JP6383869B2 - 試料から目標分子を抽出するためのプローブ - Google Patents

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    • H01J49/142Ion sources; Ion guns using particle bombardment, e.g. ionisation chambers using a solid target which is not previously vapourised

Description

本開示は、試料中に存在する目標分子の質量分析を行うための方法および装置に関する。
質量分析法は、液体クロマトグラフィおよびガスクロマトグラフィと併用されると、間違いなく、世界中最も重要且つ常用の分子の検出、同定および定量を行うための分析ツールになる。しかしながら、質量分析法で複雑な試料(例えば、食品基質、全血、血漿、唾液、または尿)を分析するために、一般的には、膨大、高価且つ複雑な試料調製/分離工程が必要とされる。過去10年間に、アンビエントイオン化法は、質量分析法による試料の分析方法を変えてきた。リアルタイム直接分析(direct analysis in real-time、DART)、脱離エレクトロスプレーイオン化(desorption electrospray ionization、DESI)、およびペーパースプレー(paper spray、PS)などのいくつかの技術は、スクリーニング、合格/不合格解析、フィンガープリント、および天然試料イメージングアプリケーションといった重要なツールを科学界に提供している。事実上、大部分のアンビエント質量分析(ambient mass spectrometry、AMS)手法は、試料の調製を求めていない。したがって、標準的な試料調製/分離法で訓練された科学者達は、AMS技術で正確且つ迅速に定量分析する技術に関する多数の調査を行っている。例えば、すべての試料調製工程を省くと、これらの方法は、通常、複雑な基質中の微量分析(例えば、低いpg/mL)には不適切である。また、すべての分析は、必ずしも非常に短い時間(すなわち、1分以内)に実行できるとは言えない。一般的に、試料を前処理しない場合、分析者は、分析時間(例えば、紙基材上に塗布された試料を乾燥させるのに必要とされる時間)およびリニアダイナミックレンジ(すなわち、イオン抑制による感度の低下)の両方に譲歩しなければならない。よって、現場でより良好に分析物を定量化するために、改良が必要である。したがって、試料をまったく前処理しないのではなく、試料を最小限に調製することによって、検出限界をより低くすることができ、より効率的な分析を行うことができる。試料の採取、試料の調製、分析物の濃縮およびイオン化のすべてを単一の装置で行うことができる無公害な化学技術は、科学界にとって必要である。
したがって、これらの最新技術は、複雑な試料のリアルタイムおよびオンサイト分析に魅力的な解決策を与えている。この技術の中で、脱離エレクトロスプレーイオン化(DESI)およびリアルタイム直接分析(DART)は、最も確立された技術である。実質的に、これらの技術は、試料の表面を本質的に気体またはエアゾールであるイオン化媒体に露出させることによって、これらの試料から分析物を「拭き取る」。これらの技術は、環境応用、法医学応用、臨床および食品応用に革新をもたらしたが、その実行には通常、精密且つ高価な装置(例えば、空気圧アシスト、溶媒またはガスの連続流、試料の位置決めを制御する電子装置)を必要とする。
開示された抽出装置が、上述の欠点および需要の少なくとも1つに対処する。この抽出装置は、基質から目標分子を吸着する抽出相で被覆された基材を含む。抽出相は、基質から目標分子を吸着するポリマ、または基質から目標分子を吸着するような寸法に設計された細孔を有するポリマおよび固相マイクロ抽出(SPME)粒子を含むことができる。固相マイクロ抽出(SPME)は、ポリマまたは固体粒子のいずれかを用いて行うことができる。
好ましくは、基材は、メッシュ基材を通って流体が流れることを可能にするのに十分な開口構造を有するメッシュ基材である。例示の装置は、被覆メッシュ基材に安定性を与えるために、メッシュ基材に接続された固体基材を含む。
抽出装置は、透過型(TM)基材として、質量分析計の熱型または溶媒型脱離源に連結することができる。熱型または溶媒型脱離源は、電子励起状態の加熱ガスを使用して、SPME装置の表面上に吸着された分子を脱離させることができる。
本開示に係る抽出装置と共に使用することができる1つの熱型脱離源は、リアルタイム直接分析(DART)である。DARTは、例えば窒素、ネオンまたはヘリウムなどの気体に電位を印加し、グロー放電を生成することによって、(準安定種と呼ばれる)イオン化気体、電子および励起状態の原子または分子を含むプラズマを生成する。電位を印加することによって、荷電粒子が除去され、準安定種が残される。準安定種は、加熱され、抽出装置の表面に吸着された分子を脱離させるために使用される。
本開示に係るSPME装置と共に使用することができる別の熱型または溶媒型脱離源は、例えば、プラズマアシスト脱離/イオン化(PADI)、誘電バリア放電イオン化(DBDIまたはDCBI)、脱離大気圧化学イオン化(DAPCI)、脱離ソニックスプレーイオン化(DeSSI)、脱離大気圧光イオン化(DAPPI)、流動大気圧アフターグロー(FAPA)、脱離エレクトロスプレーイオン化(DESI)、大気圧レーザ脱離イオン化、コロナ放電、誘導結合プラズマ(ICP)、またはグロー放電を用いて、分子をイオン化する装置を含む。
また、本開示は、一般的に、試料中に存在する目標分析物を抽出または濃縮し、続いて質量分析のためにイオンを生成するシステムおよび方法に関する。本開示は、試料の量または複雑さに依存せず、基質から目標化学物質を収集および濃縮し、質量分析計に移送することができるシステムを提供する。抽出相がポリマおよび固相マイクロ抽出(SPME)粒子を含む場合、本明細書に開示されたシステムは、固相マイクロ抽出−透過型(SPME−TM)システムとして呼ばれてもよい。このシステムは、変更されることなく、熱または溶媒に基づく脱離技術を用いてSPME装置の表面上に吸着された分子を脱離させるための透過型基材として、使用されることができる。熱または溶媒に基づく脱離技術は、例えば、プラズマ源または非プラズマ源を使用して、分子を脱離させることができる。
「目標分析物」および「目標化合物」という表現は、同義であると理解すべきである。いくつかの例において、目標化合物は、「目標化学物質」または「目標分子」であってもよい。目標分子は、小分子であってもよい。小分子は、疎水性または親水性であってもよく、好ましくは10000原子量単位未満の分子量を有する。分子は、例えば、薬物であってもよく、バイオマーカであってもよい。バイオマーカは、異常な量で存在する場合、疾患の存在を示す生理学物質である。
特定の態様において、本開示は、固相被覆基材を用いて、イオンを生成するためのシステムおよび方法を提供する。このシステムまたは方法は、目標分析物の少なくとも一部を抽出すると共に、例えば洗浄工程においてタンパク質、炭水化物、塩および界面活性剤などの基質成分を除去することによって、実質的に質量分析計の汚染および/または損傷を防止する。
特定の態様において、本明細書に開示された装置および方法は、メッシュ基材を備える。このメッシュ基材の撚り糸は、ポリマ、好ましくは生体適合性ポリマ、および基質から目標分子を吸着するような寸法に設計された細孔を有する固相マイクロ抽出(SPME)粒子を含む抽出膜で被覆される。SPME粒子は、ポリマによって被覆されているが、基質中に存在する目標分析物の少なくとも一部を吸着することができる。ポリマは、SPME粒子を懸濁させるもの、またはSPME粒子をメッシュ基材に付着させるもの、またはその両方として見なすことができる。
