JP6375045B2 - 2−[3−シアノ−4−(2−メチルプロポキシ)フェニル]−4−メチルチアゾール−5−カルボン酸の小型化結晶、その微粉化物及びこれらを含有する固形製剤 - Google Patents

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Description

本発明は、高い安定性、溶出性、嵩密度、タップ密度及びハンドリング性を有する2−
[3−シアノ−4−(2−メチルプロポキシ)フェニル]−4−メチルチアゾール−5−
カルボン酸の微粉化結晶、並びに、これを有効成分として含む、痛風、高尿酸血症及び慢
性腎臓病の予防及び又は治療のために用いる安定性及び溶出性に優れた固形製剤に関する
下記式で示される2−[3−シアノ−4−(2−メチルプロポキシ)フェニル]−4−
メチルチアゾール−5−カルボン酸(一般名:フェブキソスタット:febuxosta
t、国際公開WO92/9279)は非プリン型のキサンチンオキシダーゼ阻害薬であり
、日本国においては、帝人ファーマ株式会社から「フェブリク(登録商標)錠」の商品名
で2011年より痛風及び高尿酸血症の治療薬として錠剤の形態で製造及び販売されて臨
床使用されている(以下、2−[3−シアノ−4−(2−メチルプロポキシ)フェニル]
−4−メチルチアゾール−5−カルボン酸を「フェブキソスタット」という。以下、フェ
ブリク(登録商標)錠を「F錠」ともいう。)。
フェブキソスタットに関しては結晶多形の存在が知られており、特許第3547707
号公報にはA晶、B晶およびC晶、メタノール和物であるD晶、水和物であるG晶(BH
晶ともいう)として特定される5種類の結晶物質、並びに非晶質体(後述の特許第408
4309号公報においてはE晶ともいう)が開示されている。それらのうち、長期保存に
よる晶形維持の観点からA晶、C晶、及びG晶(BH晶)が有用であることが上記刊行物
に具体的に示されており(同公報の実施例10)、工業的優位性からはA晶が好ましいと
されている(同公報の第9頁3〜5行)。この理由から、A晶についてはいくつかの選択
的製造方法が報告されている(特開2003−261548号公報、特開2011−20
950号公報、及び国際公開WO2007/148787)。
フェブキソスタットの製剤化に関しては、特許第4084309号公報の参考例1に、
これらの結晶形の中で、A晶、C晶及びG晶が最も物理的安定性に優れることが記載され
ており、また、同公報の実施例1及び実施例3において、フェブキソスタットのA晶を湿
式造粒して得られる錠剤は、ばらつきが少なく均一な溶出プロファイルを示すことを確認
して、平均粒子径が12.9μm以上26.2μm以下のA晶、乳糖及び部分アルファー
化デンプンから選ばれる賦形剤、結合剤であるヒドロキシプロピルセルロース、及び崩壊
剤を含有する錠剤を提案している(特許第4084309号公報の請求項1)。一方で、
同公報の比較例1及び比較例6において、フェブキソスタットのC晶を同様に湿式造粒し
て得られる錠剤は、溶出が遅いうえにばらつきが大きく不均一な溶出プロファイルを示す
ことが記載されている(特許第4084309号公報の第3頁1〜4行を参照)。
なお、同公報において錠剤の製造に用いているA晶は、衝撃式粉砕機であるサンプルミ
ル又はインパクトミルを用いた粉砕物である(同特許公報の表7の粒子2及び3、並びに
表3)。
一方、C晶については、長期保存による晶形維持の観点から有用であることが具体的に
示されており(特許第3547707号公報の実施例10)、さらに同公報の図1のI領
域での通常の操作範囲では安定な結晶であり、通常の保管条件(75%相対湿度、25℃
など)では長期に保持され、かつ化学的にも安定であると説明されている(同公報第8頁
41〜43行)。このC晶は特許第3547707号公報に示された図4の粉末X線回折
図及び同公報に開示された2θのピーク位置(6.62°、10.82°、13.36°
、15.52°、16.74°、17.40°、18.00°、18.70°、20.1
6°、20.62°、21.90°、23.50°、24.78°、25.18°、34
.08°、36.72°、及び38.04°)、同公報の図15の赤外吸収スペクトル、
固体15N−NMRのピーク位置(210ppm及び282ppmの鋭いシングルピーク
)及び固体13C−NMRの20ppmの位置に現れるほぼ等価なトリプレットピーク(
特許第4084309号公報の参考例3)から当業者が容易に特定可能な物質である。
このC晶は、特許第3547707号公報の一般的説明によれば、溶媒媒介転移を用い
て、通常はメタノール/水の混合溶液に溶解度以上の任意の結晶を懸濁させ、これに少量
のC晶を添加して加熱攪拌することにより製造できるとされている(特許第354770
7号公報第7頁39行〜第8頁1行)。そして、同公報の8頁37行〜39行に記載され
ているとおり「この晶形への溶媒媒介転移は、条件にもよるが通常数日を要し、このまま
ではC晶を工業的に再現性よく製造することは難しい」ため、同公報の実施例2には種晶
としてC晶を添加する方法が示されている。しかしながら、種晶として用いるC晶をどの
ような手段で入手したのかは同公報には全く教示ないし示唆がない。従って、C晶は上記
公報に物質としては明確に特定されているものの、種晶として用いるC晶が入手できない
状態にあっては当業者といえども同明細書に開示された方法のみからはC晶を製造するこ
とは不可能である。
一方、非特許文献1〜8には、A晶、B晶、C晶、D晶およびBH晶(特許35477
07号のG晶と同じ)の中でC晶が最も安定であることが繰り返し述べられており(例え
ば非特許文献4の1156頁右欄最下行)、A晶、D晶、BH晶のいずれからもC晶に転
移しうることが記載されている。また、非特許文献1〜8においては、溶媒媒介転移によ
って、C晶の種晶を加えずにC晶を作製する方法の詳細な条件が記載されており、メタノ
ールと水の体積比が7:3の溶媒中で絶対温度323度(49.85℃)に設定すること
によって、2〜3日以内にA晶からC晶が得られることが記載されている(例えば、非特
許文献1の段落1.3及び2.3、ならびに、非特許文献2の段落2.3および682頁
左欄7行〜25行)。したがって、非特許文献1〜8に記載の方法に基づけば、2〜3日
以内に、溶媒媒介転移によって、C晶の種晶を用いずにC晶を作製することが可能である
さらに、国際公開WO2012/131590(特許文献7)においては、メタノール
又はエタノールなどの低級アルコール存在下に、2−(3−ホルミル−4−イソブトキシ
フェニル)−4−メチルチアゾール−5−カルボン酸エチルエステルに炭酸カリウム、炭
酸セシウム、炭酸ナトリウムなどの炭酸アルカリ金属を作用させることによりエステル結
合を加水分解して2−(3−ホルミル−4−イソブトキシフェニル)−4−メチルチアゾ
ール−5−カルボン酸を製造し、続いてギ酸の中で、ギ酸ナトリウム及びヒドロキシルア
ミン塩酸塩を作用させて得た反応生成物に60℃以上の水を加えた後に室温まで冷却する
ことにより、工業的に再現性良くフェブキソスタットのC晶を得ることのできる方法を開
示しているので、国際公開WO2012/131590の記載に基づけば、C晶の種晶を
用いずにC晶を作製することが可能である(国際公開WO2012/131590のCl
aim 4及びExample 4を参照)。
また、C晶の種晶は、北京連本医薬化学技術有限公司(Beijing Lianbe
n Pharm−chemicals Tech.Co.,Ltd.)から購入可能であ
り、非特許文献1〜8の著者である北村光孝氏、特許文献1の出願人である帝人株式会社
、特許文献7の出願人であるサンド社および本願の出願人である日本ケミファ株式会社に
おいて保有していることからも明らかなとおり、本願の出願時点においては容易に入手可
能となっている。
また、各結晶形の日本薬局方の崩壊試験用の第2液への溶解速度を比較するとE晶(つ
まり非晶質)>A晶>B晶>D晶>G晶>C晶の順であり、溶解速度の点でC晶が最も劣
ること、及びC晶の溶解速度(0.0694mg/cm/min)はA晶(0.143
4mg/cm/min)の1/2以下であることが報告されている(特許第40843
09号公報の参考例2)。
ところで、特許第4084309号公報には、WO1999/065885号公報(特
許3547707号)の方法によってC晶を作製した旨が記載されており、WO1999
/065885号公報(特許3547707号)の方法は、メタノールと水の混合溶媒中
から晶出してC晶を作製する方法のみが開示されていることから、特許第4084309
号ではメタノールと水の混合溶媒中から晶出したC晶を用いていると考えられる。また、
特許第4084309号の出願日以前には、メタノールと水の混合溶媒中から晶出する方
法以外のC晶の製造方法は知られていない。
特許第4084309号公報の比較例1によれば、同公報で用いているメタノールと水
の混合溶媒中から晶出して作製したC晶を用いて湿式造粒法によって製造した錠剤を固体
13C−NMRで測定すると20ppmの位置に鈍いピークを示したことから非晶質体(
E晶)を含有しているとの考察がなされている。この製剤を40℃/75%RHで保管す
ると非晶質体(E晶)の一部がG晶に転移すると述べられるとともに(同公報の比較例5
)、pH5.5のMcIlvaine緩衝液に対する溶出率が低下し、溶出率のばらつき
が若干上昇したことも報告されている(同公報の表4)。このように、特許第40843
09号公報で用いているメタノールと水の混合溶媒中から晶出させて作製したC晶を用い
て錠剤を製造した場合には、非晶質体化及び非晶質体化を介した結晶形の転移が懸念され
る。
なお、WO1992/009279号公報(特許2725886号)の実施例76にも
、フェブキソスタットをエタノール中で再結晶させる方法が記載されているが、得られた
結晶の結晶形は記載されていない。
なお、フェブキソスタットの結晶多形及び多形の相互転移などについては北村らによる
一連の詳細な報告がある(Journal of Chemical Engineer
ing of Japan,Vol.35,No.11,pp.1116−1122,2
002(非特許文献1);Journal of Crystal Growth,Vo
l.236,pp.676−686,2002(非特許文献2);Journal of
Crystal Growth,Vol.257,pp.177−184,2003(
非特許文献3);Crystal Growth & Design,Vol.4,No
.6,pp.1153−1159,2004(非特許文献4);Pure Appl.C
hem.,Vol.77,No.3,pp.581−591,2005(非特許文献5)
;Crystal Growth & Design,Vol.6,No.5,pp.1
214−1218,2006(非特許文献6);Cryst.Eng.Comm.,Vo
l.11,pp.949−964,2009(非特許文献7);及び「多形現象のメカニ
ズムと多形制御」北村光孝,株式会社アイピーシー,2010年,第6章,第8章,第9
章(非特許文献8))。C晶についてはJournal of Chemical En
gineering of Japan,35,No.11,pp.1116−1122
,2002(非特許文献1)の「2.3.Crystallization」の項やJo
urnal of Crystal Growth,Vol.236,pp.676−6
86,2002(非特許文献2)に結晶化の具体的方法が開示されており、C晶が安定形
であり、A晶が準安定形であるとの教示もある。
ただし、これらの文献に記載されたフェブキソスタットのC晶は、非特許文献8の第9
章に記載されているもの以外は、すべて、メタノールと水の混合溶媒から晶出させたか、
他の結晶形から転移させて得られたものである。これらの方法で得られたフェブキソスタ
ットのC晶の嵩密度、タップ密度、安息角、ハンドリング性については報告されていない
なお、一般に、非晶質体は結晶に比べて不安定であり、他の結晶形への転移も生じやす
いことから、非晶質体の生成は避けるべきであるので、非晶質体の標品として用いること
のできる実質的に非晶質体のみからなるフェブキソスタットが求められている。この点、
特許3547707号の実施例9には、「D晶を80℃、2mmHgにて4時間加熱減圧
乾燥」することによるフェブキソスタットの非晶質体の製造方法が記載されているが、「
非晶質体の標品として用いることのできる実質的に非晶質体のみからなるフェブキソスタ
ット」であることは記載されていない。したがって、実質的に非晶質体のみからなるフェ
ブキソスタットの具体的な製造方法が求められている。さらに、一般に非晶質体の含有割
合を定量することは困難であり、フェブキソスタット原薬中の非晶質体の割合の定量方法
は知られていない。
また、特許第3547707号公報においてG晶と呼ばれる結晶形は、上記の非特許文
献においてはBH晶と呼ばれており、BH晶からメタノールと水の混合溶媒中での結晶転
移により調製したC晶は長軸の長さが200μmを超え、数μmの横幅を有する柱状晶で
あることが明らかにされている(非特許文献2のFig.6(c))。また、特許第40
84309号公報には、C晶は安定形であるものの(同公報の表1)、原薬の溶解速度お
よび錠剤からの溶出速度が遅いことが記載されている(同公報の表2および表4)。
上記の他、フェブキソスタットのC晶をアセトニトリルから晶出させる方法は、非特許
文献8の第9章及び非特許文献10に記載されてはいるものの、同文献には、得られたC
晶の大きさ、形状、嵩密度、安息角、他の結晶形や非晶質の混入の有無、並びに、原薬の
溶解特性もしくは製剤からの溶出特性は記載されていない。さらに、非特許文献8の第9
章の図9−5には、アセトニトリル溶媒中から25℃でC晶を析出させたことが記載され
ている。同文献には、同文献に記載されたC晶の示差熱分析スペクトルは、「融解と考え
られる大きな吸熱ピークの前に、吸熱ピークと小さな発熱ピークが観察される」ものであ
り、「吸熱ピークと小さな発熱ピーク」は「まずC型が融解し、その融液中からA型が析
出し、さらに温度が上昇することによりA型が融解する」ことによる「融液媒介転移」と
考えられると考察されているように、非特許文献8に記載されたC晶は依然として結晶転
移しうる不安定なものであると考えられる。
さらに、フェブキソスタットのC晶の粉砕方法、粉砕条件及び粉砕物の性質を検討した
先行技術は知られていない。
国際公開WO92/9279 特許第3547707号公報 特開2003−261548号公報 特開2011−20950号公報 国際公開WO2007/148787 特許第4084309号公報 国際公開WO2012/131590
Journal of Chemical Engineerin g of Japan,Vol.35,No.11,pp.1116−1122,2 002 Journal of Crystal Growth,Vol. 236,pp.676−686,2002 Journal of Crystal Growth,Vol. 257,pp.177−184,2003 Crystal Growth & Design,Vol.4, No.6,pp.1153−1159,2004 Pure Appl.Chem.,Vol.77,No.3,pp .581−591,2005 Crystal Growth & Design,Vol.6, No.5,pp.1214−1218,2006 Cryst.Eng.Comm.,Vol.11,pp.949− 964,2009 多形現象のメカニズムと多形制御」北村光孝,株式会社アイピーシ ー,2010年,第6章,第8章及び第9章 Journal of Biological Chemistr y,Vol.278,No.3,1848−1855,2003 Industrial & Engineering Chem istry Research,Vol.51,Issue 39,12814−1 2820,201
本発明の課題は、高い安定性と高い溶出性を兼ね備えるフェブキソスタットの結晶を提
供することである。具体的には、溶出試験液もしくは崩壊試験液(例えば、日本薬局方の
溶出試験第2液もしくは崩壊試験第2液)に対して、より溶解速度の速いフェブキソスタ
ットの結晶の製造方法を提供することが本発明の課題である。
また、本発明の課題は、非晶質体を含有しないフェブキソスタットの結晶を提供するこ
とである。本発明の課題は、小さい粒子サイズで狭い範囲に分布する良好な粒度分布を有
するフェブキソスタットの結晶を提供することである。
さらに、本発明の課題は、溶媒残量が医薬品製造上の問題にならない程度に十分低いフ
ェブキソスタットの結晶を提供することである。
さらにまた、本発明の課題は、高い嵩密度と高いタップ密度を有するフェブキソスタッ
トの結晶を提供することである。
加えて、本発明の課題は、綿状とならず、低い安息角を有し、ハンドリングに優れるフ
ェブキソスタットの結晶を提供することである。
そして、本発明の課題は、これらの性質の一又は二以上を有するフェブキソスタットの
結晶を有効成分として含む、痛風、高尿酸血症及び慢性腎臓病の予防及び又は治療のため
の安定性及び溶出性に優れた固形製剤を提供することである。
さらに、本発明の課題は、フェブキソスタットの結晶を有効成分として含む痛風及び高
尿酸血症の予防及び又は治療のために用いる固形製剤であって、安定性に優れ、溶出速度
が十分に速く、かつ溶出特性のばらつきが少ない固形製剤を提供することにある。
したがって、本発明の最終的な課題は、高い安定性と高い溶出性を兼ね備えるのみなら
ず、非晶質体を含有せず、小さい粒子サイズで狭い範囲に分布する良好な粒度分布を有し
、溶媒残量が医薬品製造上の問題にならない程度に十分低く、高い嵩密度と高いタップ密
度を有し、綿状とならず、低い安息角を有し、ハンドリングに優れるという性質の一又は
二以上を備えた、フェブキソスタットの小型化結晶及び/又はこれらの微粉化物、並びに
、これを有効成分として含む、痛風、高尿酸血症及び慢性腎臓病の予防及び又は治療のた
めの固形製剤であって、安定性に優れ、溶出速度が十分に速く、かつ溶出特性のばらつき
が少ない固形製剤を提供することである。
本発明の発明者は、上記課題解決のために、最も安定な結晶形であると考えられている
ものの、原薬としての溶解性及び錠剤からの溶出性が悪く、製造に時間がかかるために再
