JP6388057B2 - インクジェット装置、インクジェット記録方法およびインク - Google Patents
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Description
各種の水溶性染料を水、又は水と有機溶剤との混合液に溶解させた染料系インクが使用されているが、染料系インクは色調の鮮明性には優れているものの耐光性に劣るという欠点があり、耐水性、耐候性の点で染料のものより優れる顔料を用いたインクが用いられている。
しかし、顔料インクには染料インクと異なり、インク中に分散状態が不安定な顔料粒子が数多く存在しているため、顔料粒子の凝集物が発生し、ノズルが目詰まりし、正常な吐出が妨げられるという問題があった。このような問題に対し、インク供給部とインク吐出部の間にフィルターを設けることが提案されている。
このため、前記フィルターの径も、従来のフィルター径と比較してかなり微細な径となってきている。
その結果、前記フィルターが目詰まりを起こしやすくなり、インクがノズルに到達する際の圧力損失が大きくなり、吐出が不安定になってしまうという問題が残っていた。
例えば、特許文献1(特開平9−187955号公報)には金属繊維からなる焼結不織布を使用する方法が、特許文献2(特開平9−109411号公報)には金属繊維を綾畳織してなるフィルターを使用する方法が、特許文献3(特開2005−324444号公報)には平坦な金属板に多数の微細孔を貫通させて形成されてなるフィルターを使用する方法が提案されている。
一方、インク側の工夫としては、例えば特許文献4(特開2006−070105号公報)にはインクにアミノプロパンジオールを添加することにより、顔料の分散安定性が向上することが、特許文献5(特開2004−204075号公報)には特定の構造の防腐剤を添加し、インク中の異物の発生を防ぐことが、特許文献6(特開2009−173829号公報)にはインク中に含まれる有機溶剤の種類と水溶性樹脂の含有量を規定することによってフィルターの目詰まりを起こさないインクが開示されている。
しかし、それでもなお、長期にわたる使用によって経時でフィルターの目詰まりが発生し、圧力損失が増大してしまうという問題は解消されずに残っているという問題があった。
しかしながら、特許文献7に開示されているインクでは、フィルターにインク中の粗大粒子が堆積していくというフィルター抵抗上昇メカニズムについてしか考慮されていない。このため、特許文献7ではインクとフィルターのどのような特性値を抑えれば長期的なインク通液性能に寄与するのかという点について充分な検討が為されておらず、かかる点についての知見が得られるものではない。
即ち、インクの物性とフィルターの濡れ性についての充分な検討が為されてこなかったので、画像品質を確保しつつ、長期にわたって目詰まりを起こすことなく安定した吐出が可能なインクジェット記録装置が得られていないという問題は依然として解消できていない。
なお、以下、インクジェット装置をインクジェット記録装置と称して説明する。
初期の段階で、インクがフィルターを充分に濡らすことができなかった場合、インクは通過しやすいところを通ろうとするため、そのままフィルターが機能する有効面積が想定より低くなってしまう。
また、水性インク中には、たとえ予め脱気処理が施されていても、ある程度の空気が含まれる。
フィルターの濡れ性が充分でなかった場合、インク中の空気はフィルターに徐々に蓄積され、有効面積を縮めていく。
この結果、フィルターの抵抗は経時で増加しやすくなってしまうという問題があることを本発明者らは知見した。
また、インクとしての吐出安定性に加え、画質を維持するための紙面上での挙動を制御する観点から、インクの動的表面張力は寿命時間15msで30mN/m以上である必要がある。
したがって、これらを維持しつつ、長期的なフィルター通液性を確保するためにはフィルター側の表面エネルギーを下げる必要があり、水に対する前進接触角が100°以下であるとき良好なフィルター通液性が確保できることを本発明者らは見出し、本発明を完成するに至った。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は以下の説明において本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
本発明に係るインクジェット装置が供給(吐出)するインクは、顔料、水および水溶性有機溶媒を含み、さらに必要に応じて界面活性剤、浸透剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤等のその他の成分を含有しても良い。
インク中に含有される顔料は、インクを着色させ画像濃度を向上させるものである。
インク中の顔料の含有量は、0.1wt%以上、50.0wt%以下が好ましく、0.1wt%以上、20.0wt%以下がより好ましく、3.0wt%以上15.0wt%以下がさらに好ましい。
