JP6403448B2 - 電気式人工喉頭 - Google Patents

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Description

本発明は、電気式人工喉頭に関する。
健常者は、自らの呼気が喉頭(声門)を経由する際に声帯を振動させることにより音を発生させ、その音の周波数成分を舌・顎や唇などの調音器官で変えることにより様々な発話を行っている。この声帯の振動により発生される音は、発話の基となる音であることから、「喉頭原音」などと呼ばれる。
これに対し、喉頭を摘出してしまった喉頭摘出者は、通常であれば自らの意思による発声は不可能であるが、調音器官さえ残存していれば、人工的に作り出した音を喉頭原音の代わりに口腔内で発生させ、または、口腔内へ送り込んでやることにより、不完全ながらも発声ができるようになる。
このような喉頭原音の代わりとなる音を人工的に作り出す装置の一つに電気式人工喉頭がある。電気式人工喉頭は、喉頭原音の代わりとなる音を、機械的、または、電気機械的に生成し、その音を頸部の振動などを通じて口腔内に導くことによって、喉頭摘出者自らによる発声を支援する。この種の電気式人工喉頭の中には、振動板と、その振動板を振動させて口腔内に音を発生させる、もしくは音を口腔内に導くためのボイスコイルモータとを搭載し、振動板の振動の周期や強度を変化させることによって、発生する音に変化をつけているものがある。
例えば、特許文献1に開示された電気式人工喉頭では、利用者の呼吸、筋電位等の生体情報に基づいて音響変換機器から出力する代用音源の基本周波数や音量を制御することによって、アクセントやイントネーションを表現したり、声の大きさを変化させたり、歌を歌ったりすることが可能になっている。
また、特許文献2に開示された電気式人工喉頭では、音を発生させるための基本となるパルス信号の波形に、周期または/およびデューティー比の微小変化を与えて得られる一連のパルス信号に応じた駆動をさせることで、声の自然性の向上、または個人性を付与し得るような仕組みを提供することが可能になっている。
特開平08−24688号 特許第4940408号
ところで、健常者の声は、同じ声の大きさや高さで発声し続けるつもりで発せられている間も、その波形の基本周期や音圧は微小に変化している。一方、特許文献1に開示された電気式人工喉頭は、生成する音が決まると、その音に応じて予め設定された一定の強度および周期の打撃音が継続するため、発生する声は人工的で不自然な印象を与えるものになり、誰が利用しても同じような声にしかならないという課題がある。
また、特許文献2に開示された電気式人工喉頭では、パルス信号の周期およびデューティー比を、健常者あるいは喉頭摘出手術前の患者等から録音された音声の音波形を基に取得するようにしているため、受聴者に生理的に受け入れやすい微小変化を与えることができ、人間の声帯から発生する音により近い音を再現することができる。
しかしながら、特許文献2に開示された電気式人工喉頭であっても、出力させる音に、声道による共鳴の影響等については考慮されていないため、利用者等の特定の肉声に近い声を再現することができないという課題がある。
本発明は、このような背景の下に案出されたものであり、利用者等の特定の肉声に近い声を再現することができる電気式人工喉頭を提供することを目的とする。
本発明に係る電気式人工喉頭は、特定の肉声データを人の構音器官の共鳴特性に適した次数分、繰り返し線形予測を実行して算出された喉頭原音データを記憶する記憶部と、利用者の操作に応じて喉頭原音データの周期およびピーク値を制御する制御部と、制御部により制御された音データに基づく音を出力させる音出力部と、筐体の表面に設けられ利用者が操作して喉頭原音データのピーク値を指示する音量操作スイッチと、筐体の表面に設けられ利用者が操作して喉頭原音データの周期を指示する感圧センサーと、喉頭原音データを生成する原音生成装置からの喉頭原音データを受信する受信部と、を備え、制御部は、受信部で受信した喉頭原音データを記憶部に記憶させることを特徴とする。
また、上述した構成に加えて、音出力部は、コイルと振動板が一体化されているボイスコイルモータを有すると共に、人体に接触すると電気式人工喉頭の電源をONとするための信号を制御部に供給する電極とを有し、電極は、ボイスコイルモータを保持する筐体の表面に設けられるようにしてもよい。
