第1の発明は、電動送風機を収容した掃除機本体と、前記掃除機本体に着脱可能に設けられ、前記電動送風機により吸引される含塵空気から塵埃を分離して捕集する集塵装置とを備え、前記集塵装置は、含塵空気中の塵埃を分離する第1遠心分離部と、前記第1遠心分離部に連通され前記第1遠心分離部の上方に位置し、前記第1遠心分離部を通過した含塵空気中の塵埃を分離する複数の旋回筒部を有した第2遠心分離部と、前記第1遠心分離部の内側下方に設けた細塵溜め部と、前記第2遠心分離部の下方に対向して位置すると共に、前記第2遠心分離部で分離された塵埃を前記細塵溜め部に落下させる塵埃移送部とを備え、前記塵埃移送部は、前記第1遠心分離部中央下方に向けて傾斜し互いに空間をあけて配置した複数の傾斜部と、この複数の傾斜部の中央に位置し、全ての傾斜部と連通する筒部とから形成され、前記筒部が前記細塵溜め部に連通し、かつ前記複数の傾斜部の1つは、前記第2遠心分離部の複数の旋回筒部の内の少なくとも2個以上と対向して位置することで、塵埃移送部の傾斜部は広い面を確保でき、傾斜部と筒部との連通部も広がるので、小型化のため筒部の径が小さくとも、第2遠心分離部で分離された塵埃が、傾斜部と筒部との連通部で詰まることなく、塵埃移送部に沿って細塵溜め部へ誘導されるため、第2遠心分離部は、第1遠心分離部の上側の周囲に配置する必要がなくなり、第2遠心分離部の径方向の大きさを小さくでき、第2遠心分離部の大きさが第1遠心分離部の大きさに左右されず、集塵装置の小型化が可能となる。
第2の発明は、特に、第1の発明の1つの傾斜部対し対向して位置する複数の旋回筒部を1つずつ仕切るように配置されたリブを設けたことにより、第2遠心分離部の各旋回筒部で分離された塵が、隣接する旋回筒部内部へと吸込まれることを抑制し、第2遠心分離部で分離された細かい塵埃が、塵埃移送部の傾斜部に沿って滑り落ち細塵溜め部に移送され易くでき、遠心分離性能を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態における集塵装置を備えた電気掃除機の全体斜視図、図2は同電気掃除機の掃除機本体の中央断面図、図3は同電気掃除機のサイクロン式集塵装置の全体斜視図、図4は同集塵装置の集塵容器および底蓋の断面図、図5は同集塵装置の第2遠心分離部での断面図、図6は同集塵装置の底蓋の上方斜視図、図7は同集塵装置の中央縦断面図、図8は同集塵装置の各部品の展開図、図9は同集塵装置の旋回部および遠心分離部蓋を示す斜視図、図10は同集塵装置の旋回部と遠心分離部蓋および塵埃移送部を示す斜視図、図11は同集塵装置の旋回部と塵埃移送部パッキンおよび塵埃移送部を示す斜視図を示すものである。
本実施の形態における集塵装置を用いた電気掃除機100は、図1に示すように、掃除機本体1と、掃除機本体1の前方に設けた吸入口2に接続されるホース3と、ホース3の先端に設けられた接続パイプ4と、接続パイプ4に接続される延長管5と、延長管5の先端に設けられ塵埃を吸引する開口部(図示せず)を底面に有する吸込具6からなり、掃除機本体1には、塵埃を吸引する為の吸引風を発生させる電動送風機7(図2参照)と、塵埃を集塵するサイクロン式集塵装置8が内蔵されている。
図2に示すように、掃除機本体1は、掃除機本体1の下面を形成する下枠体9と、掃除機本体1の上面を形成する上枠体10から構成されており、下枠体9と上枠体10は爪やネジ等によって結合されている。掃除機本体1の上枠体10の上部には、塵埃を遠心分離して捕集するサイクロン式集塵装置8が掃除機本体1に所定角度傾斜した状態で着脱自在に取り付けられる。
ここで、本実施の形態においては、サイクロン式集塵装置8が掃除機本体1の走行方向に対し、後方側に略45度傾斜した状態で掃除機本体1に取り付けられるように構成している。
また、下枠体9の下面の前方には、走行用のキャスター11が回動自在に取り付けられており、下枠体9の後方の左右両側面には、走行用の車輪12が設けられており、少なくとも前後方向に沿って走行可能に構成されている。なお、以下、前後方向および左右方向は、掃除機本体1の走行方向を基準としている。
図2において、電動送風機7は電動送風機ケース13に内包されており、電動送風機7の吸引口14が掃除機本体1に対して鉛直上方向になるように配置されている。また、電動送風機7の鉛直上方向にはフィルター部15を収納したフィルターケース16が配置されており、電動送風機ケース13とフィルターケース16は爪やネジ等によって結合されている。
図2及び図3に示すように、サイクロン式集塵装置8は、外郭は吸引した塵埃を捕集する集塵容器17と、集塵容器17の上面を覆い、集塵容器17に着脱自在に構成された上蓋18と、集塵容器17の下面を覆い、集塵容器17に回動自在に軸支した底蓋19とから構成されている。
上蓋18は、サイクロン式集塵装置8内部の空気を掃除機本体1に排出するため、掃除機本体1に接続される排気口20と略円筒状の側壁21および天面(図示せず)から構成されている。また、上蓋18には、持ち運び用の把手部22とそれを軸支する把手部おさ
え23と飾り板24が取り付けられ、集塵容器17に上蓋18を保持固定する尾錠25を側面2箇所に軸支している。
集塵容器17は、略中央部分の径を他より小さくしている略円筒形状で形成すると共に、前記中央部分には吸引した塵埃を集塵容器17内に導く吸気口26と、集塵容器17内部を清掃する為のお手入れブラシ27を保持するブラシ保持部28とを形成している。吸気口26は、集塵容器17の接線方向に向くように形成されている。
底蓋19は、集塵容器17に設けたヒンジ部29で回動可能で、係止部30で集塵容器17に係止され、底蓋19に取り付けられた底蓋パッキン31によって集塵容器17とエアータイト(気密性が保持)される。
底蓋19は係止部30が回動することでロックが外れて、開閉できる構成となっており、操作レバー32を押し下げることで係止部30が開き、底蓋19が開放される。
図4に示すように、集塵容器17内には、その略同心状に略円筒形状の1次フィルター33が設けられ、略円筒形状の1次フィルター33は、内筒枠34と内筒枠34の内筒開口部35を覆う内筒フィルター36とで構成されている。
略円筒形状の1次フィルター33の下方には、遠心分離した塵埃を集塵容器17の底部に捕集する為の傘状延出部37が爪嵌合、または溶着などの手段により、内筒枠34に取り付けられている。また、傘状延出部37上方と1次フィルター33との間には、捕集した塵埃が底部から舞い上がるのを防止する為の遮蔽部材38が爪嵌合にて保持固定されている。
内筒枠34には、平板状の金属板にエッチング等の微細加工で複数の斜め貫通孔を設けた平板状のフィルターを略円筒状に構成した内筒フィルター36で内筒開口部35を覆っている。金属表面部分には凹凸形状を設けない構成とすることで、旋回流が滑らかに流れることになり、分離効率を高めるとともに、塵埃などの巻きつきを軽減する効果を発揮する。
また、内筒フィルター36の素材として、1次フィルター33の分離性能は劣るが、樹脂や金属製の格子網を用いても良い。また、さらに内筒フィルター36の代わりに内筒開口部35自体をメッシュ状の小さな孔として形成してもよい。
傘状延出部37は、図4に示すように吸気口26方向から見て中央にスリット部39を有しており、このスリット部39の中央部から左右に分割したとき、吸気口26に近い分割部(図4の左側)の傘状延出部37のうち少なくとも一部が、もう一方の分割部(図4の右側)の傘状延出部37に比べて底蓋19方向に距離a40長く構成されている。
