以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量、状態量又は部材等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量、状態量又は部材等の名称を省略又は略記することがある。また、後述の任意のフローチャートにおいて、任意の複数のステップにおける複数の処理は、処理内容に矛盾が生じない範囲で、任意に実行順序を変更できる又は並列に実行できる。
<<第1実施形態>>
本発明の第1実施形態を説明する。図1(a)及び(b)は、第1実施形態に係る給電機器1及び電子機器2の概略外観図である。但し、図1(a)は、給電機器1及び電子機器2が離間状態にあるときのそれらの外観図であり、図1(b)は、給電機器1及び電子機器2が基準配置状態にあるときのそれらの外観図である。離間状態及び基準配置状態の意義については後に詳説する。給電機器1及び電子機器2によって非接触給電システムが形成される。給電機器1は、商用交流電力を受けるための電源プラグ11と、樹脂材料にて形成された給電台12と、を備える。
図2に、給電機器1と電子機器2の概略内部構成図を示す。給電機器1は、電源プラグ11を介して入力された商用交流電圧から所定の電圧値を有する直流電圧を生成して出力するAC/DC変換部13と、AC/DC変換部13の出力電圧を用いて駆動する集積回路である送電側IC100(以下、IC100とも言う)と、IC100に接続された送電側共振回路TT(以下、共振回路TTとも言う)と、を備える。AC/DC変換部13、送電側IC100及び共振回路TTを、給電台12内に配置しておくことができる。AC/DC変換部13の出力電圧を用いて駆動する回路が、IC100以外にも、給電機器1に設けられうる。
電子機器2は、集積回路である受電側IC200(以下、IC200とも言う)と、IC200に接続された受電側共振回路RR(以下、共振回路RRとも言う)と、二次電池であるバッテリ21と、バッテリ21の出力電圧に基づき駆動する機能回路22と、を備える。詳細は後述するが、IC200はバッテリ21に対して充電電力を供給することができる。IC200は、バッテリ21の出力電圧にて駆動しても良いし、バッテリ21以外の電圧源からの電圧に基づき駆動しても良い。或いは、給電機器1から受信したNFC通信(詳細は後述)のための信号を整流することで得た直流電圧が、IC200の駆動電圧となっても良い。この場合、バッテリ21の残容量が無くなってもIC200は駆動可能となる。
電子機器2は、任意の電子機器であって良く、例えば、携帯電話機(スマートホンに分類される携帯電話機を含む)、携帯情報端末、タブレット型パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、MP3プレイヤー、歩数計、又は、Bluetooth(登録商標)ヘッドセットである。機能回路22は、電子機器2が実現すべき任意の機能を実現する。従って例えば、電子機器2がスマートホンであれば、機能回路22は、相手側機器との間の通話を実現するための通話処理部、及び、ネットワーク網を介して他機器と情報を送受信するための通信処理部などを含む。或いは例えば、電子機器2がデジタルカメラであれば、機能回路22は、撮像素子を駆動する駆動回路、撮像素子の出力信号から画像データを生成する画像処理回路などを含む。機能回路22は、電子機器2の外部装置に設けられる回路であると考えても良い。
図3に示す如く、共振回路TTは、送電側コイルであるコイルTLと送電側コンデンサであるコンデンサTCとを有し、共振回路RRは、受電側コイルであるコイルRLと受電側コンデンサであるコンデンサRCとを有する。以下では、説明の具体化のため、特に記述無き限り、送電側コイルTL及び送電側コンデンサTCが互いに並列接続されることで共振回路TTが並列共振回路として形成され、且つ、受電側コイルRL及び受電側コンデンサRCが互いに並列接続されることで共振回路RRが並列共振回路として形成されているものとする。但し、送電側コイルTL及び送電側コンデンサTCが互いに直列接続されることで共振回路TTが直列共振回路として形成されていても良いし、受電側コイルRL及び受電側コンデンサRCが互いに直列接続されることで共振回路RRが直列共振回路として形成されていても良い。
図1(b)に示す如く、電子機器2を給電台12上の所定範囲内に載置したとき、磁界共鳴方式にて(即ち、磁界共鳴を利用して)、機器1及び2間における通信、送電及び受電が可能となる。磁界共鳴は、磁界共振などとも呼ばれる。
機器1及び2間における通信は、NFC(Near field communication)による無線通信(以下、NFC通信と呼ぶ)であり、通信の搬送波の周波数は13.56MHz(メガヘルツ)である。以下では、13.56MHzを基準周波数と呼ぶ。機器1及び2間におけるNFC通信は、共振回路TT及びRRを利用した磁界共鳴方式で行われるため、共振回路TT及びRRの共振周波数は、共に、基準周波数に設定されている。但し、後述されるように、共振回路RRの共振周波数は、一時的に基準周波数から変更され得る。
機器1及び2間における送電及び受電は、給電機器1から電子機器2に対するNFCによる送電と、電子機器2におけるNFCによる受電である。この送電と受電をまとめてNFC電力伝送又は単に電力伝送と称する。磁界共鳴方式によりコイルTLからコイルRLに対して電力を伝達することで、電力伝送が非接触で実現される。
磁界共鳴を利用した電力伝送では、送電側コイルTLに交流電流を流すことで送電側コイルTLに基準周波数の交番磁界を発生させる。すると、この交番磁界が、基準周波数で共鳴(換言すれば共振)する共振回路RRに伝わって受電側コイルRLに交流電流が流れる。つまり、送電側コイルTLを含む共振回路TTから受電側コイルRLを含む共振回路RRへ電力が伝達される。尚、以下では、記述が省略されることがあるが、NFC通信又は電力伝送においてコイルTL又はコイルRLにより発生する磁界は、特に記述無き限り、基準周波数で振動する交番磁界である。
電子機器2が給電台12上の所定範囲内に載置され、上述のNFC通信及び電力伝送が実現できる状態を、基準配置状態と呼ぶ(図1(b)参照)。磁気共鳴を利用した場合、相手側距離との距離が比較的大きくても通信及び電力伝送が可能であるが、電子機器2が給電台12から相当距離離れれば、NFC通信及び電力伝送は実現できなくなる。電子機器2が給電台12から十分に離れていて、上述のNFC通信及び電力伝送を実現できない状態を、離間状態と呼ぶ(図1(a)参照)。尚、図1(a)に示す給電台12では、表面が平らになっているが、載置されるべき電子機器2の形状に合わせた窪み等が給電台12に形成されていても構わない。
図4に、IC100の内部ブロック図を含む、給電機器1の一部の構成図を示す。IC100には、符号110、120、130、140、150及び160によって参照される各部位が設けられる。図2及び図3には示さなかったが、給電機器1にはn個の共振回路TTが設けてられており、該n個の共振回路TTがIC100に接続される。n個の共振回路TTを互いに区別する必要がある場合、n個の共振回路TTを記号TT[1]〜TT[n]にて参照する。nは2以上の任意の整数である。共振回路TT[1]〜TT[n]の共振周波数は全て基準周波数に設定されている。尚、以下の説明において、単にコイルTLと述べた場合、それは、共振回路TT[1]におけるコイルTLと解されても良いし、共振回路TT[1]〜TT[n]の任意の何れかにおけるコイルTLと解されても良い。コンデンサTCについても同様である。
図5に、IC200の内部ブロック図を含む、電子機器2の一部の構成図を示す。IC200には、符号210、220、230、240、250及び260によって参照される各部位が設けられる。また、IC200に対し、IC200の駆動電圧を出力するコンデンサ23を接続しておいても良い。コンデンサ23は、給電機器1から受信したNFC通信のための信号を整流することで得た直流電圧を出力可能である。
切り替え回路110は、制御回路160の制御の下、共振回路TT[1]〜TT[n]の何れかをNFC通信回路120及びNFC送電回路130のどちらかに接続させることができる。共振回路TT[1]〜TT[n]と通信回路120及び送電回路130との間に介在する複数のスイッチにて、切り替え回路110を構成することができる。本明細書にて述べる任意のスイッチは、電界効果トランジスタ等の半導体スイッチング素子を用いて形成されて良い。
切り替え回路210は、制御回路260の制御の下、共振回路RRをNFC通信回路220及びNFC受電回路230のどちらかに接続させる。共振回路RRと通信回路220及び受電回路230との間に介在する複数のスイッチにて、切り替え回路210を構成することができる。
共振回路TT[1]〜TT[n]の何れかが切り替え回路110を介してNFC通信回路120に接続され、且つ、共振回路RRが切り替え回路210を介してNFC通信回路220に接続されている状態を、通信用接続状態と呼ぶ。通信用接続状態にてNFC通信が可能となる。通信用接続状態において、NFC通信回路120に接続される共振回路は共振回路TT[1]〜TT[n]の何れであっても良いが(即ち、共振回路TT[1]〜TT[n]の何れを用いてNFC通信を実現しても良いが)、ここでは主として共振回路TT[1]がNFC通信回路120に接続されることを想定する。この際、通信用接続状態において、NFC通信回路120は、基準周波数の交流信号(交流電流)を共振回路TT[1]に供給することができる。機器1及び2間のNFC通信は半二重方式で実行される。
通信用接続状態において給電機器1が送信側であるとき、NFC通信回路120が共振回路TT[1]に供給する交流信号に任意の情報信号を重畳させることで、当該情報信号が給電機器側アンテナコイルとしての共振回路TT[1]のコイルTLから送信され且つ電子機器側アンテナコイルとしての共振回路RRのコイルRLにて受信される。コイルRLにて受信された情報信号はNFC通信回路220にて抽出される。通信用接続状態において電子機器2が送信側であるとき、NFC通信回路220は、任意の情報信号(応答信号)を共振回路RRのコイルRLから共振回路TT[1]のコイルTLに送信できる。この送信は、周知の如く、ISO規格(例えばISO14443規格)に基づき、共振回路TT[1]のコイルTL(給電機器側アンテナコイル)から見た共振回路RRのコイルRL(電子機器側アンテナコイル)のインピーダンスを変化させる負荷変調方式にて実現される。電子機器2から伝達された情報信号はNFC通信回路120にて抽出される。
