JP6385141B2 - 放射能汚染水中の放射性汚染物質の除去方法 - Google Patents

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Description

本発明は、放射能汚染水中の放射性汚染物質の除去方法に関するものである。
放射能汚染水としては、核燃料棒から発生する放射性微粒子を含有する水や、核燃料から発生する熱を冷却するために使用する地下水、更には汚染冷却水が流入して発生する汚染海水等がある。これらの放射能汚染水は放射性汚染物質と共に多くの浮遊物質(SS)を含有する。後述する表1に示すように、多くの金属元素の酸化物、ケイ酸塩及びホウ酸塩は水に不溶又は難溶であり沈殿物又はSSとなる。これらの金属元素の放射性浮遊物は通常、膜濾過により除去できるが、粒子が微細で放射能を有するため膜が劣化しやすい。
放射性Srはイオン化して水に溶解しており、イオン交換樹脂や逆浸透膜(RO膜)などを用いて除去するか、炭酸塩に変換し不溶物として膜濾過するか、又は、凝集沈殿剤を多量に使用して回収する。しかし、膜濾過では多量に共存するSSの為に膜が直ぐに劣化する。膜の交換は時間的・経済的に大きな負担であり、かつ二次廃棄物も多く発生する。活性炭を用いる方法もあるが、活性炭自体も、その細孔にSS等が沈着すると吸着能力が著しく低下するため交換しなければならない。また、通水による活性炭同士の衝突で微細な活性炭が発生し、これを除去するため別の濾過装置が必要となる。
このように、従来技術では、放射性汚染物質を除去するために、活性炭、膜濾過、イオン交換樹脂等の多段階の除去設備を用いなければならないのが現状である。
また、関連技術に関する最近の公開公報(特許文献1〜5など)をみても、本発明に類似する技術は開示されていない。
更に、固体に付着した放射性元素については、サンプリング及び分析法が確立しているが、多量の水中に存在している放射性元素の分析法は未だ確立されていない。
なお、本発明で用いる濾過装置「Maxフィルター」は、株式会社モノベエンジニアリングの特許(特許文献6〜7参照)に係る装置であり、既に実用されている。
特開2014−029269号公報 特開2014−016179号公報 特開2014−217686号公報 特開2013−094694号公報 特開2013−076628号公報 特許第3394490号公報 特許第4774223号公報
本発明は、放射能汚染水中の放射性汚染物質、特に放射性Srを効率的かつ安価に除去する方法の提供を目的とする。
上記課題は、次の<1>〜<2>の発明によって解決される。
<1> 少なくとも次の(1)〜(3)の工程からなることを特徴とする放射性汚染物質を含有する放射能汚染水から放射性Srを除去する方法。
(1)少なくとも放射性Srを含む放射能汚染水に、ケイ酸塩の水溶液及び/又はホウ酸塩の水溶液及び/又はホウケイ酸複合塩の水溶液を加えて混合する工程
(2)前記混合後の放射能汚染水から、遠心分離機により、生成した放射性Srのケイ酸塩の固形物及び/又は放射性Srのホウ酸塩の固形物及び/又は放射性Srのホウケイ酸複合塩の固形物を分離回収する工程
(3)遠心分離機で分離回収できなかった放射性Srのケイ酸塩の固形物及び/又は放射性Srのホウ酸塩の固形物及び/又は放射性Srのホウケイ酸複合塩の固形物のうちの微細なものを、Maxフィルターにより分離回収する工程
<2> 前記(1)の工程において、ホウケイ酸複合塩の水溶液を用いることを特徴とする<1>記載の放射性汚染物質を含有する放射能汚染水から放射性Srを除去する方法。
本発明によれば、放射能汚染水中の放射性汚染物質、特に放射性Srを効率的かつ安価に除去する方法を提供できる。また使用する薬品類は固形物の生成に用いる無機金属塩のみであり、SS等の除去のために一般的に使用されている凝集剤等を用いないので、二次廃棄物が少なくて済む。
