以下で本願発明について詳細に説明する。
本願発明の黒色感光性樹脂組成物とは、少なくとも(A)バインダーポリマー、(B)着色剤、(C)熱硬化性樹脂、(D)ラジカル重合性化合物、及び(E)光重合開始剤からなる黒色感光性材料であって、該(B)着色剤が(b1)青着色剤、(b2)橙着色剤、及び(b3)紫着色剤を含有すればよい。
ここで、本願発明の黒色感光性樹脂組成物は、各種特性に優れる事を、本発明者らは見出したが、これは、以下の理由によるのではないかと推測している。一般的な黒色着色剤には、カーボンブラックが挙げられるが、着色剤自体の絶縁性に懸念がある。そこで、着色剤自体に絶縁性がある点や感光性材料として用いた場合の深度深くの光硬化性の点から、補色の関係にある有機系着色剤を混合して黒色を発現することが用いられる。しかし、後者の方法で感光性材料を黒色化した場合でさえ、電気絶縁信頼性が悪くなる現象が発生した。上記課題は、本願発明者が黒色感光性樹脂組成物を鋭意研究した際に、新たに見出された課題である。そこで、鋭意研究を行った結果、着色剤自体が絶縁性を有していたとしても着色剤の量が多いことにより、電気絶縁信頼性が悪化することを掴んだ。ある程度の黒色度にするために着色剤を増量したために、電気絶縁信頼性の悪化に至ったと推察している。そこで、着色剤の量を抑えるべく、従来黒色を出すために使用されていた黄色等の薄い着色剤は使用せずに、橙色等の濃い着色剤で黒色を発現することにより、着色剤の量を減らすことができ、したがって、電気絶縁信頼がさらに良好になると推察される。
以下(A)バインダーポリマー、(B)着色剤、(C)熱硬化性樹脂、(D)ラジカル重合性化合物、(E)光重合開始剤、その他の成分、及び、黒色感光性樹脂組成物の混合方法について説明する。
<(A)バインダーポリマー>
本願発明の(A)バインダーポリマーとは、有機溶媒に対して可溶性であり、重量平均分子量が、ポリエチレングリコール換算で1,000以上、1,000,000以下のポリマーである。
上記有機溶媒とは、特に限定されないが、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができる。さらに必要に応じて、これらの有機極性溶媒とキシレンあるいはトルエンなどの芳香族炭化水素とを組み合わせて用いることもできる。
更に、例えばメチルモノグライム(1,2-ジメトキシエタン)、メチルジグライム(ビス(2-メトキシエテル)エーテル)、メチルトリグライム(1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタン)、メチルテトラグライム(ビス[2-(2-メトキシエトキシエチル)]エーテル)、エチルモノグライム(1,2-ジエトキシエタン)、エチルジグライム(ビス(2-エトキシエチル)エーテル)、ブチルジグライム(ビス(2-ブトキシエチル)エーテル)等の対称グリコールジエーテル類、メチルアセテート、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、n−プロピルアセテート、ブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(別名、カルビトールアセテート、酢酸2-(2-ブトキシエトキシ)エチル)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート等のアセテート類や、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、1,3−ジオキソラン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールものエチルエーテル等のエーテル類の溶剤が挙げられる。
有機溶媒に対して可溶性となる指標である有機溶媒溶解性は、有機溶媒100重量部に対して溶解するベースポリマーの重量部として測定することが可能であり、有機溶媒100重量部に対して溶解するベースポリマーの重量部が5重量部以上であれば有機溶媒に対して可溶性とすることができる。有機溶媒溶解性測定方法は、特に限定されないが、例えば、有機溶媒100重量部に対してベースポリマーを5重量部添加し、40℃で1時間攪拌後、室温まで冷却して24時間以上放置し、不溶解物や析出物の発生なく均一な溶液であることを確認する方法で測定することができる。
本願発明の(A)成分の重量平均分子量は、例えば、以下の方法で測定することができる。
(重量平均分子量測定)
使用装置:東ソーHLC−8220GPC相当品
カラム :東ソー TSK gel Super AWM−H(6.0mmI.D.×15cm)×2本
ガードカラム:東ソー TSK guard column Super AW−H
溶離液:30mM LiBr+20mM H3PO4 in DMF
流速:0.6mL/min
カラム温度:40℃
検出条件:RI:ポラリティ(+)、レスポンス(0.5sec)
試料濃度:約5mg/mL
標準品:PEG(ポリエチレングリコール)
上記範囲内に重量平均分子量を制御することにより、得られる絶縁膜の柔軟性、耐薬品性が優れるため好ましい。重量平均分子量が1,000以下の場合は、柔軟性や耐薬品性が低下する場合があり、重量平均分子量が1,000,000以上の場合は黒色感光性樹脂組成物の粘度が高くなる場合がある。
本願発明の(A)成分は、特に限定されないが、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。中でも分子内にウレタン結合を含有する樹脂であるポリウレタン系樹脂やポリ(メタ)アクリル系樹脂を用いた場合、黒色感光性樹脂組成物を硬化させることにより得られる絶縁膜の柔軟性、耐折れ性が向上し、絶縁膜の反りが小さくなるため好ましい。
本願発明の分子内にウレタン結合を含有する樹脂とは、有機溶媒に対して可溶性であり、分子内に少なくとも1つのウレタン結合を含有する繰り返し単位を含有している、重量平均分子量が、ポリエチレングリコール換算で1,000以上、1,000,000以下のポリマーである。
本願発明の分子内にウレタン結合を含有する樹脂は、任意の反応により得ることが可能であるが、例えば、下記一般式(1)
(式中、R1は2価の有機基を示す)
で示されるジオール化合物と、下記一般式(2)
(式中、X1は2価の有機基を示す)
で示されるジイソシアネート化合物を反応させることにより、下記一般式(3)
(式中、R1及びX1はそれぞれ独立に2価の有機基を示し、nは1以上の整数を示す)
で示されるウレタン結合を含有する繰り返し単位を含有する構造として得られる。
本願発明のジオール化合物は、上記構造であれば特に限定はされないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のアルキレンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、テトラメチレングリコールとネオペンチルグリコールとのランダム共重合体等のポリオキシアルキレンジオール、多価アルコールと多塩基酸とを反応させて得られるポリエステルジオール、カーボネート骨格を有するポリカーボネートジオール、γ−ブチルラクトン、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類を開環付加反応させて得られるポリカプロラクトンジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
