JP6386022B2 - リラクタンスモータの駆動回路、及びリラクタンスモータシステム - Google Patents

リラクタンスモータの駆動回路、及びリラクタンスモータシステム Download PDF

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Description

本発明は、永久磁石およびブラシを使用しないリラクタンスモータの駆動回路、及びリラクタンスモータシステムに関する。
近年、マグネット原料の希土類の価格が上昇傾向にある中、永久磁石を使用しないSR(Switched Reluctance)モータへの注目度が増している。SRモータは永久磁石を使用せず、リラクタンストルク(即ち、電磁石の引き付け力)のみで駆動するモータである。SRモータは現在、掃除機、油圧ポンプ、電動ハツリ等で実用化されている。
SRモータは、より広く普及しているマグネットモータと比較して、永久磁石を使用しないことによるコスト削減のメリットがある。また永久磁石を用いないため堅牢性および耐熱性が高い。また無励磁での連れ回り損失及びコギングが発生しないメリットもある。ただしSRモータは、マグネットモータよりトルク密度が低いという課題がある。
SRモータは、マグネットモータと比較して一般的に高インダクタンスである。従ってSRモータでは、コイルへの通電を遮断して消磁を開始してから、電磁誘導により発生する誘導電流がゼロになるまでの収束時間が長くかかり、また通電を開始してからの立ち上がりにも時間がかかる。即ち電流追従性が低い。
従って負トルク領域に突入しないように、電流収束時間を考慮した早いタイミングでコイルへの通電を停止させる制御が一般に行われている。しかしながら、通電を早いタイミングで停止させると、モータの潜在トルクを十分に引き出すことができなくなる。
また電流収束時間を早めるために、コイルの消磁時に印加する逆電圧を昇圧回路で昇圧する手法も提案されている(特許文献1参照)。しかしながら駆動回路の回路規模およびコストが増大する。
特開2004−208441号公報
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、リラクタンスモータの出力特性を、回路規模の増大を抑制しつつ改善する技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様のリラクタンスモータの駆動回路は、複数の突極を有するステータと、複数の突極を有するロータを備えるリラクタンスモータの駆動回路であって、ステータ又はロータの突極に巻かれたコイルの少なくとも一部に励磁用の電流を流すための第1の経路と、コイルの少なくとも一部と一致しない異なる一部に消磁用の電流を流すための第2の経路と、を備える。巻線はステータの突極に備えられる構成であっても、ロータの突極に備えられる構成であってもよい。励磁用の電流はコイルの全部に流してもよい。
この態様によると、コイルの消磁時に少ない巻数で誘導電流を放出させることができ、電流が収束するまでの期間を短縮できる。従って励磁時間を長く確保でき出力特性を改善できる。
コイルの第1端と、電源の正極側に接続されるハイサイド基準線との間に設けられる第1スイッチング素子と、コイルの第2端と、ハイサイド基準線との間に設けられ、コイルからハイサイド基準線へ電流を流すための電流制御素子と、コイルの途中の接続点と、電源の負極側に接続されるローサイド基準線との間に設けられる第2スイッチング素子と、を備えてもよい。これによれば、3つの素子で上記の作用を奏する駆動回路を実現できる。
コイルを励磁する際、第1スイッチング素子および第2スイッチング素子がオンするモードと、第1スイッチング素子がオンで第2スイッチング素子が交互にオン/オフを繰り返すモードと、を有してもよい。これによれば、オン/オフのデューティー比を変更して出力特性を可変できる駆動回路を実現できる。
コイルの第1端と、電源の正極側に接続されるハイサイド基準線との間に設けられる第1スイッチング素子と、コイルの第2端と、電源の負極側に接続されるローサイド基準線との間に設けられる第2スイッチング素子と、ローサイド基準線からコイルの途中の第1の接続点へ電流を流すための第1電流制御素子と、コイルの第1の接続点よりも前記第2端寄りに位置する第2の接続点からハイサイド基準線へ電流を流すための第2電流制御素子と、を備えてもよい。これによれば、4つの素子で上記の作用を奏する駆動回路を実現できる。
第1電流制御素子は、ローサイド基準線にアノード端子が接続され、コイルの接続点にカソード端子が接続される第1ダイオードであってもよい。第2電流制御素子は、コイルの接続点にアノード端子が接続され、ハイサイド基準線にカソード端子が接続される第2ダイオードであってもよい。ダイオードを使用することにより、能動素子を使用する場合と比較してコストを抑えることができる。
第1電流制御素子は、ダイオードが並列に形成または接続された第3スイッチング素子であってもよい。第2電流制御素子は、コイルの接続点にアノード端子が接続され、ハイサイド基準線にカソード端子が接続される第2ダイオードであってもよい。第1電流制御素子に第3スイッチング素子を使用することにより、コイルの一部に励磁用の電流を流すことが可能になる。
コイルを励磁する際に使用する巻数が異なる2つのモードを有してもよい。励磁する際に第3スイッチング素子をオンすることにより、電流の立ち上がりが早いモードを選択できる。
第1スイッチング素子、第2スイッチング素子、第1電流制御素子および第2電流制御素子は、ステータの相ごとに設けられてもよい。コイルの励磁期間が非重複の複数の相の第1スイッチング素子または第2スイッチング素子が共有されてもよい。これによれば、スイッチング素子の数を削減できる。
本発明の別の態様もまたリラクタンスモータの駆動回路である。この駆動回路は、複数の突極を有するステータと、複数の突極を有するロータを備えるリラクタンスモータの駆動回路であって、ステータ又はロータの突極に巻かれたコイルに、電源の正極側に接続されるハイサイド基準線から、コイルの少なくとも一部を経由して、電源の負極側に接続されるローサイド基準線に向かう電流を流す第1の経路と、ローサイド基準線から、コイルの少なくとも一部と一致しない異なる一部を経由して、ハイサイド基準線に向かう電流を流す第2の経路と、第1の経路と第2の経路の接続を切り替える切替え手段を備える。第2の経路のインダクタンスは第1の経路のインダクタンス以下であり、第1の経路と第2の経路において、コイル内を流れる電流の向きは同一である。
この態様によると、消磁経路のインダクタンスを小さくすることができ、電流が収束するまでの時間を短縮できる。従って励磁時間を長く確保でき出力特性を改善できる。
本発明の別の態様のリラクタンスモータシステムは、複数の突極を有するステータと、複数の突極を有するロータを備えるリラクタンスモータと、リラクタンスモータを駆動する上記の駆動回路と、を備える。
この態様によれば、駆動回路の規模の増大を抑制しつつ出力特性が改善されたリラクタンスモータシステムを構築できる。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を回路、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、リラクタンスモータの出力特性を、回路規模の増大を抑制しつつ改善できる。