また、上述したいずれかの構成に加えて、制御部は、喉頭原音データの波形を波高軸方向のプラス方向またはマイナス方向のいずれかにシフトさせ、そのシフトさせたシフトデータに基づく喉頭原音を音出力部から出力させるようにしてもよい。
また、上述したいずれかの構成に加えて音出力部と一体化され、これらの位置および傾きを調整可能な貫通孔を有する保持部材と、貫通孔に差し込まれる円柱形状のロッドと、ロッドの両端にそれぞれ設けられ、利用者の頸部付近に音出力部を固定する固定用パッドと、固定用パッドから延伸し、音出力部および固定用パッドと利用者の首の表面との密着具合を調整する調整部材を備えるようにしてもよい。
また、上述した構成に加えて、音出力部を2以上有し、それぞれの音出力部と一体化された貫通孔にロッドが通されており、利用者の首の表面にそれぞれの音出力部を密着させることができるように構成されていることようにしてもよい。
また、上述した構成に加えて、制御部は、2以上の音出力部へ供給するパルス信号や喉頭原音データの周波数を同一周波数となるように同期させる制御、倍音周波数の関係となる制御、あるいは異なる周波数となる制御のうち、少なくともいずれか1つの制御をするようにしてもよい。
本発明によると、利用者等の特定の肉声に近い声を再現することができる電気式人工喉頭を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る電気式人工喉頭10Aと、利用者等の特定の肉声データに線形予測分析等の所定の処理を実行して得られた声の元となる音データを電気式人工喉頭10Aに提供する原音生成装置20とを含むシステムを説明するための図である。 喉頭原音データ20Aの生成方法の一例を示すフローチャートである。 音声波形を示す図であり、(A)は、利用者の声の音声波形を示す図と、(B)は、録音音声データ22Aに線形予測分析等の処理をして再現された声の音声波形を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る電気式人工喉頭10Bの外観を示す図である。 図4の電気式人工喉頭10Bの使用例を示す図である。 本発明の第3実施形態に係る電気式人工喉頭10Cの外観を示す図である。 図6に示す電気式人工喉頭10Cの使用例を示す図である。 本発明の第4実施形態に係る電気式人工喉頭10Dの外観を示す図である。 図9に示す電気式人工喉頭10Dの使用例を示す図である。 図8に示すボイスコイルモータ32Dの拡大図である。 図10のボイスコイルモータ32Dの他の形態を示す図である。 音声波形を示す図であり、(A)は原音データを示し、(B)は波形シフト後の原音データを示す図である。 本発明の第5実施形態に係るハンズフリー音源部50、50Aを示す図である。 図13の(B)に示すハンズフリー音源部51A,51Bの装着例を示す図である。 図13の(B)に示すハンズフリー音源部51A,51Bと、ハンズフリー音源部51A,51Bに喉頭原音を供給する専用装置60とを示す図である。
以下、本発明の各実施形態について説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る電気式人工喉頭10Aと、利用者等の特定の肉声データに線形予測分析(LPC:Linear Predictive Coding)等の所定の処理を実行して得られた声の元となる音データ(以下、「喉頭原音データ」という。)を電気式人工喉頭10Aに提供する原音生成装置20とを含むシステムを説明するための図である。
図1に示すように、電気式人工喉頭10Aは、原音生成装置20から提供された喉頭原音データ20Aに基づく音(以下、「喉頭原音」という。)を、利用者の口腔内で人工的に発生させる、もしくは人工的に発生させた喉頭原音を利用者の口腔内に導くものである。その結果、利用者の舌・顎や唇などの調音器官を通じてその喉頭原音の周波数成分に変化が加えられ、利用者の口から本来の声に非常に近い声が発せられる。