現性良く工業的に生産することには適さないと考えられてきたフェブキソスタットのC晶
に着目して、これを克服するために種々検討する過程で、メタノールと水の混合溶媒中か
ら晶出する従来の方法で製造した粉砕していないフェブキソスタットのC晶(以下、「メ
タノール水C晶」ともいう。)は、綿状の粉体であり、医薬品の原薬として用いるには、
安息角が測定不能なほど流動性が悪く、嵩密度も測定不能なほど低く、タップ密度も低す
ぎるという課題を見出した。
また、本発明の発明者は、メタノールと水の混合溶媒中から晶出して得たフェブキソス
タットのC晶の欠点を克服するために、アセトニトリルから晶出させて製造したフェブキ
ソスタットのC晶の性質を検討する過程で、アセトニトリルから晶出させて製造したフェ
ブキソスタットのC晶(以下、「アセトニトリルC晶」ともいう。)は、そのままでは、
依然として溶解性が不十分であり、嵩密度が低い水準であり、ハンドリングも不十分であ
り、アセトニトリルの残留溶媒が高めであるという解決すべき課題を見出した。
さらに、アセトニトリルから晶出させて製造したフェブキソスタットのC晶の粉砕方法
及び粉砕条件を種々検討する過程で、アセトニトリルから晶出させたC晶を、乳鉢粉砕、
ボールミル粉砕、サンプルミル粉砕すると、非晶質体化または結晶転移が生じるとともに
、粒子径が大きくなり、粒度分布も広くなるという問題点を見出した。
なお、1998年に厚生省から通知された「医薬品の残留溶媒ガイドラインについて」
においては、「医薬品中の残留量を規制すべき溶媒」であるクラス2の溶媒に分類されて
おり、その濃度限度値は410ppmとされていることから、アセトニトリルの残留濃度
が410ppmよりも十分に低いフェブキソスタットのC晶の製造方法を確立することが
課題とされている。
したがって、本発明の課題は、高い溶出性と高い安定性を有するのみならず、非晶質体
を含有せず、小さい粒子サイズで狭い範囲に分布する良好な粒度分布を有し、溶媒残量が
医薬品製造上の問題にならない程度に十分低く、高い嵩密度と高いタップ密度を有し、綿
状とならず、低い安息角を有し、ハンドリングに優れるという性質の一又は二以上を備え
た、フェブキソスタットの結晶、可能であれば、並びに、これを有効成分として含む、痛
風、高尿酸血症及び慢性腎臓病の予防及び又は治療のための、安定性に優れ、溶出速度が
十分に速く、かつ溶出特性のばらつきが少ない固形製剤を提供することである。
また、本発明の課題は、実質的に非晶質体のみからなるフェブキソスタット、及びその
製造方法、並びに、フェブキソスタットの非晶質体の定量方法を提供することである。実
質的に非晶質体のみからなるフェブキソスタットは、溶出性に優れていることが知られて
おり、製剤上の工夫によって、安定な固形製剤の製造に用いることができる可能性がある
。また、一般的には非晶質体の生成は望ましくないとされていることから、フェブキソス
タットの非晶質体の定量方法を提供することが望まれている。
本発明者らは、試行錯誤を重ねて鋭意検討した結果、フェブキソスタットをアセトニト
リルから晶出させてC晶を製造すること、及び、アセトニトリルから晶出させたC晶をジ
ェットミル粉砕することによって、上記の課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明者らは、上記の課題を解決するため、まず、北村らの方法(Jour
nal of Chemical Engineering of Japan,Vol
.35,No.11,pp.1116−1122,2002の「2.3.Crystal
lization」の項に記載された結晶化方法)および非特許文献8の第9章に記載さ
れた方法に従って工業的に安定にC晶を製造できるか否かを検討したところ、意外にも、
フェブキソスタットをアセトニトリルから晶出させることにより、加熱攪拌などの操作を
行うことなく、極めて再現性よく効率的に純粋なC晶を製造できることを見出した(以下
、アセトニトリルから晶出させて得た未粉砕のC晶を「未粉砕のアセトニトリルC晶」と
いう。)。この方法においては、C晶の種晶を添加しなくてもC晶を製造できるが、C晶
の種晶を添加すれば、より再現性良くC晶を製造することができる。
上記のC晶の製造方法はC晶を安定に大量生産するための工業的製法として利用可能で
あり、さらにC晶は安定性に優れる結晶形である(特許第3547707号公報第8頁4
1〜43行)。
また、本発明者らは、アセトニトリルから晶出させたC晶は、他の結晶形や非晶質体へ
の転移が極めて生じにくい安定な産物であることを見出した。
また、メタノールと水の混合溶媒から晶出させたC晶よりも柱状晶の長軸の長さが少な
くとも5分の1以下である、より小さな結晶であることを見出した。すなわち、従来知ら
れていたメタノールと水の混合溶媒中から晶出したC晶は、長軸の長さが1000μmを
超える柱状結晶であるのに対して(図11、図17〜図19)、驚くべきことに、アセト
ニトリルから晶出させたC晶は、平均粒径20.483μm、200μm以下の粒度分布
に収まる柱状結晶からなることがわかった(図12、図20〜図22)。一般に、同じ体
積の立体を縮尺N分の1の小さい立体に分けた場合の表面積がN倍になることを考えれば
、アセトニトリルから晶出させたC晶の長さは、メタノールと水の混合溶媒中から晶出し
たC晶の長さの少なくとも5分の1以下であることから、その比表面積は5倍以上である
と考えられるので、単純に考えれば少なくとも5倍以上の溶出速度を有することが期待で
きる。
さらに、アセトニトリルから晶出させたC晶は、メタノールと水の混合溶媒から晶出さ
せたC晶の3倍以上のタップ密度を有する充填性の改善された結晶であることを見出した
しかしながら、本発明者らは、アセトニトリルから晶出させたC晶をもってしても、依
然として嵩密度は不十分な水準の充填性であり、また、アセトニトリル残量が医薬品とし
ての許容量の約2分の1の水準であるので余裕が少なく、さらに錠剤化した場合の溶出速
度及び平衡化後の溶出率が不十分であるという問題を有していることをも併せて見出した
そこで、本発明者らは、アセトニトリルC晶を微粉化する方法を種々検討し、上記の問
題を解決できないか試行錯誤を行った。その結果、乳鉢による粉砕、ハンマーミルによる
粉砕、サンプルミルによる粉砕などの機械的な衝撃による粉砕方法では、微粉化の程度に
限界があり、大きい粒子サイズで広い範囲に分布する望ましくない粒度分布を示すととも
に、非晶質化及び/又は結晶転移が生じることを見出した一方で、アセトニトリルC晶を
ジェットミル粉砕することにより、約3.365μmの平均粒子径、及び/又は、長径が
約20μm以下の粒度分布に収まる粒状物からなるC晶が得られることを見出した(図1
3、図23〜図25;以下、ジェットミル粉砕したアセトニトリルC晶を「アセトニトリ
ルC晶のジェットミル粉砕物」という。)。
これは、従来技術のメタノール水C晶(非特許文献2のFig.6(c);本願の図1
7〜図19)が、長軸の長さが1000μmを超える柱状晶であることに比べると、著し
く微粉化されたC晶である。また、未粉砕のアセトニトリルC晶が平均粒径20.483
μm、200μm以下の粒度分布に収まる柱状結晶であることに比べても、やはり優れて
微粉化されたC晶である。一般に、同じ体積の立体を縮尺N分の1の小さい立体に分けた
場合の表面積がN倍になることを考えれば、アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物は
、その長径が、未粉砕のアセトニトリルC晶の平均6.1分の1以下の長さであるから、
その比表面積は6.1倍であると考えられるので、単純に考えれば6.1倍の溶出速度を
有することが期待できる。
実際、pH5.5のMcIlvain緩衝液、pH6.8の溶出試験第2液、水のいず
れに対しても、アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物は、未粉砕のアセトニトリルC
晶よりも高い溶出率を示した(図26)。これらに溶液に対する、未粉砕のアセトニトリ
ルC晶、及び、アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物の溶出率は、市販のA晶と同等
以上に、ばらつきが少なかった。
また、アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物は実質的に非晶質体を含有せず、他の
結晶形や非晶質体への転移が極めて生じにくい安定な物質であることが、粉末X線回折ス
ペクトル、赤外吸収スペクトル及び示差操作熱量スペクトルによって確認された。
さらに、アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物を有効成分として用いた錠剤は、未
粉砕のアセトニトリルC晶に比べて、pH5.5のMcIlvain緩衝液への溶出速度
が顕著に改善し、かつ、溶出特性にばらつきを生じない固形製剤を提供できることを見出
した(図27)。フェブキソスタットのアセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物を有効
成分として用いた錠剤のpH5.5のMcIlvain緩衝液への溶出速度は、臨床使用
されているフェブリク錠(登録商標)よりも早く、かつ、60分後には約95%が溶出す
る優れた固形製剤である。
また、本発明の課題は、実質的に非晶質体のみからなるフェブキソスタット、及びその
製造方法、並びに、フェブキソスタットの非晶質体の定量方法を提供することである。実
質的に非晶質体のみからなるフェブキソスタットは、溶出性に優れていることが知られて
おり、製剤上の工夫によって、安定な固形製剤の製造に用いることができる可能性がある
。また、一般的には非晶質体の生成は望ましくないとされていることから、フェブキソス
タットの非晶質体の定量方法を提供することが望まれている。
本発明により、高い安定性と高い溶出性を兼ね備えたフェブキソスタットの小型化結晶
及びその微粉化物が提供される。本発明により提供されるフェブキソスタットの小型化結
晶及びその微粉化物は、非晶質体を含有せず、したがって、非晶質体を経由した他の結晶
形態への転移も生じないので長期にわたって安定に保たれる。また、本発明により、溶媒
残量が医薬品製造上の問題にならない程度に十分低い、フェブキソスタットの小型化結晶
の微粉化物が提供される。また、本発明により、高い嵩密度及び/またはタップ密度を有
するフェブキソスタットの小型化結晶及びその微粉化物が提供される。さらに、本発明に
より、小さい粒子サイズで狭い範囲に分布する良好な粒度分布を有するフェブキソスタッ
トの小型化結晶及びその微粉化物が提供される。さらにまた、本発明により、小さな安息
角及び/又は優れたハンドリング性を有するフェブキソスタットの小型化結晶及びその微
粉化物が提供される。さらに、驚くべきことに、アセトニトリルから晶出させた小型化C
晶を用いれば、原薬の粉砕工程を経ずに、直接製剤化することもできる。そして、本発明
により、前記の優れた性質の一又は二以上を備えたフェブキソスタットの小型化結晶及び
その微粉化物を有効成分として含有する、痛風、高尿酸血症、慢性腎臓病の予防及び又は
治療のための、安定性及び溶出性に優れ、かつ溶出特性のばらつきが少ない固形製剤を提
供することができる。
加えて、本発明により、実質的に非晶質体のみからなるフェブキソスタット、及びその
製造方法、並びに、フェブキソスタットの非晶質体の定量方法を提供することができる。
例2で得たG晶の粉末X線回折スペクトルである。6.86°、8.36°、9.60°、11.76°、15.94°の回折角に強いピークを有する、G晶に特徴的な粉末X線回折スペクトルが得られた(例6)。 例4で得た未粉砕のメタノール水C晶の粉末X線回折スペクトルである。6.62°、10.82°、13.36°、15.52°、25.18°の回折角に強いピークを有する、C晶に特徴的な粉末X線回折スペクトルが得られた(例6)。 例3で得た未粉砕のアセトニトリルC晶の粉末X線回折スペクトルである。6.62°、10.82°、13.36°、15.52°、25.18°の回折角に強いピークを有する、C晶に特徴的な粉末X線回折スペクトルが得られた(例6)。 例5で得たアセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物の粉末X線回折スペクトルである。6.62°、10.82°、13.36°、15.52°、25.18°の回折角に強いピークを有する、C晶に特徴的な粉末X線回折スペクトルが得られた(例6)。 例4で得た未粉砕のメタノール水C晶の赤外吸収スペクトルである。1703cm−1付近及び2240cm−1付近にピークを有する、C晶に特徴的な赤外吸収スペクトルが得られた(例7)。 例3で得た未粉砕のアセトニトリルC晶の赤外吸収スペクトルである。1703cm−1付近及び2240cm−1付近にピークを有する、C晶に特徴的な赤外吸収スペクトルが得られた(例7)。 例5で得たアセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物の赤外吸収スペクトルである。1703cm−1付近及び2240cm−1付近にピークを有する、C晶に特徴的な赤外吸収スペクトルが得られた(例7)。
例4で得た未粉砕のメタノール水C晶の示差走査熱量測定スペクトルである。約201℃〜約202℃付近にのみ単一のピークを有する、純粋なC晶に特徴的な赤外吸収スペクトルが得られた(例8)。 例3で得た未粉砕のアセトニトリルC晶の示差走査熱量測定スペクトルである。約201℃〜約202℃付近にのみ単一のピークを有する、純粋なC晶に特徴的な赤外吸収スペクトルが得られた(例8)。 例5で得たアセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物の示差走査熱量測定スペクトルである。約201℃〜約202℃付近にのみ単一のピークを有する、純粋なC晶に特徴的な赤外吸収スペクトルが得られた(例8)。 例4で得た未粉砕のメタノール水C晶の粒度分布を示す図50よびデータである。未粉砕のメタノール水C晶のD50は36.819μm、D90は133.348μmであった(例9)。 例3で得た未粉砕のアセトニトリルC晶の粒度分布を示す図およびデータである。未粉砕のアセトニトリルC晶のD50は20.483μm、D90は73.755μmであった(例9)。 例5で得たアセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物(粉砕圧力3kgf・供給圧力4kgf)の粒度分布を示す図Xおよびデータである。アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物のD50は3.637μm、D90は7.346μmであり、0.4μm〜20μmの粒子径範囲にほぼすべての粒子が収まるシャープな粒度分布を示した(例9)。 例11で得たアセトニトリルC晶のボールミル粉砕物(60分間粉砕物)の粉末X線回折スペクトルである。非晶質体に特徴的な平坦化した粉末X線回折スペクトルが得られた。
例11で得たアセトニトリルC晶のボールミル粉砕物(60分間粉砕物)の赤外吸収スペクトルである。1688cm−1付近及び2230cm−1付近にピークを有する非晶質体に特徴的な赤外吸収スペクトルが得られた。 例11で得たアセトニトリルC晶のボールミル粉砕物(60分間粉砕物)の示差走査熱量測定スペクトルである。ボールミル粉砕によって約201℃〜約202℃の吸熱ピークが消失するとともに、約210℃の強い吸熱ピークと約84.6℃近辺の発熱ピークが現れた。 例4で得たメタノール水C晶(未粉砕)のC晶の走査電子顕微鏡写真(倍率100倍)である。写真の下の横棒の全長が1000μm(1mm)の長さを示し、横棒の目盛が100μmの長さを示す。柱径約20μm前後、長さ1000μm以上の柱状晶が観察された(例14)。 例4で得たメタノール水C晶(未粉砕)の走査電子顕微鏡写真(倍率80倍)である。写真の下の横棒の全長が1000μm(1mm)の長さを示し、横棒の 目盛が100μmの長さを示す。柱径約20μm前後、長さ1000μm以上の柱状 晶が観察された(例14)。 例4で得たメタノール水C晶(未粉砕)の走査電子顕微鏡写真(倍率80倍)である。写真の下の横棒の全長が1000μm(1mm)の長さを示し、横棒の 目盛が100μmの長さを示す。柱径約20μm前後、長さ1000μm以上の柱状晶が観察された(例14)。
例3で得た未粉砕のアセトニトリルC晶の走査電子顕微鏡写真(倍率500倍)である。写真の下の横棒の全長が200μmの長さを示し、横棒の目盛が20μmの長さを示す。柱径約6μm前後、長さ約20μm前後の柱状晶が観察された(例14)。 例3で得た未粉砕のアセトニトリルC晶の走査電子顕微鏡写真(倍率500倍)である。写真の下の横棒の全長が200μmの長さを示し、横棒の目盛が20μmの長さを示す。柱径約6μm前後、長さ約20μm前後の柱状晶が観察された(例14)。 例3で得た未粉砕のアセトニトリルC晶の走査電子顕微鏡写真(倍率500倍)である。写真の下の横棒の全長が200μmの長さを示し、横棒の目盛が20μmの長さを示す。柱径約6μm前後、長さ約20μm前後の柱状晶が観察された(例14)。 例5で得たアセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物の走査電子顕微鏡写真(倍率4000倍)である。写真の下の横棒の全長が20μmの長さを示し、横棒の目盛が2μmの長さを示す。もはや柱状晶の形状を維持しておらず、多少は短径と長径の長さの差はあっても、概ね1.5μm〜6.5μmの径を有する粒状物であった(例14)。 例5で得たアセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物の走査電子顕微鏡写真(倍率4000倍)である。写真の下の横棒の全長が20μmの長さを示し、横棒の目盛が2μmの長さを示す。もはや柱状晶の形状を維持しておらず、多少は短径と長径の長さの差はあっても、概ね1.5μm〜6.5μmの径を有する粒状物であった(例14)。
