以下に、本発明の実施の形態によるシーン判別装置の一例について、図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態によるシーン判別装置を備える撮像装置の一例についてその構成を示す断面図である。
図示の撮像装置は、例えば、レンズ交換可能な一眼レフカメラ(以下単にカメラと呼ぶ)であり、カメラ本体1、交換レンズユニット(以下単に交換レンズと呼ぶ)2、および発光装置(以下フラッシュ装置と呼ぶ)3を有している。
カメラ本体1には、撮像素子12が備えられており、この撮像素子12は、例えば、CMOS又はCCDなどのエリア蓄積型の撮像素子である。撮像素子12の前面側には光学ローパスフィルター11が配置され、光学ローパスフィルター11の前にはメカニカルシャッター10が配置されている。
メカニカルシャッター10の前段には半透過性の主ミラー13が配置されている。そして、メカニカルシャッター10と主ミラー13との間には第1の反射ミラー14が配置されている。これら主ミラーおよび第1の反射ミラー14は、撮影の際には、図中上方に跳ね上がる。つまり、主ミラーおよび第1の反射ミラー14は、撮影の際には、光軸から退避する。
第1の反射ミラー14で反射した光の光軸上には、近軸的結像面15が規定され、この近軸的結像面15は第1の反射ミラー14に関して撮像素子12の結像面と共役な位置にある。
第2の反射ミラー16は第1の反射ミラー14で反射した光を反射して、焦点検出用センサー(AFセンサー)20に導く。第2の反射ミラー16と焦点検出用センサー20との間には、赤外カットフィルター17、絞り18、および2次結像レンズ19が配置されている。
なお、絞り18には2つの開口部が形成されている。焦点検出用センサー20は、例えば、CMOS又はCCDなどのエリア蓄積型光電変換素子を備えている。
図2は、図1に示す焦点検出用センサー20の一例についてその構成を示す図である。
焦点検出用センサー20は、図1に示す絞り18の2つの開口部にそれぞれ対応する受光センサー部20Aおよび20Bを有している。そして、これら受光センサー部20Aおよび20Bはそれぞれ多数の受光部に分割されている。
さらに、図示はしないが、焦点検出用センサー20は信号蓄積および信号処理用の周辺回路などが備えられ、これら周辺回路は受光センサー部20Aおよび20Bとともに、同一チップ上に集積されている。
なお、第1の反射ミラー14、第2の反射ミラー16、赤外カットフィルター17、絞り18、2次結像レンズ19、および焦点検出用センサー20までの構成によって、特開平9−184965号公報に記載されているように、撮影画面における任意の位置で所謂像ずれ方式による焦点検出を行うことができる。
主ミラー13の上方には、拡散性を有するピント板21が配置され、ピント板21の上側にはペンタプリズム22が配置されている。そして、プリズム22を通過した光は接眼レンズ23に入射する。
プリズム22の近傍には第3の反射ミラー24が配置され、第3の反射ミラー24で反射した光は集光レンズ25を介して測光用センサー26に導かれる。なお、測光用センサー26は被写体の輝度を示す輝度情報および色を示す色情報を得るためのものである。そして、測光用センサー26は、例えば、CMOS又はCCDなどのエリア蓄積型光電変換素子を有している。
図3は、図1に示す測光用センサー26の一例についてその構成を説明するための図である。そして、図3(a)は測光用センサー26の受光面を複数の領域に分割した測光領域を示す図であり、図3(b)は測光領域の各々に配置されたカラーフィルタの一例を示す図である。
図3(a)において、測光用センサー20はその受光面が複数の領域に分割されて、複数の測光領域が規定されている。そして、測光用センサー20は、測光領域毎に被写体に関する輝度情報および色情報を出力する。図示の例では、受光面は5行×7列の35の領域に分割されており、測光領域PD1〜PD35が形成されている。
測光領域PD1〜PD35の各々は、図3(b)に示すように、複数の受光部画素を有しており、測光領域PD1〜PD35の各々には、所定の配列を有するカラーフィルタが配置されている。
図示の例では、B(青)、G(緑)、およびR(赤)の原色およびIR(濃赤〜近赤外)の4分光色がストライプ状に配列された原色カラーフィルタ261が測光領域PD1〜PD35の各々に配置されている。
なお、測光用センサー26の分光特性に関して後述するが、測光用センサー26は受光部画素の他に信号増幅および信号処理用の周辺回路などが同一チップ上に集積されている。
