JP6390077B2 - 反射防止フィルム - Google Patents

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本願明細書で開示される技術は、反射防止フィルム、反射防止性偏光板および透過型液晶ディスプレイに関する。
液晶ディスプレイ(LCD)、陰極線管(CRT)、プラズマディスプレイ等の光学表示装置は、室内外での使用を問わず、外光等が入射する環境下で使用される。この外光等の入射光は、ディスプレイ表面等において正反射され、それによる反射像が表示画像と混合することにより、画面表示品質を低下させてしまう。そのため、ディスプレイ表面等に反射防止機能を付与することが多く、反射防止機能の高性能化、反射防止機能以外の機能との複合化が求められている。
一般に反射防止機能は、透明基材もしくはハードコート層上にそれらより屈折率の低い反射防止層を形成することで得られる。さらに、反射防止性能を向上させるため、透明基材もしくはハードコート層上に金属酸化物等の透明材料からなる高屈折率層と反射防止層との繰り返し構造から多層構造を形成する場合もある。この多層構造における反射防止層は、化学蒸着(CVD)法や、物理蒸着(PVD)法といったドライコーティング法により形成することができる(特許文献1)。
ドライコーティング法を用いて反射防止層を形成するに当たっては、各層の膜厚を精密に制御できるという利点があるが、成膜を真空中で行わなければならないため大型の設備が必要であり、かつ生産性が低く大量生産に適していないという問題を抱えている。一方、塗液を用いたウェットコーティング法による反射防止フィルムの生産が注目されている。このウェットコーティング法は、反射防止層の形成方法として大面積化、連続生産、低コスト化が可能である。
ウェットコーティング法による低屈折率層を得る手法は、(1)屈折率の低いフッ素元素を含有する材料を用いる手法と、(2)層中に空孔を設け、空気の混入により屈折率を低くする手法とに大別される。
例えば、特許文献2には、フッ素含有有機材料を用いることが提案されている。特許文献3には、フッ素含有有機材料と低屈折率微粒子を用いることが提案されている。特許文献4には、フッ素含有有機材料とアルコキシシランを用いることが提案されている。特許文献5には、アルコキシシランと低屈折率微粒子を用いることが提案されている。
偏光板に用いる反射防止フィルムは、偏光膜と貼り合わせるうえで十分な密着性を有していることが必要である。透明フィルム基材がTAC(トリアセチルセルロース)の場合、偏光膜との密着性を改良する手法として、反射防止フィルムを鹸化処理してフィルムの表面を親水化処理することが通常行われ、このフィルムに水糊が塗布されて偏光板と貼り合せが行われる。しかし最近では、鹸化処理を行わず、紫外線硬化接着剤を用いて偏光板と反射防止フィルムを貼り合せを行う方法がある。(特許文献6)。
これまで反射防止フィルムの機械特性(耐擦傷性)を向上させる為に、従来技術では、低反射層形成用塗液にシリコーン系表面処理剤または/かつ撥水剤を添加し、低反射層の表面のすべり性をコントロールし、耐擦傷性の向上を図っている(特許文献7、8)。耐擦傷性を向上させる為に、シリコーン系表面処理剤または/かつ撥水剤を用いて低反射層のすべり性をよくすると、耐擦傷性の向上に効果はあるが、低反射層を形成した後に透明フィルム基材を巻き取ったあと、反射防止層形成した面のもう一方の面のフィルムにシリコーン成分が付着しやすい。そして、フィルムに付着したシリコーン成分は偏光板との貼り合せの糊または紫外線接着剤との密着性を低下させるという課題がある。
特許第3915202号公報 特開平2−19801号公報 特開平6−230201号公報 特開平7−331115号公報 特開平8−211202号公報 特許第4928529号公報 特開2010−122603号公報 特開2012−78438号公報
本明細書に記載される技術は、上記の課題を解決することをその一つの目的とする。その技術の一例は、優れた低屈折率層を備え、反射防止フィルムと偏光板との密着性、耐擦傷性に優れる反射防止フィルムを提供する。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、偏光板との密着性が良く、耐擦傷性の優れた反射防止フィルムを見出した。
《1》一態様において、次のような反射防止フィルムを提供する。この反射防止フィルムは、透明フィルム基材の少なくとも一方の面に、ハードコート層と低屈折率層とが順次積層された反射防止層を有する反射防止フィルムである。低屈折率層について、当該低屈折率層を形成するためにハードコート層に塗布された低屈折率層形成用組成物の固形分のうち、パーフルオロアルキル基またはパーフルオロアルキレンエーテル基を有するフッ素含有化合物が0.01〜10.0重量%で含まれ、かつ、ケイ素アルコキシドの加水分解物からなるケイ素含有化合物が0.5〜10.0重量%で含まれる。ここで、当該フィルムから切り出した25cm片を3枚重ねたものに、荷重50kgf(=490N)、60℃の条件下で、3時間に亘り荷重をかけた場合であって、その3時間経過後の3枚重ねた片の真ん中の片を取り出して当該片における反射防止層を有する面とは反対の面にn−ヘキサデカン溶剤を滴下後したときに、その接触角が3°以上15°以下である。透明フィルム基材の一方の面であって、反射防止層を有する面とは反対の面のケイ素の原子濃度が、X線光電子分光装置で測定された場合に、2.5at%以下である。低屈折率層が、内部に空隙を有する低屈折率シリカ粒子を含むことを特徴とする。
》別の態様において、反射防止性偏光板が提供される。この反射防止性偏光板は、上述した反射防止フィルムのいずれかを備え、当該反射防止フィルムの低屈折率層が形成されていない面に、第1の偏光板を備え得る。
》さらに別の態様において、透過型液晶ディスプレイが提供される。この透過型液晶ディスプレイは、上述の反射防止性偏光板と、液晶セルと第2の偏光板とバックライトユニットとを順に備え、当該反射防止性偏光板の低屈折率層が形成されていない面側に、液晶セルが保持されていることを特徴とする。
上述のような構成によれば、例えば、透明フィルム基材の少なくとも一方の面に、ハードコート層と低反射層形成用塗液から形成された低屈折率層とが順次積層された反射防止フィルムにおいて、荷重50kgf(=490N)、60℃、3時間経過後の反射防止フィルムの反射防止層を塗布した面ともう一方の面にn−ヘキサデカン接触角が3°以上15°以下であり、裏面のX線光電子分光装置で測定されるケイ素量が2.5at%以下にすることで、優れた低屈折率層を備え、反射防止フィルムと偏光板との密着性、および耐擦傷性が良好な反射防止フィルムを提供することができる。
図1は、本明細書で開示される反射防止フィルムの例示的な実施形態を示す概略断面図である。 図2は、例示的な実施形態に係る反射防止フィルムを有する偏光板を示す概略断面図である。 図3Aは、例示的な実施形態に係る反射防止フィルムを有する透過型液晶ディスプレイを示す概略断面図である。 図3Bは、例示的な実施形態に係る反射防止フィルムを有する透過型液晶ディスプレイを示す概略断面図である。
本明細書は、添付の図面を参照しつつ、以下に、反射防止フィルム等の例示的な実施形態を説明する。例示される実施形態において、同一構成要素には同一符号を付け、実施の形態の間において重複する説明は省略する。
図1は、本明細書で開示される反射防止フィルムの例示的な実施形態を示す概略断面図である。
図1に示すように、この実施形態に係る反射防止フィルム1は、透明基材11、ハードコート層12、低屈折率13を備えており、透明基材11上に、ハードコート層12およびそのハードコート層12上に低屈折率層13が積層されている。
