JP6385340B2 - 巨核球の成熟化促進物質 - Google Patents

巨核球の成熟化促進物質 Download PDF

Info

Publication number
JP6385340B2
JP6385340B2 JP2015511323A JP2015511323A JP6385340B2 JP 6385340 B2 JP6385340 B2 JP 6385340B2 JP 2015511323 A JP2015511323 A JP 2015511323A JP 2015511323 A JP2015511323 A JP 2015511323A JP 6385340 B2 JP6385340 B2 JP 6385340B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gene
megakaryocytes
megakaryocyte
cells
immature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2015511323A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2014168255A1 (ja
Inventor
浩之 江藤
浩之 江藤
真治 平田
真治 平田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyoto University
Original Assignee
Kyoto University
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyoto University filed Critical Kyoto University
Publication of JPWO2014168255A1 publication Critical patent/JPWO2014168255A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6385340B2 publication Critical patent/JP6385340B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N5/00Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
    • C12N5/06Animal cells or tissues; Human cells or tissues
    • C12N5/0602Vertebrate cells
    • C12N5/0634Cells from the blood or the immune system
    • C12N5/0644Platelets; Megakaryocytes
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/185Acids; Anhydrides, halides or salts thereof, e.g. sulfur acids, imidic, hydrazonic or hydroximic acids
    • A61K31/19Carboxylic acids, e.g. valproic acid
    • A61K31/195Carboxylic acids, e.g. valproic acid having an amino group
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K35/00Medicinal preparations containing materials or reaction products thereof with undetermined constitution
    • A61K35/12Materials from mammals; Compositions comprising non-specified tissues or cells; Compositions comprising non-embryonic stem cells; Genetically modified cells
    • A61K35/28Bone marrow; Haematopoietic stem cells; Mesenchymal stem cells of any origin, e.g. adipose-derived stem cells
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K45/00Medicinal preparations containing active ingredients not provided for in groups A61K31/00 - A61K41/00
    • A61K45/06Mixtures of active ingredients without chemical characterisation, e.g. antiphlogistics and cardiaca
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • A61P35/02Antineoplastic agents specific for leukemia
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P7/00Drugs for disorders of the blood or the extracellular fluid
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K35/00Medicinal preparations containing materials or reaction products thereof with undetermined constitution
    • A61K35/12Materials from mammals; Compositions comprising non-specified tissues or cells; Compositions comprising non-embryonic stem cells; Genetically modified cells
    • A61K35/14Blood; Artificial blood
    • A61K35/19Platelets; Megacaryocytes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2501/00Active agents used in cell culture processes, e.g. differentation
    • C12N2501/998Proteins not provided for elsewhere