原音生成装置20は、利用者本人の声を録音した録音音声データ22Aから喉頭原音データ20Aを生成すると共に、生成した喉頭原音データ20Aを電気式人工喉頭10Aに供給するものである。原音生成装置20では、録音音声データ22Aに線形予測分析を含む所定の処理を行うことで、声道による共鳴の影響を受ける前の音に近似させている。なお、利用者本人の声が直接使用できない場合には、喉頭を摘出する前の利用者本人の声や、利用者の親兄弟や親戚等の声を録音したものを録音音声データ22Aとして用いるようにしてもよい。
電気式人工喉頭10Aは、図1に示すように、制御部11と、増幅回路12と、音出力部13と、第1のセンサー部14と、第2のセンサー部15、記憶部16および受信部17を有している。
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などを有する。この制御部11は、記憶部16に記憶される喉頭原音データ16Aと、第1のセンサー部14または第2のセンサー部15で検出された値に応じて増幅回路12の動作を制御することにより、喉頭原音の周波数や音量を変化させることができる。
増幅回路12は、制御部11による制御の下、喉頭原音データ16Aの音量、音質をコントロールすると共に、音出力部13を駆動させる回路である。
音出力部13は、たとえばスピーカ等で構成され、増幅回路12で増幅された喉頭原音データ16Aに基づく音を出力させる。
第1のセンサー部14は、喉頭原音データ16Aの出力音量を調整するためのセンサーであり、たとえば、感圧センサー、可変抵抗、呼気センサー等で構成される。制御部11は、第1のセンサー部14で検出された値(音量データ14A)に基づいて喉頭原音の音量を調整する。
第2のセンサー部15は、喉頭原音データ16Aの再生周期および/またはピーク値を調整するためのセンサーであり、たとえば、感圧センサー、可変抵抗、呼気センサー等で構成される。制御部11は、第2のセンサー部15で検出された値(周波数データ15A)に基づいて喉頭原音の再生周期および/またはピーク値を調整する。具体的には、喉頭原音データ16Aには略同一形状を有する基本波形が所定の周期で繰り返されており、制御部11が、周波数データ15Aに応じて、所定の周期の再生間隔や基本波形の毎の正側あるいは負側のピーク値を調整することができる。
記憶部16は、たとえば、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)などのメモリである。記憶部16には、受信部17を介して原音生成装置20から供給された喉頭原音データ20Aを喉頭原音データ16Aとして格納する。
原音生成装置20は、図1に示すように、利用者等の特定の肉声を電気信号に変換するマイク21を有しており、マイク21によって変換された電気信号を不図示のサンプリング回路にてサンプリングして記録媒体22に録音音声データ22Aが生成される。生成された録音音声データ22Aは、内蔵されている記録媒体22に記憶される。
記録媒体22に記憶された録音音声データ22Aは、利用者等が自然に発話した母音(たとえば、「あ」、「い」、「う」、「え」、「お」)を所定の周期でサンプリングされたものであり、そのサンプリングした録音音声データ22Aに対して線形予測分析(LPC:Linear Predictive Coding)を含む所定の処理を施すことによって喉頭原音データ20Aが生成される。
図2は、喉頭原音データ20Aの生成方法の一例を示すフローチャートである。なお、原音生成装置20では、既に録音音声データ22Aが生成されて記録媒体22に記憶されているものとする。
原音生成装置20では、喉頭原音データ20Aの生成指示があると、以下の処理を開始する(START)。なお、録音音声データ22Aが記録媒体22に記録されると喉頭原音データ20Aの生成処理が自動的に開始されるようにしてもよい。
原音生成装置20の不図示の生成処理部は、録音音声データ22Aに窓関数をかける処理を実行する(STEP1)。窓関数は、ある有限区間以外で0となる関数である。すなわち、ある関数や信号(データ)に窓関数が掛け合わせられると、区間外は0になり、有限区間内だけが残るので、数値解析が容易になるという効果がある。