本発明の除去方法を実施するためのシステムの一例を示す概略図。 ND水溶液処理した海水から回収した不溶性沈殿物の溶融減容化を示す写真。(A)久之浜の海水をND水溶液で処理し回収した不溶性沈殿物の写真。(B)加熱により溶融ガラス化した不溶性沈殿物の写真。 久之浜の海水にND水溶液を添加している状態の写真。 ND水溶液添加後、白濁沈殿物が徐々に沈降する様子を示す写真。 ND水溶液添加後の久之浜の海水を遠心分離機に掛ける前後の写真。(A)はND水溶液添加により白濁沈殿物が生成した遠心分離機に掛ける前の状態を示し、(B)は遠心分離機に掛けた後の沈殿と上澄に分離した状態を示す。 Maxフィルターに、濾過材の珪藻土粉末の水懸濁液を用いて珪藻土を装着した状態の写真。 図4のND水溶液添加後の久之浜の海水を図6に示すMaxフィルターで濾過している様子を示す写真。 参考例1で用いた簡易Maxフィルター装置の写真。 実証試験に用いたMaxフィルターシステムの小型実用機の写真。 参考例2の、原水、処理水、及び脱水処理した固形部の写真。
以下、上記本発明について詳しく説明する。
放射性Srは放射能汚染水中でイオンとして拡散しており、濃度も低いため、そのまま除去することは難しい。そこで不溶性又は難溶性固形物に変えて除去することを検討した結果、放射性Srを含有する放射能汚染水に、ケイ酸塩及び/又はホウ酸塩及び/又はホウケイ酸複合塩を加えて混合すると、放射性Srが、不溶性又は難溶性固形物であるケイ酸Sr及び/又はホウ酸Sr(下記表1参照)及び/又はホウケイ酸Srとなり、固化分離できることを見出した。ケイ酸塩ホウ酸塩、ホウケイ酸複合塩としては、通常、アルカリ金属塩を用いる。
特にホウケイ酸複合塩(ND)は、常温で低濃度でも不溶性沈殿物を形成するので好ましい。「ND」はケイ酸塩とホウ酸塩を混合し加熱溶融して作製される複合塩を意味し、ケイ酸塩とホウ酸塩の単なる混合物とは異なる。ケイ酸塩とホウ酸塩の配合割合は種々変更可能であるが、一例として実施例で用いたNa塩の場合を示すと、SiO:NaO:B=24.3〜26.8:11.5〜13.1:0.7(質量比)となる。数値範囲に幅があるのは、原料の結晶構造にオルト、メタなどの種類があって一つに特定できないためである。
また、海水にND水溶液を混合すると、同時にMgやCaのケイ酸塩も生成するが、これらはケイ酸Srやホウ酸Srと不溶性共沈殿物を形成し、ケイ酸Srやホウ酸Srを沈殿濾別により除去する際の補助剤として機能する。
しかし、海水の混入が少ない放射能汚染水の場合には、該汚染水に周期律表の2族元素のイオンを加え、ND水溶液等を加えた際に、ケイ酸Sr及び/又はホウ酸Srと、周期律表の2族元素のケイ酸塩及び/又はホウ酸塩との不溶性共沈殿物を形成させ、且つ固形物の量を増やして放射性Srを沈殿濾別し易くすることが好ましい。
なお、炭酸Srも溶解度が低く難溶性であるが(下記表1参照)、海水中で炭酸Srを生成させることは他の塩類の存在もあって容易ではないため採用できない。
放射性Csは放射性Srと並ぶ代表的な放射性汚染物質であるが、微粒子に付着し易く放射能汚染水中でCsイオンの状態でいることはないので、放射性Csが付着した微粒子を除去すればよい。また、実際には、他の微粒子と一緒に放射能汚染水中を浮遊しているか、又は泥に混じって海底等に沈殿しているから、適当な濾過装置を用いれば除去することができる。しかし大量の放射能汚染水を処理する場合には、フイルター交換などの費用が少なくて済むように配慮する必要がある。この点、後述するMaxフィルターを用いれば、効率的かつ安価に放射性Csを分離除去することができる。
<金属酸化物、金属ケイ酸塩、金属ホウ酸塩の水に対する溶解度>
