JP6374716B2 - カレビンaの抗肥満能力 - Google Patents

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本出願は、2012年1月10日に出願された同時係属中の米国特許第13/347071号の一部継続特許出願であり、米国特許第13/347071号は、2011年1月10日に出願された仮出願第61431147号の非仮出願である。本出願は、2011年1月10日に出願された仮出願第61431147号に基づく優先権を有する。
本発明は一般に、肥満管理のための薬物に関する。より詳細には本発明は、カレビンAの抗肥満能力に関する。
肥満は先進国における最も優勢な栄養障害であり、発展途上国において増大している問題である。肥満は世界規模の流行病および体重過多として記載され、肥満状態の個体(25以上のBMI)は、様々な身体の慢性疾患、ならびにうつ病、摂食障害および自尊心の低下などの心理的問題に関するリスクが高い。肥満は、心臓血管疾患、糖尿病、骨関節炎、閉塞性睡眠時無呼吸および癌のような様々な疾患と関係がある。WHOは、肥満が、世界中の予防可能な死の上位10個の原因のうちの1つであると考えている。
肥満では、脂肪生成のプロセスを介した新たな脂肪細胞(fat cell)(脂肪細胞(adipocytes))の生成および/または細胞ごとの増加した量の細胞質トリグリセリドの沈着のため、脂肪組織塊が増大する。内部で生成した脂肪液滴が1つの大きな塊に合体すると、脂肪細胞が発生する。最終的に、皮膚真皮下での脂肪生成の増強および脂肪細胞の塊の蓄積のために、セルライトが生じる。
脂肪生成の研究は、ヒトにおけるこのプロセスの操作が、肥満および糖尿病の負担の軽減をもたらし得るという希望と共に進んでいる。分子レベルでは、レプチン、アディポネクチン、TNF−αなどの幾つかのマーカーが、肥満の治療において標的化されている。
この障害を治療するための薬剤は利用可能であるが、肥満およびその関連する社会経済的結果の管理を手助けするための安全で自然な手法が、絶えず必要とされ探索されている。
カレビンAは、β−アミロイド外傷から神経細胞を保護すること(Park SY et al,J Nat Prod.2002 September;65(9):1227-31)、薬剤耐性ヒト胃癌細胞においてアポトーシスを誘導し、MAPKファミリーの活性を制御することが知られている(Li Y et al,Eur J Pharmacol.2008 Sep4;591(1-3):252-8)。Zeng Y et al.(Chem Pharm Bull (Tokyo)2007 June;55(6):940-3)は、2つの新たなカレビン誘導体、4’’−(4’’’−ヒドロキシフェニル−3’’’−メトキシ)−2’’−オキソ−3’’−ブテニル−3−(4’−ヒドロキシフェニル)−プロペノエート、および4’’−(4’’’−ヒドロキシフェニル)−2’’−オキソ−3’’−ブテニル−3−(4’−ヒドロキシフェニル−3’−メトキシ)−プロペノエートを論じている。
本発明は、脂肪細胞(adipocytes)(脂肪細胞(fat cells))の末期分化中の脂肪蓄積を予防するカレビンAの能力、および肥満管理におけるその利用を開示する。本発明は、肥満と関係がある生化学的マーカーを有利に制御する、カレビンAの能力を解明する。カレビンAの顕著な生体制御性は、炎症誘発性サイトカイン腫瘍壊死因子(TNF−α)、インターロイキン−6(IL−6)およびインターロイキン−1(IL−1β)によって引き起こされる、レプチン生成の抑制、アディポネクチン発現の増加、ならびに局所的(脂肪細胞)および全身的炎症の抑制を含む。
Park SY et al,J Nat Prod.2002 September;65(9):1227-31 Li Y et al,Eur J Pharmacol.2008 Sep4;591(1-3):252-8 Zeng Y et al.Chem Pharm Bull (Tokyo)2007 June;55(6):940-3
したがって、本発明の主な目的はカレビンAの抗肥満能力を開示することである。
本発明は前述の主な目的を満たし、さらなる関連利点を提供する。
本発明は、脂肪生成の抑制におけるカレビンAの能力、および肥満管理におけるその利用を開示する。本発明は、哺乳動物における肥満と関係がある生化学的マーカーを有利に制御する、カレビンAの能力を解明する。カレビンAの顕著な生体制御性は、炎症誘発性サイトカイン腫瘍壊死因子(TNF−α)、インターロイキン−6(IL−6)およびインターロイキン−1(IL−1β)によって引き起こされる、レプチン生成の抑制、アディポネクチン発現の増加、ならびに局所的(脂肪細胞)および全身的炎症の抑制を含む。
本発明の他の特徴および利点は、例えば本発明の原理を例示する添付の図面と共に、以下のより詳細な記載から明らかとなる。
