JP2015202003A - 電流計測器、分電盤用電流計測器及びそれを用いた分電盤 - Google Patents
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Abstract
【課題】高調波成分が含まれる負荷電流を計測する精度を向上させることのできる電流計測器、分電盤用電流計測器及びそれを用いた分電盤を提供する。
【解決手段】電流計測器5は、基板51と、コイル52と、コイル52の出力に基づいて負荷電流を計測する計測部55とを備える。そして、分電盤用電流計測器5は、計測部55が有する一対の入力用リード551と、コイル52の一対の出力端521との間に電気的に接続されて、所定の周波数(電源周波数)よりも高い周波数の信号を遮断するフィルタ58を備えている。
【選択図】図1
【解決手段】電流計測器5は、基板51と、コイル52と、コイル52の出力に基づいて負荷電流を計測する計測部55とを備える。そして、分電盤用電流計測器5は、計測部55が有する一対の入力用リード551と、コイル52の一対の出力端521との間に電気的に接続されて、所定の周波数(電源周波数)よりも高い周波数の信号を遮断するフィルタ58を備えている。
【選択図】図1
Description
本発明は、一般に電流計測器、分電盤用電流計測器及びそれを用いた分電盤、より詳細には負荷を流れる負荷電流を計測する電流計測器、分電盤用電流計測器及びそれを用いた分電盤に関する。
従来、分電盤の分岐回路などに設けられて、各回路に流れる負荷電流を検出する電流センサが知られており、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の従来例は、多層構造のプリント基板において、2つのロゴスキコイルと、信号処理回路(計測部)とが形成されて構成されている。ロゴスキコイルは、プリント基板に形成された開口を貫通する被測定電線を流れる負荷電流を検出する。計測部は、コイルから出力される検出電流信号の信号処理を行う。
コイルの出力端と、計測部の入力端とは、プリント基板に形成された略同じ長さの2本の伝送線路によって互いに電気的に接続されている。そして、従来例では、外部磁界に基づく不要検出電流が各伝送線路で略同じになることを利用して被測定電流(負荷電流)の補正を行い、耐ノイズ性を向上させている。
ところで、上記従来例のように、ロゴスキコイルを用いて負荷電流を検出する場合、ロゴスキコイルの出力は、負荷電流を微分した値を示す。このため、高調波成分が含まれる負荷電流をロゴスキコイルで計測しようとすると、高調波成分による不要な出力が上乗せされてロゴスキコイルの出力が増大する。すると、ロゴスキコイルの出力が、計測部の入力の許容範囲を超えてしまい、負荷電流の計測精度が低下する可能性があった。
本発明は、上記の点に鑑みて為されており、高調波成分が含まれる負荷電流を計測する精度を向上させることのできる電流計測器、分電盤用電流計測器及びそれを用いた分電盤を提供することを目的とする。
本発明の電流計測器は、基板と、前記基板に実装され、前記基板の厚み方向に沿って流れる負荷電流に応じた出力を生じるコイルと、前記基板に実装され、前記コイルの出力に基づいて前記負荷電流を計測するように構成される計測部と、前記計測部が有する一対の入力用リードと、前記コイルの一対の出力端との間に電気的に接続されて、所定の周波数よりも高い周波数の信号を遮断するフィルタとを備えることを特徴とする。
本発明の分電盤用電流計測器は、上記の電流計測器であって、前記基板は、主幹ブレーカと複数の分岐ブレーカとの間を電気的に接続する導電バーに取り付けられ、前記コイルは、前記導電バーに設けられて前記複数の分岐ブレーカの何れかに電気的に接続される接続端子を流れる前記負荷電流に応じた出力を生じるように構成されることを特徴とする。
本発明の分電盤は、上記の分電盤用電流計測器と、前記主幹ブレーカと、前記複数の分岐ブレーカと、前記導電バーと、前記分電盤用電流計測器、前記主幹ブレーカ、前記複数の分岐ブレーカ、前記導電バーがそれぞれ配置される分電盤用キャビネットとを備えることを特徴とする。
本発明は、計測部の入力用リードとコイルの出力端との間にフィルタを設けているので、フィルタにより負荷電流に含まれる高調波成分を遮断することができる。このため、本発明では、計測部に入力されるコイルの出力には、高調波成分による不要な出力が上乗せされないので、コイルの出力が計測部の入力の許容範囲を超え難い。したがって、本発明は、高調波成分が含まれる負荷電流を計測する精度を向上させることができる。
本発明の実施形態に係る電流計測器5は、図1に示すように、基板51と、コイル52と、計測部55とを備える。コイル52は、基板51の厚み方向に沿って流れる負荷電流に応じた出力を生じるように構成されている。計測部55は、基板51に実装され、コイル52の出力に基づいて負荷電流を計測するように構成されている。
そして、本実施形態の電流計測器5は、計測部55が有する一対の入力用リード551と、コイル52の一対の出力端521との間に電気的に接続されて、所定の周波数(電源周波数)よりも高い周波数の信号を遮断するフィルタ58を備えている。
また、本実施形態の電流計測器5では、図1に示すように、一対の入力用リード551と、一対の出力端521とを電気的に接続する伝送線路57を備えていてもよい。この場合、フィルタ58は、抵抗器R1及びコンデンサC1により構成される。そして、コンデンサC1は、基板51における計測部55の実装面に設けられ、且つ一対の入力用リード551の各々と伝送線路57との接続点にそれぞれ電気的に接続される。
また、本実施形態の電流計測器5では、フィルタ58は、集積回路により構成されていてもよい。
また、本発明の実施形態に係る分電盤用電流計測器(電流計測器)5では、図2,3に示すように、基板51は、主幹ブレーカ2と複数の分岐ブレーカ3との間を電気的に接続する導電バー41,42,43に取り付けられる。また、コイル52は導電バー41,42に設けられて複数の分岐ブレーカ3の何れかに電気的に接続される接続端子411,421を流れる負荷電流に応じた出力を生じるように構成されている。
また、本発明の実施形態に係る分電盤1は、図2,図3に示すように、分電盤用電流計測器5と、主幹ブレーカ2と、複数の分岐ブレーカ3と、導電バー41,42,43と、分電盤用キャビネット10とを備える。分電盤用キャビネット10は、分電盤用電流計測器5、主幹ブレーカ2、複数の分岐ブレーカ3、導電バー41,42,43がそれぞれ配置されるように構成されている。
以下、本実施形態の電流計測器(分電盤用電流計測器)5及び分電盤1について詳細に説明する。但し、以下に説明する構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明は下記の実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
なお、以下では、本実施形態の分電盤1を戸建住宅で用いる場合について例示するが、この例に限らない。すなわち、本実施形態の分電盤1は、集合住宅の各住戸や、事務所、店舗などに用いてもよい。また、以下では、分電盤1が壁に取り付けられた状態での上下左右(図2における上下左右)を上下左右とし、壁に直交する方向を前後方向として説明するが、分電盤1を取り付ける向きを限定する趣旨ではない。
本実施形態の分電盤1は、図2,図3に示すように、分電盤用キャビネット10と、主幹ブレーカ2と、複数の分岐ブレーカ3と、導電バー41,42,43と、電流計測器5と、計測ユニット6とを備えている。また、本実施形態の分電盤1は、第1通信アダプタ7と、第2通信アダプタ8と、第3通信アダプタ9とを備えている。なお、本実施形態の分電盤1は、その最小限の構成として分電盤用キャビネット10と、主幹ブレーカ2と、複数の分岐ブレーカ3と、導電バー41,42,43と、電流計測器5とを備えていればよい。したがって、本実施形態の分電盤1が、計測ユニット6や第1通信アダプタ7、第2通信アダプタ8、第3通信アダプタ9を備えるか否かは任意である。
分電盤用キャビネット10は、キャビネット本体11を備えている。キャビネット本体11は、例えば合成樹脂製であって、図2に示すように前面が開口した箱状に形成されている。キャビネット本体11は、住宅の壁等に取り付けて使用される。キャビネット本体11は、その内部に少なくとも主幹ブレーカ2、複数の分岐ブレーカ3、導電バー41,42,43、電流計測器5を収納する空間を有している。また、本実施形態の分電盤1では、キャビネット本体11は、計測ユニット6や、第1通信アダプタ7、第2通信アダプタ8、第3通信アダプタ9を収納する空間も有している。