本開示によれば、メッシュ基材は、基材を通って流体が流れることを可能にする基材である。メッシュ基材は、例えばグリッド状に配置されており、複数の接続されたまたは含浸されたワイヤ、フィラメントまたはストリングを含むことができる。メッシュ基材が複数の接続されたまたは含浸されたワイヤ、フィラメントまたはストリングを含む場合、ワイヤ、フィラメントまたはストリングは、ミクロメートルからミリメートル範囲の直径を有することができる。好ましくは、ワイヤ、フィラメントまたはストリングの直径は、50μm〜0.5mmである。より好ましくは、その直径は、約94μmである。1平方インチ当たりのワイヤ、フィラメントまたはストリングの数は、20×20〜80×80本である。好ましい実施例において、1平方インチ当たりのワイヤ、フィラメントまたはストリングの数は、74×74本である。メッシュ基材は、約20%〜約70%の開口面積有する。より大きな開口面積率を有するメッシュ基材は、メッシュを通って流れる流体に殆ど干渉せず、よって、メッシュの脱離結果に変化が少ないため、好ましい。好ましいメッシュ基材は、約50%〜約60%の開口面積を有する。
メッシュ基材、例えば、ワイヤ、フィラメントまたはストリングから構成されるメッシュ基材は、金属、合金またはポリマ基材を含むことができる。熱を伝導するメッシュ基材は、伝導熱により吸着された分析物の脱離が増加するため、好ましい。好ましい例において、メッシュ基材は、ステンレス鋼、ニチノール、ニッケル、チタン、アルミニウム、黄銅、鉄、ブロンズ、またはポリブチレンテレフタレートである。メッシュ基材は、3D印刷に使用できる材料から形成することもできる。メッシュ基材は、3D印刷される場合、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリカーボネート−ISO(PC−ISO)、ポリカーボネート(PC)、ポリカーボネート−アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(PC−ABS)、ポリエーテルイミド(例えば、ULTEM(商標))、またはポリフェニルスルホン(PPSF)などの3D印刷に適した材料を用いて、印刷される。組織内の挿入または高速撹拌を含む方法に被覆メッシュ基材を使用する場合、形状記憶特性を有する金属(例えば、ニチノール)を使用することは、特に有益である。このような方法に形状記憶特性を有する金属を使用することによって、基材は、例えば平坦な形状を維持することができる。他の例において、ポリマ基材は、スチレン、プロピレン、カーボネート、エチレン、アクリロニトリル、ブタジエン、塩化ビニル、フッ化ビニル、エチレンテレフタレート、テレフタレート、ジメチルテレフタレート、ビス−β−テレフタレート、ナフタレンジカルボン酸、4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸、モノエチレングリコール(1,2−エタンジオール)、シクロヘキシレン−ジメタノール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ポリエステル、シクロヘキサンジメタノール、テレフタル酸、イソフタル酸、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、ジメチルアミン、ヘキサメチルアミンジアミン(ヘキサン−1,6−ジアミン)、ペンタメチレンジアミン、メチルエタノールアミン、トリメチルアミン、アジリジン、ピペリジン、N−メチルピペリジン、無水ホルムアルデヒド、フェノール、ビスフェノールA、シクロヘキサノン、トリオキサン、ジオキソラン、エチレンオキシド、塩化アジポイル、アジピン、アジピン酸(ヘキサン二酸)、セバシン酸、グリコール酸、ラクチド、カプロラクトン、アミノカプロン酸からなる群から選択される1種以上の試薬から合成される材料、およびこれらの試薬を重合して合成される2種以上の材料の混合物からなる群から選択される材料を含むことができる。
基質から目標分子を吸着するような寸法に設計された細孔を有する固相マイクロ抽出(SPME)粒子は、例えば、C−18/シリカ、RP−アミド/シリカ、またはHS−F5/シリカであってもよい。当業者であれば理解するように、C−18/シリカ粒子が、疎水性相またはオクタデシルを含む疎水性結合相を用いて誘導体化されたシリカ粒子を含む。RP−アミド/シリカ粒子の場合、結合相は、パルミトアミド−プロピルを含む。HS−F5−シリカ粒子の場合、結合相は、ペンタフルオロフェニル−プロピルを含む。当業者であれば理解するように、抽出される化合物の性質に応じて、他の粒子、特に固相抽出または親和性クロマトグラフィ(例えば、液体クロマトグラフィ)で現在使用されている任意の抽出粒子と共に、適切な被膜を形成することができる。これは、親和性クロマトグラフィが、粒子の違いによって、さまざまな化合物を分離していることと同様である。例えば、他の粒子は、正相シリカ、C1/シリカ、C4/シリカ、C6/シリカ、C8/シリカ、C30/シリカ、フェニル/シリカ、シアノ/シリカ、ジオール/シリカ、イオン液体/シリカ、分子認識ポリマ粒子、親水性−親油性−バランス(HLB)粒子、カルボキシン1006、またはジビニルベンゼンなどの粒子を含むことができる。当業者であれば理解するように、フェニル/シリカ粒子は、化学的に結合したフェニル基を有するシリカ粒子を含む。粒子の混合物も、被膜に使用されることができる。粒子は、無機(例えば、シリカ)、有機(例えば、カルボキシまたはジビニルベンゼン)、または無機/有機ハイブリッド(例えば、シリカおよび有機ポリマ)であってもよい。
粒子は、約0.2〜約100μmの粒径を有してもよい。好ましくは、粒子は、約0.2〜約60μmの粒径を有する。より好ましくは、粒子は、約0.2〜約30μmの粒径を有する。さらに好ましくは、粒子は、約0.2〜約5μmの粒径を有してもよい。粒子は、球状であってもよい。細孔の孔径は、約10〜約200Åであってもよい。好ましくは、細孔の孔径は、約100〜約180Åであってもよい。表面積は、約200m2/g〜約800m2/gであってもよい。好ましくは、表面積は、約200m2/g〜約300m2/gであってもよい。
生体適合性ポリマは、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエチレングリコール、ポリピロール、セルロース誘導体、ポリスルホン、またはポリアミドを含むことができる。さらに、当業者であれば理解するように、接着剤または支持体として、他の生体適合性ポリマを使用することができる。
特定の例において、被膜は、さまざまな抽出粒子(例えば、C−18/シリカ、HLB、RP−アミド/シリカ、またはHS−F5/シリカ)をポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエチレングリコール、ポリピロール、セルロース誘導体、ポリスルホン、またはポリアミドの溶液に懸濁させることによって得られた懸濁液を用いて、メッシュを被覆することによって作製される。
