JP6403252B2 - プライマーセット及び清酒酵母の識別方法 - Google Patents

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Description

本発明は、酵母の酸性ホスファターゼ遺伝子欠失をLAMP法による核酸増幅反応を行って確認する際に用いるプライマーセット及びこのプライマーセットを用いて清酒製造に適した酵母であるか否かを識別する、清酒酵母の識別方法に関するものである。
清酒製造においては、清酒醪中における高アルコール生産性や、優れた低温発酵能、さらに清酒として好ましい香気生産性といった清酒製造に適した特徴を兼ね備えた特定の酵母(以下、「清酒酵母」という。)が用いられており、この清酒酵母を用いることで風味豊かな美味しい清酒を提供することができる。
しかしながら、酵母の中には上記のような特徴を有しない酵母、即ち清酒製造に適さない酵母もあり、このような酵母が発酵中の醪に混入した場合、清酒醪のアルコール生産性が低下し所定のアルコール度数に達しなかったり、風味が損なわれてしまう等の不具合が生じてしまう。
従って、清酒製造においては、このような清酒製造に適さない酵母が清酒醪に混入しないように管理することが重要であり、そのため、清酒酵母の識別は清酒製造において重要なものとなっている。
従来、この清酒酵母の識別においては、清酒酵母の特徴ともいえる酸性ホスファターゼ遺伝子欠失構造に着目した識別方法が用いられており、例えば、特許文献1に示される培養法や非特許文献1に示される酸性ホスファターゼ活性染色法が一般的に広く用いられている。
この特許文献1に示される培養法は、培地1Lあたりリン酸イオンが7.3mmol以上、5-bromo-4-chloro-3-indolyl Phosphate Disodium Saltが0.05g以上混合されて成る培地に試料酵母を接種し、この試料酵母を培養して青色色素の有無を視認するだけで、試料酵母中に清酒酵母以外の酵母が存在するか否かを簡便に確認することができるものであり、具体的には、リン酸イオンの濃度を、清酒酵母が酸性ホスファターゼを生産せず、野生酵母が酸性ホスファターゼを生産する濃度に設定すると共に、培地中に酸性ホスファターゼにより分解されて青色色素を生成する5-bromo-4-chloro-3-indolyl Phosphate Disodium Saltを、青色色素を良好に視認できる量、即ち、0.05g以上加えることで、野生酵母以外の酵母の存在を簡便に確認することができるものである。
即ち、この特許文献1の培養法は、酸性ホスファターゼの有無を確認するための検出試薬を培地の調製とは別に調製する必要がなく、また、検出試薬を冷蔵保存する手間もなく、その上、培地に検出試薬を重層するといった煩わしい作業も必要とせずに清酒酵母と清酒酵母以外の酵母(野生酵母)とを簡易に識別することができる方法として、現在、広く用いられている清酒酵母の識別方法である。
また、非特許文献1に示される酸性ホスファターゼ活性染色法は、無機リン酸濃度を、清酒酵母が酸性ホスファターゼを生成せず、野生酵母が酸性ホスファターゼを生成する所定濃度以上に設定することで、酸性ホスファターゼの有無により、清酒酵母と清酒酵母以外の酵母とを識別するものである。
この酸性ホスファターゼの存在の有無により清酒酵母と清酒酵母以外の酵母とを識別する方法は特異性が高いため、精度よく識別することができることが知られている。
また、清酒酵母の識別方法としては、上記のような酸性ホスファターゼ遺伝子欠失構造に注目した識別方法の他に、他の特徴遺伝子に注目した識別方法も提案されており、例えば特許文献2〜9に示すような清酒酵母の識別方法も提案されている。
特開2005−000096号公報 特開2013−169162号公報 特開2008−193904号公報 特開2007−181438号公報 特開2007−082431号公報 特開2006−340671号公報 特開2005−027527号公報 特開2004−329086号公報 特開2003−245077号公報
Mizoguchi,H. and Fujita,E.: A new method identifying Kyokai yeast by detecting acid phosphatase activity.J.Brew.Soc.Jpn.,77,361-364,19 82
しかしながら、特許文献1に示される培養法を用いた識別方法は、培養のための時間を要する(2〜3日程度)ため、迅速に結果を得ることができない。
また、非特許文献1に示される酸性ホスファターゼ活性染色法は、酸性ホスファターゼを検出するための検出試薬(酵素基質及び発色剤)を培地の調製とは別に調製して寒天と共に重層する作業を要し、手間がかかるうえに操作が煩雑である。
また、特許文献2〜9に示される識別方法は、何れも酵母DNAに注目した識別方法であるが、PCR法を主体としており、核酸を取り扱うための高度な技術を要すると共に、サーマルマイクラーや電気泳動装置といった高価な分析機器が必要である。
本発明者らは、上述した従来法の問題点に鑑み、鋭意検討を行った結果、清酒酵母が有する特徴的なゲノム配列である酸性ホスファターゼ遺伝子の欠失構造に注目し、これをLAMP法による識別方法で識別することで、識別対象の酵母が清酒製造に適した清酒酵母であるか否かを、迅速且つ簡便に識別することができると考えた。
そして、本発明者らは、LAMP法による核酸増幅反応で酸性ホスファターゼ遺伝子を増幅させるためのプライマーセットを設計し、このプライマーセットを用いてLAMP法による清酒酵母の識別方法を完成させるに至った。
即ち、本発明は、酵母の酸性ホスファターゼ遺伝子欠失をLAMP法による核酸増幅反応を行って確認する際に用いるプライマーセット、及びこのプライマーセットを用いてLAMP法により核酸増幅反応を行って清酒製造に適した酵母であるか否かを識別する清酒酵母の識別方法を提案することを目的とする。
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
LAMP法による核酸増幅反応を行い清酒酵母の酸性ホスファターゼ遺伝子欠失を確認する際に用いるプライマーセットであって、配列番号1〜4に示される4種のプライマーから成ることを特徴とするプライマーセットに係るものである。
また、請求項1記載のプライマーセットにおいて、前記清酒酵母は、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)に属する清酒酵母であることを特徴とするプライマーセットに係るものである。
また、清酒製造に適した酵母であるか否かを識別する清酒酵母の識別方法であって、識別対象となる酵母の核酸試料に対し、配列番号1〜4に示される4種のプライマーから成るプライマーセットを用いてLAMP法で核酸増幅反応を行い、この核酸増幅反応を行った前記核酸試料に酸性ホスファターゼ遺伝子の増幅が見られるか否かを確認して清酒製造に適した酵母であるか否かを識別することを特徴とする清酒酵母の識別方法に係るものである。
本発明は上述のような4種のプライマーとしたから、酵母の酸性ホスファターゼ遺伝子欠失をLAMP法による核酸増幅反応を行って確認することができ、よって、核酸増幅のための目標領域である酸性ホスファターゼ遺伝子を短時間で効率的に増幅させることができる。
従って、この核酸増幅反応を行った酵母の酸性ホスファターゼ遺伝子の増幅の有無を的確に確認でき、よって、この酸性ホスファターゼ遺伝子の増幅の有無を確認することで、識別対象の酵母が清酒製造に適した清酒酵母であるか否かを迅速且つ簡便に識別することができる。
即ち、本発明のプライマーセットにより、清酒酵母の識別において、LAMP法を用いることが可能となり、これにより、従来の培養法のような長時間の培養は不要となり、また、PCR法で必要とされるサーマルサイクラーや電気泳動装置のような高価且つ特別な機器も必要とせず、極めて迅速に且つ簡便に識別対象の酵母が清酒製造に適した清酒酵母であるか否かを識別することができる実用性に優れた画期的な清酒酵母の識別方法を確立することができる。
実施例2における識別結果を示す図である。 実施例3におけるLAMP法を用いた場合の検出結果を示す図である。 実施例3における酸性ホスファターゼ活性染色法を用いた場合の検出結果を示す図である。
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
本発明のプライマーセットを用いたLAMP法による清酒酵母の識別方法において、識別可能となる酵母は、酸性ホスファターゼ遺伝子欠失酵母であるサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces serevisiae)に属する清酒製造に適した清酒酵母(例えば、きょうかい2号,きょうかい6号,きょうかい7号,きょうかい9号,きょうかい10号,きょうかい11号,きょうかい12号,きょうかい13号,きょうかい14号,きょうかい15号,きょうかい601号,きょうかい701号,きょうかい901号,きょうかい1001号,きょうかい1401号,きょうかい1501号,きょうかい1601号,きょうかい1701号,きょうかい1801号,きょうかい1901号,きょうかいKArg7号,きょうかいKArg701号,きょうかいKArg9号,きょうかいKArg901号,きょうかいKArg10号及びきょうかいKArg1001号、並びに新潟県醸造試験場が保有する清酒酵母のG9株,G9NF株,G74株,G74NF株,G8株,TR8株,G9arg株,G74arg株及びG9NFarg株等)である。
また、本発明の清酒酵母の識別方法における核酸試料とは、主にDNAやRNAであり、特に好ましい核酸試料はDNAであり、RNAを核酸試料とする場合は、例えば、逆転写反応によって相補的DNAを合成しこれを用いると良い。尚、本発明における核酸試料は、上記に限定されるものではなく、核酸増幅法に用いることができるものであれば特に限定されず、更に、酵母菌体をそのまま核酸増幅法の核酸試料として用いても良い。
また、上述した核酸試料を識別対象の酵母から抽出する際は、市販の核酸抽出キット、例えばGenとるくん酵母用(タカラバイオ社製)等を用いれば可能である。
本発明の清酒酵母の識別方法は、この酵母から抽出した核酸試料を、等温核酸増幅法であるLAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification)法を用いて核酸増幅反応を行う。その際、実験室酵母には存在するが、特定の清酒酵母、即ち清酒醪中における高アルコール生産性、優れた低温発酵能、さらに清酒として好ましい香気生産性といった清酒製造に適した特徴を兼ね備えた優良清酒酵母には存在しない酸性ホスファターゼ(PHO3)遺伝子を、核酸増幅のための目標領域としている。
また、LAPM法では、サッカロマイセス・セレビシエに属する酵母が有する酸性ホスファターゼ遺伝子を増幅させるため、本発明者らが独自に設計した表1に示す4種のプライマー(核酸断片)から成るプライマーセットを用いている。
更に、本発明は、清酒酵母を使用して製造し、その製造工程および製品に清酒酵母または清酒酵母由来の核酸が残存する酒類又は食品およびその加工品中の清酒酵母の識別も可能であり、具体的には、例えば、清酒、ビール、ワイン、雑酒などの清酒酵母を使用して製造される酒類や、味噌、醤油、酢、漬物などの発酵調味料、パン、酒饅頭、中華饅頭などの菓子製品、サイダーなどの飲料など清酒酵母を使用して製造される食品中の清酒酵母の識別も可能である。
本発明の具体的な実施例1について図面に基づいて説明する。
本実施例は、酸性ホスファターゼ遺伝子を目標領域としたLAMP法による清酒酵母の識別方法である。
具体的には、識別対象となる酵母の核酸試料に対し、配列番号1〜4に示される4種のプライマーから成るプライマーセットを用いてLAMP法で核酸増幅反応を行い、この核酸増幅反応を行った前記核酸試料に酸性ホスファターゼ遺伝子の増幅が見られるか否かを確認して、清酒製造に適した酵母であるか否かを識別する清酒酵母の識別方法である。
以下、本実施例の清酒酵母の識別方法について詳述する。
本実施例では、実験室酵母であるS288C株(Open Biosystems社より購入),清酒酵母のきょうかい1号,きょうかい2号,きょうかい3号,きょうかい4号,きょうかい5号,きょうかい6号,きょうかい7号,きょうかい8号,きょうかい9号,きょうかい10号,きょうかい11号,きょうかい12号,きょうかい13号,きょうかい14号,きょうかい15号,きょうかい1801号(きょうかい1号〜15号は独立行政法人酒類総合研究所より分譲、きょうかい1801号は公益財団法人日本醸造協会より分譲),焼酎酵母のS−2株,SH−4株及びワイン酵母のOC−2株(独立行政法人酒類総合研究所より分譲)並びに新潟県内の酒造場の清酒醪より分離された野生酵母T1株(常法による26s rDNA配列解析よりサッカロマイセス・セレビシエと同定)の夫々が、清酒製造に適した清酒酵母、即ち酸性ホスファターゼ遺伝子欠失酵母であるか否かを識別した。
手順としては、先ず、各酵母株から核酸試料であるゲノムDNAの抽出を行った。
具体的には、各酵母株をYPD液体培地(1%酵母エキス、2%ポリペプトン、2%グルコース)5mlに植菌し、30℃で2日間、静置培養した後、培養液を遠心分離して得られた菌体から、市販の核酸抽出キットのGenとるくん酵母用(タカラバイオ社製)を用いてゲノムDNAを抽出した。尚、抽出したゲノムDNAは、3ng/μlの濃度になるようにTE緩衝液(10mM Tris-HCl,1mM EDAT,pH 8.0,(株)ニッポンジーン製)に溶解し、−20℃で保存した。
次いで、この各酵母株のゲノムDNAの酸性ホスファターゼ遺伝子を、LAMP法により核酸増幅反応を行った。
具体的には、プライマーセットと、精製した酵母DNAを用いて、DNA増幅試薬キット(Loopamp DNA amplification kit 栄研化学社製)と、蛍光目視検出試薬(Fluorescent detection reagent 栄研化学社製)により試薬を調製し、この試薬を用いて核酸増幅反応を行った。
より詳細には、プライマーセットは、本発明者らが独自に設計したプライマーセットを用いた。
このプライマーセットは、Saccharomyces Genome Database(http://www.yeastgenome.org/)からS288C株の酸性ホスファターゼ(PHO3)遺伝子配列を入手し、この遺伝子配列をもとに前記表1に示すLAMP法のためのプライマーを設計し、これらのプライマーを合成し、精製を行ったものである。尚、本実施例のプライマーセットの合成及び精製は、(株)ファスマックで行った。
また、LAMP法の操作は、前記DNA増幅試薬キットに付属のマニュアルに従い、試薬を表2に示すように調製し、一定温度(本実施例では63℃)で60分間、核酸増幅反応を行った。
次いで、この核酸増幅反応を行った各酵母に対して、酸性ホスファターゼ遺伝子の増殖の有無を確認し、清酒酵母か否かの識別を行った。
本実施例では、この清酒酵母か否かの識別は、目視により行った。
具体的には、核酸増幅反応後、各反応試薬に対して紫外線照射を行い、反応試薬が蛍光発光(緑色)するか否かを目視で確認し、蛍光発光が見られた場合は、陽性、即ち酸性ホスファターゼ遺伝子の増幅があったと判断し、蛍光発光が見られなかった場合は、陰性、即ち酸性ホスファターゼ遺伝子の増幅がない、言い換えると、酸性ホスファターゼ遺伝子が無いと判断し、この陰性反応を示した酵母を清酒酵母として識別した。
識別の結果、実験室酵母であるS288C株、清酒酵母のきょうかい1号,きょうかい3号,きょうかい4号,きょうかい5号,きょうかい8号,焼酎酵母のS−2株,SH−4株,ワイン酵母のOC−2株及び野生酵母T1株において緑色の蛍光発光が見られ、清酒酵母のきょうかい2号,きょうかい6号,きょうかい7号,きょうかい9号,きょうかい10号,きょうかい11号,きょうかい12号,きょうかい13号,きょうかい14号,きょうかい15号及びきょうかい1801号において蛍光発光が見られず、この蛍光発光の見られなかった11酵母株を清酒製造に適した清酒酵母として識別した。
また、本実施例では、上述したLAMP法を用いた清酒酵母の識別方法の識別能を検証するため、従来法を用いて各酵母株を識別し、その結果を比較した。尚、本実施例では、上記従来法として、識別性能の高い酸性ホスファターゼ活性染色法を用いた。
この従来法の酸性ホスファターゼ活性染色法による識別結果と、上述した本実施例のLAMP法を用いた清酒酵母の識別方法による識別結果とを比較した結果を表3に示す。尚、表3中の+記号は酸性ホスファターゼ遺伝子の増幅が確認できたもの、−記号は酸性ホスファターゼ遺伝子の増幅が確認できなかったものを示す。
以上の結果から、本実施例のLAMPを用いた清酒酵母の識別方法の識別能は、識別能の高い酸性ホスファターゼ活性染色法と遜色ない識別能を有することが確認できた。
このように、本発明者らが設計したプライマーセットを用いたLAMP法による本実施例の清酒酵母の識別方法は、核酸増幅のための目標領域である酸性ホスファターゼ遺伝子を短時間で効率的に増幅させることができるので、培養法のように培養のための時間を要しない、短時間で識別でき、しかも、PCR法を用いた識別方法のように、サーマルサイクラーや電気泳動装置のような高価且つ特別な機器を使用することのない、極めて迅速に且つ簡便に識別対象の酵母が清酒製造に適した清酒酵母であるか否かを識別する実用性に優れた画期的な清酒酵母の識別方法となる。
本発明の具体的な実施例2について図面に基づいて説明する。
本実施例は、実施例1に示すLAMP法による清酒酵母の識別方法を用い、清酒醪中の清酒酵母の識別を行った場合である。
具体的には、識別対象酵母として、清酒酵母のきょうかい3号,きょうかい8号,きょうかい9号及び新潟県醸造試験場保有のG9株を使用した。
先ず、上記各酵母を、麹汁培地300ml(ボーメ度:6.0、pH 5.5)に植菌し、30℃で7日間の静置培養を行い、清酒仕込みに用いた。
仕込みは、難波らの方法(Namba,Y.,Obata,T.,Kayashima,S.,Yamazaki,Y.,Murakami,M. and Shimoda,T.: Conditions of small scale sake brewing. J.Brew.Soc.Jpn.,73,295-300,1978)により、表4に示す仕込配合で、総米200gの清酒の小仕込を行い、品温を一定温度(15℃)で5日間発酵させた。
次いで、各酵母で発酵させた清酒醪10μlに0.05M NaOHを10μl加え、98℃で10分間加温した後、室温まで冷却し、更に0.1M Tris-HCl緩衝液(pH 7.5)を20μl加えて撹拌した後、遠心分離(13,000gで1分間)にて上清を分離し、これを酵母DNA抽出液とした。
本実施例では、この酵母DNA抽出液を用い、実施例1同様、DNA増幅試薬キットに付属のマニュアルに従い、試薬を表5に示すように調製し、一定温度(本実施例では63℃)で60分間、LAMP法による核酸増幅反応を行った。
次いで、この核酸増幅反応を行った各酵母に対して、酸性ホスファターゼ遺伝子の増殖の有無を確認し、清酒酵母か否かの識別を行った。尚、識別は、実施例1同様、目視により行った。
また、本実施例では、上記核酸増幅反応を行った各酵母の核酸増幅の有無を電気泳動による検出でも確認し、目視による識別結果と比較した。
識別結果は、図1に示すように、目視による識別、電気泳動による識別共に、きょうかい3号及びきょうかい8号では陽性反応、即ち酸性ホスファターゼ遺伝子の核酸増幅が確認され、きょうかい9号及びG9株では陰性反応、即ち酸性ホスファターゼ遺伝子の核酸増幅は確認されないという結果が得られた。
即ち、きょうかい3号,きょうかい8号及びきょうかい9号に関しては、実施例1と同様の結果が得られたことから、本実施例のLAMP法による清酒酵母の識別方法は、清酒醪中の清酒酵母の識別にも利用できることが確認できた。
本発明の具体的な実施例3について図面に基づいて説明する。
本実施例は、実施例1に示すLAMP法による清酒酵母の識別方法を用い、清酒醪中の野生酵母の検出を行った場合である。
具体的には、きょうかい9号を、麹汁培地300ml(ボーメ度:6.0、pH 5.5)に植菌し、30℃で7日間の静置培養を行い、清酒仕込みに用いた。
仕込みは、難波らの方法(Namba,Y.,Obata,T.,Kayashima,S.,Yamazaki,Y.,Murakami,M. and Shimoda,T.: Conditions of small scale sake brewing. J.Brew.Soc.Jpn.,73,295-300,1978)により、実施例2の表4に示す仕込配合で、総米200gの清酒の小仕込を行い、品温を一定温度(15℃)で5日間発酵させて清酒醪を得た。
次いで、新潟県内の酒造場の清酒醪より分離された野生酵母T1株(常法による26s rDNA配列解析よりサッカロマイセス・セレビシエと同定)を、麹汁培地300ml(ボーメ度:6.0、pH 5.5)に植菌し、30℃で7日間の静置培養を行い、この野生酵母T1株を、上記のきょうかい9号で発酵させた清酒醪(酵母密度 108cells/gの醪)に、清酒醪1gあたり107〜100cellsの酵母密度となるように添加した。
次いで、各酵母密度の野生酵母T1株が存在するように調製した夫々の清酒醪を、LAMP法による清酒酵母の識別方法を用いて、野生酵母T1株の検出を行った。尚、本実施例では、比較の為、前記清酒醪に対して、酸性ホスファターゼ活性染色法を用いて、同様に野生酵母T1株の検出を行った。
また、LAMP法による検出の有無の確認は、目視と電気泳動の双方で確認した。
検出結果は、LAMP法は、図2に示すように、目視及び電気泳動の双方とも、清酒醪中の野生酵母T1株の酵母密度が106cells/g、107cells/gにおいて野生酵母T1株が検出された。
また、酸性ホスファターゼ活性染色法も、図3に示すように、LAMP法と同様、清酒醪中の野生酵母T1株の酵母密度が106cells/g、107cells/gにおいて野生酵母T1株が検出された。
以上の結果より、本実施例のLAMP法による清酒酵母の識別方法を用いることで、清酒醪中の野生酵母の検出が可能であることが確認できた。
このように、本実施例のLAMP法による清酒酵母の識別方法を用いることで、清酒醪中の酵母純度の検定を簡便且つ迅速に実施することができるようになり、更に、得られた結果を清酒製造の発酵管理や衛生管理に利用することで、清酒の品質向上を図ることができる。
尚、本発明は、実施例1〜3に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。

Claims (3)

  1. LAMP法による核酸増幅反応を行い清酒酵母の酸性ホスファターゼ遺伝子欠失を確認する際に用いるプライマーセットであって、配列番号1〜4に示される4種のプライマーから成ることを特徴とするプライマーセット。
  2. 請求項1記載のプライマーセットにおいて、前記清酒酵母は、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)に属する清酒酵母であることを特徴とするプライマーセット。
  3. 清酒製造に適した酵母であるか否かを識別する清酒酵母の識別方法であって、識別対象となる酵母の核酸試料に対し、配列番号1〜4に示される4種のプライマーから成るプライマーセットを用いてLAMP法で核酸増幅反応を行い、この核酸増幅反応を行った前記核酸試料に酸性ホスファターゼ遺伝子の増幅が見られるか否かを確認して清酒製造に適した酵母であるか否かを識別することを特徴とする清酒酵母の識別方法。
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