本発明の実施形態に係る電力計測器5は、図1A,図1Bに示すように、基板51(図3参照)と、コイル52(検出素子)と、計測部55と、演算部56とを備える。コイル52は、基板51の厚み方向に沿って流れる負荷電流に応じたアナログ電流信号を出力するように構成されている。計測部55は、コイル52の出力するアナログ電流信号に基づいて負荷電流を計測するように構成されている。演算部56は、負荷電流と、複数の分岐ブレーカ3の何れかに印加される負荷電圧とに基づいて負荷電力を演算するように構成されている。
計測部55は、第1A/D変換回路552と、ディジタルフィルタ553と、第1通信回路554とを備える。第1A/D変換回路552は、アナログ電流信号をディジタル電流信号に変換して出力するように構成されている。ディジタルフィルタ553は、ディジタル電流信号をフィルタリングするように構成されている。第1通信回路554は、ディジタルフィルタ553で処理されたディジタル電流信号を演算部56に出力するように構成されている。
演算部56は、第2A/D変換回路561と、第2通信回路562と、演算回路563とを備える。第2A/D変換回路561は、外部から与えられる負荷電圧を示すアナログ電圧信号をディジタル電圧信号に変換して出力するように構成されている。第2通信回路562は、ディジタル電流信号が入力されるように構成されている。演算回路563は、ディジタル電流信号とディジタル電圧信号とに基づいて負荷電力を演算するように構成されている。
演算部56は、第1A/D変換回路552と第2A/D変換回路561とを同期させるための同期信号を生成し、且つ同期信号を計測部55に出力する機能を有している。そして、ディジタルフィルタ553の動作クロックの周波数は、同期信号の周波数の整数倍である。
また、本実施形態の電力計測器5では、第2通信回路562は、動作クロックの周波数と比例し且つ動作クロックの周波数よりも低い周波数のクロック信号を計測部55に出力する機能を有していてもよい。そして、計測部55は、クロック信号の周波数を逓倍して動作クロックを生成する位相同期回路555(逓倍回路)を備えていてもよい。
また、本実施形態の電力計測器5では、第1通信回路554及び第2通信回路562は、それぞれ伝送路(第3信号線L3)を介してシリアル通信により双方向のデータの入出力を行うように構成されていてもよい。そして、第2通信回路562は、伝送路(第3信号線L3)におけるデータの入力期間(ライト期間)と出力期間(リード期間)とを制御する制御信号を生成し、且つ制御信号を計測部55に出力する機能を有していてもよい。更に、第1通信回路554は、制御信号に応じて入力期間と出力期間とを切り替えるように構成されていてもよい。
また、本実施形態の電力計測器5では、第2通信回路562は、同期信号を制御信号に兼用するように構成されていてもよい。
また、本実施形態の電力計測器5は、計測部55を複数備えていてもよい。そして、複数の計測部55は、それぞれ動作クロックのパルス数を計数する機能を備え、且つそれぞれ動作クロックのパルス数で規定される期間でデータの入出力を行うように構成されていてもよい。
また、本発明の実施形態に係る分電盤用電力計測器(電力計測器)5では、図2,3に示すように、基板51は、主幹ブレーカ2と複数の分岐ブレーカ3との間を電気的に接続する導電バー41,42,43に取り付けられる。また、コイル52は、導電バー41,42に設けられて複数の分岐ブレーカ3の何れかに電気的に接続される接続端子411,421を流れる負荷電流に応じたアナログ電流信号を出力するように構成されている。
本発明の実施形態に係る分電盤1は、図2,図3に示すように、分電盤用電力計測器5と、計測ユニット6と、主幹ブレーカ2と、複数の分岐ブレーカ3と、導電バー41,42,43と、分電盤用キャビネット10とを備える。計測ユニット6は、演算部56にアナログ電圧信号を出力するように構成されている。分電盤用キャビネット10は、分電盤用電力計測器5、計測ユニット6、主幹ブレーカ2、複数の分岐ブレーカ3、導電バー41,42,43がそれぞれ配置されるように構成されている。
以下、本実施形態の電力計測器(分電盤用電力計測器)5及び分電盤1について詳細に説明する。但し、以下に説明する構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明は下記の実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
なお、以下では、本実施形態の分電盤1を戸建住宅で用いる場合について例示するが、この例に限らない。すなわち、本実施形態の分電盤1は、集合住宅の各住戸や、事務所、店舗などに用いてもよい。また、以下では、分電盤1が壁に取り付けられた状態での上下左右(図2における上下左右)を上下左右とし、壁に直交する方向を前後方向として説明するが、分電盤1を取り付ける向きを限定する趣旨ではない。