共振回路TT[1]〜TT[n]の何れかが切り替え回路110を介してNFC送電回路130に接続され、且つ、共振回路RRが切り替え回路210を介してNFC受電回路230に接続されている状態を、給電用接続状態と呼ぶ。
給電用接続状態において、NFC送電回路130は送電動作を行うことができ、NFC受電回路230は受電動作を行うことができる。送電動作と受電動作にて電力伝送が実現される。送電動作に先立ち、制御回路160により、共振回路TT[1]〜TT[n]の何れかが対象共振回路として選択される。送電動作において、送電回路130は、対象共振回路に基準周波数の送電用交流信号(送電用交流電流)を供給することで対象共振回路の送電側コイルTLに基準周波数の送電用磁界(送電用交番磁界)を発生させ、これによって、対象共振回路(対象共振回路中の送電側コイルTL)から共振回路RRに対し磁界共鳴方式で電力を送電する。尚、送電側コイルTLを含んで構成される共振回路に交流信号を供給することと、当該送電側コイルTLに当該交流信号を供給することは、同義である。送電動作に基づき受電側コイルRLにて受電された電力は受電回路230に送られ、受電動作において、受電回路230は、受電した電力から任意の直流電力を生成して出力する。受電回路230の出力電力にてバッテリ21を充電することができる。
通信用接続状態にてNFC通信を行う場合も、コイルTL又はRLにて磁界が発生するが、NFC通信における磁界強度は、所定の範囲内に収まる。その範囲の下限値及び上限値は、NFCの規格で定められ、夫々、1.5A/m、7.5A/mである。これに対し、電力伝送(即ち送電動作)において対象共振回路の送電側コイルTLにて発生する磁界の強度(送電用磁界の磁界強度)は、上記の上限値より大きく、例えば45〜60A/m程度である。機器1及び2を含む非接触給電システムにおいて、NFC通信及び電力伝送(NFC電力伝送)を交互に行うことができ、その時の磁界強度の様子を図6に示す。
負荷検出回路140は、送電回路130に接続された共振回路TT[i]中の送電側コイルTLの負荷の大きさ、即ち、送電回路130から送電側コイルTLに交流信号(交流電流)が供給されるときにおける送電側コイルTLにとっての負荷の大きさを検出する。ここでiはn以下の任意の整数である。図7に、給電用接続状態において、送電回路130が共振回路TT[i]に接続されているときにおける、送電回路130と負荷検出回路140と共振回路TT[i]との関係を示す。尚、図7では、切り替え回路110の図示が省略されている。
送電回路130は、基準周波数の正弦波信号を生成する信号生成器131と、信号生成器131にて生成された正弦波信号を増幅し、増幅した正弦波信号をライン134の電位を基準としてライン134及び135間に出力する増幅器(パワーアンプ)132と、コンデンサ133とを備える。一方、負荷検出回路140は、センス抵抗141、増幅器142、包絡線検波器143及びA/D変換器144を備える。信号生成器131が生成する正弦波信号の信号強度は一定値に固定されているが、増幅器132の増幅率は制御回路160により可変設定される。
コンデンサ133の一端はライン135に接続される。給電用接続状態において、コンデンサ133の他端は共振回路TT[i]のコンデンサTC及びコイルTLの各一端に共通接続され、且つ、共振回路TT[i]のコイルTLの他端はセンス抵抗141を介してライン134及び共振回路TT[i]のコンデンサTCの他端に共通接続される。
共振回路TT[i]が対象共振回路であるとき、送電動作は、増幅器132からコンデンサ133を介し共振回路TT[i]に交流信号を供給することで実現される。給電用接続状態において、増幅器132からの交流信号が共振回路TT[i]に供給されると共振回路TT[i]の送電側コイルTLに基準周波数の交流電流が流れ、結果、センス抵抗141に交流の電圧降下が発生する。図8の実線波形は、センス抵抗141における電圧降下の電圧波形である。共振回路TT[i]に関し、送電側コイルTLの発生磁界強度が一定の下、電子機器2を給電台12に近づけると、送電側コイルTLの発生磁界に基づく電流が受電側コイルRLに流れる一方で、受電側コイルRLに流れた電流に基づく逆起電力が送電側コイルTLに発生し、その逆起電力は送電側コイルTLに流れる電流を低減するように作用する。このため、図8に示す如く、基準配置状態におけるセンス抵抗141の電圧降下の振幅は、離間状態におけるそれよりも小さい。
増幅器142は、センス抵抗141における電圧降下の信号を増幅する。包絡線検波器143は、増幅器142にて増幅された信号の包絡線を検波することで、図8の電圧vに比例するアナログの電圧信号を出力する。A/D変換器144は、包絡線検波器143の出力電圧信号をデジタル信号に変換することでデジタルの電圧値VDを出力する。上述の説明から理解されるように、電圧値VDは、センス抵抗141に流れる電流の振幅(従って、共振回路TT[i]の送電側コイルTLに流れる電流の振幅)に比例する値を持つ。故に、負荷検出回路140は、共振回路TT[i]の送電側コイルTLに流れる電流の振幅を検出していると言え、その振幅検出値が電圧値VDであると考えることができる。
磁界を発生させる送電側コイルTLにとって、受電側コイルRLのような、送電側コイルTLと磁気結合するコイルは、負荷であると考えることができ、その負荷の大きさに依存して、負荷検出回路140の検出値である電圧値VDが変化する。このため、負荷検出回路140は電圧値VDの出力によって負荷の大きさを検出している、と考えることもできる。ここにおける負荷の大きさとは、送電の際における送電側コイルTLにとっての負荷の大きさとも言えるし、送電の際における給電装置1から見た電子機器2の負荷としての大きさとも言える。尚、センス抵抗141はIC100の内部に設けられても良いし、IC100の外部に設けられても良い。
メモリ150(図4参照)は、RAM(Random access memory)及びROM(Read only memory)から成り、任意の情報を記憶する。メモリ150におけるROMは、例えば、フラッシュメモリ又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)に分類される不揮発性メモリを含む。制御回路160は、IC100内の各部位の動作を統括的に制御する。制御回路160が行う制御には、例えば、切り替え回路110の切り替え動作の制御、通信回路120及び送電回路130による通信動作及び送電動作の内容制御及び実行有無制御、負荷検出回路140の動作制御、メモリ150の記憶制御及び読み出し制御が含まれる。また、制御回路160は、タイマ(不図示)を内蔵しており任意のタイミング間の時間長さを計測できる。
電子機器2における共振状態変更回路240(図5参照)は、共振回路RRの共振周波数を基準周波数から基準周波数よりも十分に大きな又は十分に小さな所定周波数fMに変更する共振周波数変更動作を実現するための共振周波数変更回路、又は、共振回路RRにおける受電側コイルRLを短絡するコイル短絡動作を実現するためのコイル短絡回路である。共振周波数変更動作及びコイル短絡動作の実現方法は任意であり、特許文献1(特開2017−11954号公報)に示す方法にてそれらを実現して良い。例えば、スイッチとコンデンサとの直列回路を、受電側コンデンサRCに対して並列に接続しておき、そのスイッチをオンすることで共振回路RRの共振周波数を基準周波数から所定周波数fMに変更することができる。受電側コイルRLの短絡は、受電側コイルRLに並列接続されたスイッチのオンにより実現可能である。以下、記述の簡略化上、共振周波数変更動作又はコイル短絡動作を、fO変更/短絡動作と称することがある。
メモリ250は、RAM(Random access memory)及びROM(Read only memory)から成り、任意の情報を記憶する。メモリ250におけるROMは、例えば、フラッシュメモリ又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)に分類される不揮発性メモリを含む。制御回路260は、IC200内の各部位の動作を統括的に制御する。制御回路260が行う制御には、例えば、切り替え回路210の切り替え動作の制御、通信回路220及び受電回路230による通信動作及び受電動作の内容制御及び実行有無制御、変更回路240の動作制御、並びに、メモリ250の記憶制御及び読み出し制御が含まれる。また、制御回路260は、タイマ(不図示)を内蔵しており任意のタイミング間の時間長さを計測できる。
ところで、給電機器1の制御回路160は、給電台12上における異物の存否を判断し、異物が無い場合にのみ送電動作を行うよう送電回路130を制御できる。本実施形態における異物は、電子機器2及び電子機器2の構成要素(受電側コイルRLなど)と異なり、給電機器1に近づいたときに、共振回路TT[1]〜TT[n]の何れかに含まれる送電側コイルTLであって且つ基準周波数の交流信号が供給されている送電側コイルTLの発生磁界に基づいて電流(異物内での電流)を発生させられる物体を含む。本実施形態において、異物の存在とは、送電側コイルTLの発生磁界に基づく、無視できない程度の電流が異物内で流れるような位置に異物が存在することを意味する、と解して良い。尚、送電側コイルTLの発生磁界に基づき異物内で流れることになった電流は、異物に対向、結合するコイル(TLやRL)に起電力(又は逆起電力)を発生させるため、そのコイルを含む回路の特性に無視できない影響を与えうる。
図9(a)に、異物の一種である異物3の概略外形図を示し、図9(b)に異物3の概略内部構成図を示す。異物3は、コイルJL及びコンデンサJCの並列回路から成る共振回路JJと、共振回路JJに接続された異物内回路300と、を備える。共振回路JJの共振周波数は基準周波数に設定されている。異物3は、電子機器2とは異なり、給電機器1に対応しない機器である。例えば、異物3は、NFC通信に応答しない13.56MHzのアンテナコイル(コイルJL)を持つ無線ICタグを有した物体(非接触ICカード等)である。また例えば、異物3は、NFC通信機能自体は有しているものの、コイルJLと送電側コイルTLとの位置関係が通信可能な関係になっておらず(例えば、コイルJLの軸が送電側コイルTLの軸から大きく傾いており)、通信不感状態におかれた非接触ICカード等である。また例えば、異物3は、NFC通信機能自体は有しているものの、その機能が無効とされている電子機器である。例えば、NFC通信機能を有するスマートホンではあるが、ソフトウェア設定で当該機能をオフにされているスマートホンは、異物3となりうる。また、NFC通信機能が有効となっているスマートホンでも、受電機能を持たないスマートホンも異物3に分類される。
