JP2006218382A - 電気式脱イオン水製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 イオン交換膜の使用量を低減すると共に、装置からの水漏れのない電気式脱イオン水製造装置を提供すること。
【解決手段】交互に配設される複数枚の陽イオン交換膜6と陰イオン交換膜9の間に、窓状の開口41、51を有する枠体4、5を介在させて濃縮室と脱塩室を交互に積層して形成される電気式脱イオン水製造装置10において、窓状の開口の包囲部47、57に被処理水、脱塩水及び濃縮水が流れる連通孔42、43、44をそれぞれ形成し、イオン交換膜6、9の外縁の寸法を枠体4、5の外縁の寸法より小さく且つ連通孔42、43、44を回避する大きさとし、イオン交換膜6、9の外側にフィルム状膜包囲スペーサー7を配設する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、半導体製造分野、医薬製薬製造分野、原子力や火力等の発電分野、食品工業等の各種の産業または研究施設で脱イオン水を製造するために使用されるイオン交換膜の使用量を低減した低コスト型の電気式脱イオン水製造装置に関するものである。
従来、電気式脱イオン水製造装置は、陽極と陰極の間に同じ大きさの陽イオン交換膜および陰イオン交換膜を交互に配列し、その2枚のイオン交換膜の間に、窓状の開口と、窓状の開口の包囲部に配設される被処理水連通孔と、脱塩水連通孔と、濃縮水連通孔を有する、イオン交換膜と同じ大きさの脱塩室用枠体と濃縮室用枠体を交互に積層し、脱塩室用枠体の開口部にイオン交換体を充填することで脱塩室とし、濃縮室用枠体の開口部を濃縮室とすることで形成されている(例えば、特開2001−11328号公報)。
このような電気式脱イオン水製造装置は次のように運転される。すなわち、先ず陽極と陰極との間に直流電源を印加し、被処理水を上記枠体に設けられた被処理水連通孔を通して脱塩室と濃縮室へと通水する。脱塩室に供給された水は室内に充填されたイオン交換体と接触して不純物イオンが除去され脱イオン水となる。脱塩室で除去された不純物イオンは、印加されている電流により、陽極ならびに陰極方向にイオン交換膜を透過し移動し、濃縮室の水の流れにより濃縮室から濃縮水連通孔を通して濃縮水として系外へ排出される。脱塩室で精製された脱イオン水についても同様に、脱塩室から脱塩水連通管を通って系外へと流出する。
特開2001−11328号公報
しかしながら、従来の電気式脱イオン水製造装置は、イオン交換膜を枠体に貼付又は接着する場合、イオン交換膜は膜劣化を防ぎ、寸法安定性を高めるため水を含んだ状態で貼付又は接着されることから、接着が不十分となり、締め付け後であっても、一方の連通孔から他方の連通孔へと水が流れるような漏れが生じるという問題がある。また、多数の脱塩室及び濃縮室を積層することで形成されているため、枠体やイオン交換膜を多用し、装置作製にかかる材料費が嵩むという問題がある。これら材料費の中でも、イオン交換膜は非常に高価であり、且つ多くの量を使用するため、通常電気式脱イオン水製造装置の製造コストの40〜50%もの割合を占めている。また、材料費低減のため膜の面積を使用する枠体よりも小さくすると、枠体を積層した際にそれぞれの枠体間に隙間が生じてしまうことで、装置外への水漏れにつながり、電流リークの危険性があるとともに、水漏れ個所に硬度成分が析出することで装置の破損の原因となる等の問題がある。特に装置が大型になると、枠体断面積が大きくなったり、積層数が増えることで枠体間に生じる隙間も大きくなり、装置外への水漏れが一層起こり易くなる。
従って、本発明の目的は、枠体に形成された連通管間における漏れをなくし、イオン交換膜の使用量を低減すると共に、装置からの水漏れのない電気式脱イオン水製造装置を提供することにある。
かかる実状において、本発明者らは鋭意検討を行った結果、電気式脱イオン水製造装置の脱塩室用枠体及び濃縮室用枠体の窓状の開口の包囲部に被処理水、脱塩水及び濃縮水が流れる連通孔をそれぞれ形成し、該イオン交換膜の外縁の寸法を該枠体の外縁の寸法より小さく且つ該連通孔を回避する大きさとし、該イオン交換膜の外側にフィルム状膜包囲スペーサーを配設すれば、枠体に形成された連通管間における漏れを防止でき、イオン交換膜の使用量を低減できると共に、装置からの水漏れのないことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、交互に配設される複数枚のイオン交換膜の間に、窓状の開口を有する枠体を介在させて濃縮室と脱塩室を交互に積層して形成される電気式脱イオン水製造装置において、該窓状の開口の包囲部に被処理水、脱塩水及び濃縮水が流れる連通孔をそれぞれ形成し、該イオン交換膜の外縁の寸法を該枠体の外縁の寸法より小さく且つ該連通孔を回避する大きさとし、該イオン交換膜の外側にフィルム状膜包囲スペーサーを配設することを特徴とする電気式脱イオン水製造装置を提供するものである。
また、本発明は、前記イオン交換膜は、矩形状であることを特徴とする前記電気式脱イオン水製造装置を提供し、また、本発明は、前記膜包囲スペーサーは、前記イオン交換膜と同じ厚みか又は組み付けにより該イオン交換膜と同じ厚みになるものである前記電気式脱イオン水製造装置を提供し、また、本発明は、前記膜包囲スペーサーは、ポリエチレンフィルムである前記電気式脱イオン水製造装置を提供し、また、本発明は、前記膜包囲スペーサーは、外縁の寸法が該枠体の外縁の寸法と略同じか又はそれ以上であり、内縁の寸法が該イオン交換膜の外縁の寸法と同じであることを特徴とする前記電気式脱イオン水製造装置を提供し、また、本発明は、前記脱塩室を形成する枠体は、窓状の開口を有する第1小枠体と、窓状の開口を有する第2小枠体と、第1小枠体と第2小枠体の間に配設される中間イオン交換膜を積層して形成されたものである前記電気式脱イオン水製造装置を提供し、また、本発明は、前記中間イオン交換膜の外縁の寸法を該第1小枠体と第2小枠体の外縁の寸法より小さく且つ該連通孔を回避する大きさとし、該中間イオン交換膜の外側にフィルム状膜包囲スペーサーを配設する前記電気式脱イオン水製造装置を提供し、また、本発明は、前記脱塩室及び前記濃縮室のうち、少なくとも脱塩室には、イオン交換体を充填したものである前記電気式脱イオン水製造装置を提供するものである。
本発明によれば、連通孔周りは水を含まない、乾燥状態のフィルムを貼付又は接着できるため、貼付作業及び接着作業が行い易く、且つ締め付けによりフィルムのシール性が高まり、一方の連通孔から他方の連通孔へと水が流れるような漏れは無く、処理水の水質を高めることができる。また、イオン交換膜の使用量を低減すると共に、装置からの水漏れによる電流のリークや、硬度成分の析出による装置の破損を防ぐことができる。イオン交換膜の膜包囲部にフィルム状物を設置することで、積層した脱塩室及び濃縮室からの水漏れを効果的に防止できる理由は、イオン交換膜の面積を枠体よりも小さくすることで生じる枠体間の隙間に、フィルム状物が配設され、当該隙間を効果的に塞ぐためである。また、膜包囲スペーサーとしてポリエチレンフィルムを使用すれば、イオン交換膜よりやや硬めで且つ締め付け力に対して適度の弾力を示すため、増し締めを行った際に生じるゆがみも小さく抑えることが出来る。また、本発明で使用するイオン交換膜は、面積比率で従来のイオン交換膜の30%以上削減できるため、例えばイオン交換膜とポリエチレンフィルムを使用した場合、電気式脱イオン水製造装置の製造コストは、概ね従来の装置と比較して12%以上削減できる。また、枠体は既存のものがそのまま使用できるため、新たな形状の金型を製造する必要もなく製造コストを押し上げることはない。また、枠体間に介在させる部材はイオン交換膜と膜包囲スペーサーの2つの部材であるものの、組立ては簡易であり製作時間を延長させることもない。
次に、本発明の第1の実施の形態における電気式脱イオン水製造装置について図1〜図3を参照して説明する。図1は本例の電気式脱イオン水製造装置の一部を省略した簡略側面図、図2は本例の電気式脱イオン水製造装置の一部の分解斜視図、図3は本例の電気式脱イオン水製造装置の模式図である。なお、図3中、構成部材は電極方向において離間しているが、これは各部材及びその設置位置を明確にするためであり、締め付け後、電極方向における各部材は相互に密着状態にある。また、脱塩室は2つとして簡略化した。
電気式脱イオン水製造装置10は、交互に配設される複数枚の陽イオン交換膜6と陰イオン交換膜9の間に、窓状の開口41、51を有する枠体4、5を交互に介在させて濃縮室511と脱塩室411を交互に積層して形成される。窓状の開口41と両側のイオン交換膜6、9で形成される脱塩室411にはイオン交換体が充填される。なお、必要により窓状の開口51と両側のイオン交換膜6、9で形成される濃縮室511にもイオン交換体を充填してもよい。充填されるイオン交換体としては、特に制限されず、アニオン交換体単床、カチオン交換体単床およびアニオン交換体とカチオン交換体の混床又はこれらの組み合わせのものが挙げられる。また、イオン交換体としては、イオン交換樹脂、イオン交換繊維、モノリス状多孔質イオン交換体などイオン交換機能があればいずれでもよく、また、これらを組み合わせたものであってもよいが、このうち、イオン交換樹脂が、最も汎用的でありイオン交換膜のしわ等が発生しても膜との隙間が生じにくい点で好ましい。
脱塩室411を形成する枠体4と濃縮室511を形成する枠体5は、陰極1と陽極2の間に配置され、陰極1及び陽極2の外側に位置する押さえ板3、3を、ボルト孔に通した不図示のボルトにより締め付けることにより固定される。押さえ板3、3を締め付けるボルトの位置としては、特に制限されないが、両面の押さえ板3、3からの締め付け圧が均等にかかるように配置することが好ましい。本例では枠体外にボルトが通るよう押さえ板の4辺の縁部近傍において、等ピッチで20箇所にボルト孔(不図示)を配設している。
脱塩室411を形成する枠体4は、更に窓状の開口41の包囲部47に被処理水連通孔42、脱塩水連通孔43及び濃縮水連通孔44、44が形成されている。被処理水連通孔42、脱塩水連通孔43及び濃縮水連通孔44、44の配設位置としては、窓状の開口41の包囲部47であれば特に制限されないが、本例のように枠体4の四隅とすることが、枠体4の強度を低下させることがない点で好ましい。枠体4には、更に被処理水連通孔42と脱塩室411を連通させる水の第1流路45と、脱塩水連通孔43と脱塩室411を連通させる第2流路46が形成されている。第1流路45と第2流路46は枠体4の厚みより小さい深さに切り欠かれたものであり、本例では一方の対角線上(図1中、左側下りの線上)にある。なお、通常、第1流路45と第2流路46の脱塩室411側にはスリット部材やメッシュ部材を付設して、イオン交換体が脱塩室411から流出することを防止している。
脱塩室411を形成する枠体4は、必要に応じて、窓状の開口部41に格子を設け、強度を増すとともにイオン交換体の充填が均一に行えるようにしてもよい。また、枠体4の形状や厚さは特に制限されず、充填されるイオン交換体の充填方法、装置を使用する場所、脱イオンの目的、被処理水の種類等により適宜決定される。また、枠体4の材質は、導電性を持たず十分な強度を有するものであれば特に制限されず、例えばPVC、ノリル、ABS等のプラスティク材が挙げられる。本発明で用いる枠体4は既存の電気式脱イオン水製造装置に使用されているものをそのまま使用することができる。
濃縮室511を形成する枠体5において、脱塩室411を形成する枠体4と同一構成要素についてはその説明を省略し、異なる点について説明する。すなわち、枠体5において、枠体4と異なる点は、一方の濃縮水連通孔54と濃縮室511を連通させる水の第3流路55と、他方の濃縮水連通孔(図2では不図示)と濃縮室511を連通させる第4流路(図2では不図示)を、枠体5の他の対角線上(図1中、右側下りの線上)に形成した点にある。濃縮水連通孔54、54の中、一方は濃縮室へ供給される水が流入する孔であり、他方は濃縮水が流出する孔である。濃縮室へ供給される水としては、特に制限されず、被処理水であっても、純水であってもよい。また、枠体5の厚みとしては、特に制限されないが、通常脱塩室411を形成する枠体4より小さい。また、図中、枠体5の外縁の寸法は枠体4の外縁の寸法と同じである。濃縮室511はイオン交換体充填又は未充填のいずれであってもよいが、図3に示すようにメッシュ状物8を配置すると、濃縮水に乱流が生じてスケールの析出を防止することができる。
枠体4、5の両面に付設するイオン交換膜6、9は、イオン交換膜6、9の外形が窓状の開口41、51より大きく、枠体4、5の外形より小さく且つ4つの連通孔を回避する大きさである。4つの連通孔を回避するとは、イオン交換膜6、9を所定の位置に配設した際、4つの連通孔の一部又は全部を塞ぐことない意味である。イオン交換膜の形状としては、特に制限されず、矩形状物、矩形状物の4つの角が丸みを帯びたもの及び不定形状物が挙げられ、このうち、矩形状物がロール状に巻かれた長尺物から所定寸法のイオン交換膜の複数枚を効率的に切り出すことができる点で好ましい。また、イオン交換膜として、矩形状物を用いた場合、図2のような長手方向と短手方向がある場合、少なくとも長手方向においては、長手方向に対向する連通孔の内側縁aの内側に配置される大きさであり、枠体が正四角形及び略正四角形の場合、いずれの方向においても、連通孔の内側縁aの内側に配置される大きさであることが好ましい。また、矩形状イオン交換膜の糊代としては、特に制限されないが、10〜30mm、好ましくは15〜25mmである。
イオン交換膜としては、特に制限されず、均質膜、不均質膜などが挙げられる。具体的には、本例で用いる陽イオン交換膜6、陰イオン交換膜9の単一膜の他、アニオン交換膜又はカチオン交換膜の複式膜、バイポーラ膜、モザイク膜などが挙げられる。イオン交換膜の枠体への貼付方法としては、特に制限されず、両面テープによる接着方法、接着剤による直接接着方法等が挙げられ、このうち、両面テープによる接着方法が、簡易な方法で且つ接着部分の厚みを制御できる点で好ましい。
イオン交換膜6、9の外側に配設されるフィルム状膜包囲スペーサー7としては、特に制限されず、イオン交換膜6、9と同じ厚みか又はイオン交換膜6、9の厚みよりも多少薄め、具体的には10%程度薄めに設定し、最終的に押さえ板3、3で両面から押し付けた際、イオン交換膜6、9と同じ厚さになるものが、水漏れを確実に防止することができる点で好ましい。フィルム状膜包囲スペーサーの厚みとしては、概ね0.2〜0.5mm程度で且つ使用されるイオン交換膜の厚みにより決定される。フィルム状膜包囲スペーサー7には、更に被処理水連通孔42、脱塩水連通孔43及び濃縮水連通孔44、44に対向する位置に、同様の被処理水連通孔72、脱塩水連通孔73及び濃縮水連通孔74、74が付設されている。また、膜包囲スペーサー7は、外縁の寸法が枠体4、5の外縁の寸法と略同じであり、内縁の寸法がイオン交換膜6、9の外縁の寸法と同じであれば、窓状の開口41、51の包囲部47、57における面に沿った方向において隙間ができない点で好ましい。なお、フィルム状はシート状や薄膜などを含む意味である。
フィルム状膜包囲スペーサー7の具体例としては、ポリエチレン(PE)フィルム軟質、ポリエチレン(PE)フィルム硬質、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム及びポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム等のポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、PTFEフィルム、FEPフィルム、PFAフィルム、ポリカーボネート(PC)フィルム、ポリエーテルイミド(PEI)フィルム、ポリアセテート(POM)フィルム等が挙げられる。このうち、ポリエチレン(PE)フィルム軟質、ポリエチレン(PE)フィルム硬質、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム及びポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム等のポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレン(PP)フィルムが好ましく、特にポリエチレンフィルムが、シール部材として好適な硬度を有し、且つ0.2〜0.5mm程度のものを安価に入手できる点で好ましい。
なお、本発明の電気式脱イオン水製造装置において、イオン交換膜及び該イオン交換膜の外側のフィルム状膜包囲スペーサーの設置場所としては、該電気式脱イオン水製造装置を構成するイオン交換膜を使用する部位の中、一部であっても、全部であってもよいが、イオン交換膜使用部位の全部とすることが、本発明の効果が顕著に表れる点で好ましい。
次に、第2の実施の形態における電気式脱イオン水製造装置を図4を参照して説明する。図4の装置において、図3の装置と同一構成要素には同一符号を付して、その説明を省略し、異なる点について主に説明する。すなわち、第2の実施の形態例の電気式脱イオン水製造装置10aにおいて、第1の実施の形態例の電気式脱イオン水製造装置10と異なる点は、脱塩室の構造である。すなわち、本例の電気式脱イオン水製造装置10aの脱塩室を形成する枠体4aは、窓状の開口を有する第1小枠体41aと、窓状の開口を有する第2小枠体42aと、第1小枠体41aと第2小枠体42aの間に配設される中間イオン交換膜43aを積層して形成されるものである。このような電気式脱イオン水製造装置10aの脱塩室構造は特開2001−239270号公報に開示されたものである。
第1小枠体41aと第2小枠体42aの間に中間イオン交換膜43aを配設する形態は、従来のものと同様であり、第1小枠体41aと第2小枠体42aの外形と同じ寸法の中間イオン交換膜43aを例えば両面テープで貼付するものである。電気式脱イオン水製造装置10aにおいて、被処理水は先ず、第1小枠体41aに流入し、第1小枠体41aの流出水が、第2小枠体42aに流入し、第2小枠体42aの流出水を脱イオン水として得る。中間イオン交換膜43aとしては、特に制限されず、例えば第1小枠体41aの脱塩室にアニオン交換体を充填し、第2小枠体42aにアニオン交換体とカチオン交換体の混合イオン交換体を充填する場合、アニオン交換膜が使用される。なお、図4中、中間イオン交換膜43aは、第1小枠体41a及び第2小枠体42aの外縁の寸法と同じものであるが、これに限定されず、前述のように、中間イオン交換膜43aの外縁の寸法を、第1小枠体41a及び第2小枠体42aの外縁の寸法より小さく且つ連通孔を回避する大きさとし、該中間イオン交換膜の外側にフィルム状膜包囲スペーサーを配設するようにしてもよい。この場合、電気式脱イオン水製造装置10aにおいては、中間イオン交換膜43aの面積は、脱塩室4aの両側に配設されるイオン交換膜と同様に削減できるためコストダウンが図れ、且つ水漏れを防止することができる。
本例の電気式脱イオン水製造装置10によれば、イオン交換膜6、9の使用量を従来の全面がイオン交換膜のものと比べて、面積比率で30%以上まで低減できる。例えば膜包囲スペーサーとして、ポリエチレンフィルムを使用した場合、電気式脱イオン水製造装置の製造コストは、概ね従来の装置と比較して12%以上削減できる。また、枠体4、5は既存のものがそのまま使用できるため、新たな形状の金型を製造する必要もなく製造コストを押し上げることはない。また、枠体間4、5に介在させる部材はイオン交換膜6と膜包囲スペーサー7の2つの部材であるものの、組立ては簡易であり製作時間を延長させることもない。また、イオン交換膜6、9の面積を枠体4、5よりも小さくすることで生じる枠体4、5間の隙間に、フィルム状の膜包囲スペーサーが配設され、当該隙間を効果的に塞ぎ水漏れを防ぐ。また、膜包囲スペーサーとしてポリエチレンフィルムを使用すれば、イオン交換膜よりやや硬めで且つ締め付け力に対して適度の弾力を示すため、増し締めを行った際に生じるゆがみも小さく抑えることができる。
また、イオン交換膜を両面テープ等により、連通孔を塞ぐように貼付又は接着する場合、イオン交換膜は膜劣化を防ぎ、寸法安定性を高めるため水を含んだ状態で接着されることから、接着が不十分となり、締め付け後であっても、一方の連通孔から他方の連通孔へと水が流れるような漏れが生じることがある。これに対して、本発明は、連通孔周りは水を含まない、乾燥状態のフィルムを貼付できるため、貼付作業及び接着作業が行い易く、且つ締め付けによりフィルムのシール性が高まり、一方の連通孔から他方の連通孔へと水が流れるような漏れは無く、処理水の水質を高めることができる。
次に、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
下記仕様及び図1〜図3及び図5に示される構造の電気式脱イオン水製造装置を作製し、下記運転条件により半年間の運転を行った。評価は、運転中の水漏れの有無と適宜の運転時間における処理水の水質で判定した。その結果、安定して比抵抗値が15MΩcm以上の脱イオン水が得られることを確認すると共に、連続運転中、積層した枠体間などからの水漏れも起こらないことを確認した。
・脱塩室用枠体;外縁の寸法は縦730×横610×厚み8mmであり、窓状形状は縦520×横500×厚み8mmである。なお、縦は図1における方向を言い、以下同様である。
・濃縮室用枠体;図5に示されるものを使用した。濃縮室用枠体5aの外縁の寸法は縦730×横610×厚み1mmであり、窓状の開口の形状は縦520×横500×厚み1mmに一方の被処理水連通孔に接続する流路55aと濃縮室連通孔に接続する流路56aがつながる横変形S字形状である。なお、窓状の開口は全面にメッシュ状物8が設置されている。
・イオン交換膜;陽イオン交換膜、陰イオン交換膜共に縦560×横550×厚み0.3mmの矩形状である。枠体へは両面テープにより固定している。
・フィルム状膜包囲スペーサー;外縁の寸法は縦730×横610×厚み0.3mmであり、内縁の寸法は縦560×横550×厚み0.3mmのポリエチレンフィルム軟質(新神戸電機社製)である。
・イオン交換体;アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂を1:1の割合で混合したものを脱塩室のみに充填した。
・組み付け方法;交互に配設される複数枚の陽イオン交換膜と陰イオン交換膜の間に、窓状の開口を有する枠体を介在させて濃縮室と脱塩室を交互に30枚積層した。次いで積層物の周囲を20本のボルトで最終締め付け力132Nmで均一に締め付けた。なお、ボルト孔は押さえ板の端から15mm内側の位置にある。
・被処理水の通水;河川水を逆浸透膜で処理したものを被処理水連通孔から脱塩室と濃縮室へ導入した。
・運転条件;供給水量5.5m3/h、脱塩水量5.0m3/h、濃縮水量0.5m3/hにおいて、直流電源2.5Aを印加し通水した。
図3の脱塩室構造に代えて図4の脱塩室構造としたこと及び下記仕様としたこと以外は、実施例1と同様の方法で行った。すなわち、実施例1で使用した電気式脱イオン水製造装置の脱塩室を形成する枠体と濃縮室を形成する枠体の間に、更にもう一つの小脱塩室(第2小脱塩室)を形成する枠体を設け、被処理水を第1小脱塩室に流入し、第1小脱塩室の流出水を第2小脱塩室の流入水とし、第2小脱塩室の流出水を脱イオン水としたものである。なお、図4中の中間イオン交換膜43aは、第1小枠体41a及び第2小枠体42aの外縁の寸法より小さく且つ連通孔を回避する矩形状物とし、中間イオン交換膜43aの外側にフィルム状膜包囲スペーサーを配設するようにした。その結果、安定して比抵抗値が15MΩcm以上の脱イオン水が得られることを確認すると共に、連続運転中、積層した枠体間などからの水漏れも起こらないことを確認した。
・追加した脱塩室用枠体;外縁の寸法は縦730×横610×厚み4mmであり、窓状形状は縦520×横500×厚み4mmである。
・イオン交換体;第1小脱塩室にはアニオン交換樹脂を充填し、第2小脱塩室にはアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂の混合イオン交換樹脂(混合割合1:1)を充填した。
・中間イオン交換膜;外縁の寸法は縦560×横550×厚み0.3mmの矩形状のアニオン交換膜を用いた。
・フィルム状膜包囲スペーサー;外縁の寸法は縦730×横610×厚み0.3mmであり、内縁の寸法は縦560×横550×厚み0.3mmのポリエチレンフィルム軟質(新神戸電機社製)である。
比較例1
陰極から15枚目の脱塩室の陰極側面のフィルム状膜包囲スペーサーの設置を省略し、更に当該部分に設置されるイオン交換膜の寸法縦560×横550×厚み0.3mmに代えて、イオン交換膜の寸法縦700×横550×厚み0.3mmを使用した以外は、実施例1と同様の方法で行った。なお、イオン交換膜の被処理水連通孔、脱塩水連通孔及び濃縮水連通孔と対向する位置には、当該連通孔と同じ寸法の連通孔をくり抜いて形成した。その結果、処理水は安定して比抵抗15MΩcm以上の水質のものが得られたものの、装置運転後2日目より、フィルム状膜包囲スペーサーを使用しなかった脱塩室と濃縮室の間から、約80ml/分の割合で水漏れが発生していることが確認された。
比較例1から明らかなように、脱塩室用枠体と濃縮室用枠体間の最外周に縦30mm、横60mm幅の帯状の隙間が存在すると水漏れが生じるものの、実施例1及び2に示すように、比較例1より外縁の寸法が小さなイオン交換膜であっても、その外側に枠体の残部となるフィルム状の膜包囲部が存在することで、水漏れを完全に防止することができた。
第1の実施の形態例の電気式脱イオン水製造装置の一部を省略した簡略側面図である。 第1の実施の形態例の電気式脱イオン水製造装置の一部の分解斜視図である。 第1の実施の形態例の電気式脱イオン水製造装置の模式図である。 第2の実施の形態例の電気式脱イオン水製造装置の模式図である。 本例の電気式脱イオン水製造装置で用いる濃縮室を形成する枠体の概略図である。
符号の説明
1 陰極
2 陽極
3 押さえ板
4、4a 脱塩室用枠体
5 濃縮室用枠体
6 陽イオン交換膜
7 フィルム状膜包囲スペーサー
8 メッシュ状物
9 陰イオン交換膜
10、10a 電気式脱イオン水製造装置
41、51、71 窓状の開口
41a 第1小脱塩室
42a 第2小脱塩室
42、52、72 被処理水連通孔
43、53、73 脱塩水連通孔
43a 中間イオン交換膜
44、54、74 濃縮水連通孔
45 第1流路
46 第2流路
47、57、77 窓状の開口の包囲部
52 被処理水連通孔
411 脱塩室
511 濃縮室

Claims (8)

  1. 交互に配設される複数枚のイオン交換膜の間に、窓状の開口を有する枠体を介在させて濃縮室と脱塩室を交互に積層して形成される電気式脱イオン水製造装置において、該窓状の開口の包囲部に被処理水、脱塩水及び濃縮水が流れる連通孔をそれぞれ形成し、該イオン交換膜の外縁の寸法を該枠体の外縁の寸法より小さく且つ該連通孔を回避する大きさとし、該イオン交換膜の外側にフィルム状膜包囲スペーサーを配設することを特徴とする電気式脱イオン水製造装置。
  2. 前記イオン交換膜は、矩形状であることを特徴とする請求項1記載の電気式脱イオン水製造装置。
  3. 前記膜包囲スペーサーは、前記イオン交換膜と同じ厚みか又は組み付けにより該イオン交換膜と同じ厚みになるものであることを特徴とする請求項1又は2記載の電気式脱イオン水製造装置。
  4. 前記膜包囲スペーサーは、ポリエチレンフィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の電気式脱イオン水製造装置。
  5. 前記膜包囲スペーサーは、外縁の寸法が該枠体の外縁の寸法と略同じか又はそれ以上であり、内縁の寸法が該イオン交換膜の外縁の寸法と同じであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の電気式脱イオン水製造装置。
  6. 前記脱塩室を形成する枠体は、窓状の開口を有する第1小枠体と、窓状の開口を有する第2小枠体と、第1小枠体と第2小枠体の間に配設される中間イオン交換膜を積層して形成されたものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の電気式脱イオン水製造装置。
  7. 前記中間イオン交換膜の外縁の寸法を該第1小枠体と第2小枠体の外縁の寸法より小さく且つ該連通孔を回避する大きさとし、該中間イオン交換膜の外側にフィルム状膜包囲スペーサーを配設することを特徴とする請求項6記載の電気式脱イオン水製造装置。
  8. 前記脱塩室及び前記濃縮室のうち、少なくとも脱塩室には、イオン交換体を充填したものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の電気式脱イオン水製造装置。
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