Description

本発明は、未熟巨核球から成熟巨核球を製造する方法、ならびに巨核球成熟化剤等に関する。
血液関連疾患の治療や、外科的な治療には、多くの血液細胞が必要とされる。血液細胞の中でも、血液凝固及び止血のために必須の細胞である血小板は特に重要な血液細胞の1つである。血小板は、白血病、骨髄移植、抗癌治療などにおいて需要が多く、安定供給の必要性は高い。これまでに、血小板は、ドナーからの献血により採取する方法の他、TPO様類似構造 (ミメティクス)製剤を投与する方法、臍帯血又は骨髄細胞から巨核球を分化させる方法などにより確保されてきた。最近では、ES細胞又はiPS細胞などの多能性幹細胞をインビトロにおいて分化誘導し、血小板などの血液細胞を調製する技術も開発されている。
これまでに、ヒトES細胞またはiPS細胞から巨核球及び血小板を分化誘導できることが示されており(特許文献1、非特許文献1及び特許文献2)、この血小板を製造するために不死化した巨核球前駆細胞株の樹立も報告されている(特許文献3)。この時、アポトーシス抑制遺伝子であるBcl-xlを巨核球の製造工程において強制発現させることで成熟化することも報告されている(特許文献4)。
さらに、転写因子であるオールトランスレチノイン酸(ATRA;all trans retinoic acid)、ヒストン脱アセチル化酵素の阻害剤として知られるバルプロ酸、ROCK阻害剤またはブレビスタチンが巨核球の成熟化を促進することが報告されている(非特許文献2及び特許文献4)。さらに、癌抑制遺伝子産物であるp53をノックダウンすると巨核球の多核化を促進すること(非特許文献3)も報告されている。
その他、巨核球の分化過程に対する影響として、未成熟な巨核球を、通常の培養温度より高温の39℃で培養すると多核化した成熟巨核球の誘導及びproplateletsの形成を促進することなども示されている(非特許文献4)。
このように、巨核球の成熟化に係る化合物等の報告がされているが、これらの報告にある巨核球は、一見成熟していても血小板を十分な量産生できず、機能的な血小板をより大量に製造する方法が求められていた。
WO2008/041370 WO2009/122747 WO2011/034073 WO2012/157586
Takayamaら,Blood,111:5298-5306 2008 Schweinfurthら,Platelets,21:648-657 2010 Fuhrkenら,J.Biol.Chem.,283:15589-15600 2008 Proulxら,Biotechnol.Bioeng.,88:675-680 2004
本発明者らは、血小板製剤を製造するためには、機能的な血小板(止血作用など生体内における活性を保持している血小板で、CD42b+として特徴付けられる)を安定的に、より多く産生する巨核球株の樹立が必要であることを見出し、この問題点を克服するためには、従来の方法で得られた巨核球株をさらに成熟させる必要があると考えた。
そこで、本発明は、このような巨核球株を成熟させるための物質およびその用途を提供することを課題とする。
上記課題に鑑み、本発明者らは、多能性幹細胞(ES細胞、iPS細胞など)から調製した造血前駆細胞から樹立した巨核球を成熟させるために適した化合物を探索したところ、ABCトランスポーター阻害剤であるプロベネシドがその機能を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下を包含する。
[1] ABCトランスポーター阻害剤を含む培養液中で未熟巨核球を培養する工程を含む、成熟巨核球の製造方法。
[2] 前記ABCトランスポーター阻害剤が、ABCトランスポーターのCファミリーの阻害剤である、[1]に記載の製造方法。
[3] 前記ABCトランスポーター阻害剤が、プロベネシドである、[1]または[2]に記載の製造方法。
[4] 前記未熟巨核球が、多能性幹細胞由来の造血前駆細胞から製造された未熟巨核球である、[1]から[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5] 前記未熟巨核球が、多能性幹細胞由来の造血前駆細胞へ癌遺伝子、p16遺伝子又はp19遺伝子の発現を抑制する遺伝子、及びアポトーシス抑制遺伝子から成る群より選択される遺伝子を強制発現させて製造された巨核球である、[4]に記載の製造方法。
[6] 前記未熟巨核球が、多能性幹細胞由来の造血前駆細胞へ、c-Myc、Bmi1およびBcl-xLから成る群より選択される遺伝子を強制発現させて製造された巨核球である、[5]に記載の製造方法。
[7] 前記培養工程を、4日以上行う、[1]から[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8] ABCトランスポーター阻害剤を用いた未熟巨核球を成熟化する方法。
[9] 前記ABCトランスポーター阻害剤が、ABCトランスポーターのCファミリーの阻害剤である、[8]に記載の方法。
[10] 前記ABCトランスポーター阻害剤が、プロベネシドである、[8]または[9]に記載の方法。
[11] ABCトランスポーター阻害剤を含む巨核球成熟化剤。
[12] 前記ABCトランスポーター阻害剤が、ABCトランスポーターのCファミリーの阻害剤である、[11]に記載の剤。
[13] 前記ABCトランスポーター阻害剤が、プロベネシドである、[11]または[12]に記載の剤。
本発明によれば、高度に成熟した巨核球を製造することが可能となる。従って、本発明により得られた成熟した巨核球からより確実に機能的な血小板を大量に製造することを可能にすることから、臨床応用にも大きく貢献する。
図1は、probenecid(プロベネシド)を添加または基剤のみ添加(vehicle)して、不死化巨核球株を培養した後の、各マーカー遺伝子(GATA1、NF-E2、c-MPL、β1-tubulin、MYH9およびMYH10)の発現量を定量PCRにて測定した結果を示す。
(巨核球の製造方法)
本発明は、ABC(ATP binding cassette)トランスポーター阻害剤を含む培養液中で未熟巨核球を培養する工程を含む、成熟巨核球の製造方法を提供する。同様に、本発明は、ABCトランスポーター阻害剤を用いた未熟巨核球を成熟化する方法を提供する。
本発明において、ABCトランスポーターとは、ATPのエネルギーを利用し細胞内から細胞外へ基質を輸送する活性を有する膜たんぱく質であり、AからGまでのファミリーに大きく区分され49種類のサブタイプが含まれる。本発明において好ましいABCトランスポーター阻害剤とは、少なくともABCトランスポーターのCファミリー(ABCCファミリー)を阻害する薬剤であり、プロベネシド、シクロスポリン、グリベンクラミド、フロセミド、インドメタシン、ブロムスルホフタレイン、ベンズブロマロン、テルミサルタン、MK571およびイマチニブ、ABCCファミリーに対するsiRNAもしくはshRNA、p53に対するsiRNAもしくはshRNAを発現するベクター、ABCCファミリーに対するアンチセンス核酸、ABCCファミリーに対するリボザイム等、ABCCファミリーに対する中和抗体が例示される。siRNA、shRNA、アンチセンス核酸、リボザイム及び中和抗体は、ABCCファミリーの遺伝子配列またはアミノ酸配列より、当業者に周知の方法で作製することができる。本発明においてABCCファミリーを阻害する薬剤は、好ましくは、プロベネシドである。ここで、プロベネシドとは、化学名4-(Dipropylaminosulfonyl) benzoic acidの化合物である。