好ましくは、本開示に係る被覆メッシュ基材は、メッシュ基材に亘って均質な被膜を形成する方法を用いて製造される。本開示に係る被覆メッシュ基材は、バッチ被覆工程によって製造されてもよい。バッチ被覆工程において、生体適合性被覆剤は、好ましくは、PANまたはポリエチレングリコール(PEG)である。例示的な工程において、抽出粒子は、C−18、RP−アミド、HS−F5シリカ粒子、または上記に列挙された任意の他の粒子であってもよい。粒子の混合物を使用することができる。生体適合性被覆剤としてPANを使用し、粒子としてシリカ粒子を使用する場合、PAN/シリカの比は、0.05〜0.25(w/w)であってもよい。好ましくは、PAN/シリカの比は、0.10〜0.18(w/w)である。この比は、シリカの正味重量を基準とし、シリカ粒子に付加された相に応じて調整される。生体適合性被覆剤は、溶媒に溶解されてもよい。PAN/溶媒溶液中のPANは、0.5%〜2%(w/w)であってもよい。好ましくは、PAN/溶媒溶液中のPANは、約0.8%〜約1.2%(w/w)である。より好ましくは、PAN/溶媒溶液のPAN/溶媒の濃度は、約1%(w/w)である。溶媒は、当業者に公知のPANを溶解する任意の溶媒、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド、NaSCN、Ca(CNS)2、エチレンカーボネート、またはそれらの混合物であってもよい。より好ましくは、溶媒は、DMFである。被覆剤を適用する前に、メッシュ基材の表面をエッチングしてもよい。エッチングされた表面上に被覆剤を適用する場合、被覆粒子が表面により付着することができる。金属メッシュ基材などのメッシュ基材の場合、硝酸、フッ化水素酸、硫酸または塩酸を用いて、エッチングすることができる。好ましくは、塩酸を用いて、メッシュ基材をエッチングする。エッチング工程に使用された塩酸は、約18%〜約37%(v/v)であってもよい。好ましくは、37%(v/v)の塩酸を用いて、エッチング工程を行う。メッシュ基材のエッチング時間は、約2分〜約8分にしてもよい。好ましくは、エッチング時間は、約5分である。
固体基材は、一層の被膜または二層以上の被膜で被覆されてもよい。好ましくは、被膜を適用した後、メッシュの開口に蓄積されている余分な被覆溶液の大半を除去するために、被覆基材に不活性気体の気流を流す。余分な被覆溶液を除去するために、高純度の気体、例えば窒素、アルゴンまたはヘリウムなどを使用することができる。好ましくは、高純度の窒素を用いて、余分な被覆溶液を除去する。余分な被覆溶液を除去するために使用される気体の流速は、約0.5L/分〜約3L/分であってもよい。好ましくは、気体の流速は、約0.5L/分〜約1.5L/分である。メッシュ開口から余分な被覆溶液を除去することにより、メッシュ基材全体の被膜の均一性が改善され、脱離およびイオン化工程中のイオン透過の信頼性が向上される。
メッシュ基材から余分な被覆溶液を除去した後、被覆メッシュ基材が高温のヒータを通過することによって、少なくとも一部の溶媒を除去することができる。高温は、約120℃〜約300℃であってもよい。好ましくは、高温は、約120℃〜約150℃である。当業者であれば容易に理解するように、PANは、溶媒に溶解されると、完全に重合するため、完全にまたは少なくとも実質的に完全に溶媒を蒸発することによって、メッシュ基体を適切に被覆することができる。したがって、当業者に知られている任意の溶媒を除去する手段を用いて、被覆基材を乾燥することができる。
本明細書に記載の装置および方法は、SPME装置である場合、流体などの試料中に存在する分析物の分離および濃縮を同時に実行する。さらに、目標分析物に合わせて被膜を調整することができるため、イオン抑制または増強をもたらす望ましくない人工物質を減少することができる。
被覆メッシュ基材は、DART用の透過型基材として使用される場合、DARTノズルとMS注入口との間に配置される。この位置では、被覆メッシュ基材上に吸着された分析物の大部分は、メッシュ基材を通って流れる準安定気体流によって脱離およびイオン化される。イオン化された分析物は、質量分析計に移送される。好ましくは、被覆メッシュ基材とDARTノズルとMS注入口とがすべて0°の角度で互いに同軸になるように、被覆メッシュ基材を設置する。準安定気体流は、メッシュを貫流することによって、被覆粒子の表面上に吸着された化合物の大部分を脱離およびイオン化する。イオン化された分析物は、大気圧界面(API)に輸送され、タンデム質量分析法によって分析される。特定の例において、DARTを用いて分析物を脱離する場合、1つの実験から次の実験の持ち越し汚染は、5%未満にすることができる。
いくつかの態様において、本明細書に開示された装置および方法は、試料の採取、試料の調製および分析物の分離または濃縮をリアルタイム直接分析(DART)に必要な分析物の正確な位置決めと共に行う。被覆メッシュ基材上に吸着された分析物の脱離は、DARTノズルを用いて、被覆メッシュ基材の表面を走査することによって行うことができる。被覆メッシュ基材の表面を走査することによって、質量分析計は、被覆メッシュ基材の表面全体に亘って分析物の分布変化を測定することができる。このことは、ソースノズルのサイズがメッシュ基材のサイズよりも著しく小さい場合、例えばソースノズルの直径がミクロメートルである場合に、可能である。
本明細書に開示された装置および方法は、質量分析に必要な試料の浄化を犠牲にすることなく、複雑な基質、例えば生物流体または食品基質中の化学物質を迅速に分析することができる。本開示の装置および方法は、水性塩溶液、食品基質、血漿および尿を迅速に分析することができる。
本明細書に開示された装置および方法は、装置を試料に浸漬することによって、または液体試料を被覆メッシュ基材上にスポットすることによって、目標分析物の分離または濃縮を行うことができる。生物流体(例えば、血液または溶解した細胞)を含む液滴を例えば被覆固体メッシュ基材上にスポットすることができる。メッシュ基材の被膜と試料との間の相互作用によって、目標分析物は、試料から被覆メッシュに移される。試料が流体である場合、メッシュ開口を通って試料が流れることによって、試料とメッシュ基材を被覆しているSPME粒子およびポリマとの間の相互作用を高めることができる。被覆メッシュと試料との間の相互作用時間は、数秒から数時間であってもよい。本開示に係る被覆メッシュ基材は、高速で試料を撹拌(例えば、渦動撹拌)することによって、試料から目標分析物の抽出および濃縮を行うことができる。撹拌速度の増加は、抽出および濃縮の速度を増加させることができる。抽出または濃縮は、小型容器に封入された試料に対して行うことができる。容器の容積は、例えば、数マイクロリットルから数リットルであってもよい。被膜の表面に付着し得る人工物質(例えば、繊維、タンパク質、細胞、粒子状物質、洗剤、塩)を除去するために、既に抽出または濃縮された分析物を脱離させないように装置を1回以上洗浄することができる。被膜から分析物を脱離させない溶媒を用いて、被覆メッシュ基材を洗浄することができる。特定の例において、溶媒は、液体クロマトグラフィ/質量分析(LC/MS)等級水のような水であってもよい。人工物質を実質的に除去するのに十分な回数で、被覆メッシュ基材を洗浄することができる。分析物を脱離させない溶媒を使用すれば、被覆基材を複数回洗浄しても、抽出された分析物は、被膜から実質的に損失することがない。
抽出および/またはイオン化の間、質量分析装置間の変動および/または試料間の変動を考慮するために、内部標準物は、被覆層に添加されてもよく、または抽出または濃縮工程の前に試料に添加されてもよい。目標分析物を抽出する前に、予め内部標準物を被覆層に添加することができる。代替的には、分析物を抽出する前に、内部標準物を被覆層および試料の両方に添加してもよい。
本開示の装置および方法を用いて、試料から目標分析物の抽出または濃縮を行うことができる。試料は、生物流体または生物組織であってもよい。生物流体は、全血、血漿、血清、脳脊髄液、腹水、唾液または尿であってもよい。流体または組織が異なっても、これらからの分析物の抽出または濃縮は、試料の特性(容積、複雑さおよび粘度)に依存しない。
本開示に係る好ましい装置は、上述したような被覆メッシュ基材と、被覆メッシュ基材用の固体支持体とを含む。固体支持体は、抽出および濃縮中、被覆メッシュ基材が分析物を脱離するときまたは被覆メッシュ基材を撹拌するときに、例えばメッシュを通るように熱い準安定気体または加熱気体を流すことによって被覆メッシュ基材が分析物を脱離するときに、被覆メッシュ基材に安定性を与える。固体支持体は、メッシュ基材が変形または損傷される可能性を低減することができる。いくつかの例において、以下により詳細に記載されるように、安定性は、メッシュブレード構造によって与えられる。
イオン化された分子を質量分析計に移送するために、固体支持体を保持し且つ被覆メッシュ基材をセラミックイオン移送管の前に位置付けるためのホルダを設けることができる。ホルダによって、実験の間に被覆メッシュ基材を迅速且つ容易に交換することができる。好ましくは、ホルダは、化学的に不活性な材料、例えばテフロン(登録商標)、ポリ(メチルメタクリレート)または3D印刷材料を用いて、作製される。ホルダは、各次元で高精度に位置を調整する特殊の2D変換ステージに設置されてもよい。ホルダを用いて、装置の異なる部分を移送管の前に配置することによって、被覆メッシュ基材の表面上の分析物の分布を容易に特徴付けることができる。例えば、メッシュ基材に沿った分析物の分布勾配の特徴付けを容易にするように、メッシュ基材の全体に亘って、被覆メッシュ基材上に吸着された分析物の脱離を行うことができる。1つのホルダに、それぞれの固体支持体に支持された被覆メッシュ基材を最大12個入れることができるため、試料の採取および/または試料の調製を迅速且つ並行に行うことができる。ホルダを使用することによって、SPME−TM装置を簡単且つ迅速に交換することができる。8個のホルダを配置すれば、1回のマルチウェルプレート形式の操作で、最大96個の試料を同時に自動分析することができる。
被膜の厚さは、可能な限り薄くすべきであるが、少なくとも1層の粒子層を含むのに十分な厚さにしなければならない。好ましい例において、被膜は、1層または2層の粒子層を含む。特に好ましい例において、被膜は、単層の粒子のみを含む。いくつかの例において、被膜は、約0.2μm〜約100μmである。いくつかの例において、被膜は、約1.9μm〜約20μmである。より薄い被膜およびより少ない粒子層を含む被膜は、分析物のより効率的な移動(より迅速な抽出または濃縮)をもたらすと共に、脱離流体を適用する場合により効果的な脱離/イオン化をもたらす。粒径1.9μmまたは5μmのオクタデシルシラン粒子またはHLB粒子を使用することができる。
洗浄工程の後に、被覆メッシュ基材を再使用することができる。被膜がオクタデシルシラン粒子から形成された場合、洗浄工程は、イソプロパノール、アセトニトリルおよびメタノールの混合物中に、プローブを激しく回転させるステップを含んでもよい。被膜の化学性質および目標の分析物に対する親和性に応じて、洗浄工程を変更することができる。試料と試料の間の試料濃度に非常に大きなばらつきがあった場合(例えば、低い場合に、pptレベル、高い場合に、ppbレベルまたはppmレベルまで)、偽陽性を減らすために、被覆メッシュ基材は、1回に限って使用される。
2つの主な工程、すなわち、被膜の作製工程および固体基材上への被覆メッシュの溶接工程を含む、SPME−TM装置を作製するための全体的な手順を示す図である。 エッチングおよびコンディショニング後の被覆されていないステンレス鋼メッシュ(74×74本/平方インチ)を示す写真である。 5回の被覆工程の後のC18−PANで被覆されたステンレス鋼メッシュを示す写真である。 5回の被覆工程の後のC18−PANで被覆されたステンレス鋼メッシュを示すSEM画像である。 5回の被覆工程の後のメッシュの表面に付着された粒子C18の粒径を示すSEM画像である。 5回の被覆工程の後のC18−PANで被覆された2本のフィラメント/ストリングを示すSEM画像である。 SPME−TM装置に使用されるメッシュブレード構造を作製するために使用される設計を示す概略図である。 リアルタイム直接分析(DART)を用いたSPME−TM抽出および脱離/イオン化の実験装置を示す図である。 DARTを用いて自動で安定した脱離/イオン化を行うSPME−TM用のホルダを示す概略図である。 12−SPME−TM DARTホルダを示す概略図である。図示のホルダを用いて、96ウェルのオートサンプラ上で同時抽出を行うことができ、自動で安定した脱離/イオン化を行うこともできる。このシステムは、IonSense社によって市販されている自動レールと互換性がある。最大12個のSPME−TM装置をホルダに簡単に取り付けるまたは取り外すことができ、Z軸およびY軸上の空間位置を精確に調整することができる。 ジアゼパムおよびコカインのそれぞれの抽出プロファイルを示すグラフである。抽出は、渦動撹拌機を用いて、最大速度(3200rpm)で行った。各抽出点で、3種類の異なるTFME装置(n=6)を用いて、50ppbの分析物を添加した1.5mLのPBSから抽出を行った。抽出物は、サーモLC/MSを用いて、SRMモードで分析した。 コカイン(10μg/mL〜50ng/mL)およびその[D3]同位体分子コカイン(12ng/mL)を添加したPBSの定量分析を示すグラフである。図中のバーは、異なるSPME−TM装置を用いて行った3回の重複分析の標準偏差を表す。 ジアゼパム(10μg/mL〜50ng/mL)およびその[D5]同位体分子ジアゼパム(12ng/mL)を添加したPBSの定量分析を示すグラフである。図中のバーは、異なるSPME−TM装置を用いて行った3回の重複分析の標準偏差を表す。 SPME−TMのメッシュ間再現性、すなわち、1回の脱離/イオン化サイクル後の持ち越し汚染に対して、20ppbのコカインを添加した溶液から1分間の抽出を行うことによって得られたイオンの時間経過を示すグラフである。 SPME−TMのメッシュ間再現性、すなわち、1回の洗浄工程後の持ち越し汚染に対して、20ppbのコカインを添加した溶液から1分間の抽出を行うことによって得られた抽出物のイオンの時間経過を示すグラフである。 コカイン(50μg/mL〜50ng/mL)およびその[D3]同位体分子コカイン(12ng/mL)を添加した血漿の定量分析を示すグラフである。 コカイン(50μg/mL〜50ng/mL)およびその[D3]同位体分子コカイン(12ng/mL)を添加した尿の定量分析を示すグラフである。 ジアゼパム(500μg/mL〜50ng/mL)およびその[D5]同位体分子ジアゼパム(12ng/mL)を添加した血漿の定量分析を示すグラフである。 ジアゼパム(50μg/mL〜50ng/mL)およびその[D5]同位体分子ジアゼパム(12ng/mL)を添加した尿の定量分析を示すグラフである。 標準校正不要のSPME−TMで行った、ジアゼパムを添加した尿の定量分析(500pg/mL〜50ng/mL)を示すグラフである。 標準校正不要のSPME−TMで行った、コカインを添加した尿の定量分析(500μg/mL〜50ng/mL)を示すグラフである。 標準校正不要のSPME−TMで行った、コカインを添加した血漿の定量分析(500μg/mL〜50ng/mL)を示すグラフである。 対照物ヘロインのイオンの時間経過を示す図である。 対照物プロプラノロールのイオンの時間経過を示す図である。 対照物スタノゾロールのイオンの時間経過を示す図である。図22A〜22Cにおいて、渦動撹拌機を用いて、最大速度(3200rpm)で1分間の抽出を行った。表2に記載の21種の物質20ng/mLを添加した1.5mLのPBSから同時抽出を行った。サーモTSQを用いて、MRMモードで分析を行った。