オイルレッド−O染色法によって試験した、0.5、1.0および2.0μg/mlの濃度でカレビンAによって影響を受けた脂肪生成抑制率のグラフ表示である。 0.5、1.0および2.0μg/mlの濃度でカレビンAによって影響を受けたヒト脂肪細胞におけるレプチン生成の抑制率のグラフ表示である。P値*:<0.01;**:<0.001。 0.5、1.0および2.0μg/mlの濃度でカレビンAによって影響を受けたヒト脂肪細胞におけるアディポネクチン発現の増加率のグラフ表示である。P値*:<0.01。 0.5、1.0および2.0μg/mlの濃度でカレビンAによって影響を受けたヒト脂肪細胞におけるTNF−α発現の抑制率のグラフ表示である(P値*:<0.01;**:<0.001)。 0.5、1.0および2.0μg/mlの濃度でカレビンAによって影響を受けたヒト脂肪細胞におけるIL−6発現の抑制率のグラフ表示である(P値*:<0.01)。 処置したスイス系アルビノマウス由来の血清におけるTNF−αおよびIL−1βの発現に対する、多用量のカレビンAの影響のグラフ表示である。動物の数=グループ当たり6匹。P値:*<0.01;**<0.001 スチューデントの「t」検定。 処置したスイス系アルビノマウス由来の血清におけるIL−6の発現に対する、多用量のカレビンAの影響のグラフ表示である。動物の数=グループ当たり6匹。P値:*<0.01;**<0.001 スチューデントの「t」検定。 カレビンAが、3T3−L1前駆脂肪細胞の分化および脂肪生成を抑制することを示す図である。 それぞれ、実験群C57BL/6マウスの体重に対する食餌補充の影響の写真およびグラフ表示である。 高脂肪食(HFD)供給C57BL/6マウスにおける相対脂肪組織重量に対するカレビンA補充の影響を示す図である。 高脂肪食(HFD)供給C57BL/6マウスにおける相対脂肪組織重量に対するカレビンA補充の影響を示す図である。 高脂肪食(HFD)供給C57BL/6マウスにおける相対脂肪組織重量に対するカレビンA補充の影響を示す図である。 C57BL/6マウスの血清におけるレプチン発現に対するカレビンA補充の影響を示す図である。 C57BL/6マウスの血清におけるアディポネクチン発現に対するカレビンA補充の影響を示す図である。
本発明は、脂肪細胞(adipocytes)(脂肪細胞(fat cells))の末期分化中の脂肪蓄積を予防するカレビンAの能力、および肥満管理におけるその利用を開示する。本発明は、肥満と関係がある生化学的マーカーを有利に制御する、カレビンAの能力を解明する。カレビンAの顕著な生体制御性は、炎症誘発性サイトカイン腫瘍壊死因子(TNF−α)、インターロイキン−6(IL−6)およびインターロイキン−1(IL−1β)によって引き起こされる、レプチン生成の抑制、アディポネクチン発現の増加、ならびに局所的(脂肪細胞)および全身的炎症の抑制を含む。
最も好ましい実施形態では、本発明は、脂肪生成を抑制する方法であって、脂肪細胞を有効量のカレビンAと接触させるステップを含む方法に関する。言い換えると、本発明は、哺乳動物脂肪細胞の末期分化中の脂肪蓄積を予防する方法に関する(図1および8)。
別の好ましい実施形態では、本発明は、脂肪細胞におけるレプチン発現を抑制する方法であって、脂肪細胞を有効量のカレビンAと接触させるステップを含む方法に関する(図2)。
別の好ましい実施形態では、本発明は、脂肪細胞におけるアディポネクチンの発現を増加させる方法であって、脂肪細胞を有効量のカレビンAと接触させるステップを含む方法に関する(図3)。
別の好ましい実施形態では、本発明は、脂肪細胞における炎症誘発性サイトカインTNF−αの発現を抑制する方法であって、脂肪細胞を有効量のカレビンAと接触させるステップを含む方法に関する(図4)。
さらに別の好ましい実施形態では、本発明は、脂肪細胞における炎症誘発性サイトカインインターロイキン−6の発現を抑制する方法であって、脂肪細胞を有効量のカレビンAと接触させるステップを含む方法に関する(図5)。
特定の実施形態では、本明細書で前に言及した脂肪細胞はヒト脂肪細胞である。
さらに別の好ましい実施形態では、本発明は、哺乳動物における炎症誘発性サイトカインの肥満誘導性全身的発現を低減する方法であって、それを必要とする対象に有効量のカレビンAを投与するステップを含む方法に関する。特定の実施形態では、本明細書のこの段落中で言及する炎症誘発性サイトカインは、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、インターロイキン−6(IL−6)およびインターロイキン−1β(IL−1β)を含む[図6および7]。
さらに他の最も好ましい実施形態では、本発明は、以下に関する。
1.体脂肪の過剰な蓄積のリスクがある哺乳動物における肥満管理の方法であって、前記哺乳動物に有効量のカレビンAを経口食餌補充して脂肪生成抑制の効果をもたらすステップを含む方法。
2.体脂肪の過剰な蓄積のリスクがある哺乳動物における肥満管理でのカレビンAの使用であって、前記哺乳動物に有効量のカレビンAを経口食餌補充して脂肪生成抑制の効果をもたらすステップを含む使用。
3.体脂肪の過剰な蓄積のリスクがある哺乳動物において脂肪生成を抑制する方法であって、前記哺乳動物に有効量のカレビンAを経口食餌補充するステップを含む方法。
4.肥満哺乳動物の体重を減少させる方法であって、前記哺乳動物に有効量のカレビンAを経口投与するステップを含む方法。
5.肥満哺乳動物の体重を減少させるための方法におけるカレビンAの使用であって、前記哺乳動物に有効量のカレビンAを経口投与するステップを含む使用。
6.肥満哺乳動物における全身アディポネクチン発現を増加させる方法であって、前記哺乳動物に有効量のカレビンAを経口食餌補充するステップを含む方法。
7.肥満哺乳動物におけるII型糖尿病の予防、その発症の遅延および/またはその進行の鈍化を助長するための方法であって、前記哺乳動物に治療有効量のカレビンAを経口投与して全身アディポネクチン発現レベルの増加をもたらすステップを含む方法。
8.哺乳動物における肥満症を治療するための方法であって、前記哺乳動物に有効量のカレビンAを経口食餌補充して、脂肪生成の抑制、体重の減少、および全身アディポネクチン発現の増加の効果をもたらすステップを含む方法。