本発明において、プロベネシドの培地における濃度は、ABCトランスポーターを阻害する濃度であれば、特に限定されないが、例えば、250μM〜25mMであり、より好ましくは、1mM〜5mMであり、最も好ましくは、2.5mMである。
本発明において、成熟巨核球を製造する工程において使用する培養液は、特に限定されないが、動物細胞の培養に用いられる培地を基礎培地として、ABCトランスポーター阻害剤を添加して調製することができる。基礎培地としては、例えばIMDM培地、Medium 199培地、Eagle's Minimum Essential Medium (EMEM)培地、αMEM培地、Dulbecco's modified Eagle's Medium (DMEM)培地、Ham's F12培地、RPMI 1640培地、Fischer's培地、Neurobasal Medium(ライフテクノロジーズ)およびこれらの混合培地などが包含される。培地には、血清が含有されていてもよいし、あるいは無血清でもよい。必要に応じて、培地は、例えば、アルブミン、インスリン、トランスフェリン、セレン、脂肪酸、微量元素、2-メルカプトエタノール、チオールグリセロール、脂質、アミノ酸、L-グルタミン、非必須アミノ酸、ビタミン、増殖因子、低分子化合物、抗生物質、抗酸化剤、ピルビン酸、緩衝剤、無機塩類、サイトカインなどの1つ以上の物質も含有し得る。サイトカインとは、血球系分化を促進するタンパク質であり、例えば、VEGF、TPO、SCFなどが例示される。本発明において好ましい培地は、TPO、SCF、血清、インスリン、トランスフェリン、セリン、チオールグリセロールおよびアスコルビン酸を含むIMDM培地である。
本発明において、ABCトランスポーター阻害剤を含む培養液中で未熟巨核球を培養する期間は、長期にわたることで巨核球の成熟化を妨げることがないため、特に上限は設けないが、例えば、3日以上、4日以上、5日以上、6日以上、7日以上またはそれ以上が例示される。好ましくは、4日以上である。より好ましくは4日以上28日、4日以上21日以下、4日以上14日以下または4日以上7日以下が例示される。
成熟巨核球を製造する工程の培養温度は、以下に限定されないが、約30〜40℃、好ましくは約37℃〜39℃であり、CO2含有空気の雰囲気下で培養が行われ、CO2濃度は、好ましくは約2〜5%である。
本発明における「未熟巨核球」とは、多核化が進んでいない巨核球(2Nから8N程度)であり、例えば、CD41が発現している巨核球のうち、巨核球成熟関連遺伝子群(GATA1、NF-E2、c-MPL、β1-tubulinおよびMYH9)の発現量が低く、MYH10の発現量が高い巨核球である。従って、未熟巨核球とは、巨核球前駆細胞と言い換えることができる。このような未熟巨核球として、造血前駆細胞から人工的に製造された未熟巨核球が例示される。本発明において、未熟巨核球は、クローン化されていてもされていなくても良く、特に限定されないが、クローン化されたものを未熟巨核球株と呼ぶこともある。一方、「成熟巨核球」とは、巨核球成熟関連遺伝子群の発現量が高く、MYH10の発現量が低い巨核球であり、多核化が進んでいる巨核球(8N以上)である。 本発明において、「成熟化」とは、巨核球細胞の成熟が進むこと、即ち多核化が進むこと、巨核球成熟関連遺伝子の発現量が増加すること、巨核球未熟関連遺伝子の発現量が低下することなどを意味し、成熟化させる工程を行う前と比較してこれらの傾向が見られる限り、必ずしも上記定義にいう成熟巨核球に至らない場合も含む。また、「成熟化」は、培養前後の細胞群を比較して、群全体として成熟化が進んでいる場合、即ち細胞群全体の核の合計が増加している場合をいう。
本発明において、造血前駆細胞とは、リンパ球、好酸球、好中球、好塩基球、赤血球、巨核球等の血球系細胞に分化可能な細胞である、本発明において、造血前駆細胞と造血幹細胞は、区別されるものではなく、特に断りがなければ同一の細胞を示す。造血幹細胞/前駆細胞は、例えば、表面抗原であるCD34および/またはCD43が陽性であることによって認識できる。本発明において、造血幹細胞は、多能性幹細胞、臍帯血・骨髄血・末梢血由来の造血幹細胞及び前駆細胞などから分化誘導された造血前駆細胞に対しても適用することができる。例えば、多能性幹細胞からは、Takayama N., et al. J Exp Med. 2817-2830 (2010)に記載の方法にしたがって、多能性幹細胞をVEGFの存在下でC3H10T1/2上で培養することで得られるネット様構造物(ES−sac又はiPS−sacとも称する)から調製することができる。ここで、「ネット様構造物」とは、多能性幹細胞由来の立体的な嚢状(内部に空間を伴うもの)構造体で、内皮細胞集団などで形成され、内部に造血前駆細胞を含む構造体である。この他にも、多能性幹細胞からの造血前駆細胞の製造方法として、胚様体の形成とサイトカインの添加による方法(Chadwick et al. Blood 2003, 102: 906-15、Vijayaragavan et al. Cell Stem Cell 2009, 4: 248-62、Saeki et al. Stem Cells 2009, 27: 59-67)または異種由来のストローマ細胞との共培養法(Niwa A et al. J Cell Physiol. 2009 Nov;221(2):367-77.)等が例示される。
本発明において、多能性幹細胞とは、生体に存在する全ての細胞に分化可能である多能性を有し、かつ、増殖能をも併せもつ幹細胞であり、それには、例えば胚性幹(ES)細胞、核移植により得られるクローン胚由来の胚性幹(ntES)細胞、精子幹細胞(「GS細胞」)、胚性生殖細胞(「EG細胞」)、人工多能性幹(iPS)細胞、培養線維芽細胞や骨髄幹細胞由来の多能性細胞(Muse細胞)などが含まれる。
本発明において、造血前駆細胞から人工的に未熟巨核球を製造する方法として、造血前駆細胞へ癌遺伝子、p16遺伝子又はp19遺伝子の発現を抑制する遺伝子、及びアポトーシス抑制遺伝子から成る群より選択される遺伝子を強制発現させて培養する方法が例示される。好ましくは、少なくとも癌遺伝子を造血前駆細胞へ強制発現させて、未熟巨核球を製造する方法である。より好ましくは、造血前駆細胞へ癌遺伝子、およびp16遺伝子又はp19遺伝子の発現を抑制する遺伝子を強制発現させた後に、さらに、アポトーシス抑制遺伝子を強制発現させる方法である。本発明において、さらにアポトーシス抑制遺伝子を強制発現させる場合、癌遺伝子、およびp16遺伝子又はp19遺伝子の発現を抑制する遺伝子を少なくとも14日間以上強制発現した後に行うことが望ましい。