特に、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリオキシアルキレンジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリカプロラクトンジオール等の長鎖ジオールを用いた場合、黒色感光性樹脂組成物を硬化させることにより得られる絶縁膜の弾性率を低下させ、屈曲性、低反りに優れる点で好ましい。
本願発明のジイソシアネート化合物は、上記構造であれば特に限定はされないが、例えば、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3,2’−又は3,3’−又は4,2’−又は4,3’−又は5,2’−又は5,3’−又は6,2’−又は6,3’−ジメチルジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3,2’−又は3,3’−又は4,2’−又は4,3’−又は5,2’−又は5,3’−又は6,2’−又は6,3’−ジエチルジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3,2’−又は3,3’−又は4,2’−又は4,3’−又は5,2’−又は5,3’−又は6,2’−又は6,3’−ジメトキシジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−3,3’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−3,4’−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネート、ベンゾフェノン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−4,4’−ジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、ナフタレン−2,6−ジイソシアネート、4,4’−[2,2−ビス(4−フェノキシフェニル)プロパン]ジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート化合物、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
特に、脂環族ジイソシアネート及び脂肪族ジイソシアネート化合物を用いた場合、黒色感光性樹脂組成物の感光性に優れる点で好ましい。
本願発明の分子内にウレタン結合を含有する樹脂の合成方法は、ジオール化合物とジイソシアネート化合物との配合量を、水酸基数とイソシアネート基数との比率が、イソシアネート基/水酸基=0.5以上2.0以下になるように配合し、無溶媒あるいは有機溶媒中で反応させることで得られる。
また、2種類以上のジオール化合物を用いる場合、ジイソシアネート化合物との反応は、2種類以上のジオール化合物を混合した後に行ってもよいし、それぞれのジオール化合物とジイソシアネート化合物とを別個に反応させてもよい。また、ジオール化合物とジイソシアネート化合物とを反応させた後に、得られた末端イソシアネート化合物をさらに他のジオール化合物と反応させ、さらにこれをジイソシアネート化合物と反応させてもよい。また、2種類以上のジイソシアネート化合物を用いる場合も同様である。このようにして、所望の分子内にウレタン結合を含有する樹脂を製造することができる。
ジオール化合物とジイソシアネート化合物との反応温度は、40〜160℃とすることが好ましく、60〜150℃とすることがより好ましい。40℃未満では反応時間が長くなり過ぎ、160℃を超えると反応中に三次元化反応が生じてゲル化が起こり易い。反応時間は、バッチの規模、採用される反応条件により適宜選択することができる。また、必要に応じて、三級アミン類、アルカリ金属、アルカリ土類金属、錫、亜鉛、チタニウム、コバルト等の金属又は半金属化合物等の触媒存在下に反応を行っても良い。
上記反応は、無溶媒で反応させることもできるが、反応を制御する為には、有機溶媒系で反応させることが望ましい。ここで用いられる有機溶媒は、特に限定されないが、例えば、上記例示されたものを用いることができる。
反応の際に用いられる有機溶媒量は、反応溶液中の溶質重量濃度すなわち溶液濃度が5重量%以上90重量%以下となるような量とすることが望ましい。反応溶液中の溶質重量濃度は、更に好ましくは、10重量%以上80重量%以下となることが望ましい。溶液濃度が5%以下の場合には、重合反応が起こりにくく反応速度が低下すると共に、所望の構造物質が得られない場合があるので好ましくない。
本願発明の分子内にウレタン結合を含有する樹脂は、更に(メタ)アクリロイル基、カルボキシル基及びイミド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機基を含有することが好ましい。(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基のことであり、(メタ)アクリロイル基を含有する場合は黒色感光性樹脂組成物の感光性が向上するため短時間での紫外線照射で硬化させることが可能となる。また、カルボキシル基を含有する場合は黒色感光性樹脂組成物の希アルカリ水溶液の現像液への溶解性が向上するため短時間での現像で微細パターン形成が可能となる。また、イミド基を含有する場合は黒色感光性樹脂組成物の耐熱性や高温高湿条件下での電気絶縁信頼性が向上するため、プリント配線板の被覆材として用いた場合、信頼性に優れるプリント配線板が得られる。
ここで、(メタ)アクリロイル基を含有する分子内にウレタン結合を含有する樹脂は、任意の反応により得ることが可能であるが、例えば、上記ジオール化合物、上記ジイソシアネート化合物に加えて、下記一般式(4)
(式中、R2はm+1価の有機基を示し、R3は水素又はアルキル基を示す。mは1〜3の整数を示す)
で示される水酸基及び少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を含有する化合物及び/又は下記一般式(5)
(式中、X2はl+1価の有機基を示し、X3は水素又はアルキル基を示す。lは1〜3の整数を示す)
で示されるイソシアネート基及び少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を含有する化合物を反応させることにより得られる。
本願発明の水酸基及び少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を含有する化合物は、上記構造であれば特に限定はされないが、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1−アクリロキシ−3−メタクリロキシプロパン、o−フェニルフェノールグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミド、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジルアクリルアミド等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