このような異物3が給電台12上に配置されている状態において、仮に、給電機器1が送電動作を行うと、送電側コイルTLが発生した強磁界(例えば、12A/m以上の磁界強度を持つ磁界)にて異物3が破壊されることがある。例えば、送電動作時における強磁界は、給電台12上の異物3のコイルJLの端子電圧を100V〜200Vまで増大させることもあり、そのような高電圧に耐えられるように異物3が形成されていなければ、異物3が破壊される。
異物3の存在により送電側コイルTLにとっての負荷が大きくなる結果、送電側コイルTLの電流振幅が小さくなるという特性を利用して、その電流振幅に基づき異物3の存否判断を行うことができる。但し、異物3が持つアンテナコイル(コイルJL)の形状として様々な形状が存在し、その形状に依存して、異物3の存在による上記電流振幅の変化が様々となる。給電機器1には、異物の正確な存否検出のためにも複数の送電側コイルTLが設けられている。
図10(a)〜(f)を参照し、これについて説明を加える。AT1〜AT6の夫々は、非接触ICカードに搭載されるべきアンテナコイルとして、ISO14443の規格にて定められたリファレンスアンテナコイルを表している。アンテナコイルAT1〜AT6の何れかを図9のコイルJLとして有する非接触ICカードは異物3となりうる。アンテナコイルAT1〜AT6の形状は互いに異なり、基本的に、AT1からAT6に向かうにつれてアンテナコイルの大きさが小さくなっている。本明細書において、コイルの形状とは、コイルの大きさを含む概念である。故に、第1のコイルと第2のコイルとの間で相似の関係があっても、それらの大きさが異なれば第1のコイルと第2のコイルとの間で形状が異なる。任意のコイルに関し、コイルの大きさとは、コイルの中心軸に直交する方向においてコイルの外周が占有する面積を表すと考えて良い。コイルがループアンテナを形成している場合には、そのループアンテナのループ面(即ち、当該コイルの巻線が配置されている面)における、当該コイルの巻線に囲まれた部分の面積が当該コイルの大きさに相当する。
異物検出に用いる送電側コイルTLの形状と異物3のコイルJLの形状が一致又は似ているとき、送電側コイルTLの電流振幅を利用した異物3の存否検出感度が十分に高くなる。一方で、上述の如く、異物3が持つアンテナコイル(コイルJL)の形状として様々な形状が存在する。これを考慮し、本実施形態では、共振回路TT[1]〜TT[n]を用いて異物検出処理を実行する。共振回路TT[1]〜TT[n]における計n個の送電側コイルTLは、互いに異なる形状(上述したように大きさを含む)を持つアンテナコイルであり、例えば、“n=6”である場合、共振回路TT[1]〜TT[6]における送電側コイルTLは、夫々、アンテナコイルAT1〜AT6と同じ形状を有していて良い。
但し、共振回路TT[i]を用いた異物検出処理の実行時において共振回路TT[i]以外の共振回路の送電側コイルTLが異物3のコイルTJのように振る舞うことを防止する必要がある(iは整数)。そこで、ここまでの説明では意識しなかったが、実際には、図11に示すようなスイッチTSWが共振回路TT[1]〜TT[n]の夫々に設けられている。制御回路160の制御の下、共振回路TT[1]〜TT[n]のスイッチTSWが個別にオン又はオフとされる。共振回路TT[i]において、スイッチTSWがオンのとき、コイルTLとコンデンサTCが接続されてそれらによる共振回路が形成され、スイッチTSWがオフのとき、コイルTLとコンデンサTCが非接続とされてそれらによる共振回路が形成されなくなる。ここでは、並列共振回路を想定しているため、共振回路TT[i]において、スイッチTSWがオフのときにはコイルTLを経由する電流ループが形成されなくなるよう、コイルTLの一端とコンデンサTCの一端とを接続する配線上に直列にスイッチTSWを挿入すると良い。
そして、制御回路160は、図12に示すような第1〜第n接続状態の何れかが実現されるように、切り替え回路110及び共振回路TT[1]〜TT[n]のスイッチTSWを制御できる。第i接続状態においては、共振回路TT[1]〜TT[n]の内、共振回路TT[i]のみにNFC送電回路130が接続され、且つ、共振回路TT[i]のスイッチTSWがオンとされ、且つ、共振回路TT[1]〜TT[n]の内、共振回路TT[i]以外の共振回路のスイッチTSWがオフとされる。給電機器1において、共振回路TT[1]を用いてNFC通信を行う通信用接続状態では、NFC通信回路120が切り替え回路110を介して共振回路TT[1]に接続され、且つ、共振回路TT[1]のスイッチTSWがオンとされ、且つ、共振回路TT[2]〜TT[n]の各スイッチTSWがオフとされる。
図13に、第1〜第n接続状態を実現するための、給電機器1内の回路例を示す。図13では、共振回路TT[i]における送電側コイルTL及び送電側コンデンサTCが夫々記号TL[i]及びTC[i]にて表され、共振回路TT[i]に対するスイッチTSWとしてスイッチTSW[i]L及びTSW[i]Cが設けられる。NFC通信回路120又はNFC送電回路130は切り替え回路110を介して、配線であるラインLN1及びLN2に接続される。ラインLN1は、スイッチTSW[1]C〜TSW[n]Cを介して夫々コンデンサTC[1]〜TC[n]の一端に接続され、コンデンサTC[1]〜TC[n]の各他端はラインLN2に接続される。また、ラインLN1はコイルTL[1]〜TL[n]の各一端に共通接続され、コイルTL[1]〜TL[n]の他端は夫々スイッチTSW[1]L〜TSW[n]Lを介してラインLN3に接続される。ラインLN3はセンス抵抗141を介してラインLN2に接続される。
図13の回路例では、第i接続状態において、送電回路130がラインLN1及びLN2に接続され、且つ、スイッチTSW[1]L〜TSW[n]L及びTSW[1]C〜TSW[n]Cの内、スイッチTSW[i]L及びTSW[i]Cのみがオンとされ、他のスイッチは全てオフとされる。送電側コイルTL[i]を用いた通信用接続状態では、通信回路120がラインLN1及びLN2に接続され、スイッチTSW[1]L〜TSW[n]L及びTSW[1]C〜TSW[n]Cの内、スイッチTSW[i]L及びTSW[i]Cのみがオンとされ、他のスイッチは全てオフとされる。但し、給電用接続状態では送電回路130がラインLN1及びLN2に接続される一方で、通信用接続状態では通信回路120がラインLN1及びLN2に接続される。
[異物検出処理(電力伝送前の異物検出処理)]
図14を参照し、給電台12上の異物3の存否を検出するための異物検出処理を説明する。図14は、電力伝送前に給電機器1により実行される異物検出処理のフローチャートである。まず、ステップS21にて変数iに1が代入される。その後、ステップS22において、制御回路160は、切り替え回路110及び各スイッチTSWを制御することで第i接続状態を実現し且つ共振回路TT[i]の送電側コイルTLによる磁界強度Hを所定のテスト強度に設定し、続くステップS23において、負荷検出回路140を用い、該テスト磁界を発生させているときの電圧値VDを電圧値VDTEST[i]として取得する。
共振回路TT[i]に関し、磁界強度Hとは、共振回路TT[i]の送電側コイルTLの発生磁界強度であって、より詳しくは、共振回路TT[i]の送電側コイルTLが発生した基準周波数で振動する交番磁界の磁界強度を指す。共振回路TT[i]に関し、磁界強度Hをテスト強度に設定するとは、所定のテスト用交流信号(テスト用交流電流)が共振回路TT[i]に供給されるように送電回路130を制御することで、テスト強度を有し且つ基準周波数で振動する交番磁界を共振回路TT[i]の送電側コイルTLに発生させることを指す。制御回路160は、増幅器132(図7参照)の増幅率を制御することで磁界強度Hを可変設定することができる。
故に、電流振幅検出値とも言うべき電圧値VDTEST[i]は、第i接続状態にてテスト強度を有し且つ基準周波数で振動するテスト磁界を共振回路TT[i]の送電側コイルTLに発生させているときの、共振回路TT[i]の送電側コイルTLに流れる電流の振幅に応じた値を持つ。尚、異物検出処理が実行される期間中には、NFC通信を介した給電機器1からの指示に従い電子機器2においてfO変更/短絡動作(共振周波数変更動作又はコイル短絡動作)が実行されている。
テスト磁界の磁界強度(即ちテスト強度)は、電力伝送時(即ち送電動作時)の送電側コイルTLの発生磁界強度(即ち送電用磁界の磁界強度;例えば、45〜60A/m)より小さく設定され、通信用磁界強度の下限値“1.5A/m”から上限値“7.5A/m”までの範囲内に収まる。このため、テスト磁界によって異物3が破損等するおそれは無い又は少ない。
ステップS23に続くステップS24にて、制御回路160は、“i=n”の成否を判断し、“i=n”が成立する場合にはステップS26に進むが、そうでない場合にはステップS25にて変数iに1を加算してからステップS22に戻ってステップS22及びS23の処理を繰り返す。故に、ステップS26に至る時点では、電圧値VDTEST[1]〜VDTEST[n]が得られている。尚、負荷検出回路140は、図7に示した構成と同等の構成を複数持つことにより、或いは、図7に示した構成を時分割で利用することにより、共振回路TT[1]〜TT[n]の送電側コイルTLに流れる電流の振幅を個別に検出することができる。
ステップS26において、制御回路160は、電圧値VDTEST[1]〜VDTEST[n]に基づき給電台12上における異物3の存否を判定して異物検出処理を終える。異物3が給電台12上に存在していると判定することを異物有判定と称する。異物3が給電台12上に存在していないと判定することを異物無判定と称する。制御回路160は、異物無判定を成した場合、送電回路130による送電動作の実行が可能であると判断して送電動作の実行を許可し、異物有判定を成した場合、送電回路130による送電動作の実行が不可であると判断して送電動作の実行を禁止する。送電動作を実行可能と判断したとき、送電動作において、制御回路160は、所定の送電用磁界が対象共振回路の送電側コイルTLにて発生されるよう送電回路130を制御することができる。