また、キャビネット本体11は、前後方向に貫通する窓孔12を有しており、この窓孔12を通して壁裏からキャビネット本体11の内部に配線を引き込むことが可能である。なお、キャビネット本体11の前面には、開閉可能な蓋(図示せず)が取り付けられる。この蓋は、分電盤用キャビネット10に含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
主幹ブレーカ2は、一次側端子21と、二次側端子(図示せず)とを備えている。一次側端子21には、系統電源(商用電源)の単相三線式の引き込み線(図示せず)が電気的に接続される。二次側端子には、導電バー41,42,43が電気的に接続される。導電バー41,42,43は、それぞれ導電部材により形成されている。本実施形態の分電盤1では、配電方式として単相三線式を想定しているので、導電バー41は第1電圧極(L1相)の導電バー、導電バー42は第2電圧極(L2相)の導電バー、導電バー43は中性極(N相)の導電バーとして用いられる。これら3本の導電バー41,42,43は、主幹ブレーカ2の右側に配置され、キャビネット本体11に固定されている。
各分岐ブレーカ3は、中性極の導電バー43の上側と下側とに分かれて、それぞれ複数個ずつ(図2の例では、11個ずつ)左右方向に並ぶように配置されている。各分岐ブレーカ3は、それぞれ一次側端子(図示せず)と、二次側端子(図示せず)とを備えている。一次側端子には、導電バー41,42,43が電気的に接続される。また、二次側端子には、複数の電路(図示せず)の各々が接続される。各分岐ブレーカ3の二次側端子に接続された電路には、例えば照明器具や給湯設備等の機器、コンセント(アウトレット)や壁スイッチ等の配線器具が負荷として1つ以上接続される。
第1電圧極の導電バー41は、図3に示すように、各分岐ブレーカ3の各々に対応する位置において、上方及び下方に突出する複数の接続端子411を有している。また、第2電圧極の導電バー42は、各分岐ブレーカ3の各々に対応する位置において、上方及び下方に突出する複数の接続端子421を有している。そして、各分岐ブレーカ3は、導電バー43及び接続端子411,421が差し込まれる差込口31を有している。差込口31は、導電バー43及び接続端子411,421の各々に対応するように、各分岐ブレーカ3に3個ずつ設けられている。一次側端子は、これら3個の差込口31のうち2個の差込口31内に露出するように設けられている。各分岐ブレーカ3は、キャビネット本体11に取り付けられた状態において、差込口31に導電バー43及び接続端子411,421が差し込まれることで、一次側端子が導電バー41,42,43と電気的に接続される。つまり、接続端子411,421は、導電バー41,42に設けられて複数の分岐ブレーカ3の何れかに電気的に接続される。
本実施形態の分電盤1では、図3に示すように、中性極の導電バー43の下側において、前後方向の前側(壁とは反対側)から中性極、第1電圧極、第2電圧極の順に並ぶように導電バー43及び接続端子411,421が配置される。また、中性極の導電バー43の上側において、前後方向の前側(壁とは反対側)から中性極、第2電圧極、第1電圧極の順に並ぶように導電バー43及び接続端子411,421が配置される。
したがって、前後方向の両端の各差込口31内に一次側端子を有する分岐ブレーカ3は、導電バー43の上側に取り付けられたときに中性極及び第1電圧極に電気的に接続され、下側に取り付けられたときに中性極及び第2電圧極に電気的に接続される。また、前後方向の下側の2つの各差込口31内に一次側端子を有する分岐ブレーカ3は、導電バー43の上側及び下側の何れに取り付けられても、第1電圧極及び第2電圧極に電気的に接続される。
電流計測器5は、各分岐ブレーカ3に各々接続された負荷(電路)を流れる電流(以下、「負荷電流」と称する)を計測するように構成されている。電流計測器5は、図3に示すように、基板51と、複数のコイル52と、複数の計測部55と、演算部56とを備えている。
基板51は、左右方向に長尺な多層構造のプリント基板である。基板51には、厚み方向に貫通する複数の第1孔53が左右方向に並ぶようにして設けられている。また、基板51には、厚み方向に貫通する複数の第2孔54が左右方向に並ぶようにして設けられている。各第2孔54は、各第1孔53と前後方向に沿って並ぶようにして、各第1孔53の後側にそれぞれ設けられている。各第1孔53及び各第2孔54は、それぞれ接続端子411,421が貫通可能な形状である。そして、基板51は、複数の接続端子411,421がそれぞれ各第1孔53及び各第2孔54を貫通するようにして、導電バー41,42に取り付けられる。