9.哺乳動物において除脂肪体重を増進するための方法であって、前記哺乳動物に有効量のカレビンAを経口食餌補充して、除脂肪体重と脂肪組織の間の比率を除脂肪体重寄りに移すことによって除脂肪体重の増加の効果をもたらすステップを含む方法。
さらに別の好ましい実施形態では、対象は哺乳動物である。
さらに別の好ましい実施形態では、対象はヒトである。
抗肥満分子としてのカレビンAの潜在的治療価値は、本明細書において以下で解明する具体例によって理解することができる。
(例I)
カレビンAの急性経口毒性
表Iは、カレビンAの急性経口毒性に関して試験したパラメータを列挙する。
結果:
最大2週間の観察において経口で最大2000mg/kgまで、マウスにおいて死亡は観察されなかった。
(例II)
脂肪生成培養物のオイルレッド−O染色ならびにELISAによるレプチン、アディポネクチン、TNF−αおよびIL−6の評価
脂肪細胞の末期分化は、巨大細胞質小胞中の多量の脂質の蓄積を伴う。細胞培養における脂肪細胞分化を測定するための一般的なアッセイは、色素オイルレッド−O(ORO)を用いたアッセイである。OROは、脂肪細胞分化(脂肪生成)の信頼できる指標である、脂質可溶性の鮮やかな赤色の色素である。
原理:
オイルレッドO(ソルベントレッド27、スーダンレッド5B、C.I.26125、およびC26244O)は、凍結切片上の中性トリグリセリドおよび脂質ならびにパラフィン切片上の幾つかのリポタンパク質の染色に使用する、リソクローム(脂溶性色素)ジアゾ色素である。それは518(359)nmで最も吸収される赤色粉末の外見を有する。オイルレッドOは、スーダン染色に使用する色素の1つである。同様の色素には、スーダンIII、スーダンIV、およびスーダンブラックBがある。アルコール固定は脂質を除去するので、染色は新たなサンプルで実施しなければならない。それは一層深い赤色をもたらし、したがって染色状態が一層容易に見られるので、オイルレッドOは大抵スーダンIIIおよびスーダンIVの代用となる。
オイルレッドOは油溶性色素である。油溶性色素は、組織/細胞中の脂質物質において、通常のヒドロアルコール(hydro alcoholic)色素溶媒より高い色素可溶性を示す。したがって、それは細胞を十分に染色する。
方法:
3T3−L1細胞、約60×104個の細胞を48〜72時間接種して70〜80%の融合を得た。48時間後、新たに調製した200μlのAIM(脂肪生成誘導培地)を加える。72時間後、異なる濃度の試験化合物を含む200μlのAPM(脂肪生成進行培地)をウエルに加える。細胞は5%CO2および95%空気の加湿雰囲気(37℃)中で48時間インキュベートする。ELISAによるレプチン、アディポネクチン、IL−6およびTNF−αの評価用に、上清を回収し保存する。細胞は100μlの10%ホルマリンを加えることによって固定し、ORO染色を行う。ODはマイクロプレートリーダーで492nmにおいて読み取る。Graphpad prismソフトウェアを使用して、結果はIC50値として表す。
脂肪生成の抑制率は以下のように計算する。
抑制率=C−T/T*100
上式でCは分化/未分化細胞におけるオイルレッドOの吸光度であり、
Tはサンプル処置分化/未分化細胞におけるオイルレッドOの吸光度である。レプチン、アディポネクチン、IL−6およびTNF−αの評価は、R&D Systemsからのユーザーズマニュアルに従って行う。
[参考文献]
1. Wu Z, Xie Y, Morrison R F, Bucher NLR, Farmer SR 1998. PPAR γ induces the Insulin-dependent Glucose Transporter GLUT4 in the absence of C/EBP□ during the conversion of 3T3 fibroblasts into adipocytes. J Clin Invest. 101:22-32.
2. A pre-adipose 3T3 cell variant highly sensitive to adipogenic factors & to human growth hormone. L A Salazar-Olivo, F Castro-Munozledo & W Kuri-Harcuch. Department of Cell Biology, Centro de Investigation y de Estudios Avanzados del I.P.N., Mexico D.F., Mexico. Journal of Cell Science, 1995.Vol 108, Issue 5 2101-2107.
3. A Nuclear Receptor Atlas: 3T3-L1 Adipogenesis. Mingui Fu, Tingwan Sun, Angie L. Bookout, Micheal Downes, Ruth T. Yu, Ronald M. Evans and David J. Mangelsdorf. Molecular Endocrinology, 2005. 19 (10): 2437-2450.
4. “ Expression of a Constitutively Active Akt Ser/Thr Kinase in 3T3-L1 Adipocytes Stimulates Glucose Uptake and Glucose Transporter 4 Translocation, Aimee D Kohn et al, J. Biol. Chem. 1996, 271:31372-31378.