再び図1を参照して、ピント板21、ペンタプリズム22、および接眼レンズ23によってファインダー光学系が形成される。測光用センサー(AEセンサー)26には主ミラー13によって反射され、さららにピント板21によって拡散された光のうち光軸外の一部が入射する。
カメラ本体1には交換レンズ(撮影レンズともいう)2を取り付けるためのマウント部27が設けられている。そして、このマウント部27には撮影レンズ2と通信を行うための接点部28が形成されている。さらに、カメラ本体1の上面にはフラッシュ装置3を取り付けるための接続部29が設けられている。
交換レンズ2は光学レンズ30a〜30eを備えるとともに、絞り31を有している。さらに、交換レンズ2の後端面には、カメラ本体1と通信を行うための接点部32が設けられるとともに、交換レンズ2をカメラ本体1に取り付けるためのマウント部33が設けられている。
フラッシュ装置3は、発光部であるキセノン管34を有しており、このキセノン管34は、例えば、反射笠35の焦点位置に配置される。キセノン管34の前側には集光用のフレネルレンズ36が配置されている。
フラッシュ装置3には、キセノン管34の発光量をモニターするためのモニターセンサー(発光モニター部ともいう)37が備えられている。そして、フラッシュ装置3には、フラッシュ装置3をカメラ本体1に取り付けるための取り付け部38が形成されている。
図5は、図1に示すカメラにおける制御系統の一例を説明するためのブロック図である。なお、図5において、図1に示す構成要素と同一の構成要素については同一の参照番号を付す。
カメラ本体1には、カメラ制御部41が備えられている。カメラ制御部41は、例えば、演算装置(ALU)、ROM、RAM、A/Dコンバータ、タイマー(Timer)、およびシリアル通信ポート(SPI)を内蔵するワンチップマイクロコンピュータである。そして、カメラ制御部41はカメラ全体の制御を行う。
タイミングジェネレータ(TG)42は、カメラ制御部41の制御下で測光用センサー(AEセンサー)26における電荷蓄積および電荷読み出しを制御するためのタイミング信号を生成する。焦点検出用センサー(AFセンサー)20および測光用センサー(AEセンサー)26の出力信号は、カメラ制御部41に備えられたA/Dコンバータの入力端子に入力される。
信号処理回路43は、カメラ制御部41の制御下で撮像素子12を駆動制御して撮像素子12の出力である画像信号(撮像信号)をA/D変換した後、所定の信号処理を行って画像データとする。さらに、信号処理回路43は、画像データを記録する際には、圧縮処理などの所定の画像処理を行う。
メモリ44は、例えば、DRAMであり、信号処理回路43による信号処理の際のワーク用メモリとして用いられる。さらに、メモリ44は、表示器45に画像を表示する際のVRAMとして用いられる。
表示器45は、例えば、液晶パネルで構成されており、表示器45には各種の撮影情報および撮像の結果得られた画像が表示される。そして、カメラ制御41は表示器45を点灯制御する。記憶部46は、例えば、フラッシュメモリ又は光ディスク等を備えており、信号処理回路43は画像データを記憶部46に記憶する。
図示のように、カメラ制御部41には第1のモータードライバー47、レリーズスイッチ(SW)49、およびシャッター駆動部50が接続されている。第1のモータードライバー47は、カメラ制御部41の制御下で、主ミラー13および第1の反射ミラー14のアップ・ダウン、そして、メカニカルシャッター10のチャージを行うための第1のモーター48を駆動する。
レリーズSW49はカメラ制御部41に対して撮影開始を指示するためのスイッチである。シャッター駆動部50は、カメラ制御部41の制御下でメカニカルシャッター10を駆動する。
カメラ本体1に備えられた接点部28は、カメラ制御部41に備えられたSPIに接続される。さらに、カメラ本体1に備えられた接続部29は、カメラ制御部41に備えられたSPIに接続される。
交換レンズ2には、レンズ制御部51が備えられている。レンズ制御部51は、例えば、ALU、ROM、RAM、タイマー、およびSPIを内蔵するワンチップマイクロコンピュータである。第2のモータードライバー52は、レンズ制御部51の制御下で、焦点調節を行うための第2のモーター53を駆動する。第3のモータードライバー54は、レンズ制御部51の制御下で絞り31の駆動するための第3のモーター55を駆動する。
レンズ制御部51には、距離エンコーダー56およびズームエンコーダー57が接続されている。距離エンコーダー56は焦点調節レンズ(つまり、フォーカスレンズ)の繰り出し量、つまり、被写体距離を示す被写体距離情報を得る。ズームエンコーダー57は交換レンズ2に備えられたズームレンズの移動に応じて撮影の際に焦点距離を示す焦点距離情報を得る。接点部32はレンズ制部51に備えられたSPIに接続される。