「備える(comprising)」という接続用語は、「含む(including)」または「含有する(containing)」と同義であり、包括的または開放的な意味で使用されており、列挙されていない追加の要素または方法ステップを除外しない。
「〜からなる(consist of)」という接続用語は、特許請求の範囲に特定されていない特徴、要素、ステップまたは成分を除外するが、組成物に通常付随する不純物など、発明に無関係な追加の成分またはステップを除外しない。
「〜から本質的になる(consist essentially of)」という接続用語は、特許請求の範囲を特定の材料、特徴またはステップ、および請求された発明の基本的且つ新規の特徴に実質的な影響を与えないものに限定する。
本明細書に開示された主題は、試料中に存在する目標分析物を抽出または濃縮した後、質量分析計の熱型または溶媒型脱離源に結合させるシステムおよび方法に関する。熱型または溶媒型脱離源は、電子励起状態の加熱ガスを使用して、SPME装置の表面上に吸着された分子を脱離させることができる。脱離源は、リアルタイム直接分析(DART)源であってもよい。
本明細書に開示されたシステムは、抽出相がポリマおよび固相マイクロ抽出(SPME)粒子を含む場合、固相マイクロ抽出−透過型(SPME−TM)システムとして呼ばれてもよい。このシステムは、変更されることなく、熱または溶媒に基づく脱離技術を用いてSPME装置の表面上に吸着された分子を脱離させるための透過型基材として、使用されることができる。SPME−TMは、試料の調製およびアンビエントイオン化を一体化することができる。
熱型または溶媒型脱離装置は、電子励起状態種を有する加熱気体を用いて、抽出装置に吸着された分析物を脱離させることができる。電子励起状態の加熱ガスは、例えば、例えば、プラズマアシスト脱離/イオン化(PADI)、誘電バリア放電イオン化(DBDIまたはDCBI)、脱離大気圧化学イオン化(DAPCI)、脱離ソニックスプレーイオン化(DeSSI)、脱離大気圧光イオン化(DAPPI)、流動大気圧アフターグロー(FAPA)、脱離エレクトロスプレーイオン化(DESI)、大気圧レーザ脱離イオン化、コロナ放電、誘導結合プラズマ(ICP)、またはグロー放電を用いて、生成することができる。
固相マイクロ抽出−透過型(SPME−TM)装置は、抽出被覆剤で被覆されたメッシュ基材を含む。この抽出被覆剤は、ポリマ、好ましくは生体適合性ポリマおよび基質から目標分子を吸着するような寸法に設計された細孔を有する固相マイクロ抽出(SPME)粒子を含む。ポリマは、SPME粒子を被覆するが、基質中に存在する目標分析物の少なくとも一部をSPME粒子に吸着させることができる。非生物学試料を分析する場合、非生体適合性ポリマを用いて粒子を結合させることができる。本開示に係る代替的な装置は、基質から目標分子を吸着するポリマを含む抽出被覆剤で被覆されたメッシュ基材を含む。
試料基質から目標化合物を抽出し、抽出された化合物を検出する1つの例示的な方法において、被膜表面と基質中に存在する分析物との間の相互作用を改善するために、抽出の少なくとも15分前に、被覆メッシュ基材上の被覆剤をメタノール:水溶液(50:50)に入れる。この例示的な方法では、メタノール:水溶液を用いたコンディショニング工程を挙げたが、理解すべきことは、このコンディショニング工程が、一部の被覆剤のみ、例えばC−18粒子を含む被覆剤によって良好な抽出をもたらすが、他の粒子、例えばHLB粒子を含む被覆剤によって抽出を改善しないことである。
次いで、コンディショニングされた被覆メッシュ基材を試料基質に挿入し、高速(例えば、3200rpmの渦動撹拌、t≦1分)で試料を撹拌することによって、分析物の抽出または濃縮を行う。続いて、被膜表面に付着し得る人工物質の少なくとも一部を除去するために、被覆メッシュ基材は、LC/MS等級水を含む容器内で洗浄される(t≦10秒)。その後、この例示的な方法において、被覆メッシュ基材は、メッシュホルダ上に配置される。このメッシュホルダは、SPME−TM装置の容易且つ迅速な交換を可能にし、DARTノズルの前方にSPME−TM装置を配置する自動リニアレールに設置される。上述のように、本開示に係る方法において、被覆メッシュ基材を異なるイオン化装置用のノズルの前に配置することができる。
熱脱離による効率的な中性粒子の発生と質量分析計への輸送とのバランスをとるために、メッシュ基材の特性(すなわち、メッシュ材料の種類、空きスペースの直径、連続的な穴の間隔、および撚糸のサイズ)、被膜の特性(すなわち、ポリマ相化学、粒径、孔率、熱伝導率、熱安定性、および目標分析物に対する親和性)、脱離装置の動作パラメータ、例えば気体温度および流速、放電電圧、グリッド電極電圧またはイオンノズルに対するメッシュの空間位置などを変更することによって、特定の化合物に対して、SPME−TMの感度を向上させることができる。
被覆メッシュ基材は、薬物濃度のインビトロ分析に使用することができ、河川などの汚染物質の現場分析に使用することもできる。生物流体のインビトロ分析用の被覆メッシュは、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエチレングリコール、ポリピロール、セルロース誘導体、ポリスルホン、またはポリアミドの溶液などの適切な生体適合性被覆剤で被覆された抽出粒子の任意の組み合わせを有することができる。被膜の非限定的な例は、PAN/C−18被膜、PAN/HLB被膜、PAN/RP−アミド被膜、ポリエチレングリコール/HS−F5被膜、セルロース誘導体/C−18被膜、ポリピロール/C−30被膜、ポリスルホン/フェニル被膜、およびポリアミド/シアノ被膜を含む。
被覆メッシュ基材は、バッチ被覆工程を用いて製造することができる。例示的なバッチ被覆工程において、生体適合性被覆剤溶液中に懸濁される抽出粒子の懸濁液を含む容器に、メッシュを浸漬することによって、被覆剤をメッシュ上に適用した。所望のメッシュ被覆領域をこの溶液に15秒間浸漬し、次いで約0.1〜約0.5mm/秒の速度でメッシュを取り出した。次いで、1.5L/分の窒素流を使用して、メッシュの開口に蓄積した余分な被膜スラリーを除去した。1層の被膜を被覆した後、被覆されたブレードは、高温ヒータを通過した。例示的なバッチ被覆工程において、所望の厚さが得られるまでに、上記のステップを5回繰り返した。抽出粒子の懸濁液からメッシュ基材を取り出す速度は、スラリーとメッシュ基材との間の相互作用に影響を与える可能性がある。約0.1〜約0.5mm/秒の取り出す速度は、スラリーとメッシュ基材との間の望ましい相互作用をもたらす。
バッチ被覆法において、所望の被膜厚さが得られるまで、懸濁液を用いてメッシュ基材に複数の薄層を適用することができる。複数の層を適用する利点は、各被覆層が結合され、メッシュ基材上の所望の長さに亘って被膜厚さが均一であることである。自動化で工程パラメータを制御する場合、メッシュ間の再現性を大幅に改善することができる。
被覆工程の前に、メッシュの表面を浄化し且つ粗面化するために、メッシュを前処理することができる。前処理は、アセトンでメッシュを洗浄し、濃塩酸でメッシュを5分間エッチングし、その後、水でメッシュを洗浄し、および/またはメタノール中で超音波処理によりメッシュを完全に洗浄することによって、達成することができる。使用前に、被覆メッシュを50:50の水:メタノール中で30分間洗浄することによって、被覆メッシュをコンディショニングすることができる。水またはより高い割合のメタノールでC−18系被膜をコンディショニングすることは、再現性を悪化させる可能性がある。また、他の被膜は、非常に短いコンディショニング工程(5分未満)を必要とする、またはコンディショニング工程を全く必要としない。
以下に詳細に説明するように、本開示に係る装置の一例において、被覆メッシュ基材(L×W=2.5×0.4cm、そのうち、被膜=1×0.4cm)は、シート(L×W=4.2×0.4cm)に溶接される。このシートは、任意の材料から形成されることができる。好ましくは、シートの形成に使用される基材は、ステンレス鋼またはニチノールである。上記のサイズを有するシートは、被覆メッシュ基材を操作するためのハンドルとして使用することができる。被覆メッシュ基材ではなく、ハンドルを操作することにより、被覆メッシュ基材を汚染する可能性が低減され、分析物と試料との接触が最小限に抑えられまたは回避される。
バッチ被覆工程の一例は、図1に示される。被覆されていないメッシュ(10)は、(37v/v%)塩酸溶液(12)中でエッチングされる。エッチングされたメッシュ(14)は、メタノール(16)中で洗浄される。洗浄されたメッシュ(18)は、一時的なハンドル(20)で保持され、被覆溶液(22)に浸漬される。被覆溶液は、よく混合されるように、撹拌棒(24)を用いて撹拌される。被覆メッシュ基材(26)は、被覆領域(28)と非被覆領域(30)とを有する。余分な被覆溶液は、メッシュに窒素(32)を流すことによって、被覆領域(28)から除去される。余分な被覆溶液を除去した被覆メッシュ基材(34)を125℃で加熱することによって、溶媒を除去する。必要に応じて、被覆工程、窒素工程および加熱工程は、繰り返して行われる。乾燥された被覆メッシュ基材(34)は、一時的なハンドル(20)から取り外され、例えば溶接点(38)を介して支持ハンドル(36)に取り付けられる。
実験例1
例示的な装置の作製
SPME−TM装置を次のように作製した。長さ2.5cm、幅0.4cmのステンレス鋼メッシュ(74×74本ワイヤ/インチ、ワイヤ直径=0.004インチ)を濃塩酸(37v/v%)中で5分間エッチングした、水で洗浄し、メタノール中で超音波処理により洗浄した。エッチングされたメッシュの写真は、図2に示される。被覆する前に表面の酸化または著しい変化を防ぐために、エッチングされたメッシュを乾燥器内で不活性雰囲気に保存した。
0.18%重量比のPAN/C18粒子および1%重量比のPAN/DMFで、被覆溶液を調製した。八角形の撹拌棒(12×4.5mm)を用いて、1000rpmの速度で被覆溶液を連続的に撹拌した。被覆溶液を含有する小さな容器に、メッシュを15秒間浸漬することによって、メッシュ基材の撚糸に被膜を適用し、0.1〜0.5mm/sの速度でメッシュを取り出した。実際に被覆された領域の長さが1cmであり、幅が0.4cmであった。続いて、被覆メッシュ基材に窒素を流す(≦1.5L/分)ことによって、ワイヤ上の被膜を乾燥させ、メッシュの開口に蓄積された余分なスラリーを除去した。被膜を125℃で約1.5分間硬化させた。
所望の厚さが得られるまで、被覆工程を繰り返した。薄い被覆層を得るには5回以下の繰り返しで十分であることが分かった。被覆メッシュ基材の写真は、図3に示され、被覆メッシュ基材の電子走査顕微鏡の写真は、図4〜6に示される。
被覆メッシュ基材(34)は、被覆領域(28)と非被覆領域(30)とを有する。非被覆領域(30)は、支持ハンドル(36)にアーク溶接された。支持ハンドル(36)は、4.2×0.4cm(L×W)のステンレス鋼シートから作製される。メッシュと固体基材との間の強い接着を形成するために、6箇所でメッシュを溶接した(図7参照)。代替的には、任意の生体適合性材料、例えばニチノールでステンレス鋼シートを作製することができる。代替的には、他の生体適合性および化学不活性を有する材料、例えばテフロン(登録商標)、ポリブチレンテレフタレートまたは3D印刷材料に、被覆メッシュを取り付けるまたは接着させることができる。
実験例2
例示的な装置の分析工程
SPME−TMを使用する例示的な分析工程は、図8に示される。ステップ(40)で示すように、試料基質(300〜1500μL)を含有するバイアルに、実験例1に従って作製された被覆メッシュ基材を挿入し、試料を高速(3200rpmの渦動撹拌、t≦1分)で撹拌することによって、抽出および濃縮を行った。ステップ(42)で、被膜表面に付着した少なくとも一部の人工物質を除去するために、水を含むバイアル(1500μL、t≦10秒)中で被覆メッシュ基材を洗浄した。被覆メッシュ基材を容易且つ迅速に交換することができるホルダに、被覆メッシュ基材を設置した。次いで、メッシュを移動する自動リニアレールに、ホルダをDARTノズルとMS注入口との間(3者を互いに同軸で0°の角度で)に配置する。ステップ(44)に示すように、準安定気体流をメッシュに流すことによって、被覆粒子の表面に吸着された化合物を同時に脱離およびイオン化した。抽出または予備濃縮した分析物のイオンを大気圧界面(API)に輸送し、タンデム質量分析法によって分析した。
図9は、支持ハンドル(36)で12個の被覆メッシュ基材(34)を保持するホルダ(46)を示している。ホルダ(46)は、被覆された固体基材(34)を1列の96ウェルプレートに挿入できるような構成で保持する。ホルダ(46)は、1つのホルダを隣接するホルダに取り付けるように配置された磁石(48)を含む。ホルダ(46)は、8つのホルダを一緒に取り付けると、被覆された固体基材を8列の96ウェルプレートに挿入できるような大きさおよび形状を有する。各ホルダが12個の被覆された固体基材を保持できるため、8個の取り付けられたホルダは、96個の被覆された固体基材の各々を96個のウェルの各々に挿入することを可能にする。
図10は、各被覆メッシュ基材をDARTノズルとMS注入口との間に連続的に移動させる自動線形レールを示す図である。
実験例3
例示的な装置の検出能力
SPMEに精通していない科学者が、短時間で抽出および濃縮を行うことができないと誤って想定している。本開示の文脈において、短い抽出時間とは、60秒以下の抽出時間を意味すると理解すべきである。抽出相と基質との間の大きな表面接触は、高い速度の物質移動を容易にする。薄い被覆は、迅速な平衡時間およびMS装置への効率的な脱離を保証する。さらに、SPMEに精通していない科学者が、より低いLOD/LOQを達成するために、平衡状態で抽出を行うべきであると想定している。
多くのSPME−LC方法に固有の希釈係数が分析手順から省かれるため、本明細書に開示された方法および装置は、従来のものよりも、抽出時間が著しく短くなり、優れた検出限界を有する。したがって、本明細書に開示された方法および装置に関連するLODは、被膜の内在特性ではなく、主にMSシステムの検出能力によって制約される。薄膜マイクロ抽出装置(TFME、図7に示されたブレード状)を使用した実験は、従来のLC/MS手法を用いても、15秒で低いppbレベルの分析物から定量可能な量を抽出できることを示した。これらの実験の結果は、図11に示されている。実際に、必要とされたLODがより低い場合、被膜と試料基質との相互作用時間をより長くすることができる。例えば、それぞれコカインおよびジアゼパム(DZP)を添加した1.5mLのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)から1分間の抽出を行う場合、それぞれ2μg/mLおよび19μg/mLという低いLOQに達成した。さらに、10pg/mL〜50ng/mLの範囲で評価されたこの方法のリニアダイナミックレンジは、驚くべき直線性を示した。これらの実験の結果は、図12および13に示される。強調すべきことは、SPMEが高いレベルの濃度に制限されないことである。実際に、化合物が高濃度(すなわち、ppmレベル)で存在し、分析物に対する被膜の親和性が強い場合、より短い時間(例えば、≦30秒)で抽出を行うことができる。
実験例4
例示的な装置の装置内再現性および装置間再現性
他のアンビエント質量分析装置と比較して、実験例1に開示された装置の特別な特徴は、その再利用性である。9つの独立した装置(n=36)を用いて、コカインおよびジアゼパムを添加した1.5mLのPBS溶液に行われた抽出は、それぞれ4.7%および3.2%未満の装置内再現性/装置間再現性を示した(表1〜5)。勿論、実験で確認したことは、薄い被膜を用いた、分析物の効率的な物質移動(迅速な抽出)だけでなく、効果的な脱離も達成されることである。さらに、第2回の脱離およびイオン化サイクルで得られたシグナル(持ち越し汚染)がDZPの定量(図14A)に使用されたシグナルの約5%であることが判明したにも関わらず、DZPおよびコカインの検出が同時に実施できることは、重要である。したがって、DARTの実験条件は、DZPのために排他的に最適化されていなかった。これによって、一回目の脱離およびイオン化サイクルの後に少量の分析物が依然残っている理由を説明することができる。それにも関わらず、脱離およびイオン化サイクルの直後に、(例えば、50:25:25のメタノール、イソプロパノールおよびアセトニトリルの混合物で)洗浄工程を行うことによって、持ち越し汚染が無視できるようになった(≦0.4%、図14B)。被膜の化学的性質および目標分析物に対する親和性の両方に応じて、洗浄工程を最適化することができる。試料間の分析物濃度に非常に大きなばらつきがあった場合(例えば、低い場合に、pptレベル、高い場合に、ppmレベルまで)、好ましくは、装置の使用を1回のみに制限することができる。さもなければ、洗浄サイクルの後でも、少量の分析物が被膜上に残り、偽陽性をもたらす可能性がある。50ppb以上の濃度および被膜に対して高親和性を有する化合物を抽出する場合、より短い時間(≦30秒)で抽出を行うことができる。より短い抽出時間で抽出を行うことは、濃縮された分析物の量を減少することができ、洗浄工程を含めば、DARTまたは他の溶媒型または熱型イオン化手法によって脱離されていない分析物を完全に除去することができる。
表1 SPME−TMの装置間再現性。SDは、標準偏差を表し、RSDは、相対標準偏差を表す。[分析物/同位体分子](Analyte/Isotopologue、A/Is)比率は、9つの独立した装置(n=36)を用いて、20ppbの各分析物を添加したPBS溶液から行われた抽出量の平均値に対応する。
表2 メッシュ内再現性およびメッシュ間再現性(n=36)。結果は、分析物(コカイン)と内部標準物としての同位体分子[D3]コカインとの比として記載される。1分間の抽出は、渦動撹拌機を用いて最大速度(3200rpm)で行った。20ng/mLの各物質を添加した1.5mLのPBSから抽出を行った。サーモTSQを用いて、SRMモードで分析を行った。SDは、標準偏差を表し、RSDは、相対標準偏差を表す。
表3 メッシュ内再現性およびメッシュ間再現性(n=36)。結果は、分析物(ジアゼパム)と内部標準物としての同位体分子[D5]ジアゼパムとの比として記載される。1分間の抽出は、渦動撹拌機を用いて最大速度(3200rpm)で行った。20ng/mLの各物質を添加した1.5mLのPBSから抽出を行った。サーモTSQを用いて、SRMモードで分析を行った。SDは、標準偏差を表し、RSDは、相対標準偏差を表す。
表4 メッシュ内持越しおよびメッシュ間持越し(n=36)。結果は、分析物(ジアゼパム)と内部標準物としての同位体分子[D5]ジアゼパムとの比として記載される。1分間の抽出は、渦動撹拌機を用いて最大速度(3200rpm)で行った。20ng/mLの各物質を添加した1.5mLのPBSから抽出を行った。サーモTSQを用いて、SRMモードで分析を行った。SDは、標準偏差を表し、RSDは、相対標準偏差を表す。
表5 メッシュ内持越しおよびメッシュ間持越し(n=36)。結果は、分析物(コカイン)と内部標準物としての同位体分子[D3]コカインとの比として記載される。1分間の抽出は、渦動撹拌機を用いて最大速度(3200rpm)で行った。20ng/mLの各物質を添加した1.5mLのPBSから抽出を行った。サーモTSQを用いて、SRMモードで分析を行った。SDは、標準偏差を表し、RSDは、相対標準偏差を表す。
実験例5
複合基質中の薬物の定量における例示的装置の応用
MS分析は、複雑な試料に関する有意な量の情報を提供する。しかしながら、従来のMS分析を行う前に必要な試料の前処理は、大量の労働および時間が必要とされると共に、複雑である。本明細書中に開示された装置および方法による分析の速さおよび容易さによって、生物試料中の対照物モニタリングおよび治療薬物モニタリング(TDM)は、より少ない労力および/または少ない時間で実施することができる。実験例1に開示された装置を用いて、尿中および血漿中のコカインおよびDZPの定量を行った。図15〜18は、両方の基質から得られた直線性をまとめたものである。PBSと同様に、尿中のコカインおよび血漿中のコカインについて、それぞれ2μg/mLおよび5μg/mLのLOQが測定された。したがって、基質の影響は、開示された方法によって提供された試料の洗浄によって著しく低減され、低結合を有する分析物は、基質に依存せず、同等の検出限界を与える。洗浄工程は、抽出中において、被覆された撚糸に機械的に付着した塩および生体分子を除去するため、信頼できる高感度を与えることによって質量分析計の動作時間を延長すると共に、装置のメンテナンスを最小限に抑えることができる。コカインとは異なり、血漿中DZPのLOQ(497pg/mL)は、尿およびPBS中のLOQ(それぞれ19μg/mLおよび28μg/mL)に比べて、著しく高かった。しかしながら、留意すべきことは、DZPの98%が血漿タンパク質と結合しており、本明細書に記載の装置は、基質中に存在する分析物の遊離部分のみを抽出することである。最後に重要なことは、TM構成が抽出種とイオン化種との間に均一な相互作用をもたらすため、SPME−TMを用いて標準校正を不要として定量をすることもできることである(図19〜図21)。しかしながら、平衡状態(t≦1分)で抽出を行わない場合、再現性のある結果を得るために、変数を精確且つ適切に制御すべきである。そのような変数には、試料の採取時間、対流(撹拌速度および撹拌の均一性)、および被膜厚さの均一性が含まれる。最初の2つのパラメータは、自動抽出システムまたは洗浄システムを使用して制御することができる。自動化で被覆工程のパラメータを制御する場合、メッシュ間の再現性を高めることができる。
実験例6
複数の対照物の分析
現在、複雑な基質中の対照物の分析を可能にする有力なLC−MS/MSまたはGC−MS/MS法の開発に、多くの研究者が努力している。試料中の成分の複雑さを考慮すると、このような手順は、煩雑で広範な試料の調製工程を必要とする。したがって、迅速、定量的および直接的な分析を可能にする手法が強く求められている。概念実証として、実験例1に記載された装置を用いて、20ng/mLでPBSに添加された21種の禁止物質を同時にモニタリングした。選択的反応モニタリング(SRM)を用いて、各化合物を専一に同定した。LODは、PBS中のコカインおよびジアゼパムについて得られた結果に基づいて、暫定的に予測された(表6)。DARTソースパラメータが各分析物用に最適化されていないにも関わらず、すべての物質が検出され、16個の化合物で50pg/mL未満の仮り検出限界が得られた(例えば、ヘロインのLogP=1.52、プロプラノロールのLogP=3.48、スタノゾロールのLogP=5.53、図22A〜C)。これらの実験例に記載された方法および装置が例示的な抽出相の物理化学的特性から感度および選択性を得られる限り、特定の標的化合物に対してより大きな親和性を有する他の被膜を使用することができる。勿論、感度または速さを失うことなく、本明細書に記載された方法および装置を用いて、単一の分析で多数の物質をスクリーニングする能力は、この技術の特筆すべき特性である。よって、この技術は、廃水中のパーソナルケア製品または食料品中の殺虫剤のモニタリングなどの他の用途に使用することができる。