本発明において、「癌遺伝子」とは、その発現、構造または機能等が正常細胞と異なることに起因して、正常細胞のがん化を引き起こす遺伝子であり、例えば、MYCファミリー遺伝子、Srcファミリー遺伝子、Rasファミリー遺伝子、Rafファミリー遺伝子、c-KitやPDGFR、Ablなどのプロテインキナーゼファミリー遺伝子などを挙げることができる。MYCファミリー遺伝子として、c-MYC、N-MYCおよびL-MYCが例示される。より好ましくは、c-MYC遺伝子である。c-MYC遺伝子とは、例えば、NCBIのアクセッション番号NM_002467で示される核酸配列からなる遺伝子である。また、c-MYC遺伝子には、そのホモログも含まれてよく、c-MYC遺伝子ホモログとは、そのcDNA配列が、例えば、NCBIのアクセッション番号NM_002467で示される核酸配列と実質的に同一の配列からなる遺伝子のことである。当該核酸配列と実質的に同一の配列からなるcDNAとは、NCBIのアクセッション番号NM_002467で示される配列からなるDNAと、約60%以上、好ましくは約70%以上、より好ましくは約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、最も好ましくは約99%の同一性を有する配列からなるDNA、もしくは、当該核酸配列に相補的な配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズできるDNAであって、これらのDNAによってコードされるタンパク質が、造血前駆細胞など、分化段階の細胞の増幅に寄与するもののことである。
ここで、ストリンジェントな条件とは、当業者によって容易に決定されるハイブリダイゼーションの条件のことで、一般的にプローブ長、洗浄温度、及び塩濃度に依存する経験的な実験条件である。一般に、プローブが長くなると適切なアニーリングのための温度が高くなり、プローブが短くなると温度は低くなる。ハイブリッド形成は、一般的に、相補的鎖がその融点よりやや低い環境における再アニール能力に依存する。
例えば、低ストリンジェントな条件として、ハイブリダイゼーション後のフィルターの洗浄段階において、37℃〜42℃の温度条件下、0.1×SSC、0.1%SDS溶液中で洗浄することなどが上げられる。また、高ストリンジェントな条件として、例えば、洗浄段階において、65℃、5×SSCおよび0.1%SDS中で洗浄することなどが挙げられる。ストリンジェントな条件をより高くすることにより、相同性の高いポリヌクレオチドを得ることができる。
本発明において、「p16遺伝子又はp19遺伝子の発現を抑制する遺伝子」とは、癌遺伝子の導入より引き起こされる癌遺伝子誘導性細胞老化によりp16遺伝子またはp19遺伝子の発現を抑制させる遺伝子であり、例えば、BMI1、Mel18、Ring1a/b、Phc1/2/3、Cbx2/4/6/7/8、Ezh2、Eed、Suz12、HADCおよびDnmt1/3a/3bが例示される。好ましくは、BMI1である。BMI1とは、例えば、NCBIのアクセッション番号NM_005180で示される核酸配列からなる遺伝子である。また、BMI1遺伝子には、そのホモログも含まれてよく、BMI1遺伝子ホモログとは、そのcDNA配列が、NCBIのアクセッション番号NM_005180に記載された核酸配列と実質的に同一の配列からなる遺伝子のことである。NCBIのアクセッション番号NM_005180で示される核酸配列と実質的に同一の配列からなるcDNAとは、当該核酸配列と、約60%以上、好ましくは約70%以上、より好ましくは約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、最も好ましくは約99%の同一性を有する配列からなるDNA、もしくは、当該核酸配列に相補的な配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズできるDNAであって、これらのDNAによってコードされるタンパク質が、造血前駆細胞など、分化段階の細胞の増幅に寄与するもののことである。
本発明において、「アポトーシス抑制遺伝子」とは、アポトーシスを抑制する遺伝子であれば特に限定されず、例えば、BCL2遺伝子、BCL−XL遺伝子、Survivin、MCL1などが挙げられる。好ましくは、BCL-XL遺伝子である。BCL−XL遺伝子とは、例えば、NCBIのアクセッション番号NM_001191またはNM_138578で示される核酸配列からなる遺伝子である。また、BCL−XL遺伝子には、そのホモログも含まれてよく、BCL−XL遺伝子のホモログとは、そのcDNA配列が、例えば、NCBIのアクセッション番号NM_001191またはNM_138578で示される核酸配列と実質的に同一の配列からなる遺伝子のことである。NCBIのアクセッション番号NM_001191またはNM_138578で示される核酸配列と実質的に同一の配列からなるcDNAとは、当該核酸配列と、約60%以上、好ましくは約70%以上、より好ましくは約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、最も好ましくは約99%の同一性を有する配列からなるDNA、もしくは、当該核酸配列に相補的な配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズできるDNAであって、そのDNAによってコードされるタンパク質が、アポトーシスを抑制する効果を有するもののことである。
造血前駆細胞において強制発現させる遺伝子は、17βエストラジオールまたは4OH-Tamoxifenの添加により活性を制御するため、エストロゲン受容体(ER)と融合させても良い。
本発明において、上記の遺伝子を造血前駆細胞において強制発現させる方法として、当業者の常法にしたがって行うことができ、例えば、これらの遺伝子を発現するベクター、またはこれらの遺伝子をコードするタンパク質またはRNAの形態で造血前駆細胞へ導入することによって成し得る。さらには、これらの遺伝子の発現を誘導する低分子化合物等を造血前駆細胞と接触させることによって行うことができる。ここで、本発明では、一定期間、上記遺伝子を発現し続ける必要があることから、発現ベクター、タンパク質、RNAまたは発現を誘導する低分子化合物等は、必要な期間に合わせて複数回導入することによって行い得る。
これらの遺伝子を発現するベクターとは、例えば、レトロウイルス、レンチウィルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウィルス、ヘルペスウイルス及びセンダイウィルスなどのウィルスベクター、動物細胞発現プラスミド(例、pA1-11,pXT1,pRc/CMV,pRc/RSV,pcDNAI/Neo)、エピソーマルベクター(複製開始点oriPとEBNA-1遺伝子または複製開始点oriとSV40 large T antigen遺伝子を含有するプラスミドベクター)、piggyBacベクター(Kaji, K. et al., Nature, 458: 771-775 (2009))、人工染色体ベクター(例えばヒト人工染色体(HAC)、酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC、PAC))などが用いられ得る。単回導入により実施し得るという点において、好ましくは、レトロウィルスベクターまたはレンチウィルスベクターである。
