JP6391040B2 - 薬液自己注入装置 - Google Patents

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Description

本発明は、薬液自己注入装置に係り、特に、鎮痛剤や麻酔剤などの薬液を、患者の体内に、患者自身が注入するための薬液自己注入装置に関する。
従来から、術後疼痛や癌性疼痛などを和らげるために、患者自身が、自己の体内に鎮痛剤をワンショットで注入する、所謂、薬液自己注入装置が知られている。かかる薬液自己注入装置は、例えば意匠登録第1138729号公報(非特許文献1)に示されているものが挙げられる。
ところで、このような薬液自己注入装置の内部にはリザーバが収容されており、リザーバと薬液が充填された薬液タンクとが流入路により接続されている一方、リザーバと血管等に穿刺された状態の留置針等とが流出路により接続されている。かかる薬液自己注入装置は、患者の急な痛みに対応するために、例えば患者のベルト等に装着されて携帯される。そして、患者が痛みを感じた際に、薬液自己注入装置のボタンを押すことでリザーバが押圧されて、流出路を通じて所定量の薬液が患者の体内に注入されるようになっている。
ところが、上記非特許文献1に記載の薬液自己注入装置を患者のベルト等に装着すると、注入装置が柔らかい人体上に位置することから、注入装置のボタンを押す際に傾いたり人体に押し付けられたりして、押しにくいという問題があった。
また、ベルト等に装着されると薬液自己注入装置の裏面が、患者の人体の表面に重なることから、薬液自己注入装置を手で掴んで、注入装置のボタンを押すことも難しかった。
意匠登録第1138729号公報
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、ボタンの押し易さを改善して、患者が薬液を自己の体内に安定して注入することのできる、新規な構造の薬液自己注入装置を提供することにある。
本発明の第1の態様は、薬液の流入路と流出路に接続されたリザーバがハウジングの内部に収容されていると共に、体外において手指で該リザーバを押圧して該リザーバ内の薬液を該流出路を通じて流出させる押ボタンが該ハウジングの外部から操作可能に設けられた薬液自己注入装置において、前記ハウジングが長さ方向の中間部分に曲がり部を有する屈曲形状とされており、該曲がり部から延びる一方の側に前記押ボタンが設けられている一方、該曲がり部から延びる他方の側は手指で把持可能とされて全体にわたって硬質で変形しない把持部とされていることを、特徴とする。
本態様に従う構造とされた薬液自己注入装置によれば、ハウジングが屈曲形状とされていることにより、机の上に置かれていたり、人体の表面に沿って装着される等した状態でも、机や人体との間に患者の手指を差し入れることのできる隙間を形成することができる。これにより、患者が安定してハウジングを握ることができて、押ボタンを確実に且つ容易に操作することができる。
なお、曲がり部は任意の曲率で湾曲した湾曲形状の他、任意の角度で屈曲した屈曲形状でもよい。また、長さ方向で複数の湾曲部や屈曲部を連続的に組み合わせて曲がり部を構成することもできる。そして、ハウジングの曲がり部の内周側や外周側の表面は、意匠的な検討や手で握った感触などを考慮して、角を丸めた適宜の湾曲形状をもって形成することができる。
本発明の第2の態様は、前記第1の態様に係る薬液自己注入装置において、前記押ボタンが、前記ハウジングの前記曲がり部における外周側面の長さ方向に連続する面上に設けられているものである。
本態様に従う構造とされた薬液自己注入装置によれば、押ボタンがハウジングの外周側に向かって配置されていることから、患者がハウジングを把持しつつ押ボタンを押し込む操作が一層容易とされ得る。
本発明の第3の態様は、前記第1又は第2の態様に係る薬液自己注入装置であって、前記ハウジングにおいて、前記曲がり部に対して前記押ボタンと反対に位置する他方の側には、先端側から該曲がり部に向かって延びるクリップが、該曲がり部における内周側面の長さ方向に連続する面上に設けられているものである。
本態様に従う構造とされた薬液自己注入装置によれば、クリップが設けられていることから、患者が衣服のベルトやポケットに装着して携帯することが可能となる。特に、前記第2の態様と組み合わせて、外周側に押ボタンを設ける一方、内周側にクリップを設けることにより、患者が薬液自己注入装置を衣服に装着したままの状態でハウジングを握ることができることから、安定して押ボタンを操作することができる。
本発明の第4の態様は、前記第1〜第3の何れかの態様に係る薬液自己注入装置であって、前記ハウジングにおいて、前記曲がり部から前記押ボタンが設けられた一方の側の先端部の幅寸法に比して、該曲がり部から他方の側の先端部の幅寸法が小さくされているものである。
本態様に従う構造とされた薬液自己注入装置によれば、曲がり部に対して一方の側の幅寸法を十分に確保することにより、押ボタンやリザーバ等の部材の収容スペースが安定して確保され得る。それと共に、曲がり部に対して他方の側の幅寸法を小さくすることにより、患者がハウジングにおける当該他方の側を握ることが一層容易とされ得る。
本発明の第5の態様は、前記第1〜第4の何れかの態様に係る薬液自己注入装置であって、前記ハウジングにおいて、前記押ボタンが設けられた前記曲がり部の一方の側に収容配置された前記リザーバに接続された前記流入路と前記流出路が、該曲がり部の他方の側から外部へ延び出されていると共に、該流入路と該流出路を該曲がり部の両側でそれぞれ位置決めする流路固定部が該ハウジング内に設けられているものである。
