JP6394261B2 - 油井用電縫鋼管及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、特に、石油、天然ガス等の掘削用鋼管の用途に最適な、油井用電縫鋼管及びその製造方法に関する。
近年、油井やガス井(以下、総称して油井と呼ぶ)の掘削深度はますます深くなる傾向にあり、油井用鋼管の高強度化が要求されている。また、油井用鋼管は、腐食性ガスを含む酸性化した厳しい環境(サワー環境)に曝される。このようなサワー環境では、硫化物応力割れ(Sulfide Stress Cracking、SSCという。)や水素割れ(Hydrogen Induced Cracking、HICという。)が問題になる。ここで、耐硫化物応力割れ性及び耐水素割れ性を総称して耐サワー性という。
SSCやHICは、主に、介在物や溶接部の近傍に生じるため、高強度及び耐サワー性が要求される用途には、従来、シームレス鋼管が使用されていた。しかし、最近では、シームレス鋼管は製造コストが高いため、コスト削減の観点からシームレス鋼管に匹敵する耐サワー性を有する電縫鋼管が要望されている。
電縫鋼管の耐サワー性改善技術として以下の提案がなされている。
例えば、SSCやHICの原因は、圧延方向に伸長したMnS(伸長MnSという。)などの介在物であることから、耐サワー性の向上には、介在物の形態の制御が有効である。伸長MnSの生成を抑制するために、熱間圧延によって延伸化し難いCaSなどの硫化物を形成するCaの添加が行われている。Caの添加によってMnSの形成を抑制するには、O(酸素)の含有量を低減し、S(硫黄)の含有量に応じた量のCaを添加する必要がある。そのため、耐サワー性を向上させるために、Ca、O、Sの添加量を制御した熱延鋼板が提案されている(例えば、特許文献1、2、参照)。
MnSの形成の抑制により、電縫鋼管の母材部の耐サワー性は向上するが、溶接部にも耐サワー性が要求される。耐サワー性には硬さが影響することから、溶接部の近傍のビッカース硬さを250Hv以下、最大値と最小値との差を30Hv以内とした電縫鋼管が提案されている(例えば、特許文献3、4、参照)。電縫鋼管は、熱延鋼板を管状に成形し、突合せ部を電縫溶接して製造され、電縫溶接のままでは溶接部にパーライトが生成している、そのため、特許文献3、4では、電縫鋼管全体又は溶接部のみに熱処理を施し、耐サワー性を向上させている。
電縫鋼管の溶接部のみに熱処理(シーム熱処理)を施す場合、冷却が不十分であると、溶接部に帯状に並んで析出したパーライト、いわゆるパーライトバンドが生成し、耐サワー性が低下することがある。これを防止するために、溶接部を加熱した後、加速冷却し、更に、焼戻しを施す電縫鋼管の製造方法が提案されている(例えば、特許文献5、6、参照)。
特開2005−240051号公報 特開平6−256842号公報 特開平6−235045号公報 特開平6−41684号公報 特開昭61−270338号公報 特開昭63−176426号公報
中杉 甫等、「製鉄研究」297(1979)、p.72
最近の油井管の使用環境の苛酷化に伴って、油井用電縫鋼管に対する耐サワー性の要求水準も高度化している。従来のように溶接部の組織制御や鋼板のMnSに代表される介在物制御を個別に行っていたのでは対処できなくなってきている。そこで、電縫鋼管の高強度化と使用環境の苛酷化に対する耐久性向上の両立を図る材料設計が必要になってきている。
本発明は、苛酷な環境下で使用できる油井用電縫鋼管、すなわち、シームレス鋼管並みの耐サワー性を有する油井用電縫鋼管及びその製造方法を提供することを目的とする。具体的には、本発明の油井用電縫鋼管は、引張強さが450MPa以上で、NACE−TM−0177のB溶液(5%食塩+酢酸、pH3.5、1気圧硫化水素、25℃)中で降伏強さの80%以上の応力が負荷されても割れを生じないような優れた耐サワー性を有することを課題とする。
本発明者らは、450MPa以上の引張強さ(TS)を有する電縫鋼管の耐サワー性について検討を行った。まず、電縫鋼管から採取した試験片を用いて、NACE−TM−0177のB溶液中で、降伏強さの80%以上の応力を負荷する評価試験を行い、割れが発生した試験片の破面及び組織の観察を行った。NACE−TM−0177のB溶液は、硫化水素が1気圧であり、温度が25℃で、5%の食塩及び酢酸を含み、pH3.5に調整された溶液である。
その結果、母材部では、肉厚の中央部近傍に存在する中心偏析部で水素誘起割れ(HIC、Hydrogen Induced Cracking)が発生し、また、母材部の表面では、硬さが高くなっている部位から硫化物応力割れ(SCC、Stress Corrosion Cracking)が発生していることがわかった。