本実施形態に係る反射防止フィルム1の透明基材11として、種々の有機高分子からなるフィルムまたはシートを用いることができる。この透明基材11としては、例えば、ディスプレイ等の光学部材に通常使用される透明基材が挙げられる。具体的には、透明性や光の屈折率等の光学特性、さらには耐衝撃性、耐熱性、耐久性などの諸物性を考慮して、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セロファン等のセルロース系、6−ナイロン、6,6−ナイロン等のポリアミド系、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、エチレンビニルアルコール等の有機高分子からなるものが、透明基材として用いられる。上述した透明基材の中でも特に、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系フィルムおよびトリアセチルセルロースが好ましい。さらに、これらの有機高分子に添加剤、例えば紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、酸化防止剤、難燃剤等を添加することにより機能を付加させたものを用いることができる。
本実施形態に係る反射防止フィルム1のハードコート層12は、帯電防止ハードコート層形成組成物から構成されても良い。帯電防止ハードコート層形成組成物として、紫外線硬化型材料、電子線硬化型材料等の光硬化型組成物を用いることができる。
ハードコート層12の表面及び低屈折率層13の表面の改質を目的として、スチールウールラビング試験による耐擦傷性、鉛筆引っかき試験による表面硬度、粘着テープ剥離試験による密着性、最小曲げ試験によるクラック性(屈曲性)等の諸特性について、要求されるスペックを満足させるように、ハードコート層形成組成物を構成するための樹脂を選択して使用することができる。
ここで使用される樹脂としては、好ましくは、オリゴマーが用いられる。より具体的には、このようなオリゴマーとしては、例えばポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリオールアクリレート系等のプレポリマーが挙げられる。これらの光重合性プレポリマーは1種のみを用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
ハードコート層形成組成物のため使用される帯電防止剤としては、第4級アンモニウム塩構造を分子内に有するアクリルポリマーが用いられる。第4級アンモニウム塩構造は−Nの構造を示し、第4級アンモニウムカチオン(−N)とアニオン(X)を備えることによりハードコート層に導電性を発現させる。このとき、Xとしては、Cl、Br、I、F、HSO 、SO 2−、NO 、PO 3−、HPO 2−、HPO 、SO 、OH等を挙げることができる。
第4級アンモニウム塩構造を分子内に有する帯電防止剤としては、具体的には、ジメチルアミノエチルメタクリレート四級化物(例えば、ライトエステルDQ−100(共栄社化学株式会社製))、NR−121X−9IPA(コルコート社製、固形分10%)、1SX−1055(大成ケミカル社製、固形分41%)、1SX−3000(大成ケミカル社製、固形分35%)等を用いることができる。
第4級アンモニウム塩構造を有するアクリルポリマーである帯電防止剤の含有量は、帯電防止ハードコート層形成組成物固形分中に1.0%から25%までの範囲で含むことが好ましい。その含有量が1.0%以下であると、表面抵抗値が低く帯電防止機能として、十分な性能が得られない。またその含有量が25%以上であると、固形分中に帯電防止剤が多くなることで、膜硬度が低下することになる。
反射防止フィルムのハードコート層(帯電防止層)の表面抵抗値が1.0E+8から1.0E+11Ω/cmの範囲であることが好ましい。表面抵抗値が1.0E+8Ω/cm以下にするためには、帯電防止剤の添加量を、帯電防止ハードコート層形成組成物固形分中に25%以上にしなければならず、これによって膜硬度の低下を招く。一方、表面抵抗値が1.0E+11Ω/cm以上では、帯電防止性能が弱く、フィルムに埃などが付着することになり、偏光板を製造する上で生産性の低下を招く。
また、一実施形態において、使用する帯電防止剤として、無機の帯電防止剤を併用しても良い。例えば、ATO(酸化アンチモン/酸化スズ)、ITO(酸化インジウム/酸化スズ)、Sb(酸化アンチモン)、TiO(酸化チタン)、ZnO(過酸化亜鉛)、Ce(酸化セリウム)等の金属酸化物粒子が挙げられる。その中でも白色で透明性の優れたSbの使用が望ましい。
ハードコート層12を形成するためのハードコート層形成組成物に用いる多官能アクリレートとしては、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールビスβ−(メタ)アクリロイルオキシプロピネート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリ1,2−ブタジエンジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラデカンエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、3,8−ビス(メタ)アクリロイルオキシメチルトリシクロ[5.2.10]デカン等が挙げられる。多官能モノマーは、一種類のみを使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
なお、本明細書で使用される場合、「(メタ)アクリルモノマー」とは「アクリルモノマー」と「メタクリルモノマー」の両方を示している。
上述のハードコート層形成組成物には光重合開始剤を含有し得る。光重合開始剤は、単独使用されても、熱重合開始剤と併用してもよい。この光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、オキシムエステル類等が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な光合成開始剤としては、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)エトキシフェニルホスフィンオキシドが挙げられるが、これに限定されない。このような光重合開始剤の市販品としては、例えば、LUCIRIN TPO(BASFジャパン社製)などが挙げられる。
光重合開始剤は、ハードコート層形成組成物中の固形分に対して、1.0%から10%までの範囲で含まれることが好ましい。光重合開始剤の量が、1.0%以下では、光照射により膜が十分に硬化できず、膜硬度の低下を招く。他方、光重合開始剤の量が、10%以上では膜表面の硬度が高くなり過ぎ、屈曲性評価の際にクラックが発生しやすくなる。
また、ハードコート層形成組成物には、光重合開始剤の代わりに、熱重合開始剤を含有し得る。この熱重合開始剤としては、例えば、無機過酸化物(例、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム)、アゾニトリル化合物(例、アゾビスシアノ吉草酸ナトリウム)、アゾアミジン化合物(例、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)塩酸塩)、環状アゾアミジン化合物(例、2,2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン塩酸塩)、アゾアミド化合物(例、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1’−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド)、アゾ化合物(例、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート)および有機過酸化物(例、ラウリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルパーオクトエート)等が挙げられる。
また、ハードコート層形成組成物には、添加剤として、防汚剤、表面調整剤、レベリング剤、屈折率調整剤、密着性向上剤、光増感剤、導電材料等を加えることもできる。
なお、光増感剤としては、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール等の3級アミン、トリフェニルホスフィン等のアルキルフォスフィン系、β−チオジグリコール等のチオエーテル系が挙げられるがこれらに限定されない。また、これらを1種類あるいは2種類以上を混合して使用できる。
ハードコート層形成組成物には、必要に応じて、溶媒、各種添加剤を加えることができる。溶剤としては、ジブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3,5−トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトール等のエーテル類、またアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、およびメチルシクロヘキサノン等のケトン類、また蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸n−ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン醸エチル、酢酸n−ペンチル、およびγ−プチロラクトン等のエステル類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール等のアルコール類さらにメチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ類が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、または2種類以上合わせて用いてもよい。
ハードコート層12を硬化させる方法としては、例えば、紫外線照射、加熱等による処理を用いることができる。光重合開始剤をハードコート層形成組成物が含む場合、紫外線照射を行うことで硬化処理を行い得る。この紫外線照射には、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、フュージョンランプ等を使用することができる。紫外線照射量は、通常100〜800mJ/cm程度である。ハードコート層12の膜厚は、3μm以上あれば十分な強度となる。膜厚は、塗工精度、取扱いから3.0〜12.0μmの範囲が好ましい。膜厚が12.0μm以上では屈曲性評価の際に、クラックが発生しやすくなり、屈曲性が悪化してしまう。
ハードコート層形成組成物に、光重合開始剤の代わりに熱重合開始剤が含有されている場合、加熱により硬化処理を行うことで、ハードコート層12を得る。ハードコート層12に係る膜厚の条件については、上述の紫外線照射の場合と同様である。
ハードコート層12は、ウェットコーティング法により透明基材11の少なくとも片面に塗工される。このウェットコーティング法としては、例えば、バーコーティング法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、フローコーティング法、スプレーコーティング法、ロールコーティング法、グラビアロールコーティング法、エアドクターコーティング法、プレードコーティング法、ワイヤードクターコーティング法、ナイフコーティング法、リバースコーティング法、トランスファロールコーティング法、マイクログラビアコーティング法、キスコーティング法、キャストコーティング法、スロットオリフィスコーティング法、カレンダーコーティング法、ダイコーティング法等が挙げられる。
一実施形態に係る反射防止フィルムにおいて、形成されるハードコート層12の膜厚は3.0μm以上10.0μm以下であることが好ましく、鉛筆引っかき試験(鉛筆硬度試験)における当該ハードコート層12の表面硬度は、物理的な耐擦傷性を備えるために、H以上であることが好ましい。
次いで、本実施形態における、低屈折率層の一例について説明する。
ハードコート層12上には低屈折率層13が形成される。低屈折率層13は、ハードコートフィルムに反射防止機能を付与する。低屈折率層13は、低屈折率層形成組成物をハードコート層12に塗布することにより形成される。この低屈折率層形成組成物は、少なくとも低屈折率シリカ粒子とフッ素含有化合物または/かつケイ素含有化合物を含む表面調整剤または/かつ撥水剤とバインダマトリックス形成材料が含まれている。
低屈折率シリカ粒子としては、その粒子内部に空隙を有するシリカ粒子を用いることが好適である。粒子内部に空隙を有するシリカ粒子は、空隙の部分を空気の屈折率(約1.0)とすることができるので、非常に低い屈折率を備える低屈折率粒子となる。具体的には、多孔質シリカ粒子、シェル(殻)構造のシリカ粒子を用いることができる。
粒子内部に空隙を有するシリカ粒子の平均粒子径は、1〜100nmの範囲にあり、さらには10〜100nmの範囲にあり、特に好ましくは、20〜100nmの範囲である。平均粒子径が100nmを超える場合、レイリー散乱によって光が著しく反射され、低屈折率層が白化して反射防止フィルムの透明性が低下し得る。一方、平均粒子径が1nm未満の場合、粒子の凝集による低屈折率層における粒子の不均一性等の問題が生じ得る。
本明細書で使用される場合、「平均粒子径」とは、溶液中の粒子を動的光散乱方法で測定し、粒径分布を累積分布で表したときの50%粒径(d50 メジアン径)をいう。
なお、内部に空隙を有するシリカ粒子を用いる場合、その内部に空隙を有するシリカ粒子は、低屈折率層形成組成物中の固形分に対して、40重量%以上、90重量%未満であることが好ましい。シリカ粒子の含有量が40重量%未満では、低屈折率層の屈折率が十分に低下せず、平均視感反射率が高くなり得る。一方、シリカ粒子の含有量が90重量%以上では、低屈折率層を硬化する成分が少なくなり、反射防止フィルムの耐擦傷性や鹸化液に対する耐性を確保することが困難になる。
低屈折率層形成組成物に用いられ得る表面処理調整剤は、その作用に応じて、レベリング剤、消泡剤、界面張力調整剤、表面張力調整剤とも呼ばれるが、いずれも形成される塗膜の表面張力を低下させる作用を有する。この表面調整剤の添加によって、形成される塗膜において、ハジキ、ムラといった塗膜欠陥の発生を防止することができる。
前記撥水剤は形成されると塗膜表面のすべり性を向上させる作用を有する。この撥水剤の添加によって、形成される塗膜において、耐擦傷性を向上させ、キズが付き難い塗膜を形成することができる。
フッ素含有化合物としては、例えば、パーフルオロアルキル基またはパーフルオロアルキレンエーテル基を有する化合物等が挙げられる。
このパーフルオロアルキル基またはパーフルオロアルキレンエーテル基を有する化合物において、パーフルオロアルキル基は、式:−C2n+1(nは1以上の整数)で表される構造である。他方、パーフルオロアルキレンエーテル基は、式:−C2nO−(nは1以上の整数)で表される構造(後述の式(I))である。これらの基は、疎水・疎油基として機能する。このような化合物は、剛直で曲がりにくく、表面に整然と配列する特徴を有するので、少量で表面を覆う表面調整剤として機能することができる。このとき、親油基と組み合わせることで、さらに表面調整剤としての効果を向上させることが可能となる。なお、パーフルオロアルケニル基は、分子内に2炭素原子間の二重結合(C=C結合)を有しているので、嵩高く、表面に配列する際にパーフルオロアルキル基に比べて密度が低下する。そのため、パーフルオロアルキル基が有するリコート性阻害を抑えることができる。前述した式(I)の具体的な記載は以下のとおりである:
なお、前記式(I)中、Xは以下の(a)〜(e)のいずれかであり、式(I)中の全てのXが同一のものであってもよいし、複数のものがランダム状またはブロック状になっていてもよい。
なお、市販されるフッ素含有化合物としては、F−470(DIC社製)などが挙げられるこれらに限定されない。
ケイ素含有化合物としては、例えば、シリコーン骨格を有する化合物等が挙げられる。
このシリコーン骨格を有する化合物としては、シリコーン骨格と有機変性部とを分子内に含むシリコーン系化合物を好適に用いることができる。シリコーン骨格を有する化合物は、式(II)で表される構造を有しており、式(II)中の繰り返し数n(1以上の数)や有機変性部の種類を変化させることで、表面張力を任意にコントロールすることができる。
ここで、式(II)中のnや有機変性部の種類を変化させる一例として、例えば式(III)で表される構造(x、yは繰り返し数を表す1以上の数、mは1以上の整数)が挙げられ、側鎖を付与することによりシリコーン骨格を変性させることができる。なお、式(III)中のRとしては、例えば、CH、CH−CH、(CHCH等が挙げられる。また、Rとしては、例えば、ポリエーテル基、ポリエステル基、アラルキル基等が挙げられる。さらに、式(IV)で表される構造(mは1以上の整数)を有する化合物も用いることが可能であり、シリコーン鎖は数個のSi−O結合からなり、Rに相当する平均1個のポリエーテル鎖等を有する。このように、式(III)で表される化合物および式(IV)で表される化合物いずれにおいても、表面張力のコントロールや相溶性の調整を任意に行うことができる。
表面張力を任意にコントロールし、相溶性の調整を任意に行うために、またリコート性阻害を抑える等の特性を得るためには、フッ素含有化合物または/かつケイ素含有化合物が低屈折率層形成用組成物の固形分中に0.5〜10.0重量%含まれることが好ましい。ケイ素含有化合物の量が0.5重量%未満の場合、低屈折率層において、ケイ素含有化合物の局在化が促進されないため、耐擦傷性が低下する恐れがある。一方、耐擦傷性の向上を目的として、ケイ素含有化合物の含有量が10.0重量%を超えるように添加した場合、ハードコート層と低屈折率層を形成した面のもう一方の面のn−ヘキサデンカン接触角が15°を超えることになる。また、低屈折率層中の低屈折率成分が相対的に減少してしまうため、反射率の上昇(悪化)を招く恐れがある。
一実施形態において、低屈折率層形成用組成物には、前記表面調整剤の他に、必要に応じて、例えば以下に示すフッ素を有する化合物やケイ素を有する化合物等を配合することができる。
フッ素を有する化合物としては、例えば、LiF、MgF、3NaF・AlFまたはAlF(いずれも、屈折率1.4)、もしくはNaAlF(氷晶石、屈折率1.33)等の低屈折率材料からなる低屈折率ナノ粒子が挙げられる。
低屈折率ナノ粒子の平均粒子径は1〜100nmであることが好ましい。平均粒子径が100nmを超える場合、レイリー散乱によって光が著しく反射され、低屈折率層が白化して反射防止フィルムの透明性が低下する恐れがある。一方、平均粒子径が1nm未満の場合、低屈折率層における粒子の凝集等の問題が生じる恐れがある。
さらに、フッ素を有する化合物としては、例えば、オプツールDAC(ダイキン工業(株)製)、SUA1900L10、SUA1900L6(いずれも、新中村化学(株)製)、UT3971(日本合成(株)製)、ディフェンサTF3001、ディフェンサTF3000、ディフェンサTF3028(いずれも、大日本インキ(株)製)、メガファックF−444、メガファックF−445、メガファックF−446、メガファックF−4
70、メガファックF−489(いずれも、DIC(株)製)、ライトプロコートAFC3000(共栄社化学(株)製)、KNS5300(信越シリコーン(株)製)、UVHC1105、UVHC8550(いずれも、GE東芝シリコーン(株)製)等が挙げられるが、これらの他にも、アルカリ処理後の低屈折率層表面の水接触角を90〜110°とする作用を有するものを好適に用いることができる。
ケイ素含有化合物としては、ケイ素アルコキシドの加水分解物、等が挙げられる。このケイ素含有化合物は、例えば、KP−361(信越化学社製)、KP−109(信越化学社製)、BYK−310(ビックケミー社製)、BYK−370(ビックケミー社製)として市販されている。
前記ケイ素アルコキシドの加水分解物としては、例えば、式(V):RSi(OR)4−x(式中、Rはアルキル基、xは0≦x≦3を満足する整数を示す)で表されるケイ素アルコキシドの加水分解物を用いることができる。
式(V)で表されるケイ素アルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラペンタエトキシシラン、テトラペンタ−iso−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−プロキシシラン、テトラペンタ−n−ブトキシシラン、テトラペンタ−sec−ブトキシシラン、テトラペンタ−tert−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルプロポキシシラン、ジメチルブトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン等を用いることができる。ケイ素アルコキシドの加水分解物は、式(V)で表される金属アルコキシドを原料として得られるものであればよく、例えば塩酸にて加水分解することで得られるものである。
さらに、低屈折率層のバインダマトリックス形成材料として、低屈折率層形成用組成物に電離放射線硬化型材料を配合することもできる。この電離放射線硬化型材料としては、ハードコート層を形成する際の材料として例示した光重合性ポリマーや光重合性モノマーを使用することができ、多官能ウレタン(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物を使用することもできる。またこれらの他にも、電離放射線硬化型材料として、アクリレート系の官能基を有するポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等を使用することができる。
なお、バインダマトリックス形成材料として電離放射線硬化型材料を用い、紫外線を照射することにより低屈折率層を形成する場合には、低屈折率層形成用組成物に光重合開始剤が加えられる。光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類等が挙げられる。具体的には、使用される得る光重合開始剤は、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンなどが挙げられるが、これに限定されない。この光重合開始剤の市販品としては、例えば、Irgacure184が挙げられる。
フッ素を有する化合物が、低屈折率層形成用組成物の固形分中に0.01〜10.0重量%含まれることが好ましい。フッ素含有化合物の量が0.1重量%未満の場合、低屈折率層において、ケイ素含有化合物が偏在化し表面に多くなり、低屈折率層を形成した面のもう一方の面のn−ヘキサデンカン接触角が15°を超えることになる。一方、フッ素を有する化合物の含有量が10.0重量%を超えるように添加した場合、フッ素を有する化合物はケイ素含有化合物よりも表面エネルギーが小さい為、フッ素を有する化合物が低屈折率層の表面に多く偏在化し、すべり性を悪くし、耐擦傷性が悪くなる。
耐擦傷性と、低屈折率層を形成した面とは反対の面におけるn−ヘキサデンカン接触角とは、次のように両立する。すなわち、フッ素を有する化合物とケイ素含有化合物を混合することで、最表面にはフッ素を有する化合物が多くなるものの、ケイ素含有化合物も適量表面に存在し、耐擦傷性を良化させ、低反射率層を形成した面の裏面の接触角も低減することができる。
また、低屈折率層形成用組成物には、必要に応じて、溶媒、各種添加剤を加えることができる。溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、n−ヘキサン等の炭化水素類、ジブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、ジオキサン、ジオキソラン、トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール等のエーテル類、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン類、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸n−ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酢酸n−ペンチル、およびγ−プチロラクトン等のエステル類、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、水等の中から、塗工適性等を考慮して適宜選択される。また、添加剤として、屈折率調整剤、密着性向上剤、光増感剤等を加えることも可能である。
以上の材料を調製して得られる低屈折率層形成用組成物を、ウェットコーティング法(湿式成膜法)によりハードコート層12上に塗布して塗膜を形成し、低屈折率層13を形成することができる。前記バインダマトリックス形成材料として電離放射線硬化型材料を用いた場合は、必要に応じて塗膜の乾燥を行った後に、電離放射線である紫外線もしくは電子線を照射することにより、低屈折率層13が形成される。また、バインダマトリックス形成材料として金属アルコキシドを用いた場合は、乾燥、加熱等により低屈折率層13が形成される。
上述のウェットコーティング法(湿式成膜法)としては、例えば、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、ディップコーターを用いた塗布方法を採用することができる。また、同じ湿式成膜法を用いることにより、ハードコート層12の形成と低屈折率層13の形成とを連続的に行うことが可能である。
かくして得られるハードコート層12と低屈折率層13とを積層した反射防止層を有する反射防止フィルムに対し、ブロッキングテスター(テスター産業社製)を用い、当該反射防止フィルムから5.0cm片を3枚切り出してそれらを重ねたものに、荷重50kgf(=490N)、60℃の条件下で、3時間に亘り荷重する。そして、その3時間後の当該3枚重ねた片の真ん中の片を取り出して当該片における上述の反射防止層が形成している面とは反対面にn−ヘキサデカン滴下後し、その接触角が3°以上15°以下であることをその反射防止フィルムは1つの特徴とする。また、X線光電子分光装置(XPS)で測定される、その透明フィルム基材の裏面のケイ素量(Si2p)は、2.5at%以下である。
上述したn−ヘキサデカン溶剤の滴下後の接触角測定は以下の通りである。
接触角測定:接触角計〔CA−X型:協和界面科学(株)製〕を用いて、測定環境(23℃−50%RH)で直径1.0mmの液滴を針先に作り、これをハードコート層12と低屈折率層13を積層した反射防止フィルムの表面に接触させて液滴を作った。接触角とは、測定対象フィルムと(液滴としてその上に与えられた)液体が接する点における液体表面に対する接線と(当該フィルムの)固体表面がなす角で、液体を含む方の角度で定義した。液体には、n−ヘキサデカンを使用した。
X線光電子分光装置(XPS)を用い、エネルギー(hν)のX線を試料に照射すると、光電効果により元素内の内核電子が放出される。このときの光電子の運動エネルギー(Ek)は、式:Ek=hν−Eb−φで表される。ここで、内核電子のエネルギーレベル(Eb)は、元素固有の値であり、その元素の化学状態によって変化する。φは、装置や試料の仕事関数である。また、固体内で電子がエネルギーを保持したまま通過することができる距離は、数十オングストローム(Å)程度である。
したがって、試料表面から放出された光電子の運動エネルギー(Ek)とその数量を測定することによって、試料表面から数十オングストロームの深さまでに存在する元素の種類、含有量および化学状態を分析することができる。
X線光電子分光装置を用いた測定条件は、以下のとおりである。
X線出力:25W(15kV)
測定エリア:100μmφ、
積算時間:ワイド12min/ナロー22min
前記したように、透明フィルム基材の塗布面と反対(裏面)のケイ素量(Si2p)が2.5at%以下、好ましくは2.0at%以下である。ケイ素量(Si2p)が2.0at%を超える場合には、透明フィルム基材にシリコーン成分の付着が多くなり、偏光板との密着性を悪化させる。
なお、得られる反射防止フィルム1に十分な反射防止機能を付与するために、低屈折率層13の膜厚(d)は、その膜厚(d)に低屈折率層13の屈折率(n)を乗じることによって得られる光学膜厚(nd)が、可視光の波長の1/4程度となるように設計されることが好ましく、膜厚(d)は、50〜200nmであることが好ましい。
反射防止フィルムは、低屈折率層表面の平均視感反射率が0.4〜1.5%であることが好ましい。平均視感反射率が1.5%を超える場合には、十分な反射防止機能を備える反射防止フィルムとすることが困難になる。一方、低屈折率層表面の平均視感反射率が低いほど、優れた反射防止機能を備えるものの、0.4%未満の場合、反射防止フィルムを低屈折率層単層で実現することが困難になる。
なお、平均視感反射率は、可視光の各波長の反射率を比視感度により校正し、平均した反射率の値である。このとき、比視感度は明所視標準比視感度が用いられる。
反射防止フィルムは、そのヘイズを0.2%以下とすることにより、明所コントラストの高い反射防止フィルムとすることができる。ヘイズが0.2%を超える場合には、散乱による透過損失によって暗所での黒表示させた際の光モレを見かけ上抑制することが可能となるが、明所での黒表示の際に、散乱によって黒表示が白ボケしてコントラストが低下する恐れがある。
反射防止フィルムは、その全光線透過率を95.0〜98.0%とすることにより、コントラストをより向上させることができる。全光線透過率が95.0%未満の場合には、白表示した際の白輝度が低下し、コントラストが低下する恐れがある。一方、裏面反射等を考慮すると、全光線透過率が98.0%を超える反射防止フィルムを作製することは実質的に困難である。
反射防止フィルムは、低屈折率層表面の水接触角が90〜110°であることが好ましい。低屈折率層にケイ素含有化合物を含む表面調整剤または/かつ撥水剤が含まれており、低屈折率層表面に防汚性を付与することができる。このとき、低屈折率層表面の水接触角が90°以上であれば、より十分な防汚性を備える反射防止フィルムとすることができる。一方、低屈折率層表面の水接触角が大きいほど、防汚性は向上するが、水接触角が110°を超える反射防止フィルムを作製しようとすると、生産性が低下する恐れがある。
図2は、例示的な実施形態に係る反射防止性偏光板を示す概略断面図である。
図2に示すように、反射防止性偏光板210は、反射防止フィルム1を有し、当該反射防止フィルム1の低屈折率層13が形成されていない面側、すなわち、透明基材11側に、第1の偏光板2を備えている。当該第1の偏光板2は、透明基材11側から順に、偏光層23と透明基材21とが積層されたものである。なお、これら偏光層23および透明基材21には特に限定がなく、通常反射防止性偏光板に用いられるものを適宜用いることができる。
図3Aおよび図3Bは、図2で例示した反射防止性偏光板210と類似の偏光板200を備えた、透過型液晶ディスプレイの一例を示す概略断面図である。他方、図3Bは、図2で例示した反射防止性偏光板210を備える透過型液晶ディスプレイの一例を示す概略断面図である。
図3Aに示す透過型液晶ディスプレイは、反射防止性偏光板200と、液晶セル3と、第2の偏光板4と、バックライトユニット5とを順に備えている。反射防止性偏光板200は、反射防止フィルム1と、その反射防止フィルム1の透明基材11側に第3の偏光板2’を備えており、その第3の偏光板2’は、透明基材11側から順に、透明基材21と偏光層23と透明基材22とが積層されたものである。液晶セル3は、反射防止性偏光板200の低屈折率層13が形成されていない面側、すなわち、透明基材22側に保持されている。このとき、反射防止フィルム1側が観察側、すなわち、ディスプレイ表面となる。
図3Aに示す透過型液晶ディスプレイは、反射防止フィルム1の透明基材11と、第3の偏光板2’の透明基材21とを別々に備えるディスプレイである。
バックライトユニット5は、光源と光拡散板とを備える。液晶セル3は、一方の透明基材に電極が設けられ、もう一方の透明基材に電極およびカラーフィルタを備えており、両電極間に液晶が封入された構造となっている。液晶セル3は、第3の偏光板2’と第2の偏光板4とに挟まれるように設けられている。また、第3の偏光板2’は、透明基材21と透明基材22との間に偏光層23が挟持された構造を有し、他方、第2の偏光板4は、透明基材41と透明基材42との間に偏光層43が挟持された構造を有している。
図3Bに示す透過型液晶ディスプレイは、反射防止性偏光板210と、液晶セル3と、第2の偏光板4と、バックライトユニット5とを順に備えている。反射防止性偏光板210は、反射防止フィルム1と、当該反射防止フィルム1の透明基材11側に第1の偏光板2を備えており、当該第1の偏光板2は、透明基材11側から順に、偏光層23と透明基材21とが積層されたものである。液晶セル3は、反射防止性偏光板210の低屈折率層13が形成されていない面側、すなわち、透明基材21側に保持されている。このとき、反射防止フィルム1側が観察側、すなわち、ディスプレイ表面となる。
図3Bに示す透過型液晶ディスプレイは、反射防止フィルム1の低屈折率層13が形成されていない面、すなわち、透明基材11面に、第1の偏光板2として、偏光層23と透明基材22とがこの順に設けられたディスプレイである。
図3Aに示す透過型液晶ディスプレイと同様に、バックライトユニット5は、光源と光拡散板とを備える。液晶セル3は、一方の透明基材に電極が設けられ、もう一方の透明基材に電極およびカラーフィルタを備えており、両電極間に液晶が封入された構造となっている。液晶セル3は、第1の偏光板2(反射防止性偏光板210の一部)と、第2の偏光板4との間に挟まれるように設けられている。また、第1の偏光板2は、透明基材21と、透明基材11との間に偏光層23が挟持された構造を有し、他方、第2の偏光板4は、透明基材41と透明基材42との間に偏光層43が挟持された構造を有している。
なお、一実施形態において、透過型液晶ディスプレイは、他の機能性部材を備えていてもよい。他の機能性部材としては、例えば、バックライトから発せられる光を有効に使うための、拡散フィルム、プリズムシート、輝度向上フィルムや、液晶セルや偏光板の位相差を補償するための位相差フィルム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
以下、例示的な実施例とともに比較例を参照しつつ、本明細書に記載の反射防止フィルムについてより詳細に説明する。この実施例等は、単に例示目的であり、本明細書で開示される技術的思想をその実施例に示された内容に限定して解釈することを意図するものではない。
なお、実施例中、「部」および「%」は、「重量部」および「重量%」をそれぞれ表す。
後述する実施例1から7まで、ならびに比較例1から4までにおいて、下記に示した組成の材料を用いた。すなわち、いずれの実施例および比較例においても共通にして、ハードコート層形成組成物1を使用してハードコート層を形成した。他方、実施例および比較例の各々では、異なる低屈折率層形成組成物を使用して、低屈折率層を形成した(表1を参照)。各層の具体的な形成手法については、後述する。
<ハードコート層および低屈折率層の形成のための組成物の調製>
<ハードコート層形成組成物1の調製>
下記材料を混合攪拌してハードコート層形成組成物1を得た。
ウレタンアクリレート(UA−306I 共栄社化学社製) 100重量部
多官能アクリレート
(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、日本化薬社製)
100重量部
光重合開始剤(LUCIRIN TPO BASFジャパン社製) 2.0重量部
添加剤(GRANDIC PC4300 DIC社製) 0.04重量部
溶剤 酢酸メチル 140重量部
溶剤 メタノール 60重量部
<低屈折率層形成組成物1の調製>
下記材料を混合攪拌して低屈折率層形成組成物1を得た。
中空シリカ分散液(スルーリア22SL−22TP 日揮触媒化成製) 8.69重量部
(固形分20.5重量%、平均粒径60nm、溶剤:メチルイソブチルケトン)
EO変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 1.38重量部
(DPEA−12、日本化薬社製;なお、ここで、EO変性とは、(−CH−CH−O−)のブロック構造を有することを意味する。)
光重合開始剤 0.095重量部
(BASFジャパン社製、商品名;Irgacure184)
添加剤1(KP−361,固形分50重量% 信越化学社製) 0.316重量部
添加剤2(F−470,固形分100重量% DIC社製) 0.0016重量部
溶剤 89.5重量部
(メチルイソブチルケトン)
シリカ粒子濃度(低屈折率層形成組成物の固形分中濃度) 52.2%
ケイ素含有化合物(KP−361)(低屈折率層形成組成物の固形分中濃度)
4.6%
フッ素を有する化合物(F−470)(低屈折率層形成組成物の固形分中濃度)
0.05%
<低屈折率層形成組成物2の調製>
下記材料を混合攪拌して低屈折率層形成組成物2を得た。
中空シリカ分散液(スルーリア22SL−22TP 日揮触媒化成製)5.99重量部
(固形分20.5重量%、溶剤:メチルイソブチルケトン)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 1.79重量部
(DPHA、日本化薬社製)
光重合開始剤 0.09重量部
(BASFジャパン社製、商品名;Irgacure184)
添加剤1(KP−109,固形分50重量% 信越化学社製) 0.664重量部
添加剤2(F−470 DIC社製) 0.0015重量部
溶剤 91.5重量部
(メチルイソブチルケトン)
シリカ粒子濃度(低屈折率層形成組成物の固形分中濃度) 35.6%
ケイ素含有化合物((KP−109)(低屈折率層形成組成物の固形分中濃度))
9.6%
フッ素を有する化合物(F−470)(低屈折率層形成組成物の固形分中濃度)
0.04%
<低屈折率層形成組成物3の調製>
下記材料を混合攪拌して低屈折率層形成組成物3を得た。
中空シリカ分散液(スルーリア22SL−22TP 日揮触媒化成製) 10.1重量部
(固形分20.5重量%、溶剤:メチルイソブチルケトン)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 1.21重量部
(DPHA、日本化薬社製)
光重合開始剤 0.098重量部
(BASFジャパン社製、商品名;Irgacure184)
添加剤1(X−22−1602,固形分50重量% 信越化学社製) 0.041重量部
添加剤2(F−470 DIC社製) 0.0016重量部
溶剤 88.5重量部
(メチルイソブチルケトン)
シリカ粒子濃度(低屈折率層形成組成物の固形分中濃度) 61.0%
ケイ素含有化合物(X−22−1602)(低屈折率層形成組成物の固形分中濃度)
0.6%
フッ素を有する化合物(F−470)(低屈折率層形成組成物の固形分中濃度)
0.05%
<低屈折率層形成組成物4の調製>
下記材料を混合攪拌して低屈折率層形成組成物4を得た。
中空シリカ分散液(スルーリア22SL−22TP 日揮触媒化成製) 7.90重量部
(固形分20.5重量%、溶剤:メチルイソブチルケトン)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 1.37重量部
(DPHA、日本化薬社製)
光重合開始剤 0.090重量部
(BASFジャパン社製、商品名;Irgacure184)
添加剤1(BYK−310,固形分25重量% ビックケミー社製) 1.20重量部
添加剤2(F−470 DIC社製) 0.0015重量部
溶剤 89.9重量部
(メチルイソブチルケトン)
シリカ粒子濃度(低屈折率層形成組成物の固形分中濃度) 47.9%
ケイ素含有化合物(BYK−310)(低屈折率層形成組成物の固形分中濃度)
8.85%
フッ素を有する化合物(F−470)(低屈折率層形成組成物の固形分中濃度)
0.04%
<低屈折率層形成組成物5の調製>
下記材料を混合攪拌して低屈折率層形成組成物5を得た。
中空シリカ分散液(スルーリア22SL−22TP 日揮触媒化成製) 8.67重量部
(固形分20.5重量%、溶剤:メチルイソブチルケトン)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 1.50重量部
(DPHA、日本化薬社製)
光重合開始剤 0.098重量部
(BASFジャパン社製、商品名;Irgacure184)
添加剤1(BYK−370,固形分25重量% ビックケミー社製) 0.071重量部
添加剤2(F−470 DIC社製) 0.0016重量部
溶剤 89.7重量部
(メチルイソブチルケトン)
シリカ粒子濃度(低屈折率層形成組成物の固形分中濃度) 52.3%
ケイ素含有化合物(BYK−370)(低屈折率層形成組成物の固形分中濃度)
0.52%
フッ素を有する化合物(F−470)(低屈折率層形成組成物の固形分中濃度)
0.05%
<低屈折率層形成組成物6の調製>
下記材料を混合攪拌して低屈折率層形成組成物6を得た。
中空シリカ分散液(スルーリア22SL−22TP 日揮触媒化成製) 8.34重量部
(固形分20.5重量%、溶剤:メチルイソブチルケトン)
EO変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 1.45重量部
(DPEA−12、日本化薬社製)
光重合開始剤 0.095重量部
(BASFジャパン社製、商品名;Irgacure184)
添加剤1(KP−361 信越化学社製) 0.316重量部
添加剤2(F−470 DIC社製) 0.0003重量部
溶剤 89.8重量部
(メチルイソブチルケトン)
シリカ粒子濃度(低屈折率層形成組成物の固形分中濃度) 50.2%
ケイ素含有化合物(KP−361)(低屈折率層形成組成物の固形分中濃度)4.63%
フッ素を有する化合物(F−470)(低屈折率層形成組成物の固形分中濃度)
0.01%
<低屈折率層形成組成物7の調製>
下記材料を混合攪拌して低屈折率層形成組成物7を得た。
中空シリカ分散液(スルーリア22SL−22TP 日揮触媒化成製) 8.99重量部
(固形分20.5重量%、溶剤:メチルイソブチルケトン)
EO変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 1.30重量部
(DPEA−12、日本化薬社製)
光重合開始剤 0.094重量部
(BASFジャパン社製、商品名;Irgacure184)
添加剤1(KP−361 信越化学社製) 0.546重量部
添加剤2(F−470 DIC社製) 0.295重量部
溶剤 88.8重量部
(メチルイソブチルケトン)
シリカ粒子濃度(低屈折率層形成組成物の固形分中濃度) 48.5%
ケイ素含有化合物(KP−361)(低屈折率層形成組成物の固形分中濃度)7.18%
フッ素を有する化合物(F−470)(低屈折率層形成組成物の固形分中濃度)7.8%
<低屈折率層形成組成物8の調製>
下記材料を混合攪拌して低屈折率層形成組成物8を得た。
中空シリカ分散液(スルーリア22SL−22TP 日揮触媒化成製) 8.68重量部
(固形分20.5重量%、溶剤:メチルイソブチルケトン)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 1.49重量部
(DPHA、日本化薬社製)
光重合開始剤 0.098重量部
(BASFジャパン社製、商品名;Irgacure184)
添加剤1(KP−361 信越化学社製) 1.19重量部
添加剤2(F−470 DIC社製) 0.0016重量部
溶剤 88.6重量部
(メチルイソブチルケトン)
シリカ粒子濃度(低屈折率層形成組成物の固形分中濃度) 44.7%
ケイ素含有化合物(KP−361)(低屈折率層形成組成物の固形分中濃度)15.0%
フッ素を有する化合物(F−470)(低屈折率層形成組成物の固形分中濃度)
0.04%
<低屈折率層形成組成物9の調製>
下記材料を混合攪拌して低屈折率層形成組成物9を得た。
中空シリカ分散液(スルーリア22SL−22TP 日揮触媒化成製) 8.34重量部
(固形分20.5重量%、溶剤:メチルイソブチルケトン)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 1.45重量部
(DPHA、日本化薬社製)
光重合開始剤 0.095重量部
(BASFジャパン社製、商品名;Irgacure184)
添加剤1(KP−361 信越化学社製) 0.32重量部
添加剤2(F−470 DIC社製) 0重量部
溶剤 89.8重量部
(メチルイソブチルケトン)
シリカ粒子濃度(低屈折率層形成組成物の固形分中濃度) 50.2%
ケイ素含有化合物(KP−361)(低屈折率層形成組成物の固形分中濃度) 4.6%
フッ素を有する化合物(F−470)(低屈折率層形成組成物の固形分中濃度)0.0%
<低屈折率層形成組成物10の調製>
下記材料を混合攪拌して低屈折率層形成組成物10を得た。
中空シリカ分散液(スルーリア22SL−22TP 日揮触媒化成製) 7.45重量部
(固形分20.5重量%、溶剤:メチルイソブチルケトン)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 1.29重量部
(DPHA、日本化薬社製)
光重合開始剤 0.085重量部
(BASFジャパン社製、商品名;Irgacure184)
添加剤1(KP−361 信越化学社製) 0.28重量部
添加剤2(F−470 DIC社製) 0.35重量部
溶剤 90.5重量部
(メチルイソブチルケトン)
シリカ粒子濃度(低屈折率層形成組成物の固形分中濃度) 45.0%
ケイ素含有化合物KP−361)(低屈折率層形成組成物の固形分中濃度) 4.15%
フッ素を有する化合物(F−470)(低屈折率層形成組成物の固形分中濃度)
10.4%
<反射防止フィルムの作製>
以下に、透明基材上に、ハードコート層および低屈折率層を形成して、反射防止フィルムを調製するために用いた手順を示す。
<透明基材>
厚み80μmのポリメチルメタクリレートフィルムを、透明基材として用いた。
<透明基材上における成膜手順>
以下の(a)および(b)に示したように、この透明基材上に、上述した組成物を塗布し、ハードコート層および低屈折率層の製膜を行った。上述のように、いずれの実施例および比較例においても共通のハードコート層形成組成物1を使用して、ハードコート層を形成した。他方、実施例1から7まで、および比較例1から4までの各々において、異なる低屈折率層形成組成物(1〜10)を使用して、低屈折率層を形成した。具体的に用いた組成物、塗工した膜厚は、他の物性値とともに、実施例及び比較例ごとに表1に記載した。
(a)ハードコート層の形成:
透明基材上に、ハードコート層形成組成物を、バーコーティング法により乾燥後の膜厚8.0μmになるように塗布、オーブンで80℃1分間乾燥させ、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン社製、光源Hバルブ)を用いて照射線量200mJ/mで紫外線照射をおこなって硬膜させて、ハードコート層を形成した。
(b)低屈折率層の形成:
ハードコートフィルムのハードコート層上に、バーコーティング法を用いて乾燥後の膜厚を110nmになるように低屈折率層形成組成物1〜11のいずれかを塗布し、オーブンで80℃1分間乾燥させ、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン社製、光源Hバルブ)を用いて照射線量200mJ/mで紫外線照射をおこなって硬膜させて、反射防止フィルムを作製した。
<作製した反射防止フィルムの評価>
各実施例・比較例で作製した反射防止フィルムの性能は、下記の方法に従って評価した。
「平均視感反射率」
自動分光光度計(日立製作所製、U−4000)を用い、C光源、2度視野の条件下での入射角5°における分光反射率を測定した。また、得られた分光反射率曲線から平均視感反射率を求めた。なお、測定の際には反射防止フィルムのうち低屈折率層が形成されていない面に黒色艶消しスプレーにより黒色に塗布し、反射防止の処置をおこなった。
反射率を、以下の基準で評価した(表1では、この評価結果を冒頭の記号にて示す)。
◎:反射率が1.2%未満
○:反射率が1.5%未満
×:反射率が1.5%以上
「接触角測定」
上述のようにして得られた反射防止フィルムから5.0cm片(シート)を切り出し、それらを3枚重ねたサンプルを作製した。ブロッキングテスター(テスター産業社製)を用い、荷重50kgf、60℃の条件下で、3時間に亘り当該サンプルに荷重をかけた。3時間経過後、当該サンプルの真ん中の1枚を取り出した。1枚のサンプルをガラス基板に貼り付け接触角計〔CA−X型:協和界面科学(株)製〕を用いて、測定環境(23℃−50%RH)で直径1.0mmの液滴を針先に作り、これを反射防止フィルムの表面に接触させて液滴を作った。接触角はフィルムと液体が接する点における液体表面に対する接線と固体表面がなす角で、液体を含む方の角度で定義した。液体には、n−ヘキサデカンを使用した。
「X線光電子分光装置(XPS)測定」
得られた反射防止フィルムから5.0cm片を切り出し、それらを3枚重ねたサンプルを作製した。ブロッキングテスター(テスター産業社製)を用い、荷重50kgf、60℃の条件下で、3時間に亘り当該サンプルに荷重をかけた。3時間経過後のサンプルの真ん中の1枚を取り出した。XPS(ULVAC−PHI Quantum2000、アルバック・ファイ株式会社製)を用いて、下記の条件でそのサンプルの裏面のケイ素量(at%)を測定した。
測定条件;
X線出力:25W(15kV)
測定エリア:100μmφ、
積算時間:ワイド12min/ナロー22min
「耐擦傷性」
得られた反射防止フィルムの表面をスチールウール「ボンスター#0000」(日本スチールウール製)により荷重200g/cmで各10回擦り、傷の有無を目視判定した。その結果を(表1)に示す。下記の判定基準を用いて評価した(表1では、この評価結果を冒頭の記号にて示す):
○:傷を確認することが出来ない。
△:僅かに傷を確認できる。
×:明確に傷を確認できる。
「密着性」
得られた反射防止フィルムから25.0cm片を切り出し、それらを3枚重ねたサンプルを作製した。ブロッキングテスター(テスター産業社製)を用い、荷重50kgf、60℃の条件下で、3時間に亘り当該サンプルに荷重をかけた。3時間経過後のサンプルの真ん中の1枚を取り出した。そのサンプルを5cm×2.5cmの短冊に切り、ハンドローラーを用いて、東亜合成製光硬化型粘着フィルム(UVP−1003)を貼り合せた。その貼り合わせたフィルムに紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン社製、光源Hバルブ)を用いて照射線量500mJ/mで紫外線照射をおこなって接着させた。そのサンプルの剥離強度を評価した。
剥離強度は、テンシロンRTG−1210を用いて、T字剥離試験で評価した。
引張り速度;500mm/min
測定温度:25℃
下記の判定基準を用いて評価した(表1では、この評価結果を冒頭の記号にて示す)。
○:2.0[N/50mm]以上
△:2.0[N/50mm]未満
×:1.0[N/50mm]未満
<評価結果>
実施例、比較例の各々で得られた反射防止フィルムに関して上述の試験における、評価結果を表1に示す。
実施例1〜7の結果のように、ハードコート層と低屈折率層を形成する各々の塗液を順次塗布、乾燥、紫外線硬化又は熱硬化処理を行い、25cmに切ったフィルムを3枚重ね、荷重50kgf、60℃、3時間の経過後の3枚重ねた真ん中のフィルムを取り出し、反射防止フィルムの反射防止層を塗布した面ともう一方の面にn−ヘキサデカン溶剤を滴下後の接触角が3°以上15°以下の範囲にすることで、耐擦傷性、密着性に共に良好な反射防止フィルムを得ることができた。
1 反射防止フィルム
11 透明基材
12 ハードコート層
13 低屈折率層
2 第1の偏光板
2’ 第3の偏光板
21 透明基材
22 透明基材
23 偏光層
200 反射防止性偏光板
210 反射防止性偏光板
3 液晶セル
4 第2の偏光板
41 透明基材
42 透明基材
43 偏光層
5 バックライト

Claims (3)

  1. 透明フィルム基材の少なくとも一方の面に、ハードコート層と低屈折率層とが順次積層された反射防止層を有する反射防止フィルムであって、
    前記低屈折率層について、当該低屈折率層を形成するために前記ハードコート層に塗布された低屈折率層形成用組成物の固形分のうち、パーフルオロアルキル基またはパーフルオロアルキレンエーテル基を有するフッ素含有化合物が0.01〜10.0重量%で含まれ、かつ、ケイ素アルコキシドの加水分解物からなるケイ素含有化合物が0.5〜10.0重量%で含まれ、
    当該フィルムから切り出した25cm片を3枚重ねたものに、荷重490N、60℃の条件下で、3時間に亘り荷重をかけた場合であって、その3時間経過後の3枚重ねた片の真ん中の片を取り出して当該片における前記反射防止層を有する面とは反対の面にn−ヘキサデカン溶剤を滴下後したときに、その接触角が3°以上15°以下であり、
    前記透明フィルム基材の一方の面であって、前記反射防止層を有する面とは反対の面のケイ素の原子濃度が、X線光電子分光装置で測定された場合に、2.5at%以下であり、
    前記低屈折率層が、内部に空隙を有する低屈折率シリカ粒子を含むことを特徴とする、反射防止フィルム。
  2. 請求項1に記載の反射防止フィルムを備え、当該反射防止フィルムの低屈折率層が形成されていない面に、第1の偏光板を備えることを特徴とする反射防止性偏光板。
  3. 請求項に記載の反射防止性偏光板と、液晶セルと第2の偏光板とバックライトユニットとを順に備え、当該反射防止性偏光板の低屈折率層が形成されていない面側に、液晶セルが保持されていることを特徴とする透過型液晶ディスプレイ。
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