傘状延出部37の内部には、集塵通路41を通り塵埃収納室42へと送られた綿ごみを主とした塵埃が蓄積されるように構成されており、傘状延出部37から延出された延出壁43が、内部に蓄積した塵埃を外部に漏れ出ないように抑える作用をしている。
その際、塵埃は吸気口26付近(図4の左側)から塵埃収納室42へと入り込むため、傘状延出部37の内部に蓄積した塵埃が、吸気口26付近(図4の左側)の傘状延出部37の壁から先に漏れはじめ堆積してしまうと、吸気口26の入り口部分の集塵通路41を塞いでしまうため、塵埃収納室42に十分な塵埃を捕集することの妨げになる。
そこで、このような課題を防止するため、吸気口26に近い分割部(図4の左側)の傘
状延出部37の延出壁43の高さを、底蓋19方向に距離a40の長さ分長くし壁を高くすることで、堆積した塵埃が吸気口26付近の延出壁43から先に漏れはじめるのを防止することができ、塵埃収納室42へ最大限の集塵容量を確保させることができる。
以上のような構成により、吸込具6から吸い込まれる塵埃の混じった空気は、掃除機本体1の前方に設けた吸入口2を経由して、略円筒状の集塵容器17内へ接線方向に配置された吸気口26に吸い込まれる。
吸気口26に吸い込まれた空気は略円筒形状の1次フィルター33の外周と集塵容器17で形成されるサイクロン空間44に流れ、そこに発生する旋回流により綿ごみを主とした塵埃と細塵を含んだ空気とに遠心分離される。
綿ごみを主とした塵埃は、傘状延出部37と集塵容器17間に形成される集塵通路41を通り塵埃収納室42へと蓄積され、細塵を含んだ空気は1次フィルター33の内部を通過して行く。遮蔽部材38は、舞い上がり気流を抑制し、塵埃収納室42に捕集した塵埃が底部から舞い上がるのを防止する。このような構成により塵埃を遠心分離する作用をもたらす部分を第1遠心分離部45とするものである。
図5に示すように、傘状延出部37の内側には、略円筒状の壁46(略円筒状のリブ体)が設けられ、この略円筒状の壁46が形成されたことにより、略円筒状の壁46の内側にさらに最内部塵埃蓄積空間47が形成された形になり、塵埃はまず内側の最内部塵埃蓄積空間47に保持、蓄積される。
また、略円筒状の壁46の一部には切り欠き50が設けられ、この切り欠き50が形成されたことにより、切り欠き50部分から塵埃が略円筒状の壁46の内側の最内部塵埃蓄積空間47に入り易くすると共に、切り欠き50部分を通じて傘状延出部37内部の最内部塵埃蓄積空間47の空気の圧力を逃がすことにより、最内部塵埃蓄積空間47の圧力を下げ塵埃が保持され蓄積され易くすることで、最内部塵埃蓄積空間47に蓄積した塵埃が内部塵埃蓄積空間48や外部塵埃蓄積空間49への離脱、さらにはサイクロン空間44の範囲へ舞い戻るといったことをより一層防ぐことができる。
図6及び図7に示すように、底蓋19の内壁には4本のリブA51、リブB52、リブC53、リブD54が底蓋19の外周部から中央方向に向かって配置されている。
吸気口26より集塵容器17内に吸い込まれた空気は1次フィルター33の外周と集塵容器17で形成されるサイクロン空間44に流れ、そこに発生する旋回流により綿ごみを主とした塵埃と細塵を含んだ空気とに遠心分離される。
綿ごみを主とした塵埃は、傘状延出部37と集塵容器17間に形成される集塵通路41を通り塵埃収納室42へと導かれる。
塵埃収納室42へ流入した塵埃は外周部を旋回する間に、底蓋19に設けられた4本のリブA51、リブB52、リブC53、リブD54に当たることにより、徐々に外周部から、塵埃収納室42の傘状延出部37の下部空間へ導かれる。
リブA〜Dの各々の鉛直方向の突出高さは、異なるように設定されており、サイクロン式集塵装置8が掃除機本体1の走行方向に対し、後方側に略45度傾斜した状態で掃除機本体1に取り付けられるように構成しているため、サイクロン式集塵装置8が掃除機本体1に取り付けられた状態で最下部に位置するリブA51を、他のリブよりも鉛直方向に最も高くしてあり、他のリブ(リブB〜D)は、リブA51から、旋回流55とは逆方向の
