以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。本実施の形態では、遊技機の一例として、遊技ホールに設置されるスロットマシンを示す。
図1は、本実施の形態のメダル選別装置としてのメダルセレクタ1を備えたスロットマシン11の外観斜視図である。図2はスロットマシン11の前面扉11aを片開き式に開口した内部構造を示す斜視図である。
図1に示すように、スロットマシン11には、接客対応される前面上部にパネル12とリール部13とが設けられ、前面中央に3個のストップボタン14が設けられている。また、前面左側にはスタートレバー15と掛け数設定ボタン16aと精算ボタン16bとが設けられ、前面右側にはイジェクトボタン17とメダルMを1枚ずつ投入するための投入口18とが設けられ、前面下部には、メダルMを受ける受皿19が設けられている。
図2に示すように、スロットマシン11の前面扉11aの内側には、上部より下部にかけてリールカバー24と、メダルの適否を選別するメダルセレクタ1と、メダル払出シュート26と、返却口27とが、この順に設けられている。一方、スロットマシン本体11bの内部空間上部には、メダルセレクタ1の信号を処理し、またスロットマシン11の各部を制御する制御部11cが設置されている。内部空間中央部には、外周面の絵柄の位置を回転・停止して遊技利用させる3列のリール部13が設置され、内部空間下部には、メダルの取り込み・払い出し用のメダル払出装置21、電源装置22、オーバフロータンク23が設置されている。
遊技者は、スロットマシン11を遊技利用するとき、投入口18(図1参照)にメダルMを1枚ずつ投入する。投入口18に投入されたメダルMは、一旦メダルセレクタ1(図2参照)に導かれ、ここで適否が選別される。メダルセレクタ1で受付が許可されたメダルMは、メダルセレクタ1の出口に接続されているメダル搬送通路25aを介してメダル払出装置21の上部に備えられているホッパタンク21aに受入れられる。一方、メダルセレクタ1で受付が拒否されたメダルMは、メダル払出シュート26および返却口27を介して受皿19(図1参照)へと返却される。なお、メダルセレクタ1で受付が拒否されたメダルM以外に、所定枚数を超えて投入された余剰のメダルMや、リール回転中やクレジット精算中、電源OFF時などに投入されたメダルMも、メダル払出シュート26および返却口27を介して受皿19へと返却される。
精算ボタン16b(図1参照)は、遊技者がホッパタンク21aに貯留されているメダルMの返却を要求するボタンである。遊技者が遊技を中止するために精算ボタン16bを押すと、ホッパタンク21aに貯留されていたメダルMが受皿19へと返却される。
イジェクトボタン17(図2参照)は、メダルセレクタ1からメダル通路内に詰まったメダルMを排除させるためのボタンである。遊技者がイジェクトボタン17を押すと、これに連動してメダルセレクタ1側のイジェクト部が開閉板29(図3参照)を開き、詰まっていたメダルMを排除する。排除されたメダルMも受皿19へと返却される。
次に、メダルセレクタ1の構成について説明する。図3はメダルセレクタ1の正面側を示す外観斜視図、図4はメダルセレクタ1の正面図である。図5はメダルセレクタ1の背面側を示す外観斜視図、図6はメダルセレクタ1の背面図である。また、図7はメダルセレクタ1の基板28の内側の面を示す斜視図、図8はメダルセレクタ1の開閉板29の内側の面を示す斜視図である。なお、以下において、基板28および開閉板29における互いに対向する側を内側と称し、その反対側を裏側と称する。
図3〜図6に示すように、メダルセレクタ1は、メダルセレクタ1の本体をなす平面視コの字状の基板28と開閉板29とが開閉自在に対設された構造を有する。これら基板28と開閉板29との対向面間に、メダルMを自重により縦方向から横方向へと転動させて通過させるメダル通路33が設けられている。開閉板29は、開閉板29に設けられた軸受部31にて基板28の上部に設けられた支軸30を回転自在に支持することで、基板28に対して開閉自在に構成されている。詳細については後述するが、開閉板29は、コイルバネ(付勢部材)32にて常時、基板28側に付勢されると共に、基板28に連結されている。