生成処理部は、録音音声データ22AにSTEP1の窓関数を掛け合わせて求められた値に基づいて、自己相関関数を求める処理を実行する(STEP2)。自己相関(Autocorrelation)とは、信号処理において時間領域信号等の関数または数列を解析するためにしばしば用いられるものであり、時間シフトの大きさの関数として表される。自己相関は、信号に含まれる繰り返しパターンを探すのに有用であり、例えば、ノイズに埋もれた周期的信号の存在を判定するために用いられる。
生成処理部は、STEP2の自己相関関数で求められた周期的信号に基づいて、人間の構音器官の共鳴特性に適した次数分、繰り返し線形予測を実行する(STEP3)。線形予測とは、ある音声に含まれる周期的な特徴を予測して求めることができる手法であり、声道の共鳴は周期的な特徴を持つため、求められた線形予測値に対して残差を求めることで声道での共鳴の影響を受ける前の音、すなわち喉頭源音に近似した音を得ることができる。
生成処理部は、STEP3で求められた線形予測結果から録音音声データ22Aとの残差信号を算出する(STEP4)。
そして、生成処理部は、STEP4で算出した残差信号を積分する(STEP5)。
生成処理部は、STEP5で積分して求められた値を増幅させて喉頭原音データ16Aを生成して(STEP6)、本処理を完了する(END)。
図3は、音声波形を示す図であり、(A)は、利用者の声の音声波形を示す図と、(B)は、録音音声データ22Aに線形予測分析等の処理をして再現された声の音声波形を示す図である。図3の(A)と(B)の音声波形を比較すると、線形予測分析をして再現された喉頭原音データ16Aに基づく音声波形と、利用者の声の音声波形とは近似する波形となっている。
以上の処理によって得られた原音生成装置20で生成された喉頭原音データ20Aは、電気式人工喉頭10Aへ供給されると、記憶部16に喉頭原音データ16Aが記憶される。そして、電気式人工喉頭10Aの制御部11は、記憶部16に記憶されている喉頭原音データ16Aを読み出すと共に、音量調整ボタン35および/または感圧スイッチ36の出力に応じて出力音量、あるいは基本周波数の調整をする。これにより、利用者等の元の肉声に近い声を再現することができる。また、利用者が音量調整ボタン35および/または感圧スイッチ36を操作することにより、制御部11により喉頭原音データ16Aの再生周期および/またはピーク値が変化するので、利用者自らの意思で出力音量、声の高さ等の調整を適宜行うことが可能となっている。
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態に係る電気式人工喉頭10Bの外観を示す図である。電気式人工喉頭10Bは、略円筒形状の筐体31と、筐体31と連結されたテーパー形状の音源部32Bとを有している。音源部32Bは、スピーカ33が内蔵されると共に、音源部32Bの先端にはチューブ34が接続されている。チューブ34は、内部が空洞となっており、スピーカ33から出力される音は、このチューブ34の内部空間を伝播して利用者の口腔内(不図示)に届くようになっている。
筐体31は、利用者の掌に収まるサイズの略円筒形状をなしている。筐体31の表面には、音量調整ボタン35、感圧スイッチ36が露出している。音量調整ボタン35は、スピーカ33から出力される音の音量を調整する操作子である。感圧スイッチ36は、スピーカ33から出力される音の周波数を調整する操作子である。なお、筐体31には、音量調整ボタン35あるいは感圧スイッチ36からの入力を受け付けて、喉頭原音データ16Aの音量、あるいは基本周波数を変化させる制御部37と、動力源となる電源38とが内蔵されている。なお、制御部37は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などで構成され、第1実施形態の制御部11と同様の機能を有している。電源38は、例えば、電池であり、制御部37へ電力を供給する。
なお、図示していないが、電気式人工喉頭10Bは、図1の電気式人工喉頭10Aの増幅回路12、音出力部13、および記憶部16に相当する機能も内蔵されている。
図5は、図4の電気式人工喉頭10Bの使用例を示す図である。図5に示すように、利用者は電気式人工喉頭10Bのチューブ34を咥えながら、声を発生させる。これにより、電気式人工喉頭10Bが人工的に発生させた喉頭原音が利用者の口腔内に届き、利用者の舌・顎や唇などの調音器官を通じてその喉頭原音の周波数成分に変化が加えられ、利用者の口から本来の声に非常に近い声が発せられる。また、利用者が音量調整ボタン35および/または感圧スイッチ36を操作することにより、制御部37により喉頭原音データ16Aの再生周期および/またはピーク値が変化するので、利用者自らの意思で出力音量、声の高さ等の調整をすることが可能となっている。