図1(a)、図1(b)は、比較例に係るSRモータの構成を示す図である。 図1(a)、図1(b)のSRモータを駆動する、比較例1に係る駆動回路の回路構成を示す図である。 図2の駆動回路の動作タイミングを示す図である。 図1(a)、図1(b)のSRモータを駆動する、比較例2に係る駆動回路の回路構成を示す図である。 図4の駆動回路の動作タイミングを示す図である。 図6(a)、図6(b)は、本発明の実施の形態に係るSRモータの構成を示す図である。 図6(a)、図6(b)のSRモータを駆動する、実施例1に係る駆動回路の回路構成を示す図である。 図7の駆動回路の動作タイミングを示す図である。 図6(a)、図6(b)のSRモータを駆動する、実施例2に係る駆動回路の回路構成を示す図である。 図9の駆動回路の動作タイミングを示す図である。 図6(a)、図6(b)のSRモータを駆動する、実施例3に係る駆動回路の回路構成を示す図である。 図11の駆動回路の動作タイミングを示す図である。 図13(a)、図13(b)は、比較例に係るコイル電流と本実施の形態に係るコイル電流の挙動を比較した図である。 図7に示した駆動回路の変形例1を示す図である。 図7に示した駆動回路の変形例2を示す図である。 図1(a)、図1(b)のSRモータを駆動する、比較例3に係る駆動回路の回路構成を示す図である。 図16の駆動回路の動作タイミングを示す図である。 図16の駆動回路の課題を説明するための図である。 図1(a)、図1(b)のSRモータを駆動する、実施例4に係る駆動回路の回路構成を示す図である。 図19の駆動回路の動作タイミングを示す図である。 図6(a)、図6(b)のSRモータを駆動する、実施例5に係る駆動回路の回路構成を示す図である。 図21の駆動回路の動作タイミングを示す図である。 図6(a)、図6(b)のSRモータを駆動する、実施例6に係る駆動回路の回路構成を示す図である。 図23の駆動回路の動作タイミングを示す図である。 図1(a)、図1(b)のSRモータを駆動する、実施例7に係る駆動回路の回路構成を示す図である。 図25の駆動回路の動作タイミングを示す図である。 図6(a)、図6(b)のSRモータを駆動する、実施例8に係る駆動回路の回路構成を示す図である。 図27の駆動回路の動作タイミングを示す図である。 変形例2の変形例に係る駆動回路の回路構成を示す図である。 図30(a)−(c)は、図2、図15、図29に示した駆動回路の出力特性を比較した図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また以下に述べる構成は例示であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
図1(a)、図1(b)は、比較例に係るSRモータ100の構成を示す図である。SRモータ100は、等間隔に複数の突極を有するステータ10と、等間隔に複数の突極を有するロータ20の組み合わせで構成される。図1(a)、図1(b)には8極のステータ10と6極のロータ20で構成されるSRモータ100の例を示している。ステータ10の各突極(例えば、鉄芯で形成される)にはコイルが巻き付けられる。この例では、対向する180度ずれた2つの突極に1つのコイルが巻き付けられており4相駆動される。図1(b)はQ相コイルLq、R相コイルLr、S相コイルLs及びT相コイルLtの巻き方の一例を示しており、図1(a)は各突極に巻き付けられたQ相コイルLq、R相コイルLr、S相コイルLs及びT相コイルLtの断面を示している。
なおSRモータ100は、8極のステータ10と6極のロータ20で4相駆動されるタイプに限られず、6極のステータ10と4極のロータ20で3相駆動されるタイプや、4極のステータ10と2極のロータ20で2相駆動されるタイプなど、様々なタイプがある。また、ロータの突極にコイルを備える構成であってもよい。その場合はコイルに給電するためのブラシやスリップリングなどを備える必要がある。
ロータ20は、電磁鋼板などの軟磁性の素材で構成される。通常、ロータ20の極数がステータ10の極数と一致しないように設計される。これにより、全ての極が一致することによる無回転力状態を回避できる。SRモータ100では、ステータ10の突極に巻き付けられたコイルに通電することにより発生するリラクタンストルクによって、ロータ20の突極が吸引されてロータ20が回転する。
図2は、図1(a)、図1(b)のSRモータ100を駆動する、比較例1に係る駆動回路200の回路構成を示す図である。SRモータ100の駆動回路200は、ブリッジ回路部210及びゲート制御回路220を備える。なお本明細書では、SRモータ100と駆動回路200の組み合わせをモータシステムという。
ブリッジ回路部210にて、直流電源E1の正極側に接続されたハイサイド基準線HL(電源電位線)と、直流電源E1の負極側に接続されたローサイド基準線LL(グラウンド線)との間に、SRモータ100のQ相コイルLq、R相コイルLr、S相コイルLs及びT相コイルLtが配置される。
Q相コイルLqの第1端(上端)とハイサイド基準線HLとの間に、Q相第1スイッチング素子Mq1が設けられる。Q相コイルLqの第2端(下端)とローサイド基準線LLとの間に、Q相第2スイッチング素子Mq2が設けられる。比較例1ではQ相第1スイッチング素子Mq1及びQ相第2スイッチング素子Mq2として、nチャンネル型のMOSFETを使用している。nチャンネル型のMOSFETではソース−ドレイン間に、ソースからドレイン方向を順方向とする寄生ダイオードDpが形成される。
なおスイッチング素子としてIGBTを使用してもよい。IGBTでは寄生ダイオードが形成されないため前述の寄生ダイオードの効果を要する場合にはエミッタ−コレクタ間に、エミッタからコレクタ方向を順方向とするダイオードを並列に接続する。またスイッチング素子としてリレーを使用する場合も、ダイオードを並列に接続する。
Q相コイルLqの上端とローサイド基準線LLとの間に、ローサイド基準線LLからQ相コイルLqの上端の方向に電流を流すためのQ相第1電流制御素子Dq1が設けられる。Q相コイルLqの下端とハイサイド基準線HLとの間に、Q相コイルLqの下端からハイサイド基準線HLの方向に電流を流すためのQ相第2電流制御素子Dq2が設けられる。
比較例1ではQ相第1電流制御素子Dq1及びQ相第2電流制御素子Dq2として、それぞれダイオードを使用している。Q相第1電流制御素子Dq1としてのQ相第1ダイオードのアノード端子がローサイド基準線LLに接続され、Q相第1ダイオードのカソード端子がQ相コイルLqの上端に接続される。Q相第2電流制御素子Dq2としてのQ相第2ダイオードのアノード端子がQ相コイルLqの下端に接続され、Q相第2ダイオードのカソード端子がハイサイド基準線HLに接続される。
このようにQ相コイルLq、Q相第1スイッチング素子Mq1、Q相第2スイッチング素子Mq2、Q相第1電流制御素子Dq1及びQ相第2電流制御素子Dq2は、Q相の非対称ブリッジ回路を構成している。
R相、S相、T相もQ相と同様の構成である。即ちR相コイルLr、R相第1スイッチング素子Mr1、R相第2スイッチング素子Mr2、R相第1電流制御素子Dr1及びR相第2電流制御素子Dr2によりR相の非対称ブリッジ回路を構成している。同様にS相コイルLs、S相第1スイッチング素子Ms1、S相第2スイッチング素子Ms2、S相第1電流制御素子Ds1及びS相第2電流制御素子Ds2によりS相の非対称ブリッジ回路を構成している。同様にT相コイルLt、T相第1スイッチング素子Mt1、T相第2スイッチング素子Mt2、T相第1電流制御素子Dt1及びT相第2電流制御素子Dt2によりT相の非対称ブリッジ回路を構成している。これら4つの非対称ブリッジ回路で、図1のSRモータ100は駆動される。
ハイサイド基準線HLとローサイド基準線LLの間には、平滑用の容量C1が接続される。ゲート制御回路220は、Q相第1スイッチング素子Mq1、Q相第2スイッチング素子Mq2、R相第1スイッチング素子Mr1、R相第2スイッチング素子Mr2、S相第1スイッチング素子Ms1、S相第2スイッチング素子Ms2、T相第1スイッチング素子Mt1及びT相第2スイッチング素子Mt2のオン/オフを制御する。比較例1では各MOSFETのゲート端子に、ゲート駆動電圧(以下、ゲート信号という)を供給して各MOSFETのオン/オフを制御する。なおスイッチング素子にバイポーラトランジスタを使用する場合は、ベース電流を供給してバイポーラトランジスタのオン/オフを制御する。
図3は、図2の駆動回路200の動作タイミングを示す図である。Q相第1スイッチング素子Mq1及びQ相第2スイッチング素子Mq2のゲート端子にゲート制御回路220からハイレベルのゲート信号が供給されると、Q相第1スイッチング素子Mq1及びQ相第2スイッチング素子Mq2がオン状態となる。この状態では直流電源E1からQ相コイルLqに電流が流れ、その電流に比例した磁束が発生する。
一方、Q相第1スイッチング素子Mq1及びQ相第2スイッチング素子Mq2のゲート端子にゲート制御回路220からローレベルのゲート信号が供給されると、Q相第1スイッチング素子Mq1及びQ相第2スイッチング素子Mq2がオフ状態となる。この状態ではQ相コイルLqに流れ込む電流が遮断され、Q相コイルLqの磁束変化に応じた誘起電圧が発生する。この誘起電圧により誘導電流が発生し、当該誘導電流がQ相コイルLq、Q相第1電流制御素子Dq1、直流電源E1及びQ相第2電流制御素子Dq2で形成される閉ループを通じて直流電源E1、及び容量C1に帰還する。
なお、Q相第1電流制御素子Dq1及びQ相第2電流制御素子Dq2を設けずに、消磁する際にQ相コイルLqを単純にグラウンド線に導通させる構成では、スイッチング素子をオフした瞬間に大きな磁束変化が発生しサージ電圧が発生する。また消磁する際にQ相コイルLqと、その両端を導通させるダイオードのみで閉ループを形成させる構成では、当該ダイオードの順方向降下電圧(Vf)を超える誘起電圧があれば電流が流れるため、磁束変化が緩やかになる。この場合、誘導電流がゼロになるまでの収束時間が長くなる。
これに対してQ相コイルLq、Q相第1電流制御素子Dq1、直流電源E1及びQ相第2電流制御素子Dq2で閉ループを形成させる構成では、直流電源E1の電圧を超える誘起電圧が必要となる。上述したQ相コイルLqとダイオードで閉ループを形成させる構成より大きな磁束変化が起き、当該構成より電流収束時間を短縮できる。しかしながらSRモータ100は高インダクタンスであるため、それだけでは電流収束時間の短縮が不十分である。なお以上の説明は、Q相以外の他の相にも同様にあてはまる。
SRモータ100に潜在しているトルクを最大限に引き出すには、1相あたり180度の通電角で励磁するのが理想である。即ち、ステータ10の突極に巻き付けられたコイルに通電してロータ20の突極を吸引し、ステータ10の突極とロータ20の突極が完全に対向した時点で電流を遮断するのが理想である。しかしながら通電を遮断してからコイルに発生する誘導電流が収束するまでに時間がかかる。この誘導電流が流れている期間、ステータ10の突極を通り過ぎたロータ20の突極に対して、ステータ10の突極が負のトルクを加えていることになる。これを回避するには、電流収束時間を考慮してコイルへの通電を遮断するタイミングを早めることが考えられる。この場合、SRモータ100の潜在トルクを最大限に引き出せなくなる。
図3にて、細線で描かれているパルス波形は、各スイッチング素子のゲート端子に供給されるゲート信号を示している。太線で描かれている波形は、当該スイッチング素子により通電/非通電が制御されるコイル電流を示している。点線で描いている特性は、当該コイルのインダクタンスを示している。なおインダクタンスは、実際はリニアに変化するものではないが便宜的に直線で描いている。インダクタンスはステータ10の突極とロータ20の突極の位置関係で変化する。ステータ10の突極とロータ20の突極が対向する位置で最大となり、ステータ10の突極とロータ20の凹位置(突極同士の間)が対向する側に移るにつれて低下する。
図3に示すように4相のコイルに電気角で90度ずらして通電している。図3のグラフの縦線の1マスは電気角の90度に対応している。図3に示すタイミングチャートは、4相のコイルを150度通電で制御する例を示している。即ち30度、手前で各スイッチング素子をオフしている。しかしながら180度のタイミングで電流が抜け切れておらず、負のトルクが発生している。
図4は、図1(a)、図1(b)のSRモータ100を駆動する、比較例2に係る駆動回路200の回路構成を示す図である。比較例2に係る駆動回路200は、図2に示した比較例1に係る駆動回路200における、コイルの励磁期間が非重複の2つの相の第1スイッチング素子(ハイサイドスイッチング素子)を共有した構成である。またコイルの励磁期間が非重複の2つの相の第2電流制御素子を共有した構成である。
図3を参照するとQ相とS相の通電期間が重複しておらず、R相とT相の通電期間も重複していない。従ってQ相第1スイッチング素子Mq1とS相第1スイッチング素子Mq1を共通化してQS相共通スイッチング素子Mqsを設けている。またQ相第2電流制御素子Dq2とS相第2電流制御素子Ds2を共通化してQS相共通電流制御素子Dqsを設けている。同様にR相第1スイッチング素子Mr1とT相第1スイッチング素子Mt1を共通化してRT相共通スイッチング素子Mrtを設けている。またR相第2電流制御素子Dr2とT相第2電流制御素子Dt2を共通化してRT相共通電流制御素子Drtを設けている。この回路構成によれば、図2に示した回路構成と比較して部品点数を減らすことができコストを低減できる。
なお、1相あたり90度以下の通電角で励磁を行うように変更した場合には、4相の通電期間は互いに重複しないため、スイッチング素子、電流制御素子の一部を4相共通とする構成が可能である。ただし、通電期間が短くなるため、出力は小さくなる。
図5は、図4の駆動回路200の動作タイミングを示す図である。このタイミングチャートは、4相のコイルを120度通電で制御する例を示している。即ち60度、手前で各スイッチング素子をオフしている。スイッチング素子を共通化した場合、一方の相のコイルの電流を0にした後でなければ、他方の相のコイルへの通電が出来ないため通電時間を短く設定したものである。このため図3に示した150度通電と比較して通電期間が短くなる。従って正のコイル電流に比例する正のトルクがさらに小さくなり、潜在トルクの利用効率がさらに低下する。
なお図4、図5ではハイサイドスイッチング素子を共有する構成を示したが、ローサイドスイッチング素子、及び第1電流制御素子を共有する構成も可能である。
ここまで説明してきたように負のトルクが発生したり、潜在トルクの利用効率が低くなる要因は、コイルへの通電を停止してから電流が収束するまでの期間が長いことに起因する。以下、電流の立ち下がりを急峻にする方法を説明する。
図6(a)、図6(b)は、本発明の実施の形態に係るSRモータ100の構成を示す図である。図6(a)、図6(b)に示す実施の形態に係るSRモータ100では、図1(a)、図1(b)に示した比較例に係るSRモータ100と比較して、Q相コイルLq、R相コイルLr、S相コイルLs及びT相コイルLtにそれぞれ中継点が設けられている。
具体的にはQ相コイルLqが中継点を境に第1Q相コイル部Lq1、第2Q相コイル部Lq2に分離される。同様にR相コイルLrが中継点を境に第1R相コイル部Lr1、第2R相コイル部Lr2に分離され、S相コイルLsが中継点を境に第1S相コイル部Ls1、第2S相コイル部Ls2に分離され、T相コイルLtが中継点を境に第1T相コイル部Lt1、第2T相コイル部Lt2に分離される。
以下、説明を単純化するため中継点は、各コイルのトータルの巻数(ターン数)の半分の位置に設けられるとする。また第1コイル部の巻数と第2コイル部の巻数の合計は、分離前のコイルの巻数に等しいとする。
図6(b)では180度ずれた位置にある2つの突極に、第1Q相コイル部Lq1及び第2Q相コイル部Lq2がパラレルに巻き付けられている。他の相も同様の構成である。
図7は、図6(a)、図6(b)のSRモータ100を駆動する、実施例1に係る駆動回路200の回路構成を示す図である。以下、図2に示した比較例1に係る駆動回路200の回路構成との相違点を説明する。
比較例1ではQ相第1電流制御素子Dq1は、Q相コイルLqの上端とローサイド基準線LLとの間に設けられたが、実施例1ではQ相第1電流制御素子Dq1は、Q相コイルLqの中継点(第2ノードN2)とローサイド基準線LLとの間に設けられる。Q相コイルLqの中継点は、第1Q相コイル部Lq1と第2Q相コイル部Lq2の接続点でもある。
図6(b)及び図7に示すように第1Q相コイル部Lq1の上端が接続される第1ノードN1にはQ相第1スイッチング素子Mq1のソース端子が接続され、第1Q相コイル部Lq1の下端が接続される第2ノードN2には、Q相第1電流制御素子Dq1のカソード端子と第2Q相コイル部Lq2の上端が接続される。第2Q相コイル部Lq2の下端が接続される第3ノードN3にはQ相第2電流制御素子Dq2のアノード端子とQ相第2スイッチング素子Mq2のドレイン端子が接続される。R相、S相、T相もQ相と同様の構成である。
この回路構成では、Q相コイルLqへの通電が遮断された後、Q相コイルLqの両端ではなく第2Q相コイル部Lq2の両端から誘導電流が放出される。第2Q相コイル部Lq2の巻数はQ相コイルLqの巻数より少ない。実施例1では半分の巻数である。従ってインダクタンスが半分になり、通電終了後の電流収束時間を約半分にできる。
なお第1Q相コイル部Lq1と第2Q相コイル部Lq2が磁気結合しているため、第1Q相コイル部Lq1に蓄えられた磁気エネルギーに基づく誘導電流は、第2Q相コイル部Lq2から放出される。第1Q相コイル部Lq1と第2Q相コイル部Lq2の磁気エネルギーの総量は、Q相コイルLqの磁気エネルギーの総量と変わらないため、電流収束時間が約半分になる分、放出電流のピーク値が約2倍になる。第1Q相コイル部Lq1の磁気エネルギーの一部により小さなサージ電圧が生じることがあるので、第1Q相コイル部Lq1と並列にサージ吸収素子を設けてもよい。
図8は、図7の駆動回路200の動作タイミングを示す図である。図8に示すタイミングチャートも、図3に示したタイミングチャートのように4相のコイルを150度通電で制御している。各相のコイルは第1コイル部と第2コイル部に分離されている。各コイル部のインダクタンスは、図3のタイミングチャートに示した各コイルのインダクタンスの約半分になっている。また第1コイル部は磁気エネルギーの放出に使用されないため、通電が遮断されると同時に電流が流れなくなる。第2コイル部は、通電が遮断されると瞬間的に電流が増加し、その後に急峻に低下していく。図8に示すタイミングチャートでは、図3に示したタイミングチャートと同様に150度通電で制御しても、180度のタイミングで電流がゼロに収束している。従って負のトルクが発生しない。
図9は、図6(a)、図6(b)のSRモータ100を駆動する、実施例2に係る駆動回路200の回路構成を示す図である。以下、図4に示した比較例2に係る駆動回路200の回路構成との相違点を説明する。
比較例2ではQ相第2電流制御素子Dq2は、Q相コイルLqの下端とハイサイド基準線HLとの間に設けられたが、実施例2ではQ相第2電流制御素子Dq2は、Q相コイルLqの中継点とハイサイド基準線HLとの間に設けられる。R相、S相、T相もQ相と同様の構成である。
この回路構成では、Q相コイルLqへの通電が遮断された後、Q相コイルLqの両端ではなく第1Q相コイル部Lq1の両端から誘導電流が放出される。第1Q相コイル部Lq1の巻数はQ相コイルLqの巻数より少ない。実施例2では半分の巻数である。従ってインダクタンスが半分になり、通電終了後の電流収束時間を約半分にできる。
図10は、図9の駆動回路200の動作タイミングを示す図である。図10に示すタイミングチャートも、図8に示したタイミングチャートのように4相のコイルを150度通電で制御している。実施例2では第1コイル部を使用して磁気エネルギーを放出しているため、第1コイル部の電流波形と第2コイル部の電流波形が、図8に示したタイミングチャートと逆になる。その他、第1スイッチング素子が共有されている以外、図10に示すタイミングチャートと図8に示すタイミングチャートは同様の特性である。
図11は、図6(a)、図6(b)のSRモータ100を駆動する、実施例3に係る駆動回路200の回路構成を示す図である。以下、図8に示した実施例2に係る駆動回路200の回路構成との相違点を説明する。
実施例2ではQ相第2電流制御素子Dq2にダイオードを用いたが、実施例3ではダイオードではなくQ相第3スイッチング素子Mq3を用いる。なお当該スイッチング素子には、第1Q相コイル部Lq1と第2Q相コイル部Lq2の中継点からハイサイド基準線HLの方向を順方向とするダイオードが並列に接続または形成されている必要がある。図11ではnチャンネルのMOSFETが使用されている。nチャンネルのMOSFETには当該中継点からハイサイド基準線HLの方向を順方向とする寄生ダイオードDpが形成されている。R相、S相、T相もQ相と同様に、R相第2電流制御素子Dr2、S相第2電流制御素子Ds2、T相第2電流制御素子Dt2の代わりにR相第3スイッチング素子Mr3、S相第3スイッチング素子Ms3、T相第3スイッチング素子Mt3がそれぞれ使用される。
第1Q相コイル部Lq1と第1S相コイル部Ls1との接続点と、QS相共通スイッチング素子Mqsとの間に逆流防止用のダイオードDbが挿入される。同様に第1R相コイル部Lr1と第1T相コイル部Lt1との接続点と、RT相共通スイッチング素子Mrtとの間に逆流防止用のダイオードDbが挿入される。
Q相第3スイッチング素子Mq3、R相第3スイッチング素子Mr3、S相第3スイッチング素子Ms3、T相第3スイッチング素子Mt3を常時オフで使用すれば、図9に示した実施例2の動作タイミングと同様である。
実施例3ではコイルを励磁する際の電流立ち上がり時間も短縮できる。実施例2では例えばQ相コイルLqを励磁する際、QS相共通スイッチング素子MqsとQ相第2スイッチング素子Mq2をターンオンした。実施例3ではQS相共通スイッチング素子Mqsをオフ状態に維持しつつQ相第3スイッチング素子Mq3及びQ相第2スイッチング素子Mq2をターンオンして、第2Q相コイル部Lq2の両端に電流を流す。
実施例3では、Q相コイルLqの両端ではなく第2Q相コイル部Lq2の両端に励磁用の電流を流す。第2Q相コイル部Lq2の巻数はQ相コイルLqの巻数より少ない。実施例3では半分の巻数である。従ってインダクタンスが半分になり、通電開始後の電流立ち上がり時間を約半分にできる。第1Q相コイル部Lq1と第2Q相コイル部Lq2は磁気結合している。
図12は、図11の駆動回路200の動作タイミングを示す図である。図12に示すタイミングチャートも、図8及び図10に示したタイミングチャートのように4相のコイルを150度通電で制御している。図12に示すタイミングチャートでは、QS相共通スイッチング素子Mqs及びRT相共通スイッチング素子Mrtが常時オフに制御される。実施例3では第2コイル部に励磁用の電流が流れ、第1コイル部には励磁用の電流が流れない。ただしコイル全体に励磁用の電流を流す場合と比較して磁気エネルギーの総量は変わらないため、第2コイル部に流れる電流が大きくなる。
一方、消磁する際はQ相第3スイッチング素子Mq3をターンオフ、Q相第2スイッチング素子Mq2をオフし、第1コイル部を使用して磁気エネルギーを放出している。第2コイル部は磁気エネルギーの放出に使用されないため、通電が遮断されると同時に電流が流れなくなる。第1コイル部は、通電が遮断されると瞬間的に電流が増加し、その後に急峻に低下していく。
実施例3ではコイルを励磁する際の電流立ち上がり時間を早めることができるためSRモータ100を高速回転させることができる。
図11に示した回路構成では通常回転モードと高速回転モードを切り替えて使用できる。即ち通常回転モードでは図10に示した動作タイミングでSRモータ100を駆動し、高速回転モードでは図12に示した動作タイミングで駆動する。
以上説明したように本実施の形態によれば、コイルを消磁する際の誘導電流の放出に使用する巻数を減らすことにより電流収束時間を短縮でき、SRモータ100の出力特性を改善できる。
図13(a)、図13(b)は、比較例に係るコイル電流と本実施の形態に係るコイル電流の挙動を比較した図である。なお図13(a)、図13(b)では便宜的にQ相とR相のコイル電流を描いている。図13(a)は比較例に係るコイル電流を示し、図13(b)は本実施の形態に係るコイル電流を示している。図13(a)と図13(b)を比較すると、後者の実施の形態に係る電流収束時間t2、前者の比較例に係る電流収束時間t1より短くなっている。これは、実施の形態では誘導電流の放出に使用する巻数を減らしているためである。電流収束時間t2の短縮分が励磁時間の増加時間t3になり、実施の形態に係る駆動方式では比較例に係る駆動方式より励磁時間を長くできる。従って潜在トルクのロスが減り、SRモータ100の出力特性を向上させることができる。
誘導電流の放出に使用する巻数を減らすほど電流収束時間を短縮できる。しかしながら放出する磁気エネルギーは変わらないため放出時間が短縮する分、誘起電圧および誘導電流のピークが増大する。この場合、高耐圧のスイッチング素子およびダイオードを使用する必要があり、回路面積およびコストが増大する。設計者は、許容できる回路規模およびコストの範囲で、誘導電流の放出に使用する巻数を決定すればよい。