交換レンズ2がカメラ本体1に装着されると、接点部28および32が接続される。これによって、レンズ制御部51はカメラ制御部41とデータ通信が可能となる。そして、レンズ制御部51は、焦点検出(つまり、測距)および露出演算(つまり、測光)を行うために必要なレンズ固有の光学報、被写体距離情報、および焦点距離情報をカメラ制御部41に送る。
カメラ制御41は焦点検出および露出演算によって得られた焦点調節情報および絞り情報をレンズ制御部51に送る。レンズ制御部51は焦点調節情報に応じて第2のモータードライバー52を制御するとともに、絞り情報に応じて第3のモータードライバー54を制御する。
フラッシュ装置3には、フラッシュ制御部61が備えられている。図示はしないが、フラッシュ制御部61は、例えば、ALU、ROM、RAM、A/Dコンバータ、タイマー、およびSPIを内蔵するワンチップマイクロコンピュータである。昇圧部62は、発光部34であるキセノン管の発光に必要な300V程度の高圧電圧を生成して、当該高圧電圧で充電を行う。
フラッシュ装置3がカメラ本体1に装着されると、接続部38および29が接続されて、フラッシュ制御部61はカメラ制御部41とデータ通信が可能となる。フラッシュ制御部61はカメラ制御部41の制御下で昇圧部62を制御して、キセノン管34の発光開始および発光停止を行う。さらに、フラッシュ制御部61は、モニターセンサー37による検出結果をカメラ制御41に送る。
図5は、図4に示すカメラにおける撮影処理の一例を説明するためのフローチャートである。なお、図示のフローチャートに係る処理は、カメラ制御部41の制御下で行われる。
いま、カメラに備えられた電源スイッチ(図示せず)がオンされると、カメラ制御部41が動作可能となる。そして、カメラ制御部41はレンズ制御部51から測距および測光に必要なレンズ情報を得る(ステップS101:レンズ通信)。
続いて、カメラ制御部41はTG42によって焦点検出用センサー20を制御して電荷蓄積(信号蓄積)を行い、信号蓄積が終了すると焦点検出用センサー20に蓄積された信号(つまり、電荷)を読み出す(ステップS102)。そして、カメラ制御部41は信号電荷をA/D変換して焦点検出用データを得て、焦点検出用データに対してシェーディング補正などのデータ補正を行う。
次に、カメラ制御部41はレンズ情報および焦点検出用データに応じて焦点検出領域毎に焦点検出を行って焦点検出結果を得る(ステップS103)。そして、カメラ制御部41は、合焦させるべき焦点検出領域を決定する。
焦点検出領域の決定に当たっては、例えば、カメラ制御部41はユーザーに指定された焦点検出領域を合焦させるべき焦点検出領域として決定する。なお、カメラ制御部41は、主被写体領域を合焦させるべき焦点検出領域として決定するようにしてもよい。
カメラ制御部41は合焦させるべき焦点検出領域における焦点検出結果に応じて合焦状態とするためのレンズ移動量を算出する。そして、カメラ制御部41は、当該レンズ駆動量をレンズ制御部51に送る。レンズ制御部51は、レンズ駆動量に基づいて第2のモータードライバー52を制御して第2のモーター53によって焦点調節用レンズを駆動する(ステップS103)。これによって、交換レンズ2は主被写体に対して合焦状態となる。
この際、焦点調節用レンズの駆動によって被写体距離情報が変化するので、レンズ制御部51はレンズ情報を更新する。
続いて、カメラ制御部41はTG42を制御して測光用センサー26について蓄積制御および信号読み出し制御を行う(ステップS104)。これによって、測光用センサー26は所定の時間の電荷蓄積を行って信号電荷を出力する。カメラ制御部41は当該信号電荷をA/D変換して測光用データとしてRAMに格納する。
次に、カメラ制御部41は、RAMに格納した測光用データに基づいて、後述するようにして、所定の露出演算処理を行うとともに、フラッシュ撮影を行うか否かの判定処理を行う(ステップS105)。
ステップS105の処理に応じて、カメラ制御部41はフラッシュ撮影を行うか否か、つまり、フラッシュを使用するか否かを判定する(ステップS106)。フラッシュを使用すると判定すると(ステップS106において、YES)、カメラ制御部41は、フラッシュ制御部61を制御して、昇圧部62を動作させてフラッシュ発光に十分な高圧電圧を充電する(ステップS107:フラッシュ充電)。
次に、カメラ制御部41はレリーズSW49がオンとなったか否かを確認する(ステップS108)。レリーズSW49がオンとならないと(ステップS108において、NO)、カメラ制御部41はステップS101の処理に戻る。
レリーズSW49がオンとなると(ステップS108において、YES)、カメラ制御部41は、前述のステップS105においてフラッシュ撮影を行うと判定したか否かをチェックする(ステップS109)。フラッシュ撮影を行うと判定されている場合には(ステップS109において、YES)、カメラ制御部41はフラッシュ制御部61に対してフラッシュ予備発光を指示する(ステップS110)。
これによって、フラッシュ制御部61はキセノン管34を発光させる(予備発光)。そして、フラッシュ制御部61はモニターセンサー37から出力信号を監視して、キセノン管34による発光量が予め設定された予備発光量となるようにキセノン管34の発光を制御する。
予備発光が行われると、カメラ制御部41は、TG42を制御して測光用センサー26について所定の電荷蓄積制御および信号読み出し制御を行う。これによって、測光用センサー26は、所定の時間、電荷蓄積を行って信号電荷を出力する。そして、カメラ制御部41は、信号電荷をA/D変換して、発光測光用データに応じて、既知の手法によってフラッシュ本発光量を決定する本発光量演算を行う(ステップS110)。
続いて、カメラ制御部41は第1のモータードライバー47によって第1のモーター48を駆動し主ミラー13および第1の反射ミラー14を跳ね上げる(光軸から退避させる)。そして、カメラ制御部41は前述の露出演算処理で得られた絞り31の開度を示す絞り制御情報をレンズ制御部51に送る。
レンズ制御部51は絞り制御情報に基づいて第3のモータードライバー54によって第3のモーター55を駆動制御して絞り31を駆動する(ステップS111)。これによって、交換レンズ(撮影レンズ)2は絞り込み状態となる。
なお、フラッシュ撮影を行わないと判定されている場合には(ステップS109において、NO)、カメラ制御部41は、ステップS111の処理に進む。
続いて、カメラ制御部41はシャッター駆動部50によってシャッター10を開放状態とする(ステップS112)。これによって、撮像素子12には撮影レンズ2から光線(光学像)が入射し撮像が行われる(ステップS112)。
ここでは、カメラ制御部41は、前述の露出演算処理で得られたシャッター制御時間および撮像感度に応じて電荷蓄積時間および読み出しゲインを設定して、信号処理回路43によって撮像素子12の電荷蓄積制御および信号読み出し制御を行う。
フラッシュ撮影を行う際には、撮像のタイミングに同期して、カメラ制御部41はフラッシュ制御部61にフラッシュ発光指示を送る。フラッシュ制御部61はフラッシュ発光指示に応じてキセノン管34を発光させて、モニターセンサー37の出力信号を監視しつつ、キセノン管34の発光量がステップS110で得られた本発光量となるようにキセノン管34の発光を制御する。これによって、フラッシュ発光を用いた撮像が行われる。
撮像が終了すると、カメラ制御部41はシャッター駆動部50によってシャッター10を遮光状態とする(ステップS113)。これによって、撮像素子12に入射する光学像が遮断される。
さらに、カメラ制御部41はレンズ制御部51に絞り31を開放する指示を行う。これによって、レンズ制御部51は第3のモータードライバー54によって第3のモーター55を駆動制御して、絞り31を開放状態とする(ステップS113)。また、カメラ制御部41は第1のモータードライバー47によって第1のモーター48を駆動制御し、主ミラー13および第1の反射ミラー14をダウンさせる(ステップS113)。
続いて、カメラ制御部41は信号処理回路43によって撮像素子12の出力である画像信号をA/D変換した後、所定の補正処理および補間処理を行う(ステップS114)。さらに、カメラ制御部41は信号処理回路43によってホワイトバランス処理を行う(ステップS115)。
例えば、信号処理回路43は画像を複数の領域に分割して、領域毎の色差信号に応じて被写体の白色領域を抽出する。そして、信号処理回路43は当該白色領域に基づいて画像全体における赤チャンネルおよび青チャンネルについてゲイン補正してホワイトバランス処理を行う。
カメラ制御部41は信号処理回路43によってホワイトバランス処理後の画像データを記録ファイルフォーマットに圧縮変換した後、記憶部46に記憶する。そして、カメラ制御部41は撮影処理を終了する。
図6は、図5に示す露出演算処理およびフラッシュ使用判定処理を説明するためフローチャートである。
図5で説明したようにして、RAMに測光用データが格納される。カメラ制御部41は、測光領域(ブロック)PD1〜PD35毎にB、G、およびR成分(分光成分)を加算処理して積分値B(i)、G(i)、およびR(i)を求める(ステップS151)。そして、カメラ制御部41は、積分値B(i)、G(i)、およびR(i)にそれぞれ所定の係数(y1〜y3)を乗算して、次の式(1)に示すように、測光領域毎の被写体輝度情報Yr(i)を求める。
Yr(i)=y1×B(i)+y2×G(i)+y3×R(i) (1)
但し、i=1〜35であり、y1+y2+y3=1である。
ここでは、係数y1を0.2程度、係数y2を0.5程度、y3を0.3程度として、視感度又は撮像素子12の分光感度に測光用センサー26の検出輝度の分光特性が近づくようにする。なお、被写体輝度情報Yr(i)の算出に当たって、赤外IR(i)を考慮することもある。
カメラ制御部41は、次の式(2)に示すように、測光領域PD1〜PD35毎の被写体輝度情報Yr(i)を、2を底とする対数圧縮系に変換関数処理を行う。さらに、カメラ制御部41はレンズ情報に応じた光学的特性に基づいて測光領域毎の輝度情報S(i)で補正する補正処理を行って、対数圧縮系における被写体輝度情報Y(i)を求める。
Y(i)=log2{Yr(i)}×S(i) (2)
なお、一般に、シャッター速度および絞り値は対数系列のステップで設定されるので、上述のように、カメラ制御部41は対数圧縮系における被写体輝度情報Y(i)を求める。
続いて、カメラ制御部41は、測光領域PD1〜PD35の各々について、被写体輝度情報Y(i)に基づいて高輝度領域であるか否かを判定する。つまり、カメラ制御部41は、測光領域PD1〜PD35の各々について、被写体輝度情報Y(i)に基づいて高輝度領域を検出することになる(ステップS152)。
ここでは、例えば、カメラ制御部41は、行方向において被写体輝度情報Y(i)が示す輝度値の平均値(行平均値)を求めて、これら行平均値のうち最大値を示す行に位置する測光領域を高輝度領域とする。さらに、カメラ制御部41は、列方向において被写体輝度情報Y(i)が示す輝度値の平均値(列平均値)を求めて、これら列平均値のうち最大値を示す列に位置する測光領域を高輝度領域とする。
なお、カメラ制御部41は、水平方向(行方向)の3領域と垂直方向(列方向)の3領域との合計9領域(測光領域群)について、被写体輝度情報Y(i)が示す輝度値に応じてその平均値を求める。そして、カメラ制御部41はこれら平均値のうち最大値を示す測光領域群を高輝度領域として検出するようにしてもよい。
次に、カメラ制御部41は、被写体輝度情報Y(i)を用いて画像全体の平均輝度値Yaを求める(ステップS153)。ここでは、カメラ制御部41は、例えば、被写体輝度情報Y(i)が示す輝度値を単純平均して平均輝度値Yaを求める。なお、カメラ制御部41は、画像の中央部又は前述の合焦領域における重み付けを他の測光領域における重み付けよりも大きくして平均輝度値Yaを求めるようにしてもよい。
続いて、カメラ制御部41は、積分値B(i)、G(i)、およびR(i)に基づいて、画像全体における平均色値Ba、Ga、Ra、およびIRaを計算する(ステップS154)。なお、平均色値IRaは赤外値IR(i)を単純平均値して求められる。さらには、画像の中央部又は前述の合焦領域における重み付けを他の測光領域における重み付けよりも大きくして平均色値IRaを求めるようにしてもよい。そして、平均色値Ba、Ga、およびRaの各々についても同様に求められる。
次に、カメラ制御部41は平均輝度値Yaが予め定められた第1の条件を満たし、かつ平均色値IRa(以下平均IR値(平均赤外値)ともいう)が予め定められた第2の条件を満たすか否かを判定する(ステップS155)。
ステップS155の処理においては、カメラ制御部41は撮影シーンがキャンドルシーン(蝋燭の光のみで主被写体が照らされるシーン)らしいシーンであるか否かについて、被写体輝度およびIR分光の感度に応じて判定する。ここでは、カメラ制御部41は、平均輝度値Yaが、例えば、日中の屋外のように高い輝度値(所定の輝度値以上)であると第1の条件を満たさないとする。つまり、カメラ制御部41は、平均輝度値Yaが所定の輝度値よりも小さい場合に所定の条件を満たすと判定する。さらに、カメラ制御部41は、平均色値IRaについては、平均輝度値Yaとの比率が所定の値以上であると第2の条件を満たすと判定する。
図7は、光源の分光特性を説明するための図である。そして、図7(a)は光源の分光特性を概略的に示す図であり、図7(b)はB(青)、G(緑)、R(赤)、およびIR(濃赤〜近赤外)の分光特性を示す図である。
図7(a)において、横軸は光の波長を示し、その単位はnmである。縦軸は相対的な光の強度を示す。実線で示す分光特性81は、ろうそく光の分光特性を示し、可視光領域のうち短波長側の光強度が低く、長波長になる程光強度が高くなる。そして、分光特性81は近赤外領域における光強度も高い。
破線で示す分光特性82はタングステン電球光の分光特性を示し、ろうそく光と同様に可視光領域のうち短波長側の光強度が低く、長波長になる程光強度が高くなる。そして、分光特性82は近赤外領域においても光強度がより高くなる傾向がある。
破線で示す分光特性83は電球色蛍光灯の分光特性を示し、電球色蛍光灯では蛍光体による輝線スペクトルが幾つか組み合わされて発光している。これによって、電球色蛍光灯においては、相対的に青色および緑色に対して赤色の輝線スペクトルピークを高めて暖色系の発光色としている。そして、分光特性83においては650nmを超える濃赤〜赤外域波長成分はごくわずかしか含まれていない。
なお、蛍光体による輝線スペクトルが幾つか組み合わされて発光している電球色LEDの分光特性も電球色蛍光灯の分光特性に類似する。
図7(b)において、横軸は光の波長を示し、その単位はnmである。また、縦軸は相対的な光の強度を示す。破線で示す分光特性91はB(青)分光画素の分光特性を示し、破線で示す分光特性92はG(緑)分光画素の分光特性を示す。また、一点鎖線で示す分光特性93はR(赤)分光画素の分光特性を示し、実線で示す分光特性94はIR(濃赤〜近赤外)分光画素の分光特性を示す。図示のように、IR(濃赤〜近赤外)分光画素は凡そ650nmを超える長波長領域の光を選択する。
一般に、測光用センサー(カラー撮像センサー)はB(青)、G(緑)、およびR(赤)の3分光画素を有している。このようなカラー撮像センサーにおいて、図7(a)に示す3種の光源で照明された被写体を測光すると、いずれの光源下においてもB(青)、G(緑)、およびR(赤)の出力比率が類似する値となって光源を区別することが難しい。
一方、カラー撮像センサーがIR(濃赤〜近赤外)分光画素を有する場合には、濃赤〜近赤外成分が殆ど存在しない電球色蛍光灯および電球色LEDと、濃赤〜近赤外成分が一定以上存在するろうそく光又はタングステン電球光とを区別することが容易となる。
再び図6を参照して、平均輝度値Yaが第1の条件を満足し、かつ平均色値IRaが第2の条件を満足すると(ステップS155において、YES)、カメラ制御部41は撮影シーンがキャンドルシーンである可能性があるとする。そして、カメラ制御部41は平均色値Ba、Ga、およびRaを用いて、比率Ra/GaおよびBa/Gaを求める。その後、カメラ制御部41は比率Ba/Gaに対して比率Ra/Gaが予め定められた一定の値(判定閾値)以上であるか否かを判定する(ステップS156)。比率Ba/Gaに対して比率Ra/Gaが予め定められた一定の値(判定閾値)以上であるか否かは、例えば、比率Ba/Gaと比率Ra/Gaの差の絶対値が一定の値(判定閾値)以上であるかで判定すればよい。あるいは、比率Ba/Gaに対して比率Ra/Gaが予め定められた一定の値(判定閾値)以上であるか否かの代わりに、平均色値BaおよびRaを用いて比率Ra/Baを求めて、比率Ra/Baが一定の値(判定閾値)以上であるかで判定してもよい。
ここでは、撮影シーンキャンドルシーンであれば、画像全体に赤みが多く、青味が少ないことになり、比率Ba/Gaに対して比率Ra/Gaが予め定められた一定の値以上であれば、撮影シーンはキャンドルシーンであると判定される。但し、衣服の色などの被写体の色によっても上記の比率は変化するので、判定閾値には被写体の色などを考慮して設定される。
比率Ba/Gaに対して比率Ra/Gaが判定閾値以上であると(ステップS156において、YES)、カメラ制御部41は平均輝度値Yaの時間変化を求めて、平均輝度Yaの輝度の時間変化に周期性があるか否かをチェックする(ステップS157)。つまり、カメラ制御部41は平均輝度Yaの時間的変化が不規則でかつ低周波の明/暗変化が存在するか否かをチェックすることになる。
図8は、光源の発光強度の周期的変化説明するための図である。そして、図8(a)は光源の一つである蛍光灯の発光強度の周期的変化を示す図であり、図8(b)は光源の一つであるタングステン電球の発光強度の周期的変化を示す図である。
商用電源で駆動される蛍光灯などにはフリッカーと呼ばれる発光強度の周期的変化が存在することが知られている。図8(a)および図8(b)において、横軸は時間(秒)を示し、縦軸は相対的な発光強度を示す。50Hzの商用電源で駆動される蛍光灯においては、電源周波数の2倍の100Hz、つまり、0.1秒周期の規則性をもって発光強度の明/暗変化が生じる(図8(a)参照)。
一方、商用電源で駆動されるタングステン電球においてはフィラメントの残光効果によって蛍光灯のようにはっきりとしたフリッカーは観測されず、振幅が小さい周期的な発光強度の明/暗変化が存在する(図8(b)参照)。