(第3実施形態)
図6は、本発明の第3実施形態に係る電気式人工喉頭10Cの外観を示す図である。図6に示す電気式人工喉頭10Cは、第2実施形態の電気式人工喉頭10Bのようなチューブ34を用いるタイプではなく、利用者の頸部付近に電気式人工喉頭10Bの音源部32Cを直接当てるタイプのものである。
図7は、図6に示す電気式人工喉頭10Cの使用例を示す図である。図6に示すように、利用者は、電気式人工喉頭10Cの音源部32Cを頸部付近に直接当てながら声を発生させる。これにより、電気式人工喉頭10Cの音源部32Cが人工的に発生させた喉頭原音が利用者の頸部から口腔内に直接伝達されると共に、利用者の舌・顎や唇などの調音器官を通じてその喉頭原音の周波数成分に変化が加えられ、利用者の口から本来の声に非常に近い声が発せられる。また、利用者が音量調整ボタン35および/または感圧スイッチ36を操作することにより、制御部37により喉頭原音データ16Aの再生周期および/またはピーク値が変化するので、利用者自らの意思で出力音量、声の高さ等の調整を適宜行うことが可能となっている。
(第4実施形態)
図8は、本発明の第4実施形態に係る電気式人工喉頭10Dの外観を示す図である。図7に示す電気式人工喉頭10Dは、第2実施形態および第3実施形態に係る電気式人工喉頭10B,10Cとは異なり、スピーカ33の代わりにボイスコイルモータ32Dを使用するタイプである。また、ボイスコイルモータ32Dには電源スイッチ用途の電極SWが配置されている。
図9は、図8に示す電気式人工喉頭10Dの使用例を示す図である。利用者は、電気式人工喉頭10Dのボイスコイルモータ32Dを頸部に直接当てながら声を発生させる。これにより、電気式人工喉頭10Cのボイスコイルモータ32Dが人工的に発生させた喉頭原音が利用者の頸部から口腔内に直接伝達されると共に、利用者の舌・顎や唇などの調音器官を通じてその喉頭原音の周波数成分に変化が加えられ、利用者の口から本来の声に非常に近い声が発せられる。また、利用者が音量調整ボタン35および/または感圧スイッチ36を操作することにより、制御部37により喉頭原音データ16Aの再生周期および/またはピーク値が変化するので、利用者自らの意思で出力音量、声の高さ等の調整をすることが可能となっている。
図10は、図8に示すボイスコイルモータ32Dの拡大図である。図10に示すように、ボイスコイルモータ32Dは、両端がN極とS極にそれぞれ着磁された円柱形のマグネットMg、そのマグネットMgを前方および側方から包囲する円筒形のボビン45、ボビン45の外周に巻き回されたコイル46、およびそれらを後方ならびに側方から包囲するヨーク47を有する。このヨーク47は前方が開口しており、その開口する部位を塞ぐように円形ゴム43が張り渡されている。そして、円形ゴム43の一部は、ボビン45と一体となった下振動板49Bに固定されている。なお、円形ゴム43の両側面には、タッチセンサ48がとりつけられている。また、円形ゴム43の中央には、上振動板49Aが配置され、下振動板49Bと円形ゴム43を挟み込むようになっている。尚、上振動板49Aおよび下振動板49Bは、幅の薄い円柱状をなしており、ウレタン系の樹脂により形成されている。
このボイスコイルモータ32Dによる上振動板49Aおよび下振動板49Bの駆動は、フレミングの法則を利用してなされる。つまり、コイル46に喉頭原音データの信号が供給されると、ヨーク47内をスライドするボビン45に加わる磁気力より上方へ押し出されて上振動板49Aおよび下振動板49Bが上下運動するという動作を繰り返し、その結果、上振動板49Aおよび下振動板49Bが振動する。