なお電流収束時間の短縮は、消磁時にコイルに印加する逆電圧を高くすることによっても実現できる。しかしながらこの場合、昇圧回路が別途に必要になり駆動回路の回路規模およびコストが増大する。本実施の形態では駆動回路の回路規模およびコストを増大させずに、電流収束時間を短縮している。
以上、本発明を上述の実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて各実施の形態における組合せや処理の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
上述のように本実施の形態に係るSRモータ100では、誘導電流の放出に使用する巻数を減らす構成があればよい。上述のようにコイルの総巻数の半分の位置に中継点を設ける構成に限るものではない。また中継点を1つではなく2つ設けてもよい。
即ち、ローサイド基準線LLに接続された第1電流制御素子が接続されるコイルのノード(以下、ノードAという)と、ハイサイド基準線HLに接続された第2電流制御素子が接続されるコイルのノード(以下、ノードBという)との間に、以下の関係が成立していればよい。ノードAはノードBよりコイルの上端側に設けられる。ノードAとノードB間の巻数がコイルの上端と下端間の巻数より少ない。この2つの条件を満たしていれば、ノードAおよびノードBの位置を任意に設計できる。例えば図7に示した回路構成では、ノードAをコイルの中点に設定し、ノードBをコイルの下端に設定している。
図14は、図7に示した駆動回路200の変形例1を示す図である。変形例1ではノードAをコイルの上端に設定し、ノードBをコイルの中点に設定している。
図15は、図7に示した駆動回路200の変形例2を示す図である。変形例2では図7に示した回路構成と同様にノードAをコイルの中点に設定し、ノードBをコイルの下端に設定している。図7に示した駆動回路200ではQ相第1電流制御素子Dq1にダイオードを用いたが、変形例2ではダイオードではなくQ相第4スイッチング素子Mq4を用いる。なお当該スイッチング素子には、ローサイド基準線LLから第1Q相コイル部Lq1と第2Q相コイル部Lq2の中継点の方向を順方向とするダイオードが並列に接続または形成されている必要がある。図15ではnチャンネルのMOSFETが使用されている。nチャンネルのMOSFETにはローサイド基準線LLから当該中継点の方向を順方向とする寄生ダイオードDpが形成されている。R相、S相、T相もQ相と同様に、R相第1電流制御素子Dr1、S相第1電流制御素子Ds1、T相第1電流制御素子Dt1の代わりにR相第4スイッチング素子Mr4、S相第4スイッチング素子Ms4、T相第4スイッチング素子Mt4がそれぞれ使用される。
第2Q相コイル部Lq2とQ相第2スイッチング素子Mq2との間に逆流防止用のダイオードDbが挿入される。同様に、第2R相コイル部Lr2とR相第2スイッチング素子Mr2との間、第2S相コイル部Ls2とS相第2スイッチング素子Ms2との間、及び第2T相コイル部Lt2とT相第2スイッチング素子Mt2との間にもそれぞれ、逆流防止用のダイオードDbが挿入される。
変形例2も実施例3と同様にコイルを励磁する際の電流立ち上がり時間を短縮できる。変形例2では例えばQ相コイルLqを励磁する際、Q相第2スイッチング素子Mq2をオフ状態に維持しつつQ相第1スイッチング素子Mq1及びQ相第4スイッチング素子Mq4をターンオンして、第1Q相コイル部Lq1の両端に電流を流す。変形例2でも実施例3と同様に通常回転モードと高速回転モードを切り替え可能な構成である。
上述の図2に示した比較例1に係る駆動回路200ではMOSFETを8個、ダイオードを8個使用する例を説明した。また上述の図4に示した比較例2に係る駆動回路200では回路の一部を共通化することでMOSFETとダイオードの数を削減する例を説明した。比較例2では比較例1に対してMOSFETが2個、ダイオードが2個削減されている。以下、素子数をさらに削減する方法を説明する。
図16は、図1(a)、図1(b)のSRモータ100を駆動する、比較例3に係る駆動回路200の回路構成を示す図である。比較例3に係るブリッジ回路部210にて、直流電源E1の正極側に接続されたハイサイド基準線HLと、直流電源E1の負極側に接続されたローサイド基準線LLとの間に、直列接続されたQ相コイルLq及びR相コイルLrと、直列接続されたS相コイルLs及びT相コイルLtが並列に配置される。Q相コイルLqとR相コイルLr間のノードと、S相コイルLsとT相コイルLt間のノード間が接続されており、4つのコイルの一方端がすべて一つに結線されている。
Q相コイルLqの上端とハイサイド基準線HLとの間に、Q相スイッチング素子Mqが設けられる。Q相コイルLqの下端とR相コイルLrの上端が接続されている。R相コイルLrの下端とローサイド基準線LLとの間に、R相スイッチング素子Mrが設けられる。比較例3でもQ相スイッチング素子Mr及びR相スイッチング素子Mrとして、nチャンネル型のMOSFETを使用している。
Q相コイルLqの上端とローサイド基準線LLとの間に、ローサイド基準線LLからQ相コイルLqの上端の方向に電流を流すためのQ相電流制御素子Dqが設けられる。R相コイルLrの下端とハイサイド基準線HLとの間に、R相コイルLrの下端からハイサイド基準線HLの方向に電流を流すためのR相電流制御素子Drが設けられる。比較例3でもQ相電流制御素子Dq及びR相電流制御素子Drとして、それぞれダイオードを使用している。
同様に、S相コイルLsの上端とハイサイド基準線HLとの間に、S相スイッチング素子Msが設けられる。S相コイルLsの下端とT相コイルLtの上端が接続されている。T相コイルLtの下端とローサイド基準線LLとの間に、T相スイッチング素子Mtが設けられる。比較例3でもS相スイッチング素子Ms及びT相スイッチング素子Mtとして、nチャンネル型のMOSFETを使用している。
S相コイルLsの上端とローサイド基準線LLとの間に、ローサイド基準線LLからS相コイルLsの上端の方向に電流を流すためのS相電流制御素子Dsが設けられる。T相コイルLtの下端とハイサイド基準線HLとの間に、T相コイルLtの下端からハイサイド基準線HLの方向に電流を流すためのT相電流制御素子Dtが設けられる。比較例3でもS相電流制御素子Ds及びT相電流制御素子Dtとして、それぞれダイオードを使用している。
ハイサイド基準線HLとローサイド基準線LLの間には、平滑用の容量C1が接続される。ゲート制御回路220は、Q相スイッチング素子Mq、R相スイッチング素子Mr、S相スイッチング素子Ms及びT相スイッチング素子Mtのオン/オフを制御する。
図17は、図16の駆動回路200の動作タイミングを示す図である。Q相スイッチング素子Mq、R相スイッチング素子Mr、S相スイッチング素子Ms及びT相スイッチング素子Mtはそれぞれ180度通電で制御されている。
またQ相スイッチング素子Mq、R相スイッチング素子Mr、S相スイッチング素子Ms及びT相スイッチング素子Mtはそれぞれ位相が90度ずれて駆動される。具体的にはQ相スイッチング素子Mqのオン期間はR相スイッチング素子Mrのオン期間に対して90度遅れており、R相スイッチング素子Mrのオン期間はS相スイッチング素子Msのオン期間に対して90度遅れており、S相スイッチング素子Msのオン期間はT相スイッチング素子Mtのオン期間に対して90度遅れており、T相スイッチング素子Mtのオン期間はQ相スイッチング素子Mqのオン期間に対して90度遅れている。従って4相のコイルはT相コイルLt、S相コイルLs、R相コイルLr、Q相コイルLqの順番で、電気角で90度ずれて励磁される。
図18は、図16の駆動回路200の課題を説明するための図である。駆動回路200の各相コイルに流れる相電流のタイミングを示す図17を合わせて参照されたい。図18は、Q相スイッチング素子Mqがオフ、R相スイッチング素子Mrがオン、S相スイッチング素子Msがオン、及びT相スイッチング素子Mtがオフの状態において(図17の点線枠参照)、T相コイルLtの誘起電圧により発生する誘導電流の還流経路を示している。なお図示しないが電源電流はS相スイッチング素子Ms、S相コイルLs、R相コイルLr、R相スイッチング素子Mrの経路で流れ、S相コイルLs及びR相コイルLrを励磁させている。
T相コイルLtの誘起電圧により発生する誘導電流は、T相電流制御素子Dt、S相スイッチング素子Ms、S相コイルLs、T相コイルLtの第1還流経路Igを通って還流する。また当該誘導電流は、T相電流制御素子Dt、容量C1、R相電流制御素子Dr、Q相コイルLq、T相コイルLtの第2還流経路Ibを通っても還流する。この内、第1還流経路Igは他相の励磁に悪影響を与えない還流経路である(以下本明細書では、正トルク還流経路という)。第2還流経路Ibは他相の励磁に悪影響を与える還流経路である(以下本明細書では、負トルク還流経路という)。
第2還流経路Ibにより、励磁前のQ相コイルLqの負トルク(発電)領域に前ステップの還流電流が流れ込み、それが誘起電力となりロスとなる。図17に示すように各相のコイルの通電期間の前で、前ステップの還流電流による誘起電力ロスが発生している。以下、この誘起電力ロスを抑制する方法について説明する。
図19は、図1(a)、図1(b)のSRモータ100を駆動する、実施例4に係る駆動回路200の回路構成を示す図である。以下、図16に示した比較例3に係る駆動回路200の回路構成との相違点を説明する。
実施例4では、Q相電流制御素子Dqのアノード端子及びS相電流制御素子Dsのアノード端子と、ローサイド基準線LLの間にローサイドスイッチング素子Mlが挿入される。同様に、R相電流制御素子Drのカソード端子及びT相電流制御素子Dtのカソード端子と、ハイサイド基準線HLの間にハイサイドスイッチング素子Mhが挿入される。
図19では、ハイサイドスイッチング素子Mh及びローサイドスイッチング素子Mlとしてnチャンネル型のMOSFETを使用している。ハイサイドスイッチング素子Mhのオフ状態で寄生ダイオードDpが導通しないように、ハイサイドスイッチング素子Mhのソース端子がハイサイド基準線HLに接続され、ドレイン端子がR相電流制御素子Drのカソード端子及びT相電流制御素子Dtのカソード端子に接続される。同様にローサイドスイッチング素子Mlのオフ状態で寄生ダイオードDpが導通しないように、ローサイドスイッチング素子Mlのドレイン端子がローサイド基準線LLに接続され、ソース端子がQ相電流制御素子Dqのアノード端子及びS相電流制御素子Dsのアノード端子に接続される。ゲート制御回路220は、Q相スイッチング素子Mq、R相スイッチング素子Mr、S相スイッチング素子Ms、T相スイッチング素子Mt、ハイサイドスイッチング素子Mh及びローサイドスイッチング素子Mlのオン/オフを制御する。
図20は、図19の駆動回路200の動作タイミングを示す図である。Q相スイッチング素子Mq、R相スイッチング素子Mr、S相スイッチング素子Ms及びT相スイッチング素子Mtの駆動タイミングは、図17に示した駆動タイミングと同じである。
Q相スイッチング素子Mqがターンオフした後のQ相コイルLqの誘起電圧にもとづく電流放出期間に、R相コイルLr及びR相電流制御素子Drを含む負トルク還流経路を遮断するためにハイサイドスイッチング素子Mhがターンオフされる。R相コイルLrの通電期間が開始されるとハイサイドスイッチング素子Mhがターンオンされる。
R相スイッチング素子Mrがターンオフした後のR相コイルLrの誘起電圧にもとづく電流放出期間に、S相電流制御素子Ds及びS相コイルLsを含む負トルク還流経路を遮断するためにローサイドスイッチング素子Mlがターンオフされる。S相コイルLsの通電期間が開始されるとローサイドスイッチング素子Mhがターンオンされる。
S相スイッチング素子Msがターンオフした後のS相コイルLsの誘起電圧にもとづく電流放出期間に、T相コイルLt及びT相電流制御素子Dtを含む負トルク還流経路を遮断するためにハイサイドスイッチング素子Mhがターンオフされる。T相コイルLtの通電期間が開始されるとハイサイドスイッチング素子Mhがターンオンされる。
T相スイッチング素子Mtがターンオフした後のT相コイルLtの誘起電圧にもとづく電流放出期間に、Q相電流制御素子Dq及びQ相コイルLqを含む負トルク還流経路を遮断するためにローサイドスイッチング素子Mlがターンオフされる。Q相コイルLqの通電期間が開始されるとローサイドスイッチング素子Mhがターンオンされる。
以上のように4相駆動方式におけるハイサイドスイッチング素子Mh及びローサイドスイッチング素子Mlは、Q相スイッチング素子Mq、R相スイッチング素子Mr、S相スイッチング素子Ms及びT相スイッチング素子Mtの2倍の周波数で、相補的にオン/オフされる。
以上説明したように実施例4によれば、負トルク還流経路をスイッチング素子でタイミング良く遮断することで誘起電力の発生を抑制できる。従ってモータ効率の低下を抑制できる。また4相式の場合、MOSFETが6個、ダイオードが4個、ワイヤーハーネスが4本でSRモータ100を効率良く駆動できる。なお実施例4に係る回路構成は4相以上の偶数相の回路構成全般に適用可能である。6相以上であっても4相の場合と同様に、上側の1相のコイルと下側の1相のコイルの2相のコイルを、組み合わせを変えながら励磁する制御になる。
図21は、図6(a)、図6(b)のSRモータ100を駆動する、実施例5に係る駆動回路200の回路構成を示す図である。実施例5に係る駆動回路200は、図16に示した比較例3に係る駆動回路200の要部と図7に示した実施例1に係る駆動回路200の要部を組み合わせた回路である。
比較例3ではQ相電流制御素子Dqは、Q相コイルLqの上端とローサイド基準線LLとの間に設けられたが、実施例5ではQ相電流制御素子Dqは、Q相コイルLqの中継点とローサイド基準線LLとの間に設けられる。同様にR相電流制御素子Drは、R相コイルLrの中継点とハイサイド基準線HLとの間に設けられる。同様にS相電流制御素子Dsは、S相コイルLsの中継点とローサイドド基準線LLとの間に設けられる。同様にT相電流制御素子Dtは、T相コイルLtの中継点とハイサイド基準線HLとの間に設けられる。
図22は、図21の駆動回路200の動作タイミングを示す図である。図22に示す動作タイミングは、図8に示した動作タイミングと図17に示した動作タイミングの両方の特徴を合わせ持つタイミングになる。また、実施例5に係る駆動回路200による効果も、比較例3に係る駆動回路200による効果と実施例1に係る駆動回路200による効果を合わせ持つものになる。
図23は、図6(a)、図6(b)のSRモータ100を駆動する、実施例6に係る駆動回路200の回路構成を示す図である。実施例6に係る駆動回路200は、図19に示した実施例4に係る駆動回路200の要部と図21に示した実施例5に係る駆動回路200の要部を組み合わせた回路である。
図24は、図23の駆動回路200の動作タイミングを示す図である。図24に示す動作タイミングは、図20に示した動作タイミングと図22に示した動作タイミングの両方の特徴を合わせ持つタイミングになる。また、実施例6に係る駆動回路200による効果も、実施例4に係る駆動回路200による効果と実施例5に係る駆動回路200による効果を合わせ持つものになる。
図25は、図1(a)、図1(b)のSRモータ100を駆動する、実施例7に係る駆動回路200の回路構成を示す図である。実施例7に係る駆動回路200は、図19に示した実施例4に係る駆動回路200のQ相電流制御素子Dq、R相電流制御素子Dr、S相電流制御素子Ds及びT相電流制御素子Dtをダイオードでなくサイリスタで構成した回路である。ゲート制御回路220は、Q相サイリスタTq、R相サイリスタTr、S相サイリスタTs及びT相サイリスタTtのそれぞれのゲート端子にゲート信号を供給することにより、各サイリスタの導通/非導通を制御する。
図26は、図25の駆動回路200の動作タイミングを示す図である。図26に示す動作タイミングは、図20に示した動作タイミングを、ハイサイドスイッチング素子Mh及びローサイドスイッチング素子MlではなくQ相サイリスタTq、R相サイリスタTr、S相サイリスタTs及びT相サイリスタTtで実現したものである。
実施例7によっても実施例4と同様に、負トルク還流経路をサイリスタでタイミング良く遮断することで誘起電力の発生を抑制できる。なお実施例7のほうが実施例4よりMOSFETの数を減らすことができるが、実施例4のほうがゲートドライバの消費電力が小さくなる。
図27は、図6(a)、図6(b)のSRモータ100を駆動する、実施例8に係る駆動回路200の回路構成を示す図である。実施例8に係る駆動回路200は、図25に示した比較例7に係る駆動回路200の要部と図7に示した実施例1に係る駆動回路200の要部を組み合わせた回路である。
図28は、図27の駆動回路200の動作タイミングを示す図である。図28に示す動作タイミングは、図8に示した動作タイミングと図26に示した動作タイミングの両方の特徴を合わせ持つタイミングになる。また、実施例8に係る駆動回路200による効果も、実施例7に係る駆動回路200による効果と実施例1に係る駆動回路200による効果を合わせ持つものになる。
上述の図15に示した変形例2に係る駆動回路200では、図7に示した実施例1に係る駆動回路200の各相の第1電流制御素子D1(ダイオード)をそれぞれ第4スイッチング素子M4(nチャンネルのMOSFET)に変更する例を説明した。図15に示す駆動回路200では、励磁する際に第4スイッチング素子M4をターンオンして、励磁用の電流を流すコイルの巻数を半分にすることにより電流立ち上がり時間を短縮する高速回転モードを有する。また、励磁する際に第4スイッチング素子M4をターンオンせずに、励磁用の電流をコイル全体に流す通常回転モードも有する。
高速回転モードは励磁用の電流を流すコイルの巻数と、消磁用の電流を流すコイルの巻数の両方を半分にするモードであり、電流の立ち上がりと立ち下がりの両方が急峻になる(図12参照)。一方、通常回転モードでは励磁用の電流はコイル全体に流し、消磁用の電流はコイルの半分に流すモードであり、電流の立ち下がりのみが急峻になる(図8参照)。図7に示した実施例1に係る駆動回路200は通常回転モードのみである。図15に示した変形例2係る駆動回路200では、各相の第1電流制御素子D1(ダイオード)をそれぞれ第4スイッチング素子M4(nチャンネルのMOSFET)に変更したことにより、2種類の出力特性を実現できる。以下、2種類の出力特性を実現可能な別の回路構成を説明する。
図29は、変形例2の変形例に係る駆動回路200の回路構成を示す図である。図29には4相式の回路構成を描いているが、他の相数にも適用可能である。図29に示した駆動回路200の構成は、図15に示した駆動回路200の第2スイッチング素子M2を除去した構成である。従って図29に示した駆動回路200の構成は、図15に示した駆動回路200と比較してMOSFETの数を減らすことができる。また図2に示した比較例1に係る駆動回路200と比較してもダイオードの数を減らすことができる。従って回路規模およびコストを低減できる
図29に示した駆動回路200も2種類の出力特性を実現できる。1つは高速回転モードであり、図15に示した駆動回路200の高速回転モードと同等である。具体的には、励磁時に各相の第1スイッチング素子M1及び第2スイッチング素子M2をターンオンして第1コイル部L1に励磁用の電流を流し、消磁時に各相の第1スイッチング素子M1をターンオフ及び第2スイッチング素子M2をターンオンして第2コイル部L2に消磁用の電流を流す。
もう1つは2コイル環流チョッピングモードである。このモードでは励磁時に各相の第1スイッチング素子M1がオンの状態で、各相の第2スイッチング素子M2のターンオン/ターンオフを交互に繰り返す(チョッピング)。第1スイッチング素子M1がオン及び第2スイッチング素子M2がオフの状態では、第1スイッチング素子M1→第1コイル部L1→第2コイル部L2→第1電流制御素子D1→第1スイッチング素子M1と電流が2つのコイルを流れるように還流する。
このように2コイル環流チョッピングモードでは、第1スイッチング素子M1及び第2スイッチング素子M2がオンの励磁状態と、第1スイッチング素子M1がオン及び第2スイッチング素子M2がオフの還流状態を交互に繰り返す。励磁状態と還流状態で磁束エネルギーは変わらずに、還流状態では電流が流れるコイルの巻数が倍になる。従って還流状態では第1コイル部L1及び第2コイル部L2に流れる電流が半分になる。励磁状態で流れる電流と還流状態で流れる電流を平均化した電流も、高速回転モードの励磁時に流れる電流より低くなる。消磁時には高速回転モードと同様に第1スイッチング素子M1をターンオフ及び第2スイッチング素子M2をターンオンして第2コイル部L2に消磁用の電流を流す。チョッピングモードにおいては、オン/オフのデューティー比を変更することで出力特性を変えることが出来る。
図30(a)−(c)は、図2、図15、図29に示した駆動回路200の出力特性を比較した図である。なお、図30(c)は図29の駆動回路をデューティー比50%で動作させたものである。横軸はトルクを示し、縦軸は回転数/電流を示す。図30(a)に示す図2に示した駆動回路200ではモードが1つである。図30(b)に示す図15に示した駆動回路200では通常回転モードと高速回転モードの2つを備える。図30(c)に示す図29に示した駆動回路200では高速回転モードと2コイル環流チョッピングモードの2つを備える。
図30(a)に示す出力特性と、図30(b)に示す通常回転モードの出力特性を比較すると後者が前者に対して、出力が数パーセント向上している。即ち、電流収束時間が短くでき、励磁時間を長くできる結果、後者の方が回転数が数パーセント上がる。図30(a)に示す出力特性と、図30(b)に示す高速回転モードの出力特性を比較すると後者が前者に対して、回転数が約2倍になる。
図30(b)の高速回転モードの出力特性と、図30(c)に示す高速回転モードの出力特性はほぼ同じである。図30(a)の出力特性と、図30(c)に示す2コイル環流チョッピングモードの出力特性はほぼ同じである。
このように図29に示した駆動回路200では、高速回転モードを含む2種類の出力特性を備える駆動回路200を低コストで実現できる。また2コイル環流チョッピングモードでは、第2スイッチング素子のオン、オフのみで高速回転モードと2コイル環流チョッピングモードを変えることができるため、ゲート制御装置の構成が簡易にできる。
以下の態様のリラクタンスモータの駆動回路が構成されてもよい。
本発明のある態様のリラクタンスモータの駆動回路は、複数の突極を有するステータと、複数の突極を有するロータを備えるリラクタンスモータの駆動回路であって、ステータ又はロータの突極に巻かれたコイルの第1端と、電源の正極側に接続されるハイサイド基準線との間に設けられる第1スイッチング素子と、コイルの第2端と、電源の負極側に接続されるローサイド基準線との間に設けられる第2スイッチング素子と、ローサイド基準線からコイルの第1接続点へ電流を流すための第1電流制御素子と、コイルの第2接続点からハイサイド基準線へ電流を流すための第2電流制御素子と、を備える。コイルの第1接続点は、第2接続点より第1端側に設けられ、コイルの第1接続点と第2接続点との間の巻数は、第1端と第2端との間の巻数より少ない。巻線はステータの突極に備えられる構成であっても、ロータの突極に備えられる構成であってもよい。
この態様によると、コイルの消磁時に少ない巻数で誘導電流を放出させることができ、電流が収束するまでの期間を短縮できる。従って励磁時間を長く確保でき出力特性を改善できる。
第1電流制御素子は、ローサイド基準線にアノード端子が接続され、コイルの第1接続点にカソード端子が接続される第1ダイオードであってもよい。第2電流制御素子は、コイルの第2接続点にアノード端子が接続され、ハイサイド基準線にカソード端子が接続される第2ダイオードであってもよい。これによれば、コイルの消磁時の帰還経路を形成できる。
第1接続点は第1端に設けられ、第2接続点はコイルの中点に設けられてもよい。第1接続点はコイルの中点に設けられ、第2接続点はコイルの第2端に設けられてもよい。これによれば、コイルの中継点を1つにできる。
第1スイッチング素子、第2スイッチング素子、第1電流制御素子および第2電流制御素子は、ステータの相ごとに設けられてもよい。コイルの励磁期間が非重複の複数の相の第1スイッチング素子または第2スイッチング素子が共有されてもよい。これによれば、スイッチング素子の数を削減できる。