例5で得たアセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物の走査電子顕微鏡写真(倍率4000倍)である。写真の下の横棒の全長が20μmの長さを示し、横棒の目盛が2μmの長さを示す。もはや柱状晶の形状を維持しておらず、多少は短径と長径の長さの差はあっても、概ね1.5μm〜6.5μmの径を有する粒状物であった(例14)。 アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物(粉砕圧力3kgf・供給圧力4kgf)の各種試験液(溶出試験第1液(pH1.2)、pH5.5のMcllvaine緩衝液、溶出試験第2液(pH6.8)、及び水)への溶解速度を測定し、未粉砕のアセトニトリルC晶の溶解速度、及び市販のA晶の溶解速度と対比した図である。いずれの試験液に対しても、アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物は、A晶と同等かA晶以上の溶出速度を示す優れた原薬であることがわかった。(例17) アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物を有効成分として含有する錠剤の、Mcllvaine緩衝液(pH5.5)に対する溶出速度を測定し、未粉砕のアセトニトリルC晶を含む錠剤、市販のA晶を含む錠剤、F錠、フィルムコーティング剥離したF錠の溶出速度と対比した図である。アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物を含む錠剤は、C晶であるにもかかわらず、いずれの錠剤よりも速い溶出速度を示し、60分後の時点では、A晶を含む錠剤、F錠(登録商標)及びフィルムコーティング剥離したF錠(登録商標)のいずれとも同等の約95%の溶出率を示す優れた錠剤であることが確認できた(例18)。 アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物を、褐色ガラス瓶に入れて蓋をするか、ポリエチレン袋に入れて口を閉じて、長期保存条件下においた場合に、6ヶ月まで不純物の量が増加しないことを確認した図である。アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物は優れた保存安定性を有することが確認できた(例19参照)。 アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物を、褐色ガラス瓶に入れて蓋をするか、ポリエチレン袋に入れて口を閉じて、加速条件下においた場合に6ヶ月まで不純物の量が増加しないことを確認した図である。アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物は優れた保存安定性を有することが確認できた(例19参照)。 アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物を、褐色ガラス瓶に入れて蓋をするか、ポリエチレン袋に入れて口を閉じて、長期保存条件下または加速条件下においた場合に3ヶ月の時点で結晶転移が生じていないことを確認した図である。アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物は優れた保存安定性を有することが確認できた(例19参照)。 アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物を用いて製造した試作錠(素錠およびフィルムコーティング錠)、及びF錠を、褐色ガラス瓶に入れて蓋をするか、ポリエチレン袋に入れて口を閉じて、加速条件下においた場合に3ヶ月まで不純物の量が増加しないことを確認した図である。アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物を用いて製造した試作錠は、F錠と同等の保存安定性を有することが確認された(例20参照)。 アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物を用いて製造した試作錠(素錠およびフィルムコーティング錠)、及びF錠を、褐色ガラス瓶に入れて蓋をするか、ポリエチレン袋に入れて口を閉じて、苛酷条件下においた場合に3ヶ月まで不純物の量が増加しないことを確認した図である。アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物を用いて製造した試作錠は、F錠と同等の保存安定性を有することが確認された(例20参照)。 アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物を用いて製造した試作錠(フィルムコーティング錠)及びF錠(20mg錠)の日本薬局方の溶出試験第1液(pH1.2):図33左上、McIlvain緩衝液(pH5.0):図33右下、溶出試験第2液(pH6.8):図33左下、精製水:図33右上に対する溶出性を示した図である。いずれの条件においても、アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物を用いて作製した試作FC錠(MeCN粉砕)(20mg錠)の試験液への溶出率は、F錠(20mg錠)の溶出率とほぼ同じか若干上回っており、良好な溶出特性を示した。 未粉砕のメタノール水C晶の性状を示す外観写真である。未粉砕のメタノール水C晶(例23参照)は、ふわふわした綿毛状の嵩高い塊であり、未粉砕のA晶よりも大きな1mmを超えるサイズの針状晶が目視で確認できた(例23参照)。未粉砕のメタノール水C晶の安息角の測定は困難であることが一目で理解できる。 未粉砕のアセトニトリルC晶の性状を示す外観写真である。未粉砕のアセトニトリルC晶(例23参照)は、やや嵩高い塊を形成する傾向があるが、未粉砕のメタノール水C晶よりも小さく、かつ、未粉砕のメタノール水C晶よりも密度の高い塊であった。未粉砕のアセトニトリルC晶の塊の周囲を良く目を凝らして見ると、小さな針状晶らしきものが確認できた。 アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物の性状を示す外観写真である(例23参照)。アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物(図36)も、塊を形成する傾向があった。写真では塊が見えるが、スパーテル等で突つくと軽く崩れるきめ細かい粉である。 アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物をプラスチックスプーンで均した図である。容易に平らになり、きめ細かな微粒子が寄り集まっていることがわかった(例23参照)。 アセトニトリルC晶のボールミル粉砕物の性状を示す外観写真である(例23参照)。アセトニトリルC晶のボールミル粉砕物(図38)も、塊を形成する傾向があったが、針状晶らしき構造は見えず、アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物と同様にプラスチックスプーンで均すと、容易に平らになり、崩れやすいきめ細かな微粒子が寄り集まっていることがわかった。 アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物(図36)とアセトニトリルC晶のボールミル粉砕物(図38)は、写真では塊を形成してはいるが、とても崩れやすい塊であり、スパーテルで掬い取った際の粉の動きはコーンスターチ(図39)や片栗粉(図40)の粉の動きにとてもよく似ていた。 コーンスターチの性状を示す外観写真である(例23参照)。 片栗粉の性状を示す外観写真である(例23参照)。 C晶原体及びC晶製剤の13C固体NMRチャートである。A晶原体及びA晶製剤には存在せず、C晶原体及びC晶製剤には共通して存在するいくつかの特徴的なピークがあることがわかる。 ラマン分析によってC晶を、A晶及び各添加剤と区別できることを示すスペクトル図である。C晶は約1695shift/cm−1のピークによって、A晶及び添加物と区別できることが確認できた。 ラマン分析によってC晶を、A晶及び各添加剤と区別できることを示すスペクトル図。C晶は約1695shift/cm−1のピークによって、A晶及び各添加剤と区別でき、A晶は、約1450shift/cm−1、約1330shift/cm−1のピークによって、C晶及び各添加剤と区別できることが確認できた。 C晶のラマンイメージングの画像である。直径10μm以下のC晶の粒子が無数に確認できた。 C晶のラマンイメージングの粒子解析の結果である。原点から横軸の20の目盛まで順に4本の棒があるのは左から順に0〜5μmのC晶の数、5〜10μmのC晶の数、10〜15μmのC晶の数、15〜20μmのC晶の数をそれぞれ示す。C晶の粒子の大半が5μm以下であることが確認できた。 未粉砕のメタノール水C晶の共焦点レーザー蛍光顕微鏡写真である。右側の図は同じ視野の微分干渉撮影写真である。未粉砕のメタノール水C晶には1mmを超えるサイズの結晶も多数みられた。 未粉砕のアセトニトリルC晶の共焦点レーザー蛍光顕微鏡写真。右側の図は同じ視野の微分干渉撮影写真である。長軸の長さが約10μm〜20μmの針状晶が多数蛍光観察された。 アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物の共焦点レーザー蛍光顕微鏡写真。右側の図は同じ視野の微分干渉撮影写真である。図23〜図25の走査電子顕微鏡写真と同様に直径3μm前後の粒子が多数寄り集まっていることが確認できた。 アセトニトリルC晶のボールミル粉砕物の共焦点レーザー蛍光顕微鏡写真。右側の図は同じ視野の微分干渉撮影写真である。丸みを帯びた様々な大きさの蛍光粒子が観察された。 プラセボ錠の共焦点レーザー蛍光顕微鏡写真。右側の図は同じ視野の微分干渉撮影写真である。蛍光は観察されなかった。 未粉砕のアセトニトリルC晶を用いて作製した試作錠の共焦点レーザー蛍光顕微鏡写真。右側の図は同じ視野の微分干渉撮影写真である。多数の直径5μm前 後の蛍光を発する粒子が観察されたことは、未粉砕のアセトニトリルC晶が際立って大きい比表面積を有することとも符合する。未粉砕のアセトニトリルC晶を用いた固形製剤は、良好な溶出特性を具えていることが理解できる。 アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物を用いて作製した試作錠の共焦点レーザー蛍光顕微鏡写真。右側の図は同じ視野の微分干渉撮影写真である。直径2〜3μm前後のほぼ均一な大きさの蛍光を発する粒子が観察された。 アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物を用いて作製した試作錠の共焦点レーザー蛍光顕微鏡写真。右側の図は同じ視野の微分干渉撮影写真である。直径2〜3μm前後のほぼ均一な大きさの蛍光を発する粒子が観察された。
フェブキソスタットのC晶(本明細書では特許第3547707号公報の開示に合わせ
てこの結晶を「C晶」と呼ぶが、「C形結晶」などと呼ばれる場合もある)は、例えばJ
ournal of Chemical Engineering of Japan,
Vol.35,No.11,pp.1116−1122,2002の「2.3.Crys
tallization」の項に記載された結晶化方法に従って製造することができる。
得られた結晶がC晶であることは、特許第3547707号公報に示された図4の粉末X
線回折図から当業者が容易に同定可能である。同定のためには、必要に応じて同公報に開
示された2θのピーク位置(Cuを線源とする1.54オングストロームの波長のCuK
α放射線を用いた場合の回折角で6.62°、10.82°、13.36°、15.52
°、16.74°、17.40°、18.00°、18.70°、20.16°、20.
62°、21.90°、23.50°、24.78°、25.18°、34.08°、3
6.72°、及び38.04°のうちのいずれか1つ又は2つ以上、好ましくは同公報の
図4に示される高強度のピークとして13.36°及び/又は15.52°のピーク位置
)、及び同公報の図9の赤外吸収スペクトルを参照することもできる。
フェブキソスタットのC晶は、1.54オングストロームの波長のCuKα放射線(放
射光)を用いた粉末X線回折において、好ましくは6.62°の回折角にピークを有し1
2.8°の回折角にピークを有さない結晶として特定され、より好ましくは6.62°、
13.36°及び15.52°の回折角にピークを有する結晶として特定され、さらにこ
のましくは、6.62°、10.82°、13.36°、15.52°及び25.18°
の回折角にピークを有する結晶として特定され、もっとも好ましくは6.62°、10.
82°、13.36°、15.52°、16.74°、17.40°、18.00°、1
8.70°、20.16°、20.62°、21.90°、23.50°、24.78°
、25.18°、34.08°、36.72°、及び38.04°の回折角にピークを有
する結晶として特定される。
この場合の回折角の誤差範囲は、粉末X線回折測定装置が適正に構成されていることを
条件として、±0.2°以内である。
また、回折角2θは照射する放射光の波長λによって変わるが、放射光の波長λと回折
角2θの間には、ブラッグの式(nλ=2dsin(θ))の関係が成立する。なお、こ
こで、dは結晶面の間隔、θは結晶面とX線が成す角度、λはX線の波長、nは整数であ
る。したがって、放射光の波長λと回折角2θは一対一に対応し、相互に一意に変換可能
である。すなわち、ある放射光の波長λ1を照射したときにA1の回折角が観察されるの
であれば、異なる波長の波長λ2を照射したときに観察されるべき回折角A2を計算で求
めることができる。
したがって、本発明において、粉末X線回折測定装置よって結晶形を同定する手段は、
CuKα放射線を用いて測定した粉末X線回折による回折角の同定に限定されず、異なる
波長の放射光を用いても良い。例えば、サイクロトロン等を用いた場合には、波長0.7
5オングストロームの放射光や波長1.0オングストロームの放射光を用いることもでき
る。その場合、ブラッグの式を用いて変換された回折角を、ブラッグの式を用いて変換さ
れた誤差範囲内に同定することによって、結晶形を同定することができる。
あるいは、フェブキソスタットのC晶は、特許第3547707号公報の図9の赤外吸
収スペクトル、あるいは、非特許文献2のFig.3のFT−IRスペクトルから当業者
が容易に特定可能な物質である。具体的には、フェブキソスタットのC晶は、赤外吸収ス
ペクトルにおいて、1219cm−1付近、1269cm−1付近、1296cm−1
近、1703cm−1付近、2240cm−1付近に特徴的なピークを有する。
また、あるいは、フェブキソスタットのC晶は、固体15N−NMRにおいて、210
ppm及び282ppmに鋭いシングルピークを有する結晶形として、または、固体13
C−NMRにおいて、約20ppmにほぼ等価なトリプレットピークを有する結晶形とし
て当業者が容易に特定可能な物質である(特許第4084309号公報の参考例3を参照
)。
特許第3547707号公報に開示されるように、フェブキソスタットについては、A
晶、B晶、C晶、D晶、及びG晶(BH晶)の存在が知られている。同公報におけるこれ
らの結晶について開示の全てを参照により本明細書の開示として含める。一般的には、A
晶については同公報の図2に示される粉末X線回折チャートにおける2本の高強度ピーク
の2θのいずれか又は両方(12.80°及び/又は7.18°)、B晶については同公
報の図3に示される粉末X線回折チャートにおける2本の高強度ピークの2θのいずれか
又は両方(11.50°及び/又は15.76°)、D晶については同公報の図5に示さ
れる粉末X線回折チャートにおける4本の高強度ピークの2θのいずれか1つ又は2つ以
上(8.32°、9.68°、12.92°及び17.34°)、G晶については同公報
の図6に示される粉末X線回折チャートにおける5本の高強度ピークの2θのいずれか1
つ又は2つ以上(6.86°、8.36°、9.60°、11.76°及び/又は15.
94°)をそれぞれ特徴的ピークとして利用することができる。一般的には、A晶、B晶
、D晶、及びG晶についての上記の高強度ピークのいずれの位置にもピークが検出されず
、13.36°及び/又は15.52°の位置に高強度のピークが検出される場合にはC
晶として同定することができる。なお、粉末X線回折チャートにおける2θの測定誤差は
一般的には0.2°以下程度である。
フェブキソスタットのC晶は示差走査熱量測定(DSC)で約201℃〜約202℃に
単一の吸熱ピークを示すが、C晶に非晶質体が含まれている場合には示差走査熱量測定に
おける加熱により非晶質体が他の結晶形、例えばA晶などに変化して約201℃〜約20
2℃と異なる吸熱ピークを与える場合がある。例えば、示差走査熱量測定で約201℃〜
約202℃に単一の吸熱ピークを与えるC晶をメノウ乳鉢で粉砕して示差走査熱量測定を
行うと210℃に小さなピークが発生する場合があり、粉砕の程度に比例して210℃の
ピークが強くなり、80℃付近に発熱ピークが認められる場合がある。
北村の報告(Crystal Growth & Design,4,pp.1153
−1159,2004(非特許文献4))において、フェブキソスタットのC晶では複数
のピークを与えるとされているが(p.1155のFig.4bの「c form」)、
これはメノウ乳鉢で粉砕することによりC晶の一部が非晶質体化し、示差走査熱量測定の
加熱条件でこの非晶質体からA晶などの他の結晶形を生成したり、他の結晶形への熱転移
を起こすことが理由であると考えられ、本来、C晶は約201℃〜約202℃に単一の吸
熱ピークを与える結晶であると理解される。
本発明のフェブキソスタットのC晶の製造方法によれば、好ましくは約200℃〜約2
03℃、より好ましくは約201℃〜約202℃にのみ単一のピークを有する示差走査熱
量測定スペクトルを示すC晶を製造することができる(図9及び図10)。つまり、本発
明の方法によれば、融液媒介転移を示さない純粋なフェブキソスタットのC晶を得ること
ができる。
上記の観点から、フェブキソスタットのC晶から他の結晶形への転移を生じさせないた
めに、フェブキソスタットの小型化C晶、及びフェブキソスタットの小型化C晶の微粉化
物は実質的に非晶質体を含まないことが好ましい。
一般的には、フェブキソスタットの小型化C晶、及びその微粉化物に含まれる非晶質体
、A晶、B晶、D晶又はG晶の割合は約7質量%以下、好ましくは約5質量%以下、より
好ましくは約3質量%以下、さらに好ましくは約1%以下、さらにより好ましくは約0.