本発明の除去方法を実施するためのシステムの一例について、図1に示す概略図を参照しつつ説明する。
この例は、放射性Cs分離回収用のMaxフィルター1、ND水溶液タンク、ND混合用インラインミキシング、遠心分離機、放射性Sr分離回収用のMaxフィルター2を備えている。実際には、これらの装置の他に、海水を汲み上げてMaxフィルター1に送るポンプ、Maxフィルター2から浄化後の海水を排出するポンプ、浄化後の海水をサンプリングして放射性汚染物質の濃度を測定する装置など、この種のシステムにおいて当然必要な周知の各種装置を有するが、ここでは省略する。
そして、以上の装置をパイプで接続し、ほぼ全自動で運転できるように設計することにより、放射性汚染物質を連続的に分離除去することができる。
なお、図1には放射性Csと放射性Srの両方を除去する場合を示したが、放射性Csが除去対象とならない場合には、Maxフィルター1を設ける必要はない。
また、図1には海水の例を示したが、他の放射能汚染水でも同様である。
操作としては、汚染海水をMaxフィルター1へ送って放射性Csを除去し、次いで、インラインでND水溶液と混合して生成させた放射性Srの固形物を遠心分離機で固液分離し、分離できなかった微細な固形物をMaxフィルター2で除去した後、海中に戻せばよい。放射性Srの固形物は比重が2.5以上と比較的大きく、海水の比重は1.03なので、通常は遠心分離機により除去できるが、操作を短時間で行う場合などに固液分離が不十分となることもあるため、Maxフィルター2による除去操作が必要である。また、放射性Srの固形物は遠心分離機から自動排出されるように設計する。
図1ではND水溶液を用いたが、ND水溶液に代えてケイ酸塩水溶液やホウ酸塩水溶液を用いてもよい。いずれの場合も、使用する薬品類は無機金属塩のみであり、SS等の除去のために一般的に使用されている凝集剤等を用いないので、二次廃棄物の発生が少なくて済む。
Maxフィルターは、前記特許文献6に係る濾過装置で、国土交通省に登録されており(登録No.KT−06004、OS−12005−A)、千葉県の「ちばものつくり認定製品」にもなっている(認定番号第7号)。また、工事現場などの濁水処理、工場排水の処理、地下水の浄化などに利用され、濾液を河川に放流することが行われている。
Maxフィルターはスプリングフィルターとも呼ばれ、特殊形状のコイル状スプリングと微細な珪藻土等を濾過材として固定化したフィルターであり、これを用いたシステムにより、対象となる液体を連続的に吸引濾過して、0.1μm以上のSSを濾別することができる。0.1μm以上とは細菌や微生物を濾過除去できる大きさであり、濾液の濁度は0〜3NTUである。またフィルターを逆洗浄して濾別した固形物を回収するための遠心分離機が組み込まれており、濾過・回収の連続操作が可能である。
Maxフィルターはステンレスや樹脂で作られており、濾過する液体の性状に応じて選択できる。Maxフィルターのサイズは適宜変更可能であり、例えば長さ17.5cm、直径1.5cmの円筒形状のスプリングフィルターに5.0gの珪藻土等を装着して用いる。珪藻土等の粒度により濾過する物質のサイズも若干変えることが出来る。
濾過できる液体の流量は、液体の性状により変わるが、海水などの液体の場合、上記の小さなフィルター1本で5.5リットル/分の流量が得られる。そして、Maxフィルターの長さ及び本数を変えて濾過能力も増大することもでき、実際に毎時1〜150トンの濾過機が多く使われている。
更に、酸性液体、海水、塩濃度の高い液体などを濾過すると、ステンレス製品でも錆や腐食劣化が生じることがあるため、スプリングフィルターの材質としてプラスチックを使用してもよい。