結果:
図1は、オイルレッド−O染色法によって試験した、0.5、1.0および2.0μg/mlの濃度でカレビンAによって影響を受けた、それぞれ32.43%、38.59%および35.8%の脂肪生成抑制率を示す。
図2は、0.5、1.0および2.0μg/mlの濃度でのカレビンAによる、ヒト脂肪細胞におけるレプチン生成の抑制率を示す(それぞれ34.92%、41.04%および39.48%)。ヒト脂肪細胞においてレプチン生成を抑制する際のカレビンAの影響、および肥満管理とのその関係の重要性は、以下の事実に由来する(Notes on Pathophysiology of the Endocrine System、Colorado State University)。
レプチンは、脂肪細胞中で主に発現されるタンパク質ホルモンである。レプチンは、体重、代謝および生殖機能の調節において重要な役割を有する。このタンパク質は肥満(ob)遺伝子によってコードされ、約16kDaの質量である。正常濃度において、レプチンの生物学的機能は、空腹、食欲、体温調節およびエネルギー代謝を制御する脳の視床下部中枢に対するその影響に主に帰属する。したがって、非肥満個体中のレプチンは、2つの重要なメカニズム(i)摂食挙動を制御するニューロペプチドYの抑制による可能性が最も高い、空腹および食物消費の低下、および(ii)体温の上昇、酸素の消費によるエネルギー消耗の増大、および脂肪組織塊の消失によって、体重減少をもたらす可能性がある。しかしながら、肥満または誘導型肥満の実験モデルの場合のレプチンの過剰な分泌は、視床下部中枢の機能の混乱をもたらし、肥満の対象は飽満状態に到達せず、栄養過剰状態に向かう傾向がある。したがって、肥満において過剰発現レベルのレプチンの有効な低減をもたらすことが不可避となり、図2中に示すように、カレビンAはこの分野において有望である。
図3は、0.5、1.0および2.0μg/mlの濃度でのカレビンAによる、ヒト脂肪細胞におけるアディポネクチン発現の増加率を示す(それぞれ27.12%、34.06%および32.8%)。アディポネクチンは、ほぼ独占的に脂肪細胞によって産生されるサイトカインであり、やせた健常な個体によって非常に高レベルで発現される。他方で肥満個体は低レベルのこのアディポカインを発現し、冠動脈性心疾患(CAD)、糖尿病および高血圧になりやすい。
[参考文献]
1. Tamar. R. Aprahamian and Flora Sam, “Adiponectin in Cardiovascular Inflammation and Obesity, Int J. Inflam. 2011; 2011: 376909;
2. Hotta K, Funahashi T, Arita Y, et al. Plasma concentrations of a novel, adipose-specific protein, adiponectin, in type 2 diabetic patients. Arteriosclerosis, Thrombosis and Vascular Biology. 2000; 20(6):1595-1599;
3. Iwashima Y, Katsuya T, Ishikawa K, et al. Hypoadiponectinemia is an independent risk factor for hypertension. Hypertension. 2004; 43(6):1318-1323;
4. Kumada M, Kihara S, Sumitsuji S, et al. Association of hypoadiponectinemia with coronary artery disease in men. Arteriosclerosis, Thrombosis and Vascular Biology. 2003; 23(1):85-89 and
5. Lindsay R S, Funahashi T, Hanson R L, et al. Adiponectin and development of type 2 diabetes in the Pima Indian population. The Lancet. 2002; 360(9326):57-58.
カレビンAはヒト脂肪細胞においてアディポネクチンのレベルを効率よく高めることが示され(図3)、したがって肥満管理の分野において有望である。
図4および5は、0.5、1.0および2.0μg/mlの濃度でのカレビンAによる、TNF−α(それぞれ36.03%、40.81%および45.47%)ならびにIL−6(それぞれ21.31%、32.37%および31.7%)の抑制率を示す。Bastard JP et al,“Recent Advances in the relationship between obesity, inflammation and insulin resistance”,Eur Cytokine Netw.2006 March;17(1):4-12は、肥満が白色脂肪組織(WAT)の低度の炎症と関係があることを例証する。この筆者は、肥満において、WATは、WATに影響を与えるだけでなく身体の他の全身器官にも影響を与える、TNF−αおよびIL−6のような炎症誘発性分子の高い発現によって特徴付けられることも言及する。図4および5は、カレビンAは脂肪細胞中のTNF−αおよびIL−6発現を低減する際に有効であり、肥満において局所的および全身的炎症の影響を制御するのに有用な作用物質であり得ることを実証する。
(例III)
カレビンAによる全身的炎症の制御
本発明者らは、ネズミ好中球系において細胞内TNFおよび細胞外IL−1βを抑制するカレビンAの能力を支持する、さらなる証拠も提示する(表II、表III)。好中球はヒストプラーク(histopaque)勾配法によって単離し、リポ多糖(LPS)での刺激後in vitroでTNF−αを産生するそれらの能力に関して試験する。細胞は暗所でフィコエリスリン(PE)標識抗マウスTNF−αと共にインキュベートし、滅菌PBSで洗浄した後、サンプルはPBS(pH7.4)中に再懸濁し、フローサイトメーター(BDLSR;Becton Dickinson)において直接得た。蛍光誘導はゲートの好中球集団(10,000事象)のPE(FL1)パラメータで設定した。ロリプラムを100μg/mlで、この試験におけるTNF−αの標準抑制剤として使用した。蛍光補正、データ解析、およびデータ表示は、Cell Quest Proソフトウェア(Becton Dickinson)を使用して実施した。
[参考文献]
1. Clara, B., R. C. Arancha, G. M. Andre's, P. Atanasio, A. Julia, and O. Alberto. 2003. A new method for detecting TNF-α-secreting cells using direct immunofluorescence surface membrane stainings. J. Immuno. Methods 264:77-87.
2. Khurshid A. Bhat, Bhahwal A. Shah, Kuldeep K. Gupta, Anjali Pandey, Sarang Bani, Subhash C. Taneja. Semi-synthetic analogs of pinitol as potential inhibitors of TNF-α cytokine expression in human neutrophils. Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 19 2009, 1939-1943.