発現ベクターにおいて使用されるプロモーターの例としては、EF-αプロモーター、CAGプロモーター、SRαプロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモーター、CMV(サイトメガロウイルス)プロモーター、RSV(ラウス肉腫ウィルス)プロモーター、MoMuLV(モロニーマウス白血病ウィルス)LTR、HSV-TK(単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ)プロモーターなどが用いられる。発現ベクターは、プロモーターの他に、所望によりエンハンサー、ポリA付加シグナル、選択マーカー遺伝子、SV40複製起点などを含有していてもよい。有用な選択マーカー遺伝子としては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、ピューロマイシン耐性遺伝子等が挙げられる。
本発明の発現ベクターにおいて、テトラサイクリンまたはドキシサイクリンによりその遺伝子の発現を制御するため、プロモーター領域にはテトラサイクリン反応性エレメントを有しており、対応する薬剤の存在下で遺伝子発現をさせる薬剤応答性ベクター(変異型Tetリプレッサータンパク質(rTetR)とVP16活性化ドメイン(AD)より構成される融合タンパク質を同時に発現するベクター)または対応する薬剤の存在下で遺伝子発現を停止させる薬剤逆応答性ベクター(Tetリプレッサータンパク質(TetR)とVP16活性化ドメイン(AD)より構成される融合タンパク質を同時に発現するベクター)であってもよい。この他にも、Cre-loxPシステムを使用して、遺伝子をベクターから切り出すため、loxP配列にて遺伝子またはプロモーター領域もしくはその両方をはさむようにloxP配列を設置された発現ベクターを用いてもよい。
本発明では、同時に複数の遺伝子を導入するため、遺伝子が縦に連結されてポリシストロニックなベクターを得てもよい。ポリシストロニックな発現を可能にするために、口蹄疫ウィルスの2A自己開裂ペプチド(Science, 322, 949-953, 2008などを参照)およびIRES配列などを強制発現させる遺伝子の間にライゲーションされて用いられ得る。
本発明において、発現ベクターを造血前駆細胞への導入する方法として、ウィルスベクターの場合、該核酸を含むプラスミドを適当なパッケージング細胞(例、Plat-E細胞)や補完細胞株(例、293細胞)に導入して、培養上清中に産生されたウィルスを回収し造血前駆細胞と接触させ感染させることによって成し得る。非ウィルスベクターの場合、リポフェクション法、リポソーム法、エレクトロポレーション法、リン酸カルシウム共沈殿法、DEAEデキストラン法、マイクロインジェクション法、遺伝子銃法などを用いてプラスミドベクターを細胞に導入することができる。
本発明の未熟巨核球の作製においては、任意の培地を用いて、フィーダー細胞上で培養する方法が例示される。フィーダー細胞としては、巨核球を誘導することができる細胞であれば特に限定されないが、例えば、C3H10T1/2(Katagiri T, et al., Biochem Biophys Res Commun. 172, 295-299 (1990))が挙げられる。
本発明の未熟巨核球の作製において用いる培地は、特に限定されないが、動物細胞の培養に用いられる培地を基礎培地として調製することができる。基礎培地としては、例えばIMDM培地、Medium 199培地、Eagle's Minimum Essential Medium (EMEM)培地、αMEM培地、Dulbecco's modified Eagle's Medium (DMEM)培地、Ham's F12培地、RPMI 1640培地、Fischer's培地、Neurobasal Medium(ライフテクノロジーズ)およびこれらの混合培地などが包含される。培地には、血清が含有されていてもよいし、あるいは無血清でもよい。必要に応じて、培地は、例えば、アルブミン、インスリン、トランスフェリン、セレン、脂肪酸、微量元素、2-メルカプトエタノール、チオールグリセロール、脂質、アミノ酸、L-グルタミン、非必須アミノ酸、ビタミン、増殖因子、低分子化合物、抗生物質、抗酸化剤、ピルビン酸、緩衝剤、無機塩類、サイトカインなどの1つ以上の物質も含有し得る。サイトカインとは、血球系分化を促進するタンパク質であり、例えば、VEGF、TPO、SCFなどが例示される。本発明において好ましい培地は、血清、インスリン、トランスフェリン、セリン、チオールグリセロール、アスコルビン酸、TPOを含むIMDM培地である。より好ましくは、さらにSCFを含む。また、癌遺伝子、p16遺伝子又はp19遺伝子の発現を抑制する遺伝子、及びアポトーシス抑制遺伝子から成る群より選択される遺伝子を強制発現し続けていることが望ましく、発現維持のための条件を適宜選択することが好ましい。従って、未分化巨核球とは、当該遺伝子の発現を維持している巨核球であっても良い。
本発明の未熟巨核球の作製において、培養する際の条件は、特に限定されないが、約30℃〜約42℃とすることができる。37℃以上の温度で培養することにより、巨核球の分化を促進することが確認されている。ここで、37℃以上の温度とは、細胞にダメージを与えない程度の温度が適当であることから、例えば、約37℃〜約42℃程度、約37〜約39℃程度が好ましい。また、37℃以上の温度における培養期間については、巨核球の数などをモニターしながら、適宜決定することが可能であるが、例えば、6日間〜48日間、好ましくは12日間〜36日間程度である。CO2含有空気の雰囲気下で培養してもよく、その場合、CO2濃度は、好ましくは約2〜5%である。本発明において、未熟巨核球株を樹立した場合、培養期間が長いことについては、巨核球の製造においては問題とされない。また、培養期間中は、適宜、継代を行うことが望ましい。
本発明において提供される成熟巨核球の製造工程においては、さらに、(a)p53遺伝子産物の発現又は機能を阻害する物質、(b)アクトミオシン複合体機能阻害剤、(c)ROCK阻害剤 (d)HDAC阻害剤をさらに含む培養液を用いてもよい。これらの方法は、例えば、WO2012/157586に記載された方法にしたがって実施し得る。p53遺伝子産物の発現又は機能を阻害する物質として、Pifithrin (PFT)-α及び-β(WO2000/44364)、並びにPFT-μ(Storm et al, Nat. Chem. Biol. 2, 474 (2006))、p53のドミナントネガティブ変異体、例えば、p53P275S(de Vries, A., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 99, 2948-2953 (2002))、p53DD(Bowman, T., Genes Develop., 10, 826-835 (1996))、p53に対するsiRNAもしくはshRNA、p53に対するsiRNAもしくはshRNAを発現するベクター、p53に対するアンチセンス核酸及びp53に対するリボザイム等が挙げられる。ROCK阻害剤としては、例えばY27632が挙げられる。アクトミオシン複合体機能阻害剤としては、ミオシン重鎖II ATPase阻害剤である、ブレビスタチンが挙げられる。ROCK阻害剤を単独で加えてもよく、ROCK阻害剤とアクトミオシン複合体機能阻害剤を単独で加えてもよいし、これらを組み合わせて加えてもよい。
本発明において、造血前駆細胞へ遺伝子を強制発現させて製造された未熟巨核球を用いる場合、巨核球の成熟にあたり、ABCトランスポーターを含む培養液で培養する工程に加えて、さらに、当該遺伝子の強制発現を停止する工程を含んでもよい。強制発現を停止する方法として、例えば、薬剤応答性ベクターを用いて強制発現をしている場合には、対応する薬剤と当該細胞と接触させないことによって達成させてもよい。薬剤逆応答性ベクターを用いて強制発現をしている場合には、対応する薬剤と当該細胞を接触させる/または接触を止めることによって達成させてもよい。この他にも、上記のLoxPを含むベクターを用いた場合は、Creリコンビナーゼを当該細胞に導入することによって達成させてもよい。さらに、一過性発現ベクター、およびRNAまたはタンパク質導入を用いた場合は、当該ベクター等との接触を止めることによって達成させてもよい。
本明細書において、巨核球の成熟とは、巨核球が十分に多核化し、機能的な血小板を産生できることをいう。巨核球の成熟は、例えば、GATA1、p45 NF-E2、beta1-tubulin、c-MPL 、MYH9などの巨核球成熟関連遺伝子群の発現の上昇によっても確認することができる。
(成熟巨核球組成物)
本発明の方法によって未熟巨核球を処理すると、成熟した巨核球へと成熟することができる。そのため、成熟巨核球の含有率の高い細胞組成物を取得することができる。細胞組成物において成熟巨核球の含有率が高いか否かは、当業者が経験や文献に基づいて判断することができる。本発明の方法で成熟巨核球を製造した場合、成熟巨核球の含有率は、少なくとも、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上であり、より好ましくは100%である。従って、本発明の方法により、成熟巨核球の存在比率の高い巨核球集団を調製することが可能となる。
本発明の方法で得られた巨核球等は、適切な方法によって、生体内に移植し、生体内における機能性血小板を産生させるためにも有効である。従って、本発明の方法で得られた巨核球を含む治療剤を提供する。
本発明の方法によって得られる巨核球等の移植は、骨髄移植におけるドナー数の不足及びドナーの負担の問題、臍帯血移植における生体内での血小板産生能力の問題を解決することが可能で、従来の移植法と比較して、非常に優れた方法ということができる。
(血小板の製造方法)
本発明の方法で得られた成熟巨核球から、in vitroで血小板を産生し得る。
本発明に係る血小板の製造方法は、上述の方法で得られた成熟巨核球を培養し、培養物から血小板を回収する工程を含む。
培養条件は、成熟巨核球の製造工程を継続することによって、実施し得る。また、得られた血小板を移植に用いる観点から、血清フリー及び/又はフィーダー細胞フリーの条件で行うことが好ましい。なお、フィーダー細胞を用いない場合は、conditioned mediumを使用してもよい。conditioned mediumは、特に限定されず、当業者が公知の方法等に従って作製することができるが、例えば、フィーダー細胞を適宜培養し、培養物からフィーダー細胞をフィルターで除去することによって得ることができる。
本発明で得られた血小板は、製剤として患者に投与することができる。投与に当たっては、本発明の方法で得られる血小板は、例えば、ヒト血漿、輸液剤、クエン酸含有生理食塩液、ブドウ糖加アセテートリンゲル液を主剤とした液、PAS(platelet additive solution)(Gulliksson, H. et al., Transfusion, 32:435-440, (1992))等にて保存、製剤化してもよい。保存期間は、3日から7日程度で、好ましくは4日間である。保存条件として、室温(20-24度)で振盪撹拌して保存することが望ましい。
(巨核球成熟化剤または成熟巨核球の製造キット)
本発明の実施形態には、巨核球成熟化剤または成熟巨核球を製造するためのキットが含まれる。当該巨核球成熟化剤またはキットには、上述したABCトランスポーター阻害剤が含まれる。その他、巨核球の成熟に用いることができる試薬、例えば、培養液、(a)p53遺伝子産物の発現又は機能を阻害する物質、(b)アクトミオシン複合体機能阻害剤、(c)ROCK阻害剤 (d)HDAC阻害剤が挙げられる。当該キットには、さらに、成熟巨核球を認識するための試薬(例えば、GATA1、p45 NF-E2、beta1-tubulin、c-MPL 、MYH9に対するPCR用プライマー)が含まれ得る。巨核球成熟化剤または当該キット中に含まれる試薬等は、構成成分が活性を長期間有効に持続し、容器の材質によって吸着されず、変質を受けないような何れかの種類の容器中に供給される。
本明細書中に記載される「細胞」の由来は、ヒト及び非ヒト動物(例えば、マウス、ラット、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、サル、イヌ、ネコ、トリなど)であり特に限定はされないが。特に好ましくは、ヒト由来の細胞である。
以下に実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
<不死化巨核球株の準備>
ヒトiPS細胞由来不死化巨核球株は、WO 2012/157586に記載された方法を改良して作製した。簡潔には、ヒト末梢血から作製したiPS細胞から造血前駆細胞を調製し、レトロウィルス法にてc-Myc、Bmi1およびBcl-xLを遺伝子導入して、不死化巨核球株を作製し、導入した遺伝子を発現したまま少なくとも24日以上維持培養した。また、導入した遺伝子は、Doxicyclinの添加によってc-Myc、Bmi1およびBcl-xLの発現を抑制することができる。
<不死化巨核球株の成熟化>
予めマイトマイシンCで不活化させたC3H10T1/2細胞を1x104cells/well (96well plate)で播種し、一晩以上培養してフィーダー細胞とした。このフィーダー細胞上へ上記の不死化巨核球株を3x104 cells/well (96well plate)で播種し、2.5mM Probenecid存在下または非存在下(基剤のみを添加)で50ng/mL SCF、50ng/mL TPOおよび0.5μg/mL Doxicyclin含有する基礎培地(15% Fetal Bovine Serum、1% Penicillin-Streptomycin-Glutamine、1% Insulin, Transferrin, Selenium Solution、0.45mM 1-Thioglycerolおよび50μg/mL L-Ascorbic Acidを含有するIMDM (Iscove’s Modified Dulbecco’s Medium))にて37℃、5%CO2下で4から6日間培養した。培養後の細胞からRNAを抽出し、定量的PCR法にてGATA1, p45 NF-E2, c-MPL, β1-tubulin、MYH9、MYH10の発現を確認した(図1)。
その結果、2.5mM Probenecidの存在下で培養した不死化巨核球株では、基剤のみを添加して培養した不死化巨核球株と比較して、巨核球成熟関連遺伝子群(GATA1、NF-E2、c-MPL、β1-tubulinおよびMYH9)の発現量が約2〜3倍上昇しており、巨核球未熟関連遺伝子であるMYH10は約1/2に低下していた。
以上より、Probenecidを添加して培養することで、ヒトiPS細胞由来不死化巨核球株の成熟化を促進することが確認された。