また、ろうそくは商用電源で駆動されるわけではないので、電源周波数に依存する周期性を有する発光強度の明/暗変化は存在せず、周辺の空気の対流などに起因する炎のゆらぎによる不規則かつ低周波の明/暗変化が存在する。
平均輝度値Yaの時間変化を、例えば、1ms〜2ms程度の間隔で一定の時間検出して、発光強度の明/暗変化の強度および周期を観測すれば、撮影シーンに商用電源に依存する周期的フリッカーが存在するか又は不規則な明/暗変化が存在するかを判定することができる。
再び図6を参照して、平均的輝度値Yaの時間変化が不規則でかつ低周波の明/暗変化が存在すると(ステップS157において、YES)、カメラ制御部41は、前述のようにして検出した高輝度領域が明るくなり過ぎないようにするため、測光領域PD1〜PD35の被写体輝度情報Y(i)に応じて高輝度領域について重み付けを大きくする。そして、カメラ制御部41は重み付け平均演算を行って平均被写体輝度値(以下単に被写体輝度値と呼ぶ)Bv(A)を求める(ステップS158)。
なお、被写体輝度値Bv(a)を求める際には、カメラ制御部41は測光領域PD1〜PD35から高輝度領域を含む所定の範囲の測光領域を選択して、当該選択した測光領域のみの被写体輝度情報を用いて被写体輝度値Bv(A)を求めるようにしてもよい。さらには、カメラ制御部41は平均輝度値Yaと高輝度領域の輝度値との差分を求める。そして、カメラ制御部41は当該差分に所定の係数を乗算して、その乗算結果と平均輝度値Yaとを加算した加算値を被写体輝度値をBv(A)とするようにしてもよい。
続いて、カメラ制御部41は被写体輝度値Bv(A)に基づいて、キャンドルシーン用のプログラム線図を用いてシャッター速度、絞り値、および撮影感度などの露出因子(制御値)を決定する(ステップS159)。さらには、カメラ制御部41は、後述するようにして、フラッシュを使用するか否かを判定する。
図9は、図4に示すカメラで用いられるキャンドルシーン用プログラム線図である第1の線図の一例を示す図である。
図9において、横軸は被写体輝度値Bv(A)を示し、縦軸はそれぞれシャッター速度(Tv)、絞り値(Av)、および撮影感度(ISO)を示す。
いま、被写体輝度値Bv(A)=4であると、図9においてはシャッター速度(Tv)は1/60秒、絞り値(Av)はF2.8、そして、撮影感度(ISO)はISO100とされる。
一方、被写体輝度値Bv(A)が4よりも明るい場合には、撮影感度はISO100に固定され、シャッター速度(Tv)および絞り値(Av)はそれぞれ被写体輝度Bv(A)が1段明るくなる毎に、0.5段分変化させる。被写体輝度値Bv(A)が−1以上で4未満の範囲においては、シャッター速度(Tv)は1/60秒、絞り値(Av)はF2.8に固定され、撮影感度をISO3200からISO100の範囲で変化させる。
被写体輝度値Bv(A)が−1以上の場合には、カメラ制御部41は自然光撮影で適正露出できる判定してフラッシュ発光を行わない。被写体輝度値Bv(A)が−1未満になると、カメラ制御部41はシャッター速度(Tv)を1/60秒、絞り値(Av)をF2.8、そして、撮影感度をISO3200に固定として、フラッシュ撮影を行うと判定する。
図示の例では、キャンドルシーンにおける撮影感度の上限をISO3200とし、手振れおよび被写体ぶれなどを考慮してシャッター速度(Tv)の低速限界を1/60秒、撮影レンズの開放又は被写体深度などに応じて最大F値を2.8としている。
ステップS159の処理を終了すると、カメラ制御部41は、図5に示すステップS106の処理に進む。
平均輝度値Yaが第1の条件を満足し、かつ平均色値IRaが第2の条件を満足しないと(ステップS155において、NO)、カメラ制御部41は、画像中央部又は合焦領域について重み付けを大きくして測光領域PD1〜PD35の被写体輝度情報Y(i)に応じて重み付け平均演算を行って被写体輝度値Bv(A)を求める(ステップS160)。
続いて、カメラ制御部41は被写体輝度値Bv(A)に基づいて、通常シーン用のプログラム線図を用いてシャッター速度、絞り値、および撮影感度などの露出因子(制御値)を決定する(ステップS161)。さらには、カメラ制御部41は、後述するようにして、フラッシュを使用するか否かを判定する。
図10は、図4に示すカメラで用いられる通常用のプログラム線図である第2の線図の一例を示す図である。
図10において、横軸は被写体輝度値Bv(A)を示し、縦軸はそれぞれシャッター速度(Tv)、絞り値(Av)、および撮影感度(ISO)を示す。