本願発明のイソシアネート基及び少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を含有する化合物は、上記構造であれば特に限定はされないが、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、2−(2−メタクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
また、カルボキシル基を含有する分子内にウレタン結合を含有する樹脂は、任意の反応により得ることが可能であるが、例えば、上記ジオール化合物、上記ジイソシアネート化合物に加えて、下記一般式(6)
(式中、R4は3価の有機基を示す)
で示される2つの水酸基及び1つのカルボキシル基を含有する化合物を反応させることにより得られる。
本願発明の2つの水酸基及び1つのカルボキシル基を含有する化合物は、上記構造であれば特に限定はされないが、例えば、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシメプロピル)プロピオン酸、2,3−ジヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)ブタン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)ブタン酸、2,3−ジヒドロキシブタン酸、2,4−ジヒドロキシ−3,3−ジメチルブタン酸、2,3−ジヒドロキシヘキサデカン酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
特に、脂肪族系の2つの水酸基及び1つのカルボキシル基を含有する化合物を用いた場合、黒色感光性樹脂組成物の感光性に優れる点で好ましい。
また、イミド基を含有する分子内にウレタン結合を含有する樹脂は、任意の反応により得ることが可能であるが、例えば、上記ジオール化合物、上記ジイソシアネート化合物に加えて、下記一般式(7)
(式中、Yは4価の有機基を示す)
で示されるテトラカルボン酸二無水物を反応させることにより得られる。
本願発明のテトラカルボン酸二無水物は、上記構造であれば特に限定はされないが、例えば、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−オキシジフタル酸二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3´,4,4´−テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物等のテトラカルボン酸二無水物等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
本願発明のポリ(メタ)アクリル系樹脂とは、有機溶媒に対して可溶性であり、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステル誘導体を共重合させることにより得られる繰り返し単位を含有している、重量平均分子量が、ポリエチレングリコール換算で1,000以上、1,000,000以下のポリマーである。ここで、(メタ)アクリルとはメタクリル及び/又はアクリルのことである。
本願発明のポリ(メタ)アクリル系樹脂は、任意の反応により得ることが可能であるが、例えば、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステル誘導体を溶媒中、ラジカル重合開始剤存在下で反応させることにより得られる。
本願発明の(メタ)アクリル酸エステル誘導体は、特に限定はされないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ターシャリーブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。これら(メタ)アクリル酸エステル誘導体の中でも、特に(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルを用いることが、黒色感光性樹脂組成物の絶縁膜の柔軟性と耐薬品性の観点から好ましい。
上記、ラジカル重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリルなどのアゾ系化合物、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、過酸価水素等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
上記、ラジカル重合開始剤の使用量は、使用するモノマー100重量部に対して0.001〜5重量部とすることが好ましく、0.01〜1重量部とすることがより好ましい。0.001重量部より少ない場合では反応が進行しにくく、5重量部より多い場合では分子量が低下する場合がある。
上記反応の際に用いられる溶媒量は、反応溶液中の溶質重量濃度すなわち溶液濃度が5重量%以上90重量%以下となるような量とすることが好ましく、20重量%以上70重量%以下とすることがより好ましい。溶液濃度が5%より少ない場合では重合反応が起こりにくく反応速度が低下すると共に、所望の構造物質が得られない場合があり、また、溶液濃度が90重量%より多い場合では反応溶液が高粘度となり反応が不均一となる場合がある。
上記反応温度は、20〜120℃とすることが好ましく、50〜100℃とすることがより好ましい。20℃より低い温度の場合では反応時間が長くなり過ぎ、120℃を超えると急激な反応の進行や副反応に伴う三次元架橋によるゲル化を招く恐れがある。反応時間は、バッチの規模、採用される反応条件により適宜選択することができる。
<(B)着色剤>
本願の(B)着色剤は、(b1)青着色剤、(b2)橙着色剤、及び(b3)紫着色剤を含んでいることを特徴としている。更に、(b1)成分〜(b3)成分は染料または顔料のいずれかであり、(b1)成分〜(b3)成分を配合することにより黒色に着色する効果を有する物質であれば特に限定されない。また、特性に支障が出ない範囲で、他色の着色剤を併用しても良い。特に、ブリードアウトの観点から、染料よりも顔料のほうがより好ましい。更には、着色性や添加量の観点から、無機系顔料よりも有機系顔料のほうがより好ましい。
ここで、本願発明の有機系顔料とは、有機化合物からなる色素を主体とする顔料である。尚、本発明の(B)着色剤の具体例を、カラーインデックス番号で示す。
本願発明の(b1)成分は、特に限定されないが、例えば、フタロシアニン系、アントラキノン系,ジオキサジン系等の顔料であるC.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、60、染料系であるSolvent Blue 35、63、68、70、83、87、94、97、122、136、67、70が挙げられる。上記以外にも金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
本願発明の(b2)成分は、特に限定されないが、例えば、C.I.Pigment Orange 5、14、16、17、24、34、36、38、40、43、46、49、51、55、59、63、64、71、73が挙げられる。
本願発明の(b3)成分は、特に限定されないが、例えば、C.I.Pigment Violet 19、23、29、30、32、36、37、38、39、40、50、Pigment Red 122、176、185、Solvent Violet 13、36が挙げられる。