濾過を続けると目詰まりにより濾過能力が低下するが、これは流速や圧力の変化で感知できる。著しく低下したら、逆洗浄による使用済み濾過材の剥離除去と、新たな濾過材の装着を自動的に行う。新たな濾過材はスプリングフィルターの表面に薄くコーティングするだけ(表面積82cmで5.0gの濾過材を使用)なので、二次廃棄物も著しく少なくて済み、かつ安価である。
濾過及び濾過材の回収は濾過時の圧力差により自動的に行うようにする。放射能汚染水に多くの汚泥が含まれていると、早期に濾過材の目詰まりが発生する可能性があるため、放射能汚染水の取り入れ口で予備濾過を行い、濾過材の交換期間をより長くすることが好ましい。逆洗浄で剥離除去した濾過材は、連続的に遠心分離機にかけて脱水・回収する。遠心分離機やポンプなどは年一度のメンテナンスを行う。メンテナンスの主な対象はモーターと潤滑油である。
インラインミキシングでは、濾液の流量に対応させて添加ND水溶液の流量調整をポンプで行う。この工程では年一度、ポンプと流量センサーのメンテナンスを行う。インラインミキシングで発生した沈殿物は固液分離用の遠心分離機に掛けられるが、遠心分離機は連続運転されるので年1度のメンテナンスを行う。
遠心分離機で回収しきれない微細な沈殿物はMaxフィルターで濾過回収する。
二次廃棄物として発生する機材等は次のように処理する。
放射能汚染水の取り入れ口に設置する予備濾過材は、燃焼可能な素材のものを使用し、交換後は燃焼して減容化する。Maxフィルターに使用する濾過材は逆洗浄により回収し脱水されたものを更に凍結乾燥し、水分の無い状態で放射線遮蔽容器に入れて保管する。発生量は使用する濾過材量と同程度である。
ケイ酸塩及びホウ酸塩として回収される量的に多い主な化合物は、海水の場合、ケイ酸Mg及びケイ酸Caであり、その量は海水中に含まれる量より増加することはない。したがって、その量は海水1L当たり凡そ7gである。これらの塩類は遠心分離機で分離し脱水して回収容器内に連続的に収容する。回収した塩類は混合物のまま溶融ガラス化することができ、放射性Srが含まれていても飛散することの無い固形物として減容化して放射線遮蔽保管容器に収容することが出来る。この減容化は、例えば900℃、30分で行える。その変化を図2に示す。(A)は久之浜の海水をND水溶液で処理し回収した不溶性沈殿物の写真であり、(B)は加熱により溶融ガラス化した不溶性沈殿物の写真である。
後述する実施例1〜4に示すように、放射性SrはNDと反応して不溶性又は難溶性のケイ酸Sr及び/又はホウ酸Sr及び/又はホウケイ酸Srとなり、遠心分離機とMaxフィルターにより容易に除去することができる。目標値は30Bq/L以下の法令濃度限界値に設定する。
後述する参考例1、2に示すように、高濃度の放射性Csを含む汚染水でも、Maxフィルターにより検出限界以下まで分離除去することができる。目標値はCs134が60Bq/L以下、Cs137が90Bq/L以下の法令濃度限界値に設定する。
以下、実施例及び参考例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
なお、実施例で用いたND水溶液は、水ガラス(ケイ酸Na水溶液)と硼砂(ホウ酸Na)を混合し、60℃〜80℃で加熱溶解して得た、下記の組成比(SiとNaとBの配合割合をSiO、NaO、Bに換算したときの質量比)の液状物である。
組成比:SiO:NaO:B=約25.5:約12.3:約0.7
実施例1
福島県いわき市久之浜の海水にND水溶液を混合し、Maxフィルターで濾過した時の状態を図3〜図7に示す。
図3は、久之浜の海水にND水溶液を0.016容積%添加している状態の写真であり、添加と同時に白濁沈殿物が発生する。
図4は、ND水溶液添加後、白濁沈殿物が徐々に沈降する様子を示す写真である。
図5は、ND水溶液添加後の久之浜の海水を遠心分離機(アズワン社製:アズワンC−12B)に掛ける前後の状態を示す写真である。(A)はND水溶液添加により白濁沈殿物が生成した遠心分離機に掛ける前の状態を示し、(B)は遠心分離機に掛けた後の沈殿と上澄に分離した状態を示す。