また、前記顔料の50%平均粒径(D50)は、10〜500nm以下が好ましく、50〜200nm以下がより好ましい。ここで、前記顔料の50%平均粒径は、23℃、55%RHの環境下において、日機装株式会社製マイクロトラックUPAで動的光散乱法により測定したD50の値を示す。
例えば、無機顔料、及び有機顔料のいずれであってもよい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、顔料は黒(ブラック)用顔料、カラー用顔料のいずれであってもよく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、アゾメチン顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などがより好ましい。
前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料、ローダミンBレーキ顔料、などが挙げられる。
前記染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート、などが挙げられる。
前記カーボンブラックとしては、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラックで、一次粒径が、15nm〜40nm、BET法による比表面積が、50m2/g〜300m2/g、DBP吸油量が40ml/100g〜150ml/100g、揮発分が0.5%〜10%、pH値が2〜9を有するものが好ましい。
前記カーボンブラックとしては、市販品を用いることができ、前記市販品としては、例えば、No.2300、No.900、MCF−88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B(いずれも、三菱化学株式会社製);Raven700、同5750、同5250、同5000、同3500、同1255(いずれも、コロンビア社製);Regal400R、同330R、同660R、Mogul L、Monarch700、同800、同880、同900、同1000、同1100、同1300、Monarch1400(いずれも、キャボット社製);カラーブラックFW1、同FW2、同FW2V、同FW18、同FW200、同S150、同S160、同S170、プリンテックス35、同U、同V、同140U、同140V、スペシャルブラック6、同5、同4A、同4(いずれも、デグッサ社製)、などが挙げられる。
前記顔料を水性媒体中に安定に分散させるために、少なくとも1種の親水基が顔料表面に直接結合し、分散剤の不存在下で安定に分散する、いわゆる自己分散型顔料分散体や、後述するような顔料分散剤を用いた分散剤分散型顔料などあらゆるものを用いることが出来る。ただし、自己分散型顔料、もしくは分散剤分散型顔料を用いることが好ましい。
したがって、顔料分散体は少なくとも、顔料、水を含み、顔料の分散形態によっては分散剤を必須成分として含む。前記顔料分散体は、更に必要に応じて水溶性樹脂、防腐剤などその他の成分を含有しても良い。
インク中に含有される分散剤は、顔料を水性媒体(水を含む媒体)中に安定に分散させるものである。
インク中の分散剤の含有量は、顔料に対して5.0〜40.0wt%であることが好ましく、10.0〜30.0wt%であることが安定した分散の観点からより好ましい。5.0wt%未満であると顔料の分散安定性が劣り、顔料が凝集しやすくなり、40.0wt%を超えると、インクが泡立ち易くなるため気泡による目詰まりが発生しやすくなる。
これらの中でも、ジオクチルスルホコハク酸Na塩、ポリオキシエチレンスチレンフェニルエーテルスルホン酸NH4塩が特に好ましい。
これらの中でも、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−β−ナフチルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンスチレンフェニルエーテルが特に好ましい。
これらの中でも、表面にカルボキシル基を有しているものが特に好ましい。
インク中に含有される界面活性剤は、インクの表面張力を下げ、紙への浸透を容易にするものである。
インク中の界面活性剤の含有量は、有効成分として0.1wt%〜5wt%が好ましい。0.1wt%未満であると紙への浸透性が充分でなくなるため、画像品質が劣化し、5wt%を超えると泡立ちやすくなることによる不吐出が発生する。
最大泡圧法とは、測定する液体に浸漬させたプローブの先端部分から気泡を放出させ、泡を放出するために必要な最大圧力から表面張力を求める方法である。
気泡の半径がプローブ先端の半径に等しくなるとき、最大圧力を示し、このときのインクの動的表面張力σは次式で表される。
最大法圧法による動的表面張力の測定器は市販されており、例としてDynoTester(SITA社製)などが挙げられる。
両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能であるが、顔料の分散安定性と画像品質との関係から、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物等のノニオン系の界面活性剤が望ましく用いられる。また、処方によってはフッ素系の界面活性剤やシリコーン系の界面活性剤を併用(もしくは単独使用)することも可能である。
