JP6391461B2 - 平版印刷インキ用樹脂、当該平版印刷インキ用樹脂を用いた印刷インキ組成物および当該印刷インキ組成物を用いて印刷した印刷物 - Google Patents

平版印刷インキ用樹脂、当該平版印刷インキ用樹脂を用いた印刷インキ組成物および当該印刷インキ組成物を用いて印刷した印刷物 Download PDF

Info

Publication number
JP6391461B2
JP6391461B2 JP2014262375A JP2014262375A JP6391461B2 JP 6391461 B2 JP6391461 B2 JP 6391461B2 JP 2014262375 A JP2014262375 A JP 2014262375A JP 2014262375 A JP2014262375 A JP 2014262375A JP 6391461 B2 JP6391461 B2 JP 6391461B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
printing ink
meth
resin
acrylate
lithographic printing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2014262375A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016121281A (ja
Inventor
英敏 細田
英敏 細田
龍太 田中
龍太 田中
博 江波戸
博 江波戸
彰義 三品
彰義 三品
清信 今井
清信 今井
竜志 奥田
竜志 奥田
倫彦 戸谷
倫彦 戸谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DIC Graphics Corp
Original Assignee
DIC Graphics Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by DIC Graphics Corp filed Critical DIC Graphics Corp
Priority to JP2014262375A priority Critical patent/JP6391461B2/ja
Publication of JP2016121281A publication Critical patent/JP2016121281A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6391461B2 publication Critical patent/JP6391461B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Description