本願発明の(B)成分の含有量は、好ましくは(A)成分100重量部に対して7〜26重量部とすることにより、得られる黒色感光性樹脂の黒色度、隠蔽性に優れる。更には、電気絶縁信頼性に優れる。(B)成分が7重量部より少ない場合は黒色感光性樹脂組成物の黒色度、隠蔽性に劣る場合があり、26重量部より多い場合は感光性樹脂組成物の透過率が低下するため、感光性が低下する場合がある。更には、電気絶縁信頼性が低下する場合がある。ここで、(B)成分の含有量は、(b1)成分〜(b3)成分の各含有量の和である。(b1)成分、(b2)成分、(b3)成分の各含有量比率は、黒色感光性樹脂組成物を黒色に着色することが出来れば、ある含有量比率に限定されない。黒色感光性樹脂の黒色度は、25以下、より好ましくは、20以下にすることにより、得られる黒色感光性樹脂組成物の隠蔽性も得られる。ここで、感光性樹脂組成物の黒色度の測定方法は、特に限定されないが、例えば、以下の測定方法で求めることができる。
下記色差計を用いて、L*a*b*表色系の値をJIS Z 8729に従って測定した。ここで、明度を表わす指数であるL*値を黒色度の指標として評価した。このL*値が小さい程黒色度に優れることを意味する。
色差計:45°色差計(日本電色工業社製 NR−11B)
<(C)熱硬化性樹脂>
本願発明の(C)熱硬化性樹脂とは、分子内に少なくとも1つの熱硬化性の有機基を含有する化合物である。
本願発明の(C)成分は、上記構造であれば特に限定はされないが、例えば、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、フェノール樹脂、イソシアネート樹脂、ブロックイソシアネート樹脂、ビスマレイミド樹脂、ビスアリルナジイミド樹脂、ポリエステル樹脂(例えば不飽和ポリエステル樹脂等)、ジアリルフタレート樹脂、珪素樹脂、ビニルエステル樹脂、メラミン樹脂、ポリビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)、シアネート樹脂(例えばシアネートエステル樹脂等)、ユリア樹脂、グアナミン樹脂、スルホアミド樹脂、アニリン樹脂、ポリウレア樹脂、チオウレタン樹脂、ポリアゾメチン樹脂、エピスルフィド樹脂、エン−チオール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、これらの共重合体樹脂、これら樹脂を変性させた変性樹脂、又はこれらの樹脂同士もしくは他の樹脂類との混合物等が挙げられる。
本願発明の(C)成分は、上記熱硬化性樹脂の中でも、特に多官能エポキシ樹脂を用いることが、黒色感光性樹脂組成物を硬化させて得られる絶縁膜に対して耐熱性を付与できると共に、金属箔等の導体や回路基板に対する接着性を付与することができるため好ましい。
上記多官能エポキシ樹脂とは、分子内に少なくとも2つのエポキシ基を含有する化合物であり、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jER828、jER1001、jER1002、株式会社ADEKA製の商品名アデカレジンEP−4100E、アデカレジンEP−4300E、日本化薬株式会社製の商品名RE−310S、RE−410S、DIC株式会社製の商品名エピクロン840S、エピクロン850S、エピクロン1050、エピクロン7050、東都化成株式会社製の商品名エポトートYD−115、エポトートYD−127、エポトートYD−128、ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jER806、jER807、株式会社ADEKA製の商品名アデカレジンEP−4901E、アデカレジンEP−4930、アデカレジンEP−4950、日本化薬株式会社製の商品名RE−303S、RE−304S、RE−403S,RE−404S、DIC株式会社製の商品名エピクロン830、エピクロン835、東都化成株式会社製の商品名エポトートYDF−170、エポトートYDF−175S、エポトートYDF−2001、ビスフェノールS型エポキシ樹脂としては、DIC株式会社製の商品名エピクロンEXA−1514、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jERYX8000、jERYX8034,jERYL7170、株式会社ADEKA製の商品名アデカレジンEP−4080E、DIC株式会社製の商品名エピクロンEXA−7015、東都化成株式会社製の商品名エポトートYD−3000、エポトートYD−4000D、ビフェニル型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jERYX4000、jERYL6121H、jERYL6640、jERYL6677、日本化薬株式会社製の商品名NC−3000、NC−3000H、フェノキシ型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jER1256、jER4250、jER4275、ナフタレン型エポキシ樹脂としては、DIC株式会社製の商品名エピクロンHP−4032、エピクロンHP−4700、エピクロンHP−4200、日本化薬株式会社製の商品名NC−7000L、フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jER152、jER154、日本化薬株式会社製の商品名EPPN−201−L、DIC株式会社製の商品名エピクロンN−740、エピクロンN−770、東都化成株式会社製の商品名エポトートYDPN−638、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、日本化薬株式会社製の商品名EOCN−1020、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、DIC株式会社製の商品名エピクロンN−660、エピクロンN−670、エピクロンN−680、エピクロンN−695、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂としては、日本化薬株式会社製の商品名EPPN−501H、EPPN−501HY、EPPN−502H、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂としては、日本化薬株式会社製の商品名XD−1000、DIC株式会社製の商品名エピクロンHP−7200、アミン型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jER604、jER630、東都化成株式会社の商品名エポトートYH−434、エポトートYH−434L、三菱ガス化学株式会社製の商品名TETRAD−X、TERRAD−C、可とう性エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jER871、jER872、jERYL7175、jERYL7217、DIC株式会社製の商品名エピクロンEXA−4850、ウレタン変性エポキシ樹脂としては、株式会社ADEKA製の商品名アデカレジンEPU−6、アデカレジンEPU−73、アデカレジンEPU−78−11、ゴム変性エポキシ樹脂としては、株式会社ADEKA製の商品名アデカレジンEPR−4023、アデカレジンEPR−4026、アデカレジンEPR−1309、キレート変性エポキシ樹脂としては、株式会社ADEKA製の商品名アデカレジンEP−49−10、アデカレジンEP−49−20、複素環含有エポキシ樹脂としては、日産化学株式会社製の商品名TEPIC等が挙げられる。
本願発明の黒色感光性樹脂組成物には、上記熱硬化性樹脂の硬化剤として、特に限定されないが、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフタレン型フェノール樹脂等のフェノール樹脂、アミノ樹脂、ユリア樹脂、メラミン、ジシアンジアミド等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
また、硬化促進剤としては、特に限定されないが、例えば、トリフェニルホスフィン等のホスフィン系化合物;3級アミン系、トリメタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラエタノールアミン等のアミン系化合物;1,8−ジアザ−ビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムテトラフェニルボレート等のボレート系化合物等、イミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;2−メチルイミダゾリン、2−エチルイミダゾリン、2−イソプロピルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2−ウンデシルイミダゾリン、2,4−ジメチルイミダゾリン、2−フェニル−4−メチルイミダゾリン等のイミダゾリン類;2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン等のアジン系イミダゾール類等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
<(D)ラジカル重合性化合物>
本願発明の(D)ラジカル重合性化合物とは、(E)ラジカル重合開始剤により重合反応が進行するラジカル重合性基を分子内に含有する化合物である。その中でも分子内に不飽和二重結合を少なくとも1つ有する樹脂であることが好ましい。さらには、上記不飽和二重結合は、(メタ)アクリロイル基、もしくはビニル基であることが好ましい。
本願発明の(D)成分としては、例えばビスフェノールF EO変性(n=2〜50)ジアクリレート、ビスフェノールA EO変性(n=2〜50)ジアクリレート、ビスフェノールS EO変性(n=2〜50)ジアクリレート、ビスフェノールF EO変性(n=2〜50)ジメタクリレート、ビスフェノールA EO変性(n=2〜50)ジメタクリレート、ビスフェノールS EO変性(n=2〜50)ジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、テトラメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、テトラメチロールプロパンテトラメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、β−メタクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、β−メタクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、β−アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、ラウリルアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2−ビス[4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、2−ヒドロキシ−1−アクリロキシ−3−メタクリロキシプロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールアクリレート、1 − アクリロイルオキシプロピル−2−フタレート、イソステアリルアクリレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルアクリレート、ノニルフェノキシエチレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、1,6−メキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールメタクリレート、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、2,2−水添ビス[4−(アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル]プロパン、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート、エトキシ化トチメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トチメチロールプロパントリアクリレート、イソシアヌル酸トリ(エタンアクリレート)、ペンタスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタスリトールテトラアクリレート、プロポキシ化ペンタスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールポリアクリレート、イソシアヌル酸トリアリル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアリルエーテル、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、トリアリル1,3,5−ベンゼンカルボキシレート、トリアリルアミン、トリアリルシトレート、トリアリルフォスフェート、アロバービタル、ジアリルアミン、ジアリルジメチルシラン、ジアリルジスルフィド、ジアリルエーテル、ザリルシアルレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート、1,3−ジアリロキシ−2−プロパノール、ジアリルスルフィドジアリルマレエート、4,4’−イソプロピリデンジフェノールジメタクリレート、4,4’−イソプロピリデンジフェノールジアクリレート等を挙げることができ、これらは単独であるいは2種類以上を組み合わせて用いることができる。特に、ジアクリレートあるいはジメタクリレートの一分子中に含まれるEO(エチレンオキサイド)の繰り返し単位が2〜50モル含有されるものを用いた場合、感光性樹脂組成物のアルカリ水溶液に代表される水系現像液への溶解性が向上し、現像時間が短縮されるので好ましい。
<(E)光重合開始剤>
本願発明の(E)光重合開始剤とは、UVなどのエネルギーによって活性化し、ラジカル重合性基の反応を開始・促進させる化合物である。
本願発明の(E)成分は、上記構造であれば特に限定はされないが、例えば、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’,4’’−トリス(ジメチルアミノ)トリフェニルメタン、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ジイミダゾール、アセトフェノン、ベンゾイン、2−メチルベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−t−ブチルアントラキノン、1,2−ベンゾ−9,10−アントラキノン、メチルアントラキノン、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジアセチルベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、2(2’−フリルエチリデン)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2[2’(5’’−メチルフリル)エチリデン]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2,6−ジ(p−アジドベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ジアジドカルコン、ジ(テトラアルキルアンモニウム)−4,4’−ジアジドスチルベン−2,2’−ジスルフォネート、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−ケトン、ビス(n5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、ヨード二ウム,(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]−ヘキサフルオロフォスフェート(1−)、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−4−ジメチルアミノベンゾエート、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシオム)などが挙げられる。上記(E)成分は適宜選択することが望ましく、1種以上を混合させて用いることが望ましい。
本願発明にかかる(E)成分は、(A)成分及び(D)成分の合計100重量部対して、0.1〜20重量部となるように配合されていることが好ましい。上記配合割合にすることで黒色感光性樹脂組成物の感光性が向上するので好ましい。(E)成分が上記範囲よりも少ない場合には、光照射時のラジカル重合性基の反応が起こりにくく、硬化が不十分となることが多い場合がある。また、(E)成分が上記範囲よりも多い場合には、光照射量の調整が難しくなり、過露光状態となる場合がある。そのため、光硬化反応を効率良く進めるためには上記範囲内に調整することが好ましい。
<その他成分>
本願発明の黒色感光性樹脂組成物には、さらに必要に応じて接着助剤、消泡剤、レベリング剤、重合禁止剤、難燃剤等の各種添加剤を加えることができる。
上記消泡剤としては、例えば、アクリル系化合物、ビニル系化合物、ブタジエン系化合物等が挙げられる。
上記レベリング剤としては、例えば、アクリル系化合物、ビニル系化合物等が挙げられる。
上記接着助剤(密着性付与剤ともいう。)としては、シランカップリング剤、トリアゾール系化合物、テトラゾール系化合物、トリアジン系化合物等が挙げられる。
上記重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル等が挙げられる。
上記難燃剤としては、例えば、リン酸エステル系化合物、含ハロゲン系化合物、金属水酸化物、有機リン系化合物、シリコーン系等を用いることができ、使用方法としては添加型難燃剤、反応型難燃剤として用いることができる。また、難燃剤は、1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。
上記難燃剤としては、この中でも、非ハロゲン系化合物を用いることが環境汚染の観点からより好ましく、特に金属水酸化物及びリン系難燃剤が好ましい。
<黒色感光性樹脂組成物の混合方法>
本願発明の黒色感光性樹脂組成物は、上記(A)〜(E)成分及びその他成分を粉砕・分散させて混合し、得ることができる。粉砕・分散方法としては、特に限定されるものではないが、例えばビーズミル、ボールミル、3本ロール等の一般的な混練装置を用いて行われる。黒色感光性樹脂組成物に含まれる粒子の粒子径はJIS K 5600−2−5で規定されたゲージを用いる方法で測定することができる。また粒度分布測定装置を使用すれば、平均粒子径、粒子径、粒度分布を測定することができる。
本願発明の黒色感光性樹脂組成物を直接に用いて、又は、黒色感光性樹脂組成物溶液を調製した後に、以下のようにして絶縁膜又はレリーフパターンを形成することができる。先ず、上記黒色感光性樹脂組成物、又は、黒色感光性樹脂組成物溶液を基板に塗布し、乾燥して有機溶媒を除去する。基板への塗布はスクリーン印刷、カーテンロール、リバースロール、スプレーコーティング、スピンナーを利用した回転塗布等により行うことができる。塗布膜(好ましくは厚み:5〜100μm、特に10〜100μm)の乾燥は120℃以下、好ましくは40〜100℃で行う。
次いで、乾燥後、乾燥塗布膜にネガ型のフォトマスクを置き、紫外線、可視光線、電子線などの活性光線を照射する。次いで、未露光部分をシャワー、パドル、浸漬または超音波等の各種方式を用い、現像液で洗い出すことによりレリーフパターンを得ることができる。なお、現像装置の噴霧圧力や流速、エッチング液の温度によりパターンが露出するまでの時間が異なる為、適宜最適な装置条件を見出すことが望ましい。
上記現像液としては、アルカリ水溶液を使用することが好ましい。この現像液には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、N−メチル−2−ピロリドン等の水溶性有機溶媒が含有されていてもよい。上記のアルカリ水溶液を与えるアルカリ性化合物としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウムイオンの、水酸化物または炭酸塩や炭酸水素塩、アミン化合物などが挙げられ、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトライソプロピルアンモニウムヒドロキシド、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリイソプロピルアミンなどを挙げることができ、水溶液が塩基性を呈するものであればこれ以外の化合物も当然使用することができる。本願発明の黒色感光性樹脂組成物の現像工程に好適に用いることのできる、アルカリ性化合物の濃度は、0.01〜20重量%、特に好ましくは、0.02〜10重量%とすることが好ましい。また、現像液の温度は黒色感光性樹脂組成物の組成や、アルカリ現像液の組成に依存しており、一般的には0℃以上80℃以下、より一般的には、10℃以上60℃以下で使用することが好ましい。
上記現像工程によって形成したレリーフパターンは、リンスして不用な残分を除去する。リンス液としては、水、酸性水溶液などが挙げられる。
次いで、上記得られたレリーフパターンの加熱処理を行う。加熱処理を行って、分子構造中に残存する反応性基を反応させることにより、耐熱性に富む絶縁膜を得ることができる。絶縁膜の厚みは、配線厚み等を考慮して決定されるが、2〜50μm程度であることが好ましい。このときの最終硬化温度は配線等の酸化を防ぎ、配線と基材との密着性を低下させないことを目的として低温で加熱して硬化できることが望まれている。
この時の硬化温度は100℃以上250℃以下であることが好ましく、更に好ましくは120℃以上200℃以下であり、特に好ましくは130℃以上180℃以下である。最終加熱温度が高くなると配線の酸化劣化が進むので望ましくない。
本願発明の黒色感光性樹脂組成物から得られる絶縁膜は、好適には厚さ2〜50μm程度の膜厚で光硬化後少なくとも10μmまでの解像力、特に10〜1000μm程度の解像力のものである。このため本願発明の黒色感光性樹脂組成物から得られる絶縁膜は、フレキシブル基板の絶縁材料として特に適しているのである。また更には、光硬化型の各種配線被覆保護剤、感光性の耐熱性接着剤、電線・ケーブル絶縁被膜、等に用いられる。
尚、本願発明は上記黒色感光性樹脂組成物、又は、黒色感光性樹脂組成物溶液を基材表面に塗布し乾燥して得られた樹脂フィルムを用いても同様の絶縁材料を提供することができる。
以下本発明を実施例により具体的に説明するが本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(合成例1)
<(A)バインダーポリマー1>
攪拌機、温度計、滴下漏斗、及び窒素導入管を備えた反応容器に、重合用溶媒としてメチルトリグライム(=1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン)100.0gを仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃まで昇温した。これに、室温で予め混合しておいた、メタクリル酸12.0g(0.14モル)、メタクリル酸ベンジル28.0g(0.16モル)、メタクリル酸ブチル60.0g(0.42モル)、ラジカル重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.5gを80℃に保温した状態で3時間かけて滴下漏斗から滴下した。滴下終了後、反応溶液を攪拌しながら90℃まで昇温し、反応溶液の温度を90℃に保ちながら更に2時間攪拌を行い反応させた。上記反応を行うことで分子内にカルボキシル基を含有するアクリル系樹脂溶液(A−1)を得た。得られた樹脂溶液の固形分濃度は50%、重量平均分子量は48,000、固形分の酸価は78mgKOH/gであった。尚、固形分濃度、重量平均分子量、酸価は下記の方法で測定した。
<固形分濃度>
JIS K 5601−1−2に従って測定を行った。尚、乾燥条件は170℃×1時間の条件を選択した。
<重量平均分子量>
下記条件で測定を行った。
使用装置:東ソーHLC−8220GPC相当品
カラム :東ソー TSK gel Super AWM−H(6.0mmI.D.×15cm)×2本
ガードカラム:東ソー TSK guard column Super AW−H
溶離液:30mM LiBr+20mM H3PO4 in DMF
流速:0.6mL/min
カラム温度:40℃
検出条件:RI:ポラリティ(+)、レスポンス(0.5sec)
試料濃度:約5mg/mL
標準品:PEG(ポリエチレングリコール)
<酸価>
JIS K 5601−2−1に従って測定を行った。
(合成例2)
<(A)バインダーポリマー2>
攪拌機、温度計、及び窒素導入管を備えた反応容器に、重合用溶媒としてメチルトリグライム(=1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタン)30.00gを仕込み、これに、ノルボルネンジイソシアネート10.31g(0.050モル)を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃に加温して溶解させた。この溶液に、ポリカーボネートジオール50.00g(0.025モル)(旭化成株式会社製、製品名PCDL T5652、重量平均分子量2000)及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート6.51g(0.050モル)をメチルトリグライム30.00gに溶解した溶液を1時間かけて添加した。この溶液を5時間80℃で加熱攪拌を行い反応させた。上記反応を行うことで分子内にウレタン結合及びメタクリロイル基を含有する樹脂溶液(A−2)を得た。得られた樹脂溶液の固形分濃度は53%、重量平均分子量は5,200であった。尚、固形分濃度、重量平均分子量は合成例1と同様の方法で測定した。
(合成例3)
<(A)バインダーポリマー3>
攪拌機、温度計、及び窒素導入管を備えた反応容器に、重合用溶媒としてメチルトリグライム(=1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタン)30.00gを仕込み、これに、ノルボルネンジイソシアネート10.31g(0.050モル)を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃に加温して溶解させた。この溶液に、ポリカーボネートジオール50.00g(0.025モル)(旭化成株式会社製、製品名PCDL T5652、重量平均分子量2000)及び2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸3.70g(0.025モル)をメチルトリグライム30.00gに溶解した溶液を1時間かけて添加した。この溶液を5時間80℃で加熱攪拌を行い反応させた。上記反応を行うことで分子内にウレタン結合及びカルボキシル基を含有する樹脂溶液(A−3)を得た。得られた樹脂溶液の固形分濃度は52%、重量平均分子量は5,600、固形分の酸価は22mgKOH/gであった。尚、固形分濃度、重量平均分子量、酸価は合成例1と同様の方法で測定した。
(合成例4)
<(A)バインダーポリマー4>
攪拌機、温度計、及び窒素導入管を備えた反応容器に、重合用溶媒としてメチルトリグライム(=1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタン)40.00gを仕込み、これに、ノルボルネンジイソシアネート20.62g(0.100モル)を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃に加温して溶解させた。この溶液に、ポリカーボネートジオール50.00g(0.025モル)(旭化成株式会社製、製品名PCDL T5652、重量平均分子量2000)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸3.70g(0.025モル)及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート13.02g(0.100モル)をメチルトリグライム40.00gに溶解した溶液を1時間かけて添加した。この溶液を5時間80℃で加熱攪拌を行い反応させた。上記反応を行うことで分子内にウレタン結合、カルボキシル基及び(メタ)アクリロイル基を含有する樹脂溶液(A−4)を得た。得られた樹脂溶液の固形分濃度は52%、重量平均分子量は8,600、固形分の酸価は18mgKOH/gであった。尚、固形分濃度、重量平均分子量、酸価は合成例1と同様の方法で測定した。
(合成例5)
<(A)バインダーポリマー5>
攪拌機、温度計、及び窒素導入管を備えた反応容器に、重合用溶媒としてメチルトリグライム(=1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタン)35.00gを仕込み、これに、ノルボルネンジイソシアネート10.31g(0.050モル)を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃に加温して溶解させた。この溶液に、ポリカーボネートジオール50.00g(0.025モル)(旭化成株式会社製、製品名PCDL T5652、重量平均分子量2000)をメチルトリグライム35.00gに溶解した溶液を1時間かけて添加した。この溶液を2時間80℃で加熱攪拌を行った。反応終了後、3,3’,4,4’−オキシジフタル酸二無水物(以下、ODPA)15.51g(0.050モル)を前述の反応溶液に添加した。添加後に190℃に加温して1時間反応させた。この溶液を80℃まで冷却し純水3.60g(0.200モル)を添加した。添加後に110℃まで昇温し5時間加熱還流した。上記反応を行うことで分子内にウレタン結合、カルボキシル基及びイミド基を含有する樹脂溶液(A−5)を得た。得られた樹脂溶液の固形分濃度は53%、重量平均分子量は9,200、固形分の酸価は86mgKOH/gであった。尚、固形分濃度、重量平均分子量、酸価は合成例1と同様の方法で測定した。
(実施例1〜13及び比較例1〜2)
<黒色感光性樹脂組成物の調製>
合成例で得られた(A)バインダーポリマー、(B)着色剤、(C)熱硬化性樹脂、(D)ラジカル重合性化合物、(E)光重合開始剤、及びその他成分を添加して黒色感光性樹脂組成物を作製した。それぞれの構成原料の樹脂固形分での配合量及び原料の種類を表1から表3に記載する。なお、表中の有機溶媒である1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタンは上記合成した樹脂溶液に含まれる溶剤も含めた全溶剤量である。黒色感光性樹脂組成物ははじめに一般的な攪拌翼のついた攪拌装置で混合し、その後3本ロールミルで2回パスし均一な溶液とした。グラインドメーターにて粒子径を測定したところ、いずれも10μm以下であった。混合溶液を脱泡装置で溶液中の泡を完全に脱泡して下記評価を実施した。
<1>BASF株式会社製 青着色剤の製品名
Pigment Blue15:4
<2>クラリアントジャパン株式会社製 橙着色剤の製品名
Pigment Orange34
<3>クラリアントジャパン株式会社製 紫着色剤の製品名
Pigment Violet32
<4>日産化学株式会社製 多官能エポキシ樹脂(トリグリシジルイソシアヌレート)の製品名
<5>日立化成工業株式会社製 EO変性ビスフェノールAジメタクリレートの製品名
<6>BASFジャパン株式会社製 オキシムエステル系光重合開始剤の製品名
<7>共栄社化学株式会社製 ブタジエン系消泡剤の製品名
<1>BASF株式会社製 青着色剤の製品名
Pigment Blue15:4
<2>クラリアントジャパン株式会社製 橙着色剤の製品名
Pigment Orange34
<3>クラリアントジャパン株式会社製 紫着色剤の製品名
Pigment Violet32
<4>日産化学株式会社製 多官能エポキシ樹脂(トリグリシジルイソシアヌレート)の製品名
<5>日立化成工業株式会社製 EO変性ビスフェノールAジメタクリレートの製品名
<6>BASFジャパン株式会社製 オキシムエステル系光重合開始剤の製品名
<7>共栄社化学株式会社製 ブタジエン系消泡剤の製品名
<8>クラリアントジャパン株式会社製 橙着色剤の製品名
Pigment Orange64
<9>クラリアントジャパン株式会社製 橙着色剤の製品名
Pigment Orange43
<10>クラリアントジャパン株式会社製 紫着色剤の製品名
Pigment Violet19
<11>クラリアントジャパン株式会社製 紫着色剤の製品名
Pigment Violet19
<1>BASF株式会社製 青着色剤の製品名
Pigment Blue15:4
<2>クラリアントジャパン株式会社製 橙着色剤の製品名
Pigment Orange34
<3>クラリアントジャパン株式会社製 紫着色剤の製品名
Pigment Violet32
<4>日産化学株式会社製 多官能エポキシ樹脂(トリグリシジルイソシアヌレート)の製品名
<5>日立化成工業株式会社製 EO変性ビスフェノールAジメタクリレートの製品名
<6>BASFジャパン株式会社製 オキシムエステル系光重合開始剤の製品名
<7>共栄社化学株式会社製 ブタジエン系消泡剤の製品名
<12>クラリアントジャパン株式会社製 黄着色剤の製品名
Pigment Yellow139
<ポリイミドフィルム上への塗膜の作製>
上記黒色感光性樹脂組成物を、ベーカー式アプリケーターを用いて、25μmのポリイミドフィルム(株式会社カネカ製:商品名25NPI)に最終乾燥厚みが20μmになるように100mm×100mmの面積に流延・塗布し、80℃で20分乾燥した後、300mJ/cm2の積算露光量の紫外線を照射して露光した。次いで、1.0重量%の炭酸ナトリウム水溶液を30℃に加熱した溶液を用いて、1.0kgf/mm2の吐出圧で90秒スプレー現像を行った。現像後、純水で十分洗浄した後、150℃のオーブン中で30分加熱硬化させてポリイミドフィルム上に黒色感光性樹脂組成物の絶縁膜を作製した。
<絶縁膜の評価>
以下の項目につき評価を行った。評価結果を表4〜表6に記載する。
(i)感光性
上記<ポリイミドフィルム上への塗膜の作製>の項目と同様の方法で得られた絶縁膜の表面観察を行い判定した。ただし、露光は、ライン幅/スペース幅=100μm/100μmのネガ型フォトマスクを置いて露光した。
〇:ポリイミドフィルム表面に顕著な線太りや現像残渣無くライン幅/スペース幅=100/100μmの感光パターンが描けているもの。
×:ポリイミドフィルム表面にライン幅/スペース幅=100/100μmの感光パターンが描けていないもの。
(ii)隠蔽性
1mm角のマス目を有する方眼紙の上に上記<ポリイミドフィルム上への塗膜の作製>
の項目で得られた試験片を置き、目視にて試験片の上からマス目を確認する方法で隠蔽性の評価を行った。
○:マス目が見えないもの。
×:マス目が見えるもの。
(iii)黒色度
色差計:45°色差計(日本電色工業社製 NR−11B)を用いて、上記<ポリイミドフィルム上への塗膜の作製>の項目で得られた試験片の黒色度L*を測定した。
(Vi)電気絶縁信頼性
フレキシブル銅貼り積層版(電解銅箔の厚み12μm、ポリイミドフィルムは株式会社カネカ製アピカル25NPI、ポリイミド系接着剤で銅箔を接着している)上にライン幅/スペース幅=100μm/100μmの櫛形パターンを作製し、10容量%の硫酸水溶液中に1分間浸漬した後、純水で洗浄し銅箔の表面処理を行った。その後、上記<ポリイミドフィルム上への塗膜の作製>の項目と同様の方法で櫛形パターン上に20μm厚みの黒色感光性樹脂組成物の絶縁膜を作製し試験片の作成を行った。85℃、85%RHの環境試験機中で試験片の両端子部分に100Vの直流電流を印加し、絶縁抵抗値の変化やマイグレーションの発生などを観察した。
○:試験開始後、1000時間で10の8乗以上の抵抗値を示し、マイグレーション、デンドライトなどの発生が無いもの。
×:試験開始後、1000時間でマイグレーション、デンドライトなどの発生があるもの。