本態様に従う構造とされた薬液自己注入装置によれば、ハウジング内において、特に位置ずれし易い曲がり部の長さ方向両側に流路固定部が設けられていることから、流入路および流出路が安定して配置される。また、流入路および流出路が大きく引っ張られたりしても、これらに接続されているリザーバの位置ずれを小さく抑えることができることから、所定量の薬液を一層安定して体内に注入することができる。
本発明の第6の態様は、前記第1〜第5の何れかの態様に係る薬液自己注入装置において、前記ハウジングに形成された窓部を通じて前記押ボタンの押圧操作面が外部に露呈されていると共に、該ハウジングにおける該窓部の外周には、前記曲がり部側の周縁部を除く領域に保護突部が形成されており、該保護突部の突出先端部が該押ボタンの押圧操作面よりも外方に突出されているものである。
本態様に従う構造とされた薬液自己注入装置によれば、押ボタンの押圧操作面よりも外方に突出する保護突部が設けられていることから、予期せず押ボタンが押圧されてしまうおそれが低減され得る。特に、この保護突部は、窓部の外周縁部において曲がり部側を除く領域に形成されていることから、患者が曲がり部側から手指を差し入れて押ボタンを操作する際にも、良好な操作性が確保され得る。
本発明の第7の態様は、前記第1〜第6の何れかの態様に係る薬液自己注入装置において、平坦な載置面に対して前記曲がり部の内周側を該載置面に向けて置いた状態でそれぞれ該載置面に当接状態で重ね合わされる当接部が、前記ハウジングの長さ方向において該曲がり部の一方の側と他方の側とにおいて幅方向に所定長さで設けられているものである。
本態様に従う構造とされた薬液自己注入装置によれば、曲がり部の一方の側と他方の側において、当接部が所定の幅寸法をもって設けられていることから、平坦な載置面に対して、ぐらつくことなく安定して載置することができる。特に、前記第2の態様と組み合わせて、外周側に押ボタンを設けることにより、薬液自己注入装置を平坦面に載置したままの状態で、押ボタンの押込操作を行うことが可能となる。
本発明に従う構造とされた薬液自己注入装置によれば、ハウジングが曲がり部を有する屈曲形状とされていることから、患者がハウジングを握り易くされる。これにより、押ボタンの押込操作を一層確実に且つ容易に行うことができる。
本発明の1実施形態としての薬液自己注入装置の全体を示す斜視図。 図1に示された薬液自己注入装置の正面図。 図1に示された薬液自己注入装置の平面図。 図1に示された薬液自己注入装置の底面図。 図1に示された薬液自己注入装置の左側面図。 図1に示された薬液自己注入装置の縦断面を示す斜視図。 図1に示された薬液自己注入装置を構成する上ハウジングの底面図。 図1に示された薬液自己注入装置を構成する下ハウジングの平面図。 図8におけるIX−IX断面図。 図1に示された薬液自己注入装置を構成する操作部材の斜視図。 図1に示された薬液自己注入装置を構成する押圧部材の底面図。 図11におけるXII−XII断面図。 図1に示された薬液自己注入装置における使用状態の縦断面を示す斜視図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
先ず、図1〜6には、本発明の1実施形態としての薬液自己注入装置10が示されている。この薬液自己注入装置10には、薬液の流入路と流出路に接続されたリザーバ12がハウジング14の内部に収容されている。そして、このリザーバ12を押圧してリザーバ12内の薬液を流出路を通じて流出させる押ボタン16が、ハウジング14の外部から操作可能に設けられている。なお、以下の説明において、上下方向とは、基本的には、図2中の上下方向を言う。
より詳細には、ハウジング14は、全体として長手状とされていると共に、長さ方向(図3の左右方向)中間部分において、曲がり部18が形成されている。これにより、ハウジング14は、曲がり部18から延びる一方の側(図2中の左方)と他方の側(図2中の右方)とが、相対的に、上下方向に屈曲する形状とされている。なお、本実施形態では、曲がり部18は、ハウジング14の長さ方向略中央部分に湾曲形状をもって形成されており、曲がり部18を挟んで両側に延び出す領域の長さ寸法が略等しくされている。更に、ハウジング14において、曲がり部18を含む表面の角部は、意匠的な検討や手で握った感触などを考慮して、角を丸めた適宜の湾曲形状をもって形成されている。
また、かかる曲がり部18は、曲率半径の大きい側の面が外周側面19aとされている一方、曲率半径の小さい側の面が内周側面19bとされており、外周側面19aおよび内周側面19bの曲率がそれぞれ略一定とされている。そして、ハウジング14において曲がり部18を挟んだ両側は直線状に延びており、即ちハウジング14の外周側面は、曲がり部18の外周側面19aを挟んで両側に直線的に延び出していると共に、ハウジング14の内周側面は、曲がり部18の内周側面19bを挟んで両側に直線的に延び出している。
また、ハウジング14は中空構造とされており、ハウジング14の内部空間20にリザーバ12や押ボタン16が収容配置されている。これらリザーバ12や押ボタン16は、ハウジング14の曲がり部18から延びる一方の側に設けられており、ハウジング14において、曲がり部18から延びる当該一方の側が押ボタン16を操作するための操作部22とされている。即ち、曲がり部18の外周側面19aから操作部22側に連続する面上に押ボタン16が設けられている。一方、図1に示されているように、ハウジング14において、曲がり部18から延びる他方の側が、患者の手指24によって握るように把持される把持部26とされている。
なお、ハウジング14の幅方向寸法(図3中の上下方向寸法)は、操作部22の先端から把持部26の先端になるにつれて、次第に小さくなるようにされている。即ち、操作部22側では、縦横の比が大きくされた扁平な略矩形枠形状の横断面とされているが、曲がり部18から把持部26の先端側へ近くなるにつれて、横断面における縦横の比が次第に小さくなるようにされている。
さらに、ハウジング14の内部空間20には、リザーバ12に接続された流入側チューブ28と流出側チューブ30が配置されており、これら両チューブ28,30におけるリザーバ12と接続される側と反対側の端部が、把持部26の先端から外部に延び出している。そして、この流入側チューブ28により薬液自己注入装置10の外部からリザーバ12の内部に至る薬液の流入路が形成されている一方、流出側チューブ30によりリザーバ12の内部から薬液自己注入装置10の外部に至る薬液の流出路が形成されている。
また、操作部22と把持部26との屈曲角θ(図2参照)は、適宜、設計変更することができるが、把持のし易さを考慮すると、0°<θ≦135°とされて、好適には0°<θ≦90°、更に好適には、30°≦θ≦60°の範囲内に設定される。屈曲角θをこの範囲に設定することにより、図1に示されるように、薬液自己注入装置10の内周側(図2中の下方)における操作部22と把持部26との間の隙間32に、例えば人差指以下4本の手指を差し入れ易くなって、患者が把持部26を容易に握ることができる。かかる屈曲角θは、一般には、ハウジング14の厚さ方向の中央をつないだ中心軸で設計することとなるが、本実施形態では、操作部22における後述する分割ライン54と平行な直線34と、把持部26における分割ライン54と平行な直線36とが作る角とされている。
なお、本実施形態では、ハウジング14の内周側面(図2中の下面)において、把持部26には、曲がり部18の内周側面19bから延びる方向に対して傾斜して、且つ内周側面19bから連続して広がる平坦面38が形成されている。即ち、ハウジング14の内周側面は、曲がり部18から把持部26の先端に至る領域の長さ方向中間部分で屈曲しており、把持部26における分割ライン54と平行な直線36に対して平坦面38がα(図2参照)の角度をもって傾斜している。
そして、この平坦面38には、幅方向の中央部分を把持部26の先端側から曲がり部18側に向かって延びるクリップ40が設けられている。かかるクリップ40を設けることにより、患者が薬液自己注入装置10を衣服のベルトやポケット等に装着して携帯することが可能となる。
特に、本実施形態では、操作部22の先端部分における内周側面、クリップ40の先端および基端の3点が同一平面上に位置するようにされている。即ち、図2中に2点鎖線で示される平坦な載置面42を想定して、当該載置面42上に薬液自己注入装置10を載置した場合に、上記の各点が、載置面42に重ね合わされる当接部44a,44b,44cとされている。換言すれば、図5中の互いに平行な面A、面B、面Cがそれぞれ当接部44a,44b,44cとされている。なお、これらの当接部44a,44b,44cは、それぞれ所定の幅方向(図5中の左右方向)寸法を有しており、これにより、薬液自己注入装置10が載置面42上に安定して載置され得る。尤も、当接部は3点必要なものでなく、面Aと、面Bまたは面Cの少なくとも一方が当接部とされればよい。
なお、把持部26における分割ライン54と平行な直線36と載置面42との傾斜角をβ(図2参照)とすると、傾斜角α,βは、5°≦α,β≦60°とされることが好ましく、より好適には10°≦α,β≦30°の範囲内に設定される。傾斜角α,βの大きさを上記の数値範囲内に設定することにより、薬液自己注入装置10の隙間32に手指を差し入れて把持し易くなると共に、クリップ40を設けるための領域を巧く確保することができる。
ここにおいて、ハウジング14は、図7に示される如き上ハウジング46と図8,9に示される如き下ハウジング48との分割構造とされている。即ち、下方に開口する上側凹所50を備える上ハウジング46と上方に開口する下側凹所52を備える下ハウジング48とを、上下凹所50,52の開口部を対向させて重ね合わせることで、内部空間20を備える中空のハウジング14が構成される。そして、これら上下ハウジング46,48は、ハウジング14外周面の高さ方向中間部分において、全周に亘って連続して延びる分割ライン54をもって上下凹所50,52の開口周縁部が重ね合わされる。
また、上ハウジング46の操作部22側には、厚さ方向に貫通して窓部56が形成されている。この窓部56は、角丸の略矩形状で、押ボタン16と略同じ寸法か僅かに大きな寸法とされている。更に、上ハウジング46の上面において、窓部56の開口周縁部には、上方に向かって突出する保護突部58が形成されている。
この保護突部58は、窓部56の開口周縁部において、曲がり部18側を除く領域に連続して形成されており、曲がり部18側から滑らかに立ち上がるようにされている。なお、かかる保護突部58の突出先端部は、押ボタン16よりも外方(図2中の上方)に突出しており、押ボタン16の誤操作防止が図られている。また、保護突部58において、操作部22の先端側の壁面には、曲がり部18側に開口する溝状の凹溝60が高さ方向の全長に亘って設けられており、ハウジング14の内部空間20と外部空間が連通されている。
更にまた、上ハウジング46の下面において、窓部56の開口周縁部には、下方に向かって所定の突出寸法で突出する制限突部62が形成されている。この制限突部62は、窓部56の開口周縁部において、周方向の半分以上の長さに亘って設けられることが好適であり、本実施形態では曲がり部18側を除く領域に連続して形成されている。なお、かかる制限突部62の内周面の操作部22側は、下方に向かって内径寸法が次第に拡径するテーパ面とされている。
さらに、上ハウジング46の上側凹所50における上底壁面には、下方に向かって突出する複数の位置決め突起64が形成されている。本実施形態では、これらの位置決め突起64は、幅方向(図7中の上下方向)両側で互いに対をなすように設けられており、操作部22の先端部分、操作部22の基端部分、把持部26の先端部分の計6カ所に形成されている。
一方、下ハウジング48の操作部22側において、下側凹所52の底面からは上方に所定の突出寸法をもって突出する囲繞突部66が設けられている。この囲繞突部66は、周方向に連続して1周未満の長さで延びており、好適には1/2周以上の長さをもって形成されるものであって、本実施形態では3/4周以上の長さをもって形成されている。そして、かかる囲繞突部66の周上開口部68が、曲がり部18側に向かって開口するように配置されている。なお、本実施形態では、囲繞突部66の突出先端面は、内周側になるにつれて突出寸法が小さくなるテーパ面とされている。
さらに、下ハウジング48の把持部26側の先端には、下側凹所52の壁面を貫通する切欠状の溝構造をもって、流路導入口70および流路導出口72が形成されている。そして、図6等にも示されているように、囲繞突部66の内周側にリザーバ12が収容配置されると共に、リザーバ12から延び出す流入側チューブ28および流出側チューブ30が、それぞれ囲繞突部66の周上開口部68と、流路導入口70および流路導出口72とにそれぞれ差し入れられており、流路導入口70と流路導出口72を通じて薬液自己注入装置10の外部に延び出している。
更にまた、これら流入側チューブ28および流出側チューブ30の幅方向(図8中の上下方向)両側には、下側凹所52の底面から上方に突出する支持壁部74,74が設けられている。これらの支持壁部74は、下ハウジング48における曲がり部18から把持部26先端までに亘って断続的に形成されており、リザーバ12から薬液自己注入装置10の外部に至る両チューブ28,30が、一対の支持壁部74,74間に嵌め入れられて支持されている。なお、これら一対の支持壁部74,74の対向面間距離は、両チューブ28,30の外径寸法と略同じか、僅かに小さくされて両チューブ28,30への位置決め保持力を及ぼし得ることが好ましい。
さらに、これら一対の支持壁部74,74の延出方向(図8中の左右方向)において、曲がり部18の両側には、流入側及び流出側チューブ28,30を固定する流路固定部76,76が設けられている。これらの流路固定部76,76では、両支持壁部74,74の上端が対向方向に向かって延び出しており、所定距離を隔てて対向している。これらの流路固定部76,76における支持壁部74,74上端の対向距離は、両チューブ28,30の外径寸法より小さくされており、支持壁部74,74間に嵌め入れられた両チューブ28,30が、支持壁部74,74間の上方開口部から抜け出さないようにされている。
また、曲がり部18における下側凹所52の底壁面には、流入側及び流出側チューブ28,30の幅方向間において、上方に開口する支持筒部78が突設されている。そして、この支持筒部78には、上下方向に延びる支持部スプリング80の下部が差し入れられて固定的に取り付けられている。
さらに、支持筒部78よりも把持部26側において、流入側及び流出側チューブ28,30の幅方向外方には、下側凹所52から上方に突出する突出壁部81,81が形成されている。これら両突出壁部81,81は、上ハウジング46には至らない突出寸法をもって内部空間20内に突出している。なお、本実施形態では、突出壁部81,81は略板状とされており、両チューブ28,30の幅方向外方に位置する支持壁部74,74に対して一体的に形成されている。そして、両突出壁部81,81の先端部分には、回動孔82,82が貫通して形成されている。
更にまた、下ハウジング48の下側凹所52における底壁面には、上方に向かって突出する複数の位置決め筒部83が形成されている。これらの位置決め筒部83は、上ハウジング46の位置決め突起64に対応する位置と形状で形成されており、上方に開口している。そして、各位置決め筒部83の凹所に対して位置決め突起64が上方から圧入され、必要に応じて接着や溶着されることで、上下ハウジング46,48が固着されて、内部空間20を備えるハウジング14が形成されるようになっている。
ここにおいて、かかる上下ハウジング46,48間の内部空間20には、押ボタン16を備える操作部材84とリザーバ12が収容配置されている。詳細には、操作部材84における押ボタン16とリザーバ12とが上下方向で対向配置されており、更に、これら押ボタン16とリザーバ12との間には、押圧部材86が配置されている。
操作部材84は、図10に示されているように、全体として長手状の部材とされており、長手方向の一方の端部に押ボタン16が設けられていると共に、当該押ボタン16からは、長手方向の他方に向かって湾曲部88が延び出している。また、操作部材84の両側面には、長さ方向の略全長に亘って延びる一対の補強リブ89,89が形成されている。
この操作部材84における押ボタン16は、ハウジング14の窓部56内で上下方向の移動が許容されるように窓部56の内周面より僅かに小さい外周形状とされており、中央が僅かに窪んだ角丸の矩形板形状とされている。そして、ハウジング14の窓部56を通じて外部へ露呈されることとなる押ボタン16の上面が、当該押ボタン16を外部から操作するための押圧操作面90とされている。なお、かかる押圧操作面90の表面には、患者が、手指24で押圧操作面90に触れていることを認識し易いように、凹凸が付されている。一方、押ボタン16の下面には、下方に突出する支持筒部92が一体形成されている。
また、押ボタン16の長手方向における他方の端部からは、湾曲部88が延び出している。この湾曲部88は、略全長に亘って一定の幅寸法および厚さ寸法を有しており、長手方向の他方に向かうにつれて下方に湾曲する略板形状とされている。そして、かかる湾曲部88における長さ方向の他方の端部には、幅方向一方の側(図3中の上方)において、押圧弁部94が突出して一体形成されており、流出側チューブ30を閉止または開放することが可能とされている。なお、この押圧弁部94は略矩形板形状とされており、図6などに示される初期状態では、操作部材84の中間部分に湾曲部88が設けられることによって、押圧弁部94が押ボタン16に対して略垂直に下方向へ突出して広がっている。
さらに、湾曲部88の下面において、長手方向における押圧弁部94と反対側の端部付近には、下方に突出する筒状の支持部96が形成されている。この支持部96は、操作部材84の長さ方向および幅方向の略中央部分に形成されており、図6などに示される製品状態において、下ハウジング48の支持筒部78と対向する位置に形成されている。また、支持部96の外径寸法は、支持筒部78の内径寸法より僅かに小さくされている。
更にまた、補強リブ89,89において湾曲部88に相当する部分からは、長手方向で支持部96よりも押圧弁部94側に位置して、操作部材84の幅方向外方に向かって突出する回動軸97,97が設けられている。この回動軸97,97の外径寸法は、下ハウジング48の突出壁部81,81における回動孔82,82の内径寸法と略等しくされており、回動孔82,82に対して回動軸97,97を挿し入れて回動可能に支持させ得るようになっている。
一方、押ボタン16と上下方向で対向して配置されるリザーバ12は、図6にも示されているように円形袋状を呈している。このリザーバ12は薄肉の合成樹脂等の可撓性シート材により形成されており、例えば2枚の熱可塑性樹脂シートを重ね合わせて外周縁部を溶着等の手段により相互に固着させることで、中央部分が拡縮可能な袋状とされている。かかるリザーバ12が、下ハウジング48における囲繞突部66の内周側に配置されると共に、リザーバ12に対して流入側チューブ28および流出側チューブ30が接続されている。
さらに、かかる押ボタン16とリザーバ12との上下方向間には、図11,12に示される如き押圧部材86が配設されている。この押圧部材86は、全体として薄肉の平板形状とされており、長さ方向(図11中の左右方向)および幅方向(図11中の上下方向)の両端の四隅にはそれぞれ切欠形状の係合凹部98が形成されている。また、押圧部材86の中央部分には、下方に突出する押圧筒部100が一体形成されていると共に、当該押圧筒部100の下方開口部が底壁部102によって覆蓋されてピストン形状とされている。換言すれば、底壁部102によって下方開口部が覆蓋された有底筒形状の押圧筒部100において、上方開口部の開口周縁部から水平方向にフランジ状の平板部104が広がることによって、押圧部材86が形成されている。更に、押圧部材86の上面中央には、押圧筒部100よりも大きな内径寸法を有する円形凹部106が設けられて、上方に開口している。なお、本実施形態では、底壁部102の径寸法は、対向するリザーバ12における外周縁部の固着部分を除いた中央部分の径寸法より小さくされており、かかる底壁部102の下面が、リザーバ12の中央領域を所定面積で押圧する押圧面107とされている。
更にまた、平板部104の下面には、下方に突出する当接突部108が形成されている。この当接突部108は、押圧筒部100の外周側を周方向に連続して形成されており、好適には1/2周以上の長さをもって形成されるものであって、本実施形態では下ハウジング48の囲繞突部66に対応して3/4周以上1周未満の長さをもって形成されている。そして、かかる当接突部108の周上開口部109が、曲がり部18側に向かって開口するように配置されている。なお、本実施形態では、当接突部108の突出先端面は、外周側になるにつれて突出寸法が小さくなるテーパ面とされており、囲繞突部66における突出先端面のテーパ角度と当接突部108における突出先端面のテーパ角度が略等しくされている。
また、押圧部材86と押ボタン16との対向面間には、上下方向に延びる操作部スプリング110が配設されている。なお、この操作部スプリング110の下端は、押圧部材86における押圧筒部100に差し入れられて固定的に取り付けられている。
上記の如き構造とされた操作部材84と押圧部材86とリザーバ12とが、ハウジング14の内部空間20の所定位置にそれぞれに収容されて上下方向で互いに重なるように配置されている。即ち、下ハウジング48の囲繞突部66の内周側にリザーバ12が位置決め配置されており、必要に応じてリザーバ12の下面と下側凹所52の底壁面とが接着等により固着されている。そして、当該リザーバ12から延び出す流入側及び流出側チューブ28,30がそれぞれ、流路固定部76,76で固定されつつ支持壁部74,74間に嵌め入れられて、流路導入口70および流路導出口72から外部へ延び出している。
また、リザーバ12の上部には押圧部材86が重ね合わされて配置されている。即ち、操作部22の先端部分と基端部分において、下ハウジング48から上方に突出する4本の各位置決め筒部83に対して、押圧部材86の四隅に設けられた各係合凹部98を位置合わせさせることにより、押圧部材86が下ハウジング48の下側凹所52内の所定位置に配置されている。具体的には、切欠形状の各係合凹部98内に操作部22における4本の位置決め筒部83が位置することで、押圧部材86が当該4本の位置決め筒部83の内側で位置決めされる。この際、下ハウジング48に設けられた囲繞突部66と押圧部材86に設けられた当接突部108とが上下方向に所定距離を隔てて対向していると共に、押圧部材86の押圧面107がリザーバ12の中央部分に対向するようにされている。なお、各位置決め筒部83と各係合凹部98とは、ゼロタッチで当接していてもよいし、僅かな離隔距離をもって対向していてもよい。また、例えばリザーバ12の中央部分上面と、押圧部材86の押圧面107とは接着されていてもよいし、非接着であってもよい。
さらに、押圧部材86の上部には操作部材84が所定距離を隔てて重ね合わされて配置されており、押圧部材86と操作部材84の押ボタン16とが対向している。そして、下ハウジング48の支持筒部78で下端を支持された支持部スプリング80の上端部分が、操作部材84に設けられた支持部96に外挿されて、湾曲部88の下面に固定的に取り付けられている。また、下ハウジング48の突出壁部81,81における回動孔82,82に対して、操作部材84の幅方向両側に突出する回動軸97,97が挿入されている。これにより、操作部材84が、下ハウジング48に対して、回動軸97,97を中心として揺動可能に軸支されて位置決め保持されている。そして、操作部材84は、支持部スプリング80により、回動軸97,97を中心として図6中の右回りに常時付勢されている。一方、押圧部材86の押圧筒部100で下端を支持された操作部スプリング110の上端部分が、押ボタン16の下面に設けられた支持筒部92に外挿されて固定的に取り付けられている。なお、この操作部スプリング110は、押圧部材86と押ボタン16との間において、圧縮状態で装着されていてもよい。
かかる操作部材84の上方から上ハウジング46が被せられて、上下ハウジング46,48における上下凹所50,52の開口周縁部が重ね合わされる。それと共に、各位置決め筒部83に対して位置決め突起64が圧入されて、必要に応じて接着等の処理が施されることにより、本実施形態の薬液自己注入装置10が構成されている。かかる薬液自己注入装置10の組立状態では、押ボタン16がハウジング14の窓部56と位置合わせされて、押ボタン16の押圧操作面90が窓部56を通じて外周側に露出しており、押ボタン16が薬液自己注入装置10の外周側から操作可能とされている。また、流入側チューブ28において、リザーバ12と接続されていない側の端部は、薬液が貯留されている薬液タンク等が接続される一方、流出側チューブ30において、リザーバ12と接続されていない側の端部は、血管に穿刺された状態で留置された留置針などが接続される。これにより、薬液タンク等から流入側チューブ28、リザーバ12、流出側チューブ30および留置針などを経て、体内へと至る流体流路が構成される。なお、流入側及び流出側チューブ28,30に接続される薬液タンクや留置針などの図示は省略する。
ここにおいて、流入側チューブ28は常時連通状態とされており、図6等に示される初期状態では、薬液タンクから流入側チューブ28を経てリザーバ12に薬液が充填されている。かかる初期状態では、リザーバ12が拡張して押圧部材86が初期位置まで押し上げられている。なお、押圧部材86の初期位置は、押圧部材86の押圧面107がリザーバ12の上面と当接していると共に、平板部104の上面が上ハウジング46における制限突部62の突出先端面と当接することで規定されている。
また、リザーバ12の拡張に伴い、押圧部材86の上部に設けられた操作部スプリング110により、操作部材84の一方の端部である押ボタン16は、押圧操作面90が窓部56を通じて外部に露呈する初期位置に押し上げられる。一方、操作部材84には、支持部スプリング80の付勢力により回動軸97,97回りの回動力が及ぼされており、操作部材84の他方の端部に設けられた押圧弁部94が下方に押し下げられている。これにより、押圧弁部94が流出用チューブ30を押し潰すように遮断した状態に保持されていることから、初期状態では流体流路が閉鎖状態とされている。
そして、患者が痛みを感じてリザーバ12に貯留された鎮痛剤等の薬液を投与する場合には、例えば薬液自己注入装置10を図1に二点鎖線で示されるように握り、親指等で押ボタン16を内側に押し込むことで、患者の体内に薬液が注入される。即ち、図13に示されているように、押ボタン16に及ぼされる押込力が操作部材84に対して支持部スプリング80の付勢力と反対向きに及ぼされて、操作部材84が回動軸97,97回りで図6中の左回りに回動変位させられる。そして、この操作部材84の回動変位により、押ボタン16の押込力が操作部スプリング110を介して押圧部材86に及ぼされて、押圧部材86を下方に変位させる。それと合わせて、操作部材84において長さ方向で押ボタン16と反対側の端部に設けられた押圧弁部94が上方へと変位して流出側チューブ30から離隔させられる。これにより、リザーバ12からの流出流体圧の上昇に伴う流出側チューブ30の膨張力作用に加えて、押圧弁部94が押し付けられることによる流出側チューブ30の遮断が解除されて、流出側チューブ30、即ち流体流路が連通状態とされる。
その結果、押圧部材86が下方に変位させられることにより、リザーバ12に貯留されていた薬液が押し出されて、患者の体内へと注入される。なお、押圧部材86の下方への変位は、押圧部材86の当接突部108と下ハウジング48の囲繞突部66の対向面が当接したり、押圧部材86の押圧面107がリザーバ12を介して下ハウジング48における下側凹所52の底壁面と当接することにより、規定される。このように、押圧部材86のリザーバ12に対する押圧位置が高精度に設定されることに加えて、押圧部材86の上下方向の変位量、即ちリザーバ12の拡張および収縮量を規定することにより、患者に注入される薬液の量が精度良く制御される。
なお、保護突部58に凹溝60が設けられてハウジング14の内部空間20と外部空間が連通されていることにより、押ボタン16の押込みによるリザーバ12の圧縮時や、押込力解除によるリザーバ12の復元時において、内部空間20の密閉性が回避されて、リザーバ12のスムーズな変形が許容されている。更に、制限突部62の内周面が下方に向かって内径寸法が次第に拡径するテーパ面とされていることにより、押ボタン16の押込み時において、押ボタン16と制限突部62が当接して押込み操作に不具合が発生するおそれが低減されている。
また、薬液の注入後は、親指を押ボタン16から離したりして押込力を解除することで、薬液タンクから流入側チューブ28を経てリザーバ12に薬液が流入してリザーバ12が再び拡張されることに加えて、操作部スプリング110の復元作用により、押圧部材86が初期位置へと押し上げられる。これにより、押圧弁部94が下方へ押し下げられて流出側チューブ30、即ち流体流路が遮断される。かかる押圧部材86におけるリザーバ12の押圧方向と反対の方向への変位量は、制限突部62の突出先端面と平板部104の上面が当接することにより制限されて、これらが当接する位置まで押圧部材86が押し上げられることで、図6に示される初期状態に戻ることとなる。
なお、上記の如き上下ハウジング46,48、操作部材84、押圧部材86等は、硬質の合成樹脂等により好適に形成され得る。また、流入側及び流出側チューブ28,30の材質としては、軟質の合成樹脂の他、流路固定部76が設けられる場合には、比較的剛性の大きい合成樹脂により形成されてもよい。
上記の如き構造とされた本実施形態の薬液自己注入装置10では、ハウジング14が屈曲形状とされており、体表面に沿った装用状態や机上への載置状態等においても、内周側に隙間32が生じることから、患者が当該隙間32に手指24を差し入れることができて、薬液自己注入装置10を容易に握ることができる。これにより、押ボタン16を確実に且つ容易に押すことができる。
特に、本実施形態では、押ボタン16の押圧操作面90が、操作部22において外周側に向かって配置されて、押ボタン16を外周側から操作することができる。それに加えて、クリップ40が把持部26の内周側に設けられている。これにより、例えば薬液自己注入装置10を患者の衣服のベルトやポケットなどに装着することがクリップ40で容易とされていると共に、かかる装着状態であっても、隙間32に手指24を差し入れて把持することが可能となり、安定して押ボタン16を押し込むことができる。
また、本実施形態では、操作部22の幅寸法に比して把持部26の幅寸法が小さくされていることから、押ボタン16やリザーバ12などの収容スペースを大きく確保しつつ、患者が把持部26を握り易いようにされている。
さらに、本実施形態では、窓部56の開口周縁部に保護突部58が設けられて、押ボタン16の押圧操作面90よりも外方に突出していることから、患者が予期せず押ボタン16を押してしまうことが回避され得る。特に、窓部56の開口周縁部における曲がり部18側には保護突部58が設けられていないことから、患者が曲がり部18側から手指24を差し入れて押ボタン16を操作する際に、保護突部が押ボタン操作の妨げになるおそれを回避することができる。
更にまた、本実施形態では、ハウジング14の内部空間20において、流入側及び流出側チューブ28,30を固定する流路固定部76が設けられていることから、両チューブ28,30が大きく動いても、両チューブ28,30がリザーバ12から外れたり、リザーバ12の位置がずれてしまうおそれが低減されている。また、両チューブ28,30が外れ易い曲がり部18の両側に流路固定部76,76が設けられて固定されていることから、両チューブ28,30の材質として比較的剛性の大きい材質を採用することも可能である。
さらに、本実施形態では、操作部22の先端部分の内周側面、クリップ40の先端部分および基端部分が、それぞれ当接部44a,44b,44cとされて、薬液自己注入装置10を平坦な載置面42に載置することが可能とされている。これにより、薬液自己注入装置10を平坦な台などに載置したままの状態で、ぐらつくことなく押ボタン16を押すことが可能とされている。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明は上述の具体的な記載によって何等限定的に解釈されるものでない。
例えば、前記実施形態では、曲がり部18は、外周側面19aと内周側面19bがそれぞれ略一定の曲率半径を有する湾曲形状とされていたが、任意の角度で屈曲した屈曲形状でもよい。また、長さ方向で複数の湾曲部や屈曲部を連続的に組み合わせて曲がり部を構成することも可能である。
また、前記実施形態では、押圧部材86の押圧面107によりリザーバ12の中央部分が押圧されていたが、例えば押圧部材によりリザーバ上面の全面を押圧するようにしてもよい。尤も、本発明において、押圧部材は押ボタンに対して別体である必要はなく、例えば押ボタンと前記実施形態の如き押圧部材が一体として形成されてもよいし、単に押ボタンから下方に突出する突部がリザーバを押圧するようにしてもよい。
さらに、前記実施形態では、囲繞突部66および当接突部108が、それぞれ周方向に連続して形成されていたが、周方向において断続的に形成されていてもよい。尤も、これら囲繞突部66および当接突部108は、必須なものではない。
更にまた、前記実施形態では、操作部22の先端部分の内周側面、クリップ40の先端部分および基端部分が、それぞれ載置面42に対する当接部44a,44b,44cとされていたが、本発明において、クリップは必須ではない。クリップが設けられない場合は、例えば下ハウジングの内周側面に突起物を設けて当接部としたり、下ハウジングの内周側面自体を当接部としてもよい。尤も、かかる当接部は必須なものではない。
また、前記実施形態では、操作部22が直線状に延びると共に、把持部26には平坦面38が設けられて、把持部26の内周側面は長さ方向中間部分で屈曲していたが、かかる形状に限定されない。即ち、操作部が長さ方向中間部分で屈曲または湾曲していたり、把持部に対して平坦面を設けなくてもよい。
さらに、ハウジングの横断面は、前記実施形態の如き矩形枠形状に限定されず、三角形の枠形状や半円形の枠形状など、任意の形状が採用され得る。
更にまた、前記実施形態では、流路固定部76は、一対の支持壁部74,74の上端部分が相互の対向方向に延び出す形状とされていたが、かかる態様に限定されない。即ち、例えば上ハウジングから下方に延び出す突起などを設けて、流入側及び流出側チューブを上下方向で固定するなどしてもよい。尤も、流路固定部は必須なものではない。
また、押ボタンはハウジングの外周側に設けられる必要はなく、ハウジングの内周側や側方側に設けられてもよい。更に、流入側及び流出側チューブは、把持部先端から外部に延び出す必要はなく、操作部やハウジングの側方側から延び出していてもよい。尤も、流入側チューブと流出側チューブは同一の方向に延び出す必要はない。
更にまた、前記実施形態では、操作部材84を回動軸97,97回りで付勢する支持部スプリング80が採用されていたが、押ボタン16に及ぼされる操作力とは反対回りの方向に操作部材を付勢する構造であればよく、回動軸97にスプリングを外挿装着したり、操作部スプリング110で代用したり、実施形態の圧縮スプリングに代えて引張コイルスプリングを採用して回動軸97,97よりも押圧弁部94側に配することなども可能である。
なお、本発明において使用される薬液としては、鎮痛剤や麻酔剤の他、定期的にまたは緊急的に血管内に注入されることで症状を和らげる薬液などが好適に採用される。
10:薬液自己注入装置、12:リザーバ、14:ハウジング、16:押ボタン、18:曲がり部、19a:外周側面、19b:内周側面、20:内部空間、22:操作部、26:把持部、28:流入側チューブ(流入路)、30:流出側チューブ(流出路)、40:クリップ、42:載置面、44a,44b,44c:当接部、56:窓部、58:保護突部、76:流路固定部、90:押圧操作面

Claims (5)

  1. 薬液の流入路と流出路に接続されたリザーバがハウジングの内部に収容されていると共に、体外において手指で該リザーバを押圧して該リザーバ内の薬液を該流出路を通じて流出させる押ボタンが該ハウジングの外部から操作可能に設けられた薬液自己注入装置において、
    前記ハウジングが長さ方向の中間部分に曲がり部を有する屈曲形状とされており、該曲がり部から延びる一方の側に前記押ボタンが設けられている一方、該曲がり部から延びる他方の側は手指で把持可能とされて全体にわたって硬質で変形しない把持部とされていることを特徴とする薬液自己注入装置。
  2. 前記押ボタンが、前記ハウジングの前記曲がり部における外周側面の長さ方向に連続する面上に設けられている請求項1に記載の薬液自己注入装置。
  3. 前記ハウジングにおいて、前記曲がり部に対して前記押ボタンと反対に位置する他方の側には、先端側から該曲がり部に向かって延びるクリップが、該曲がり部における内周側面の長さ方向に連続する面上に設けられている請求項1又は2に記載の薬液自己注入装置。
  4. 前記ハウジングにおいて、前記曲がり部から前記押ボタンが設けられた一方の側の先端部の幅寸法に比して、該曲がり部から他方の側の先端部の幅寸法が小さくされている請求項1〜3の何れか1項に記載の薬液自己注入装置。
  5. 前記ハウジングにおいて、前記押ボタンが設けられた前記曲がり部の一方の側に収容配置された前記リザーバに接続された前記流入路と前記流出路が、該曲がり部の他方の側から外部へ延び出されていると共に、該流入路と該流出路を該曲がり部の両側でそれぞれ位置決めする流路固定部が該ハウジング内に設けられている請求項1〜4の何れか1項に記載の薬液自己注入装置。
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