メダル通路33は、図7に示すように、前述の投入口18(図1参照)に接続対応する入口34と下方の出口35とを有するL字状に形成されている。メダル通路33は、入口34から下方に延びる縦辺部L1と、斜め下方に延びて出口35に至る横辺部L2と、これら両辺部L1,L2を湾曲状に連通接続する湾曲部L3とを備えている。
基板28には、図5、図6に示すように、基板28の裏側に配設された支軸36を支点として揺動可能な可動ガイド板37が設けられている。可動ガイド板37は、そのガイド部38を基板28の開口部39からメダル通路33の上部に臨設し、このガイド部38でメダルMの上端側を搬送方向にガイドするように構成されている(図4参照)。
さらに、可動ガイド板37には、基板28の裏側に位置する排出部材としてのブロッカー40が一体に折り曲げ形成されている。ブロッカー40は、図4に示すように、下端ブロック部40aをメダル通路33下流側の開口部33aから該メダル通路33に出没可能に構成されている。
また、基板28の裏側には、図5、図6に示すように、ソレノイド41で駆動される可動板42が設けられ、この可動板42の遊端42aが可動ガイド板37の上端37aに対向して配置されている。
ソレノイド41のON時、可動板42の遊端42aで可動ガイド板37の上端37aが押圧されて、そのガイド部38でメダルMの上端側を搬送ガイドすると共に、ブロッカー40の下端ブロック部40aをメダル通路33の開口部33aから裏面側に後退させ、有効と選別された正規のメダルはメダル払出装置21へ搬送する一方、無効と選別された不適合の大きさのメダル類は開閉板29の排出口29aから排出して、外部の返却口27に返却するように構成されている(図4参照)。
ソレノイド41のOFF時には、ガイド部38によりメダルMの上端側の搬送ガイドを解除すると共に、ブロッカー40の下端ブロック部40aをメダル通路33の開口部33aからメダル通路33側へ突出させて、メダルMの受入れを中止するよう構成されている(図4参照)。
また、メダル通路33の横辺部L2は、該横辺部L2の上下に対設される可動ガイド板37と通路の下面を形成する案内プレート33b(図7参照)との上下に平行する平行間隔により直径の小さなメダルを通路外に排除する外形選別を実施し、正規の大きさのメダルのみを通過させて計数するように構成されている。
これにより、出口35からは遊技機専用に設けられた一定の大きさの円板形状を有する適正な大きさのメダルMのみが受入れられる。この出口35の直前部においてメダル通路33を形成する基板28の通路壁には、メダル通路33の横辺部L2を通過するメダルMを探知して計数するセンサ部(図示せず)が設けられている。
また、メダル通路33の入口34から下方に延びるメダル通路33の縦辺部L1には、異物検知レバーセンサ43が配設されている。異物検知レバーセンサ43は、図5、図6に示すように、検知レバー(検知片)44と、この検知レバー44を付勢するコイルバネ46と、そのレバーの動きを検知する第3センサS3とを組合せて構成される。
検知レバー44は、メダル通路33の通路空間に向けてメダル通路33の外部より付勢され、出没自在で常時突出している。具体的には、基板28の裏側における縦辺部L1対応位置に水平に架設された支軸47に検知レバー44の上端部が軸支され、検知レバー44の下側の先端部44aが、コイルバネ46により縦辺部L1の壁面に設けられた開口窓48よりメダル通路33の通路空間に出没自在に突出付勢されている。
さらに、基板28には、図5、図6に示すように、スロットマシン11に設けられたイジェクトボタン17に連動して開閉板29を回転させて開閉板29を開くイジェクト部(返却部)50が設けられている。
次に、メダルセレクタ1における特徴的な構成について説明する。メダルセレクタ1においては、開閉板29の回転支点として、基板28とのなす角度が所定の角度に達するまでの第1の回転支点P1と、基板28とのなす角度が上記所定の角度を超えた場合の第2の回転支点P2との2つを備え(図11参照)、開閉板29の回転量(開き量)に応じて、回転支点が第1の回転支点P1から第2の回転支点P2へと切り換わり、第2の回転支点P2で回転している途中で、コイルバネ32が滑って係合が解除されることで、基板28から外れるように構成された支持機構55が設けられている(第1の特徴的構成)。
さらに、メダルセレクタ1においては、上記第1、第2の各回転支点P1,P2を支点とした開閉板29の開閉動作および着脱動作については阻害することなく、スロットマシン11の投入口18と通じる入口34側から器具等を挿入して開閉板29を抉じ開ける不正な取り外しを防止する規制機構70が設けられている(図3参照,第2の特徴的構成)
まず、第1の特徴的構成について説明する。図7に示すように、第1の回転支点P1となる支軸30は、基板28の内側の面の上部に突設された一対の支持部60,60に両側が固定され、ほぼ水平に配設されている。そして、該支軸30に、開閉板29を基板28側へ付勢すると共に、開閉板29と基板28とを連結させる付勢部材としてのコイルバネ32が巻回されている。支軸30、軸受部31およびコイルバネ32、後述する受部62および突当部63にて、支持機構55が構成されている。
コイルバネ32は、両端がバネ固定部61の裏側の面に突き当てられた状態で、両側より巻回され、その中央部がバネ固定部61を超えて該バネ固定部61の表側に引き出されている。この引き出された部分は、一旦下方に向かってL字状に折曲され、先端側が斜め上方に向かってさらに折曲されている。下方に向かって折曲された部分が、開閉板29の係合部64(図3参照)と係合して、開閉板29を基板28に連結させる連結部32aを構成している。そして、斜め上方に向かって折曲された部分が、開閉板29を連結させる際に開閉板29に設けられた後述する摺動案内面66(図8参照)に沿って、連結部32aの係合を助ける連結補助部32bを構成している。
さらに、支持部60,60よりも上方の基板28の上端面には、後述する開閉板29側の突当部63と接触する接触部としての受部62が複数形成されている。受部62と開閉板29側の突当部63とが接触することで、それらの接触箇所に第2の回転支点P2が形成される。受部62は、基板28の裏側から内側に向かって上方に傾斜した下向き面62aを有し、支軸30の軸線方向に見て、その先端部が支軸30よりも基板28の内側に位置するように設けられている。
一方、図8に示すように、開閉板29の内側の面の上部には、基板28側の支軸30を回転自在に支持する軸受部31が一対設けられている。各軸受部31は、突当部63と受部62が接触した状態で開閉板29がさらに開動作されると、支軸30から離隔するように構成されている。具体的には、各軸受部31は、その先端部に支軸30を摺動自在に担持する軸摺動部31aが形成されている。軸摺動部31aの下端側は、支軸30を深く担持できるように突出している(参照符号31b)。これに対し、軸摺動部31aの上端側は、開閉板29が第2の回転支点P2にて回転する際に、支軸30を障壁とすることなく軸受部31を下方へ逃がせるように開放されており、逃がし部31cを構成している。逃がし部31cが設けられることで、後述するように、軸受部31は、開閉板29が第2の回転支点P2による回転に伴い、支軸30を障壁とすることなく下方に移動することができる。
また、開閉板29における一対の軸受部31,31の間には、上述したコイルバネ32の連結部32aが、開閉板29の内側から裏面側へと回り込むための開口部65が形成されている。そして、該開口部65の下方には、開閉板29の内側に、上述したコイルバネ32の連結補助部32bと同じ傾斜を有する摺動案内面66が形成され、開閉板29の外側に、上述したコイルバネ32の連結部32aが係合する係合部64(図3参照)が形成されている。摺動案内面66は、開閉板29における内側から裏側に向かって上方に傾斜している。
さらに、軸受部31の軸摺動部31aよりも上方の開閉板29の上端面には、上述した基板28側の複数の受部62と接触してその接触箇所に第2の回転支点P2を形成する複数の接触部としての突当部63が形成されている。突当部63は、開閉板29における裏側から内側に向かって下方に傾斜した上向き面63aを有し、支軸30の軸線方向に見て、軸摺動部31aよりも開閉板29の裏側に配設されている。
このような構成を有するメダルセレクタ1は、開閉板29側をやや下に向けた状態でスロットマシン11に取り付けられる(図9(c)参照)。
次に、上記構成を有するメダルセレクタ1における開閉板29の開閉、取り外し、取り付けの各動作について説明する。図9〜図14に、開閉板29が基板28から外れるまでの状態を段階的に示し、図15〜図17に、開閉板29を基板28に取り付けられるまでの状態を段階的に示す。
まず、図9〜図14を用いて、開閉板29の開閉および取り外しの動作を説明する。
図9は、メダルセレクタ1における、開閉板29が閉じた通常の状態の要部の断面図であり、(a)は図4のA−A線矢視断面図、(b)は図4のB−B線矢視断面図、(c)は図4のC−C線矢視断面図である。
図9の(a)(b)に示すように、開閉板29が閉じた状態では、開閉板29側の軸受部31の軸摺動部31aに、基板28側の支軸30が回転自在に支持されている。この状態で、開閉板29が開かれると、開閉板29は、支軸30を中心とした第1の回転支点P1にて回転する。
また、図9の(c)に示すように、開閉板29が閉じた状態では、コイルバネ32の連結部32aが、開閉板29に形成された開口部65を通って開閉板29の裏側(正面側)の係合部64に係合している。これにより、開閉板29は基板28に連結されると共に、常時、基板28側に付勢され、開閉板29と基板28との対向面間に、上述したメダル通路33が形成される。
図10は、メダルセレクタ1における、開閉板29が図9に示す閉じた状態から少し開かれた状態の要部の断面図であり、開閉板29が開かれている点で異なるが、(a)は図4のA−A線矢視断面図に相当し、(b)は図4のC−C線矢視断面図に相当する。
図10の(a)(b)に示すように、閉じた状態から開閉板29を開くと、開閉板29側の突当部63が基板28側の受部62に接触するまでは、開閉板29は、支軸30を中心とした第1の回転支点P1にて回転する。ここで、開閉板29の開く方向は、コイルバネ32の付勢力に抗う方向であり、開閉板29の開動作に伴いコイルバネ32は弾性変形する。この段階で、開閉板29を開く力を解除すると、開閉板29はコイルバネ32の復元力によって閉じる。
図11は、メダルセレクタ1における、開閉板29が図10に示す状態よりもさらに開かれた状態の要部の断面図であり、開閉板29が開かれている点で異なるが、(a)は図4のA−A線矢視断面図に相当し、(b)は図4のC−C線矢視断面図に相当する。
図11の(a)(b)に示すように、開閉板29をさらに開いて、開閉板29側の突当部63が基板28側の受部62に接触すると、開閉板29の回転支点が、支軸30を中心とした第1の回転支点P1から、突当部63と受部62との接触箇所である第2の回転支点P2に切り換わる。突当部63と受部62とを間隔を開けて複数設けたことで、安定した回転支点P2となる。この段階でも、開閉板29を開く力を解除すると、開閉板29は、コイルバネ32の復元力によって閉じる。
図12は、メダルセレクタ1における、開閉板29が図11に示す状態よりもさらに開かれた、コイルバネ32の係合が外れる直前の状態の要部の断面図であり、開閉板29が開かれている点で異なるが、(a)は図4のA−A線矢視断面図に相当し、(b)は図4のC−C線矢視断面図に相当する。
図12の(a)(b)に示すように、開閉板29の回転支点が第1の回転支点P1から第2の回転支点P2に切り換わった後、開閉板29をさらに開くと、軸受部31は、支軸30から離れて下方に移動するが、逃がし部31cが設けられていることで、支軸30を障壁とすることなく移動できる。また、コイルバネ32には、付勢力に抗う力がさらに加わるため、その連結部32aが徐々に上方に向かって滑るように移動する。この段階でも、開閉板29を開く力を解除すると、コイルバネ32の復元力にて、開閉板29は自ずと閉じる。
図13は、メダルセレクタ1における、開閉板29が図12に示す状態よりもさらに開かれて、コイルバネ32の係合が外れた直後の状態の要部の断面図であり、開閉板29が開かれている点で異なるが、(a)は図4のA−A線矢視断面図に相当し、(b)は図4のC−C線矢視断面図に相当する。
図13の(a)(b)に示すように、軸受部31が支軸30から離れて下方に移動した状態で、開閉板29をさらに開くと、コイルバネ32がさらに上方に滑り、連結部32aの下端が開閉板29の開口部65の下端に至り、弾性変形したコイルバネ32の復元力で、連結部32aが開閉板29の内側に引き戻される。その結果、開閉板29と基板28との連結が解除され、開閉板29は下方に落下するように外れる。
図14は、メダルセレクタ1における、開閉板29が図13示す状態から下方に抜け落ち、開閉板29が基板28から完全に外れた状態の要部の断面図であり、開閉板29が開かれている点で異なるが、(a)は図4のA−A線矢視断面図に相当し、(b)は図4のC−C線矢視断面図に相当する。
図14の(a)(b)に示すように、開閉板29は下方に落下するように外れることで、基板28から完全に分離される。
続いて、図15〜図17を用いて、開閉板29の取り付け動作を説明する。
図15は、メダルセレクタ1における、開閉板29を基板28に取り付ける際の最初の段階を示す要部の断面図である。図16は、メダルセレクタ1における、図15の次の段階を示す要部の断面図、図17は、メダルセレクタ1における、図16の次の段階を示す要部の断面図である。開閉板29が外れている点で異なるが、これらは何れも、図4のC−C線矢視断面図に相当する。
図15に示すように、基板28に設けられたコイルバネ32の連結補助部32bを開閉板29に設けられた摺動案内面66に沿わせる。この状態で、開閉板29を閉じる方向に押し込むと、図16に示すように、連結補助部32bと連結部32aとの間の折曲部分が摺動案内面66と接触し、コイルバネ32が弾性変形する。この状態で、さらに開閉板29を押し込むと、前記折曲部分が摺動案内面66を摺動して、図17に示すように、連結部32aが開口部65を抜ける。連結部32aが開口部65を抜けると、その復元力で連結部32aが下方に滑り落ち、開閉板29の裏側の係合部64と係合する。これにより、開閉板29が再び基板28に連結される。
次に、第2の特徴的構成について説明する。図18は、メダルセレクタ1における、不正器具90が挿入された状態の断面図であり、(a)は、開閉板29が基板18に取り付けられている状態、(b)は開閉板29が外れている状態である。図18に示すように、入口34の上方には、スロットマシン11の投入口18があり、投入口18から挿入された不正器具90が入口34からメダル通路33内に入る。
開閉板29が取り付けられている状態では、異物検知レバーセンサ43の検知レバー44の先端は、メダル通路33の開閉板29側の壁面に接触している。そのため、(a)に示すように、メダル通路33内に挿入された不正器具90は、検知レバー44の先端と接触し、異物検知レバーセンサ43にて検知される。
これに対し、(b)に示すように、開閉板29が外れている状態では、検知レバー44の先端は開放空間に面することとなる。そのため、メダル通路33内に挿入された不正器具90は、検知レバー44の先端と接触することなくその上を越えてしまい、異物検知レバーセンサ43では検知できない。
つまり、メダルセレクタ1においてセキュリティ性を高めるためには、上述した第1の特徴的構成によって得られるメンテナンスに必要な開閉板29の外れ易さと相反する、開閉板29の外れ難さが必要となる。このような、相反する要求の両方を叶えるために、メダルセレクタ1には、上述した規制機構70が設けられている(図3参照)。
不正行為を行い易くするために開閉板29を取り外す行為は、スロットマシン11の前面扉11aを開いて開閉板29にアクセスする正常な取り外しとは異なり、投入口18から棒状の器具を挿入し、開閉板29を抉じ開けて基板28から無理に取り外すものである。
規制機構70は、このような、正常な取り外し時の開閉板29の動きと、異常な取り外し時の開閉板29の動きの違いに着目して、第1、第2の各回転支点P1,P2を支点とした開閉板29の開閉動作および着脱動作については阻害することなく、スロットマシン11の投入口18と通じる入口34側から器具等を挿入して抉じ開けようとする不正な取り外しを防止するものである。
図19は、メダルセレクタ1に設けられた規制機構70の構成を示す要部拡大図であり、図3の破線で囲った部分の拡大図である。図19に示すように、メダルセレクタ1における、入口34がある側の側面部において、開閉板29は、平面視コの字状の基板28の内側に入り込んでいる。詳細には、基板28における正面側に突出する側壁28aの内側に、開閉板29の側面29bが位置しており、支軸30の軸線方向より見て、側壁28aと側面29bとは重畳する部分を有している。
規制機構70は、側壁28aと側面29bとが重畳する、メダルセレクタ1の入口34がある側の側面部に設けられている。具体的には、規制機構70は、開閉板29の側面29bに設けられた突起部としてのボス71と、基板28の側壁28aに設けられた突起受部としてのボス受部22とを備える。
ボス71は、支軸30の軸方向に突き出た軸状の突起であり、支軸30(図3参照)の中心の延長線上又は該延長線よりも上方に設けられている。これは、ボス71が、支軸30の中心の延長線よりも下方に設けられていると、支軸30(第1の回転支点P1)を支点として開閉板29が開く場合にも、ボス71がボス受部72の後述するボス穴72aに接触して開閉板29の動きが規制されるためである。
ボス受部72は、開閉板29側のボス71が入り込む規制穴としてのボス穴72aと、ボス71をボス穴72aに導き入れる際、あるいはボス71をボス穴72aから導き出す際の通り道となる通路としての案内穴72bを有している。
ボス穴72aは、第1、第2の回転支点P1,P2を回転支点とする開閉板29の開閉動作に対しては、ボス71をボス穴72aで回転・移動させて、ボス71の動きを阻害しない。これに対し、メダル通路33の入口34が通路幅方向に広がる方向の開閉板29の動きに対しては、ボス71に接触することで規制する。
ボス穴72aの形状は、第1、第2の回転支点P1,P2を回転支点とする開閉板29の開閉動作時および外れる直前直後の開閉板29の動きに伴うボス71の軌跡を考慮して、ボス71がボス穴72a内をスムーズに動くように設計されている。
案内穴72bは、開閉板29を基板28に対して着脱する際にボス71が通過する通路であって、側壁28aにおける開閉板29と向き合う側で外部とボス穴72aとを連通する通路である。案内穴72bは、ボス穴72aにおけるボス71と接触して規制する部分を避けて形成されており、下から上へと斜めに延設されてボス穴72aに至る。案内穴72bは、開閉板29が正常に取り外される際に、基板28との連結が解除されて落下するように外れる開閉板29の動きに倣って移動するボス71を案内して、ボス受部72からスムーズに離脱させる。また、開閉板29を基板28に取り付ける際には、ボス穴72aにまでボス71を導き入れる。
このような案内穴72bの形状も、基板28との連結が解除されて落下するように外れる開閉板29の動きに伴うボス71の軌跡、および開閉板29を基板28に取り付ける際の開閉板29の動きに伴うボス71の軌跡を考慮して、ボス71がスムーズに通過するように設計されている。
次に、上記構成を有するメダルセレクタ1における規制機構70の動きについて説明する。
図20の(a)は、メダルセレクタ1における、開閉板29が閉じた通常の状態における入口34がある側の側面図であり、(b)は(a)の要図拡大図である。図20の(a)(b)に示すように、開閉板29が閉じた状態では、開閉板29側のボス71が基板28側のボス受部72のボス穴72a内に位置している。この状態で、開閉板29が開かれると、開閉板29は支軸30を中心とした第1の回転支点P1にて回転し(図10参照)、これに伴ってボス71もボス穴72a内で回転する。
図21の(a)は、メダルセレクタ1における、開閉板29が開いた状態における入口34がある側の側面図であり、(b)は(a)の要図拡大図である。図21の(a)(b)に示すように、開閉板29が開いた状態でも、ボス71はボス穴72a内に位置している。この状態から開閉板29がさらに開かれると、開閉板29は、回転支点を第1の回転支点P1から第2の回転支点P2へと切り換えて回転し(図11参照)、これに伴ってボス71もボス穴72a内で回転する。
図22の(a)は、メダルセレクタ1における、開閉板29が正常に取り外される直前の状態における入口34がある側の側面図であり、(b)は(a)の要図拡大図である。図22の(a)(b)に示すように、開閉板29が第2の回転支点P2を支点とした回転に伴って基板28から外れると(図12、図13参照)、ボス71もボス穴72aから案内穴72bに移動し、案内穴72bを通ってスムーズにボス受部72から外れる。
図23の(a)は、メダルセレクタ1における、開閉板29が投入口18から挿入された器具にて抉じ開けられようとした状態における入口34がある側の側面図であり、(b)は(a)の要図拡大図である。図23の(a)(b)に示すように、メダルセレクタ1に対して不正行為を行うために、開閉板29を故意に投入口18側から抉じ開けようとしても、開閉板29側のボス71が基板28側のボス穴72aの壁に接触してしまい、開閉板29を外すことができない。
なお、本実施の形態では、開閉板29に軸受部31が設けられる一方、基板28に支軸30が設けられ、基板28側に固定されたコイルバネ32にて開閉板29を基板28側に付勢した構成としていたが、開閉板29に支軸30が設けられる一方、基板28に軸受部31が設けられ、開閉板29側に固定されたコイルバネ32にて開閉板29を基板28側に付勢した構成としてもよい。
同様に、本実施の形態では、開閉板29に突起部としてのボス71が設けられる一方、基板28に突起受部としてのボス受部72が設けられた構成としていたが、開閉板29にボス受部72が設けられる一方、基板28にボス71が設けられた構成としてもよい。
但し、基板28側にボス71を設ける場合、メダル通路33に向かってボス71が突き出るため、突き出たボス71を避けてメダル通路33を形成する必要があり、その分、メダルセレクタ1における支軸30の軸方向の寸法が大きくなる。
また、規制機構70を入口34に対して支持機構55と同じ側に設けることも可能であるが、スロットマシン11の投入口18側から器具を挿入して開閉板29を抉じ開けようとした場合、支持機構55とは入口34を挟んで反対側が広がりやすいため、この反対側に規制機構70を設けることで、開閉板29の不正な取り外しを効果的に阻止できる。
また、本実施の形態では、ボス穴72aおよび案内穴72bとして、貫通穴からなる構成を例示したが、溝状に凹部として形成されていてもよい。本発明においては、「穴」は、貫通穴と凹部の両方を含む。