表6 ポジティブモードで21種のWADA対照物の分析に使用されるMS/MSパラメータ、およびC18−PAN SPME−TMタンデム質量分析の装置応答。PBS中の20ng/mL溶液について得られた積分ピーク面積。平均ピーク面積(n=3)。極性=+。LOD*、検出限界の推定値。
前述の説明において、説明の目的で、実施形態に対する完全な理解を提供するために、多くの詳細を記載している。しかしながら、当業者なら理解するように、これらの具体的な詳細が必須でない。したがって、記載された内容は、記載された実施形態の応用の単なる例示であり、上記の教示に照らして、多くの変更および変形が可能である。
上記の説明が例示的な実施形態を提供するため、当業者であれば、特定の実施形態に変更および変形を施すことができることを理解するであろう。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に記載の特定の実施形態によって限定されず、全体として、明細書と一致するように解釈されるべきである。

Claims (21)

  1. 質量分析計で分析されるイオン化分子を生成する装置であって、
    約0.2μm〜約100μmの実質的に均一な厚さの抽出相で被覆した被覆メッシュ基材を備え、
    前記抽出相は、基質から目標分子を吸着するポリマ、または基質から目標分子を吸着するような寸法に設計された細孔を有するポリマおよび固相マイクロ抽出(SPME)粒子を含み、
    前記被覆メッシュ基材は、前記被覆メッシュ基材を通って流体が流れることを可能にするのに十分な開口構造を有し、
    前記被覆メッシュ基材に安定性を与えるために、前記被覆メッシュ基材に接続された固体基材を備える、装置。
  2. 前記被覆メッシュ基材は、数の接続されたまたは含浸されたワイヤ、フィラメントまたはストリングを含む、請求項1に記載の装置。
  3. 前記複数の接続されたまたは含浸されたワイヤ、フィラメントまたはストリングは、50μm〜0.5mmの直径を有する、請求項2に記載の装置。
  4. 前記複数の接続されたまたは含浸されたワイヤ、フィラメントまたはストリングは、金属、合金またはポリマ基材を含む、請求項2記載の装置。
  5. 前記金属、合金またはポリマ基材は、ステンレス鋼、ニチノール、ニッケル、チタン、アルミニウム、黄銅、鉄、青銅またはポリブチレンテレフタレートである、請求項4に記載の装置。
  6. 前記被覆メッシュ基材は、少なくとも20%開口面積を有する、請求項1記載の装置。
  7. 前記抽出相は、1層または2層の粒子層を含むのに十分な厚さを有する、請求項1記載の装置。
  8. 前記抽出相は、内部標準物を含有する、請求項1記載の装置。
  9. 前記固体基材は、金属、合金またはポリマを含む、請求項に記載の装置。
  10. 前記固体基材は、ステンレス鋼、チタン、ニッケル−チタン合金、ニチノール、ポリブチレンテレフタレート、または3D印刷ポリマを含む、請求項に記載の装置。
  11. 前記固体基材は、金属または合金を含み、
    前記被覆メッシュ基材は、前記固体基材に溶接される、請求項1に記載の装置。
  12. 前記複数の接続されたまたは含浸されたワイヤ、フィラメントまたはストリングは、グリッド状に配置されている、請求項2に記載の装置。
  13. 前記被覆メッシュ基材は、約50%〜約60%の開口面積を有する、請求項6に記載の装置。
  14. 質量分析システムであって、
    加熱ガスまたは準安定加熱ガスの供給源と、
    質量分析計用の注入口と、
    前記加熱ガスまたは準安定加熱ガスの供給源に流体連通され、前記加熱ガスまたは準安定加熱ガスを前記注入口に導くためのノズルと、
    前記ノズルおよび前記質量分析計の注入口と同軸に且つ約0°の角度で配置された請求項1記載の装置とを備え、
    前記ノズルは、前記被覆メッシュ基材上に吸着された化合物の少なくとも一部を脱離およびイオン化するために、前記加熱ガスまたは準安定加熱ガスが、前記装置の前記被覆メッシュ基材を通って流れるように配置され、
    前記注入口は、前記脱離およびイオン化された化合物の少なくとも一部を収集し、分析のために質量分析計に移送するように配置される、質量分析システム。
  15. 予め基質から請求項1記載の装置に抽出された分析物を分析するための方法であって、
    前記被覆メッシュ基材上に吸着された前記分析物を脱離およびイオン化するために、前記被覆メッシュ基材に、加熱ガス、準安定ガスまたは準安定加熱ガスを流すステップと、 前記脱離およびイオン化された分析物を質量分析計に移送するステップと、
    質量分析計によって前記イオン化された分析物を分析するステップとを含む、方法。
  16. 前記被覆メッシュ基材に、前記加熱ガス、前記準安定ガスまたは前記準安定加熱ガスを流す前に、洗浄溶液を用いて、前記被覆メッシュ基材を少なくとも1回洗浄するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
  17. 前記脱離は、前記被覆メッシュ基材に沿って分析物の分布勾配を特徴付けるために、前記被覆メッシュ基材に沿って行われる、請求項5に記載の方法。
  18. 試料中の1以上の目標成分を測定または同定するための方法であって、
    請求項1に記載の装置を試料中に配置するステップと、
    前記1以上の目標成分を前記抽出相上に吸着させるステップと、
    前記装置を前記試料から取り出すステップと、
    前記1以上の目標成分を脱離およびイオン化させるために十分なエネルギーを前記装置にさらして、前記抽出相から前記1以上の目標成分がイオン化および脱離し、測定または同定のために質量分析計に入るステップと、
    を含む、方法。
  19. 前記1以上の目標成分を脱離およびイオン化させるために十分なエネルギーを前記装置にさらすステップは、前記メッシュ基材をレーザーまたは加熱キャリアガスにさらすステップを含む、請求項18に記載の方法。
  20. 請求項1記載の1つ以上の装置を、加熱ガス、準安定ガスまたは準安定加熱ガスの供給源に流体連通されたノズルと質量分析計用の注入口との間に配置し、前記被覆メッシュ基材から脱離され、イオン化された分子を質量分析計に移送するためのホルダであって、
    前記1つ以上の装置の各々ためのコネクタを備え、
    前記コネクタの各々は、記装置のうち1つを取り外し可能に固定する、ホルダ。
  21. 前記ホルダは、請求項1記載の装置を同時に12個まで保持することができるような寸法および形状であり、且つ、前記ノズルと前記質量分析計の前記注入口との間に前記被覆メッシュを自動的に配置するための電気アクチュエータに設けることができるような寸法および形状である、請求項20に記載のホルダ。
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