1%以下、もっとも好ましくは実質的に0%である。なお、フェブキソスタットの小型化
C晶、及びその微粉化物に他の結晶形(A晶、B晶、D晶、及びG晶)が混入していない
ことは、例えば、C晶粉砕物の粉末X線回折チャートにおいて上記に説明したA晶、B晶
、D晶、及びG晶の上記の高強度ピークがいずれも検出されないことにより確認すること
ができる。
本発明のフェブキソスタットの小型化C晶の長軸の長さは、約200μm以下、好まし
くは約100μm以下、より好ましくは約50μm以下、さらに好ましくは約30μm以
下、さらにより好ましくは約20μm以下、もっとも好ましくは約10μm以下である。
本発明のフェブキソスタットの小型化C晶の粒度は、積算粒度分布(体積基準)が50
%となる粒径(D50またはメディアン径)が約100μm以下、好ましくは約50μm
以下、より好ましくは約20μm以下、さらに好ましくは約10μm以下、よりさらに好
ましくは約5μm以下、もっとも好ましくは約3.6μm以下であり、積算粒度分布(体
積基準)が90%となる粒径(D90)が約200μm以下、好ましくは約100μm以
下、より好ましくは約50μm以下、さらに好ましくは約20μm以下、もっとも好まし
くは約10μm以下である。
本発明のフェブキソスタットの小型化C晶は、積算粒度分布(体積基準)が50%とな
る粒径(D50またはメディアン径)が約21μm以下、及び/又は、積算粒度分布(体
積基準)が90%となる粒径(D90)が74μm以下の小型化C晶が得られるのであれ
ば特に限定されず、いかなる手段を採用しても良いが、上記のとおり、粉砕後のC晶粉砕
物が実質的に非晶質体を含まない粉砕物であることが好ましいことから、粉砕に際してC
晶を実質的に非晶質体化しない手段を採用することが好ましい。
本発明のフェブキソスタットの小型化C晶の定容量法による嵩密度は、好ましくは約0
.15g/ml以上であり、より好ましくは約0.20g/ml以上であり、さらに好ま
しくは約0.25g/ml以上である。本発明のフェブキソスタットの小型化C晶の定容
量法によるタップ密度は、好ましくは約0.20g/ml以上であり、より好ましくは約
0.25g/ml以上であり、さらに好ましくは約0.30g/ml以上であり、最も好
ましくは約0.34g/ml以上である。
このようなフェブキソスタットの小型化C晶を得るための方法としては、メタノールと
混合溶媒以外の溶媒から晶出させることができるが、アセトニトリルまたはアセトニトリ
ルとプロパノール等との混合溶媒から晶出させることが望ましく、フェブキソスタットを
アセトニトリル中に懸濁して室温で撹拌することがより望ましい。晶出させるための撹拌
時間としては約4時間〜約16時間が望ましい。本発明の、フェブキソスタットの小型化
C晶は、C晶の種晶を加えなくても製造できるが、短時間で確実に製造するためには種晶
を加えることが望ましい。C晶の種晶は背景技術で述べた公知の方法により製造すること
ができ、また、試験研究用に種々の原薬メーカー等から入手することもできる。
さらに別の観点からは、本発明により、フェブキソスタットの小型化C晶の製造方法で
あって、G晶を原料としてアセトニトリルからC晶を晶出させる工程を含む方法、及びフ
ェブキソスタットの小型化C晶であって、G晶を原料としてをアセトニトリルからC晶を
晶出させる工程により得ることができるC晶が提供される。この発明の好ましい態様によ
れば、示差走査熱量測定で好ましく約200℃〜約203℃、より好ましくは約201℃
〜約202℃に単一の吸熱ピークを有する上記の小型化C晶が提供される。
フェブキソスタットの小型化C晶の日本薬局方第2液に対する溶解速度は、例えば、特
許第4084309号の参考例2、又は本明細書の例17に記載した方法に従って測定す
ることができ、約0.10mg/cm/min、好ましくは約0.14mg/cm
min以上である。あるいは、フェブキソスタットの小型化C晶の日本薬局方第2液に対
する溶解速度は、約0.5mg/ml/min以上、好ましくは、約0.6mg/ml/
min以上である。または、フェブキソスタットの小型化C晶のpH5.5のMcIlv
aine緩衝液に対する溶解速度は、約13μg/ml/min以上、好ましくは、約1
4μg/ml/min以上である。また、フェブキソスタットの小型化C晶の質量当たり
の表面積がメタノールと水の混合溶媒から析出したC晶の質量当たりの表面積に比べて、
5倍以上増加していることが好ましい。
本発明のフェブキソスタットの小型化C晶の微粉化物の長径は、約100μm以下、好
ましくは約50μm以下、より好ましくは約20μm以下、さらに好ましくは約10μm
以下、よりさらに好ましくは約5μm以下、もっとも好ましくは約2μm以下である。
本発明のフェブキソスタットの小型化C晶の微粉化物は、好ましくは結晶全体の約80
%以上、さらに好ましくは約90%以上、さらに好ましくは約95%以上、もっとも好ま
しくは実質的に100%の結晶において長軸の長さが約20μm以下となるような粉砕物
として得ることができる。
また、本発明のフェブキソスタットの小型化C晶微粉化物は、その長径が約100μm
以下、好ましくは約50μm以下、より好ましくは約30μm以下、さらに好ましくは約
20μm以下、よりさらに好ましくは約10μm以下、もっとも好ましくは約5μm以下
である。
フェブキソスタットの小型化C晶の微粉化物の積算粒度分布(体積基準)が50%とな
る粒径(D50)は、約25μm以下、好ましくは約10μm以下、より好ましくは約7
μm以下、さらに好ましくは約5μm以下、よりさらに好ましくは約4μm以下、もっと
も好ましくは約3μm以下であり、積算粒度分布(体積基準)が90%となる粒径(D9
0)が50μm以下、好ましくは約20μm以下、より好ましくは約10μm以下、さら
に好ましくは約8μm以下、よりさらに好ましくは約7μm以下、もっとも好ましくは約
6μm以下である。
本発明のフェブキソスタットの小型化C晶の微粉化物の定容量法による嵩密度は、好ま
しくは約0.20g/ml以上であり、より好ましくは0.30g/ml以上であり、さ
らに好ましくは0.40g/ml以上である。本発明のフェブキソスタットの小型化C晶
の微粉化物の定容量法によるタップ密度は、好ましくは約0.30g/ml以上であり、
より好ましくは0.40g/ml以上であり、さらに好ましくは0.50g/ml以上で
あり、最も好ましくは0.60g/ml以上である。
本発明のフェブキソスタットの小型化C晶の微粉化物を得るための粉砕手段としては、
積算粒度分布(体積基準)が50%となる粒径(D50またはメディアン径)が4μm以
下、及び/又は、積算粒度分布(体積基準)が90%となる粒径(D90)が8μm以下
の小型化C晶が得られるのであれば特に限定されず、いかなる手段を採用しても良いが、
上記のとおり、粉砕後のC晶粉砕物が実質的に非晶質体を含まない粉砕物であることが好
ましいことから、粉砕に際してC晶を実質的に非晶質体化しない手段を採用することが好
ましい。
このような粉砕手段としては、例えば、流体式粉砕(気流式粉砕)または溶媒中におけ
る湿式粉砕を採用することができ、流体式粉砕に先立って粗粉砕工程を採用することもで
き、乾式粉砕と組み合わせることも可能である。また、積算粒度分布(体積基準)が50
%となる粒径(D50またはメディアン径)が4μm以下、及び/又は、積算粒度分布(
体積基準)が90%となる粒径(D90)が8μm以下の小型化C晶が得られるのであれ
ば、粉砕手段は不要である。流体式粉砕としては、ジェットミル粉砕またはツインインペ
ラ対向気流乾式粉砕が望ましく、ジェットミル粉砕がより望ましい。
湿式粉砕とは、貧溶媒中に懸濁した結晶に衝撃を加えて粉砕する方法であり、例えば、
湿式ボールミル(ビーズミル)では、ジルコニア製容器に材料、液体、ジルコニアボール
等の粉砕メディアを入れて、粉砕メディアの衝突によって材料の粉砕を行うことができる
。溶媒中で粉砕することから、熱の発生を抑えつつ微粉砕可能である点で優れている粉砕
方法であるので、本発明の粉砕手段として用いることができる。
ジェットミル粉砕とは、粉砕したい物を高速気流に乗せて密閉空間に送り込み、気流ご
と互いに衝突させることにより微粉砕する粉砕方法である。ジェットミル粉砕は、発熱を
抑えつつ瞬時に微粉化できるので、工業生産に適している。ツインインペラ対向気流乾式
粉砕(ドライバースト粉砕)とは、密閉された空間内において、近接して向かい合う歯車
状の構造物である一対のインペラを互いに逆方向に高速回転させた状態で、一方のインペ
ラの側から粉砕したい物を投入して他方のインペラの側へ送り込み、他方のインペラを通
過した後に回収することにより、一対のインペラの間で発生する高速な対向気流中での衝
突によって粉砕する装置であり、シャープな粒度分布で微粉砕することができる。これら
の流体式粉砕(気流式粉砕)は、安定した粒度分布を与えること、及びC晶粉砕物に非晶
質体が混入しない点で本発明において好ましい粉砕手段である。
気流式粉砕又は湿式粉砕は、通常は室温下で行うことができ、ジェットミルを用いる場
合には粉砕圧力を例えば0.5〜5kgf、好ましくは1〜3kgf、供給圧力を1〜6
kgf、好ましくは2〜4kgf程度で行えばよい。
粉砕手段として、例えば摩砕を伴う乳鉢やボールミルなどのタンブラー式粉砕機(媒体
式)を用いることもできるが、微粉化に限界があり、長時間操作すると粒度分布が悪化し
、非晶質体が混入する場合がある。また、ハンマーの高速回転を基本原理とするハンマー
ミルなどの衝撃式粉砕機(高速回転式)や、その一種であるサンプルミルを使用すること
もできるが、粉砕を長時間行うと粒度分布が悪化し、非晶質体化及び/又は結晶転移が生
じる場合があるので、好ましくなく、衝撃式粉砕機(高速回転式)を用いる場合には短時
間に粉砕を完了することが望ましい。
フェブキソスタットの小型化C晶の微粉化物の日本薬局方第2液に対する溶出速度は、
例えば、特許第4084309号の参考例2、又は本明細書の例17に記載した方法に従
って測定することができ、約0.10mg/cm/min、好ましくは約0.14mg
/cm/min以上である。あるいは、フェブキソスタットの小型化C晶の微粉化物の
日本薬局方第2液に対する溶解速度は、約0.5mg/ml/min以上、好ましくは、
約0.6mg/ml/min以上である。または、フェブキソスタットの小型化C晶の微
粉化物のpH5.5のMcIlvaine緩衝液に対する溶解速度は、約13μg/ml
/min以上、好ましくは、約14μg/ml/min以上である。また、フェブキソス
タットの小型化C晶の質量当たりの表面積がメタノールと水の混合溶媒から析出したC晶
の質量当たりの表面積に比べて、5倍以上増加していることが好ましい。
別の観点からは、本発明により、フェブキソスタットの小型化C晶又はその微粉化物の
製造方法であって、柱状晶であるC晶の長軸の長さが約100μm以下、好ましくは約5
0μm以下、さらに好ましくは約20μm以下、もっとも好ましくは約10μm以下とな
るように粉砕してフェブキソスタットのC晶の微粉化物を調製する工程を含む方法が提供
される。
なお、本発明においては、フェブキソスタットのC晶は柱状晶として得られ、フェブキ
ソスタットの小型化C晶の微粉化物は柱状晶の晶癖をとどめない粒状物であることから、
以下、柱状晶の長軸も含めて最も長い径を長径と呼び、柱状晶の端部の短径も含めて最も
短い径を短径と呼ぶ。
これらの条件を満足するフェブキソスタットの小型化C晶の微粉化物を本発明の固形製
剤において特に好ましく使用することができる。
このようにして得たフェブキソスタットの小型化C晶又はその微粉化物を固形成分の有
効成分として用いることにより、長期にわたり安定で、かつ溶出速度が顕著に改善し、溶
出特性にばらつきを生じない固形製剤を提供することができる。
本発明の固形製剤は、小型化C晶又はC晶の微粉化物を、有効成分である2−[3−シ
アノ−4−(2−メチルプロポキシ)フェニル]−4−メチルチアゾール−5−カルボン
酸(すなわちフェブキソスタット)の総量の少なくとも30%以上、好ましくは50%以
上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上、よりさらに好ましくは9
5%以上、もっとも好ましくは好ましくは99%以上の含有量で含有することにより、長
期にわたり安定で、かつ溶出速度が顕著に改善し、溶出特性にばらつきを生じない固形製
剤を提供することができる。
なお、フェブキソスタットの含有量は、重量で特定することができるが、粒子の重量は
粒子の体積または粒子数に応じて定まることから、フェブキソスタット粒子の体積または
粒子数で特定しても良い。フェブキソスタット粒子の体積及び粒子数は蛍光顕微鏡写真や
顕微ラマン画像から算出することができる。したがって、小型化C晶又はC晶の微粉化物
の含有量は、蛍光顕微鏡写真や顕微ラマン画像から算出して決定することができる。
好ましい態様によれば、本発明により、フェブキソスタットの小型化C晶又はその微粉
化物が実質的にA晶を含まない上記の固形製剤;フェブキソスタットの小型化C晶又はそ
の微粉化物が実質的にG晶を含まない上記の固形製剤;フェブキソスタットの小型化C晶
又はその微粉化物が実質的に非晶質体を含まない上記の固形製剤;フェブキソスタットの
小型化C晶又はその微粉化物に含まれる非晶質体が7重量%以下である上記の固形製剤;
G晶を原料としてアセトニトリルから晶出させて製造したフェブキソスタットの小型化C
晶又はその微粉化物を含有する上記の固形製剤;示差走査熱量測定で好ましく約200℃
〜約203℃、より好ましくは約201℃〜約202℃に単一の吸熱ピークを有するフェ
ブキソスタットの小型化C晶又はその微粉化物を含有する上記の固形製剤;及び、錠剤の
形態である上記の固形製剤が提供される。
別の観点からは、本発明により、フェブキソスタットの小型化C晶又はその微粉化物を
有効成分として含む固形製剤の製造方法であって、長径が約200μm以下、好ましくは
約100μm以下、より好ましくは約50μm以下、さらに好ましくは約30μm以下ま
たは約20μm以下、さらにより好ましくは約10μm以下、もっとも好ましくは約5μ
m以下となるようフェブキソスタットの小型化C晶又はその微粉化物を調製する工程を含
む方法が提供される。
また別の観点からは、本発明により、フェブキソスタットの小型化C晶又はその微粉化
物を有効成分として含む固形製剤の製造方法であって、アセトニトリルから晶出したC晶
をそのまま原薬として用い、強い負荷のかかる造粒手段を用いて造粒することによって、
フェブキソスタットの小型化C晶又はその微粉化物を有効成分として含む固形製剤の製造
方法が提供される。具体的には、湿式造粒、乾式造粒または手造粒のような機械的負荷の
かかる造粒方法を用いて、繰り返し造粒するか、または通常の造粒時間よりも長時間かけ
て造粒することによって、造粒と同時に、フェブキソスタットのC晶を小型化又は微粉化
し、フェブキソスタットの小型化C晶又はその微粉化物を有効成分として含む固形製剤を
製造することができる。
また、本発明により、フェブキソスタットの小型化C晶又はその微粉化物を有効成分と
して含む固形製剤の製造方法であって、長径が約100μm以下、好ましくは約50μm
以下、より好ましくは約20μm以下、さらに好ましくは約10μm以下、さらにより好
ましくは約5μm以下となるようフェブキソスタットの小型化C晶又はその微粉化物を有
効成分として含有する固形製剤の製造のための上記のフェブキソスタットの小型化C晶又
はその微粉化物の使用も本発明により提供される。
本発明の形製剤において好ましく使用することができるフェブキソスタットの小型化C
晶又はその微粉化物の質量当たりの表面積は、粉砕前のフェブキソスタットの小型化C晶
の質量当たりの表面積に比べて少なくとも約3倍以上、好ましくは約6倍以上、より好ま
しくは約10倍以上、よりさらに好ましくは約30倍以上増加していることが好ましい。
フェブキソスタットの小型化C晶、及びその微粉化物の走査電子顕微鏡写真の一例をそ
れぞれ図20〜図22及び図23〜図25に示した。フェブキソスタットの小型化C晶、
及びその微粉化物は、たとえ、固形製剤中に含まれていたとしても顕微鏡下で観察する手
法などの画像解析法により、その形状及び大きさを容易に観測することができる。この手
法は例えば錠剤を圧縮成型した後の錠剤中に含まれるC晶粉砕物の様子を観察するために