順に、高さを小さくしてあり、リブの鉛直方向の高さの高い順番で言うと、リブA51、リブB52、リブC53、リブD54となっている。
また、リブA51は、他のリブ(リブB〜D)とは長さも異なり、底蓋19の内周側壁から底蓋19の中央部に向けて連結するようにリブ長さを設定している。
これは、塵埃収納室42を旋回する塵埃は、最下部付近で流速が最も落ち、鉛直方向に最も高くしたリブA51を最下部付近に配置したことによってさらに流速を落とし、最も流速が落ちる空間(図6におけるリブA51の左側)から、効率よく塵埃を蓄積させるためである。
リブA51の左側付近から始まった塵埃の蓄積は、旋回流55とは逆方向に向かって進み堆積していく。
このように塵埃収納室42の塵埃蓄積は進んでいくが、リブA51よりも旋回気流の上流側に位置するリブB52のリブ長さが、リブA51と同様の長い長さにした場合、リブB52が旋回流55の壁となり、リブB52を超えた部分の空間に塵埃が蓄積しにくい空間が発生し、塵埃を詰めて蓄積させることができないという課題を生じさせていた。
しかし、本実施の形態では、リブB52を、底蓋19の内周側壁から底蓋19の中央部方向まで長さを、リブA51の約半分の長さとすることで、傘状延出部37下部空間へ導く機能を保ちながら、塵埃の流速低下を抑えており、リブB52による塵埃が蓄積しにくい空間の発生を防止している。
そして、このような構成にすることで、傘状延出部37の下部空間の塵埃蓄積が詰まった状態で約1周進むと、次に傘状延出部37の外側空間の塵埃蓄積が、上述と同様に、リブA51の左側付近から始まる。
つまり底蓋19は、内周側壁から中央部方向に向けて形成される複数のリブを備え、前記リブの少なくとも1つは、内周側壁から中央部方向のリブの長さが、他のリブよりも長く設定したものである。
図5及び図8に示すように、1次フィルター33を通過した一部の細塵を含んだ空気流をさらに遠心分離する第2遠心分離部56が略円筒形状の1次フィルター33の上方に連通して設けられ、第2遠心分離部56によって細塵が濾過され、略円筒形状の1次フィルター33の下方で塵埃収納室42の中央に設けた細塵溜め部57に蓄積される。
そして、第2遠心分離部56を通過した細塵が除去された空気のみが排気口20を通過し、フィルター部15を通過して電動送風機7の吸引口14へ吸引され、掃除機本体1の外に排気される。
図8及び図9に示すように、第2遠心分離部56は、集塵容器17と略同心円状に配置された略円錐形状の旋回筒部58が8つ連なって構成される旋回部59と、第2遠心分離部56の天面を覆い、8つの旋回筒部58それぞれの内部中央に突き出すように配置され、旋回筒部58に流入した空気を上方に排出する8つの円筒部60を有する遠心分離部蓋61とが組み合わさることで構成されている。
旋回部59には、中央に1つの分流穴62が設けられ、この分流穴62の外周に等間隔で8つの旋回筒部58が配置され、この分流穴62から8つの旋回筒部58内に旋回気流が発生するように旋回筒部58の接線方向から流入する8つの上部切欠き口63が設けら
れている。
また、遠心分離部蓋61側には、旋回部59に設けた8つの上部切欠き口63と組み合わさる部分に螺旋状傾斜部64が設けられ、旋回部59の上部切欠き口63と遠心分離部蓋61の螺旋状傾斜部64とが組み合わさることで、旋回筒部58内へ気流を導く8つの流入口65が形成される。なお、螺旋状傾斜部64は、遠心分離部蓋61の円筒部60の外周壁に一体となって構成されている。
第2遠心分離部56へ流入した空気は8つの流入口65から吸い込まれ、遠心分離部蓋61に設けた螺旋状傾斜部64に沿って、旋回筒部58内に下降の旋回気流が発生するように旋回筒部58の接線方向から流入し、さらに遠心分離により空気から細塵を分離され、分離された非常に細かい塵埃は後述する塵埃移送部66に沿って細塵溜め部57へと運ばれ蓄積される。
第2遠心分離部56は、1次フィルター33の上方に爪勘合により保持固定された遠心分離部収納部67に収納され、集塵容器17と略同心円状に保持固定されている。
図10に示すように、第2遠心分離部56の下方には、第2遠心分離部56である8つの旋回筒部58の内、4つに分けた2つのペアの旋回筒部58の下方に対向する逆三角形状の4つの傾斜部68を有した塵埃移送部66が設けられている。
この塵埃移送部66は、逆三角形状の4つの傾斜部68が、互いに空間a69をあけて配置され、各々逆三角形状の角部を内筒枠34中央に向けて、また傾斜部68自身の中心線に向けて下方に傾斜し、さらに4つの傾斜部68の中央には傾斜部68に連通する筒部70が1次フィルター33の中央部を通り、この筒部70は細塵溜め部57まで連通させてつながるように形成されている。
塵埃移送部66を上述のように形成することで、第2遠心分離部56で分離された塵埃が、傾斜部68で滑り落ち細塵溜め部57に移送され落下させることができる。
4つの傾斜部68の各々の中央上部には、傾斜部68と対向する2つの旋回筒部58を1つずつに区切るように配置された仕切りリブ71が設けられており、隣接する旋回筒部58に分離された細塵が吸込まれることを抑制し、第2遠心分離部56で分離された細かい塵埃が、塵埃移送部66の傾斜部68に沿って滑り落ち細塵溜め部57に移送され落下し易くしている。
さらに、塵埃移送部66自体の部品材料の表面粗さは、第2遠心分離部56を構成している各部品材料の表面粗さより細かくしている。これにより、表面粗さによる滑り性が向上し、第2遠心分離部56から落下した細塵が、塵埃移送部66へ滞留するのを防止することができる。
また、表面粗さを細かくする他の手段として、塵埃移送部66自体の部品表面をメッキ処理する方法もあり、これにより、表面粗さによる滑り性が向上し、第2遠心分離部56から落下した細塵が塵埃移送部66へ滞留するのを防止することができ、滑りが悪く滞留した細塵が、第2遠心分離部56へ巻き上げられて逆流することを抑制することができ、電気掃除機の使い勝手を向上させることができる。
塵埃移送部66の傾斜部68の傾斜角度は、傾斜部68の一端の最上端から他端の最下端までの筒部70の軸方向の距離が、傾斜部68の一端の最上端から他端の最下端までの水平方向(筒部70の軸方向に対し直角方向)の距離より短く設定することで、傾斜角度
を45度以下になるようにしている。
これにより、塵埃移送部66の軸方向の長さを短くでき、第2遠心分離部56と細塵溜め部57間の長さを短くできるため、サイクロン式集塵装置8が高さ方向に長くなることを抑制することができ、電気掃除機100の小型化を実現することができる。
図8、図10に示すように、旋回部59に備えた8つ旋回筒部58の内側には、ドーム形状の整流ガイド72が入り込めるように設けてあり、1次フィルター33を通り内筒開口部35を通過した空気は、塵埃移送部66の各々4つの傾斜部68の間に設けた4つの空間a69を通過し、整流ガイド72へと流入する。
整流ガイド72は、略円錐形状の旋回筒部58が8つ連なって構成される旋回部59の中央に設けた分流穴62と連通しており、内筒開口部35を通過した空気を、中央の1箇所に集めて旋回部59へ繋がる風路を形成し、8つの旋回筒部58に流入するように連通させている。
この整流ガイド72と旋回部59の分流穴62との間には気密性を保持する遠心分離部パッキン73が配置されている。また、図5に示すように、細塵溜め部57と筒部70の間には気密性を保持する細塵溜め部パッキン74を設け、塵埃収納室42の中央には、底蓋19との気密性を保持する中央底パッキン75を底蓋19に設けている。
サイクロン式集塵装置8内において、上蓋18に形成された排気口20には、最も電動送風機7からの吸引圧力が高い領域となっており、遠心分離部蓋61において、上蓋18の天面側に突出した円筒部60の高さと直径を変えることで、各々の旋回筒部58に流れる風量が均一になる様に調整している。
その構成としては、図10に示すように、吸引圧力が高い排気口20近くに位置する4つの円筒部60を、円筒部60bとし、排気口20よりも遠くに位置する円筒部60を円筒部60aとし、円筒部60bは、円筒部60aの直径よりも小さくしており、さらに円筒部60bは、円筒部60aの高さよりも、5mm〜10mmの範囲で突出高さを高く伸ばしており、上蓋18の天面と円筒部60bとの壁面間距離を短くする事で、円筒部60b側に流れる通気圧損が増え、排気口20から遠くに位置する円筒部60aとの圧力差が小さくなり、各々の旋回筒部58に流れる風量が均一になる様に調整されている。
つまり、第2遠心分離部56に配置された遠心分離部蓋61において、風量が多く流れる旋回筒部58の円筒部60bを伸ばしサイクロン式集塵装置8の上端に設けられた上蓋18の天部壁面との距離を短くすることで流路圧損を加えており、風量が小さい旋回筒部58との圧力差が小さくなる様に調整しており、並列に配置された複数の旋回筒部58に流れる風量が均一に流れる様になり、含塵空気に含まれる塵埃の分離性能の低下を防ぎ、かつ風切音の発生を抑えることができる。
さらに複数の旋回筒部58への風量均一化を図る為に、旋回筒部58から上方に排出される円筒部60の直径を変えて開口面積を変えており、第2遠心分離部56に並列に配置された複数の旋回筒部58に流れる風量が均一に流れる様にしたものである。
さらに図9に示すように、円筒部60の下端には、円筒部60内を旋回する気流を遮断する方向に位置する整流リブ76を直径方向に設けており、旋回部59を通じて円筒部60から上方に排出する際に発生する気流の乱を抑制している。
また、この様な構成にすることで、サイクロン式集塵装置8を、掃除機本体1に対して
傾斜状態で配置された場合においても、各旋回筒部58の風量が均一に流れるようにしたもので、遠心分離の際に円筒部60の中央部で生じる上昇気流が、塵埃移送部66に溜まってきた細塵を巻き上げて逆流する課題を解消することができる。
図8に示すように、塵埃移送部66には、塵埃移送部66と第2遠心分離部56の旋回筒部58の端部との気密性を保持するためと、整流ガイド72と塵埃移送部66の4つの空間a69との気密性を保持するためと、第2遠心分離部56を遠心分離部収納部67に装着した際の気密性を保持するために塵埃移送部パッキン77が取り付けられている。
図11に示すように、塵埃移送部パッキン77の下面には、塵埃移送部66の4つの傾斜部68に対向する位置に、内筒枠34中央に向けて下方に傾斜する4つの傾斜天面78が互いに空間をあけて配置され、その中央部には、塵埃移送部66の筒部70内に突き出るように逆円錐形状の凸部79が配置され、逆円錐形状の凸部79の周囲には4本のリブが直角に交わった十字リブ80が、筒部70の内径よりも小さい幅で設けられている。
前記4本のリブの内、2本のリブで形成される断面がL字形状をした断面L字状壁面81の4つ各々が、各々4つの傾斜部68から筒部70に投入される細塵投入部82に対向するように配置され、4つの細塵投入部82から筒部70内部の通路を逆円錐形状の凸部79と断面L字状壁面81とにより4区画に分けるように構成している。
また、図10に示すように、4つの傾斜部68の各々の中央上部には、傾斜部68と対向する2つの旋回筒部58を1つずつに区切るように配置された仕切りリブ71が設けられており、この仕切りリブ71も上述の2本のリブで形成される断面L字状壁面81の中央に配置される構成となっている。
上述の構成により、旋回筒部58で分離され、4つの傾斜部68をそれぞれ滑落する細塵が、気流の乱れや圧力差により、細塵投入部82から筒部70に落下せず、別の傾斜部68を経由して別の旋回筒部58に吸込まれることを抑制している。
図8に示すように、遠心分離部収納部67の下面には、遠心分離部収納部67と集塵容器17の気密性を保持する環状の集塵容器パッキン83を設け、第2遠心分離部56の外周側面上方には、第2遠心分離部56と上蓋18との気密性を保持するフィルターパッキン84を設けている。
図5、図8に示すように、上蓋18の後方には、遠心分離部蓋61上方と上蓋18の内壁で形成される空間b85と電動送風機7とを連通する排気口20を形成している。遠心分離部蓋61の側面上端には遠心分離部収納部67から取り出す時に使用する遠心分離部つまみ部86を設けている。
さらに、第2遠心分離部56の側面外周部の一部に遠心分離部収納部67との位置決め用に位置決めリブ87を形成し、遠心分離部収納部67に位置決めリブ87と係合する凹部88を形成している。
また、遠心分離部収納部67の側面外周部の一部に集塵容器17との位置関係を規制する収納規制リブ89を形成し、集塵容器17には収納規制リブ89と係合する係合リブ90を形成している。
以上のように構成された電気掃除機について、以下その動作、作用を説明する。
吸込具6から吸い込まれる塵埃を含んだ空気は、延長管5、ホース3を経由して、吸気口26からサイクロン式集塵装置8に吸い込まれる。
吸気口26は集塵容器17の接線方向に向くように形成されているので、吸い込まれた空気は集塵容器17の内周面に沿って旋回し、綿ゴミを主とした塵埃と空気とに遠心分離される。分離された綿ゴミを主とした塵埃は、集塵容器17の下方の塵埃収納室42と底蓋19の間の空間に蓄積していき、綿ゴミを主とした塵埃が分離された空気は、第1遠心分離部45の内筒フィルター36と内筒開口部35を通過し、通過した空気は、塵埃移送部66の各々4つの傾斜部68の間に設けた4つの空間a69を通過し、整流ガイド72により中央に集められ、第2遠心分離部56へ流入する。
第2遠心分離部56へ流入した空気は8つの流入口65から吸い込まれ、遠心分離部蓋61に設けた螺旋状傾斜部64に沿って、旋回筒部58内に下降の旋回気流が発生するように旋回筒部58の接線方向から流入し、さらに遠心分離により空気から細塵を分離され、分離された非常に細かい塵埃は塵埃移送部66に沿って細塵溜め部57へと運ばれ蓄積される。
第2遠心分離部56を通過した塵埃を含まない空気は旋回筒部58内部に突き出した遠心分離部蓋61の円筒部60から流出し、上蓋18に形成した排気口20を通過し、フィルター部15を通過して電動送風機7の吸引口14へ吸引され、掃除機本体1の外に排気される。
操作レバー32を下方に摺動することにより、底蓋19に設けた係止部30が動作して集塵容器17との係止が解除され、底蓋19が開放することで、集塵容器17下方の塵埃収納室42や細塵溜め部57に蓄積した塵埃はサイクロン式集塵装置8外部へ排出される。
1次フィルター33、集塵容器17、塵埃収納室42などに付着した細かい塵埃等をお手入れしたい時には、お手入れブラシ27をブラシ保持部28から外し、ブラシ部分や柄の部分にてお手入れが可能である。
まず、サイクロン式集塵装置8を掃除機本体1から取り外し、上蓋18に軸支している尾錠25を外側に開くようにして集塵容器17から外し、把手部22を持って上蓋18を集塵容器17から取り外す。
次に、遠心分離部蓋61、旋回部59、整流ガイド72、塵埃移送部パッキン77、塵埃移送部66は、ビスにより保持固定されており、遠心分離部つまみ部86を掴んで持ち上げると取り出すことができる。さらに、遠心分離部収納部67は側面上方を掴んで持ち上げると1次フィルター33、遮蔽部材38及び傘状延出部37を共に取り出すことができる。
各部品のお手入れ後には、遠心分離部収納部67の収納規制リブ89を集塵容器17の係合リブ90に合わせて上から挿入し、第2遠心分離部56の位置決めリブ87を遠心分離部収納部67の凹部88に合わせて第2遠心分離部56を挿入する。最後に、上蓋18を集塵容器17に装着して尾錠25にて係止し、サイクロン式集塵装置8を掃除機本体1に収納する。
以上のように、本実施の形態において、第2遠心分離部56の下方には、第2遠心分離部56である8つの旋回筒部58の内、4つに分けた2つのペアの旋回筒部58の下方に対向する逆三角形状の4つの傾斜部68を有した塵埃移送部66が設けられ、この塵埃移送部66は、逆三角形状の4つの傾斜部68が、互いに空間a69をあけて配置され、各々逆三角形状の角部を内筒枠34中央に向けて、また傾斜部68自身の中心線に向けて下
方に傾斜し、さらに4つの傾斜部68の中央には傾斜部68に連通する筒部70が1次フィルター33側方向に形成され、この筒部70は細塵溜め部57まで連通させてつながるように形成されている。
4つの傾斜部68の各々の中央上部には、傾斜部68と対向する2つの旋回筒部58を1つずつに区切るように配置された仕切りリブ71が設けられており、隣接する旋回筒部58に分離された細塵が吸込まれることを抑制し、第2遠心分離部56で分離された細かい塵埃が、塵埃移送部66の傾斜部68に沿って滑り落ち細塵溜め部57に移送され落下させることができる。
そのため、塵埃移送部66は、下方に傾斜し互いに空間a69をあけて配置した複数の傾斜部68と、この複数の傾斜部68と連通する筒部70とから形成され、筒部70が細塵溜め部57に連通し、かつ複数の傾斜部68の1つは、複数の旋回筒部58の内の少なくとも2個以上と対向して位置することで、傾斜部68は広い面を確保でき、傾斜部68と筒部70との連通部も広がるので、小型化のため筒部70の径が小さくとも、第2遠心分離部56で分離された塵埃が、傾斜部68と筒部70との連通部で詰まることなく、塵埃移送部66に沿って細塵溜め部57へ誘導されるため、第2遠心分離部56は、第1遠心分離部45の上側の周囲に配置する必要がなくなり、第2遠心分離部の径方向の大きさを小さくでき、第2遠心分離部56の大きさが第1遠心分離部45の大きさに左右されなくなる。これによりサイクロン式集塵装置8の小型化が可能となる。
そして、図5と図9に示すように、第2遠心分離部56へ流入した空気は8つの流入口65に分散して吸い込まれ、遠心分離部蓋61に設けた螺旋状傾斜部64に沿って、旋回筒部58内に下降の旋回気流が発生するように旋回筒部58の接線方向から流入し、さらに遠心分離により空気から細塵を分離され、分離された非常に細かい塵埃は塵埃移送部66に沿って細塵溜め部57へと運ばれ蓄積される。
尚、本実施の形態では、旋回部59に設けた旋回筒部58を8個設けた場合で説明したが、8個に限定されるものでなく、複数個設けてあれば同様な効果が得られるものである。
また、塵埃移送部66の複数の傾斜部68の1つは、第2遠心分離部56の複数の旋回筒部58の少なくとも2個以上と対向して配置するように説明したが、1つの傾斜部68に対して1つの旋回筒部58が対応する場合や、1つの傾斜部68に対して3つ以上の旋回筒部58が対応する場合でも、性能差による効果の大小は発生するものの同様な効果が得られるものである。
尚、サイクロン式集塵装置8では基本的にすべての塵埃を遠心分離して捕集することができるが、電動送風機7の起動時や運転終了時などの流入空気量が不安定な状態である場合に、サイクロン式集塵装置8で遠心分離しきれなかった塵埃を含んだ空気が一部、電動送風機7に吸い込まれるのを防止するためにフィルター部15を設けている。またフィルター部15の濾材をHEPAフィルターなどを採用することでより、より集塵捕集性能を高め、清浄な空気の排気を実現することができる。