いま、被写体輝度値Bv(A)=4であると、図10においてはシャッター速度(Tv)は1/60秒、絞り値(Av)はF2.8、そして、撮影感度(ISO)はISO100とされる。
一方、被写体輝度値Bv(A)が4よりも明るい場合には、撮影感度はISO100に固定され、シャッター速度(Tv)および絞り値(Av)はそれぞれ被写体輝度Bv(A)が1段明るくなる毎に、0.5段分変化させる。被写体輝度値Bv(A)が1以上で4未満の範囲においては、シャッター速度(Tv)は1/60秒、絞り値(Av)はF2.8に固定され、撮影感度をISO800からISO100の範囲で変化させる。
被写体輝度値Bv(A)が1以上の場合には、カメラ制御部41は自然光撮影で適正露出できる判定してフラッシュ発光を行わない。被写体輝度値Bv(A)が1未満になると、カメラ制御部41はシャッター速度(Tv)を1/60秒、絞り値(Av)をF2.8、そして、撮影感度をISO800に固定として、フラッシュ撮影を行うと判定する。
図示の例では、通常シーンにおける撮影感度の上限をISO800とし、手振れおよび被写体ぶれなどを考慮してシャッター速度(Tv)の低速限界を1/60秒、撮影レンズの開放又は被写体深度などに応じて最大F値を2.8としている。
ステップS161の処理を終了すると、カメラ制御部41は、図5に示すステップS106の処理に進む。
なお、比率Ba/Gaに対して比率Ra/Gaが判定閾値未満であると(ステップS156において、NO)、カメラ制御部41はステップS160の処理に進む。また、平均的輝度値Yaの時間変化が不規則でかつ低周波の明/暗変化が存在しないと(ステップS157において、NO)、カメラ制御部41はステップS160の処理に進む。
ここで、図10に示す第2の線図と図9に示す第1の線図とを比較すると、自然光撮影とフラッシュ撮影とを切り替える被写体輝度値Bv(A)が異なる。第2の線図においては、撮影感度の上限をISO800としているので、被写体輝度値Bv(A)が1未満になるとフラッシュ撮影に切り替わるが、第1の線図においては撮影感度の上限をISO3200としているの、より低輝度である被写体輝度値Bv(A)が−1未満になるとフラッシュ撮影に切り替わる。
撮影感度を高くするとその分画像ノイズなどが増加することがあるが、キャンドルシーンにおいては自然光撮影を行った方が見た目に近い良好な雰囲気の画像を得ることができる。
このように、本発明の実施の形態では、撮影シーンがキャンドルシーンなどの特定のシーンであるか否かを判別して、その判別結果に応じて、露出制御およびフラッシュ制御の際に用いるプログラム線図を変更する。これによって、特定のシーンであるか否かに応じた露出制御およびフラッシュ発光制御を行うことができる。
なお、上述の実施の形態では、フラッシュ装置3はカメラ本体1に着脱可能であるとしたが、フラッシュ装置3はカメラ本体1に固定されていてもよい。さらには、図6において、ステップS153では画像全体の平均輝度値を求めるようにしたが、画像における高輝度領域について平均輝度値を求めるようにしてもよい。そして、ステップS154においては高輝度領域における平均色値を求めるようにしてもよい。
上述の説明から明らかなように、図4に示す例では、測光用センサー(AEセンサー)26、TG42、およびカメラ制御部41が測光手段として機能し、カメラ制御部41がシーン判別手段として機能する。
さらに、カメラ制御部41が算出手段および設定手段として機能し、カメラ制御部41およびフラッシュ制御部61が発光制御手段として機能する。
なお、図示の例では、少なくとも測光用センサー(AEセンサー)26、TG42、およびカメラ制御部41がシーン判別装置を構成する。
以上、本発明について実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。
例えば、上記の実施の形態の機能を制御方法として、この制御方法をシーン判別装置に実行させるようにすればよい。また、上述の実施の形態の機能を有するプログラムを制御プログラムとして、当該制御プログラムをシーン判別装置が備えるコンピュータに実行させるようにしてもよい。なお、制御プログラムは、例えば、コンピュータに読み取り可能な記録媒体に記録される。
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。つまり、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種の記録媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPUなど)がプログラムを読み出して実行する処理である。