制御回路160にて採用され得る、電圧値VDTEST[1]〜VDTEST[n]に基づく異物3の存否判定方法は、特許文献1に示したものと同様である。即ち例えば、“1≦i≦n”を満たす全ての整数iに関し判定不等式“VDTEST[i]≧VREF[i]”が成立する場合に限って異物無判定を行い、そうでない場合には異物有判定を行う。VREF[1]〜VREF[n]は、送電側コイルTLごとに予め設定されてメモリ150に記憶された異物検出用基準値である。或いは例えば、“1≦i≦n”を満たす全ての整数iに関し判定不等式“VDTEST[i]≧VREF”が成立する場合に限って異物無判定を行い、そうでない場合には異物有判定を行うようにしても良い。VREFは、予め設定されてメモリ150に記憶された単一の異物検出用基準値である。
このように送電動作に先立って実行される異物検出処理では、テスト用交流信号を送電回路130から共振回路TT[1]〜TT[n]に順次供給させることで共振回路TT[1]〜TT[n]の送電側コイルTLにテスト磁界を順次発生させ、共振回路TT[1]〜TT[n]の送電側コイルTLにテスト磁界を発生させているときの負荷検出回路140の出力値VDを電圧値VDTEST[1]〜VDTEST[n]として順次取得し、電圧値VDTEST[1]〜VDTEST[n]に基づき異物3の存否を判定する。
図15(a)〜図15(d)を参照して第1〜第4ケースを考える。第1ケースでは、給電台12上に電子機器2のみが存在している。第2ケースでは、給電台12上に電子機器2及び異物3が存在している。第3ケースでは、給電台12上に異物3のみが存在している。第4ケースでは、給電台12上に電子機器2も異物3も存在していない。
上述したように、異物検出処理が実行される期間中には電子機器2においてfO変更/短絡動作が実行されているため、第1ケースでは、送電側コイルTLにとっての負荷が十分に軽くなり(即ち、あたかも、給電台12上に電子機器2が存在しないかのような状態となり)、電圧値VDTEST[1]〜VDTEST[n]の全てが十分に大きくなる。故に、異物無判定が成される。一方、第2ケースでは、共振回路RRの共振周波数が上記周波数fMへと変更されるものの又は受電側コイルRLが短絡されるものの、異物3は送電側コイルTLの負荷として存在し続けるため(異物3の共振回路JJの共振周波数は基準周波数のままであるため)、電圧値VDTEST[1]〜VDTEST[n]の一部又は全部が十分に小さくなり、結果、異物有判定が成される。
第3及び第4ケースでは、NFC通信に応答する電子機器2が給電台12上に存在しないため、そもそも送電動作は不要であり、従って異物検出処理自体が実行されない。給電機器1は、NFC通信により、電力伝送に対応可能な電子機器2が給電台12上に存在しているか否かを判断できる。尚、異物3が給電台12上に存在する状態は、異物3が給電台12に直接接触している状態に限定されない。例えば、図16に示す如く、給電台12上に電子機器2が直接接触する形で存在し且つ電子機器2の上に異物3が存在しているような状態も、異物有判定が成される限り、異物3が給電台12上に存在する状態に属する。
[対象共振回路設定処理]
図17を参照し、給電機器1の制御回路160により実行される処理であって、対象共振回路を選択及び設定するための対象共振回路設定処理を説明する。電力伝送における伝送効率は、電力伝送に用いる送電側コイルTL及び受電側コイルRLの磁気結合の度合いに依存し、その磁気結号の度合いは、それらのコイルの形状に依存する。電力伝送に用いる送電側コイルTL及び受電側コイルRLの形状が一致しておれば伝送効率が最大化されるが、受電側コイルRLの形状は電子機器2によって様々であることが想定される。そこで、対象共振回路設定処理において、電力伝送での伝送効率が最大化されると推定される共振回路TTを対象共振回路に設定する。対象共振回路の選択及び設定は、対象共振回路設定処理と電子機器2にて実行される協働処理との連携で実現される。図17には、対象共振回路設定処理のフローチャートと協働処理のフローチャートが並べて示されている。
まず、ステップS31〜S38の処理から成る対象共振回路設定処理を説明する。対象共振回路設定処理では、まずステップS31にて変数iに1が代入される。その後、ステップS32において、制御回路160は、切り替え回路110及び各スイッチTSWを制御することで第i接続状態を実現し且つ共振回路TT[i]の送電側コイルTLによる磁界強度Hを所定の伝送効率評価用強度に設定する。これにより、共振回路TT[i]の送電側コイルTLから受電側コイルRLに対して、伝送効率評価用強度の交番磁界による試験的な送電(以下、試験送電と称することがある)が行われる。
共振回路TT[i]に関し、磁界強度Hを伝送効率評価用強度に設定するとは、所定の伝送効率評価用交流信号(伝送効率評価用交流電流)が共振回路TT[i]に供給されるように送電回路130を制御することで、伝送効率評価用強度を有し且つ基準周波数で振動する交番磁界を共振回路TT[i]の送電側コイルTLに発生させることを指す。電力伝送前の異物検出処理が実行される前に(異物無判定が成される前に)対象共振回路設定処理を行う場合にあっては、伝送効率評価用強度は、テスト強度と同様に、存在し得る異物3の破損等を防止すべく、電力伝送時(即ち送電動作時)の送電側コイルTLの発生磁界強度(即ち送電用磁界の磁界強度;例えば、45〜60A/m)より小さく設定され、例えば、通信用磁界強度の下限値“1.5A/m”から上限値“7.5A/m”までの範囲内に収められる。この場合において、伝送効率評価用強度は異物検出処理でのテスト強度と同じであっても良いし、異なっていても良い。電力伝送前の異物検出処理が実行されて異物無判定が成された後に対象共振回路設定処理を行う場合にあっては、伝送効率評価用強度は、送電用磁界の磁界強度と同じであっても構わないし、それよりも小さくても構わないし、テスト強度と同じであっても構わない。
共振回路TT[i]の送電側コイルTLによる伝送効率評価用強度の交番磁界の発生は所定の評価時間だけ実行され、その発生から評価時間が経過するとステップS32からステップS33を経由してステップS34に進む。ステップS34にて、制御回路160は、“i=n”の成否を判断し、“i=n”が成立する場合にはステップS36に進むが、そうでない場合にはステップS35にて変数iに1を加算してからステップS32に戻ってステップS32の処理を繰り返す。故に、ステップS36に至る時点では、共振回路TT[1]〜TT[n]を順次用いた計n回の試験送電が完了している。
ステップS36において、制御回路160は、NFC通信回路120を共振回路TT[1]に接続した後、ステップS37にて電力関連情報信号の受信を待機し、当該受信が成されると、ステップS38にて、電力関連情報信号に含まれる電力関連情報に基づいて対象共振回路を設定する(換言すれば、共振回路TT[1]〜TT[n]の中から対象共振回路を選択する)。対象共振回路を用いて送電動作が行われることになるので、対象共振回路の設定及び選択とは、送電動作に用いられる送電側コイルTL(対象送電側コイル)を共振回路TT[1]〜TT[n]の送電側コイルTLの中から選択することに相当する。
次に、ステップS41〜S47の処理から成る協働処理を説明する。尚、協働処理の実行時において、fO変更/短絡動作は非実行とされている。対象共振回路設定処理では、まずステップS41にて変数jに1が代入される。その後、ステップS42において、制御回路260の制御の下で共振回路RRが受電回路230に接続され、このときの共振回路RRでの受電電力が検出される。図18に示す如く、受電回路230には、共振回路RRでの受電電力(換言すれば受電側コイルRLでの受電電力)を検出する受電電力検出回路231が内包されている。周知の如く、共振回路RRでの受電電力を消費する負荷(図3の例ではバッテリ21及び機能回路22を含む負荷)に対し共振回路RRから出力される電力を、電圧及び電流の検出を介し、受電電力として検出すれば良い。変数jについて検出された受電電力を表す数値を、受電電力値PW[j]と呼ぶ。
或る試験送電の開始後、1回分の試験送電が行われる時間である評価時間が経過すると、ステップS42からステップ43を経由してステップS44に進む。ステップS44にて、制御回路260は、“j=n”の成否を判断し、“j=n”が成立する場合にはステップS46に進むが、そうでない場合にはステップS45にて変数jに1を加算してからステップS42に戻ってステップS42の処理を繰り返す。故に、ステップS46に至る時点では、受電電力値PW[1]〜PW[n]が得られている。ステップS46において、制御回路260は、NFC通信回路220を共振回路RRに接続した後、ステップS47にて受電電力値PW[1]〜PW[n]に基づき電力関連情報を作成し、電力関連情報を含んだ電力関連情報信号をNFC通信にて給電機器1に送信する。
電力関連情報は、受電電力値PW[1]〜PW[n]の内、最大の受電電力値に対応する送電側共振回路TT及び送電側コイルTLを特定する情報を含んでおり、制御回路160は、その最大の受電電力値に対応する送電側共振回路TTを対象共振回路として選択及び設定する。
例えば、受電電力値PW[1]〜PW[n]の内、受電電力値PW[s]が最大であった場合(sはn以下の自然数)、“s”の値を電力関連情報とする。このとき、給電機器1の制御回路160は、電力関連情報に含まれる“s”の値から、第s回目の試験送電に用いた共振回路TT[s]が最大の電力伝送効率を実現できると判断して、共振回路TT[s]を対象共振回路に設定する。或いは例えば、受電電力値PW[1]〜PW[n]を電力関連情報に含めるようにしても良い。この場合、給電機器1の制御回路160は、電力関連情報に含まれる受電電力値PW[1]〜PW[n]を比較し、それらの内、受電電力値PW[s]が最大であったならば(sはn以下の自然数)、第s回目の試験送電に用いた共振回路TT[s]が最大の電力伝送効率を実現できると判断して、共振回路TT[s]を対象共振回路に設定する。
給電機器1にて対象共振回路設定処理が行われる際、機器1及び2間のNFC通信を適宜用い、機器1及び2の夫々において機器1及び2間で同期したタイマを設定され、当該タイマを用いて、電子機器2の制御回路260は、第1回目〜第n回目の試験送電が行われる期間を個別に認識する。或いは、試験送電ごとに、機器1及び2間で、試験送電が行われることの情報の共有がNFC通信を通じて行われるようにしても良い。
[電力伝送までの信号のやりとり:図19]
図19を参照して、電力伝送が行われるまでの機器1及び2間の信号のやりとりを説明する。以下では、特に記述無き限り、電子機器2が基準配置状態(図1(b))にて給電台12上に存在していることを想定する。
まず、給電機器1が送信側且つ電子機器2が受信側となり、給電機器1(IC100)が、NFC通信によって、問い合わせ信号510を給電台12上の機器(以下、給電対象機器とも言う)に送信する。給電対象機器は、電子機器2を含み、異物3を含みうる。問い合わせ信号510は、例えば、給電対象機器の固有識別情報を問い合わせる信号、給電対象機器がNFC通信を実行可能な状態にあるかを問い合わせる信号、及び、給電対象機器が電力を受け取れるか又は電力の送電を求めているかを問い合わせる信号を含む。
問い合わせ信号510を受信した電子機器2(IC200)は、問い合わせ信号510の問い合わせ内容に答える応答信号520を、NFC通信によって給電機器1に送信する。応答信号520を受信した給電機器1(IC100)は、応答信号520を解析し、給電対象機器がNFC通信を可能であって且つ電力を受け取れる又は電力の送電を求めている場合に、伝送効率評価用要求信号530をNFC通信によって給電対象機器に送信する。伝送効率評価用要求信号530を受信した電子機器2(IC200)は、伝送効率評価用要求信号530に対する応答信号540を、NFC通信によって給電機器1に送信する。
応答信号540を受信した給電機器1(IC100)は、上述の対象共振回路設定処理を実行する。電子機器2は、応答信号540を送信すると、対象共振回路設定処理に同期して上述の協働処理を実行する。信号530及び540の送受信の際に、第1回目〜第n回目の試験送電が行われるタイミングを機器1及び2で同期させるための、タイマの設定が行われると良い。
対象共振回路設定処理を終えると、給電機器1(IC100)はテスト用要求信号550をNFC通信によって給電対象機器に送信する。テスト用要求信号550を受信した給電対象機器としての電子機器2(IC200)は、テスト用要求信号550に対する応答信号560をNFC通信によって給電機器1に送信してから、速やかに、fO変更/短絡動作(共振周波数変更動作又はコイル短絡動作)を実行する。テスト用要求信号550は、例えば、fO変更/短絡動作の実行を要求、指示する信号であり、電子機器2の制御回路260は、テスト用要求信号550の受信を契機としてfO変更/短絡動作を共振状態変更回路240に実行させる。テスト用要求信号550の受信前においてfO変更/短絡動作は非実行とされている。fO変更/短絡動作の実行の契機となるならばテスト用要求信号550はどのような信号でも良い。
応答信号560を受信した給電機器1(IC100)は、上述の異物検出処理を実行する。異物検出処理の実行期間中、電子機器2(IC200)は、fO変更/短絡動作の実行を継続する。具体的には、電子機器2(IC200)は、タイマを用いて、異物検出処理の実行期間の長さに応じた時間だけfO変更/短絡動作の実行を維持してからfO変更/短絡動作を停止する。
異物検出処理において、給電台12上に異物3が無いと判断すると、給電機器1(IC100)は、認証信号570をNFC通信により給電対象機器に送信する。認証信号570は、例えば、これから送電を行うことを給電対象機器に通知する信号を含む。認証信号570を受信した電子機器2(IC200)は、認証信号570に対応する応答信号580を、NFC通信によって給電機器1に送信する。応答信号580は、例えば、認証信号570が示す内容を認識したことを通知する信号又は認証信号570が示す内容に許可を与える信号を含む。応答信号580を受信した給電機器1(IC100)は、設定された対象共振回路に送電回路130を接続して送電動作を実行し、これにより電力伝送590が実現される。
図15(a)の第1ケースでは、上記の流れで電力伝送590が実行されるが、図15(b)の第2ケースの場合においては、応答信号560の送受信まで処理が進行するものの、異物検出処理において給電台12上に異物があると判断されるため、電力伝送590が実行されない。
1回分の電力伝送590は所定時間だけ行われるものであっても良く、問い合わせ信号510の送信から電力伝送590までの一連の処理を、繰り返し実行するようにしても良い。実際には、図20に示す如く、NFC通信と異物検出処理と電力伝送(NFC電力伝送)とを順番に且つ繰り返し実行することができる。つまり、非接触給電システムでは、NFC通信を行う動作と異物検出処理を行う動作と電力伝送(NFC電力伝送)を行う動作とを、時分割で順番に且つ繰り返し行うことができる。図20の例では、NFC通信と異物検出処理と電力伝送とから成る組ごとに(関連すれば、問い合わせ信号510の送信から電力伝送590までの一連の処理ごとに)、異物検出処理の前に対象共振回路設定処理が行われている。
[全体動作フローチャート]
次に、給電機器1の全体的な動作の流れを説明する。図21は、第1実施形態に係る給電機器1の全体的な動作フローチャートである。通信回路120及び送電回路130の動作は、制御回路160の制御の下で実行される。
給電機器1が起動すると、まずステップS101において、制御回路160は、切り替え回路110の制御を通じて通信回路120を共振回路TT[1]に接続する。続くステップS102において、制御回路160は、通信回路120及び共振回路TT[1]を用いたNFC通信により問い合わせ信号510を給電対象機器に送信し、その後、ステップS103において、応答信号520の受信を待機する。通信回路120にて応答信号520が受信されると、制御回路160は、応答信号520を解析し、給電対象機器がNFC通信を可能であって且つ電力を受け取れる又は電力の送電を求めている場合に送電対象があると判断して(ステップS104のY)ステップS105に進み、そうでない場合(ステップS104のN)、ステップS102に戻る。
ステップS105において、制御回路160は、通信回路120及び共振回路TT[1]を用いたNFC通信により伝送効率評価用要求信号530を給電対象機器に送信し、その後、ステップS106において、応答信号540の受信を待機する。通信回路120にて応答信号540が受信されると、制御回路160は、ステップS107にて上述の対象共振回路設定処理を行う。
対象共振回路設定処理の終了後、ステップS108において、制御回路160は、通信回路120及び共振回路TT[1]を用いたNFC通信によりテスト用要求信号550を給電対象機器に送信し、その後、ステップS109において、応答信号560の受信を待機する。通信回路120にて応答信号560が受信されると、続くステップS110にて上述の異物検出処理を行う。
異物検出処理の中で送電回路130が共振回路TTに接続されることになるので(図14参照)、異物検出処理の終了後のステップS111にて、制御回路160は、切り替え回路110の制御を通じて通信回路120を共振回路TT[1]に接続し、ステップS112に進む。ステップS110の異物検出処理にて、異物有判定が成されている場合にはステップS112からステップS102に戻るが、異物無判定が成されている場合にはステップS112からステップS113に進む。
ステップS113において、制御回路160は、通信回路120及び共振回路TT[1]を用いたNFC通信により認証信号570を給電対象機器に送信し、その後、ステップS114において、応答信号580の受信を待機する。通信回路120にて応答信号580が受信されると、ステップS115において、制御回路160は、切り替え回路110の制御を通じて送電回路130を対象共振回路に接続し、ステップS116に進む。制御回路160は、ステップS116にて送電回路130及び対象共振回路による送電動作を開始した後、ステップS117に進む。
制御回路160は、送電動作の開始時点からの経過時間を計測し、ステップS117において、その経過時間を所定の時間tAと比較する。その経過時間が時間tAに達するまでステップS117の比較処理が繰り返され、その経過時間が時間tAに達した時点で(ステップS117のY)、ステップS118に進む。ステップS118にて、制御回路160は、送電回路130による送電動作を停止させてステップS101に戻り、上述の処理を繰り返す。
次に、電子機器2の全体的な動作の流れを説明する。図22は、第2実施形態に係る電子機器2の全体的な動作フローチャートであり、ステップS201から始まる処理は、給電機器1の動作に連動して実行される。通信回路220及び受電回路230の動作は、制御回路260の制御の下で実行される。
電子機器2が起動すると、まずステップS201において、制御回路260は、切り替え回路210の制御を通じて通信回路220を共振回路RRに接続する。電子機器2の起動時においてfO変更/短絡動作は非実行とされている。続くステップS202において、制御回路260は、通信回路220を用い、問い合わせ信号510の受信を待機する。通信回路220にて問い合わせ信号510が受信されると、ステップS203において、制御回路260は、問い合わせ信号510を解析して応答信号520を生成し、通信回路220を用いたNFC通信により応答信号520を給電機器1に送信する。このとき、制御回路260は、バッテリ21の状態を確認し、バッテリ21が満充電状態でなく且つバッテリ21に異常が認められなければ、電力を受け取れる又は電力の送電を求める信号を応答信号520に含める。一方、バッテリ21が満充電状態あれば又はバッテリ21に異常が認められれば、電力を受け取れない旨の信号を応答信号520に含める。
ステップS203に続くステップS204において伝送効率評価用要求信号530が通信回路220にて受信されると、ステップS205に進む。ステップS205において、制御回路260は、通信回路220を用いたNFC通信により応答信号540を給電機器1に送信し、続くステップS206にて上述の協働処理を行う。
協働処理の終了後、ステップS207においてテスト用要求信号550が通信回路220にて受信されると、ステップS208に進む。ステップS208において、制御回路260は、通信回路220を用いたNFC通信により応答信号560を給電機器1に送信し、続くステップS209にて共振状態変更回路240を用いてfO変更/短絡動作を実行する。即ち、共振周波数fOを基準周波数から周波数fMに変更する又は受電側コイルRLを短絡する。制御回路260は、fO変更/短絡動作の実行を開始してからの経過時間を計測し(ステップS210)、その経過時間が所定時間tMに達するとfO変更/短絡動作を停止する(ステップS211)。即ち、共振周波数fOを基準周波数に戻す又は受電側コイルRLの短絡を解消する。その後、ステップS212に進む。給電機器1にて異物検出処理が実行されている期間(即ちテスト磁界が発生されている期間)中、fO変更/短絡動作の実行が維持され、その期間が終了すると速やかにfO変更/短絡動作が停止されるように時間tMが予め設定されている。テスト用要求信号550の中で時間tMが指定されていても良い。
ステップS212において、制御回路260は、通信回路220を用い、認証信号570の受信を待機する。通信回路220にて認証信号570が受信されると、ステップS213において、制御回路260は、認証信号570に対する応答信号580を通信回路220を用いたNFC通信により給電機器1へ送信する。尚、異物3が給電台12上に存在する場合には、認証信号570が給電機器1から送信されないので(図21のステップS112参照)、ステップS212にて認証信号570が一定時間受信されない場合にはステップS201に戻ると良い。
応答信号580の送信後、ステップS214において、制御回路260は、切り替え回路210の制御を通じて受電回路230を共振回路RRに接続し、続くステップS215にて受電回路230を用いた受電動作を開始させる。制御回路260は、受電動作の開始時点からの経過時間を計測し、その経過時間と所定の時間tBとを比較する(ステップS216)。そして、その経過時間が時間tBに達すると(ステップS216のY)、ステップS217にて、制御回路260は、受電動作を停止させてステップS201に戻る。
受電動作の行われる期間が給電機器1にて送電動作が行われている期間と実質的に一致するように、時間tBは、予め定められている又は認証信号570の中で指定されている。受電動作の開始後、制御回路260は、バッテリ21への充電電流を監視し、充電電流値が所定値以下になった時点で送電動作が終了したと判断して、受電動作の停止及びステップS201への移行を行うようにしても良い。
受電側コイルRLの形状は電子機器2によって様々であることが想定されるが、本実施形態では、電力の伝送効率が最も高くなる送電側コイルTL(対象共振回路中の送電側コイルTL)を用いて電力伝送が行われるため、受電側コイルRLの形状に合わせて、効率の良い電力伝送を実現できる。また、誤って異物3が給電台12上に置かれた場合に、異物検出処理を通じて送電動作が不実行とされるため、送電動作の実行による異物3の破損等を回避することができる。そして、互いに異なる形状(上述したように大きさを含む)を有した複数の送電側コイルTLを用いて異物検出処理を行うようにしているため、様々な形状のコイルJL(アンテナコイル)を持ちうる異物3の存否を高精度に検出することが可能となる。このように、複数の送電側コイルTLは、電力伝送の高効率化にも異物検出の高精度化にも寄与する。つまり、電力伝送の高効率化と異物検出の高精度化の実現のために、複数の送電側コイルTLを兼用できる。
尚、図21及び図22のフローチャートにおいて、対象共振回路設定処理及び協働処理の実行タイミングを、送電動作の開始前の任意のタイミングに変更しても良い。例えば、異物検出処理にて異物無判定が成された後に対象共振回路設定処理及び協働処理を実行することも可能である。
<<第2実施形態>>
本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態は第1実施形態を基礎とする実施形態であり、第2実施形態において特に述べない事項に関しては、矛盾の無い限り、第1実施形態の記載が第2実施形態にも適用される。
第2実施形態に係る電子機器2において、メモリ250(図5参照)には、受電側コイルRLの形状に基づく受電側形状関連情報を不揮発的に記憶するROMが設けられている。受電側形状関連情報は、受電側コイルRLの形状を特定する情報である。
図23(a)及び(b)を参照し、本実施形態では、説明の具体化のため、各送電側コイルTL及び受電側コイルRLはループアンテナを形成しており、各送電側コイルTL又は受電側コイルRLとしてのループアンテナのループ面(コイルの巻き線が配置されている面)において、ループアンテナの外形は概略長方形形状を有しているものとし、その長方形における長辺及び短辺の長さを、夫々、L1及びL2にて表す。尚、上記長方形が正方形である場合、長辺と短辺は同じものを指し、L1及びL2の夫々は正方形の一辺の長さを表すものとする。ループアンテナとしてのコイル(送電側コイルTL、受電側コイルRL)において、コイルの巻き線は中心軸を中心に巻回されており、従って、当該中心軸はループアンテナのループ面に直交する。そして、受電側形状関連情報は、受電側コイルRLの長辺及び短辺の長さL1及びL2を示す情報を含んでいるとする。
また、給電機器1のメモリ150には、送電側形状関連情報を不揮発的に記憶するROMが設けられている。送電側形状関連情報は、共振回路TT[1]〜TT[n]の送電側コイルTLの形状に基づく情報であって、送電側コイルTLごとに送電側コイルTLの形状を特定する情報を含む。送電側形状関連情報は、共振回路TT[1]〜TT[n]の各送電側コイルTLの長辺及び短辺の長さL1及びL2を示す情報を含んでいるものとする。尚、共振回路TT[i]の送電側コイルTLを特に“TL[i]”にて参照することがある(図13参照)。
第2実施形態に係る制御回路160は、送電動作の実行に先立って電子機器2からNFC通信により受電側形状関連情報を取得し、送電側形状関連情報をも参照しつつ、受電側形状関連情報に基づいて、電力伝送の伝送効率が最大となると推測される送電側コイルTLを送電側コイルTL[1]〜TL[n]の中から特定(選択)し、特定(選択)した送電側コイルTLを含む共振回路TTを対象共振回路に設定する。
図24を参照し、電力伝送の伝送効率が最大となると推測される送電側コイルTLを送電側コイルTL[1]〜TL[n]の中から特定(選択)する方法を説明する。制御回路160は、送電側コイルTL[1]の中心軸と受電側コイルRLの中心軸が一致しており、且つ、送電側コイルTL[1]及び受電側コイルRLの長辺同士が対向し合うように送電側コイルTL[1]のループ面と受電側コイルRLのループ面が平行に配置され、且つ、それらのループ面間の距離が所定距離dREFであって、且つ、送電側コイルTL[1]及び受電側コイルRL間が空気で満たされていると仮定した上で、送電側コイルTL[1]の長辺及び短辺の長さL1及びL2と受電側コイルRLの長辺及び短辺の長さL1及びL2とに基づき、送電側コイルTL[1]と受電側コイルRLとの間の結合係数(磁気的な結合係数)を導出する。上記仮定の下で、2つのコイルの形状が定まれば公知の演算式により結合係数を導出可能である。送電側コイルTL[1]についての結合係数の導出について述べたが、送電側コイルTL[1]〜TL[n]の夫々について、送電側コイルTL及び受電側コイルRL間の結合係数が導出される。導出された送電側コイルTL[i]と受電側コイルRLとの間の結合係数を記号CF[i]にて表す。
実際の電子機器2の配置状態に応じて実際の結合係数は様々となるが、上記の如く導出された結合係数が大きくなる送電側コイルTLを用いて電力伝送を行った方が、電力の伝送効率は高くなると推測される。このため、制御回路160は、導出した結合係数CF[1]〜CF[n]の内、最大の結合係数に対応する送電側コイルTLを含む共振回路TTを対象共振回路に設定する。即ち例えば、結合係数CF[1]〜CF[n]の中で、結合係数CF[1]が最大であれば共振回路TT[1]を対象共振回路に設定し、結合係数CF[2]が最大であれば共振回路TT[2]を対象共振回路に設定する。
対象共振回路の設定方法が異なる点を除き、第2実施形態は第1実施形態と同様である。対象共振回路の設定方法の変更に伴い、第2実施形態において、図17に示したような対象共振回路設定処理及び協働処理の実行は不要となる。尚、送電側コイルTL及び受電側コイルRLの外形形状が長方形であることを想定したが、それらの一方又は双方の外形形状が長方形以外(例えば円形)である場合にも、上述の主旨に従って結合係数を求めれば良い。例えば、送電側コイルTL[1]及び受電側コイルRLが空気を挟んで所定距離dREFだけ離間して配置されていると仮定したときにおいて、送電側コイルTL[1]及び受電側コイルRL間の結合係数がとりうる最大値を、結合係数CF[1]として導出すれば良い。他の送電側コイルTLと受電側コイルRLとの間の結合係数についても同様である。
図25は、第2実施形態に係る給電機器1の全体的な動作フローチャートである。図25のフローチャートは、図21のフローチャートの一部が変形されたものであり、ここでは両者間の相違点にのみ注目して、重複する部分の説明を原則として省略する。給電機器1では、ステップS101〜S104の後、図21に示すステップS105〜S107の処理を行ことなく、ステップS108に進む。但し、ステップS103で受信する応答信号520には受電側形状関連情報が含まれている。ステップS108に進むとステップS108〜S114の処理を経てステップS115Aに進む。ステップS115Aにおいて、制御回路160は、第2実施形態にて上述した方法に従い、受電側形状関連情報を用いて対象共振回路を設定し、切り替え回路110の制御を通じて送電回路130を対象共振回路に接続する。ステップS116〜S118の処理を含む対象共振回路の設定後の動作は、第1実施形態と同様である。
図26は、第2実施形態に係る電子機器2の全体的な動作フローチャートである。図26のフローチャートは、図22のフローチャートの一部が変形されたものであり、ここでは両者間の相違点にのみ注目して、重複する部分の説明を原則として省略する。電子機器1では、ステップS201〜S203の後、図22に示すステップS204〜S206の処理を行ことなく、ステップS207に進む。但し、電子機器2の制御回路260は、ステップS203で送信する応答信号520に受電側形状関連情報を含める。ステップS207に進んだ後の動作は、第1実施形態と同様である。
尚、受電側形状関連情報は、その情報から制御回路160が受電側コイルRLの形状を特定できるのでれば、どのような情報であっても良い。例えば、受電側コイルRLがアンテナコイルAT1と同じ形状を有していて、制御回路160がアンテナコイルAT1の形状を予め認識しているのであれば、受電側コイルRLの形状がアンテナコイルAT1と同じであることを示す情報が受電側形状関連情報であっても良い。受電側コイルRLがアンテナコイルAT2等と同じ形状を有している場合も同様である。
また例えば、送電側コイルTL[1]がアンテナコイルAT1と同一の形状を有していて、且つ、受電側コイルRLの形状がアンテナコイルAT1と同じであることを示す情報が受電側形状関連情報に含まれている場合には、結合係数を導出するまでも無く、共振回路TT[1]を対象共振回路に設定して良い。
これについて更に説明を加える。典型的な例として、“n=6”であって且つ送電側コイルTL[1]〜TL[6]が夫々アンテナコイルAT1〜AT6と同一の形状を有している場合を考える。この場合において、電子機器2の受電側コイルRLの形状がアンテナコイルAT1〜AT6の何れかと同じに限定されるような仕様が非接触給電システムにて定められているとしたならば、受電側形状関連情報は、受電側コイルRLの形状がアンテナコイルAT1〜AT6の何れの形状と同じであるのかを特定する情報であれば足る。制御回路160は、受電側コイルRLの形状がアンテナコイルAT1の形状と同じであることを示す受電側形状関連情報が受信されたならば、共振回路TT[1]を対象共振回路に設定すれば良く、受電側コイルRLの形状がアンテナコイルAT2の形状と同じであることを示す受電側形状関連情報が受信されたならば、共振回路TT[2]を対象共振回路に設定すれば良い。受電側コイルRLの形状がアンテナコイルAT3等の形状と同じである場合も同様である。
また本実施形態に係る方法にて対象共振回路を設定して送電動作を開始した後、送電動作中に検出される受電電力が異常に小さいと制御回路260にて判断される場合には、その旨を示す信号を電子機器2から給電機器1に伝達するようにしても良い。そして、その信号が給電機器1にて受信されたときには、第1実施形態にて述べた方法にて共振対象回路を設定し直すと良い。
<<第3実施形態>>
本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態は第1及び第2実施形態を基礎とする実施形態であり、第3実施形態において特に述べない事項に関しては、矛盾の無い限り、第1又は第2実施形態の記載が第3実施形態にも適用される。尚、第3実施形態において、給電機器1に設けられる共振回路TTの個数は3以上であるとする。
対象共振回路に含まれる送電側コイルTLは、対象送電側コイルと称され得る。制御回路160は、受電側形状関連情報に基づき、送電側コイルTL[1]〜TL[n]の一部であって且つ2以上の送電側コイルTLの夫々を対象送電側コイルの候補として特定し、対象送電側コイルの候補を含む共振回路TTの夫々を、対象共振回路の候補として抽出するようにしても良い。
例えば、第2実施形態に示した方法に従って結合係数CF[1]〜CF[n]を導出した後、制御回路160は、結合係数CF[1]〜CF[n]における最大値を特定する。ここで、最大値を持つ結合係数(以下、最大結合係数とも言う)が2以上ある場合、2以上の最大結合係数に対応する2以上の送電側コイルTLを対象送電側コイルの候補に含める。また、最大結合係数と異なる結合係数(以下、非最大結合係数という)を最大結合係数と比較し、最大結合係数との差が所定値CFTH以下の非最大結合係数に対応する送電側コイルTLも対象送電側コイルの候補に含める。
より具体的には例えば、“n=6”且つ(CF[1],CF[2],CF[3],CF[4],CF[5],CF[6])=(0.91,0.85,0.60,0.53,0.42,0.27)且つ“CFTH=0.1”であるとき、CF[1]が最大結合係数であるのでCF[1]に対応する送電側コイルTL[1]は無条件に対象送電側コイルの候補に含められる。CF[2]〜CF[6]が非最大結合係数であるが、CF[2]に関しては、最大結合係数(CF[1])との差が所定値CFTH以下であるため、CF[2]に対応する送電側コイルTL[2]も対象送電側コイルの候補に含められる。CF[3]〜CF[6]に関しては、最大結合係数(CF[1])との差が所定値CFTHを超えるため、それらに対応する送電側コイルTL[3]〜TL[6]は対象送電側コイルの候補に含められない。結果、対象送電側コイルの候補としての送電側コイルTL[1]を含む共振回路TT[1]及び対象送電側コイルの候補としての送電側コイルTL[2]を含む共振回路TT[2]が、対象共振回路の候補(計2つの候補)として抽出される。
上記数値例の下、仮に“CFTH=0.03”であったならば、対象送電側コイルの候補は送電側コイルTL[1]のみとなるため、送電側コイルTL[1]を含む共振回路TT[1]を対象共振回路に設定すれば良いが、対象共振回路の候補が2以上抽出されたとき、第1実施形態で述べた対象共振回路設定処理を用いて、その2以上の候補の中から対象共振回路を最終決定する。
即ち、対象共振回路の候補として2以上の共振回路TTが抽出された場合、候補ごとにステップS32及びS33並びにS42及びS43の処理(図17参照)を行うことにより候補ごとに受電電力値を取得し、候補ごとに得られた受電電力値に基づく電力関連情報(電力関連情報信号)の送受信を通じて、1つの対象共振回路を設定すれば良い。
より具体的には例えば、対象送電側コイルの候補としての送電側コイルTL[1]を含む共振回路TT[1]及び対象送電側コイルの候補としての送電側コイルTL[2]を含む共振回路TT[2]が、対象共振回路の候補(計2つの候補)として抽出された場合には、図17のステップS34及びS44における“n”が“2”であるとみなして、図17の処理が実行されれば足る。この結果、“PW[1]>PW[2]”であることを特定する電力関連情報が生成及び取得されたならば共振回路TT[1]を対象共振回路に設定すれば良く、“PW[1]<PW[2]”であることを特定する電力関連情報が生成及び取得されたならば共振回路TT[2]を対象共振回路に設定すれば良い。
図27を参照し、上述の方法は以下のようにも表現できる。
給電機器1では共振回路TT[1]〜TT[n]の何れかである対象共振回路を用いて送電動作が行われる。上述の如く、対象共振回路に含まれる送電側コイルTLは対象送電側コイルと称され得る。
制御回路160は、送電側形状関連情報も適宜参照しつつ受電側形状関連情報に基づき、原則として、送電側コイルTL[1]〜TL[n]の中から1つの送電側コイルを対象送電側コイルに選択するが(ステップS311及びS312のNを経由してS315)、送電側コイルTL[1]〜TL[n]の中から2以上の送電側コイルTLを対象送電側コイルの候補として選択するときがある(ステップS311及びS312のY)。
制御回路160は、2以上の送電側コイルTLを対象送電側コイルの候補として選択した場合、当該2以上の送電側コイルTLに対し評価用交流信号を送電回路130から順次供給させることで、各々の候補を用いた試験送電を個別に行う(ステップS313)。当該2以上の送電側コイルに評価用交流信号を供給したときの受電側コイルRLの各受電電力が電子機器2にて検出される(即ち、各々の試験送電における受電電力が個別に検出される)(ステップS313)。検出された受電電力に基づく電力関連情報が通信により給電機器1に伝達され、制御回路160は、取得した電力関連情報に基づき、対象送電側コイルの候補としての2以上の送電側コイルTLの中から1つの対象送電側コイルを選択する(ステップS314)。選択された対象送電側コイルを含む共振回路TTが対象共振回路に設定されることになる。電力関連情報は、第1実施形態で述べたように、候補としての2以上の送電側コイルTLに個別に評価用交流信号を供給したときに検出される、受電側コイルRLでの2以上の受電電力の内、最大の受電電力に対応する送電側コイルTLを特定する情報を含む。
<<第4実施形態>>
本発明の第4実施形態を説明する。第1〜第3実施形態に適用可能な幾つかの変形例等を第4実施形態にて説明する。
電力伝送前の異物検出処理の後、認証信号570及び応答信号580の送受信を行う流れを上述したが(図19等参照)、これらの送受信は省略されても良い。この場合、電子機器2では、応答信号540の送信タイミングにてfO変更/短絡動作の実行を開始すると共に、タイマを用いて応答信号540の送信タイミングからの経過時間を計測し、当該経過時間が所定時間tMに達した時点でfO変更/短絡動作を停止させると共に共振回路RRを受電回路230に接続する。一方、給電機器1では、応答信号540を受信すると、タイマを用いて応答信号540の受信タイミングからの経過時間を計測開始すると共に、応答信号540の受信タイミングを起点として異物検出処理を実行開始する。そして、計測した経過時間が所定時間tMに達したとき、更に所定のガード時間の経過を待ってから、異物無判定が成されたことを条件に電力伝送590を開始する。所定時間tMにて異物検出処理が完了するようにtMの値が定められている。給電機器1のタイマによる時間計測と電子機器2のタイマによる時間計測との誤差等を考慮して、ガード時間が設けられている。
上述の各実施形態では、対象共振回路設定処理で用いられる複数の送電側共振回路TTと、異物検出処理で用いられる複数の送電側共振回路TTとが、完全に一致しているが、本発明はこれに限定されず、前者の複数の送電側共振回路TTと後者の複数の送電側共振回路TTは部分的に一致しているものであっても良い。例えば、対象共振回路設定処理が上述の如く共振回路TT[1]〜TT[n]を用いて実現される場合において、異物検出処理は、共振回路TT[1]〜TT[n]の内、共振回路TT[1]〜TT[n]の一部であって且つ共振回路TT[1]〜TT[n]に含まれる2以上の共振回路TTを用いて(例えば、“n=3”の条件の下、共振回路TT[1]及びTT[2]のみを用いて)行われるものであっても良い。
給電機器1に設けられる複数の送電側コイルTLは、共通の平面内に配置されても良い。例えば、アンテナコイルAT1、AT3及びAT6と同一の形状を有する3つの送電側コイルTLを送電側コイルTL[1]〜TL[3]として共通の平面内に設ける場合、図28に示すような第1構成を採用できる。図28は第1構成に係る単層の基板SUBaの概略的な平面図である。
即ち、単層の基板SUBaの表面に3つのアンテナパターンとして、アンテナコイルAT1、AT3及びAT6を形成する。ここで、アンテナコイルAT1、AT3及びAT6の内、アンテナコイルAT1の大きさが最も大きく、アンテナコイルAT6の大きさが最も小さい。そこで、基板SUBaの表面において、アンテナコイルAT1のアンテナパターンの内側にアンテナコイルAT3のアンテナパターンを形成し、更に、アンテナコイルAT3のアンテナパターンの内側にアンテナコイルAT6のアンテナパターンを形成する。各アンテナパターンの両端は、基板SUBaに形成された貫通ビア及び基板SUBaの裏面のパターンを利用して、アンテナコイルAT1としてのアンテナパターンの外側(基板SUBaの外側を含む)に引き出される。
或いは、給電機器1に設けられる複数の送電側コイルTLは、互いに異なる平面内に配置されても良い。例えば、アンテナコイルAT1、AT3及びAT6と同一の形状を有する3つの送電側コイルTLを送電側コイルTL[1]〜TL[3]として互いに異なる3つの平面内に設ける場合、図29に示すような第2構成を採用できる。図29は第2構成に係る多層基板SUBbの概略的な断面図である。
即ち、3つの基板SUB1〜SUB3を含む複数の基板を積層して構成された多層基板SUBbを給電機器1に設けておく(各基板は樹脂材料にて形成されるが、図29の断面図では、図示の煩雑化のため、各基板に対するハッチングを付与していない)。ここでは、基板SUB1を最上層側に配置し且つ基板SUB3を最下層側に配置するものとする。故に、基板SUB1と基板SUB3との間に基板SUB2が挟み込まれることになる。そして例えば、基板SUB1及びSUB2間に形成される第1の内層にアンテナコイルAT3としてのアンテナパターンを形成し、基板SUB2及びSUB3間に形成される第2の内層にアンテナコイルAT1としてのアンテナパターンを形成し、多層基板SUBbの最上層に相当する基板SUB1上の層(基板SUB1の両面の内、基板SUB2に対向しない側の面に形成されるパターン層)にアンテナコイルAT6としてのアンテナパターンを形成する。このとき、多層基板SUBbの各面に直交する方向から各アンテナパターンを見たときに、アンテナコイルAT1としてのアンテナパターンの外形内にアンテナコイルAT3としてのアンテナパターンの外形が内包され且つアンテナコイルAT3としてのアンテナパターンの外形内にアンテナコイルAT6としてのアンテナパターンの外形が内包される。図29には示していないが、各アンテナパターンの両端は、基板SUBbに形成された層間接続ビア(貫通ビアやブラインドビアを含む)及び多層基板SUBbにおける任意の層(最下層を含む)のパターンを利用して、アンテナコイルAT1としてのアンテナパターンの外側(基板SUBbの外側を含む)に引き出される。尚、図29におけるアンテナパターンの並びは例示であり、何れの層にどのアンテナパターンを形成するのかは任意である。
<<本発明の考察>>
上述の各実施形態にて具体化された本発明について考察する。
本発明の一側面に係る送電装置WA1は、受電側コイルが設けられた受電装置(2)と通信可能であるとともに前記受電装置に対し磁界共鳴方式で電力を送電可能な送電装置(1)において、互いに形状が異なる第1〜第n送電側コイルと(nは2以上の整数)、前記第1〜第n送電側コイルの何れかに交流信号を供給可能な送電回路(130)と、前記第1〜第n送電側コイルの中から選択した対象送電側コイルに対して前記送電回路から送電用交流信号を供給させる送電動作を実行可能な制御回路(160)と、を備え、前記制御回路は、前記送電動作の実行前に、評価用交流信号を前記送電回路から前記第1〜第n送電側コイルに順次供給させ、前記評価用交流信号を前記第1〜第n送電側コイルに供給したときの前記受電装置の各受電電力(PW[1]〜PW[n])に基づく電力関連情報を通信により前記受電装置から取得して、取得した前記電力関連情報に基づき前記第1〜第n送電側コイルの中から前記対象送電側コイルを選択することを特徴とする。
これにより、受電側コイルの形状等に適した高効率の電力伝送が可能となる。
具体的には例えば、送電装置WA1において、前記電力関連情報は、前記第1〜第n送電側コイルへの前記評価用交流信号の供給に基づく前記受電装置での第1〜第n受電電力の内、最大の受電電力に対応する送電側コイルを特定する情報を含んでいると良い。
また例えば、送電装置WA1において、前記制御回路は、前記送電動作の実行前に、前記第1〜第n送電側コイルに含まれる複数の送電側コイルを用いて、前記第1〜第n送電側コイルに含まれる送電側コイルの発生磁界に基づき電流が発生させられる異物の存否を検出し、その検出結果に基づき前記送電動作を実行又は非実行とすると良い。
これにより、様々な形状のコイル(アンテナコイル)を持ちうる異物の存否を高精度に検出することが可能となり、その検出結果に基づいて適切な送電制御を行うことが可能となる。典型的には例えば、異物が存在すると判断される場合には送電の実行を禁止するといった制御が可能となり、異物の破損等を回避することができる。この際、電力伝送の高効率化と異物検出の高精度化の実現のために、複数の送電側コイルを兼用できる。
また例えば、送電装置WA1に関し、前記第1〜第n送電側コイル間において、前記形状の相違は大きさの相違を含むものとする。
本発明の一側面に係る非接触給電システムWA2は、上記の送電装置WA1と、受電側コイルが設けられた受電装置と、を備え、前記送電装置及び前記受電装置間において磁界共鳴方式で電力の送受電が可能であることを特徴とする。
非接触給電システムWA2において、例えば、前記受電装置は、前記評価用交流信号が前記第1〜第n送電側コイルに供給されているときの、前記受電側コイルによる受電電力を順次検出する受電電力検出回路(231)を備え、その検出結果に基づき前記電力関連情報を生成すると良い。
本発明の一側面に係る送電装置WB1は、受電側コイルが設けられた受電装置(2)と通信可能であるとともに前記受電装置に対し磁界共鳴方式で電力を送電可能な送電装置(1)において、互いに形状が異なる第1〜第n送電側コイルと(nは2以上の整数)、前記第1〜第n送電側コイルの何れかに交流信号を供給可能な送電回路(130)と、前記第1〜第n送電側コイルの中から選択した対象送電側コイルに対して前記送電回路から送電用交流信号を供給させる送電動作を実行可能な制御回路(160)と、を備え、前記制御回路は、前記送電動作の実行前に、前記受電側コイルの形状に基づく形状関連情報を通信により前記受電装置から取得して、取得した前記形状関連情報に基づき前記第1〜第n送電側コイルの中から前記対象送電側コイルを選択することを特徴とする。
これにより、受電側コイルの形状に適した高効率の電力伝送が可能となる。
例えば、送電装置WB1において(第3実施形態参照)、前記制御回路は、前記形状関連情報に基づき前記第1〜第n送電側コイルの中から2以上の送電側コイルを前記対象送電側コイルの候補として選択することが可能であり、前記2以上の送電側コイルを選択した場合、評価用交流信号を前記送電回路から前記2以上の送電側コイルに順次供給させ、前記評価用交流信号を前記2以上の送電側コイルに供給したときの前記受電装置の各受電電力に基づく電力関連情報を通信により前記受電装置から取得して、取得した前記電力関連情報に基づき前記2以上の送電側コイルの中から前記対象送電側コイルを選択しても良い。
これにより、形状関連情報を基礎としつつも、実際の受電電力に基づき、実際に高効率を達成できる送電側コイルを用いて電力伝送を行うことが可能となる。
この際、送電装置WB1において、前記電力関連情報は、前記2以上の送電側コイルへの前記評価用交流信号の供給に基づく前記受電装置での2以上の受電電力の内、最大の受電電力に対応する送電側コイルを特定する情報を含んでいると良い。
また例えば、送電装置WB1において、前記制御回路は、前記送電動作の実行前に、前記第1〜第n送電側コイルに含まれる複数の送電側コイルを用いて、前記第1〜第n送電側コイルに含まれる送電側コイルの発生磁界に基づき電流が発生させられる異物の存否を検出し、その検出結果に基づき前記送電動作を実行又は非実行とすると良い。
これにより、様々な形状のコイル(アンテナコイル)を持ちうる異物の存否を高精度に検出することが可能となり、その検出結果に基づいて適切な送電制御を行うことが可能となる。典型的には例えば、異物が存在すると判断される場合には送電の実行を禁止するといった制御が可能となり、異物の破損等を回避することができる。この際、電力伝送の高効率化と異物検出の高精度化の実現のために、複数の送電側コイルを兼用できる。
また例えば、送電装置WB1に関し、前記第1〜第n送電側コイル間において、前記形状の相違は大きさの相違を含むものとする。
本発明の一側面に係る非接触給電システムWB2は、上記の送電装置WB1と、受電側コイルが設けられた受電装置と、を備え、前記送電装置及び前記受電装置間において磁界共鳴方式で電力の送受電が可能であることを特徴とする。
例えば、非接触給電システムWB2において、前記受電装置は、前記形状関連情報を記憶する記憶部を備えていると良い。
本発明の一側面に係る非接触給電システムWB3は、上記の送電装置WB1と、受電側コイルが設けられた受電装置と、を備え、前記送電装置及び前記受電装置間において磁界共鳴方式で電力の送受電が可能であり、前記受電装置は、前記形状関連情報を記憶する記憶部と、前記評価用交流信号が前記第2以上の送電側コイルに供給されているときの、前記受電側コイルによる受電電力を順次検出する受電電力検出回路(231)を備え、その検出結果に基づき前記電力関連情報を生成することを特徴とする。
尚、上述の各実施形態における給電機器1そのものが本発明に係る送電装置として機能しても良いし、上述の各実施形態における給電機器1の一部が本発明に係る送電装置として機能しても良い。同様に、上述の各実施形態における電子機器2そのものが本発明に係る受電装置として機能しても良いし、上述の各実施形態における電子機器2の一部が本発明に係る受電装置として機能しても良い。
<<変形等>>
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。上述の実施形態に適用可能な注釈事項として、以下に、注釈1〜注釈3を記す。各注釈に記載した内容は、矛盾なき限り、任意に組み合わせることが可能である。
[注釈1]
上述の実施形態では、各種の信号の周波数や共振周波数を、基準周波数としての13.56MHzに設定することを述べたが、13.56MHzは設定の目標値であって、実際の機器における、それらの周波数には誤差が含まれる。
[注釈2]
本発明をNFCの規格に沿って具現化したものを実施形態中に示したため、基準周波数が13.56MHzであると述べたが、基準周波数は13.56MHz以外でも構わない。これに関連するが、本発明が適用される給電機器及び電子機器間の通信及び電力伝送は、NFC以外の規格に沿った通信及び電力伝送であっても良い。
[注釈3]
本発明に係る受電装置又は送電装置である対象装置を、集積回路等のハードウェア、或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって構成することができる。対象装置にて実現される機能の全部又は一部である任意の特定の機能をプログラムとして記述して、該プログラムを対象装置に搭載可能なフラッシュメモリに保存しておいても良い。そして、該プログラムをプログラム実行装置(例えば、対象装置に搭載可能なマイクロコンピュータ)上で実行することによって、その特定の機能を実現するようにしてもよい。上記プログラムは任意の記録媒体に記憶及び固定されうる。上記プログラムを記憶及び固定する記録媒体は対象装置と異なる機器(サーバ機器等)に搭載又は接続されても良い。