本発明者らは、処置したマウス(in−vivoモデル)由来の血清における細胞外TNF−α、IL−1β[図6]およびIL−6[図7]の発現を低減する、カレビンAの能力に関する試験データも提示する。6〜8週齢のスイス系アルビノ雄マウスを、12時間/12時間の明暗サイクル下において22±2℃に維持した。Brieva A,Guerrero A,Alonso-Lebrero J L and Pivel JP.2001によって記載された方法に従い、マウスには6日間段階的用量(w/v)での試験薬剤の経口治療、次に1mg/kgのLPSの静脈内注射を施した。イムノフェロン、天然源の糖複合体は、LPS誘導型TNF−α産生および炎症応答を抑制する。International Immunopharmacology 1,1979-1987。それぞれのグループ中6匹のマウスを使用し、実験は三連で実施した。TNF−α、IL−1βおよびIL−6の産生は、LPS注射後90分で、市販のELISAキット(R&D Systems)により処置したマウス由来の血清において評価した。標準薬剤として30mg/kgでロリプラムを使用した。
図6および7は、カレビンAはTNF−α、IL−1βおよびIL−6を低減する際に有効であることを実証し、したがってこの化合物が、肥満において局所的および全身的炎症の影響を制御するのに有用な作用物質であることを示す。
(例IV)
カレビンAによる脂肪生成の抑制
細胞培養および脂肪細胞分化
アメリカンタイプカルチャーコレクション(Rockville,MD)から購入したマウス3T3−L1前駆脂肪細胞を、加湿5%CO2雰囲気下で37℃において、2mMグルタミン(GIBCO BRL)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(10000単位のペニシリン/mLおよび10mgストレプトマイシン/mL)および10%コウシ胎児血清(FCS)を補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で増殖させた。簡単に言うと、細胞は24ウエル(2×104/mL)または10%ウシ胎児血清(FBS)を含有するDMEMを含む10cm皿に接種して、完全に融合させた。(第0日として定義した)融合後2日で、1.7μMのインスリン、0.5mMの3−イソブチルメチルキサンチン(IBMX)および12.7μMのデキサメタゾン(DEX)を含有する分化用培地(MDI)中、10%FBSを含有するDMEM中で2日間細胞をインキュベートした。次いでこの培地を、10%FBSおよびインスリン(1.7μM)を含有しカレビンA有りまたは無しのDMEMに交換し、これは2日毎に交換した。培養培地におけるジメチルスルホキシド(DMSO)の最終濃度は0.05%未満であった。オイルレッド−O染色用に、細胞を8日後(第10日)に採取した。
オイルレッド−O染色
分化の末期に、細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄し、60分間10%ホルマリンで固定し、室温において1時間0.5%オイルレッドOイソプロパノール中で染色する。過剰なオイルレッドO色素は蒸留水で2回洗浄し、次いで乾燥させた。細胞内の染色された脂質滴は光学顕微鏡により目で見て確認し、倍率100倍でデジタルカメラを用いて撮影した。脂質蓄積を定量化するため、染色された脂質滴はイソプロパノール中に溶かし、520nmで吸光度を測定した。
図8は、カレビンAが、3T3−L1前駆脂肪細胞の分化および脂肪生成を抑制することを示す。オイルレッドOで染色した3T3−L1前駆脂肪細胞の分化および写真撮影(上部および中部)。3T3−L1前駆脂肪細胞はMDI(IBMX、DEX、およびインスリンを含むDMEM)で2日間インキュベートし、インスリンを含有しそれぞれカレビンA(0、5、10、15、20、25および30μM)有りまたは無しのDMEMに次いで8日間交換した。脂質含有物は2−プロパノールによりオイルレッドO染色細胞から抽出し、520nmで分光光度計分析によって定量化した。
動物実験−試験I
5週齢のオスC57BL/6JマウスをBioLASCO実験動物センター(Taiwan Co.,Ltd.,Taipei,Taiwan)から購入し、制御雰囲気(50%相対湿度で25±1℃)において12時間光期/12時間暗期サイクルで収容した。馴化後1週間で、以下のように12週間、通常食(ND、15%が脂肪としてのエネルギー)、高脂肪食(HFD;40%が脂肪としてのエネルギー)、およびそれぞれ0.25%または1%カレビンA(食餌1kg当たり2.5gまたは10gのカレビンA)を補充したHFDの、各々8匹の動物の4グループに動物をランダムに分けた(表V)。実験食はPurina5001食(LabDiet、PMI Nutrition International)から改変し、その組成は表IV中に列挙する。動物には、常時食餌と水を自由に与えた。食餌用カップには毎日新たな食餌を補給した。動物の食餌摂取は毎日モニタリングし、体重は毎週記録した。この試験で使用した全ての動物実験用プロトコールは、Institutional Animal Care and Use Committee of the National Kaohsiung Marine University(IACUC、NKMU)によって承認された。試験の最後に、全ての動物を一晩断食させ、CO2窒息によって屠殺した。血液サンプルを、生化学的分析用に心臓から回収した。肝臓、脾臓、腎臓および脂肪パッド(性腺周囲、腹膜後方および腸間膜脂肪)をすぐに除去し、重量測定し(表VI)写真撮影した。図9(A)は、第12週最後の各グループの代表的な写真を示す。体重は毎週モニタリングし、各グループの平均体重は平均±SEとして表した。統計解析はスチューデントのt検定により行った。(*)P<0.01、NDグループと比較;(#)P<0.01、HFDグループと比較。NDは通常食でありHFDは高脂肪食である(図9(B))。