ボイスコイルモータ32Dのボビン45は、増幅回路12から供給される喉頭原音データの信号の波形に応じた周期および強度で上振動板49Aおよび下振動板49Bを振動させる。よって、利用者が電気式人工喉頭10Dの筐体31を掌に握り、上振動板49Aを自らの頸部付近に押し当てると、上振動板49Aおよび下振動板49Bの振動が頸部から口腔内に伝わって音が発生する。利用者は、舌・顎や唇などの調音器官によってその音の周波数成分を変えることにより、所望の音韻を口から発することができる。そして、この口腔内にて発生する音の基本周期は、ボイスコイルモータ32Dのボビン45が上振動板49Aおよび下振動板49Bを振動させる周期に依存し、また、音圧は、ボビン45が上振動板49Aおよび下振動板49Bを振動させる強度に依存する。
図11は、図10のボイスコイルモータ32Dの他の形態を示す図である。ボイスコイルモータ32Eでは、タッチセンサ部T1を設けており、このタッチセンサ部T1を利用者が触ることで振動するようにしてもよい。また、ボイスコイルモータ32Fでは、ロータリエンコーダ部T2を設けており、このロータリエンコーダ部T2を回転させることで、振動または振動周期/強度を変化させるようにしてもよい。また、ボイスコイルモータ32Gでは、感圧センサ部T3を設けており、この感圧センサ部T3に利用者が触れることで、振動するようにしてもよい。
図12は、音声波形を示す図であり、(A)は原音データを示し、(B)は波形シフト後の原音データを示す図である。図12に示すように、波高軸方向に一定量をシフトさせることで、ボイスコイルモータ32D、E、F,Gのボビン45の振動に対して波形のゆらぎが適切に再現されるようになる。なお、ボイスコイルモータの構造によっては、波形全てをプラス方向やマイナス方向にシフトしなくてもよい。たとえば、8割だけプラス方向にシフトするなども考えられる。
(第5実施形態)
図13は、本発明の第5実施形態に係る電気式人工喉頭を示す図であり、(A)は、ハンズフリー音源部51を有する電気式人工喉頭50Aであり、(B)はハンズフリー音源部51A、51Bを有するタイプの電気式人工喉頭50Bを示す図である。図13の(A)に示すように、電気式人工喉頭50Aは、ハンズフリー音源部51と一体化され、これらの位置および傾きを調整可能な貫通孔を有する保持部材52と、貫通孔に差し込まれる円柱形状のロッド53と、ロッド53の両端にそれぞれ設けられ、利用者の頸部付近にハンズフリー音源部51を固定する固定用パッド54と、固定用パッド54から延伸し、ハンズフリー音源部51および固定用パッド54と利用者の首の表面との密着具合を調整する調整ひも55(調整部材の一例)および留め具56(調整部材の一例)を備える。なお、図13の(B)に示す電気式人工喉頭50Bは、ハンズフリー音源部51Aおよびハンズフリー音源部51Bの2つの音源部を有している構成であるが、それ以外は、電気式人工喉頭50Aと同様の構成であるため、同一の機能については同一符号を付して説明を省略する。
図14は、図13の(B)に示すハンズフリー音源部51A,51Bの装着例を示す図である。利用者は自分の頸部付近にハンズフリー音源部51A,51Bを取り付けている。なお、ハンズフリー音源部51,51A,51Bは頸部に取り付ける関係上、小型化する必要があるため、1つの音源では十分な音量を確保できない恐れがある場合には、電気式人工喉頭50Bに示すように、音源部を左右それぞれに1つ配置する構成を採用することが好ましい。
図15は、図13の(B)に示すハンズフリー音源部51A,51Bに喉頭原音を供給する専用装置60とを示す図である。専用装置60には、喉頭原音データ16Aを保持している制御部11Eと、ハンズフリー音源部51A、51Bそれぞれでの再生周波数の同期、あるいは非同期を制御する同期/非同期制御回路11Bおよび2つの増幅回路12を有している。なお、発明者が騒音計にて30cm離れた所からによる測定した結果によると、音源部を1つ有する電気式人工喉頭50Aの場合では周波数100Hzで74dBであったのに対し、音源部を2つ有する電気式人工喉頭50Bの場合は、81dBという結果となった。これらの測定結果から両者には7dBの差があるので、2つ音源部を設けると音量も約2倍となるという結果が得られた。
以上のような構成とすることにより、電気式人工喉頭50A,50Bでは、円柱状のロッド53上のハンズフリー音源部51,51A,51Bを左右に滑らしたり、上下に傾けることが容易になるため、音源部の位置調整が簡単になる。また、左右2対の固定用パッド54と、固定用パッド54の固定具合を調整できる調整ひも55および留め具56を有しているため、頸部にしっかりと音源部を固定することが可能である。