用いることもでき、例えば蛍光顕微鏡下において結晶の長軸の長さや平均長を測定するこ
とができる。具体的には、非特許文献9の中ではTEI−6720と呼ばれているフェブ
キソスタットの蛍光観察については、励起波長314nm、蛍光波長390nmで蛍光観
察できることが同文献の1849頁右欄最下行に記載されていることから、共焦点蛍光顕
微鏡を用いて、励起波長314nm、蛍光波長390nmで観察することにより錠剤中に
含まれるフェブキソスタットの結晶の大きさを測定することができ、その結晶がC晶であ
ることは、粉末X線回折スペクトル、固体15N−NMR、顕微ラマンを測定することに
よって決定することができる。
本発明の固形製剤に含まれるフェブキソスタットの小型化C晶又はその微粉化物の含有
量は、一般的には固形製剤100重量部に対して1重量部から50重量部程度の範囲であ
る。フェブキソスタットの結晶を含む固形製剤の製造方法は特許第4084309号公報
の第3頁34行〜第5頁9行に具体的に説明されている。上記公報の該当部分の開示を参
照により本明細書の開示として含める。
一般的に医薬の製剤化において当業界で汎用される製剤用添加物を1種又は2種以上使
用することができる。例えば、乳糖、無水乳糖、結晶セルロース、トウモロコシデンプン
、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、D−マンニトール、又はリン酸水
素カルシウムなどの賦形剤、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、低置換
度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルス
ターチナトリウム、又はクロスポビドンなどの崩壊剤、ヒドロキシプロピルセルロース、
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはポリビニルピロリドンなどの結合剤を用い
ることができる。賦形剤の使用量は、例えば固形製剤100重量部に対して50〜98重
量部程度であり、崩壊剤の使用量は、例えば固形製剤100重量部に対して1〜25重量
部程度であり、結合剤の使用量は、例えば固形製剤100重量部に対して0.5〜25重
量部程度であるが、これらの量に限定されることはない。必要に応じて、結合剤、滑沢剤
、コーティング剤、可塑剤、希釈剤、着色剤、保存剤、防腐剤、又は嬌臭剤等の製剤用添
加物を1種又は2種以上用いてもよい。
本発明の固形製剤の形態は特に限定されないが、錠剤の形態が好ましい。錠剤は、一般
的にはC晶粉砕物に賦形剤及び崩壊剤を添加した混合物を圧縮成形することにより製造す
ることができる。例えば、フェブキソスタットの小型化C晶又はその微粉化物を含む上記
混合物を直接打錠することにより錠剤を製造することができ、あるいはスラッグマシンや
ローラーコンパクターなどを用いた乾式造粒により錠剤用顆粒を製造した後にて圧縮成型
する方法、又は水やエタノールを用い、必要に応じて結合剤の溶液を用いて湿式造粒によ
り錠剤用顆粒を製造した後に圧縮成型する方法などを採用してもよい。錠剤には必要に応
じて糖衣や腸溶コーティングなどのコーティングを施すこともできる。
本発明の固形製剤は、一般的には一日量として0.8〜50mgとなるように一日あた
り1〜3回程度の頻度で投与されるように単位投与形態として提供されることが好ましい
。本発明の固形製剤は、キサンチンオキシターゼ阻害剤、尿酸低下剤、痛風治療剤、高尿
酸血症治療剤、及び慢性腎疾患治療剤として用いることができ、痛風、高尿酸血症、及び
慢性腎疾患の予防及び/又は治療に使用することができる。
また、本発明により、ボールミル粉砕によるフェブキソスタットの非晶質体の製造方法
、及び、実質的に非晶質体のみからなるフェブキソスタットが提供される。
本発明において、実質的に非晶質体のみからなるフェブキソスタットとは、90%以上
、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上、もっとも好ましくは100%非晶
質体のみからなるフェブキソスタットである。
本発明の実質的に非晶質体のみからなるフェブキソスタットの製造方法は、結晶を含有
するフェブキソスタット原薬をボールミル粉砕することによって製造することができる。
ここで、ボールミル粉砕は、遊星ボールミルを用いることが好ましく、粉砕条件は400
rpm以上で行うことが好ましい。また、粉砕時間は60分以上行うことが好ましい。こ
れらの方法により、本発明の、ほぼ実質的に非晶質体のみからなるフェブキソスタットが
提供される。
また、フェブキソスタットではメタノール溶媒和物であるD晶を加熱・減圧乾燥するか
、あるいは粉砕することによって非晶質体を調製できることから、C晶をボールミルで長
時間粉砕した粉砕品を標準品として示差走査熱量スペクトル上のピーク面積比により非晶
質体を定量することができる。具体的には、示差走査熱量スペクトル上の150℃以下の
発熱ピークの面積比を指標としてC晶に混入する非晶質体の含量を定量することができ、
この方法を実施例に具体的に示した。
また、本願の発明者は、示差走査熱量測定において、150℃以下の領域に現れる発熱
ピークの発熱ピーク量(J/g)と非晶質体のフェブキソスタットの量とが正比例の関係
にあることを見出したことから、150℃以下の領域に現れる発熱ピークの発熱ピーク量
(J/g)に基づいて、フェブキソスタット試料中の非晶質体の含有率を測定する方法の
発明が提供される。
フェブキソスタット原薬中の非晶質体の含有率を測定する方法の発明は、例えば、次の
工程によって提供される。
(1)フェブキソスタット試料を示差走査熱量測定する工程、
(2)150℃以下の領域に現れる発熱ピークの発熱ピーク量(J/g)を定量する工程

(3)次式:y=6.0675xのxに前記工程(2)で得られた値を代入してフェブキ
ソスタット試料中の非晶質体の含有率yを算出する工程、
ただし、ここで、式中、xは示差走査熱量測定における150℃以下の発熱ピーク量(
J/g)を表し、yは非晶質体の含有率(質量%)を表す。
本発明のフェブキソスタット試料中の非晶質体の含有率を測定する方法で用いられる式
における定数は、測定条件及び定量方法によって適宜変更して用いることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例
に限定されることはない。
例1:フェブキソスタットエチルエステルの製造
2−[3−ホルミル−4−(2−メチルプロポキシ)フェニル]−4−メチルチアゾー
ル−5−カルボン酸エチル(10.0g,28.8mmol)を90%ギ酸(70ml)
に懸濁後、塩酸ヒドロキシルアミン(2.41g,34.7mmol)及びギ酸ナトリウ
ム(3.14g,46.2mmol)を加え、4時間加熱還流した。水を加え、析出した
結晶をろ取後、水で洗浄し、表題化合物の粗結晶(ウェット状態)を得た。この粗結晶を
メタノールに懸濁させ、室温で撹拌後、結晶をろ取し、メタノールで洗浄した。更に得ら
れた結晶をジクロロメタンに溶出し、不溶物をろ過後、メタノールを加え撹拌した。析出
した結晶をろ取し、メタノールで洗浄後、室温で減圧乾燥して表題化合物(8.31g,
収率83.9%)を白色結晶性粉末として得た。
下記の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)条件における原料化合物及び表題化合
物の保持時間はそれぞれ約9.7min、約13minであった。
検出器:紫外線吸光光度計(測定波長:320nm)
カラム:L−column ODS 4.6×250mm
移動相:50mM KHPO/アセトニトリル=1/3
流量:1ml/min
カラム温度:40℃
例2:フェブキソスタットのG晶の製造
例1で得たフェブキソスタットエチルエステル(8.00g,23.2mmol)をエ
タノール(32ml)及びテトラヒドロフラン(32ml)の混合溶液に懸濁後、水酸化
カリウム(1.84g,27.9mmol)の水(1.84ml)/エタノール(16m
l)溶液を加え、50℃で3.5時間加熱撹拌した。水を加え、不溶物をろ過後、ろ液に
1mol/L塩酸を加えた。析出した結晶をろ取し、水で洗浄後、40℃で一晩減圧乾燥
した。表題化合物の湿結晶7.90g(理論収量7.77g)を得た。粉末X線回折スペ
クトルを測定して、この結晶がG晶であることを確認した(図1)。
例3:アセトニトリルを用いた、フェブキソスタットのC晶の製造。
上述のG晶の一部を採取して、これにC晶の種晶(Journal of Chemi
cal Engineering of Japan,35,pp.1116−1122
,2002の「2.3.Crystallization」の項に記載された結晶化方法
により製造して粉末X線回折スペクトル及び赤外吸収スペクトルにより同定したもの、1
9.5mg)を添加し、アセトニトリル(117ml)を加え、更にC晶の種晶(19.
5mg)を追加した。室温で一晩撹拌後、結晶をろ取し、アセトニトリルで洗浄した。得
られた結晶を一晩風乾後、80℃で48時間減圧乾燥して表題化合物のC晶(6.69g
,収率91%)を白色結晶性粉末として得た(以下、このC晶を「アセトニトリルC晶」
と呼ぶ)。
得られた白色結晶性粉末に含まれる不純物は上記(a)のHPLC条件のピーク面積比
において個々の不純物の最大で0.1以下、総量で0.5%以下であり、白色結晶性粉末
のピーク面積比は99.8%であった。
例4:メタノールと水の混合溶媒を用いた、フェブキソスタットのC晶の製造。
フェブキソスタットのG晶(20.0g)をメタノール/水(1050ml/450m
l)に懸濁後、フェブキソスタットのC晶の種晶(50mg)を加え、50℃で12時間
加熱撹拌した。室温まで放冷後、析出物を濾過し、80℃で16時間減圧乾燥した。得ら
れた粉末は粉末X線回折スペクトル、赤外分光スペクトルよりフェブキソスタットのC晶
であることを確認した(以下、このC晶を「メタノール水C晶」と呼ぶ)。
例5
例3で得たアセトニトリルC晶(190g)をジェットミル(100型/パウレック社
製)で粉砕した。粉砕圧力1kgf・供給圧力2kgf、粉砕圧力2kgf・供給圧力3
kgf及び粉砕圧力3kgf・供給圧力4kgfのいずれの条件でも良好に微粉化された
これらのアセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物中のアセトニトリル残留量を測定し
たところ、いずれも約100ppmであり、粉砕前のアセトニトリル残留量(200pp
m)に比べてアセトニトリルの残留濃度が約2分の1に減少した。なお、1998年に厚
生省から通知された「医薬品の残留溶媒ガイドラインについて」におけるアセトニトリル
残留量の許容濃度は410ppmであるので、200ppmのアセトニトリルが残留して
いる場合には、許容濃度の2分の1のアセトニトリル濃度であるので許容濃度ぎりぎりで
あるが、約100ppmの残留アセトニトリル濃度であれば、許容濃度の4分の1の濃度
であるので、許容限度を超えるリスクがかなり低くなる点で、大きなメリットがある。
例6:粉末X線回折スペクトルの測定
試料約100mgを標準的試料ホルダーに緩く詰め込み、スライドガラスで平滑にし、
ブルカーエイエックスエス(Bruker AXS)卓上型X線回折装置D2 PHAS
ER(CuKα放射線)を用いて回折パターンを測定した。回折パターンを管電圧=30
kV、管電流=10mA、ロックドカップル走査(locked−couple sca
n)、スリット0.6mm、スキャッター0.5mm、2θ範囲=4から40°、ステッ
プサイズ=0.02°、及びステップ時間=0.5秒として収集した。DIFFRAC.
SUITE version2 2.2.59.0及びDUFFRAC.EVA ver
sion 2.1の各ソフトウェアをデータ収集及び分析のために用いた。
粉末X線回折スペクトルを測定した結果を図1〜4に示す。例2で得たG晶の粉末X線
回折スペクトルを図1に、例4で得た未粉砕のメタノール水C晶の粉末X線回折スペクト
ルを図2に、例3で得た未粉砕のアセトニトリルC晶の粉末X線回折スペクトルを図3に
、例5で得たアセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物(粉砕圧力3kgf、供給圧力4
kgf)の粉末X線回折スペクトルを図4に夫々示す。未粉砕のアセトニトリルC晶(図
3)及びアセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物(図4)は、いずれも、6.62°、
13.36°、15.52°の回折角にピークを有するC晶に特徴的な粉末X線回折スペ
クトルを示し、他の結晶形や非晶質体の混入は認められなかった。なお、例4で得た未粉
砕のメタノール水C晶についても、同様に、6.62°、13.36°、15.52°の
回折角にピークを有するC晶の粉末X線回折スペクトルを示し、他の結晶形や非晶質体の
混入は認められなかった。
例7:赤外吸収スペクトルの測定
試料約2mgをメノウ鉢で粉末とし、これに赤外吸収スペクトル用臭化カリウム0.2
0gを加え、速やかにすり混ぜた後、錠剤成型器に入れて加圧製錠し、堀場(HORIB
A)フーリエ変換赤外分光光度計FT−720を用いて赤外吸収スペクトルを測定した。
スペクトルはスキャン回数=10、走査速度=2.5、分解能=4、測定範囲=400か
ら4000cm−1として収集した。HORIBA FT−IR for Window
s(登録商標)version 4.07ソフトウェアをデータ収集及び分析のために用
いた。
赤外吸収スペクトルを測定した結果を図5、図6及び図7に示す。例4で得た未粉砕の
メタノール水C晶(図5)、例3で得た未粉砕のアセトニトリルC晶(図6)、例5で得
たジェットミル粉砕(粉砕圧力3kgf、供給圧力4kgf)後のアセトニトリルC晶(
図7)のいずれも、1703cm−1付近及び2240cm−1付近にピークを有する、
C晶に特徴的な赤外吸収スペクトルを示し、他の結晶形や非晶質体の混入は認められなか
った。例4で得た未粉砕のメタノール水C晶についても同様に、C晶に特徴的な赤外吸収
スペクトルを示し、他の結晶形や非晶質体の混入は認められなかった。
例8:示差走査熱量スペクトルの測定
試料約2mgを試料容器(アルミニウム製、φ5×2.5mm、50μL)に充てんし
、リガク(Rigaku)Therm plus EVOシリーズ高感度示差走査熱量計
DSC8230を用いて、加熱速度10℃/分、大気圧下で示差走査熱量(DSC)を測
定した。Rigaku Thermo plus EVO version 1.006
−6ソフトウェアをデータ収集及び分析のために用いた。
示差走査熱量スペクトルを測定した結果を図9、図8及び図10に示す。例4で得た未
粉砕のメタノール水C晶(図8)、例3で得た未粉砕のアセトニトリルC晶(図9)、例
5で得たジェットミル粉砕(粉砕圧力3kgf、供給圧力4kgf)後のアセトニトリル
C晶(図10)のいずれも、約201℃〜約202℃に単一ピークを示したことから、他
の結晶形や非晶質体の混入は認められなかった。例4で得た未粉砕のメタノール水C晶に
ついても同様に、約201℃〜約202℃に単一ピークを示し、他の結晶形や非晶質体の
混入は認められなかった。
同様に、例5においてジェットミル粉砕の条件を変えて得られたアセトニトリルC晶の
ジェットミル粉砕物の示差走査熱量の測定結果のまとめを表1に示す。ジェットミル粉砕
条件は、粉砕圧力1kgf・供給圧力2kgf、粉砕圧力2kgf・供給圧力3kgf及
び粉砕圧力3kgf・供給圧力4kgfの3条件である。いずれの条件で粉砕しても、約
201℃〜約202℃に単一の吸熱ピークを示したことから、非晶質体や他の結晶形を含
まない純粋なC晶であることが確認できた。
例9:粒度分布の測定
試料約2mgを0.2% Aerosol OTを含むn−ヘキサンに添加し、30秒
間超音波を照射して分散した。この分散液を用いて、島津(Shimadzu)レーザ回
折式粒子径分布測定装置SALD−2200により粒度分布(D50及びD90)を測定
した。Shimadzu WingSALD−2200 version 1.02ソフ
トウェアをデータ収集及び分析のために用いた。