本発明は平版印刷インキ用樹脂、当該平版印刷インキ用樹脂を用いた印刷インキ組成物および当該印刷インキ組成物を用いて印刷した印刷物に関する。
平版印刷は、印刷版の親水性部に湿し水を付着させて油性インキの付着を阻害することにより非画線部とし、親油性部のみに油性インキを付着させて画線部とし、画線部に付着した油性インキをブランケットに転写後、紙等の基材に再度転写する印刷方法である。平版印刷で使用される印刷インキ組成物は、着色顔料と、着色顔料を分散させるとともに当該顔料を印刷後の紙面に固定させるためのワニスとを含む。ワニスは樹脂、乾性油、半乾性油、石油系溶剤等を混合して得られ、このような平版印刷インキ用の樹脂としては、乾燥性や耐水性に優れたロジン変性フェノール樹脂が広く用いられている。
また、平版印刷では印刷インキ組成物に湿し水が取り込まれて乳化状態となるが、インキと湿し水との乳化バランスは非常に重要である。インキの乳化量は低すぎても、高すぎても、非画線部にもインキが付着し易くなって汚れが発生したり、ローラー上での転移が不安定になったりするなどして、印刷トラブルの原因となる。
印刷インキ組成物と湿し水との乳化のバランスや乳化安定性(以下、本明細書ではこれらを総称して乳化適性ともいう)は、樹脂の特性に影響を受ける。天然の成分であるロジンは産地や季節によってその特性に変動があるため、ロジン変性フェノール樹脂に代表されるロジン含有樹脂を用いた印刷インキ組成物は、乳化適性を一定させるのが難しく、樹脂合成時に種々の調整を必要とする。場合によってはインキ製造時や印刷時にも調整を行うこともある。
このような、原料による乳化適性の変動を抑制する手段のひとつとして、ロジン含有樹脂に替えて合成樹脂を用いることが考えられる。このような試みの一例として、特許文献1では、シクロペンタジエン系炭化水素樹脂にα,β−不飽和カルボン酸を付与し、長鎖脂肪族アルコールでエステル化させて得られる樹脂を印刷インキ用樹脂として用いることが提案されている。
また、特許文献2では、シクロペンタジエン系炭化水素と、これと共重合可能なC5系炭化水素および/またはC9系炭化水素を包含する他の単量体とを共重合させて得た炭化水素樹脂を不飽和カルボン酸等で酸変性し、得られた酸変性炭化水素樹脂と2価アルコールおよび/または3価アルコールとをエステル化反応に供して得られる反応生成物を、印刷インキ組成物の樹脂成分とすることが記載されている。
WO00/29455号公報 特開2002−188032号公報 特開2004−277518号公報 特開2006−45395号公報
しかしながら、特許文献1のような印刷インキ用樹脂は、非芳香族系溶媒に対する溶解性および乳化適性は優れているものの、インキ中に使用される植物油への溶解性が不十分であることが指摘されている。また、特許文献2のような印刷インキ用樹脂は、石油系溶剤への溶解性が低く、印刷インキ組成物の乳化適性や光沢が悪化する場合があることが指摘されている。特許文献3、4ではこれらの不具合を解決するための試みが提案されている。
このように、印刷インキ組成物に好適に用いることができる合成樹脂の探索は長年続けられているものの、乳化適性を始めとする印刷適性に優れた合成樹脂は、未だ広く実用化されるまでには至っていない。印刷インキ組成物に安定した乳化適性を与えるとともに、従来から用いられている樹脂に匹敵するか、あるいは上回る印刷適性を備えた印刷インキ用樹脂の開発が求められている。
本発明は、上述した目的の少なくとも一部を達成するためになされたものであり、平版印刷インキ組成物に好適な平版印刷インキ用樹脂を提供することを目的とする。また、本発明の平版印刷インキ用樹脂を用いた印刷インキ組成物、本発明の印刷インキ組成物を用いて印刷した印刷物を提供することを目的とする。本発明は以下の形態または適用例として実現することが可能である。
(適用例1)
本適用例に係る平版印刷インキ用樹脂は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルからなる群の少なくとも1種を含むモノマーを重合して得られ、SP値が7.3(cal/cm1/2以上13.0(cal/cm1/2以下であることを特徴とする。
(適用例2)
上記適用例に係る平版印刷インキ用樹脂は、重量平均分子量が5000以上500000以下であり、数平均分子量が5000以上500000以下であり、分子量分布は1.3以上50以下であることが好ましい。
(適用例3)
上記適用例に係る平版印刷インキ用樹脂は、ガラス転移温度が20℃以上160℃以下であることが好ましい。
(適用例4)
上記適用例に係る平版印刷インキ用樹脂は、スチレンと、炭素数が8以上24以下の直鎖状アルキル基を備える(メタ)アクリルモノマーとを含むモノマー混合物を重合して得られるものであって、モノマー混合物中におけるスチレンの含有量が20質量%以上80質量%以下であり、炭素数が8以上24以下の直鎖状アルキル基を備える(メタ)アクリルモノマーの含有量が10質量%以上60質量%以下であることが好ましい。
(適用例5)
上記適用例に係る平版印刷インキ用樹脂は、SP値は7.8(cal/cm1/2以上9.5(cal/cm1/2以下であることが好ましい。
(適用例6)
上記適用例に係る平版印刷インキ用樹脂は、SP値は8.3(cal/cm1/2以上9.2(cal/cm1/2以下であることが好ましい。
(適用例7)
上記適用例に係る平版印刷インキ用樹脂は、重量平均分子量が10000以上100000以下であり、その数平均分子量が5000以上50000以下であり、分子量分布が2以上10以下であることが好ましい。
(適用例8)
上記適用例に係る平版印刷インキ用樹脂は、ガラス転移温度が50℃以上110℃以下であることが好ましい。
(適用例9)
本適用例に係る印刷インキ組成物は、顔料と、上記適用例にかかる平版印刷インキ用樹脂と、を含むことを特徴とする。
(適用例10)
上記適用例に係る印刷インキ組成物において、平版印刷インキ用樹脂の含有量が2質量%以上35質量%以下であることが好ましい。
(適用例11)
本適用例に係る印刷物は、上記適用例にかかる印刷インキ組成物を用いて印刷されたことを特徴とする。
本発明の平版印刷インキ用樹脂は、印刷インキ組成物に適切な乳化適性を与えることができる。また、印刷インキ組成物の乳化適性の変動を抑制することができる。また、本発明の印刷インキ組成物は、平版印刷に適切な乳化適性を備えるとともに、乳化適性の変動の少ない印刷インキ組成物とすることができる。また、本発明の印刷物は、印刷紙面の汚れが少なく、表示品位に優れた印刷物とすることができる。
<平版印刷インキ用樹脂>
本発明の平版印刷インキ用樹脂は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルからなる群の少なくとも1種を含むモノマーを重合して得られるアクリル系樹脂であって、そのSP値が7.3(cal/cm1/2以上13.0(cal/cm1/2以下である。このようなアクリル系樹脂は、後述する平版印刷インキに含まれる石油系溶剤や植物油に対する溶解性にも優れるとともに、単独または他の樹脂と併用して使用した場合に印刷インキ組成物に適切な乳化適性を安定して与えることができる。
