JP6400467B2 - 風力発電量の予測方法 - Google Patents

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Description

本発明は、風力発電設備の発電量を予測し、予測値に基づいて電力系統側発電機の出力制御を行うものである。具体的には、風力発電量予測に関する技術である。
枯渇の可能性がある化石エネルギーを用いずに、自然界に存在する再生可能エネルギーを電力エネルギーに変換する方法の一つに風力発電機がある。風力発電機による発電方法は、地球温暖化の主因となる二酸化炭素をほとんど発生させないクリーンなエネルギー源であることから、地球規模の環境問題を解決するプロセスとして、世界中で急速に導入が進んでいる。
この風力発電の出力は自然現象に左右され、出力が大きい場合や多数台の連系運転を行う場合に系統への影響が大きくなることが懸念される。そのため、導入量を増加させるためには、連系する電力系統への周波数変動、電圧変動等での対策が必須である。風力発電の導入が盛んな東北地方や北海道地方の電力会社では、出力2kW以上の風力発電設備における電力系統連系に対する周波数変動対策として、例えば、非特許文献1のように、出力変動緩和変動と出力一定化制御の2種類の周波数変動に対する技術要件を定めている場合がある。
この中で出力一定化制御は、管内の電力系統規模が小容量で、調整力に乏しい地域で導入効果が大きいと推察される。特に、好風況地域である北海道では、周波数変動、電圧変動に及ぼす風力発電の出力変動の影響が他の電力会社より大きいため、周波数変動や電圧変動がほぼゼロとなる風力発電の出力一定化制御を実用化することができれば、さらに風車の導入が増大する可能性が拡がる。
具体的な出力一定制御の仕様としては、東北電力(株)の技術要件に記載があり、1つは蓄電池を併設させることで、発電計画値と風力発電設備合成出力(以下、システム出力という)との偏差を発電所定格出力の2%以下に抑制すること、もう1つは翌日の0〜24時の発電計画値を当日の12時に事前申告するとともに、託送供給約款と電力系統利用ルールを遵守することである。
また、出力一定化制御では、出力変動緩和制御と比較して、出力変動をさらに抑制する必要があるため、蓄電池の充放電ロス、蓄電池のサイクル数が大幅に増加する危険性もあるため、それらについて風力発電設備を建設する前にシミュレーションしておく必要がある。さらに、電力会社の利潤も考慮する必要があるため、風力発電の事業性も重要である。
上記のように、出力一定化制御を実現するには蓄電池の設置が不可欠であり、最も容易な出力一定化制御の高精度化としては、蓄電池量を増やすことが考えられる。しかし、蓄電池を安易に増やすことは建設コスト増大につながり、風車導入量増加に影響しにくくなるため、単なる増量は望ましくない。従って、風力発電量に最も影響を与える風況予測の高精度化が重要で、これにより発電計画値の予測精度が向上し、結果的に、蓄電池のサイクル数の低減や蓄電池量の減少にもつながることから、トータルシステムの低コスト化も可能となる。また、風力発電で足りない分を補うための火力などの化石エネルギーを待機させておく量が少なくなるため、風力発電量の予測精度の向上は二酸化炭素の排出量を低減する効果もある。
風力発電量(あるいは風況)を予測する従来技術としては以下のようなものが知られている。特許文献1には、風力発電機の過去の発電量に関する過去データを記憶し、過去データにおける異なる時刻の間の統計的相関に基づいて、風力発電機の発電量に関する予測値を、発生確率を含む時系列データとして算出する方法が述べられている。特許文献2も同様に、過去データを用いて風向きを予測し、風車の向きを制御する方法が述べられている。特許文献3も同様の観点で風況予測を行い、風車を制御することにより、発電量と利益最大化を狙うことについて記載されている。
また、線形予測としてARモデル(Auto−regressive model:自己回帰モデル)が知られているが、非特許文献2に示すように、そのARモデルを多変量に拡張したVARモデル(Vector Auto Regressive model:ベクトル自己回帰モデル)を用い、未来の風速予測を高精度化する手法が提案されている。また、非特許文献3では、Kwasniok and Smith手法に基づき、過去データを用いて数分先を予測するオンライン予測手法が提案されている。
なお、風力発電量の予測値は、あらかじめ作成されるパワーカーブと呼ばれる風速と風車出力との関係データを用いて行う。このパワーカーブは、風力発電装置の設計値により決定される。一般的には、予測した風速をパワーカーブから風車出力(風力発電量)に換算したものを予測値とする。
特開2011−200040号公報 特開2005−98181号公報 特開2008−64081号公報
例えば、http://www.tohoku−epco.co.jp/oshirase/newene/04 Plumley C.、 Hill D.、 Mcmillan D.、 Bell K.、 Infield D.、 Validating Wind Field Models For Power System Impact Studies、Vol.611、 pp.123−128、IET Conf Publ(2012.9) 平田祥人、 鈴木秀幸、 山田泰司、 高橋純、秒スケールから分スケールの風速のオンライン予測:予測誤差の評価、 Vol.PE−12、 No.123−127.129−141、 pp.73−76、 電気学会電力技術研究会資料(2012.8)
上述のように、蓄電池を併設した風力発電設備において、今後、調整力の乏しい地域への導入を拡大するためには出力一定化制御が必要となってくる。これは、前日に通告する発電計画値とシステム出力の偏差を2%以下に抑制するというものである。発電計画値については、当日の実況補正を行うことも可能な場合もあるが、できる限り、発電計画値の長期予測の精度を向上する技術を検討しておくことは系統の安定化の観点から重要である。
上述のように、発電計画値の予測精度向上には、風力発電量に最も影響を与える風速や風向予測の高精度化が重要となる。その予測は地球規模のシミュレーションが必要となるが、空間解像度の点で予測精度が十分とは言えず、実際の風車への風況予測は実用化されていない。この対策として、上述の特許文献や非特許文献が検討されてきたが、現状、以下のような課題がある。
特許文献1に開示される過去データの共分散行列に基づく手法では、過去データをガウシアンと仮定し乱数を発生させてその分布を求めているが、予測とは言い難いものである。
特許文献2に開示されている方法も、過去データの平均的な振る舞いを予測値として出力しているに過ぎない。
特許文献3に開示される方法では、電力系統側発電機の出力制御を行うことは考慮されていない。
非特許文献2に開示される方法は、その提案であって、未来の発電量予測の精度や信頼性を議論しておらず、着目した風力発電設備に関与する精度の高いデータを保証するものではない。
非特許文献3に開示される方法は、線形カルマンフィルタによる回帰と比較して性能が良いとされるが、数時間オーダー先の予測は適用外である。
以上述べた特許文献および非特許文献は、風況予測自体の精度が実用には程遠いものや、高々数分程度の予測なら高精度であるものの10分を越えるような期間になると、その精度が大幅に低下するという課題がある。そのため、出力一定制御には使うことが困難である。
以上のことから本発明の目的は、高精度に風力発電設備の発電量を推定する発電予測方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明においては、風力発電設備における電力発電量を求めるための風力発電量の予測方法であって、風力発電設備における過去に実測された風速から求めた第1のデータと、風力発電設備における蓄積された過去の風況データから選ばれる単数あるいは複数の類似データにそれぞれ重み付けをして得た第2のデータとを求め、第1のデータと第2のデータを用いて、現在より先の発電量を予測する。
具体的には、風力発電設備が設置された地点あるいはその周辺の地点における実際の風況データと、過去の風況時系列データおよび過去の気象時系列データを用いて、類似した単数または複数個(k個)のデータを抽出し、それらに重み付けを行うことで、現在から数時間から数10時間先の予測を行うことを特徴とする。また、抽出される類似データが多数の場合には、その重み付けの数値(重み付け係数)に応じて、高いものを選択して予測に使えばよい。必要に応じて、前記風力発電設備が設置された地点の周辺にパイロットプラントなどを設置し、そこから得られるデータも用いるとさらに予測精度が向上する。
このとき、現在から先の発電量予測に適用する、実際の風況データと、抽出された単数あるいは複数の類似データの重み付け係数、データの適用時間、データの更新時間などは一定である必要はなく、任意にしても問題ない。つまり、予測時間の間隔、更新時間の間隔は、波形はパターンなどに応じて、その間隔が短い場合があったり、長い場合があったりしても問題ない。これらのデータを用いて、現在より先の風況データの予測値とすることで、本発明の目的を達成できる。
本発明は風力発電量の予測精度向上に寄与できるため、風車の出力一定化制御が可能となり、結果的に、化石エネルギーの待機運転がなくなることによる二酸化炭素発生の減少、風車出力制限回数と蓄電池の充放電サイクル数の減少、蓄電池個数の低減による低コスト化が可能となる。
実風速を風車出力に換算した後にそのまま時間シフトする予測手法の考え方を示す図。 蓄積された過去の類似データを風車出力に換算した後に重み付けしたものを用いる予測手法の考え方を示す図。 図1および図2の予測手法の結果を用いて予測する本発明手法の考え方を示した図。 実際のトータルの風車出力と、予測した出力の時間変化を示す図。 実際の風車出力の時間変化波形L0のみを表示した図。 実際の風車出力の時間変化波形L0と図2の予測手法により抽出された2つの過去の類似データL2、L3の相関を表示した図。 実際の風車出力を2時間シフトしたものの時間変化波形L0と実際の風車出力の時間変化波形L1を比較表示した図。 実施例1の時間変化波形Lと実際の風車出力の時間変化波形L1を比較表示した図。 実施例1での予測精度の検証結果を示す図。 パイロットプラントと風力発電設備の間の風向の関係を示す図。 風向と予測精度の関係を示す図。 蓄積された過去の類似データが多数抽出された例を示す図。 比較運転により抽出した類似度の高いデータの例を示す図。 比較運転を用いる場合と用いない場合で精度比較を行った結果を示す図。 実施例の風力発電量の予測方法を、蓄電池を併設する風力発電設備に適用した場合のシステム出力について検討結果を示す図。 部分空間法LACによる予測手法を説明する図。 部分空間法LSCによる予測手法を説明する図。 線形予測ARモデルとVARモデルの実験条件を示す図。 類似データの実験条件を示す図。 線形予測ARモデル、VARモデルによる5期先の予測結果を示す図。 類似予測LAC、LSCによる5期先の予測結果を示す図。 線形予測ARモデル、VARモデルによる8期先の予測結果を示す図。 類似予測LAC、LSCによる8期先の予測結果を示す図。
以下、本発明の実施例について、図面を用いて、より具体的に説明する。なお以下の実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することは、いずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
なお、以下に本発明の実施例について詳細な説明を行うに当たり、本発明とその実施例の沿革と概略を述べるならば、これは以下のようなものである。
まず上述のように、出力一定化制御を実現するアプローチとしては、以下の2つがある。1つ目は蓄電池量を増やすことであり、もう1つは発電計画値の予測精度を向上させることである。
蓄電池量を増やす前者の手法では、出力一定化は可能になるものの、高価な蓄電池が増えることで、システムとして高コストになってしまう。このため、風力発電設備の導入拡大には結び付かないと思われる。
他方、後者の発電計画値の予測精度を向上させるという観点からは、風況予測モデルの構築が不可欠であるが、現状では予測精度が低いため、現状レベルでは実用化には程遠い。このような背景のもと、本発明者らは、風況予測の方法を検討することとし、その予測精度向上を図ってきた。
本発明では、風速、風向、気圧配置などの多次元空間において、観測データに類似した単数あるいは複数の過去データを検索し、k個のデータを抽出する。k個の類似データを対象に、それらの波形パターンから未来のデータを取り込むことで、予測値を得る。
また、本発明では、風力発電設備の設置地点あるいはその周辺地に風況測定器を配置し、そのデータを時系列データや気象時系列データとして扱い、気圧などの気象データも取り扱う。具体的には、蓄積された過去の時系列データなどから、未来の風況を予測する。
複数個のデータを用いた予測に関しては、その合成方法が精度向上を考える上では極めて重要である。本発明では、予測に使う実測データや、過去の類似データのそれぞれについて、重み付けを行うことを特徴とする。重み付けは、蓄積された過去の類似データから、ある条件のときには現在より先の風況をどんな因子が支配するかを明らかにし、それをデータベース化しておく必要がある。それには、風速、風向、気圧、気温、湿度、アメダスデータなどを逐次データベース化しておく必要がある。また、蓄積データだけでなく、その時点でのデータ、すなわちリアルタイムのデータに変更していくことでも構わない。さらに、あるパターン(現象)で重み付けを変えることも有効である。このとき、何期先(何時間先)まで予測するかも波形パターンに応じると、より高精度となり得る。
本発明者らが蓄積してきたデータにおいて、例えば、日本海側に設置する風車に関しては、西風の場合、実際に風車が受けている実データと、過去の類似データに関し、特に風速と風向の2つの一致度が高いものを用いて予測すると精度向上の効果が大きい。したがって、風速や風向の一致度が高い類似データの重み付けを高くして、高い重み付け係数にすることが有効である。
一方、太平洋側に設置する風車に関しては、東風の場合、過去の類似データでも風速と風向の2つが一致しているものを現在より先の予測値に使うほうが予測精度は高いため、重み付けを高くして、高順位にすることが有効である。つまり、海岸沿いにある風力発電設備の場合は、海側からの吹く風況を参考にすることが高精度につながる。これは、海から風力発電設備までに障害物が少ないため、風況予測がしやすいということである。
一致の基準としては、予測値に対して、風速で±10%の範囲、風向は16成分(例えば北北東、南南東など。角度にすると22.5度)に分けて、一致した場合に高い重み付けをした。さらに、気圧、気温、湿度に関しては、±10%の範囲内であれば高い重み付けをした。ここで、風速と風向など2つの因子が一致した場合は2倍と、一致した因子の個数を係数にした。
また、過去の類似データを検索し、多数の類似データが抽出された場合には、重み付け係数が高いものを高順位にすることが望ましい。この場合、上位3位までを予測に適用するなど絞込みを行うことが有効である。
それ以外にも、季節や気圧配置、風車形状、地形的な特徴なども考慮し、重み付けする必要がある。必要に応じて、風力発電設備設置地点から、数kmから数10km離れた場所にパイロットプラントを設置し、その風況の実測データを予測に適用する。
実施例1について、図1から図6を用いて説明する。実施例1では、風力発電量の予測のために、A:実際に得られた風速を風車出力に換算した後にそのまま時間シフトしたもの、B:これまでに蓄積された過去の類似データを風車出力に換算した後に重み付けしたもの、を用いた。図1、図2、図3は本発明における風車出力の予測方法の説明をするための図である。
まず図1には、「A:実際に得られた風速を風車出力に換算した後にそのまま時間シフト」した予測手法の考え方を示している。ここでは例えば、現在時点(0)を基準に、120分前から60分前の60分間の風速を、現在(0)を基準に0分から60分の60分間へそのまま時間シフトして風速予測値とし、それを風車出力に換算する。図1においては、実際の風車の出力Pa1〜Pa4の60分間分を、予測出力Pe11〜Pe14としてそのまま時間シフトして適用している。
具体的には、180分前から120分前までの60分間の実際の風車の出力Pa1を60分前から現在(0)前までの60分間の風車の予測出力Pe11として時間シフトして適用し、以下同様に120分前から60分前までの60分間の実際の風車の出力Pa2を現在(0)から60分後までの60分間の風車の予測出力Pe12として時間シフトして適用し、60分前から現在(0)までの60分間の実際の風車の出力Pa3を60分後から120分後までの60分間の風車の予測出力Pe13として時間シフトして適用する。
このように図1の予測手法「A:実際に得られた風速を風車出力に換算した後にそのまま時間シフト」では、120分前の実測値が時間シフトされて予測に適用されている。なお、ここではデータの適用時間を60分としているが、時間範囲については特に限定されるものではない。このとき、時間範囲が短いほうが必ずしも精度が高いというわけではないことを注意しておく必要がある。また時間シフトの期間を120分で説明したが、これは任意の時間であってもよい。
図2には、「B:これまでに蓄積された過去の類似データを風車出力に換算した後に重み付けしたものを用いて予測」する予測手法の考え方を示している。ここでは例えば、現在(0)を基準に、120分前から60分前の60分間の風速から過去の風況データを検索し抽出されたk個のデータを、現在(0)を基準に0分から60分の60分間の風速として適用している。ここでは、風速を風車出力に換算している。抽出データの個数xが2つの場合で説明するが、実際には2つ以外の場合もある。図2においては、蓄積された過去の類似データDs1〜Ds4の60分間の実風速を風車出力予測Pe31〜Pe34の予測に適用している。つまり、図2では、例えば120分から60分までのデータから過去の類似データを検索し、そのデータを予測値として使用している。
具体的には、180分前から120分前までの期間の風速や風速の波形データを得る。このデータはこの期間の実経験値であり、この実経験値に最も類似のデータをデータベースから抽出してくる。同様にほかの期間についても実経験値に類似のデータをデータベースから抽出しておく。
そのうえで、当該60分間の過去の風況データを検索し抽出した過去の類似データDs1に重みづけwを行って60分前から現在(0)前までの60分間の風車の予測出力Pe31として適用し、以下同様に120分前から60分前までの60分間の過去の風況データを検索し抽出した過去の類似データDs2に重みづけwを行って現在(0)から現在60分後までの60分間の風車の予測出力Pe32として適用し、60分前から現在(0)までの60分間の過去の風況データを検索し抽出した過去の類似データDs3に重みづけwを行って現在(0)から60分後までの60分間の風車の予測出力Pe33として適用したものである。
本発明の実施例1では、このときに、過去の風況データを風速、風向、気圧、気温、湿度、アメダスなどの各因子に分別しておき、それらと実経験値としての過去の波形や特徴における類似性の一致度が高いものを過去の類似データDs1〜Ds4として抽出し、高い重み付け係数にすることが特徴である。この場合についても、時間範囲は任意に変更しても問題ない。
図3は、図1および図2の予測手法の結果を用いて予測する本発明手法の考え方を示したものである。実際の風車の出力Pa1〜Pa4からの予測結果と、蓄積した過去の類似データDs1〜Ds4からの予測結果を、ともに考慮した形で予測値Pe41〜Pe44に反映させている。なお、2種類の予測手法をともに考慮した形で予測値Pe41〜Pe44に反映させるための具体手法については(1)式を用いて後述する。この場合にも例えば、現在から60分先までの予測は、現在よりも120分前から60分前の実測データ(実際の風車の出力Pa1〜Pa4)と過去の類似データDs1〜Ds4を用い、過去の類似データDs1〜Ds4には重み付けを行っている。
本発明の実施例1では、これらの予測結果を用いて、現在より先の発電量を予測していく。なお、本実施例では、過去の60分間のデータから未来の60分間の予測をしている。これについても、時間範囲は任意に変更しても問題ない。
図4に、最大出力が2MWの風車が7基設置されている日本海側に既存の“A風力発電設備”において、ある日に実際に得られたその地点でのトータルの風車出力(最大出力:14MW)と、本実施例により予測した出力の時間変化を示す。
図4には、過去2時間の状況と将来8時間の予測状況が示されている。このうち波形L0は実際に得られた風車出力、L1は実際に得られた風車出力を2時間シフトした風車出力(図1の手法による予測出力)である。また波形L2、L3は過去の類似データに重みづけして求めた図2の手法による予測出力の一例である。これに対し、最終的に本発明の実施例1により予測したものが、波形Lである。波形Lは、図1の手法による予測出力L1と、図2の手法による予測出力L2、L3を用いて求めている。
ここで、実施例1では過去の類似波形L2、L3については重み付けを行った。具体的には、抽出された2つの過去の類似波形において、過去の類似データNo.1(L2)は波形だけでなく、風速、気圧の因子が一致していたので重みづけを3倍(重み付け係数:3)とし、過去の類似データNo.2(L3)は波形のみが一致していたので重みづけを1倍(重み付け係数:1)とした。
図4は複数の波形が同一時間軸上に表示されており、類似度の識別が困難であることから、個別の関係が把握しやすいように図5に整理している。図5において、図5(a)は、実際の風車出力の時間変化波形L0のみを表示している。図5(b)は、実際の風車出力の時間変化波形L0と図2の予測手法により抽出された2つの過去の類似データL2、L3の相関を表示している。図5(c)は、実際の風車出力を2時間シフトしたものの時間変化波形L0と実際の風車出力の時間変化波形L1を比較表示している。図5(d)は本発明の実施例1の時間変化波形Lと実際の風車出力の時間変化波形L1を比較表示している。
図5の各比較結果によれば、本発明の実施例1の予測に係る時間変化波形Lは、実際の風車出力の時間変化波形L1に酷似していることが見て取れる。そこで次に、図1、図2の予測手法で得た結果から時間変化波形Lを得るための具体手法について説明する。
実施例1では、以下の(1)式により時間変化波形Lを算出した。この算出で用いるのは、先に説明した過去分を検索して抽出された2つの類似データと、実際の風車出力の合計3つである。実施例1では過去の類似データNo.1(L2)の重み付けを3倍とし、過去の類似データNo.2(L3)の重み付けを1倍とし、時間シフトデータL1と加算したのちに平均(5で除算)を求めている。なお、この式の例では、過去分を検索して抽出された2つの類似データを用いてL2、L3を求めているが、さらに多数個の類似データからL4、L5を求めて異なる重みづけとしてもよい。
[数1]
時間変化波形L=(3×L2+1×L3+L1)/5・・・(1)
本発明での(1)式による効果を明らかにするため、予測精度を算出した。予測精度は以下の(2)式で求めた。ここで、(2)式の分母は、最大出力である14MWとしている。
[数2]
予測精度の算出式[単位:MW]
=(風車出力の実測値L0−風車出力の予測値L)×100/14・・・(2)
(2)式において、図4に示す現在より先の予測の5時間分(x軸が2時間から7時間)について、予測精度が20%以内のものが全体の何%程度出現したのかの頻度累積を検討した。検討したものは、過去の類似データNo.1(L2)、過去の類似データNo.2(L3)、実際の風車出力を2時間シフトしたもの(L1)、それら3つを重み付けせずに平均したもの(L4)、本実施例の(1)式で算出したもの(L)の4パターンで比較した。
その結果を図6に示す。出現頻度累積の値が高いほうが高精度であるが、図6から明らかなように、2つの過去の類似データ(L2、L3)および実際の風車出力の2時間シフト(L1)、単純平均(L4)の各々単独の予測精度に比して、実施例1での予測結果(L1)を適用することによる精度向上が確認できた。
以上により、本実施例においては、風力発電設備の実測データと、蓄積された過去の風況データから選ばれる単数あるいは複数の類似データとを重み付けして合成したものを、予測値として用いることは有効であることがわかった。
なお、本実施例では重み付け係数をすべて最大1.0としたが、係数を最適化することは有効である。具体的には、ある支配因子は1.0以上、ある支配因子は1.0以下の値にしても差し支えない。例えば、風向を16分割しそれに応じて重み付け係数を変えることや、偏西風やエルニーニョなどの気象状況に応じて変更することは有効である。このとき、リアルタイムに変更するとさらに有効である。
以上説明した実施例1の実現に当たり、計算機システムを活用するのが好適である。この場合の計算機は、通信系統を介して風力発電設備の設置個所あるいはその近傍の風況データを時々刻々入力し、風況データベースに記憶している。風況データベースには、過去の風況データを、風速、風向、気圧、気温、湿度、アメダスなどの各因子に分別して、かつ計測時刻ごとに記憶し、さらにはその状態における風力発電機の出力や運転操作状況なども併せて記憶されているのがよい。
そのうえで計算機における予測計算は、風況データベースを参照して得た実際の風車の出力Pa1〜Pa4からの予測結果(時間シフトデータ)L1の算出、風況データベースを参照して、n時間前の風況に最も類似度の高い過去の類似データを抽出し、抽出データからの予測結果(重み付け係数:3)L2の算出、風況データベースを参照して得た次に類似度の高い過去の類似データからの予測結果(重み付け係数:1)L3の算出、(1)式の実行についての各処理プログラムを、予定の予測期間が完了するまで逐次実行する。
実施例2について、図7、図8を用いて説明する。実施例2では、実施例1における上記処理プロセスを基本的に踏襲しながら、さらに高精度化を図る。その為に実施例2では、風況データベースに記憶され、過去の類似データで使用する風況データとして、風力発電設備が設置された地点の周辺に設置された単数あるいは複数のパイロットプラントの風況データを盛り込むことを検討した。
ここで述べるパイロットプラントとは、実際の風力発電設備の設置場所から数kmないし数10km程度離れた場所に設置した装置(鉄塔など)であって、当該位置に置ける風速や風向、気温などを計測する装置である。これにより、実際の風力発電設備が受ける現在から先の風況予測に適用できる。
本発明の前提となる従来の検討において、風力発電設備が受ける風向と、パイロットプラントが受ける風向が一致し、かつパイロットプラントが風上側にある場合には、パイロットプラントの実測データに近い風況が風力発電設備に時間遅れで到達することがわかった。図7は、パイロットプラントと風力発電設備の間の風向の関係を示す図である。
そこで、発明者らは、図7のようにパイロットプラント51が風上で、かつパイロットプラント51と風力発電設備52の風向53が一致したときの予測精度と、実施例1のようにパイロットプラントを用いない場合の予測精度を比較した。このときのパラメータとしては、パイロットプラント51から吹き付ける風力発電設備52への風向53が成す角度θについて、風上から風下側へ印加される角度θが何度までならパイロットプラント51の計測結果を反映したほうが高精度になるかを検討した。
図8は、解析結果としての風向と予測精度の関係を示す図である。パイロットプラントを用いない実施例1の予測の場合、予測精度20%の出現頻度累積(%)は90%であったが、パイロットプラントを用いる場合には、±45度(角度としては90度)以内であれば、実施例1での予測よりも高精度ということがわかった。
以上より、図3のように、パイロットプラントが風上で、実際の風力発電設備と風向が同じ場合は、印加角度が±22.5度以内であれば、該パイロットプラントの重み付けを100%として、現在より先の発電量を予測することが効果的であることがわかった。さらに印加角度が±22.5度から±45度(角度としては90度)の範囲であれば、70%以上の割合として、現在より先の発電量を予測することが効果的であることがわかった。
実施例2の予測手法は、具体的な計算機処理の中では、例えば以下のように実行される。まずパイロットプラントが存在するという前提で、パイロットプラントの風況を計算機に取り込み、風況データベースに記憶し、そのうえでパイロットプラントが風上で、実際の風力発電設備と風向が同じ場合を検知判断する。次に、取り込んだ風向の印加角度を判断し、±45度(角度としては90度)以上の範囲であれば実施例1の(1)式のままの予測演算を逐次実行する。印加角度が±45度(角度としては90度)以内であることが検知された場合には、(1)式の予測演算にこの情報を反映させる。
具体的な反映手法はいくつかのものがあり得るが、例えば印加角度が±22.5度以内であれば、該パイロットプラントの重み付けを100%として、風況データベースを参照して得た最も類似度の高い過去の類似データ(L2)あるいは過去の類似データ(L3)と置き換えて、現在より先の発電量予測に利用する。印加角度が±22.5度から±45度(角度としては90度)の範囲であれば、70%以上の割合として、風況データベースを参照して得た最も類似度の高い過去の類似データ(L2)あるいは過去の類似データ(L3)との間の比例計算により算出した値を利用する。あるいは、(1)式の結果にパイロットプラントの風速から求めた出力を直接反映させる形のものであってもよい。
実施例3について、図9から図11を用いて説明する。実施例3では、実施例1における上記処理プロセスを基本的に踏襲しながら、さらに高精度化を図る。その為に実施例3では、過去の蓄積データに多数の類似データを含む場合に、比較運転による抽出を実行して、より高精度に算出可能な類似データに絞り込みを行うものである。
最大出力が2MWの風車が7基設置されている日本海側に既存の“A風力発電設備”において、ある日に実際に得られたその地点でのトータルの風車出力(最大出力:14MW)の予測を行った。ここでの予測手法においても、実施例1に示す実際の風車出力を2時間後にそのままシフトしたもの、および蓄積された過去の類似波形を用いた予測を採用した。
本実施例は、図9に示すように蓄積された過去の類似データが多数抽出され、かつ重み付けを行った場合でも例えば7個以上の類似データが残ったときに、1〜60分程度の比較運転を行い、そこで一致の度合いを検証し、その中で一致度が高いものを1〜3個選択し、図10のように予測データとして適用するというものである。本実施例では、比較運転の時間を30分、その検証時間を60分として予測をし、一致度が高い3つの類似データを抽出し、4つのデータを削除した一例である。
比較運転を用いる場合と用いない場合で精度比較を行った結果、図11に示すように、比較運転を行ったほうが高精度となることがわかった。また、その後の検証により、本手法は抽出された過去の類似データの数が多ければ多いほど、類似データを絞り込むことができるので、有効であることもわかった。
なお本実施例のように多数が抽出される場合に、この中からさらに選別を行うための手法は比較運転に限定されない。要は何らかの選択基準により、より高精度と思われるものが抽出できるものであればよい。
次に実施例1から実施例3の風力発電量の予測方法を、蓄電池を併設する風力発電設備に適用した場合のシステム出力について検討した。
ここでは、風況予測について、(a)実施例1で述べた予測、(b)気象庁が配信する全球数値予報モデルGSM(登録商標:例えば、http://www.jmbsc.or.jp/hp/online/f−online0a.html参照)での予測を用いた。それに基づいて発電量予測を行った。そして、年間平均風速、蓄電池のロスの上限値につき、シミュレータを用いて評価した。その際、蓄電池の併設量や出力偏差をパラメータとして、また、同時に技術要件の遵守率や蓄電池サイクル数についても評価した。
遵守率と蓄電池サイクル数の定義は以下である。遵守率とは、発電計画値と風力発電設備合成出力(システム出力)との偏差を発電所定格出力の2%以下に抑制した割合である。また、蓄電池サイクル数とは、1回の充放電を1サイクルとして何サイクル充放電できるかを示す指標である。ここでは、使用SOC(State of Charge)範囲は30〜90%としている。
実施例の風力発電量の予測方法を、蓄電池を併設する風力発電設備に適用した場合のシステム出力について検討した評価結果を図12に示す。予測精度20%の出現頻度累積については、(a)の実施例1では92%、(b)のGSMでは79%と大差になることがわかった。次に、前記(a)の風況予測に基づいて発電を用いて、平均風速が7m/秒以上、蓄電池量が風車トータル出力の30%以下、偏差(変動幅)が2%の場合に、蓄電池サイクル数の許容値である200回/年以下、高い遵守率を達成できることがわかった。また、事業化シミュレーションの結果、事業性についても問題ないことがわかった。
以上より、蓄電池付きの風力発電設備において、本発明の発電量予測を行うことで、従来の予測方法と比して、出力一定化制御の風車の製造が容易となる。
実施例4では、風速、風向、気圧配置などの気象観測データ等を対象に、観測データに類似した数年分の過去の蓄積データを検索し、単数あるいは複数の類似データについて、その後の推移から、観測データの未来を予測した。
まず、図13および図14に記載した、類似データを用いた予測方法について説明する。両図ともに、部分空間法と呼ばれるものである。ここでは、図13に示す予測方法をLAC(Local Average Classifier)、図14に示す予測方法をLSC(Local Subspace Classifier)と呼ぶことにする。
図13の部分空間法による予測では、図示の空間に複数の観測データdをその観測時間情報tとともに表示している。これらのデータdと時間tによる空間の重心(代表値)がDであり、この空間上で時刻tがt+kに移行し、かつ観測データdxがdxkに移行したときのk期先の重心を推定する。
図14の部分空間法による予測では、図示の空間の複数の観測データdとその観測時間情報tを利用するのではなく、部分空間を定義にこの部分空間上における重心の移動を推定する。
いずれも、未来値を予測する複数の観測データ列を時間軸方法に連結しベクトル化し、一定長の波形を過去データ(学習データ)の波形と比べ、類似した波形を持つ過去データを抽出する。これはLazy Learningと呼ばれる手法に相当する。
なお、例えば、上述したように、従来からARモデル(自己回帰モデル:AutoRegressive)や、VARモデル(ベクトル自己回帰モデル:Vector AutoRegressive)が線形予測として提案されている。このうち、ARモデルは、観測データと繋がった過去データを対象に、ARモデルの係数を決めるもので、観測データに似たデータを対象にしている訳ではない。
図13において観測データのm期先を予測する場合、m期先のk個の過去データの平均値を求め、現在の観測データに近いk個の過去データの平均値との変位を求め、現在の観測データに加算する。これを未来値とする。パラメータkは、予測誤差が最小になるように事前に決定する。
図14では、観測データに近いk個の過去データを検索し、選ばれたデータが載る超平面(3次元特徴空間の場合.図示では部分空間に相当)に、観測データから垂線を下ろし、垂線の足を求める。垂線の位置は、内挿や外挿効果により、観測データに最も近いものとなる。このときに得られる線形結合の係数を用いて、未来値を予測する。すなわち、現在の観測データに近いk個の過去データに対して、それぞれm期先の過去データを選択する。これらのデータに対して、上述した線形結合の係数を用いて値を更新し、現在の観測データを修正して未来値を得る。
上述のような手法により、線形予測ARモデルとVARモデルを用いて、図15に示す実験条件で5期先(50分先)と8期先(80分先)の短期予測誤差を評価した。ARモデルでは、B風力発電設備の実測風速を対象とした。また、VARモデルでは、B風力発電設備の実測風速と、C市、D市の海面気圧も対象にした。いずれも過去12ヶ月分のデータを対象とした。
詳細な実験条件は、対象データとして、風車風速、風向、気圧(C市、D市)の12か月分、データ変換手法としてWavelet平滑化手法を最小し、風車が発電を開始するカットイン風速としては5m/秒、安全な使用ができなくなり発電をしないカットオフ風速は15m/秒とした。さらに最大次数を20とし、予測先時間を5期(50分)、8期(80分)とした。
図16に対応する類似データの実験条件をしめしているが、これも基本的には図15と同じ条件であるが、この場合には1から5次元でのベクトル化を実施し、選択データ数は20個以内としている。この実験条件による予測結果を、最大誤差、標準偏差、およびMAE(誤差の絶対値の平均)を用いて評価する。
図17および図19には、それぞれの線形予測ARモデル、VARモデルの実験結果、図18および図20には、類似予測LAC、LSCの実験結果を示す。いずれも、5期先および8期先の予測結果である。
まず、5期先の予測であるが、図17のように、ARモデルとVARモデルの予測誤差については、両者で有意な差は認められなかった。一方、類似データを用いた5期先の予測結果に関しては、図18のように、類似予測LSCに比べて類似予測LACのほうが高精度であった。また、線形予測に比べても類似予測のほうが高精度であることがわかった。
次に、8期先の予測であるが、これも5期先と同様の傾向であった。つまり図19のように、ARモデルとVARモデルの予測誤差については、両者で有意な差は認められなかった。一方、類似データを用いた8期先の予測結果に関しては、図20のように、類似予測LSCに比べて類似予測LACのほうが高精度であった。また、線形予測に比べても類似予測のほうが高精度であることがわかった。さらに、全体の中でもLACの予測誤差が最も少なかった。また、5期先よりも8期先のほうが予測精度は高いことが分かった。
以上のように、本発明の実施例においては、線形予測と類似予測を提案し、実際に適用した結果を示した。その結果、現状ではARモデルとVARモデルには有意な差が認められていないこと、線形予測よりも類似予測を行うほうが高精度であることがわかった。
また、その後の検討により、海面の気圧は風力発電設備に時間遅れで影響してくることがわかってきた。実施例4では、5期先と8期先で予測精度を比較したが、風況により適切に予測ができる時間帯がずれることもわかった。
Pa1、Pa2、Pa3、Pa4:実際の風車出力
Pe11、Pe12、Pe13、Pe14:現在より先の予測
DS21、DS22、DS23、DS24:蓄積された過去の類似データ
Pe31、Pe32、Pe33、Pe34:現在より先の予測
Pe41、Pe42、Pe43、Pe44:現在より先の予測
51:パイロットプラント
52:風力発電設備
53:風向
θ:パイロットプラントから吹き付ける風力発電設備への風向が成す角度

Claims (10)

  1. 風力発電設備における電力発電量を求めるための風力発電量の予測方法であって、
    風力発電設備における過去に実測された風速から求めた第1のデータと、風力発電設備における蓄積された過去の風況データから選ばれる単数あるいは複数の類似データにそれぞれ重み付けをして得た第2のデータとを求め、第1のデータと第2のデータを用いて、現在より先の発電量を予測することを特徴とする風力発電量の予測方法。
  2. 請求項1に記載の風力発電量の予測方法であって、
    前記過去に実測された風速から求めた第1のデータとは、実測された風速から求めた発電量を時間シフトして得た発電量であることを特徴とする風力発電量の予測方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の風力発電量の予測方法であって、
    前記蓄積された過去の風況データとは、風向データ、気圧データ、天気データ、気温データ、湿度データ、アメダスデータなどの因子であることを特徴とする風力発電量の予測方法。
  4. 請求項3に記載の風力発電量の予測方法であって、
    風況データから選ばれる単数あるいは複数の類似データとは、一致する因子の個数が多いものとされることを特徴とする風力発電量の予測方法。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の風力発電量の予測方法であって、
    前記類似データとして複数を選択し、各類似データに異なる重みづけを行うことを特徴とする風力発電量の予測方法。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の風力発電量の予測方法であって、
    前記風力発電設備の近傍のパイロットプラントにおいて風況を観測してデータを蓄積し、前記風力発電設備と前記パイロットプラントの風向が一致することをもって、前記現在より先の発電量予測に、前記風向が一致する風況のデータを反映させることを特徴とする風力発電量の予測方法。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の風力発電量の予測方法であって、
    風況データから選ばれる類似データが多数個である場合に、高精度予測に好適な類似データを選択して第2のデータ算出に利用することを特徴とする風力発電量の予測方法。
  8. 請求項6に記載の風力発電量の予測方法であって、
    風力発電設備が設置された地点の周辺に設置された単数あるいは複数のパイロットプラントの風況データを盛り込み、かつ該風力発電設備が設置された地点の風況データの風向が、該パイロットプラントの設置位置側からであり、かつその角度が±45度以内で一致した場合は、該パイロットプラントの重み付けを少なくとも70%以上として、現在より先の発電量を予測することを特徴とする風力発電量の予測方法。
  9. 請求項7に記載の風力発電量の予測方法であって、
    風力発電設備が設置された地点における過去の実測データと、蓄積された過去の風況データから選ばれる単数あるいは複数の類似データの一致の度合いを、現在より前に検証し、最も予測の精度が高かったものを、現在より先の予測として採用することを特徴とする風力発電量の予測方法。
  10. 請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の風力発電量の予測方法であって、
    風力発電設備には、蓄電池が備えられていることを特徴とする風力発電量の予測方法。
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