図10(A)、(B)および(C)は、性腺周囲脂肪、腹膜後方および腸間膜脂肪の写真、ならびに相対性腺周囲脂肪、腹膜後方および腸間膜脂肪重量の割合のグラフ表示も示す図である。

a.材料および方法で記載したようにマウスには12週間食餌を与え、体重は週2回モニタリングした。各グループの平均体重は平均±SEとして表し(グループ当たりn=8)、統計解析はスチューデントのt検定により行った。NDは通常食でありHFDは高脂肪食である。*、P<0.01、および***、P<0.0001、NDグループと比較。#、P<0.01、および##P<0.001、HFDグループと比較。
a.カレビンA(0.25%および1%)補充有りまたは無しのHFDを12週間マウスに与えた。各グループのマウスを第12週の最後に屠殺し、肝臓、脾臓、および腎臓を摘出し、写真撮影し、重量測定し記録した。データは平均±SEとして表した(グループ当たりn=8)。相対臓器重量は体重の割合として表す(肝臓重量/体重×100)。NDは通常食でありHFDは高脂肪食である。
動物実験−試験2−肥満哺乳動物モデルにおける体重減少の実証
試験システムの詳細
試験性能
A.管理
a.条件:標準的な実験室条件、適切で新鮮な空気供給(1時間当たり空気変化12〜15)による空気調節、室温22±3℃、相対湿度30〜70%、12時間光期および12時間暗期サイクルの下に動物を収容した。温度と相対湿度は1日1回記録する。
b.収容:
ステンレススチール製シッパーチューブを備える水筒中にペレット食と飲料水を保持するための容器を有する、標準的なポリプロピレン製ケージ(サイズ:L290×B140×H140mm)およびステンレススチール製上部メッシュグリル中に個々の動物を収容した。滅菌済みの籾殻を床物質として与える。
c.馴化:動物は5日間で実験室条件に馴化させ、毎日臨床兆候に関して観察した。
d.食餌:馴化の間中Pranav Agro Industries Limited,Sangli,Maharastraにより製造されたAMRUT Laboratory Animal Feedを自由に動物に与えた。Research Diet Inc,USAにより製造されIndus Marketing,Hyderabad,Andhra Pradesh,INDIAから得た、Open Source Diet D12450B食(10kcal%の脂肪含む)およびOpen Source Diet D12492高脂肪食(60kcal%の脂肪含む)を、肥満の誘導および主要試験に使用した。
e.水:滅菌済み飲料水を、馴化および肥満誘導期の間中自由に与えた。逆浸透膜装置に通した深井戸水を、ステンレススチール製シッパーチューブを備えるプラスチック製水筒中に与えた。
B.グループ分け
体重無作為化および階層化法により、馴化の最終日に動物のグループ分けを行った。使用した動物の体重変動が各グループの平均体重の±20%を超えないように、動物のグループ分けを行った。
C.試験設計
動物は5グループ、すなわちそれぞれ10匹の動物(5匹のオスと5匹のメス)からなるグループ1、2、3、4および5に分けた。グループ毎の動物のグループに関する詳細、用量および数/性別は表VII中に表す。
D.動物処置
a.用量体積:動物当たりの用量体積=試験期間中全ての動物に関して体重1kg当たり10ml
b.肥満誘導:肥満の誘導中および主要試験中、G1対照グループの動物には10kcal%の脂肪を含有する通常対照食D12450Bを与え、G2〜G5グループの動物には60kcal%の脂肪を含有する高脂肪食D12492を与えた。
c.主要試験:主要試験は肥満の誘導後に開始した。3用量のカレビンAを、第29日から毎日連続して28日の間動物に投与した。食餌の供給は、肥満の誘導において実施したのと同様の形式で主要試験中続けた。G1対照およびG2高脂肪食対照グループの動物には0.5%CMC(カルボキシメチルセルロース)を投与し、一方他のグループの動物には試験期間の第29日から第56日まで試験品を与えた。投与の用量体積は、個々の動物のその週の体重に従い維持した。試験の全体期間は61日であった(馴化期5日+肥満の誘導28日+主要試験28日)。
統計解析:この試験から得た生データにコンピュータによる統計処理を施した。(添付表の形式での)コンピュータによるデータのプリントアウトは元の生データで確認した。確認後、体重に関するデータ、体重、血液学的および臨床化学的パラメータ、臓器重量に関するデータは、Graphpad Prismバージョン5.01、Graphpadソフトウェアを使用して、一元配置ANOVA(分散分析)およびダンネットの事後検定に施した。全ての解析および比較は95%の信頼レベルで評価し(P<0.05)、以下で言及する報告中、G1とG3、G4、G5およびG6を比較した場合の上付き文字aによる表示によって、およびG2とG3、G4、G5およびG6を比較した場合の上付き文字bによる表示によって示した。*:適用する場合統計学的に有意(P<0.05)。
データは、以下の比較によって一元配置−ANOVA統計解析に施した:
以下に表すように、G1グループ{(10kcal%の脂肪含む)対照グループ}と、G3グループ{カレビンA5mg/kg+(60kcal%の脂肪含む)高脂肪食}、G4グループ{カレビンA10mg/kg+(60kcal%の脂肪含む)高脂肪食}およびG5グループ{カレビンA20mg/kg+(60kcal%の脂肪含む)高脂肪食}の比較:

以下に表すように、G2−(60kcal%の脂肪含む)高脂肪食対照と、G3グループ{カレビンA5mg/kg+(60kcal%の脂肪含む)高脂肪食}、G4グループ{カレビンA10mg/kg+(60kcal%の脂肪含む)高脂肪食}およびG5グループ{カレビンA20mg/kg+(60kcal%の脂肪含む)高脂肪食}の比較:
結果
体重:個々の動物の体重は第1日における受け入れ日、およびその後試験期間中週1回(±1日)記録した。
