JP6396612B2 - アスベスト判定用キット、アスベスト判定用プレパラート及びアスベスト判定用組立体 - Google Patents

アスベスト判定用キット、アスベスト判定用プレパラート及びアスベスト判定用組立体 Download PDF

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Description

本発明は、建材等にアスベストが含有されているか否かを判定するアスベスト判定方法に用いるアスベスト判定用キット、アスベスト判定用プレパラート及びアスベスト判定用組立体に関するものである。
アスベスト(石綿)を含有する建材によって建造された建築物等の解体によるアスベストの飛散防止対策の強化を目的として、平成26年に大気汚染防止法が改正されて以来、解体等工事の発注者である建物等所有者は、受注者に対してアスベスト使用の有無について示す、もしくは受注者に事前調査等を義務付けるようになっている。
事前調査の方法は、設計図書による方法、診断士等による目視確認、専門機関による試料のアスベスト分析方法等があり、アスベスト分析方法には、ISO法やJIS法を代表とする公定法がある。
また、公定法で使用するX線回折装置や、偏光顕微鏡・位相差顕微鏡・電子顕微鏡は精緻な測定が可能であるものの、高価かつ重量物である上に、取り扱いに高度な知識・技術が必要となり、解体等工事の現場で使用するには不向きである。
このため、従来から現場で使用するのに適するアスベスト判別方法がある。
例えば、特許文献1には、スライドグラスの視野に標準試料又は標準試料の映像を固定し、残余視野に測定しようとするサンプルを置いて、同一視野でそれらを比較し、アスベストか否かを判定する方法が記載されている(特許文献1参照)。
特開2006−250844号公報
しかしながら、特許文献1に記載された方法は、特殊なスライドグラスを使用するものであり、さらに、標準試料とサンプルとの比較により適切な判定をするためには特別な訓練を要するものである。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、解体等工事の現場で簡便に使用できるアスベスト判定用キット、アスベスト判定用プレパラート及びアスベスト判定用組立体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、以下の構成によって把握される。
(1)本発明のアスベスト判定用キットは、前記アスベスト判定用キットは、第1領域及び第2領域を有するシート状体を備え、前記第1領域は、第1開口と、前記第1開口を覆い光を通過させて直接偏光に変える第1偏光板と、を有し、前記第2領域は、第2開口と、前記第2開口を覆い光を通過させて直接偏光に変える第2偏光板と、を有し、前記シート状体は、前記第1領域と前記第2領域との間に、採取した繊維状体を固定したプレパラートを配置した状態で、前記第1偏光板と前記第2偏光板とが直交ニコルの状態となるように変形可能である。
(2)本発明のアスベスト判定用プレパラートは、スライドグラスと、カバーグラスと、を備え、前記スライドグラスと前記カバーグラスとは、両者の間に配置された採取した繊維状体を包埋する透明な非晶性接着剤によって接着されており、前記繊維状体は、前記スライドグラスと前記カバーグラスとが近づく方向に上下から押圧されて薄く広げられた状態となっている。
(3)本発明のアスベスト判定用組立体は、上記(1)のアスベスト判定用キットと上記(2)のアスベスト判定用プレパラートとを備える。
本発明によれば、解体等工事の現場で簡便に使用できるアスベスト判定用キット、アスベスト判定用プレパラート及びアスベスト判定用組立体を提供できる。
アスベスト判定方法を示す説明図である。 アスベスト判定用キットの作成状況を示す図であり、(a)は平らな状態のアスベスト判定用キットを示し、(b)はプレパラートを載置した状態のアスベスト判定用キットを示し、(c)はプレパラートを挟むようにして折り畳まれた状態のアスベスト判定用キットを示す。 繊維状体が非結晶質物質であった場合における視野内の像を示し、図3(a)から図3(h)は、順に、プレパラートを45°ずつ回転させたときのそれぞれの像を示す。 繊維状体が結晶質物質であった場合における視野内の像を示し、図4(a)から図4(h)は、順に、プレパラートを45°ずつ回転させたときのそれぞれの像を示す。
(実施形態)
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ符号を付している。
以下では、建築物の解体工事の事前調査の場面を想定し、建築物を構成する建材にアスベスト(石綿、例えば、クリソタイル)が含有されているか否かを判定するためのアスベスト判定方法の手順を、時系列的に説明する。
図1は、本発明のアスベスト判定方法を示す説明図であり、プレパラートP(アスベスト判定用プレパラート)及びアスベスト判定用キットKの断面を示す。図2は、アスベスト判定用キットKの作成状況を示す図であり、(a)は平らな状態のアスベスト判定用キットKを示し、(b)はプレパラートPを載置した状態のアスベスト判定用キットKを示し、(c)はプレパラートPを挟むようにして折り畳まれた状態のアスベスト判定用キットKを示す。なお、図1で示された断面は、図2(c)のA矢視断面図に対応する。
(1)まず、建築物を構成する建材から、ピンセット等で引き抜く等することにより、繊維状体Fを採取する。
次に、採取した繊維状体Fがアスベストか否かを判定するにあたり、図1に示すようなスライドグラス1とカバーグラス3との間に採取した繊維状体Fを固定したプレパラートPを作成する(プレパラート作成ステップ)。
プレパラートPの作成は、具体的には、スライドグラス1の上に透明な非晶性接着剤2を塗り、非晶性接着剤2に繊維状体Fを包埋し、繊維状体Fの上にカバーグラス3を載せた後、スライドグラス1とカバーグラス3とが近づく方向に、手指等で上下から押圧することにより行う。
つまり、プレパラートP(アスベスト判定用プレパラート)は、スライドグラス1と、カバーグラス3と、を備え、スライドグラス1とカバーグラス3とは、スライドグラス1とカバーグラス3とが近づく方向に上下から押圧された状態で、両者の間に配置された採取した繊維状体Fを包埋する透明な非晶性接着剤2によって接着されている。そして、繊維状体Fは、スライドグラス1とカバーグラス3とが近づく方向に上下から押圧されて薄く広げられた状態となる。
このように、結晶性(結晶質の性質)とは反対の性質である非晶性(非晶質の性質)を有する非晶性接着剤2を使用するので、非晶性接着剤2がアスベストと同じような光学的性質を示すことがなく、結晶性を有するアスベストの光学的性質を確実に観察できる。
非晶性接着剤2としては、スライドグラス1及びカバーグラス3に対して接着可能な、市場で入手しやすい一般的な接着剤を使用できる。
また、プレパラートPの作成は、押圧する過程を含むので、極細繊維状鉱物の集合体(束)である繊維状体Fが、厚くて光を透過しづらいものであっても、ほぐれて薄く広げられ、繊維のアスベティスフォームと呼ばれる形状特性をより出現させることができ、判別の精度が向上する。さらに、プレパラートPの作成は、押圧する過程を含むので、光を透過しづらいクロシドライト(青石綿)やアモサイト(茶石綿)のような有色鉱物であっても、繊維の形状特性をより出現させることができ、判別の精度が向上する。なお、非晶性接着剤2の上に繊維状体Fを載せた後、その上にカバーグラス3を載せることにより、非晶性接着剤2に繊維状体Fを包埋してもよい。
(2)続いて、プレパラートPの上部に、光Lを通過させて直接偏光に変える第1偏光板10を配置し、プレパラートPの下部に、第1偏光板10とは直交ニコルの状態で、光Lを通過させて直接偏光に変える第2偏光板20を配置する(偏光板配置ステップ)。なお、直交ニコルとは、クロスニコル又は十字ニコルとも呼ばれるものであり、光Lを直線偏光に変える第一の偏光素子と光Lを直線偏光に変える第二の偏光素子を、それぞれの直線偏光が透過する方向が直交するように配置したものである。なお、光Lは、自然光であってよく、室内灯や携帯用光源等であってもよい。
詳細には、アスベスト判定用キットKは、第1領域31及び第2領域32を有するシート状体30を備える。
シート状体30は、例えば紙等の材料から形成される。また、シート状体30は、中央に、第1領域31と第2領域32とを連結する連結部33を備える。連結部33は、第1領域31及び第2領域32の一方を他方に対して揺動できるように変形可能である。第1領域31及び第2領域32と一体となった折り目であってよく、第1領域31及び第2領域32とは別体であってもよい。連結部33における折り目は、第1領域31及び第2領域32よりも薄いので、変形しやすくなっている。連結部33における折り目の形状は、弯曲状であっても鋭角状であってもよい。
第1領域31は、第1開口31hと、第1開口31hを覆い光Lを通過させて直接偏光に変える第1偏光板10と、を有する。第1領域31に対して第1偏光板10が取り付けられる位置は、第1領域31の表側であっても裏側であってもよい。
第2領域32は、第2開口32hと、第2開口32hを覆い光Lを通過させて直接偏光に変える第2偏光板20と、を有する。第2領域32に対して第2偏光板20が取り付けられる位置は、第2領域32の表側であっても裏側であってもよい。
シート状体30は、図2(a)に示すような状態から、図2(b)に示すような状態を経て、図2(c)に示すような、第1領域31と第2領域32との間に、採取した繊維状体Fを固定したプレパラートPを配置した状態で、第1偏光板10と第2偏光板20とが直交ニコルの状態となるように変形可能である。
詳細には、図2(a)又は図2(b)に示すように、まず、プレパラートPを載せやすくするため、アスベスト判定用キットKの第1領域31又は第2領域32のいずれかを平ら(又は水平)な状態にする。次に、図2(b)に示すように、繊維状体Fが固定されたプレパラートPを第2領域32の上に載せる。この際、第2開口32hの内側に繊維状体Fが位置するようにプレパラートPと第2領域32とを重ねる。続いて、図2(c)に示すように、第1領域31と第2領域32とが重なるように折り畳む。すると、第1領域31と第2領域32とを連結する連結部33が、第1領域31と第2領域32とを折り畳んだ際に第1開口31hと第2開口32hとが重なるような位置に設けられているため、第1開口31hの内側に繊維状体Fが位置するようにプレパラートPと第1領域31とが重なる。
なお、プレパラートP(アスベスト判定用プレパラート)とアスベスト判定用キットKとを、接着剤やクリップ等の適宜の手段で互いに固定し、アスベスト判定用組立体としてもよい。これにより、標本である繊維状体Fが固定されたプレパラートPをそのまま保存でき、さらに、アスベスト判定用キットKを使用して標本である繊維状体Fを適時に観察できる。よって、標本である繊維状体Fを繰り返して何度も観察できるので、再現性が高く、建材等のアスベスト含有調査結果とともに確実な証拠として添付できる。
このように、アスベスト判定用キットKを利用して、プレパラートPの上部及び下部に、第1偏光板10及び第2偏光板20をそれぞれ配置する。
(3)第1偏光板10の上部における繊維状体Fにピントが合う位置に拡大レンズ40を配置する(拡大レンズ配置ステップ)。
具体的には、第1偏光板10の上部における繊維状体Fにピントが合う位置に、実体顕微鏡や拡大鏡(ルーペ)等に設けられた拡大レンズ40を配置する。言い換えると、実体顕微鏡や拡大鏡(ルーペ)等に設けられた拡大レンズ40の下部に、第1偏光板10が上で第2偏光板20が下となり、拡大レンズ40のピントが繊維状体Fに合うようにして、アスベスト判定用キットKを配置する。なお、実体顕微鏡や拡大鏡は、手持ちタイプ、卓上タイプ、据え付けタイプ、フレネルレンズ等であってよい。
なお、第1偏光板10は、シート状体30の第1領域31に固定されてよく、シート状体30の第1領域31に固定せずに、拡大レンズ40に対応する、例えば、実体顕微鏡の対物レンズに直接装着されてもよい。
拡大レンズ40は、例えば、フレネルレンズとして、第1開口31hを覆い第1偏光板10と重なった状態でシート状体30の第1領域31に固定されてもよい。
(4)第2偏光板20の下部から第1偏光板10の上部に向けて光Lを透過する(光透過ステップ)。なお、図1においては、説明の都合上、光Lを透過する方向が下から上の向きで示されているが、アスベスト判定用キットKを手指等で縦の姿勢に保持した状態で、光Lを透過する方向が、第2偏光板20から第1偏光板10に向かう方向である水平方向になるように、アスベスト判定用キットKの向きを変えてもよい。例えば、室内で使用する場合であれば、アスベスト判定用キットKの第1領域31又は第2領域32のいずれかの面を窓の方向に向け、窓からの光L(自然光)を透かして窓とは反対側から繊維状体Fを拡大レンズ40を通して見るようにする。なお、光Lは、自然光であってよく、室内灯や携帯用光源等であってもよい。
なお、詳細は後述するが、像Zの干渉色を観察するため、プレパラートPを上下方向の軸を中心に回転させてもよい(回転ステップ)。この際、プレパラートPを第1偏光板10及び第2偏光板20に対して相対的に回転させる。プレパラートPの回転は、プレパラートPを固定したアスベスト判定用キットKを回転させることにより行ってもよい。
(5)拡大レンズ40の上部から繊維状体Fの像Zを観察する(観察ステップ)。
像Zを観察すると、繊維状体Fがアスベストのような結晶質物質であるか否かによって、特徴の異なる像Zが観察できる。
図3は、繊維状体Fが非結晶質物質(例えば、ガラス繊維)であった場合における視野S内の像Zを示す。図3(a)から図3(h)は、順に、プレパラートPを45°ずつ回転させたときのそれぞれの像Zを示す。
図4は、繊維状体Fが結晶質物質(例えば、クリソタイル等のアスベスト)であった場合における視野S内の像Zを示す。図4(a)から図4(h)は、順に、プレパラートPを45°ずつ回転させたときのそれぞれの像Zを示す。
図3(a)に示すように、繊維状体Fが光学的等方体である非結晶質物質であった場合において、像Zは、暗い視野S内において、光らずに視野Sの暗さより更に暗黒な存在となり、視野Sの暗さと像Zの暗さとのコントラスト(明暗等の差)を視認できる。なお、視野Sの暗さ(明るさ、明度)は、第1領域31と第2領域32(第1偏光板10と第2偏光板20)との隙間を調節することによって増減できる。
繊維状体Fが非結晶質物質であった場合、図3(b)から図3(h)のようにプレパラートPの回転とともに像Zを回転させると、いずれの角度であっても、図3(a)の像Zと同等の暗さの像Zが視認できる。
これに対して、図4(a)に示すように、繊維状体Fが光学的異方体である結晶質物質(例えば、クリソタイル等のアスベスト)であった場合において、像Zは、暗い視野S内において、干渉色を伴って視野Sの暗さより明るく光った存在となり、干渉色及び視野Sの暗さと像Zの明るさとのコントラスト(明暗等の差)を視認できる。
繊維状体Fが結晶質物質であった場合、図4(a)から図4(h)のようにプレパラートPの回転とともに像Zを45°ずつ回転させると、結晶質物質を通過する光の複屈折によって、図4(b)の像Zは干渉色を伴って図4(a)の像Zと比べて明るくなり、図4(c)の像Zは干渉色を伴って図4(b)の像Zと比べて暗くなり、図4(d)の像Zは干渉色を伴って図4(c)の像Zと比べて明るくなり、図4(e)の像Zは干渉色を伴って図4(d)の像Zと比べて暗くなり、図4(f)の像Zは干渉色を伴って図4(e)の像Zと比べて明るくなり、図4(g)の像Zは干渉色を伴って図4(f)の像Zと比べて暗くなり、図4(h)の像Zは干渉色を伴って図4(g)の像Zと比べて明るくなる。
このように、繊維状体Fが結晶質物質であった場合、図4(a)から図4(h)のようにプレパラートPの回転とともに像Zを1回転させると、干渉色を伴って、明暗が変化し、4回の消光が視認できる。
実際には、建材等から採取した繊維状体Fは、構成する繊維の方向や形状が不揃いな繊維束であり、先端が毛羽立っている状態の場合が多い。従って、プレパラートPの作成時における押圧等により繊維状体Fの不揃いな繊維束が更に崩れ、1片の繊維状体Fを1枚のプレパラートPに固定したとしても、様々な方向を示す複数の繊維が観察できる。よって、実際には、プレパラートPを一周回転させることなく、プレパラートPを45度から90度程度の範囲で回転させるだけで、消光と非消光(明るさ又は干渉色)とを1つの視野内で充分に確認できるので、次の判定ステップにおいて判定がしやすい。
(6)そして、像Zに、明るさ又は干渉色が視認されたことをもって繊維状体Fがアスベストであると判定する(判定ステップ)。なお、先述の押圧する過程を含むプレパラート作成ステップにおいて、繊維の形状特性がより出現するようになっているので、判別しやすくなっている。
詳細には、図3(a)から図3(h)に示すように、像Zが暗黒であれば、繊維状体Fが非結晶質物質(例えば、ガラス繊維)であると判定でき、アスベストではないと判定でき、反対に、像Zが干渉色を伴っているか、又は、明るく光っていれば、繊維状体Fが結晶質物質であり、アスベストである可能性が高いと判定できる。
さらに、先述の回転ステップによって、像Zに明るさの変化や消光が視認できなければ、繊維状体Fが非結晶質物質(例えば、ガラス繊維)であると判定でき、反対に、像Zに明暗の変化や消光が視認できれば、繊維状体Fが結晶質物質であり、アスベストである可能性が高いと判定できる。
なお、上記判定ステップにおいては、像Zに、明るさ又は干渉色が視認できたことをもって繊維状体Fがアスベストであると判定したが、像Zに、明るさが視認できたことをもって繊維状体Fがアスベストであると判定してよく、像Zに、明るさ、干渉色又は消光のいずれかが視認できたことをもって繊維状体Fがアスベストであると判定してもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明に係るアスベスト判定用キットK、アスベスト判定用プレパラート及びアスベスト判定用組立体は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変化が可能である。
例えば、上記実施形態においては、アスベスト判定方法に用いるアスベスト判定用キットKについて説明したが、これに限らず、アスベスト判定用キットKは、例えば、微細な粒状・粉状物質等の、アスベスト以外の結晶質物質の判定にも適用可能である。
例えば、本発明のアスベスト判定用キットKを実体顕微鏡と組み合わせて使用して本発明のアスベスト判定方法を実施する場合において、拡大レンズ40に対応する実体顕微鏡の対物レンズとアスベスト判定用キットKが備える第1偏光板10との間に光Lが横から入射する量を調節するため、第1開口31hから対物レンズに向けて透過する光Lの光路を囲うように遮光体(不図示)を配置してもよい。これにより、像Zを観察する際の視野Sを暗くすることができ、像Zの明るさ又は干渉色を視認しやすくできる。
本発明のアスベスト判定方法によれば、スライドグラス1とカバーグラス3との間に採取した繊維状体Fを固定したプレパラートPを作成するプレパラート作成ステップと、プレパラートPの上部に、光Lを通過させて直接偏光に変える第1偏光板10を配置し、プレパラートPの下部に、第1偏光板10とは直交ニコルの状態で、光を通過させて直接偏光に変える第2偏光板20を配置する偏光板配置ステップと、第1偏光板10の上部に拡大レンズ40を配置する拡大レンズ配置ステップと、第2偏光板20の下部から第1偏光板10の上部に向けて光Lを透過する光透過ステップと、拡大レンズ40の上部から繊維状体Fの像Zを観察する観察ステップと、像Zに、明るさ又は干渉色が視認されたことをもって繊維状体Fがアスベストであると判定する判定ステップと、を含むので、解体等工事の現場で入手しやすい一般的で簡易な実体顕微鏡やルーペに備わる拡大レンズ40を通じて、特別な光源を用いずに光Lを用いて繊維状体Fを透過観察するだけで、アスベスト判定の結果を得ることができる。
そして、アスベスト調査のために標本を偏光顕微鏡等の高価な設備を備える現場から離れた場所にある検査場に持ち込む必要がなく、安全、簡便、低コストで、アスベスト判定の結果を迅速に得られる。また、アスベスト含有建築物及び建材の調査技術向上に寄与し、社会全体のアスベストリスク低減に繋げることができる。そして、身近な環境中にアスベスト含有建築物及び建材の存在を知らしめることができ、リスクコミュニケーション促進の一助となる。
本発明のアスベスト判定方法によれば、プレパラートPを上下方向の軸を中心に回転させる回転ステップを更に含み、判定ステップにおいて、像Zに、消光が視認されたことをもって繊維状体Fがアスベストであると判定するので、アスベスト判定の信頼性を高められる。
本発明のアスベスト判定方法によれば、プレパラート作成ステップにおいて、スライドグラス1の上に透明な非晶性接着剤2を塗り、非晶性接着剤2に繊維状体Fを包埋し、繊維状体Fの上にカバーグラス3を載せた後、スライドグラス1とカバーグラス3とが近づく方向に上下から押圧することによりプレパラートPを作成するので、極細繊維状鉱物の集合体(束)である繊維状体Fがほぐれて広がって繊維の形状特性をより出現させることができ、観察対象となる繊維状体Fの薄片作成が簡易であり、形状特性の観察がしやすくなり、判別の精度(判定のしやすさ)が向上する。特に、繊維状体Fがクロシドライト(青石綿)やアモサイト(茶石綿)のような有色鉱物の場合、スライドグラス1上の鉱物試料である繊維状体Fが相当に薄くないと光Lが透過しづらいが、プレパラート作成ステップで、できるだけ少ない繊維サンプルである繊維状体Fを非晶性接着剤2で包み込み、束状の繊維である繊維状体Fが押し広げられるように上下から指で押圧することで、鉱物である繊維状体Fの厚みを薄くでき、顕微鏡観察に耐えうる光Lを得やすくなる。
また、本発明のアスベスト判定方法によれば、プレパラート作成ステップによって、磨り潰す等の前処理作業を必要としないので、プレパラートPの作成が簡便であると同時に、作業者がアスベストを吸入曝露する機会を減らすことができて安全である。
本発明のアスベスト判定方法によれば、偏光板配置ステップにおいて、第1偏光板10と第2偏光板20とを有するシート状体30を備えるとともに、第1偏光板10と第2偏光板20とが直交ニコルの状態となったアスベスト判定用キットKを配置し、アスベスト判定用キットKによってプレパラートPを支持するので、アスベスト判定用キットKとプレパラートPとを一体として扱うことができ、実体顕微鏡やルーペ等と組み合わせて使用しやすく、繊維状体Fの観察がしやすく、運搬や保存に適する。
本発明のアスベスト判定用キットKによれば、第1領域31及び第2領域32を有するシート状体30を備え、第1領域31は、第1開口31hと、第1開口31hを覆い光Lを通過させて直接偏光に変える第1偏光板10と、を有し、第2領域32は、第2開口32hと、第2開口32hを覆い光Lを通過させて直接偏光に変える第2偏光板20と、を有し、シート状体30は、第1領域31と第2領域32との間に、採取した繊維状体Fを固定したプレパラートPを配置した状態で、第1偏光板10と第2偏光板20とが直交ニコルの状態となるように変形可能であるので、実体顕微鏡やルーペ等と組み合わせて使用しやすく、繊維状体Fの観察がしやすく、運搬や保存に適する。
本発明のプレパラートPによれば、スライドグラス1と、カバーグラス3と、を備え、スライドグラス1とカバーグラス3とは、両者の間に配置された採取した繊維状体Fを包埋する透明な非晶性接着剤2によって接着されているので、標本である繊維状体Fが固定されたプレパラートPをそのまま保存できる。よって、繰り返して何度も観察できるので、再現性が高く、建材等のアスベスト含有調査結果とともに確実な証拠として添付できる。
本発明のアスベスト判定用プレパラートによれば、スライドグラス1とカバーグラス3とは、両者の間に配置された採取した繊維状体を包埋する透明な非晶性接着剤によって接着されており、繊維状体Fは、スライドグラス1とカバーグラス3とが近づく方向に上下から押圧されて薄く広げられた状態となっているので、鉱物である繊維状体Fの厚みを薄くでき、顕微鏡観察に耐えうる光Lを得やすくなる。
1 スライドグラス
2 非晶性接着剤
3 カバーグラス
10 第1偏光板
20 第2偏光板
30 シート状体
31 第1領域
31h 第1開口
32 第2領域
32h 第2開口
33 連結部
40 拡大レンズ
F 繊維状体
K アスベスト判定用キット
L 光
P プレパラート(アスベスト判定用プレパラート)
S 視野
Z 像

Claims (3)

  1. アスベスト判定用キットであって、
    前記アスベスト判定用キットは、第1領域及び第2領域を有するシート状体を備え、
    前記第1領域は、第1開口と、前記第1開口を覆い光を通過させて直接偏光に変える第1偏光板と、を有し、
    前記第2領域は、第2開口と、前記第2開口を覆い光を通過させて直接偏光に変える第2偏光板と、を有し、
    前記第1偏光板と前記第2偏光板とは、別体であり、
    前記シート状体は、前記第1領域と前記第2領域との間に、採取した繊維状体を固定したプレパラートを配置した状態で、前記第1偏光板と前記第2偏光板とが直交ニコルの状態となるように変形可能である
    ことを特徴とするアスベスト判定用キット。
  2. 前記プレパラートは、
    スライドグラスと、カバーグラスと、を備え、
    前記スライドグラスと前記カバーグラスとは、両者の間に配置された採取した繊維状体を包埋する透明な非晶性接着剤によって接着されており、
    前記繊維状体は、前記スライドグラスと前記カバーグラスとが近づく方向に上下から押圧されて薄く広げられた状態となっている
    ことを特徴とする請求項1に記載のアスベスト判定用キット
  3. 前記シート状体は、前記第1領域と前記第2領域とを連結し、前記第1領域及び前記第2領域の一方を他方に対して揺動できるように変形可能な連結部を有し、
    前記連結部は、前記第1領域と前記第2領域とを折り畳んだ際に前記第1開口と前記第2開口とが重なるような位置に設けられている
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアスベスト判定用キット。
JP2018001465A 2018-01-09 2018-01-09 アスベスト判定用キット、アスベスト判定用プレパラート及びアスベスト判定用組立体 Active JP6396612B2 (ja)

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