図6は、Maxフィルターに濾過材の珪藻土粉末の水懸濁液を用いて珪藻土を装着した状態の写真である。濾液は白濁しておらず、その濁度は0.1NTUであった。
図7は、図5(B)の上澄を、図6のMaxフィルターで濾過している状態の写真であり、装置上部には濾過された海水が出てくるが、白濁はなく透明である。濾液の濁度は、1.5NTUであった。濾過前の液の濁度は1730NTUであった。

上記久之浜の海水と、これにND水溶液を添加した海水のSr濃度を、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(日立ハイテクサイエンス社製:SPS5100)を用いて、ICP−OES法により測定した。その測定結果及びSr除去率を表2に示す。
実施例2
ND水溶液の添加量を0.16容積%に変えた点以外は、実施例1と同様の操作を行った後、濾液のSr濃度を測定した。その測定結果及びSr除去率を表2に示す。
実施例3〜4
実施例1及び2における久之浜の海水を、下記組成の人工海水に変えた点以外は同様の操作を行った後、Sr濃度を測定した。その測定結果及びSr除去率を表2に示す。
<人工海水の組成>
使用した人工海水は、下記の成分を50Lの水に溶解させたものである。
・NaCl :1425 g
・MgSO7HO: 341 g
・MgCl6HO: 258 g
・CaCl2HO: 73.5 g
・KCl : 36.25 g
・SrCl6HO: 1.2 g
・NaBr : 4.2 g
・HBO : 1.37 g
・NaF : 143.5 mg
・KI : 3.95mg
仮に海水中に放射性Srが1000Bq/Lという高濃度で存在するとした場合、その量が1/33以下になれば法令濃度限界値(30Bq/L以下)を満たすことになる。
一方、上記表2に示すSrの除去試験では、Sr除去率が、人工海水で98%以上、久之浜の海水で98.5%以上であり、Sr濃度は、人工海水で1/50以下、久之浜の海水で1/67以下である。したがって、原水の放射性Srが1000Bq/Lであったとしても、人工海水で20Bq/L以下、久之浜の海水で15Bq/L以下に出来ることになり、法令濃度限界を満たすことが出来る。
また、ND溶液を0.16容積%用いたときにSrが0.1ppmの検出限界以下となったが、これは人工海水や海水中に多量に存在するMgやCaから生成した不溶性沈殿物が、Srの不溶性沈殿物を分離除去する際の補助剤となったためであると推測される。
実施例5
前記実施例1〜2では海水にND水溶液を混合した場合を示したが、ここでは、ND水溶液に代えてケイ酸Na水溶液、水ガラス水溶液、硼砂水溶液を混合した場合の試験例を示す。
試験に用いた材料は下記のとおりである。なお、Sr水溶液の濃度は一般の海水に含まれる濃度に合わせて0.09mMとした。また、海水には実施例1と同じ久之浜の海水を使用し、人工海水には実施例3と同じものを使用した。

・Sr水溶液(Sr2+として0.09mM)
・ND水溶液(SiOとして430mM)
・水ガラス水溶液(SiOとして553mM)
・ケイ酸Na水溶液(SiOとして254mM)
・硼砂水溶液(ホウ酸として105mM)

上記Sr水溶液、人工海水、海水をそれぞれ40mL用意し、ND水溶液、水ガラス水溶液、ケイ酸Na水溶液及び硼砂水溶液を0.4mL加えて混合撹拌した後、その濁度を測定した。硼砂水溶液以外の場合は発生する沈殿物の量が多いため、脱イオン水で100倍に希釈して測定した。
結果を表3に示す。表中の数値の単位は「NTU」である。
表3のように、Sr水溶液に対し何れも沈殿物が生成したが、ND水溶液が最も沈殿物が多く好ましいことが分かった。
実施例6
Sr水溶液の濃度を、参考例3の10倍の0.9mM、及び100倍の9mMに変えた点以外は、実施例5と同様にして濁度を測定した。硼砂水溶液以外の場合は発生する沈殿物の量が多いため、0.9mMの場合には脱イオン水で10倍に希釈し、9mMの場合には脱イオン水で100倍に希釈して測定した。
結果を表4に示す。表中の数値の単位は「NTU」である。
参考例1
<Maxフィルターを用いた放射性Cs除去試験>
福島県土地改良事業団体連合会・南東北復興総合研究所の協力を得て、図8に示す簡易Maxフィルター装置を用いた、農業用貯水池の放射性汚染源の除去試験を実施した。
貯水池の水からは、Cs134:3.5〜5.7Bq/L、Cs137:4.4〜7.9Bq/L、湖底の泥(乾泥)からは、Cs134:70000Bq/kg、Cs137:100000Bq/kgの放射能が検出された。
上記水と泥の混合物からなる試料をMaxフィルターに掛けた後、濾液の放射能を測定した。その結果、濾液からは放射性Csは検出されず、放射性Csを迅速に分離除去できることが明らかとなった。
参考例2
参考例1の結果を踏まえて、図9に示すMaxフィルターシステムの小型実用機を作製し、福島県双葉郡浪江町の請戸川河口付近で、河川水及び河床汚泥の濾過実証試験を行なった。この実証試験の概要は次のとおりである。
・請戸川の鮭漁用川岸で水中ポンプを用いて汚泥と河川水を採取した。
・採取した原水を撹拌して汚泥を浮遊させ、Maxフィルターへ供給した。
・Maxフィルターは、予め濾過材の珪藻土をフィルターに装着しておき、80L/分の流速で濾過した。濾過器はフィルター部分の圧力や処理原水の流量等をセンサーで感知し、一定値を示せばフィルター部分の逆洗浄や新たな濾過材の設置を行うなど、自動運転されるようにプログラムした。
・濾過された河川水は処理水タンクに貯蔵した。
・逆洗浄された汚泥、SS及び濾過材は、遠心分離機で固液分離し脱水処理した。
・固液分離後の液体部は原水タンクに戻し再濾過した。
・脱水処理した固体部は、遠心分離機の下部に設置した容器に排出した。

上記原水、処理水、脱水処理した固形部の写真を図10に示す。図10の上の左が原水、上の右が処理水、下が脱水処理した固形部である。
また、これらの放射能の測定結果を表5に示す。
Maxフィルターの濾過能力は、スプリングフィルターの本数を増やして濾過水流量を増大させることにより容易に拡大できる。
したがって、処理水の性状を十分に考慮し、液体の粘性がそれ程高くなく、かつ多量の汚泥を含まないような汚染水の処理であれば、毎時500トン程度の処理量の実用機を作製することが可能であり、短期間で多量の汚染水を処理できると考えられる。

Claims (2)

  1. 少なくとも次の(1)〜(3)の工程からなることを特徴とする放射性汚染物質を含有する放射能汚染水から放射性Srを除去する方法。
    (1)少なくとも放射性Srを含む放射能汚染水に、ケイ酸塩の水溶液及び/又はホウ酸塩の水溶液及び/又はホウケイ酸複合塩の水溶液を加えて混合する工程
    (2)前記混合後の放射能汚染水から、遠心分離機により、生成した放射性Srのケイ酸塩の固形物及び/又は放射性Srのホウ酸塩の固形物及び/又は放射性Srのホウケイ酸複合塩の固形物を分離回収する工程
    (3)遠心分離機で分離回収できなかった放射性Srのケイ酸塩の固形物及び/又は放射性Srのホウ酸塩の固形物及び/又は放射性Srのホウケイ酸複合塩の固形物のうちの微細なものを、Maxフィルターにより分離回収する工程
  2. 前記(1)の工程において、ホウケイ酸複合塩の水溶液を用いることを特徴とする請求項1記載の放射性汚染物質を含有する放射能汚染水から放射性Srを除去する方法。
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