オスおよびメスの動物の毎週の体重の概要は、それぞれ表VIII(a)/VIII(b)およびIX(a)/IX(b)中に表す。
オスの動物では、G1グループ{(10kcal%の脂肪含む)対照グループ}と比較して、第15日にG5グループ{カレビンA20mg/kg+(60kcal%の脂肪含む)高脂肪食}において週当たりの体重平均値の統計学的に有意な増大があった。これらの変化は、食餌の脂肪含量の差と関係があると考えた。
オスの動物では、G1グループ{(10kcal%の脂肪含む)対照グループ}と比較して、第22日および第29日にG3グループ{カレビンA5mg/kg+(60kcal%の脂肪含む)高脂肪食}、G4グループ{カレビンA10mg/kg+(60kcal%の脂肪含む)高脂肪食}、G5グループ{カレビンA20mg/kg+(60kcal%の脂肪含む)高脂肪食}において週当たりの体重平均値の統計学的に有意な増大があった。これらの変化は、食餌の脂肪含量の差に原因があると考えた。
オスの動物では、G1グループ{(10kcal%の脂肪含む)対照グループ}と比較して、第36日にG3グループ{カレビンA5mg/kg+(60kcal%の脂肪含む)高脂肪食}において週当たりの体重平均値の統計学的に有意な増大があった。これらの変化は、食餌の脂肪含量の差に原因があると考えた。
オスの動物では、G2グループ{60kcal%の脂肪含む}高脂肪食対照}と比較して、第36日にG3グループ{カレビンA5mg/kg+(60kcal%の脂肪含む)高脂肪食}、G4グループ{カレビンA10mg/kg+(60kcal%の脂肪含む)高脂肪食}において週当たりの体重平均値の統計学的に有意な減少があった。これらの変化は、試験品カレビンAの投与の影響と関係があると考えた。
オスの動物では、G2グループ{60kcal%の脂肪含む}高脂肪食対照}と比較して、第43日、第50日および第56日にG3グループ{カレビンA5mg/kg+(60kcal%の脂肪含む)高脂肪食}、G4グループ{カレビンA10mg/kg+(60kcal%の脂肪含む)高脂肪食}、G5グループ{カレビンA20mg/kg+(60kcal%の脂肪含む)高脂肪食}において週当たりの体重平均値の統計学的に有意な減少があった。これらの変化は、試験品カレビンAの投与に原因があると考えた。
メスの動物では、G1グループ{(10kcal%の脂肪含む)対照グループ}と比較して、第15日および第22日にG5グループ{カレビンA20mg/kg+(60kcal%の脂肪含む)高脂肪食}において週当たりの体重平均値の統計学的に有意な増大があった。これらの変化は、食餌の脂肪含量の差に原因があると考えた。
メスの動物では、G1グループ{(10kcal%の脂肪含む)対照グループ}と比較して、第29日および第36日にG3グループ{カレビンA5mg/kg+(60kcal%の脂肪含む)高脂肪食}、G4グループ{カレビンA10mg/kg+(60kcal%の脂肪含む)高脂肪食}、G5グループ{カレビンA20mg/kg+(60kcal%の脂肪含む)高脂肪食}において週当たりの体重平均値の統計学的に有意な増大があった。これらの変化は、食餌の脂肪含量の差に原因があると考えた。
メスの動物では、G1グループ{(10kcal%の脂肪含む)対照グループ}と比較して、第43日にG3グループ{カレビンA5mg/kg+(60kcal%の脂肪含む)高脂肪食}、G4グループ{カレビンA10mg/kg+(60kcal%の脂肪含む)高脂肪食}において週当たりの体重平均値の統計学的に有意な増大があった。これらの変化は、食餌の脂肪含量の差に原因があると考えた。
メスの動物では、G2グループ{60kcal%の脂肪含む}高脂肪食対照}と比較して、第43日、第50日および第56日にG3グループ{カレビンA5mg/kg+(60kcal%の脂肪含む)高脂肪食}、G4グループ{カレビンA10mg/kg+(60kcal%の脂肪含む)高脂肪食}、G5グループ{カレビンA20mg/kg+(60kcal%の脂肪含む)高脂肪食}において週当たりの体重平均値の統計学的に有意な減少があった。これらの変化は、試験品カレビンAの投与に原因があると考えた。
したがって、高脂肪食誘導型肥満状態のオスおよびメスC57動物の体重減少において、体重1kg当たり5、10および20mgの試験濃度で、カレビンAは影響を有したと結論付けることができた。
さらに、試験期間の終了後(第57日)、ガスチャンバー内で過剰なCO2に曝すことにより動物を無痛屠殺し、臓器重量を記録した。全動物由来の脳、胸腺、肝臓、副腎、腎臓(対)、脾臓、心臓および卵巣/精巣(対)から必要に応じて任意の接着組織を摘出し、乾燥を避けるため可能な限り速やかに湿潤状態で重量を測った。一般に、オスとメスの間で臓器重量の統計学的に有意な差はなかったが、例えばオスグループの肝臓において、臓器特異的重量改善が観察可能であった(表X参照)。この結果は肝臓に関する表VIにおける改善を確証する。Behnke,A.R.1953.Lean body mass.A.M.A.Arch.Int.Med.91,585は除脂肪体重増進の指標として肝臓を示すことができ、H.F.Kraybill et al,J ANIMSCI1954,13:548-555は、他の内臓臓器も同様に除脂肪体重増進の指標となり得ることを示す。毒性を示さない臓器重量の持続的増大の観点での統計学的有意性は、長期の試験期間にわたり大きなサンプルサイズ(より多数の試験動物)で得ることができる可能性が非常に高い。表VIおよび表Xの結果は、脂肪生成を抑制し体重を減少するだけでなく除脂肪体重も増進する、カレビンAの能力の予備的指標として解釈することができる。