このような平版印刷インキ用樹脂は、アクリルモノマーやメタクリルモノマーを必須成分とし、必要に応じて他のモノマーと共重合して得ることができる。なお、本明細書ではアクリルモノマーやメタクリルモノマーを総称して(メタ)アクリルモノマーともいう。
(メタ)アクリルモノマーとしては、直鎖状、分岐状または環状アルキルの(メタ)アクリレート、芳香族(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、分子構造中に1以上の官能基を含む(メタ)アクリレートや、重合性基を複数備える(メタ)アクリレートも用いることができ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
直鎖状または分岐状の脂肪族(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、1−メチルトリデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート、テトラコシル(メタ)アクリレート、トリアコンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
脂環式(メタ)アクリレートとしては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
芳香族(メタ)アクリレートとしては、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
分子構造中に1以上の官能基を備える(メタ)アクリルモノマーとしては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アンモニウム塩基、スルホン酸基、リン酸基、エポキシ基、アセトアセチル基等を備えるものが挙げられる。
水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステル化物、あるいは、当該モノエステル化物にε−カプロラプトンを開環重合した化合物等が挙げられる。
カルボキシル基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸、あるいは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと酸無水物とのハーフエステル化物等が挙げられる。
アミノ基を有する(メタ)アクリレートとしては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジ−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート等のN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
アンモニウム塩基を有する(メタ)アクリレートとしては、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムブロマイド、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムジメチルホスフェート等の(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリアルキルアンモニウム塩、メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムブロマイド等の(メタ)アクリロイルアミノアルキルトリアルキルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム(メタ)アクリレート等のテトラアルキル(メタ)アクリレート、トリメチルベンジルアンモニウム(メタ)アクリレート等のトリアルキルベンジルアンモニウム(メタ)アクリレート等が挙げられる。
スルホン酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、ブチルアクリルアミドスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等の(メタ)アクリルアミド−アルカンスルホン酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレート等のスルホアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
リン酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エポキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アセトアセチル基を有する(メタ)アクリレートとしては、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシプロピル(メタ)アクリレート等のアセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレート、2−シアノアセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
重合性基を複数備える(メタ)アクリレートとしては、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートのようなポリオールの(メタ)アクリレートエステル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、およびポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートのようなアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびポリアルキレングリコールジ(メタ)クリレート、アリルメタクリレート等が挙げられる。
他のモノマーとしては、(メタ)アクリルモノマーと共重合可能であれば特に限定されないが、一例として、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、tert−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン等の芳香族エチレン性不飽和モノマー;エチレン、アセチレン、ブタジエン等の脂肪族不飽和モノマー;シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキセン等の環状脂肪族エチレン性不飽和モノマー;2−ビニルピロリドンのようなヘテロ環脂肪族エチレン性不飽和モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のカルボン酸ビニルモノマー、イタコン酸ベンジル、マレイン酸ジメチル、フマール酸ジメチル等のカルボン酸エステル;不飽和脂肪酸エステル;アクリロニトリル等が挙げられる。
本発明の平版印刷インキ用樹脂は、上述したモノマーのうち、直鎖状、分岐状または環状アルキルの(メタ)アクリレート、芳香族(メタ)アクリレートを必須成分とし、必要に応じて官能基を含む(メタ)アクリレートや他のモノマーを加えて重合して得られるアクリル樹脂である。このとき、重合した平版印刷インキ用樹脂のSP値が7.3(cal/cm1/2以上13.0(cal/cm1/2以下となるように、重合に用いるモノマーの種類、添加量を調整する。なお、本明細書において平版印刷インキ用樹脂のSP値とは、ヒルデブラントのSP値であり、下記式1のようにして算出した値をいう。