一方、電縫溶接部では、母材と同様の中心偏析に起因する水素誘起割れに加えて、パーライトに起因する硫化物応力割れが見られた。なお、電縫溶接及び電縫溶接後の熱処理によって母材とは異なる金属組織に変化している領域を「溶接部」という。
これらの観察結果から、以下の知見を得た。
耐サワー性を向上させるためには、ポリゴナルフェライトの生成を抑制することが重要であることは知られており、本発明に係る電縫鋼管は、母材の組織を主にアシキュラーフェライトおよびベイナイトの少なくとも一方からなる組織とする。さらに、過酷なサワー環境に耐えるため、以下の知見を得た。
(a)母材の中心偏析、特にMnSの晶出制御が、中心偏析による水素誘起割れに効果があることから、MnSの晶出制御に関する代表的パラメータであるESSP(非特許文献1参照)の最適な範囲を見出した。即ち、ESSP:1.5〜3.0に制御するとよいことを見出した。圧延方向に延伸したMnSの生成を抑制するには、S量を制限し、Caを添加することが有効であるが、CaSを形成させるために、CaがSよりも酸素との親和力が強いことから、O量の制限も必要である。

ESSP=Ca×(1−124×O)/(1.25×S)・・・(式1)
ESSPは、酸素と結合したCaを差し引いた残りのCa(有効Ca)がSと原子量比で結合し、S量に見合うだけの有効Ca量があればMnSは形態制御されていることを示すものである。またこの式は、Caを過剰に添加するとクラスター状介在物が多く生成し有害となり、目的を達成し得ないことも示している。
すなわち、ESSPは、上式で示される有効Ca量を、MnSを形態制御させるための下限と、クラスター状介在物を生成させないための上限の間にコントロールし、それによって耐サワー性を確保するためのパラメータである。尚、溶接部の成分は母材部と同じであり、MnSは鋼板段階で析出するため、MnSは母材、溶接部を問わず影響する。従って、溶接部においてESSPが1.5〜3.0を満たさない場合、溶接部においてMnS等の介在物に起因するHICが生じるおそれがある。
(b)鋼管表面にて起きる硫化物応力割れを防止するためには、母材部および溶接部の表面硬度を248Hv以下に抑制するとよいことを見出した。そのため、焼入れ性を適正に制御することにより、表面硬度を248Hv以下にできることを見出した。焼入れ性は炭素当量(CE(式3))で示すことができ、発明者らの実験の結果、CEが0.44以下であれば表面硬度をHv248以下にすることができることが分かった。
CE=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5・・・(式3)

ただし、式中の元素記号はその元素の質量%を示し、元素含まない場合は、当該元素は0%として計算する。
(c)溶接部の硫化物応力割れを防止するためには、溶接部の最高硬さを248Hv以下に抑制するだけでなく、溶接部を焼戻しベイナイト、焼戻しマルテンサイトを主体とする金属組織とし、パーライトを面積率で10%以下に制限することが必要であることが分かった。
電縫溶接ままの溶接部は硬質であり、最高硬さを抑制するためにシーム熱処理を施すことが必要である。シーム熱処理は、加熱後、加速冷却を施してパーライトの生成を抑制し、再加熱し焼戻しを行って最高硬さを低下させることができることを見出した。
溶接部の表面硬度の指標として、母材の表面硬度と同様に炭素当量(CE)を指標とすることができる。一方、パーライトの生成に影響する成分指標として炭素当量(CE)を適用できることを見出した。パーライトの生成を抑制するためには、CEを0.22以上にするとよいことがわかった。即ち、CE:0.26〜0.44にすると、溶接部硬さを248Hv以下に抑制するだけでなく、パーライトの生成をも抑制することができることを見出した。
以上の3つの条件を全て満たすことにより、優れた耐サワー性を有し、TSが450MPa以上の油井用電縫鋼管を得ることができる。
本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] 母材部と溶接部とからなる電縫鋼管において、母材部の成分が、質量%で、
C:0.04〜0.10%、
Mn:1.00〜1.60%、
V:0.005〜0.100%、
Nb:0.005〜0.100%、
Ti:0.005〜0.030%、
Ca:0.0005〜0.0050%、
N:0.001〜0.008%、
O:0.001〜0.005%
を含有し、
Si:0.50%以下、
Al:0.05%以下、
