JP6388791B2 - Vpac1受容体活性化剤及びドライマウスの予防薬又は治療薬 - Google Patents

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Description

本発明は、VPAC1受容体活性化剤及びドライマウスの予防薬又は治療薬に関する。
唾液は摂食に関与する作用(消化、円滑、味覚発現作用)、口腔の健康維持に関与する作用(洗浄、保護、水素イオン濃度緩衝、抗菌・殺菌作用)等の重要な生理機能を担っている。
ドライマウス(口腔乾燥症)は、唾液が分泌されないか分泌される唾液の量が少なく、口の中や喉の渇きを主に訴える疾患であり、その日本における患者数は800万人ともいわれている。具体的な症状としては、食物等を飲み込めない嚥下障害、口の中のネバネバ感の増加、舌の痛み、強い口臭、味を感じたり、噛んだり、飲み込んだりすることが困難、舌表面のひびわれ等がある。唾液腺の機能異常以外の「口腔機能の低下」による口腔乾燥もドライマウス(口腔乾燥症)に含まれる。
その原因は、各種の投薬治療による唾液分泌細胞の損傷、ストレス、不規則な食生活等といわれている。夜間は唾液が減っているのでドライマウスになり易く、更年期の女性に多いとも言われている。また、加齢により唾液の分泌量が減少することから、人口の高齢化に伴って患者数が増加しつつある。
ドライマウスは食事摂取困難、味覚困難、口腔違和感等患者のQOL(quality of life)低下を伴うことから、有効な治療薬の開発が期待される。
ドライマウス(口腔乾燥症)は、水分の補給では改善しないものであり、治療法としては、例えば、保湿力の高い洗口液や保湿ゲルの使用、スプレー等の噴霧、保湿用マウスピース等の使用があるが、口腔内の粘膜を一時的に保護しているに過ぎない、効果が少ない等の問題点があった。
また、これまでに、梅干、梅酢、有機酸、羅漢果、ビタミン類等を利用した唾液分泌促進剤が報告されているが(特許文献1〜5)、更なる新規の唾液分泌促進剤の開発が求められている。
また、唾液分泌を促進させる分子メカニズムに着目したドライマウス治療薬も報告されているが(特許文献6、7)、数は少なく、該分子メカニズムを活性化させることにより唾液分泌を促進するドライマウス治療薬の開発が望まれている。
一方、PACAP(Pituitary Adenylate Cyclase−Activating Polypeptide:下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド)は、神経ペプチドの1種であり、27又は38アミノ酸残基からなるペプチドである。PACAPはこれまでに、神経突起誘発剤、抗炎症剤、慢性肺疾患治療剤、眼疾患治療剤としての用途が報告されている(特許文献8〜12、非特許文献1〜3)。
非特許文献3には、PACAPが唾液分泌の促進に関与していることが報告されているが、どのような分子メカニズムによって唾液分泌促進が誘導されているかはわかっていない。
特開昭56−022719号公報 特開平07−101856号公報 特開平11−712353号公報 特開2006−199670号公報 特開2011−068642号公報 特開平08−012575号公報 特開2001−064203号公報 特開2001−226284号公報 特開2004−224775号公報 特開2004−315436号公報 特開2006−306770号公報 特開2009−269818号公報
Vaudry D,Falluel-morel A,Bourgault S,Basille M,Bure D et al.,Pituitary Adenylate Cyclase-Activating Polypeptide and Its Receptors:20 years after the Discovery.Pharmacol Rev 2009;61(3);283-357. 中町智哉、科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書(2010〜2011)、研究課題名「PACAPによる涙液分泌促進機構の解析」、研究課題番号22791695 野中直子、2011年度研究実施状況報告書、研究課題名「唾液腺の加齢変化に伴うPACAP、PACAPレセプターの局在と分泌制御機構の解明」、研究課題番号23592711
本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、新規のドライマウスの予防薬又は治療薬を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、VPAC1受容体が唾液分泌促進に関与していることを見出した。また、PACAPによる唾液分泌促進作用は、涙液分泌とは異なったメカニズムによって唾液分泌を促進していることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、VPAC1受容体を活性化することにより唾液分泌を促進させるものであることを特徴とするVPAC1受容体活性化剤を提供するものである。
また、本発明は、上記VPAC1受容体活性化剤を含有することを特徴とするドライマウスの予防薬又は治療薬を提供するものである。
本発明によれば、前記問題点や前記課題を解決し、ドライマウスを予防又は治療のために用いることができるVPAC1受容体活性化剤を提供することができる。
また、本発明のドライマウスの予防薬又は治療薬は、唾液分泌促進メカニズムに関与しているVPAC1受容体を活性化させることにより唾液分泌を促進するので、ドライマウスの予防又は治療に極めて有効である。
唾液腺におけるPACAP免疫陽性反応を示した図である。舌下腺(上)及び下顎腺(下)における、PACAPの局在(左)、NeuNの局在(中)、PACAPとNeuNの共局在(右)についてそれぞれ確認した。 (A)唾液腺(舌下腺、下顎腺、耳下腺)におけるPACAP mRNAの発現量を比較したグラフである。(B)唾液腺(舌下腺、下顎腺、耳下腺)におけるPACAP受容体(PAC1R、VPAC1R、VPAC2R) mRNAの発現量を比較したグラフである。 (A)PACAPをマウスの尾の静脈に注射する工程を示した写真である。(B、C)マウスの唾液量を測定する工程を示した写真である。 PACAP投与後の唾液量の変化を示したグラフである。15分ごとに測定した唾液量(mg)の変化を示す(左から、生理食塩水(生食)、PACAP10−6M、10−8M、10−10M、10−12M、10−14M投与)。 PACAP受容体アンタゴニスト(PACAP6−38、VIP6−28)同時投与後の唾液量の変化を示したグラフである。15分ごとに測定した唾液量(mg)の変化を示す(左から、生理食塩水(生食)、PACAP38単独投与(10−10M)、PACAP38及びPACAP6−38を同時投与、PACAP38及びVIP6−28を同時投与)。 PACAP受容体アンタゴニスト(PACAP6−38(左)、VIP6−28(右))同時投与後の涙液量の変化を示したグラフである。15分ごとに測定した涙液量(mm)の変化を示す(左から、生理食塩水、PACAP受容体アンタゴニスト単独、PACAP単独、PACAP及びPACAP受容体アンタゴニスト同時投与)。
以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的態様に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。
[VPAC1受容体活性化剤]
本発明のVPAC1受容体活性化剤は、VPAC1受容体を活性化することにより唾液分泌を促進させるものであることを特徴とする。
VPAC1受容体は、PACAP(Pituitary Adenylate Cyclase−Activating Polypeptide:下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド)の受容体の1つである。PACAPは、27又は38アミノ酸残基からなる神経ペプチドで、中枢・末梢神経系に強く発現し、精巣、副腎、腸管等の末梢組織にも広く分布する。
PACAPの受容体には、VIP(Vasoactive intestinal polypeptide:血管作動性腸管ポリペプチド)に対しても同等の親和性で結合し、cAMPの産生を促進させるVPAC受容体(VPAC1受容体、VPAC2受容体)と、PACAPに選択的に結合し、cAMP産生の他にもホスファチジルイノシトール代謝回転やMAPキナーゼを活性化させるPAC1受容体が存在する。
本発明は、実施例に示した通り、VPAC1受容体が活性化されることにより、唾液分泌が促進されることを初めて見出してなされたものである。
また、本発明のVPAC1受容体活性化剤は、PACAP又はその製薬学的に許容される塩を含有することが好ましい。すなわち、本発明のVPAC1受容体活性化剤は、「PACAP及びその製薬学的に許容される塩よりなる群」に属する1種以上のペプチドを含有することが好ましい。
本発明に用いるPACAPの合成法は、特に限定されないが、公知のペプチド合成法に従って合成することができる。例えば、アジト法、酸クロライド法、酸無水物法、混合酸無水物法、DCC法、活性エステル法、カルボイミダゾール法、酸化還元法、DCC−additive法等が挙げられる。これらの合成方法は、固相合成及び液相合成の何れにも適用することができる。
これまでの研究により、PACAPは、PAC1受容体を介してcAMP/PKA経路を活性化させ、更にアクアポリン5のリン酸化を誘導することにより涙液分泌を促進していることが明らかとなっている(非特許文献2)。
本発明により、初めて、PACAPは、VPAC1受容体を活性化することにより唾液分泌を促進することが見出された。つまり、PACAPによる涙液分泌促進機構と唾液分泌促進機構は異なることが見出された。
更に、非特許文献3には、PACAPが唾液分泌に関与していることの示唆はあるが、VPAC1受容体が唾液分泌促進に関与しているか否かについては記載も示唆もされていない。よって、本発明のVPAC1受容体活性化剤は、新規性及び進歩性の何れをも有する。
PACAPの製薬学的に許容される塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩;アルミニウム塩;アンモニウム塩等の無機塩基との塩;トリメチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン等の有機塩基との塩;塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸との塩、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマール酸、シュウ酸、酒石酸、乳酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸との塩;タンニン酸、カルボキシメチルセルロース、ポリ乳酸、ポリグリコール酸等の重合酸との塩;等を挙げることができる。
更に、本発明のVPAC1受容体活性化剤は、PACAP誘導体又はその製薬学的に許容される塩を含有することができる。
PACAP誘導体とは、例えば、PACAPのポリペプチド構造中における一部のアミノ酸が削除若しくは置換されたもの、又は、PACAPのポリペプチド構造中に他のアミノ酸が挿入された唾液分泌促進作用を有するものを言う。
PACAP誘導体の製薬学的に許容される塩、合成法等は、前記したPACAPのものと同様のものが使用又は適用できる。
PACAP若しくはPACAP誘導体又はそれらの塩は、単離されたものや精製されたものが好ましく、抽出したものや合成したものが好ましい。
VPAC1受容体活性化剤中のPACAP若しくはPACAP誘導体又はそれらの製薬学的に許容される塩の含有量は、唾液分泌を促進することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。PACAP若しくはPACAP誘導体又はそれらの製薬学的に許容される塩の合計量が、VPAC1受容体活性化剤全体に対して、10−13mol/L〜10−7mol/L含有されていることが好ましく、10−12mol/L〜10−8mol/L含有されていることが更に好ましく、10−11mol/L〜10−9mol/L含有されていることが特に好ましい。
前記PACAP、PACAP誘導体、及びそれらの製薬学的に許容される塩は、何れか1つをVPAC1受容体活性化剤に含有させてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上併用する場合の、前記VPAC1受容体活性化剤中の各々の化合物の含有比については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
また、本発明のVPAC1受容体活性化剤は、PACAP、PACAP誘導体、及びそれらの製薬学的に許容される塩に加えて、「その他の成分」を含有することができる。
前記VPAC1受容体活性化剤における、上記「その他の成分」としては、特に制限はなく、本発明の効果を損なわない範囲内で、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、薬学的に許容され得る担体等が挙げられる。
かかる担体としては、特に制限はなく、例えば、後述する剤型等に応じて適宜選択することができる。また、前記VPAC1受容体活性化剤中の前記「その他の成分」の含有量としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
[ドライマウス予防薬又は治療薬]
本発明のドライマウス予防薬又は治療薬は、前記VPAC1受容体活性化剤を含有する。
本発明のドライマウス予防薬又は治療薬全体に対する、前記VPAC1受容体活性化剤の含有量は、特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができるが、自然免疫活性化剤全体を100質量部としたときに、VPAC1受容体活性化剤が、0.001〜100質量部であることが好ましく、より好ましくは0.01〜99質量部、特に好ましくは0.1〜95質量部、更に好ましくは1〜90質量部である。
本発明のドライマウス予防薬又は治療薬の剤型としては、特に制限はなく、例えば、後述するような所望の投与方法に応じて適宜選択することができる。
具体的には、例えば、経口固形剤(錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等)、経口液剤(内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤等)、注射剤(溶剤、懸濁剤等)、軟膏剤、貼付剤、ゲル剤、クリーム剤、外用散剤、スプレー剤、吸入散布剤等が挙げられる。
前記経口固形剤としては、例えば、前記VPAC1受容体活性化剤に、賦形剤、更には必要に応じて、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味・矯臭剤等の添加剤を加え、常法により製造することができる。
前記賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、微結晶セルロース、珪酸等が挙げられる。
前記結合剤としては、例えば、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、シェラック、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
前記崩壊剤としては、例えば、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖等が挙げられる。
前記滑沢剤としては、例えば、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ砂、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
前記着色剤としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄等が挙げられる。
前記矯味・矯臭剤としては、例えば、白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。
前記経口液剤としては、例えば、前記VPAC1受容体活性化剤に、矯味・矯臭剤、緩衝剤、安定化剤等の添加剤を加え、常法により製造することができる。
前記矯味・矯臭剤としては、例えば、白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。前記緩衝剤としては、例えば、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。前記安定化剤としては、例えば、トラガント、アラビアゴム、ゼラチン等が挙げられる。
前記注射剤としては、例えば、前記VPAC1受容体活性化剤に、pH調節剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、局所麻酔剤等を添加し、常法により皮下用、筋肉内用、静脈内用等の注射剤を製造することができる。
前記pH調節剤及び前記緩衝剤としては、例えば、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等が挙げられる。前記安定化剤としては、例えば、ピロ亜硫酸ナトリウム、EDTA、チオグリコール酸、チオ乳酸等が挙げられる。前記等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、ブドウ糖等が挙げられる。前記局所麻酔剤としては、例えば、塩酸プロカイン、塩酸リドカイン等が挙げられる。
前記軟膏剤としては、例えば、前記VPAC1受容体活性化剤に、公知の基剤、安定剤、湿潤剤、保存剤等を配合し、常法により混合し、製造することができる。
前記基剤としては、例えば、流動パラフィン、白色ワセリン、サラシミツロウ、オクチルドデシルアルコール、パラフィン等が挙げられる。前記保存剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル等が挙げられる。
前記貼付剤としては、例えば、公知の支持体に前記軟膏剤としてのクリーム剤、ゲル剤、ペースト剤等を、常法により塗布し、製造することができる。前記支持体としては、例えば、綿、スフ、化学繊維からなる織布、不織布、軟質塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン等のフィルム、発泡体シート等が挙げられる。
本発明のドライマウス予防薬又は治療薬は、例えば、唾液分泌促進機構の活性化を必要とする個体(例えば、健康維持や唾液分泌を必要とする個体;癌や生活習慣病の予防や治療を必要とする個体;細菌、真菌、ウイルス等に感染した個体;等)に投与することにより使用することができる。
本発明のドライマウス予防薬又は治療薬の投与対象動物としては、特に制限はないが、例えば、ヒト;マウス;ラット;サル;ウマ;ウシ、ブタ、ヤギ、ニワトリ等の家畜;ネコ、イヌ等のペット;等が挙げられる。
また、前記ドライマウス予防薬又は治療薬の投与方法としては、特に制限はなく、例えば、前記VPAC1受容体活性化剤の剤型等に応じ、適宜選択することができ、経口投与、腹腔内投与、血液中への注射、腸内への注入等が挙げられる。
また、前記ドライマウス予防薬又は治療薬の投与量としては、特に制限はなく、投与対象である個体の年齢、体重、所望の効果の程度等に応じて適宜選択することができるが、例えば、成人への1日の投与量は、有効成分の量として、1mg〜30gが好ましく、10mg〜10gがより好ましく、100mg〜3gが特に好ましい。
また、前記ドライマウス予防薬又は治療薬の投与時期としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、予防的に投与されてもよいし、治療的に投与されてもよい。
[作用]
本発明において、VCAP1受容体活性化により、唾液分泌が促進される作用・原理は明らかではなく、また、本発明は、かかる作用・原理の範囲に限定されるわけではないが、以下のことが考えられる。
涙液分泌促進作用メカニズムにおいては、上述のとおり、PACAPがPAC1受容体を介して、cAMP/PKA経路を活性化させ、更に、アクアポリン5のリン酸化を誘導することにより涙液分泌を促進している。しかし、本発明では、意外にも、PAC1受容体ではなく、VPAC1受容体を活性化することにより唾液分泌が促進されることを見出した。
すなわち、PACAPによりVPAC1受容体が活性化されたことにより、唾液分泌促進に関与する分子メカニズムが活性化された結果、唾液分泌が促進された。
以下、実施例及び試験例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例等の具体的範囲に限定されるものではない。
試験例1
<唾液腺における発現量の比較>
唾液腺は、漿液腺である耳下腺、粘液腺である舌下腺、混合腺である下顎腺の3種の大唾液腺と小唾液腺がある。唾液腺は、腺房部、腺房部を覆う筋上皮細胞及び導管部からなり、腺房部では唾液が生成され、その唾液は導管部に集められ口腔に運び唾液が分泌される。また、唾液分泌は交感神経及び副交感神経により調節されている。
まず、蛍光免疫染色法を用い、マウスの耳下腺、舌下腺、下顎腺の8μm凍結切片を使用し、一次抗体としてウサギ抗PACAP抗体(Peninsula Laboratories,Bel-mont,CA,1:1000)、神経マーカーであるマウス抗NeuN抗体(Millipore,Billerica,MA,1:1000)を、二次抗体としてAlexa546標識抗ウサギIgG(Invitroge,Carlsbad,CA,1:400)、Alexa488標識抗マウスIgG(Invitrogen,1:400)を用い、DAPI(1:10000)による核染色後にPACAP陽性反応を観察した。
リアルタイムPCR法ではマウスの耳下腺、下顎腺、舌下腺、脳からtotal RNAを抽出し、逆転写反応によりcDNAを作成した。SYBR GreenによるリアルタイムPCR法により、内部標準であるRplp1 mRNAに対するPACAP、PAC1受容体(「PAC1R」と略記する場合がある)、VPAC1受容体(「VPAC1R」と略記する場合がある)、VPAC2受容体(「VPAC2R」と略記する場合がある)、各々のmRNA発現量を算出し、比較CT法により脳における発現量と比較した。
蛍光免疫染色の観察結果より、舌下腺と下顎腺にはPACAP陽性細胞が認められ、それらはNeuN陽性反応と重なった(図1)。しかし耳下腺にはPACAP陽性細胞を確認することは出来なかった(図示せず)。
更にリアルタイムPCR法により舌下腺、下顎腺のPACAP mRNA発現量は耳下腺よりも多く(図2A)、また舌下腺、下顎腺、耳下腺において3種の受容体のうちVPAC1R mRNAの発現量が最も多いことが認められた(図2B)。
試験例2
<PACAPによる唾液分泌促進>
次に生理食塩水(生食)、PACAP38(ペプチド研究所,大阪,10−6〜10−14M)(以下、単に「PACAP」と略記する場合がある)を非麻酔下のマウス(C57BL/6J、雄、8〜10週齢)に、体重1gあたり5μLの量を、マウスの尾の静脈に注射した(図3A)。ピンセットを用いて綿球をマウスの口の中に1分間入れ、口に入れる前後の綿球重量の差を唾液量とし、投与前、投与後15分、30分、45分、60分の唾液量を測定した(図3B、C)。
生理食塩水又はPACAP(10−6〜10−14M)を投与後15分ごとに唾液量を計測した結果を図4に示す。
生理食塩水投与群と比較してPACAP(10−10M)投与群では、45分、60分後に唾液量が有意に増加した。
試験例3
<唾液分泌促進に関与する受容体の探索>
唾液分泌促進に関与している受容体を明らかにするために、試験例2と同様の操作により、PACAP及びPACAP受容体アンタゴニストを同時投与により唾液分泌の影響を調べた。本実験ではPAC1R、VPAC2RアンタゴニストであるPACAP6−38(ペプチド研究所)、又はVPAC1R、VPAC2RアンタゴニストであるVIP6−28(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO)の2種類のアンタゴニスト(10−8M)とPACAP38(10−10M)の混合溶液を投与して、PACAP単独投与による唾液分泌量の比較を行った。
PACAP及びPACAP受容体アンタゴニストを同時投与後15分ごとの唾液量をPACAP単独投与群と比較した結果を図5に示す。PACAP及びPACAP6−38同時投与群ではPACAP誘導性の唾液分泌促進作用は抑制されなかったが、PACAP及びVIP6−28同時投与群では、投与30分、45分、60分後において唾液量が有意に減少した。以上のことから、VPAC1Rが唾液分泌促進に関与していることが示唆された。
試験例4
<涙液分泌促進に関与する受容体の探索>
PACAPが涙液分泌促進作用を有することは既に報告されている(特許文献10、非特許文献2)。そこで、涙液分泌促進に関与している受容体を明らかにするために、PACAP単独でマウスに点眼したときと、PACAP及びPACAP受容体アンタゴニストであるPACAP6−38又はVIP6−28を同時に投与したときの、涙液分泌の比較を行った。
8〜10週齢のC57BL/6Jマウスの両眼に点眼し、綿糸法により涙液量を測定した。
生理食塩水、PACAP単独、PACAP受容体アンタゴニスト(PACAP6−38、VIP6−28)単独、及びPACAP及びPACAP受容体アンタゴニストの混合溶液を投与後15分ごとに涙液量を測定した結果を図6に示す。
図6の結果より、PACAPの涙液分泌促進作用はPACAP6−38を同時に投与することにより抑制されたが、VIP6−28を同時に投与したときは抑制されなかった。以上のことから、PAC1受容体が涙液分泌促進に関与していることが示唆された。
本発明により、PACAPは、VPAC1受容体を活性化することにより唾液分泌促進が誘導されることが示唆された。PACAPは、PAC1受容体を活性化することにより涙液分泌促進を誘導するが、涙液分泌促進メカニズムとは異なるメカニズムにより唾液分泌促進が誘導されていることが示唆された。
また、PACAPの製薬学的に許容される塩、PACAP誘導体又はその製薬学的に許容される塩についても、VPAC1受容体を活性化することにより唾液分泌促進が誘導される可能性が示唆された。
また、本発明により、唾液腺の神経細胞にPACAPが発現していることを明らかになった。この結果は、内因性のPACAPが自律神経による唾液分泌調節に関連していることを示唆している。
また、リアルタイムPCR法において、マウス唾液腺にVPAC1受容体が最も多く発現することが確認できた。これまでにヒトの唾液腺においてVPAC1R mRNAの発現が最も多いことが確認されている。本発明により、マウスにおいてPACAPがVPAC1受容体を活性化することにより唾液分泌を促進する可能性が示唆されたことから、ヒトにおいてもPACAPはVPAC1Rを活性化することにより唾液分泌を促進すると考えられる。
本発明のVPAC1受容体活性化剤は、唾液分泌促進剤として、ドライマウス、嚥下障害等の症状改善のための医薬として利用できるほか、口腔ケア商品、唾液分泌促進を目的とした機能性食品として、広く利用可能である。
また、本発明の利用可能性は、唾液分泌量が減少する高齢者の増加に伴い、ますます高まるものである。

Claims (1)

  1. 唾液腺に存在するVPAC1受容体活性化用である唾液腺VPAC1受容体活性化剤を含有する唾液腺VPAC1受容体活性化ドライマウスの予防薬又は治療薬であって、
    該唾液腺VPAC1受容体活性化剤は、PACAP又はその製薬学的に許容される塩であり、10−11mol/L〜10−9mol/Lの範囲で、該PACAP又はその製薬学的に許容される塩を含有することを特徴とする唾液腺VPAC1受容体活性化ドライマウスの予防薬又は治療薬。
JP2014107962A 2014-05-26 2014-05-26 Vpac1受容体活性化剤及びドライマウスの予防薬又は治療薬 Active JP6388791B2 (ja)

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