本実施形態の分電盤1は、図2,図3に示すように、分電盤用キャビネット10と、主幹ブレーカ2と、複数の分岐ブレーカ3と、導電バー41,42,43と、電力計測器5と、計測ユニット6とを備えている。また、本実施形態の分電盤1は、第1通信アダプタ7と、第2通信アダプタ8と、第3通信アダプタ9とを備えている。なお、本実施形態の分電盤1は、その最小限の構成として分電盤用キャビネット10と、主幹ブレーカ2と、複数の分岐ブレーカ3と、導電バー41,42,43と、電力計測器5と、計測ユニット6とを備えていればよい。したがって、本実施形態の分電盤1が、第1通信アダプタ7、第2通信アダプタ8、第3通信アダプタ9を備えるか否かは任意である。
分電盤用キャビネット10は、キャビネット本体11を備えている。キャビネット本体11は、例えば合成樹脂製であって、図2に示すように前面が開口した箱状に形成されている。キャビネット本体11は、住宅の壁等に取り付けて使用される。キャビネット本体11は、その内部に少なくとも主幹ブレーカ2、複数の分岐ブレーカ3、導電バー41,42,43、電力計測器5を収納する空間を有している。また、本実施形態の分電盤1では、キャビネット本体11は、計測ユニット6や、第1通信アダプタ7、第2通信アダプタ8、第3通信アダプタ9を収納する空間も有している。
また、キャビネット本体11は、前後方向に貫通する窓孔12を有しており、この窓孔12を通して壁裏からキャビネット本体11の内部に配線を引き込むことが可能である。なお、キャビネット本体11の前面には、開閉可能な蓋(図示せず)が取り付けられる。この蓋は、分電盤用キャビネット10に含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
主幹ブレーカ2は、一次側端子21と、二次側端子(図示せず)とを備えている。一次側端子21には、系統電源(商用電源)の単相三線式の引き込み線(図示せず)が電気的に接続される。二次側端子には、導電バー41,42,43が電気的に接続される。導電バー41,42,43は、それぞれ導電部材により形成されている。本実施形態の分電盤1では、配電方式として単相三線式を想定しているので、導電バー41は第1電圧極(L1相)の導電バー、導電バー42は第2電圧極(L2相)の導電バー、導電バー43は中性極(N相)の導電バーとして用いられる。これら3本の導電バー41,42,43は、主幹ブレーカ2の右側に配置され、キャビネット本体11に固定されている。
各分岐ブレーカ3は、中性極の導電バー43の上側と下側とに分かれて、それぞれ複数個ずつ(図2の例では、11個ずつ)左右方向に並ぶように配置されている。各分岐ブレーカ3は、それぞれ一次側端子(図示せず)と、二次側端子(図示せず)とを備えている。一次側端子には、導電バー41,42,43が電気的に接続される。また、二次側端子には、複数の電路(図示せず)の各々が接続される。各分岐ブレーカ3の二次側端子に接続された電路には、例えば照明器具や給湯設備等の機器、コンセント(アウトレット)や壁スイッチ等の配線器具が負荷として1つ以上接続される。
第1電圧極の導電バー41は、図3に示すように、各分岐ブレーカ3の各々に対応する位置において、上方及び下方に突出する複数の接続端子411を有している。また、第2電圧極の導電バー42は、各分岐ブレーカ3の各々に対応する位置において、上方及び下方に突出する複数の接続端子421を有している。そして、各分岐ブレーカ3は、導電バー43及び接続端子411,421が差し込まれる差込口31を有している。差込口31は、導電バー43及び接続端子411,421の各々に対応するように、各分岐ブレーカ3に3個ずつ設けられている。一次側端子は、これら3個の差込口31のうち2個の差込口31内に露出するように設けられている。各分岐ブレーカ3は、キャビネット本体11に取り付けられた状態において、差込口31に導電バー43及び接続端子411,421が差し込まれることで、一次側端子が導電バー41,42,43と電気的に接続される。つまり、接続端子411,421は、導電バー41,42に設けられて複数の分岐ブレーカ3の何れかに電気的に接続される。
本実施形態の分電盤1では、図3に示すように、中性極の導電バー43の下側において、前後方向の前側(壁とは反対側)から中性極、第1電圧極、第2電圧極の順に並ぶように導電バー43及び接続端子411,421が配置される。また、中性極の導電バー43の上側において、前後方向の前側(壁とは反対側)から中性極、第2電圧極、第1電圧極の順に並ぶように導電バー43及び接続端子411,421が配置される。