Claims (7)

  1. プロベネシドを含む培養液中で未熟巨核球を培養する工程を含む、成熟巨核球の製造方法。
  2. 前記未熟巨核球が、多能性幹細胞由来の造血前駆細胞から製造された未熟巨核球である、請求項1記載の製造方法。
  3. 前記未熟巨核球が、多能性幹細胞由来の造血前駆細胞へ癌遺伝子、p16遺伝子又はp19遺伝子の発現を抑制する遺伝子、及びアポトーシス抑制遺伝子から成る群より選択される遺伝子を強制発現させて製造された巨核球である、請求項に記載の製造方法。
  4. 前記未熟巨核球が、多能性幹細胞由来の造血前駆細胞へ、c-Myc、Bmi1およびBcl-xLから成る群より選択される遺伝子を強制発現させて製造された巨核球である、請求項に記載の製造方法。
  5. 前記培養工程を、4日以上行う、請求項1からのいずれか一項に記載の製造方法。
  6. プロベネシドを用いた未熟巨核球を成熟化する方法。
  7. プロベネシドを含む巨核球成熟化剤。

JP2015511323A 2013-04-12 2014-04-14 巨核球の成熟化促進物質 Expired - Fee Related JP6385340B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013083842 2013-04-12
JP2013083842 2013-04-12
PCT/JP2014/060590 WO2014168255A1 (ja) 2013-04-12 2014-04-14 巨核球の成熟化促進物質