(式1)
SP=SP1*m1+SP2*m2+・・・+SPn*mn
m1+m2+・・・+mn=1
(式中、SPは樹脂のSP値であり、SP1、SP2、・・・、SPnは各モノマーのSP値を表す。m1、m2、・・・、mnはモノマーのモル分率である。nは1以上の整数である。)
なかでも、本発明の平版印刷インキ用樹脂は、スチレンと、炭素数が8以上24以下の直鎖状アルキル基を備える(メタ)アクリレートを含むモノマー混合物であって、モノマー混合物中におけるスチレンの含有量が20質量%以上80質量%以下であり、炭素数が8以上24以下の直鎖状アルキル基を備える(メタ)アクリレートの含有量が10質量%以上60質量%以下のモノマー混合物を重合して得られたものであることが特に好ましい。炭素数が8以上24以下の直鎖状アルキル基を備える(メタ)アクリレートとしては、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。このようにして得られた樹脂は、印刷インキ組成物に用いられる植物油や石油系溶剤に対する溶解性に優れるとともに、印刷インキ組成物の乳化適性を適切に保つことができる。
さらに、本発明の平版印刷インキ用樹脂は、そのSP値が7.8(cal/cm1/2以上9.5(cal/cm1/2以下であることがより好ましく、8.3(cal/cm1/2以上9.2(cal/cm1/2以下であることがさらに好ましい。このような平版印刷インキ用樹脂は、印刷インキ組成物の乳化適性を良好に保つとともに、ヒートセット性にも優れたものとすることができる。
さらに、本発明の平版印刷インキ用樹脂は、重量平均分子量(Mw)が5000以上500000以下であり、数平均分子量(Mn)が5000以上500000以下であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.3以上50以下であることが好ましい。重量平均分子量は10000以上100000以下であることがさらに好ましく、数平均分子量は5000以上50000以下であることがさらに好ましく、分子量分布は2以上10以下であることがさらに好ましい。これにより、後述する印刷インキ組成物によって印刷した印刷物を、好適な光沢を備えたものとすることができる。
分子量が大きくなりすぎると、印刷物の光沢が低下するおそれがあるが、そのような場合には後述する他の樹脂と併用することにより光沢を補うことができる。光沢に優れた印刷インキ組成物はオフセット輪転印刷や枚葉印刷に好適に用いることができる。
平版印刷インキ用樹脂の重量平均分子量および数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)によりポリスチレン換算値として測定することができる。平版印刷インキ用樹脂の重量平均分子量、数平均分子量、分子量分布は、重合温度や重合時間、重合開始剤の種類、添加量、重合に用いるモノマー濃度等により調整することができる。連鎖移動剤を添加して調整してもよい。
さらに、本発明の平版印刷インキ用樹脂は、そのガラス転移温度(Tg)が20℃以上160℃以下であることが好ましく、50℃以上110℃以下であることがより好ましい。これにより、本発明の平版印刷インキ用樹脂を含んだ印刷用インキ組成物を、耐水棒固着性や耐汚れ性に優れたものとすることができる。ガラス転移温度が大きくなりすぎると、耐水棒固着性や耐汚れ性が低下するおそれがあるが、そのような場合には他の樹脂と併用することにより補うことができる。耐水棒固着性に優れた印刷インキ組成物は、新聞印刷に好適に用いることができる。
ガラス転移温度は、重合に用いるモノマーの種類と、その添加量により調整することができる。なお、重合して得られた平版印刷インキ用樹脂のガラス転移温度が上述した範囲内であればよく、重合に用いる個々のモノマーのガラス転移温度が上述した範囲内である必要はない。ガラス転移温度は、DSC(示差走査熱量測定)または動的粘弾性のtanδピークにより測定することができる。
<平版印刷インキ用樹脂の製造方法>
本発明の平版印刷インキ用樹脂は、上述したような重合性モノマーを用いて重合することにより得ることができる。重合方法としては従来公知の方法を用いることができ、フリーラジカル重合を用いてもよいし、ATRP法やRAFT法といった、リビングラジカル重合を用いてもよい。また、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合等いずれの方法によっても合成することができる。
本発明の平版印刷インキ用樹脂の重合に用いられる重合開始剤としては従来公知のものを用いることができ、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、t−ブチルパーオクトエート、t−ブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシドといった有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾジイソブチレート、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)といったアゾ化合物;1−フェニルエチルクロライド、1−フェニルエチルブロマイド、クロロホルム、四塩化炭素、2−クロロプロピオニトリル、α,α’−ジクロロキシレン、α,α’−ジブロモキシレン、ヘキサキス(α−ブロモメチル)ベンゼン、炭素原子数1〜6の2−ハロゲン化カルボン酸(例えば2−クロロプロピオン酸、2−ブロモプロピオン酸、2−クロロイソ酪酸、2−ブロモイソ酪酸等)の炭素原子数1〜6のアルキルエステルといった有機ハロゲン化化合物等が一例として挙げられる。
本発明の平版印刷インキ用樹脂の重合に用いる溶媒としては特に限定されず、水;メタノール、ブタノール等のアルコール類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ピリジン等の非プロトン性極性溶媒等を用いることができ、これらのうち1種または2種を混合して用いることができる。
また、AFソルベント4〜7号(JX日鉱日石エネルギー株式会社製)や植物油等、後述する印刷インキ組成物に用いられる溶剤中で合成してもよい。これらの溶剤は、ラジカル重合可能であるため、モノマーとして平版印刷インキ用樹脂に組み込まれる可能性があるが、転化率が小さいためSP値等の物性に与える影響は少ない。
連鎖移動剤としては特に限定されず、従来公知のものを必要に応じて用いることができる。一例として、メタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコール類;アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド等のアルデヒド類;ドデシルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、チオグリコール酸、チオグリコール酸オクチル等のメルカプタン類;メルカプト酢酸やメルカプトプロピン酸のようなメルカプトカルボン酸とそれらのエステル;メルカプトエタノール;ハロゲン化化合物;2量体アルファメチルスチレン等が挙げられる。これら連鎖移動剤のうち1種を単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
重合温度は用いる重合開始剤や溶媒によって異なるが、30℃以上180℃以下が好ましく、50℃以上150℃以下がより好ましく、90℃以上120℃以下がさらに好ましい。重合時間は用いる重合開始剤や溶媒、目的とする樹脂の分子量分布によって異なるが、2時間以上20時間以下が好ましく、5時間以上12時間以下がより好ましい。
本発明の平版印刷インキ用樹脂は、例えば、上記SP値やその他のパラメータが目的の値となるよう、各モノマーの転化率等も考慮した上で調整したモノマー混合物を、重合開始剤や他の添加剤(例えばATRP触媒やRAFT剤、分散安定剤等)を含有する有機溶媒中に滴下して重合して合成される。あるいは、有機溶媒中に、モノマーと、重合開始剤や他の添加剤とを並行滴下するなどして合成してもよい。
溶液重合や懸濁重合によって得られた樹脂は、単離精製してから印刷インキ組成物の製造に用いてもよいし、重合に用いた溶媒等を含んだままの樹脂組成物をワニスとして印刷インキ組成物に加えてもよい。重合に用いた溶媒が印刷インキ組成物に混入するのが好ましくない場合には、減圧により溶媒を除いてもよいし、AFソルベントや植物油等で溶剤置換してから印刷インキ組成物の製造に用いてもよい。
本発明の印刷インキ用樹脂は、オフ輪印刷用インキ、新聞印刷用インキ、枚葉印刷用インキ等の各種印刷インキ組成物に用いられる各種溶剤との相溶性がよく、印刷インキ組成物のワニス成分として好適に用いることができ、乳化適性を向上させることができる。さらに、ロジン変性フェノール等の天然由来成分を含む樹脂のみをワニスを用いた印刷インキ組成物に比べ、乳化適性の変動を抑制することができる。
<印刷インキ組成物>
本発明の印刷インキ組成物は、顔料と、ワニスとを少なくとも含む。必要に応じて体質顔料、石油系溶剤、植物油、添加剤等を加えて調整する。
顔料としては特に限定されず、種々の無機顔料および有機顔料を用いることができる。
無機顔料としては硫酸バリウム、酸化チタン、亜鉛華、弁柄、アルミナホワイト、炭酸カルシウム、群青、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム粉等が用いられる。
有機顔料としてはアセト酢酸アニリド系、ピラゾロン系、β−ナフトール系、β−オキシナフトエ酸系およびβ−オキシナフトエ酸アニリド系の溶性アゾ顔料(アゾレーキ顔料);アセト酢酸アニリド系モノアゾ、アセト酢酸アニリド系ジスアゾ、ピラゾロン系モノアゾ、ピラゾロン系ジスアゾ、β−ナフトール系、β−オキシナフトエ酸アニリド系モノアゾおよびβ−オキシナフトエ酸アニリド系ジスアゾ等の不溶性アゾ顔料;アセト酢酸アニリド系およびβ−オキシナフトエ酸アニリド系等の縮合アゾ顔料;銅フタロシアニン、ハロゲン化銅フタロシアニンおよびスルホン化銅フタロシアニンレーキ等の銅フタロシアニン顔料;アントラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系等の縮合多環顔料;金属錯体系等の顔料が挙げられる。
ワニスは、少なくとも本発明の平版印刷インキ用樹脂を含み、必要に応じて他の樹脂や石油系溶剤、植物油等と混合して用いられる。石油系溶剤、植物油については、ワニスとは別に添加されるものと同様のものを用いることができるため、詳細は後述し、ここでの説明は割愛する。
本発明の平版印刷インキ用樹脂と併用可能な樹脂としては特に制限はなく、フェノール樹脂、石油樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、石油樹脂変性フェノール樹脂、ロジンエステル、アルキッド樹脂、変性アルキッド樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ギルソナイト樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等従来公知のものを用いることができる。
本発明の平版印刷インキ用樹脂を含むことで、印刷インキ組成物に適切な乳化適性を得ることができる。
印刷インキ組成物は、全質量に対して2質量%以上35質量%以下の割合で本発明の印刷インキ用樹脂を含むことが好ましく、3質量%以上30質量%以下含むことがより好ましい。
本発明の樹脂をこのような割合で含むことにより、例えばロジン変性フェノール樹脂のような、印刷インキ組成物を乳化させ易く乳化適性を変動させやすい樹脂と併用した場合であっても、安定して優れた乳化適性を備えた印刷インキ組成物とすることができる。
体質顔料としては、ろう石クレー等のクレー、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、酸化ケイ素、カオリン、ベントナイト、酸化チタン等、公知のものを1種類または2種類以上用いることができる。
石油系溶剤としては、炭素数6〜20の炭化水素が好ましく用いられる。具体的には、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、2−メチルペンタン、n−ヘプタン、n−オクタン、トリメチルペンタン等のパラフィン系溶剤;シクロヘキサン、シクロヘキシルメタン、オクタデシルシクロヘキサン、メチルイソプロピルシクロヘキサン等のナフテン系溶剤;JX日鉱日石エネルギー株式会社製の「AFソルベント4号」、「AFソルベント5号」、「AFソルベント6号」、「AFソルベント7号」等が挙げられる。
植物油としては、ヒマシ油、落花生油、オリーブオイル等の不乾性油;大豆油、綿実油、菜種油、ゴマ油、コーン油等の半乾性油;アマニ油、エノ油、桐油等の乾性油;再生植物油;植物エステル等の植物由来成分等を用いることができる。
添加剤としては、皮張り防止剤、粘度調整剤、ポリエチレン系やフッ素系の皮膜強化剤、分散剤、汚れ防止剤、乳化調整剤、酸化防止剤等の助剤等、従来公知のものを目的に応じて用いることができる。
本発明の印刷インキ組成物は、上記の原料を用い、公知の方法で製造することができる。例えば、本発明の平版印刷インキ用樹脂、植物油、石油系溶剤等を用いて調整したワニスに、着色顔料、体質顔料、溶剤および他の添加剤を添加し、攪拌機で充分にプレミキシングを行なった後、ショットミル、ロールミル等で練肉を行う。練肉後、ワニス、石油系溶剤、植物油、その他ワックス、酸化防止剤、乳化調整剤等の助剤を添加し、充分に攪拌混合する。
これらの原料はインキに必要とされる粘度や流動性に合わせて使用量を調整する。また、これらの原料の添加時期は固定したものではなく、原料の混合状態等に基づいて適切に調整する。
以下、実施例と比較例により本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の実施例において部および%は特に断りのない限り質量基準である。
<平版印刷インキ用樹脂の調整>
以下のようにして、樹脂組成物1〜18を調整した。
(樹脂組成物1)
温度計、攪拌機、還流冷却管、窒素吹き込み管を備えた反応器に、メチルエチルケトン:300部を入れ、80℃まで昇温させた。その後、ラウリルメタクリレート:5部、スチレン:200部、ステアリルメタクリレート:72部、イソボルニルメタクリレート:10部、エチレングリコールジメタクリレート:3部のモノマー混合物、パーブチルO(日油株式会社製):10部を4時間かけて並行滴下し、滴下終了後3時間攪拌した。真空ポンプを用いてメチルエチルケトンを減圧留去した後、AFソルベント7号(JX日鉱日石エネルギー株式会社製):200部を加えて樹脂組成物1を得た。
(樹脂組成物2〜18)
用いるモノマー混合物の組成、重合開始剤、連鎖移動剤の添加量を表1〜3のようにした以外は樹脂組成物1と同様にして、樹脂組成物2〜18を得た。
調整した樹脂1〜18について、SP値、ガラス転移温度、重量平均分子量、数平均分子量を測定し、結果を表1〜3にまとめた。なお、ガラス転移温度、重量平均分子量、数平均分子量については、メチルエチルケトンを減圧蒸留後の固形樹脂を用いて測定した。
Figure 0006391461
Figure 0006391461
Figure 0006391461
<印刷インキ組成物の調整>
調整した樹脂組成物を用い、以下のようにして実施例1〜20、比較例1〜2、従来例の印刷インキ組成物を調整した。
(実施例1)
BECACITE 1126HV(DIC株式会社製):49部、大豆油:20部、AFソルベント7号:30部、アセトアセテートアルミニウムジノルマルブチレート:1部を用いてロジン変性フェノール樹脂ワニスを調整した。
調整した樹脂組成物1:26.0部、ロジン変性フェノール樹脂ワニス:24.0部、FASTOGENBLUE FA5375(DIC株式会社製):15.1部、炭酸カルシウム白艶華TDD(白石工業株式会社製):14.9部を、三本ロールミルにて練和度(JIS K 5701−1 A値)が5.0μm以下になるまで練肉分散し、大豆油:9.2部、AFソルベント7号:10.5部、乾燥防止剤として2,6−ジ−ターシャリーブチル−4−クレゾール(H−BHT 本州化学工業株式会社製):0.3部を混合して実施例1の印刷インキ組成物を調整した。
(実施例2〜20、比較例1〜2、従来例)
用いる材料の組成を表4〜7に示すようにした以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜20、比較例1〜2、従来例の印刷インキ組成物を調整した。なお、表4〜7における樹脂1〜18とは、上記のようにして調整した樹脂組成物であり、AFソルベント7号を40%含むものである。
<評価>
調整した実施例1〜20、比較例1〜2、従来例の印刷インキ組成物を用い、以下のようにして評価を行った。結果を、表4〜7にまとめた。
(ヒートセット性)
RIテスター(株式会社明製作所製)を用い、インキ0.125mlを2分割ロールにてOKトップコート紙に展色した後、200℃に保温されたコンベア型乾燥機を5秒間かけて通過させ、展色物のべた付き具合を指触にて確認し、展色物が乾燥するまでにコンベアを通過させた回数を測定した。乾燥するまでにコンベアを通過させた回数によって、ヒートセット性を5段階で評価した。
5:従来例のインキが乾燥までに要する通過回数よりも4回以上少ない
4:従来例のインキが乾燥までに要する通過回数よりも1〜4回少ない
3:従来例のインキが乾燥までに要する通過回数と同等である
2:従来例のインキが乾燥までに要する通過回数よりも1〜4回多い
1:従来例のインキが乾燥までに要する通過回数よりも4回以上多い
(光沢)
RIテスターを用い、インキ0.15mlを2分割ロールにてOKトップコート紙に展色した後、雰囲気温度100℃の乾燥機に10秒放置し乾燥させた。乾燥後24時間経過した展色物の光沢値を60°光沢計(BYK Garder GmbH製)で測定し、5段階で評価した。
5:従来例のインキと比較して+8以上である
4:従来例のインキと比較して+3以上+7以下である
3:従来例のインキと比較して−2以上+2以下である
2:従来例のインキと比較して−7以上−3以下である
1:従来例のインキと比較して−8以下である
(乳化適性)
リソトロニック乳化試験機(novocontrol社製)を使用して、インキ量25g、温度40℃、水の添加速度 2mL/分、撹拌速度 1200rpm、水添加開始前のコンディショニング5分、撹拌翼とカップの間隙1mmの条件で最大乳化率を測定した。
リソトロニック乳化試験機は、一定量のインキを測定用のカップに入れて、同装置の撹拌翼で撹拌しながら、一定速度で水を加えていったときの撹拌翼にかかるトルクを経時的に測定する装置である。カップに入れたインキに水を添加していくと、その後水の添加量が増えるに従ってトルクも上昇していく。トルクが単調に増加して最大値に至り一気に低下する場合と、トルクが極大値をもちその後徐々に低下していく場合があるが、いずれの場合も添加した水がインキに混合されなくなりトルクが低下したり不安定となったりした時点の乳化率を最大乳化率とする。最大乳化率は下式で示される。
最大乳化率(%)=〔(水の滴下量)/(サンプル量)〕×100
最大乳化率は20%以上100%以下が好ましく、30%以上80%以下の範囲がより好ましく、この範囲の中でも、乳化適性に優れることから30%に近い方が特に好ましい。最大乳化率が100%以上だと過乳化状態となり、20%未満では版上に過剰に湿し水が残ったり、汚れが発生したりすることがある。測定結果を5段階で評価した。
5:30%以上40%未満
4:40%以上60%未満
3:60%以上80%未満
2:20%以上30%未満または80%以上100%未満
1:0%以上20%未満または100%以上
(汚れ性)
インキの感脂性が高いと、版の非画線部が親油化してしまい、印刷中や印刷を一旦停止した後の再立ち上げ時などに、インキが非画線部から取れにくくなり、紙面に汚れが発生し易くなる。
ローランド社製のR704印刷機を使用し、同一濃度で5000部印刷後、そのままの状態で30分間放置した。再び刷りだした時に汚れがとれるまでに何枚要したかを調べ、5段階で評価した。
5:20部以上39部以下
4:40部以上59部以下
3:60部以上79部以下
2:80部以上99部以下
1:100部以上
(水棒固着性)
水着けローラー上に印刷インキ組成物が固着すると、印刷版上への湿し水の供給が不安定となり、印刷物の紙面に汚れを引き起こす。
ローランド社製のR704印刷機を使用し、同一濃度で5000部印刷を行ない、停止後の水着けローラーへの印刷インキ組成物の固着状態を指触評価した。
5:ほとんど固着していない
4:固着はあるが、従来例のインキと比較して軟らかい
3:従来例のインキと同等の硬さの固着がある
2:従来例のインキよりも硬い固着がある
1:ほとんど指に着かない硬さの固着物がある
Figure 0006391461
Figure 0006391461
Figure 0006391461
Figure 0006391461
表4〜7から明らかなように、本発明の平版印刷インキ用樹脂を用いた印刷インキ組成物は、従来と同等かそれ以上の乳化適性を示した。また、印刷インキ組成物として優れた適性を示した。
本発明の平版印刷インキ用樹脂は種々の印刷インキ組成物に用いることができるが、特に湿し水を用いるタイプの印刷インキ組成物に好適である。平版印刷方法としてはオフセット輪転印刷、枚葉印刷、新聞印刷等いずれの印刷方法にも用いることができる。

Claims (11)

  1. アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルからなる群の少なくとも1種を含むモノマーを重合して得られ、SP値が7.3(cal/cm1/2以上13.0(cal/cm1/2以下であり、重量平均分子量が5000以上75000以下であり、ガラス転移温度が17℃以上110℃以下であり、前記モノマーは炭素数が8以上24以下の直鎖状アルキル基を備える(メタ)アクリルモノマーを含むことを特徴とする平版印刷インキ用樹脂。
  2. 数平均分子量が5000以上500000以下であり、分子量分布が1.3以上50以下であることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷インキ用樹脂。
  3. ガラス転移温度が20℃以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の平版印刷インキ用樹脂。
  4. スチレンと、前記炭素数が8以上24以下の直鎖状アルキル基を備える(メタ)アクリルモノマーとを含むモノマー混合物を重合して得られるものであって、モノマー混合物中におけるスチレンの含有量が20質量%以上80質量%以下であり、炭素数が8以上24以下の直鎖状アルキル基を備える(メタ)アクリルモノマーの含有量が10質量%以上60質量%以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の平版印刷インキ用樹脂。
  5. 前記SP値が7.8(cal/cm1/2以上9.5(cal/cm1/2以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の平版印刷インキ用樹脂。
  6. 前記炭素数が8以上24以下の直鎖状アルキル基を備える(メタ)アクリルモノマーが、n−オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート、テトラコシル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の平版印刷インキ用樹脂。
  7. 前記重量平均分子量が10000以上100000以下であり、前記数平均分子量が5000以上50000以下であり、前記分子量分布が2以上10以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の平版印刷インキ用樹脂。
  8. 顔料と、
    請求項1乃至のいずれか一項に記載の平版印刷インキ用樹脂と、を含むことを特徴とする印刷インキ組成物。
  9. 前記印刷インキ中における前記平版印刷インキ用樹脂の含有量が、2質量%以上35質量%以下であることを特徴とする請求項に記載の印刷インキ組成物。
  10. 前記印刷インキ中における前記平版印刷インキ用樹脂の含有量が、10.02質量%以上30質量%以下であることを特徴とする請求項8に記載の印刷インキ組成物。
  11. 請求項8乃至10のいずれか一項に記載の印刷インキ組成物を用いて印刷された印刷物。
JP2014262375A 2014-12-25 2014-12-25 平版印刷インキ用樹脂、当該平版印刷インキ用樹脂を用いた印刷インキ組成物および当該印刷インキ組成物を用いて印刷した印刷物 Expired - Fee Related JP6391461B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014262375A JP6391461B2 (ja) 2014-12-25 2014-12-25 平版印刷インキ用樹脂、当該平版印刷インキ用樹脂を用いた印刷インキ組成物および当該印刷インキ組成物を用いて印刷した印刷物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014262375A JP6391461B2 (ja) 2014-12-25 2014-12-25 平版印刷インキ用樹脂、当該平版印刷インキ用樹脂を用いた印刷インキ組成物および当該印刷インキ組成物を用いて印刷した印刷物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016121281A JP2016121281A (ja) 2016-07-07
JP6391461B2 true JP6391461B2 (ja) 2018-09-19

Family

ID=56326651

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014262375A Expired - Fee Related JP6391461B2 (ja) 2014-12-25 2014-12-25 平版印刷インキ用樹脂、当該平版印刷インキ用樹脂を用いた印刷インキ組成物および当該印刷インキ組成物を用いて印刷した印刷物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6391461B2 (ja)

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA1120641A (en) * 1977-09-08 1982-03-23 Andrew Mercurio Acrylic thickener for publication gravure inks, method of preparing said thickener, ink containing the same and method of printing
JPH10195361A (ja) * 1997-01-08 1998-07-28 Toagosei Co Ltd 水系紫外線硬化型インキ組成物
JP2000219749A (ja) * 1999-01-29 2000-08-08 Dainippon Ink & Chem Inc 水性顔料分散体、ならびに水性記録液
JP3392126B2 (ja) * 2000-09-08 2003-03-31 サカタインクス株式会社 オフセット印刷インキ組成物
JP2002167539A (ja) * 2000-09-21 2002-06-11 Dainippon Ink & Chem Inc 孔版インキ用樹脂組成物および油中水型孔版インキ
US8426499B2 (en) * 2008-03-28 2013-04-23 Dic Corporation Offset printing ink
JP2010006993A (ja) * 2008-06-27 2010-01-14 Naigai Ink Seizo Kk 平板印刷液用組成物およびこれを用いた平板印刷液
JP2010159350A (ja) * 2009-01-08 2010-07-22 Sumitomo Rubber Ind Ltd インキ組成物およびそれを用いた凹版オフセット印刷法
JP5598648B2 (ja) * 2009-07-29 2014-10-01 荒川化学工業株式会社 オフセット印刷インキ用樹脂およびオフセット印刷インキ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016121281A (ja) 2016-07-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4685239B2 (ja) 連続バルク重合およびエステル化方法ならびに重合製品を含む組成物
NO147569B (no) Vandig polymerdispersjon paa basis av en monovinylaromatisk polymer, saerlig egnet for anvendelse som trykkfargebindemiddel, samt fremgangsmaate for fremstilling av dispersjonen
JP6622095B2 (ja) 紙器用水性グラビア印刷インキ組成物および紙器用印刷物の製造方法
JP2010506984A (ja) 両親媒性グラフトポリマー
JP2013504648A (ja) ポリコサノールをベースにした会合性モノマーと、それに対応する会合性増粘剤およびその使用
CA2643936C (en) Aqueous binders for coatings with improved gloss
JP7229744B2 (ja) 水性フレキソ印刷インキ組成物
JP5669345B2 (ja) 平板印刷液用組成物およびこれを用いた平板印刷液
TW200422307A (en) Carboxylic acid-modified vinylic polymeric compositions
JP2010024305A (ja) 平板印刷液用組成物およびこれを用いた平板印刷液
JP6391461B2 (ja) 平版印刷インキ用樹脂、当該平版印刷インキ用樹脂を用いた印刷インキ組成物および当該印刷インキ組成物を用いて印刷した印刷物
JP2010024331A (ja) 平板印刷液用組成物およびこれを用いた平板印刷液
JP2021054877A (ja) 紙器用水性グラビア印刷インキ組成物
JP2016216531A (ja) 活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキ用固形樹脂、ワニス及びインキ
TW201410748A (zh) 松酯改質酚樹脂、印墨用清漆組成物及印刷印墨
JP2017014306A (ja) 水なしオフセット印刷用水性インキ組成物、当該水性インキ組成物を用いた印刷方法および印刷物
JP6640007B2 (ja) 印刷インキ用ワニス、印刷インキ、及び印刷物
JP4923577B2 (ja) 水性平版印刷インキならびに印刷物
FR2892123A1 (fr) Procede pour preparer un copolymere greffe, copolymere greffe susceptible d'etre obtenu par ce procede et ses utilisations
JP2010006993A (ja) 平板印刷液用組成物およびこれを用いた平板印刷液
JP2007224154A (ja) 水性平版印刷インキならびに印刷物
NO782913L (no) Polymermateriale.
JP7173177B2 (ja) 塩化ビニル系樹脂エマルジョン、水性インキ及び記録用紙
JP7159740B2 (ja) コアシェル型水性バイオマスエマルション、ならびにコアシェル型水性バイオマスエマルションを含む印刷インキ用水性バインダー樹脂および水性コーティングニス
WO2022207776A1 (en) Associative thickeners

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171212

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20180220

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180607

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180612

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180808

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180817

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180821

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6391461

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees