JP6383956B2 - エンクロージャ内部の空間に二つの気密空間を持つ振動型スピーカ - Google Patents
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Description
小形では再生が難しい低音域において、スピーカユニット自身が振動軸方向に振動すべく自由度を持たせ、ボイスコイルの振動をスピーカユニットに伝え、スピーカユニットの振動を、
エンクロージャを介して取り付け先の構造体に伝達し、取り付け先の構造体の放射面積を利用し、より強い低音再生を得る方法。
小形では再生が難しい低音域において、エンクロージャ内部から外気に通じる穴を設けることで、穴の部分の空気の性質を利用した共振特性によって強い低音再生を得る方法。
振動型スピーカとその低音再生特性を補正する方法に関する。
振動型スピーカは小形軽量のスピーカユニットで低音再生範囲を広げるために強力な方法の一つであるが、強い共振特性を利用した低音再生効率の改善方法であることから広い再生帯域を得ることが難しい。信号処理によってこの弱点を補正する必要があるが、弱点に対し補正が過ぎると異常音を再生することになり、リニアリティの限界を超えないよう精密な補正を必要とするだけでなく、補正にも限界がある。
特願 2015−221089
請求項に記述の振動型スピーカの構造に関する。
()内の演算は()外に優先する。
+、−、*、/ は それぞれ 加算、減算、乗算、除算 の演算子とする。
第2に、セパレータの形状を維持し、組み立てに必要な部品である 外枠と内枠と中枠 の形状寸法を調節することで双方の独立性の傾向と共振特性を自在に調節することができる。
第2に、第1の結果ではあるが、第2空間側の機械振動による、第1空間側の音響の低音共振条件への影響が小さくなることで、第1空間側の音響の低音共振条件の選択範囲が広がり、第1空間にチューニングポートを設けることも可能となる。
第3に、第1の結果ではあるが、エッジとダンパーが低スティフネスのスピーカユニットの場合でも、振動型としての特徴を活かした設計が可能となる。
小形卓上スピーカシステム
携帯端末に使われる超小型スピーカシステム
第2に、振動型スピーカの機械振動による低音再生性能とチューニングポートによる低音再生性能の双方の長所を活かした小形スピーカ。
第3に、設計段階で最適設計の割り出しが容易でない、振動型スピーカの主要パラメータの選択の段階において、部品選択や部品交換という方法で性能の追い込みが可能となり、生産段階でも、部品交換によるかんいな方法での設計変更の選択範囲が広がる。
図1(a)(b)(c)は従来型振動スピーカの説明図、図1(d)(e)(f)は本案の説明図である。図1中、同番号は同機能である。
図1(a)は従来の振動型スピーカの一例であり、スピーカユニットが静止している状態の断面図である。1 はスピーカユニット、2 はフレームの空気穴、 3 はコーン、
4 はフレームのエッジが接着されている部分、5 は外ヨーク、6A はエッジ、7A は本案のサポータに相当するスピーカユニットの前面を支える部品、8 はエンクロージャ、9 は、エンクロージャの背面の蓋である。
コーンの動きはスピーカユニットの動きに伴うところの、エンクロージャ内部の気圧の変化の影響を受ける。
121 はセパレータの空気穴を通過する空気流、122 はフレームの空気穴を通過する空気流である。101 の矢印の方向にスピーカユニットが動いた場合、エンクロージャ内部の空気圧が減少し、その影響でコーンには 131 の矢印の方向に押し下げられる力が作用する。低音といえども、スピーカユニット自体の振動による低音放射も再生性能の一部に含まれることから、104 の方向と 103 の方向が逆になることは、望ましいことではない。
設計の状態にもよるが、低音共振付近では、コーンの動きがスピーカユニットと逆方向に大きく動くことから、エッジ は 6C に示すように大きく変形するケースも少なくない。このことは、低音振動によるスピーカユニット自体の音響放射 が 低音振動そのものによるエンクロージャ内部で変化する空気圧の変化 を介して強い関係を持っていることを示す。特に、低スティフネスのスピーカユニットを使う場合、低音振動と低音放射の双方を独立して設計することが極めて難しくなり、選択範囲は大きく制限される。
本案はこの問題を解決する。
図1(d)はスピーカユニットが静止している状態を示す。
改善点は 図1(c)の 111 の空間を 112 と 113 からなる空間と気密の弾性膜で仕切るところにある。図1(c)の 111 に相当する空間は 図1(f)では 211 であって、請求項に記述の第2空間である。
空間 212 と 213 はフレームの空気穴と繋がっていることから、低音域では同一空間であるところの、請求項に記述の第1空間である。
図1(d)は2種類のセパレータを示す。
左側は、弾性膜 10EL と 外枠 10EL1 と 内枠 10EL2 からなるセパレータの例である。この場合、弾性膜の幅は WL であって、この部分がスピーカユニットの動きにより変形し、その変形の状態は外枠と内枠の形状寸法に依存する。
右側は、弾性膜 10ER と 外枠 10ER1 と 内枠 10ER2 と
中枠 10ER3 からなるセパレータの例である。この場合、弾性膜の幅は
WR1 と WR2 であって、これらの部分がスピーカユニットの動きにより変形し、変形の状態は外枠と中枠と内枠の形状寸法に依存する。
双方とも例であって、外枠、内枠、中枠 の 第1空間の容積変化に対応する役割は
変形可能な弾性膜の寸法と形状を決定し、第1空間の容積変化の傾向を調節する。
中枠 10ER3 は弾性膜部分の圧力の影響を受けて、セパレータの動きとは逆方向のたわみを抑制する役割を持つ。
スピーカユニットは サポータとセパレータの双方によって支えられ、強い低音振動に対しても振動軸方向に安定して振動する。
図1(e)は本案のセパレータの2種類の例を示す。左半分は、変形する膜部分が一つの場合、右半分は変形する膜部分が二つの場合を示す。それぞれ、図1(d)の左側と右側のセパレータに対応する。
201、202、203 はそれぞれスピーカユニットの動きに伴う、外ヨーク、セパレータの外ヨーク側、フレームのエッジ部の動きを示す。201、202、203 は同じ動きである。
204 はコーンの動きを示す。213 は、スピーカユニットの動きに伴う第2空間の圧力変化によって生じるところのコーンが受ける力である。
この力は、図1(c)113 と反対方向にコーンの動きを助長する方向にも、逆にコーンの動きを抑制する方向にも連続して設計することができる。
セパレータのたわみも含めて、第1空間の圧力変動がスピーカユニットの動きに対して無関係となるよう、設計することができる。
その結果、低音域における、スピーカユニットの機械的振動の共振条件 と 純粋なスピーカとしてのスピーカユニットからの音響的な共振条件の双方の設計の独立性が高まる。
6F はスピーカユニットの動きに伴う、エッジを示す。
7F はスピーカユニットの動きに伴う、サポータの変形を示す。
外枠の内径寸法の如何は、スピーカユニットの動きによる第2空間の圧力変化に影響を及ばさないが、内枠の外径は第2空間の圧力変化に影響を及ぼす。
WVvw で囲まれる空間はスピーカユニットが静止状態の第2空間の容積を示す。
矢印方向にスピーカユニットが動いた場合、第2空間は WVvwtT で囲まれるモデルに対応する空間となり容積は増え、セパレータが気密であることから圧力は減少する。
QWwq で囲まれる空間はスピーカユニットが静止状態の第2空間のモデルを示す。
矢印方向にスピーカユニットが動いた場合、第1空間の容積は QWTtwquU で囲まれるモデルの空間に対応する。SRrs 、 UTtu のそれぞれで囲まれるモデルの空間に対応する容積は、それぞれスピーカユニットが占める空間に対応する。この部分の容積はスピーカユニットの動きに対して変化させないよう設計するので、この部分の容積は同じであると見なせば、スピーカユニットの動きに対する第1空間の容積の変化は、四角形QWRS と 四角形QWTU に対応する容積の差に相当する。
図2の場合では 辺WR が 辺QS よりも大きいことから、スピーカユニットの矢印方向の動きに対し第2空間は加圧の傾向となる。
たとえば、辺WR を 辺PR に変えたとすると、
その長さは 辺QS により近くなることから、セパレータにたわみの発生が無い場合は 第1空間の容積変化は 辺WR の場合に比べより小さくなる。
辺QS と 辺WR または 辺QS と 辺PR が等しいとき、スピーカユニットが動いても第1空間の圧力変化は発生しない。
辺WR、他方は 辺PR であるが、スピーカユニットの部分の空間はスピーカユニットの動きに対し、変化しない条件により、点P がどの位置にあっても、第1空間の容積の変化は 辺QS と 辺PR の関係で決定することから、点P の位置が 点W にあるものとして第1空間の空間モデルの面積について説明する。
スピーカユニットが静止状態の時の第1空間のスピーカユニットの空間を除いた空間のモデルに対応する面積は、
(長QP*長PR)−(長PR−長QS)*(長QP/2)
スピーカユニットの動きが H である場合の第1空間のスピーカユニットの空間を除いた空間のモデルに対応する面積は、
(長QP*長PR)−(長PR−長QS)*(長QP/2)+(長QS−長PR)*(H/2)
であることから、
静止状態からの変化は (長QS−長PR)*(H/2) となる。
従って、 点P を移動させることによりスピーカユニットの動きに依存する第1空間の容積変化は 減少から増加の間で連続的に調節することができる。
一例として、何らかの理由で、スピーカユニットが前に押し出されたとき、コーンの動きをさらに前に押し出すことも可能となる。
実働のスピーカの設計において、低音再生性能の改善に際し、第1空間の容積変化を都合のよい状態に決定することが可能となる。結果、低音再生の改善が難しいところの小形の振動型スピーカの設計において、第1図(d)と(e)に示す基本構造は、低音再生設計の選択範囲を広げる有効な方法となる。
Disp は横軸で スピーカユニットの動き、Press は縦軸で 圧力変化である。
111、112、113 は図1(c)の場合で、従来例を示す。
211 は図1(f)の本案の実施例の場合の 第1空間の圧力変化を示す。スピーカユニットが黒矢印の方向に動いた場合、減圧となる。
212、213 は第2空間の圧力変化を示す。図1(d)(e)の説明図では、辺WR は
辺QS よりも長いことから、スピーカユニットが黒矢印の方向に動いた場合、加圧となる。この加圧の傾向は、減圧にも、また、圧力が変化しないようにも、辺QS と
辺WR の関係で、選択が可能である。
請求項1に記述の第2空間は、小型スピーカの場合、その容積は製品としてのスピーカに許容される寸法形状によって制限を受ける。第2空間の容積が小さくなると、容積が大きい場合に比べ共振周波数は高くなる傾向にある。第2空間にチューニングポートを設けることで、第2空間の容積を大きくすることなく、チューニングポートの寸法形状の条件により機械振動の共振周波数を変えることができ、結果、設計の自由度が増す。
請求項1に記述のように、スピーカユニットの機械振動に対して、第1空間の容積が変化しないよう、セパレータの形状寸法を設計できることから、第2空間にチューニングポートを設けることによる、第1空間側の音響特性への影響はない。
2 フレームの空気穴
3 コーン
4 フレームのエッジ部
5 外ヨーク
6A スピーカユニットが静止状態のエッジ
6C 変形状態にあるエッジ
6D スピーカユニットが静止状態のエッジ
6F 変形状態にあるエッジ
7A 従来型の一例のスピーカユニットが静止状態のサポータ
7C 従来型の一例の変形後のサポータ
7D 本案の一例のスピーカユニットが静止状態のサポータ
7D1 本案の一例の(e)の左側のサポータの外枠
7D2 本案の一例の(e)の左側のサポータの外枠
7D3 本案の一例の(e)の左側のサポータの内枠
7F 変形状態にあるサポータ
8 エンクロージャ
9 エンクロージャの背面蓋
10A 従来型の一例のスピーカユニットが静止状態の補助サポータ
10EL1 セパレータLの外枠
10EL2 セパレータLの内枠
10ER 本案の一例のスピーカユニットが静止状態のセパレータR
10ER1 セパレータRの外枠
10FR2 セパレータRの内枠
10ER3 セパレータRの中枠
10FL 変形状態にあるセパレータL
10FR 変形状態にあるセパレータR
WL セパレータLの弾性膜部分
WR1 セパレータRの外側の弾性膜部分
WR2 セパレータRの内側の弾性膜部分
11 補助サポータの空気流通穴
101 スピーカユニットの動き
102 補助サポータの外ヨークと接する部分の動き
103 スピーカフレームの動き
104 スピーカユニットが動いた場合のコーンの動き
111 スピーカユニット背面の空気圧
112 スピーカユニット側面の空気圧
113 スピーカユニット内部の空気圧
122 フレームの空気穴を通過する空気の流れ
131 スピーカユニットの動きによる空気圧変化によりコーンに加わる力
201 スピーカユニットの動き
202 セパレータの外ヨークと接する部分の動き
203 スピーカフレームの動き
204 コーンの動き
211 スピーカユニット背面の空気圧
212 スピーカユニット側面の空気圧
213 スピーカユニット内部の空気圧
222 フレームの空気穴を通過する空気の流れ
231 スピーカユニットの動きによる空気圧変化によりコーンに加わる力
台形TWVvwt スピーカユニットが黒矢印H方向に移動した場合の第2空間のモデル
台形SRrs、台形UTtu スピーカユニットが占める空間のモデル
四角形QWRS、四角形qwrs スピーカユニットが静止状態のスピーカユニットの
空間を除く第1空間のモデル
四角形UQWT、四角形uqwt スピーカユニットが黒矢印H方向に移動した場合の
スピーカユニットの空間を除く第1空間のモデル
点P、点p それぞれ、点W、点w を変化させた場合の位置
Disp グラフの横軸で、スピーカユニットの動き
Press グラフの縦軸で、第1空間と第2空間の圧力
Claims (5)
- 電気信号を音響信号に変換するユニットをスピーカユニットとし、
スピーカユニットとエンクロージャを一体化させたものをスピーカとし、
スピーカユニットのボイスコイルの振動方向を振動軸とし、
密閉とは低音再生に必要充分な気密とし、
スピーカユニットのコーン側を前面、外ヨーク側を背面とし、
スピーカユニットのダンパーとエッジによるコーンの振動軸方向の弾性を柔らかくすることで低音の再生範囲を広げることを低スティフネス化とし、
スピーカユニットの振動軸方向にスピーカユニット自体が振動すべくスピーカユニットのフレームとエンクロージャを連結する部品をサポータとし、
サポータは、弾力性と気密性をもつものとし、
スピーカユニットとサポータとエンクロージャからなるスピーカユニットが振動方向に可動範囲を持つスピーカを振動型スピーカとし、
振動型スピーカのスピーカユニット自体の低音域の大きな振動によるところのエンクロージャ内部の空気圧の振動が、低スティフネス化によって柔らかいコーンを大きく揺さぶる現象に伴って、スピーカユニットの動きとは逆方向にコーンを動かす作用を低域振動相殺作用とし、
スピーカユニットの背面にある外ヨークの外周とエンクロージャの内周に取りつけるところの振動方向に弾性を持つ弾性膜部品をセパレータとし、
セパレータはエンクロージャ内部を、
スピーカユニットの前面と外ヨークとエンクロージャとサポータとセパレータからなる第1空間と、
スピーカユニットの背面にある外ヨークとエンクロージャとセパレータからなる第2空間と、の二つの気密空間に分割するものとし、
スピーカユニットがエンクロージャに対し振動軸方向に動いた場合、セパレータが変形することによる第1空間の容積の変化が小さくなることにより、低域振動相殺作用が軽減されるよう、セパレータが機能することを利用するものとし、
低域振動相殺作用がセパレータによって軽減される作用を低域振動相殺軽減作用とし、
セパレータが気密でなく、第1空間と第2空間の空気が容易に流れる場合に比べ、低域振動相殺軽減作用によるところの、エンクロージャを規準としたスピーカユニットの振動がスピーカユニットを規準としたコーンの振動への影響を軽減する方向に改善するところの、エンクロージャ内周とスピーカユニットの外ヨーク外周の間に気密の弾性膜部品を有する振動型スピーカ。 - 請求項1に記述のセパレータが、
弾性膜の エンクロージャの内周に装着する部分 にプラスティックと金属と硬質ゴムのいずれかの材質からなる外枠を有し、弾性膜の スピーカユニットの外ヨークの外周に装着する部分 にプラスティックと金属と硬質ゴムのいずれかの材質からなる内枠を有するところの、エンクロージャ内部を二つの気密空間に分割する機能の弾性膜部品を有する振動型スピーカ。 - 請求項1に記述のセパレータが、
弾性膜の エンクロージャの内周へ装着する部分 にプラスティックと金属と硬質ゴムのいずれかの材質からなる外枠を有し、弾性膜の スピーカユニットの外ヨークの外周へ装着する部分 にプラスティックと金属と硬質ゴムのいずれかの材質からなる内枠を有し、外枠と内枠の中間の弾性膜上にプラスティックと金属と硬質ゴムのいずれかの材質からなる中枠を有するところの、エンクロージャ内部を二つの気密空間に分割する機能の弾性膜部品を有する振動型スピーカ。 - 請求項1に記述の、エンクロージャ内部を二つの気密空間に分割するセパレータを有し、
セパレータによるところの低域振動相殺軽減作用が機能するスピーカに関し、
請求項1に記述の第1空間にチューニングポートを設けることにより、機械的振動の共振特性との独立性に影響を与えることなく、スピーカユニットに対するコーンの振動による音響の低域再生特性を改善するところの、
エンクロージャ内周とスピーカユニットの外ヨーク外周の間に気密の弾性膜部品を有し、
かつ,請求項1に記述の第1空間にチューニングポートを有する振動型スピーカ。 - 請求項1に記述の、エンクロージャ内部を二つの気密空間に分割するセパレータを有し、
セパレータによるところの低域振動相殺軽減作用が機能するスピーカに関し、
請求項1に記述の第2空間にチューニングポートを設けることにより、第1空間側の音響的振動の共振特性との独立性に影響を与えることなく、スピーカユニットの機械振動による音響の低域再生特性を改善するところの、
エンクロージャ内周とスピーカユニットの外ヨーク外周の間に気密の弾性膜部品を有し、
かつ,請求項1に記述の第2空間にチューニングポートを有する振動型スピーカ。
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