インク中に含有される水溶性有機溶剤は、インクに対する保湿効果の付与による吐出安定性向上に寄与するものである。
インク中の水溶性有機溶剤の含有量は、総量で5〜50wt%であることが好ましく、10〜40wt%以下であることがより好ましい。前記含有量が25wt%未満であると、インクとしての保湿性が充分に確保できず、含有させる有機溶剤種、溶剤比率によらず吐出安定性が低下してしまう。また、前記含有量が50wt%を超えると、インクジェット用インクの粘度が非常に高くなり、一般的なインク吐出装置での吐出し難くなったり、紙面上での乾燥性に劣り、更に普通紙上の文字品位が低下したりすることがある。
例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネイト、炭酸エチレン等である。これらの水溶性有機溶剤は、単独または2種類以上混合して使用することができる。
前記の中でも、1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及び/またはグリセリンを含むことが水分蒸発による吐出不良を防止する上で優れた効果が得られる。
本発明に係るインク供給ユニット、インクジェット記録装置は、インクを供給するインク供給路中に少なくとも1つのフィルターを具備してなる。該フィルターは、水に対する前進接触角が100°以下である。
本発明では、以下の手順で前進接触角を測定できる。
測定したいフィルターを幅5mm、長さ1cmに切り、KSV社製Sigma700にセットする。次に、純水を入れたシャーレに5mm/minで浸漬させていき、サンプルに働く力から以下の式により前進接触角を算出した。
F=L・σ・cosθ
(ここでFはサンプルを前進させたときに働く力、Lはサンプルの周囲長、σは水の表面張力、θは接触角)
特に、金属性フィルターの場合、表面に発生したサビや、人などに由来する油汚れによって著しく疎水性となることがあり、前進接触角の値が大きくなってしまう。
この場合の上記洗浄に加え、コーティング剤によって表面を処理することにより水に対する接触角を小さくすることが可能である。
フィルターの空隙率は、重量換算にて密度100%に対する空隙量を表したもので、%で表記される。
本発明に用いられるフィルターの空隙率は、内部への液の浸透しやすさの観点から70%以上であることが望ましい。
本発明では、インク中の溶存酸素量が3mg/L未満である。
溶存酸素量の測定は周知慣用の方法を用いて測定することができるが、本発明では隔膜電極法によって測定されるものであることが好ましい。隔膜電極法とは、ガス透過膜を透過してきた酸素を電極上で還元し、電流量から溶存酸素量を算出する方法である。
この方式による溶存酸素量測定器は市販されており、例としては、TOX−999i(東興化学研究所社製)などを挙げることができる。
本発明に係るインクジェット記録装置は、上述したインク供給ユニットを備えることを特徴とするものであり、他の構成については周知慣用のものを用いることができる。
また、本発明に係るインクジェット記録方法は、前記インクジェット記録装置を用いてインク滴を連続して吐出させ記録媒体に画像を形成することを特徴とする。
さらに、本発明に係るインク記録物は、前記インクジェット記録方法で形成された画像を有してなることを特徴とする。
以下に示すようにして、各顔料分散体を調整した。
(1)ブラック分散体A
CTAB比表面積が150m2/g、DBP吸油量100ml/100gのカーボンブラック90gを2.5N(規定)の硫酸ナトリウム溶液3000mlに添加し、温度60℃、速度300rpmで攪拌し、10時間反応させて酸化処理を行った。この反応液を濾過し、濾別したカーボンブラックを水酸化ナトリウム溶液で中和し、限外濾過を行った。得られたカーボンブラックを水洗いし、乾燥させて、顔料濃度が20質量%となるよう純水中に分散させた。以上により、ブラック顔料分散体Aを得た。
前記(1)において使用する顔料をカーボンブラックからピグメントブルー15:3に変更したほかは前記(1)と同様にしてシアン顔料分散体Aを得た。
顔料 : ピグメントレッド122 200質量部
分散剤: ポリオキシエチレン(n=40)βナフチルエーテル 50質量部
水 : 高純水 750質量部
上記の混合物をプレミックスした後、ビーズミル分散機(寿工業株式会社製、UAM−015)を用い、直径0.03mmのジルコニアビーズで周速10m/s、液温30℃で15分間分散した後、遠心分離機(久保山商事株式会社製、Model−3600)で粗大粒子を遠心分離してマゼンタ顔料分散体Aを得た。
前記(3)において使用する顔料をピグメントレッド122からピグメントイエロー74に変更したほかは前記(3)と同様にしてイエロー分散体Aを得た。
(ポリマー溶液の調整)
滴下装置、温度計、窒素ガス導入管、撹拌装置および還流冷却管を備えた容量3リットルの四つ口フラスコに、メチルエチルケトン1,000部を仕込み、液温を78℃まで昇温させた後、n−ブチルメタクリレート700部、n−ブチルアクリレート42部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート150部、メタクリル酸108部およびターシャリブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート80部とから成る混合液を4時間掛けて滴下した。更に、同温度で8時間反応を続けた。
反応混合物を室温まで放冷した後、不揮発分が50%となるようにメチルエチルケトンを加えて希釈して、ポリマー溶液を得た。
前記ポリマー溶液28gとカーボンブラック顔料26g、1mol/Lの水酸化カリウム溶液13.6g、メチルエチルケトン20g、イオン交換水30gを十分に攪拌した後、三本ロールミルを用いて混練した。得られたペーストをイオン交換水200gに投入し、十分に攪拌した後、エバポレーターを用いてメチルエチルケトンおよび水を留去し、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜)で濾過して粗大粒子を除去することによって、ブラック顔料分散体Bを得た。
・顔料分散体 25質量部
・グリセリン 20質量部
・ジエチレングリコール 10質量部
・1,2−ペンタンジオール 5質量部
・界面活性剤 1質量部
・高純水 39質量部
なお、インクの調整には2種類の界面活性剤を使用し、それぞれの調製例にて使用した界面活性剤は表1に示した通りであり、界面活性剤A、界面活性剤Bはそれぞれ以下のものを示す。
界面活性剤B : ソフタノールEP−5035(日本触媒社製、第2級高級アルコールエトキシレート)
表1中の溶存酸素量はTOX−999i(東興化学研究所社製)を用いて評価直前に測定した値である。
評価には6種のフィルターを使用し、各フィルターの材質、形状、空隙率、水に対する前進接触角は下記表2の通りである。
・フィルターAは、事前に不態化処理をして使用しており、具体的には、室温にて濃硝酸に20分間含浸させたのち、高純水で充分にすすいでから使用した。
・フィルターBは、電解研磨処理を行ってから使用しており、フィルターに電極を繋ぎ、電解研磨液中で電流を流すことにより、表面の付着粒子を落とした。
・フィルターCは、酸洗浄を行ってから使用しており、フィルターをフッ酸中に5分間浸し、充分に酸を洗い落としてから使用した。
・フィルターDは、コーティング処理を行ってから使用しており、具体的にはウォールガード#5000(日本ビル技研社製)を高純水で希釈した液中にフィルターを浸し、超音波を10分間印加したのち、高純水で何度かすすぎ洗いをした。
・フィルターEとFは、特別な処理をせず、高純水に浸し簡単に汚れを落としたのち乾燥して使用した。
(1)各フィルターを幅5mm、長さ1cmに切り、メタノールで10分間超音波洗浄した後、高純水で十分にすすぎ、80℃で減圧乾燥させた。
(2)フィルターをKSV社製Sigma700にセットし、高純水を入れたシャーレに5mm/minで浸漬させていき、フィルターの端面から3mm〜8mmの間を浸漬させていった時のサンプルにかかる力の平均値から前進接触角を求めた。
(3)測定は各フィルターに対してサンプル片を4枚用意し、N=4の平均値を測定値とした。
金属製のバット2つをフィルターユニットで接続し、インクを注いで水頭差150mmとなるようにした。
25℃の環境下で、水頭圧150mmaqを維持しながらインクを流し、インク重量(g)あたりの流出時間を測定することで流体抵抗を算出した。
初期(インク通液量0g)からインク4000g通液時点までの流体抵抗の変化率を計算した。
変化率20%未満までが許容範囲である。
なお、著しい目詰まりを起こし、4000g通液できなかったものは×とした。
インクジェットプリンター(リコー製IPSiO GX5000)に作成したインクを充填し、25℃、50%RH環境下、Type6200紙(株式会社NBSリコー製)に20P/Jのワンパスベタ印字を3回繰り返し行った。その後、ノズルチェックパターンを印刷し、以下の基準で評価した。○までが許容範囲である。
○:ノズル抜けが全く発生していない。
×:ノズル抜けが発生している。
実施例5は、使用されるインクに含まれる顔料が樹脂被覆型顔料であり、顔料から遊離した樹脂成分により実施例1〜4より若干通液性が劣ることとなるが、充分な通液性を示すことが分かった。また、実施例6は、使用されるフィルターの空隙率が70%未満であり、フィルターの密度が高いため抵抗が上がりやすくはなるが、実施例5と同様、充分な通液性を示すことが分かった。さらに、実施例7は、使用されるフィルターが鉄からなるものであり、オーステナイト系ステンレスで出来ているものと比較すると、耐錆性に劣るため、徐々に目詰まりを起こしやすくはなるが、許容範囲の通液性を示すことが分かった。またさらに、実施例8は、使用されるフィルターの形状が平畳織であるが、十分な通液性が確保できることが分かった。
Claims (20)
- インク、及び該インクを供給するインク供給路中に設けられたフィルターを具備してなるインクジェット装置であって、
前記インクは、顔料、水および水溶性有機溶媒を含み、寿命時間15msにおける動的表面張力が30mN/m以上であり、かつ当該インク中の溶存酸素量が3mg/L未満であり、当該インク中の前記水溶性有機溶媒の含有量が5wt%〜50wt%であり、
前記フィルターは、水に対する前進接触角が100°以下であることを特徴とするインクジェット装置。 - インク、及び該インクが通液するフィルターを具備してなるインクジェット装置であって、
前記インクは、顔料、水および水溶性有機溶媒を含み、寿命時間15msにおける動的表面張力が30mN/m以上であり、かつ当該インク中の溶存酸素量が3mg/L未満であり、当該インク中の前記水溶性有機溶媒の含有量が5wt%〜50wt%であり、
前記フィルターは、水に対する前進接触角が100°以下であることを特徴とするインクジェット装置。 - 前記インクを充填する充填部を具備してなることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット装置。
- 前記インクは、前記溶存酸素量が0.9mg/L以上2.2mg/L以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のインクジェット装置。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載のインクジェット装置を用いてインク滴を連続して吐出させ記録媒体に画像を形成することを特徴とするインクジェット記録方法。
- インク供給路中に設けられたフィルターを具備してなるインクジェット装置に用いられるインクであって、
前記フィルターは、水に対する前進接触角が100°以下であり、
前記インクは、顔料、水および水溶性有機溶媒を含み、寿命時間15msにおける動的表面張力が30mN/m以上であり、かつ当該インク中の溶存酸素量が3mg/L未満であり、当該インク中の前記水溶性有機溶媒の含有量が5wt%〜40wt%であることを特徴とするインク。 - インクが通液するフィルターを具備してなるインクジェット装置に用いられるインクであって、
前記フィルターは、水に対する前進接触角が100°以下であり、
前記インクは、顔料、水および水溶性有機溶媒を含み、寿命時間15msにおける動的表面張力が30mN/m以上であり、かつ当該インク中の溶存酸素量が3mg/L未満であり、当該インク中の前記水溶性有機溶媒の含有量が5wt%〜40wt%であることを特徴とするインク。 - 前記顔料は、自己分散型顔料、もしくは分散剤分散型顔料であることを特徴とする請求項6または7に記載のインク。
- 前記顔料が、ピグメントブルー15:3、ピグメントレッド122、ピグメントイエロー74またはカーボンブラックのいずれかを含むことを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載のインク。
- 前記水溶性有機溶媒が、多価アルコール、多価アルコールアルキルエーテル、多価アルコールアリールエーテルまたはアミンのいずれかを含むことを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載のインク。
- 前記水溶性有機溶媒が、グリセリンおよびジエチレングリコールから選ばれる少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項10に記載のインク。
- 前記動的表面張力が37mN/m以下であることを特徴とする請求項6乃至11のいずれかに記載のインク。
- 前記溶存酸素量が0.9mg/L以上2.2mg/L以下であることを特徴とする請求項6乃至12のいずれかに記載のインク。
- 顔料、水および水溶性有機溶媒を含むインクであって、
寿命時間15msにおける動的表面張力が30mN/m以上であり、かつ当該インク中の溶存酸素量が3mg/L未満であり、当該インク中の前記水溶性有機溶媒の含有量が5wt%〜40wt%であることを特徴とするインク。 - 前記顔料は、自己分散型顔料、もしくは分散剤分散型顔料であることを特徴とする請求項14に記載のインク。
- 前記顔料が、ピグメントブルー15:3、ピグメントレッド122、ピグメントイエロー74またはカーボンブラックのいずれかを含むことを特徴とする請求項14または15に記載のインク。
- 前記水溶性有機溶媒が、多価アルコール、多価アルコールアルキルエーテル、多価アルコールアリールエーテルまたはアミンのいずれかを含むことを特徴とする請求項14乃至16のいずれかに記載のインク。
- 前記水溶性有機溶媒が、グリセリンおよびジエチレングリコールから選ばれる少なくとも一つ以上を含むことを特徴とする請求項17に記載のインク。
- 前記動的表面張力が37mN/m以下であることを特徴とする請求項14乃至18のいずれかに記載のインク。
- 前記溶存酸素量が0.9mg/L以上2.2mg/L以下であることを特徴とする請求項14乃至19のいずれかに記載のインク。
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