以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量、状態量又は部材等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量、状態量又は部材等の名称を省略又は略記することがある。また、後述の任意のフローチャートにおいて、任意の複数のステップにおける複数の処理は、処理内容に矛盾が生じない範囲で、任意に実行順序を変更できる又は並列に実行できる。
<<第1実施形態>>
本発明の第1実施形態を説明する。図1(a)及び(b)は、本実施形態に係る給電機器1及び電子機器2の概略外観図である。但し、図1(a)は、給電機器1及び電子機器2が離間状態にあるときのそれらの外観図であり、図1(b)は、給電機器1及び電子機器2が基準配置状態にあるときのそれらの外観図である。離間状態及び基準配置状態の意義については後に詳説する。給電機器1及び電子機器2によって非接触給電システムが形成される。給電機器1は、商用交流電力を受けるための電源プラグ11と、樹脂材料にて形成された給電台12と、を備える。
図2に、給電機器1と電子機器2の概略内部構成図を示す。給電機器1は、電源プラグ11を介して入力された商用交流電圧から所定の電圧値を有する直流電圧を生成して出力するAC/DC変換部13と、AC/DC変換部13の出力電圧を用いて駆動する集積回路である送電側IC100(以下、IC100とも言う)と、IC100に接続された送電側共振回路TT(以下、共振回路TTとも言う)と、を備える。AC/DC変換部13、送電側IC100及び共振回路TTを、給電台12内に配置しておくことができる。AC/DC変換部13の出力電圧を用いて駆動する回路が、IC100以外にも、給電機器1に設けられうる。
電子機器2は、集積回路である受電側IC200(以下、IC200とも言う)と、IC200に接続された受電側共振回路RR(以下、共振回路RRとも言う)と、二次電池であるバッテリ21と、バッテリ21の出力電圧に基づき駆動する機能回路22と、を備える。詳細は後述するが、IC200はバッテリ21に対して充電電力を供給することができる。IC200は、バッテリ21の出力電圧にて駆動しても良いし、バッテリ21以外の電圧源からの電圧に基づき駆動しても良い。或いは、給電機器1から受信したNFC通信(詳細は後述)のための信号を整流することで得た直流電圧が、IC200の駆動電圧となっても良い。この場合、バッテリ21の残容量が無くなってもIC200は駆動可能となる。
電子機器2は、任意の電子機器であって良く、例えば、携帯電話機(スマートホンに分類される携帯電話機を含む)、携帯情報端末、タブレット型パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、MP3プレイヤー、歩数計、又は、Bluetooth(登録商標)ヘッドセットである。機能回路22は、電子機器2が実現すべき任意の機能を実現する。従って例えば、電子機器2がスマートホンであれば、機能回路22は、相手側機器との間の通話を実現するための通話処理部、及び、ネットワーク網を介して他機器と情報を送受信するための通信処理部などを含む。或いは例えば、電子機器2がデジタルカメラであれば、機能回路22は、撮像素子を駆動する駆動回路、撮像素子の出力信号から画像データを生成する画像処理回路などを含む。機能回路22は、電子機器2の外部装置に設けられる回路であると考えても良い。
図3に示す如く、共振回路TTは、送電側コイルであるコイルTLと送電側コンデンサであるコンデンサTCとを有し、共振回路RRは、受電側コイルであるコイルRLと受電側コンデンサであるコンデンサRCとを有する。以下では、説明の具体化のため、特に記述無き限り、送電側コイルTL及び送電側コンデンサTCが互いに並列接続されることで共振回路TTが並列共振回路として形成され、且つ、受電側コイルRL及び受電側コンデンサRCが互いに並列接続されることで共振回路RRが並列共振回路として形成されているものとする。但し、送電側コイルTL及び送電側コンデンサTCが互いに直列接続されることで共振回路TTが直列共振回路として形成されていても良いし、受電側コイルRL及び受電側コンデンサRCが互いに直列接続されることで共振回路RRが直列共振回路として形成されていても良い。
図1(b)に示す如く、電子機器2を給電台12上の所定範囲内に載置したとき、磁界共鳴方式にて(即ち、磁界共鳴を利用して)、機器1及び2間における通信、送電及び受電が可能となる。磁界共鳴は、磁界共振などとも呼ばれる。
機器1及び2間における通信は、NFC(Near field communication)による無線通信(以下、NFC通信と呼ぶ)であり、通信の搬送波の周波数は13.56MHz(メガヘルツ)である。以下では、13.56MHzを基準周波数と呼ぶ。機器1及び2間におけるNFC通信は、共振回路TT及びRRを利用した磁界共鳴方式で行われるため、共振回路TT及びRRの共振周波数は、共に、基準周波数に設定されている。但し、後述されるように、共振回路RRの共振周波数は、一時的に基準周波数から変更され得る。
機器1及び2間における送電及び受電は、給電機器1から電子機器2に対するNFCによる送電と、電子機器2におけるNFCによる受電である。この送電と受電をまとめてNFC電力伝送又は単に電力伝送と称する。磁界共鳴方式によりコイルTLからコイルRLに対して電力を伝達することで、電力伝送が非接触で実現される。
磁界共鳴を利用した電力伝送では、送電側コイルTLに交流電流を流すことで送電側コイルTLに基準周波数の交番磁界を発生させる。すると、この交番磁界が、基準周波数で共鳴(換言すれば共振)する共振回路RRに伝わって受電側コイルRLに交流電流が流れる。つまり、送電側コイルTLを含む共振回路TTから受電側コイルRLを含む共振回路RRへ電力が伝達される。尚、以下では、記述が省略されることがあるが、NFC通信又は電力伝送においてコイルTL又はコイルRLにより発生する磁界は、特に記述無き限り、基準周波数で振動する交番磁界である。
電子機器2が給電台12上の所定範囲内に載置され、上述のNFC通信及び電力伝送が実現できる状態を、基準配置状態と呼ぶ(図1(b)参照)。磁気共鳴を利用した場合、相手側距離との距離が比較的大きくても通信及び電力伝送が可能であるが、電子機器2が給電台12から相当距離離れれば、NFC通信及び電力伝送は実現できなくなる。電子機器2が給電台12から十分に離れていて、上述のNFC通信及び電力伝送を実現できない状態を、離間状態と呼ぶ(図1(a)参照)。尚、図1(a)に示す給電台12では、表面が平らになっているが、載置されるべき電子機器2の形状に合わせた窪み等が給電台12に形成されていても構わない。
図4に、IC100の内部ブロック図を含む、給電機器1の一部の構成図を示す。IC100には、符号110、120、130、140、150及び160によって参照される各部位が設けられる。図5に、IC200の内部ブロック図を含む、電子機器2の一部の構成図を示す。IC200には、符号210、220、230、240、250及び260によって参照される各部位が設けられる。また、IC200に対し、IC200の駆動電圧を出力するコンデンサ23を接続しておいても良い。コンデンサ23は、給電機器1から受信したNFC通信のための信号を整流することで得た直流電圧を出力可能である。
切り替え回路110は、制御回路150の制御の下、NFC通信回路120及びNFC送電回路130のどちらかを共振回路TTに接続させる。共振回路TTと回路120及び130との間に介在する複数のスイッチにて、切り替え回路110を構成することができる。本明細書にて述べる任意のスイッチは、電界効果トランジスタ等の半導体スイッチング素子を用いて形成されて良い。
切り替え回路210は、制御回路250の制御の下、共振回路RRをNFC通信回路220及びNFC受電回路230のどちらかに接続させる。共振回路RRと回路220及び230との間に介在する複数のスイッチにて、切り替え回路210を構成することができる。
共振回路TTが切り替え回路110を介してNFC通信回路120に接続され、且つ、共振回路RRが切り替え回路210を介してNFC通信回路220に接続されている状態を、通信用接続状態と呼ぶ。通信用接続状態にてNFC通信が可能となる。通信用接続状態において、NFC通信回路120は、基準周波数の交流信号(交流電圧)を共振回路TTに供給することができる。機器1及び2間のNFC通信は半二重方式で実行される。
通信用接続状態において給電機器1が送信側であるとき、NFC通信回路120が共振回路TTに供給する交流信号に任意の情報信号を重畳させることで、当該情報信号が給電機器側アンテナコイルとしてのコイルTLから送信され且つ電子機器側アンテナコイルとしてのコイルRLにて受信される。コイルRLにて受信された情報信号はNFC通信回路220にて抽出される。通信用接続状態において電子機器2が送信側であるとき、NFC通信回路220は、任意の情報信号(応答信号)を共振回路RRのコイルRLから共振回路TTのコイルTLに送信できる。この送信は、周知の如く、ISO規格(例えばISO14443規格)に基づき、コイルTL(給電機器側アンテナコイル)から見たコイルRL(電子機器側アンテナコイル)のインピーダンスを変化させる負荷変調方式にて実現される。電子機器2から伝達された情報信号はNFC通信回路120にて抽出される。
共振回路TTが切り替え回路110を介してNFC送電回路130に接続され、且つ、共振回路RRが切り替え回路210を介してNFC受電回路230に接続されている状態を、給電用接続状態と呼ぶ。
給電用接続状態において、NFC送電回路130は送電動作を行うことができ、NFC受電回路230は受電動作を行うことができる。送電動作と受電動作にて電力伝送が実現される。送電動作において、送電回路130は、共振回路TTに基準周波数の送電用交流信号(送電用交流電圧)を供給することで送電側コイルTLに基準周波数の送電用磁界(送電用交番磁界)を発生させ、これによって、共振回路TT(送電側コイルTL)から共振回路RRに対し磁界共鳴方式で電力を送電する。送電動作に基づき受電側コイルRLにて受電された電力は受電回路230に送られ、受電動作において、受電回路230は、受電した電力から任意の直流電力を生成して出力する。受電回路230の出力電力にてバッテリ21を充電することができる。
通信用接続状態にてNFC通信を行う場合も、コイルTL又はRLにて磁界が発生するが、NFC通信における磁界強度は、所定の範囲内に収まる。その範囲の下限値及び上限値は、NFCの規格で定められ、夫々、1.5A/m、7.5A/mである。これに対し、電力伝送(即ち送電動作)において送電側コイルTLにて発生する磁界の強度(送電用磁界の磁界強度)は、上記の上限値より大きく、例えば45~60A/m程度である。機器1及び2を含む非接触給電システムにおいて、NFC通信及び電力伝送(NFC電力伝送)を交互に行うことができ、その時の磁界強度の様子を図6に示す。
負荷検出回路140は、送電側コイルTLの負荷の大きさ、即ち、送電回路130から送電側コイルTLに交流信号が供給されるときにおける送電側コイルTLにとっての負荷の大きさを検出する。図7に、給電用接続状態における送電回路130と負荷検出回路140と共振回路TTとの関係を示す。尚、図7では、切り替え回路110の図示が省略されている。
送電回路130は、基準周波数の正弦波信号を生成する信号生成器131と、信号生成器131にて生成された正弦波信号を増幅し、増幅した正弦波信号をライン134の電位を基準としてライン134及び135間に出力する増幅器(パワーアンプ)132と、コンデンサ133とを備える。一方、負荷検出回路140は、センス抵抗141、包絡線検波器142、増幅器143及びA/D変換器144を備える。信号生成器131が生成する正弦波信号の信号強度は一定値に固定されているが、増幅器132の増幅率は制御回路150により可変設定される。
コンデンサ133の一端はライン135に接続される。給電用接続状態において、コンデンサ133の他端はコンデンサTC及びコイルTLの各一端に共通接続され、且つ、コイルTLの他端はセンス抵抗141を介してライン134及びコンデンサTCの他端に共通接続される。
送電動作は、増幅器132からコンデンサ133を介し共振回路TTに交流信号(送電用交流電圧)を供給することで実現される。給電用接続状態において、増幅器132からの交流信号が共振回路TTに供給されると送電側コイルTLに基準周波数の交流電流が流れ、結果、センス抵抗141に交流の電圧降下が発生する。図8の実線波形は、センス抵抗141における電圧降下の電圧波形である。共振回路TTに関し、送電側コイルTLの発生磁界強度が一定の下、電子機器2を給電台12に近づけると、送電側コイルTLの発生磁界に基づく電流が受電側コイルRLに流れる一方で、受電側コイルRLに流れた電流に基づく逆起電力が送電側コイルTLに発生し、その逆起電力は送電側コイルTLに流れる電流を低減するように作用する。このため、図8に示す如く、基準配置状態におけるセンス抵抗141の電圧降下の振幅は、離間状態におけるそれよりも小さい。
包絡線検波器142は、センス抵抗141における電圧降下の信号の包絡線を検波することで、図8の電圧vに比例するアナログの電圧信号を出力する。増幅器143は、包絡線検波器142の出力信号を増幅して出力する。A/D変換器144は、増幅器143の出力電圧信号をデジタル信号に変換することでデジタルの電圧値VDを出力する。上述の説明から理解されるように、電圧値VDは、センス抵抗141に流れる電流の振幅(従って、送電側コイルTLに流れる電流の振幅)に比例する値を持つ(当該振幅の増大に伴って電圧値VDも増大する)。故に、負荷検出回路140は、送電側コイルTLに流れる電流の振幅を検出する電流振幅検出回路であるとも言え、その振幅検出値が電圧値VDであると考えることができる。尚、包絡線検波器142を増幅器143の後段に設けるようにしても良い。但し、図7に示す如く、包絡線検波器142を増幅器143の前段に設けた方が、高周波への応答性能がより低いものを増幅器143として採用可能となり有利である。
磁界を発生させる送電側コイルTLにとって、受電側コイルRLのような、送電側コイルTLと磁気結合するコイルは、負荷であると考えることができ、その負荷の大きさに依存して、負荷検出回路140の検出値である電圧値VDが変化する。このため、負荷検出回路140は電圧値VDの出力によって負荷の大きさを検出している、と考えることもできる。ここにおける負荷の大きさとは、送電の際における送電側コイルTLにとっての負荷の大きさとも言えるし、送電の際における給電装置1から見た電子機器2の負荷としての大きさとも言える。尚、センス抵抗141はIC100の内部に設けられても良いし、IC100の外部に設けられても良い。
メモリ160(図4参照)は、不揮発性メモリ及び揮発性メモリを含んで構成され、任意の情報を記憶可能である。制御回路150は、IC100内の各部位の動作を統括的に制御する。制御回路150が行う制御には、例えば、切り替え回路110の切り替え動作の制御、通信回路120及び送電回路130による通信動作及び送電動作の内容制御及び実行有無制御、負荷検出回路140の動作制御、メモリ160の記憶制御及び読み出し制御が含まれる。制御回路150は、タイマ(不図示)を内蔵しており任意のタイミング間の時間長さを計測できる。
電子機器2における共振状態変更回路240(図5参照)は、共振回路RRの共振周波数を基準周波数から他の所定周波数fMに変更可能な共振周波数変更回路、又は、共振回路RRにおける受電側コイルRLを短絡可能なコイル短絡回路である。
図9の共振周波数変更回路240Aは、共振状態変更回路240としての共振周波数変更回路の例である。共振周波数変更回路240Aは、コンデンサ241とスイッチ242の直列回路から成り、該直列回路の一端はコンデンサRC及びコイルRLの各一端に共通接続される一方、該直列回路の他端はコンデンサRC及びコイルRLの各他端に共通接続される。スイッチ242は、制御回路250の制御の下、オン又はオフとなる。スイッチ242がオフのとき、コンデンサ241はコンデンサRC及びコイルRLから切り離されるため、共振回路RRは、寄生インダクタンス及び寄生容量を無視すれば、コイルRL及びコンデンサRCのみで形成されて、共振回路RRの共振周波数は基準周波数と一致する。即ち、スイッチ242がオフのとき、共振回路RRの共振周波数を決定する受電側容量は、コンデンサRCそのものである。スイッチ242がオンのとき、コンデンサRCにコンデンサ241が並列接続されることになるため、共振回路RRはコイルRLとコンデンサRC及び241の合成容量とで形成され、結果、共振回路RRの共振周波数は基準周波数よりも低い周波数fMとなる。即ち、スイッチ242がオンのとき、共振回路RRの共振周波数を決定する受電側容量は、上記の合成容量である。ここでは、スイッチ242がオンのとき共振回路RRが送電側コイルTLの負荷として機能しない程度に(即ち、共振回路TT及びRR間で磁気共鳴が十分に発生しない程度に)、周波数fMが基準周波数から離れているものとする。例えば、スイッチ242のオンのときにおける共振回路RRの共振周波数(即ち周波数fM)は、数100kHz~1MHzとされる。
共振回路RRの共振周波数を周波数fMに変更できる限り、変更回路240としての共振周波数変更回路は共振周波数変更回路240Aに限定されず、周波数fMは基準周波数より高くても良い。つまり、受電側共振回路RRが直列共振回路でありうることをも考慮すれば、以下のことが言える。受電側共振回路RRは受電側コイル(RL)と受電側容量の並列回路又は直列回路を有し、受電側容量が所定の基準容量と一致しているとき、受電側共振回路RRの共振周波数fOは基準周波数と一致する。共振周波数変更回路は、必要なタイミングにおいて、受電側容量を基準容量から増加又は減少させる。これにより、受電側共振回路RRにおいて、受電側コイル(RL)と、基準容量より大きい又は小さい受電側容量とで、並列回路又は直列回路が形成され、結果、受電側共振回路RRの共振周波数fOが基準周波数から変更される。
図10のコイル短絡回路240Bは、共振状態変更回路240としてのコイル短絡回路の例である。コイル短絡回路240Bは、共振回路RRにおけるコンデンサRCの一端及びコイルRLの一端が共通接続されるノードと、共振回路RRにおけるコンデンサRCの他端及びコイルRLの他端が共通接続されるノードとの間に接続(挿入)されたスイッチ243から成る。スイッチ243は、制御回路250の制御の下、オン又はオフとなる。スイッチ243がオンとなると共振回路RRにおけるコイルRLが短絡される(より詳細にはコイルRLの両端が短絡される)。受電側コイルRLが短絡された状態では受電側共振回路RRが存在しなくなる(受電側共振回路RRが存在しない状態と等価な状態となる)。従って、受電側コイルRLの短絡中では、送電側コイルTLにとっての負荷が十分に軽くなる(即ち、あたかも、給電台12上に電子機器2が存在しないかのような状態となる)。受電側コイルRLを短絡できる限り、変更回路240としてのコイル短絡回路はコイル短絡回路240Bに限定されない。
以下では、受電側共振回路RRの共振周波数fOを基準周波数から所定周波数fMに変更する動作を、共振周波数変更動作と呼び、コイル短絡回路を用いて受電側コイルRLを短絡する動作を、コイル短絡動作と呼ぶ。また、記述の簡略化上、共振周波数変更動作又はコイル短絡動作をfO変更/短絡動作と称することがある。
メモリ260(図5参照)は、不揮発性メモリ及び揮発性メモリを含んで構成され、任意の情報を記憶可能である。制御回路250(図5参照)は、IC200内の各部位の動作を統括的に制御する。制御回路250が行う制御には、例えば、切り替え回路210の切り替え動作の制御、通信回路220及び受電回路230による通信動作及び受電動作の内容制御及び実行有無制御、変更回路240の動作制御、メモリ260の記憶制御及び読み出し制御が含まれる。制御回路250は、タイマ(不図示)を内蔵しており任意のタイミング間の時間長さを計測できる。例えば、制御回路250におけるタイマは、fO変更/短絡動作による共振周波数fOの所定周波数fMへの変更又は受電側コイルRLの短絡が維持される時間の計測(即ち後述の時間TMの計測;図19のステップS207参照)を行うことができる。
ところで、制御回路150は、給電台12上における異物の存否を判断し、異物が無い場合にのみ送電動作を行うよう送電回路130を制御できる。本実施形態における異物は、電子機器2及び電子機器2の構成要素(受電側コイルRLなど)と異なり、給電機器1に近づいたときに、送電側コイルTLの発生磁界に基づいて電流(異物内での電流)を発生させられる物体を含む。本実施形態において、異物の存在とは、送電側コイルTLの発生磁界に基づく、無視できない程度の電流が異物内で流れるような位置に異物が存在することを意味する、と解して良い。尚、送電側コイルTLの発生磁界に基づき異物内で流れることになった電流は、異物に対向、結合するコイル(TLやRL)に起電力(又は逆起電力)を発生させるため、そのコイルを含む回路の特性に無視できない影響を与えうる。
図11(a)に、異物の一種である異物3の概略外形図を示し、図11(b)に異物3の概略内部構成図を示す。異物3は、コイルJL及びコンデンサJCの並列回路から成る共振回路JJと、共振回路JJに接続された異物内回路300と、を備える。共振回路JJの共振周波数は基準周波数に設定されている。異物3は、電子機器2とは異なり、給電機器1に対応しない機器である。例えば、異物3は、NFC通信に応答しない13.56MHzのアンテナコイル(コイルJL)を持つ無線ICタグを有した物体(非接触ICカード等)である。また例えば、異物3は、NFC通信機能自体は有しているものの、その機能が無効とされている電子機器である。例えば、NFC通信機能を有するスマートホンではあるが、ソフトウェア設定で当該機能をオフにされているスマートホンは、異物3となりうる。また、NFC通信機能が有効となっているスマートホンでも、受電機能を持たないスマートホンも異物3に分類される。
このような異物3が給電台12上に配置されている状態において、仮に、給電機器1が送電動作を行うと、送電側コイルTLが発生した強磁界(例えば、12A/m以上の磁界強度を持つ磁界)にて異物3が破壊されることがある。例えば、送電動作時における強磁界は、給電台12上の異物3のコイルJLの端子電圧を100V~200Vまで増大させることもあり、そのような高電圧に耐えられるように異物3が形成されていなければ、異物3が破壊される。
[pFOD処理(電力伝送前のpFOD処理)]
図12を参照し、異物の存否を検出するための異物検出処理を説明する。図12は、電力伝送前に給電機器1により実行される異物検出処理(以下、pFOD処理という)のフローチャートである。
pFOD処理の実行時には、送電回路130が共振回路TTに接続される。pFOD処理において、制御回路150は、まずステップS11にて送電側コイルTLによる磁界強度Hを所定のテスト強度に設定する。磁界強度Hは、送電側コイルTLの発生磁界強度であって、より詳しくは、送電側コイルTLが発生した基準周波数で振動する交番磁界の磁界強度を指す。磁界強度Hをテスト強度に設定するとは、所定のテスト用交流信号(テスト用交流電圧)が共振回路TTに供給されるように送電回路130を制御することで、テスト強度を有し且つ基準周波数で振動する交番磁界であるテスト磁界を送電側コイルTLに発生させることを指す。テスト磁界の磁界強度であるテスト強度は、電力伝送(即ち送電動作)における送電側コイルTLの発生磁界強度(即ち送電用磁界の磁界強度;例えば、45~60A/m)よりも相当に小さく、通信用磁界強度の下限値“1.5A/m”から上限値“7.5A/m”までの範囲内に収まる。故に、テスト磁界によって異物3が破損等するおそれは無い又は少ない。制御回路150は、増幅器132(図7参照)の増幅率を制御することで磁界強度Hを可変設定することができる。テスト磁界を発生させる場合には所定のテスト用交流電圧が共振回路TTに供給及び印加されるように、且つ、送電用磁界を発生させる場合にはテスト用交流電圧よりも大きな振幅を有する所定の送電用交流電圧が共振回路TTに供給及び印加されるように、増幅器132の増幅率を制御すれば良い。
ステップS11に続くステップS12において、制御回路150は、負荷検出回路140を用い、テスト磁界を発生させているときの電圧値VDを電流振幅検出値VpFODとして取得する。電流振幅検出値VpFODは、テスト磁界を送電側コイルTLに発生させているときの、送電側コイルTLに流れる電流の振幅に応じた値を持つ。尚、pFOD処理が実行される期間中には、NFC通信を介した給電機器1からの指示に従い電子機器2においてfO変更/短絡動作(共振周波数変更動作又はコイル短絡動作)が実行されている。故に、共振回路RR(受電側コイルRL)は実質的に送電側コイルTLの負荷として機能せず、電流振幅検出値VpFODの減少を全く又は殆どもたらさない。
ステップS12に続くステップS13において、制御回路150は、電流振幅検出値VpFODが所定のpFOD正常範囲内に収まるか否かを判断する。そして、電流振幅検出値VpFODがpFOD正常範囲内に収まる場合、制御回路150は、異物3が給電台12上に存在していないと判定する(ステップS14)。この判定を異物無判定と称する。一方、電流振幅検出値VpFODがpFOD正常範囲を逸脱する場合、制御回路150は、異物3が給電台12上に存在していると判定する(ステップS15)。この判定を異物有判定と称する。制御回路150は、異物無判定を成した場合、送電回路130による送電動作の実行が可能であると判断して送電動作の実行(共振回路TTを用いた送電)を許可し、異物有判定を成した場合、送電回路130による送電動作の実行が不可であると判断して送電動作の実行を禁止する。送電動作が実行可能と判断したとき、送電動作において、制御回路150は、所定の送電用磁界が送電側コイルTLにて発生されるよう送電回路130を制御することができる。
pFOD正常範囲は、所定の下限値VpREFL以上且つ所定の上限値VpREFH以下の範囲である(0<VpREFL<VpREFH)。故に、判定不等式“VpREFL≦VpFOD≦VpREFH”が満たされる場合には異物無判定が成され、そうでない場合には異物有判定が成される。
pFOD処理の実行時において、給電台12上に異物3が存在している場合、異物3の共振回路JJ(コイルJL)が送電側コイルTLの負荷として機能し、結果、給電台12上に異物3が存在しない場合と比べて、電流振幅検出値VpFODの減少がみられる。
また、異物として、異物3と異なる異物3a(不図示)も考えられる。異物3aは、例えば、アルミニウムを含んで形成された金属体(アルミニウム箔やアルミニウム板)や銅を含んで形成された金属体である。pFOD処理の実行時において、給電台12上に異物3aが存在している場合、給電台12上に異物3aが存在しない場合と比べて、電気的及び磁気的な作用により、電流振幅検出値VpFODの増大がみられる。
電力伝送の実行前において、給電台12上に異物3が存在している場合には電流振幅検出値VpFODが下限値VpREFLを下回るように、且つ、給電台12上に異物3aが存在している場合には電流振幅検出値VpFODが上限値VpREFHを上回るように、且つ、給電台12上に異物(3又は3a)が存在していない場合には電流振幅検出値VpFODがpFOD正常範囲内に収まるように、実験等を介して、下限値VpREFL及び上限値VpREFHが予め設定されてメモリ160に記憶されている。下限値VpREFL及び上限値VpREFHは、給電機器1の電源が遮断されてもメモリ160に保持され続けるよう、メモリ160内の不揮発性メモリに記憶される。
尚、給電台12上に異物3aが存在する状態で送電用磁界を発生させると、異物3aにて電力が吸収され、異物3aが発熱するおそれがある。本実施形態では、電力伝送の搬送波周波数としての基準周波数が13.56MHzであることを想定しているため、そのような発熱のおそれは十分に少ないとも言える。故に、異物3aの存在を考慮することなく、電流振幅検出値VpFODが下限値VpREFLを下回った場合に限って異物有判定を行い、電流振幅検出値VpFODが下限値VpREFL以上であれば常に異物無判定を行うようにしてもよい(即ち上限値VpREFHを撤廃しても良い)。しかしながら、本実施形態に係る発明において基準周波数は13.56MHzに限定されず、基準周波数を例えば数100kHz程度にした場合には、異物3aの発熱のおそれが高くなるため、下限値VpREFLだけでなく上限値VpREFHをpFOD正常範囲に定める、上述の方法の採用が望ましい。
下限値VpREFLの決定方法について説明を加えておく。下限値VpREFLは初期設定処理にて決定される。図13は、初期設定処理の動作フローチャートである。初期設定処理は、以下の初期設定環境の下でIC100により実行される。初期設定環境では、送電側コイルTLに対する負荷が全く無く又は無視できる程度に小さく、送電側コイルTLの発生磁界により電流を生じさせられる物体(送電側コイルTLに磁気結合するコイルを含む)が、給電機器1の構成部品を除いて存在しない。図1(a)の離間状態は、初期設定環境を満たすと考えても良い。初期設定環境の確保を担保すべく、例えば、給電機器1の製造時又は出荷時などにおいて初期設定処理を行うようにしても良い。但し、初期設定環境を確保できるのであれば、任意のタイミングで初期設定処理を行うことができる。
初期設定処理の実行時には送電回路130が共振回路TTに接続される。そして、ステップS21にて送電側コイルTLによる磁界強度Hを所定のテスト強度に設定し、続くステップS22にて、その設定状態でA/D変換器144から取得される電圧値VDを電圧値VDOとして得る。その後のステップS23において、電圧値VDOに基づく下限値VpREFLをメモリ160に記憶させる。下限値VpREFLは、異物3の存在下においてのみpFOD処理にて異物有判定が成されるよう、電圧値VDOよりも低い値に設定される。例えば、“VpREFL=VDO-ΔV”、又は、“VpREFL=VDO×k”とすると良い。ΔVは、所定の正の微小値である(但し、ΔV=0とすることも可能)。kは、1未満の正の所定値を有する係数である。尚、初期設定環境下において磁界強度Hを所定のテスト強度に設定したときに得られるであろう電圧値VDを、設計段階で見積もることができる。この見積によって導出された値に基づき、初期設定処理を行うことなく、下限値VpREFLを決定してメモリ160に記憶させるようにしても良い。
図14(a)~図14(d)を参照して、異物3の検出に関する第1~第4ケースを考える。第1ケースでは、給電台12上に電子機器2のみが存在している。第2ケースでは、給電台12上に電子機器2及び異物3が存在している。第3ケースでは、給電台12上に異物3のみが存在している。第4ケースでは、給電台12上に電子機器2も異物3も存在していない。
上述したように、pFOD処理が実行される期間中には電子機器2においてfO変更/短絡動作が実行されているため、第1ケースでは、送電側コイルTLにとっての負荷が十分に軽くなり(即ち、あたかも、給電台12上に電子機器2が存在しないかのような状態となり)、電流振幅検出値VpFODが十分に大きくなって異物無判定が成される。一方、第2ケースでは、共振回路RRの共振周波数が上記周波数fMへと変更されるものの又は受電側コイルRLが短絡されるものの、異物3は送電側コイルTLの負荷として存在し続けるため(異物3の共振回路JJの共振周波数は基準周波数のままであるため)、電流振幅検出値VpFODが十分に小さくなって異物有判定が成される。
第3及び第4ケースでは、NFC通信に応答する電子機器2が給電台12上に存在しないため、そもそも送電動作は不要であり、従ってpFOD処理自体が実行されない。給電機器1は、NFC通信により、電力伝送に対応可能な電子機器2が給電台12上に存在しているか否かを判断できる。尚、異物3が給電台12上に存在する状態は、異物3が給電台12に直接接触している状態に限定されない。例えば、図15に示す如く、給電台12上に電子機器2が直接接触する形で存在し且つ電子機器2の上に異物3が存在しているような状態も、異物有判定が成される限り、異物3が給電台12上に存在する状態に属する。
[電力伝送までの信号のやりとり:図16]
図16を参照して、電力伝送が行われるまでの機器1及び2間の信号のやりとりを説明する。以下では、特に記述無き限り、電子機器2が基準配置状態(図1(b))にて給電台12上に存在していることを想定する。
まず、給電機器1が送信側且つ電子機器2が受信側となり、給電機器1(IC100)が、NFC通信によって、問い合わせ信号510を給電台2上の機器(以下、給電対象機器とも言う)に送信する。給電対象機器は、電子機器2を含み、異物3を含みうる。問い合わせ信号510は、例えば、給電対象機器の固有識別情報を問い合わせる信号、給電対象機器がNFC通信を実行可能な状態にあるかを問い合わせる信号、及び、給電対象機器が電力を受け取れるか又は電力の送電を求めているかを問い合わせる信号を含む。
問い合わせ信号510を受信した電子機器2(IC200)は、問い合わせ信号510の問い合わせ内容に答える応答信号520を、NFC通信によって給電機器1に送信する。応答信号520を受信した給電機器1(IC100)は、応答信号520を解析し、給電対象機器がNFC通信を可能であって且つ電力を受け取れる又は電力の送電を求めている場合に、テスト用要求信号530をNFC通信によって給電対象機器に送信する。テスト用要求信号530を受信した給電対象機器としての電子機器2(IC200)は、テスト用要求信号530に対する応答信号540をNFC通信によって給電機器1に送信してから、速やかに、fO変更/短絡動作(共振周波数変更動作又はコイル短絡動作)を実行する。テスト用要求信号530は、例えば、fO変更/短絡動作の実行を要求、指示する信号であり、電子機器2の制御回路250は、テスト用要求信号530の受信を契機としてfO変更/短絡動作を共振状態変更回路240に実行させる。テスト用要求信号530の受信前においてfO変更/短絡動作は非実行とされている。fO変更/短絡動作の実行の契機となるならばテスト用要求信号530はどのような信号でも良く、問い合わせ信号510に内包されるものであっても良い。
応答信号540を受信した給電機器1(IC100)は、上述のpFOD処理を実行する。pFOD処理の実行期間中、電子機器2(IC200)は、fO変更/短絡動作の実行を継続する。具体的には、電子機器2(IC200)は、内蔵タイマを用いて、pFOD処理の実行期間の長さに応じた時間だけfO変更/短絡動作の実行を維持してからfO変更/短絡動作を停止する。
pFOD処理において、給電台12上に異物が無いと判断すると、給電機器1(IC100)は、認証信号550をNFC通信により給電対象機器に送信する。認証信号550は、例えば、これから送電を行うことを給電対象機器に通知する信号を含む。認証信号550を受信した電子機器2(IC200)は、認証信号550に対応する応答信号560を、NFC通信によって給電機器1に送信する。応答信号560は、例えば、認証信号550が示す内容を認識したことを通知する信号又は認証信号550が示す内容に許可を与える信号を含む。応答信号560を受信した給電機器1(IC100)は、送電回路130を共振回路TTに接続して送電動作を実行し、これにより電力伝送570が実現される。
図14(a)の第1ケースでは、上記の流れで電力伝送570が実行されるが、図14(b)の第2ケースの場合においては、応答信号540の送受信まで処理が進行するものの、pFOD処理において給電台12上に異物があると判断されるため、電力伝送570が実行されない。1回分の電力伝送570は所定時間だけ行われるものであっても良く、問い合わせ信号510の送信から電力伝送570までの一連の処理を、繰り返し実行するようにしても良い。実際には、図17に示す如く、NFC通信とpFOD処理と電力伝送(NFC電力伝送)とを順番に且つ繰り返し実行することができる。つまり、非接触給電システムでは、NFC通信を行う動作とpFOD処理を行う動作と電力伝送(NFC電力伝送)を行う動作とを、時分割で順番に且つ繰り返し行うことができる。
[給電機器及び電子機器の動作フローチャート]
次に、給電機器1の動作の流れを説明する。図18は、第1実施形態に係る給電機器1の動作フローチャートである。通信回路120及び送電回路130の動作は、制御回路150(以下、送電側制御回路150と称されることもある)の制御の下で実行される。
給電機器1が起動すると、まずステップS101において、送電側制御回路150は、切り替え回路110の制御を通じて通信回路120を共振回路TTに接続する。続くステップS102において、送電側制御回路150は、通信回路120及び共振回路TTを用いたNFC通信により問い合わせ信号510を給電対象機器に送信し、その後、ステップS103において、応答信号520の受信を待機する。通信回路120にて応答信号520が受信されると、送電側制御回路150は、応答信号520を解析し、給電対象機器がNFC通信を可能であって且つ電力を受け取れる又は電力の送電を求めている場合に送電対象があると判断して(ステップS104のY)ステップS105に進み、そうでない場合(ステップS104のN)、ステップS102に戻る。
ステップS105において、送電側制御回路150は、通信回路120及び共振回路TTを用いたNFC通信によりテスト用要求信号530を給電対象機器に送信し、その後、ステップS106において、応答信号540の受信を待機する。通信回路120にて応答信号540が受信されると、ステップS107において、送電側制御回路150は、切り替え回路110の制御を通じて送電回路130を共振回路TTに接続し、続くステップS108にて上述のpFOD処理を行う。
pFOD処理の後、ステップS109にて、送電側制御回路150は、切り替え回路110の制御を通じて通信回路120を共振回路TTに接続し、ステップS110に進む。ステップS108のpFOD処理にて、異物有判定が成されている場合にはステップS110からステップS102に戻るが、異物無判定が成されている場合にはステップS110からステップS111に進む。
ステップS111において、送電側制御回路150は、通信回路120及び共振回路TTを用いたNFC通信により認証信号550を給電対象機器に送信し、その後、ステップS112において、応答信号560の受信を待機する。通信回路120にて応答信号560が受信されると、ステップS113において、送電側制御回路150は、切り替え回路110の制御を通じて送電回路130を共振回路TTに接続し、ステップS114に進む。
送電側制御回路150は、ステップS114にて送電許可フラグにONを設定すると共に、送電動作及びmFOD処理を開始し、その後、ステップS115に進む。詳細は後述されるが、mFOD処理によって電力伝送中における異物の存否(異物の存在の可能性の有無)が検出され、異物存在の可能性が認められる場合に送電許可フラグがOFFとされる。送電側制御回路150は、送電動作の開始時点からの経過時間を計測し、ステップS115において、その経過時間を所定の時間tA(例えば10分)と比較すると共に送電許可フラグの状態をチェックする。その経過時間が所定の時間tAに達すると、又は、mFOD処理によって送電許可フラグにOFFが設定されると、ステップS116に進む。ステップS116において、送電側制御回路150は、送電許可フラグをONからOFFに切り替える又は送電許可フラグをOFFに維持すると共に、送電動作及びmFOD処理を停止させ、その後ステップS101に戻る。
次に、電子機器2の動作の流れを説明する。図19は、第1実施形態に係る電子機器2の動作フローチャートであり、ステップS201から始まる処理は、図18に示す給電機器1の動作に連動して実行される。通信回路220及び受電回路230の動作は、制御回路250(以下、受電側制御回路250と称されることもある)の制御の下で実行される。
電子機器2が起動すると、まずステップS201において、受電側制御回路250は、切り替え回路210の制御を通じて通信回路220を共振回路RRに接続する。電子機器2の起動時においてfO変更/短絡動作は非実行とされている。続くステップS202において、受電側制御回路250は、通信回路220を用い、問い合わせ信号510の受信を待機する。通信回路220にて問い合わせ信号510が受信されると、ステップS203において、受電側制御回路250は、問い合わせ信号510を解析して応答信号520を生成し、通信回路220を用いたNFC通信により応答信号520を給電機器1に送信する。このとき、受電側制御回路250は、バッテリ21の状態を確認し、バッテリ21が満充電状態でなく且つバッテリ21に異常が認められなければ、電力を受け取れる又は電力の送電を求める信号を応答信号520に含める。一方、バッテリ21が満充電状態であれば又はバッテリ21に異常が認められれば、電力を受け取れない旨の信号を応答信号520に含める。
その後のステップS204においてテスト用要求信号530が通信回路220にて受信されると、ステップS205に進む。ステップS205において、受電側制御回路250は、通信回路220を用いたNFC通信により応答信号540を給電機器1に送信し、続くステップS206にて共振状態変更回路240を用いてfO変更/短絡動作を実行する。即ち、共振周波数fOを基準周波数から周波数fMに変更する又は受電側コイルRLを短絡する。受電側制御回路250は、fO変更/短絡動作の実行を開始してからの経過時間を計測し(ステップS207)、その経過時間が所定時間tMに達するとfO変更/短絡動作を停止する(ステップS208)。即ち、共振周波数fOを基準周波数に戻す又は受電側コイルRLの短絡を解消する。その後、ステップS209に進む。給電機器1にてpFOD処理が実行されている期間(即ちテスト磁界が発生されている期間)中、fO変更/短絡動作の実行が維持され、その期間が終了すると速やかにfO変更/短絡動作が停止されるように時間tMが予め設定されている。テスト用要求信号530の中で時間tMが指定されていても良い。
ステップS209において、受電側制御回路250は、通信回路220を用い、認証信号550の受信を待機する。通信回路220にて認証信号550が受信されると、ステップS210において、受電側制御回路250は、認証信号550に対する応答信号560を通信回路220を用いたNFC通信により給電機器1へ送信する。尚、異物が給電台12上に存在する場合には、認証信号550が給電機器1から送信されないので(図18のステップS110参照)、ステップS209にて認証信号550が一定時間受信されない場合にはステップS201に戻ると良い。
応答信号560の送信後、ステップS211において、受電側制御回路250は、切り替え回路210の制御を通じて受電回路230を共振回路RRに接続し、続くステップS212にて受電回路230を用いた受電動作を開始させる。受電側制御回路250は、受電動作の開始時点からの経過時間を計測し、その経過時間と所定の時間tBとを比較する(ステップS213)。そして、その経過時間が時間tBに達すると(ステップS213のY)、ステップS214にて、受電側制御回路250は、受電動作を停止させてステップS201に戻る。
受電動作の行われる期間が給電機器1にて送電動作が行われている期間と実質的に一致するように、時間tBは、予め定められている又は認証信号550の中で指定されている。受電動作の開始後、受電側制御回路250は、バッテリ21への充電電流を監視し、充電電流値が所定値以下になった時点で送電動作が終了したと判断して、受電動作の停止及びステップS201への移行を行うようにしても良い。
[mFOD処理]
送電動作の開始後に異物が給電台12上に置かれることもある。mFOD処理は、電力伝送中の異物検出処理として機能し、mFOD処理により電力伝送中において異物の存否が継続監視される。
図20は、mFOD処理の動作フローチャートである。送電側制御回路150は、mFOD処理を開始すると、まずステップS50の処理を行う。図18のステップS114(又は後述の図26のステップS114)の送電動作の開始にて給電機器1から電子機器2に対する送電が開始されるが、ステップS50では、当該送電の開始直後における電圧値VDを基準振幅値VmFODREFに代入する。より具体的には、当該送電の開始タイミングから所定時間(例えば5ミリ秒)が経過した時点の電圧値VDを基準振幅値VmFODREFに代入する。基準振幅値VmFODREFはメモリ160に記憶及び保持される。送電動作を行っているときの電圧値VDは、送電用磁界を送電側コイルTLに発生させているときの、送電側コイルTLに流れる電流の振幅に応じた値を持つ。
ステップS50の後、送電動作を行っている期間において、ステップS51~S53の処理が繰り返し実行される。但し、ステップS52からステップS54に移行すると、ステップS54の処理の実行を経て、mFOD処理は終了せしめられる。ステップS51において、送電側制御回路150は、最新の電圧値VDを電流振幅検出値VmFODとして取得する。続くステップS52において、送電側制御回路150は、最新の電流振幅検出値VmFODを基準振幅値VmFODREFと比較し、それらの差の絶対値(|VmFOD-VmFODREF|)に関して下記式(1)が成立するかを判定する。VTHは、所定の正の閾値である。VTHの値を2種類用意しておき、“VmFOD>VmFODREF”であるときと “VmFOD<VmFODREF”であるときとで、VTHの値を互いに異ならせても良い。
|VmFOD-VmFODREF|≧VTH ・・・(1)
そして、式(1)が不成立であれば(ステップS52のN)、ステップS53にて負荷変化無しと判定して、ステップS51に戻りステップS51及びS52の処理を繰り返す一方、式(1)が成立しておれば(ステップS52のY)、ステップS54に移行し、ステップS54にて負荷変化有りと判定して送電許可フラグにOFFを設定する。
ここで、負荷変化とは、上述の“負荷の大きさ”の変化を指す。即ち、負荷変化とは、送電の際における送電側コイルTLにとっての負荷の大きさの変化であり、送電の際における給電装置1から見た電子機器2の負荷としての大きさの変化とも言える。尚、負荷変化無しとは、負荷変化が全く無いことを意味するのではなく、式(1)が成立しない程度に、負荷変化が小さいことを意味する。
送電許可フラグは、送電側制御回路150にて管理されるフラグであってON又はOFFに設定される。送電許可フラグがONのとき送電側制御回路150は送電動作の実行を許可し、送電許可フラグがOFFのとき送電側制御回路150は送電動作の実行を禁止する又は送電動作を停止する。
尚、mFOD処理にて取得及び利用される電圧値VDは、ノイズの影響を低減すべく、実際には、図7のA/D変換器144の出力値に対して移動平均(例えば16回の移動平均)を施して得られる値であると良い。pFOD処理(図12)及び初期設定処理(図13)にて取得及び利用される電圧値VDも同様であって良い。移動平均を用いる代わりに、包絡線検波器142とA/D変換器144との間に高域低減回路(不図示)を挿入するようにしても良い。
また、図7に示す増幅器143の増幅率は可変となっている。送電側コイルTLに流れる電流の振幅は、pFOD処理を行っているときよりも、送電動作及びmFOD処理を行っているときの方が随分と大きい。故に、送電側制御回路150は、mFOD処理を行う際において増幅器143の増幅率をpFOD処理を行う際よりも小さく設定し、これによってA/D変換器144の入力信号範囲をpFOD処理及びmFOD処理間で同程度とする。
図21(a)を参照し、例えば、送電動作が実行されているときに、給電機器1の給電台12と電子機器2との間に非接触ICカードとして形成された異物3が挿入された場合を考える。この場合、電子機器2の受電側コイルRLと異物3のコイルJLが磁気的に結合して、異物3の共振回路JJの共振周波数と共に電子機器2の共振回路RRの共振周波数が基準周波数(13.56MHz)からずれる。そうすると、受電側コイルRLでの受電電力が低下して送電側コイルTLから見た送電の負荷が軽くなり、結果として、送電側コイルTLに流れる電流の振幅が大きくなる(この場合に上記式(1)が成立するように、実験等を介して閾値VTHを定めておけばよい)。
また例えば、図21(b)を参照し、送電動作が実行されているときに、給電機器1の給電台12と電子機器2との間に、鉄板又はフェライトシートとしての異物3bが挿入されると、電気的及び磁気的な作用を通じて異物3b内に電流が流れ、結果として、送電側コイルTLに流れる電流の振幅が小さくなる(この場合に上記式(1)が成立するように、実験等を介して閾値VTHを定めておけばよい)。
このように、送電側制御回路150は、送電動作によって電力の送電が行われているとき、電流振幅検出値VmFODの変化を監視することで送電の継続是非を制御する。これにより、送電動作の開始後に異物が給電台12上に置かれた場合など、送電動作の継続に不適切な状況下で、mFOD処理を通じて送電動作が停止されるため、送電動作の継続による異物の破損等を回避することができる。
<<第2実施形態>>
本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態は第1実施形態を基礎とする実施形態であり、第2実施形態において特に述べない事項に関しては、矛盾の無い限り、第1実施形態の記載が第2実施形態にも適用される。第2実施形態において、第1及び第2実施形態間で矛盾する事項については第2実施形態の記載が優先される。
[電力伝送中における電子機器側の負荷変化処理]
第1実施形態では特に述べなかったが、受電側制御回路250は、電力伝送が行われている期間中の任意のタイミングにおいて、負荷変化をもたらす負荷変化処理を行うことができる。繰り返しになるが、負荷変化とは、上述の“負荷の大きさ”の変化を指す。即ち、負荷変化とは、送電の際における送電側コイルTLにとっての負荷の大きさの変化であり、送電の際における給電装置1から見た電子機器2の負荷としての大きさの変化とも言える。
電力伝送が行われている期間(電力の送電が行われている期間であって、以下、電力伝送期間とも言う)において負荷変化処理が行われると、給電機器1にてmFOD処理により負荷変化有りと判定されて(図20のステップS54)送電動作が停止せしめられ(図18又は後述の図26のステップS116)、給電機器1及び電子機器2間の通信が可能な状態となる(図18又は後述の図26のステップS101~S103、及び、図19又は後述の図27のステップS201~S203等参照)。
従って、受電側制御回路250は、電力伝送期間において、通信により何らかの情報を給電機器1に伝達したいとき、負荷変化処理を行うことができる。
例えば、受電側制御回路250は、電力伝送期間中においてバッテリ21の状態を確認し、バッテリ21が満充電状態となったとき、負荷変化処理を行うことで給電機器1にて送電動作を停止させ、その後、問い合わせ信号510を受信したとき、応答信号520に対し、送電が不要である旨を示す送電不要通知信号又は送電の停止を要求する送電停止要求信号を含めた上で、当該応答信号520を給電機器1に送信することができる。当該応答信号520を受信したとき(ステップS103)、送電側制御回路150は、ステップS105以降の処理を実行しない、といった対応が可能である。
或いは例えば、受電側制御回路250は、電力伝送期間中においてバッテリ21の状態を確認し、バッテリ21が満充電状態に近くなったとき、送電電力の低下を求めるべく負荷変化処理を行うこともできる。この場合、受電側制御回路250は、電力伝送期間中において、負荷変化処理を行うことで給電機器1にて送電動作を停止させ、その後、問い合わせ信号510を受信したとき、応答信号520に対し、送電電力を所望電力にまで下げるよう要求する送電電力指定信号に含めた上で、当該応答信号520を給電機器1に送信することができる。当該応答信号520を受信したとき(ステップS103)、送電側制御回路150は、送電動作にて共振回路TTに供給されるべき送電用交流電圧の大きさを、送電電力指定信号に基づく大きさに設定することが可能である。送電電力指定信号は送電電力を下げることを目的とするものに限定されない。即ち、送電電力指定信号は送電電力を所望電力にすることを要求する信号でも良い。
また、図22に示す如く、電子機器2には、電子機器2内の構成部品に異常が発生しているか否かを検出する異常検出回路265が設けられている。異常検出回路265の検出結果を示す異常検出結果信号は受電側制御回路250に伝達される。電力伝送期間中において、異常検出回路265にて異常の存在が検出された場合にも、受電側制御回路250は、送電の停止を求めること等を目的として、負荷変化処理を実行することができる。
図23を参照し、異常の存否検出の対象に含められる負荷回路について説明する。図23は、電子機器2の一部を示す回路/ブロック図である。電子機器2は、受電側共振回路RRの後段に、整流/平滑回路270及び負荷回路280を備えている。整流/平滑回路270は、切り替え回路210とNFC受電回路230の間に挿入されていると考えても良いし、NFC受電回路230に内包されていると考えても良い。負荷回路280は、NFC受電回路230に内包されていると考えても良いし、NFC受電回路230の後段に配置される(例えば図2の機能回路22に相当する又は機能回路22を含む)と考えても良い。
整流/平滑回路270は、電力伝送において受電側共振回路RRの受電側コイルRLにて受電した交流電力を全波整流し且つ平滑化することで直流電力を生成する。負荷回路280は、整流/平滑回路270にて生成された直流電力に基づき(直流電力を消費して)、任意の電気的動作を行う。整流/平滑回路270にて生成された直流電力に基づきバッテリ21の充電を行う充電回路(不図示)及びバッテリ21も、負荷回路280に含まれると考えて良い。
図23には、整流/平滑回路270の具体的回路例も示されている。図23では、受電側共振回路RRが並列の共振回路である場合の例が示されているが、既に述べたように受電側共振回路RRは直列の共振回路でも良い。図23において、受電側共振回路RRにおける受電側コイルRLの一端及び受電側コンデンサRCの一端は、ラインLN11を介してダイオード271のアノード及びダイオード273のカソードに共通接続され、受電側共振回路RRにおける受電側コイルRLの他端及び受電側コンデンサRCの他端は、ラインLN12を介してダイオード272のアノード及びダイオード274のカソードに共通接続される。ダイオード271及び272のカソードは平滑コンデンサ275の正極に共通接続され、ダイオード273及び274のアノードは平滑コンデンサ275の負極に共通接続される。このため、電力伝送において、送電側コイルTLが発生した交番磁界に基づき受電側コイルRLに交流電流が流れ、その交流電流に基づく電力が整流/平滑回路270における整流回路(271~274)により全波整流されて、電荷として平滑コンデンサ275に蓄積される。平滑コンデンサ275の蓄積電荷による電圧、即ち平滑コンデンサ275の両極間電圧(理想的には直流電圧)が、一対のラインLN21及びLN22を介し、整流/平滑回路270の出力電圧として負荷回路280に供給される。
異常検出回路265は、負荷回路280の異常の有無を検出し(即ち、負荷回路280に異常が生じているか否かを検出し)、その検出結果を示す異常検出結果信号を出力する。尚、以下の説明における異常とは、特に記述無き限り、負荷回路280の異常を指す。
異常検出回路265は、負荷回路280の状態を示す物理量の大きさが所定の通常範囲を逸脱しているとき、負荷回路280に異常が有ると判断して、その旨を示す第1論理値の異常検出結果信号を出力し、そうでないとき、負荷回路280に異常は無いと判断して、その旨を示す第2論理値の異常検出結果信号を出力する。負荷回路280の状態を示す物理量は、例えば、電圧、電流又は温度である。異常の有無判断に利用される電圧、電流、温度を、夫々、対象温度、対象電流、対象温度と呼ぶ。
対象電圧は、負荷回路280における所定の電子部品又はノードに加わる電圧であって良く、負荷回路280の入力電圧及び出力電圧を含む。即ち例えば、対象電圧は、電子機器2内の回路であって且つ負荷回路280以外の回路(例えば回路5200)から負荷回路280へ入力される電圧であっても良いし、電子機器2内の回路であって且つ負荷回路280以外の回路に対して負荷回路280が出力する電圧であっても良い。或いは例えば、対象電圧は、負荷回路280内で生成される電圧(例えば負荷回路280に設けられうるレギュレータの出力電圧)であっても良い。
対象電流は、負荷回路280における所定の電子部品又はノードに流れる電流であって良く、負荷回路280の入力電流及び出力電流を含む。即ち例えば、対象電流は、電子機器2内の回路であって且つ負荷回路280以外の回路(例えば回路5200)から負荷回路280へ入力される電流であっても良いし、電子機器2内の回路であって且つ負荷回路280以外の回路に対して負荷回路280が出力する電流であっても良い。
対象温度は、負荷回路280における所定部分の温度であって良い。例えば、対象温度は、負荷回路280内に設けられうるレギュレータ等を構成するトランジスタの温度(より具体的には当該トランジスタのパッケージ又はヒートシンクの温度)であっても良いし、負荷回路280内に設けられうる集積回路の温度(より具体的には当該集積回路のパッケージ又はヒートシンクの温度)であっても良い。
受電側制御回路250は、負荷変化処理の方法として、即ち、給電装置1から見た電子機器2の負荷としての大きさを変化させる方法として、特開2015-202025号公報(特許文献1)に示された方法を採用可能であり、具体的には例えば、以下の第1~第4負荷変化方法の何れかを用いることができる。
―――第1負荷変化方法―――
第1負荷変化方法では、図24(a)に示すように、一対のラインLN21とLN22との間に抵抗311及びスイッチ312の直列回路を設けておき、負荷変化処理の非実行時には当該スイッチ312をオフにする一方で負荷変化処理の実行時には当該スイッチ312をオンにする。
電力伝送期間において、受電側共振回路RRの受電電力は一対の電力ライン(LN21、LN22)を介して負荷回路280に供給されることになる。スイッチ312がオンとされたとき、スイッチ312がオフであるときと比べ、受電側共振回路RRから見た一対の電力ライン(LN21、LN22)間のインピーダンスが減少する。電力伝送における給電機器1(送電側コイルTL)から見た電子機器2の負荷の大きさは、一対の電力ライン(LN21、LN22)間のインピーダンスが減少すれば増大する。
スイッチ312のオンにより、電力伝送における給電機器1(送電側コイルTL)から見た電子機器2の負荷の大きさが増大すれば、送電側コイルTLに流れる電流の振幅が上記式(1)を満たす程度に減少する。このため、第1負荷変化方法による負荷変化処理を実行することで、給電機器1のmFOD処理にて負荷変化有りと判定される(図20のステップS54)。
―――第2負荷変化方法―――
第2負荷変化方法では、図24(b)に示すように、ラインLN22上の直列にスイッチ321を挿入しておき、負荷変化処理の非実行時には当該スイッチ321をオンにする一方で負荷変化処理の実行時には当該スイッチ321をオフにする。
電力伝送期間において、受電側共振回路RRの受電電力は一対の電力ライン(LN21、LN22)を介して負荷回路280に供給されることになる。スイッチ321がオフとされたとき、スイッチ321がオンであるときと比べ、受電側共振回路RRから見た一対の電力ライン(LN21、LN22)間のインピーダンスが増加する。電力伝送における給電機器1(送電側コイルTL)から見た電子機器2の負荷の大きさは、一対の電力ライン(LN21、LN22)間のインピーダンスが増大すれば減少する。
スイッチ321のオフにより、電力伝送における給電機器1(送電側コイルTL)から見た電子機器2の負荷の大きさが減少すれば、送電側コイルTLに流れる電流の振幅が上記式(1)を満たす程度に増大する。このため、第2負荷変化方法による負荷変化処理を実行することで、給電機器1のmFOD処理にて負荷変化有りと判定される(図20のステップS54)。
―――第3負荷変化方法―――
第3負荷変化方法では、負荷変化処理において、受電側共振回路RRの共振周波数fOを基準周波数から所定周波数fMに変更する共振周波数変更動作を実行する。電力伝送における給電機器1(送電側コイルTL)から見た電子機器2の負荷の大きさは、共振周波数変更動作の実行によって減少する。共振周波数変更動作により、電力伝送における給電機器1(送電側コイルTL)から見た電子機器2の負荷の大きさが減少すれば、送電側コイルTLに流れる電流の振幅が上記式(1)を満たす程度に増大する。このため、第3負荷変化方法による負荷変化処理を実行することで、給電機器1のmFOD処理にて負荷変化有りと判定される(図20のステップS54)。
―――第4負荷変化方法―――
第4負荷変化方法では、負荷変化処理において、受電側共振回路RRの受電側コイルRLを短絡するコイル短絡動作を実行する。電力伝送における給電機器1(送電側コイルTL)から見た電子機器2の負荷の大きさは、コイル短絡動作の実行によって減少する。コイル短絡動作により、電力伝送における給電機器1(送電側コイルTL)から見た電子機器2の負荷の大きさが減少すれば、送電側コイルTLに流れる電流の振幅が上記式(1)を満たす程度に増大する。このため、第4負荷変化方法による負荷変化処理を実行することで、給電機器1のmFOD処理にて負荷変化有りと判定される(図20のステップS54)。
[給電機器側で負荷変化有りと判定される要因とフラグ対応]
上述の如く、電力伝送期間中における電子機器2での負荷変化処理により、給電機器1にて負荷変化有りと判定されて、送電動作の停止を介し、給電機器1及び電子機器2が通信可能な状態となる。このこと自体は有益ではあるが、電子機器2での負荷変化処理の存在を考慮すると、給電機器1側での負荷変化有りとの判断が、電子機器2での負荷変化処理によるものであるのか、異物3の挿入によるものであるのかを、何らかの工夫をしない限り区別できない。
給電機器1側での負荷変化有りとの判断が電子機器2での負荷変化処理によるものである場合には、必要な通信を経た後、一旦停止した送電動作を再開すべきである又は再開可能である。給電機器1側での負荷変化有りとの判断が異物3の挿入によるものである場合には、一旦停止した送電動作を再開すべきではない。これらの要求を満たすべく、第2実施形態に係る非接触給電システムでは、負荷変化フラグを導入する。
図25(a)に示す如く、負荷変化フラグとして、給電機器1のメモリ160には負荷変化フラグFL1が保持され、電子機器2のメモリ260には負荷変化フラグFL2が保持される。また、メモリ160にはmFOD検出フラグFLmも保持される(mFOD検出フラグFLmの機能の詳細は後述)。各フラグにはON又はOFFが設定される。負荷変化フラグFL1において、ONが設定されている状態は当該フラグFL1のセット状態に相当し、OFFが設定されている状態は当該フラグFL1のリセット状態に相当する。負荷変化フラグFL2及びmFOD検出フラグFLmについても同様である。図25(b)に示す如く、給電機器1の起動時において負荷変化フラグFL1及びmFOD検出フラグFLmはOFFに設定されており、電子機器2の機能時において負荷変化フラグFL2はOFFに設定されている。負荷変化フラグFL1及びmFOD検出フラグFLmの夫々の状態(ON又はOFFの状態)は送電側制御回路150によって制御及び設定され、負荷変化フラグFL2の状態(ON又はOFFの状態)は受電側制御回路250によって制御及び設定される。
給電機器1側の負荷変化フラグFL1は、電子機器2側の負荷変化フラグFL2と同じ状態となるように、状態制御される。即ち、受電側制御回路250は、問い合わせ信号510を受信したとき、応答信号520に負荷変化フラグFL2の状態(ON又はOFFの状態)を示す負荷変化フラグ信号を含めて応答信号520を送信し、送電側制御回路150は、応答信号520を受信したとき、負荷変化フラグFL1の状態が負荷変化フラグ信号に示される負荷変化フラグFL2の状態と一致するように負荷変化フラグFL1の状態を更新する(後述の図26のステップS103参照)。
図25(c)に、応答信号520の送受信とフラグFL1及びFL2との関係例を示す。尚、応答信号520は問い合わせ信号510の受信に応答して送信されるものであるが、図25(c)では、図示の簡略化上、問い合わせ信号510の送受信の様子を図示していない。負荷変化フラグFL1及びFL2がOFFとなっている状態を起点として、電力伝送期間中に電子機器2が負荷変化処理を実行すると負荷変化フラグFL2にONが設定され(後述の図27のステップS242参照)、その後、問い合わせ信号510の受信に応答して、受電側制御回路250は、負荷変化フラグFL2がONであることを示す負荷変化フラグ信号を含んだ応答信号520を給電機器1に送信する。この応答信号520を給電機器1にて受信すると、送電側制御回路150は、応答信号520中の負荷変化フラグ信号に基づいて負荷変化フラグFL1をONに更新設定する(後述の図26のステップS103参照)。また、受電側制御回路250は、負荷変化フラグFL2がONであることを示す負荷変化フラグ信号を含んだ応答信号520を送信した後には、負荷変化フラグFL2にOFFを設定する(後述の図27のステップS231及びS232参照)。
その後、負荷変化フラグFL2がOFFであるときに問い合わせ信号510を再度受信すると、受電側制御回路250は、負荷変化フラグFL2がOFFであることを示す負荷変化フラグ信号を含んだ応答信号520を給電機器1に送信する。この応答信号520を給電機器1にて受信すると、送電側制御回路150は、応答信号520中の負荷変化フラグ信号に基づいて負荷変化フラグFL1にOFFを更新設定する(後述の図26のステップS103参照)。
[給電機器及び電子機器の動作フローチャート]
次に、給電機器1の動作の流れを説明する。図26は、第2実施形態に係る給電機器1の動作フローチャートである。通信回路120及び送電回路130の動作は、送電側制御回路150の制御の下で実行される。第2実施形態では、第1実施形態で述べたステップS101~S116の処理に対し、ステップS131~S134、S141及びS142の処理が追加されている。特に述べない限り、ステップS101~S116の処理自体は、第1実施形態で述べたものと同様である。図26に沿って、第2実施形態に係る給電機器1の動作の流れを説明する。尚、第2実施形態では、以下、給電機器1と電子機器2が離間状態(図1(a))にある状況の存在をも考慮する。
給電機器1が起動すると、まずステップS101において、送電側制御回路150は、切り替え回路110の制御を通じて通信回路120を共振回路TTに接続する。続くステップS102において、送電側制御回路150は、通信回路120及び共振回路TTを用いたNFC通信により問い合わせ信号510を給電対象機器に送信し、その後、ステップS103において、応答信号520の受信を待機する。
送電側制御回路150は、問い合わせ信号510を送信してから所定の受信待機時間が経過するまでに通信回路120にて応答信号520が受信されると、応答信号520を解析し、給電対象機器がNFC通信を可能であって且つ電力を受け取れる又は電力の送電を求めている場合に送電対象があると判断して(ステップS104のY)ステップS132に進み、そうでない場合(ステップS104のN)、ステップS131の処理を実行してからステップS102に戻る。ステップS131では、mFOD検出フラグFLmにOFFが設定される。給電機器1と電子機器2が離間状態にある場合など、それら間の通信が不能となっている場合には、応答信号520の受信は望めない。送電側制御回路150は、問い合わせ信号510を送信してから所定の受信待機時間が経過するまでに通信回路120にて応答信号520が受信されなかった場合には、送電対象は無いと判断し、ステップS131にてmFOD検出フラグFLmにOFFを設定してからステップS102に戻る。
また、ステップS103において、応答信号520が受信されたとき、その応答信号520には負荷変化フラグFL2の状態を示す負荷変化フラグ信号が含まれており、送電側制御回路150は、負荷変化フラグFL1の状態が負荷変化フラグ信号に示される負荷変化フラグFL2の状態と一致するように負荷変化フラグFL1の状態を更新する。
ステップS132において、送電側制御回路150は、負荷変化フラグFL1がONであるか否かを確認し、負荷変化フラグFL1がONである場合には(ステップS132のY)ステップS133に移行することなくステップS134にてmFOD検出フラグFLmにOFFを設定してからステップS105に進む。一方、ステップS132において、負荷変化フラグFL1がOFFである場合には(ステップS132のN)ステップS133に進む。ステップS133において、送電側制御回路150は、mFOD検出フラグFLmがONであるか否かを確認し、mFOD検出フラグFLmがONである場合には(ステップS133のY)ステップS101に戻る一方で、mFOD検出フラグFLmがOFFである場合には(ステップS133のN)ステップS105に進む。
ステップS105に移行した後の、ステップS105からステップS115までの処理は、第1実施形態と同様である。即ち、ステップS105において、送電側制御回路150は、通信回路120及び共振回路TTを用いたNFC通信によりテスト用要求信号530を給電対象機器に送信し、その後、ステップS106において、応答信号540の受信を待機する。通信回路120にて応答信号540が受信されると、ステップS107において、送電側制御回路150は、切り替え回路110の制御を通じて送電回路130を共振回路TTに接続し、続くステップS108にて上述のpFOD処理を行う。
pFOD処理の後、ステップS109にて、送電側制御回路150は、切り替え回路110の制御を通じて通信回路120を共振回路TTに接続し、ステップS110に進む。ステップS108のpFOD処理にて、異物有判定が成されている場合にはステップS110からステップS102に戻るが、異物無判定が成されている場合にはステップS110からステップS111に進む。
ステップS111において、送電側制御回路150は、通信回路120及び共振回路TTを用いたNFC通信により認証信号550を給電対象機器に送信し、その後、ステップS112において、応答信号560の受信を待機する。通信回路120にて応答信号560が受信されると、ステップS113において、送電側制御回路150は、切り替え回路110の制御を通じて送電回路130を共振回路TTに接続し、ステップS114に進む。
送電側制御回路150は、ステップS114にて送電許可フラグにONを設定すると共に、送電動作及びmFOD処理を開始し、その後、ステップS115に進む。送電側制御回路150は、送電動作の開始時点からの経過時間を計測し、ステップS115において、その経過時間を所定の時間tA(例えば10分)と比較すると共に送電許可フラグの状態をチェックする。その経過時間が所定の時間tAに達すると、又は、mFOD処理によって送電許可フラグにOFFが設定されると、ステップS141に進む。
ステップS141において、送電側制御回路150は、mFOD処理にて負荷検出有りと判定されたのか否かを確認し、mFOD処理にて負荷検出有りと判定されたことでステップS141に至った場合には(ステップS141のY)ステップS142にてmFOD検出フラグFLmにONを設定してからステップS116に進む一方、そうでない場合には(ステップS141のN)mFOD検出フラグFLmの状態変更を行うことなくステップS116に進む。ステップS116において、送電側制御回路150は、送電許可フラグをONからOFFに切り替える又は送電許可フラグをOFFに維持すると共に、送電動作及びmFOD処理を停止させ、その後ステップS101に戻る。ステップS101に戻った後には、ステップS101から始まる各処理が上述の如く再度実行される。
次に、電子機器2の動作の流れを説明する。図27は、第2実施形態に係る電子機器2の動作フローチャートであり、ステップS201から始まる処理は、図26に示す給電機器1の動作に連動して実行される。通信回路220及び受電回路230の動作は、受電側制御回路250の制御の下で実行される。第2実施形態では、第1実施形態で述べたステップS201~S214の処理に対し、ステップS231、S232、S241及びS242の処理が追加されている。特に述べない限り、ステップS201~S214の処理自体は、第1実施形態で述べたものと同様である。図27に沿って、第2実施形態に係る電子機器2の動作の流れを説明する。
電子機器2が起動すると、まずステップS201において、受電側制御回路250は、切り替え回路210の制御を通じて通信回路220を共振回路RRに接続する。電子機器2の起動時においてfO変更/短絡動作は非実行とされている。続くステップS202において、受電側制御回路250は、通信回路220を用い、問い合わせ信号510の受信を待機する。通信回路220にて問い合わせ信号510が受信されると、ステップS203において、受電側制御回路250は、問い合わせ信号510を解析して応答信号520を生成し、通信回路220を用いたNFC通信により応答信号520を給電機器1に送信する。このとき、受電側制御回路250は、バッテリ21の状態を確認し、バッテリ21が満充電状態でなく且つバッテリ21に異常が認められなければ、電力を受け取れる又は電力の送電を求める信号を応答信号520に含める。一方、バッテリ21が満充電状態であれば又はバッテリ21に異常が認められれば、電力を受け取れない旨の信号を応答信号520に含める。また、負荷変化フラグFL2の状態を示す負荷変化フラグ信号も応答信号520に含められて給電機器1に送信される。
ステップS203にて応答信号520を送信した後、ステップS231に移行する。ステップS231において、受電側制御回路250は負荷変化フラグFL2の状態を確認し、負荷変化フラグFL2がONであれば(ステップS231のY)ステップS232にて負荷変化フラグFL2にOFFを設定してからステップS204に進む一方、負荷変化フラグFL2がOFFであれば(ステップS231のN)直接ステップS204に進む。
ステップS204に移行した後の、ステップS204からステップS212までの処理は、第1実施形態と同様である。即ち、ステップS204において、受電側制御回路250は、テスト用要求信号530の受信を待機し、テスト用要求信号530が通信回路220にて受信されるとステップS205に進む。ステップS205において、受電側制御回路250は、通信回路220を用いたNFC通信により応答信号540を給電機器1に送信し、続くステップS206にて共振状態変更回路240を用いてfO変更/短絡動作を実行する。即ち、共振周波数fOを基準周波数から周波数fMに変更する又は受電側コイルRLを短絡する。受電側制御回路250は、fO変更/短絡動作の実行を開始してからの経過時間を計測し(ステップS207)、その経過時間が所定時間tMに達するとfO変更/短絡動作を停止する(ステップS208)。即ち、共振周波数fOを基準周波数に戻す又は受電側コイルRLの短絡を解消する。その後、ステップS209に進む。給電機器1にてpFOD処理が実行されている期間(即ちテスト磁界が発生されている期間)中、fO変更/短絡動作の実行が維持され、その期間が終了すると速やかにfO変更/短絡動作が停止されるように時間tMが予め設定されている。テスト用要求信号530の中で時間tMが指定されていても良い。尚、図27には示されていないが、ステップS204に移行した後、所定時間以上、テスト要求信号530の受信が無い場合には、ステップS201に戻るものとする。
ステップS209において、受電側制御回路250は、通信回路220を用い、認証信号550の受信を待機する。通信回路220にて認証信号550が受信されると、ステップS210において、受電側制御回路250は、認証信号550に対する応答信号560を通信回路220を用いたNFC通信により給電機器1へ送信する。尚、異物が給電台12上に存在する場合には、認証信号550が給電機器1から送信されないので(図26のステップS110参照)、ステップS209にて認証信号550が一定時間受信されない場合にはステップS201に戻ると良い。
応答信号560の送信後、ステップS211において、受電側制御回路250は、切り替え回路210の制御を通じて受電回路230を共振回路RRに接続し、続くステップS212にて受電回路230を用いた受電動作を開始させる。
ステップS212にて受電動作が開始されると、受電側制御回路250にて受電動作の開始時点からの経過時間の計測が開始され、ステップS241に進む。受電動作の開始後において、受電側制御回路250では、負荷変化処理の実行が必要であるか否かが継続的に監視されており、ステップS241において負荷変化処理を実行すると判断された場合(ステップS241のY)、ステップS242にて負荷変化処理を実行すると共に負荷変化フラグFL2にONを設定し、その後、ステップS214に移行する。ステップS242において、負荷変化処理は、例えば一定時間分だけ実行された後、終了せしめられる。負荷変化処理は、給電機器1側において負荷変化有りと判断されるのに必要な時間(例えば1秒)だけ実行されれば足る。
一方、ステップS241において、負荷変化処理を実行しないと判断された場合には(ステップS241のN)、ステップS213に進む。ステップS213において、受電動作の開始時点からの経過時間と所定の時間tBが比較され、その経過時間が時間tBに達していない場合には(ステップS213のN)ステップS241に戻る一方で、その経過時間が時間tBに達していると(ステップS213のY)ステップS214に進む。
ステップS214にて、受電側制御回路250は、受電動作を停止させてステップS201に戻る。ステップS201に戻った後には、ステップS201から始まる各処理が上述の如く再度実行される。
[通常ケースの流れ]
図28を参照し、通常ケースにおける給電機器1及び電子機器2の動作の流れを説明する。図28において、左側、右側に、夫々、通常ケースにおける給電機器1、電子機器2の動作の流れを矢印付き太実線にて示している。通常ケースとは、電子機器2が基準配置状態(図1(b))にて給電台12上に継続的に配置されていて、且つ、異物3の存在が無く、且つ、電子機器2にて一切の負荷変化処理が行われないケースである。通常ケースにおいて機器1及び2間のNFC通信は可能となっている。
通常ケースでは、図28に示す如く(図26及び図27も参照)、給電機器1においてステップS101から始まって、S104のY、S132のN、S133のN、S110のY及、S115のY及びS141のNを経てS116に至り、その後、ステップS101に戻ってステップS101の処理が繰り返され、これに連動して、電子器機器2においてステップS201から始まって、S231のN、S241のN及びS213のYを経てS214に至り、その後、ステップS201に戻ってステップS201の処理が繰り返される。
[ケースAの流れ]
図29(a)及び図30を参照し、ケースAにおける給電機器1及び電子機器2の動作の流れを説明する。図29(a)は、ケースAにおける給電機器1、電子機器2及び異物3の状態遷移を示している。ケースAでは電子機器2にて負荷変化処理が行われないものとする。
図29(a)に示す如く、ケースAでは、まず、通常ケースと同様の状態A1となる。状態A1では、電子機器2が基準配置状態(図1(b))にて給電台12上に配置されていて、且つ、異物3の存在が無く、且つ、電子機器2にて負荷変化処理が行われていない。但し、ケースAでは、状態A1の後、金属板又はICカードのような異物3が給電機器1の給電台12と電子機器2との間の隙間に挿入され、状態A2に至る。状態A2では、送電側コイルTLと受電側コイルRLとの間の空間を異物3が完全に遮っており、機器1及び2間のNFC通信が不可となっている。状態A2の後、異物3が給電台12から完全に除去されると状態A3に至る。状態A3は状態A1と同じである。尚、給電台12と電子機器2との間の隙間は、例えば、給電台12又は電子機器2の筐体に設けられた突起物により形成されるが、図29(a)では、図示の煩雑化防止のため、突起物の図示は省略されており、異物3が無い場合には給電機器1と電子機器2とが接しているように図示している(後述の図29(b)、図29(c)及び図29(d)についても同様)。
図30において、左側、右側に、夫々、ケースAにおける給電機器1、電子機器2の動作の流れを矢印付き太実線にて示している。ケースAにおいて、電力伝送期間に状態A1から状態A2に遷移すると、給電機器1にて負荷変化有りと検出されてmFOD検出フラグFLmがONとなり、送電停止を経てステップS101に戻るが、機器1及び2間のNFC通信が不能であるのでS102、S103、S104及びS131から成るループ処理が繰り返される。その後、異物3が除去されて状態A2から状態A3に遷移すると、機器1及び2間のNFC通信が可能となるので、送電動作及び受電動作による電力伝送が再開される。
[ケースBの流れ]
図29(b)及び図31を参照し、ケースBにおける給電機器1及び電子機器2の動作の流れを説明する。図29(b)は、ケースBにおける給電機器1及び電子機器2の状態遷移を示している。ケースBでは電子機器2にて負荷変化処理が行われないものとする。また、ケースBにおいて異物3は存在しない。
図29(b)に示す如く、ケースBでは、まず、通常ケースと同様の状態B1となる。状態B1では、電子機器2が基準配置状態(図1(b))にて給電台12上に配置されていて、且つ、異物3の存在が無く、且つ、電子機器2にて負荷変化処理が行われていない。但し、ケースBでは、状態B1の後、電子機器2が離間状態となるように給電台12上から取り払われる。状態B1の後、電子機器2が離間状態となっている状態が状態B2である。状態B2では、機器1及び2間のNFC通信が不可となっている。状態B2の後、電子機器2が再び給電台12上に置かれることで状態B3となる。状態B3は状態B1と同じである。
図31において、左側、右側に、夫々、ケースBにおける給電機器1、電子機器2の動作の流れを矢印付き太実線にて示している。ケースBにおいて、電力伝送期間に状態B1から状態B2に遷移すると、給電機器1にて負荷変化有りと検出されてmFOD検出フラグFLmがONとなり、送電停止を経てステップS101に戻るが、機器1及び2間のNFC通信が不可であるのでS102、S103、S104及びS131から成るループ処理が繰り返される。その後、電子機器2が再び給電台12上に置かれることで状態B2から状態B3に遷移すると、機器1及び2間のNFC通信が可能となるので、送電動作及び受電動作による電力伝送が再開される。
[ケースCの流れ]
図29(c)及び図32を参照し、ケースCにおける給電機器1及び電子機器2の動作の流れを説明する。図29(c)は、ケースCにおける給電機器1、電子機器2及び異物3の状態遷移を示している。ケースCでは電子機器2にて負荷変化処理が行われないものとする。
図29(c)に示す如く、ケースCでは、まず、通常ケースと同様の状態C1となる。状態C1では、電子機器2が基準配置状態(図1(b))にて給電台12上に配置されていて、且つ、異物3の存在が無く、且つ、電子機器2にて負荷変化処理が行われていない。但し、ケースCでは、状態C1の後、金属板又はICカードのような異物3が給電機器1の給電台12と電子機器2との間の隙間に挿入され、状態C2に至る。状態C2では、送電側コイルTLと受電側コイルRLとの間の空間を異物3が半分程度だけ遮っており、結果、mFOD処理にて負荷変化有りとの判断はなされるものの機器1及び2間のNFC通信は可能となっている。或いは、給電台12上に電子機器2及び異物3が並列配置される状態が状態C2であっても良い。状態C2の後、異物3が給電台12から完全に除去されると状態C3に至る。ケースCでは、状態C3の後、電子機器2が離間状態となるように給電台12上から取り払われる。状態C3の後、電子機器2が離間状態となっている状態が状態C4である。状態C4では、機器1及び2間のNFC通信が不可となっている。状態C4の後、電子機器2が再び給電台12上に置かれることで状態C5となる。状態C3及び状態C5は状態C1と同じである。
図32において、左側、右側に、夫々、ケースCにおける給電機器1、電子機器2の動作の流れを矢印付き太実線にて示している。ケースCにおいて、電力伝送期間に状態C1から状態C2に遷移すると、給電機器1にて負荷変化有りと検出されてmFOD検出フラグFLmがONとなり、送電停止を経てステップS101に戻る。このとき、機器1及び2間のNFC通信は可能となっていて、且つ、mFOD検出フラグFLmがONであり、且つ、電子機器2からの応答信号520に含まれる負荷変化フラグ信号は負荷変化フラグFL2がOFFであることを示しているので負荷変化フラグFL1はOFFとなっている。このため、ステップS101、S102、S103、S104、S132及びS133から成るループ処理が繰り返される。その後、異物3が除去されて状態C2から状態C3に遷移するが、状態C3においてもmFOD検出フラグFLmがONに維持されているので上記ループ処理が繰り返される。
状態C3の後、電子機器2が給電台12から取り払われて機器1及び2間のNFC通信が不可となる状態C4に至ると、ステップS104にて送電対象が無いと判断されるのでmFOD検出フラグFLmがOFFとなる(ステップS131)。その後、電子機器2が再び給電台12上に置かれることで状態C4から状態C5に遷移すると、mFOD検出フラグFLmがOFFである状態で機器1及び2間のNFC通信が可能となるので、送電動作及び受電動作による電力伝送が再開される。
状態C2は異常な使用状態であると言え、このような異常状態に陥ってしまった後は、異物3が中途半端に給電台12上に残っている状態で送電が再開されたりすることがないように、フェイルセーフの観点から、一度、給電台12上に何も残っていない初期状態に戻されることを待ってから、送電の再開を許容するようにしている。
[ケースDの流れ]
図29(d)及び図33を参照し、ケースDにおける給電機器1及び電子機器2の動作の流れを説明する。図29(d)は、ケースDにおける給電機器1及び電子機器2の状態遷移を示している。ケースDにおいて異物3は存在しない。
図29(d)に示す如く、ケースDでは、まず、通常ケースと同様の状態D1となる。状態D1では、電子機器2が基準配置状態(図1(b))にて給電台12上に配置されていて、且つ、異物3の存在が無く、且つ、電子機器2にて負荷変化処理が行われていない。但し、ケースDでは、状態D1の後、電力伝送期間中において負荷変化処理が行なわれる状態D2となる。負荷変化処理の終了後は状態D3となる。状態D3は状態D1と同じである。
図33において、左側、右側に、夫々、ケースDにおける給電機器1、電子機器2の動作の流れを矢印付き太実線にて示している。ケースDにおいて、電力伝送期間に電子機器2にて負荷変化処理が行われると(即ち状態D1から状態D2に至ると)、電子機器2では負荷変化フラグFL2がONに設定されてからステップS201に戻る一方で、給電機器1では負荷変化有りと検出されてmFOD検出フラグFLmがONとなり、送電停止を経てステップS101に戻る。
この後、ステップS101での問い合わせ信号510に応答して電子機器2から送信される応答信号520には、負荷変化フラグFL2がONであることを示す負荷変化フラグ信号が含まれているため、当該応答信号520に基づき給電機器1では負荷変化フラグFL1もONに更新設定され(ステップS103)、結果、ステップS132のY及びS134を経てステップS105に至る。電子機器2側では、応答信号520の送信後、ステップS232を経てステップS204に至る。このため、送電動作及び受電動作による電力伝送を再開することが可能である
但し、ケースDでは、状態D3に至った後、電力伝送を再開するか否か等について、以下のようにすると良い。
即ち例えば、受電側制御回路250は、電力伝送期間中においてバッテリ21の状態を確認し、バッテリ21が満充電状態となったとき、負荷変化処理を行うことで給電機器1にて送電動作を停止させ、その後、問い合わせ信号510を受信したとき、送電が不要である旨を示す送電不要通知信号又は送電の停止を要求する送電停止要求信号を含んだ応答信号520を給電機器1に送信することができる。送電側制御回路150は、送電不要通知信号又は送電停止要求信号を含む応答信号520を受信した場合には、ステップS105以降の処理を実行しない、即ち、送電動作を再開しないようにする良い。
また例えば、受電側制御回路250は、電力伝送期間中においてバッテリ21の状態を確認し、バッテリ21が満充電状態に近くなったとき、送電電力の低下を求めるべく負荷変化処理を行うこともできる。この場合、受電側制御回路250は、電力伝送期間中において、負荷変化処理を行うことで給電機器1にて送電動作を停止させ、その後、問い合わせ信号510を受信したとき、送電電力を所望電力にまで下げるよう要求する送電電力指定信号を含む応答信号520を給電機器1に送信することができる。送電側制御回路150は、送電電力指定信号を含んだ応答信号520を受信した場合には、ステップS105以降の処理を実行することで送電動作を再開するが、この際、送電動作にて共振回路TTに供給されるべき送電用交流電圧の大きさを、送電電力指定信号に基づく大きさに設定した上で送電動作を再開すると良い。尚、既に述べた事項であるが、送電電力指定信号は送電電力を下げることを目的とするものに限定されない。即ち、送電電力指定信号は送電電力を所望電力にすることを要求する信号でも良い。
また、電力伝送期間中において異常検出回路265により電子機器2の構成部品(負荷回路280を含む)に異常があると検出された場合にも、受電側制御回路250は、負荷変化処理を行うことで給電機器1にて送電動作を停止させることができる。そして、その後、問い合わせ信号510を受信したとき、送電が不要である旨を示す送電不要通知信号、送電の停止を要求する送電停止要求信号又は電子機器2(例えば負荷回路280)にて所定の異常が生じている旨を示す異常発生通知信号を含んだ応答信号520を給電機器1に送信することができる。送電側制御回路150は、送電不要通知信号、送電停止要求信号又は異常発生通知信号を含む応答信号520を受信した場合には、ステップS105以降の処理を実行しない、即ち、送電動作を再開しないようにすると良い。
この他、電力伝送期間中において、受電側制御回路250は、任意の伝達対象情報を給電機器1に伝達すべく負荷変化処理を行うことができ、負荷変化処理後に送信される応答信号520に当該伝達対象情報を含めることができる。当該伝達対象情報を含んだ応答信号520を受信したとき、送電側制御回路150は、当該伝達対象情報の内容を考慮して、送電動作の再開是非を決定すると共に、送電動作を再開する場合には送電用交流電圧の大きさを適切に設定することが可能である。
[ケースA~Dの区別]
図34に、ケースA~Dの区別の方法の概要を示す。mFOD処理にて負荷変化有りと判定されてmFOD検出フラグFLmがONとされる要因としては、異物3の挿入と、給電台12からの電子機器2の離間と、電子機器2による負荷変化処理と、がある。
異物3の挿入で機器1及び2間のNFC通信が不可となった場合には、単に、異物3を除去することで、NFC通信が可能となって送電も再開可能である(ケースA)。給電台12から電子機器2が離間するとNFC通信が不可となるが、この場合にも、単に、給電台12上に電子機器2を再配置することで、NFC通信が可能となって送電も再開可能である(ケースB)。
異物3の挿入の具合によっては機器1及び2間のNFC通信が可能なままになることがあり、また、電子機器2の負荷変化処理により負荷変化有りと判定される場合にも機器1及び2間のNFC通信が可能なままである。これらの切り分けには負荷変化フラグが利用される。即ち、送電側制御回路150は、負荷変化有りと判定した後、負荷変化フラグ(FL1、FL2)がOFFであることが分かれば、負荷変化有りとの判定の要因は異物3の挿入によるものであると判断して送電の再開を制限する一方(ケースC)、負荷変化フラグ(FL1、FL2)がONであることが分かれば、負荷変化有りとの判定の要因は電子機器2の負荷変化処理によるものと判断して送電の再開を許容する(ケースD)。但し、上述したように、負荷変化有りとの判定の要因が電子機器2の負荷変化処理によるものであっても、送電不要通知信号等を受信している場合には送電を再開しないと良い。
このように、送電側制御回路150は、送電動作の実行中において、負荷検出回路140から取得される電流振幅検出値VmFODの変化に基づき、負荷変化有りと判定した場合には(図20のステップS54)、送電動作を停止させる送電停止処理を実行可能である(図26のステップS141、S142、S116;送電停止処理自体はステップS116にて実現される)。そして、受電側制御回路250は、電力伝送期間中に電子機器2側にて負荷変化処理を実行したとき、負荷変化フラグFL2をONに設定することを通じて負荷変化処理を実行したことを示す負荷変化信号(即ち負荷変化フラグFL2がONであることを示す負荷変化フラグ信号)を給電機器1に送信する(図29(d)及び図33参照:ケースDの状態D2の後の応答信号520の送信により実現)。送電側制御回路150は、送電停止処理を実行した後には、この負荷変化信号を受信したか否かに基づいて(ステップS132の分岐により)、送電動作の再開是非を制御できる。
送電側制御回路150は、負荷変化有りの要因(電力伝送期間中における電流振幅検出値VmFODの変化の要因)が、異物3の影響によるものであるのか、電子機器2の負荷変化処理によるものであるのかを、負荷変化信号を受信したか否かに基づいて明確に区別することが可能となり、区別の結果に応じ、送電を再開すべきか否かを適切に制御できる。
具体的には例えば、送電側制御回路150は、mFOD検出フラグFLmをONに設定することを伴って送電停止処理を実行した後(ステップS141、S142、S116)、負荷変化信号を受信した場合には送電の再開を許容する一方で(S132のY、S134を経てS105へ)、負荷変化信号を受信していない場合には送電の再開を制限(禁止)する(S132のN、S133のYを経てステップS101)。但し、送電停止処理を実行した後、負荷変化信号を受信した場合においても、電子機器2から所定の信号を受信した場合には送電の再開を制限すると良い。ここにおける所定の信号は、例えば、送電不要通知信号、送電停止要求信号及び異常発生通知信号の内の少なくとも1つを含む。
また、送電側制御回路150は、電流振幅検出値VmFODの変化に基づき負荷変化有りと判定することで送電停止処理を実行する際、mFOD検出フラグFLmをONにして(セット状態にして)保持し(ステップS142)、当該フラグFLmがONであるときには送電の再開を制限(禁止)するようにしている。負荷変化有りと判定されたとき、異物3が給電台12上に存在している可能性があるが、当該判定に応答してフラグFLmをONとし、その状態を保持し続けることで、異物3が存在しているのに送電が再開されるといった事態の発生が抑制される。
但し、mFOD検出フラグFLmをONに設定することを伴って送電停止処理を実行した後、機器1及び2間のNFC通信が可能であって且つ上記負荷変化信号を受信した場合には(ステップS104のY、S132のY)、送電側制御回路150は、負荷変化有りとの判定は電子機器2の負荷変化処理によるものであると判断して、フラグFLmをOFFにしつつ送電の再開を許容する(ステップS134、S105以降)。
一方、mFOD検出フラグFLmをONに設定することを伴って送電停止処理を実行した後、機器1及び2間のNFC通信が可能であって且つ上記負荷変化信号を受信していない場合には(ステップS104のY、S132のN)、送電側制御回路150は、負荷変化有りとの判定は異物3の影響によるものであると判断し、フラグFLmをONに維持しつつ送電の再開を制限する(S133のYを経てステップS101へ戻す)。但し、その後、機器1及び2間のNFC通信が不可であることが確認されることを条件としてフラグFLmをOFF(リセット状態)とする(S104のNを経てS131)。更にその後において、機器1及び2間のNFC通信が可能であることが確認されると(ステップS104のY)、フラグFLmはOFFであるので送電の再開を許容する(ステップS133のNを経てステップS105へ)。
尚、上述の第1及び第2実施形態では、1つの送電側共振回路TTを、時分割を利用しつつ通信回路120と送電回路130とで共用しているが、特許文献1に示した方法を利用して給電機器1に2つの送電側共振回路TTを設けておき、一方の送電側共振回路TTを通信回路120に対する専用共振回路として且つ他方の送電側共振回路TTを送電回路130に対する専用共振回路として用いるようにしても良い。同様に、上述の第1及び第2実施形態では、1つの受電側共振回路RRを、時分割を利用しつつ通信回路220と受電回路230とで共用しているが、特許文献1に示した方法を利用して給電機器1に2つの受電側共振回路RRを設けておき、一方の受電側共振回路RRを通信回路220に対する専用共振回路として且つ他方の受電側共振回路RRを受電回路230に対する専用共振回路として用いるようにしても良い。この際、特許文献1に示したように、給電機器1に設けられる送電側共振回路TTの個数と、電子機器2に設けられる受電側共振回路TTの個数は、共に2でもいいし、前者の個数が1であって且つ後者の個数が2であっても良いし、その逆でも良い。
また、送電回路130に接続可能な送電側共振回路TTの個数は2以上であっても良い。
<<本発明の考察>>
上述の実施形態にて具体化された本発明について考察する。
本発明の一側面に係る非接触給電システムW1は、電力を送電するための送電側コイル(TL)を含む送電側共振回路(TT)を有する送電装置と、前記電力を受電するための受電側コイル(RL)を含む受電側共振回路(RR)を有する受電装置と、を備え、磁界共鳴方式で前記電力の送受電が可能であるとともに、前記送電装置及び前記受電装置間の通信が可能に形成された非接触給電システムにおいて、前記送電装置は、前記送電側共振回路に交流電圧を供給可能な送電回路(130)と、前記送電側コイルに流れる電流の振幅を検出する検出回路(140)と、前記送電回路を制御することで前記電力の送電制御を行う制御回路(150)と、を備え、前記制御回路は、前記電力の送電が行われているとき、前記検出回路の振幅検出値(VmFOD)の変化に基づいて前記送電を停止させる送電停止処理(S116)を実行可能であり、前記受電装置は、前記電力の送電が行われているとき、前記振幅を変化させるべく前記送電装置から見た前記受電装置の負荷の大きさを変化させる負荷変化処理を実行可能であって、前記負荷変化処理を実行したとき、前記負荷変化処理を実行したことを示す負荷変化信号(負荷変化フラグFL2がONであることを示す負荷変化フラグ信号)を通信により前記送電装置に送信し、前記制御回路は、前記送電停止処理を実行した後、前記負荷変化信号を受信したか否かに基づいて、前記電力の送電の再開是非を制御することを特徴とする。
これにより、送電装置の制御回路は、振幅の変化の要因が、異物の影響によるものであるのか、受電装置の負荷変化処理によるものであるのかを、負荷変化信号を受信したか否かに基づいて明確に区別することが可能となり、区別の結果に応じ、送電を再開すべきか否かを適切に制御できる。つまり、様々な状況に適切に対応しつつ異物の破損等を防止することが可能となる。
また、本発明の一側面に係る送電装置W2は、受電装置に対し磁界共鳴方式で電力の送電が可能であるとともに、前記受電装置との間で通信が可能に形成された送電装置において、前記電力を送電するための送電側コイル(TL)を含む送電側共振回路(TT)と、前記送電側共振回路に交流電圧を供給可能な送電回路(130)と、前記送電側コイルに流れる電流の振幅を検出する検出回路(140)と、前記送電回路を制御することで前記電力の送電制御を行う制御回路(150)と、を備え、前記制御回路は、前記電力の送電が行われているとき、前記検出回路の振幅検出値(VmFOD)の変化に基づいて前記送電を停止させる送電停止処理(S116)を実行可能であって、前記振幅の変化をもたらす処理であって前記送電装置から見た前記受電装置の負荷の大きさを変化させる負荷変化処理が前記受電装置にて実行されたことを示す負荷変化信号(負荷変化フラグFL2がONであることを示す負荷変化フラグ信号)を前記受信装置から受信したか否かに基づいて、前記送電停止処理を実行した後における前記電力の送電の再開是非を制御することを特徴とする。
具体的には例えば、非接触給電システムW1又は送電装置W2において、前記制御回路は、前記送電停止処理を実行した後(ステップS141、S142、S116)、前記負荷変化信号を受信した場合には前記送電の再開を許容する一方(S132のY、S134を経てS105へ)、前記負荷変化信号を受信していない場合には前記送電の再開を制限する(S132のN、S133のYを経てステップS101)と良い。
これにより、存在し得る異物が送電の再開により破損等されることを回避することができる。
但し例えば、非接触給電システムW1又は送電装置W2において、前記制御回路は、前記送電停止処理を実行した後、前記負荷変化信号を受信した場合においても、通信を介して前記受電装置から所定の信号を受信した場合には、前記送電の再開を制限すると良い。
受電装置が所定の信号にて送電の停止等を求めている場合には、送電の再開を行わないことが適切である。
また具体的には例えば、非接触給電システムW1又は送電装置W2において、前記電力の送電が行われているとき、前記受電装置と異なる異物(前記受電装置と異なり且つ前記送電側コイルの発生磁界に基づく電流を発生させられる異物)の影響で前記振幅が変化する場合と、前記受電装置が前記負荷変化処理を実行したことで前記振幅が変化する場合とがあり、前記制御回路は、前記負荷変化信号を受信したか否かに基づいて、前者の場合と後者の場合とを区別すると良い。
また具体的には例えば、非接触給電システムW1又は送電装置W2において、前記制御回路は、前記電力の送電開始から所定時間経過後の前記振幅検出値を基準値として保持し、その後、前記電力の送電中に得られる前記振幅検出値を前記基準値と比較することで、前記送電停止処理の実行/非実行を制御すると良い。
これにより、送電が行われている状態で、異物が送電領域へ進入したとき又は受電装置にて負荷変化処理が実行されたとき、送電を停止させることが可能となる。
より具体的には例えば、非接触給電システムW1又は送電装置W2において、前記制御回路は、前記電力の送電中に得られる前記振幅検出値と前記基準値との差が所定の閾値以上であるとき、前記送電停止処理を実行すると良い。
また具体的には例えば、非接触給電システムW1又は送電装置W2に関し、前記受電装置において、前記受電側共振回路の受電電力は一対の電力ラインを介して後段回路(負荷回路280を含む)に供給され、前記受電装置は、前記負荷変化処理において、前記受電側共振回路から見た前記一対の電力ライン間のインピーダンスを減少又は増加させることで、前記送電装置から見た前記受電装置の負荷の大きさの変化を実現すると良い(第1及び第2負荷変化方法参照)。
或いは例えば、非接触給電システムW1又は送電装置W2に関し、前記受電装置は、前記負荷変化処理において、前記受電側共振回路の共振周波数を受電の際の前記共振周波数である基準周波数から変更することで、又は、前記受電側共振回路を形成する受電側コイルを短絡することで、前記送電装置から見た前記受電装置の負荷の大きさの変化を実現しても良い(第3及び第4負荷変化方法参照)。
また例えば、非接触給電システムW1又は送電装置W2において、前記制御回路は、前記検出回路の振幅検出値の変化に基づいて前記送電停止処理を実行する際、所定のフラグ(mFOD検出フラグ)をセット状態(ON)にして保持し、前記フラグがセット状態にあるとき、前記送電の再開を制限すると良い。
送電停止処理が実行される際、異物が送電領域に存在している可能性があるが、このとき、フラグをセット状態として保持しておき、フラグがセット状態にあるときには送電の再開を制限することで、異物が存在しているのに送電が再開されるといった事態の発生が抑制される。
より具体的には例えば、非接触給電システムW1又は送電装置W2において、前記制御回路は、前記送電停止処理を実行した後、前記受電装置との通信が可能であって且つ前記負荷変化信号を受信した場合には(ステップS104のY、S132のY)前記フラグをリセット状態(OFF)にして前記送電の再開を許容する一方(ケースDの状態D3に対応)、前記受電装置との通信が可能であって且つ前記負荷変化信号を受信していない場合には(ステップS104のY、S132のN)前記フラグのセット状態を保持して前記送電の再開を制限すると良い(ケースCの状態C2及びC3に対応)。
更に具体的には例えば、非接触給電システムW1又は送電装置W2において、前記制御回路は、前記送電停止処理を実行した後、前記受電装置との通信が可能であって且つ前記負荷変化信号を受信していない場合には前記フラグのセット状態を保持して前記送電の再開を制限し、その後、前記受電装置との通信が不能になると前記フラグのリセット状態にし(S104のNを経てS131;ケースCの状態C4に対応)、更にその後、前記受電装置との通信が可能になると前記送電の再開を許容すると良い(ステップS133のNを経てステップS105へ;ケースCの状態C5に対応)。
また具体的には例えば、非接触給電システムW1又は送電装置W2において、前記制御回路は、前記検出回路の振幅検出値の変化に基づいて前記送電停止処理を実行する際、所定のフラグをセット状態にして保持し、その後、前記受電装置との通信が不能であると前記フラグのリセット状態にし、更にその後、前記受電装置との通信が可能になると前記送電の再開を許容すると良い(ケースA及びBに対応)。
尚、上述の各実施形態における給電機器1そのものが本発明に係る送電装置として機能しても良いし、上述の各実施形態における給電機器1の一部が本発明に係る送電装置として機能しても良い。同様に、上述の各実施形態における電子機器2そのものが本発明に係る受電装置として機能しても良いし、上述の各実施形態における電子機器2の一部が本発明に係る受電装置として機能しても良い。
<<変形等>>
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。上述の実施形態に適用可能な注釈事項として、以下に、注釈1~注釈3を記す。各注釈に記載した内容は、矛盾なき限り、任意に組み合わせることが可能である。
[注釈1]
上述の実施形態では、各種の信号の周波数や共振周波数を、基準周波数としての13.56MHzに設定することを述べたが、13.56MHzは設定の目標値であって、実際の機器における、それらの周波数には誤差が含まれる。
[注釈2]
本発明をNFCの規格に沿って具現化したものを実施形態中に示したため、基準周波数が13.56MHzであると述べたが、基準周波数は13.56MHz以外でも構わない。これに関連するが、本発明が適用される給電機器及び電子機器間の通信及び電力伝送は、NFC以外の規格に沿った通信及び電力伝送であっても良い。
本発明に係る非接触給電システムの基準周波数が13.56MHz以外の周波数(例えば、6.78MHz)に設定されていて且つ非接触ICカードとして形成された異物3における共振回路JJの共振周波数が13.56MHzである場合にも、異物3が給電台12に置かれた際には、pFOD処理又はmFOD処理にて電圧値VDに相応量の変化がみられるため、そのような場合にも、上述の方法により異物3の検出が可能又は負荷変化有りとの判定が可能である。
[注釈3]
本発明に係る受電装置又は送電装置である対象装置を、集積回路等のハードウェア、或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって構成することができる。対象装置にて実現される機能の全部又は一部である任意の特定の機能をプログラムとして記述して、該プログラムを対象装置に搭載可能なフラッシュメモリに保存しておいても良い。そして、該プログラムをプログラム実行装置(例えば、対象装置に搭載可能なマイクロコンピュータ)上で実行することによって、その特定の機能を実現するようにしてもよい。上記プログラムは任意の記録媒体に記憶及び固定されうる。上記プログラムを記憶及び固定する記録媒体は対象装置と異なる機器(サーバ機器等)に搭載又は接続されても良い。