さらに、試験期間の終了時に、レプチンおよびアディポネクチンの全身発現を推定するため、エチレンジアミド四酢酸カリウム(K2−EDTA)抗凝血薬を含有するチューブ内に全動物から血液サンプルを回収した。血液サンプルは、微細なキャピラリーチューブの助力で適度なエーテル麻酔の下、眼窩後部神経穿刺法から無痛回収した。抗凝血薬を含まないチューブ内に回収した血液サンプルは10分間3000rpmで遠心分離して、レプチンおよびアディポネクチンを推定するためELISA技法に施す血清を得た。肥満症におけるバイオマーカーとしてのレプチンおよびアディポネクチン発現の出現は段落0017および0018で十分論じている。カレビンAは肥満哺乳動物の血清におけるレプチン発現の抑制に対してわずかな影響を示し(図11)、肥満哺乳動物の血清レベルにおけるアディポネクチン発現を増加する際に有意な影響を示した(図12)。低い全身アディポネクチンレベルは、II型糖尿病のような病状の進行における予測因子として挙げられている(Chamukuttan Snehalatha et al,「Plasma Adiponectin Is an Independent Predictor of Type 2 Diabetes in Asian Indians」,Diabetes Care December 2003 vol.26 no.12 3226-3229)。肥満症の哺乳動物モデルにおける全身アディポネクチンレベルを有意に増加するカレビンAの能力は、前記哺乳動物におけるII型糖尿病の発症の予防を助長する、その能力を示す。
好ましい実施形態を参照しながら本発明を記載してきたが、本発明がそれに限定されないことは当業者によって明らかに理解される。そうではなくて、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲と関連してのみ解釈される。
本発明は以下の実施形態:
1.哺乳動物において除脂肪体重を増進するための、除脂肪体重と脂肪組織の間の比率を除脂肪体重寄りに移すことによって、除脂肪体重の増加の効果をもたらす医薬組成物であって、カレビンAを含む医薬組成物。
2.肥満哺乳動物の体重を減少させるための医薬組成物であって、カレビンAを含む医薬組成物。
3.肥満哺乳動物におけるII型糖尿病の予防、その発症の遅延および/またはその進行の鈍化を助長するための、全身アディポネクチン発現レベルの増加をもたらす医薬組成物であって、カレビンAを含む医薬組成物。
4.哺乳動物における肥満症を治療するための、脂肪生成の抑制、体重の減少、および全身アディポネクチン発現の増加の効果をもたらす医薬組成物であって、カレビンAを含む医薬組成物。
5.ヒト以外の哺乳動物において除脂肪体重を増進するための方法であって、前記哺乳動物に有効量のカレビンAを経口食餌補充し、除脂肪体重と脂肪組織の間の比率を除脂肪体重寄りに移すことによって除脂肪体重の増加の効果をもたらすステップを含む方法。
であってよい。
6.ヒト以外の肥満哺乳動物の体重を減少させるための方法であって、前記哺乳動物に有効量のカレビンAを経口投与するステップを含む方法。
7.ヒト以外の肥満哺乳動物におけるII型糖尿病の予防、その発症の遅延および/またはその進行の鈍化を助長するための方法であって、前記哺乳動物に治療有効量のカレビンAを経口投与して全身アディポネクチン発現レベルの増加をもたらすステップを含む方法。
8.ヒト以外の哺乳動物における肥満症を治療するための方法であって、前記哺乳動物に有効量のカレビンAを経口食餌補充して、脂肪生成の抑制、体重の減少、および全身アディポネクチン発現の増加の効果をもたらすステップを含む方法。
本発明は、さらに以下の実施形態:
1.哺乳動物において除脂肪体重を増進するための、除脂肪体重と脂肪組織の間の比率を除脂肪体重寄りに移すことによって、除脂肪体重の増加の効果をもたらす医薬組成物であって、カレビンAを含む医薬組成物。
2.肥満哺乳動物の体重を減少させるための医薬組成物であって、カレビンAを含む、1記載の医薬組成物。
3.肥満哺乳動物におけるII型糖尿病の予防、その発症の遅延および/またはその進行の鈍化を助長するための、全身アディポネクチン発現レベルの増加をもたらす医薬組成物であって、カレビンAを含む、1記載の医薬組成物。
4.哺乳動物における肥満症を治療するための、脂肪生成の抑制、体重の減少、および全身アディポネクチン発現の増加の効果をもたらす医薬組成物であって、カレビンAを含む、1記載の医薬組成物。
5.ヒト以外の哺乳動物において除脂肪体重を増進するための方法であって、前記哺乳動物に有効量のカレビンAを経口食餌補充し、除脂肪体重と脂肪組織の間の比率を除脂肪体重寄りに移すことによって除脂肪体重の増加の効果をもたらすステップを含む方法。
であってよい。
6.ヒト以外の肥満哺乳動物の体重を減少させるための方法であって、前記哺乳動物に有効量のカレビンAを経口投与するステップを含む、5記載の方法。
7.ヒト以外の肥満哺乳動物におけるII型糖尿病の予防、その発症の遅延および/またはその進行の鈍化を助長するための方法であって、前記哺乳動物に治療有効量のカレビンAを経口投与して全身アディポネクチン発現レベルの増加をもたらすステップを含む、5記載の方法。
8.ヒト以外の哺乳動物における肥満症を治療するための方法であって、前記哺乳動物に有効量のカレビンAを経口食餌補充して、脂肪生成の抑制、体重の減少、および全身アディポネクチン発現の増加の効果をもたらすステップを含む、5記載の方法。

Claims (2)

  1. 哺乳動物において除脂肪体重を増進するための、除脂肪体重と脂肪組織の間の比率を除脂肪体重寄りに移すことによって、除脂肪体重の増加の効果をもたらすカレビンAを含む医薬組成物であって、当該医薬組成物は1日用量として体重1kg当たり20mgのカレビンAを経口投与するためのものである、医薬組成物。
  2. ヒト以外の哺乳動物において除脂肪体重を増進するための方法であって、1日用量として体重1kg当たり20mgのカレビンAを前記哺乳動物に経口食餌補充して、除脂肪体重と脂肪組織の間の比率を除脂肪体重寄りに移すことによって除脂肪体重の増加の効果をもたらすステップを含む方法。
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