPチャンネル型のMOSFETとして形成されるように上述の各回路を変形しても良いし、その逆も可能である。
[注釈4]
本発明に係る受電装置又は送電装置である対象装置を、集積回路等のハードウェア、或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって構成することができる。対象装置にて実現される機能の全部又は一部である任意の特定の機能をプログラムとして記述して、該プログラムを対象装置に搭載可能なフラッシュメモリに保存しておいても良い。そして、該プログラムをプログラム実行装置(例えば、対象装置に搭載可能なマイクロコンピュータ)上で実行することによって、その特定の機能を実現するようにしてもよい。上記プログラムは任意の記録媒体に記憶及び固定されうる。上記プログラムを記憶及び固定する記録媒体は対象装置と異なる機器(サーバ機器等)に搭載又は接続されても良い。