(他の実施形態)
本発明は、種々の変形実施が可能である。たとえば、上記実施形態においては、制御部11は、記憶部16に記憶されている喉頭原音データ16Aを読み出すと共に、音量調整ボタン35および/または感圧スイッチ36の出力に応じて出力音量、あるいは基本周波数の調整をするようになっている。これに対し、制御部11は、不図示の風量センサー、振動センサー、筋電センサー、静電センサー、脳波センサー、角度センサー、ロータリエンコーダ、感圧センサー、押しボタンのいずれか1つの出力情報またはこれらから複数の出力情報を組み合わせて喉頭原音データ16Aの周期および/またはピーク値を制御させるようにしてもよい。
10,10A,10B,10C,10D,50A,50B…電気式人工喉頭、11,37…制御部、13,33…スピーカ(音出力部の一例)、16A,20A…喉頭原音データ、17…受信部、32B,32C…音源部、32D,E,G…ボイスコイルモータ、51,51A,51B…ハンズフリー音源部(音出力部の一例)、52…保持部材、53…ロッド、54…固定用パッド、55…調整ひも(調整部材の一例)、56…留め具(調整部材の一例)

Claims (6)

  1. 特定の肉声データを人の構音器官の共鳴特性に適した次数分、繰り返し線形予測を実行して算出された喉頭原音データを記憶する記憶部と、
    利用者の操作に応じて前記喉頭原音データの周期およびピーク値を制御する制御部と、
    前記制御部により制御された音データに基づく音を出力させる音出力部と、
    筐体の表面に設けられ利用者が操作して前記喉頭原音データのピーク値を指示する音量操作スイッチと、
    筐体の表面に設けられ利用者が操作して前記喉頭原音データの周期を指示する感圧センサーと、
    前記喉頭原音データを生成する原音生成装置からの喉頭原音データを受信する受信部と、を備え、
    前記制御部は、前記受信部で受信した前記喉頭原音データを前記記憶部に記憶させる
    ことを特徴とする電気式人工喉頭。
  2. 請求項1に記載の電気式人工喉頭であって、
    前記音出力部は、
    コイルと振動板が一体化されているボイスコイルモータを有すると共に、人体に接触すると電気式人工喉頭の電源をONとするための信号を前記制御部に供給する電極とを有し、
    前記電極は、
    前記ボイスコイルモータを保持する筐体の表面に設けられている
    ことを特徴とする電気式人工喉頭。
  3. 請求項2に記載の電気式人工喉頭であって、
    前記制御部は、
    前記喉頭原音データの波形を波高軸方向のプラス方向またはマイナス方向のいずれかにシフトさせ、そのシフトさせたシフトデータに基づく喉頭原音を前記音出力部から出力させる、
    ことを特徴とする電気式人工喉頭。
  4. 請求項1に記載の電気式人工喉頭であって、
    前記音出力部と一体化され、これらの位置および傾きを調整可能な貫通孔を有する保持部材と、
    前記貫通孔に差し込まれる円柱形状のロッドと、
    前記ロッドの両端にそれぞれ設けられ、利用者の頸部付近に前記音出力部を固定する固定用パッドと、
    前記固定用パッドから延伸し、前記音出力部および前記固定用パッドと利用者の首の表面との密着具合を調整する調整部材を備える
    ことを特徴とする電気式人工喉頭。
  5. 請求項4に記載の電気式人工喉頭であって、
    前記音出力部を2以上有し、
    それぞれの音出力部と一体化された前記貫通孔に前記ロッドが通されており、前記利用者の首の表面にそれぞれの音出力部を密着させることができるように構成されていることを特徴とする電気式人工喉頭。
  6. 請求項5に記載の電気式人工喉頭であって、
    前記制御部は、
    2以上の前記音出力部へ供給するパルス信号や喉頭原音データの周波数を同一周波数となるように同期させる制御、倍音周波数の関係となる制御、あるいは異なる周波数となる制御のうち、少なくともいずれか1つの制御を行うことを特徴とする電気式人工喉頭。
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