第2電流制御素子は、ダイオードが並列に形成または接続された第3スイッチング素子であってもよい。コイルが励磁される少なくとも一部の期間、第2スイッチング素子および第3スイッチング素子がオンし、第1スイッチング素子がオフしてもよい。これによれば、コイルの励磁時の電流立ち上がり時間を短縮できる。
コイルの第2接続点は、第1接続点と第2端の間に設けられてもよい。第1電流制御素子は、ダイオードが並列に形成または接続された第4スイッチング素子であってもよい。コイルが励磁される少なくとも一部の期間、第4スイッチング素子および第1スイッチング素子がオンし、第2スイッチング素子がオフしてもよい。これによれば、コイルの励磁時の電流立ち上がり時間を短縮できる。
また、以下の態様のリラクタンスモータの駆動回路が構成されてもよい。
複数の突極を有するステータと、複数の突極を有するロータを備えるリラクタンスモータの駆動回路であって、
第1ステータ又は第1ロータの突極に巻かれた第1コイルの第1端と、電源の正極側に接続されるハイサイド基準線との間に設けられる第1スイッチング素子と、
第2ステータ又は第2ロータの突極に巻かれた第2コイルの第2端と、電源の負極側に接続されるローサイド基準線との間に設けられる第2スイッチング素子と、
第3ステータ又は第3ロータの突極に巻かれた第3コイルの第1端と、前記ハイサイド基準線との間に設けられる第3スイッチング素子と、
第4ステータ又は第4ロータの突極に巻かれた第4コイルの第2端と、前記ローサイド基準線との間に設けられる第4スイッチング素子と、
前記ローサイド基準線から前記第1コイルの前記第1端へ電流を流すための第1電流制御素子と、
前記第2コイルの前記第2端から前記ハイサイド基準線へ電流を流すための第2電流制御素子と、
前記ローサイド基準線から前記第3コイルの前記第1端へ電流を流すための第3電流制御素子と、
前記第4コイルの前記第2端から前記ハイサイド基準線へ電流を流すための第4電流制御素子と、を備え、
前記第1コイルの第2端、前記第2コイルの第1端、前記第3コイルの第2端、及び前記第4コイルの第1端は電気的に結合されており、
前記第1電流制御素子、前記第2電流制御素子、前記第3電流制御素子、及び前記第1電流制御素子をそれぞれ非導通の状態に制御できる。
また、以下の態様のリラクタンスモータの駆動回路が構成されてもよい。
複数の突極を有するステータと、複数の突極を有するロータを備えるリラクタンスモータの駆動回路であって、
第1ステータ又は第1ロータの突極に巻かれた第1コイルの第1端と、電源の正極側に接続されるハイサイド基準線との間に設けられる第1スイッチング素子と、
第2ステータ又は第2ロータの突極に巻かれた第2コイルの第2端と、電源の負極側に接続されるローサイド基準線との間に設けられる第2スイッチング素子と、
第3ステータ又は第3ロータの突極に巻かれた第3コイルの第1端と、前記ハイサイド基準線との間に設けられる第3スイッチング素子と、
第4ステータ又は第4ロータの突極に巻かれた第4コイルの第2端と、前記ローサイド基準線との間に設けられる第4スイッチング素子と、
前記ローサイド基準線から前記第1コイルの前記第1端へ電流を流すための第1電流制御素子と、
前記第2コイルの前記第2端から前記ハイサイド基準線へ電流を流すための第2電流制御素子と、
前記ローサイド基準線から前記第3コイルの前記第1端へ電流を流すための第3電流制御素子と、
前記第4コイルの前記第2端から前記ハイサイド基準線へ電流を流すための第4電流制御素子と、を備え、
前記第1コイルの第2端、前記第2コイルの第1端、前記第3コイルの第2端、及び前記第4コイルの第1端は電気的に結合されており、
前記第1電流制御端子および前記第3電流制御端子と前記ローサイド基準線との間に設けられる第5スイッチング素子と、
前記第2電流制御端子および前記第4電流制御端子と前記ハイサイド基準線との間に設けられる第6スイッチング素子と、をさらに備える。
10 ステータ、 Lq Q相コイル、 Lq1 第1Q相コイル部、 Lq2 第2Q相コイル部、 Lr R相コイル、 Ls S相コイル、 Lt T相コイル、 Mq1 Q相第1スイッチング素子、 Mq2 Q相第2スイッチング素子、 Dq1 Q相第1電流制御素子、 Dq2 Q相第2電流制御素子、 C1 容量、 E1 直流電源、 20 ロータ、 100 SRモータ、 200 駆動回路、 210 ブリッジ回路部、 220 ゲート制御回路、 HL ハイサイド基準線、 LL ローサイド基準線。
本発明は、リラクタンスモータに利用可能である。

Claims (6)

  1. 複数の突極を有するステータと、複数の突極を有するロータを備えるリラクタンスモータの駆動回路であって、
    前記ステータ又は前記ロータの突極に巻かれたコイルの少なくとも一部に励磁用の電流を流すための第1の経路と、
    前記コイルの前記少なくとも一部と一致しない異なる一部に消磁用の電流を流すための第2の経路と、を備え、
    前記コイルの第1端と、電源の正極側に接続されるハイサイド基準線との間に設けられる第1スイッチング素子と、
    前記コイルの第2端と、前記ハイサイド基準線との間に設けられ、前記コイルから前記ハイサイド基準線方向のみ電流を流すための電流制御素子と、
    前記コイルの途中の接続点と、前記電源の負極側に接続されるローサイド基準線との間に設けられる第2スイッチング素子と、
    を備える、ことを特徴とするリラクタンスモータの駆動回路。
  2. 前記コイルを励磁する際、前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子がオンするモードと、前記第1スイッチング素子がオンで前記第2スイッチング素子が交互にオン/オフを繰り返すモードと、を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のリラクタンスモータの駆動回路。
  3. 複数の突極を有するステータと、複数の突極を有するロータを備えるリラクタンスモータの駆動回路であって、
    前記ステータ又は前記ロータの突極に巻かれたコイルの少なくとも一部に励磁用の電流を流すための第1の経路と、
    前記コイルの前記少なくとも一部と一致しない異なる一部に消磁用の電流を流すための第2の経路と、を備え、
    前記コイルの第1端と、電源の正極側に接続されるハイサイド基準線との間に設けられる第1スイッチング素子と、
    前記コイルの第2端と、前記電源の負極側に接続されるローサイド基準線との間に設けられる第2スイッチング素子と、
    前記ローサイド基準線と前記コイルの途中の第1の接続点との間に電流を流すための第1電流制御素子と、
    前記コイルの前記第1の接続点よりも前記第2端寄りに位置する第2の接続点から前記ハイサイド基準線へ電流を流すための第2電流制御素子と、を備え
    前記第1電流制御素子は、ダイオードが並列に形成または接続された第3スイッチング素子であり、
    前記第2電流制御素子は、前記コイルの前記接続点にアノード端子が接続され、前記ハイサイド基準線にカソード端子が接続される第2ダイオードである、ことを特徴とするリラクタンスモータの駆動回路。
  4. 前記コイルを励磁する際に使用する巻数が異なる2つのモードを有する、ことを特徴とする請求項1又は3に記載のリラクタンスモータの駆動回路。
  5. 前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子、前記第1電流制御素子および前記第2電流制御素子は、前記ステータの相ごとに設けられ、
    前記コイルの励磁期間が非重複の複数の相の前記第1スイッチング素子または前記第2スイッチング素子が共有される、ことを特徴とする請求項3に記載のリラクタンスモータの駆動回路。
  6. 複数の突極を有するステータと、複数の突極を有するロータを備えるリラクタンスモータと、
    前記リラクタンスモータを駆動する請求項1からのいずれかに記載の駆動回路と、
    を備える、ことを特徴とするリラクタンスモータシステム。
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