図11は、未粉砕のメタノール水C晶の粒度分布を示す図およびデータである。未粉砕
のアセトニトリルC晶のD50は36.819μm、D90は133.348μmであっ
た。
図12は、未粉砕のアセトニトリルC晶の粒度分布を示す図およびデータである。未粉
砕のアセトニトリルC晶のD50は20.483μm、D90は73.755μmであっ
た。
図13は、アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物(粉砕圧力3kgf・供給圧力4
kgf)の粒度分布を示す図およびデータである。粉砕圧力3kgf・供給圧力4kgf
でジェットミル粉砕したアセトニトリルC晶のD50は3.637μm、D90は7.3
46μmであった。これらの結果から、未粉砕のアセトニトリルC晶に比べて5分の1以
下のD50、及び、10分の1以下のD90を示すこと、並びに、1μm〜10μmの粒
子径の間に90%以上の粒子が分布するより均一な粒度分布を示すことがわかった。
同様に、例5においてジェットミル粉砕の条件を変えて得られたアセトニトリルC晶の
ジェットミル粉砕物の粒度分布の測定結果のまとめを表2に示す。ジェットミル粉砕条件
は、粉砕圧力1kgf・供給圧力2kgf、粉砕圧力2kgf・供給圧力3kgf及び粉
砕圧力3kgf・供給圧力4kgfの3条件である。いずれの条件で粉砕しても、D90
が10μm未満である十分に小さい粒度を示したが、これら3条件の中では、粉砕圧力3
kgf・供給圧力4kgfの条件でジェットミル粉砕した場合に最も小さい粒子径の粉砕
物が得られることが確認できた。
例10:乳鉢による粉砕
例3で得られたアセトニトリルC晶の未粉砕物(5g)を磁製乳鉢(直径13cm)、
磁製乳棒(長さ15cm、重量154g)で強く粉砕し、経時的に粉砕物のサンプリング
を行い、示差走査熱量測定および粒度分布を測定した(表3)。
示差走査熱量測定の結果、乳鉢で粉砕すると、10分後には約210℃に吸熱ピークが
現れることから、C晶以外の結晶形への転移が認められた。また、30分後には、150
℃以下に発熱ピークが現れたことから、非晶質体の混入も確認された。さらに、30分間
にわたって乳鉢粉砕したアセトニトリルC晶の粒度は、10分間にわたって乳鉢粉砕した
アセトニトリルC晶の粒度に比べて、明らかに粒子径が増大していた。メノウ乳鉢および
メノウ乳棒によって粉砕を行っても同様の結果が得られた。
例11:ボールミルによる粉砕
例3で得られたアセトニトリルC晶の未粉砕物(15g)を遊星ボールミル(PM10
0/Retsch社製:125ml容器/20mmボール6個/回転数400rpm)で
粉砕し、経時的に粉砕物のサンプリングを行い、示差走査熱量測定および粒度分布を測定
した(表4)。
示差走査熱量測定の結果、ボールミル粉砕すると約210℃の吸熱ピークは30分後〜
60分後で最大になったこと、及び、150℃以下に現れる発熱ピークは60分間の間、
ボールミルによる粉砕時間に依存して増え続けたこと、及び、60分後にはC晶に特徴的
な約201℃〜約202℃付近に現れる吸熱ピークが消失することから、ボールミル粉砕
によって、C晶が消失して非晶質体化したことが確認できた。さらに、粒度分布もボール
ミルによる粉砕時間に依存して増大し続けたことがわかった。なお、以下、60分間ボー
ルミルで粉砕したアセトニトリルC晶を「アセトニトリルC晶のボールミル粉砕物」とい
うことにする。
また、アセトニトリルC晶を60分間ボールミル粉砕した後の粉砕物の粉末X線回折ス
ペクトル(図14)、赤外分光スペクトル(図15)、示差走査熱量測定スペクトル(図
16)を示す。
アセトニトリルC晶のボールミル粉砕物の示差走査熱量測定スペクトル(表4、図16
)では、C晶に特徴的な約201℃〜約203℃の吸熱ピークが消失しているとともに、
84.5℃付近に発熱ピークがあることから、C晶が消失していること及び非晶質が生じ
ていることがわかった。また、粉末X線回折スペクトル(図14)は明らかに平坦化した
非晶質体に特徴的なスペクトルを示していた。これらの結果から、アセトニトリルC晶を
60分間ボールミル粉砕した粉砕物の粉末は、実質的に非晶質体のみからなると考えられ
た。
アセトニトリルC晶のボールミル粉砕物の赤外分光スペクトル(図15)は、非晶質体
に特徴的な位置にピークが現れていた(特許3547707号の図16を参照)。さらに
、示差走査熱量測定スペクトル(図16)では、未粉砕のアセトニトリルC晶では約20
1℃〜約202℃にのみ単一の吸熱ピークを有していたのに対して、ボールミル粉砕によ
って約201℃〜約202℃の吸熱ピークが消失するとともに、アセトニトリルC晶のボ
ールミル粉砕物では、約210℃に強い吸熱ピークが現れるとともに、150℃以下の位
置、具体的には、図16の約84.6℃近辺の位置に発熱ピークが現れていた。
例12:サンプルミルによる粉砕、および、ハンマーミルによる粉砕
実施例1のC晶(15g)を、ハンマーの高速回転による衝撃で粉砕を行うサンプルミ
ル(SM−1/アズワン社製)で粉砕し、経時的に粉砕物のサンプリングを行い、示差走
査熱量測定および粒度分布を測定した(表5)。
示差走査熱量測定の結果、サンプルミル粉砕によって150℃以下の発熱ピークは生じ
なかったものの、アセトニトリルC晶が有さない約210℃の吸熱ピークは粉砕時間に依
存して増大し続け240分後には−44.106J/gに達したことから、サンプルミル
粉砕によって、他の結晶形への転移が進行したことがわかった。さらに、粒度分布も、未
粉砕のアセトニトリルC晶のD50(20.483μm)及びD90(73.755μm
)に比べて細かくはなったものの、サンプルミル粉砕を240分間行った後の粒度分布は
、D50で11.281μm、D90で29.768μmに過ぎず、D50が60分後、
120分後、240分後でほぼ同じであったことから、サンプルミル粉砕による微粉化の
程度には限界があることがわかった。
市販のA晶(D50 19μm;北京連本医薬化学技術有限公司/Beijing L
ianben Pharm−chemicals Tech.Co.,Ltd.から購入
したもの)をハンマーミル(大徳薬機製、DF−15)を用いて12000rpmの回転
数で瞬時に粉砕した。ハンマーミルで粉砕したA晶(以下、「A晶のハンマーミル粉砕物
」という。)は、例22の比表面積の測定に用いた。
例13:示差走査熱量測定による非晶質体の定量法の確立
非晶質体の定量法の確立のためのフェブキソスタットの非晶質体の標品として、例11
でアセトニトリルC晶をボールミルで60分間粉砕して得られたものを用いた。
アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物(粉砕圧力3kgf・供給圧力4kgf)に
、1、2.5、5、10、25、及び50%相当量の非晶質体(C晶を遊星ボールミルで
60分間粉砕して調製したもの)を添加して総量約200mgとし、袋混合した調製物に
ついて示差走査熱量測定における挙動変化を測定した。
非晶質体の混合物は1%以上の非晶質体が存在すると210℃付近に吸熱ピークを示し
、非晶質体混合割合の増加とともに増大した。一方、C晶に特徴的な約201℃〜約20
2℃に現れる吸熱ピークは、非晶質体混合割合の増加とともに減少し、非晶質体混合割合
が100%になると消失した。非晶質体の混合割合と200℃以上の吸熱及び発熱ピーク
のピーク強度との間に線形性は認められなかった。一方、150℃以下の再結晶化に伴う
発熱ピーク量(J/g)は非晶質体の含有割合に応じて直線的に増加することが確認され
、非晶質体の含有割合の定量が可能であった。C晶及び非晶質体の混合物の示差走査熱量
測定結果のまとめを表6に示す。約150℃以下に現れる発熱ピークの発熱ピーク量(J
/g)をx、非晶質体の割合をyとしたときの直線回帰式は、[y=6.0675x]で
あり、相関係数(r)は0.995であった。
例14:走査電子顕微鏡による結晶の観察
日立製の電子顕微鏡(TM3000 Miniscope/HITACHI)を用いて
例3、例4、例5で得た各結晶の走査電子顕微鏡写真を撮影した。
例4で得たメタノール水C晶(未粉砕)の走査電子顕微鏡写真を撮影したところ、柱状
晶であり、柱の柱径は約20μm前後、柱の長さは1000μmを超えることが確認でき
た。その代表的な写真を図17〜図19に示す。一部の結晶は、より細い柱状晶が寄り添
っているように観察されることから、裂けやすい柱状晶であることが窺える。なお、図1
7の写真の倍率は100倍、図18及び図19の写真の倍率は80倍である。図17〜図
19の電子顕微鏡写真の下の横棒は1mm(1000μm)の縮尺を示し、横棒の上の目
盛は0.1mm(100μm)の間隔を示す。
例3で得た未粉砕のアセトニトリルC晶を走査電子顕微鏡写真で観察したところ、メタ
ノール水C晶よりも短く、かつ、柱の柱径に対する柱の長さの比が小さい柱状晶であり、
柱の柱径が6μm前後、柱の長さが20μm前後であることが確認できた。その代表的な
写真を図20〜図22に示す。図20〜図22の写真の倍率は500倍である。図20〜
図22の写真の下の横棒は200μmの縮尺を示し、横棒の上の目盛は20μmの間隔を
示す。
例5で得たアセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物を走査電子顕微鏡写真で観察した
ところ、さらに小さく粉砕されており、もはや、柱状晶の形状を維持しておらず、多少は
短径と長径の長さの差はあっても、概ね1.5μm〜6.5μmの径を有する粒状である
ことが確認できた。その代表的な写真を図23〜図25に示す。図23〜図25の写真の
下の横棒は20μmの縮尺を示し、横棒の上の目盛は2μmの間隔を示す。
例15:走査電子顕微鏡写真に写った結晶の大きさの測定
未粉砕のアセトニトリルC晶、アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物(粉砕圧力3
kgf・供給圧力4kgf)の夫々について、走査電子顕微鏡写真に写っている結晶の長
さを測定した。未粉砕のアセトニトリルC晶は柱状晶であるので、柱の長さを測定した。
一方、アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物は粒状であるので、長径の長さを測定し
た。測定した結晶の数は、各群430個である。その結果を表7に示す。未粉砕のアセト
ニトリルC晶の長径の長さの平均値は17.32μmであるのに対して、アセトニトリル
C晶のジェットミル粉砕物の長径の平均値は2.96μmであり、未粉砕のアセトニトリ
ルC晶の長径の長さの平均値の約17%の長さになっていた。なお、粉砕していないメタ
ノール水C晶の長径の長さについては、統計解析可能な個数の結晶の長さを測定してはい
ないものの、図17〜図19の電子顕微鏡写真には1mmを超える長さの柱状晶が多数観
察されることから、少なくとも、未粉砕のアセトニトリルC晶の長さの5倍以上、おそら
くは10倍以上の平均長を有することは明らかと考えられた。
例16:かさ密度及びタップ密度の測定
例3で得た未粉砕のアセトニトリルC晶、例4で得たメタノール水C晶、例5で得たア
セトニトリルC晶のジェットミル粉砕物(粉砕圧力3kgf・供給圧力4kgf)、市販
のA晶(D50 19μm;北京連本医薬化学技術有限公司/Beijing Lian
ben Pharm−chemicals Tech.Co.,Ltd.から購入したも
の)、前記の市販のA晶を例12と同様にハンマーミル(大徳薬機製、DF−15)で粉
砕した試料の夫々について、定容量法によって、かさ密度及びタップ密度を測定した。か
さ密度及びタップ密度は以下の方法で求めた。
<定容量法による嵩密度の測定法>
定容量法による嵩密度は、次式により計算した。
定容量法による嵩密度(g/ml)=(MT1−M0)/V
ここで、式の右辺の変数は、次のとおりである。
MT1: タップ前の紛体と測定用容器の合計質量(g)
M0: 測定用容器の質量(g)
V: 測定用容器の容量(ml)
<定容量法によるタップ密度の測定法>
定容量法によるタップ密度は、次式により計算した。
定容量法によるタップ密度(g/ml)=(MT2−M0)/V
ここで、式の右辺の変数は、次のとおりである。
MT2: タップ後の紛体と測定用容器の合計質量(g)
M0: 測定用容器の質量(g)
V: 測定用容器の容量(ml)
右辺の変数は、次のように測定した。
かさ比重測定器(容量25ml、JIS Z 2504/筒井理化学器械)の重量(M
0)を測定後、測定器の上部から、測定器内にあふれるまで結晶を入れ、測定器内が結晶
で十分に満たされたのを確認後、測定器上部に堆積した過剰量の結晶をスパーテルで擦り
きり、全体の重量(MT1)を量った。
この測定器を手で30回程度タッピングし、再び測定器上部からあふれるまで結晶を入
れる。この工程を数回繰り返し、測定器内が結晶で十分に満たされたのを確認後、スパー
テルで擦りきり、全体の質量(MT2)を量った。
これらの変数を上記の式に与えて定容量法による嵩密度及び定容量法によるタップ密度
を算出した(表8)。
例4で得た未粉砕のメタノール水C晶及び市販のA晶については、紛体が綿状であるた
めに、容器内に大きな空隙ができてしまうとともに、容器の上に盛り上げってしまうため
、定容量法による嵩密度は測定できなかった。
例3で得た未粉砕のアセトニトリルC晶のタップ密度は、例4で得た未粉砕のメタノー
ル水C晶のタップ密度と比べて3.1倍高かった。また、例3で得た未粉砕のアセトニト
リルC晶のタップ密度は、市販のA晶のタップ密度と比べて2.4倍高かった。
例17:アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物の溶解速度
例5で得たアセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物(粉砕圧力3kgf・供給圧力4
kgf)の溶解速度を例3で得た未粉砕のアセトニトリルC晶及び市販のA晶(D50=
19μm;Beijing Lianben Pharm−chemicals Tec
h.Co.,Ltd./北京連本医薬化学技術有限公司より購入)と比較した。なお、例
3で得た未粉砕のアセトニトリルC晶は、目開き16メッシュの篩過品を用いた。試料1
00mg及びマグネット撹拌子(スターラーバー)を200mlのコニカルビーカーに入
れ、溶出試験第1液(pH1.2)、pH5.5のMcllvaine緩衝液、溶出試験
第2液(pH6.8)、及び水をそれぞれ100mlを加え、ヤマト科学(Yamato
)製マグミキサーM−41を用い、毎分500回転で撹拌した。経時的に試験液の一部を
採取し、フィルターでろ過して試料溶液とし、標準溶液に対して吸光度測定法(測定波長
317nm)により試験した。
試験結果を図26に示す。溶出試験第1液(pH1.2)に対する、アセトニトリルC
晶のジェットミル粉砕物の3分後及び5分後の溶解速度は、A晶よりも速かった。また、
水に対する、アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物の1分後〜10分後の溶解速度は
、A晶よりも未粉砕のアセトニトリルC晶よりも速かった。さらに、pH5.5のMcI
lvaine緩衝液及び溶出試験第2液(pH6.8)に対する、アセトニトリルC晶の
ジェットミル粉砕物の溶解速度および溶解量は、未粉砕のアセトニトリルC晶と比較して
高値を示し、市販のA晶と同等であった。
これらの結果から、溶出試験第1液(pH1.2)、pH5.5のMcIlvaine
緩衝液、溶出試験第2液(pH6.8)、及び水のいずれに対しても、アセトニトリルC
晶のジェットミル粉砕物は、市販のA晶と同等か市販のA晶以上の溶解速度を示す優れた
原薬であることがわかった。
例18:アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物を含む錠剤の溶出速度
例5で得たアセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物(粉砕圧力3kgf・供給圧力4
kgf)を用いて特許4084309号明細書の実施例1の処方に従って錠剤を製造した
。例3で得た未粉砕C晶(目開き16メッシュの篩過品)又はA晶(D50=19μm,
Beijing Lianben Pharm−chemicals Tech.Co.
,Ltd./北京連本医薬化学技術有限公司より購入)を用いて同様に錠剤を製造して溶
出プロファイルを比較した。各結晶50.0g、乳糖水和物(SuperTab 11S
D、DFE Pharma製)183.8g、部分アルファー化デンプン(PC−10、
旭化成ケミカルズ製)37.5g、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−SL、日本
曹達製)7.5g、クロスカルメロースナトリウム(ND−200、旭化成ケミカルズ製
)31.3gを乳鉢を使用して混合した。精製水93gを混合末に加えて練合した。得ら
れた湿潤顆粒を8号メッシュで整粒した後、50℃で通風乾燥させ、顆粒を得た。得られ
た顆粒を22号メッシュで整粒した後、篩過顆粒290gにステアリン酸マグネシウム(
太平化学産業製)9.4gをポリ袋にて混合し、打錠用顆粒を得た。この打錠用顆粒をロ
ータリー式打錠機(VELA5、菊水製作所製、打錠圧2500kgf/cm)で打錠
し7mm径の錠剤を得た。
試験液としてpH5.5のMcIlvaine緩衝液900mlを用い、パドル法によ
り毎分60回転で富山産業(Toyama)恒温水槽式溶出試験器NTR−6200Aを
用いて撹拌した。5分間、10分間、15分間、30分間、45分間、60分間の各時間
攪拌後に試験液をフィルターでろ過して試料溶液とし、標準溶液に対して吸光度測定法(
測定波長317nm)によりフェブキソスタットの濃度を測定した。例5で得られたアセ
トニトリルC晶のジェットミル粉砕物を含む錠剤は、全ての撹拌時間において、未粉砕の
アセトニトリルC晶を含む錠剤よりも早い溶出を示し、60分攪拌後には、未粉砕のアセ
トニトリルC晶と比較して約20%高い溶出率を示した。また、アセトニトリルC晶のジ
ェットミル粉砕物を含む錠剤は、撹拌開始から5分後、10分後及び15分後の時点にお
いて、A晶を含む錠剤、F錠、フィルムコーティング剥離したF錠のいずれと比較しても
、より速い溶出速度を示し、最終的にこれらのA晶を含有する錠剤と同等の約95%の溶
出率を示した(図27)。
例19:アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物の安定性試験
例5で得たアセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物(粉砕圧力3kgf、供給圧力4
kgf)を褐色ガラス瓶(蓋はポリエチレンの中蓋が付いたポリプロピレン製。)または
厚さ0.04mmのポリエチレン袋に入れて密封し、長期保存試験(25℃±2℃/60
%RH±5%)、および、加速試験(40℃±2℃/75%RH±5%)の各条件下での
安定性を検討した。 安定性の測定は、乾燥減量、HPLCによる純度試験および粉末X
線回折を測定することにより行った。
アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物の乾燥減量:
乾燥減量とは、文字通り、乾燥による重量変化の試験である。乾燥減量の測定は、アセ
トニトリルC晶1グラムを長期保存試験条件で3ヶ月保存した場合と、加速試験条件で1
ヶ月および3ヶ月保存した場合の夫々について、その乾燥減量測定した。測定は、乾燥機
(IKEDA RIKA AUTOMATIC OVEN DEK)を用いて105℃で
2時間乾燥させたときの質量を天秤にて測定することにより行った。
表9に示すように、3ヶ月までの加速試験と長期保存試験において、問題となるレベル
の乾燥減量は観察されなかった。
アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物の純度試験:
HPLCによる純度試験は、長期保存試験条件で3ヶ月および6ヶ月保存した場合と、
加速試験条件で1ヶ月、3ヶ月および6ヶ月保存した場合について測定した。
まず、測定試料10mgを移動相25mLに溶かし、試料溶液とした。この試料溶液を
1mL分取し、移動相を加えて200mLとし、標準溶液とした。試料溶液及び標準溶液
、10μLずつを正確とり、次の条件で液体クロマトグラフィーにより試験を行った。試
料溶液中のフェブキソスタットのピーク面積と、類縁物質のピーク面積の比により純度を
算出した。長期保存条件下においても(図28)、加速条件下においても(図29)、6
ヶ月の保存期間中、不純物の総量はフェブキソスタットの約0.05%で一定しており、
不純物の総量の変化は見られなかった。同様に、個々の不純物の中で最もピーク面積の大
きな不純物(保持時間2.6min)は、長期保存条件下においても、加速条件下におい
ても、6ヶ月の保存期間中、約0.035%で一定しており、最も多く含まれる不純物の
量に変化は見られなかった。このように、長期保存条件および加速条件の夫々において、
アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物中に不純物の増加は認められなかった。
試験条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:320nm)
カラム:内径4.6mm、長さ15cmのステンレス管に粒子径5μmのオクタデシルシ
リル化シリカゲルが充填された市販のカラムを用いた。
カラム温度:40℃
移動相:アセトニトリル/pH2.0の0.1mol/Lリン酸二水素カリウム液を2倍
に希釈した液=13/7
流量:フェブキソスタットの保持時間が約5分になるように調整する(約1mL/min
)。
面積測定範囲:フェブキソスタットの保持時間の約6倍の範囲
測定機器
SHIMADZU 高速液体クロマトグラフ装置
ポンプ :LC−20AD
オートサンプラー :SIL−20ACHT
UV検出器 :SPD−M20A
カラムオーブン :CTO−20AC
デガッサ :DGU−20A3R
アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物の粉末X線回折:
粉末X線回折は、アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物をポリエチレン袋中に密封
した試料、および、同じ試料を褐色ガラス瓶に入れた試料の夫々について、長期保存試験
条件と加速試験条件の夫々について3ヶ月保存したサンプルを測定した。測定方法は、例
6と同様であった。
図30に示すように、ポリエチレン袋中に密封して加速条件下で3ヶ月保存した場合、
褐色ガラス瓶に入れて加速条件下で3ヶ月保存した場合、ポリエチレン袋中に密封して長
期保存下で3ヶ月保存した場合、褐色ガラス瓶に入れて長期保存条件下で3ヶ月保存した
場合、のいずれも、粉末X線回折チャートにおけるピークの位置及び強度に変化はないこ
とから、保存期間中に結晶形に変化はなかったことが確認できた。
例20:アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物を用いた試作錠の安定性
例5で得たアセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物(粉砕圧力3kgf、供給圧力4
kgf)を用いて20mgのフェブキソスタットを含有する素錠(以下、「試作素錠(M
eCN粉砕)」という。)とフィルムコーティング錠(以下、「試作FC錠(MeCN粉
砕)」という。)を作製し、夫々について、加速試験(40℃±2℃/75%RH±5%
)、および、苛酷試験(60℃±2℃/湿度コントロールなし)の各条件下での安定性を
検討した。測定項目としては、硬度、重量、溶出性及び純度を測定した。なお、比較のた
め、FC錠である市販のF錠(10mg錠:ロット番号5051及び5049、20mg
錠:ロット番号6062及び6056、40mg錠:ロット番号8016)についても同
じ測定を行った。
素錠の作製は、以下のように行った。まず、アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物
70.0g、乳糖水和物263.9g、部分アルファー化デンプン64.8g、ヒドロキ
シプロピルセルロース10.5g、を撹拌混合造粒装置(VG−5、パウレック製)を使
用して混合した。次に、精製水102gを混合末に加えて練合した。得られた湿潤顆粒を
湿式乾式整粒機(QC−197s、パウレック製)φ4.75mmを使用して整粒した後
、50℃で通風乾燥させ、顆粒を得た。得られた顆粒を湿式乾式整粒機(QC−197s
、パウレック製)φ1.1mmで整粒した後、篩過顆粒185gにクロスカルメロースナ
トリウム11.9gをポリ袋にて混合した後、ステアリン酸マグネシウム1gをポリ袋に
て混合し、打錠用顆粒を得た。この打錠用顆粒をロータリー式打錠機(VELA5、菊水
製作所製、打錠圧2500kgf/cm2)で打錠し7mm径の素錠(重量125mg)
を得た。
フィルムコーティング錠の作製は、以下のように行った。まず、アセトニトリルC晶の
ジェットミル粉砕物70.0g、乳糖水和物263.9g、部分アルファー化デンプン6
4.8g、ヒドロキシプロピルセルロース10.5gを撹拌混合造粒装置(VG−5、パ
ウレック製)を使用して混合した。次に、精製水102gを混合末に加えて練合した。得
られた湿潤顆粒を湿式乾式整粒機(QC−197s、パウレック製)φ4.75mmを使
用して整粒した後、50℃で通風乾燥させ、顆粒を得た。得られた顆粒を湿式乾式整粒機
(QC−197s、パウレック製)φ1.1mmで整粒した後、篩過顆粒185gにクロ
スカルメロースナトリウム11.9gをポリ袋にて混合した後、ステアリン酸マグネシウ
ム1gをポリ袋にて混合し、打錠用顆粒を得た。この打錠用顆粒をロータリー式打錠機(
VELA5、菊水製作所製、打錠圧2500kgf/cm2)で打錠し7mm径の素錠(
重量125mg)を得た。次に、ヒプロメロース25.2g、2.8gのマクロゴール6
000を精製水289.6gに溶解し、コーティング液を作製した。得られた素錠に、調
製したコーティング液を自動コーティング装置を用いて、給気70℃にて7mg/錠の被
覆を行い、フィルムコート錠を得た。
試作錠の硬度試験:
試作素錠(MeCN粉砕)(20mg錠)、試作FC錠(MeCN粉砕)(20mg錠
)、F錠(10mg錠、20mg錠、40mg錠)の夫々について、長期保存条件(3ヶ
月、6ヶ月)、加速条件(1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月)及び苛酷条件(1ヶ月、3ヶ月)で
保存した後の硬度をOKADA SEIKO PC−30を用いて測定し、測定開始時の
硬度と比較した(表10)。ただし、表中、「−」と表示されている条件での測定は行っ
ていない。試作素錠(MeCN粉砕)も、試作FC錠(MeCN粉砕)も、F錠に対して
遜色ない十分な硬度を有し、保存による硬度の低下は見られなかった。
※ 硬度の単位はニュートン(N)である。
試作錠の重量変化:
試作素錠(MeCN粉砕)(20mg錠)、試作FC錠(MeCN粉砕)(20mg錠
)、F錠(10mg錠、20mg錠、40mg錠)の夫々について、長期保存条件(3ヶ
月、6ヶ月)、加速条件(1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月)及び苛酷条件(1ヶ月、3ヶ月)で
保存した後の重量の変化を測定し、測定開始時の重量と比較した(表11)。ただし、表
中、「−」と表示されている条件での測定は行っていない。試作素錠(MeCN粉砕)も
、試作FC錠(MeCN粉砕)も、F錠と同様に、重量の変化は3%未満であり、保存期
間中を通じて問題となるレベルの重量変化は認められなかった。
※ 重量の単位はミリグラム(mg)である。
試作錠の溶出性:
試作素錠(MeCN粉砕)(20mg錠)、試作FC錠(MeCN粉砕)(20mg錠
)、F錠(10mg錠、20mg錠、40mg錠)の夫々について、長期保存条件(3ヶ
月、6ヶ月)、加速条件(1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月)及び苛酷条件(1ヶ月、3ヶ月)で
保存した後に、日本薬局方の溶出試験第2液(pH6.8)中でパドル速度50rpmで
30分間撹拌した後の溶出率を、紫外可視分光光度計を用いて測定し、測定開始時の溶出
率と比較した(表12)。ただし、表中、「−」と表示されている条件での測定は行って
いない。試作素錠(MeCN粉砕)も、試作FC錠(MeCN粉砕)も、F錠と同様に、
94%以上の溶出率が保たれており、保存期間中を通じて問題となるレベルの溶出率の変
化は認められなかった。
※ 溶出率の単位はパーセント(%)である。
試作錠の純度試験:
試作素錠(MeCN粉砕)(20mg錠)、試作FC錠(MeCN粉砕)(20mg錠
)、F錠(10mg錠、20mg錠、40mg錠)の夫々について、加速条件(1ヶ月、
3ヶ月)及び苛酷条件(1ヶ月、3ヶ月)で保存した後に、例19の純度試験と同様の方
法で不純物の量を経時的に測定した(図31、図32)。ただし、F錠(10mg錠、2
0mg錠、40mg錠)については、加速条件下でのみ6ヶ月まで測定した。なお、錠剤
からの抽出は、1錠を取り原薬10mgに対して移動相25mL相当量に溶解分散し、試
料溶液とした。この試料溶液を1mL分取し、移動相を加えて200mLとし、標準溶液
とした.加速条件下においても(図31)、苛酷条件下においても(図32)、試作素錠
(MeCN粉砕)、試作FC錠(MeCN粉砕)ともに、F錠と同様に、3ヶ月の保存期
間中、不純物の総量はフェブキソスタットの総量の0.1%以下であり、不純物の総量の
変化は見られなかった。同様に、個々の不純物の中で最もピーク面積の大きな不純物(保
持時間2.6min)は、加速条件下においても、苛酷条件下においても、3ヶ月の保存
期間中、0.040%未満の水準で一定しており、最も多く含まれる不純物の量に変化は
見られなかった。このように、加速条件および苛酷条件の夫々において、試作素錠(Me
CN粉砕)(20mg錠)及び試作FC錠(MeCN粉砕)(20mg錠)に含まれる不
純物の増加は認められなかった。
例21:試作FC錠(MeCN粉砕)の溶出試験
例20で作製した試作FC錠(MeCN粉砕)(20mg錠)について、日本薬局方の
溶出試験第1液(pH1.2)、McIlvain緩衝液(pH5.0)、溶出試験第2
液(pH6.8)、精製水に対する溶出試験を行って、F錠(20mg錠)の溶出特性と
対比した(図33)。なお、溶出試験方法は例18と同様の方法で行った。
いずれの条件においても、アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物を用いて作製した
試作FC錠(MeCN粉砕)(20mg錠)の試験液への溶出率は、F錠(20mg錠)
の溶出率とほぼ同じか若干上回っており、良好な溶出特性を示した(図33)。
例22:比表面積の測定
例3で得た未粉砕のアセトニトリルC晶、例4で得たメタノール水C晶、例5で得たア
セトニトリルC晶のジェットミル粉砕物(粉砕圧力3kgf・供給圧力4kgf)、例1
2で調製したA晶のハンマーミル粉砕物の夫々について、BET多点法を用いて比表面積
を測定した。BET法は、低温において窒素やクリプトンなどの気体を固体の表面に単分
子層で吸着させ、その吸着気体量を測定して夫々の分子の占める面積から固体の表面積を
求める方法である。
BET多点法による比表面積測定の測定機器及び測定条件は次のとおりであった。
測定機器: 4連式比表面積・細孔分布測定装置 NOVA−4200e型(Qua
ntachrome社製)
使用ガス: 窒素ガス
冷媒(温度): 液体窒素(77.35K)
前処理条件: 110℃、6Hr以上真空脱気
測定相対圧力: 0.05<P/P0<0.3
表13に示すように、未粉砕のメタノール水C晶の表面積は0.172m/gに過ぎ
なかったものが、未粉砕のアセトニトリルC晶の表面積は5.757m/gに増加し、
33.5倍に面積が増加していた。未粉砕のメタノール水C晶は、日本薬局方への崩壊試
験用第2液への溶解速度がA晶の1/2以下であることが問題であったが、未粉砕のアセ
トニトリルC晶は未粉砕のメタノール水C晶の33.5倍も大きな表面積を有するので、
溶出性に優れることが容易に理解できる。
そして、さらにこれをジェットミル粉砕することにより、表面積は9.001m/g
に増加し、未粉砕のアセトニトリルC晶の表面積の1.6倍に表面積が増加した。未粉砕
のメタノール水C晶とアセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物の表面積を対比すると、
表面積は実に52.3倍に表面積が増加していた。アセトニトリルC晶のジェットミル粉
砕物の表面積は、市販のA晶をハンマーミルで粉砕した試料の表面積の約1.2倍あるこ
とからわかるように、大きな表面積を有することが確認できた。アセトニトリルC晶のジ
ェットミル粉砕物は未粉砕のメタノール水C晶の52.3倍も大きな表面積を有するので
、とても溶出性に優れることが容易に理解できる。
例23:原薬の外観
例3で得た未粉砕のアセトニトリルC晶、例4で得たメタノール水C晶、例5で得たア
セトニトリルC晶のジェットミル粉砕物(粉砕圧力3kgf・供給圧力4kgf)、アセ
トニトリルC晶のボールミル粉砕物、未粉砕のA晶(例12および例16を参照)の夫々
について、安息角の測定を試みたが、安息角が測定できないほどに流動性の悪い紛体であ
った。
そこで、安息角を測定する代わりに、各試料を肉眼視したときの外観を撮影した。
未粉砕のメタノール水C晶(図34)は、ふわふわした綿毛状の嵩高い塊であり、未粉
砕のA晶よりも大きな1mmを超えるサイズの針状晶が目視で確認できた。
未粉砕のアセトニトリルC晶(図35)は、やや嵩高い塊を形成する傾向があるが、未
粉砕のメタノール水C晶よりも小さく、かつ、未粉砕のメタノール水C晶よりも密度の高
い塊であった。未粉砕のアセトニトリルC晶の塊の周囲を良く目を凝らして見ると、小さ
な針状晶らしきものが確認できた。
アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物(図36)も、塊を形成する傾向があったが
、針状晶らしき構造は見えず、プラスチックスプーンで均すと、容易に平らになり、きめ
細かな微粒子が寄り集まっていることがわかった(図37)。
アセトニトリルC晶のボールミル粉砕物(図38)も、塊を形成する傾向があったが、
針状晶らしき構造は見えず、アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物と同様にプラスチ
ックスプーンで均すと、容易に平らになり、崩れやすいきめ細かな微粒子が寄り集まって
いることがわかった。
アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物(図36)とアセトニトリルC晶のボールミ
ル粉砕物(図38)は、写真では塊を形成してはいるが、とても崩れやすい塊であり、ス
パーテルで掬い取った際の粉の動きはコーンスターチ(図39)や片栗粉(図40)の粉
の動きにとてもよく似ていた。アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物は、優れたハン
ドリング性を有することが確認できた。
例24:13C固体NMRによる結晶形の同定
A晶を含有する製剤は(以下、「A晶製剤」という。)、及び、例20で作製した未粉
砕のアセトニトリルC晶を含有する素錠(以下、「C晶製剤」という。)の13C固体N
MRを測定するとともに、例12で調製したA晶のハンマーミル粉砕物(以下、「A晶原
体」という。)、及び、アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物(以下、「C晶原体」
という。)の13C固体NMRを測定して対比し、製剤中に含まれるフェブキソスタット
原薬の結晶形を確認した。
なお、A晶を含有する製剤、及び、アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物を含有す
る素錠については、ラップでくるんで軽く小槌で数回たたいて粉砕した試料を測定に用い
た。
また、A晶製剤は、次のように作製した。まず、市販のA晶(D50 19μm;北京
連本医薬化学技術有限公司/Beijing Lianben Pharm−chemi
cals Tech.Co.,Ltd.から購入したもの)20.0g、乳糖水和物75
.4g、部分α化デンプン18.5g、ヒドロキシプロピルセルロース3.0gを乳鉢を
使用して混合した。次に、精製水36.6gを混合末に加えて練合した。得られた湿潤顆
粒を14号メッシュで整粒した後、50℃で通風乾燥させ、顆粒を得た。得られた顆粒を
20号メッシュで整粒した後、篩過顆粒116.9gにクロスカルメロースナトリウム7
.5g、ステアリン酸マグネシウム0.6gをポリ袋にて混合し、打錠用顆粒を得た。こ
の打錠用顆粒をロータリー式打錠機(VELA5、菊水製作所製、打錠圧2500kgf
/cm2)で打錠し、重量125mg、7mm径の素錠を得た。
固体NMRの測定は、13C(100.5MHz)の核種を用い、各試料約49μlを
直径3.2mmの固体NMR試料管に詰めて、室温で、15kHzの回転速度で測定した
。測定機器及び測定条件は下記のとおりであった。
測定機器: JNM−ECA600II
測定プローブ: 3.2mm CPMASプローブ
13C−CPMAS測定条件:
・測定モード cpmas_toss.jxp コンタクトタイム 2ms
・取込時間 33.9ms 待ち時間 3.5sec 積算回数 2200回(原薬)
および8800回(製剤)
・ウィンドウ関数 EXPモード BF=20Hz
(Tossモードを使用してSSBを消去)
*化学シフトの基準はアダマンタンの信号(13C=29.5ppm)でシムZ0を調
整した。
図41に示すように、C晶原体及びC晶製剤の13C固体NMRチャートでは、約20
ppmにほぼ等価なトリプレットピーク(特許第4084309号公報の参考例3を参照
)を有する一方で、A晶原体及びA晶製剤の13C固体NMRチャートには、これらのピ
ークが存在しなかったので、C晶の原薬を用いて湿式造粒して製造した錠剤中の結晶形が
C晶のまま、結晶転移を生じていないことを、13C固体NMRによって確認することが
できた。また、A晶原体及びA晶製剤の13C固体NMRチャートでは、約19ppmに
ほぼ等価なダブルピークを有する一方で、C晶原体及びC晶製剤の13C固体NMRチャ
ートには、これらのピークが存在しなかったので、A晶の原薬を用いて製造した錠剤中の
結晶形がA晶のまま、結晶転移を生じていないことを、13C固体NMRによって確認す
ることができた。
なお、同様に、図41のチャートから、A晶原体及びA晶製剤の13C固体NMRチャ
ートには存在せずに、C晶原体及びC晶製剤の13C固体NMRチャートには存在するC
晶に特徴的なピークとして、約28.5ppmのシングルピーク(A晶原体及びA晶製剤
ではダブルピークとなっている)、約100ppmのシングルピーク、約114ppmの
シングルピーク(A晶原体及びA晶製剤ではダブルピークとなっている)、約125pp
mのシングルピーク、約131ppmのシングルピーク(A晶原体及びA晶製剤ではダブ
ルピークとなっている)、約135ppmのシングルピーク、及び、約159ppmのシ
ングルピーク、約167ppmのシングルピークが存在するので、これらのピークを手が
かりとして、錠剤中のC晶を容易に同定することが可能である。
さらに、図41のチャートから、C晶原体及びC晶製剤の13C固体NMRチャートに
は存在せずに、A晶原体及びA晶製剤の13C固体NMRチャートには存在するA晶に特
徴的なピークとして、約19ppmのダブルピーク、約102ppmのシングルピーク、
約120ppmのダブルピーク、約126ppmのダブルピーク、約130ppm〜約1
32ppmのダブルピーク、約134ppmのダブルピーク、約162ppmのシングル
ピーク、約168.5ppmのシングルピーク(右側に肩を伴う)、が存在するので、こ
れらのピークを手がかりとして、錠剤中のA晶を同定することも容易である。
例25:ラマン顕微鏡による観察
錠剤中のフェブキソスタットのC晶の結晶形、形態及び大きさをラマン顕微鏡を用いて
観察した。
事前に、Renishaw社のinVia Reflex/StreamLineを用
いて、フェブキソスタットのA晶及び試作錠(MeCN)の製造に用いた各成分のラマン
スペクトルを確認した。その結果、C晶は約1695shift/cm−1のピークによ
って、A晶及び各添加剤と区別できることがわかった(図42及び図43)。また、A晶
は、約1450shift/cm−1、約1330shift/cm−1のピークによっ
て、C晶及び各添加剤と区別できることがわかった(図42及び図43)。
ラマン顕微鏡はRenishaw社の顕微レーザーラマン分光装置inVia Ref
lex/StreamLineを用い、ラマンイメージングを測定した。
測定条件は、下記のとおりであった。
励起波長 785nm STline
レーザー出力 50%(45mW/line)
露光時間 0.88sec/line
グレーティング 1200l/mm
マッピングエリア 1000×1000um(1.2umstep)
取得スペクトル 695556(5h45m)
対物レンズ X50
例20で作製した試作FC錠(MeCN粉砕)(20mg錠)の表面を切削し観察した
C晶のラマンイメージングの画像及び粒子解析の結果を夫々図44と図45に示す。顕
微鏡画像(図44)から、少なくとも直径10μm未満のC晶の微細な粒子が多数確認で
きた。また、粒子解析の結果(図45)から、直径5μm以下の粒子(図45の左端のX
軸の隣の棒)が大多数であることが確認できた。C晶の粒子が多数密集している場合には
、画像だけでは、大きな粒子のように見えてしまうことは容易に想定できるので、ほとん
どのC晶の粒子は直径5μm以下であると考えられた。走査型電子顕微鏡型の顕微ラマン
装置(例えばRenishaw社の「ラマン複合システム SEM ラマン」)を用いれ
ば、密集している粒子を峻別して観察確認可能であろうと考えられた。
例26:共焦点レーザー蛍光顕微鏡による観察
フェブキソスタットは、励起波長314nm、蛍光波長390nmで蛍光観察できるこ
とが非特許文献9に記載されていることから、実際に、錠剤中に含まれるフェブキソスタ
ット原薬の形態及び大きさを観察することが可能かどうかを検証した。
共焦点レーザー蛍光顕微鏡は、Leica社製のTCS−SP5を用いた。試料は紫外
光で励起すると蛍光を発することが予備実験で分かっていたので、405nmの励起光を
用いて蛍光を観察した。TCS−SP5では、405nmの単一波長の励起光を半導体レ
ーザーを用いて発生させるため、励起フィルターは不要である。今回の観察では、COH
ERENT社製の小型ダイオードレーザモジュールを用いて405nmの励起光を発生さ
せた。また、TCS−SP5では、ダイクロイックミラーの機能を果たすものとして、S
P5専用に設計されたライカ製ビームスプリッターを用いた。TCS−SP5は、蛍光波
長をプリズムと可動式のスライダーを用いて分光してスキャンするため5nm単位で蛍光
波長の自由な設定ができる。
なお、フェブキソスタットについて非特許文献9に記載されている励起波長314nm
、蛍光波長390nmは、いずれも、レンズを透過しにくい400nm以下の紫外波長域
に属するため、蛍光顕微鏡観察を行うためには、より可視波長域の光で観察することが望
ましい。
そして、一般に、ある物質の励起波長と蛍光波長は、一定の幅を有していることが多い
ため、蛍光顕微鏡観察を行うに先立つ予備検討として、まず、各結晶を可視波長域ぎりぎ
りの405nmの光で励起したときの蛍光スペクトル特性を確認した。
なお、蛍光スペクトル特性の確認は、TCS−SP5を用いたλスキャンにより、単一
の光学断層像について、405nmの励起光(出力レベルが15、25、あるいは35%
)を照射し、蛍光を410nmから781.7nmの範囲で、スリット幅5nmで、5.
9nm間隔で検出した。画像フォーマットは、512 x 512pixel、スキャン
速度は400Hz、シグナルの平均化はラインモード2で行った。
その結果、未粉砕のメタノール水C晶、未粉砕のアセトニトリルC晶、アセトニトリル
C晶のジェットミル粉砕物、アセトニトリルC晶のボールミル粉砕物のいずれの試料につ
いても、405nm(出力レベルが15%あるいは20%)の励起波長に対して420n
m〜600nmの波長域に強い蛍光を発することを確認したので、以後の蛍光顕微鏡観察
は励起波長405nm、蛍光波長420nm〜600nmで観察を行うことにした。
なお、比較のため緑色蛍光および赤色蛍光も測定した。緑色蛍光に関しては、励起波長
は488nm(出力レベル10%)、蛍光は500−550nmの波長域で取得し、赤色
蛍光に関しては、励起波長は543nm(出力レベル40%)、蛍光は555−620n
mの波長域で取得した。蛍光検出器は高感度蛍光検出器HyDを用いた。検出感度につい
ては、青色蛍光、緑色蛍光、赤色蛍光のいずれの場合も、HyDの取得ゲインは100%
とした。Z−stackは、対物レンズが20倍、25倍、63倍、100倍の場合に、
光学断層像の間隔をそれぞれ2.5μm、1μm、0.5μm、あるいは0.5μmとし
て観察し、最大投影法で行った。スキャン速度は200Hz、シグナルの平均化はライン
モード3で行った。画像フォーマットは、512 x 512pixelあるいは102
4 x 1024pixelとした。Photon counting modeでは、
スキャン速度は10Hz、シグナルの平均化はラインモード1で行った。
その結果、緑色蛍光および赤色蛍光では、ほとんど蛍光はみられないことを確認した。
共焦点レーザー蛍光顕微鏡観察は、(1)未粉砕のメタノール水C晶、(2)未粉砕の
アセトニトリルC晶、(3)アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物、(4)アセトニ
トリルC晶のボールミル粉砕物、(5)未粉砕のアセトニトリルC晶を用いて作製した試
作錠、(6)アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物を用いて作製した試作錠、(7)
プラセボ錠、(8)乳糖水和物、(9)部分α化デンプン、(10)ヒドロキシプロピル
セルロース、(11)クロスカルメロースナトリウム、(12)ステアリン酸マグネシウ
ム、(13)ヒプロメロース、(14)マクロゴール6000の夫々について行った。
未粉砕のアセトニトリルC晶を用いて作製した試作錠(以下、「MeCN−C素錠」と
いう。)は、次のようにして作製した。
まず、未粉砕のアセトニトリルC晶50.0g、乳糖水和物183.8g、部分アルフ
ァー化デンプン37.5g、ヒドロキシプロピルセルロース7.5g、クロスカルメロー
スナトリウム31.3gを乳鉢を使用して混合した。次に精製水93gを混合末に加えて
練合した。得られた湿潤顆粒を8号メッシュで整粒した後、50℃で通風乾燥させ、顆粒
を得た。得られた顆粒を22号メッシュで整粒した後、篩過顆粒290gにステアリン酸
マグネシウム9.4gをポリ袋にて混合し、打錠用顆粒を得た。この打錠用顆粒をロータ
リー式打錠機(VELA5、菊水製作所製、打錠圧2500kgf/cm2)で打錠し7
mm径のMeCN−C素錠を得た。MeCN−C素錠の重量は128mgであった。
アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物を用いて作製した試作錠(以下、「粉砕Me
CN−C素錠」という。)は、次のようにして作製した。
まず、アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物70.0g、乳糖水和物263.9g
、部分アルファー化デンプン64.8g、ヒドロキシプロピルセルロース10.5gを撹
拌混合造粒装置(VG−5、パウレック製)を使用して混合した。次に精製水102gを
混合末に加えて練合した。得られた湿潤顆粒を湿式乾式整粒機(QC−197s、パウレ
ック製)φ4.75mmを使用して整粒した後、50℃で通風乾燥させ、顆粒を得た。得
られた顆粒を湿式乾式整粒機(QC−197s、パウレック製)φ1.1mmで整粒した
後、篩過顆粒185gにクロスカルメロースナトリウム11.9gをポリ袋にて混合した
後、ステアリン酸マグネシウム1gをポリ袋にて混合し、打錠用顆粒を得た。この打錠用
顆粒をロータリー式打錠機(VELA5、菊水製作所製、打錠圧2500kgf/cm2
)で打錠し7mm径の粉砕MeCN−C素錠を得た。粉砕MeCN−C素錠の重量は12
5mgであった。
プラセボ錠は、次のようにして作製した。
まず、乳糖水和物333.9g、部分α化デンプン64.8g、ヒドロキシプロピルセ
ルロース10.5g、を撹拌混合造粒装置(VG−5、パウレック製)を使用して混合し
た。次に精製水102gを混合末に加えて練合した。得られた湿潤顆粒を湿式乾式整粒機
(QC−197s、パウレック製)φ4.75mmを使用して整粒した後、50℃で通風
乾燥させ、顆粒を得た。得られた顆粒をφ1.1mmを使用して整粒した後、篩過顆粒1
85gにクロスカルメロースナトリウム11.9gをポリ袋にて混合した後、ステアリン
酸マグネシウム1gをポリ袋にて混合し、打錠用顆粒を得た。この打錠用顆粒をロータリ
ー式打錠機(VELA5、菊水製作所製、打錠圧2500kgf/cm2)で打錠し7m
m径のプラセボ錠を得た。プラセボ錠の重量は125mgであった。
MeCN−C素錠、粉砕MeCN−C素錠、プラセボ錠の処方を表14に記載する。
※ 表中の単位はミリグラム(mg)である。
各結晶および添加剤についてはそのまま実験に使用した。一方、錠剤試料は、薬包紙に
包んだ状態で、木槌で数回(5から7回)強打して、錠剤を粉砕し、粗粉砕物として実験
に使用した。
観察は、各結晶、添加剤、および、錠剤の粗粉砕物を微量、スライドガラス(MATS
UNAMI製)にのせ、共焦点レーザー蛍光顕微鏡(Leica社製、TCS SP5)
により観察を行った。
その結果、以下の観察結果を得た。図46〜図53はすべて白黒であるが、これらの図
の右側の画像において、白い部分は、青い蛍光を発している。
(1)未粉砕のメタノール水C晶(図46)
未粉砕のメタノール水C晶については、図17〜図19の走査電子顕微鏡写真と同様の
形状及び大きさの蛍光画像および微分干渉画像が観察された(図46)。図46の結晶は
長軸の長さが約670μmの針状晶であるが、1mmを超える長さの針状晶も多数蛍光観
察された。なお、針状晶の端部で特に蛍光が強かった。また、蛍光画像からもささくれ立
った針状晶であることがわかった。長軸の中央部で蛍光の強い小さな点が観察されている
のは、
(2)未粉砕のアセトニトリルC晶(図47)
未粉砕のアセトニトリルC晶についても、図20〜図22の走査電子顕微鏡写真と同様
の形状及び大きさの蛍光画像および微分干渉画像が観察された(図47)。図47左の図
の右上の結晶は長軸の長さが約82μmの針状晶であるが、これは形状を判りやすく示す
ために大きめの結晶を選んで撮影したためであり、実際には、図47左の図の中央付近の
結晶のように、長軸の長さが約10μm〜20μmの針状晶が多数蛍光観察された。なお
、針状晶の端部で特に蛍光が強かった。また、蛍光画像からもささくれ立った針状晶であ
ることがわかった。
(3)アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物(図48)
アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物についても、図23〜図25の走査電子顕微
鏡写真と同様の形状及び大きさの蛍光画像および微分干渉画像が観察された(図48)。
矢印の先に直径3μm前後の蛍光を発する粒子が確認できた。図48左の蛍光画像の中央
付近に、直径約17μmの蛍光体が観察されるが、実際には、直径3μm前後の蛍光を発
する粒子が多数寄り集まっている構造物である。図23〜図25の走査電子顕微鏡写真に
おいて直径3μm前後の粒子が多数寄り集まっていることと同様の画像である。蛍光を発
しているために輪郭がぼやけて直径約17μmの蛍光体のように見えているが、共焦点レ
ーザー蛍光顕微鏡では、画面手前から奥に向かって多数の断層画像を取得しており、これ
らの断層画像を追ってゆくと、直径約17μmの蛍光体は実際には直径3μm前後の蛍光
を発する粒子であることが確認できた。
(4)アセトニトリルC晶のボールミル粉砕物(図49)
アセトニトリルC晶のボールミル粉砕物については、直径約1μm〜約40μmに渡る
様々な大きさの球状粒子の蛍光が観察された(図49左)。アセトニトリルC晶のジェッ
トミル粉砕物(図48左)と異なるのは、アセトニトリルC晶のボールミル粉砕物の蛍光
粒子は丸みを帯びていることと、粒子の大きさが実際に様々であることであった。
(5)プラセボ錠(図50)
プラセボ錠では青色の蛍光は観察されなかった(図50左)。
(6)未粉砕のアセトニトリルC晶を用いて作製した試作錠
未粉砕のアセトニトリルC晶を用いて作製した試作錠については、多数の直径5μm前
後の蛍光を発する粒子が観察された(図51左)。微分干渉画像と対比すると、添加物と
思われる蛍光を発しない直径20μm〜50μm程度の物体の周囲に付着した状態で直径
5μm前後の蛍光を発する粒子が観察されたことがわかった。蛍光を発しない直径20μ
m〜50μm程度の物体の周囲に直径5μm前後の蛍光を発する粒子が多数付着している
ために、画像によっては、直径20μm〜50μm程度の一つの蛍光体のように観察され
る画像もあったが、画面手前から画像奥に向かって多数の断層画像をを追ってゆくと、実
際には直径5μm前後の蛍光を発する粒子が蛍光を発しない物体に周囲に多数付着してい
たことがわかった。未粉砕のアセトニトリルC晶を用いて作製した試作錠は、造粒過程で
未粉砕のアセトニトリルC晶が粉砕されたと考えられた。このように、未粉砕のアセトニ
トリルC晶は、造粒によって、十分に小さなな粒子粉砕され得るので、良好な保存安定性
と溶出性を兼ね備えた製剤に適している優れた結晶であることが確認された。
(7)アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物を用いて作製した試作錠(図52、図5
3)
アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物を用いて作製した試作錠については、多数の
直径2〜3μm前後のほぼ均一な大きさの蛍光を発する粒子が観察された(図52左、図
53左)。微分干渉画像と対比すると、短径直径20μm〜30μm、長径50μm〜1
00μm程度の添加物と思われる蛍光を発しない物体の周囲に付着した状態で直径2〜3
μm前後の蛍光を発する粒子が観察されたことがわかった。蛍光を発しない程度の物体の
周囲に直径2〜3μm前後の蛍光を発する粒子が多数付着しているために、画像によって
は、大きな一つの蛍光体のように観察される画像もあったが、画面手前から画像奥に向か
って多数の断層画像をを追ってゆくと、実際には直径2〜3μm前後の蛍光を発する粒子
が蛍光を発しない物体に周囲に多数付着していたことがわかった。
添加剤
(7)プラセボ錠、(8)乳糖水和物、(9)部分α化デンプン、(10)ヒドロキシ
プロピルセルロース、(11)クロスカルメロースナトリウム、(12)ステアリン酸マ
グネシウム、(13)ヒプロメロース、(14)マクロゴール6000、の夫々について
も、個々に、共焦点レーザー蛍光顕微鏡による観察を行ったが、いずれの添加剤も、40
5nmの励起光に対して蛍光は発しないことを確認した。

Claims (2)

  1. 長径の長さが100μm以下の結晶のみからなり、かつA晶、B晶、D晶、G晶及び非晶質体の含有量が7重量%以下である2−[3−シアノ−4−(2−メチルプロポキシ)フェニル]−4−メチルチアゾール−5−カルボン酸(フェブキソスタット)のC晶の微粉化物の製造方法であって、フェブキソスタットのメタノールと水との混合溶媒以外の溶媒からC晶を析出させる工程、及び流体式粉砕又は湿式粉砕により長径の長さが100μm以下となるように微粉化する工程を含む製造方法。
  2. 長径の長さが100μm以下の結晶のみからなり、かつA晶、B晶、D晶、G晶及び非晶質体の含有量が7重量%以下である2−[3−シアノ−4−(2−メチルプロポキシ)フェニル]−4−メチルチアゾール−5−カルボン酸(フェブキソスタット)のC晶の微粉化物の製造方法であって、フェブキソスタットのメタノールと水との混合溶媒以外の溶媒から、溶媒媒介転移によってC晶を析出させる工程、及び流体式粉砕又は湿式粉砕により長径の長さが100μm以下となるように微粉化する工程を含む製造方法。
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