したがって、前後方向の両端の各差込口31内に一次側端子を有する分岐ブレーカ3は、導電バー43の上側に取り付けられたときに中性極及び第1電圧極に電気的に接続され、下側に取り付けられたときに中性極及び第2電圧極に電気的に接続される。また、前後方向の下側の2つの各差込口31内に一次側端子を有する分岐ブレーカ3は、導電バー43の上側及び下側の何れに取り付けられても、第1電圧極及び第2電圧極に電気的に接続される。
電力計測器5は、図1A,図3に示すように、基板51と、複数のコイル52(検出素子)と、複数の計測部55と、演算部56とを備えている。そして、複数のコイル52、複数の計測部55、演算部56は、基板51に実装されている。
基板51は、左右方向に長尺な多層構造のプリント基板である。基板51には、厚み方向に貫通する複数の第1孔53が左右方向に並ぶようにして設けられている。また、基板51には、厚み方向に貫通する複数の第2孔54が左右方向に並ぶようにして設けられている。各第2孔54は、各第1孔53と前後方向に沿って並ぶようにして、各第1孔53の後側にそれぞれ設けられている。各第1孔53及び各第2孔54は、それぞれ接続端子411,421が貫通可能な形状である。そして、基板51は、複数の接続端子411,421がそれぞれ各第1孔53及び各第2孔54を貫通するようにして、導電バー41,42に取り付けられる。
各コイル52は、基板51における各第2孔54の周囲にそれぞれ形成されている。各コイル52は、コアを用いない(コアレス)の空芯コイルから成り、第2孔54内を通過する負荷電流(接続端子411,421を流れる負荷電流)に応じた出力を生じるロゴスキコイルである。言い換えれば、コイル52は、導電バー41,42,43に設けられている接続端子411,421が貫通するように設けられ、接続端子411,421を流れる負荷電流に応じた出力(アナログ電流信号)を生じる。更に言い換えれば、コイル52は、基板51の厚み方向(上下方向)に沿って流れる負荷電流に応じたアナログ電流信号を出力するように構成されている。なお、本実施形態の電力計測器5では、各第2孔54の周囲にそれぞれコイル52を形成する構成となっているが、各第1孔53の周囲にそれぞれコイル52を形成する構成であってもよい。また、各第1孔53及び各第2孔54は、基板51の短手方向(前後方向)に開放されていてもよい。
各計測部55及び演算部56は、図1Aに示すように、第1信号線L1、第2信号線L2、第3信号線L3の3本の信号線により、互いに電気的に接続されている。第1信号線L1は、演算部56から各計測部55に同期信号を出力するために用いる信号線である。第2信号線L2は、演算部56から各計測部55にクロック信号を出力するために用いる信号線である。第3信号線L3(伝送路)は、各計測部55と演算部56との間で、シリアル通信により双方向のデータの入出力を行うために用いる信号線である。演算部56は、第1信号線L1及び第2信号線L2を用いたバス配線により各計測部55と電気的に接続されている。また、演算部56は、第3信号線L3を用いた渡り配線(すなわち、デイジーチェーン(daisy chain))により各計測部55と電気的に接続されている。
各計測部55は、隣接する2つのコイル52を一組として、各組に対して1つずつ設けられている。各計測部55の入力端と、対応する組の2つのコイル52の各出力端とは、それぞれ伝送線路57により電気的に接続されている。伝送線路57は、図示しないが、基板51の層間を接続するビアの導体と、基板51の厚み方向の両面にそれぞれ形成された導体とでツイストペア線(撚り対線)となるように構成されている。
以下、各計測部55及び演算部56についてより詳細に説明する。各計測部55は、コイル52(検出素子)の出力するアナログ電流信号に基づいて負荷電流を計測するようにそれぞれ構成されている。また、演算部56は、負荷電流と、複数の分岐ブレーカ3の何れかに印加される負荷電圧とに基づいて負荷電力を演算するように構成されている。なお、負荷電圧は、複数の電路の各々の線間電圧である。また、負荷電力は、複数の分岐ブレーカ3の何れかに接続される負荷(電路)で消費される瞬時電力である。
各計測部55は、図1Bに示すように、それぞれ増幅回路551と、第1A/D変換回路552と、ディジタルフィルタ553と、第1通信回路554と、位相同期回路(PLL:Phase Locked Loop)555とを備えている。また、各計測部55は、対応する組の2つのコイル52から出力されるアナログ信号を時分割で交互に取得する。
増幅回路551は、コイル52から出力されるアナログ電流信号を増幅するアンプで構成されている。本実施形態の電力計測器5では、増幅回路551は、VGA(Variable Gain Amplifier:可変利得アンプ)で構成されている。第1A/D変換回路552は、増幅回路551から出力されるアナログ電流信号を所定のサンプリング周期でディジタル電流信号に変換するように構成されている。
ディジタルフィルタ553は、例えばFIR(Finite Impulse Response:有限長インパルス応答)型であって、DSP(Digital Signal Processor)でプログラムを実行することで実現する。なお、ディジタルフィルタ553は、ハードウェアで実現してもよい。ディジタルフィルタ553は、動作クロックに基づく所定の動作周期で、入力されるディジタル電流信号を処理する。具体的には、ディジタルフィルタ553は、入力されるディジタル電流信号のうち、電源周波数の周波数成分を通過させ、電源周波数よりも高い周波数成分を除去する。つまり、ディジタルフィルタ553は、ディジタル電流信号をフィルタリングするローパスフィルタとして機能する。
ここで、ディジタルフィルタ553は、第1A/D変換回路552から出力されるディジタル電流信号を積分する機能も有している。すなわち、コイル52から出力されるアナログ電流信号は、接続端子411,421を流れる負荷電流を微分した値を示す。このため、ディジタルフィルタ553は、第1A/D変換回路552から出力されるディジタル電流信号を積分することで、接続端子411,421を流れる負荷電流を示すディジタル電流信号を生成する。
第1通信回路554は、ディジタルフィルタ553で処理されたディジタル電流信号(つまり、負荷電流のデータ)を演算部56に出力するように構成されている。本実施形態の電力計測器5では、第1通信回路554は、第3信号線L3(伝送路)を介したシリアル通信により、ディジタル電流信号を演算部56に出力するように構成されている。
位相同期回路555は、演算部56から第2信号線L2を介して出力されるクロック信号の周波数を逓倍して動作クロックを生成する逓倍回路である。位相同期回路555は、生成した動作クロックをディジタルフィルタ553に与える。
演算部56は、図1Aに示すように、第2A/D変換回路561と、第2通信回路562と、演算回路563とを備えている。第2A/D変換回路561は、外部(ここでは、計測ユニット6)から与えられるアナログ電圧信号を所定のサンプリング周期でディジタル電圧信号に変換するように構成されている。
第2通信回路562は、各計測部55から出力されるディジタル電流信号が入力されるように構成されている。本実施形態の電力計測器5では、第2通信回路562は、第3信号線L3(伝送路)を介したシリアル通信により、ディジタル電流信号が各計測部55から入力されるように構成されている。
また、第2通信回路562は、第1信号線L1を介して同期信号を各計測部55に出力する機能を有している。同期信号は、第1A/D変換回路552及び第2A/D変換回路561のサンプリング周期を規定するパルスである。つまり、同期信号は、第1A/D変換回路552と第2A/D変換回路561とで互いに同期をとるための信号である。さらに、第2通信回路562は、第2信号線L2を介してクロック信号を各計測部55に出力する機能を有している。クロック信号は、動作クロックの周波数(例えば、6MHz)と比例し且つ動作クロックの周波数よりも低い周波数(例えば、100kHz)のパルスである。
同期信号及びクロック信号は、例えば演算部56の内蔵の発振器(図示せず)が出力する発振信号(例えば、周波数が36MHz)を分周することで生成される。したがって、同期信号とクロック信号とは互いに同期がとれている。また、クロック信号を逓倍して生成される動作クロックも、同期信号と互いに同期がとれている。
演算回路563は、第2A/D変換回路561から出力されるディジタル電圧信号と、各計測部55から出力されるディジタル電流信号とに基づいて、負荷電力を演算するように構成されている。そして、第2通信回路562は、演算回路563で演算された瞬時電力のデータを電力信号として、計測ユニット6を経由して第1通信アダプタ7に出力するように構成されている。
計測ユニット6は、電力計測器5と電気的に接続されている。計測ユニット6は、複数の電路の各々の線間電圧を計測し、線間電圧のデータをアナログ電圧信号として電力計測器5へ出力する機能を有している。また、計測ユニット6は、カレントトランス(図示せず)により例えば主幹ブレーカ2や一次連系ブレーカ(後述する)を流れる電流を計測し、主幹ブレーカ2や一次連系ブレーカを通過する瞬時電力を演算する機能を有している。なお、計測ユニット6が当該機能を有するか否かは任意である。
計測ユニット6は、いずれかの分岐ブレーカ3の二次側端子に電気的に接続されている。そして、計測ユニット6には、この分岐ブレーカ3を介して電源用の電力が供給されている。また、計測ユニット6は、この電源用の電力に基づいて第1通信アダプタ7の電源用の電力を生成し、生成した電源用の電力を第1通信アダプタ7に供給するように構成されている。なお、計測ユニット6は、導電バー41,42,43から直接、電源用の電力が供給されるように構成されていてもよい。
第1通信アダプタ7は、コントローラ(図示せず)との間で通信する機能を有している。コントローラは、HEMS(Home Energy Management System)用のコントローラであり、HEMSに対応する機器(図示せず)の制御を行うように構成されている。機器は、消費電力の管理対象であれば足り、例えば、スマートメータ、太陽光発電装置、蓄電装置、燃料電池、電気自動車、エアコン、照明器具、給湯装置、冷蔵庫、テレビ受像機などを含む。勿論、機器をこれらの機器に限定する趣旨ではない。
第1通信アダプタ7とコントローラとの間の通信方式は、例えば920MHz帯の特定小電力無線局(免許を要しない無線局)や、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の電波を媒体とした無線通信であってもよい。その他、第1通信アダプタ7とコントローラとの間の通信方式は、有線LAN(Local Area Network)などの有線通信であってもよい。また、第1通信アダプタ7とコントローラとの間の通信における通信プロトコルは、例えばEthernet(登録商標)、ECHONET(登録商標) Liteなどを用いてよい。
本実施形態の分電盤1では、電力計測器5は、計測ユニット6を経由して瞬時電力のデータを第1通信アダプタ7に送信するように構成されている。また、計測ユニット6も、瞬時電力のデータを第1通信アダプタ7に送信するように構成されている。すなわち、第1通信アダプタ7は、電力計測器5や計測ユニット6から瞬時電力のデータを収集するように構成されている。そして、第1通信アダプタ7は、収集した瞬時電力のデータを所定時間に亘って積算した電力量のデータを演算する機能を有している。したがって、第1通信アダプタ7と通信するコントローラは、複数の電路の各々での瞬時電力や電力量に基づいて機器を制御することができる。
第2通信アダプタ8は、電力メータ(図示せず)との間で通信する機能を有している。電力メータは、所謂スマートメータであって、需要家(facility)での使用電力量を計測し、配電線に接続されているコンセントレータ(図示せず)との間で通信を行うことにより、遠隔検針を可能にするように構成されている。また、電力メータは、第2通信アダプタ8との間で通信することにより、計量値(使用電力量)や要請情報などを第2通信アダプタ8に送信することができる。なお、要請情報とは、電力供給事業者などが運営するサーバから需要家に向けて送信される電力の消費を抑制するための要請である。
ここで、第2通信アダプタ8は、電力メータから受信した計量値を第1通信アダプタ7へ送信するように構成されていることが望ましい。この場合、第1通信アダプタ7との間で通信するコントローラは、計量値を用いて機器を制御するように構成されていてもよい。この構成では、コントローラは、電力メータから送信される計量値に基づいて機器を制御することができる。
第2通信アダプタ8は、第1通信アダプタ7と機械的に結合され、且つ電気的に接続される。本実施形態の分電盤1では、第1通信アダプタ7と第2通信アダプタ8とは、各々の一部が前後方向に重なった状態で、基板対基板(board to board)接続によって接続される。第2通信アダプタ8と電力メータとの間の通信方式は、例えば920MHz帯の特定小電力無線局(免許を要しない無線局)等の無線通信であってもよい。その他、第2通信アダプタ8と電力メータとの間の通信方式は、有線LANや電力線搬送通信(PLC:Power Line Communications)等の有線通信であってもよい。
第3通信アダプタ9は、太陽光発電装置(図示せず)、蓄電装置(図示せず)、電気自動車に電気的に接続される電力変換装置(図示せず)の少なくとも1つとの間で通信する機能を有している。なお、電力変換装置は、分電盤1側から電気自動車への単方向充電を行うための電力変換の他、双方向に電力変換を行うことで電気自動車の蓄電池の充電と放電との両方に用いられる構成であってもよい。また、第3通信アダプタ9は、ガスメータ(図示せず)と水道メータ(図示せず)との少なくとも一方との通信機能を有している。ガスメータや水道メータは流量に応じたパルス信号を出力する。第3通信アダプタ9は、ガスメータや水道メータからパルス信号を受信し、予め決められている1パルス当たりの流量の換算値(換算レート)を用いて、流量に換算する。
第3通信アダプタ9は、第1通信アダプタ7と機械的に結合され、且つ電気的に接続される。本実施形態の分電盤1では、第1通信アダプタ7と第3通信アダプタ9とは、各々の一部が前後方向に重なった状態で、基板対基板(board to board)接続によって接続される。
第3通信アダプタ9と太陽光発電装置、蓄電装置、電力変換装置との間の通信方式は、例えばRS−485などの有線通信とする。なお、第3通信アダプタ9は、例えば貯湯型の給湯装置(エコキュート(登録商標))などと通信可能であってもよい。また、第3通信アダプタ9とガスメータ、水道メータとの間の通信方式は、有線通信とする。但し、第3通信アダプタ9とガスメータ、水道メータとの間の通信方式は、有線通信に限らず、無線通信であってもよい。
なお、本実施形態の分電盤1では、第3通信アダプタ9は、上記の2つの通信機能を有しているが、各々の通信機能を個別に有する2つのアダプタで構成されていてもよい。
ところで、本実施形態の分電盤1では、図2に示すように、複数の分岐ブレーカ3の他に、二次連系ブレーカ100を導電バー41,42,43に電気的に接続している。二次連系ブレーカ100は、3P3E(極数3、素子数3)で、左右方向の寸法が分岐ブレーカ3の複数個分(3個分)の大きさのブレーカである。二次連系ブレーカ100は、電力系統への逆潮流が許容されていない第1分散電源(図示せず)に電気的に接続される。第1分散電源としては、例えば燃料電池(図示せず)やガス発電装置(図示せず)、蓄電装置などがある。
二次連系ブレーカ100は、分岐ブレーカ3と同様に、一次側端子(図示せず)と、二次側端子101とを備えている。一次側端子には、導電バー41,42,43が電気的に接続され、二次側端子101には、第1分散電源が電気的に接続される。つまり、二次連系ブレーカ100は、主幹ブレーカ2の二次側と、第1分散電源との間に電気的に接続される。このため、二次連系ブレーカ100は、例えば系統電源からの電力供給が停止したときや、系統電源または第1分散電源に異常が生じたときなどに、第1分散電源を電力系統から切り離す(解列する)ように動作する。なお、本実施形態の分電盤1が、二次連系ブレーカ100を備えるか否かは任意である。
また、本実施形態の分電盤1は、キャビネット本体11における主幹ブレーカ2の左側に、一次連系ブレーカ(図示せず)が取り付けられるスペースを有している。本実施形態の分電盤1では、図2に示すように、当該スペースにおいて、支持台13をキャビネット本体11に取り付けている。そして、一次連系ブレーカは、この支持台13に取り付けられる。
一次連系ブレーカは、3P3E(極数3、素子数3)で、左右方向の寸法が分岐ブレーカ3の複数個分(3個分)の大きさのブレーカである。一次連系ブレーカは、電力系統への逆潮流が許容されている第2分散電源(図示せず)に電気的に接続される。第2分散電源としては、例えば太陽光発電装置などがある。
一次連系ブレーカは、一次側端子(図示せず)と、二次側端子(図示せず)とを備えている。一次側端子には、主幹ブレーカ2の一次側端子21が電気的に接続される。二次側端子には、第2分散電源が電気的に接続される。つまり、一次連系ブレーカは、主幹ブレーカ2の一次側と、第2分散電源との間に電気的に接続される。このため、一次連系ブレーカは、例えば系統電源からの電力供給が停止したときや、系統電源または第2分散電源に異常が生じたときなどに、第2分散電源を電力系統から切り離す(解列する)ように動作する。なお、本実施形態の分電盤1が、一次連系ブレーカを備えるか否かは任意である。
ここで、既に述べたように、本実施形態の電力計測器5では、演算部56は、第1A/D変換回路552と第2A/D変換回路561とで互いに同期をとるための同期信号を生成する機能を有している。そして、演算部56は、図1Aに示すように、第1信号線L1を介して同期信号を各計測部55に出力するように構成されている。
第1A/D変換回路552は、同期信号に基づく所定のサンプリング周期で、アナログ電流信号をディジタル電流信号に変換する。また、第2A/D変換回路561は、同期信号に基づく所定のサンプリング周期で、アナログ電圧信号をディジタル電圧信号に変換する。このため、本実施形態の電力計測器5では、ディジタル電流信号とディジタル電圧信号とで位相が揃う。
つまり、本実施形態の電力計測器5は、演算部56が出力する同期信号に基づいて各A/D変換回路552,561がアナログ信号をディジタル信号に変換するように構成されている。したがって、本実施形態の電力計測器5は、従来例に比べて、各A/D変換回路552,561がアナログ信号をディジタル信号に変換するタイミングが互いにずれる可能性が低く、負荷電力(瞬時電力)の演算精度を向上させることができる。
また、本実施形態の電力計測器5では、ディジタルフィルタ553の動作クロックの周波数(例えば、6MHz)が、同期信号の周波数(例えば、2kHz)の整数倍となっている。仮に、第1A/D変換回路552及び第2A/D変換回路561のサンプリング周期と、ディジタルフィルタ553の動作周期とで互いに位相がずれている場合、ディジタルフィルタ553の減衰特性が劣化する可能性がある。ディジタルフィルタ553の減衰特性の劣化の一例としては、例えばディジタルフィルタ553による減衰量の増大が挙げられる。そして、ディジタルフィルタ553の減衰特性が劣化すると、電力計測器5による負荷電力の演算精度が低下する可能性がある。
一方、本実施形態の電力計測器5では、上述のように、ディジタルフィルタ553の動作クロックの周波数が、同期信号の周波数の整数倍となっている。このため、本実施形態の電力計測器5では、第1A/D変換回路552及び第2A/D変換回路561のサンプリング周期と、ディジタルフィルタ553の動作周期とで互いに位相が揃う。したがって、本実施形態の電力計測器5は、ディジタルフィルタ553の減衰特性が劣化し難く、負荷電力の演算精度が低下し難いという利点がある。
ここで、ディジタルフィルタ553に与える動作クロックは、演算部56で生成されてもよい。この場合、動作クロックは、演算部56から第2信号線L2を介して各計測部55に出力されることになる。しかしながら、動作クロックは高周波信号である。このため、高周波信号が基板51上の配線(第2信号線L2)を通ることで、高周波に起因するノイズが発生したり、信号がなまったりするという問題が生じ得る。
一方、本実施形態の電力計測器5では、演算部56は、動作クロックの周波数よりも低い周波数のクロック信号を生成し、各計測部55に出力するように構成されている。そして、本実施形態の電力計測器5では、各計測部55は、位相同期回路(逓倍回路)555でクロック信号を逓倍し、動作クロックを生成するように構成されている。このため、本実施形態の電力計測器5は、動作クロックよりも周波数の低いクロック信号が基板51上の配線(第2信号線L2)を通るため、高周波に起因するノイズが発生し難く、信号もなまり難いという利点がある。なお、当該構成を採用するか否かは任意である。
ところで、演算部56は、負荷電力を演算するために、各計測部55で計測された負荷電流の計測データ(ディジタル電流信号)を収集する必要がある。また、演算部56は、各計測部55に対して、例えば検出素子(コイル52)の感度の補正値といった設定データを与え、各計測部55の設定を更新するのが望ましい場合がある。
本実施形態の電力計測器5では、検出素子(コイル52)の感度がバラつきを持つことがあるため、製造工程にて検出素子の感度のバラつきが確認される。そして、検出素子の感度を一律にするために、検出素子毎に感度の補正値(ここでは、各計測部55の増幅回路551のゲイン)が求められ、演算部56に記憶される。そして、演算部56がこの補正値のデータ(設定データ)を各計測部55に入力し、各計測部55が当該補正値をレジスタに設定すれば、増幅回路551のゲインが補正され、各検出素子の感度が一律に制御される。
そこで、本実施形態の電力計測器5では、演算部56の第2通信回路562、及び各計測部55の各第1通信回路554は、それぞれ伝送路(第3信号線L3)を介してシリアル通信により双方向のデータの入出力を行うように構成されている。以下、本実施形態の電力計測器5におけるシリアル通信について説明する。
第1通信回路554及び第2通信回路562は、図4,図5に示すように、通信クロック(ここでは、動作クロック)に同期して、伝送路(第3信号線L3)に1ビットずつデータを入力(または出力)するようにそれぞれ構成されている。また、第2通信回路562は、制御信号を生成し、且つ制御信号を各計測部55に出力する機能を有している。本実施形態の電力計測器5では、同期信号を制御信号に兼用している。
制御信号は、伝送路(第3信号線L3)におけるデータの入力期間(ライト期間)と出力期間(リード期間)とを制御するためのパルスである。本実施形態の電力計測器5では、制御信号がハイレベルの期間をリード期間(図4参照)、ローレベルの期間をライト期間(図5参照)に割り当てている。
リード期間では、各計測部55がデータ(計測データ)を出力する。また、リード期間では、各計測部55から出力されるデータが演算部56に入力される。つまり、リード期間では、各計測部55から演算部56に向けてデータを出力する向きの通信が行われる。ライト期間では、演算部56がデータ(設定データ)を出力する。また、ライト期間では、演算部56から出力されるデータが各計測部55に入力される。つまり、ライト期間では、演算部56から各計測部55に向けてデータを出力する向きの通信が行われる。
つまり、第1通信回路554は、制御信号に応じて伝送路(第3信号線L3)におけるデータの入力期間と出力期間とを切り替えるように構成されている。また、本実施形態の電力計測器5では、各計測部55は、それぞれ通信クロック(動作クロック)のパルス数を計数する機能を備えている。そして、各計測部55(各第1通信回路554)は、それぞれ通信クロック(動作クロック)のパルス数で規定される順番でデータの入出力を行うように構成されている。
以下、図4,図5に示すタイミングチャート図を用いて説明する。なお、以下の説明では、演算部56にn個の計測部55が繋がっていると仮定する。そして、演算部56に直接繋がっている計測部55から順に、1番目の計測部55、2番目の計測部55、…、n番目の計測部55と称する。制御信号がローレベルからハイレベルに切り替わると、図4に示すように、リード期間が開始される。リード期間において、1番目の計測部55は、リード期間の開始時から数えて17パルス目〜48パルス目の通信クロックに同期して、計32ビットのデータ(‘D16’〜‘D47’)を出力する。また、2番目の計測部55は、リード期間の開始時から数えて49パルス目〜80パルス目の通信クロックに同期して、計32ビットのデータ(‘D48’〜‘D79’)を出力する。以降、3番目の計測部55からn番目の計測部55も、通信クロックのパルス数で規定される順番に従ってデータを出力する。なお、リード期間の開始時から数えて1パルス目〜16パルス目の通信クロックに同期したデータは、ダミーデータ(固定値:‘0x00’)である。
次に、制御信号がハイレベルからローレベルに切り替わると、図5に示すようにライト期間が開始される。ライト期間において、1番目の計測部55は、ライト期間の開始時から数えて17パルス目〜48パルス目の通信クロックに同期して、計32ビットのデータ(‘D16’〜‘D47’)を入力する。また、2番目の計測部55は、リード期間の開始時から数えて49パルス目〜80パルス目の通信クロックに同期して、計32ビットのデータ(‘D48’〜‘D79’)を入力する。以降、3番目の計測部55からn番目の計測部55も、通信クロックのパルス数で規定される順番に従ってデータを入力する。なお、リード期間の開始時から数えて1パルス目〜16パルス目の通信クロックに同期したデータは、ダミーデータ(固定値:‘0x00’)である。
上述のように、本実施形態の電力計測器5では、第2通信回路562は、伝送路(第3信号線L3)におけるデータの入力期間と出力期間とを制御する制御信号を出力する機能を有している。そして、第1通信回路554は、制御信号に応じて伝送路(第3信号線L3)におけるデータの入力期間と出力期間とを切り替えるように構成されている。このため、本実施形態の電力計測器5は、1本の伝送路(第3信号線L3)により双方向のデータの入出力を行うことができる。したがって、本実施形態の電力計測器5では、データ入力用の信号線とデータ出力用の信号線とをそれぞれ用意する必要が無いので、シリアル通信に必要な信号線の数を減らすことができる。また、基板51における信号線の配線スペースが小さくて済むため、基板51の小型化を図ることができる。なお、当該構成を採用するか否かは任意である。
また、本実施形態の電力計測器5は、同期信号を制御信号に兼用するように構成されている。したがって、本実施形態の電力計測器5では、制御信号用の信号線を別途設ける必要が無いので、シリアル通信に必要な信号線の数を減らすことができる。また、基板51における信号線の配線スペースが小さくて済むため、基板51の小型化を図ることができる。なお、当該構成を採用するか否かは任意である。
更に、本実施形態の電力計測器5では、各計測部55(各第1通信回路554)は、それぞれ通信クロック(動作クロック)のパルス数で規定される順番でデータの入出力を行うように構成されている。つまり、本実施形態の電力計測器5では、通信クロック(動作クロック)のパルス数に、各計測部55がデータを入出力する順番を対応付けることで、演算部56は各計測部55のアドレスを指定することなくデータの入出力を行うことができる。この構成では、各計測部55のアドレスを指定する必要がないことから、アドレスを指定してシリアル通信を行う場合と比較して、通信量を低減することができる。なお、当該構成を採用するか否かは任意である。
なお、本実施形態の電力計測器5では、制御信号のローレベルの期間をライト期間に、ハイレベルの期間をリード期間に割り当てているが、逆であってもよい。すなわち、制御信号のハイレベルの期間をライト期間に、ローレベルの期間をリード期間に割り当ててもよい。
また、本実施形態の電力計測器5では、検出素子としてコイル52を用いているが、他の構成であってもよい。例えば、検出素子は、GMR(Giant Magnetic Resistances)素子であってもよい。