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2014168255A1 JPWO2014168255A1 (ja) 2017-02-16
JP6385340B2 true JP6385340B2 (ja) 2018-09-05

Family

ID=51689655

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015511323A Expired - Fee Related JP6385340B2 (ja) 2013-04-12 2014-04-14 巨核球の成熟化促進物質

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6385340B2 (ja)
WO (1) WO2014168255A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017131230A1 (ja) * 2016-01-29 2017-08-03 国立大学法人京都大学 血小板産生促進剤及びそれを用いた血小板の製造方法
US11016083B2 (en) * 2016-01-29 2021-05-25 Kyoto University Method for screening for platelet production promoters
US11116737B1 (en) 2020-04-10 2021-09-14 University Of Georgia Research Foundation, Inc. Methods of using probenecid for treatment of coronavirus infections

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AR050043A1 (es) * 2004-08-03 2006-09-20 Novartis Ag Metodos para mejorar la biodisponibilidad y composicion farmaceutica para trastornos cardiovasculares
RU2007133712A (ru) * 2005-02-10 2009-03-20 Новартис АГ (CH) Способы улучшения распределения лекарственных средств
DK2500418T3 (en) * 2009-09-15 2018-04-30 Univ Tokyo UNKNOWN PROCEDURE FOR DIFFERENTIATED CELL MANUFACTURING
RU2606764C2 (ru) * 2011-05-13 2017-01-10 Университет Токио Способ получения полиплоидных мегакариоцитов и тромбоцитов
JP5569648B2 (ja) * 2011-05-16 2014-08-13 株式会社村田製作所 無線icデバイス

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2014168255A1 (ja) 2017-02-16
WO2014168255A1 (ja) 2014-10-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20220017866A1 (en) Production methods for megakaryocytes and platelets
AU2013264708B2 (en) Highly efficient method for establishing artificial pluripotent stem cell
CN107709546B (zh) 高功能性血小板的制造方法
JP6704848B2 (ja) 広範囲に自己再生するヒト赤芽球(esre)
EP2616540A1 (en) Method of efficiently establishing induced pluripotent stem cells
KR102273668B1 (ko) 조건부 성숙이 가능한 불멸화 적혈구전구세포주 확립
JP6385340B2 (ja) 巨核球の成熟化促進物質
KR102641631B1 (ko) 회전식 교반 배양법에 의한 혈소판의 제조 방법
WO2017065288A1 (ja) 多能性幹細胞からcd4陽性t細胞を製造する方法
US20240026304A1 (en) Method for Producing Stem Cell Clones Suitable for Induction of Differentiation into Somatic Cells
EP4324917A1 (en) Cell bank composed of ips cells for introducing t cell receptor gene
WO2016129593A1 (ja) 血小板の機能を維持および/または増強するための組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170413

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180206

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180322

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180710

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180807

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6385340

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees