下記の実施形態1、2において説明する各図は、模式的な図であり、各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、実施形態1、2に記載した材料、数値等は、好ましい例を示しているだけであり、それに限定する主旨ではない。更に、本願発明は、その技術的思想の範囲を逸脱しない範囲で、構成に適宜変更を加えることが可能である。
(実施形態1)
以下では、本実施形態の電解用電極ユニット1aについて、図1〜5に基づいて説明する。
電解用電極ユニット1aは、第1電極2と、イオン交換膜3と、第2電極モジュール4と、ベース5と、カバー6と、を備える。第1電極2は、板状に形成されている。第1電極2は、厚さ方向に貫通する一群の第1貫通孔21を有する。イオン交換膜3は、第1電極2と第2電極モジュール4との間に介在している。イオン交換膜3は、厚さ方向に貫通する一群の第2貫通孔31を有する。一群の第1貫通孔21と一群の第2貫通孔31とは、イオン交換膜3の厚さ方向において重なる第1貫通孔21と第2貫通孔31とが連通している。カバー6は、一群の第1貫通孔21を露出させる開口部61を有する。第2電極モジュール4は、給電板7と、給電板7において第1電極2に対向する表面71上で並んで配置された複数のシリコン基板8と、複数のシリコン基板8の表面81上に形成され各々が導電性ダイヤモンド膜からなる複数の第2電極9と、を備える。第2電極モジュール4は、複数の第2電極9それぞれの表面91の一部が露出している。また、電解用電極ユニット1aは、イオン交換膜3と複数の第2電極9と複数のシリコン基板8との積層体が、第1電極2と給電板7とで挟持されている。以上の構成により、電解用電極ユニット1aは、通電特性の安定化を図れ、且つ、長寿命化を図ることが可能となる。電解用電極ユニット1aは、ベース5とカバー6とが複数の螺子56(以下、「第1螺子56」ともいう。)により結合されているのが好ましい。
電解用電極ユニット1aは、例えば、第1電極2とイオン交換膜3と第2電極モジュール4との積層体が、ベース5とカバー6とで挟持されているのが好ましい一形態である。これにより、電解用電極ユニット1aは、例えば、第1電極2と給電板7とを電気絶縁性の螺子により結合してある他の一形態に比べて、通電特性の更なる安定化を図ることが可能となる。また、電解用電極ユニット1aは、第1電極2とイオン交換膜3と第2電極モジュール4との積層体との積層体を、ベース5とカバー6とで保護することが可能となり、取り扱いが容易となる。なお、電解用電極ユニット1aは、例えば、第1電極2とイオン交換膜3と第2電極モジュール4との積層体が、ベース5とカバー6とで挟持されている場合でも、イオン交換膜3と複数の第2電極9と複数のシリコン基板8との積層体が、第1電極2と給電板7とで挟持されている。
ベース5は、第2電極モジュール4を収める凹部51を有するのが好ましい。これにより、電解用電極ユニット1aは、ベース5とカバー6との間に第2電極モジュール4を安定して保持することが可能となる。
電解用電極ユニット1aは、第1電極2が陰極を構成し、第2電極9が陽極を構成するように、外部の電源10(図5参照)から直流電流を供給して使用することができる。ここで、電解用電極ユニット1aは、第1電極2に電気的に接続された第1電線11と、第2電極モジュール4の給電板7に電気的に接続された第2電線12と、を備えるのが好ましい。電源10から出力する直流電流の電流密度は、例えば、0.01〜1A/cm2程度の範囲で適宜設定すればよい。
電解用電極ユニット1aを備えた電解水生成装置100は、図5に示すように、電解用電極ユニット1aを収納するハウジング110を備えている。ハウジング110は、ハウジング本体120と、流入管130と、流出管140と、を備える。これにより、電解水生成装置100は、流入管130から流れ込んだ流体が電解用電極ユニット1aの表面に沿って流出管140側へ流れる。流体は、例えば、水道水である。水道水の流量は、例えば、0.1〜10L/min程度である。
ハウジング本体120は、円筒状の筒体121と、筒体121の軸方向の第1端部122から外方へ突出して形成された第1フランジ124と、筒体121の軸方向の第2端部123から外方へ突出して形成された第2フランジ125と、を備える。流入管130は、円筒状の管部131と、管部131の軸方向の第1端部132から外方へ突出して形成された第3フランジ134と、を備える。流出管140は、円筒状の管部141と、管部141の軸方向の第1端部142から外方へ突出して形成された第4フランジ145と、を備える。ハウジング110は、ハウジング本体120の第1フランジ124と流入管130の第3フランジ134とが重ね合わせて複数の螺子(第2螺子)により結合されている。第1フランジ124と第3フランジ134との互いの対向面それぞれには、第1のOリング151を略半分ずつ収納する環状の溝164、174が形成されている。また、ハウジング110は、ハウジング本体120の第2フランジ125と流出管140の第4フランジ145とが重ね合わせて複数の螺子(第3螺子)により結合されている。第2フランジ125と第4フランジ145との互いの対向面それぞれには、第2のOリング152を収納する環状の溝165、175が形成されている。
電解用電極ユニット1aは、例えば、水道水を電解することにより、電解水を生成することができる。電解水は、オゾン水である。オゾン水とは、オゾン(O3)が溶け込んだ水を意味する。電解水生成装置100では、ハウジング110の流入口111から流れ込んだ水道水を電解して生成されたオゾン水が、ハウジング110の流出口112から流れ出る。電解水生成装置100は、電解用電極ユニット1aの長手方向が、流入口111と流出口112とを結ぶ方向に揃うように、ハウジング110内に電解用電極ユニット1aを収納してある。電解用電極ユニット1aは、導電性ダイヤモンド膜からなる第2電極9の表面91にて発生したオゾンが、第2貫通孔31及び第1貫通孔21を通して、水道水中に分子オーダで溶解される。
電解用電極ユニット1aは、水道水が供給された状態で、第1電極2が陰極を構成し、第2電極9が陽極を構成するように、直流電圧が供給された場合、電子をe−とすると、電流が流れ、陽極、陰極それぞれにおいて、下記の電気化学反応が起こると考えられる。
陽極;3H2O→O3+6H++6e−
陰極;2H++2e−→H2
すなわち、陽極では、上記の電気化学反応により、オゾンを発生させる。また、陰極では、上記の電気化学反応により、水素分子(H2)を発生させる。陰極では、水素イオン(H+)が、電源10から流れてきた電子と反応して水素分子(H2)を発生させる。イオン交換膜3は、陽極側で生じた水素イオンを陰極側に導く機能を有する。電解用電極ユニット1aは、陽極と陰極との間にイオン交換膜3が介在することにより、陽極側及び陰極側それぞれの電気化学反応が速やかに進行される。
電解用電極ユニット1aは、第1電極2の側面から突出した第1接続片23に第1電線11を結線してある。第1電線11は、絶縁被覆電線であり、露出させた第1導体部11bを第1接続片23に巻き付けて電気的に接続してある。電解用電極ユニット1aは、第1接続片23と第1導体部11bとを、耐オゾン性、防水性及び電気絶縁性を有するテープにより覆ってある。
上述の電解用電極ユニット1aは、液体中で使用されるので、シリコン基板8に第2電線12を結線するのが難しい。このため、電解用電極ユニット1aは、給電板7に第2電線12を結線してある。より詳細には、電解用電極ユニット1aは、給電板7の側面から突出した第2接続片73に第2電線12を結線してある。第2電線12は、絶縁被覆電線であり、露出させた第2導体部12bを第2接続片73に巻き付けて電気的に接続してある。電解用電極ユニット1aは、第2接続片73と第2導体部とを、耐オゾン性、防水性及び電気絶縁性を有するテープにより覆ってある。
電解用電極ユニット1aでは、電解の対象となる液体として、水道水を想定しているが、これに限らず、例えば、純水や、その他の水、電解質を水等の溶媒に溶かした溶液等でもよい。
電解用電極ユニット1aの各構成要素については、以下に、より詳細に説明する。
第1電極2は、平面視形状を、長尺の長方形状としてある。第1電極2は、平面視における長手方向の長さを60mm、短手方向の長さを20mmとしてある。第1電極2の厚さは、1mmとしてある。
第1電極2の材料は、耐食性が高い材料が好ましく、例えば、ステンレス鋼を挙げることができる。ステンレス鋼としては、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼を挙げることができる。オーステナイト系ステンレス鋼としては、例えば、SUS304を採用することができる。第1電極2では、水素分子を発生させるので、水素により脆化しない材料が好ましく、ステンレス鋼に限らず、例えば、チタン、ジルコニウム、ニッケル等を採用してもよい。また、第1電極2の材料は、耐酸化性に優れた材料が好ましい。
第1電極2の周部には、複数の第1螺子56それぞれの軸部を通す複数の孔22が形成されている。
一群の第1貫通孔21は、第1電極2の長手方向において等間隔で並んでいる。第1貫通孔21の開口形状は、長孔状としてある。
イオン交換膜3としては、例えば、プロトン導電性を有するイオン交換フィルムを用いることができる。イオン交換膜3の厚さは、例えば、50〜500μmとすることができる。
水素イオンは、プロトンなので、イオン交換膜3を透過することができる。イオン交換膜3は、水素イオンの選択透過性を有する。イオン交換膜3は、イオン伝導性を有するが、電子伝導性を有していない。イオン交換膜3は、例えば、水素イオンの伝導性の高い固体高分子膜からなるイオン伝導膜により構成することができる。イオン交換膜3は、陽イオン交換膜である。陽イオン交換膜は、陽イオン交換能を有する膜である。
イオン交換膜3の材料としては、例えば、パーフルオロスルホン酸系のフッ素樹脂等を挙げることができる。
イオン交換膜3の周部には、複数の第1螺子56それぞれの軸部を通す複数の孔32が形成されている。
一群の第2貫通孔31は、イオン交換膜3の長手方向において等間隔で並んでいる。第2貫通孔31の開口形状は、長孔状としてある。
一群の第1貫通孔21と一群の第2貫通孔31とは、イオン交換膜3の厚さ方向において重なる第1貫通孔21と第2貫通孔31とが、略同一の開口形状であるのが好ましい一態様である。一群の第2貫通孔31は、一群の第1貫通孔21の配列と同一ピッチで、同一方向に並んで形成されているのが好ましい。
給電板7は、表面71側から見た平面視形状を、長尺の長方形状としてある。給電板7は、長手方向の長さを50mmとし、短手方向の長さを10mmとしてある。給電板7の厚さは、0.5mmとしてある。給電板7は、剛体であるのが好ましい。
給電板7の材料としては、チタンを採用しているが、これに限らず、シリコン基板8よりも導電率の高い材料であればよく、例えば、銅、ステンレス鋼等を採用してもよい。給電板7の材料は、耐酸化性に優れた材料が、より好ましい。
第2電極モジュール4は、各シリコン基板8が、給電板7と同じ平面視形状で同じ大きさのシリコン基板を長手方向に直交する複数の断面で等分割したときの1個分に相当する大きさに形成されている。より詳細には、第2電極モジュール4は、各シリコン基板8が、給電板7と同じ平面視形状で同じ大きさのシリコン基板を4個に等分割したときの1個分に相当する大きさに形成されている。そして、第2電極モジュール4は、給電板7の表面71上において、4個のシリコン基板8が給電板7の長手方向に隙間なく並んで配置されている。隙間なく配置されているとは、隣り合うシリコン基板8同士を離間させずに、隣り合うシリコン基板8同士が接するように配置されていることを意味する。第2電極モジュール4は、全てのシリコン基板8が一直線上において隙間なく並ぶように配置されている。
シリコン基板8は、表面81側から見た平面視形状を、矩形(直角四辺形)状としてある。シリコン基板8の厚さは、525μmとしてある。
シリコン基板8は、導電性が高いほうが好ましい。言い換えれば、シリコン基板8は、抵抗率が低いほうが好ましい。シリコン基板8の抵抗率は、例えば、0.001〜20Ωcmであるのが好ましく、0.001〜10Ωcmであるのが、より好ましい。
第2電極9は、表面91側から見た平面視形状を、矩形状としてある。第2電極9は、平面サイズを12.5mm×10mmに設定してある。矩形状の形状としては、長方形状を採用しているが、これに限らず、正方形状でもよい。
第2電極9を構成する導電性ダイヤモンド膜は、p型ダイヤモンド膜であるのが好ましい。p型ダイヤモンド膜は、アクセプタ不純物がホウ素であるのが好ましい。第2電極モジュール4は、シリコン基板8の導電型と導電性ダイヤモンド膜の導電型とが、同じであるのが好ましい。p型ダイヤモンド膜の抵抗率は、0.01〜10Ωcmであるのが好ましく、0.01〜1Ωcmであるのが、より好ましい。
導電性ダイヤモンド膜の厚さは、例えば、1μmとすることができる。導電性ダイヤモンド膜は、例えば、プラズマCVD法、熱フィラメントCVD法等によって形成することができる。
第2電極9を構成する導電性ダイヤモンド膜は、導電性を有する多結晶ダイヤモンド膜であるのが好ましい。導電性ダイヤモンド膜として現状ではp型ダイヤモンド膜のほうがn型ダイヤモンド膜よりも低抵抗率の膜を容易に形成できる観点から、シリコン基板8は、単結晶のp型シリコン基板であるのが好ましい。シリコン基板8の表面81は、(100)面であるのが好ましい。また、シリコン基板8の表面81は、(100)面からのオフ角が、0〜0.3°であるのが好ましい。
第2電極モジュール4は、シリコン基板8の表面81上に導電性ダイヤモンド膜からなる第2電極9が積層されているが、シリコン基板8の厚さに比べて導電性ダイヤモンド膜の厚さが十分に薄い。第2電極9は、シリコン基板8と略同じ形状となっている。よって、第2電極モジュール4は、全ての第2電極9が一直線上において隙間なく並ぶように配置されている。第2電極9は、シリコン基板8の表面81の全面を覆うように形成されているのが好ましい。第2電極9は、シリコン基板8の表面81と側面とを覆うように形成されていてもよい。
ベース5は、表面501側からみた平面視形状を、長尺の長方形状としてある。ベース5は、長手方向の長さを60mmとし、短手方向の長さを20mmとしてある。ベース5の厚さは、1.5mmとしてある。
ベース5は、凹部51の開口形状を、長尺の長方形状としてある。凹部51は、給電板7及び複数のシリコン基板8を収納できる大きさに形成されている。凹部51の長手方向の長さは、給電板7の長手方向の長さと略同じであるのが好ましい。凹部51の短手方向の長さは、給電板7の短手方向の長さと略同じであるのが好ましい。ベース5の凹部51は、カバー6に対向する表面501側の他に、4つの側面のうちの1つの側面側が開放されている。これにより、電解用電極ユニット1aは、組立性を向上させることが可能となる。
ベース5は、凹部51の深さを、給電板7の厚さとシリコン基板8の厚さと第2電極9の厚さとの合計厚さよりもやや小さく設定してある。これにより、電解用電極ユニット1aは、第2電極9とイオン交換膜3との密着性を向上させることが可能となる。より詳細には、ベース5は、凹部51の深さを0.9mmとしてある。ベース5の材料は、例えば、耐オゾン性、耐腐食性を有する材料が好ましく、低コスト化の観点から樹脂が好ましい。樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ABS樹脂等を挙げることができる。
ベース5の周部には、第1螺子56の軸部が嵌め合される螺子孔52が形成されている。
カバー6は、表面60側からみた平面視の外周形状を長尺の長方形状としてある。カバー6は、長手方向の長さを60mmとし、短手方向の長さを20mmとしてある。カバー6の厚さは、1mmとしてある。カバー6の開口部61は、長尺の長方形状としてある。要するに、カバー6は、全体として矩形枠状の形状に形成されている。
カバー6は、開口部61の開口形状を第2電極モジュール4の外形形状と略同じ形状としてあるのが好ましい。
カバー6の材料は、例えば、耐オゾン性、耐食性を有する材料が好ましく、低コスト化の観点から樹脂が好ましい。樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ABS樹脂等を挙げることができる。
カバー6の周部には、第1螺子56の軸部が挿通される孔62が形成されている。
第1螺子56は、樹脂により形成されているのが好ましい。第1螺子56を形成する樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ABS樹脂等を挙げることができる。
電解用電極ユニット1aの組み立てにあたっては、ベース5の凹部51の内底面上に給電板7を載せ、予め第2電極9が形成された複数のシリコン基板8を給電板7の表面71上に載せる。電解用電極ユニット1aの組み立てにあたっては、その後、ベース5における表面501及び各第2電極9上にイオン交換膜3を載せ、イオン交換膜3上に第1電極2を載せ、第1電極2上にカバー6を載せる。そして、電解用電極ユニット1aの組み立てにあたっては、複数の第1螺子56により、カバー6とベース5とを結合する。より詳細には、カバー6の表面60側からカバー6の孔62、第1電極2の孔22、イオン交換膜3の孔32に挿入した第1螺子56の軸部の先端部を、ベース5の螺子孔52に嵌め合せる。これにより、電解用電極ユニット1aは、第1電極2とイオン交換膜3と第2電極モジュール4との積層体が、ベース5とカバー6とで挟持される。電解用電極ユニット1aは、第1電極2及び各第2電極9をイオン交換膜3と密着させることができ、また、各第2電極9と給電板7との接触性を向上させることが可能となる。
電解用電極ユニット1aは、シリコン基板8よりも導電性の高い給電板7と、複数のシリコン基板8と、複数のシリコン基板8の表面81上に形成され各々が導電性ダイヤモンド膜からなる複数の第2電極9と、を組み合わせて第2電極モジュール4を構成している。これにより、電解用電極ユニット1aは、図6に示すように第2電極モジュール4を1個の給電板7と1個のシリコン基板8と1個の第2電極9とで構成した比較例1の電解用電極ユニット1rに比べて、通電特性の向上を図ることが可能となる。すなわち、比較例1の電解用電極ユニット1rでは、図7に示すように、給電板7の反りやうねりに起因して、給電板7の表面71とシリコン基板8の裏面82とを安定して接触させるのが難しい場合がある。ここで、シリコン基板8は、金属等に比べて導電性が低く、給電板7に比べて導電性が低いという課題がある。このため、比較例1の電解用電極ユニット1rでは、給電板7に反りやうねりがあると、第2電極9への通電の支障になる。しかしながら、比較例1の電解用電極ユニット1rでは、給電板7を平らにしようとして第1螺子56の締め付け力を強くすると、シリコン基板8が割れてしまうことがある。これに対し、本実施形態の電解用電極ユニット1aは、給電板7の表面と各シリコン基板8の裏面82とを安定して接触させることが可能となり、各第2電極9に略均一に給電することが可能となる。電解用電極ユニット1aは、第1螺子56の締め付け力を適宜調整することにより、各シリコン基板8が割れるのを防止しつつ、給電板7と各シリコン基板8とを圧接させることが可能となる。よって、電解用電極ユニット1aは、オゾンの発生効率の向上を図ることが可能となる。オゾンの発生効率は、例えば、水中のオゾンの濃度から求めることができる。オゾンの濃度は、例えば、インジゴ法(紫外吸光法)、KI法等で測定することができる。
なお、比較例1の電解用電極ユニット1rについては、電解用電極ユニット1aと略同じ構成なので、電解用電極ユニット1aと同様の構成要素に同一の符号を付してある。図6には、比較例1の電解用電極ユニット1rを備えた電解水生成装置101を示してある。また、電解水生成装置101については、電解水生成装置100と略同じ構成なので、電解水生成装置100と同様の構成要素に同一の符号を付してある。
電解用電極ユニット1aは、一群の第1貫通孔21及び一群の第2貫通孔31が、第2電極9同士の境界を露出させないようにレイアウトされているのが好ましい。これにより、電解用電極ユニット1aは、第2電極9がシリコン基板8から剥れるのをより抑制することが可能となる。
以下では、電解用電極ユニット1aを備えた電解水生成装置100について、更に説明する。
ハウジング110は、電気絶縁性を有する材料により形成されているのが好ましい。つまり、ハウジング本体120、流入管130及び流出管140は、電気絶縁性を有する材料により形成されているのが好ましい。ハウジング本体120、流入管130及び流出管140の材料としては、例えば、アクリル樹脂等を採用することができる。
流入管130は、例えば、水道用のホース(hose)を接続できるように、管部131の外径を設定してあるのが好ましい。ホースは、例えば、プラスチック、ゴム、ビニール、金属等により形成されている。
また、流出管140は、水道用のホースを接続できるように、管部141の外径を設定してあるのが好ましい。
電解用電極ユニット1aは、その厚み方向がハウジング本体120の径方向に揃うようにハウジング本体120内に配置されているのが好ましい。
電解水生成装置100は、ハウジング110が、電解用電極ユニット1aを支持する支持部を備えているのが好ましい。支持部は、ハウジング110の内面に設けた突起や凹部等により構成することができる。電解用電極ユニット1aは、例えば、ハウジング110に対して螺子や接着剤等により固定してもよい。
電解水生成装置100は、例えば、洗面台に設置することができる。より詳細には、電解水生成装置100は、洗面台の蛇口に水道水を送る水道管の途中にハウジング110を介在させて使用するのが好ましい。電解水生成装置100は、ハウジング110を、蛇口の吐出口の上流側で吐出口の近傍に設置するのが好ましい。
電源10は、ハウジング110の外部に配置されているのが好ましい。電源10は、ハウジング110と一体に組み付けてもよいし、ハウジング110とは離間して設けてもよい。電解水生成装置100は、電源10を構成要件として含んだ形態に限らず、含んでいない形態でもよい。
電解水生成装置100は、ハウジング110の流入口111からハウジング110内へ流れ込んだ水道水が、電解用電極ユニット1aにおいて第1貫通孔21と第2貫通孔31とを通して、各第2電極9それぞれの表面91の一部に供給される。これにより、電解水生成装置100では、各第2電極9それぞれにおいてオゾンを発生させることができる。図5では、各第2電極9それぞれにおいて発生したオゾンの流れる方向を二点鎖線の矢印で模式的に図示してある。各第2電極9それぞれにおいて発生したオゾンは、水道水に溶解される。よって、電解水生成装置100では、オゾン水を生成することが可能である。
図8及び9は、第1変形例の電解用電極ユニット1bを示す。第1変形例の電解用電極ユニット1bは、一群の第1貫通孔21及び一群の第2貫通孔31の配置が実施形態1の電解用電極ユニット1aと相違する。なお、第1変形例の電解用電極ユニット1bについては、実施形態1の電解用電極ユニット1aと同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
第1変形例の電解用電極ユニット1bでは、第1電極2の第1貫通孔21が、複数の第2電極9の配列方向に沿った方向において全ての第2電極9に跨る長孔状の形状に形成されている。一群の第1貫通孔21は、平面視において第2電極9の配列方向に直交する方向に並んでいる。イオン交換膜3の第2貫通孔31は、第1貫通孔21と同様、複数の第2電極9の配列方向に沿った方向において全ての第2電極9に跨る長孔状の形状に形成されている。一群の第2貫通孔31は、一群の第1貫通孔21と同様、平面視において第2電極9の配列方向に直交する方向に並んでいる。
図10及び11は、第2変形例の電解用電極ユニット1cを示す。第2変形例の電解用電極ユニット1cは、一群の第1貫通孔21及び一群の第2貫通孔31の配置が実施形態1の電解用電極ユニット1aと相違する。なお、第2変形例の電解用電極ユニット1cについては、実施形態1の電解用電極ユニット1aと同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
第2変形例の電解用電極ユニット1cは、第1電極2の第1貫通孔21が、円形状の形状に形成されている。一群の第1貫通孔21は、2次元アレイ状に並んでいる。より詳細には、一群の第1貫通孔21は、平面視において第2電極9の配列方向、配列方向に直交する方向それぞれに並んでいる。イオン交換膜3の第2貫通孔31は、第1貫通孔21と同様、円形状の形状に形成されている。一群の第2貫通孔31は、一群の第1貫通孔21と同様、2次元アレイ状に並んでいる。より詳細には、一群の第2貫通孔31は、平面視において第2電極9の配列方向、配列方向に直交する方向それぞれに並んでいる。
(実施形態2)
以下では、本実施形態の電解用電極ユニット1dについて、図12及び13に基づいて説明する。
本実施形態の電解用電極ユニット1dは、複数の第2電極9のうち隣り合う第2電極9同士が離れて配置されている点等が相違する。複数の第2電極9のうち隣り合う第2電極9同士の間において、給電板7の表面71の上に配置される整流板15を備える点で実施形態1の電解用電極ユニット1aと相違する。なお、本実施形態の電解用電極ユニット1dは、実施形態1の電解用電極ユニット1aと略同じ構成なので、実施形態1の電解用電極ユニット1aと同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
図14に示す比較例2の電解用電極ユニット1sでは、給電板7の長手方向において、複数のシリコン基板8が離れて配置されている。要するに、比較例2の電解用電極ユニット1sは、隣り合うシリコン基板8同士が離れて配置されており、隣り合う第2電極9同士も離れて配置されている。比較例2の電解用電極ユニット1sは、隣り合うシリコン基板8の間に形成される溝の部分で水道水の流れの滞留が起こって、水道水中へのオゾンの溶解効率が低下し、オゾンが気泡になりやすくなる。図14は、水道水等の液体の流れの向きを、一点鎖線の矢印で模式的に示してある。
これに対し、本実施形態の電解用電極ユニット1dは、複数の第2電極9のうち隣り合う第2電極9同士が離れて配置されており、複数の第2電極9のうち隣り合う第2電極9同士の間において、給電板7の表面71の上に配置される整流板15を備える。これにより、電解用電極ユニット1dは、水道水等の液体の滞留が発生するのを抑制することが可能となり、気泡の発生も抑制することが可能となる。よって、電解用電極ユニット1dは、例えば、電解効率の低下、オゾンの溶解効率の低下を抑制することが可能となり、オゾンの濃度の低下を抑制することが可能となる。電解用電極ユニット1dは、整流板15とシリコン基板8及び第2電極9とが隙間なく並んでいるのが好ましい。また、整流板15の材料は、電気絶縁性を有する材料が好ましい。整流板15の材料としては、例えば、アクリル樹脂、ABS樹脂等を採用することができる。
整流板15の厚さは、シリコン基板8の厚さと第2電極9の厚さとを合わせた厚さと同じであるのが好ましい。これにより、電解用電極ユニット1dは、隣り合う第2電極9の間に溝が形成されるのを抑制することが可能となる。整流板15の厚さは、シリコン基板8の厚さと第2電極9の厚さとを合わせた厚さと厳密に同じである場合に限らず、略同じであればよい。ここで、略同じとは、整流板15の厚さが、シリコン基板8の厚さと第2電極9の厚さとを合わせた厚さの90〜110%の厚さであることを意味する。
ところで、実施形態1において説明した電解水生成装置100(図5参照)は、電解用電極ユニット1aの代わりに、他の電解用電極ユニット1b、1c及び1dのいずれかを採用してもよい。また、電解用電極ユニット1b、1c及び1dは、電解用電極ユニット1aと同様、ベース5とカバー6とを備えているのが好ましい一形態であるが、備えていない構成としてもよい。