P:0.020%以下、
S:0.0030%以下
に制限され、残部がFe及び不可避的不純物元素からなり、
下記(式1)で求められるESSPが1.5〜3.0であり、
下記(式2)で求められるCE’が0.26〜0.44であり、
母材部の金属組織は、アシキュラーフェライト、ベイナイトの一方又は両方からなり、
溶接部の金属組織は、パーライトが面積率で10%以下に制限され、残部が焼戻しベイナイト及び焼戻しマルテンサイトのうちの一方又は両方からなり、
母材部の降伏強さが400〜600MPa、引張強さが450MPa以上であり、母材部及び溶接部の最高硬度が248Hv以下であり、硫化水素が1気圧であり、温度が25℃で、5%の食塩及び酢酸を含み、pH3.5に調整された溶液中で破断が発生する応力が降伏強さの80%以上である、
ことを特徴とする油井用電縫鋼管。
ESSP=Ca×(1−124×O)/(1.25×S)・・・(式1)
CE’=C+Mn/6+V/5 ・・・(式2)
尚、式1及び式2中の各元素記号は、その元素の含有量を質量%で表す。
[2] 母材部の成分が、更に、質量%で、
Cr:1.0%以下、
Mo:0.5%以下、
Ni:1.0%以下、
Cu:1.0%以下
の1種又は2種以上を含有し、前記(式2)に変えて下記(式3)で求められるCEが0.26〜0.44であることを特徴とする上記[1]に記載の油井用電縫鋼管。
CE=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5 ・・(式3)
尚、式3中の各元素記号は、その元素の含有量を質量%で表す。
[3] V及びNの含有量が、
V/N:2.0〜50.0
を満足することを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の油井用電縫鋼管。
[4] C及びMnの含有量が、
C/Mn:0.025〜0.050
を満足することを特徴とする上記[1]〜[3]の何れかに記載の油井用電縫鋼管。
[5] 上記[1]〜[4]の何れかに記載の成分組成を有する鋼スラブを1000〜1300℃に加熱し、オーステナイト変態点(Ar点)以上で熱間圧延して熱延鋼帯を製造し、400〜600℃で熱延鋼帯を巻き取り、熱延鋼帯を冷間で筒状に成形し、熱延鋼帯の端部同士を突合せ、熱延鋼帯を電縫溶接し、溶接部を900〜1050℃に加熱し、溶接部の肉厚中心部の冷却速度を10℃/s以上として、Ar点〜200℃以下まで冷却することにより焼入れ処理し、溶接部を400〜AC点に加熱して、放冷することにより焼戻し処理を行うことを特徴とする[1]〜[4]の何れかに記載の用電縫鋼管の製造方法。
本発明によれば、引張強さが450MPa以上で、NACE−TM−0177のB溶液中で、降伏強さの80%以上の応力が負荷されても割れを生じない、すなわち、破断発生限界応力が降伏強さの80%以上である優れた耐サワー性を有する油井用電縫鋼管及びその製造を提供することが可能になる。
油井用電縫鋼管の母材部の最高硬さとESSPと、NACE TM 0177に準拠した、母材部における水素誘起割れの有無との関係を示すグラフである。 油井用電縫鋼管の溶接部の最高硬さとESSPと、NACE TM 0177に準拠した、溶接部における水素誘起割れの有無との関係を示すグラフである。 油井用電縫鋼管の母材部の最高硬さ及びCEと、母材部における硫化物応力割れの有無との関係を示すグラフである。 油井用電縫鋼管の溶接部の最高硬さ及びCEと、溶接部における硫化物応力割れの有無との関係を示すグラフである。
以下、本発明について詳細に説明する。まず、本発明の電縫鋼管の母材部の成分ついて説明する。なお、電縫鋼管の溶接部は、母材を加熱して溶融させ、押圧して接合されている部分であり、溶接部の成分は母材部の成分と同等である。
C:Cは、鋼の強度を向上させる元素であり、その有効な下限として0.04%以上の添加が必要である。一方、C量が0.10%を超えると、炭化物の生成によってHICが発生し易くなるため、上限を0.10%以下とする。また、耐HIC性、溶接性や靱性の低下を抑制するには、C量の上限を0.08%以下とすることが好ましく、0.06%以下がより好ましい。
Si:Siは、脱酸元素であるが、Si量が0.50%を超えると、溶接部の靱性を低下させるため、上限を0.50%以下に制限する。Si量の上限は、0.35%が好ましい。Si量の下限は特に制限せず、0%でも良いが、0.01%以上とすることが好ましい。
Mn:Mnは、強度及び靱性を向上させる元素であり、1.00%以上の添加が必要である。好ましくはMn量を1.10%以上とし、より好ましくは1.20%以上とする。一方、Mn量が、1.60%を超えると、耐サワー性を低下させるため、上限を1.60%以下とする。好ましくは、Mn量の上限を1.50%以下とする。
P:Pは不可避的不純物として含有される。但し、含有量が0.020%を超えると、耐HIC性を損ない、また、溶接部靱性が低下する。したがって、Pの含有量の上限を0.020%以下に制限する。P量の下限は規定しないが、コストの観点から0.001%以上を含有してもよい。
S:Sは、不可避的不純物として含有される。また、Sは、熱間圧延時に圧延方向に延伸するMnSを生成して、耐HIC性を低下させる元素である。したがって、本発明では、S量を低減することが必要であり、上限を0.0030%以下に制限する。また、靱性を向上させるためには、S量を0.0020%以下とすることが好ましい。伸長MnSの生成を抑制するためには、より好ましくはS量を0.0010%以下、更に好ましくは0.0007%以下とする。S量の下限は規定しないが、コストの観点から0.0001%以上を含有してもよい。
V:Vは、本発明では焼入れ性の制御に寄与する極めて重要な元素である。効果を得るためには、0.005%以上のVを添加することが必要である。好ましくはV量を0.010%以上とし、より好ましくは0.015%以上とする。しかし、Vを過剰に添加すると、硬さが上昇して耐サワー性が低下するため、本発明においては、V量の上限を0.100%以下とする。好ましくはV量を0.070%以下、より好ましくは0.060%以下、更に好ましくは0.050%以下とする。
Nb:Nbは、炭化物、窒化物を形成し、強度の向上に寄与する元素である。効果を得るためには、0.005%以上のNbを添加することが必要である。しかし、Nbを過剰に添加すると中心偏析部に、Nbの炭窒化物が集積し、耐HIC性が低下する。したがって、本発明においては、Nb量の上限を0.10%以下とする。また、耐HIC性を考慮した場合、Nb量の上限は0.06%以下にすることが好ましい。より好ましくはNb量を0.05%以下、更に好ましくは0.04%以下とする。
Ti:Tiは、通常、脱酸剤や窒化物形成元素として結晶粒の細粒化に利用される元素であり、0.005%以上添加する必要がある。一方、Tiを過剰に添加すると、炭窒化物の形成によって耐HIC性や靱性が低下する。したがって、Tiの含有量の上限は、0.030%以下に制限する。
Al:Alは脱酸元素であるが、本発明においては、添加量が0.05%を超えるとAl酸化物が集積したクラスターが形成され、耐HIC性が低下するため、0.05%以下に制限する。Al量は、0.005%以下でもよい。Al量の下限値は特に限定せず、0%でもよいが、0.0001%以上を含有させてもよい。
Ca:Caは硫化物CaSを生成し、圧延方向に伸長するMnSの生成を抑制し、耐HIC性の改善に顕著に寄与する元素である。Caの添加量が0.0005%未満では、効果が得られないため、下限値を0.0005%以上とする。一方、Caの添加量が0.0050%を超えると、酸化物が集積し、耐HIC性を損なうため、上限を0.0050%以下とする。さらに好ましくは、Ca量の上限を0.0035%以下とする。
N:Nは、TiN、NbN、VNなどの窒化物を形成する元素であり、窒化物を利用して加熱時のオーステナイト粒径を微細にするためには、N量の下限値を0.001%以上とすることが必要である。しかし、Nの含有量が0.008%を超えると、TiとNbの炭窒化物が集積しやすくなり、耐HIC性を損なう。したがって、N量の上限を0.008%以下とする。
O:Oは不可避的不純物として含有される。酸化物の集積を抑制して、耐HIC性を向上させるために、上限を0.0050%以下に制限する。酸化物の生成を抑制して、母材及び溶接部の靭性を向上させるためには、O量の上限値を0.0030%以下とすることが好ましい。一方、下限値は0.001%としても良い。
更に、焼入れ性を制御するために、Cr、Mo、Ni、Cuの1種又は2種以上を含有させることができる。Cr、Mo、Ni及びCuは、焼入れ性の指標であるCEを制御するために、必要に応じて含有させればよいが、コストの観点から、それぞれ、1.0%以下、0.5%以下、1.0%以下及び1.0%以下に制限することが好ましい。効果を得るためには、Cr、Mo、Ni及びCuは、何れも0.1%以上を添加することが好ましい。
また、本実施形態においては、上記した元素以外の残部は実質的にFeからなり、不可避不純物をはじめ、本発明の作用効果を害さない元素を微量に添加することができる。不可避的不純物とは、原材料に含まれる、あるいは製造の過程で混入する成分であり、意図的に鋼に含有させたものではない成分のことをいう。
具体的には、Si、Al、P、S、O、N、Sb、Sn、Co、As、Pb、Bi及びHがあげられる。このうち、P、S、O、及びNは、上述のとおり、それぞれ、Si:0.5%以下、Al:0.05%以下、P:0.03%以下、S:0.005%以下、O:0.005%以下、N:0.008%以下となるように制御する必要がある。
その他の元素については、通常、Sb、Sn、Co及びAsは0.1%以下、Pb及びBiは0.005%以下、Hは0.0005%以下の不可避的不純物としての混入があり得るが、通常の範囲であれば、特に制御する必要はない。
また、本発明の鋼管における任意の添加元素である、Cu、Ni、Cr、Mo、W、V、Zr、Ta、B、Mg、REM、Y、Hf及びReも、含有を意図しなくても不可避的不純物として混入することがあり得るが、上述した意図的に含有させる場合の含有量の上限以下であれば、下限未満であったとしても本発明の電縫鋼管に悪影響を与えるものではないので、問題はない。
本発明では、Caを添加して、CaSを形成させることにより、Sを固定するため、Ca、O及びSの含有量から下記(式1)によって求められるESSPは重要な指標である。ESSPが1.5未満であると、O量及びS量に対してCa量が不足し、MnSが生成して、圧延によって延伸化したMnSの生成に起因し、耐HIC性が劣化する。したがって、ESSPは1.5以上とする。好ましくはESSPを1.6以上とし、より好ましくは1.7以上とする。一方、ESSPを3.0超とするには、O量やS量を低減させるために製造コストが高くなる。したがって、本発明ではESSPを3.0以下とする。好ましくはESSPを2.8以下、より好ましくは2.6以下、更に好ましくは2.4以下とする。
ESSP=Ca×(1−124×O)/1.25×S・・・(式1)
シーム熱処理が施される電縫鋼管の高強度と耐サワー性とを両立させるために、金属組織が異なる母材部と溶接部との強度及び硬さを同等に制御する必要がある。本発明では、母材部はアシキュラーフェライト、ベイナイトの一方又は両方からなる金属組織とし、シーム熱処理が施される溶接部は、パーライトが面積率で10%以下に制限され、残部が焼戻しベイナイト、焼戻しマルテンサイトの一方又は両方からなる金属組織とする。そのため、焼入れ性を適正に制御することが極めて重要となり、C、Mn及びVの含有量から下記(式2)によって求められるCE’、又は、C、Mn、V、Cr、Mo、Ni及びCuの含有量から下記(式3)で求められるCEを0.26〜0.44とすることが必要である。CE’又はCEが、0.26未満であると、母材部がアシキュラーフェライト、ベイナイトの一方又は両方からなる金属組織であっても、強度が低下し、溶接部ではパーライトが生じて、耐サワー性が低下する。一方、CE’又はCEが、0.44を超えると、溶接部の表面硬度が高くなり、耐サワー性が低下する。
CE’=C+Mn/6+V/5・・・(式2)
CE=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5 ・・(式3)
Vの添加によって焼入れ性を制御する本発明では、Vの析出物の形成を考慮して、V/Nを2.0以上とすることが好ましい。より好ましくはV/Nを4.0以上とする。V/Nは、VNの形成を考慮した指標であり、V量がN量に対して過剰であることが好ましいが、V量の増加及びN量の低減に必要とされるコストを考慮し、上限を50.0以下とすることが好ましい。より好ましくはV/Nの上限を40.0以下、更に好ましくは30.0以下とする。
焼入れ性の指標であるCE’又はCEは、他の元素の含有量に比べてC量による寄与が大きい。しかし、Cはセメンタイトを形成する元素であり、パーライトの生成を促進させる場合がある。そのため、Mn量を増加させることによって、CE’又はCEを調整することが好ましい。特に、パーライト量を低減させるには、C/Mnを0.05以下とすることが好ましい。より好ましくはC/Mnを0.04以下とする。C/Mnの下限は、C量の下限0.04%と、Mn量の上限1.60%から、0.025以上とする。
次に、本発明の電縫鋼管の母材部及び溶接部の金属組織について説明する。なお、金属組織の判別及びパーライトの面積率の測定は、光学顕微鏡観察によって行うことができる。
本発明の電縫鋼管の母材部の金属組織はアシキュラーフェライト、ベイナイトの一方又は両方からなる。アシキュラーフェライト及びベイナイトは、強度及び靱性に優れる金属組織である。
本発明では、溶接部のみに、オーステナイト変態が完了する温度Ac以上に加熱して水冷する焼入れ処理、オーステナイト変態が開始する温度Ac以下に加熱する焼戻し処理を、順次、施す。焼入れ処理を施した後、パーライトが過剰に生成していると、SSCの起点となり、耐サワー性が低下する。本発明では、SSCの発生を抑制し、耐サワー性を向上させるために、パーライトの面積率を10%以下に制限する。パーライトの面積率は0%でもよい。パーライトの残部は、焼入れ処理、焼戻し処理によって形成される焼戻しベイナイト及び焼戻しマルテンサイトの一方又は両方からなる金属組織である。
本発明の電縫鋼管の母材部は、前述の組成及び金属組織を有し、更に、降伏強さが400〜600MPa、引張強さが450MPa以上である。母材部及び溶接部の最高硬度は、248Hvを超えると耐HIC性が低下するので、248Hv以下とする。また、本発明の電縫鋼管の母材部は、NACE−TM−0177のB溶液中で降伏強さの80%以上の応力が負荷されても割れを生じない。
次に、本発明の電縫鋼管の製造方法について説明する。電縫鋼管は、熱延鋼帯を管状に成形し、突合せ部を電縫溶接して製造される。熱延鋼帯は、まず、鋼の成分を製鋼工程で調整して連続鋳造などにより鋼片を製造し、前記鋼片を加熱し、熱間圧延を施し、加速冷却を行い、加速冷却後の鋼片をコイル状に巻取ることによって製造される。造管後、電縫鋼管の溶接部のみに、熱処理が施される。本発明の電縫鋼管の母材部には熱処理が施されないので、熱延鋼板の金属組織と同じである。
熱間圧延は常法で行えばよいが、好ましくは、変形抵抗を低下させるために加熱温度を1000℃以上とする。加熱温度の上限は、結晶粒の粗大化を抑制するために1300℃以下とすることが好ましい。熱間圧延の仕上げ温度は、加工フェライトの生成を抑制するため、オーステナイト変態点(Ar点)以上とすることが好ましい。
熱間圧延後、加速冷却を行って巻取り、熱延鋼帯とする。加速冷却は水冷でよい。電縫鋼管の母材部をアシキュラーフェライト、ベイナイトの一方又は両方からなる金属組織とし、最高硬さを248Hv以下とするため、巻取温度を400℃以上とすることが好ましい。フェライトの生成を抑制して強度を高めるには、巻取温度を600℃以下にすることが好ましい。
熱間圧延によって得られた熱延鋼帯を、冷間で筒状に成形し、端部同士を突合せ、電縫溶接する。電縫溶接の直後、溶接部には耐サワー性に有害なパーライトが生成しているため、電縫鋼管の溶接部のみに熱処理が施される。この熱処理は、オーステナイト変態が完了する温度Ac以上に加熱して水冷する焼入れ処理後、オーステナイト変態が開始する温度Ac以下に加熱する焼戻し処理を施すものである。
焼入れ処理では、溶接部を900〜1050℃に加熱し、溶接部の肉厚中心部の冷却速度を10℃/s以上としてAr点〜200℃以下に冷却することが好ましい。溶接部の肉厚中心部の冷却速度は、加熱温度、板厚、水量密度によって変化するので、予め肉厚中心部に熱電対を取り付け、種々の条件(加熱温度、水量密度、板厚)で温度の時間曲線を測定し、冷却速度を求めておくことにより、制御が可能となる。溶接部のみに熱処理を施す場合は、加熱温度での保持時間を確保することが難く、焼入れ処理の加熱温度が900℃未満であると、面積率で10%を超えるパーライトが溶接部に残存する場合がある。一方、溶接部を1050℃以上に加熱すると、組織が粗大になり、靱性を損なう場合がある。冷却速度は、パーライトの生成を抑制するために10℃/s以上とすることが好ましい。冷却速度の上限は規定しないが、100℃/s超とすることは技術的に困難である。
焼戻し処理では、溶接部を400〜AC点に加熱して、放冷することが好ましい。加熱温度が400℃未満であると、最高硬度が248Hvを超えることがある。また、加熱温度がAC点を超えると、焼入れままの硬質な組織が溶接部に生成し、最高硬さが248Hvを超えることがある。
表1−1及び表1−2の化学成分を有する240mmの厚みを有する鋼片を用いて、表2に示す条件(加熱温度、仕上圧延温度、巻取温度)で熱延鋼帯とした。得られた鋼帯を管状に冷間加工して端部同士を突合せ、電縫溶接し、溶接部に表2に示す条件(焼入れ温度、冷却速度、焼戻し温度)でシーム熱処理を施して、電縫鋼管を製造した。尚、表1−1及び表1−2に記載の鋼1〜44のESSP、CE’(又はCE)、V/N、C/Mn及びAr(℃)を表1−3に示す。
得られた電縫鋼管の母材部から引張試験片を採取し、降伏強さ及び引張強さを測定した。また、長手方向を鋼管の周方向とし、母材部又は溶接部が平行部の中央に位置するように、定荷重試験片を採取し、NACE TM 0177に準拠して亀裂の有無を調査した。また、母材部及び溶接部を含むマクロ試験片を採取し、母材及び溶接部の硬度を測定した。荷重は1kgである。母材及び溶接部からミクロ試験片を採取し、金属組織の観察を行った。その結果を表3−1及び表3−2に示す。
表3−1の「金属組織」の欄は、前記母材のミクロ試験片を構成する金属組織を表す。
また、表3−1及び表3−2の「定荷重試験結果」の“No Crack”は、割れが無かったことを意味し、“Crack”は割れが生じたことを意味する。
また、表3−2の「パーライト」の欄は、溶接部に存在するパーライトの面積率(%)を示す。また、表3−2の「残部」の欄は、観察された溶接部のミクロ試験片を構成する金属組織であって、パーライト以外の金属組織を意味する。
鋼1〜22は本発明の例を示す。表3−1及び表3−2から明らかなように、これらの鋼管の母材部及び溶接部の最高硬さは248Hv以下になっており、高強度でかつ定荷重試験による割れが発生していない。一方、鋼23〜44は比較例であり、成分、母材部の金属組織、溶接部の金属組織の少なくとも一つが、本発明の範囲外である。そのため、強度が不足したり、定荷重試験で母材部、溶接部の一方又は両方に亀裂が発生している。
尚、鋼23〜44のうち、鋼23〜25、27、33、35〜38、40〜43のESSPは1.5未満であり、鋼34のESSPは3.0超である。これらの比較例は、鋼24を除き、いずれも溶接部において亀裂が生じている。
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実施例及び比較例のうち、アシキュラーフェライト、ベイナイトを主体とする金属組織からなる母材部について、肉厚の中央部近傍における水素誘起割れの有無と、母材部の最高硬さとESSPとの関係を調査した。その結果を図1aに示す。図1aに示されるように、母材部がアシキュラーフェライト、ベイナイトを主体とする金属組織であり、且つESSPが1.5〜3.0であっても、母材部の最高硬さが248Hvを超えると耐HIC性が低下して、水素誘起割れが生じていることが分かる。
図1bは、実施例及び比較例のうち、焼戻しベイナイト、焼戻しマルテンサイトを主体とする金属組織からなる溶接部について、肉厚の中央部近傍における、水素誘起割れの有無と、溶接部の最高硬さとESSPとの関係を示す。図1bに示されるように、溶接部が焼戻しベイナイト、焼戻しマルテンサイトを主体とする金属組織であり、且つESSPが1.5〜3.0であっても、溶接部の最高硬さが248Hvを超えると耐HIC性が低下して、水素誘起割れが生じていることが分かる。
図2は、実施例及び比較例のうち、アシキュラーフェライト、ベイナイトを主体とする金属組織からなる母材部について、母材部表面における硫化物応力割れの有無と、母材部の最高硬さ及びCEとの関係を調査した結果を示す。
鋼27、33〜35、40、41及び43は、いずれもESSPが1.5〜3.0の範囲外であるために、耐HIC性の低下に起因して母材部に水素誘起割れが生じている。鋼26、29〜32は、いずれも硫化物応力割れが発生している。鋼26、29〜32は、いずれもESSPが1.5〜3.0の範囲内であり、CEが0.26〜0.44の範囲内にあるが、母材部の最高硬さ(Hv)が248を超えている。また、鋼44はESSPが1.5〜3.0の範囲内であるが、CEが0.26未満であり、母材部の組織がフェライトとパーライト組織になり、母材部の最高硬さ(Hv)が248を越えており、硫化物応力割れが発生している。
一方、本発明例である鋼1〜22と、比較例である鋼28、42は、いずれもCEが0.26〜0.44の範囲内であって、且つ母材部の最高硬さ(Hv)が248以下であった。このことから、硫化物応力割れを防止するには、母材部のCE’又はCEが0.26〜0.44であり、母材部の最高硬さが248以下であることが、硫化物応力割れを防止するために必要であることが分かる。
図3は、実施例及び比較例のうち、焼戻しベイナイト、焼戻しマルテンサイトを主体とする金属組織からなる溶接部について、溶接部表面における硫化物応力割れの有無と、溶接部の最高硬さ及びCEとの関係を示すグラフである。
鋼27、33〜38は、いずれもESSPが1.5〜3.0の範囲外であるために、耐HIC性の低下に起因して溶接部表面に水素誘起割れが生じている。特に、鋼34は、Caが過剰に添加されているためにCa系酸化物が多量に生成し、その結果、耐HIC性が損なわれている。鋼26、29〜32は、いずれもESSPが1.5〜3.0の範囲内であり、CEが0.26〜0.44の範囲内にあるが、溶接部の最高硬さ(Hv)が248を超えている。また、鋼44はESSPが1.5〜3.0の範囲内であるが、CEが0.26未満であり、溶接部の最高硬さ(Hv)が248を越えており、溶接部において硫化物応力割れが発生している。
一方、本発明例である鋼1〜22と、比較例である鋼39は、いずれもESSPが1.5〜3.0の範囲内であり、CEが0.26〜0.44の範囲内であって、且つ母材部の最高硬さ(Hv)が248以下であった。このことから、硫化物応力割れを防止するには、溶接部のCE’又はCEが0.26〜0.44であり、溶接部の最高硬さが248以下であることが、硫化物応力割れを防止するために必要であることが分かる。
本発明によって得られた油井用電縫鋼管及びその製造方法は、石油、天然ガス等の掘削用鋼管の用途に好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. 母材部と溶接部とからなる電縫鋼管において、前記母材部の成分が、質量%で、
    C:0.04〜0.10%、
    Mn:1.00〜1.60%、
    V:0.005〜0.100%、
    Nb:0.005〜0.100%、
    Ti:0.005〜0.030%、
    Ca:0.0005〜0.0050%、
    N:0.001〜0.008%、
    O:0.001〜0.005%
    を含有し、
    Si:0.50%以下、
    Al:0.05%以下、
    P:0.020%以下、
    S:0.0030%以下
    に制限し、残部がFe及び不可避的不純物元素からなり、
    下記(式1)で求められるESSPが1.5〜3.0であり、
    下記(式2)で求められるCE’が0.26〜0.44であり、
    前記母材部の金属組織は、アシキュラーフェライト、ベイナイトの一方又は両方からなり、
    前記溶接部の金属組織は、パーライトが面積率で10%以下に制限され、残部が焼戻しベイナイト及び焼戻しマルテンサイトのうちの一方又は両方からなり、
    前記母材部の降伏強さが400〜600MPa、引張強さが450MPa以上であり、前記母材部及び前記溶接部の最高硬度が248Hv以下であり、硫化水素が1気圧であり、温度が25℃で、5%の食塩及び酢酸を含み、pH3.5に調整された溶液中で破断が発生する応力が降伏強さの80%以上である、
    ことを特徴とする油井用電縫鋼管。
    ESSP=Ca×(1−124×O)/(1.25×S)・・・(式1)
    CE’=C+Mn/6+V/5 ・・・(式2)
    尚、式1及び式2中の各元素記号は、その元素の含有量を質量%で表す。
  2. 前記母材部の成分が、更に、質量%で、
    Cr:1.0%以下、
    Mo:0.5%以下、
    Ni:1.0%以下、
    Cu:1.0%以下
    の1種又は2種以上を含有し、前記(式2)に変えて下記(式3)で求められるCEが0.26〜0.44であることを特徴とする請求項1に記載の油井用電縫鋼管。
    CE=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5 ・・(式3)
    尚、式3中の各元素記号は、その元素の含有量を質量%で表す。
  3. V及びNの含有量が、
    V/N:2.0〜50.0
    を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の油井用電縫鋼管。
  4. C及びMnの含有量が、
    C/Mn:0.025〜0.050
    を満足することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の油井用電縫鋼管。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の成分組成を有する鋼スラブを1000〜1300℃に加熱し、オーステナイト変態点(Ar点)以上で熱間圧延して熱延鋼帯を製造し、400〜600℃で前記熱延鋼帯を巻き取り、前記熱延鋼帯を冷間で筒状に成形し、前記熱延鋼帯の端部同士を突合せ、前記熱延鋼帯を電縫溶接し、前記熱延鋼帯の溶接部を900〜1050℃に加熱し、溶接部の肉厚中心部の冷却速度を10℃/s以上としてAr点〜200℃以下℃まで冷却することにより焼入れ処理し、溶接部を400〜AC点に加熱した後、放冷することにより焼戻し処理を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の用電縫鋼管の製造方法。
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