各コイル52は、基板51における各第2孔54の周囲にそれぞれ形成されている。各コイル52は、コアを用いない(コアレス)の空芯コイルから成り、第2孔54内を通過する負荷電流(接続端子411,421を流れる負荷電流)に応じた出力を生じるロゴスキコイルである。言い換えれば、コイル52は、導電バー41,42,43に設けられている接続端子411,421が貫通するように設けられ、接続端子411,421を流れる負荷電流に応じた出力を生じるように構成されている。更に言い換えれば、コイル52は、基板51の厚み方向(上下方向)に沿って流れる負荷電流に応じた出力を生じるように構成されている。なお、本実施形態の電流計測器5では、各第2孔54の周囲にそれぞれコイル52を形成する構成となっているが、各第1孔53の周囲にそれぞれコイル52を形成する構成であってもよい。また、各第1孔53及び各第2孔54は、基板51の短手方向(前後方向)に開放されていてもよい。
各計測部55は、隣接する2つのコイル52を一組として、各組に対して1つずつ設けられている。各計測部55の入力端と、対応する組の2つのコイル52の各出力端とは、それぞれ伝送線路57により電気的に接続されている。伝送線路57は、図1に示すように、計測部55の有する一対の入力用リード551と、コイル52の一対の出力端521とを電気的に接続している。伝送線路57は、図示しないが、基板51の層間を接続するビアの導体と、基板51の厚み方向の両面にそれぞれ形成された導体とでツイストペア線(撚り線)となるように構成されている。
各計測部55は、図示しないが、それぞれ増幅回路と、A/D変換回路と、積分回路と、信号処理回路とを備えている。また、各計測部55は、対応する組の2つのコイル52から出力されるアナログ信号を時分割で交互に取得する。
増幅回路は、コイル52から出力されるアナログ信号を増幅するアンプで構成されている。A/D変換回路は、増幅回路から出力されるアナログ信号をディジタル信号に変換するように構成されている。積分回路は、A/D変換回路から出力されるディジタル信号を積分するように構成されている。すなわち、コイル52から出力されるアナログ信号は、接続端子411,421を流れる負荷電流を微分した値を示す。このため、積分回路は、A/D変換回路から出力されるディジタル信号を積分することで、接続端子411,421を流れる負荷電流を示すディジタル信号を生成する。なお、本実施形態の計測部55では、DSP(Digital Signal Processor)でプログラムを実行することにより、積分回路を実現している。
信号処理回路は、積分回路から出力される負荷電流を示すディジタル信号(つまり、負荷電流のデータ)を電流信号として演算部56に出力するように構成されている。つまり、各計測部55は、コイル52の出力に基づいて負荷電流を計測するように構成されている。
演算部56は、図示しないが、A/D変換回路と、処理回路とを備えている。A/D変換回路は、計測ユニット6から出力される電圧信号(後述する)をディジタルの電圧信号に変換するように構成されている。処理回路は、A/D変換回路から出力されるディジタルの電圧信号と、各計測部55から出力される電流信号とに基づいて、複数の電路の各々の瞬時電力を演算し、瞬時電力のデータを生成するように構成されている。また、処理回路は、瞬時電力のデータを電力信号として、計測ユニット6を経由して第1通信アダプタ7に出力するように構成されている。
なお、本実施形態の電流計測器5は、複数の電路の各々の瞬時電力を演算する機能を有しているが、瞬時電力を演算する機能を有する必要はなく、少なくとも複数の電路の各々を流れる負荷電流を計測する機能を有していればよい。
計測ユニット6は、電流計測器5と電気的に接続されている。計測ユニット6は、複数の電路の各々の線間電圧を計測し、線間電圧のデータを電圧信号として電流計測器5へ出力する機能を有している。また、計測ユニット6は、カレントトランス(図示せず)により例えば主幹ブレーカ2や一次連系ブレーカ(後述する)を流れる電流を計測し、主幹ブレーカ2や一次連系ブレーカを通過する瞬時電力を演算する機能を有している。なお、計測ユニット6が当該機能を有するか否かは任意である。
計測ユニット6は、いずれかの分岐ブレーカ3の二次側端子に電気的に接続されている。そして、計測ユニット6には、この分岐ブレーカ3を介して電源用の電力が供給されている。また、計測ユニット6は、この電源用の電力に基づいて第1通信アダプタ7の電源用の電力を生成し、生成した電源用の電力を第1通信アダプタ7に供給するように構成されている。なお、計測ユニット6は、導電バー41,42,43から直接、電源用の電力が供給されるように構成されていてもよい。
第1通信アダプタ7は、コントローラ(図示せず)との間で通信する機能を有している。コントローラは、HEMS(Home Energy Management System)用のコントローラであり、HEMSに対応する機器(図示せず)の制御を行うように構成されている。機器は、消費電力の管理対象であれば足り、例えば、スマートメータ、太陽光発電装置、蓄電装置、燃料電池、電気自動車、エアコン、照明器具、給湯装置、冷蔵庫、テレビ受像機などを含む。勿論、機器をこれらの機器に限定する趣旨ではない。
第1通信アダプタ7とコントローラとの間の通信方式は、例えば920MHz帯の特定小電力無線局(免許を要しない無線局)や、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の電波を媒体とした無線通信であってもよい。その他、第1通信アダプタ7とコントローラとの間の通信方式は、有線LAN(Local Area Network)などの有線通信であってもよい。また、第1通信アダプタ7とコントローラとの間の通信における通信プロトコルは、例えばEthernet(登録商標)、ECHONET(登録商標) Liteなどを用いてよい。
本実施形態の分電盤1では、電流計測器5は、計測ユニット6を経由して瞬時電力のデータを第1通信アダプタ7に送信するように構成されている。また、計測ユニット6も、瞬時電力のデータを第1通信アダプタ7に送信するように構成されている。すなわち、第1通信アダプタ7は、電流計測器5や計測ユニット6から瞬時電力のデータを収集するように構成されている。そして、第1通信アダプタ7は、収集した瞬時電力のデータを所定時間に亘って積算した電力量のデータを演算する機能を有している。したがって、第1通信アダプタ7と通信するコントローラは、複数の電路の各々での瞬時電力や電力量に基づいて機器を制御することができる。
第2通信アダプタ8は、電力メータ(図示せず)との間で通信する機能を有している。電力メータは、所謂スマートメータであって、需要家(facility)での使用電力量を計測し、配電線に接続されているコンセントレータ(図示せず)との間で通信を行うことにより、遠隔検針を可能にするように構成されている。また、電力メータは、第2通信アダプタ8との間で通信することにより、計量値(使用電力量)や要請情報などを第2通信アダプタ8に送信することができる。なお、要請情報とは、電力供給事業者などが運営するサーバから需要家に向けて送信される電力の消費を抑制するための要請である。
ここで、第2通信アダプタ8は、電力メータから受信した計量値を第1通信アダプタ7へ送信するように構成されていることが望ましい。この場合、第1通信アダプタ7との間で通信するコントローラは、計量値を用いて機器を制御するように構成されていてもよい。この構成では、コントローラは、電力メータから送信される計量値に基づいて機器を制御することができる。
第2通信アダプタ8は、第1通信アダプタ7と機械的に結合され、且つ電気的に接続される。本実施形態の分電盤1では、第1通信アダプタ7と第2通信アダプタ8とは、各々の一部が前後方向に重なった状態で、基板対基板(board to board)接続によって接続される。第2通信アダプタ8と電力メータとの間の通信方式は、例えば920MHz帯の特定小電力無線局(免許を要しない無線局)等の無線通信であってもよい。その他、第2通信アダプタ8と電力メータとの間の通信方式は、有線LANや電力線搬送通信(PLC:Power Line Communications)等の有線通信であってもよい。
第3通信アダプタ9は、太陽光発電装置(図示せず)、蓄電装置(図示せず)、電気自動車に電気的に接続される電力変換装置(図示せず)の少なくとも1つとの間で通信する機能を有している。なお、電力変換装置は、分電盤1側から電気自動車への単方向充電を行うための電力変換の他、双方向に電力変換を行うことで電気自動車の蓄電池の充電と放電との両方に用いられる構成であってもよい。また、第3通信アダプタ9は、ガスメータ(図示せず)と水道メータ(図示せず)との少なくとも一方との通信機能を有している。ガスメータや水道メータは使用量に応じたパルス信号を出力する。第3通信アダプタ9は、ガスメータや水道メータからパルス信号を受信し、予め決められている1パルス当たりの使用量の換算値(換算レート)を用いて、使用量に換算する。
第3通信アダプタ9は、第1通信アダプタ7と機械的に結合され、且つ電気的に接続される。本実施形態の分電盤1では、第1通信アダプタ7と第3通信アダプタ9とは、各々の一部が前後方向に重なった状態で、基板対基板(board to board)接続によって接続される。
第3通信アダプタ9と太陽光発電装置、蓄電装置、電力変換装置との間の通信方式は、例えばRS−485などの有線通信とする。なお、第3通信アダプタ9は、例えば貯湯型の給湯装置(エコキュート(登録商標))などと通信可能であってもよい。また、第3通信アダプタ9とガスメータ、水道メータとの間の通信方式は、有線通信とする。但し、第3通信アダプタ9とガスメータ、水道メータとの間の通信方式は、有線通信に限らず、無線通信であってもよい。
なお、本実施形態の分電盤1では、第3通信アダプタ9は、上記の2つの通信機能を有しているが、各々の通信機能を個別に有する2つのアダプタで構成されていてもよい。
ところで、本実施形態の分電盤1では、図2に示すように、複数の分岐ブレーカ3の他に、二次連系ブレーカ100を導電バー41,42,43に電気的に接続している。二次連系ブレーカ100は、3P3E(極数3、素子数3)で、左右方向の寸法が分岐ブレーカ3の複数個分(3個分)の大きさのブレーカである。二次連系ブレーカ100は、電力系統への逆潮流が許容されていない第1分散電源(図示せず)に電気的に接続される。第1分散電源としては、例えば燃料電池(図示せず)やガス発電装置(図示せず)、蓄電装置などがある。
二次連系ブレーカ100は、分岐ブレーカ3と同様に、一次側端子(図示せず)と、二次側端子101とを備えている。一次側端子には、導電バー41,42,43が電気的に接続され、二次側端子101には、第1分散電源が電気的に接続される。つまり、二次連系ブレーカ100は、主幹ブレーカ2の二次側と、第1分散電源との間に電気的に接続される。このため、二次連系ブレーカ100は、例えば系統電源からの電力供給が停止したときや、系統電源または第1分散電源に異常が生じたときなどに、第1分散電源を電力系統から切り離す(解列する)ように動作する。なお、本実施形態の分電盤1が、二次連系ブレーカ100を備えるか否かは任意である。
また、本実施形態の分電盤1は、キャビネット本体11における主幹ブレーカ2の左側に、一次連系ブレーカ(図示せず)が取り付けられるスペースを有している。本実施形態の分電盤1では、図2に示すように、当該スペースにおいて、支持台13をキャビネット本体11に取り付けている。そして、一次連系ブレーカは、この支持台13に取り付けられる。
一次連系ブレーカは、3P3E(極数3、素子数3)で、左右方向の寸法が分岐ブレーカ3の複数個分(3個分)の大きさのブレーカである。一次連系ブレーカは、電力系統への逆潮流が許容されている第2分散電源(図示せず)に電気的に接続される。第2分散電源としては、例えば太陽光発電装置などがある。
一次連系ブレーカは、一次側端子(図示せず)と、二次側端子(図示せず)とを備えている。一次側端子には、主幹ブレーカ2の一次側端子21が電気的に接続される。二次側端子には、第2分散電源が電気的に接続される。つまり、一次連系ブレーカは、主幹ブレーカ2の一次側と、第2分散電源との間に電気的に接続される。このため、一次連系ブレーカは、例えば系統電源からの電力供給が停止したときや、系統電源または第2分散電源に異常が生じたときなどに、第2分散電源を電力系統から切り離す(解列する)ように動作する。なお、本実施形態の分電盤1が、一次連系ブレーカを備えるか否かは任意である。
ここで、例えば負荷がインバータ回路を備えている場合や、負荷が調光機能付きのLED照明器具である場合などでは、負荷電流には、電源周波数の成分のみならず、高次の周波数成分(つまり、高調波成分)が含まれる可能性がある。なお、調光機能付きのLED照明器具などの機器では、通常、規格(例えば、JIS C 61000-3-2)により定められる限度値以下となるように高調波電流が規制されているが、やはり負荷電流に高調波成分が含まれる可能性はある。
本実施形態の電流計測器5では、既に述べているように、ロゴスキコイルから成るコイル52を用いて負荷電流を計測している。コイル52の出力信号は、負荷電流を微分した値を示す。したがって、高調波成分が含まれる負荷電流をコイル52で計測しようとすると、高調波成分の周波数に比例した大きさの信号がコイル52の出力信号に上乗せされる。このように増大したコイル52の出力信号が計測部55の増幅回路に入力されると、増幅回路の入力の許容範囲を超えてしまい、増幅回路の出力が飽和する可能性がある。増幅回路の出力が飽和すると、負荷電流を反映した出力とはならないため、計測部55は負荷電流を正しく計測することができなくなる。
そこで、本実施形態の電流計測器5は、負荷電流に含まれる高調波成分を低減するために、図1に示すように、2つのフィルタ58を備えている。なお、図1には、計測部55の二対の入力用リード551のうち一方の対の入力用リード551と、対応する組の2つのコイル52のうち一方のコイル52と、一方の対の入力用リード551と一方のコイル52とを繋ぐ伝送線路57とを図示している。
本実施形態の電流計測器5では、各フィルタ58は、抵抗器R1及びコンデンサC1で構成されるCRローパスフィルタでそれぞれ構成されている。2つのフィルタ58のうち一方のフィルタ58の抵抗器R1は、一対の入力用リード551のうち一方の入力用リード551と、伝送線路57との間に電気的に接続されている。また、一方のフィルタ58のコンデンサC1は、この抵抗器R1及び一方の入力用リード551の接続点と、回路グランドとの間に電気的に接続されている。同様に、2つのフィルタ58のうち他方のフィルタ58の抵抗器R1は、一対の入力用リード551のうち他方の入力用リード551と、伝送線路57との間に電気的に接続されている。また、他方のフィルタ58のコンデンサC1は、この抵抗器R1及び他方の入力用リード551の接続点と、回路グランドとの間に電気的に接続されている。さらに、各抵抗器R1及び各コンデンサC1は、基板51の表面、すなわち基板51における計測部55の実装面に実装(表面実装)されている。
フィルタ58は、カットオフ周波数が電源周波数(50Hz又は60Hz)となるように構成されている。つまり、フィルタ58は、所定の周波数(ここでは、電源周波数)よりも高い周波数の信号を遮断するように構成されている。この構成では、コイル52の出力信号に電源周波数よりも高い周波数成分が含まれている場合、この周波数成分がフィルタ58により遮断される。したがって、フィルタ58を通過したコイル52の出力信号は、高調波成分を殆ど含まない状態で計測部55に入力される。
上述のように、本実施形態の電流計測器5では、計測部55の入力用リード551とコイル52の出力端521との間にフィルタ58を設けているので、フィルタ58により負荷電流に含まれる高調波成分を遮断することができる。このため、本実施形態の電流計測器5では、計測部55に入力されるコイル52の出力信号には、高調波成分による不要な出力が上乗せされないので、コイル52の出力信号が計測部55(増幅回路)の入力の許容範囲を超え難い。したがって、本実施形態の電流計測器5は、計測部55(増幅回路)の出力が飽和し難く、高調波成分が含まれる負荷電流を計測する精度を向上させることができる。
また、本実施形態の電流計測器5では、各コンデンサC1は、基板51における計測部55の実装面に設けられ、且つ一対の入力用リード551と伝送線路57との接続点にそれぞれ電気的に接続されている。更に言い換えれば、本実施形態の電流計測器5では、各コンデンサC1が、計測部55の入力用リード551の近傍に配置されている。つまり、本実施形態の電流計測器5では、各コンデンサC1がバイパスコンデンサとしても機能するので、輻射ノイズや伝導ノイズといったノイズに対する耐性を向上させることができる。したがって、本実施形態の電流計測器5では、ノイズの影響を受け難くすることができ、計測部55による負荷電流の計測に誤差が生じ難くすることができる。
なお、フィルタ58を上記のようにCRローパスフィルタで構成するか否かは任意である。つまり、フィルタ58は、所定の周波数(ここでは、電源周波数)よりも高い周波数の信号を遮断するように構成されていればよい。
また、本実施形態の電流計測器5では、フィルタ58は、IC(Integrated Circuit:集積回路)により構成されていてもよい。フィルタ58は、例えばオペアンプを用いた1次アクティブ・ローパスフィルタで構成される。この構成では、抵抗器R1やコンデンサC1等の部品を基板51に個別に実装してフィルタ58を構成する場合と比較して、実装のバラつきにより回路構成(例えば、部品間の配線長など)の変化を防止することができる。その結果、この構成では、外部磁界や外部電界によるノイズへの耐性を向上させることができる。
なお、本明細書でいう「スルーホール」は、基板51を貫通している孔だけではなく、多層構造である基板51の層間を繋ぐ孔(ビア)を含む。
1 分電盤
10 分電盤用キャビネット
2 主幹ブレーカ
3 分岐ブレーカ
41,42,43 導電バー
411,421 接続端子
5 電流計測器(分電盤用電流計測器)
51 基板
52 コイル
521 出力端
55 計測部
551 入力用リード
57 伝送線路
58 フィルタ
C1 コンデンサ
R1 抵抗器
10 分電盤用キャビネット
2 主幹ブレーカ
3 分岐ブレーカ
41,42,43 導電バー
411,421 接続端子
5 電流計測器(分電盤用電流計測器)
51 基板
52 コイル
521 出力端
55 計測部
551 入力用リード
57 伝送線路
58 フィルタ
C1 コンデンサ
R1 抵抗器
Claims (5)
- 基板と、
前記基板に実装され、前記基板の厚み方向に沿って流れる負荷電流に応じた出力を生じるコイルと、
前記基板に実装され、前記コイルの出力に基づいて前記負荷電流を計測するように構成される計測部と、
前記計測部が有する一対の入力用リードと、前記コイルの一対の出力端との間に電気的に接続されて、所定の周波数よりも高い周波数の信号を遮断するフィルタとを備えることを特徴とする電流計測器。 - 前記一対の入力用リードと、前記一対の出力端とを電気的に接続する伝送線路を備え、
前記フィルタは、抵抗器及びコンデンサにより構成され、
前記コンデンサは、前記基板における前記計測部の実装面に設けられ、且つ前記一対の入力用リードの各々と前記伝送線路との接続点にそれぞれ電気的に接続されることを特徴とする請求項1記載の電流計測器。 - 前記フィルタは、集積回路により構成されることを特徴とする請求項1記載の電流計測器。
- 請求項1乃至3の何れか1項に記載の電流計測器であって、
前記基板は、主幹ブレーカと複数の分岐ブレーカとの間を電気的に接続する導電バーに取り付けられ、
前記コイルは、前記導電バーに設けられて前記複数の分岐ブレーカの何れかに電気的に接続される接続端子を流れる前記負荷電流に応じた出力を生じるように構成されることを特徴とする分電盤用電流計測器。 - 請求項4記載の分電盤用電流計測器と、
前記主幹ブレーカと、
前記複数の分岐ブレーカと、
前記導電バーと、
前記分電盤用電流計測器、前記主幹ブレーカ、前記複数の分岐ブレーカ、前記導電バーがそれぞれ配置される分電盤用キャビネットとを備えることを特徴とする分電盤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014080499A JP2015202003A (ja) | 2014-04-09 | 2014-04-09 | 電流計測器、分電盤用電流計測器及びそれを用いた分電盤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014080499A JP2015202003A (ja) | 2014-04-09 | 2014-04-09 | 電流計測器、分電盤用電流計測器及びそれを用いた分電盤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2015202003A true JP2015202003A (ja) | 2015-11-12 |
Family
ID=54552822
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014080499A Pending JP2015202003A (ja) | 2014-04-09 | 2014-04-09 | 電流計測器、分電盤用電流計測器及びそれを用いた分電盤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2015202003A (ja) |
-
2014
- 2014-04-09 JP JP2014080499A patent/JP2015202003A/ja active Pending
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